以下に、本発明の実施の形態にかかる送信装置、受信装置および通信システムを図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる送信装置の構成例を示す図である。本実施の形態の送信装置20は、SCブロック伝送を行う送信装置であり、図1に示すように、データシンボル生成部1、加算処理部2、シンボル挿入部3、シンボル選択部4、DFT(Discrete Fourier Transform)部5、オーバサンプリング処理部6、IDFT(Inverse DFT)部7、サンプル選択部8、CP(Cyclic Prefix)付加部9、送信部10および記憶部11を備える。
データシンボル生成部1は、送信する情報データに基づいて、例えば、PSK(Phase Shift Keying)シンボル、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)シンボル等のデータシンボルを生成する。データシンボル生成部1は、SCブロック伝送におけるブロックごとにすなわちブロック単位でデータシンボルを生成する。なお、データシンボル生成部1は、誤り訂正符号化が施されたデータを情報データとして用いても良い。
加算処理部2は、記憶部11に格納されている、過去のブロックのデータシンボルである過去シンボル、すなわち1ブロック前のデータシンボルを読み出し、読み出した過去シンボルのうち少なくとも一部に対して調整値を加算する加算処理を行う加算部である。加算処理は、帯域外スペクトルを抑圧するために行われる処理である。加算処理および調整値の詳細については、後述するが、加算処理部2は、1つ前のブロックの後述するCPブロックの生成処理においてサンプル選択部8から入力されたサンプルに基づいて算出された調整量を、上記の少なくとも一部のシンボルに加算する。
シンボル挿入部3は、データシンボル生成部1により生成されたデータシンボルに加算処理部2により加算処理が施された後の過去シンボルを挿入して、データシンボルと加算処理が施された後の過去シンボルとが多重された1ブロック分のシンボルである多重シンボルを生成する。シンボル選択部4は、シンボル挿入部3から出力される1ブロック分のシンボルのうち、選択対象のシンボルを選択し、選択したシンボルを記憶部11に格納するとともに、シンボル挿入部3により入力された1ブロック分のシンボルをそのままDFT部5へ入力する。シンボル選択部4は、後述するように、例えば、シンボル挿入部3により多重されたシンボルのうち、先頭の第1の個数のシンボルと末尾の第2の個数のシンボルとを選択し、選択したシンボルを記憶部11に格納する。第1の個数は、後述するKまたはK1であり、第2の個数は、後述するKまたはK2である。選択対象のシンボルについては後述する。
DFT部5は、シンボル選択部4から入力された1ブロック分のシンボルに対してDFT処理を実施することにより、1ブロック分のシンボルを周波数領域のデータに変換する時間周波数変換部である。なお、DFT部5の替わりに、時間領域の信号を周波数領域の信号に変換する任意の構成要素を用いることができ、例えば、DFT部5の替わりにFFT(Fast Discrete Fourier Transform)を行うFFT部を用いてもよい。
オーバサンプリング処理部6は、DFT処理後のデータに対して補間処理の一種であるオーバサンプリング処理を実施する補間部である。本実施の形態では、オーバサンプリングレートはLとする。また、本実施の形態では、オーバサンプリング処理部6は、さらに、DFT処理後のデータを、所望の帯域幅へ変換する処理を実施する。本実施の形態のオーバサンプリング処理とは、時間領域信号のサンプリングレートを上げる、すなわちサンプリング間隔を細かくする補間処理である。具体的には、例えば、「B.Porat,“A Course in Digital Signal Processing”,John Wiley and Sons Inc.,1997」(以下、Porat文献という)に記載されている信号補間式等を用いて、オーバサンプリング処理(サンプリングレートを上げる、すなわちサンプリング間隔を細かくする処理)を行い、入力される信号に対し、1シンボルあたりのサンプリング点がL個となるようオーバサンプリングを行う。本実施の形態では、オーバサンプリング処理は、オーバサンプリングレートをLとした場合、入力のサンプリングレートすなわちDFT部5に入力される時間領域のデータに対してIDFT部7から出力される時間領域のデータのサンプリングレートがL倍となるようオーバサンプリングを行う。なお、オーバサンプリングレートは、オーバサンプリング後のサンプリングレートが入力のサンプリングレートの何倍であるかを示す値とする。オーバサンプリング処理としては、例えばゼロ挿入等の手法を用いることができる。周波数領域のデータであるDFT処理後のデータにゼロを挿入し、ゼロ挿入後のデータに対してIDFT処理を実施することにより、DFT部5に入力される時間領域のデータが内挿される。Lは整数である必要はなく、実数であればよい。また、オーバサンプリング処理部6は、所望の帯域幅へ変換する処理として、DFT処理後のデータの帯域幅をB1とし、所望の帯域幅をB2とすると、DFT処理後のデータを帯域幅B2のデータに変換する。この所望の帯域幅への変換は、B1<B2のとき、例えば、B2とB1の差に相当する0を挿入することで実現できる。オーバサンプリング処理部6は、所望の帯域幅へ変換する処理を実施した後に、上述の補間処理を実施する。
IDFT部7は、周波数領域のデータであるオーバサンプリング処理後のデータに対してIDFT処理を実施することにより、オーバサンプリング処理後のデータを複数のサンプルで構成される時間領域のデータに変換する周波数時間変換部である。なお、IDFT部7の替わりに、時間領域の信号を周波数領域の信号に変換する任意の構成要素を用いることができ、例えば、IDFT部7の替わりにIFFT(Inverse FFT)を行うIFFT部を用いてもよい。
