JP6228634B2 - インクジェット記録用インク、およびインクジェット記録方法 - Google Patents
インクジェット記録用インク、およびインクジェット記録方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6228634B2 JP6228634B2 JP2016125928A JP2016125928A JP6228634B2 JP 6228634 B2 JP6228634 B2 JP 6228634B2 JP 2016125928 A JP2016125928 A JP 2016125928A JP 2016125928 A JP2016125928 A JP 2016125928A JP 6228634 B2 JP6228634 B2 JP 6228634B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ink
- liquid supply
- water
- nozzle
- chamber
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
- Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
- Ink Jet (AREA)
- Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
Description
本発明は、顔料と、水と、水溶性化合物とを含有するインクジェット記録用インクであって、前記顔料が、酸価100mgKOH/g以上、160mgKOH/g以下である、(メタ)アクリル酸エステル系のランダム共重合体によって分散した樹脂分散顔料であり、前記水溶性化合物が、エチレン尿素と、下記式(A)で定義される親疎水度係数が0.37以下である水溶性化合物とを少なくとも含み、該水溶性化合物の合計の含有量が、インク全量に対して22質量%以上、50質量%以下であり、前記エチレン尿素の含有量が、インク全量に対して11.0質量%以上であり、かつ、前記水溶性化合物の合計量中におけるエチレン尿素の占める比率が質量基準で50%以下である、ことを特徴とするインクジェット記録用インクを提供する。
本発明は、ノズル列よりインクをサーマル方式により吐出させて記録を行うインクジェット記録方法であって、各ノズルの開口面積が100〜350μm2であり、前記インクが、上記のインクであるインクジェット記録方法を提供する。
本発明は、インクが収容されており、ノズル列より該インクをサーマル方式により吐出させるインクジェット記録用ヘッドであって、各ノズルの開口面積が100〜350μm2、ノズル列当たりの総ノズル数が1200以上、ノズル列の長さが2インチ以上であり、前記収容されているインクが、上記のインクであるインクジェット記録用ヘッドを提供する。
本発明は、インク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えたインクジェット記録装置にあって、前記インク収容部に搭載されているインクが、上記のインクであり、前記記録ヘッドが、上記いずれかのインクジェット記録用ヘッドであることを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
本発明のインクジェット記録用インク(以下、単にインクと呼ぶ)は、必須成分として、顔料と、水と、水溶性化合物とを含有し、顔料が、酸価100mgKOH/g以上、160mgKOH/g以下である、(メタ)アクリル酸エステル系のランダム共重合体によって分散した樹脂分散顔料であり、製法は、常法によるものであり、例えば、特許4956917に開示されている方法で得ることができる。また、水溶性化合物が、エチレン尿素と、下記式(A)で定義される親疎水度係数が0.37以下である水溶性化合物とを少なくとも含む。本発明のインクは、必要に応じて、親疎水度係数0.37以上の水溶性化合物、界面活性剤、その他の溶剤や添加剤を含有するものであってもよい。以下、成分毎に説明する。
本発明のインクは、エチレン尿素と、下記式(A)で定義される親疎水度係数が0.37以下の水溶性化合物とを必須成分とする。
本発明のインクの色材は、水溶性媒体に顔料を分散させたものである。また、顔料−樹脂分散(樹脂分散顔料)と呼ばれるタイプであり、中でも、酸価100mgKOH/g以上、160mgKOH/g以下である、(メタ)アクリル酸エステル系のランダム共重合体を吸着させて水性媒体中に分散させたものである。製法は、常法によるものであり、例えば、特許4956917号公報に開示されている方法で得ることができる。
本発明に関する顔料としては、例えば、カーボンブラックや有機顔料等が挙げられる。これらの顔料は、1種で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
