以下に、本発明の各実施の形態について説明する。
なお、各実施の形態の図において、同一ないしは同様なものについては同一ないしは同様の番号を付け、各実施の形態の説明においてその説明を一部省略する場合がある。
また、各実施の形態で示した図は、発明をわかりやすく説明するため、詳細な構造・形状等を省略した図となっている。例えば発泡材料を用いて成型した場合に表面に微細な凹凸が形成されるが、そのような凹凸は省略されている。
また、図に示した構造の各部の寸法は、実際のものと異なっていてもよく、図の寸法および寸法比に限定されない。
また、実際の電波吸収体においては、図に示した構造のほかに、取り付け用具、保護材等を形成してもよいが、本発明の課題、目的及び効果とは直接的には関連しないため、以下の説明においてはその説明を省略する。
実施の形態1.
以下に、本発明の各実施の形態1について説明する。
図1は、この発明の実施の形態1の電波吸収体を示す構成図(斜視図)である。
図1において、1は基台部、2は第1の電波吸収部、3は第2の電波吸収部を示す。
なお、内部の構造をわかりやすくするため、第2の電波吸収部3を半透明に表示している。
また、図1は発明をわかりやすく説明するための原理的な構成例を示す図となっており、本実施の形態に含まれる第1の電波吸収部2及び第2の電波吸収部3の他の各種具体的形状の例については、下記の図2及び図3において説明する。
基台部1は、誘電性吸収材料により平板状に成形されている。
複数の第1の電波吸収部2は、誘電性吸収材料により四角錐形状(ピラミッド形状)に形成されている。
基台部1、第1の電波吸収部2は、例えば同一の誘電率の誘電損失材料で構成される。
基台部1の上面には、互いに同一の高さの複数の第1の電波吸収部2が、底部が互いに隣接した状態で配置されるとともに、基台部1と一体となるように固着されている。固着の方法としては各種方法が使用可能であるが、例えば接着により固定される。あるいは、基台部1と第1の電波吸収部2を一体成形するなど、他の方法で形成されていてもよい。
複数の第1の電波吸収部2の各々は、高さ方向、即ち底部から頂部へ向かう方向、が第1の電波吸収部2を配置した平面に対し垂直方向となるようにして、基台部1上に取り付けられている。
ここで、図1のような底部から頂部へ向かって先細りとなる形状の場合には、高さ方向とは、例えば、基台部1の上面と平行な面における第1の電波吸収部の底部断面の重心の位置から、第1の電波吸収部の頂部に向かう方向として定義される。
図1の場合は、四角錐形状であるので、四角錐の底面の重心から四角錐の頂点に向かう方向となる。高さ方向が垂直の場合、第1の電波吸収部が配置された平面に投影した頂部の位置と、前記平面と平行な底部断面の重心の位置とが重なることになる。
なお、高さ方向は垂直方向であることが望ましいが、本発明の効果が得られればよく、厳密に垂直方向である必要はない。
第2の電波吸収部3は、誘電性吸収材料により平板状に形成されて、基台部1の上面(または下面)に平行に配置されている。また、第2の電波吸収部3は、第1の電波吸収部2の頂部上に配置され、第1の電波吸収部2の頂部により支持されている。
また、第2の電波吸収部の大きさは、基台部1と同じ形状となっている。
図2は、この発明の実施の形態1による電波吸収体を示す構成図(側面図)である。
図2において、1は基台部、2、4、5は第1の電波吸収部、3は第2の電波吸収部、10は空隙部を示す。
図2では、第1の電波吸収部の頂部が、第2の電波吸収部3に設けられた貫通孔に挿入されている状態であることが示されている。
また、第1の電波吸収部と前記第2の電波吸収部とにより規定される空隙部10が、第1の電波吸収部が配置された平面と前記第2の電波吸収部の下面との間に位置する。
図2(a)は、第1の電波吸収部は頂部が尖った形状であり、各々の第1の電波吸収部は全体としても四角錐形状となっている。また、第2の電波吸収部3の貫通孔の断面形状が四角形であり、さらに、第1の電波吸収部2の頂部先端の高さと第2の電波吸収部3の上面の高さとが同じになっている場合を示す。
なお、両者の高さが同じであることが望ましいが、本発明の効果が得られれば厳密に同じ高さである必要はない。
図2(b)は、第1の電波吸収部2は頂部先端が、第1の電波吸収部を配置した平面と平行な面を有し、各々の第1の電波吸収部は全体として四角錐台形状であり、その他の点は図2(a)と同様である場合を示す。
図2(c)は、第1の電波吸収部2は頂部先端が、第1の電波吸収部を配置した平面と平行な面を有し、第1の電波吸収部2の頂部断面形状と第2の電波吸収部3は貫通孔の断面形状が四角形であり、第1の電波吸収部2の頂部の高さと第2の電波吸収部3の上面の高さとが同じになっている場合を示す。
図2(d)は、第1の電波吸収部は頂部が尖っており、第1の電波吸収部全体としても四角錐形状であり、第2の電波吸収部3は貫通孔の断面形状が四角形であり、第1の電波吸収部2の頂部先端の高さが第2の電波吸収部3の上面の高さより高い位置になるよう配置されている場合を示す。
なお、以下では、第1の電波吸収部2について、図1の形状以外に、例えば図2に示したような、全体的に図1に類似する形状の場合を含めた概念として「錐体」を、図2(b)以外に図2(c)のような形状の場合および全体としてそれらに類似する形状を含めた概念として「錐台」の語を用いる場合があるが、特に区別する必要がない場合及び全体的な形状を表現する場合は両者をまとめて「錐体」の語を用いるものとする。
図3は、この発明の実施の形態1による電波吸収体を示す構成図(上面図)である。
