JP6218560B2 - ゴム組成物 - Google Patents

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Description

本発明はゴム組成物に関する。
固形ゴム、液状ゴム、オイル等を含むゴム組成物は、優れた粘着性を有し、またこれを架橋した架橋物は、被着体等に対し優れた接着性を有するために、従来から、種々の工業用途、例えば自動車用途などで、シーリング材、各種部材の接着剤などとして用いられている(例えば、特許文献1〜4参照)。また、このゴム組成物の金属などへの接着性の改善等を行うために、液状ゴムとして官能基で変性した変性液状ゴムを使用する方法が知られている(例えば特許文献2、4参照)。このようなゴム組成物を、上記シーリング材、接着剤等の用途に用いる場合には、ゴム組成物の各成分をまず混合して密封容器等に保存をしておき、使用する際にこの密封容器からカートリッジガン等を用いて、ゴム組成物を基材等に塗布して、このゴム組成物を架橋することにより用いることが通常である。そのため、このような用途に用いるゴム組成物には、カートリッジガンなどで塗布する際の塗布性、糸きり性などに優れることが望まれる。また、これらゴム組成物が自動車部材等の工業製品用途などで、金属性部材のシーリング材用、金属性部材の接着用などに好適に使用されることを考慮すると、ゴム組成物のより一層の耐金属腐食性が望まれる。
特開昭59−006272号公報 特開平05−194922号公報 特開平05−059345号公報 特開2004−099651号公報
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、作業性に優れ、しかもこのゴム組成物から得られる架橋物の接着性及び耐金属腐食性に優れるシーリング材、各種部材の接着などに好適なゴム組成物を提供する。
本発明者らが、鋭意検討を行った結果、特定の固形ゴム、特定の変性液状ジエン系ゴム、フィラー及びオイルを特定の配合割合で含むゴム組成物は作業性に優れ、しかもそのゴム組成物から得られる架橋物は、接着性及び耐金属腐食性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下〔1〕及び〔2〕に関する。
〔1〕天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム及びブチルゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種の固形ゴム(A)1〜99質量%と、変性液状ジエン系ゴム(B)99〜1質量%とからなるゴム成分100質量部に対して、フィラー(C)0.1〜1500質量部、及びオイル(D)0.1〜500質量部を含有するゴム組成物であり、前記変性液状ジエン系ゴム(B)が、下記(I)〜(III)の要件を満たすゴム組成物。
(I)変性液状ジエン系ゴム(B)の38℃で測定した溶融粘度が0.1〜10,000Pa・sの範囲にある。
(II)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した際、最大ピーク分子量(Mt)が3,000〜120,000の範囲であり、得られるGPCクロマトグラムの重合体由来の全面積を100%として、分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体の割合が0〜20%である。
(III)変性液状ジエン系ゴム(B)が、変性化合物を液状ジエン系ゴム(B’)に付加して得られたものであり、変性化合物の付加反応率が40〜100mol%である。
〔2〕液状ジエン系ゴム(B’)に付加する変性化合物が無水マレイン酸である、〔1〕に記載のゴム組成物。
本発明によれば、作業性に優れるだけでなく、その組成物から得られる架橋物の接着性及び耐金属腐食性に優れたゴム組成物が得られる。そのため、本発明のゴム組成物は、シーリング材、各種部材の接着などに好適に用いることができる。
[固形ゴム(A)]
本発明のゴム組成物で用いる固形ゴム(A)とは、20℃において固形状で取り扱うことができるゴムをいい、固形ゴム(A)の100℃におけるムーニー粘度 ML1+4は通常20〜200の範囲にある。上記固形ゴム(A)は、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロプレンゴム及びブチルゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
上記固形ゴム(A)の重量平均分子量(Mw)は、得られるゴム組成物の特性を十分に発揮させる観点から、80,000以上であることが好ましく、100,000〜3,000,000の範囲内であることがより好ましい。
なお、本明細書における重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量である。
上記天然ゴムとしては、例えば、SMR、SIR、STR等のTSRやRSS等のタイヤ工業において一般的に用いられる天然ゴム、高純度天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、水酸基化天然ゴム、水素添加天然ゴム、グラフト化天然ゴム等の改質天然ゴムが挙げられる。中でも、品質のばらつきが少ない点、及び入手容易性の点から、SMR20、STR20やRSS#3が好ましい。これら天然ゴムは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ポリイソプレンゴムとしては、例えば、四ハロゲン化チタン−トリアルキルアルミニウム系、ジエチルアルミニウムクロライド−コバルト系、トリアルキルアルミニウム−三弗化ホウ素−ニッケル系、ジエチルアルミニウムクロライド−ニッケル系等のチーグラー系触媒;トリエチルアルミニウム−有機酸ネオジム−ルイス酸系等のランタノイド系希土類金属触媒、又はS−SBRと同様に有機アルカリ金属化合物を用いて重合された、市販のポリイソプレンゴムを用いることができる。チーグラー系触媒により重合されたポリイソプレンゴムが、シス体含量が高く好ましい。また、ランタノイド系希土類金属触媒を用いて得られる超高シス体含量のポリイソプレンゴムを用いてもよい。
ポリイソプレンゴムのビニル含量は好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。ビニル含量が50質量%を超えるとゴム組成物の低温での柔軟性が悪化する傾向にある。ビニル含量の下限は特に限定されない。またガラス転移温度はビニル含量によって変化するが、−20℃以下であることが好ましく、−30℃以下であることがより好ましい。
ポリイソプレンゴムの重量平均分子量(Mw)は90,000〜2,000,000であることが好ましく、150,000〜1,500,000であることがより好ましい。Mwが上記範囲にある場合、加工性と機械強度が良好となる。
上記ポリイソプレンゴムは、本発明の効果を損ねない範囲であれば、その一部が多官能型変性剤、例えば四塩化錫、四塩化珪素、エポキシ基を分子内に有するアルコキシシラン、又はアミノ基含有アルコキシシランのような変性剤を用いることにより分岐構造又は極性官能基を有していてもよい。
上記ポリブタジエンゴムとしては、例えば、四ハロゲン化チタン−トリアルキルアルミニウム系、ジエチルアルミニウムクロライド−コバルト系、トリアルキルアルミニウム−三弗化ホウ素−ニッケル系、ジエチルアルミニウムクロライド−ニッケル系等のチーグラー系触媒;トリエチルアルミニウム−有機酸ネオジム−ルイス酸系等のランタノイド系希土類金属触媒、又はS−SBRと同様に有機アルカリ金属化合物を用いて重合された、市販のポリブタジエンゴムを用いることができる。チーグラー系触媒により重合されたポリブタジエンゴムが、シス体含量が高く好ましい。また、ランタノイド系希土類金属触媒を用いて得られる超高シス体含量のポリブタジエンゴムを用いてもよい。
