JP6231173B1 - 腐植とフルボ酸を用いた緑化工法 - Google Patents
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Abstract
Description
一方で,本発明においては,未分解の有機物を極強酸資材に所定の時間浸漬することで腐植とフルボ酸が製造されることを解明し,その腐植とフルボ酸をバーク堆肥,爆砕したチップ,バーミキュライト,ココピート,パーライト,下水コンポストの1つ及びこれらを組み合わせた植生基盤に化学肥料と種子を混合し,混合された植生基盤を非分解,分解性のマット,シートに封入,又は張り付けることで植物の光合成の活性等の諸機能をアップさせるのに加えて,植生基盤及びその植生基盤に含有している養分を降雨による侵食,流亡を抑えて植生の継続的な維持を可能としているものである。
次に,本発明の実施例を説明する。
図1において,1は地表面,2は斜面,3は腐植,フルボ酸,4は植生基盤材(バーク堆肥,爆砕したチップ,バーミキュライト,ココピート,パーライト,下水コンポスト),5は肥料,6は種子,7は上記の腐植,フルボ酸3,植生基盤材4,肥料5,種子6を混合した植生基盤材,8aは,植生基盤材を封入する分解性の綿,麻,ヤシ,紙,藁,ポリ乳酸,未分解のポリエチレン,又はポリプロピレンの袋,8bは,植生基盤材を張り付ける分解性の綿,麻,ヤシ,紙,藁,ポリ乳酸のシート,9は袋を維持する分解性の綿,麻,ヤシ,紙,藁,ポリ乳酸,又は非分解性のポリエチレンまたはポリプロピレンのマット,シートとする。
(1)自然由来の木酢液又は竹酢液とは,木,竹,草,残滓等の未分解の有機物を炭の製造過程で産出されるものである。
(2) 有機物に対する酢液の割合を次のとおりである。容量比で,木,又は草,又は野菜屑,又は落葉落枝の未分解の有機物に対して木酢液又は竹酢液が0.5以上の割合である。
(3) 酢液が有機物に染み込むのに5時間以上で腐植含有量が5%以上になるのに,最低でも600時間にわたって酢液に漬け込むものである。
本出願人の島根県松江試験場におけるハウス内で,1日1回の自動散水を行い,腐植を封入した植生マットと通常のマットで導入した植物の生育を確認した。導入した植物種は,トールフェスクである。
(1) 腐植を封入した植生マットでは,トールフェスクの発芽が4日であったのと比較すると通常マットでは7日後となった(発芽促進)。
(2) 3ヶ月経過した時点で,腐植を封入した植生マットではトールフェスクの草丈が50cmとなったのと比較すると,通常マットでは30cmであった(生育促進)。
(3) 3ヶ月経過した時点で,トールフェスクの光合成量を葉緑素計(SPAD−502Plus「コニカミノルタジャパン株式会社製」)により、SPAD値で測定した植生マットで生育した植物の葉では50SPAD値となった(光合成量の改善)。
国土防災技術株式会社松江試験場のハウス内で,1日1回の自動散水を行い,外来性のセイタカアワダチソウに対してフルボ酸を散布した培地と無散布の培地で生育を比較した結果,フルボ酸を散布した培地では発芽,生育が抑制されることが確認できた。
静岡県駿東郡小山町須走の山地において,A=1,000m2の面積にフルボ酸を混合した種子吹付工を実施し,シカの活動期においても植物の被覆率が80%以上を維持できた。
静岡県駿東郡小山町須走の山地において,シカの食害を受けて植物の被覆率が30%まで低下した箇所に対してフルボ酸を散布した結果,植物の被覆率が70%まで回復した。
層状ケイ酸塩鉱物を構成するカリウムを置換する形で構造中に取り込まれた形態であることから,強固にセシウムが結合して汚染された土壌サンプルを用いてフルボ酸によるセシウム抽出・分離できるかを放射能濃度測定システム(EMF211[100−2L−CB「EMFジャパン株式会社製」])型ガンマ線スペクトロメーターによって確認した。
