JP6225711B2 - 硫化銅被覆銅粉、導電ペースト及びこれら製造方法 - Google Patents

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本発明は、硫化銅被覆銅粉、導電ペースト及びこれら製造方法に関する。
近年、回路形成等の電子部品用の導電ペーストに使用される導電性金属粉として、銅、ニッケル、銀、銀−パラジウム合金等の微粒子が用いられている。これらの金属微粒子中で、特に、銅微粒子は、銀、銀−パラジウム合金等の貴金属微粒子と比較すると安価であり、かつエレクトロマイグレーションを起こしにくい素材として注目されている。
しかしながら、銅微粒子は、大気中において、比較的低温で酸化が進行しやすく、このため導電性や金属光沢が低下するという欠点があり、その使用範囲が制限されていた。また、金属微粒子をフィラーとして含む導電ペーストとしては、ペースト中の金属粉末を焼結させ、配線や電極等に使用する焼成ペーストと、硬化型のポリマーで固めるポリマーペーストとに大別されるが、いずれの場合でも150〜350℃の温度で熱処理が行われることが不可欠であり、この温度領域での耐酸化性に問題があった。特に、ポリマーペーストにおいては、硬化後に常温においても徐々に水分が進行することで酸化が進行する。これは耐湿性という問題で長期の信頼性においては大きな課題で、耐酸化性や耐湿性を向上させる手段が求められていた。
そこで、酸化物で被覆された金属微粒子を用いることが考えられる。例えば、金属粉末原料と、この金属粉末原料の主成分となる金属元素を主成分として含まない酸化物又は複酸化物又は酸素酸の塩の粉末原料とを混合し、得られた原料混合物を熱プラズマに供給して気相状態の混合物にした後、この気相状態の混合物を急冷して、前記金属粉末原料より微細化された金属微粒子を芯粒子とし、前記酸化物又は複酸化物又は酸素酸の塩、もしくは前記酸化物又は複酸化物又は酸素酸の塩と前記金属の酸化物との複酸化物又は複塩からなる、前記芯粒子を被覆する被覆層を形成することが提案されている(特許文献1参照)。また、酸化物被覆層中に貴金属等を含有させることにより、比抵抗を下げつつ、かつ耐酸化性を付与することが提案されている(特許文献2)。
また、大気雰囲気における加熱処理若しくは湿式の化学処理を用いて、芯材の銅粉の粉粒表面を酸化銅、亜酸化銅のいずれか一種若しくはこれらの二種からなる第1無機物コート層を形成し、その後、第1無機物コート層を形成した外殻に、無機酸化物からなる第2無機物コート層を形成することが提案されている(特許文献3)。
加えて、銅粉の耐酸化性を高めるため、硫酸銅水溶液と硫化ナトリウム水溶液とを反応させ、硫化銅粉を製造することが提案されている(特許文献4)。この方法では、硫酸銅水溶液と当該硫化ナトリウム水溶液とを混合した反応液に含まれる銅イオンの1当量に対し、硫黄イオンを1.1当量〜3.0当量として反応させている。
特開2000−219901号公報 特開2004−179139号公報 特開2005−154861号公報 特許第5209877号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載の方法では、製法が複雑であり、高コストになることが予想される。
また、特許文献3に記載の方法では、酸化物第二層はハイブリタイザーを用いてメカノケミカル反応により被覆されており、極めて薄い膜を均一に被覆することが困難なため、金属光沢や良好な比抵抗を維持することは困難であると考えられる。例えば、用途としては低温焼成ペースト用を想定しており、粉体の耐酸化性、体積抵抗率等は調査されておらず、製造される酸化物被覆金属微粒子が金属微粒子の優れた特性を維持したまま耐酸化性を高めたものとなるか不明である。
