JP6223142B2 - 短絡素子 - Google Patents
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Description
絶縁基板10は、たとえば、アルミナ、ガラスセラミックス、ムライト、ジルコニアなどの絶縁性を有する部材を用いて略方形状に形成されている。絶縁基板10は、その他にも、ガラスエポキシ基板、フェノール基板等のプリント配線基板に用いられる材料を用いてもよいが、第1、第2の可溶導体14,15の溶断時の温度に留意する必要がある。
発熱体16は、比較的抵抗値が高く通電すると発熱する導電性を有する部材であって、たとえばW、Mo、Ru等からなる。これらの合金あるいは組成物、化合物の粉状体を樹脂バインダ等と混合して、ペースト状にしたものをスクリーン印刷技術を用いてパターン形成して、焼成する等によって形成する。
第1、第2の電極11,12は、近接配置されるとともに開放され、短絡素子1が作動することにより、後述する第1,第2の可溶導体14,15の溶融導体が凝集、結合し、この溶融導体を介して短絡されるスイッチ2を構成する。第1、第2の電極11,12は、それぞれ、絶縁基板10の側縁部に外部接続端子11a,12aが設けられている。第1、第2の電極11,12は、これら外部接続端子11a,12aを介して電源回路やデジタル信号回路等の外部回路と接続され、短絡素子1が動作することにより、当該外部回路のバイパス電流経路、あるいは機能回路への給電経路となる。
ここで、第1〜第3の電極11〜13や第1、第2の支持電極21,22は、CuやAg等の一般的な電極材料を用いて形成することができる。また、第1〜第3の電極11〜13や第1、第2の支持電極21,22の表面上には、Ni/Auメッキ、Ni/Pdメッキ、Ni/Pd/Auメッキ等の被膜が、メッキ処理等の公知の手法によりコーティングされていることが好ましい。これにより、短絡素子1は、第1〜第3の電極11〜13や第1、第2の支持電極21,22の酸化を防止し、第1、第2の溶融導体14,15を確実に保持させることができる。また、短絡素子1をリフロー実装する場合に、第1、第2の溶融導体14,15を接続する接続用ハンダ23あるいは第1、第2の溶融導体14,15の外層を形成する低融点金属が溶融することにより第1〜第3の電極11〜13や第1、第2の支持電極21,22を溶食(ハンダ食われ)するのを防ぐことができる。なお、短絡素子1は、第1〜第3の電極11〜13にのみ、表面上にNi/Auメッキ、Ni/Pdメッキ、Ni/Pd/Auメッキ等の被膜を形成してもよい。
第1、第2の可溶導体14,15は、発熱体16の発熱により速やかに溶融されるいずれの金属を用いることができ、例えば、Snを主成分とするPbフリーハンダ等の低融点金属を好適に用いることができる。
短絡素子1は、図3に示す回路構成を有する。すなわち、短絡素子1は、動作前の状態において、第1の電極11と第2の電極12とが近接されるとともに離間されることにより絶縁され、第1、第2の可溶導体14,15が溶融することにより短絡するスイッチ2を構成する。第1、第2の電極11,12は、短絡素子1が実装される回路基板の電流経路上に直列接続されることにより、電源回路等の各種外部回路28A,28B間に組み込まれる。
ここで、第1の電極11は、第3の電極13よりも面積を広くすることが好ましい。例えば、図2に示すように、第1の電極11を第3の電極13よりも長く形成し、面積を広くすることにより、短絡素子1は、第1、第3の電極11,13間に亘って搭載されている第1の可溶導体14が加熱されると、第1の可溶導体14が広面積の第1の電極11側へ偏倚するとともに、溶融導体の大部分が第1の電極11上に引き寄せられる。したがって、短絡素子1は、第1の電極11上に凝集した溶融導体によって第1の電極11と第2の電極12とを短絡させることができ、また、第1の可溶導体14が第1の電極11と第3の電極13間において溶断することにより、給電経路3を遮断することができる。
また、図2に示すように、短絡素子1は、第1の電極11と第3の電極13との間隔G1が、第1の電極11と第2の電極12との間隔G2以上とする(G1≧G2)ことが好ましい。上述したように、第1、第2の電極11,12間の短絡は、第1、第2の可溶導体14,15の第1、第2の電極11,12側への偏倚、溶融によって起こる。同様に第1、第3の電極11,13間の遮断も第1の可溶導体14の第1の電極11側への偏倚、溶融によって起こる。
また、図4に示すように、短絡素子1は、第3の電極13を、第1の可溶導体14が第1の支持電極21から第1の電極11側へ偏倚する偏倚方向に形成することが好ましい。これにより、短絡素子1は、第1の可溶導体14が第1の支持電極21から第1の電極11側へ偏倚したとき、当該偏倚方向に第3の電極13が形成されているため、第1の可溶導体14が第3の電極13から外れ、第1の可溶導体14を介した第3の電極13と第1の電極11との導通が切れ、発熱体16への給電経路3が遮断される事態を防止することができる。
