JP6220340B2 - ポリエステル樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

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Description


本発明は、ポリエステル樹脂組成物に関するものであり、特に生分解性に優れるポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)を多く含有し、引き裂き強度の高いシートやフィルムの製造に好適に用いることができるポリエステル樹脂組成物、およびその製造方法に関するものである。
近年、廃棄プラスチックが引き起こす環境問題がクローズアップされ、地球規模での循環型社会の実現が切望される中で、使用後、微生物の働きによって水と二酸化炭素に分解される生分解性プラスチックが注目を集めている。また欧州などで実施されている生ごみのコンポスト処理では、ごみと共にコンポストに投入できるごみ袋が望まれている。生分解性プラスチックとしては、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)(以下、P3HAと記す)、ポリカプロラクトン、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネートなどがあり、これらの生分解性樹脂を用いたフィルムやシートの開発が進められている。特に、これらの生分解性樹脂の内、P3HAが最も生分解性に優れており、常温付近でのコンポスト化や嫌気分解など、多様な生分解処理が可能である。そのため、P3HAを単独、もしくはその他の生分解性樹脂との樹脂組成物中に多く配合することが、生分解性の観点から好ましい。
従来、生分解性に優れるフィルムやシートとして、微生物から生産されるポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート、略称:PHBH)からなるフィルム(特許文献1参照。)、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネート、ポリカプロクラクトンなどの石油由来系樹脂とPHBHとを含有する樹脂組成物からなるシート(特許文献2参照。)などが開示されている。
しかしながら、PHBHなどの微生物生産系脂肪族ポリエステルやそれを含む樹脂組成物をインフレーション法やTダイ押出し法でフィルムやシートに成形した場合、得られたフィルムやシートのMD方向の引き裂き強度が不充分であった。
生分解性及び/またはバイオマス由来樹脂の剛性及び靱性を改良する手段として、表面被覆された無機粒子を配合した組成物(特許文献3参照)などが開示されている。
しかしながらここで開示されているポリ乳酸は、元々引き裂き強度が低く、無機粒子配合による改良後も不十分なレベルであった。一方でポリ乳酸とは異なり、P3HAは酸性や塩基性環境下で低分子量化する傾向にあり、被覆された無機粒子を用いて引き裂き強度を改良するのは困難であった。
またシリカを配合する技術としては、脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族脂肪族ポリエステル樹脂に特定の粒子径を有する無機粒子を含有させた、引き裂き強度が改善された組成物(特許文献4参照)が開示されているが、引き裂き強度はフィルムやシートを連続的に製造するためには不十分なレベルであり、また、脂肪族ポリエステル樹脂がP3HAである場合や無機粒子がシリカの場合について、記載はない。ポリ乳酸系脂肪族ポリエステル樹脂と可塑剤と親水性シリカを配合した組成物(特許文献5参照)などが開示されているが、ポリ乳酸系樹脂の耐熱性付与が目的であり、P3HA及びPBATからなる樹脂の引き裂き強度の改良については何ら開示していない。同様に、二酸化ケイ素と可塑剤とポリ乳酸などの生分解性樹脂からなる組成物(特許文献6参照)などが開示されているが、硬質の生分解性プラスチックに可塑剤を均一に分散させて柔軟性を付与する技術であり、均一分散のためにシリカを可塑剤の担体として用いている。一方、本発明は、軟質の生分解性プラスチックであって、上記課題はなく技術思想が異なる。更には本発明の目的であるP3HA及びPBATからなる樹脂の引き裂き強度の改良については何ら開示していない。
更には、P3HAの1種であるポリヒドロキシブチラートに可塑剤や結晶核剤などからなる組成物(特許文献7参照)が開示されているが、融点の高い樹脂に対し、可塑剤を配合することで加工時での熱劣化を抑制することが目的であり、引き裂き強度の改良には不十分であった。
特開2006−045365号公報 国際公開第2010/013483号 特表2011−510106号公報 特開2009−221337号公報 特開2004−189991号公報 特表2006−028219号公報 特表2009−527596号公報