図3(a)は、頂部先端が尖った形状の第1の電波吸収部2の場合(図2(a)と対応。)、図3(b)は、頂部先端が正方形の第1の電波吸収部4の場合(図2(b)と対応。)、図3(c)は、頂部先端が立方体形状の第1の電波吸収部5の場合(図2(c)と対応。)、図3(d)は、頂部先端が尖った形状の第1の電波吸収部2で、第1の電波吸収部2の電波吸収部3を貫通する場合(図2(d)と対応。)を示す。
図2(a)乃至(c)及び図3(a)乃至(c)の場合、第1の電波吸収部2、4、5の上部には、板状の第2の電波吸収部3が、複数の第1の電波吸収部2、4、5の頂部先端の高さが第2の電波吸収部の上面の高さと同じになるように、第2の電波吸収部に複数の貫通孔が設けられ、第1の電波吸収部2、4、5の頂部が挿入された状態において第2の電波吸収部3と接することで、第2の電波吸収部3が第1の電波吸収部2によって支持される。
図2(d)及び図3(d)の場合、板状の第2の電波吸収部3は、第1の電波吸収部2の頂部と対向する位置に、頂部が貫通するための複数の角穴が設けられている。第1の電波吸収部2の頂部が挿入状態となることで、第2の電波吸収部3が第1の電波吸収部2によって支持される。
図1乃至3のように構成した電波吸収体では、第2の電波吸収部の上方から入射した斜入射電波は、まず第2の電波吸収部により一部が吸収される。
そして、第2の電波吸収部体で吸収されずに通過した電波は、第1の電波吸収部により一部が吸収され、一部が反射される。
さらに第1の電波吸収体で反射された電波は、第1の電波吸収部2と第2の電波吸収部3とにより多重反射及び多重吸収されることになる。
次に、本実施の形態の電波吸収体の吸収特性の測定について説明する。
電波暗室内に構築される測定場(以下、サイトと記載。)自体の特性評価で、1GHz超の放射妨害波測定に使用する場合については、CISPR16−1−4規格に規定されるサイトVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)法に基づいて評価される。
図4は、サイトVSWR評価系を示す図である。
図5は、サイトVSWR評価系の送信アンテナ位置を示す図である。
図4は評価系を側面から見た図、図5は上方から見た図となっている。
図4及び図5において、ATTは減衰器、h1及びh2はアンテナの高さ、有効試験空間は測定系で放射妨害波測定をする被測定対象物(EUT)の外周を包含する試験空間を示す。また、各丸印が送信アンテナの位置を示す。
また、電波吸収体が送信アンテナと受信アンテナとの間の床面に設置されている。
サイト、したがってサイトに用いる電波吸収体、の規格適合性の評価は下記SVSWRによって行われる。
SVSWRは、送信アンテナからの直接波と(電波暗室の床、壁、天井面からの)反射波との干渉によって生じる、受信アンテナでの最大受信信号と最小受信信号との比であり、下記式で定義される(真数表記及び対数表記)。
ここでEmaxは最大受信電界強度、Eminは最小受信電界強度、Vmaxは最大受信電圧、Vminは最小受信電圧である。
測定したSVSWRが2以下、即ち6dB以下、ならば、1GHz超の放射妨害波測定に適合する測定場であると規定されている。
試験時の送信アンテナの配置として、有効試験空間の高さ1mにおける水平面に対して、送信アンテナを中心(C)、前方(F)、右(R)及び左(L)の位置(基準点)から0cm、2cm、10cm、18cm、30cm、40cmの6点の位置に移動し、6点の中の最大受信電圧と最小受信電圧を記録し、サイトVSWRの適否を判定する。
送信アンテナから到来する直接波と電波暗室の床面等で反射する反射波が干渉すると、受信アンテナでの最大受信電圧と最小受信電圧の差が大きくなり、サイトVSWRが大きくなって不適合となるため、特に反射が多く生じる電波暗室の床面には電波吸収体を敷設して、サイトVSWRを規定値内に収めることが必要となる。
図6は、この発明の実施の形態1の電波吸収体を用いた場合のSVSWRの評価結果を示す図である。
図6は、図2(a)の形状の電波吸収体を評価系の床面に敷設し、有効試験空間の直径=10m、測定距離=5m、送信アンテナ位置をR(右)とした場合の、サイトVSWRの測定結果となっている。
測定した周波数範囲は1GHz〜6GHzとしている。また、測定に使用した電波吸収体の各部の寸法は以下の通りである。
基台部1は、底面が600mm×600mm、高さが50mmの平板形状である。また、第1の電波吸収部2は、基台部1の上面に接する部分が100mm×100mm、高さが250mmの四角錐形状で、隣接して配置されている。第2の電波吸収部3は、600mm×600mm、厚さが19mmである。
図6より、本実施の形態1による電波吸収体を用いた場合は、SVSWRが6dB以下であり、規制値に適合するので、1GHz以上の高周波領域の測定を行う電波暗室に使用できることがわかる。
また、第1の電波吸収部2の高さと第2の電波吸収部3の上面の高さとが同一のため、電波吸収体全体の全高は300mmとなり、CISPR16−1−4の要求を満足している。
図7は、従来技術の電波吸収体の評価結果を示す図である。
図14に示した従来の電波吸収体を、上記同様に、電波暗室の床面に敷設し、有効試験空間の直径=10m、測定距離=5m、送信アンテナ位置をR(右)とした場合のサイトVSWRの測定結果となっている。
図7より、従来の電波吸収体を用いた場合は、SVSWRが規制値(6dB以内)に適合しないことがわかる。
以上のように、本実施の形態の電波吸収体によれば、垂直入射のみならず斜入射特性に優れ、かつ、全高の低い電波吸収体を提供することができる。また、サイトに用いた場合に規格の要求を満足する吸収特性が得られる。