また、特許文献4に記載の硫化銅粉は、硫化第二銅粉であり、その電気抵抗率(1.5×10−6Ω・m)は、銅の電気抵抗率(1.55×10−8Ω・m)の約100倍である。そのため、導電性をさらに高めることが求められる。
本発明は、耐酸化性を有し、かつ、導電性に優れた導電ペーストの用に供する硫化銅被覆銅粉を低コストで提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、硫化銅被膜の厚さが0.01μm以上0.06μm以下になるように、平均粒子径が0.5〜10μmである銅粉の表面を硫化することで、耐酸化性を有し、かつ、導電性に優れた導電ペーストの用に供する硫化銅被覆銅粉を低コストで提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する。
(1)本発明は、表面に硫化銅被膜が形成され、平均粒子径が0.5μm以上10μm以下であり、硫化銅被膜の厚さが0.01μm以上0.06μm以下である硫化銅被覆銅粉である。
(2)また、本発明は、前記硫化銅被膜が硫化第一銅被膜である、(1)に記載の硫化銅被覆銅粉である。
(3)また、本発明は、(1)又は(2)に記載の硫化銅被覆銅粉と、樹脂とを含む導電ペーストである。
(4)また、本発明は、平均粒子径が0.5μm以上10μm以下である銅粉の表面を硫化し、前記銅粉の表面に硫化銅被膜を形成する硫化銅被膜形成工程を含み、前記硫化銅被膜の厚さが0.01μm以上0.06μm以下である、硫化銅被覆銅粉の製造方法である。
(5)また、本発明は、前記硫化銅被膜形成工程が、前記硫化銅被膜が目標の厚さになるような前記銅粉の硫化前後での重量変化率をあらかじめ予測し、その予測した重量になるまで前記銅粉を硫化する工程である、(4)に記載の硫化銅被覆銅粉の製造方法である。
(6)また、本発明は、前記重量変化率が、1−(1−0.52d/R)の値にしたがって予測される、(4)又は(5)に記載の硫化銅被覆銅粉の製造方法である。式中、Rは前記銅粉の平均粒子径の1/2であり、dは前記硫化銅被膜の目標の厚さである。
(7)また、本発明は、前記硫化銅被膜形成工程の前に前記銅粉の表面にある酸化被膜を除去する酸化被膜除去工程をさらに含む、(4)から(6)のいずれかに記載の硫化銅被覆銅粉の製造方法である。
(8)また、本発明は、前記硫化銅被膜形成工程の後に前記硫化銅被覆銅粉を220℃以上の温度で加熱する加熱工程をさらに含む、(4)から(7)のいずれかに記載の硫化銅被覆銅粉の製造方法である。
(9)また、本発明は、(4)から(8)のいずれかに記載の硫化銅被覆銅粉の製造方法によって製造された硫化銅被覆銅粉と、樹脂とを混合する混合工程を含む、導電ペーストの製造方法である。
本発明によると、耐酸化性を有し、かつ、導電性に優れた導電ペーストの用に供する硫化銅被覆銅粉を低コストで提供できる。
本発明に係る硫化銅被覆銅粉1を説明するための概略断面図である。 本発明に係る硫化銅被覆銅粉1及び導電ペーストの製造工程の一例を示す図である。 粉砕後の銅粉から酸化被膜を除去した後の銅微粒子11を説明するための概略断面図である。 電解銅粉のSEM画像である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<硫化銅被覆銅粉1>
図1は、本発明に係る硫化銅被覆銅粉1を説明するための概略断面図である。硫化銅被覆銅粉1は、表面に硫化銅被膜2が形成され、平均粒子径2Rが0.5〜10μmであり、硫化銅被膜2の厚さdが0.01μm以上0.06μm以下である。