本発明は、上記の点に鑑み、引き裂き強度の高いフィルムやシートの製造に好適に用いることができる、透明性、成形性、機械的特性に優れ、更には生分解性に優れた樹脂組成物の提供を目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、P3HAとPBATからなる組成物において、親水性シリカを配合することで、フィルムやシートに成形した際にMD方向(樹脂流れ方向、Machine Direction)における引き裂き強度が大幅に改良されることをようやく見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のポリエステル樹脂組成物は、前記課題を解決するために、下記一般式(1)
[−CHR−CH−CO−O−](1)
(但し、RはCH2n+1で表されるアルキル基であり、n=1以上15以下の整数である。)で示される繰り返し単位を有する脂肪族ポリエステル(P3HA)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、親水性シリカ(A)を含有する生分解性ポリエステル樹脂組成物であって、脂肪族ポリエステル(P3HA)/ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)の重量比が90/10〜10/90、脂肪族ポリエステル(P3HA)及びポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)の合計含有量100重量部に対して親水性シリカ(A)の含有量が2〜30重量部であることを特徴としている。
また、脂肪族ポリエステル(P3HA)が、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)(P3HB)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバリレート)(PHBV)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート)(P3HB4HB)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシオクタノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシオクタデカノエート)からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、親水性シリカ(A)が沈殿法シリカであることが好ましい。
また、脂肪族ポリエステル(P3HA)/ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)の重量比が50/50〜90/10であることが好ましい。
更に、脂肪族ポリエステル(P3HA)及びポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)の合計含有量100重量に対して、可塑剤(B)を2〜30重量部含有していることが好ましく、可塑剤(B)がグリセリンエステル系化合物、アジピン酸エステル系化合物、ポリエーテルエステル系化合物の中から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物は、フィルム成形用またはシート成形用であることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂成形体は、前記ポリエステル樹脂組成物を成形してなるポリエステル樹脂成形体であることを特徴としており、フィルム状またはシート状であるポリエステル樹脂成形体であることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法は、脂肪族ポリエステル(P3HA)と親水性シリカ(A)を溶融混練する第1工程と、第1工程で製造される樹脂組成物にポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)を添加し溶融混練する第2の工程を含むことを特徴としており、前記第1の工程において、可塑剤(B)を含有させることが好ましい。
本発明によれば、透明性、成形性や機械的特性、更には生分解性に優れた脂肪族ポリエステルを多く含有するポリエステル系樹脂組成物を提供することができ、特に、MD方向における引き裂き強度の高いフィルムおよびシートを提供することができる。
以下に、本発明のポリエステル樹脂組成物の実施の一形態について説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
[脂肪族ポリエステル(P3HA)]
本発明に係るポリエステル樹脂組成物は、樹脂成分として、下記一般式(1)、
[−CHR−CH−CO−O−] (1)
(但し、RはC2n+1で表されるアルキル基であり、nは1以上15以下の整数である。)で示される繰り返し単位を有する脂肪族ポリエステル(P3HA)およびポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)を含有しており、更に親水性シリカ(A)を含有している。