C.I.ピグメントイエロー:12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、109、110、117、120、125、128、137、138、147、148、151、153、154、166、168
C.I.ピグメントオレンジ:16、36、43、51、55、59、61
C.I.ピグメントレッド:9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240
C.I.ピグメントバイオレット:19、23、29、30、37、40、50
C.I.ピグメントブルー:15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64
C.I.ピグメントグリーン:7、36
C.I.ピグメントブラウン:23、25、26
本発明のインクでは、色材として、(メタ)アクリル酸エステル系のランダム共重合体によって分散した樹脂分散顔料を使用する。本発明では、吐出性の観点からより好ましい(メタ)アクリル酸エステル系共重合物を分散剤として用いる。本発明で使用する(メタ)アクリル酸エステル系共重合物は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル及びそれらと共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体を共重合させることにより得ることができる。(メタ)アクリル酸としては、アクリル酸又はメタクリル酸が挙げられ、中でも、電気的中性状態とアニオン状態の共存範囲を広く制御できることを考慮すると(メタ)アクリル酸が好ましく用いられる。尚、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体には、ランダム構造、ブロック構造、及びグラフト構造等のものがあるが、本発明では、これらの中でもランダム共重合体を使用することとした。ランダム共重合体以外の、例えば、ブロック共重合体等では、顔料の親水性が高くなるものが多く、形成した印字画像の耐水性が劣るものが多いとった別の課題があるからである。
(メタ)アクリル酸としては、アクリル酸又はメタクリル酸が挙げられ、中でも、電気的中性状態とアニオン状態の共存範囲を広く制御できること、入手のしやすさ、価格等を考慮して(メタ)アクリル酸が好ましい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等のアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラメチレンエーテルグルコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドのランダムポリマーグリコール又は同ブロックポリマーグリコールのモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド−ポリテトラメチレンエーテルのランダムポリマーグリコール又は同ブロックポリマーグリコールのモノ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
本発明のインクでは、上記したようなモノマーから合成した(メタ)アクリル酸エステル系共重合体を用いるが、その酸価が100mgKOH/g以上、160mgKOH/g以下であるものを使用する。より好ましくは110mgKOH/g以上、150mgKOH/g以下であるものを使用する。酸価が160mgKOH/gを超えると、顔料の親水性が高くなるため、水等の付着により顔料が溶け出して印字物のにじみが発生しやすくなる。また、その酸価が100mgKOH/gより小さくなると、インクジェットプリンターのサーマル方式における水性顔料インクの吐出安定性が低下する傾向にある。ここで酸価とは、1gの樹脂を中和するのに必要となるKOHの量(mg)であり、その親水性を示す指標となり得るものである。尚、この場合の酸価は、樹脂分散剤を構成する各モノマーの組成比から計算により求めることもできるが、具体的な樹脂分散顔料の酸価の測定方法としては、電位差滴定により酸価を求める、Titrino(Metrohm製)等を使用して測定することができる。
本発明のインクでは、色材に上記した樹脂分散顔料を適用するが、その場合、顔料と(メタ)アクリル酸エステル系共重合物との割合が、分散体の分散性を保ち、さらに、顔料インクの粘度を低く保つ観点から、本質量換算で顔料1質量部に対して、(メタ)アクリル酸エステル系共重合物が0.2〜1.0質量部の範囲内になるように調整することが好ましい。
本発明のインクに使用する樹脂分散顔料は、例えば、先に挙げた顔料を、上記したような(メタ)アクリル酸エステル系重合物で被覆することで調製できる。本発明で用いる樹脂分散顔料の平均粒子径は、液中での動的光散乱法により求められる値が、70nm以上150nm以下であることが好ましく、より好ましくは80nm以上120nm以下であることが好ましい。粒子径が150nmを超えるとインクの沈降が促進されるため、長期間での分散安定性が損なわれるため好ましくない。一方、粒子径が70nmより小さくなると、画像を形成するのに十分な発色性や、得られた画像に対して十分な耐候性を得ることができなくなるため好ましくない。具体的な平均粒子径の測定方法としては、例えば、レーザ光の散乱を利用した、FPAR−1000(大塚電子製、キュムラント法解析)、ナノトラックUPA 150EX(日機装製、50%の積算値の値とする)等を使用して測定できる。
