JP6222472B2 - 車両用挙動制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用挙動制御装置に係わり、特に、前輪が操舵される車両の挙動を制御する車両用挙動制御装置に関する。
従来から、スリップ等により車両の挙動が不安定になった場合に安全方向に車両の挙動を制御するもの(横滑り防止装置等)が知られている。具体的には、車両のコーナリング時等に、車両にアンダーステアやオーバーステアの挙動が生じたことを検出し、それらを抑制するように車輪に適切な減速度を付与するようにしたものが知られている。
一方、上述したような車両の挙動が不安定になるような走行状態における安全性向上のための制御とは異なり、通常の走行状態にある車両のコーナリング時におけるドライバによる一連の操作(ブレーキング、ステアリングの切り込み、加速、及び、ステアリングの戻し等)が自然で安定したものとなるように、コーナリング時に減速度を調整して操舵輪である前輪に加わる荷重を調整するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2011−88576号公報
しかしながら、例えば、特許文献1の車両運動制御装置においては、コーナリング時の車両の走行状態を検出し、その検出結果に応じて油圧ブレーキシステムを制御することにより車両の減速制御を行っている。この油圧ブレーキシステムは、部品間に遊びを設けた構造を有しているので、油圧ブレーキシステムに制御値が入力されてから車両に減速度が発生するまでにタイムラグが生じる。そのため、従来の装置では、適切なタイミングにより車両の減速制御を行うことが困難である。そこで、特許文献1の装置では、カメラを用いて車両前方のカーブを推定し、カーブ進入前に油圧ブレーキシステムの制御を開始するようにしているので、装置の複雑化やコスト上昇を招いている。
そこで、本発明者らは、鋭意研究することにより、コーナリング時におけるドライバの操作の安定化制御は、ブレーキシステムを用いなくても、車両の駆動力の制御により可能であることを見出した。さらに、本発明者らは、この安定化制御は、特に、電動駆動車両においては回生電力を調整することにより減速度の調整が可能であること、また、回生電力を調整することにより、油圧ブレーキシステムを用いた場合に発生するタイムラグを生じることになく、モータトルク低減(=モータ回生)によりダイレクトにより駆動力を調整できることを発見した。
これらの発見に基づき、本発明者らは、車両のヨーレートに関連するヨーレート関連量が増大するほど、車両の駆動力低減量を増大させ且つこの増大量の増大割合を低減させるように車両の駆動力を低減させる車両用挙動制御装置を提案した(特願2013−034266号)。この装置によれば、車両の操舵が開始され、車両のヨーレート関連量が増大し始めると、駆動力低減量を迅速に増大させるので、車両の操舵開始時において減速度を迅速に車両に生じさせ、十分な荷重を操舵輪である前輪に迅速に加えることができる。これにより、操舵輪である前輪と路面との間の摩擦力が増加し、前輪のコーナリングフォースが増大するので、カーブ進入初期における車両の回頭性を向上することができ、ステアリングの切り込み操作に対する応答性を向上できる。
しかしながら、前輪及び後輪の荷重は、車両の位置における路面の勾配の向き(上り勾配又は下り勾配)や大きさに応じて変化する。例えば路面が下り勾配である場合には、路面が平坦である場合よりも前輪に加わる荷重が大きいので、路面の勾配に関わらずヨーレート関連量のみに応じて駆動力低減量を決定すると必要以上の荷重が前輪に加わって車両の挙動が急になり、ドライバが違和感を覚えてしまう。一方、路面が上り勾配である場合には、路面が平坦である場合よりも前輪に加わる荷重が小さいので、路面の勾配に関わらずヨーレート関連量のみに応じて駆動力低減量を決定すると前輪に加わる荷重が不足し、車両の回頭性を十分に向上させることができない。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、勾配のある路面を走行している場合においても、車両のコーナリング時におけるドライバの操作が自然で安定したものとなるように車両の挙動を制御することができる、車両用挙動制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の車両用挙動制御装置は、前輪が操舵される車両の挙動を制御する車両用挙動制御装置において、車両のヨーレートに関連するヨーレート関連量を取得するヨーレート関連量取得手段と、ヨーレート関連量取得手段により取得されたヨーレート関連量に応じて車両の駆動力を低減させるように制御する駆動力制御手段と、車両の位置における路面の勾配を取得する勾配取得手段と、を有し、駆動力制御手段は、ヨーレート関連量が増大するほど、車両の駆動力の低減量を増大させ且つこの増大量の増加割合を低減させるように車両の駆動力を制御するための駆動力制御量を決定する駆動力制御量決定手段と、路面の勾配が下り勾配である場合、駆動力制御量決定手段により決定された駆動力制御量を減少させ、路面の勾配が上り勾配である場合、駆動力制御量決定手段により決定された駆動力制御量を増大させるように補正する駆動力制御量補正手段とを備え、この駆動力制御量補正手段により補正された駆動力制御量に基づき車両の駆動力を制御する、ことを特徴とする。
このように構成された本発明においては、切り返し操舵が行なわれていない場合(例えば、レーンチェンジ初期の切り返し前の状態)、車両の操舵が開始され、車両のヨーレート関連量が増大し始めると、駆動力の低減量を迅速に増大させるので、車両の操舵開始時において減速度を迅速に車両に生じさせ、十分な荷重を操舵輪である前輪に迅速に加えることができる。これにより、操舵輪である前輪と路面との間の摩擦力が増加し、前輪のコーナリングフォースが増大するので、カーブ進入初期における車両の回頭性を向上することができ、ステアリングの切り込み操作に対する応答性を向上できる。また、駆動力制御手段は、ヨーレート関連量が増大するほど、車両の駆動力の低減量の増大割合を低減させるので、カーブ走行中に車両に発生させる減速度が過大にならず、操舵終了時に減速度を迅速に減少させることができる。従って、カーブ脱出時において、ドライバが駆動力低減の引きずり感を感じることを防止できる。また、駆動力制御手段は、路面の勾配が下り勾配である場合、駆動力の低減量を減少させ、路面の勾配が上り勾配である場合、駆動力の低減量を増大させるように補正するので、路面の下り勾配により前輪に加わる荷重が増大していても、あるいは、路面の上り勾配により前輪に加わる荷重が減少していても、前輪に加わる荷重の合計値は路面が平坦である場合と同程度に調整され、ステアリングの切り込み操作中における車両の挙動は路面が平坦な場合と同様のものになる。これにより、勾配のある路面を走行している場合においても、平坦な路面を走行している場合と同様に、車両の回頭性を向上させることができ、車両のコーナリング時におけるドライバの操作が自然で安定したものとなるように車両の挙動を制御することができる。
また、本発明において、好ましくは、車両用挙動制御装置は、さらに、車両において切り返し操舵が行われたか否かを判定する切り返し操舵判定手段を有し、駆動力制御量決定手段は、切り返し操舵判定手段により切り返し操舵が行なわれたと判定され且つ車両の操舵角の絶対値が減少している場合、車両の駆動力を増大させるように駆動力制御量を決定し、駆動力制御量補正手段は、切り返し操舵判定手段により切り返し操舵が行なわれたと判定され且つ車両の操舵角の絶対値が減少している場合において、路面の勾配が下り勾配である場合、駆動力制御量決定手段により決定された駆動力制御量を増大させ、路面の勾配が上り勾配である場合、駆動力制御量決定手段により決定された駆動力制御量を減少させるように補正する。
