JP6211942B2 - 絶縁放熱基板、並びに絶縁放熱基板を用いたled素子およびモジュール - Google Patents

絶縁放熱基板、並びに絶縁放熱基板を用いたled素子およびモジュール Download PDF

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本発明は、金属基板上に絶縁性の放熱膜を有する絶縁放熱基板、並びに当該絶縁放熱基板を用いたLED素子およびモジュールに関する。
LED(発光ダイオード)素子やICなどを搭載したモジュールでは、高輝度化や高出力化の要請に伴い、LED素子などが発生する熱量も高くなり、温度が上昇する。その結果、たとえばLED素子では、温度の上昇につれて発光色が変化したり、LED素子の劣化が促進されるなどの問題が生じる。そのため、LED素子が搭載される基板には、絶縁性のみならず、発生した熱を効率よく放熱すること(放熱性)が望まれている。
このような絶縁性且つ放熱性を備えた絶縁放熱基板として、従来より、アルミナ基板などのセラミックス基板が使用されている。アルミナ基板は、高い熱伝導性を有し、熱や光に対する耐久性に優れたアルミナ(酸化アルミニウム)で構成されている。しかしながら、アルミナ基板は、約1600℃程度の高温で焼成する必要があるため、高価である他、加工性が悪く任意の形状への加工が困難であり、脆いなどの問題がある。
そこで、アルミナなどの高熱伝導性材料を樹脂へ含有した樹脂基板が提案されている。例えば特許文献1には、窒化ホウ素粉末や酸化アルミニウム粉末などの高熱伝導性フィラーをシリコーン樹脂へ含有させて熱伝導性と絶縁性の両方が高められた樹脂基板が開示されている。樹脂基板は、低コストで、加工性に優れるなどの利点を有する。しかし、樹脂基板はベースに樹脂を使用しているため、耐熱性に限界があり、適用される温度域が制限されるという問題がある。
また、特許文献2には、アルミナなどのコア金属(アルミナ基板など)の表面にホーロー層が被覆された発光素子実装用ホーロー基板が提案されている。しかし、ホーロー自体の熱伝導率は1W/m・K以下と低く、良好な熱伝導性が発揮されない。
特開2011−144234号公報(電気化学工業) 特開2006−344694号公報(フジクラ)
上記のようにLED素子などが搭載される絶縁放熱基板には、本来の作用である放熱性、絶縁性のほか、加工性、熱伝導性などに優れることが要求される。更に近年では、焼成温度が低い基板の提供が望まれている。前述したアルミナ基板は、焼成温度が約1600℃と非常に高いため、当該焼成温度よりも融点の遥かに低い銅(銅の融点は約1084℃)などを、配線材料として使用できないからである。これに対し、基板の焼成温度が低いと、例えば、銅よりも融点の低いアルミニウム材料(アルミニウムの融点は約660℃)も配線部材などの関連部材として使用可能であり、上記基板を関連部材と同時に、或いは、当該関連部材と一体的に焼成できるため、生産性が向上する。
例えば配線部材として、銅線、銅板、Snなどのめっきが施された銅材料などが汎用されているが、最近では、軽量化を目的に、熱伝導性の高いアルミニウム材料も利用されている。具体的には、アルミニウム板やアルミニウム線などの配線材料のほか、周辺に熱を逃がす冷却体または筐体として、アルミニウム製のフィンやファンなどが用いられている。ここで純アルミニウムの融点は、上述したとおり約660℃であり、関連部材として純アルミニウム材料を用いる場合、上記基板は、少なくとも純アルミニウムの融点よりも低い温度で焼成できることが必要である。また、上記関連部材には、純アルミニウムのほか、アルミニウム合金も汎用されており、アルミニウム合金が溶融し始める温度は、1000系アルミニウム合金で約650℃、2000系アルミニウム合金で約500℃、3000系アルミニウム合金で約640℃、5000系アルミニウム合金で約570℃、6000系アルミニウム合金で約580℃、7000系アルミニウム合金で約480℃であるため、これらのアルミニウム合金の使用も考慮した場合には、基板の焼成温度は出来るだけ低い方が良い。