JP6224903B2 - 微粉炭燃焼装置における硫黄分の除去方法 - Google Patents
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Description
従来、燃焼炉で使用されている脱硫方法には、大きく分けて次の2つの方法がある。
通常、脱硫剤としては、石灰石やドロマイトが使用され、この方法は、主に流動層炉で使用されている。
(2)排煙脱硫法;炉後流の煙道の一部に脱硫剤と排ガスとの接触層(塔)を設け、硫黄酸化物と脱硫剤の中和反応によって排ガス中の硫黄酸化物を除去する方法。この方法では、硫黄酸化物と脱硫剤である石灰石が中和反応し石膏に変化するため、石膏が有効利用できる。
しかし、上記のような方法では、石灰石を脱炭酸させてCaOやCa(OH)2を製造するのに多量のエネルギーを要し、経済性に劣る。
1.微粉炭燃焼装置において、微粉炭燃焼炉内で発生するガス中の硫黄分を除去する方法であって、
ライムケーキを含む脱硫剤を、微粉炭燃焼炉内に投入することを特徴とする微粉炭燃焼装置における硫黄分の除去方法。
2.前記脱硫剤が、ライムケーキであることを特徴とする1に記載の微粉炭燃焼装置における硫黄分の除去方法。
3.燃料の硫黄分に対する前記脱硫剤のCa分が1〜8(モル比)であることを特徴とする1又は2に記載の微粉炭燃焼装置における硫黄分の除去方法。
4.前記脱硫剤を、微粉炭燃焼炉内の800〜1,200℃の温度領域の箇所に投入することを特徴とする1〜3のいずれかに記載の微粉炭燃焼装置における硫黄分の除去方法。
5.前記脱硫剤を、気流搬送で微粉炭燃焼炉内に直接投入することを特徴とする1〜4のいずれかに記載の微粉炭燃焼装置における硫黄分の除去方法。
6.ライムケーキを含む微粉炭燃焼炉用脱硫剤。
また、特に硫黄分を多く含む石炭等を微粉炭燃焼炉で燃焼させる場合に、これに続く湿式排煙脱硫装置への負荷を軽減することができる。
流動層燃焼装置では、気流により浮遊・流動化している石灰石等の乾式脱硫剤の層に、粒状(10mm以下の粒径)の石炭を投入して燃焼させる。この方式は、流動層内の伝熱が良く、ボイラ(流動層燃焼炉)を小さくできるため、小〜中規模の自家発電設備に用いられている。また、循環させながら燃焼が行われるため、比較的低温で燃焼させることができる。流動層燃焼炉では、燃料である石炭と脱硫剤である石灰石を炉内で循環させながら時間をかけて燃焼反応が進むため、炉内の温度はほぼ均一となる。炉内では、時間と共により細かい粒子が炉の上部に集まってしまい、脱硫剤の粒子径が小さいと利用率が低下する。それ故、特許文献2の方法では、最大粒子径を0.08mm以上に調整した脱硫剤であるライムケーキを用いる。
微粉炭燃焼装置1は、燃料となる石炭を貯蔵する貯炭設備10、石炭粒が200メッシュ(75μm)以下の微粉炭となるように粉砕する粉砕設備20、微粉炭を空気と共に吹き込んで燃焼させる微粉炭燃焼炉(ボイラ)30、燃料の燃焼によって生じたNOxやSOxを燃焼ガス中から除去する排煙処理設備40、及び燃焼処理に伴って生成した灰を回収する灰処理設備50を備えている。
貯蔵設備10のサイロ11からホッパ12に供給された石炭を、粉砕機21で粉砕した後、給炭機22から搬送用一次空気と共にバーナー中央部から微粉炭燃焼炉30に導入された微粉炭は、微粉炭燃焼炉30内で燃焼する。このとき、燃料中の硫黄分は硫黄酸化物(SOx)となる。一方、脱硫剤は脱硫剤ホッパ(図示せず)から微粉炭燃焼炉30に導入され、脱硫剤中のカルシウム分により微粉炭燃焼炉30内で硫黄酸化物(SOx)が吸着除去される。
硫黄酸化物(SOx)が脱硫剤に吸着して除去された後の排煙は、排煙処理設備40の脱硝装置41によって窒素酸化物(NOx)が除去され、(湿式)脱硫装置42において、硫黄酸化物(SOx)をさらに除去した後、煙突47から排気される。灰処理設備50で集塵された灰54や石膏55は廃棄又は有効利用される。
脱硫剤に含まれるライムケーキ以外の成分としては、例えば、石灰石、ドロマイト、酸化カルシウム、カルシウムを含有する生コンクリートスラッジ等が挙げられる。
脱硫剤に含まれるライムケーキの割合は特に制限されず、燃料や原料の種類等に応じて適宜調整することができる。
高温で反応させた方が脱硫率は高くなるが、あまり高温でライムケーキを投入してしまうと、ライムケーキ粒子の表面が溶融し、ライムケーキ粒子内部のCaが利用されず、脱硫率が低下してしまうことを本発明者らは見出した。
そこで、ライムケーキを含む脱硫剤を微粉炭燃焼炉に投入するに当たり、炉内の800〜1,200℃の温度領域の箇所に投入することによって、ライムケーキを含む脱硫剤の溶融を抑制でき、高い脱硫率が得られることを本発明者らは見出した。