ポリブタジエンゴムのビニル含量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。ビニル含量が50質量%を超えるとゴム組成物の低温での柔軟性が悪化する傾向にある。ビニル含量の下限は特に限定されない。またガラス転移温度はビニル含量によって変化するが、−40℃以下であることが好ましく、−50℃以下であることがより好ましい。
ポリブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)は90,000〜2000,000であることが好ましく、150,000〜1,500,000であることがより好ましい。Mwが上記範囲にある場合、加工性と機械強度が良好となる。
上記ポリブタジエンゴムは、本発明の効果を損ねない範囲であれば、その一部が多官能型変性剤、例えば四塩化錫、四塩化珪素、エポキシ基を分子内に有するアルコキシシラン、又はアミノ基含有アルコキシシランのような変性剤を用いることにより分岐構造又は極性官能基を有していてもよい。
スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(以下、SBRともいう。)としては、用途等に応じて適切なものを使用できるが、具体的には、スチレン含量が0.1〜70質量%のものが好ましく、5〜50質量%のものがより好ましく、10〜40質量%のものが更に好ましい。また、ビニル含量が0.1〜60質量%のものが好ましく、0.1〜55質量%のものがより好ましい。
SBRの重量平均分子量(Mw)は100,000〜2,500,000であることが好ましく、150,000〜2,000,000であることがより好ましく、200,000〜1,500,000であることが更に好ましい。上記の範囲である場合、加工性と機械強度を両立することができる。
本発明において使用するSBRの示差熱分析法により求めたガラス転移温度は、−95〜0℃であることが好ましく−95〜−5℃であることがより好ましい。ガラス転移温度を上記範囲にすることによって、粘度が高くなるのを抑えることができ取り扱いが容易になる。
本発明において用いることができるSBRは、スチレンとブタジエンとを共重合して得られる。SBRの製造方法について特に制限はなく、乳化重合法、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれも用いることができるが、これら製造方法の中でも、乳化重合法、溶液重合法が好ましい。
乳化重合スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(以下、E−SBRともいう。)は、公知又は公知に準ずる通常の乳化重合法により製造できる。例えば、所定量のスチレン及びブタジエン単量体を乳化剤の存在下に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合することにより得られる。
溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(以下、S−SBRともいう。)は、通常の溶液重合法により製造でき、例えば、溶媒中でアニオン重合可能な活性金属を使用して、所望により極性化合物の存在下、スチレン及びブタジエンを重合する。
溶媒としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの溶媒は通常、単量体濃度が1〜50質量%となる範囲で用いることが好ましい。
アニオン重合可能な活性金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;ランタン、ネオジム等のランタノイド系希土類金属等が挙げられる。これら活性金属の中でもアルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましい。更にアルカリ金属の中でも、有機アルカリ金属化合物がより好ましく用いられる。
有機アルカリ金属化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等の有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。中でも有機リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましい。有機アルカリ金属化合物の使用量は、要求されるS−SBRの分子量によって適宜決められる。
有機アルカリ金属化合物は、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン等の第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミドとして使用することもできる。
極性化合物としては、アニオン重合において、反応を失活させず、ブタジエン部位のミクロ構造やスチレンの共重合体鎖中の分布を調整するために通常用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の3級アミン;アルカリ金属アルコキシド、ホスフィン化合物等が挙げられる。
重合反応の温度は、通常−80〜150℃、好ましくは0〜100℃、更に好ましくは30〜90℃の範囲である。重合様式は、回分式あるいは連続式のいずれでもよい。また、スチレン及びブタジエンのランダム共重合性を向上させるため、重合系中のスチレン及びブタジエンの組成比が特定範囲になるように、反応液中にスチレン及びブタジエンを連続的あるいは断続的に供給することが好ましい。
重合反応は、重合停止剤としてメタノール、イソプロパノール等のアルコールを添加して停止できる。重合反応停止後の重合溶液は、直接乾燥やスチームストリッピング等により溶媒を分離して、目的のS−SBRを回収できる。なお、溶媒を除去する前に、予め重合溶液と伸展油とを混合し、油展ゴムとして回収してもよい。
上記SBRとしては、本発明の効果を損ねない範囲であれば、SBRに官能基が導入された変性SBRを用いてもよい。官能基としては、例えばアミノ基、アルコキシシリル基、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。
変性SBRの製造方法としては、例えば、重合停止剤を添加する前に、重合活性末端と反応し得る四塩化錫、テトラクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、2,4−トリレンジイソシアネート等のカップリング剤や、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N−ビニルピロリドン等の重合末端変性剤又は、特開2011−132298号公報に記載のその他の変性剤を添加する方法が挙げられる。
この変性SBRにおいて、官能基が導入される重合体の位置については重合末端であってもよく、重合体鎖の側鎖であってもよい。
上記スチレン−イソプレン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM等)及びブチルゴムとしては、市販品を特に制限なく使用することができる。
[変性液状ジエン系ゴム(B)]
本発明のゴム組成物で用いる変性液状ジエン系ゴム(B)とは、液状の重合体であり、38℃で測定したその溶融粘度が0.1〜10,000Pa・sの範囲にあり、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)に変性化合物を付加することにより得られる物をいう。本発明のゴム組成物において変性液状ジエン系ゴム(B)を含ませることにより優れた加工性、接着性を示すゴム組成物を得ることができる。
変性液状ジエン系ゴムの原料となる上記未変性の液状ジエン系ゴム(B’)としては、共役ジエン(b1)を後述の方法で重合して得られる重合体が好ましい。共役ジエン(b1)としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニルブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、2−メチル−1,3−オクタジエン、1,3,7−オクタトリエン、ミルセン、及びクロロプレンなどが挙げられる。これら共役ジエンの中でも、ブタジエン、及びイソプレンが好ましい。これら共役ジエンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