特に工業的に汎用される6000系アルミニウム合金の使用を考慮すると、上記基板は、おおむね、約550℃以下の温度で焼成できることが推奨される。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、LED素子などを搭載するのに好適に用いられる絶縁放熱基板であって、熱伝導性に優れており、約550℃以下の温度でも焼成可能な絶縁放熱基板を提供することにある。
上記課題を解決し得た本発明の絶縁放熱基板は、金属基板の少なくとも片面に絶縁性の放熱膜を有する絶縁放熱基板であって、前記放熱膜は、焼成温度が550℃以下の非晶質無機酸化物中に、熱伝導率が1.0W/m・K以上となるように、絶縁性の放熱材料が分散しており、前記放熱膜の膜厚は10〜250μmであるところに要旨を有するものである。
本発明の好ましい実施形態において、隣接する前記放熱材料の最小距離の平均値は1.5μm以下である。
本発明の好ましい実施形態において、前記放熱膜中に占める前記放熱材料の含有率は、20体積%以上、45体積%以下である。
本発明の好ましい実施形態において、前記放熱材料は、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、およびダイヤモンドよりなる群から選択される少なくとも一種である。
本発明の好ましい実施形態において、前記非晶質無機酸化物は、リン酸ガラスを主成分とするものである。
本発明の好ましい実施形態において、前記金属基板は、アルミニウム、鉄、銅、またはステンレスで構成されている。
本発明には、上記のいずれかに記載の絶縁放熱基板を用いたLED素子、および上記LED素子を備えたモジュールも包含される。
本発明によれば、熱伝導性、絶縁性、放熱性に優れており、純アルミニウムやアルミニウム合金などのアルミニウム材料を同時に焼成可能な絶縁放熱基板を提供することができる。本発明の絶縁放熱基板はLED素子などが搭載される基板として有用であり、上記基板にLED素子などが搭載されたモジュールは、高い性能を有している。
図1は、本発明に係る絶縁放熱基板の構成を模式的に示す断面図であり、図1(a)は基板の片面に絶縁性の放熱膜を有する例、図1(b)は基板の両面に絶縁性の放熱膜を有する例である。 図2は、実施例の表2のNo.10において、絶縁性の放熱膜の一部分を示す断面SEM画像である。 図3は、実施例において、絶縁放熱基板の熱抵抗を測定するための概略断面図である。
本発明の絶縁放熱基板は、金属基板の少なくとも片面に絶縁性の放熱膜を有する絶縁放熱基板であって、前記放熱膜は、焼成温度が550℃以下の非晶質無機酸化物中に、熱伝導率が1.0W/m・K以上となるように、絶縁性の放熱材料が分散しており、前記放熱膜の膜厚が10〜250μmであるところに特徴がある。本発明では、焼成温度が低い非晶質無機酸化物を用いているため、配線材料などに汎用される銅のみならず、銅に比べて融点が低い純アルミニウムやアルミニウム合金などのアルミニウム材料も使用することができる。更に本発明では、上記非晶質無機酸化物中に絶縁性の放熱材料が、高い熱伝導率が発揮されるように適切に分散しているため、放熱膜の熱伝導性が向上する。更に本発明では、このような絶縁性の放熱膜を金属基板上に有しているため、加工性に優れており、任意の形状に加工することができる。
以下、図1を参照しながら、本発明の絶縁放熱基板10を詳細に説明する。
