従来から、自動車用熱交換器に代表されるAl製熱交換器においては、単管状のチューブの他、押出扁平多穴管状チューブ、成形加工された板チューブ、或はインナーフィンを内蔵した板チューブ等によって、冷媒通路が形成されている。そして、それらの通路部材には、ろう付け接合によってプレートフィンやコルゲートフィンが組み付けられて、目的とする熱交換器が構成されており、これによって、工業的に効率よく生産されているのである。また、航空機用や鉄道車両用のAl製熱交換器は、上記の自動車用熱交換器に比較すると、やや大型であり、そして産業用の熱交換器は、更に大型になる場合が多いが、冷媒通路を構成する熱交換器用部材の構成には、類似性がある。なお、ここでは、Alなる表示が、アルミニウム及びアルミニウム合金を含む総称としても、用いられていることに留意されるべきである。
一方、昨今のハイブリッド車や電気自動車にみられるモーターによる自動車駆動方式の採用や、電子機器の高性能化及び小型化等によって、熱交換器も小型化する傾向にある。そして、この熱交換器の小型化に伴なって、通路部材に形成される冷媒通路を微細化する要望が高まってきているのであるが、板の成形加工やインナーフィンによる冷媒通路の縮小化には限界があり、また、押出多穴管における内孔寸法の縮小化も、既に限界の域に達しているのである。
例えば、特許文献1や特許文献2等においては、扁平多穴管を用いて、熱交換器における冷媒通路を形成する場合において、かかる扁平多穴管には、Al材料(ビレット)の押出加工によって得られた形材が用いられることが明らかにされているのであるが、そのような押出加工にて形成される押出形材中の多数の冷媒通路用孔は、押出ダイスの押出孔の形状によって規定されることとなるところから、かかる冷媒通路用孔の縮小化には、自ずから限界があり、一つの冷媒通路用孔の最小断面積としては、具体的には、矩形断面の孔において0.5mm2 程度、円形断面孔では0.2mm2 程度となる大きさの孔が、現状では最小と考えられている。押出ダイスにおいて、余りにも小さな押出孔は、構造的にも実現が困難であることに加えて、安定的に押出加工することが困難である等の問題を内在している。
このため、特許文献3に開示の多孔扁平金属管ヒートパイプ式熱交換器において用いられる多孔扁平管にあっても、細孔の断面積は、幅0.5mm、深さ0.5mmを最小限として設定されるとして、0.25mm2 以上の大きさの断面積が対象とされるとされて、それよりも更に小さな細孔の形成については、何等明らかにされていない。
そこで、本発明者等は、先に、微細な冷媒通路を形成する手法として、予め溝加工したAl板材にブレージングシートを積層して、溝両側部の頂部をろう付け接合することにより、かかる溝に対応した通路(通孔)が形成されるようにする方式を提案した。この方式によれば、溝の寸法を小さくすることによって、形成される冷媒通路の縮小化が形式的には可能となるのであるが、工業化するには、注意すべき問題が内在しているのである。即ち、それは、溶融したろう材によって、ろう付け接合時に溝が埋まってしまい、冷媒通路が封孔(封止)されてしまうという問題であり、またフラックスろう付け手法を採用する場合においては、残留フラックスが溝内で凝固して、冷媒通路を封孔(封止)する不具合も惹起される恐れがあったのである。
ところで、フラックスろう付け法として現在採用されている手法は、Al−Si合金ろう材を使用する一方、フッ化物系フラックスを塗布して、不活性ガス雰囲気中において接合する方法(雰囲気制御の意味からCAB法と呼称されたり、フラックスの商品名によりノコロックろう付け法等と呼称される方法)が最も代表的なものであり、またAl−Si−Mg系合金ろう材を使用して、減圧雰囲気下でろう付けする真空ろう付け法も多方面で採用されており、更に航空機用熱交換器の一部では、溶融したフラックス中に熱交換器を浸漬して、ろう付け接合する浸漬ろう付け法も、僅かにではあるが採用されているのである。
しかしながら、これらのろう付け方法を、微細な冷媒通路を有する熱交換器、より具体的には、上述の如き微細な断面積の溝を設けてなるAl板材とブレージングシートとを積層して、ろう付け接合することにより冷媒通路を形成する熱交換器を対象として、適用した場合において、各種の問題が内在しており、例えば、浸漬ろう付け法においては、フラックスが冷媒通路内で凝固して、冷媒通路を封止してしまうために、実用出来ないという問題がある。