未変性の液状ジエン系ゴム(B’)は、上記共役ジエン(b1)に加え、芳香族ビニル化合物(b2)を共重合したものであってもよい。芳香族ビニル化合物(b2)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、N,N−ジエチル−4−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン、4−メトキシスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、及びジビニルベンゼンなどが挙げられる。これら芳香族ビニル化合物の中では、スチレン、α−メチルスチレン、及び4−メチルスチレンが好ましい。
上記未変性の液状ジエン系ゴム(B’)における、共役ジエン(b1)及び芳香族ビニル化合物(b2)に由来する単位の合計に対する芳香族ビニル化合物(b2)単位の割合は、組成物の加工性、接着性等の観点から、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましい。
上記未変性の液状ジエン系ゴム(B’)は、例えば、乳化重合法、又は溶液重合法等により製造できる。
上記乳化重合法としては、公知又は公知に準ずる方法を適用できる。例えば、所定量の共役ジエンを含む単量体を乳化剤の存在下に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合する。
乳化剤としては、例えば炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩及びロジン酸塩などが挙げられる。長鎖脂肪酸塩としては、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸のカリウム塩又はナトリウム塩などが挙げられる。
分散剤としては通常、水が使用され、重合時の安定性が阻害されない範囲で、メタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウムのような過硫酸塩、有機過酸化物、過酸化水素等が挙げられる。
得られる未変性の液状ジエン系ゴム(B’)の分子量を調整するため、連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、チオグリコール酸、ジテルペン、ターピノーレン、γ−テルピネン、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。
乳化重合の温度は、使用するラジカル重合開始剤の種類などにより適宜設定できるが、通常0〜100℃の範囲、好ましくは0〜60℃の範囲である。重合様式は、連続重合、回分重合のいずれでもよい。
重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。重合停止剤としては、例えば、イソプロピルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン等のアミン化合物、ヒドロキノンやベンゾキノン等のキノン系化合物、亜硝酸ナトリウム等が挙げられる。
重合反応停止後、必要に応じて老化防止剤を添加してもよい。重合反応停止後、得られたラテックスから必要に応じて未反応単量体を除去し、次いで、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等の塩を凝固剤とし、必要に応じて硝酸、硫酸等の酸を添加して凝固系のpHを所定の値に調整しながら、上記液状ジエン系ゴム(B’)を凝固させた後、分散溶媒を分離することによって重合体(B)を回収する。次いで水洗、及び脱水後、乾燥することで、上記液状ジエン系ゴム(B’)が得られる。なお、凝固の際に、必要に応じて予めラテックスと乳化分散液にした伸展油とを混合し、油展した未変性の液状ジエン系ゴム(B’)として回収してもよい。
上記溶液重合法としては、公知又は公知に準ずる方法を適用できる。例えば、溶媒中で、チーグラー系触媒、メタロセン系触媒、アニオン重合可能な活性金属又は活性金属化合物を使用して、必要に応じて極性化合物の存在下で、共役ジエンを含む単量体を重合する。
溶媒としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。
アニオン重合可能な活性金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;ランタン、ネオジム等のランタノイド系希土類金属等が挙げられる。
アニオン重合可能な活性金属の中でもアルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましい。
アニオン重合可能な活性金属化合物としては、有機アルカリ金属化合物が好ましい。有機アルカリ金属化合物としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等の有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、ジリチオナフタレン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。これら有機アルカリ金属化合物の中でも有機リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましい。
有機アルカリ金属化合物の使用量は、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)及び変性液状ジエン系ゴム(B)の溶融粘度、分子量などに応じて適宜設定できるが、共役ジエンを含む全単量体 100質量部に対して、通常0.01〜3質量部の量で使用される。
上記有機アルカリ金属化合物は、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミンなどの第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミドとして使用することもできる。
極性化合物は、アニオン重合において、通常、反応を失活させず、共役ジエン部位のミクロ構造を調整するため用いられる。極性化合物としては、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の3級アミン;アルカリ金属アルコキシド、ホスフィン化合物などが挙げられる。極性化合物は、有機アルカリ金属化合物に対して、通常0.01〜1000モルの量で使用される。
溶液重合の温度は、通常−80〜150℃の範囲、好ましくは0〜100℃の範囲、より好ましくは10〜90℃の範囲である。重合様式は回分式あるいは連続式のいずれでもよい。
重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。重合停止剤としては、例えば、メタノール、イソプロパノール等のアルコールが挙げられる。得られた重合反応液をメタノール等の貧溶媒に注いで、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)を析出させるか、重合反応液を水で洗浄し、分離後、乾燥することにより上記未変性の液状ジエン系ゴム(B’)を単離できる。
上記未変性の液状ジエン系ゴム(B’)の製造方法としては、上記方法の中でも、溶液重合法が好ましい。
このようにして得られた未変性の液状ジエン系ゴム(B’)は、そのまま後述する官能基による変性が行われてもよいが、その液状ジエン系ゴム中に含まれる不飽和結合の少なくとも一部を水素添加した後に変性が行われてもよい。