サンプル選択部8は、IDFT処理後のサンプルすなわち時間領域のデータから選択対象の位置のサンプルを選択して、加算処理部2へ入力する選択部である。サンプル選択部8は、IDFT処理後のサンプルのうち選択対象となる位置のサンプルを選択して加算処理部2へ入力するとともに、IDFT処理後の全てのサンプルすなわち1ブロック分のサンプルをCP付加部9へ出力する。なお、選択対象となる位置のサンプルは、次のブロックの処理において加算処理部2で用いられるため、サンプル選択部8は、次のブロックの処理のタイミングにあわせて一定時間遅延させて選択対象となる位置のサンプルを加算処理部2へ入力してもよい。CP付加部9は、サンプル選択部8から出力されたサンプルに対してCPを付加してブロック信号を生成する。具体的には、CP付加部9は、ブロック内の最後のNCPL個のサンプルをコピーすなわち複製し、ブロックの先頭に配置する。NCPは、CP付加においてコピーされるシンボル数に相当する値であり、Lは上述したオーバサンプリングレートである。送信部10は、CP付加後の信号であるブロック信号を、伝送路に対応した信号に変換して送信する。送信部10は、伝送路が無線伝送路である場合、デジタル信号をアナログ信号に変換するアナログデジタル回路、およびアナログ信号を電波として送出するアンテナ等を含み、伝送路が有線伝送路である場合、アナログデジタル回路、および有線伝送路に対応した物理層の処理等を行う回路等を含む。
なお、図1に示した送信装置20の構成要素は、全てをハードウェアにより実現することができる。データシンボル生成部1は、モデムまたはモジュレータであり、DFT部5、IDFT部7は、例えばフリップフロップ回路、シフトレジスタ等を用いた電子回路であり、記憶部11はメモリであり、送信部10は送信機である。加算処理部2、シンボル挿入部3、シンボル選択部4、オーバサンプリング処理部6、サンプル選択部8、CP付加部9についても、各々が電子回路として実現できる。しかしながら、図1に示した構成要素のうち、一部がソフトウェアにより構成されてもよい。図1に示した構成要素のうちソフトウェアにより実現されるものがある場合、例えば、ソフトウェアにより実現される構成要素は図2に示す制御回路200により実現される。図2に示すように制御回路200は、外部から入力されたデータを受信する受信部である入力部201と、プロセッサ202と、メモリ203と、データを外部へ送信する送信部である出力部204とを備える。入力部201は、制御回路200の外部から入力されたデータを受信してプロセッサ202に与えるインターフェース回路であり、出力部204は、プロセッサ202又はメモリ203からのデータを制御回路200の外部に送るインターフェース回路である。図1に示す構成要素のうち少なくとも一部が、図2に示す制御回路200により実現される場合、プロセッサ202がメモリ203に記憶された、送信装置20の各々の構成要素に対応するプログラムを読み出して実行することにより実現される。また、メモリ203は、プロセッサ202が実施する各処理における一時メモリとしても使用される。
次に、本実施の形態の動作について説明する。まず、本実施の形態において用いる用語および変数を次のように定義する。図3は、本実施の形態で用いる用語の定義を説明するための図である。本実施の形態では、データシンボル生成部1により生成される1ブロック分のデータシンボルの数をNDとする。また、シンボル挿入部3により、データシンボルと加算処理後の過去シンボルとが多重された後の多重シンボルの1ブロック分のシンボル数をMとする。DFT部5には、M個のシンボルが入力され、M個の周波数領域のデータが出力される。DFT部5への入力単位すなわち入力される1点のデータをシンボルと呼ぶ。
シンボル挿入部3により過去シンボルとデータシンボルとが多重された後の、k番目のブロックのN個のシンボルd(太字)kを以下の式(1)のように定義する。なお、B(太字)Tは、任意の行列B(太字)の転置を示す。
また、オーバサンプリング処理部6が実施するオーバサンプリングのオーバサンプリングレートを前述の通りLとする。オーバサンプリング処理部6から出力される1ブロック分のデータの数は、NLである。Nは、上述した所望の帯域幅B2に対応する値である。IDFT部7には、NL個の周波数領域のデータが入力され、NL個の時間領域のデータが出力される。IDFT部7の出力単位、すなわちIDFT部7から出力される1点のデータをサンプルと呼ぶ。また、IDFT部7から1回のIDFT処理で出力されるデータ全体をブロックサンプルと呼び、CP付加部9から出力されるデータ全体であるブロック信号をCPブロックと呼ぶ。したがって、図3に示すように、1ブロックサンプルは、NL個のサンプルで構成される。このNL個のサンプルは、シンボル挿入部3から出力されるN個のシンボルすなわちNシンボルが内挿されたものである。また、1CPブロックは、(N+NCP)L個のサンプルすなわち(N+NCP)Lサンプルで構成される。
次に、本実施の形態の過去シンボルの配置について説明する。上述したように、1ブロックサンプルのうちNCPLサンプルがCP付加部9によりコピーされて先頭に配置される。従って、1つ前のブロックの最後のサンプルの次に、CP付加部9によりコピーされる部分の先頭のサンプルが送信される。ブロック間の位相および振幅の不連続を抑制することにより帯域外スペクトルを抑圧するためには、1つ前のブロックの最後のサンプルとコピーされる部分の先頭のサンプルの位相および振幅がなるべくなめらかに繋がることが望ましい。
本実施の形態では、DFT部5へ入力されるデータすなわちシンボル挿入部3により多重されたシンボルのうち先頭のシンボルを第1の位置と定義し、CP付加部9によりコピーされる先頭のサンプルに対応するシンボルの位置を第2の位置と定義する。第2の位置は、DFT部5へ入力されるMシンボルのうち末尾からM―X番目のシンボルである。なお、Xは、DFT部5へ入力されるMシンボルのうちの第2の位置に対応する位置のシンボルの番号を示す。