本発明では、表面に硫化銅被膜2が形成されていることを要する。硫化銅被膜2のない銅粉の状態であると、もともと優れた導電性を有するものの、短期間で酸化するため、一定期間が経過すると、本発明の硫化銅被覆銅粉1よりも導電性が劣るため、好ましくない。また、被膜が酸化被膜であると、本発明の硫化銅被覆銅粉1に比べて導電性が著しく劣るため、好ましくない。
また、硫化銅被覆銅粉1の平均粒子径2Rは0.5μm以上10μm以下であり、1.0μm以上5.0μm以下であることがより好ましい。平均粒子径2Rが小さすぎると、硫化銅被覆銅粉1を導電性ペーストとして利用する場合に、ペーストの粘性が高くなり得るため、好ましくない。平均粒子径2Rが大きすぎると、ペーストで配線を形成する場合に配線が太くなるため細線を求める用途には利用できなくなるため、好ましくない。なお、本明細書において、平均粒子径2Rは、レーザー粒度分布測定器マクロトラック(日機装社製)を用いて測定した、体積球相当径によるものとする。
また、本発明では、硫化銅被膜2の厚さdが0.01μm以上0.06μm以下であり、0.01μm以上0.05μm以下であることがより好ましく、0.01μm以上0.03μm以下であることが特に好ましい。硫化銅被膜2が薄すぎると、十分な耐酸化特性を有しない可能性があり、好ましくない。硫化第二銅の電気抵抗率は1.5×10−6Ω・mであり、銅の電気抵抗率(1.55×10−8Ω・m)の約100倍である。硫化銅被膜2が厚すぎると、十分な導電性を有しない可能性があり、好ましくない。
硫化銅被膜2の厚さは、硫化銅被覆銅粉1を切断し、切断面を研磨して平滑にした後、走査電子顕微鏡画像(SEM画像)を観察することによって測定できる。
硫化銅被膜2は、硫化第一銅被膜であっても硫化第二銅被膜であってもよいが、硫化第二銅は空気中の水分によって硫酸銅を徐々に生成するため、より高い安定性を得られる点で硫化第一銅被膜であることが好ましい。
<導電ペースト>
本発明の導電ペーストは、上記硫化銅被覆銅粉1と、樹脂とを含む。樹脂の種類は特に限定されるものでなく、フェノール樹脂、ポリアセタール樹脂等、導電ペーストで用いられる樹脂を広く利用できる。また、本発明の導電ペーストは、本発明の効果を損なわない範囲で、溶剤、可塑剤、潤滑剤、分散剤、帯電防止剤等を含むものであってもよい。
本発明に係る導電ペーストを、厚さが乾燥膜厚で0.02mmになるように、金属スキージでガラス上に印刷し、大気雰囲気中にて200℃で30分間硬化させることによって得られる被膜の電気抵抗率は、1.0×10−3Ω・cm以下である。そのため、本発明に係る導電ペーストは、極めて高い導電性を有するといえる。特に、硫化銅被膜2の厚さdが0.04μm以上0.06μm以下であると、電気抵抗率が2.0×10−4Ω・cm以下であり、硫化銅被膜2の厚さdが0.01μm以上0.03μm以下であると、電気抵抗率が1.0×10−4Ω・cm以下であるため、より好ましい。
加えて、硫化銅被膜2が硫化第一銅被膜であると、導電ペーストを硬化させた後の被膜を高温多湿下で放置しても高い導電性を保ち続けられる点で好ましい。
<硫化銅被覆銅粉の製造方法>
以下、図2を参照しながら、硫化銅被覆銅粉1の製造工程について説明する。本発明は、少なくとも、平均粒子径が0.5μm以上10μm以下である銅粉の表面を硫化し、銅粉の表面に硫化銅被膜2を形成する硫化銅被膜形成工程S4を含む。