上記未変性の液状ジエン系ゴム(B’)は種々の官能基により変性され、変性液状ジエン系ゴム(B)として用いられる。官能基としては、例えばアミノ基、アミド基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、アルコキシシリル基、水酸基、エポキシ基、エーテル基、カルボキシル基、カルボニル基、メルカプト基、イソシアネート基、ニトリル基、及び酸無水物基等が挙げられる。
変性液状ジエン系ゴム(B)の製造方法としては、例えば、重合停止剤を添加する前に、重合活性末端と反応し得る四塩化錫、ジブチル錫クロリド、テトラクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、2,4−トリレンジイソシアネート等のカップリング剤である変性化合物や、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N−ビニルピロリドン、N−メチルピロリドン、4−ジメチルアミノベンジリデンアニリン、ジメチルイミダゾリジノン等の重合末端変性化合物、又は特開2011−132298号公報に記載のその他の変性化合物を添加し、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)に付加する方法が挙げられる。
また、経済性等の観点から、単離後の未変性の液状ジエン系ゴム(B’)に不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸誘導体を変性化合物として付加するグラフト反応により製造された変性液状ジエン系ゴム(B)は、本発明では好ましく用いられる。
上記不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸が挙げられる。
また、上記不飽和カルボン酸誘導体としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸無水物、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、イタコン酸エステル、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル、マレイン酸アミド、フマル酸アミド、イタコン酸アミドなどの不飽和カルボン酸アミド、マレイン酸イミド、イタコン酸イミドなどの不飽和カルボン酸イミドなどが挙げられる。
これらの中でも、経済性、並びに本発明のゴム組成物及び架橋物としての特性を十分に発揮させる観点から、無水マレイン酸を変性化合物として、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)に付加した無水マレイン酸変性液状ジエン系ゴムが好ましく、無水マレイン酸変性液状ポリブタジエン及び無水マレイン酸変性液状ポリイソプレンがより好ましく、無水マレイン酸変性液状ポリイソプレンが更に好ましい。
変性化合物を、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)に付加させる方法は特に限定されず、例えば、液状ジエン系ゴム中に不飽和カルボン酸又はその誘導体、更に必要に応じてラジカル触媒を加えて、有機溶媒の存在下又は非存在下に、加熱する方法を採用することができる。
上記方法で使用される有機溶媒としては、一般的には炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒が挙げられる。これら有機溶媒の中でも、n−ブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒が好ましい。
また、上記方法で使用されるラジカル触媒としては、ジ−s−ブチルペルオキシジカーボネート、t−アミルペルオキシピバレート、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。これらラジカル触媒の中でも、アゾイソブチロニトリルが好ましい。
また、上記のように、無水不飽和カルボン酸を未変性の液状ジエン系ゴム(B’)に付加して無水不飽和カルボン酸変性液状ジエン系ゴムを得た後に、更にその無水不飽和カルボン酸変性液状ジエン系ゴムと、アルコール、アンモニア、あるいはアミンなどを反応させて、不飽和カルボン酸エステル変性液状ジエン系ゴム、不飽和カルボン酸アミド変性液状ジエン系ゴム、あるいは不飽和カルボン酸イミド変性液状ジエン系ゴムを製造して、これを変性液状ジエン系ゴム(B)として用いてもよい。
変性液状ジエン系ゴム(B)の変性化合物の付加反応率は40〜100mol%であり、60〜100mol%であることが好ましく、80〜100mol%であることがより好ましく、90〜100mol%であることが更に好ましい。付加反応率が上記範囲にあると、得られる変性液状ジエン系ゴム(B)に、変性化合物又は変性化合物に由来する低分子化合物が残存することが少なくなるため、これら化合物に由来する悪影響、例えば無水マレイン酸などの酸性成分に由来すると思われる金属腐食などの悪影響をより抑制することができる。変性化合物の付加反応率は、例えば、不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸誘導体を変性化合物として用いた場合、変性反応後の試料において洗浄前後の酸価を比較すること等により、未反応の変性化合物の量を算出し、求めることができる。
特定の付加反応率にある変性液状ジエン系ゴム(C)を製造する手法としては、変性化合物を付加する反応を適切な反応温度において、充分な反応時間で反応させることが有効である。例えば、未変性の液状ジエン系ゴム(C’)に無水マレイン酸を付加させる反応における温度は100〜200℃が好ましく、120℃〜180℃がより好ましい。また反応時間は3〜200時間が好ましく、4〜100時間がより好ましく、5〜50時間が更に好ましい。
変性液状ジエン系ゴム(B)中に付加された変性化合物量に、厳密な意味での制限はないが、得られるゴム組成物及び架橋物における特性を十分に発揮させる観点から、未変性重合体100質量部に対して0.05〜40質量部の範囲が好ましく、0.1〜30質量部の範囲がより好ましく、0.1〜20質量部の範囲が更に好ましい。付加された変性化合物量が40質量部より多い場合には得られる架橋物の柔軟性及び強度が低下する傾向があり、0.05質量部より低い場合には得られる架橋物の接着性が低下する傾向がある。
なお、変性液状ジエン系ゴム(B)中に付加された変性化合物量は、変性化合物の付加反応率を基に算出することもできるし、赤外分光法、核磁気共鳴分光法等の各種分析機器を用いて求めることもできる。
この変性液状ジエン系ゴム(B)において、官能基が導入される位置については重合末端であってもよく、重合体鎖の側鎖であってもよい。また上記官能基は1種単独で含まれていてもよく2種以上含まれていてもよい。したがって、変性液状ジエン系ゴム(B)は、変性化合物1種により変性されたものであってもよく、また2種以上の変性化合物で変性されていてもよい。
上記変性液状ジエン系ゴム(B)の38℃で測定した溶融粘度は、0.1〜10,000Pa・sの範囲にあるが、好ましくは0.5〜7,000Pa・sの範囲、より好ましくは0.5〜5,000Pa・sの範囲、さらに好ましくは1〜3,000Pa・sの範囲にある。変性液状ジエン系ゴム(B)の溶融粘度が前記範囲内であると、得られるゴム組成物の混練が容易になると共に加工性が向上する。更に、ゴム組成物から得られる架橋物の接着性も向上する。なお、本発明において変性液状ジエン系ゴム(B)の溶融粘度は、後述する実施例に記載した方法で求めた値である。
変性液状ジエン系ゴム(B)の最大ピーク分子量(Mt)は3,000〜120,000であり、4,000〜110,000が好ましく、5,000〜100,000がより好ましく、6,000〜90,000が更に好ましく、7,000〜70,000がより更に好ましい。上記変性液状ジエン系ゴム(B)のMtが前記範囲内であると、低粘度となり、ゴム組成物の混練が容易になると共に加工性が向上し、更に接着性が向上する。なお、本発明において変性液状ジエン系ゴム(B)のMtは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定から求めたポリスチレン換算の最大ピーク分子量である。