上述したPorat文献に記載されているように、IDFT出力の循環性より、IDFT部7から出力されるブロックサンプルのうち最後のサンプルは、DFT部5に入力される最後のシンボルと先頭のシンボルとの間の内挿点となる。したがって、1つ前のブロックの先頭のシンボルと第2の位置のシンボルとが等しくなっていると、前のブロックの末尾のサンプルは、前のブロックの最後のシンボルと先頭のシンボルとの間の内挿点であるため、1つ前のブロックの最後のサンプルと、CP挿入後の先頭のサンプルとは滑らかに繋がる。前述したとおり、DFT部5に入力されるデータとIDFT部7から出力されるデータとは、いずれも1ブロック分の時間領域のデータであるが、上述したようにオーバサンプリング処理により内挿が行われるため、Lが1でない場合はデータの点数は両者で異なる。したがって、DFT部5に入力されるデータの0シンボル目が第1の位置であり、X番目が第2の位置であるとするとき、IDFT部7から出力されるデータのうち第1の位置に対応するサンプルは0サンプル目のサンプルであるが、Lが1でない場合IDFT部7から出力されるデータのうち第2の位置に対応するサンプルはX番目ではない。以下、IDFT部7から出力されるNLサンプルの先頭の位置をA1とし、IDFT部7から出力されるNLサンプルのうち第2の位置に対応するサンプルの位置をA2とする。
シンボル挿入部3が挿入する過去シンボルは、例えば、1ブロック前の先頭のK個のシンボルと、末尾のK個のシンボルとする。すなわち、データシンボル生成部1がk番目のブロックのデータシンボルを生成してシンボル挿入部3に入力したとき、シンボル挿入部3は、k−1番目のブロックを生成した際のシンボル挿入部3の出力であるd(太字)k-1のうち、の2K個のシンボル{dk-1,M-K,dk-1, M-K+1,…,dk-1, M-1,dk-1,0,dk-1,1,…,dk-1,K-1}を過去シンボルとして、入力されたデータシンボルに挿入する。本実施の形態では、dk-1,0より左側すなわちdk-1,0より前のK個のシンボル{dk-1,M-K,dk-1, M-K+1,…,dk-1, M-1}を第1のシンボル群、dk-1,0以降のK個のシンボル{dk-1,0,dk-1,1,…,dk-1,K-1}を第2のシンボル群と呼ぶ。本実施の形態では、第2の位置にdk-1,0が配置されるように過去シンボル{dk-1,M-K,dk-1, M-K+1,…,dk-1, M-1,dk-1,0,dk-1,1,…,dk-1,K-1}を配置する。
オーバサンプリング処理およびIDFT処理を実施することで、k−1番目のブロックの末尾のシンボルとk−1番目のブロックの先頭のシンボルとの内挿点となる。第2の位置にdk-1,0が配置されるように過去シンボルを配置すると、k番目の第2の位置のシンボルはk−1番目のブロックの先頭のシンボルと同じとなる。このため、CP挿入後のk番目のブロックの先頭のサンプルは、図3のA2のサンプルすなわち第2の位置に対応するサンプルとなり、k−1番目のブロック分の末尾のサンプルと滑らかに繋がる。これにより、帯域外スペクトルを低減させることができる。
次に、第1の位置、第2の位置、A1,A2の位置の関係を、図3に示す例を用いて説明する。図3に示すように、データシンボル生成部1により生成されたk番目のブロックのND個のデータシンボルをgk,0,…,gk,ND-1と定義する。なお、gk,ND-1の下付き文字部分のNDはNDを示す。上述したように、データシンボルの間に過去シンボルが配置される。このため、シンボル挿入部3は、M個のデータシンボルを、第2の位置を含んで配置される過去シンボルより左側に配置されるシンボル群と、第2の位置を含んで配置される過去シンボルより右側に配置されるシンボル群とに分割する。第2の位置を含んで配置される過去シンボルより右側に配置されるシンボル群の先頭のシンボルを図3に示すように、gk,Qとする。
ここで、M×MのDFT行列W(太字)Mの(m,n)成分は、以下の式(2)で表すことができる。
DFT部5が実施するDFT処理すなわちM点DFT処理は、以下の式(3)のように示すことができる。s(太字)kは、DFT処理結果を示し、s(太字)k=[sk,0,…,sk,M-1]Tとする。
Mを偶数とすると、オーバサンプリング処理部6におけるオーバサンプリング処理によりNL点までゼロ挿入された周波数領域信号s(太字)k,Zは、以下の式(4)で示すことができる。
上記式(4)に示すように、オーバサンプリング処理では、(NL−N)点のゼロが中央、すなわちsk,M/2-1とsk,M/2の間に挿入される。そして、IDFT部7によるIDFT処理は以下の式(5)で示すことができる。なお、B(太字)Hは、行列B(太字)のエルミート転置を示す。
なお、y(太字)kは、以下の式(6)で示すことができる。
W(太字)M,1はW(太字)Mの0行目からM/2−1行目までの行を抽出した行列でありW(太字)M,2はW(太字)MのM/2行目からM−1行目までを抽出した行列である。0(太字)NL-M,Mは(NL−M)×Mのゼロによって成り立つ行列である。表記の簡易化のため、以下の式(7)に示す行列A(太字)を定義する。