また、第2の電波吸収部3は、複数の第1の電波吸収体部の頂部上又は間において、第1の電波吸収体部を配置した平面と平行に配置しているので、全高を抑えた電波吸収体が得られる。
また、平板状の基台部1を有し、平板状の第2の電波吸収部3を、第1の電波吸収部2を配置した平面と平行に配設しているので、電波暗室において測定時には電波吸収体を複数密接して設置するが測定後は除去するような場合において、設置時に個々の電波吸収体を区別する必要がないので、設置作業が容易である。また、複数の電波吸収体の高さが同一であるので、設置時の調整が容易であり、さらに吸収特性(反射減衰量)の再現性のよい電波暗室及びサイトが得られる。
また、第2の電波吸収部3の形状及び大きさを基台部1と同じにしているので、複数の電波吸収体を電波暗室内において敷設するような場合に、敷設した際に隙間なく設置配置でき、全体として単体の電波吸収体を同様な構造を構成でき、吸収特性(反射減衰量)の再現性をさらに向上できる。
また、(1)第1の電波吸収部2が、互いに略等しい高さを有する四角錐形状であるため、入射する電波の偏波による特性変化が小さい、(2)第1の電波吸収部2の高さ方向が基台部1の上面に対し垂直な方向であるため、インピーダンス変化が斜面上で連続となるのみならず、斜入射に対する大きな吸収特性が得られしかも偏波による特性変化がより一層小さくなる、という特許文献1に記載の効果と同様な効果が得られる。
また、図2に示す実施の形態においては、電波吸収体の設計において第2の電波吸収部の厚みを考慮しなくてよいので、第1の電波吸収部の高さ(長さ)をその分高く(長く)することで、吸収する電波の周波数を低くすることができる。さらに、第1の電波吸収部として図14に示した従来の電波吸収体を流用することで電波吸収体の作成費用を抑制することができる。
また、図2に示す実施の形態においては、第2の電波吸収部が第1の電波吸収部の側面で接しているので、第1の電波吸収部の頂部が、第2の電波吸収部の重さが集中することにより変形して、吸収特性の再現性が劣化するのを抑制することができる。
また、図2に示す実施の形態においては、第2の電波吸収部を第1の電波吸収部に挿入された状態で支持(保持)するようにしているので、図4のようにして電波暗室の床面に設置する場合だけでなく、側面などにも設置することができるので、より吸収特性のよい電波暗室及び測定系を得ることができる。
また、第2の電波吸収部が全体として平板形状なので、図2に示す実施の形態において市販の平板形状の電波吸収体を流用して貫通孔を加工して形成する場合に、容易に第2の電波吸収部を加工することができる。
また、図2(a)及び(d)の場合、第1の電波吸収部2及び基台部1として図14に示した従来の電波吸収体を流用することができ、電波吸収体の製作費用の増加を抑制できる。
また、第1の電波吸収部と第2の電波吸収部との間に、第1の電波吸収部と第2の電波吸収部とにより規定される空隙部を形成しているので、電波吸収体の重量増加を抑制できる。
なお、本実施の形態1の図2に示す電波吸収体において第2の電波吸収部3に貫通孔を設けているが、貫通孔の代わりに、第1の電波吸収部1の頂部が配置されるための凹部(凹凸)を下面側に設け、第1の電波吸収部2の頂部で第2の電波吸収部を支持するようにしてもよい。
この場合、第2の電波吸収部3の、第1の電波吸収部1の頂部の上方に位置しない領域では第2の電波吸収部3の下面の高さが第1の電波吸収部1の頂部の高さより低い位置にあるが、「第1の電波吸収体部の頂部上に第2の電波吸収部3が配置される」という場合には、このような配置・形状の場合も含めるものとする。
図15は、この発明の実施の形態1の電波吸収体の変形例を示す構成図(側面図)である。
図16は、この発明の実施の形態1の電波吸収体の変形例を示す構成図(上面図)である。また図16は、上記図15(a)及び(b)の両方に対応する。
図において、第2の電波吸収部3の、第1の電波吸収部2の頂部に対向する位置において、凹部が形成されている。
なお、図16においては、第1の電波吸収部2の先端が第2の電波吸収部3を貫通しないことから、第2の電波吸収部3の下面の凹部の配置関係を分かりやすくするため、凹部の輪郭を点線で示している。
図15(a)は、第1の電波吸収部は頂部2が尖っており、各々の第1の電波吸収部2は全体としても四角錐形状であり、第2の電波吸収部3は下面に凹部が設けられ断面が円形であり、第1の電波吸収部2の頂部が凹部に挿入された状態、すなわち第1の電波吸収部2の頂部先端が第2の電波吸収部3の凹部内に位置する状態、で配置される場合を示す。
図15(b)は、第1の電波吸収部2の頂部先端が、第1の電波吸収部2を配置した平面と平行な面を有し、各々の第1の電波吸収部2は全体として四角錐台形状であり、その他は図15(a)と同様である場合を示す。
図15及び図16に示す電波吸収体の場合、板状の第2の電波吸収部3は、第1の電波吸収部2の頂部と対向する位置に、頂部が配置されるための複数の凹部が設けられている。第1の電波吸収部2の頂部が第2の電波吸収部の凹部に挿入された状態で配置されることで、第2の電波吸収部3が第1の電波吸収部2によって支持される。
また、本実施の形態1の図2に示す電波吸収体において、第1の電波吸収部2、4、5を錐体形状ないしは錐台形状とし、その頂部先端を錐体形状又は長方体形状とし、さらに、第2の電波吸収部3に設けた貫通孔を角穴としているが、第1の電波吸収部で第2の電波吸収部を配置或いは支持(保持)可能な構造であれば、電波吸収部全体の形状や頂部の詳細な形状は、本実施の形態の図の構成に限定されない。同様に、第2の電波吸収部に設ける貫通孔の形状及び凹みの形状も限定されない。
実施の形態2.