このように構成された本発明においては、駆動力制御手段は、切り返し操舵が行なわれ且つ車両の操舵角の絶対値が減少している場合(例えば、レーンチェンジ後期においてドライバがステアリングを中立位置に戻そうとしている場合)、車両の駆動力を増大させるので、車両の直進復帰のための操舵時において加速度を車両に生じさせ、後輪の荷重を増大させることができる。これにより、後輪のコーナリングフォースが増大するので、車両の直進性を向上することができ、車両のヨーレートを確実に収束させることができる。さらに、駆動力制御手段は、切り返し操舵が行なわれ且つ車両の操舵角の絶対値が減少している場合において、路面の勾配が下り勾配である場合、駆動力の増大量を増大させ、路面の勾配が上り勾配である場合、駆動力の増大量を減少させるように補正するので、路面の下り勾配により後輪に加わる荷重が減少していても、あるいは、路面の上り勾配により後輪に加わる荷重が増大していても、後輪に加わる荷重の合計値は路面が平坦である場合と同程度に調整されるので、ステアリングの切り戻し操作中における車両の挙動は路面が平坦な場合と同様のものになる。これにより、勾配のある路面を走行している場合においても、平坦な路面を走行している場合と同様に、車両のヨーレートを収束させることができ、車両のコーナリング時におけるドライバの操作が自然で安定したものとなるように車両の挙動を制御することができる。
また、本発明において、好ましくは、駆動力制御量補正手段は、路面の勾配の絶対値が増大するほど、駆動力制御量の補正量を増大させる。
このように構成された本発明においては、路面の勾配に応じて前輪や後輪に加わる荷重が変化しても、その変化の度合い応じて駆動力制御量の補正量を変化させることができ、これにより、前輪や後輪に加わる荷重の合計値を、路面が平坦である場合と同程度に調整することができる。従って、勾配のある路面を走行している場合においても、平坦な路面を走行している場合と同様に、車両の回頭性を向上させ、あるいは、車両のヨーレートを収束させることができ、車両のコーナリング時におけるドライバの操作が自然で安定したものとなるように車両の挙動を制御することができる。
また、本発明において、好ましくは、車両は、車輪を駆動するモータと、このモータに電力を供給すると共にモータが発生させた回生電力を回収するバッテリと、を有する電動駆動車両であり、駆動力制御手段は、ヨーレート関連量に応じて、モータが発生させる回生電力量を制御することにより、車両の駆動力を低減させる。
このように構成された本発明においては、駆動力制御手段は、車両のヨーレート関連量に応じてモータのトルクを低減させるので、直接的に車両の駆動力を低減させることができる。従って、油圧ブレーキユニットを制御することにより車両の駆動力を低減させる場合と比較して、駆動力低減の応答性を高めることができ、よりダイレクトに車両の挙動を制御することができる。
また、本発明において、好ましくは、電動駆動車両は、さらに、バッテリの状態を検出するバッテリ状態検出手段と、駆動力制御手段による制御に関する情報を表示する表示手段と、を有し、駆動力制御手段は、バッテリの状態に基づき、モータが発生させる回生電力をバッテリが回収できないと判定した場合、車両の駆動力を低減させず、且つ、車両の駆動力を低減させない旨の情報を表示手段に表示させる。
このように構成された本発明においては、駆動力制御手段は、モータが発生させる回生電力をバッテリに回収させるとバッテリが過充電になる場合や、バッテリの温度が許容温度範囲を超えてしまう場合、モータのトルクを低減させず、回生電力を発生させないので、過充電や許容温度範囲逸脱によるバッテリの損傷を防止することができる。また、駆動力制御手段は、車両の駆動力を低減させない旨の情報を表示手段に表示させるので、カーブ進入時に駆動力が低減されないことによりドライバが違和感を覚えることを防止できる。
本発明による車両用挙動制御装置によれば、勾配のある路面を走行している場合においても、車両のコーナリング時におけるドライバの操作が自然で安定したものとなるように車両の挙動を制御することができる。
本発明の実施形態による車両用挙動制御装置を搭載する車両の全体構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態による車両用挙動制御装置の電気的構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態による車両用挙動制御装置が車両の挙動を制御する挙動制御処理のフローチャートである。 図3に示した挙動制御処理における切り返し判定処理のフローチャートである。 図3に示した挙動制御処理における切り返し前挙動制御処理のフローチャートである。 図3に示した挙動制御処理における切り返し中挙動制御処理のフローチャートである。 本発明の実施形態による駆動力制御部が目標ヨー加速度に基づいて基本制御介入トルクを決定する際に参照するマップである。 本発明の実施形態による駆動力制御部が路面の勾配に基づいて駆動力低減量の補正係数を決定する際に参照するマップである。 本発明の実施形態による車両用挙動制御装置を搭載した車両が進行方向右側の車線にレーンチェンジを行う場合における、車両用挙動制御装置による挙動制御に関するパラメータの時間変化を示す線図であり、図9(a)はレーンチェンジを行う車両を概略的に示す平面図、図9(b)は図9(a)に示したようにレーンチェンジを行う車両の操舵角の変化を示す線図、図9(c)は図9(b)に示した車両の操舵角に基づき算出された目標ヨーレートの変化を示す線図、図9(d)は図9(c)に示した目標ヨーレートに基づき算出された目標ヨー加速度の変化を示す線図、図9(e)は図9(d)に示した目標ヨー加速度に基づいて駆動力制御部が決定したモータのトルク制御量の変化を示す線図、図9(f)は図9(b)に示したように操舵が行われる車両において、図9(e)に示したようにモータのトルク制御を行った場合に車両に発生するヨーレートの変化を示す線図である。 本発明の実施形態の変形例による車両用挙動制御装置を搭載した車両がレーンチェンジを行う場合における、車両用挙動制御装置による挙動制御に関するパラメータの時間変化を示す線図であり、図10(a)はレーンチェンジを行う車両を概略的に示す平面図、図10(b)は図10(a)に示したようにレーンチェンジを行う車両の操舵角の変化を示す線図、図10(c)は図10(b)に示した車両の操舵角に基づき算出された目標ヨーレートの変化を示す線図、図10(d)は図10(c)に示した目標ヨーレートに基づき算出された目標ヨー加速度の変化を示す線図、図10(e)は図10(d)に示した目標ヨー加速度に基づいて駆動力制御部が決定したモータのトルク制御量の変化を示す線図、図10(f)は図10(b)に示したように操舵が行われる車両において、図10(e)に示したようにモータのトルク制御を行った場合に車両に発生するヨーレートの変化を示す線図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による車両用挙動制御装置を説明する。
まず、図1により、本発明の実施形態による車両用挙動制御装置を搭載する車両について説明する。図1は、本発明の実施形態による車両用挙動制御装置を搭載する車両の全体構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態による車両用挙動制御装置を搭載する車両1は、動力源としてバッテリ2(二次電池)を搭載し、前輪が操舵される電気自動車又はハイブリッド自動車である。車両1の車体前部には、駆動輪4(図1の例では左右の前輪)を駆動するモータ6が搭載されている。また、バッテリ2から供給された直流電力を交流電力に変換してモータ6に供給すると共に、モータ6が発生させる回生電力を直流電力に変換してバッテリ2に供給することによりバッテリ2を充電するインバータ8が、モータ6の近傍に配置されている。
また、車両1は、ステアリングホイール10の回転角度を検出する操舵角センサ12、車速を検出する車速センサ14、鉛直軸(ヨー軸)を中心とする車両1の回転角速度(ヨーレート)を検出するヨーレートセンサ16、及び、車両1の前後方向の加速度を検出する加速度センサ18を有する。これらの各センサは、それぞれの検出値を車両用挙動制御装置20に出力する。
さらに、車両1は、車両用挙動制御装置20による車両1の挙動制御に関する情報を表示するインジケータ22を有する。
また、バッテリ2は、このバッテリ2のSOC(State Of Charge)及び温度を検出するバッテリ状態検出部24を備えている。
次に、図2により、本発明の実施形態による車両用挙動制御装置20の電気的構成を説明する。図2は、本発明の実施形態による車両用挙動制御装置20の電気的構成を示すブロック図である。
車両用挙動制御装置20は、車両1の目標ヨー加速度を算出するヨー加速度算出部26と、車両1の位置における路面の勾配を取得する勾配取得部28と、車両1の駆動力を制御する駆動力制御部30とを備える。
