JP6227571B2 - トナーバインダーおよびトナー組成物 - Google Patents
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Description
トナーの定着温度を低くする手段として、結着樹脂のガラス転移点を低くする技術が一般的に使用されている。しかしながら、ガラス転移点を低くし過ぎると、粉体の凝集(ブロッキング)が起り易くなりトナーの保存性が低下するため、ガラス転移点の下限は実用上50℃である。このガラス転移点は、結着樹脂の設計ポイントであり、ガラス転移点を下げる方法では、更に低温定着可能なトナーを得ることはできない。
また、別の手段として、分子量を小さくすることが行われている。しかしながら、分子量を小さくしすぎると、トナー画像を熱ロール定着方式により定着する場合には定着時に熱ロールと溶融状態のトナーとが直接接触するが、このとき熱ロール上に移行したトナーが次に送られてくる転写紙等を汚す、いわゆるオフセット現象が生じ易いという欠点がある。
しかしながら、この方法でも同様に高温でのオフセット現象はある程度防止できても、同時に定着下限温度も上昇するため低温定着が困難となり、未だ高速化、省エネルギー化の要求には十分に答えられていない。
すなわち本発明は、ガラス転移温度が−35℃以上45℃未満の非晶ポリエステル樹脂(A)とガラス転移温度が45℃以上80℃以下の非晶ポリエステル樹脂(B)の溶融混合物に、伸長剤(D)を混合して反応させることにより得られる樹脂組成物(C)を含有し、下記の関係式(1)と関係式(2)を満足することを特徴とするトナーバインダー;上記のトナーバインダー及び着色剤を含有するトナー組成物;である。
0.10≦X0/X1≦0.90 (2)
[関係式中のX0はポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)との平均架橋密度を、X1は樹脂組成物(C)の平均架橋密度を表す。]
本発明のトナーバインダーは、ガラス転移温度が−35℃以上45℃未満の非晶ポリエステル樹脂(A)とガラス転移温度が45℃以上80℃以下の非晶ポリエステル樹脂(B)の溶融混合物に、伸長剤(D)を混合して反応させることにより得られる樹脂組成物(C)を含有し、かつ下記の関係式(1)と関係式(2)を満足することを特徴とする。
0.02≦X1≦0.08 (1)
0.10≦X0/X1≦0.90 (2)
なお、関係式中のX0はポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)との平均架橋密度を、X1は樹脂組成物(C)の平均架橋密度を表す。
関係式(1)と関係式(2)に関しては、あとで詳述する。
ここで、「非晶性」とは、軟化温度(℃)と融解熱の最大ピーク温度(℃)との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)が1.55より大きく、熱により緩やかに軟化する性状を示すことをいう。
また、非晶ポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度TgBは、45℃以上80℃以下であることが必須である。TgBが80℃を超えると低温定着性が悪化し、45℃未満であると耐熱保存性が悪化する。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、例えばセイコーインスツル(株)製DSC20、SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定することができる。
ポリオール成分(x)としては、ジオール及び3〜8価又はそれ以上のポリオールが挙げられ、ポリカルボン酸成分(y)としては、ジカルボン酸及び3〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸が挙げられる。
ジオールとしては、炭素数2〜36のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール及び1,12−ドデカンジオール等);
炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールA等);
上記脂環式ジオールの(ポリ)オキシアルキレン〔アルキレン基の炭素数2〜4(オキシエチレン及びオキシプロピレン等)以下のポリオキシアルキレン基も同じ〕エーテル〔オキシアルキレン単位(以下AO単位と略記)の数1〜30〕;
2価フェノール〔単環2価フェノール(例えばハイドロキノン)、ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30);等が挙げられる。
ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテルは、通常、ビスフェノール類にアルキレンオキサイド(以下、AOと略記することがある。)を付加して得られる。ビスフェノール類としては、下記一般式(1)で示されるものが挙げられる。
[式中、Xは炭素数1〜3のアルキレン基、−SO2−、−O−、−S−、または直接結合を表し;Arは、ハロゲン原子または炭素数1〜30のアルキル基で置換されていてもよいフェニレン基を表す。]
これらの中で好ましくはEO及び/又はPOである。AOの付加モル数は、好ましくは2〜30モル、さらに好ましくは2〜10モルである。
ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテルのうち、トナーの定着性の観点から好ましいものは、ビスフェノールAのEO及び/又はPO付加物(平均付加モル数2〜4、特に2〜3)である。
糖類及びその誘導体、例えばショ糖及びメチルグルコシド);