以下に、本発明の実施の形態2について説明する。
図8は、この発明の実施の形態2による電波吸収体を示す構成図(斜視図)である。
図8において、1は基台部、2は第1の電波吸収部、6は第2の電波吸収部を示す。
なお、図1と同様に、図8は原理的な構成例を示す図となっており、本実施の形態に含まれる第1の電波吸収部及び第2の電波吸収部の他の具体的な形状の例については、下記の図9及び図10において説明する。
図8において実施の形態1の図1と異なる点は、図1においては第1の電波吸収部2の頂部上に板状の第2の電波吸収部を配置しているが、図8では、複数の短冊状の形状の第2の電波吸収部を、第1の電波吸収部2により構成される複数の縦列或いは横列の間に、第2の電波吸収部6が各々配置されている点である。
なお、複数の第2の電波吸収部は同じ高さに配置されている。
図9は、この発明の実施の形態2の電波吸収体を示す構成図(側面図)である。
図9において、1は基台部、2、4は第1の電波吸収部、6、7は第2の電波吸収部、10は空隙部を示す。
図9(a)は、第1の電波吸収部2は頂部が尖っており、各々の第1の電波吸収部は全体としても四角錐形状であり、また、第2の電波吸収部6は断面形状が四角形であり、さらに、第1の電波吸収部2の頂部先端の高さと第2の電波吸収部3の上面の高さとが同じになっている場合を示す。
図9(b)は、第1の電波吸収部4は頂部が平面であり、各々の第1の電波吸収部は全体として四角錐台形状であり、その他は図9(a)と同様である場合を示す。
図9(c)は、第2の電波吸収部7の断面形状が台形であり、その他は図9(a)と同様である場合を示す。
図9(d)は、第1の電波吸収部4は頂部が平面であり、その他は図9(c)と同様である場合を示す。
図9(e)は、第1の電波吸収部2の頂部の高さが第2の電波吸収部6の上面の高さより高い位置になるよう配置されており、その他は図9(a)と同様である場合を示す。
図9(f)は、第1の電波吸収部2の頂部の高さが第2の電波吸収部7の上面の高さより高い位置になるよう配置されており、その他は図9(c)と同様である場合を示す。
図10は、この発明の実施の形態2による電波吸収体を示す構成図(上面図)である。
なお、説明をわかりやすくするため、図10では、第1の電波吸収部2及び4の頂部と第2の電波吸収部6及び7の上面のみを示している。
図10(a)は、頂部先端が尖った形状の第1の電波吸収部2の場合(図9(a)と対応)、図10(b)は、頂部先端が正方形の第1の電波吸収部4の場合(図9(d)と対応)、図10(c)は、頂部先端が尖った形状の第1の電波吸収部2で、第2の電波吸収部6の配置される高さが、第1の電波吸収部2の頂部先端の高さより低い場合(図9(e)、(f)と対応)を示す。
図11は、この発明の実施の形態2の電波吸収体の評価結果を示す図である。
図9(a)の形状の電波吸収体を評価系の床面に敷設し、図6及び7と同様に、有効試験空間の直径=10m、測定距離=5m、送信アンテナ位置をR(右)とした場合の、サイトVSWRの測定結果となっている。
また、測定に使用した電波吸収体の各部の寸法は以下の通りである。
基台部1は、底面が600mm×600mm、高さが50mmの平板形状である。また、第1の電波吸収部2は、基台部1の上面に接合する部分が100mm×100mm、高さが250mmの四角錐形状である。第2の電波吸収部6は、600mm×130mm、厚さが19mmである。
図11より、本実施の形態2による電波吸収体を用いた場合においても、サイトVSWRが規制値(6dB以内)に適合することがわかる。
また、第1の電波吸収部2の床面からの高さと第2の電波吸収部6の床面からの高さとが同一のため、電波吸収体全体としての高さ(全高)は300mmとなり、CISPR16−1−4の要求を満足している。
以上のように、本実施の形態2の電波吸収体では、本実施の形態1の電波吸収体と同様に、垂直入射のみならず斜入射特性に優れ、かつ、全高の低い電波吸収体を提供することができる。また、サイトに用いた場合に規格の要求を満足する吸収特性(反射減衰量)を得ることができる。
また、第2の電波吸収部を、平板状の形状とし、第1の電波2吸収部を配置した平面と平行に配設しているので、本実施の形態1の電波吸収体と同様に、電波暗室において測定時には電波吸収体を複数密接して設置するが測定後は除去するような場合において、設置時に個々の電波吸収体を区別する必要がないので、設置が容易であり、また複数の電波吸収体の高さが均一となるので設置時の調整が容易であり、さらに吸収特性(反射減衰量)の再現性のよい電波暗室及びサイトが得られる。
また、電波吸収体を複数密接して配置する場合に、隣接する2つの電波吸収体の間において、単体の電波吸収体の空隙部10と同様な隙間ができ、そこに第2の電波吸収部6または7のみを別途配置することで、電波吸収体単体と全体とが同様な構造となり、吸収特性(反射減衰量)の再現性のよい電波暗室及びサイトが得られる。
また、実施の形態1と同様に、特許文献1に記載の効果と同様な効果が得られる。
また、第2の電波吸収部を第1の電波吸収部の側面部で接しているので、実施の形態1と同様に、図1のように第1の電波吸収部の頂部が第2の電波吸収部の重さが集中することにより変形して吸収特性の再現性が劣化するのを抑制することができる。
また、本実施の形態1と同様に、電波吸収体の設計において第2の電波吸収部の厚みを考慮しなくてよいので、第1の電波吸収部の高さ(長さ)をその分高く(長く)することで、吸収する電波の周波数を低くすることができる。さらに、第1の電波吸収部として図14に示した従来の電波吸収体を流用することで電波吸収体の作成費用を抑制することができる。
また、本実施の形態1と同様に、第2の電波吸収部が全体として短冊形なので、市販の平板形状の電波吸収体を流用して加工・形成する場合に、容易に第2の電波吸収部を成形することができる。
なお、第2の電波吸収部の形状として図8乃至10のように、各々が短冊状のものを簾上に配置しているが、第1の電波吸収部の間に平行に配置されていればよく、短冊状の形状に限定されない。
例えば、第2の電波吸収部の上方から見た場合の配置範囲が、互いに隣接する1組の前記第1の電波吸収部に囲まれる範囲を、少なくとも含むようにすればよい。
図12は、このような変形例における電波吸収体を示す構成図(上面図)である。
図12では、各々の第2の電波吸収部8が、それを取り囲む1組(図中では4つ。)の第1の電波吸収部2により囲まれる最小の隙間に対応する形状となっている。
図13は、別の変形例における電波吸収体を示す構成図(上面図)である。
図13では、全体としてらせん状の形状となっている。
なお、実施の形態2における電波吸収部の先端に配置する第2の電波吸収部の形状及び配置は、できるだけ第2の電波吸収部の上方から見た場合に隙間が少なくなるのが望ましい。
図17は、さらに別の変形例における電波吸収体を示す構成図(上面図)である。
図17では、図12に示した隣接する第2の電波吸収部8同士の間の隙間を減らすように、第2の電波吸収部8aは十文字の形状となっている。また、図17の場合は、第2の電波吸収部8aの上方から見た場合に、隣接する第2の電波吸収部8a同士の隙間がない場合となっている。
実施の形態3.