本発明のインクでは、色材に上記したような樹脂分散顔料を使用するが、該樹脂分散顔料は、下記の製造方法で得ることができる。例えば、顔料を(メタ)アクリル酸エステル系重合物で被覆する方法として、その製造工程中に酸析工程を組み込むことが好ましい。この際に行なう酸析工程とは、顔料と、塩基性物質の水溶液に溶解している(メタ)アクリル酸エステル系共重合物とを含有する液媒体に酸性物質を加えて酸性化することにより、(メタ)アクリル酸エステル系共重合物中のアニオン性基を中和される前の官能基に戻して、該重合物を析出させることである。
本発明においては、後述するインクの表面張力をコントロールして、記録媒体におけるインクのにじみ度合いや浸透性を任意にコントロールやヘッド内でのインクの濡れ性の向上、インクのヒーター面上でのコゲーションを防止し、吐出を向上さたりする目的で必要に応じて、前述した成分からなるインクに、さらに界面活性剤を含有してもよい。このような界面活性剤としては、特に限定はされないが、以下のものを挙げることができる。尚、これらの界面活性剤は、単独で使用しても複数を併用してもよい
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体等。脂肪酸ジエタノールアミド、アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物、アセチレングリコール系界面活性剤等。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルフォン酸塩等。アルファスルホ脂肪酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフン酸塩、アルキルフェノールスルフォン酸塩、アルキルナフタリンスルフォン酸塩、アルキルテトラリンスルフォン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等。
アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド等。
アルキルカルボキシベタイン等。
その中でも、アセチレングリコール系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等は、インクの吐出安定性を向上させることができるため、特に好ましく使用される。
本発明のインクは、必要に応じて、さらに他の水溶性有機溶剤を含有していてもよい。水溶性有機溶媒の種類は特に限定されないが、例えば、アルコール類、多価アルコール類、グリコールエーテル類、カルボン酸アミド類、複素環類、ケトン類、アルカノールアミン類、尿素類:等、各種水溶性有機溶媒を用いることができる。
本発明のインクは、必要に応じて、その他添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、塩等を挙げることができる。
水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。水の含有率は特に限定されない。但し、インクの全質量に対し、30質量%以上90質量%以下であることが好ましく、より好ましくは、40質量%以上85質量%以下であり、さらに好ましくは50質量%以上80質量%以下である。30質量%以上とすることにより、顔料及び水溶性化合物を水和させることができ、顔料や水溶性化合物の凝集を防止することができる。一方、90質量%以下とすることにより、相対的に水溶性有機化合物の量が増え、水性媒体中の揮発成分(水等)が揮発してしまった場合でも、顔料の分散状態を維持することができ、顔料の析出や固化を防止することができる。
本発明のインクの表面張力γは、25mN/m以上45mN/m以下であることが好ましい。表面張力を25mN/m以上とすることにより、インク吐出口のメニスカスを維持することができ、インクがインク吐出口から流出してしまう不具合を防止することができる。また表面張力を45mN/m以下とすることにより、インクの記録媒体への吸収速度を最適にすることができ、インクの吸収不足による定着不良をという不具合を防止することができる。
本発明のインク粘度ηは、1.5mPa・s以上5.0mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは、1.6mPa・s以上3.5mPa・s以下、さらに好ましくは1.7mPa・s以上3.0mPa・s以下にするとよい。粘度を1.5mPa・s以上とすることにより、良好なインク滴を形成することができる。一方、5.0mPa・s以下とすることにより、インクの流動性が向上し、ノズルへのインク供給性、ひいてはインクの吐出安定性が向上する。