上述の各式を用いて、第1の位置、第2の位置、A1、A2を説明する。k番目のブロックにおいて、A1のサンプルはyk,0であり、A2のサンプルは、P=NL−NCPLとするときyk,Pである。第1の位置のシンボルはdk,0であり、第2の位置のシンボルはdk,Xとなる。ここで、Qの値について説明する。Qの値は、上述したN,NCP,Lに加え、Mに依存する。言い換えるとQの値は、シンボル挿入部3が挿入する過去シンボルを構成するシンボル数に依存する。シンボル挿入部3が挿入する過去シンボルを構成するシンボル数を2Kとすると、ND=M−2Kである。また、シンボル挿入部3により過去シンボルが挿入されたM個のシンボルでは、Q−1番目のデータシンボルからK個の過去シンボル{dk-1,M-K,dk-1,M-K+1,…,dk-1,M-1}を配置した次の位置が第2の位置すなわちX番目の位置となる。したがって、Q=X−Kとなる。シンボル挿入部3は、データシンボルを0番目からQ−1番目までのデータシンボル群とQ番目からND−1番目までのデータシンボル群に分割し、前者のデータシンボル群の前に第2のシンボル群を配置し、前者のデータシンボル群の後に第1のシンボル群および第2のシンボル群を配置し、第2のシンボル群の後に後者のデータシンボル群を配置する。
以上のように、CPとしてコピーされる先頭位置であるA2に対応する第2の位置を求めることができ、データシンボルへの過去シンボルの挿入位置を決定することができる。
k番目のCPブロックの生成時にDFT部5へ入力されるM個のシンボルを式(1)で示したd(太字)kとするとき、2K個の過去シンボル{dk-1,M-K,dk-1,M-K+1,…,dk-1,M-1,dk-1,0,dk-1,1,…,dk-1,K-1}は、図3に示すX番目の位置のシンボルすなわちdk,Xにdk-1,0が配置され、かつ{dk-1,M-K,dk-1,M-K+1,…,dk-1,M-1,dk-1,0,dk-1,1,…,dk-1,K-1}が連続するように配置される。すなわち、以下の式(8)に示すように、過去シンボル{dk-1,M-K,dk-1,M-K+1,…,dk-1,M-1,dk-1,0,dk-1,1,…,dk-1,K-1}が配置される。
また、上記の例では、第2の位置以降のシンボル数と第2の位置より前のシンボル数とを同じとしたが、第2の位置以降のシンボル数と第2の位置より前のシンボル数とを異ならせてもよい。この場合、以下の式(9)に示すように過去シンボルを配置する。Xは第2の位置を示し、K1は、第2の位置以降の過去シンボルのシンボル数を示し、K2は、第2の位置の1つ手前のシンボル以前のシンボル数を示す。
例えば、N=32,M=24,L=4,NCP=8のときは、P=NL−NCPL=(N−NCP)L=24×4=96である。このとき、例えばXを16とすると、Qは、Q=16−Kである。なお、図3よりわかるように、1つの過去シンボルがNCP以上となるとコピーされるシンボル数を超えてしまうため、1つの過去シンボルのシンボル数であるKはM−X以下である。
一般化すると、K,M,N,L,NCPの各値を、以下の式(10)に示す関係が成り立つ範囲で任意に決定することができる。
例えば、N=32,M=24,L=4,NCP=8のときは、X=nMNCPL/NL=6nとなり、Xを6の倍数、例えば6、12、18のいずれかの値に設定して良い。また、例えば、N=32,M=24,L=4,NCP=6のときは、X=4.5nとなる。この場合、X=4nまたはX=5Kと設定すればよい。また、X=4.5nとしてXの値を計算し、計算したXの値を繰り上げ処理または繰り下げ処理することにより、Xの値に対応する整数値を求めてもよい。
図4は、本実施の形態の過去シンボルの配置例を示す図である。図4では、N=32,M=24,L=4,NCP=8,K=2としている。jは、データシンボルと過去シンボルとが多重された後のN個のシンボルにおけるシンボルの番号を示す。また、実際には、加算処理後の過去シンボルが、データシンボルに挿入されるが、図4では、過去シンボルの位置を示すために、加算処理前の過去シンボルが仮想的にデータシンボルと多重された場合の配置を示している。
次に、本実施の形態の全体動作と加算について説明する。図5は、本実施の形態のCPブロックの生成処理手順の一例を示すフローチャートである。ここでは、データシンボル生成部1は、データシンボルを生成する(ステップS1)。加算処理部2は、1つ前のブロックの処理でサンプル選択部8により選択されたサンプルを用いて、記憶部11から読み出した過去シンボルを読み出し、読み出した過去シンボルのうち加算処理対象のシンボルに対して加算処理を行う(ステップS2)。ステップS2で、記憶部11から読み出される過去シンボルは、1つ前のCPブロックの生成時のステップS4で格納されたシンボルである。
ここで、本実施の形態の加算処理部2における加算処理について式を用いて説明する。加算処理部2は、以下の式(11)に示すように、k+1番目のブロックに対応するd(太字)k+1内の加算処理対象のシンボル位置であるIG番目のシンボルに対して、後述する調整値ε(太字)k+1を加算する加算処理を実施する。なおIG番目のシンボルは1つであってもよく複数であってもよい。すなわちIGの集合の要素の数Gは1以上である。IG番目のシンボルは、後述するように、例えば第2の位置を含む第2の位置に連続するシンボルである。
なお上記の加算処理後のシンボルは平均電力が調整前と同じになるように正規化される。ここでは、k+1番目のブロックにおける加算処理について説明する。k+1番目のブロックの加算処理を実施する時点で、k番目のブロックのCPブロックは生成済みである。k番目のブロックのCPブロックの生成過程で得られるIDFT部7からの出力データをy(太字)(ハット)kとする。y(太字)(ハット)kは、k番目のブロックのCPブロックの生成過程で加算処理実施済みのデータである。