以下に、本発明の実施の形態3について説明する。
図18は、この発明の実施の形態3による電波吸収体を示す構成図(側面図、上面図)である。
図18において、(a)、(c)、(e)が側面図、(b)、(d)、(f)が(a)、(c)、(e)に各々対応する上面図であり、1は基台部、2は第1の電波吸収部、3は第2の電波吸収部、10は空隙部、11は溝部を示す。
図18において、上記実施の形態1の図2及び図3と異なる点は、図2においては第1の電波吸収部2の頂部が、第2の電波吸収部3に設けられた貫通孔に挿入された状態で配置されているが、図18では、第1の電波吸収部2の頂部が、第2の電波吸収部3に設けられた溝部11に挿入された状態で配置されている点である。
なお、図18においては、第1の電波吸収部2の先端が第2の電波吸収部3を貫通しないことから、第2の電波吸収部3の下面の凹部の配置関係を分かりやすくするため、上記図16と同様に、第2の電波吸収部3を半透明に表示し溝部11の輪郭を点線で示している。
図の見方は、上記各実施の形態と同様であるので、以下では詳細な説明を省略する。
図18(a)及び図18(b)は、第1の電波吸収部2は頂部が尖っており、第2の電波吸収部3の下面の溝部11の断面形状が三角形である場合を示す。
図18(c)及び図18(d)は、第1の電波吸収部2は頂部が尖っており、第2の電波吸収部6の下面の溝部11の断面形状が四角形である場合を示す。
図18(e)及び図18(f)は、第1の電波吸収部2は頂部が尖っており、第2の電波吸収部6の下面の溝部11の断面形状が半円形である場合を示す。
図19は、この発明の実施の形態3の電波吸収体の変形例を示す構成図(側面図、上面図)である。
図の見方は、上記図18と同様であるので、以下では詳細な説明を省略する。
図19は、第1の電波吸収部2は頂部が尖っており、第2の電波吸収部3の溝部11の断面形状が波状(凹凸)の場合の例となっている。
なお、このように第2の電波吸収部3の平面的な大きさに占める溝部11の割合が大きい場合についても、遠方から見て全体的に「平板状」または「板状」の形状を有する場合には、このような形状も「平板状」または「板状」の概念に含めるものとする。
図20は、この発明の実施の形態3の電波吸収体の別の変形例を示す構成図(側面図、上面図)である。
図20(a)乃至図20(f)と、図18(a)乃至図18(f)とが対応する。また、図の見方は図18と同様であるので、以下では詳細な説明を省略する。
図20において、上記図18と異なる点は、第2の電波吸収部の下面の溝部11の平面的な配置が、井桁状に配置されている点である。
なお、図20(b)、(d)、(f)において、2つの異なった方向に配置されている溝部11同士が交差するところは、一方の溝部11の形状のみが現れている。これは、交差する溝部の深さが異なっている場合に対応する。
但し、交差する2方向の溝部11の幅、深さ及び交差部分の形状は図の形状に限定されず、例えば交差する2方向で同じ幅、同じ深さの形状にしてもよい。
図21は、この発明の実施の形態3の電波吸収体のさらに別の変形例を示す構成図(上面図)である。
図21において、上記図20と異なる点は、第2の電波吸収部の下面の溝部11の平面的な配置が、田の字型になるように配置されている点である。
側面図は、上記図20(a)、(c)、(e)と同様である。
また、図の見方は、上記図20(b)、(d)、(f)と同様であるので、以下では詳細な説明を省略する。
図21(a)、図21(b)、図21(c)は、図20(b)、図20(d)、図20(f)に示した上面図の溝部11を、田の字状の配置にした場合となっている。
また、図21(d)、図21(e)、図21(f)は、図21(a)、図21(b)、図21(c)の溝部11の交差するところに、さらに凹部12を有する場合となっている。
図18乃至図21において、第2の電波吸収部3の下面において、第1の電波吸収部2の頂部と対向する位置に溝部11または凹部12を有し、溝部11または凹部12に第1の電波吸収部2の頂部が挿入された状態で配置されることにより、第2の電波吸収部3の位置が決まる。
以上のように、本実施の形態の電波吸収体では、全体として本実施の形態1の図15に示した電波吸収体と同様に構成されているので、本実施の形態1の電波吸収体と同様に、垂直入射のみならず斜入射特性に優れ、かつ、全高の低い電波吸収体を提供することができる。また、サイトに用いた場合に規格の要求を満足する吸収特性(反射減衰量)を得ることができる。
また、第2の電波吸収部を、平板状の形状とし、第1の電波吸収部を配置した平面と平行に配設しているので、本実施の形態1の電波吸収体と同様に、電波暗室において測定時には電波吸収体を複数密接して設置するが測定後は除去するような場合において、設置時に個々の電波吸収体を区別する必要がないので、設置が容易であり、また複数の電波吸収体の高さが均一となるので設置時の調整が容易であり、さらに吸収特性(反射減衰量)の再現性のよい電波暗室及びサイトが得られる。
また、上記実施の形態1の電波吸収体と同様に、第2の電波吸収部3の形状及び大きさを基台部1と同じにしているので、複数の電波吸収体を電波暗室内において敷設するような場合に、敷設した際に隙間なく設置配置でき、全体として単体の電波吸収体を同様な構造を構成でき、吸収特性(反射減衰量)の再現性をさらに向上できる。
また、上記実施の形態1の電波吸収体と同様に、特許文献1に記載の効果と同様な効果が得られる。
また、第2の電波吸収部が全体として平板状なので、市販の板状の電波吸収体を流用して溝部および凹部を加工して形成する場合に、容易に第2の電波吸収部を形成することができる。
また、第1の電波吸収部と第2の電波吸収部との間に、第1の電波吸収部と第2の電波吸収部とにより規定される空隙部を形成しているので、電波吸収体の重量増加を抑制できる。
また、第2の電波吸収部の下面に溝部11または凹部12を有するので、第2の電波吸収部の設置の際に、第1及び第2の電波吸収部の相対的な位置決めをしやすくなる。
また、第2の電波吸収部の下面に溝部11を有するので、複数の第1の電波吸収部の製造ばらつきなどによって頂部の平面的な位置が設計値から多少ばらついた場合に、そのずれを溝の方向において吸収し、第1の電波吸収部の頂部を挿入した状態にすることができる。
なお、第2の電波吸収部の溝部15に第1の電波吸収部の頂部が挿入された状態で配置され、第2の電波吸収部が第1の電波吸収部の頂部で保持されていれば、溝部15の形状、幅、深さ或いは配置は図の構成に限定されない。例えば、第1の電波吸収部2の頂部先端が、図2(b)又は(d)のように、平面を有していてもよい。
また、第1の電波吸収部2の一部が基台部1上に配置されない場合には、対応する溝部11或いは凹部12は形成しなくてもよく、図の構成に限定されない。
実施の形態4.