一方、ノコロックろう付け法では、接合前にフラックスを塗布して接合することとなるため、フラックスの塗布量を減ずれば、フラックス残渣による溝の封止を避けることは可能であり、また真空ろう付け法では、フラックスを使用しないために、フラックスによる溝の封止が生じることはない。しかしながら、ノコロックろう付け法では、溶融したフラックスが溝の内壁に濡れ広がったり、ろう付け加熱中に気化したフラックスが溝の内壁に作用して、溝内壁の濡れ性を向上させるようになる。このため、0.2mm2 以下の断面積の溝を設けたAl板材とブレージングシートとをろう付け接合して、冷媒通路を形成する熱交換器を対象とした場合には、溶融ろうが溝を封止するリスクが高くなるのであり、また真空ろう付け法においても、ろう材から蒸発したMgが溝の内壁に作用して、溝内壁の濡れ性を向上させるために、ノコロックろう付け法と同様に、溶融ろうが溝を封止するリスクが高まるのである。尤も、ノコロックろう付け法においてフラックスの塗布量を減じたり、真空ろう付け法においてろう材中のMg含有量を減ずるようにすれば、ろうによる溝の封止リスクが下がる一方で、何れも、濡れ性の低下を招くこととなるところから、溝両側部の凸部において、安定して、フィレットを形成させることが困難となるのである。
以上のことから、ノコロックろう付け法や真空ろう付け法では、ろう材の量を制限して接合する必要があるのであるが、断面積が0.2mm2 以下の溝によって冷媒通路を形成するには、ろう材量の適正範囲は狭くなり、更には、フラックスの塗布むらや、炉内圧力の影響によるMg蒸発の乱れ等から、フィレット形成能にばらつきを生じ易く、継手の許容クリアランスや許容温度条件が、何れも、狭くなる問題がある。
なお、上記したろう付け手法以外の接合方法の採用には、何れも、決定的な問題があるために、その実用は避けられているのが、現状である。例えば、接着剤を用いた接着接合法では、一時的に冷媒通路を形成することは可能であるが、耐久性に乏しく、剥離を生じる恐れがあるところから、実用出来ず、また、はんだ付け手法は、接合が困難であり、仮に接合出来たとしても、接合強度、耐食性、耐久性の何れかが要求を満たさない問題を内在している。このような状況から、冷媒通路の縮小化は、既に限界の域にあると認識されているのである。
ここにおいて、本発明者等は、上述の如き事情に鑑み、フラックスを用いることなくろう付け接合する、所謂フラックスレスろう付け法を採用して、予め溝加工したAl板材とブレージングシートとをろう付け接合せしめて、微細な通路(通孔)を形成する手法について種々検討した結果、ブレージングシートのろう材層を、所定量のSiと共に、Li、Be、Ba、Ca、及びMgのうちの少なくとも何れか1種の合金成分の特定量を含有せしめてなるAl合金ろうにて構成することにより、Al板材に設けた溝両側部の凸部(頂部)に、フィレットが効果的に形成され得ることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
従って、本発明の解決課題とするところは、通常の押出加工では製造が困難である、通路断面積が0.2mm2 よりも小さな微細通路を、フラックスレスろう付け法によって、工業的に有利に形成し得る構造の熱交換器用Al部材を提供することにあり、また、そのような熱交換器用Al部材を、フラックスレスろう付け法により、低コストにて、簡単に且つ容易に製造することの出来る方法を提供することにある。
そして、本発明にあっては、上記せる如き熱交換器用Al部材に係る課題を解決するために、溝断面積が0.2mm2 以下となる通路形成用の溝を所定パターンで板面に形成してなるAl板材と、Al芯材に対して、Si:3.5〜13質量%と共に、Li:0.004〜0.1質量%、Be:0.005〜0.04質量%、Ba:0.007〜0.05質量%、Ca:0.005〜0.03質量%及びMg:0.05〜0.4質量%のうちの少なくとも何れか1種を含むAl合金ろうからなるろう材層を所定厚さで一体的に形成してなるブレージングシートとを、該Al板材の溝形成面と該ブレージングシートのろう材層側の面とが対向するように積層して、フラックスを用いることなく、加熱ろう付けすることにより得られたろう付け製品にて構成され、該Al板材における前記通路形成用溝の両側部の頂部と前記ブレージングシートのAl芯材とが接合せしめられて、該通路形成用溝と該Al芯材とに囲まれた微細な通路が製品内部に形成されていることを特徴とする微細通路を備えた熱交換器用Al部材を、その要旨とするものである。
なお、かかる本発明に従う熱交換器用Al部材の望ましい態様の一つによれば、前記通路形成用溝の複数が、互いに平行に、前記Al板材の板面に形成されている。
そして、本発明の有利な一つの態様にあっては、前記通路形成用溝上に位置する前記ブレージングシートのろう材層が、該通路形成用溝の体積の60%以下の体積を与える厚さにおいて、形成されている。
特に、本発明にあっては、有利には、前記ブレージングシートにおける前記ろう材層がAl−3.5〜6質量%Si合金から構成されると共に、前記通路形成用溝上に位置する該Alろう材層が、該通路形成用溝の体積の100%以下の体積を与える厚さにおいて形成されている。