図6は、本実施の形態の加算処理において考慮するサンプル位置の一例を示す図である。本実施の形態では、上述したように、k+1番目のブロックのA2周辺のサンプルとk番目のブロックのA1のサンプルとが等しくなるように、第2の位置の周辺にk番目のブロックのシンボルを挿入する。これにより、フーリエ変換の循環性を用いて、k+1番目のブロックのA2周辺のサンプルとk番目のブロックのA1の巡回した周辺のサンプルが等しくなるようにする。加算処理部2は、P1およびP2を1以上の整数とするとき、以下の式(12)で示すk+1番目のブロックのA2周辺のP1+P2サンプルと、以下の式(13)で示すk番目のブロックのA1周辺のP1+P2サンプルとが等しくなるように、k+1番目のブロック内のIGの位置のシンボルに加算する調整量を決定する。本実施の形態では、図6に示すように、A1周辺のP1+P2サンプルを適宜第1のサンプル群と呼び、A2周辺のP1+P2サンプルを適宜第2のサンプル群と呼ぶ。なお、式(13)に示すk番目のブロックのA1周辺のサンプルでは、有限区間のフーリエ変換の性質により巡回させることによりA1に連続する位置となる、k番目のブロックの末尾のP2個のサンプルも含む。
具体的には、k番目のCPブロックの処理過程で、サンプル選択部8は入力された信号のうち、A1を中心とした式(13)に示すP1+P2サンプルを抽出し、加算処理部2に出力する。
ここで、IOをA2の周辺のP1+P2サンプルに対応するシンボル位置IO={NL−NCPL−P2,NL−NCPL−P2+1,…,NL−NCPL−P1−1}とする。加算処理部2は、式(7)で定義した行列A(太字)において、IOに該当する行および、IGに該当する列を抽出した行列をA(太字)'とする。A(太字)'のサイズは(P1+P2)×Gとなる。ブロック境界における誤差η(太字)k+1は、以下の式(14)で表すことができる。
G>P1+P2とすると、上記の誤差を補正するための調整値ε(太字)k+1は、以下の式(15)で表すことができる。
G≦P1+P2とすると、上記の誤差を補正するための調整値ε(太字)k+1は、以下の式(16)で表すことができる。
なお、y(太字)k+1,S1を計算するために、行列A(太字)からIOに該当する行を抽出した(P1+P2)×N行列をA(太字)SUBとすると、y(太字)k+1,S1は、以下の式(17)により算出することができる。
加算処理部2は、y(太字)k+1,S1に対応する過去シンボルに対して、サンプル選択部8から入力されるサンプルとk+1番目のブロックのA2の周辺のP1+P2シンボルとを用いて式(14)によりη(太字)k+1を求め、η(太字)k+1と行列A(太字)’とを用いて、ε(太字)k+1を求め、加算処理対象のシンボルにε(太字)k+1を加算する。そして、加算処理後の過去シンボルをシンボル挿入部3に出力する。なお、ここでは、加算処理対象のシンボルが過去シンボル内として説明したが、加算処理対象のシンボルは過去シンボル以外であってもよい。
IGの位置のシンボルは任意に選ぶことができるが、A2周辺のサンプルへの影響が大きいシンボルとすることが望ましく、また過去シンボルに調整を加えるのが望ましい。過去シンボルは過去のCPブロックでも送信されているシンボルであり、受信側で、過去のCPブロックで送信されたシンボルと合わせて処理を行うことで復調における加算処理の影響を低減させることができる。以上のことから、IGの位置のシンボルは、第2の位置周辺のシンボルであることが望ましい。
IGの位置のシンボルは、第2の位置を含む過去シンボル全体でも良く、過去シンボルが挿入された位置の一部でも良い。第2の位置周辺のシンボルを選ぶことで、加算される変化量が減り、加算後と加算前のシンボルの変化が少なくなる。また、第2および第1の位置周辺のシンボルを選んでも良い。一般的には、加算処理対象となるシンボル数が増えることで、調整量すなわち加算量が減る。IGの位置のシンボルの数は、ブロックごとに変更してもよい。すなわち適応的に加算処理を実施することができる。例えば、η(太字)k+1が閾値以上である場合には、加算処理対象となるシンボル数をG1とし、η(太字)k+1が閾値未満である場合には、加算処理対象となるシンボル数をG2(G2<G1)とする等の処理を行うことができる。
図5の説明に戻り、シンボル挿入部3は、データシンボル生成部1から入力されるデータシンボルに加算処理後の過去シンボルを挿入する(ステップS3)。具体的には、上述したように、データシンボルを0番目からQ−1番目までのデータシンボル群とQ番目からND−1番目までのデータシンボル群に分割し、前者のデータシンボル群の前に第2のシンボル群を配置し、前者のデータシンボル群の後に第1のシンボル群および第2のシンボル群を配置し、第2のシンボル群の後に後者のデータシンボル群を配置する。Qの値は、予め上述した手順で計算されてシンボル挿入部3に設定されている。外部からの指示により、Qの値を変更可能なようにシンボル挿入部3を構成してもよい。次に、シンボル選択部4は、シンボル挿入部3から出力されるシンボルのうち選択したシンボルを記憶部11に格納する(ステップS4)。この選択したシンボルは、現在の生成対象のCPブロックがk+1番目のCPブロックであるとすると、次のブロックすなわちk+2番目のブロックのCPブロックの生成時に過去シンボルとして読み出されるシンボルである。例えば、図4に例示したように、4つの過去シンボルが第2の位置の周辺に挿入される場合、シンボル選択部4は、先頭の2個と末尾の2個のシンボルであるdk+1,22,dk+1,23,dk+1,0,dk+1,1を記憶部11に格納する。記憶部11に格納されたdk+1,22,dk+1,23,dk+1,0,dk+1,1は、k+2番目のCPブロックの生成時のステップS2で読み出されて、加算処理が施される。
図5の説明に戻り、DFT部5は、過去シンボル挿入後のデータに対してDFT処理を実施する(ステップS5)。次に、オーバサンプリング処理部6は、オーバサンプリング処理を実施し(ステップS6)、処理後のデータをIDFT部7へ入力する。IDFT部7は、入力されたデータに対してIDFT処理を実施し(ステップS7)、サンプル選択部8へ処理結果を入力する。サンプル選択部8は、入力されたサンプルのうちA1を中心としたP1+P2個のサンプルを選択し(ステップS8)、加算処理部2へ入力する。なお、A1を中心としたP1+P2個のサンプルを第1のサンプル群と呼ぶ。選択されたサンプルは、次のブロックの処理のステップS3で用いられる。次に、CP付加部9は、CPを付加する(ステップS9)。以上の処理によりCPブロックが生成される。