汚染土壌に蒸留水を浸潤して抽出した溶液の放射能濃度測定からは,セシウムが検出されなかった。一方で,2倍に希釈したフルボ酸を浸潤して抽出した溶液の放射能濃度測定からは,図1の赤の囲みのようにセシウム検出の顕著なピークが確認できている。フルボ酸からセシウムが検出されないことから,汚染土壌にフルボ酸を浸潤することで,セシウムを抽出・分離できたと考えることができる。
2… 斜面
3… 腐植とフルボ酸
4… 植生基盤材(バーク堆肥,爆砕したチップ,バーミキュライト,ココピート,パーライト,下水コンポスト)
5… 肥料
6… 種子
7… 腐植・フルボ酸3,植生基盤材4,肥料5,種子6を混合した植生基盤材
8a… 植生基盤材を封入する分解性の綿,麻,ヤシ,紙,藁,ポリ乳酸,未分解のポリエチレン,又はポリプロピレンの袋
8b… 植生基盤材を張り付ける分解性の綿,麻,ヤシ,紙,藁,ポリ乳酸のシート
9… 袋又はシートを維持する分解性の綿,麻,ヤシ,紙,藁,ポリ乳酸,又は非分解性のポリエチレンまたはポリプロピレンのマット,シート
Claims (10)
- 木,又は草,又は野菜屑,又は落葉落枝の未分解の有機物を炭の製造過程で産出される極強酸性の有機酸である木酢液又は竹酢液に適量漬け込み,長期間養生することで製造される固体の腐植と液体であるフルボ酸を,分解,非分解性の植生マット,シートの中に封入又は張り付けることによって,緑化する為に導入した植物の発芽,生育を促進することを可能とした腐植とフルボ酸を用いた緑化工法。
- 腐植とフルボ酸を,分解,非分解性の植生マット,シートの中に封入又は張り付けることによって,導入した植物の光合成の活性化を行うことを可能とした請求項1記載の腐植とフルボ酸を用いた緑化工法。
- 腐植とフルボ酸を,分解,非分解性の植生マット,シートの中に封入又は張り付けることによって,植生マット,シートを張る前に存在していた植物の種子及び周辺から飛散してきた地域に生育している植物が生育し易い植生基盤とすることを可能とした請求項1記載の腐植とフルボ酸を用いた緑化工法。
- 腐植とフルボ酸を,分解,非分解性の植生マット,シートの中に封入又は張り付けることによって,セイタカアワダチソウ等の外来性の植物の生育を抑制することを可能とした請求項1記載の腐植とフルボ酸を用いた緑化工法。
- 腐植とフルボ酸を,分解,非分解性の植生マット,シートの中に封入又は張り付けることによって,腐植とフルボ酸の燻製の臭いを嫌うシカ等の忌避効果を期待することを可能とした請求項1記載の腐植とフルボ酸を用いた緑化工法。
- 腐植とフルボ酸を,分解,非分解性の植生マット,シートの中に封入又は張り付けることによって,シカ等の食害による被害後の植物の回復を早めることを可能とした請求項1記載の腐植とフルボ酸を用いた緑化工法。
- 腐植とフルボ酸を,分解,非分解性の植生マット,シートの中に封入又は張り付けることによって,導入した植物へ肥料分を長期的に供給することを可能とした請求項1記載の腐植とフルボ酸を用いた緑化工法。
- 腐植とフルボ酸を,分解,非分解性の植生マット,シートの中に封入又は張り付けることによって,土壌粘土に張り付いている放射性セシウムをフルボ酸のキレート効果でイオン化させて,土壌の下層へと移行させることを可能とした請求項1記載の腐植とフルボ酸を用いた緑化工法。
- 腐植とフルボ酸を,分解,非分解性の植生マット,シートの中に封入又は張り付ける量については,固体の腐植については封入容量の5〜20%とし,液体であるフルボ酸においては100倍以上に希釈して用い,その他の植生基盤資材としては,バーク堆肥,爆砕したチップ,バーミキュライト,ココピート,パーライト,下水コンポスト,化成肥料,種子とする請求項1記載の腐植とフルボ酸を用いた緑化工法。
- 腐植とフルボ酸を,封入する分解,非分解性の植生マット,シートは網の目で袋状の形態をとり,分解性の素材としては綿,麻,ヤシ,紙,藁,ポリ乳酸,非分解性の素材としては,ポリエチレン,ポリプロピレンを用いる請求項1記載の腐植とフルボ酸を用いた緑化工法。
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