本発明のインクのpHは、7.5以上10.0以下であることが好ましく、より好ましくは8.5以上9.5以下にすることが好ましい。pHを7.5未満では顔料粒子の分散安定性が悪くなり、顔料の粒子の凝集が起こりやすくなるため好ましくない。一方、pHは10.0を超えると、インクのpHが高すぎてしまい、使用する装置の部材によっては、インクと接することによってケミカルアタックを引き起こし、これにより有機物や無機物がインク中に溶出することによって、結果として吐出不良を引き起こすため好ましくない。インクのpHは、温度25℃の条件下、pHメーター(例えば、HRIBA(製)D−51等)を用い、測定した値を意味するものとする。
以下、本発明の記録ヘッドの一の実施形態について、図面を用いて説明する。但し、本発明の記録ヘッドは、以下に説明する構成に限定されるものではない。
まず、ノズル部分の構造について図1A〜図1Cを用いて説明する。図1Aは記録ヘッドのノズルの内部構造を模式的に示す上面図である。図1Bは図1Aに示すノズルの内部構造を模式的に示す側面図である。図1Cは図1Aに示すノズルのインク吐出口を模式的に示す正面図である。
ノズル流路159を仕切るノズル壁153、ノズル天板162、ノズル底板164は、例えば感光性樹脂により形成することができる。感光性樹脂としては、ネガ型フォトレジスト等を用いることができる。具体的な市販品としては、例えば「SU−8シリーズ」、「KMPR−1000」(以上、化薬マイクロケム社製)、「TMMR」、「TMMR S2000」、「TMMF S2000」(以上、東京応化工業社製)等を挙げることができる。中でも、耐溶剤性、ノズル壁としての強度に優れたエポキシ系感光性樹脂を用いることが好ましい。具体的な市販品としては、東京応化工業社製の「TMMR S2000」が特に好ましい。
本発明の記録ヘッドはインク吐出口の周縁に親水性領域または撥水性領域が形成されたものが好ましい。親水性領域と撥水性領域のいずれを形成するかは、使用するインクの色材の種類や表面張力を考慮して決定すればよい。
次に、記録ヘッドの全体構造について図2A〜図2Cを用いて説明する。図2A〜図2Cに示すような構造の記録ヘッドは、特開2013−014111号公報に開示されている。従って、本願明細書においては前記公報の内容を引用することとし、その概略を説明するに留める。なお、図2Aは、本発明の記録ヘッドを模式的に示す正面図であり、図2Bは、図2AのA−A断面図であり、図2Cは、図2AのB−B断面図である。説明の便宜上、正面図において液体供給ケースカバーは省略している。
本発明の記録ヘッドにおいては、前記ライン型ヘッドの前記インク吐出口と連通する内部空間に、インクジェット記録用のインクが充填されている。インクは、前記内部空間のうち、少なくともインク吐出口から共通液室までの部分(即ち、ノズル流路及び共通液室)に充填されていることが好ましい。
本発明のインクジェット記録装置は、インクジェット記録用の記録ヘッドと、前記記録ヘッドに供給するインクを収容するインク収容部とを備えたインクジェット記録装置である。そして、前記記録ヘッドが、本発明の記録ヘッドであることを特徴とするものである。前記インク収容部の形態は特に限定されない。例えば図3に示すようなインクタンク等を挙げることができる。
図3はインクタンクの拡大断面図である。インクタンク230は液体収容容器であり、その内部にはインクを収容する液室(インク室231)が形成されている。インク室231は、ジョイント部232のみにおいて外部と連通可能な閉空間となっている。インクタンク230は、記録ヘッドに対して着脱可能に構成されている。また、インクタンク230は、記録ヘッドの上部に備えられている。インク室231は柔軟性のある部材により形成されており、その内部には負圧発生用のバネ233−1と、バネ233−1に接続された圧力板233−2が内蔵されている。バネ233−1は、圧力板233−2を介してインク室231を内部から外部に向かって付勢し、インク室231の内部空間を拡大させる。即ち、バネ233−1はインク室231の内部に所定の負圧を発生させており、バネ233−1、圧力板233−2及びインク室231は一体となって負圧発生部233を構成している。ジョイント部232には不織布製のフィルター234が備えられている。
インクジェット記録装置のその他の構造等については特に限定されない。例えば図6に示すような記録装置300を好適に用いることができる。
次に、インクジェット記録装置の制御について説明する。図7は、図6に示す記録装置の制御系のブロック構成図である。前記記録装置は、記録ヘッドを含む記録機構に加えて、CPU(中央処理装置)、USBインターフェース部、ROMなどの制御系部品を備えている。CPU401は、プログラムROM402に記憶されているプログラムを実行して、前記記録装置の各部を制御する。プログラムROM402には、前記記録装置を制御するプログラムやデータが格納される。前記記録装置の処理は、CPU401がプログラムROM402内のプログラムを読み出して実行することにより実現される。