本発明に用いられる脂肪族ポリエステル(P3HA)は、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)と称される、微生物から生産されるポリエステル樹脂である。
P3HAを生産する微生物としては、P3HA類生産能を有する微生物であれば特に限定されない。例えば、ヒドロキシブチレートとその他のヒドロキシアルカノエートとの共重合体生産菌としては、3−ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシバリレートをモノマーユニットとする共重合体(以下、「PHBV」と略称する。)およびポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート(以下、「PHBH」と略称する。)生産菌であるアエロモナス・キヤビエ(Aeromonas caviae)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート)生産菌であるアルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)などが挙げられる。特に、PHBHに関し、PHBHの生産性を上げるために、PHA合成酵素群の遺伝子を導入したアルカリゲネス・ユートロファス AC32株(Alcaligenes eutrophus AC32, FERM BP−6038)(J.Bateriol.,179,p4821−4830(1997))などがより好ましく、これらの微生物を適切な条件で培養して菌体内にPHBHを蓄積させた微生物菌体が用いられる。
本発明で使用するP3HAの重量平均分子量としては、成形性と物性のバランス観点から50,000〜3,000,000が好ましく、100,000〜1,500,000がより好ましい。なお、ここでの重量平均分子量は、クロロホルム溶離液を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、ポリスチレン換算分子量分布より測定されたものをいう。
本発明で使用するP3HAとしては、前記一般式(1)において、アルキル基(R)のnが1で示される繰り返し単位からなるもの、またはnが1で示される繰り返し単位とnが2、3、5および7の少なくとも1種で示される繰り返し単位からなるものが好ましく、nが1で示される繰り返し単位およびnが3で示される繰り返し単位からなるものがより好ましい。
P3HAの具体例としては、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)(略称:P3HB)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)(略称:PHBH)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバリレート)(略称:PHBV)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート)(略称:P3HB4HB)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシオクタノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシオクタデカノエート)などが挙げられる。 PHBH、P3HB、PHBV、P3HB4HB、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシオクタノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシオクタデカノエート)は、生分解性に優れるため好ましい。
これらなかでも、工業的に生産が容易であるものとして、P3HB、PHBH、PHBV、P3HB4HBが挙げられる。
このうち、繰り返し単位の組成比を変えることで、融点、結晶化度を変化させ、ヤング率、耐熱性などの物性を変化させることができ、ポリプロピレンとポリエチレンとの間の物性を付与することが可能であること、また上記したように工業的に生産が容易であり、物性的に有用なプラスチックであるという観点から、前記一般式(1)において、アルキル基(R)のnが1である繰り返し単位とnが3である繰り返し単位とからなる、PHBHが好ましい。PHBHの具体的な製造方法は、例えば、国際公開第2010/013483号(特許文献2)に記載されている。また、PHBHの市販品としては、株式会社カネカ「アオニレックス(AONILEX)」(登録商標)などが挙げられる。
また、PHBHの繰り返し単位の組成比は、柔軟性と強度のバランスの観点から、3−ヒドロキシブチレート/3−ヒドロキシヘキサノエートの組成比が80/20〜99/1(mol/mol)であることが好ましく、75/15〜97/3(mo1/mo1)であることがより好ましい。その理由は、柔軟性の点から99/1以下が好ましく、また樹脂が適度な硬度を有する点で80/20以上が好ましいからである。