以下に、本発明の実施の形態4について説明する。
図22は、この発明の実施の形態4による電波吸収体を示す構成図(側面図)である。
図22において、1は基台部、2、4及び5は第1の電波吸収部、3は第2の電波吸収部、13は第3の電波吸収部、20は第2の空隙部を示す。
図の見方は上記実施の形態1の図2と同様である。
図22において、実施の形態1の図2と異なる点は、第2の電波吸収部3の上方に第3の電波吸収部13をさらに備えている点である。
図22(a)は、第1の電波吸収部2は頂部が尖っており、各々の第1の電波吸収部2は全体としても四角錐形状となっている。また、第2の電波吸収部3の貫通孔の断面形状が四角形であり、さらに、第1の電波吸収部2の頂部先端の高さと第2の電波吸収部3の上面の高さとが同じになっている。また、第2の電波吸収部の上面に、平板状の第3の電波吸収部13が平行に配置されている場合を示す。
図22(b)は、第1の電波吸収部2は頂部先端が、第1の電波吸収部を配置した平面と平行な面を有し、各々の第1の電波吸収部は全体として四角錐台形状である場合を示す。その他の点は図22(a)と同様である。
図22(c)は、第1の電波吸収部2は頂部先端が、第1の電波吸収部2を配置した平面と平行な面を有し、第1の電波吸収部2の頂部の断面形状と第2の電波吸収部3の貫通孔は断面形状が四角形であり、第1の電波吸収部2の頂部の高さと第2の電波吸収部3の上面の高さとが同じになっている場合を示す。その他の点は図22(a)と同様である。
図22(d)は、第1の電波吸収部2は頂部が尖っており、各々の第1の電波吸収部2は全体としても四角錐形状であり、第2の電波吸収部3は貫通孔の断面形状が四角形であり、第1の電波吸収部2の頂部先端の高さが第2の電波吸収部3の上面の高さより高い位置になるよう配置され、さらに、第1の電波吸収部1の頂部上に第3の電波吸収部13が配置され、第2の電波吸収部3と第3の電波吸収部13との間に、第2の空隙部20が形成されている場合を示す。
以上のように、本実施の形態の電波吸収体では、全体として上記実施の形態1の図1に示した電波吸収体と同様に構成されているので、上記実施の形態1の電波吸収体と同様に、垂直入射のみならず斜入射特性に優れ、かつ、全高の低い電波吸収体を提供することができる。また、サイトに用いた場合に規格の要求を満足する吸収特性(反射減衰量)を得ることができる。
また、上記実施の形態1の電波吸収体と同様な構成要素を有する場合について、対応する上記実施の形態1と同様の各種効果が得られる。
また、第3の電波吸収部を、平板状の形状とし、第1の電波吸収部を配置した平面と平行に配設しているので、本実施の形態1の電波吸収体と同様に、電波暗室において測定時には電波吸収体を複数密接して設置するが測定後は除去するような場合において、設置時に個々の電波吸収体を区別する必要がないので、設置が容易であり、また複数の電波吸収体の高さが均一となるので設置時の調整が容易であり、さらに吸収特性(反射減衰量)の再現性のよい電波暗室及びサイトが得られる。
また、第1の電波吸収部と第2の電波吸収部との間に、第1の電波吸収部と第2の電波吸収部とにより規定される空隙部を形成しているので、電波吸収体の重量増加を抑制できる。
また、第2及び第3の電波吸収部が配置されているため、第2の電波吸収部と第3の電波吸収部の双方の吸収特性を組合せることで、吸収特性に対する設計の自由度を増加させることができる。
また、第2及び第3の電波吸収部の2層構造となっているので、平行に配置された電波吸収部全体の厚みが増加し吸収特性をさらに向上させることが可能となるが、実装における実質的な厚みの増加分は第3の電波吸収部の分のみとなるので、電波吸収体の全高の増加を抑制できる。
また、図22(d)の場合、第1の空隙部のほかに第2の空隙部が形成され、電波吸収体内での多重反射の方向が複雑になるので、さらに吸収特性を向上させることができる。
なお、本実施の形態の電波吸収体においては、第2の電波吸収部3及び第3の電波吸収部13を図22のように配置しているが、第2の電波吸収部3と第3の電波吸収部13の位置は、第1の電波吸収部が置かれている平面に平行に配置可能であればよく、図の位置に限定しない。従って、第2の電波吸収部の上方であるか下方であるかを問わない。
また、本実施の形態の電波吸収体においては、第2の電波吸収部3及び第3の電波吸収部13の2層構造となっているが、その層数や材質も限定しない。
また、本実施の形態の図22(b)及び(d)の電波吸収体においては、第2の電波吸収部3に設けた貫通孔を角穴(図3参照)としているが、第1の電波吸収部で第2及び第3の電波吸収部を配置或いは支持(保持)可能な構造であれば、電波吸収部全体の形状や頂部の詳細な形状は、本実施の形態の図の構成に限定されない。また、第2、第3の電波吸収部に設ける貫通孔の形状及び凹みの形状も限定されない。
実施の形態5.