上述したとおり、本発明の絶縁放熱基板10は、金属基板1の少なくとも片面に絶縁性の放熱膜2を有している。具体的には、放熱膜2は、図1(a)に示すように金属基板1の片面(LED素子などが搭載される面)に有していても良いし、図1(b)に示すように金属基板1の両面に有していても良い。ここで、熱抵抗などを考慮すると、片面塗装の態様が好ましく用いられる。放熱膜2に含まれる、リン酸ガラスなどの非晶質無機酸化物は、放熱性能を示す熱抵抗に悪影響を及ぼすため、薄い方が好ましいからである。一方、絶縁放熱基板に平坦性が求められる場合は、両面塗装の態様が好ましい。片面塗装の場合、非晶質無機酸化物と金属基板を構成する金属との熱膨張係数が異なるため、絶縁放熱基板に歪みが生じるためである。
放熱膜2の膜厚は、絶縁性を確保するため、10〜250μmであることが好ましい。放熱膜2の膜厚が10μm未満では、所望とする絶縁性(絶縁耐性1.0kV以上)が得られない。一方、放熱膜2の膜厚が250μmを超えると、熱抵抗が目標レベルの1.0×10-4K/W以下を超えてしまう。放熱膜2の膜厚は、30μm以上、200μm以下であることがより好ましい。
放熱膜2は、焼成温度が550℃以下の非晶質無機酸化物3、および絶縁性の放熱材料を含む。詳細には放熱膜2は、非晶質無機酸化物3中に、放熱膜2の熱伝導率が1.0W/m・K以上となるように、絶縁性の放熱材料4が分散している。ここで、非晶質無機酸化物3は、絶縁性の放熱材料4同士を繋げるバインダーとして作用し、その熱伝導率は放熱材料4に比べて低い。
本発明に用いられる非晶質無機酸化物3は、焼成温度が550℃以下の範囲を満足する。非晶質無機酸化物3の焼成温度が550℃を超えると、配線材料または金属基板として好ましく用いられるアルミニウムの融点を超えてしまい、アルミニウム材料を用いることができない。
ここで、焼成温度は、非晶質無機酸化物を実際に焼成するときの温度であり、電気炉内部の雰囲気を熱電対で測定して算出される。具体的には焼成温度は、非晶質無機酸化物が軟化して流動性が出現する温度であり、ガラスなどの特性を示す指標である軟化点やガラス転移点に比べて、温度は高い。本実施例では、屈伏点近傍での焼成を行なっている。屈伏点とは、ガラスを加熱して、凝固状態から液状に変化した(このときの温度が、一般にガラス転移点と呼ばれる。)とき、この温度で熱膨張率は大きくなるが、更に温度をあげると、熱膨張率が増加しなくなる点が現れるが、それを屈伏点と呼ぶ。非晶質無機酸化物3の焼成温度は低い程良く、500℃以下であることが好ましい。なお、非晶質無機酸化物3の焼成温度の下限は特に限定されないが、非晶質無機酸化物の融点などを考慮すると、おおむね、400℃以上であることが好ましい。
上記要件を満足する非晶質無機酸化物3として、リン酸ガラスなどのようにリン酸化合物を主成分とするものが好ましい。一般にガラスは、ケイ酸塩を主成分として含み、焼成温度が550℃を遥かに超えるからである。本発明に用いられる、リン酸化合物を主成分とする非晶質無機酸化物3は、リンの酸化物(例えばP25など)を、非晶質無機酸化物中に最も多く含み(例えば50質量%以上)含み、残部:Si、Ti、B、Zn、Sn、Ba、Li、K、Sb、Naなどの少なくとも一種の酸化物であることが好ましい。このような酸化物として、例えば、SiO2、TiO2、B23、ZnO、SnO、BaO、Li2O、K2O、Sb23、Na2Oなどが挙げられる。
上記要件を満足する非晶質無機酸化物3は、市販品を用いることもできる。後記する実施例では、日本フリット株式会社製VQ0028の低融点ガラス粉末(基準焼成温度:520℃)を用いたが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記のほか、日本フリット株式会社製VQ0028M5(基準焼成温度はVQ0028と同じで、520℃)を用いることもできる。このVQ0028M5は粉末タイプであり、これにより、上記VQ0028を使用した場合に比べて粉砕時間を短縮することができる。