環境温度が40℃以上となり、水が蒸発した場合には、記録ヘッドにインクの固着が発生しやすくなる。従って、記録ヘッドからヘッドキャップが外れたヘッドオープンの状態で、かつ、水分が蒸発した場合には記録ヘッドのフェイス面を回復する回復シーケンスを入れることが好ましい。
撹拌装置、滴下装置、温度センサー、及び上部に窒素導入装置を有する環流装置を取り付けた反応容器にメチルエチルケトン1000部を仕込み、撹拌しながら反応容器内を窒素置換した。この反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら80℃に昇温させた後、滴下装置より、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル63部、メタクリル酸141部、スチレン417部、メタクリル酸ベンジル188部、メタクリル酸グリシジル25部、重合度調整剤(日本油脂社製、商品名:「ブレンマーTGL」)33部、及びペルオキシ2−エチルヘキサン酸t−ブチル67部を混合し、得られた混合液を、4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに同温度で10時間反応を継続させて、酸価が110mgKOH/g、ガラス転移点(Tg)89℃、重量平均分子量8,000の(メタ)アクリル酸エステル系ランダム共重合体(A−1)の溶液(樹脂分:45.4%)を得た。
冷却用ジャケットを備えた混合槽に、ポリマー溶液の調製で得た(メタ)アクリル酸エステル系ランダム共重合体(A−1)の溶液(樹脂分:45.4%)、25%水酸化カリウム水溶液、水及びカーボンブラック顔料を仕込み、撹拌、混合して混合液を得た。ここで、それぞれの仕込量は、カーボンブラック顔料1000部、(メタ)アクリル酸エステル系ランダム共重合体は、カーボンブラックに対し不揮発分で40%の比率となる量、25%水酸化カリウム水溶液は、(メタ)アクリル酸エステル系ランダム共重合体の酸価が100%中和される量、水は、混合液の不揮発分を27%とするのに必要な量である。得られた混合液を直径0.3mmのジルコニアビーズを充填した分散装置に通し、循環方式により4時間分散させた。尚、分散液の温度を40℃以下に保持した。
シアン顔料分散体は、色材として、Pigment Blue 15:3を使用する以外はブラック顔料分散体と同様の方法で調製した。
マゼンタ顔料分散体は、色材として、Pigment Red 122を使用し、顔料に対する樹脂の比率を40%から30%に変更した以外はブラック顔料分散体と同様の方法で調製した。
イエロー顔料分散体は、色材として、Pigment Yellow 74を使用し、顔料に対する樹脂の比率を40%から35%に変更した以外はブラック顔料分散体と同様の方法で調製した。
(実施例1)
以下の方法で、実施例1のインク1を調製した。容器に、色材としてブラック顔料分散体(顔料濃度約14%)21.4部を加え、水溶性化合物として、固体のエチレン尿素の40%水溶液27.5部(エチレン尿素固形分:11部)、グリセリン7部、トリエチレングリコール2部、固体のビスヒドロキシエチルスルフォンの65%水溶液3.1部(ビスヒドロキシルエチルスルフォン固形分:2部)を加えた。さらに、これにノニオン性界面活性剤であるアセチレノールE100(川研ファインケミカル製)0.5部及びBC−20(日光ケミカルズ製)1.0部を加え、残り純水(イオン交換水)を投入して全体を100部とした。これらをプロペラ撹拌機にて30分以上撹拌した後、孔径3.0μmのフィルターで濾過することにより、実施例1の黒色のインクジェット記録用インク1を得た。
先に調製したブラック顔料分散体を用い、水溶性化合物などの組成を変えて、実施例2〜6のインク2〜6、及び比較例1〜3のインク7〜9を調製した。具体的には、表2に記載の成分を、表2に記載の量で使用したこと以外は実施例1と同様にして、実施例及び比較例の各インクを得た。
上記で得た実施例及び比較例の各インクを用い、インクジェット記録装置で画像を形成して、後述する方法で、それぞれのインクを評価した。評価結果を表2中に示した。具体的には、インクジェット記録装置としては、サーマル方式のインクジェット記録装置(キヤノンファインテック社製「LXD5500」)を用いた。そして、インクジェット記録ヘッドとして、図1A〜図1C及び図2A〜図2Cに示す構造のインクジェットヘッドを備えた上記装置を使用した。具体的なスペックは表3に示すものとした。
インクジェット記録装置として、LXP5500(キヤノンファインテック製)を用い、温度15℃、湿度10%の環境下で、下記のようにして印字を行った。該インクジェット記録装置のインクタンクに、表2に示した各インクをそれぞれ収納し、上記のスペックの記録ヘッド上に1200dpiの密度で1列に並んだ4800個の吐出口から、1滴ずつインクを吐出させて、各インクでそれぞれノズルチェックパターン印字を行った。その際、メディア(被記録媒体)には、キヤノンファインテック社製マットラベルを使用した。