上記変性液状ジエン系ゴム(B)では、そのGPC測定により得られるGPCクロマトグラムの重合体由来の全面積を100%として、分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体の割合が0〜20%の範囲にあることに特徴がある。このような変性液状ジエン系ゴム(B)をゴム組成物に配合することにより、その組成物を使用する際の作業性に優れるだけでなく、接着性及び耐金属腐食性に優れた架橋物を作製できる。その理由の詳細は明らかではないが、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)を変性する際に生じる、上記分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体、典型的にはカップリング体などの副生成物に由来する高分子量体の含有量が上記の範囲であると、作業性に優れたゴム組成物を作製でき、また、効率的にジエン系ゴムの変性反応が行われることにより、液状ジエン系ゴムの変性には用いられなかった変性化合物に由来する物質の残存量が少ないため、金属腐食や、接着性低下等の悪影響が抑制されるためではないかと推定される。
加工性、接着性の観点からは、分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体の割合は、0〜15%の範囲であることが好ましく、0〜10%の範囲であることがより好ましい。なお、本発明において、分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体の割合は、後述する実施例に記載した条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定した際に得られるGPCクロマトグラムの重合体由来の全面積(GPCクロマトグラムとベースラインで囲まれる面積)を100%とした際の、当該領域にある重合体の面積比から求めた値である。
このような特定の分子量分布にある変性液状ジエン系ゴム(B)を製造する手法としては、例えば、後述の変性化合物を付加する反応時における老化防止剤の添加を行いつつ、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)を精製し、変性化合物を付加する反応を阻害する成分を十分に除去することが挙げられる。精製する方法としては、水若しくは温水、又は、メタノール、アセトンなどに代表される有機溶媒若しくは超臨界流体二酸化炭素による洗浄が好ましい。
また、特定の分子量分布にある変性液状ジエン系ゴム(B)を合成する手法としては、例えば、上記精製を行った後、変性化合物を付加する反応時における老化防止剤の添加が有効である。この時に用いる好ましい老化防止剤としては、2,6−ジt−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(AO−40)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(AO−80)、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−6−メチルフェノール(Irganox 1520L)、2,4−ビス[(ドデシルチオ)メチル]−6−メチルフェノール(Irganox 1726)、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジt−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジt−ペンチルフェニルアクリレート(Sumilizer GS)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(Sumilizer GM)、6−t−ブチル−4−[3−(2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イルオキシ)プロピル]−2−メチルフェノール(Sumilizer GP)、亜りん酸トリス(2,4−ジt−ブチルフェニル)(Irgafos 168)、ジオクタデシル3,3’−ジチオビスプロピオネート、ヒドロキノン、p−メトキシフェノール、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(ノクラック6C)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(LA−77Y)、N,N−ジオクタデシルヒドロキシルアミン(Irgastab FS 042)、ビス(4−t−オクチルフェニル)アミン(Irganox 5057)等が挙げられる。また、上記老化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
老化防止剤の添加量は、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)又は変性液状ジエン系ゴム(B)100質量部に対して0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。
更に、特定の分子量分布にある変性液状ジエン系ゴム(B)を合成する手法としては、変性化合物を付加する反応中の適切な温度管理も有効である。例えば、未変性の液状ジエン系ゴム(B’)に無水マレイン酸を付加させる反応における温度は、100〜200℃が好ましく、120℃〜180℃がより好ましい。
これらの特定の分子量分布にある変性液状ジエン系ゴム(B)を製造する手法は、2つ以上を組み合わせて行ってもよく、3つとも行ってもよい。
変性液状ジエン系ゴム(B)の重量平均分子量(Mw)は3,000〜500,000が好ましく、4,000〜400,000がより好ましく、5,000〜300,000がより好ましく、7,000〜300,000がより更に好ましい。上記変性液状ジエン系ゴム(B)のMwが前記範囲内であると、本発明のゴム組成物の加工性が良好となり、またその架橋物の接着性が良好となる。本発明においては、Mwが異なる2種以上の変性液状ジエン系ゴム(B)を組み合わせて用いてもよい。
変性液状ジエン系ゴム(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、1.0〜8.0が好ましく、1.0〜5.0がより好ましく、1.0〜3.0が更に好ましい。Mw/Mnが前記範囲内であると、得られる変性液状ジエン系ゴム(B)の粘度のばらつきが小さく、より好ましい。
変性液状ジエン系ゴム(B)のガラス転移温度(Tg)は、共役ジエン(b1)に由来する単位のビニル含量、共役ジエン(b1)の種類、共役ジエン以外の単量体に由来する単位の含量などによって変化し得るが、−100〜30℃が好ましく、−100〜20℃がより好ましく、−100〜10℃が更に好ましい。Tgが上記範囲であると、例えば、ゴム組成物の加工性、接着性が良好となる。また粘度が高くなるのを抑えることができ取り扱いが容易になる。変性液状ジエン系ゴム(B)のビニル含量は99質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。また、上記変性液状ジエン系ゴム(B)は1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のゴム組成物においては、上記固形ゴム(A)及び液状ジエン系ゴム(B)とからゴム成分は構成される。
このゴム成分は、固形ゴム(A)1〜99質量%及び液状ジエン系ゴム(B)99〜1質量%から構成されるが、好ましくは固形ゴム(A)5〜99質量%及び液状ジエン系ゴム(B)95〜1質量%、より好ましくは固形ゴム(A)10〜90質量%及び液状ジエン系ゴム(B)90〜10質量%、さらに好ましくは固形ゴム(A)20〜80質量%及び液状ジエン系ゴム(B)80〜20質量%から構成される。固形ゴム(A)と液状ジエン系ゴム(B)との配合割合が上記範囲にあることにより、ゴム組成物の加工性、接着性が良好となる。