或いは、関谷理化(株)製のフリットガラス(粉末ガラス)のうち、焼成温度が550℃以下のものを使用することができる。上記フリットガラスには、例えば、リン酸系ガラスフリットのような、リン酸を主成分とするガラスのほか;ビスマス珪酸系ガラスフリット、ホウ珪酸系ガラスフリット、低温焼成用ガラスフリットなどが挙げられる。なお、上記のカタログには、ガラス転移点(Tg)または軟化点(Ts)が記載されており、焼成温度は記載されていない。この場合、前述したように焼成温度はTgやTsに比べて高いため、少なくとも、TgやTsが、本発明で規定する焼成温度の上限である550℃以下を下回るものを選択して用いることが必要である。
本発明に用いられる放熱材料4は、絶縁性を有し、且つ、高い熱伝導率を有するものである。このような絶縁性の放熱材料として、例えば、酸化アルミニウム(Al23の熱伝導率は約20〜40W/m・K)、窒化アルミニウム(AlNの熱伝導率は約70〜270W/m・K)、窒化ケイ素(Si34の熱伝導率は約30〜80W/m・K)、炭化ケイ素(SiCの熱伝導率は約270W/m・K)、窒化ホウ素(BNの熱伝導率は約30〜150W/m・K)、酸化マグネシウム(MgOの熱伝導率は約40〜70W/m・K)、ダイヤモンド(熱伝導率は約300〜2000W/m・K)などが挙げられる。これらのうち、酸化アルミニウムは安価であり、材料コストを低減できるため、最も好ましく用いられる。
本発明の絶縁放熱基板10は、非晶質無機酸化物3中に、熱伝導率が1.0W/m・K以上となるように、絶縁性の放熱材料4が分散しているところに特徴がある。本発明において「分散している」とは、絶縁性の放熱膜が上述した1.0W/m・K以上の高い熱伝導率を発揮し得るよう、放熱材料4が、ベースとなる非晶質無機酸化物3の膜中に一様に分散していることを意味する。具体的には、後記する実施例に記載の方法により、隣接する放熱材料4同士の距離を測定してその最小距離を求めたとき、最小距離の平均値が1.5μm以下を満足することが好ましい。最小距離の平均値が1.5μmを超えると、放熱材料4同士の距離が離れ過ぎてしまい、その間に、バインダーとして作用する低熱伝導性の非晶質無機酸化物3が存在するようになるため、放熱膜2自体の熱伝導率も低くなる。上記最小距離の平均値は小さい程良く、より好ましくは1.0μm以下である。なお、上記最小距離の平均値の下限は、放熱材料4による熱伝導性との関係では特に限定されないが、非晶質無機酸化物3は、放熱材料4を繋ぐバインダーとして機能しているため、放熱膜2の脆性や密着性などを考慮すると、おおむね、放熱材料の最小距離の平均値は0.05μm以上であることが好ましい。
放熱膜2中に占める放熱材料4の好ましい含有率は、20体積%以上、45体積%以下に制御することが好ましい。これにより、上記最小距離の平均値を、適切な範囲に調整することができる。放熱材料4の含有率が20体積%未満では、放熱材料4の添加による高い熱伝導性向上効果が有効に発揮されない。一方、放熱材料の含有率が45体積%を超えると、金属基板1に放熱膜2を形成したとき、放熱材料4同士を繋ぐバインダー作用を有する非晶質無機酸化物3の含有量が少なくなり、放熱膜2が剥離する虞がある。より好ましくは、25体積%以上、35体積%以下である。
放熱膜2を形成するためには、上述した非晶質無機酸化物3および放熱材料4の混合粉末;更には、これらに、必要に応じて上記添加剤を含む混合粉末を水等の溶媒中に分散させた分散液を用い、公知の塗装手段を行なえば良い。公知の塗装手段として、例えばスプレー法、ディップ法、バーコーター法、スピンコート法などが挙げられる。これにより、任意の形状に加工することが可能となる。上記塗装手段のうち、大面積を均一に塗装可能なスプレー法が最も好ましい。
ここで、非晶質無機酸化物3および放熱材料4を含む混合粉末の量を、放熱材料20体積%以上、45体積%以下の範囲に制御することで、放熱膜中の放熱材料の含有率を上述した好ましい範囲に制御することができる。