また、必須ではないが、本発明は、硫化銅被膜形成工程S4の前に銅粉の表面にある酸化被膜を除去する酸化被膜除去工程S3をさらに含むことが好ましい。また、硫化銅被膜形成工程S4の後に硫化銅被覆銅粉1を220℃以上の温度で加熱する加熱工程S5をさらに含むことが好ましい。以下、硫化銅被覆銅粉1の製造工程について、順を追って説明する。
〔電解工程S1〕
電解工程S1は、硫酸銅溶液中で銅の電気分解を行うことによって電極表面に電解銅粉を析出させ、回収する工程である。電解銅粉は、例えば、CuSO・5HO:5〜80g/L、遊離HSO:50〜250g/Lの浴組成で、電流密度5〜30A/dm、浴温20〜65℃の条件で電解し、陰極上に電析させることによって製造できる。
〔粉砕工程S2〕
粉砕工程S2は、電解工程S1で得られた電解銅粉を粉砕して銅微粉末にする工程である。
電解銅粉を粉砕する方法は特に限定されるものでないが、製造コストや効率等を考慮すると、ジェットミル、サイクロンミル等を利用し、流体中で原料粉同士を衝突又は衝突板に衝突させて粉砕させることが好ましい。また、量産コストを考慮すると、空気雰囲気下で処理することが好ましい。粉砕装置のほか、さらに分級装置を用い、生産をより効率的にしてもよい。
〔酸化被膜除去工程S3〕
酸化被膜除去工程S3は、銅粉の表面にある酸化被膜を除去する工程である。電解銅粉を空気雰囲気下で粉砕すると、電解銅粉を粉砕する間に、銅粉の表面に酸化被膜が形成される。酸化銅は硫化銅に比べて導電性が著しく劣るため、銅粉を硫化する前に酸化被膜を除去することが好ましい。
具体的な除去方法は特に特定させるものではなく、酸化被膜を水素による還元反応に付し、酸化被膜を金属銅に変化させてもよいし、酸化被膜を化学的に溶解してもよい。酸化被膜を溶解する溶液として、硫酸、塩酸、硝酸等の酸溶液が挙げられる。中でも、酸化銅を溶解するが、銅を溶解しない点で、硫酸又は塩酸を用いることが好ましい。
〔硫化銅被膜形成工程S4〕
硫化銅被膜形成工程S4は、酸化被膜を除去した後の銅粉の表面を硫化し、銅粉の表面に硫化第二銅被膜を形成する工程である。硫化反応に付す手法として、銅粉を硫化水素等の気体に接触させることのほか、銅粉を硫化アンモニウム、硫化カリウム、硫化ナトリウムの溶液に浸漬すること等が挙げられる。
上記したとおり、本発明では、酸化被膜の厚さを好適な範囲内にする必要があり、酸化被膜は、薄すぎても厚すぎても好適でない。しかしながら、被膜形成後の被覆銅粉を切断し、切断面を研磨して平滑にした後、走査電子顕微鏡画像(SEM画像)を観察しなければ、酸化被膜の厚さを測定できない。そのため、銅粉の表面を硫化する間に被膜の厚さを好適に制御することは極めて難しい。
本発明の好適な特徴として、硫化銅被膜2が目標の厚さになるような銅粉の硫化前後での重量変化率をあらかじめ予測し、その予測した重量になるまで銅粉を硫化することが挙げられる。
このことについて、図1及び図3を参照しながら、より詳しく説明する。
図3に示すとおり、銅微粒子11の平均粒子径を2Rとし、硫化しようとする銅の膜厚をdとすると、硫化処理する前の銅微粒子11の体積VCuは、(1)式で表すことができ、硫化処理後の硫化銅部分12の体積VCuSは、(2)式で表すことができる。
Cu=4/3πR・・・・(1)
CuS=4/3πR−4/3π(R−d)・・・・(2)
すなわち、VCuSのVCuに対する比をraとすると、raは(3)式で表すことができる。
ra=VCuS/VCu=1−(R−d)/R・・・・(3)
この(3)式から、dのRに対する比d/Rを導出すると、(4)式で表すことができる。
d/R=1−(1−ra)1/3・・・・(4)