また、PHBVは、3−ヒドロキシブチレート(3HB)成分と3−ヒドロキシバレレート(3HV)成分の比率によって融点、ヤング率などが変化するが、3HB成分と3HV成分が共結晶化するため結晶化度は50%以上と高く、ポリ3−ヒドロキシブチレート(P3HB)に比べれば柔軟ではあるが、破壊伸びは50%以下と低い傾向にある。
[ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)]
本発明で使用するポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)とは、1,4−ブタンジオールとアジピン酸とテレフタル酸のランダム共重合体のことをいい、なかでも、特表平10−508640号公報等に記載されているような、(a)主としてアジピン酸もしくはそのエステル形成性誘導体またはこれらの混合物35〜95モル%、テレフタル酸もしくはそのエステル形成性誘導体またはこれらの混合物5〜65モル%(個々のモル%の合計は100モル%である)よりなる混合物に、(b)ブタンジオールが含まれている混合物(ただし(a)と(b)とのモル比が0.4:1〜1.5:1)の反応により得られるPBATが好ましい。PBATの市販品としてはBASF社製「エコフレックス」(登録商標)などが挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂組成物における前記P3HAとPBATの重量比(P3HA/PBAT)に特に制約はないが、フィルムまたはシートの引き裂き強度が優れ、適度な硬度を有することから10/90〜90/10が好ましい。また前記重量比が50/50以上であれば、組成物の生分解性、特に低温での生分解性が優れることから好ましい。
[親水性シリカ(A)]
本発明で用いられる親水性シリカ(A)は、珪素に水酸基が結合したシラノール基を有するシリカであって、その表面には、主に水酸基を有している。なお親水性シリカ(A)は、屈折率がP3HAに比較的近いことから、樹脂組成物や樹脂成形品の透明性に優れている点で好ましい。
本発明に用いられる親水性シリカ(A)としては、沈殿法シリカ、ヒュームドシリカなどが挙げられ、具体的には、東ソー・シリカ社の「ニップシール」(登録商標)、エボニック社の「カープレックス」(登録商標)、富士シリシア社の「サイリシア」(登録商標)、「サイロホービック」(登録商標)などの沈殿法シリカ、日本アエロジル社の「アエロジル」(登録商標)、トクヤマ社の「レオロシール」(登録商標)、「エクセリカ」(登録商標)などのヒュームドシリカが例示される。
特に、沈殿法シリカが引き裂き強度の改良効果が高く、好ましい。
ここで、沈殿法シリカとは、ケイ酸ソーダと硫酸を水中で反応させて得られるシリカであり、フュームドシリカとは、ケイ素塩化物と水素、酸素を高温下で反応させて得られるシリカである。
本発明のポリエステルにおける親水性シリカ(A)の配合量は、P3HAとPBATの合計含有量100重量部に対して2〜30重量部であり、4〜20重量部が好ましい。前記含有量が2重量部未満では引き裂き強度が低くなる場合があり、また、30重量部を超えると、フィルムやシートに成形した際の柔軟性が損なわれる場合がある。
また、本発明に好ましく用いられる親水性シリカ(A)の一次粒子径は、フィルムやシートの引き裂き強度が向上させることができ、フィッシュアイ等の外観上の欠陥を生じにくく、透明性を大きく損なうことがなければ特に限定されないが、引き裂き強度等の機械的特性の向上効果が得られやすく、透明性に優れている点で0.001μm〜0.1μmであることが好ましく、0.005μm〜0.05μmであることが特に好ましい。
ここで、親水性シリカ(A)の一次粒子径は、レーザー回折散乱法により測定できる。
[可塑剤(B)]
本発明のポリエステル樹脂組成物には、上記のような樹脂成分に、更に可塑剤(B)を配合することで、引き裂き強度を更に改良することが可能となる。
可塑剤としては、グリセリンエステル系化合物、アジピン酸エステル系化合物、ポリエーテルエステル系化合物、フタル酸エステル系化合物、イソソルバイドエステル系化合物、ポリカプロラクトン系化合物などが例示される。これらの内、樹脂成分への親和性に優れブリードしにくいことから、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノカプリレート、グリセリンジアセトモノデカノエートなどの変性グリセリン系化合物、ジエチルヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペートなどのアジピン酸エステル系化合物、ポリエチレングリコールジベンゾエート、ポリエチレングリコールジカプリレート、ポリエチレングリコールジイソステアレートなどのポリエーテルエステル系化合物が好ましく、更にはバイオマス由来成分を多く含むものが組成物全体のバイオマス度を高めることができることから特に好ましい。この様な可塑剤としては、理研ビタミン株式会社の「リケマール」(登録商標)PLシリーズなどが例示される。