金属基板1は、アルミニウム、鉄、銅、ステンレスなどの種々の金属基板を用いることができる。上述したとおり、本発明では、焼成温度が低い非晶質無機酸化物3を用いているため、融点の高い金属(例えば鉄の融点は約1538℃;ステンレスの融点は種類によっても相違するが、約1370〜1460℃;銅の融点は約1084℃)から、融点の低い金属(例えばアルミニウムの融点は約660℃)まで、種々の金属で構成された金属基板を用いることができる。これらのうち、熱伝導性が高いアルミニウム、銅の使用が、より好ましい。
放熱性能を表す指標の1つである熱抵抗を下げるには、金属基板1の厚みも適切に制御されていることが好ましい。ここで、熱抵抗は、下式で算出される。
th=L/(A×λ)
式中、Rth:熱抵抗(K/W)、L:厚み(m)、A:断面積(m2)、λ:熱伝導率(W/m・K)を意味する。
具体的には、使用する金属基板1の種類に応じて、以下のように適切に制御することが好ましい。
金属基板1としてアルミニウム基板を用いる場合、厚みは10mm以下に制御することが好ましい。厚みが10mmを超えると、アルミニウム自体の熱抵抗が高くなり、放熱膜2を十分な厚みで塗装することが出来ない。より好ましいアルミニウム基板の厚みは5mm以下である。なお、その下限は、おおむね、0.1mm以上であることが好ましい。
金属基板1として鉄基板を用いる場合、厚みは5mm以下に制御することが好ましい。厚みが5mmを超えると、鉄自体の熱抵抗が高くなり、放熱膜2を十分な厚みで塗装することが出来ない。また、鉄基板の重量が重くなり、製造効率が低下する。より好ましい鉄基板の厚みは4mm以下であり、更に好ましくは2mm以下であり、更により好ましくは1mm以下である。なお、その下限は、おおむね、0.1mm以上であることが好ましい。
金属基板1として銅基板を用いる場合、厚みは20mm以下に制御することが好ましい。厚みが20mmを超えると、銅自体の熱抵抗が高くなり、放熱膜2を十分な厚みで塗装することが出来ない。製造コストなども考慮すると、より好ましい銅基板の厚みは10mm以下であり、更に好ましくは5mm以下である。なお、その下限は、おおむね、0.1mm以上であることが好ましい。
金属基板1としてステンレス基板を用いる場合、厚みは1mm以下に制御することが好ましい。厚みが1mmを超えると、ステンレス自体の熱抵抗が高くなり、放熱膜2を十分な厚みで塗装することが出来ない。より好ましいステンレス基板の厚みは0.7mm以下である。なお、その下限は、おおむね、0.1mm以上であることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限されず、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
本実施例では、放熱材料として、昭和電工社製の丸み状アルミナAS−30(平均粒子径18μm)を用いた。非晶質無機酸化物として日本フリット株式会社製VQ0028の低融点ガラス粉末(基準焼成温度:520℃)を用いて、絶縁性の放熱膜を有する絶縁放熱基板を作製し、上記放熱膜中に占める放熱材料の含有率と、放熱材料の熱伝導率および隣接する放熱材料の最小距離の平均値との関係を調べた。
まず、上記非晶質無機酸化物300gを、平均粒径が約10〜20μmになるまで、ボールミルを用いて乾式条件で粉砕した。
このようにして粉砕した上記非晶質無機酸化物および上記放熱材料の各粉末を、(非晶質無機酸化物+放熱材料)の合計中に占める放熱材料の含有率(体積%)が表1の範囲となるように混合し、水中に分散させて種々の分散液を得た。このようにして得られた種々の分散液を、板厚2mmのJIS1000系アルミニウム基板の上に、スプレー法により噴霧した後、450℃で加熱焼結を行って絶縁性の放熱膜を形成した。このようにして得られた放熱膜中に含まれる放熱材料の含有率は、表1に記載の「放熱材料の含有率」と同じである。