この車両用挙動制御装置20には、操舵角センサ12が検出した操舵角、車速センサ14が検出した車速、ヨーレートセンサ16が検出したヨーレート、加速度センサ18が検出した車両1の前後方向の加速度、並びにバッテリ状態検出部24が検出したバッテリ2のSOC及び温度が入力される。
ヨー加速度算出部26は、操舵角センサ12から入力された操舵角と、車速センサ14から入力された車速とに基づき、車両1の目標ヨーレートを算出し、この目標ヨーレートに基づき、車両1の目標ヨー加速度を算出する。
勾配取得部28は、例えば、車速センサ14から入力された車速を時間微分することにより算出した車両1の前後方向の加速度と、加速度センサ18から入力された車両1の前後方向の加速度とに基づき、車両1に働く重力加速度の前後方向成分を算出し、その前後方向成分の大きさに基づき、車両1の位置における路面の勾配を算出する。あるいは、勾配取得部28は、車両1の現在位置における路面の勾配を、GPSにより取得した車両1の現在位置と、路面の勾配を含む地図データとから取得する。
駆動力制御部30は、算出された目標ヨー加速度及びバッテリ2の状態に基づき、モータ6のトルク制御量(即ち駆動力低減量又は駆動力増大量)を決定し、そのモータ6のトルク制御量を実現するように、モータ6が発生させる回生電力量、又はモータ6に供給する電力量を制御する。また、駆動力制御部30は、駆動力制御部30がモータ6の駆動力を制御可能な状態か否かを示す情報をインジケータ22に出力する。
これらのヨー加速度算出部26、勾配取得部28、及び、駆動力制御部30は、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを記憶するためのROMやRAMの如き内部メモリを備えるコンピュータにより構成される。
次に、図3乃至図7により、車両用挙動制御装置20が行う処理について説明する。
図3は、本発明の実施形態による車両用挙動制御装置20が車両1の挙動を制御する挙動制御処理のフローチャートであり、図4は、図3に示した挙動制御処理における切り返し判定処理のフローチャートであり、図5は、図3に示した挙動制御処理における切り返し前挙動制御処理のフローチャートであり、図6は、図3に示した挙動制御処理における切り返し中挙動制御処理のフローチャートであり、図7は、本発明の実施形態による駆動力制御部30が目標ヨー加速度に基づいて基本制御介入トルクを決定する際に参照するマップであり、図8は、本発明の実施形態による駆動力制御部30が路面の勾配に基づいて駆動力制御量の補正係数を決定する際に参照するマップであり、(a)は基本制御介入トルクの補正係数を決定する際に参照するマップ、(b)は駆動制御介入トルクの補正係数を決定する際に参照するマップである。
まず、図3により、挙動制御処理について説明する。挙動制御処理は、車両1のイグニッションがオンにされ、車両用挙動制御装置20に電源が投入された場合に起動され、繰り返し実行される。
図3に示すように、挙動制御処理が開始されると、ステップS1において、駆動力制御部30は、操舵角センサ12によって検出された操舵角を取得する。
次いで、ステップS2において、駆動力制御部30は、車両1において切り返し操舵が行なわれたか否かを判定するための切り返し判定処理を実行する。この切り返し判定処理により、車両1において切り返し操舵が行なわれたか否かを示す切り返しフラグがON又はOFFされる。
次いで、ステップS3において、駆動力制御部30は、切り返しフラグがOFFか否かを判定する。その結果、切り返しフラグがOFFである場合、即ち車両1において切り返し操舵が行なわれていない場合、ステップS4に進み、駆動力制御部30は、切り返し操舵が行なわれていない場合の車両1の挙動を制御する切り返し前挙動制御処理を実行する。
一方、ステップS3において、切り返しフラグがOFFではない(ONである)場合、即ち車両1において切り返し操舵が行なわれた場合、ステップS5に進み、駆動力制御部30は、切り返し操舵が行なわれた場合の車両1の挙動を制御する切り返し中挙動制御処理を実行する。
ステップS4又はステップS5の後、車両用挙動制御装置20は挙動制御処理を終了する。
次に、図4により、挙動制御処理のステップS2において実行される切り返し判定処理について説明する。
図4に示すように、切り返し判定処理が開始されると、ステップS11において、駆動力制御部30は、車速センサ14から入力された車速が、V1以上V2以下か否かを判定する。V1及びV2は、切り返し操舵が行なわれた場合に車両1の挙動を制御する必要性が高い速度範囲を規定する閾値であり、例えば、V1=60km/h、V2=140km/hである。
その結果、車速センサ14から入力された車速が、V1以上V2以下である場合、ステップS12に進み、駆動力制御部30は、ステップS1において取得した操舵角の符号が、前回実行された挙動制御処理のステップS1において取得された操舵角の符号から変化したか否か、即ち、ステアリングが中立位置を越えて操作されたか否かを判定する。
その結果、操舵角の符号が変化した場合、ステップS13に進み、駆動力制御部30は、操舵角の変動幅がθ1以上か否かを判定する。θ1は、切り返し操舵が行なわれた場合に車両1の挙動を制御する必要性が高い操舵角の変動幅を規定する閾値であり、例えば、θ1=40degである。駆動力制御部30は、例えば、過去所定時間内における操舵角の変動幅がθ1以上か否かを判定する。
その結果、操舵角の変動幅がθ1以上である場合、ステップS14に進み、駆動力制御部30は、操舵速度がω1以上か否かを判定する。ω1は、切り返し操舵が行なわれた場合に車両1の挙動を制御する必要性が高い操舵速度の範囲を規定する閾値であり、例えば、ω1=30deg/sである。
その結果、操舵速度がω1以上である場合、ステップS15に進み、駆動力制御部30は、車両1において切り返し操舵が行なわれているものとし、切り返しフラグをONにする。
一方、ステップS11において車速がV1以上V2以下ではない場合、ステップS12において操舵角の符号が変化していない場合、ステップS13において操舵角の変動幅がθ1以上ではない場合、又は、ステップS14において操舵速度がω1以上ではない場合、ステップS16に進み、駆動力制御部30は、車両1において切り返し操舵が行なわれていないものとし、又は、切り返し操舵に対応した車両1の挙動制御を行う必要性が低いものとし、切り返しフラグをOFFにする。
ステップS15又はS16の後、駆動力制御部30は、図3の挙動制御処理に戻る。
次に、図5により、挙動制御処理のステップS4において実行される切り返し前挙動制御処理について説明する。
図5に示すように、切り返し前挙動制御処理が開始されると、ステップS21において、駆動力制御部30は、図3の挙動制御処理のステップS1において取得した操舵角がθ2(例えば5deg)以上か否かを判定する。その結果、操舵角がθ2以上ではない(θ2未満である)場合、車両用挙動制御装置20は、操舵が行われていないため車両1の挙動を制御する必要がないものとし、図3の挙動制御処理に戻る。
一方、操舵角がθ2以上である場合、ステップS22に進み、駆動力制御部30は、図3の挙動制御処理のステップS1において取得した操舵角の絶対値が増大中か否かを判定する。その結果、操舵角の絶対値が増大中ではない(一定又は減少中である)場合、車両用挙動制御装置20は、ステアリング操作が保持又は切り戻し操作中であり、切り込み操作中ではないため、車両1の挙動を制御する必要がないものとし、図3の挙動制御処理に戻る。
一方、操舵角の絶対値が増大中である場合、ステップS23に進み、駆動力制御部30は、バッテリ状態検出部24により検出されたバッテリ2のSOC及び温度を取得する。
次いで、ステップS24において、駆動力制御部30は、ステップS23において取得したバッテリ2の状態に基づき、モータ6が発生させる回生電力をバッテリ2が回収可能か否か判定する。駆動力制御部30は、バッテリ2のSOCが所定値以下であり、且つバッテリ2の温度が所定温度以下の場合に、モータ6が発生させる回生電力をバッテリ2が回収可能と判定する。
その結果、モータ6が発生させる回生電力をバッテリ2が回収可能である場合、ステップS25に進み、ヨー加速度算出部26は、操舵角センサ12から入力された操舵角と、車速センサ14から入力された車速とに基づき、車両1の目標ヨーレートを算出し、この目標ヨーレートに基づき、車両1の目標ヨー加速度を算出する。具体的には、ヨー加速度算出部26は、操舵角センサ12から入力された操舵角に、車速センサ14から入力された車速に応じた係数を乗ずることにより目標ヨーレートを算出し、その目標ヨーレートを時間微分することにより目標ヨー加速度を算出する。