また、本発明に従う熱交換器用Al部材の他の望ましい態様の一つによれば、前記ブレージングシートのろう材層を与える前記Al合金ろうが、更に、0.004〜0.2質量%のBiを含有している。
さらに、本発明に従う熱交換器用Al部材の別の望ましい態様の一つによれば、前記ブレージングシートを構成する前記Al芯材が、合金成分として、0.2〜1.3質量%のMgを含有するAl合金にて構成されている。
また、本発明にあっては、上記した熱交換器用Al部材の製造方法に係る課題を解決するために、溝断面積が0.2mm2 以下となる通路形成用の溝を所定パターンで板面に形成してなるAl板材と、Al芯材に対して、Si:3.5〜13質量%と共に、Li:0.004〜0.1質量%、Be:0.005〜0.04質量%、Ba:0.007〜0.05質量%、Ca:0.005〜0.03質量%及びMg:0.05〜0.4質量%のうちの少なくとも何れか1種を含むAl合金ろうからなるろう材層を所定厚さで一体的に形成してなるブレージングシートとを、フラックスを塗布することなく、該Al板材の溝形成面と該ブレージングシートのろう材層側の面とが対向するように積層して、該Al板材の通路形成用溝を該ブレージングシートにて覆蓋した後、それらAl板材及びブレージングシートの積層物を加熱して、該ブレージングシートのろう材層部位を溶融せしめて、該Al板材における前記通路形成用溝の両側部の頂部に、前記ブレージングシートのAl芯材を接合せしめることにより、微細な通路が内部に形成されるようにしたことを特徴とする微細通路を備えた熱交換器用Al部材の製造方法を、その要旨とするものである。
なお、かかる本発明に従う熱交換器用Al部材の製造方法の望ましい態様の一つによれば、前記通路形成用溝上に位置する前記ブレージングシートのろう材層が、該通路形成用溝の体積の60%以下の体積を与える厚さにおいて、形成されている。
中でも、本発明にあっては、有利には、前記ブレージングシートのろう材層を与える前記Al合金ろうが、3.5〜6質量%のSiを含有していると共に、前記通路形成用溝上に位置する該ブレージングシートのろう材層が、該通路形成用溝の体積の100%以下の体積を与える厚さにおいて、形成されている。
そして、本発明に従う熱交換器用Al部材の製造方法に係る他の望ましい態様の一つによれば、前記積層物の加熱によるろう付け接合操作が、酸素濃度が50ppm以下の不活性ガス雰囲気中において、実施されることとなる。
また、本発明に従う熱交換器用Al部材の製造方法に係る別の望ましい態様の一つによれば、前記ブレージングシートのろう材層を与える前記Al合金ろうが、更に、0.004〜0.2質量%のBiを含有している。
さらに、本発明に係る微細通路を備えた熱交換器用Al部材の製造方法の更に別の望ましい態様の一つによれば、前記ブレージングシートを構成する前記Al芯材が、合金成分として、0.2〜1.3質量%のMgを含有するAl合金にて構成されている。
このように、本発明に従う微細通路を備えた熱交換器用Al部材にあっては、Al材料の押出加工によって製造されたものではなく、溝断面積が微小な通路形成用溝を板面に形成してなるAl板材に対して、ブレージングシートを重ね合わせて積層し、フラックスを用いることなく、加熱ろう付けすることにより得られるろう付け製品にて、構成されるものであるところから、微細な通路を形成するための押出加工上の各種の困難を伴なうことなく、単に、Al板材とブレージングシートとの積層物をろう付け接合するだけで、目的とする微細通路が内部に形成されたろう付け製品にて構成される熱交換器用Al部材を得ることが出来ることとなるのであり、しかも通路の大きさは、Al板材の板面に形成される通路形成用溝の断面積にて規定されることとなるところ、そのような通路形成用溝は、切削加工やロール加工等の通常の溝加工手法にて、容易に、Al板材の板面に形成され得るところから、通路の微細化を工業的に有利に図り得ると共に、各種パターンの微細通路を、簡単に且つ容易に形成することが出来る特徴を有しているのである。
また、本発明に従う微細通路を備えた熱交換器用Al部材の製造方法によれば、上述の如き通路形成用溝が設けられてなるAl板材とブレージングシートとを、フラックスを塗布することなく、積層して、かかる通路形成用溝をブレージングシートにて覆蓋した後、加熱し、ろう付け接合することによって、通路形成用溝の両側部の頂部に対してブレージングシートのAl芯材を接合せしめるようにすることにより、かかる通路形成用溝とブレージングシートの芯材にて囲まれる微細な通路が、簡単に形成されることとなるところから、目的とする微細通路を備えた熱交換器用Al部材が簡単に且つ容易に製造することが出来、以て、その工業的実用性を格段に高め得ると共に、その製造コストの低減を有利に図り得るのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