上記放熱膜について、以下の方法により、その厚み及び熱伝導率を測定すると共に、塗布形態を評価した。また、上記放熱膜中に分散して存在する放熱材料の最小距離の平均値を、以下のようにして測定した。
(放熱膜の膜厚)
渦電流膜厚計を用いて、任意に合計5点測定し、その平均値を求めた。
(放熱膜の熱伝導率)
アルバック理工社製の熱定数測定装置TC−7000を用いて、レーザーフラッシュ法にて測定した。本実施例では、上記熱伝導率が1.0W/m・K以上のものを合格とした。
(放熱膜の塗布形態)
上記非晶質無機酸化物および上記放熱材料の各粉末を混合し、水中に分散させた分散液を上記基板上にスプレーして塗装した後、加熱焼結した。このようにして得られた放熱膜を目視で観察し、剥離が見られないものを良、剥離が見られたものを不良とした。
(放熱膜中に分散して存在する放熱材料の最小距離の平均値)
上記放熱膜の膜厚方向断面を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)で観察し、倍率500倍、観察範囲35mmでSEM像を撮影した。上記SEM像について、放熱膜中に含まれる放熱材料の重心から、最も近い放熱材料の重心までの距離(重心間距離)を測定した。全ての放熱材料について、上記と同様にして重心間距離を測定して、その平均値を求めて「隣接放熱材料の重心間距離の平均値」を算出した。更に、上記放熱材料の直径の平均値を測定し、下記式より、隣接する放熱材料の最小距離の平均値を求めた。
隣接放熱材料の最小距離の平均値=(隣接放熱材料重心間距離の平均値)−(放熱材料の直径の平均値)
本実施例では、このようにして算出された隣接放熱材料の最小距離の平均値が1.5μm以下のものを合格とした。
これらの結果を表1に併記する。表1の最右欄に「総合評価」の欄を設け、上記の測定・評価項目が全て合格のものに「合格」、いずれか一つでも不合格のものは「不合格」と判定した。
表1より以下のように考察することができる。まず、No.1および2のように、放熱材料の含有率が本発明の好ましい下限(20体積%以上)を下回ると、隣接する放熱材料の最小距離の平均値が大きくなり、放熱膜の熱伝導率も低くなった。
これに対し、表1のNo.3〜8のように放熱材料の含有率が多くなり、本発明の好ましい下限(20体積%以上)を超えると、隣接する放熱材料の最小距離の平均値が好ましい範囲(1.5μm以下)に抑えられ、放熱膜の熱伝導率も高くなる傾向が見られた。
しかし、No.9のように放熱材料の含有率が多くなり過ぎて、本発明で規定する好ましい上限(45体積%以下)を超えると、熱伝導率および最小距離の平均値はいずれも良好であったが、放熱膜の塗布形態が低下し、放熱膜が剥離した。以上の結果より、放熱材料の含有率、および隣接する放熱材料の最小距離の平均値を好ましい範囲に制御することによって上記放熱材料が放熱膜中に適切に分散するようになるため、所望とする高い熱伝導性を確保できることが分かった。
実施例2
本実施例では、金属基板として表2に記載の種々の金属基板を;放熱材料として前述した表1のNo.8(放熱材料の含有率45体積%)のものを用い、前述した実施例1と同様にして、表2に記載の膜厚を有する種々の放熱膜を有する絶縁放熱基板を作製した。なお、放熱膜の膜厚は、基板上への分散液のスプレー塗層回数を変化させることによって制御した。
このようにして得られた絶縁放熱基板について、以下のようにして、熱抵抗および絶縁耐圧を測定した。
(熱抵抗)
図3の装置を用い、絶縁放熱基板の熱抵抗を、JPCA−TMC−LED02T−2010 10.6項に基づいて測定した。具体的には、ステージ5上に絶縁放熱基板6を載せ、その表面に、熱源として坂口電熱株式会社製の窒化アルミヒーター「WALN−4」7を、放熱膜がヒーター7と当接するように搭載して固定した。なお、ステージの周囲は水で覆われており、強制的に水冷されている。