ここで、銅の比重は8.9g/cmであり、硫化第二銅の比重は4.6g/cmであるため、銅が硫化第二銅に変化すると、図1に示すとおり、比重差の分だけ被膜2が厚くなる。これを考慮すると、dと、硫化後の硫化第二銅の被膜厚dとの関係は(5)式のとおりとなり、この(5)式を(4)式に代入することで、(6)式が得られる。
d=4.6/8.9×d=0.52d・・・・(5)
0.52d/R=1−(1−ra)1/3・・・・(6)
そして、この(6)式をraについての式に変形すると、(7)式が得られる。
ra=1−(1−0.52d/R)・・・・(7)
例えば、平均粒子径が5μmである銅微粒子において、厚さ0.05μmの硫化銅被膜2を形成しようとすると、体積比raは0.030となる。
raは、硫化処理する前の銅微粒子の体積VCuと、硫化処理後の硫化銅部分の体積VCuSとの比を示すほか、硫化前後での重量変化率を示すともいえる。例えば、raが0.031である場合、硫化前後で重量が3.1%変化するといえる。このことから、硫化処理前後での重量変化を管理することで、硫化しようとする銅微粒子の平均粒子径ごとの硫化被膜の平均厚さを管理できるといえる。
したがって、硫化前後の重量変化を管理すれば、被膜の厚さを実際に測定することなく、被膜の厚さを好適に制御できる。
〔加熱工程S5〕
加熱工程S5は、硫化銅被覆銅粉1を220℃以上の温度で加熱する工程である。硫化第二銅は、湿った空気中では徐々に酸化されて硫酸銅を生成する。そして、硫化第二銅が硫酸銅に変化すると導電性が低下する。硫化銅被覆銅粉1を車載装置等での導電性材料として用いる場合、車載装置等では、高い耐湿性が求められるため、硫化第二銅からより安定性の高い硫酸第一銅に変化させることが好ましい。そのため、特に、高い耐湿性が求められる場合において、硫化銅被膜形成工程S4の後に加熱工程S5を行うことが好ましい。
加熱温度は220℃以上であれば特に限定されるものでないが、粉砕した微粒子が凝集することを防ぐため、500℃以下であることが好ましい。また、より速い反応を低コストで行うため、加熱温度を250℃以上450℃以下にすることがより好ましく、300℃以上400℃以下にすることがさらに好ましい。加熱温度が低すぎると、硫化第二銅から硫化第一銅への分解反応が生じないため、好ましくない。
加熱する方法は、特に限定されるものでなく、硫化第二銅被覆銅微粉を炉内に投入した後に温度を徐々に上昇させるようにしてもよいし、所定の温度に調整された炉内に電解銅粉を投入するようにしてもよい。加熱する時間は、硫化第二銅被覆銅微粉の粒子径や処理量及び被覆した硫化第二銅の厚さ等によって適宜選択できる。また、加熱処理する設備は、温度制御できれば良く、公知の管状炉やボックス炉、ロータリーキルン等を用いることができる。また、加熱処理設備には発生ガスや粉塵を回収する装備を備えることで環境への負荷を少なくできる。
<導電ペーストの製造方法>
導電ペーストは、上記硫化銅被覆銅粉1の製造方法によって製造された硫化銅被覆銅粉1を樹脂と混合することによって得られる。
〔樹脂混合工程S6〕
樹脂混合工程S6の態様は特に限定されるものでなく、従来公知の混合方法で混合すればよい。例えば、ニーダーのよる混合、3本ロールミルでの混合等が挙げられる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。
<実施例>
〔電解工程S1〕
まず、CuSO・5HO濃度が8g/Lであり、遊離HSO濃度が55g/Lである浴組成で、通電電流密度が10A/dmであり、浴温が25℃であるという条件下で電解銅粉を作製した。回収した電解銅粉の走査電子顕微鏡(SEM)画像を図4に示す。