以下に、本発明の実施の形態5について説明する。
図23は、この発明の実施の形態5による電波吸収体を示す構成図(側面図、上面図)である。
図23において、図23(a)及び(b)が側面図、図23(c)及び(d)が上面図であり、1は基台部、2及び4は第1の電波吸収部、7は第2の電波吸収部、14は第3の電波吸収部を示す。
なお、上面図においては、第2の電波吸収部7と第3の電波吸収部14との配置関係を分かりやすくするため、第2の電波吸収部7の下面の位置する高さより上の高さにおいて上方から見える様子についても表示している。
図23において上記実施の形態2の図9及び図10と異なる主な点は、短冊形の第3の電波吸収部14が追加され、第2の電波吸収部7と立体交差するよう配置されている点である。
なお、図23は、第2の電波吸収部7の上方にあり、上下に隣接して、第3の電波吸収部14が配置されている場合の例となっている。
また、本実施の形態では、第3の電波吸収部14は第2の電波吸収部7と同様な材料を用いた場合の例となっている。
すなわち、上記実施の形態2の図9及び図10においては、複数の第1の電波吸収部2は、隣り合う2列(以下、第1列及び第2列と記載。)の第1の電波吸収部を含み、第2の電波吸収部6または7は、第1列の第1の電波吸収部の側面と前記第2列の第1の電波吸収部の側面との間に配置され短冊状の形状を有している。
図23において、複数の第1の電波吸収部2は、隣り合う第1列及び第2列の第1の電波吸収部と交差するよう配置された、隣り合う2列(以下、第3列及び第4列と記載。)の第1の電波吸収部をさらに含む。
第3の電波吸収部14は、電磁波損失材料を含み板状の形状を有する。
また、第3の電波吸収部14は、第3列の第1の電波吸収部2の側面と前記第4列の第1の電波吸収部2の側面との間において、第2の電波吸収部7と立体交差するよう配置され、短冊状の形状を有している。
言い換えると、上記実施の形態2の図9及び図10においては、複数の短冊状の形状の第2の電波吸収部6または7を、第1の電波吸収部2により構成される複数の縦列または横列のどちらかにおいて、列の間に同一方向に配置されている。
一方、図23においては、第2の電波吸収部7と第3の電波吸収部13とが、電波吸収態の上方から見て、交差するよう配置されている点である。
図23において、(a)の側面図と(c)の上面図が対応し、(b)の側面図と(d)の上面図が対応する。
図23(a)は、第1の電波吸収部2は頂部が尖っており、各々の第1の電波吸収部は全体として四角錐形状であり、また、第2の電波吸収部7は断面形状が台形である場合を示す。また、図23(c)に示すように、第2の電波吸収部7が図の上下方向に配置され、その上方に第3の電波吸収部14が図の左右方向に配置されている。
図23(b)は、第1の電波吸収部2は頂部先端が平面であり、各々の第1の電波吸収部2は全体として四角錐台形状であり、また、第2の電波吸収部7は断面形状が台形であり、さらに、第1の電波吸収部2の頂部先端の高さと第2の電波吸収部14の上面の高さとが同じになっている場合を示す。また、図23(d)に示すように、第2の電波吸収部7が図の上下方向に配置され、その上方に第3の電波吸収部14が図の左右方向に配置されている。
図24は、この発明の実施の形態5による電波吸収体の変形例を示す構成図(側面図、上面図)である。
図24において、15は第3の電波吸収部を示す。
図23と異なる点は、第3の電波吸収部15の特性が、第2の電波吸収部7と異なっているという点である。
図の見方及びその他の点は図23と同様であるので、同様なものについては詳細な説明を省略する。
以上のように、本実施の形態5の電波吸収体では、上記実施の形態1の電波吸収体と同様に、垂直入射のみならず斜入射特性に優れ、かつ、全高の低い電波吸収体を提供することができる。また、サイトに用いた場合に規格の要求を満足する吸収特性(反射減衰量)を得ることができる。
また、上記実施の形態2の構成と同様な構成を有するので、同様な構成に関する上記実施の形態2に記載の効果と、同様な効果を奏する。
また、第2の電波吸収部及び第3の電波吸収部の断面形状が台形で第1の電波吸収部の側面に接しており、また、第2の電波吸収部と第3の電波吸収部が立体交差して上下2層に隣接配置されている。このため、実施の形態2の電波吸収体で生じる第2の電波吸収部の隙間が生じないため、実施の形態2の電波吸収体よりも良好な吸収特性を得ることができる。
さらに、図24に示した変形例では、第2及び第3の電波吸収部が交差して2層に配置されているので、電波吸収体の上方から見た場合に第2の電波吸収部と第3の電波吸収部の双方が露出しているので、双方の吸収特性を利用することができる。
また、第2の電波吸収部と第3の電波吸収部とで異なる特性を有しているので、第2の電波吸収部と第3の電波吸収部の双方の吸収特性を組合せた特性にすることで、吸収特性に対する設計の自由度を増加させることができる。
なお、本実施の形態においては、第2及び第3の電波吸収部を上下に隣接配置させているが、第2の電波吸収部7と第3の電波吸収部14及び15の位置は、第1の電波吸収部1が置かれている平面に平行であれば特に限定しない。
また、第1の電波吸収部2が置かれている平面に平行に配置する電波吸収部の層数や材質も限定しない。
実施の形態6.