次いで、ステップS26において、駆動力制御部30は、ステップS25においてヨー加速度算出部26が算出した目標ヨー加速度に基づき、モータ6のトルク低減量(基本制御介入トルク)を決定する。この基本制御介入トルクは、カーブを走行する車両1に適当な減速度を生じさせるためのトルク低減量であり、車速やバッテリ2が回収可能な回生電力量を考慮に入れずに決定される基本的な値である。
具体的には、駆動力制御部30は、目標ヨー加速度と基本制御介入トルクとの関係を示すマップを参照し、ステップS25においてヨー加速度算出部26が算出した目標ヨー加速度に対応する基本制御介入トルクを特定する。
図7は、本発明の実施形態による駆動力制御部30が目標ヨー加速度に基づいて基本制御介入トルクを決定する際に参照するマップである。この図7における横軸は目標ヨー加速度を示し、縦軸は基本制御介入トルクを示す。図7に示すように、目標ヨー加速度が増大するに従って、この目標ヨー加速度に対応する基本制御介入トルクは、所定の上限値(図7においては12Nm)に漸近する。即ち、駆動力制御部30は、目標ヨー加速度が増大するほど、基本制御介入トルクを増大させ且つこの増大量の増大割合を低減させるように制御する。
次いで、ステップS27において、勾配取得部28は、車両1の位置における路面の勾配を取得する。具体的には、勾配取得部28は、車速センサ14から入力された車速を時間微分することにより算出した車両1の前後方向の加速度と、加速度センサ18から入力された車両1の前後方向の加速度とに基づき、車両1に働く重力加速度の前後方向成分を算出し、その前後方向成分の大きさに基づき、車両1の位置における路面の勾配を算出する。あるいは、勾配取得部28は、GPS等により特定した車両1の現在位置と、路面の勾配を含む地図データとに基づき、車両1の現在位置における路面の勾配を取得する。
次いで、ステップS28において、駆動力制御部30は、ステップS27において取得した路面の勾配に基づき、基本制御介入トルクを補正するための補正係数K1を決定する。具体的には、駆動力制御部30は、路面の勾配と補正係数K1との関係を示すマップを参照し、ステップS27において取得した路面の勾配に対応する補正係数K1を特定する。
図8(a)は、本発明の実施形態による駆動力制御部30が路面の勾配に基づいて基本制御介入トルクの補正係数を決定する際に参照するマップである。この図8(a)における横軸は路面の勾配(上り勾配は正、下り勾配は負)を示し、縦軸は補正係数K1を示す。図8(a)に示すように、補正係数K1は、路面の勾配が0radである場合に1であり、勾配が正(上り勾配)の場合に1より大きく、勾配が負(下り勾配)の場合に1より小さく、路面の勾配が大きくなるほど値が増大するように設定されている。
即ち、駆動力制御部30は、路面が平坦である場合には基本制御介入トルクの補正を行なわず、路面が下り勾配である場合には基本制御介入トルクを減少させ、路面が上り勾配である場合には基本制御介入トルクを増大させるように補正を行う。また、路面の勾配の絶対値が増大するほど(即ち勾配が急になるほど)、基本制御介入トルクの補正量が増大するようになっている。
次いで、ステップS29において、駆動力制御部30は、ステップS23において取得したバッテリ2の状態に基づき、制御介入受入可能トルクを決定する。この制御介入受入可能トルクは、バッテリ2が回収可能な最大回生電力量に対応するモータ6のトルク低減量である。
具体的には、駆動力制御部30は、バッテリ2のSOC及び温度に基づき、バッテリ2がモータ6から回収可能な回生電力量及びバッテリ2に通電可能な最大電流を特定し、これらの回生電力量及び最大電流に基づき、モータ6に許容する回生電力を算出する。そして、この許容回生電力に対応する回生トルクを、制御介入受入可能トルクとして算出する。
次いで、ステップS30において、駆動力制御部30は、ステップS26において駆動力制御部30が決定した基本制御介入トルクを補正した補正制御介入トルクを決定する。具体的には、駆動力制御部30は、ステップS28において決定した補正係数K1をステップS26において決定した基本制御介入トルクに乗じたトルク値と、ステップS29において決定した制御介入受入可能トルクの内、小さい方を補正制御介入トルクとして決定する。
次いで、ステップS31において、駆動力制御部30は、モータ6のトルク低減量がステップS30において決定した補正制御介入トルクとなるように、モータ6が発生させる回生電力量を制御する。具体的には、駆動力制御部30は、ステップS30において決定した補正制御介入トルクに対応する回生電力をモータ6が発生させるように、インバータ8内の回生回路を制御する。これにより、駆動力制御部30は、補正制御介入トルクに対応する大きさの駆動力を減少させる。
また、ステップS24において、モータ6が発生させる回生電力をバッテリ2が回収可能ではない場合(即ち、バッテリ2のSOCが所定値より大きい場合、又はバッテリ2の温度が所定温度より高い場合)、ステップS32に進み、駆動力制御部30は、車両用挙動制御装置20が車両1の駆動力を低減させる制御を実行できない旨の情報をインジケータ22に表示させる。
ステップS31又はS32の後、駆動力制御部30は、ステップS21に戻る。
以降、ステップS21において操舵角がθ2未満となるか、又は、ステップS22において操舵角の絶対値が一定又は減少中となるまで、駆動力制御部30は、ステップS21からS32の処理を繰り返し、ステップS21において操舵角がθ2未満となるか、又は、ステップS22において操舵角の絶対値が一定又は減少中となった場合、駆動力制御部30は図3の挙動制御処理に戻る。
次に、図6により、挙動制御処理のステップS5において実行される切り返し中挙動制御処理について説明する。
図6に示すように、切り返し中挙動制御処理が開始されると、ステップS41において、駆動力制御部30は、図3の挙動制御処理のステップS1において取得した操舵角の絶対値が増大中か否かを判定する。その結果、操舵角の絶対値が増大中である場合、ステップS42に進み、駆動力制御部30は、バッテリ状態検出部24により検出されたバッテリ2のSOC及び温度を取得する。
次いで、ステップS43において、駆動力制御部30は、ステップS42において取得したバッテリ2の状態に基づき、モータ6が発生させる回生電力をバッテリ2が回収可能か否か判定する。駆動力制御部30は、バッテリ2のSOCが所定値以下であり、且つバッテリ2の温度が所定温度以下の場合に、モータ6が発生させる回生電力をバッテリ2が回収可能と判定する。
その結果、モータ6が発生させる回生電力をバッテリ2が回収可能である場合、ステップS44に進み、ヨー加速度算出部26は、操舵角センサ12から入力された操舵角と、車速センサ14から入力された車速とに基づき、車両1の目標ヨーレートを算出し、この目標ヨーレートに基づき、車両1の目標ヨー加速度を算出する。
次いで、ステップS45において、駆動力制御部30は、ステップS44においてヨー加速度算出部26が算出した目標ヨー加速度に基づき、モータ6の基本制御介入トルクを取得する。基本制御介入トルクの取得方法は、図5のステップS26における基本制御介入トルクの特定方法と同様である。
次いで、ステップS46において、駆動力制御部30は、ステップS45において取得した基本制御介入トルクから、この切り返し中挙動制御処理において前回決定された基本制御介入トルクを減算した値が、d1(例えば0.5Nm)以下か否かを判定する。なお、この切り返し中挙動制御処理において初めてステップS46が実行される場合には、「前回決定された基本制御介入トルク」を0とする。
その結果、ステップS45において取得した基本制御介入トルクから、この切り返し中挙動制御処理において前回決定された基本制御介入トルクを減算した値が、d1以下である場合、ステップS47に進み、駆動力制御部30は、ステップS45において取得した基本制御介入トルクを、今回の基本制御介入トルクとして決定する。
一方、ステップS45において取得した基本制御介入トルクから、この切り返し中挙動制御処理において前回決定された基本制御介入トルクを減算した値が、d1以下ではない(d1より大きい)場合、ステップS48に進み、駆動力制御部30は、前回決定された基本制御介入トルクに所定値T1(例えば1Nm)を加算した値を取得する。次いで、ステップS47において、駆動力制御部30は、ステップS48で取得した値を、今回の基本制御介入トルクとして決定する。