〔粉砕工程S2〕
回収した電解銅粉を、表1に示す粉砕装置で粉砕した。表1において、サイクロンミルは、サイクロンミル150W(静岡プラント社製)である。サイクロンミルを用いたときの粉砕条件は、空気雰囲気下、主軸回転数が表1に示す値である。粉砕後、レーザー粒度分布測定器マクロトラック(日機装社製)を用い、体積球相当径による平均粒子径を測定した。結果を表1に示す。
また、表1において、ジェットミルは、ナノグラインディングミルNJ−50(徳寿工作所社製)である。ジェットミルを用いたときの粉砕条件は、空気雰囲気下、粉砕圧力が1Mpaである。そして、実施例5については、より粒子径を細かくするため、粉砕回数を4回に増やして粉砕した。そして、粉砕後、上記マクロトラックを用い、平均粒子径を測定した。結果を表1に示す。
〔酸化被膜除去工程S3〕
次に、粉砕した銅微粉末の表面の酸化被膜を除去するため、粉砕後の銅粉を0.5g/Lの希硫酸で溶解して酸化被膜を除去し、純水で十分洗浄した。
〔硫化銅被膜形成工程S4〕
その後、硫化アンモニウムの10%水溶液を用いて室温で1分〜10分間撹拌しながら浸漬したあと、吸引ろ過して銅粉を回収、そのままの空気中に放置することで銅表面に硫化銅の被膜が形成された。空気中に放置する時間は30秒で硫化反応が終了するため、ここでは十分な放置時間にするため、1分以上放置した後、それを十分な純水で水洗してから乾燥することで硫化処理を行った。これにより、実施例1〜6及び比較例1に係る硫化銅被覆銅粉を得た。
この方法で硫化処理した硫化銅被覆銅粉をエポキシ樹脂に埋め込み、これをダイヤモンドカッターで切断し、切断面をサンドペーパーで研磨して平滑にした後、平滑面を走査電子顕微鏡画像(SEM画像)で観察した。そして、各々20個の粒子について、粒子1個あたり4箇所の硫化被膜の厚さを測定した。結果を表2に示す。
〔加熱工程S5〕
実施例6に係る硫化銅被覆銅粉について、空気雰囲気下で300℃、3時間熱処理した。
〔樹脂混合工程S6〕
実施例1〜6及び比較例1に係る硫化銅被覆銅粉85重量部に、フェノール樹脂(製品名:PL−2211、群栄化学社製)15重量部、ブチルセロソルブ(製品名:鹿特級、関東化学社製)10重量部を混合し、小型ニーダー(装置名:ノンバブリングニーダーNBK−1、日本精機製作所社製)を用い、1200rpm、3分間の混錬を3回繰り返すことでペースト化した。これにより、実施例1〜6及び比較例1に係る導電ペーストを得た。
<比較例2>
濃度が125g/LであるCuSO・5HO溶液5Lに、濃度が100g/Lである硫化ナトリウム溶液4Lを徐々に添加し、硫化第二銅の沈殿物を生成させた。硫化第二銅の平均粒子径を測定したところ、平均粒子径は0.1μmであった。
そして、上記硫化第二銅に対し、上記〔樹脂混合工程S6〕と同じ処理を行うことで、比較例2に係る導電ペーストを得た。
<評価その1:導電性>
実施例及び比較例に係る導電ペーストを、厚さが乾燥膜厚で0.02mmになるように、金属スキージでガラス上に印刷し、大気雰囲気中にて200℃で30分間硬化させた。そして、この硬化により得られた被膜の電気抵抗率を求めた。被膜の電気抵抗率は、低抵抗率計(装置名:Loresta−GPMCP−T600、三菱化学社製)を用いて四端子法によりシート抵抗値を測定し、表面粗さ形状測定器(装置名:SURFCOM130A、東京精密社製)を用いて被膜の膜厚を測定した後、上記シート抵抗値を被膜の膜厚で除することによって求めた。結果を表2に示す。