本発明における前記可塑剤(B)としては、P3HAとの相溶性に優れることから、グリセリンエステル系化合物、アジピン酸エステル系化合物、ポリエーテルエステル系化合物の中から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明における前記可塑剤(B)の配合量は、P3HAとPBATの合計含有量100重量部に対して2〜30重量部であり、4〜20重量部が好ましい。前記含有量が2量部未満では、引き裂き強度の改良効果が小さい場合があり、30重量部を超えるとそれ以上は効果が変わらない上にブリードアウトの原因にもなる場合がある。
[添加剤]
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネートなどの脂肪族ポリエステル系樹脂やその他の樹脂を1種または2種以上添加してもよい。
また本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、通常の添加剤として使用されるシリカ以外の充填剤、顔料、染料などの着色剤、活性炭、ゼオライト等の臭気吸収剤、バニリン、デキストリン等の香料、酸化防止剤、抗酸化剤、耐候性改良剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、撥水剤、抗菌剤、摺動性改良剤、その他の副次的添加剤を1種または2種以上添加してもよい。
[ポリエステル樹脂組成物の製造方法]
次に、本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法の一形態について説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
本発明の樹脂組成物は、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサーなどの公知の混練機を用いて製造することができる。これらの内、混練機としては、樹脂に過度の剪断を加えることなく親水性シリカ(A)や必要に応じ添加される可塑剤(B)を樹脂中に分散できることから、二軸押出機が好ましい。また混練機の設定条件としては、P3HAの熱分解を抑制できることから、シリンダー設定温度を180℃以下とすることが好ましい。
また各成分を混練機に供給する際、一括で添加してもよく、一部を混練した後残余の成分を混練してもよい。これらの内、PBATに対し相対的に引き裂き強度に劣るP3HAドメインへの改良効果が高く、組成物全体の引き裂き強度の改良効果が高くなることから、P3HAと親水性シリカ(A)を溶融混練する第1工程と、第1工程で製造される樹脂組成物にPBATを添加し溶融混練する第2工程を含む製造工程により製造することが好ましい。
また、可塑剤(B)を樹脂中に分散させる場合は、前記同様、引き裂き強度に優れる点から前記第1工程において、可塑剤(B)を含有させることが好ましい。
可塑剤(B)を配合する場合、親水性シリカ(A)に剪断をかけやすいことから、親水性シリカ(A)と可塑剤(B)を事前に混合せずに、押出機に供給することが好ましい。
[ポリエステル樹脂成形体]
本発明のポリエステル樹脂成形体は、本発明のポリエステル樹脂組成物を押出成形、射出成形、カレンダー成形等種々の成形方法によって作製することができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物をフィルムまたはシートに加工する際の成形加工方法としては、インフレーション法やTダイ押出法などの公知の方法を用いることができる。具体的な条件については適宜設定すればよいが、例えば、インフレーション法では、インフレーション成形前に除湿乾燥機などでペレットの水分率が500ppm以下になるまで乾燥し、シリンダー設定温度100℃〜160℃、アダプターおよびダイスの設定温度130℃〜160℃にすることが好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂組成物は、フィルムまたはシートに加工した際に、引き裂き強度が低くなりやすいMD方向においても、高い引き裂き強度を発現することができる。
フィルムまたはシートの厚みについて厳格な規定はないが、厚み1〜100μm程度を一般にフィルム、厚み100μmを越えて2mm程度までをシートとよぶ。
本発明のフィルムまたはシートは、農業、漁業、林業、園芸、医学、衛生品、食品産業、衣料、非衣料、包装、自動車、建材、その他の分野に好適に用いることができる。例えば農業用マルチフィルム、林業用燻蒸シート、フラットヤーン等を含む結束テープ、植木の根巻フィルム、おむつのバックシート、包装用シート、ショッピングバック、ゴミ袋、水切り袋、その他コンポストバック等の用途に用いられる。
以下に実施例、比較例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<製造例>
本実施例で使用するP3HA(原料A−1)は、以下のようにして作製した。尚、培養生産にはKNK−631株(国際公開第2009/145164号参照)を用いた。
種母培地の組成は1w/v% Meat−extract、1w/v%Bacto−Tryptone、0.2w/v% Yeast−extract、0.9w/v% NaHPO・12HO、0.15w/v% KHPO、pH6.8とした。