[フィラー(C)]
本発明のゴム組成物で用いるフィラー(C)とは、機械強度の向上、耐熱性又は耐候性等の物性の改良、硬度の調整、ゴムの増量等を目的として配合されるものである。上記フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、 炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化バリウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、ろう石クレー、カオリンクレー及び焼成クレー等のクレー、マイカ、ケイソウ土、カーボンブラック、シリカ、ガラス繊維、カーボン繊維、繊維状フィラー、ガラスバルーン等の無機フィラー、架橋ポリエステル、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体樹脂、又は尿素樹脂等の樹脂から形成された樹脂粒子、合成繊維、及び天然繊維などが挙げられる。
なお、上記フィラー(C)が粒子状である場合、その粒子の形状は所望の物性等に応じて、球状等種々の形状を取ることができる。また、上記フィラー(C)が粒子状である場合には、所望の物性等に応じて、中実粒子、中空粒子のいずれであってもよく、また複数の材料などで形成されたコアシェル型の粒子であってもよい。またこれらフィラー(C)は、脂肪酸、樹脂酸、脂肪酸エステル、シランカップリング剤等種々の化合物により表面処理が施されたものであってもよい。
これらフィラー(C)の中でも、得られるゴム組成物及びその架橋物の補強性、価格、取り扱い易さ等の観点からは、炭酸カルシウム、カーボンブラック、シリカが好ましく、炭酸カルシウム、カーボンブラックがより好ましい。これらフィラー(C)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のゴム組成物において、固形ゴム(A)及び液状ジエン系ゴム(B)とからなるゴム成分100質量部に対するフィラー(C)の含有量は、0.1〜1500質量部であり、1〜1300質量部が好ましく、5〜1000質量部がより好ましく、10〜800質量部が更に好ましい。フィラー(C)の含有量が前記範囲内であると、ゴム組成物の加工性、接着性が良好である。
[オイル(D)]
本発明のゴム組成物で用いられるオイル(D)とは、主として本発明のゴム組成物の加工性、他の配合剤の分散性を向上するため、またゴム組成物の特性を所望の範囲とするために添加されるものである。上記オイル(D)としては、鉱物油、植物油、合成油などが挙げられる。
鉱物油としては、例えば、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、芳香族系オイルなどが挙げられる。植物油としては、例えば、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油などが挙げられる。合成油としては、例えばエチレン・α−オレフィンオリゴマー、流動パラフィンなどが挙げられる。
これらオイル(D)の中でも、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、芳香族系オイルが好ましく、ナフテン系オイルがより好ましい。
これらオイル(D)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のゴム組成物において、固形ゴム(A)及び液状ジエン系ゴム(B)とからなるゴム成分100質量部に対するオイル(D)の含有量は0.1〜500質量部であり、1〜450質量部が好ましく、5〜400質量部がより好ましく、8〜350質量部が更に好ましい。オイル(D)の含有量が前記範囲内であると、ゴム組成物の加工性、接着性が良好である。
[その他の成分]
本発明のゴム組成物は、そのゴムを架橋するために更に架橋剤を含有してもよい。架橋剤としては、例えば、硫黄、硫黄化合物、酸素、有機過酸化物、フェノール樹脂、アミノ樹脂、キノン及びキノンジオキシム誘導体、ハロゲン化合物、アルデヒド化合物、アルコール化合物、エポキシ化合物、金属ハロゲン化物及び有機金属ハロゲン化物、シラン化合物などが挙げられる。硫黄化合物としては、例えば、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィドなどが挙げられる。有機過酸化物としては、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジtert−ブチルパーオキサイド、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンなどが挙げられる。これら架橋剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記架橋剤は、架橋物の力学物性の観点から、固形ゴム(A)及び液状ジエン系ゴム(B)とからなるゴム成分100質量部に対し、通常0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜10質量部、より好ましくは0.8〜10質量部含有される。
本発明のゴム組成物は、例えばゴムを架橋(加硫)するための架橋剤として硫黄、硫黄化合物等が含まれている場合には、更に加硫促進剤を含有してもよい。加硫促進剤としては、例えば、グアニジン系化合物、スルフェンアミド系化合物、チアゾール系化合物、チウラム系化合物、チオウレア系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物、アルデヒド−アミン系化合物、アルデヒド−アンモニア系化合物、イミダゾリン系化合物、キサンテート系化合物などが挙げられる。これら加硫促進剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記加硫促進剤は、固形ゴム(A)及び液状ジエン系ゴム(B)とからなるゴム成分100質量部に対し、通常0.1〜15質量部、好ましくは0.1〜10質量部含有される。
本発明のゴム組成物は、例えばゴムを架橋(加硫)するための架橋剤として硫黄、硫黄化合物等が含まれている場合には、更に加硫助剤を含有してもよい。加硫助剤としては、例えば、ステアリン酸等の脂肪酸、亜鉛華等の金属酸化物、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩が挙げられる。これら加硫助剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記加硫助剤は、固形ゴム(A)及び液状ジエン系ゴム(B)とからなるゴム成分に対し、通常0.1〜15質量部、好ましくは0.5〜10質量部含有される。
本発明のゴム組成物は、発明の効果を阻害しない範囲で、加工性、流動性等の改良を目的とし、必要に応じて脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、C9系樹脂、ロジン系樹脂、クマロン・インデン系樹脂、フェノール系樹脂等の粘着付与樹脂を含有していてもよい。
また、本発明のゴム組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、耐候性、耐熱性、耐酸化性等の向上を目的として、必要に応じて老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、スコーチ防止剤、官能基含有化合物、ワックス、滑剤、可塑剤、加工助剤、顔料、色素、染料、その他着色剤、難燃剤、帯電防止剤、艶消し剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、発泡剤、抗菌剤、防カビ剤、香料、分散剤、溶剤等の添加剤を含有していてもよい。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、ラクトン系化合物、ヒドロキシル系化合物等が挙げられる。