以下に、本発明の実施の形態6について説明する。
図25は、本発明の実施の形態6による電波吸収体を示す構成図(側面図)である。
図の見方は、上記各実施の形態と同様である。
図25において、1は基台部、2、4及び5は第1の電波吸収部、3は第2の電波吸収部、16は支持材を示す。
図25において、実施の形態4の図22(a)、(b)、(c)と異なる点は、図22の第2の電波吸収部3の代わりに支持材16が配置され、第3の電波吸収部13の代わりに第2の電波吸収部3が配置されている点である。
すなわち、図25においては、板状の支持材16の上方に、平板状の第2の電波吸収部3が配置されている。
また、図25は、支持材16と第2の電波吸収部3とが上下に隣接配置されている。
支持材16は、全体として板状の形状を有し、上部に配置された第2の電波吸収部3を支持(保持)する。
但し、必ずしも支持材16のみで第2の電波吸収部3を支持(保持)する必要はなく、第1の電波吸収部2、4及び5による支持があってもよい。
支持材16は、例えば発泡材を成型するにより、形成することができる。
図25(a)は、第1の電波吸収部2は頂部が尖っており、各々の第1の電波吸収部2は全体として四角錐形状である。また、板状の支持材16の貫通孔の断面形状が四角形であり、さらに、第1の電波吸収部2の頂部先端の高さと板状の支持材16の上面の高さとが同じであり、また、支持材16の上部に第2の電波吸収部3が配置されている場合を示す。
図25(b)は、第1の電波吸収部2は頂部先端が、第1の電波吸収部2を配置した平面と平行な面を有し、各々の第1の電波吸収部2は全体として四角錐台形状である場合を示す。その他の点は図25(a)と同様である。
図25(c)は、第1の電波吸収部2は頂部先端が、第1の電波吸収部2を配置した平面と平行な面を有し、第1の電波吸収部2の頂部断面形状及び支持材16の貫通孔の断面形状が四角形であり、第1の電波吸収部2の頂部の高さと板状の支持材14の上面の高さとが同じになっている場合を示す。その他の点は図18(a)と同様である。
以上のように、本実施の形態6の電波吸収によれば、全体として上記実施の形態1に示した電波吸収体と同様に構成されているので、上記実施の形態1の電波吸収体と同様に、垂直入射のみならず斜入射特性に優れ、かつ、全高の低い電波吸収体を提供することができる。また、サイトに用いた場合に規格の要求を満足する吸収特性(反射減衰量)を得ることができる。
また、板状の支持材16の上部に第2の電波吸収部3を配置するので、第2の電波吸収部の位置を正確かつ確実に支持することが可能となり、電波吸収体全体の構造及び構造物の位置が正確に決まるので、吸収特性の再現性のよい電波暗室及びサイトが得られる。
また、貫通孔を支持材16側に形成するので、第2の電波吸収部3を加工する必要は必ずしもない。また、支持材16を発砲材で形成する場合、貫通孔を含めて一度に成型可能であるため、別途の加工は不要となる。その場合、第2の電波吸収部の材料として市販の平板形状の電波吸収体を流用することができ、従って、第2の電波吸収部2の製作費用の増加を抑えることができるとともに、電波吸収体材料の無駄を減らすことができる。
なお、本実施の形態では支持材16の材料として発泡材を用いているが、例えば発泡スチロールまたは発泡ポリエチレンのような、比誘電率が3.0以下で電波を反射し難い材質が望ましい。但し、同様な特性であれば上記材料に限定されない。
また、本実施の形態では板状の支持材16に貫通孔を設けているが、第2の電波吸収部を支持(保持)するとともに位置決めが可能な構造であればよく、詳細な形状は、本実施の形態の図の構成に限定されない。また、貫通孔ではなく非貫通孔や凹部でもよく、形は図の形状に限定されない。
また、第2の電波吸収部の上部に第3以降の電波吸収部(図示しない)を配置しても良く、また、第3以降の電波吸収部が第1の電波吸収部2を配置した平面と平行であればよい。また、第2以降の電波吸収部の層数及び材質も限定されない。
なお、上記各本実施の形態においては、基台部1、第1の電波吸収部2、第2の電波吸収部3といった構成要素を別々に定義しているが、本発明の実装においては、一部を一体的に形成する、全部を一体的に形成するなど、各種形成方法が適用可能である。
また、第1の電波吸収部の頂部先端の高さ及び第2の電波吸収部の配置される高さは、基台部からの高さで定義するほかに、電波吸収体を設置する床面、即ち基台部の下面、からの高さで定義してもよい。
また、上記各本実施の形態においては、誘電損失材料を用いているが、他の損失材料例えば導電性損失材料、磁性損失材料、等を用いても良く、複数の材料を用いてもよい。
また、上記各本実施の形態においては、第1の電波吸収部2同士を隣接配置しているが、例えば等間隔にするなど、離間して配置するようにしてもよく、実施の形態の配置に限定されない。
また、上記各本実施の形態においては、複数の第1の電波吸収部2の配置関係が直交格子の交点に位置するよう配置しているが、例えば、平行四辺形あるいは三角形を敷き詰めた形の格子の交点に位置するように配置するなど、実施の形態の配置に限定されない。
また、上記各本実施の形態においては、第1の電波吸収部は四角錐形状としているが、三角錐形状や円錐形状などでも良く、実施の形態の形状に限定されない。
また、第1の電波吸収部は錐体形状としているが、電磁波損失材料を含み底部から頂部に向かって先細りとなる形状であれば、例えば楔体形状などの他の形状でもよく、実施の形態の図に示した形状に限定されない。
楔体形状の場合において、頂部の詳細な断面形状を図2に示したような各種形状としてもよく、全体として、または基台部と第2の電波吸収部との間の範囲において楔体形状とみなすことが可能であれば厳密な楔体形状に限定されない。
また、上記各本実施の形態においては、全ての第1の電波吸収部2を等しい高さにしているが、第2の電波吸収部3を再現性よく支持できれば、一部の第1の電波吸収部2の高さを低くするなど、実施の形態の配置に限定されない。さらに、その場合に、頂部の高さ方向における位置を揃えるようにしてもよい。
また、上記各本実施の形態においては、第2以降の電波吸収部3に誘電損失材料を用いているが、他の電磁波損失材料、例えば導電性損失材料、磁性損失材料等を用いるなど、複数の材料を使用してもよく、実施の形態に制限されない。また、一部又は全部の各部位で電磁波損失特性が異なっていてもよい。さらに、各部位おいて、電磁波損失材料が均一に分布している必要もない。
また、上記各本実施の形態においては、第2の電波吸収部の支持(保持)の際に各部の変形を考慮していないが、少なくとも前記第1の電波吸収部及び前記第2の電波吸収部の一方が可塑性または弾性を有し、それにより少なくとも前記第1の電波吸収部及び前記第2の電波吸収部の一方が支持時または挿入時に変形し、変形により生じた変形部または前記変形により発生する弾性力によって、支持状態または挿入状態が保持されるようにしてもよい。また、上記図25のように、支持材により第2の電波吸収部の支持(保持)をする場合についても同様である。