上記脂肪族多価アルコールの(ポリ)オキシアルキレンエーテル(AO単位の数1〜30);
トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30);
ノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等、平均重合度3〜60)のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、炭素数2〜50のアルカンジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、レパルギン酸及びセバシン酸等)、炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸(ドデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸及びグルタコン酸等)、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等)、不飽和カルボン酸のビニル重合体[数平均分子量(以下Mnと記載、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による):450〜10,000](α−オレフィン/マレイン酸共重合体等)等が挙げられる。
ポリカルボン酸成分(y)として、これらのポリカルボン酸の、無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等)を用いてもよいし、これらのポリカルボン酸と併用してもよい。
例えば、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、反応温度が好ましくは150〜280℃、さらに好ましくは160〜250℃、とくに好ましくは170〜235℃で反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、とくに好ましくは2〜40時間である。
活性水素を有する末端官能基としてはアミノ基、水酸基、カルボキシル基等が挙げられ好ましくは水酸基およびカルボキシル基である。
1)(A)の粉砕品約0.5gを精秤し、その重さをS(g)とする。
2)200ml三角フラスコに(A)の粉砕品を入れ、ピリジン25mlを加え100℃で1.5時間溶解する。
3)イオン交換水3mlを加え10分間加熱し、その後、室温まで冷却する。
4)THF50mlを加え、フェノールフタレイン指示薬を数滴加え、0.1規定のKOH・THF溶液を用いて滴定する。この時のKOH溶液の量をA(ml)とする。同時にブランクテストをし、この時のKOH溶液量をB(ml)とする。
5)次式により(A)の酸価を測定する。
(A)の酸価=(A−B)×f×5.61÷S(f:KOH溶液の力価)
(A)の水酸基価は、JIS K0070(1992年版)に規定の方法で測定することができる。
混練装置 : 東洋精機(株)製 ラボプラストミル MODEL4M150
混練条件 : 130℃、70rpmにて30分
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー(株)製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1,050 2,800 5,970 9,100 18,100 37,900 96,400 190,000 355,000 1,090,000 2,890,000)
分子量の測定は、ポリエステル樹脂等をTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とする。
試料0.5gに50mlのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。冷却後、グラスフィルターにて不溶解分をろ別し、グラスフィルター上の樹脂分を80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の乾燥した樹脂分の重量と試料の重量比から、不溶解分を算出する。
官能基としては、イソシアネート基、ビニル基、エポキシ基、カルボキシル基、シラノール基などが好適に用いられる。
イソシアヌレート3量体とは、ジイソシアネートモノマー3分子からなり、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートであり、例えば、下記の化学式(3)で表される化合物などが挙げられる。
さらに3〜8価のポリイソシアネート化合物(D11)のうち、イソシアヌレート、およびビウレットからなる群から選ばれる1種類以上のポリイソシアネート化合物(D111)が好ましい。
ポリエステル樹脂(A)の原料のうちで3価以上の原料成分(3価以上のポリオール成分とポリカルボン酸成分)をn種類使用したときに、ポリエステル樹脂(A)の3価以上の原料成分のk番目のモル数をakとし、原料成分のk番目の価数をαkとする。
また、ポリエステル樹脂(A)の原料のうちの2価の原料成分(ジオール成分とジカルボン酸成分)と単官能の原料成分(モノアルコール成分とモノカルボン酸成分)を合計m種類使用したときに、ポリエステル樹脂(A)の2価の原料成分と単官能の原料成分の j番目のモル数をbjとする。
k番目の構成単位がポリカルボン酸またはポリオール由来の場合のakは、
また、ポリエステル樹脂(B)の原料のうちの2価の原料成分(ジオール成分とジカルボン酸成分)と単官能の原料成分(モノアルコール成分とモノカルボン酸成分)を合計m種類使用したときに、ポリエステル樹脂(B)の2価の原料成分と単官能の原料成分の j番目のモル数をdjとする。
k番目の構成単位がポリカルボン酸またはポリオール由来の場合のckは、
X0={10×(3−2)+10×(3−2)+5×(3−2)}/{10+15+10+5+20+15}