加えて、耐湿性による信頼性の影響を調べるため、実施例3及び6に係る導電ペーストについては、導電ペーストを上記の条件で硬化させた後の被膜を温度70℃、湿度95%中に100時間保持し、電気抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
表面に硫化銅被膜が形成され、平均粒子径が0.5μm以上10μm以下であり、硫化銅被膜の厚さが0.01μm以上0.06μm以下である硫化銅被覆銅粉からは、極めて高い導電性を有する導電ペーストを得られることが確認された(実施例)。特に、硫化銅被膜の厚さが0.01μm以上0.03μm以下であると、電気抵抗率が2.0×10−4Ω・cm以下であり、より導電性に優れることが確認された(実施例3〜6)。
加えて、実施例3及び6の比較から分かるとおり、硫化処理後に加熱処理を行い、硫化銅被膜を硫化第二銅から硫化第一銅にすることで、耐湿熱性に優れることが確認された(実施例6)。
一方、硫化銅被膜が厚すぎると、電気抵抗率が1.0×10−3Ω・cmを超え、十分な導電性を得られないことが確認された(比較例)。
<評価その2:重量変化率と硫化銅被膜の厚さとの相関性>
硫化銅被膜形成工程S4において、硫化処理の前後での重量変化率を測定した。そして、下式のraに重量変化率を代入し、Rに平均粒子径の1/2を代入することで、硫化銅被膜の厚さを計算した。その結果を、硫化銅被膜の厚さの実測値とともに表3に示す。
ra=1−(1−0.52d/R)
表3から、重量変化率から予想される硫化銅被膜の厚さの予想値と、実際に計測した硫化銅被膜の厚さの実測値とがほぼ一致することが確認された。このことから、硫化前後での重量変化率を計測することで、硫化銅被膜の厚さを実際に計測することなく管理できるといえる。
1 硫化銅被覆銅粉
2 硫化銅被膜

Claims (9)

  1. 表面に硫化銅被膜が形成され、
    平均粒子径が0.5μm以上10μm以下であり、
    前記硫化銅被膜の厚さが0.01μm以上0.06μm以下である硫化銅被覆銅粉。
  2. 前記硫化銅被膜が硫化第一銅被膜である、請求項1に記載の硫化銅被覆銅粉。
  3. 請求項1又は2に記載の硫化銅被覆銅粉と、樹脂とを含む導電ペースト。
  4. 平均粒子径が0.5μm以上10μm以下である銅粉の表面を硫化し、前記銅粉の表面に硫化銅被膜を形成する硫化銅被膜形成工程を含み、
    前記硫化銅被膜の厚さが0.01μm以上0.06μm以下である、硫化銅被覆銅粉の製造方法。
  5. 前記硫化銅被膜形成工程は、前記硫化銅被膜が目標の厚さになるような前記銅粉の硫化前後での重量変化率をあらかじめ予測し、その予測した重量になるまで前記銅粉を硫化する工程である、請求項4に記載の硫化銅被覆銅粉の製造方法。
  6. 前記重量変化率は、1−(1−0.52d/R)の値にしたがって予測される、請求項5に記載の硫化銅被覆銅粉の製造方法。
    (式中、Rは前記銅粉の平均粒子径の1/2であり、dは前記硫化銅被膜の目標の厚さである。)
  7. 前記硫化銅被膜形成工程の前に前記銅粉の表面にある酸化被膜を除去する酸化被膜除去工程をさらに含む、請求項4から6のいずれかに記載の硫化銅被覆銅粉の製造方法。
  8. 前記硫化銅被膜形成工程の後に前記硫化銅被覆銅粉を220℃以上の温度で加熱する加熱工程をさらに含む、請求項4から7のいずれかに記載の硫化銅被覆銅粉の製造方法。
  9. 請求項4から8のいずれかに記載の硫化銅被覆銅粉の製造方法によって製造された硫化銅被覆銅粉と、樹脂とを混合する混合工程を含む、導電ペーストの製造方法。
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