ステップS47の後、ステップS49に進み、勾配取得部28は、車両1の位置における路面の勾配を取得する。路面の勾配の取得方法は、図5のステップS27における路面の勾配の取得方法と同様である。
次いで、ステップS50において、駆動力制御部30は、ステップS49において取得した路面の勾配に基づき、基本制御介入トルクを補正するための補正係数K1を決定する。補正係数K1の決定方法は、図5のステップS28における路面の補正係数K1の決定方法と同様である。
次いで、ステップS51において、駆動力制御部30は、ステップS42において取得したバッテリ2の状態に基づき、制御介入受入可能トルクを決定する。
次いで、ステップS52において、駆動力制御部30は、ステップS47において駆動力制御部30が決定した基本制御介入トルクを補正した補正制御介入トルクを決定する。具体的には、駆動力制御部30は、ステップS50において決定した補正係数K1をステップS47において決定した基本制御介入トルクに乗じたトルク値と、ステップS51において決定した制御介入受入可能トルクの内、小さい方を補正制御介入トルクとして決定する。
次いで、ステップS53において、駆動力制御部30は、モータ6のトルク低減量がステップS52において決定した補正制御介入トルクとなるように、モータ6が発生させる回生電力量を制御する。
また、ステップS43において、モータ6が発生させる回生電力をバッテリ2が回収可能ではない場合、ステップS54に進み、駆動力制御部30は、車両用挙動制御装置20が車両1の駆動力を低減させる制御を実行できない旨の情報をインジケータ22に表示させる。
ステップS53又はS54の後、駆動力制御部30は、ステップS41に戻る。
以降、ステップS41において操舵角の絶対値が一定又は減少中となるまで、駆動力制御部30は、ステップS41からS54の処理を繰り返す。
また、ステップS41において、操舵角の絶対値が増大中ではない(一定又は減少中である)場合、ステップS55に進み、ヨー加速度算出部26は、操舵角センサ12から入力された操舵角と、車速センサ14から入力された車速とに基づき、車両1の目標ヨーレートを算出し、この目標ヨーレートに基づき、車両1の目標ヨー加速度を算出する。
次いで、ステップS56において、駆動力制御部30は、ステップS55においてヨー加速度算出部26が算出した目標ヨー加速度に基づき、モータ6のトルク増大量(駆動制御介入トルク)を決定する。この駆動制御介入トルクは、切り返し操舵が行なわれ且つ車両1の操舵角の絶対値が減少している場合に、車両1に適当な加速度を生じさせるためのトルク増大量である。
例えば、駆動力制御部30は、基本制御介入トルクを決定する場合と同様に、図4に例示したマップを参照して駆動制御介入トルクを決定する。即ち、駆動力制御部30は、目標ヨー加速度が増大するほど、駆動制御介入トルクを増大させ且つこの増大量の増大割合を低減させるように制御する。
次いで、ステップS57において、勾配取得部28は、車両1の位置における路面の勾配を取得する。路面の勾配の取得方法は、図5のステップS27における路面の勾配の取得方法と同様である。
次いで、ステップS58において、駆動力制御部30は、ステップS57において取得した路面の勾配に基づき、駆動制御介入トルクを補正するための補正係数K2を決定する。
具体的には、駆動力制御部30は、路面の勾配と補正係数K2との関係を示すマップを参照し、ステップS57において取得した路面の勾配に対応する補正係数K2を特定する。
図8(b)は、本発明の実施形態による駆動力制御部30が路面の勾配に基づいて駆動制御介入トルクの補正係数を決定する際に参照するマップである。この図8(b)における横軸は路面の勾配(上り勾配は正、下り勾配は負)を示し、縦軸は補正係数K2を示す。図8(b)に示すように、補正係数K2は、路面の勾配が0radである場合に1であり、勾配が正(上り勾配)の場合に1より小さく、勾配が負(下り勾配)の場合に1より大きく、路面の勾配が大きくなるほど値が減少するように設定されている。
即ち、駆動力制御部30は、路面が平坦である場合には駆動制御介入トルクの補正を行なわず、路面が下り勾配である場合には駆動制御介入トルクを増大させ、路面が上り勾配である場合には駆動制御介入トルクを減少させるように補正を行う。また、路面の勾配の絶対値が増大するほど(即ち勾配が急になるほど)、駆動制御介入トルクの補正量が増大するようになっている。
次いで、ステップS59において、駆動力制御部30は、ステップS56において駆動力制御部30が決定した駆動制御介入トルクを補正した補正制御介入トルクを決定する。具体的には、駆動力制御部30は、ステップS58において決定した補正係数K2をステップS56において決定した駆動制御介入トルクに乗じたトルク値を補正制御介入トルクとして決定する。
次いで、ステップS60において、駆動力制御部30は、モータ6のトルク増大量がステップS59において決定した補正制御介入トルクとなるように、モータ6に供給する供給電力量を制御する。具体的には、駆動力制御部30は、ステップS59において決定した補正制御介入トルクに対応する電力をモータ6に供給するように、インバータ8内の電力供給回路を制御する。これにより、駆動力制御部30は、補正制御介入トルクに対応する大きさの駆動力を増大させる。
次いで、ステップS61において、駆動力制御部30は、図3の挙動制御処理のステップS1において取得した操舵角がθ2以上か否かを判定する。その結果、操舵角がθ2以上である場合、駆動力制御部30はステップS41に戻る。
一方、操舵角がθ2以上ではない(θ2未満である)場合、車両用挙動制御装置20は、操舵が行われていないため車両1の挙動を制御する必要がないものとし、図3の挙動制御処理に戻る。
次に、図9により、本発明の実施形態による車両用挙動制御装置20の作用を説明する。図9は、本発明の実施形態による車両用挙動制御装置20を搭載した車両1がレーンチェンジを行う場合における、車両用挙動制御装置20による挙動制御に関するパラメータの時間変化を示す線図である。
図9(a)は、レーンチェンジを行う車両1を概略的に示す平面図である。この図9(a)に示すように、車両1は、位置Aから位置Bを経由して位置Cまで右に旋回し、位置Cから位置Dを経由して位置Eまで左に旋回することにより、右側の車線にレーンチェンジする。
図9(b)は、図9(a)に示したようにレーンチェンジを行う車両1の操舵角の変化を示す線図である。図9(b)における横軸は時間を示し、縦軸は操舵角を示す(右向きが正)。
この図9(b)に示すように、位置Aにおいて右向きの操舵が開始され、ステアリングの切り込み操作が行われることにより右向きの操舵角が徐々に増大し、位置Bにおいて右向きの操舵角が最大となる。その後、ステアリングの切り戻し操作が行われることにより右向きの操舵角が徐々に減少し、位置Cにおいて操舵角が0になる。次いで、位置Cから左向きに切り返し操舵が開始され、位置Dにおいて左向きの操舵角が最大となり、その後左向きの操舵角が徐々に減少し、位置Eにおいて再び操舵角が0になる。
図9(c)は、図9(b)に示した車両1の操舵角に基づき算出された目標ヨーレートの変化を示す線図である。図9(c)における横軸は時間を示し、縦軸は目標ヨーレートを示す(時計回り(CW)が正)。
この図9(c)に示すように、車両1の目標ヨーレートは、操舵角の変化に比例して変化する。即ち、位置Aにおいて右向きの操舵が開始されると、時計回り(CW)の目標ヨーレートが算出され、位置Bにおいて時計回りの目標ヨーレートが最大になる。その後、時計回りの目標ヨーレートは徐々に減少し、位置Cにおいて目標ヨーレートは0になる。次いで、位置Cにおいて左向きの切り返し操舵が開始されると、車両1には反時計回り(CCW)の目標ヨーレートが発生し、位置Dにおいて反時計回りの目標ヨーレートが最大になる。その後、反時計回りの目標ヨーレートは徐々に減少し、位置Eにおいて目標ヨーレートは0になる。但し、位置Bから位置Cにおいては、ステアリングの切り戻し操作が行われているので、図5の切り返し前挙動制御処理のステップS22において駆動力制御部30は操舵角の絶対値が増大中ではないと判定し、切り返し前挙動制御処理を終了する。従って、位置Bから位置Cにおいては、駆動力制御部30は目標ヨーレートの算出を行わない。