=0.33となる。
0.02≦X1≦0.08 (1)
平均架橋密度(X1)が0.02より小さいと耐オフッセット性が悪化し、0.08より大きいと低温定着性および光沢性が悪化する。
樹脂組成物(C)はポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)と伸長剤(D)を使用して製造する。
そして、関係式(1)中と関係式(2)中の平均架橋密度(X1)を計算するにあたっては、以下に説明するように、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)のそれぞれの構成単位に分解してその価数に応じてそれぞれ計算し、また、伸長剤もその価数に応じてそれぞれ計算する。
また、伸長剤(D)の内の2価の伸長剤成分と単官能の伸長剤成分を合計m種類使用したとき、伸長剤(D)の内の2価の伸長剤成分と単官能の伸長剤成分のj番目のモル数をfjとする。
また、使用したポリエステル樹脂(B)の3価以上の原料成分のk番目のモル数ckも架橋密度(X0)で説明したのと同じである。
0.10 ≦X0/X1 ≦ 0.90 (2)
低温定着性、対オフセット性の観点から、樹脂組成物(C)中にエステル基、ウレタン基、ウレア基、ビウレット基、およびアロファネート基からなる群より選ばれる1種以上の官能基を有することがさらに好ましい。
例えば非晶ポリエステル樹脂(A)の溶融物と非晶ポリエステル樹脂(B)の溶融物を混練し、この混練物に伸長剤(D)を添加し溶融混練する方法などが挙げられる。
この溶融混合を行うための具体的方法としては非晶ポリエステル樹脂(A)と非晶ポリエステル樹脂(B)との混合物を二軸押出機に一定速度で注入し、同時に伸長剤(D)も一定速度でも一定速度で注入し、100〜200℃の温度で混練搬送しながら反応を行わせるなどの方法がある。
このとき、二軸押出機に投入または注入される反応原料である非晶ポリエステル樹脂(A)および非晶ポリエステル樹脂(B)は、それぞれ樹脂反応溶液から冷却することなくそのまま直接押出機に注入するようにしてもよいし、また一旦製造した樹脂を冷却、粉砕したものを二軸押出機に供給することにより行ってもよい。
しかし、本発明では、樹脂組成物(C)を製造する方法がこれら具体的に例示された方法に限られるわけではなく、従来公知の方法例えば反応容器中に原料を仕込み、溶液状態となる温度に加熱し、混合するような方法など適宜の方法で行うことができることはもちろんである。
結晶性樹脂(E)としては、樹脂組成物(C)と相溶するものであれば特にその化学構造は限定されない。例えば結晶性ポリエステル、結晶性ポリウレタン、結晶性ポリウレア、結晶性ポリアミド、結晶性ポリビニルなどの化合物が挙げられる。この中でも相溶性の観点から結晶性ポリエステルが好ましい。結晶性の観点から、ジオール成分の直鎖型脂肪族ジオールの含有率が80モル%以上である結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料、顔料等のすべてを使用することができる。具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB及びオイルピンクOP等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末若しくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
着色剤の含有量は、本発明のトナーバインダー100重量部に対して、好ましくは1〜40重量部、さらに好ましくは3〜10重量部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150重量部、さらに好ましくは40〜120重量部である。
離型剤としては、フローテスターによる軟化点〔Tm〕が50〜170℃のものが好ましく、ポリオレフィンワックス、天然ワックス、炭素数30〜50の脂肪族アルコール、炭素数30〜50の脂肪酸およびこれらの混合物等が挙げられる。
荷電制御剤はトナー重量に基づき、0〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0.5〜7.5重量%である。
流動化剤はトナー重量に基づき、0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%、特に好ましくは0.1〜4重量%である。
また、添加剤の合計量はトナー重量に基づき、3〜70重量%、好ましくは4〜58重量%、特に好ましくは5〜50重量%である。トナーの組成比が上記の範囲であることで帯電性が良好なものを容易に得ることができる。
例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、さらに分級することにより、体積平均粒径(D50)が好ましくは5〜20μmの微粒とした後、流動化剤を混合して製造することができる。