前培養培地の組成は1.1w/v% NaHPO・12HO、0.19w/v% KHPO、1.29w/v% (NHSO、0.1w/v% MgSO・7HO、0.5v/v% 微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6w/v% FeCl・6HO、1w/v% CaCl・2HO、0.02w/v% CoCl・6HO、0.016w/v% CuSO・5HO、0.012w/v% NiCl・6HOを溶かしたもの)とした。また、炭素源はパーム核油を10g/Lの濃度で一括添加した。
PHA生産培地の組成は0.385w/v% NaHPO・12HO、0.067w/v% KHPO、0.291w/v% (NHSO、0.1w/v% MgSO・7HO、0.5v/v% 微量金属塩溶液(0.1N 塩酸に1.6w/v% FeCl・6HO、1w/v% CaCl・2HO、0.02w/v% CoCl・6HO、0.016w/v% CuSO・5HO、0.012w/v% NiCl・6HOを溶かしたもの)、0.05w/v% BIOSPUREX200K(消泡剤:コグニスジャパン社製)とした。
まず、KNK−631株のグリセロールストック(50μL)を種母培地(10mL)に接種して24時間培養し種母培養を行なった。次に種母培養液を1.8Lの前培養培地を入れた3Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ製MDL−300型)に1.0v/v%接種した。運転条件は、培養温度33℃、攪拌速度500rpm、通気量1.8L/minとし、pHは6.7〜6.8の間でコントロールしながら28時間培養し、前培養を行なった。pHコントロールには14%水酸化アンモニウム水溶液を使用した。
次に、前培養液を6Lの生産培地を入れた10Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ製MDS−1000型)に1.0v/v%接種した。運転条件は、培養温度28℃、攪拌速度400rpm、通気量6.0L/minとし、pHは6.7から6.8の間でコントロールした。pHコントロールには14%水酸化アンモニウム水溶液を使用した。炭素源としてパーム核オレイン油、を使用した。培養は64時間行い、培養終了後、遠心分離によって菌体を回収、メタノールで洗浄、凍結乾燥し、乾燥菌体重量を測定した。
得られた乾燥菌体1gに100mLのクロロホルムを加え、室温で一昼夜攪拌して、菌体内のPHAを抽出した。菌体残渣をろ別後、エバポレーターで総容量が30mLになるまで濃縮後、90mLのヘキサンを徐々に加え、ゆっくり攪拌しながら、1時間放置した。析出したPHAをろ別後、50℃で3時間真空乾燥し、PHAを得た。得られたPHAの3−ヒドロキシヘキサノエート(3HH)組成分析は以下のようにガスクロマトグラフィーによって測定した。乾燥PHA20mgに2mLの硫酸−メタノール混液(容積比率15:85)と2mLのクロロホルムを添加して密栓し、100℃で140分間加熱して、PHA分解物のメチルエステルを得た。冷却後、これに1.5gの炭酸水素ナトリウムを少しずつ加えて中和し、炭酸ガスの発生がとまるまで放置した。4mLのジイソプロピルエーテルを添加してよく混合した後、遠心して、上清中のポリエステル分解物のモノマーユニット組成をキャピラリーガスクロマトグラフィーにより分析した。ガスクロマトグラフは島津製作所GC−17A、キャピラリーカラムはGLサイエンス社製NEUTRA BOND−1(カラム長25m、カラム内径0.25mm、液膜厚0.4μm)を用いた。キャリアガスとしてHeを用い、カラム入口圧100kPaとし、サンプルは1μLを注入した。温度条件は、初発温度100〜200℃まで8℃/分の速度で昇温、さらに200〜290℃まで30℃/分の速度で昇温した。上記条件にて分析した結果、前記化学式(1)に示すようなPHA、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)であった。3HH組成は11.2モル%であった。培養後、培養液から国際公開第2010/067543号に記載の方法に準じてPHBHを得た。GPCで測定した重量平均分子量は57万であった。
以下の実施例および比較例においては、以下の原料も用いた。
原料A−2:Mw62万、3HH=5.4モル%のPHBH(カネカ社製)。KNK−631株のかわりにKNK−005株(国際公開第2008/010296号参照)を用い、前記製造例と同様にして得た。
原料B−1:PBAT(BASF社製、「エコフレックス(登録商標)」)。
原料C−1:沈殿法シリカ(東ソー・シリカ社製、「ニップシール(登録商標)」LP)。一次粒子径0.016μm
原料C−2:ヒュームドシリカ(日本アエロジル社製、「アエロジル(登録商標)」R972)。一次粒子径0.008μm
原料C−3:ステアリン酸で表面被覆し疎水化した沈殿法シリカ。沈殿法シリカ(東ソー・シリカ社製、「ニップシール(登録商標)」LP)に対し、ステアリン酸(和光純薬製、試薬特級)3重量%を添加し、80℃に設定したヘンシェルミキサーにて30分間撹拌して調製。