上記試験後、密閉キャップし、60℃環境下において、2週間放置し、回復操作を行った際のノズルチェックパターン印字の状況を下記の基準で評価した。
○:クリーニング操作一回で正常印字ができる。
×:クリーニング操作二回以上で正常印字ができる。
上記のスペックの記録ヘッドに各インクを充填後、密閉キャップをせずに2週間室温で放置し、ノズル先端部を観察し、下記の基準で評価した。
(評価基準)
○:ノズル先端部に固形物の析出がない。
×:ノズル先端部に固形物の析出が認められる。
37:液体供給路、138:第二液体供給室傾斜、139:インク吐出口配列面、141:空気室、151:インク吐出口、152:ヒーター、153:ノズル壁、155:ノズルフィルター、157:ヒーター中心、159:ノズル流路、162:ノズル天板、164:ノズル底板、171:吐出口幅、172:吐出口高さ、181:ノズル前方部、182:ノズル後方部、220:記録ヘッド、220A:吐出口、221:インク室、222:インク供給部、223:フィルター部材、224:インク保持部材、224A:流路、225:開口部、226:フィルター、230:インクタンク、231:インク室、232:ジョイント部、233:負圧発生部、233−1:バネ、233−2:圧力板、234:フィルター、300:記録装置、301:記録媒体、302:搬送ローラ、303:搬送モータ、304:用紙検知センサ、305、305K、305Y、305M、305C:記録ヘッド、306:インクタンク、307:キャッピング機構、308:コンピュータ装置、309:ブレード、310:ロータリーエンコーダ、311:ロールモータ、401:CPU、402:プログラムROM、403:インターフェース・コントローラ、404:ワークRAM、405:EEPROM、406:イメージメモリ、407:入出力回路、408:モータ駆動部、409:キャッピングモータ、410:ヘッドモータ、411:入出力回路、412:記録ヘッド制御回路、413:ポンプモータ、414:操作パネル、415:入出力回路、416:温湿度センサ、417:A/Dコンバーター、418:ポンプモータ、501:条件、502:工程、503:条件、504:条件、505:工程、I:インク。
Claims (6)
- サーマル方式のライン型記録ヘッドで吐出するインクジェット記録用インクであって、
前記インクが、顔料と、水と、水溶性化合物とを含有し、
前記顔料が、酸価100mgKOH/g以上、160mgKOH/g以下である、(メタ)アクリル酸エステル系のランダム共重合体によって分散した樹脂分散顔料であり、
前記水溶性化合物が、エチレン尿素と、下記式(A)で定義される親疎水度係数が0.37以下である水溶性化合物とを少なくとも含み、かつ、該親疎水度係数が0.37以下である水溶性化合物が、グリセリン、トリエチレングリコール、ビスヒドロキシエチルスルホン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ソルビトール、尿素、ジエチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール及びジグリセリンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
前記エチレン尿素の含有量が、インク全量に対して11.0質量%以上であり、かつ、
前記エチレン尿素と前記親疎水度係数が0.37以下である水溶性化合物の合計量中におけるエチレン尿素の占める比率が質量基準で50%以下である、
ことを特徴とするインクジェット記録用インク。 - 前記水溶性化合物の合計の含有量が、インク全量に対して22質量%以上、24質量%以下である請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
- 前記親疎水度係数が0.37以下である水溶性化合物が、グリセリン、トリエチレングリコール、ビスヒドロキシエチルスルホン及びトリメチロールプロパンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1又は2に記載のインクジェット記録用インク。
- 前記記録ヘッドが、インクを吐出するノズル列を有し、各ノズルの開口面積が100〜350μm2、ノズル列当たりの総ノズル数が1200以上、ノズル列の長さが2インチ以上である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク。
- 前記記録ヘッドが、ノズル列として複数のノズル流路が連通した共通液室と、該共通液室と連通した開口部と、該開口部と連通したメイン液体供給室と、該メイン液体供給室と連通する液体供給路と、該液体供給路と連通する液体供給室と、該液体供給室を、液体供給の際の流れに沿って上流側より第一液体供給室と、第二液体供給室とに分離するように配設された供給フィルターと、前記メイン液体供給室の一部に設けられた気液分離部と、該気液分離部と連通する空気室と、を備え、