ここで、本実施の形態の加算処理の一例を説明する。図7は、加算処理対象のシンボルの一例を示す図である。図7では、N=32,M=24,L=4,NCP=8とし、K=2,P1=1,P2=1とした例を示している。図7は、シンボル多重後の配置における加算処理対象のシンボルの位置を示したものである。図7では、加算処理の前の過去シンボルがシンボル多重された配置位置を仮想的に示している。jは、データシンボルと過去シンボルとが多重された後のN個のシンボルにおけるシンボルの番号を示す。この場合、I0={NL−NCPL−1,NL−NCPL}={95,96}となる。このとき、X=18であり、第2の位置の周辺のシンボルを加算処理対象のシンボルとして選択するとし、上記式(8)に示した過去シンボルを用いた場合に、G=4とすると、IG={16,17,18,19}となる。加算処理前の過去シンボルが仮想的にデータシンボルと多重された場合の、d(太字)dk+1,IGは、以下の式(18)となる。
そして、実際には、d(太字)k+1,IGは、加算処理部2により加算処理が施されてDFT部5に入力される。加算処理後のd(太字)dk+1,IGをd(太字)(ハット)k+1,IGとするとき、d(太字)(ハット)k+1,IGを、以下の式(19)で定義する。
このとき、d(太字)(ハット)k+1,IGは、以下の式(20)で表すことができる。
なお、上記の式(11)、(20)において、ε(太字)k+1を加算する際、ε(太字)k+1の替わりに、正規化用の計数c1を乗じたc1ε(太字)k+1を用いることにより、正規化して加算処理を行ってもよい。
以上のように、本実施の形態では、1つ前のCPブロックの先頭および末尾のシンボルである過去シンボルを第2の位置を中心として配置し、前のブロックのA1周辺のP1+P2サンプルと、現在の処理対象のブロックのA2周辺のP1+P2サンプルが等しくなるように、加算処理部2aが、ブロック内の1つ以上のシンボルに調整量を加算するようにした。このため、前のブロックのサンプルと位相および振幅を連続させることができ、帯域外スペクトルを抑圧することができる。また、調整を行う必要が無い場合、調整量を算出する必要は無い。
実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2にかかる送信装置の構成例を示す図である。本実施の形態の送信装置20aは、実施の形態1の送信装置20の加算処理部2の替わりにIDFT部7の後段に配置される加算処理部2aを備える以外は、実施の形態1の送信装置20と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。加算処理部2aは、IDFT部7から出力されるサンプル内の過去シンボルに対応するサンプルのうち少なくとも一部のサンプルに加算処理を行う加算部である。
本実施の形態では、シンボル挿入部3は、加算処理が施されていないデータシンボルおよび過去シンボルを多重する。データシンボルおよび固定シンボル系列の配置は実施の形態1と同様である。そして、実施の形態1と同等に、以下の式(21)に示すk+1番目のブロックのA2周辺のP1+P2サンプルy(太字)k+1,S1と以下の式(22)に示すk番目のブロックの巡回させたA1の周辺のサンプルy(太字)(ハット)k,S0とが等しくなるように、IDFT部7から出力されるk+1番目のブロックのサンプルのうち、実施の形態1で述べたIGの位置のシンボルに対応するサンプルであるIG’の位置のサンプルに対して加算処理を実施する。
この場合、y(太字)k+1,S1はIDFT部7の出力である。実施の形態1と同様、以下の式(23)に示す、ブロック境界における誤差をη(太字)k+1とすると、G>P1+P2の場合は上記の式(15)、G≦P1+P2の場合は、上記式(16)を用いてε(太字)k+1を算出する。そして、加算処理部2aは、A(太字)SUB2を行列A(太字)におけるIG’に対応する列を抽出したNL×G’行列とすると、以下の式(24)により加算処理後の信号を算出する。
なお、y(太字)(ハット)k+1の算出後、平均電力がy(太字)k+1と等しくなるよう正規化処理を行ってもよい。また、上記の式(24)において、ε(太字)k+1の替わりに、正規化用の計数c2を乗じたc2ε(太字)k+1を用いることにより、正規化して加算処理を行ってもよい。
以上述べた以外の本実施の形態の動作は、実施の形態1と同様である。図9は、本実施の形態のCPブロック生成処理手順の一例を示すフローチャートである。図9のステップS1は実施の形態1のステップS1と同様である。ステップS1の後、ステップS3を実施する。ただし、ステップS3では、シンボル挿入部3は、加算処理前の過去シンボルとデータシンボルとを多重する。ステップS4〜S7は、実施の形態1のステップS4〜S7と同様である。ステップS7の後、加算処理部2aは、前のブロックの処理においてサンプル選択部8により選択されたサンプルを用いて、加算処理対象のサンプルに対して加算処理を行う(ステップS3a)。ステップS3aの後のステップS8,S9は、実施の形態1のステップS8,S9と同様である。
以上のように、本実施の形態では、1つの前のCPブロックの先頭および末尾のシンボルである過去シンボルを第2の位置を中心として配置し、前のブロックのA1周辺のP1+P2サンプルと、現在の処理対象のブロックのA2周辺のP1+P2サンプルとが等しくなるように、IDFT処理後のブロック内の1つ以上のサンプルに調整量を加算するようにした。このため、実施の形態1と同様に、前のブロックのサンプルと位相および振幅を連続させることができ、帯域外スペクトルを抑圧することができる。
実施の形態3.