また、短絡素子1は、発熱体16を、第1、第2の可溶導体14,15及び第1、第2の電極11,12の少なくとも一部と重畳する位置に形成することが好ましい。これにより、発熱体16の熱が効率よく第1、第2の可溶導体14,15及び第1、第2の電極11,12に伝わり、発熱後、速やかに第1、第2の可溶導体14,15を溶融させることができる。また、溶融導体は、高温の電極上に濡れ広がる傾向があることから、発熱体16によって熱せられた第1、第2の電極11,12上に速やかに凝集し、結合する。したがって、短絡素子1は、当該溶融導体によって、発熱体16の発熱後、速やかに第1、第2の電極11,12を短絡させることができる。
また、短絡素子1は、発熱体16の発熱中心から第1の支持電極21までの距離よりも、第3の電極13までの距離が短くなるように形成することが好ましい。
また、本発明に係る短絡素子は、図9(A)(B)に示すように、第2の支持電極21及び第2の可溶導体15を省略して形成してもよい。この短絡素子40では、第1、第3の電極11,13及び第1の支持電極21間に亘って接続された第1の可溶導体14が溶融することにより第1の電極11上に凝集するとともに、当該溶融導体が隣接して形成されている第2の電極12まで濡れ拡がり、第1、第2の電極11,12を短絡させる。なお、短絡素子40は、第2の支持電極22及び第2の可溶導体15が省かれている他は、上述した短絡素子1の構成と同じであるため、同一の符号を付して詳細は省略する。
図13に、短絡素子1が適用された短絡回路の一例として、バッテリ回路30を示す。バッテリ回路30において、短絡素子1は、複数のバッテリセル31のうち、過充電等の異常電圧を示したバッテリセルをバイパスするバイパス電流経路の構築に用いることができる。
なお、上述した短絡素子1においては、発熱体16を絶縁基板10の表面10a上において絶縁層17の内部に形成することによって被覆したが、図14に示すように、短絡素子1は、発熱体16を絶縁基板10の表面10a上に形成し、絶縁層17を積層することにより被覆してもよい。
上述したように、第1、第2の可溶導体14,15は、低融点金属と高融点金属とを含有してもよい。低融点金属としては、Snを主成分とするPbフリーハンダなどのハンダを用いることが好ましく、高融点金属としては、Ag、Cu又はこれらを主成分とする合金などを用いることが好ましい。このとき、第1、第2の可溶導体14,15は、図18(A)に示すように、内層として高融点金属層70が設けられ、外層として低融点金属層71が設けられた可溶導体を用いてもよい。この場合、第1、第2の可溶導体14,15は、高融点金属層70の全面が低融点金属層71によって被覆された構造としてもよく、相対向する一対の側面を除き被覆された構造であってもよい。高融点金属層70や低融点金属層71による被覆構造は、メッキ等の公知の成膜技術を用いて形成することができる。
Claims (32)
- 互いに近接配置されるとともに開放されている第1、第2の電極と、
上記第1の電極に隣接された第1の支持電極と、
上記第2の電極に隣接された第2の支持電極と、
上記第1の電極及び第1の支持電極に支持された第1の可溶導体と、
上記第2の電極及び第2の支持電極に支持された第2の可溶導体と、
上記第1、第2の可溶導体を溶融させる発熱体と、
上記第1の電極に近接配置されるとともに開放され、上記発熱体と接続されるとともに上記第1の可溶導体を介して上記第1の電極と接続されている第3の電極とを有し、
上記発熱体、上記第3の電極、上記第1の可溶導体、及び上記第1の電極を経由する上記発熱体への給電経路が設けられ、
上記発熱体の発熱により、上記第1、第2の可溶導体が溶融して上記第1、第2の電極側に偏倚することにより、該溶融導体を介して上記第1、第2の電極が短絡され、
上記第1の可溶導体が上記第1の電極上に凝集することにより、上記第1、第3の電極が遮断される短絡素子。 - 上記第1の電極は、上記第3の電極よりも面積が広く、
上記第2の電極は、上記第2の支持電極よりも面積が広く、
上記第1の電極は、上記第1の支持電極よりも面積が広い請求項1記載の短絡素子。 - 上記第1の電極及び上記第3の電極間の間隔G1と、上記第1の電極及び上記第2の電極間の間隔G2とが、以下の関係となる請求項1又は2記載の短絡素子。
G1>G2 - 上記第3の電極は、上記第1の可溶導体の偏倚方向に形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の短絡素子。
- 上記発熱体は、少なくとも上記第1、第2の可溶導体及び上記第1、第2の電極と重畳する位置に形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の短絡素子。
- 上記発熱体は、上記第3の電極と重畳しない位置に形成されている請求項5記載の短絡素子。
- 互いに近接配置されるとともに開放されている第1、第2の電極と、
上記第1の電極に支持された第1の可溶導体と、