図9(d)は、図9(c)に示した目標ヨーレートに基づき算出された目標ヨー加速度の変化を示す線図である。図9(d)における横軸は時間を示し、縦軸は目標ヨー加速度を示す(時計回り(CW)が正)。
車両1の目標ヨー加速度は、車両1の目標ヨーレートの時間微分により表される。即ち、図9(d)に示すように、位置Aにおいて右向きの操舵が開始され、時計回りの目標ヨーレートが算出されると、時計回り(CW)の目標ヨー加速度が算出され、位置Aと位置Bとの間において時計回りの目標ヨー加速度が極大になる。その後、時計回りの目標ヨー加速度は減少し、位置Bにおいて時計回りの目標ヨーレートが極大になると、目標ヨー加速度は0になる。更に、位置Bから位置Cまで時計回りの目標ヨーレートが減少すると、反時計回り(CCW)の目標ヨー加速度が算出され、位置Cにおいて極大になる。次いで、位置Cにおいて左向きの切り返し操舵が開始され、反時計回りの目標ヨーレートが算出され、位置Dにおいて反時計回りの目標ヨーレートが極大になるまで、反時計回りの目標ヨー加速度は減少し、位置Dにおいて目標ヨー加速度は0になる。その後、位置Dから位置Eまで反時計回りのヨーレートが減少すると、時計回りの目標ヨー加速度が算出され、位置Dと位置Eの間において時計回りの目標ヨー加速度が極大になった後、位置Eにおいて目標ヨー加速度は0になる。但し、位置Bから位置Cにおいては、ステアリングの切り戻し操作が行われているので、図5の切り返し前挙動制御処理のステップS22において駆動力制御部30は操舵角の絶対値が増大中ではないと判定し、切り返し前挙動制御処理を終了する。従って、位置Bから位置Cにおいては、駆動力制御部30は目標ヨー加速度の算出を行わない。
図9(e)は、図9(d)に示した目標ヨー加速度に基づいて駆動力制御部30が決定したモータ6のトルク制御量の変化を示す線図である。図9(e)における横軸は時間を示し、縦軸はトルク制御量を示す(トルク増大が正)。また、図9(e)における実線は、駆動力制御部30が決定した基本制御介入トルク及び駆動制御介入トルクを示し、点線は、路面が下り勾配(路面の勾配が負)である場合に駆動力制御部30が決定した補正制御介入トルクを示し、破線は、路面が上り勾配(路面の勾配が正)である場合に駆動力制御部30が決定した補正制御介入トルクを示している。
なお、この図9(e)は、図5の切り返し前挙動制御処理のステップS30において駆動力制御部30が決定した補正制御介入トルクが、ステップS28において決定した補正係数K1をステップS26において決定した基本制御介入トルクに乗じたトルク値であるケース、及び、図6の切り返し中挙動制御処理のステップS52において駆動力制御部30が決定した補正制御介入トルクが、ステップS50において決定した補正係数K1をステップS47において決定した基本制御介入トルクに乗じたトルク値であるケース(即ち、補正係数K1を基本制御介入トルクに乗じたトルク値が、制御介入受入可能トルクよりも小さいケース)を示している。
上述したように、駆動力制御部30は、切り返し操舵が行なわれていない場合、目標ヨー加速度が増大するほど、基本制御介入トルクを増大させ且つこの増大量の増大割合を低減させるように制御する。従って、位置Aから位置Bの間において時計回りの目標ヨー加速度が算出されると、図9(e)に実線で示すように、目標ヨー加速度の増大に伴って基本制御介入トルクが増大し、位置Aと位置Bとの間において時計回りの目標ヨー加速度が極大になると、基本制御介入トルクも極大になる。その後、時計回りの目標ヨー加速度の減少に伴って基本制御介入トルクも減少し、位置Bにおいて目標ヨー加速度が0になると、基本制御介入トルクも0になる。
ここで、駆動力制御部30は、図5の切り返し前挙動制御処理のステップS28において決定した補正係数K1を基本制御介入トルクに乗じることにより補正制御介入トルクを決定し、その補正制御介入トルクに対応する大きさの駆動力を減少させる。上述したように、駆動力制御部30は、路面が平坦である場合には基本制御介入トルクの補正を行なわず、路面が下り勾配である場合には基本制御介入トルクを減少させ、路面が上り勾配である場合には基本制御介入トルクを増大させるように補正係数K1を決定する。従って、路面が下り勾配である場合、補正制御介入トルクは基本制御介入トルクよりも小さくなり、図9(e)に点線で示すように、トルク低減量は小さくなる。一方、路面が上り勾配である場合、補正制御介入トルクは基本制御介入トルクよりも大きくなり、図9(e)に破線で示すように、トルク低減量は大きくなる。
位置Bから位置Cにおいては、ステアリングの切り戻し操作が行われているので、図5の切り返し前挙動制御処理のステップS22において、駆動力制御部30は操舵角の絶対値が増大中ではないと判定し、切り返し前挙動制御処理を終了する。従って、位置Bから位置Cにおいては、駆動力制御部30はトルク低減を行なわない(即ち、トルク低減量=0)。
次いで、位置Cにおいて左向きの切り返し操舵が開始されると、図9(e)において実線で示すように、駆動力制御部30は、基本制御介入トルクを、目標ヨー加速度に対応する基本制御介入トルクに達するまで一定の傾きで増大させ、その後は、目標ヨー加速度が増大するほど、基本制御介入トルクを増大させ且つこの増大量の増大割合を低減させるように制御する。次いで、位置Cから位置Dまで反時計回りの目標ヨー加速度が減少するにつれて、基本制御介入トルクも減少し、位置Dにおいて目標ヨー加速度が0になると、基本制御介入トルクも0になる。
ここで、駆動力制御部30は、図6の切り返し中挙動制御処理のステップS50において決定した補正係数K1を基本制御介入トルクに乗じることにより補正制御介入トルクを決定し、その補正制御介入トルクに対応する大きさの駆動力を減少させる。上述したように、駆動力制御部30は、路面が平坦である場合には基本制御介入トルクの補正を行なわず、路面が下り勾配である場合には基本制御介入トルクを減少させ、路面が上り勾配である場合には基本制御介入トルクを増大させるように補正係数K1を決定する。従って、路面が下り勾配である場合、補正制御介入トルクは基本制御介入トルクよりも小さくなり、図9(e)に点線で示すように、トルク低減量は小さくなる。一方、路面が上り勾配である場合、補正制御介入トルクは基本制御介入トルクよりも大きくなり、図9(e)に破線で示すように、トルク低減量は大きくなる。
更に、位置Dにおいて切り返し操舵におけるステアリングの切り戻し操作が開始されることにより、左向きの操舵角が減少すると、駆動力制御部30は、目標ヨー加速度に応じて、車両1の駆動制御介入トルクを増大させる。即ち、図9(e)に示すように、位置Dから位置Eの間において時計回りの目標ヨー加速度が算出されると、目標ヨー加速度の増大に伴って駆動制御介入トルクが増大し、位置Dと位置Eとの間において時計回りの目標ヨー加速度が極大になると、駆動制御介入トルクも極大になる。その後、時計回りの目標ヨー加速度の減少に伴って駆動制御介入トルクも減少し、位置Eにおいて目標ヨー加速度が0になると、駆動制御介入トルクも0になる。
ここで、駆動力制御部30は、図6の切り返し中挙動制御処理のステップS58において決定した補正係数K2を駆動制御介入トルクに乗じることにより補正制御介入トルクを決定し、その補正制御介入トルクに対応する大きさの駆動力を増大させる。上述したように、駆動力制御部30は、路面が平坦である場合には駆動制御介入トルクの補正を行なわず、路面が下り勾配である場合には駆動制御介入トルクを増大させ、路面が上り勾配である場合には駆動制御介入トルクを減少させるように補正係数K2を決定する。従って、路面が下り勾配である場合、補正制御介入トルクは駆動制御介入トルクよりも大きくなり、図9(e)に点線で示すように、トルク増大量は大きくなる。一方、路面が上り勾配である場合、補正制御介入トルクは駆動制御介入トルクよりも小さくなり、図9(e)に破線で示すように、トルク増大量は小さくなる。
図9(f)は、図9(b)に示したように操舵が行われる車両1において、図9(e)に示したようにモータ6のトルク制御を行った場合に車両1に発生するヨーレート(実ヨーレート)の変化を示す線図である。図9(f)における横軸は時間を示し、縦軸はヨーレートを示す(時計回り(CW)が正)。また、図9(f)における実線は、モータ6のトルク制御を行った場合の実ヨーレートの変化を示し、破線は、位置Dと位置Eとの間においてモータ6のトルク制御を行わなかった場合の実ヨーレートの変化を示す。