老化防止剤としては、例えば、アミン−ケトン系化合物、イミダゾール系化合物、アミン系化合物、フェノール系化合物、硫黄系化合物及びリン系化合物等が挙げられる。
ゴム組成物と被着体との接着性、密着性等を向上させる等するために、官能基含有化合物を添加してもよい。官能基含有化合物としては、例えば、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等の官能基含有アルコキシシラン、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、2−ヒドロキシエチルメタクリロイルホスフェート、含窒素アクリレート、含窒素メタクリレート等の官能基含有アクリレート及びメタクリレートなどが挙げられる。接着性、密着性の観点からは、上記官能基としては、エポキシ基が好ましい一態様である。
顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等の無機顔料;アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料等の有機顔料が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、4級アンモニウム塩、ポリグリコール及びエチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物が挙げられる。
難燃剤としては、例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチル−メチルホスホネート、臭素−リン化合物、アンモニウムポリホスフェート、ネオペンチルブロマイドーポリエーテル、臭素化ポリエーテルが挙げられる。これら添加剤は1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
[ゴム組成物の製造方法]
本発明のゴム組成物の製造方法は、上記各成分を均一に混合できれば特に限定されない。ゴム組成物の製造に用いる装置としては、例えば、ニーダールーダー、ブラベンダー、バンバリーミキサー、インターナルミキサー等の接線式又は噛合式の密閉式混練機、単軸押出機、二軸押出機、ミキシングロール、ローラーなどが挙げられる。上記混合は、常圧下、空気雰囲気下で行うことができるが、混合する際に組成物中に気泡が混在するのを防ぐ観点から、減圧下又は窒素雰囲気下で行うことが好ましい。このように均一に各成分を分散することにより得られた本発明のゴム組成物は、使用するまで密閉容器等で保存することが好ましい。
[架橋物]
本発明のゴム組成物を、必要に応じて油面鋼板等の基材等に塗布した後、これを架橋することにより架橋物を得ることができる。ゴム組成物の架橋条件は、その用途等に応じて適宜設定できるが、例えば130℃ 〜250℃の温度範囲で、10分〜60分間架橋反応を行うことにより、架橋物を作製することができる。例えば、自動車製造ラインで本発明のゴム組成物を用いる場合には、本発明のゴム組成物を各種部材の所望の部位(例えば、複数のフレーム部材のフランジ間の隙間)に塗布した後、車体の電着塗装工程で焼付乾燥を行う際に、その発生する熱により架橋することにより、所望の部位に架橋物を形成させることができる。
本発明のゴム組成物から得られる架橋物は、貯蔵安定性、耐熱性に優れるだけでなく、制振性能にも優れる。そのため、種々の工業製品等に使用することができ、特に、エンジン回り、懸架系、駆動系、操向系、床等の自動車用部材又は自動車用部品に好適に使用できる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例及び比較例において使用した各成分は以下のとおりである。
<固形ゴム(A)>
ポリブタジエンゴム(BR) ジエンNF35R(旭化成社製)
<変性液状ジエン系ゴム(B)>
後述の製造例1〜5で得られた変性液状ポリイソプレン
<フィラー(C)>
炭酸カルシウム 白艶華CCR(白石カルシウム社製)
<オイル(D)>
ナフテン系オイル SUNTHENE 250(日本サン石油株式会社製)
<架橋剤>
硫黄(微粉硫黄200メッシュ、鶴見化学工業株式会社製)
<加硫促進剤>
加硫促進剤(1):ノクセラーDM (大内新興化学工業株式会社製)
加硫促進剤(2):ノクセラーBG (大内新興化学工業株式会社製)
<加硫助剤>
ステアリン酸 :ルナックS−20(花王株式会社製)
亜鉛華 :酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製)
<任意成分>
ノクラックNS−6(大内新興化学工業株式会社製)
製造例1:変性液状ポリイソプレン(B−1)の製造
十分に乾燥した耐圧容器を窒素置換し、この耐圧容器に、ヘキサン600g、及びn−ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)44.9gを仕込み、70℃に昇温した後、撹拌条件下、重合温度を70℃となるように制御しながら、イソプレン2050gを加えて1時間重合した。その後、メタノールを添加して重合反応を停止させ、重合溶液(2695g)を得た。得られた重合反応液に水を添加して撹拌し、水で重合反応液を洗浄した。撹拌を終了し、重合溶液相と水相とが分離していることを確認した後、水を分離した。洗浄終了後の重合反応液を70℃で12時間乾燥することにより、未変性液状ポリイソプレン(B’−1)を得た。
続いて、窒素置換を行った容量1リットルのオートクレーブ中に、得られた未変性液状ポリイソプレン(B’−1)300gを仕込み、無水マレイン酸4.5gと2,6−ジt−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)3.0gを添加し、160℃で20時間反応させて、無水マレイン酸変性液状ポリイソプレン(B−1)を得た。
なお、変性化合物の付加反応率は99mol%、変性液状ポリイソプレン(B−1)中に付加された変性化合物量は未変性液状ポリイソプレン(B’−1)100質量部に対し1.5質量部であった。得られた変性液状ポリイソプレン(B−1)の物性を表1に示す。
製造例2:変性液状ポリイソプレン(B−2)の製造
窒素置換を行った容量1リットルのオートクレーブ中に、製造例1と同様の手順で得られた未変性液状ポリイソプレン(B’−1)300gを仕込み、無水マレイン酸4.5gとBHT1.0gを添加し、160℃で20時間反応させて、無水マレイン酸変性液状ポリイソプレン(B−2)を得た。
なお、変性化合物の付加反応率は99mol%、変性液状ポリイソプレン(B−2)中に付加された変性化合物量は未変性液状ポリイソプレン(B’−1)100質量部に対し1.5質量部であった。得られた変性液状ポリイソプレン(B−2)の物性を表1に示す。
製造例3:変性液状ポリイソプレン(B−3)の製造
窒素置換を行った容量1リットルのオートクレーブ中に、製造例1と同様の手順で得られた未変性液状ポリイソプレン(B’−1)300gを仕込み、無水マレイン酸4.5gを添加し、160℃で20時間反応させて、無水マレイン酸変性液状ポリイソプレン(B−3)を得た。
なお、変性化合物の付加反応率は99mol%、変性液状ポリイソプレン(B−3)中に付加された変性化合物量は未変性液状ポリイソプレン(B’−1)100質量部に対し1.5質量部であった。得られた変性液状ポリイソプレン(B−3)の物性を表1に示す。
製造例4:変性液状ポリイソプレン(B−4)の製造
窒素置換を行った容量1リットルのオートクレーブ中に、製造例1と同様の手順で得られた未変性液状ポリイソプレン(B’−1)300gを仕込み、無水マレイン酸4.5gとBHT1.0gを添加し、160℃で150分間反応させて、無水マレイン酸変性液状ポリイソプレン(B−4)を得た。
なお、変性化合物の付加反応率は35mol%、変性液状ポリイソプレン(B−4)中に付加された変性化合物量は未変性液状ポリイソプレン(B’−1)100質量部に対し0.53質量部であった。得られた変性液状ポリイソプレン(B−4)の物性を表1に示す。