原料C−4:炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、「Brilliant(登録商標)」15)。一次粒子径0.150μm
原料D−1:グリセリンエステル系可塑剤(理研ビタミン社製、「リケマール(登録商標)」PL012)。
原料D−2:アジピン酸エステル系可塑剤(DIC株式会社製、「モノサイザー(登録商標)」W242)。
原料D−3:エーテルエステル系可塑剤(DIC株式会社製、「モノサイザー(登録商標)」W260)。
<実施例1>
(樹脂組成物の製造)
[第1工程]
表1に示す配合物を用いて樹脂組成物を調製するにあたり、P3HA成分として3−ヒドロキシアルカノエート重合体A−1及び親水性シリカ(A)として沈殿法シリカC−1を、2軸押出機(日本製鋼社製:TEX30)で、設定温度100〜130℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混錬して、シリカ含有PHBH樹脂組成物を得た。
[第2工程]
前記第1工程で製造したシリカ含有PHBH樹脂組成物と、ポリエステルB−1(PBAT)を、2軸押出機(日本製鋼社製:TEX30)で、設定温度100〜130℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混錬して、本発明のポリエステル樹脂組成物を得た。
(シートの製造)
得られた樹脂組成物は、150mm幅、リップ0.25mmのT型ダイスを装着した単軸押出機ラボプラストミル(東洋精機製作所製、20C200型)を用いて(Tダイ押出し法)、成形温度135℃、スクリュー回転数80rpmの条件で押出し、60℃に温調した冷却ロールで引き取り、100μm厚のシートを得た。
(引き裂き強度の測定)
得られたシートは、エルメンドルフ引き裂き強度測定器(熊谷理器工業社製)を用い、JIS 8116に準拠して、MD方向の引き裂き強度を測定した。引き裂き強度測定結果を表1に示した。
<実施例2〜4>
使用した原料の種類及び含有量を表1に示した様に変更した以外は、実施例1と同様にして生分解性ポリエステル樹脂組成物及びそれからなるシートを得、引き裂き強度を測定した。引き裂き強度測定結果を表1に示す。
<実施例5〜9>
第1工程で可塑剤(B)を含有させた以外は、実施例4と同様に生分解性ポリエステル樹脂組成物を製造した。更にシートを得、引き裂き強度を測定した。使用した原料の種類、配合量及び引き裂き強度測定結果を表1に示した。
<実施例10>
P3HAをA−2に変更し、第1工程で可塑剤(B)を含有させた以外は、実施例4と同様に生分解性ポリエステル樹脂組成物を製造した。更にシートを得、引き裂き強度を測定した。使用した原料の種類、配合量及び引き裂き強度測定結果を表1に示した。
(比較例1〜3)
親水性シリカ(A)を含有していないPHBH樹脂を用い、実施例1と同様にしてPBATと溶融混練し生分解性ポリエステル樹脂組成物、及びそれからなるシートを得、引き裂き強度を測定した。使用する原料の種類、配合量及び引き裂き強度測定結果を表1に示した。
(比較例4)
親水性シリカ(A)を表面処理を施したC−3に変更した以外は、実施例4と同様にして生分解性ポリエステル樹脂組成物及びそれからなるシートを得、引き裂き強度を測定した。引き裂き強度測定結果を表1に示した。
<実施例11>
予めシリカ含有PHBH樹脂組成物を得ることなく、実施例5の原料を一括で配合し、2軸押出機(日本製鋼社製:TEX30)で、設定温度100〜130℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混錬して、生分解性ポリエステル樹脂組成物を製造した。更に、それからなるシートを実施例1と同様の方法で得、引き裂き強度を測定した。引き裂き強度測定結果を表1に示した。
<実施例12>
実施例5で得たポリエステル樹脂組成物を、インフレーションフィルム成形機(北進産業社製)を用いて(インフレーション法)、円形ダイスリップ厚1mm、円形ダイスリップ直径100mm、設定温度120〜140℃、引取速度8m/分にて、筒状の折り幅400mm、厚み40μm厚のフィルムを得た。得られたフィルムの押出方向の引き裂き強度を測定したところ、54mN/μmであった。
(比較例5)
使用するポリエステル樹脂組成物を、比較例2で得た生分解性ポリエステル樹脂組成物に変更した以外は、実施例12と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの押出方向の引き裂き強度は、7mN/μmであった。
(比較例6)
親水性シリカ(A)の代わりに 炭酸カルシウムC−4に変更した以外は、実施例1と同様にして生分解性ポリエステル樹脂組成物、及びそれからなる厚み100μmのシートを得、引き裂き強度を測定した。引き裂き強度測定結果を表1に示した。