なお、粒径(D50)はコールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]を用いて測定される。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解または分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物2,854部(8.2モル)、3−メチル1,5−ペンタンジオール4,838部(41.0モル)、トリメチロールプロパン187.6部(1.4モル)、テレフタル酸8,184部(49.3モル)および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート20.0部を入れ、220℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させた。さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に10時間反応させた。酸価が1未満になった時点で取り出し、ポリエステル樹脂(A−1)を得た。ポリエステル樹脂(A−1)のTgは16℃、水酸基価は35、数平均分子量は3,200、重量平均分子量は9,400だった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、表1に記載した多塩基酸及び多価アルコールを仕込み、それ以外は製造例1と同様に反応を行い、ポリエステル樹脂(A−2)〜(A−4)を得た。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、表1に記載した多塩基酸及び多価アルコールを仕込み、それ以外は製造例1と同様に反応を行い、ポリエステル樹脂(A’−1)を得た。ポリエステル樹脂(A’−1)はガラス転移温度が−38℃となり、ポリエステル樹脂(A)には該当しない。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物16,079部(46.2モル)、安息香酸1,659部(13.6モル)、縮合触媒としてジブチル錫オキシド20.0部を入れ、200℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させた。次にテレフタル酸6,009部(36.2モル)、縮合触媒としてジブチル錫オキシド10.0部を入れ、次いで230℃まで徐々に昇温しながら、0.5〜2.5kPaの減圧下に4時間反応させた。次いで180℃まで冷却し、無水トリメリット酸787部(4.1モル)を加え、常圧密閉下2時間反応後、220℃、常圧で反応させ、水酸基価が1未満になった時点で取り出し、ポリエステル樹脂(B−1)を得た。
ポリエステル樹脂(B−1)のTgは56℃、水酸基価は0、数平均分子量は2,300、重量平均分子量は7,000だった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、表2に示した多塩基酸及び多価アルコールを仕込み、それ以外は製造例5と同様に反応を行い、それぞれ、ポリエステル樹脂(B−2)〜(B−5)を得た。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、表2に示した多塩基酸及び多価アルコールを仕込み、それ以外は製造例5と同様に反応を行い、ポリエステル樹脂(B’−1)を得た。ポリエステル樹脂(B’−1)はガラス転移温度が81℃となり、ポリエステル樹脂(B)には該当しない。
水分量2,000ppmのポリエステル樹脂(A−1)90.3部とポリエステル樹脂(B−1)9.7部を二軸混練器(栗本鉄工所製, S5KRCニーダー)に10kg/hrで供給し、同時に伸長剤(D)としてデュラネートTPA−100(旭化成ケミカルズ製)を0.34kg/hrで供給して150℃で混練押出反応を行った。得られたものを冷却し、樹脂組成物(C−1)を得た。
表3に示したポリエステル樹脂(A−1)、(A−2)とポリエステル樹脂(B−1)〜(B−3)と伸長剤(D)を仕込み、実施例1に準じて反応を行い樹脂組成物(C−2)〜(C−5)を得た。
表3に示したポリエステル樹脂(A−1)、(A−3)、(A−4)、(A’−1)とポリエステル樹脂(B−1)、(B−4)、(B−5)、(B’−1)と伸長剤(D)を仕込み、実施例1に準じて反応を行い樹脂組成物(C’−1)〜(C’−5)を得た。
樹脂組成物(C−1)85部に対して、カーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]6部、カルナバワックス4部、荷電制御剤T−77[保土谷化学(製)]4部を加え下記の方法でトナー化した。まず、ヘンシェルミキサ[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、体積平均粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。
ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)1部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー(T1)を得た。
原料の配合は表4を参考にして実施例5と同様にトナーを製造し、トナー(T−2)〜(T−5)を得た。つぎに実施例5と同様に評価し、その結果を表4に示した。
なお、実施例9に使用した結晶性樹脂(E−1)は結晶性ポリエステル樹脂である日本合成化学社製ポリエスターSP170を使用した。
原料の配合は表4を参考にして実施例5と同様にトナーを製造し、トナー(T’−1)〜(T’−5)を得た。つぎに実施例5と同様に評価し、その結果を表4に示した。
以下に得られたトナーの低温定着性、光沢性、耐ホットオフセット性、流動性、耐熱保存性、帯電安定性、粉砕性、画像強度、耐折り曲げ性、ドキュメントオフセット試験の測定方法、評価方法、判定基準を説明する。
トナーを紙面上に0.8mg/cm2となるよう均一に載せる。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いる。上記の重量密度で粉体を均一に載せることができるのであれば他の方法を用いてもよい。
この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)10kg/cm2の条件で通した時のコールドオフセットの発生温度(MFT)を測定した。
コールドオフセットの発生温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。