製造例5:変性液状ポリイソプレン(B−5)の製造
窒素置換を行った容量1リットルのオートクレーブ中に、製造例1と同様の手順で得られた未変性液状ポリイソプレン(B’−1)300gを仕込み、無水マレイン酸4.5gとBHT1.0gを添加し、160℃で30分間反応させて、無水マレイン酸変性液状ポリイソプレン(B−5)を得た。
なお、変性化合物の付加反応率は10mol%、変性液状ポリイソプレン(B−5)中に付加された変性化合物量は未変性液状ポリイソプレン(B’−1)100質量部に対し0.15質量部であった。得られた変性液状ポリイソプレン(B−5)の物性を表1に示す。
なお、変性液状ジエン系ゴム(B)の各物性値の測定方法及び算出方法は以下の通りである。
(重量平均分子量、最大ピーク分子量及び分子量分布の測定方法)
変性液状ジエン系ゴム(B)のMw、Mt及びMw/MnはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により標準ポリスチレン換算分子量で求めた。測定装置及び条件は、以下の通りである。
・装置 :東ソー株式会社製GPC装置「GPC8020」
・分離カラム :東ソー株式会社製「TSKgelG4000HXL」
・検出器 :東ソー株式会社製「RI−8020」
・溶離液 :テトラヒドロフラン
・溶離液流量 :1.0ml/分
・サンプル濃度:5mg/10ml
・カラム温度 :40℃
なお、分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体の割合は、上記条件によるGPC測定で得られたGPCクロマトグラムから、Mt×1.45以上の領域にある重合体の面積を求めて、重合体由来の全面積(GPCクロマトグラムとベースラインで囲まれる面積)を100%とした際の面積比として求めた。
(溶融粘度の測定方法)
変性液状ジエン系ゴム(B)の38℃における溶融粘度をブルックフィールド型粘度計(BROOKFIELD ENGINEERING LABS. INC.製)により測定した。
(ガラス転移温度の測定方法)
変性液状ジエン系ゴム(B)10mgをアルミパンに採取し、示差走査熱量測定(DSC)により10℃/分の昇温速度条件においてサーモグラムを測定し、DDSCのピークトップの値をガラス転移温度とした。
(付加反応率)
変性反応後の試料3gにトルエン180mL、エタノール20mLを加え溶解した後、0.1N水酸化カリウムのエタノール溶液で中和滴定し酸価を求めた。
酸価(mgKOH/g)=(A−B)×F×5.611/S
A:中和に要した0.1N水酸化カリウムのエタノール溶液滴下量(mL)
B:試料を含まないブランクでの0.1N水酸化カリウムのエタノール溶液滴下量(mL)
F:0.1N水酸化カリウムのエタノール溶液の力価
S:秤量した試料の質量(g)
また、変性反応後の試料をメタノールで4回洗浄(試料1gに対して5mL)して未反応の無水マレイン酸を除去した後、試料を80℃で12時間、減圧乾燥し、上記と同様の方法にて酸価を求めた。下記式に基づき変性化合物の付加反応率を算出した。
〔変性化合物の付加反応率〕=〔洗浄後の酸価〕/〔洗浄前の酸価〕×100
(付加された変性化合物量)
上記で求めた付加反応率から、下記式に従い、未反応の液状ジエン系ゴムに対して付加された官能基の量を算出した。
〔未変性の液状ジエン系ゴム(B’)100質量部に対し付加された変性化合物量〕=〔添加した無水マレイン酸の質量(g)〕×〔変性化合物の付加反応率(mol%)〕/〔未変性の液状ジエン系ゴム(B’)の質量(g)〕
Figure 0006218560
(実施例1〜2及び比較例1〜4)
表2に記載した配合割合(質量部)にしたがって、ポリブタジエンゴム、変性液状ジエン系ゴム(B−1)〜(B−5)、炭酸カルシウム、ナフテン系オイル、ステアリン酸、亜鉛華、老化防止剤を配合し、ブラベンダーを用いて50℃で混練した。次いで、硫黄及び加硫促進剤を表2に示す割合で添加し、50℃で混練してゴム組成物を得た。得られたゴム組成物について、下記の方法に基づき各評価を行った。結果を表2に示す。
(1)作業性
得られたゴム組成物をカートリッジガンに充填し鋼板上に塗布した時の、作業性を評価した。塗布し易く、糸引きが無いものを○、粘度が高く塗布しにくく、糸引きするものを×とした。
(2)せん断接着力
せん断接着力の測定はJIS K 6850に準じて行った。試験材料は、JIS G 3141に規定するSPCC−SD鋼板で、防錆剤を塗布した厚さ1mmの物を用いた。ゴム組成物を厚さ1mmになるように上記鋼板に塗布した後、150℃、30分間の条件で架橋して試料を作製し、せん断接着力を測定した。せん断接着力を測定する際の引張り速度は50mm/分とした。
各実施例及び比較例の数値は、実施例1の値を100とした際の相対値である。なお、数値が大きいほどゴム組成物のせん断接着力が良好である。
(3)金属腐食性
ゴム組成物をSPCC−SD鋼板に厚さ1mmになるように塗布した後、150℃、30分間の条件で架橋して試料を作製した。得られた試料を、23℃、50%RHの条件下で4週間放置した後、鋼板からゴム組成物の架橋物を剥がし取り、鋼板表面の錆の発生状態を評価した。まったく錆の発生が無い物を○、錆が発生している物を×とした。
Figure 0006218560
実施例1又は2と比較例1又は2とを比較すると、分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体の割合が本発明の範囲内である変性液状イソプレンゴムを用いたゴム組成物は、分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体の割合が本発明の範囲外である変性液状イソプレンゴム(B−3)を用いた比較例1のゴム組成物よりも、粘度が低く作業性に優れることが分かる。作業性を改善するためにオイルの配合量を増やした比較例2は、作業性は改善されるが、せん断接着力が低下することが分かる。
また、実施例1又は2と比較例3又は4とを比較すると、付加反応率の低い変性液状イソプレンゴムを用いた場合、せん断接着力が低く、更に金属腐食性に悪影響を及ぼすことが分かる。
本発明で得られるゴム組成物は、作業性に優れ、またこのゴム組成物から得られる架橋物は接着性及び耐金属腐食性にも優れるため、シーリング材、各種部材の接着などに好適に用いることができ、自動車などの種々の産業用製品、日用品などに有用である。

Claims (2)

  1. 天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム及びブチルゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種の固形ゴム(A)1〜99質量%と、変性液状ジエン系ゴム(B)99〜1質量%とからなるゴム成分100質量部に対して、フィラー(C)0.1〜1500質量部、及びオイル(D)0.1〜500質量部を含有するゴム組成物であり、前記変性液状ジエン系ゴム(B)が、下記(I)〜(III)の要件を満たすゴム組成物。
    (I)変性液状ジエン系ゴム(B)の38℃で測定した溶融粘度が0.1〜10,000Pa・sの範囲にある。
    (II)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した際、最大ピーク分子量(Mt)が3,000〜120,000の範囲であり、得られるGPCクロマトグラムの重合体由来の全面積を100%として、分子量がMt×1.45以上の領域にある重合体の割合が0〜20%である。
    (III)変性液状ジエン系ゴム(B)が、変性化合物を液状ジエン系ゴム(B’)に付加して得られたものであり、変性化合物の付加反応率が40〜100mol%である。
  2. 液状ジエン系ゴム(B’)に付加する変性化合物が無水マレイン酸である、請求項1に記載のゴム組成物。
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