図10は、本発明にかかる実施の形態3の受信装置の構成例を示す図である。図11は、本実施の形態にかかる通信システムの構成例を示す図である。図10に示す受信装置30は、実施の形態1の送信装置20から信号を受信する受信装置である。本実施の形態の通信システム50は、図11に示すように送信装置20と受信装置30とを備える。図11では、送信装置20が、無線通信によりブロック信号を送信する例を示しているが、これに限らず送信装置20は有線通信によりブロック信号を送信してもよい。なお、送信装置20に替えて送信装置20aを用いてもよい。
図10に示すように、受信装置30は、受信部31、CP除去部32、DFT部33、アンダーサンプリング処理部34、FDE(Frequency Domain Equalizer)35、IDFT部36、シンボル選択部37、記憶部38および復調部39を備える。
なお、送信側で符号化が行われている場合には、復調部39を復調および復号部に替えて、復調の後に復号を行ってもよい。
なお、図10に示した受信装置30の構成要素は、全てをハードウェアにより実現することができる。受信部31は受信機であり、DFT部33、IDFT部36は、例えばフリップフロップ回路、シフトレジスタ等を用いた電子回路であり、記憶部38はメモリである。復調部39は、モデムまたはデモジュレータとデコーダである。CP除去部32、FDE35、アンダーサンプリング処理部34、シンボル選択部37は、各々が電子回路として実現できる。しかしながら、図10に示した構成要素のうち、一部がソフトウェアにより構成されてもよい。図10に示した構成要素のうちソフトウェアにより実現されるものがある場合、例えば、ソフトウェアにより実現される構成要素は図2に示す制御回路200により実現される。図2に示すように制御回路200は、外部から入力されたデータを受信する受信部である入力部201と、プロセッサ202と、メモリ203と、データを外部へ送信する送信部である出力部204とを備える。入力部201は、制御回路200の外部から入力されたデータを受信してプロセッサ202に与えるインターフェース回路であり、出力部204は、プロセッサ202又はメモリ203からのデータを制御回路200の外部に送るインターフェース回路である。図10に示す構成要素のうちの少なくとも一部が、図2に示す制御回路200により実現される場合、プロセッサ202がメモリ203に記憶された、受信装置30の各々の構成要素に対応するプログラムを読み出して実行することにより実現される。また、メモリ203は、プロセッサ202が実施する各処理における一時メモリとしても使用される。
本実施の形態の受信装置30では、まず、受信部31が、ブロック信号すなわちCPブロックとして送信装置20から送信された信号を受信すると、CP除去部32が、受信した信号からCPを除去する。次に、時間周波数変換部であるDFT部33が、CP除去後の信号に対してDFT処理を実施することにより、時間領域の受信信号を周波数領域の信号に変換する。アンダーサンプリング処理部34は、DFT処理後の信号に対してアンダーサンプリング処理を実施する。アンダーサンプリング処理は、送信装置20でオーバサンプリング処理としてゼロ挿入がなされている場合には、送信装置20においてゼロが挿入された部分を削除する処理である。
FDE35は、アンダーサンプリング処理後の周波数領域の受信信号を用いて、周波数領域において等化処理を実施する。すなわち、FDE35は、アンダーサンプリング処理後の周波数領域の信号に対して等化処理を行う等化処理部である。なお、周波数領域の等化処理は、周波数領域における歪補正用に用いられる処理であり、最小平均二乗誤差(MMSE)規範のFDE等どのような方法を用いてもよいが、例えば、非特許文献1に記載されている手法を用いることができる。FDEでは、周波数領域における歪補正の過程で、チャネル応答を求めている。
周波数時間変換部であるIDFT部36は、FDE後の周波数領域の信号に対してIDFT処理を実施することにより、周波数領域の信号を時間領域の信号に変換する。復調部39は、時間領域の信号内の送信装置20において過去シンボルが配置された位置のシンボルと過去に受信したブロック信号とに基づいて復調を行い、時間領域の信号内の過去シンボルが配置された位置の以外の位置のシンボルに基づいて復調を行う。
次に、本実施の形態の復調処理について説明する。まず、k番目のブロックの信号を受信した際のIDFT部36の出力をqk,0,qk,1,…,qk,M-1とする。qk,0,qk,1,…,qk,M-1は、全て情報データの推定値であるため、以下の式(25)に従って、復調を行うことができる。なお、過去シンボルとして格納されたシンボルに対応する部分は既に復調がなされているシンボルであるため、復調に使用しなくてもよい。ここでdはシンボル候補を示し、Dはシンボル候補の集合を示す。例えば、情報シンボルがBPSKシンボルである場合、D={+1,−1}であり、情報シンボルがQPSKシンボルの場合はD={+1+j、+1−j,−1+j,−1−j}である。