ヒーター7の上に荷重500gをかけ、ヒーター7と絶縁放熱基板6、ステージ5を密着させて加温した。ヒーター7の温度とステージ5の温度が定常状態に達した後、ヒーター7の温度(Ts)、ステージ5の温度(Tb)、入力パワー(W)を計測し、下式に基づいて、絶縁放熱基板6の熱抵抗(Rth)を算出した。本実施例では、Rtが1.0×10-4K/W以下のものを合格とした。
Rth(K/W)=(Ts−Tb)/W
(絶縁耐圧)
JISC2110−1に基づき、絶縁耐圧を求めた。
詳細には、上記絶縁放熱基板にφ20mmの球状電極を、加重500gをかけて接地し、交流電源を用いて20〜40秒内に絶縁破壊するように電流を印加したときの絶縁破壊電圧を測定した。本実施例では、このようにして測定される絶縁耐圧が1kV以上のものを合格(絶縁性あり)と評価した。
これらの結果を表2に併記する。なお、表2の最右欄に「総合評価」の欄を設け、放熱膜の膜厚、熱抵抗、および絶縁耐圧がいずれも、合格のものに「合格」を付し、いずれか一つが不合格のものに「不合格」を付した。
表2より、金属基板として、アルミニウム、鉄、銅、ステンレスのいずれを用いた場合であっても、放熱膜の膜厚が適切に制御されたNo.2〜11、14〜35は、熱抵抗も低く、且つ、絶縁性も良好となり、高い熱伝導性と高い放熱性の両方を確保することができた。
これに対し、表2のNo.1(金属基板としてアルミニウムを使用)は、放熱膜の膜厚が本発明の下限(10μm)を下回ったため、放熱膜の絶縁耐圧が小さくなり、絶縁性が低下した。
また、表2のNo.12および13(金属基板としてアルミニウムを使用)は、いずれも放熱膜の膜厚が本発明の上限(250μm)を超えたため、熱抵抗が大きくなった。
また、表2のNo.36(金属基板としてステンレスを使用)は、基板の膜厚が本発明の好ましい上限(1mm以下)を超える例であり、熱抵抗が大きくなった。
参考のため、表2のNo.10(本発明例)について、放熱膜の一部分を示す断面SEM画像を図2に示す。図2中、黒い部分は放熱膜の内部に空いた孔である。図2に示すように、放熱膜中に放熱材料が適切に分散していることが分かる。
1 金属基板
2 放熱膜
3 非晶質無機酸化物
4 放熱材料
5 ステージ
6 絶縁放熱基板
7 ヒーター
10 絶縁性の放熱基板

Claims (8)

  1. 金属基板の少なくとも片面に絶縁性の放熱膜を有する絶縁放熱基板であって、
    前記放熱膜は、軟化して流動性が出現する温度が550℃以下である非晶質無機酸化物、熱伝導率が1.0W/m・K以上となるように前記非晶質無機酸化物中に分散した絶縁性の放熱材料とを含み、
    前記放熱膜の膜厚は10〜250μmであることを特徴とする絶縁放熱基板。
  2. 隣接する前記放熱材料の最小距離の平均値は1.5μm以下である請求項1に記載の絶縁放熱基板。
  3. 前記放熱膜中に占める前記放熱材料の含有率は、20体積%以上、45体積%以下である請求項1または2に記載の絶縁放熱基板。
  4. 前記放熱材料は、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、およびダイヤモンドよりなる群から選択される少なくとも一種である請求項1〜3のいずれかに記載の絶縁放熱基板。
  5. 前記非晶質無機酸化物は、リン酸ガラスを主成分とするものである請求項1〜4のいずれかに記載の絶縁放熱基板。
  6. 前記金属基板は、アルミニウム、鉄、銅、またはステンレスで構成されるものである請求項1〜5のいずれかに記載の絶縁放熱基板。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の絶縁放熱基板を用いたLED素子。
  8. 請求項7に記載のLED素子を備えたモジュール。
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