要するに、本発明においては、図1に示されるように、多数の微細な通路形成用溝4を板面全面に互いに平行に設けてなる溝付きAl板材2に対して、それぞれ板状のAl芯材6とAl合金ろう材8とがクラッドされて一体化されたブレージングシート10を、かかるAl合金ろう材8の層(ろう材層)が溝付きAl板材2の溝4形成側の面に対向するようにして、重ね合わせて積層し、フラックスレスろう付け法にて、その得られた積層物12を加熱ろう付けすることにより、溝付きAl板材2の溝4がブレージングシート10のAl合金ろう材8の層から生じた溶融ろうによって封孔(封止)されることなく、図2に示される如く、得られるろう付け製品14において、微細な連続した通孔16として形成され、これを、熱交換器用Al部材における冷媒が流通せしめられる微細通路として利用し得るようにしたのである。
このため、本発明にあっては、通常の押出加工手法では実現の困難な微細な通路(孔)を形成すべく、溝付きAl板材2の板面に形成される通路形成用溝4は、その横断面における溝断面積が0.2mm2 以下となる寸法において設けられることとなる。この微細な通路形成用溝4は、機械加工(切削加工)やロール加工、押出加工等の公知の溝加工手法にて、Al板材2の板面に容易に形成され得るものであって、一般に、複数の溝4が、図1に示される如く、互いに平行に配設されてなるパターンが採用されることとなるが、目的とする熱交換器用Al部材の用途に応じて、そのような溝4の配設パターンは、適宜に選定し得るところであって、例えば、渦巻き形状や湾曲形状、蛇行形状、屈曲形状等の各種の配設パターンを採用することが可能である。また、そのような通路形成用溝4の断面形状にあっても、図示の如き三角形状の他、矩形形状やU字形状等の各種の溝断面形状を採用することが出来る。なお、溝断面積の下限は、一般に、板面に加工可能な溝の最低限の大きさに依存し、通常、0.01mm2 程度が限界と考えられている。
一方、ブレージングシート10は、それぞれ板状のAl芯材6とAl合金ろう材8とを、従来と同様にクラッドして、かかるAl芯材6に対して、Al合金ろう材8からなるろう材層を所定厚さで一体的に形成せしめてなるものであって、ここでは、芯材6の片側にろう材層(8)が形成されてなる片面ブレージングシートとして形成されている。そして、本発明にあっては、かかるブレージングシート10を構成するAl合金ろう材8に、合金成分として、Si(ケイ素)を3.5質量%以上13質量%以下の割合で含有すると共に、Li(リチウム):0.004〜0.1質量%、Be(ベリリウム):0.005〜0.04質量%、Ba(バリウム):0.007〜0.05質量%、Ca(カルシウム):0.005〜0.03質量%、及びMg(マグネシウム):0.05〜0.4質量%のうちの少なくとも何れか1種を含むAl合金ろうが、用いられることとなるのである。
このようなブレージングシート10において、Al板材2における溝4の両側部の頂部にフィレットを均一に形成せしめて、溝付きAl板材2とブレージングシート10(特にAl芯材6)との間の接合を良好に実現するには、ろう材8中のSi量としては、3.5質量%以上が必要となる。なお、このSi量が3.5質量%に満たないと、溶融するろう材の量が少なくなるために、溝4の両側部の頂部とAl芯材6との接合が不充分となるのである。尤も、ろう付け工程における到達温度を上げれば、溶融ろうの量を増やすことは出来るのであるが、この到達温度を上げ過ぎると、溝4の溶解や変形が生じ易くなる問題を惹起する。このため、ろう材8中のSi量としては、3.5質量%が下限値となるのである。一方、ろう材8中のSi量が13質量%を超えるようになると、ろう材8の溶融初期の流動が過度に進行するために、その溶融ろうによって、溝4が封止されるリスクが高まることに加えて、溶融ろうによる溝4の溶解量も増えるようになるところから、断面積が0.2mm2 以下の溝4による冷媒通路の形成が困難となるからである。
そして、本発明にあっては、かかるSi量と共に、Li、Be、Ba、Ca及びMgのうちの少なくとも何れか1種が、上記した規定範囲内において含有せしめられてなるAl合金ろう材8が用いられることとなるのであって、これにより、溝付きAl板材2とブレージングシート10とのフラックスレスろう付けにおける接合性を高めて、Al板材2の溝両側部の頂部におけるフィレットの形成が、有利に進行せしめられ得るのである。なお、Liが0.004質量%未満、Beが0.005質量%未満、Baが0.007質量%未満、Caが0.005質量%未満、Mgが0.05質量%未満の含有量の場合にあっては、接合性の向上効果が充分でなく、また、0.1質量%を超えるLi、0.04質量%を超えるBe、0.05質量%を超えるBa、0.03質量%を超えるCaを含有する場合にあっては、過度の酸化物形成によって接合性が低下するようになるのであり、更に、Mgの含有量が0.4質量%を超えるようになると、濡れ性が過度に高まり、溶融ろうが冷媒通路を封孔するリスクが高くなる問題を惹起する。