一方、実施の形態1または2で述べた送信装置は、過去シンボルに対応するシンボルを合計2回にわたって送信する。このため、送信装置において、k番目のCPブロックに、過去シンボルとして第2の位置以降にK1個のシンボルであるdk-1,0,dk-1,1,…,dk-1,K1と第2の位置の1つ前までのK2個のシンボルdk-1,M-K2,dk-1,M-K2+1,…,dk-1,M-1とが格納される場合、以下の式(26)、(27)に示すように、過去シンボルとして送信されるシンボルはk−1番目のブロックに対応する受信信号とk番目のブロックに対応する受信信号との両方を利用して復調処理を行ってもよい。
このとき、0≦m≦K1,M−K2≦m≦M−1,X−K2≦m≦X+K1以外のシンボル、すなわちK1<m<X−K2,X+K1<m<M−K2については、以下の式(28)に従って復調処理を行う。
次に、本実施の形態の動作について説明する。図12は、本実施の形態の受信処理手順の一例を示すフローチャートである。ここでは、k番目のブロックの受信処理を行うとして説明する。また、復調処理は、上述した式(26)および式(27)を用いて実施すると例を説明する。本実施の形態の受信装置30では、CP除去部32が、受信部31により受信された信号からCPを除去する(ステップS11)。次に、時間周波数変換部であるDFT部33が、CP除去後の信号に対してDFT処理を実施することにより、時間領域の受信信号を周波数領域の信号に変換する(ステップS12)。アンダーサンプリング処理部34は、DFT処理後の信号に対してアンダーサンプリング処理を実施する(ステップS13)。
次に、FDE35は、アンダーサンプリング処理後の周波数領域の受信信号を用いて、周波数領域において等化処理を実施する(ステップS14)。次に、周波数時間変換部であるIDFT部36は、FDE後の周波数領域の信号に対してIDFT処理を実施することにより、周波数領域の信号を時間領域の信号に変換する(ステップS15)。シンボル選択部37は、IDFT部36から出力される時間領域の信号のうち、選択対象のシンボルを選択し、選択したシンボルを記憶部38に格納する(ステップS16)。IDFT部36から出力される時間領域の信号は、送信装置20において、シンボル挿入部3により過去シンボルが挿入された後のN個のシンボルに対応する受信信号である。過去シンボルは、送信装置20において挿入された1つ前のブロックのシンボルである。上記の選択対象のシンボルは、k+1番目のブロックにおいて過去シンボルとして挿入される部分、すなわち、k番目のブロックの先頭と末尾のシンボルである。例えば、k番目のブロックに、過去シンボルとして、第2の位置以降のK1個のシンボルであるdk-1,0,dk-1,1,…,dk-1,K1と第2の位置の1つ前までのK2個のシンボルdk-1,M-K2,dk-1,M-K2+1,…,dk-1,M-1とで構成される場合、シンボル選択部37は、dk,0,dk,1,…,dk,K1とdk,M-K2,dk,M-K2+1,…,dk,M-1とを記憶部38に格納する。
次に、復調部39は、復調対象のシンボルを設定する(ステップS17)。なお、復調対象のシンボルは、記憶部38に格納される位置のシンボルを除くシンボルとする。次に、復調対象のシンボルが過去シンボルであるか否かを判断する(ステップS18)。復調対象のシンボルが過去シンボルである場合(ステップS18 Yes)、復調部39は、記憶部38に格納されているk−1番目のブロックのシンボルとk番目のブロックに格納された過去シンボルとを用いて復調を行う(ステップS19)。すなわち、復調部39は、上述した式(26)に従って復調処理を実施する。
その後、復調部39は、k番目のブロックのうち、記憶部38に格納される位置のシンボルを除く全シンボルの復調を行ったか否かを判断する(ステップS21)。記憶部38に格納される位置のシンボルを除く全シンボルの復調を行ったと判断した場合(ステップS21 Yes)、k番目のブロックの受信処理を終了する。
記憶部38に格納される位置のシンボルを除く全シンボルのうち復調を行っていないシンボルがあると判断した場合(ステップS21 No)、ステップS17へ戻り、ステップS17で復調対象のシンボルを復調が終了していないシンボルに設定して、ステップS18以降の処理を行う。
復調対象のシンボルが過去シンボルでない場合(ステップS18 No)、復調部39は、k番目のブロックに格納されたシンボルを用いて復調を行い(ステップS20)、ステップS21へ進む。すなわち、ステップS20では、復調部39は、上述した式(27)に従って復調処理を実施する。
以上のように、本実施の形態では、実施の形態1または実施の形態2の送信装置から送信された信号を受信する受信装置30の構成および動作を説明した。過去シンボルに対して加算処理を行った場合、過去シンボルが複数回送信されることを利用して復調を行うことにより、過去シンボルの復調特性を劣化させずに復調を実施することができる。このため、復調および復号に影響を与えずに、帯域外スペクトルを抑圧することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。