位置Aにおいて右向きの操舵が開始され、時計回りの目標ヨー加速度が増大するにつれて図9(e)に示したようにトルク低減量が増大すると、車両1の操舵輪である前輪の荷重が増加する。その結果、前輪と路面との間の摩擦力が増加し、前輪のコーナリングフォースが増大するので、車両1の回頭性が向上する。
また、位置Cにおいて左向きの操舵が開始され、反時計回りの目標ヨー加速度に応じて図9(e)に示したようにトルク低減量が増大すると、車両1の操舵輪である前輪の荷重が増加し、前輪のコーナリングフォースが増大するので、車両1の回頭性が向上する。
ここで、図9(e)に示したように、ステアリングの切り込み操作が行われているときに、路面が下り勾配である場合、駆動力制御部30は、トルク低減量を路面が平坦である場合よりも小さくなるように補正し、トルク低減による前輪荷重の増大量を減少させる。これにより、路面の下り勾配により前輪に加わる荷重が増大していても、前輪に加わる荷重の合計値は路面が平坦である場合と同程度に調整されるので、ステアリングの切り込み操作中における車両1の挙動は路面が平坦な場合と同様のものになる。また、路面が上り勾配である場合、駆動力制御部30は、トルク低減量を路面が平坦である場合よりも大きくなるように補正し、トルク低減による前輪荷重の増大量を増大させる。これにより、路面の上り勾配により前輪に加わる荷重が減少していても、前輪に加わる荷重の合計値は路面が平坦である場合と同程度に調整されるので、ステアリングの切り込み操作中における車両1の挙動は路面が平坦な場合と同様のものになる。
更に、位置Dにおいて切り返し操舵におけるステアリングの切り戻し操作が開始され、時計回りの目標ヨー加速度が増大するにつれて図9(e)に示したようにトルク増大量が増大すると、車両1の後輪の荷重が増加する。その結果、後輪のコーナリングフォースが増大し、車両1の直進性が向上するので、位置Dと位置Eとの間においてモータ6のトルク制御を行わなかった場合よりも、モータ6のトルク制御を行った場合の方が実ヨーレートの収束が早くなる。
ここで、図9(e)に示したように、ステアリングの切り戻し操作が行われているときに、路面が下り勾配である場合、駆動力制御部30は、トルク増大量を路面が平坦である場合よりも大きくなるように補正し、トルク増大による後輪荷重の増大量を増大させる。これにより、路面の下り勾配により後輪に加わる荷重が減少していても、後輪に加わる荷重の合計値は路面が平坦である場合と同程度に調整されるので、ステアリングの切り戻し操作中における車両1の挙動は路面が平坦な場合と同様のものになる。また、路面が上り勾配である場合、駆動力制御部30は、トルク増大量を路面が平坦である場合よりも小さくなるように補正し、トルク増大による後輪荷重の増大量を減少させる。これにより、路面の上り勾配により後輪に加わる荷重が増大していても、後輪に加わる荷重の合計値は路面が平坦である場合と同程度に調整されるので、ステアリングの切り戻し操作中における車両1の挙動は路面が平坦な場合と同様のものになる。
次に、本発明の実施形態のさらなる変形例を説明する。
上述した実施形態においては、車両用挙動制御装置20を搭載する車両1は、動力源としてバッテリ2を搭載すると説明したが、動力源としてガソリンエンジンやディーゼルエンジンを搭載する車両1に車両用挙動制御装置20を搭載してもよい。この場合、駆動力制御部30は、ヨー加速度に応じて燃料噴射量やトランスミッションを制御し、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンによる駆動力を低減させる。
また、上述した実施形態においては、駆動力制御部30は、ヨー加速度算出部26が算出した目標ヨー加速度に基づき、モータ6のトルク制御量を決定すると説明したが、車両1のヨーレートに関連する他のパラメータに基づいてモータ6のトルク制御量を決定するようにしてもよい。
例えば、ヨー加速度算出部26は、ヨーレートセンサ16から入力されたヨーレートに基づき、車両1に発生するヨー加速度を算出し、駆動力制御部30は、このように算出されたヨー加速度に基づき、モータ6のトルク制御量を決定するようにしてもよい。この場合、駆動力制御部30は、車両1に発生するヨー加速度が増大するほど、車両1のモータ6のトルク低減量又はトルク増大量を増大させ且つこの増大量の増大割合を低減させるように制御する。
あるいは、車両1に搭載された加速度センサ18により、車両1の旋回に伴って発生する横加速度を検出し、この横加速度に基づき、駆動力制御部30がモータ6のトルク制御量を決定するようにしてもよい。この場合、駆動力制御部30は、車両1に発生する横加速度が増大するほど、車両1のモータ6のトルク低減量又はトルク増大量を増大させ且つこの増大量の増大割合を低減させるように制御する。
また、上述した実施形態では、ステアリングの切り戻し操作が行われているときに、路面が下り勾配である場合、駆動力制御部30は、トルク増大量を路面が平坦である場合よりも大きくなるように補正し、路面が上り勾配である場合、駆動力制御部30は、トルク増大量を路面が平坦である場合よりも小さくなるように補正すると説明したが、このように路面の勾配に応じてトルク増大量を変化させることに代えて、又は、路面の勾配に応じてトルク増大量を変化させると共に、駆動力制御を行うタイミングを変化させてもよい。
図10は、本発明の実施形態の変形例による車両用挙動制御装置20を搭載した車両1がレーンチェンジを行う場合における、車両用挙動制御装置20による挙動制御に関するパラメータの時間変化を示す線図であり、図10(a)から図10(d)は図9(a)から図9(d)と同じ線図を示している。また、図10(e)は、本実施形態の変形例による駆動力制御部30が目標ヨー加速度に基づいて決定したモータ6のトルク制御量の変化を示す線図である。図10における横軸は時間を示し、縦軸はトルク制御量を示す(トルク増大が正)。また、図10における実線は、駆動力制御部30が決定した基本制御介入トルク及び駆動制御介入トルクを示し、点線は、路面が下り勾配(路面の勾配が負)である場合に駆動力制御部30が決定した補正制御介入トルクを示し、破線は、路面が上り勾配(路面の勾配が正)である場合に駆動力制御部30が決定した補正制御介入トルクを示している。
ステアリングの切り返し操舵中において路面が下り勾配である場合、図10(e)において点線で示すように、駆動力制御部30は、ステアリングの切り戻し操舵に対応して駆動力制御を行うタイミングを早める。例えば、駆動力制御部30は、ステアリングの切り返し操舵中にカメラやGPS等によって車両前方の状況を認識し、ステアリングの切り戻し操舵が開始されるタイミングや、切り戻し操舵中の操舵角、目標ヨーレート、及び目標ヨー加速度の時間変化を予測する。そして、駆動力制御部30は、ステアリングの切り戻し操舵が開始されるタイミングよりも早いタイミングで車両1の駆動力の増大を開始し、予測した目標ヨー加速度に応じて車両1の駆動力を増大させる。これにより、路面の下り勾配により後輪に加わる荷重が減少していても、後輪に加わる荷重の合計値は路面が平坦である場合と同程度に調整されるので、ステアリングの切り戻し操作中における車両1の挙動は路面が平坦な場合と同様のものになる。
一方、ステアリングの切り返し操舵中において路面が上り勾配である場合、図10(e)において破線で示すように、駆動力制御部30は、ステアリングの切り戻し操舵に対応して駆動力制御を行うタイミングを遅くする。即ち、駆動力制御部30は、ステアリングの切り戻し操舵が開始されるタイミングよりも遅いタイミングで車両1の駆動力の増大を開始し、予測した目標ヨー加速度に応じて車両1の駆動力を増大させる。これにより、路面の上り勾配により後輪に加わる荷重が増大していても、後輪に加わる荷重の合計値は路面が平坦である場合と同程度に調整されるので、ステアリングの切り戻し操作中における車両1の挙動は路面が平坦な場合と同様のものになる。
次に、上述した本発明の実施形態及び本発明の実施形態の変形例による車両用挙動制御装置20の効果を説明する。