低温定着性と同様に定着評価を行う。画像の下に白色の厚紙を敷き、光沢度計(株式会社堀場製作所製、「IG−330」)を用いて、入射角度60度にて、印字画像の光沢度(%)を測定した。光沢度が高いほど、光沢性に優れることを意味する。
低温定着性と同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。
加圧ローラー通過後、ホットオフセットが発生した温度を耐ホットオフセット性(℃)とした。
ホソカワミクロン製パウダーテスターでトナーのかさ密度(g/100ml)を測定し、流動性を下記の判定基準で判定した。
○:30以上×:30未満
トナーを50℃の雰囲気で24時間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、下記判定基準で耐熱保存性を評価した。
[判定基準]
○:ブロッキングが発生していない。
△:一部にブロッキングが発生している。
×:全体にブロッキングが発生している。
(1)トナー0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)20gとを50mlのガラス瓶に入れ、これを23℃、相対湿度50%で8時間以上調湿する。
(2)ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×20分間と60分間摩擦攪拌し、それぞれの時間での帯電量を測定した。
測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いた。
「摩擦時間60分の帯電量/摩擦時間20分の帯電量」を計算し、これを帯電安定性の指標とした。
○:0.7以上
△:0.6以上0.7未満
×:0.6未満
二軸混練機で混練、冷却した粗粉砕物(8.6メッシュパス〜30メッシュオンのもの)を、超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]により下記の条件で微粉砕した。
粉砕圧:0.5MPa
粉砕時間:10分
アジャスターリング:15mm
ルーバーの大きさ:中
これを分級せずに、体積平均粒径(μm)をコールターカウンター−TAII(米国コールター・エレクトロニクス社製)により測定し、下記の判定基準で粉砕性を評価した。
◎: 10未満
○: 10以上11未満
△: 11以上12未満
×: 12以上
低温定着性の評価で定着した画像を、JIS K5600に準じて、斜め45度に固定した鉛筆の真上から10gの荷重をかけ引っ掻き試験を行い、傷のつかない鉛筆硬度から画像強度を評価した。
鉛筆硬度が高いほど画像強度に優れることを意味する。
低温定着性の評価で定着した画像を画像面が内側になるように紙を折り曲げ、30gの加重で3往復擦る。
紙を広げて、画像上の折り曲げたあとの白すじの有無を目視で判定した。
[判定基準]
○:白すじなし
△:わずかに白すじあり
×:白すじあり
低温定着性の評価で得られた画像が定着されたA4の紙2枚を、定着面同士で重ね合わせ、420gの加重(0.68g/cm2)をかけ、60℃で30分間静置する。
重ね合わせた紙同士を引き離したときの状態について、下記の判定基準でドキュメントオフセット性を評価した。
○:抵抗なし
△:パリパリと音がするが、紙面から画像は剥がれない
×:紙面から画像が剥がれる
一方、ガラス転移温度が−38℃の(A’−1)を用いた比較例6、ガラス転移温度が81℃の(B’−1)を用いた比較例7、前記の(A’−1)と(B’−1)を用いた比較例8、X0/X1が0.90の(C’−4)を用いた比較例9、X1が0の(C’−5)を用いた比較例10はいくつかの性能項目が不良であった。
Claims (10)
- ガラス転移温度が−35℃以上45℃未満の非晶ポリエステル樹脂(A)とガラス転移温度が45℃以上80℃以下の非晶ポリエステル樹脂(B)との混合物と、伸長剤(D)とを反応させてなる樹脂組成物(C)を含有し、下記の関係式(1)と関係式(2)を満足することを特徴とするトナーバインダー。
0.02≦X1≦0.08 (1)
0.10≦X0/X1≦0.90 (2)
[関係式中のX0はポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)との混合物の平均架橋密度を、X1は樹脂組成物(C)の平均架橋密度を表す。] - 伸長剤(D)が3〜8価のポリイソシアネート化合物(D11)を少なくとも含有する請求項1に記載のトナーバインダー。
- ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の重量比(A)/(B)が5/95〜15/85である請求項1または2に記載のトナーバインダー。
- 伸長剤(D)が、イソシアヌレートおよびビウレットからなる群から選ばれる1種以上のポリイソシアネート化合物(D111)である請求項1〜3いずれかに記載のトナーバインダー。
- ポリエステル樹脂(A)が主鎖の末端に活性水素を有する請求項1〜4いずれかに記載のトナーバインダー。
- ポリエステル樹脂(B)の水酸基価が5KOHmg/g以下である請求項1〜5いずれかに記載のトナーバインダー。
- 樹脂組成物(C)が、エステル基、ウレタン基、ウレア基、ビウレット基、およびアロファネート基からなる群より選ばれる1種以上の官能基を有する請求項1〜6いずれかに記載のトナーバインダー。
- 樹脂組成物(C)中の揮発分が100ppm以下である請求項1〜7いずれかに記載のトナーバインダー。
- さらに、結晶性樹脂(E)を含有する請求項1〜8いずれかに記載のトナーバインダー。
- 請求項1〜9いずれか記載のトナーバインダー及び着色剤を含有するトナー組成物。
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