前記ノズル流路と、前記共通液室と、前記開口部と、前記メイン液体供給室と、前記液体供給路と、前記液体供給室と、前記供給フィルターと、前記気液分離部と、前記空気室とが、前記ノズル流路の配列方向と前記液体の吐出方向を含む平面に対して、平行平面上に配置され、
前記メイン液体供給室と、前記液体供給路と、前記供給フィルターと、前記気液分離部と、前記空気室とが、各々積層することなく配置されている、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク。 - 請求項1乃至5に記載のインクを、サーマル方式のライン型記録ヘッドで吐出して記録を行なうインクジェット記録方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016125928A JP6228634B2 (ja) | 2016-06-24 | 2016-06-24 | インクジェット記録用インク、およびインクジェット記録方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016125928A JP6228634B2 (ja) | 2016-06-24 | 2016-06-24 | インクジェット記録用インク、およびインクジェット記録方法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013185457A Division JP2015052055A (ja) | 2013-09-06 | 2013-09-06 | インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、インクジェット記録用ヘッド及びインクジェット記録装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016196654A JP2016196654A (ja) | 2016-11-24 |
JP6228634B2 true JP6228634B2 (ja) | 2017-11-08 |
Family
ID=57357483
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016125928A Active JP6228634B2 (ja) | 2016-06-24 | 2016-06-24 | インクジェット記録用インク、およびインクジェット記録方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6228634B2 (ja) |
Family Cites Families (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0834117A (ja) * | 1994-07-22 | 1996-02-06 | Sharp Corp | インクジェットヘッド、その使用方法およびその製造方法 |
JP4100986B2 (ja) * | 2001-08-22 | 2008-06-11 | キヤノン株式会社 | インク、インクカートリッジ、記録ユニット、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及びインク吐出の安定化方法 |
JP2004059799A (ja) * | 2002-07-30 | 2004-02-26 | Canon Inc | インクジェット記録用顔料インク |
JP5268696B2 (ja) * | 2008-03-19 | 2013-08-21 | キヤノン株式会社 | インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置 |
JP5787482B2 (ja) * | 2009-01-22 | 2015-09-30 | キヤノン株式会社 | インクジェット記録用インク及びインクジェット画像形成方法 |
JP2011195826A (ja) * | 2010-02-24 | 2011-10-06 | Canon Inc | インクジェット記録用インク |
JP2012031350A (ja) * | 2010-08-03 | 2012-02-16 | Canon Inc | インク、インクカートリッジ、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 |
JP6059865B2 (ja) * | 2011-07-06 | 2017-01-11 | キヤノンファインテック株式会社 | 液体吐出ヘッドおよび液体吐出記録装置 |
-
2016