しかも、本発明にあっては、上記せる如き合金成分に加えて、更に、Bi(ビスマス)を0.004〜0.2質量%の割合で含有せしめてなるAl合金ろう材8が有利に用いられ、これによって、微細な冷媒通路を形成する溝両側部の凸部に沿ってフィレットが均一に形成され、継手に少々のクリアランスが生じた場合にあっても、均一なフィレット形成が実現される利点を生じる。なお、かかるBiの含有量が0.004質量%未満となると、その添加効果が乏しく、また、その含有量が0.2質量%を超えるようになると、フィレットの形成が不安定となる。
また、かかるブレージングシート10における板状のAl芯材6は、溝付きAl板材2に対してろう付け接合されて、目的とする熱交換器用Al部材を構成するものとなるところから、それらAl芯材6や溝付きAl板材2は、何れも、純アルミニウム又はアルミニウム合金からなる同様な材質にて形成されてなるものであるが、特に、Al芯材6は、合金成分として0.2〜1.3質量%のMgを含有するAl合金にて構成されていることが望ましく、これによって、微細な冷媒通路を形成する溝両側部の凸部に沿って、フィレットをより均一に有利に形成させることが出来るのであり、Alろう合金中へのBiの添加と同様に、継手に少々のクリアランスが生じた場合にも、均一なフィレットの形成が有利に実現されるのである。なお、かかるMgの含有量が0.2質量%未満となると、効果に乏しく、また、1.3質量%を超えるようになると、ろうの濡れ性が過度に向上して、溝を封止するリスクが高まると共に、Al芯材6が部分溶融する恐れが生じるために、好ましくないのである。
さらに、Al芯材6は、そのようなMg含有量の他に、合金成分として、Si:0.9質量%以下、Cu:0.8質量%以下、Mn:1.8質量%以下、及びZn:1.2質量%以下を含有し、残部がAlと不可避的不純物からなるAl合金にて、有利に形成されることとなる。この合金成分としてのSiやCuが、上記した上限値を超えるようになると、Al芯材6の固相線温度が低下し、特にCuについては、粒界腐食性も増大するようになるところから、好ましくないのである。また、Mnが、その上限値を超えるようになると、ブレージングシート10の製造時に割れが惹起され易くなる問題があり、更に、Znがその上限値を超えると、腐食の進行が早くなるために、微細な冷媒通路を形成する材料としては、好ましくない。
そして、かくの如き溝付きAl板材2やブレージングシート10は、それらの加熱によるろう付け接合にて、図2に示される如きろう付け製品14を与えるものであるところから、目的とする熱交換器用Al部材の用途に応じて、それら溝付きAl板材2やブレージングシート10(特にAl芯材6)の厚さが、適宜に選定されることとなる。尤も、ブレージングシート10におけるAl合金ろう材8の層は、それの溶融によって溝付きAl板材2とブレージングシート10のAl芯材6のろう付け接合を行なうものであるところから、そのようなろう付け接合のためのフィレットを有効に形成せしめる上において、Al合金ろう材8の層厚さとしては、少なくとも0.003mm以上とすることが望ましい。このAl合金ろう材8の層厚さが余りにも薄くなると、ろう合金成分として用いられたSiが、ろう付けに際して、Al芯材6側に拡散して、ろう材としての機能が低下するようになるからである。
さらに、かくの如き溝付きAl板材2とブレージングシート10とを加熱して、ろう付け接合せしめて得られる、図2に示される如きろう付け製品14においては、その横断面形状を拡大してモデル的に示す図3から明らかなように、ブレージングシート10のAl合金ろう材8の溶融によって生じた溶融ろうにて、通路形成用溝4の両側部の頂部に、フィレット18がそれぞれ形成され、このフィレット18によって、ブレージングシート10のAl芯材6と溝付きAl板材2とが、効果的にろう付け接合されて、一体化せしめられると共に、そのような通路形成用溝4の開口部がブレージングシート10(Al芯材6)にて覆蓋されて閉塞されることによって、かかる溝4に対応して、連続した通孔16が互いに平行に配列した形態において形成されてなる構造が、実現されるのである。なお、溝付きAl板材2とAl芯材6との具体的な接合形態は、一般に、図3にも示される如く、ろう材層20を介して接合されてなる形態を呈するものとなる。