まず、車両用挙動制御装置20の駆動力制御部30は、切り返し操舵が行なわれていない場合(例えば、レーンチェンジ初期の切り返し前の状態)、車両1の操舵が開始され、車両1の目標ヨー加速度が増大し始めると、駆動力の低減量を迅速に増大させるので、車両1の操舵開始時において減速度を迅速に車両1に生じさせ、十分な荷重を操舵輪である前輪に迅速に加えることができる。これにより、操舵輪である前輪と路面との間の摩擦力が増加し、前輪のコーナリングフォースが増大するので、カーブ進入初期における車両1の回頭性を向上することができ、ステアリングの切り込み操作に対する応答性を向上できる。また、駆動力制御部30は、目標ヨー加速度が増大するほど、車両1の駆動力の低減量の増大割合を低減させるので、カーブ走行中に車両1に発生させる減速度が過大にならず、操舵終了時に減速度を迅速に減少させることができる。従って、カーブ脱出時において、ドライバが駆動力低減の引きずり感を感じることを防止できる。また、駆動力制御部30は、路面の勾配が下り勾配である場合、駆動力の低減量を減少させ、路面の勾配が上り勾配である場合、駆動力の低減量を増大させるように補正するので、路面の下り勾配により前輪に加わる荷重が増大していても、あるいは、路面の上り勾配により前輪に加わる荷重が減少していても、前輪に加わる荷重の合計値は路面が平坦である場合と同程度に調整され、ステアリングの切り込み操作中における車両1の挙動は路面が平坦な場合と同様のものになる。これにより、勾配のある路面を走行している場合においても、平坦な路面を走行している場合と同様に、車両1の回頭性を向上させることができ、車両1のコーナリング時におけるドライバの操作が自然で安定したものとなるように車両1の挙動を制御することができる。
また、駆動力制御部30は、切り返し操舵が行なわれ且つ車両1の操舵角の絶対値が減少している場合(例えば、レーンチェンジ後期においてドライバがステアリングを中立位置に戻そうとしている場合)、車両1の駆動力を増大させるので、車両1の直進復帰のための操舵時において加速度を車両1に生じさせ、後輪の荷重を増大させることができる。これにより、後輪のコーナリングフォースが増大するので、車両1の直進性を向上することができ、車両1のヨーレートを確実に収束させることができる。
さらに、駆動力制御部30は、切り返し操舵が行なわれ且つ車両1の操舵角の絶対値が減少している場合において、路面の勾配が下り勾配である場合、駆動力の増大量を増大させ、路面の勾配が上り勾配である場合、駆動力の増大量を減少させるように補正するので、路面の下り勾配により後輪に加わる荷重が減少していても、あるいは、路面の上り勾配により後輪に加わる荷重が増大していても、後輪に加わる荷重の合計値は路面が平坦である場合と同程度に調整されるので、ステアリングの切り戻し操作中における車両1の挙動は路面が平坦な場合と同様のものになる。これにより、勾配のある路面を走行している場合においても、平坦な路面を走行している場合と同様に、車両1のヨーレートを収束させることができ、車両1のコーナリング時におけるドライバの操作が自然で安定したものとなるように車両1の挙動を制御することができる。
特に、駆動力制御部30は、路面の勾配の絶対値が増大するほど、駆動力制御量の補正量を増大させるので、路面の勾配に応じて前輪や後輪に加わる荷重が変化しても、その変化の度合い応じて駆動力制御量の補正量を変化させることができ、これにより、前輪や後輪に加わる荷重の合計値を、路面が平坦である場合と同程度に調整することができる。従って、勾配のある路面を走行している場合においても、平坦な路面を走行している場合と同様に、車両1の回頭性を向上させ、あるいは、車両1のヨーレートを収束させることができ、車両1のコーナリング時におけるドライバの操作が自然で安定したものとなるように車両1の挙動を制御することができる。
特に、車両1は、車輪を駆動するモータ6と、このモータ6に電力を供給すると共にモータ6が発生させた回生電力を回収するバッテリ2とを有する電動駆動車両であり、駆動力制御部30は、目標ヨー加速度に応じて、モータ6が発生させる回生電力量を制御することにより、車両1の駆動力を低減させる。即ち、駆動力制御部30は、車両1の目標ヨー加速度に応じてモータ6のトルクを低減させるので、直接的に車両1の駆動力を低減させることができる。従って、油圧ブレーキユニットを制御することにより車両1の駆動力を低減させる場合と比較して、駆動力低減の応答性を高めることができ、よりダイレクトに車両1の挙動を制御することができる。
さらに、駆動力制御部30は、バッテリ2の状態に基づき、モータ6が発生させる回生電力をバッテリ2が回収できないと判定した場合、車両1の駆動力を低減させず、且つ、車両1の駆動力を低減させない旨の情報をインジケータ22に表示させる。即ち、駆動力制御部30は、モータ6が発生させる回生電力をバッテリ2に回収させるとバッテリ2が過充電になる場合や、バッテリ2の温度が許容温度範囲を超えてしまう場合、モータ6のトルクを低減させず、回生電力を発生させないので、バッテリ2の損傷を防止することができる。また、駆動力制御部26は、車両1の駆動力を低減させない旨の情報をインジケータ22に表示させるので、カーブ進入時に駆動力が低減されないことによりドライバが違和感を覚えることを防止できる。
1 車両
2 バッテリ
4 駆動輪
6 モータ
8 インバータ
10 ステアリングホイール
12 操舵角センサ
14 車速センサ
16 ヨーレートセンサ
18 加速度センサ
20 車両用挙動制御装置
22 インジケータ
24 バッテリ状態検出部
26 ヨー加速度算出部
28 勾配取得部
30 駆動力制御部

Claims (5)

  1. 前輪が操舵される車両の挙動を制御する車両用挙動制御装置において、
    上記車両のヨーレートに関連するヨーレート関連量を取得するヨーレート関連量取得手段と、
    上記ヨーレート関連量取得手段により取得されたヨーレート関連量に応じて上記車両の駆動力を低減させるように制御する駆動力制御手段と、
    上記車両の位置における路面の勾配を取得する勾配取得手段と、を有し、
    上記駆動力制御手段は、上記ヨーレート関連量が増大するほど、上記車両の駆動力の低減量を増大させ且つこの増大量の増加割合を低減させるように上記車両の駆動力を制御するための駆動力制御量を決定する駆動力制御量決定手段と、上記路面の勾配が下り勾配である場合、上記駆動力制御量決定手段により決定された駆動力制御量を減少させ、上記路面の勾配が上り勾配である場合、上記駆動力制御量決定手段により決定された駆動力制御量を増大させるように補正する駆動力制御量補正手段とを備え、この駆動力制御量補正手段により補正された駆動力制御量に基づき上記車両の駆動力を制御する、ことを特徴とする車両用挙動制御装置。
  2. さらに、上記車両において切り返し操舵が行われたか否かを判定する切り返し操舵判定手段を有し、
    上記駆動力制御量決定手段は、上記切り返し操舵判定手段により切り返し操舵が行なわれたと判定され且つ上記車両の操舵角の絶対値が減少している場合、上記車両の駆動力を増大させるように上記駆動力制御量を決定し、
    上記駆動力制御量補正手段は、上記切り返し操舵判定手段により切り返し操舵が行なわれたと判定され且つ上記車両の操舵角の絶対値が減少している場合において、上記路面の勾配が下り勾配である場合、上記駆動力制御量決定手段により決定された駆動力制御量を増大させ、上記路面の勾配が上り勾配である場合、上記駆動力制御量決定手段により決定された駆動力制御量を減少させるように補正する、請求項1に記載の車両用挙動制御装置。
  3. 上記駆動力制御量補正手段は、上記路面の勾配の絶対値が増大するほど、上記駆動力制御量の補正量を増大させる請求項1又は2に記載の車両用挙動制御装置。
  4. 上記車両は、車輪を駆動するモータと、このモータに電力を供給すると共にモータが発生させた回生電力を回収するバッテリと、を有する電動駆動車両であり、
    上記駆動力制御手段は、上記ヨーレート関連量に応じて、上記モータが発生させる回生電力量を制御することにより、上記車両の駆動力を低減させる、請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両用挙動制御装置。
  5. 上記電動駆動車両は、さらに、上記バッテリの状態を検出するバッテリ状態検出手段と、上記駆動力制御手段による制御に関する情報を表示する表示手段と、を有し、
    上記駆動力制御手段は、上記バッテリの状態に基づき、上記モータが発生させる回生電力を上記バッテリが回収できないと判定した場合、上記車両の駆動力を低減させず、且つ、上記車両の駆動力を低減させない旨の情報を上記表示手段に表示させる、請求項4に記載の車両用挙動制御装置。
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