実施例1〜4の親水性シリカを含有するポリエステル樹脂組成物は、シリカを含有しない比較例1〜3のポリエステル樹脂組成物と比較して、同じ樹脂組成比であれば引き裂き強度が改良されていることが判る。特に、生分解性に優れるPHBHを多く配合すると引き裂き強度が低下する傾向にあるが、親水性シリカの含有により改良されている。また親水性シリカの中でも、ヒュームドシリカより沈殿法シリカの方が改良効果が高いことが判る。
更に、実施例5〜10のシリカと共に可塑剤を含有するポリエステル樹脂組成物は、引き裂き強度が大幅に改良されることが判る。
一方、ステアリン酸で表面疎水化処理を行ったシリカを用いた比較例4では、引き裂き強度の改良は見られなかった。
また実施例11の様に原材料を一括で溶融混練するよりも、PHBHとシリカ、可塑剤を予め溶融混練した方が、引き裂き強度の改良効果が高いことが判る。
また実施例12に示す様に、本発明のポリエステル樹脂組成物は、インフレーションフィルム成形においても引き裂き強度が改良されていることが判る。
Figure 0006220340

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)
    [−CHR−CH−CO−O−](1)
    (但し、RはC2n+1で表されるアルキル基であり、n=1以上15以下の整数である。)で示される繰り返し単位を有する脂肪族ポリエステル(P3HA)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、親水性シリカ(A)を含有する、フィルム成形用またはシート成形用の生分解性ポリエステル樹脂組成物であって、
    脂肪族ポリエステル(P3HA)/ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)の重量比が90/10〜10/90、
    脂肪族ポリエステル(P3HA)及びポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)の合計含有量100重量部に対して親水性シリカ(A)の含有量が2〜30重量部であることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
  2. 脂肪族ポリエステル(P3HA)が、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)(P3HB)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバリレート)(PHBV)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート)(P3HB4HB)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシオクタノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシオクタデカノエート)からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 親水性シリカ(A)が沈殿法シリカであることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. 脂肪族ポリエステル(P3HA)/ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)の重量比が50/50〜90/10であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 脂肪族ポリエステル(P3HA)及びポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)の合計含有量100重量に対して、可塑剤(B)を2〜30重量部含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  6. 可塑剤(B)がグリセリンエステル系化合物、アジピン酸エステル系化合物、ポリエーテルエステル系化合物の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項5に記載のポリエステル樹脂組成物。
  7. 請求項1〜の何れかに記載のポリエステル樹脂組成物を成形してなる、フィルム状またはシート状のポリエステル樹脂成形体。
  8. 脂肪族ポリエステル(P3HA)と親水性シリカ(A)を溶融混練する第1の工程と、第1の工程で製造される樹脂組成物にポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)を添加し溶融混練する第2の工程を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  9. 前記第1の工程において、可塑剤(B)を含有させることを特徴とする請求項に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
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