因みに、図4の(a)及び(b)には、かかる本発明に従う溝付きAl板材(2)とブレージングシート(10)とを用いて得られた、実際のろう付け製品(14)の断面拡大写真が示されているが、それらの写真から明らかな如く、ブレージングシート(10)におけるAl合金ろう材(8)の溶融によって、フィレット(18)が形成されて、溝付きAl板材(2)の溝(4)両側部の頂部において、ブレージングシート(10)のAl芯材(6)が、かかる溝付きAl板材(2)に対してろう付け接合されることにより、溝(4)に対応した通孔(16)が、形成されていることを認めることが出来る。
ところで、本発明に従うフラックスレスろう付け手法によって、溝の両側部にそれぞれ位置する凸部である頂部の両側にフィレットを形成して、冷媒通路(通孔)を形成するに際して、ろう材料が多くなると、溶融ろうが溝を封止するリスクが高まることとなるところから、かかるろう材量を制限することが望ましい、と言うことが出来る。そこで、溶融ろうが溝を封止する基本的なモデルとして、図5の(a)及び(b)として示す、溝の断面形状が正三角形の場合と正方形の場合とを検討するに、そこで採用されるフラックスレスろう付け法では、溶融ろうの濡れ性を過度に高めるフラックスやMg蒸気がないところから、かかる図5では、溝が溶融ろうで封止される直前のフィレット形成状態は、交差斜線で示される如くなるのである。そして、その図5の交差斜線部の面積は、正三角形の断面積をA、正方形の断面積をBとしたときに、それぞれ、0.63A及び0.61Bとして示すことが出来るのであり、また、これより、溝の断面積のおおよそ60%のフィレットが形成されると、封止の臨界点に至ると推定されるのである。尤も、実際のろう付けにおいては、ろう材の全てが溶融・流動する訳ではなく、一部が溶融して流動し、フィレットを形成することとなるのである。このフィレットの形成に寄与する割合(=フィレットを形成したろう材の量/溶融前のろう材量)が流動係数と称され、この流動係数は、ろう材中のSi量、ろう材厚さ、ろう付け温度等によって異なるものの、実用的な条件下では、おおよそ0.3〜1.0の範囲にある。従って、基本的モデルから推定される臨界点と実用的な条件下における流動係数から、それぞれ厳しい方(正方形溝モデルにおいて流動係数が最大)を想定すると、溝を封止しないろう材量の臨界点は、溝体積の60%前後になると推定される。
このため、本発明においては、ブレージングシート10におけるAl合金ろう材8の層がAl−3.5〜13質量%Si合金から構成される場合において、通路形成用溝4上に位置するAl合金ろう材8の層が通路形成用溝4の体積の60%以下の体積を与える厚さにおいて形成されている構成が有利に採用され、これによって、有効な冷媒通路を与える通孔16が内部に形成されてなるろう付け製品14を、工業的に有利に得ることが出来るようにしたのであり、その辺の事情は、後述する実施例にても確認されているところである。
また、ろう材中のSi量の低減は、溝の封止リスクを下げる上において有効である。そのため、ろう材中のSi量を低減すれば、ろう材厚さの上限を上げることが出来るところから、Al−Si合金ろう材中のSi量を3.5〜6質量%とした場合には、その流動係数は0.5未満であるために、溝体積の100%のろう材量まで、換言すれば、溝体積と同体積のろう材量まで許容されることとなる。従って、本発明においては、前記したブレージングシート10におけるAl合金ろう材8が、Al−3.5〜6質量%Si合金から構成される場合において、通路形成用溝4上に位置するAl合金ろう材8層が、通路形成用溝4の体積の100%以下の体積を与える厚さにおいて形成されている構成が、有利に採用されることとなるのである。
なお、ここで、通路形成用溝4上に位置するAl合金ろう材8の層の体積が、通路形成用溝4の体積の60%以下又は100%以下とは、図6の(a)に示される三角形溝や(b)に示される矩形溝の場合の如く、通路形成用溝4の断面積:Xに対して、通路形成用溝4の左右に隣接するものとの境界線:b1、b2間の距離、換言すれば溝ピッチ幅に相当する長さにおいて、通路形成用溝4の延びる方向に位置するAl合金ろう材8層の厚さによって与えられる体積:Yとの関係において、Y≦0.6X、又はY≦Xとなる関係を意味している。
ところで、上記した溝付きAl板材2とブレージングシート10とをろう付け接合するに際しては、本発明に必要とされる条件を満足する限りにおいて、公知のフラックスレスろう付け手法並びにろう付け条件を採用することが可能である。