従って、特許文献2の流動層燃焼炉の場合のように、燃料とライムケーキを含む脱硫剤とを混合して微粉炭燃焼炉内に投入すると、脱硫剤が高温で溶融され易くなるため、微粉炭燃焼炉では、燃料と脱硫剤とを混合して投入することは好ましくない。
(1)脱硫剤
下記表1に示す性状を有する北海道産のライムケーキを乾燥後、最大粒子径が75μm以下となるように調製し、脱硫剤とした。
実施例及び比較例で用いた石炭1及び石炭2の性状を下記表2に示す。
実施例1
表2に示す性状を有する石炭1(微粉炭)を図2に示す実験用微粉炭燃焼炉2のシングルバーナー31より一次空気と共に炉内に吹き込んだ。ここに、上記(1)で調製したライムケーキのみからなる脱硫剤を、炉内の温度が約1200℃の位置にある脱硫剤投入口34から、石炭中の硫黄分に対するライムケーキ中のCa分が0及び1.3(Ca/S;モル比)となる条件で二次空気と共に炉内に投入した。
脱硫率(%)=(a/b)×100
a=[脱硫剤投入なし(Ca/S=0)条件下のSOx排出濃度]−(SOx排出濃度)
b=脱硫剤投入なし(Ca/S=0)条件下のSOx排出濃度
最大粒子径を75μm以下に調製した石灰石(秩父産)を脱硫剤として用い、Ca/Sモル比を2.9とした以外は実施例1と同様にして燃焼実験を行い、燃焼出口43のSOx濃度を分析し、以下の計算方法により脱硫率を求めた。結果を表3に示す。
表2に示す性状を有する石炭2(微粉炭)を図2に示す実験用微粉炭燃焼炉2のシングルバーナー31より一次空気と共に炉内に吹き込んだ。ここに、上記(1)で調製したライムケーキのみからなる脱硫剤を、炉内の温度が1110℃の位置に、石炭中の硫黄分に対するライムケーキ中のCa分が0.9及び2.9(Ca/S;モル比)となる条件で二次空気と共に炉内に投入した。実施例1と同様にして脱硫率を求めた。結果を表4及び図3に示す。
脱硫剤を、比較例1と同じ石灰石(秩父産)に変更し、石炭2中の硫黄分に対する石灰石中のCa分を1.0及び2.5(Ca/S;モル比)とした以外は実施例2と同様にして燃焼実験を行い、脱硫率を求めた。結果を表4及び図3に示す。
上記(1)で調製したライムケーキのみからなる脱硫剤を微粉炭燃焼炉内の1000℃の位置に吹き込んだ。脱硫剤の投入量は石炭2中の硫黄分に対する石灰石中のCa分を3.0(Ca/S;モル比)とした。試験条件、脱硫率の計算は実施例1と同様に行った。結果を表5に示す。
比較例1と同じ石灰石を、石炭2中の硫黄分に対する石灰石中のCa分を3.9(Ca/S;モル比)の割合で混合し、微粉炭燃焼試験炉で燃焼した。脱硫率の計算は、実施例1と同様に行った。結果を表5に示す。
本発明の微粉炭燃焼炉用脱硫剤及び微粉炭燃焼装置における硫黄分の除去方法は、大規模発電所等で特に有用である。
また、本発明によれば、製糖工場副産物であるライムケーキを有効に活用することができる。
2 実験用微粉炭燃焼炉(ボイラ)
10 貯炭設備
11 サイロ
12 ホッパ
20 粉砕設備
21 粉砕機
22 給炭機
23 微粉炭フィーダー
30 微粉炭燃焼炉(ボイラ)
31 シングルバーナー
32,33 予熱器
34 脱硫剤及び搬送空気導入口
35 熱電対挿入口
36 エアヒータ
37 押込み通風機
40 排煙処理設備
41 脱硝装置
42 (湿式)脱硫装置
43 燃焼出口
44 連続分析計
45 ガスガスヒータ
46 誘引通風機
47 煙突
50 灰処理設備
51 ボトム灰受け(ボトムアッシュ採取)
52 サイクロン(フライアッシュ採取)
53 電気集塵機
54 灰
55 石膏
60 排水処理
Claims (4)
- 微粉炭燃焼装置において、微粉炭燃焼炉内で発生するガス中の硫黄分を除去する方法であって、
最大粒子径が0.075mm以下のライムケーキを含む脱硫剤を、前記微粉炭燃焼炉内の800〜1,100℃の温度領域の箇所に投入することを特徴とする微粉炭燃焼装置における硫黄分の除去方法。 - 前記脱硫剤が、最大粒子径が0.075mm以下のライムケーキであることを特徴とする請求項1に記載の微粉炭燃焼装置における硫黄分の除去方法。
- 燃料の硫黄分に対する前記脱硫剤のCa分が1〜8(モル比)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の微粉炭燃焼装置における硫黄分の除去方法。
- 前記脱硫剤を、気流搬送で微粉炭燃焼炉内に直接投入することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の微粉炭燃焼装置における硫黄分の除去方法。
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