上記第1の可溶導体を溶融させる発熱体と、
上記第1の電極に近接配置されるとともに開放され、上記発熱体と接続されるとともに上記第1の可溶導体を介して上記第1の電極と接続されている第3の電極とを有し、
上記発熱体、上記第3の電極、上記第1の可溶導体、及び上記第1の電極を経由する上記発熱体への給電経路が設けられ、
上記発熱体の発熱により、上記第1の可溶導体が溶融して上記第1、第2の電極上に凝集することにより、該溶融導体を介して上記第1、第2の電極が短絡され、
上記第1の可溶導体が上記第1の電極上に凝集することにより、上記第1、第3の電極が遮断される短絡素子。 - 上記第1の電極は、上記第3の電極よりも面積が広く、
上記第1の電極は、上記第1の支持電極よりも面積が広い請求項7記載の短絡素子。 - 上記第1の電極及び上記第3の電極間の間隔G1と、上記第1の電極及び上記第2の電極間の間隔G2とが、以下の関係となる請求項8記載の短絡素子。
G1>G2 - 上記第3の電極は、上記第1の可溶導体の偏倚方向に形成されている請求項7〜9のいずれか1項に記載の短絡素子。
- 上記発熱体は、少なくとも上記第1の可溶導体及び上記第1、第2の電極と重畳する位置に形成されている請求項7〜10のいずれか1項に記載の短絡素子。
- 上記発熱体は、上記第3の電極と重畳しない位置に形成されている請求項11記載の短絡素子。
- 上記発熱体の発熱中心から上記第1の支持電極までの距離よりも、上記発熱体の発熱中心から上記第3の電極までの距離が短い請求項1〜12のいずれか1項に記載の短絡素子。
- 上記発熱体は、絶縁基板上に積層された絶縁層の内部、又は上記絶縁層と上記絶縁基板との間に設けられている請求項1〜13のいずれか1項に記載の短絡素子。
- 上記発熱体は、絶縁基板の内部に形成されている請求項1〜13のいずれか1項に記載の短絡素子。
- 上記発熱体は、絶縁基板の上記第1〜第3の電極が形成された面側と反対側の面に形成されている請求項1〜13のいずれか1項に記載の短絡素子。
- 上記発熱体は、絶縁基板の上記第1〜第3の電極が形成された面と同一面に形成されている請求項1〜10のいずれか1項に記載の短絡素子。
- 上記第1〜第3の電極は、表面にNi/Auメッキ、Ni/Pdメッキ、Ni/Pd/Auメッキのいずれかが被覆されている請求項1〜17のいずれか1項に記載の短絡素子。
- 上記第1の可溶導体は、ハンダである請求項1〜18のいずれか1項に記載の短絡素子。
- 上記第1の可溶導体は、低融点金属と高融点金属とを含有し、
上記低融点金属が上記発熱体からの加熱により溶融し、上記高融点金属を溶食する請求項1〜18のいずれか1項に記載の短絡素子。 - 上記低融点金属はハンダであり、
上記高融点金属は、Ag、Cu又はAg若しくはCuを主成分とする合金である請求項20記載の短絡素子。 - 上記第1の可溶導体は、内層が上記高融点金属であり、外層が上記低融点金属の被覆構造である請求項20又は21に記載の短絡素子。
- 上記第1の可溶導体は、内層が上記低融点金属であり、外層が上記高融点金属の被覆構造である請求項20又は21に記載の短絡素子。
- 上記第1の可溶導体は、上記低融点金属と、上記高融点金属とが積層された積層構造である請求項20又は21に記載の短絡素子。
- 上記第1の可溶導体は、上記低融点金属と、上記高融点金属とが交互に積層された4層以上の多層構造である請求項20又は21に記載の短絡素子。
- 上記第1の可溶導体は、内層を構成する低融点金属の表面に、高融点金属がストライプ状に積層されている請求項20又は21に記載の短絡素子。
- 上記第1の可溶導体は、多数の開口部を有する高融点金属層と、上記高融点金属層上に形成された低融点金属層とを有し、上記開口部に低融点金属が充填されている請求項20又は21に記載の短絡素子。
- 上記第1の可溶導体は、上記低融点金属の体積が、上記高融点金属の体積よりも多い請求項20〜27のいずれか1項に記載の短絡素子。
- 上記第1の可溶導体は、外層を構成する上記高融点金属によって被覆され主面部よりも肉厚に形成された相対向する一対の第1の側縁部と、内層を構成する上記低融点金属が露出され上記第1の側面部よりも薄い厚さに形成された相対向する一対の第2の側縁部とを有し、上記第1の側縁部が上記第1、第3の電極間に跨って接続され、上記第2の側縁部が上記第1の電極及び上記第1の支持電極間に跨って接続されている請求項20、21,23、28のいずれか1項に記載の短絡素子。
- 上記第2の可溶導体が、請求項19〜請求項29のいずれか1項に記載の上記第1の可溶導体と同じ構成とされている請求項1〜6のいずれか1項に記載の短絡素子。
- 上記第1及び第2の電極は、上記第3の電極よりも上記発熱体の発熱中心に近い位置に設けられている請求項1〜17のいずれか1項に記載の短絡素子。
- 上記第1及び第2の電極は、上記発熱体の発熱中心上に設けられている請求項31記載の短絡素子。
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