また、機械加工やロール加工等で溝を形成した板材、或は押出加工で溝形状を与えた押出板材からなる溝付きAl板材2にブレージングシート10を積層して、ろう付け接合する構成において、接合部は、加熱炉の雰囲気からある程度遮断された準内部空間となるために、外部に面した継手に比べて、冷媒通路を形成する接合継手は、加熱炉の雰囲気の影響を受け難くなる。従って、そのようなろう付け環境において、フラックスを使用しないで接合するために先ず必要となるのは、炉内雰囲気に窒素やHe、Ar等の不活性ガス雰囲気を使用することであるが、不活性ガス中の酸素濃度については50ppm以下とすることが望ましく、それは、工業的に容易に達成出来るレベルである。なお、かかる不活性ガス中の酸素濃度が50ppmよりも高くなると、ろう付け部の表面がろう付け炉内で酸化されるようになるため、ろう付け性が低下するという問題を惹起するようになる。
そして、かくの如くして得られた、本発明に従うところの溝付きAl板材2とブレージングシート10とのろう付け製品14には、図2に示される如く、通路形成用溝4の存在によって、それよりも小さな、換言すれば0.2mm2 よりも小さな断面積の通路(通孔16)が形成されることとなるのであり、しかも、そのような通孔16の大きさは、溝付きAl板材2の表面に通常の溝加工にて簡単に形成される通路形成用溝4の大きさに対応するものであるところから、目的とする大きさの冷媒通路を与える通孔16を有するろう付け製品14を、工業的に有利に且つ簡単に、しかも低コストにて、製造することが出来ることとなったのであり、以て、微細通路を備えた熱交換器用Al部材として有利に用いられ得るのである。
なお、図1〜図3に示される構造は、本発明に従う熱交換器用Al部材の基本的な構造であって、本発明は、そのような構造のみに、何等限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得ることが、理解されるべきである。
例えば、例示のブレージングシート10の如く、その片面にAl合金ろう材8の層を設けるのみならず、その両面にAl合金ろう材層を設けてなる両面ブレージングシートを用いたり、或は、かかる両面ブレージングシートと共に、溝付きAl板材2の両面に通路形成用の溝4を形成してなるものを用い、それらの複数を交互に組み合わせて積層し、ろう付け接合することにより、多段の微細冷媒通路(通孔16)を形成してなるろう付け製品(14)を得ることも可能であり、また、そのような多段の積層において、各段の溝方向(通孔16形成方向)が交互に直交するように積層することで、2種類の冷媒間で熱交換させる熱交換器を製造するための部材として、製造することが出来る。また、溝付きAl板材2の溝非形成側の面にろう材層を設けたり、或は、ブレージングシート10を両面ブレージングシートとすることにより、他の裸部材を同時に接合せしめて、熱交換器を効率的に製造することも可能である。
また、冷媒通路の接合を、上述せる如くフラックスを用いることなく、従ってブレージングシート10やAl板材2にフラックスを塗布することなく、ろう付け接合にて達成する一方で、他の部材を、Al板材2の溝形成側とは反対側の面やブレージングシート10のAl合金ろう材8層が設けられていないAl芯材6の面に接合するに際しては、フラックスを塗布して接合することも可能である。その場合において、フラックスは冷媒通路には接しないため、フラックスが冷媒通路を封止したり、フラックスが溝面の接合性を過度に高めて、溶融ろうが溝を封止するリスクが避けられることとなる。即ち、フラックスを塗布しないで接合を行なう本発明は、冷媒通路の形成のみを対象としたものであり、微細な冷媒通路(16)が確実に形成されるようにしたものである。このように、他の接合部位には、現在広く採用されているフラックスろう付け法、特に、ノコロックろう付け法が適用することが出来るところから、微細な冷媒通路を有する熱交換器用Al部材、ひいては熱交換器を、効率よく生産することが出来ることとなるのである。
さらに、溝付きAl板材2とブレージングシート10とのろう付け接合に際しては、例示の如く、溝4の両側部の頂部の両側に、通常、フィレット18がそれぞれ形成されて、溝付きAl板材2とブレージングシート10のAl芯材6との間の効果的な接合が実現されることとなるが、溝4の両側部の頂部が、図6(b)に示されるように、平坦面を有する場合にあっては、フィレット18が形成されないようにして、かかる平坦面のみにおいて、溝付きAl板材2とAl芯材6との間の接合、所謂面接合が行なわれるようにすることも可能である。
加えて、本発明は、溝断面積が0.2mm2 以下の通路形成用溝4を形成してなる溝付きAl板材2を用いて、通路断面積が0.2mm2 よりも小さな微細通路を有する熱交換器用Al板材を製造する際に、特に有利に採用されて、その特徴を効果的に発揮し得るものではあるが、溝断面積が0.2mm2 を超えるような溝付きAl板材を用いる場合においても、本発明の如くして、大きな通路断面積のろう付け製品を得ることは、可能である。
このように、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであって、そのような各種の実施の態様が、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本発明の特徴を更に具体的に明らかにすることとするが、また、そのような実施例は、本発明の一実施態様を示すに過ぎないものであって、本発明が、そのような実施例にて、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
先ず、冷媒通路の形成を評価するために、図1に示される如き溝付きAl板材(2)とブレージングシート(10)の各種のものを準備した。具体的には、溝付きAl板材(2)としては、板厚:1mmのJIS A3003合金板材の片面に、機械加工(切削加工)によって、図7の(a)に示される如き、溝幅:0.8mm、溝深さ:0.4mmの直角二等辺三角形断面形状の溝(溝断面積:0.16mm2 )を有する溝加工材Mと、図7の(b)に示される如き、溝幅:0.4mm、溝深さ:0.2mmの直角二等辺三角形断面形状の溝(溝断面積:0.04mm2 )を有する溝加工材Nを、それぞれ形成した。なお、このような微細な溝になると、機械加工でも、ロール加工でも、実質的に直角二等辺三角形に近い形状になるため、この実施例の形状は、現実的である。また、ブレージングシート(10)については、芯材(6)として、下記表1及び表2に示される、各種のAl−Mn系合金を用い、更に、ろう材(8)として、下記表1及び表2に示される如き厚さのろう材層及び芯材層からなる各種の片面ブレージングシート(No.1〜45)を、それぞれ準備した。
次いで、上記の如く準備した溝加工材M、Nと、ブレージングシートNo.1〜45とを、下記表3及び表4に示される如く組み合わせて積層する一方、一部の試験例においては、その積層した材料の片端(溝方向の片端)に厚さ:0.03mmのNi箔を挟み、人工的にクリアランスを設けた形態において、窒素ガスを流した加熱炉中において、到達温度:600℃に加熱して、ろう付け接合を実施した。なお、ろう付け雰囲気中の酸素濃度は、窒素ガスの流量を変化させることにより、下記表3及び表4に示される如き酸素濃度となるように調整した。また、比較のために、ノコロックフラックスを3g/m2 の割合で塗布して、窒素ガス雰囲気中でろう付けした試験例29と、Mg含有ろう材をクラッドしてなるブレージングシート(10)を用いて、真空中(炉内圧力:7.8×10-3Pa)でろう付けした試験例30についても、評価を行なった。
そして、かかる表3及び表4に示される溝加工材とブレージングシートとの組み合わせにおいて得られた各種のろう付け製品(14)について、それぞれ、超音波検査及び断面調査を行ない、溝(通孔)の封止状況とフィレットの形成状況について調べ、以下の基準に基づいて評価し、その結果を、下記表5及び表6に示した。
<溝の封止状況の評価基準>
◎:溝が全く封止されていない合格レベル
○:一部の溝の断面積が狭くなっているレベル
△:一部の溝に封止が生じたレベル
×:多くの溝に封止が生じた不合格レベル
<溝頂部のフィレット形成状況の評価基準>
◎:全ての溝に均一にフィレットを形成した合格レベル
○:一部でフィレット形状の乱れがあるレベル
△:一部でフィレット切れが発生したレベル
×:フィレット切れが多く発生した不合格レベル
かかる表5及び表6の結果から明らかな如く、試験例1〜28は、何れも、溝の封止状況と溝頂部のフィレット形成状況において合格レベルにあることが認められたが、試験例29は、フラックスの悪影響にて、また試験例30は、Mg蒸気の悪影響にて、それぞれ溶融ろうによる溝の封止が発生して不合格レベルとなり、更に試験例31〜40は、添加元素の不足にて、或は過剰な添加によって、フィレット形成状態が不合格レベルとなり、そして試験例41〜44は、クリアランスのある状況下で、ろう材或は芯材の成分調整が不適切であって、フィレット形成能が充分でないことを認めた。また、試験例45、47、48、49は、ろう材量が過剰で、溝の封止が惹起されることとなり、更に試験例46は、ろう材中のSi量が不足して、フィレットが殆ど形成されていないことを認めた。そして、試験例50は、ろう材中のSiが過剰であるために、溶融ろうの過度な流動による溝の封止が発生し、不合格レベルとなっている。
そして、以上の結果よりして、断面積が0.16mm2 である直角二等辺三角形の溝に対しては、ろう材厚さ:0.20mm(溝体積の100%)が、ろう材量の上限であることが確認され、またろう材厚さが0.20mmを超えるものでは、溶融ろうによる溝の封止が発生するようになるところから、溝の断面形状は異なるものの、かかる実施例の評価結果は、前記した図5に示される溝封止の限界モデルからの推定とおおよそ一致していることを認めた。