- 2016-06-24 JP JP2016125928A patent/JP6228634B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2016196654A (ja) | 2016-11-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US9278527B2 (en) | Ink jet recording ink, ink jet recording method, ink jet recording head, and ink jet recording apparatus | |
JP6582397B2 (ja) | インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 | |
JP2008149542A (ja) | インクジェット画像形成方法、形成装置およびインク組成物 | |
JP2009233911A (ja) | インクジェットプリンタ及びインクジェットヘッド洗浄液 | |
JP2017105951A (ja) | インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、インクジェット記録用ヘッド及びインクジェット記録装置 | |
JP6030522B2 (ja) | 記録ヘッド、インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 | |
JP2015052053A (ja) | インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、インクジェット記録用ヘッド及びインクジェット記録装置 | |
JP2011161789A (ja) | 流体噴射装置 | |
JP2015052054A (ja) | インクジェット記録用のインク、記録ヘッドおよびインクジェット記録装置 | |
JP5428887B2 (ja) | 液体噴射装置およびメンテナンス方法 | |
JP2017214461A (ja) | インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、およびインクジェット記録装置 | |
JP6228634B2 (ja) | インクジェット記録用インク、およびインクジェット記録方法 | |
JP6158001B2 (ja) | インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、インクジェット記録用ヘッド、及びインクジェット記録装置 | |
JP2007181974A (ja) | インクジェット画像記録装置及びインクジェット画像形成方法 | |
JPH06116522A (ja) | 記録液及びこれを用いたインクジェット記録方法 | |
JP6215392B2 (ja) | インクジェット記録用のインク、その調製方法、インクセット、記録ヘッド、記録装置及び記録方法 | |
JP2015052056A (ja) | インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、インクジェット記録用ヘッド、及びインクジェット記録装置 | |
JP5866322B2 (ja) | インクジェット記録用の記録ヘッド、インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 | |
JP6887873B2 (ja) | インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 | |
JP6158000B2 (ja) | インク、インクセット、インクジェット記録方法、インクジェット記録用ヘッド、及びインクジェット記録装置 | |
JP2011156674A (ja) | 流体噴射装置 | |
JP3969946B2 (ja) | インクセット、これを用いるインクジェット記録方法、インクジェット記録装置、インクカートリッジ、記録ユニット及びブリードの緩和方法 | |
JP2008127507A (ja) | 記録液、記録方法及び記録液カートリッジ | |
JP2018001735A (ja) | 画像記録方法及び画像記録装置 | |
JP2017043082A (ja) | インクジェット記録方法、インクジェット記録装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20170224 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20170411 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20171003 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20171013 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6228634 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |