JP6196865B2 - 熱可塑性樹脂体の製造方法 - Google Patents
熱可塑性樹脂体の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6196865B2 JP6196865B2 JP2013204442A JP2013204442A JP6196865B2 JP 6196865 B2 JP6196865 B2 JP 6196865B2 JP 2013204442 A JP2013204442 A JP 2013204442A JP 2013204442 A JP2013204442 A JP 2013204442A JP 6196865 B2 JP6196865 B2 JP 6196865B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polymerization
- thermoplastic resin
- monomer
- resin body
- mass
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
- Polymerisation Methods In General (AREA)
Description
連続重合工程では、MMA単量体およびN−置換マレイミド単量体のコポリマーである熱可塑性樹脂(A)を、連続的な塊状重合により形成する。塊状重合は、当業者が一般に塊状重合(バルク重合)と認識できる態様で実施すればよく、その詳細は限定されない。
重合液濾過工程では、連続重合工程により得たポリマー濃度60質量%以下の重合液を濾過する。連続重合工程の重合率が質量基準で60%を超える場合は、濾過工程を実施するまでに重合液のポリマー濃度が60質量%以下となるように当該重合液を希釈しておく。
脱揮・押出工程では、濾過後の重合液から未反応の単量体を含む揮発性成分を脱揮させて回収するとともに、残る熱可塑性樹脂(MMA単位およびN−置換マレイミド単位を構成単位として有するコポリマー)を含む樹脂組成物を押出成形する。
本発明の製造方法により得た熱可塑性樹脂体は、MMA単位およびN−置換マレイミド単位を構成単位として有するコポリマーである熱可塑性樹脂(A)を含む樹脂組成物から構成される。樹脂組成物における樹脂(A)の含有量は、75質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。本発明の製造方法により得た熱可塑性樹脂体は、熱可塑性樹脂(A)から構成されてもよい。
本発明の製造方法により得た熱可塑性樹脂体は、熱可塑性樹脂(A)を主成分として含む樹脂組成物により構成される成形体である。樹脂体の形状は特に限定されず、例えば、ペレットまたはフィルム(フィルムには、いわゆるシートが含まれる)である。
作製した熱可塑性樹脂体のTgは、JIS K7121の規定に準拠して求めた。具体的には、示差走査熱量計(リガク製、Thermo plus EVO DSC−8230)を用い、窒素ガスフロー(100mL/分)下、約10mgの試料を常温から200℃まで昇温(昇温速度20℃/分)して得られたDSC曲線から、始点法により評価した。リファレンスにはα−アルミナを用いた。
作製した熱可塑性樹脂体を構成する樹脂(A)の酸価は、以下のようにして求めた。まず、作製したペレット0.3gを塩化メチレン37.5mLに溶解させ、得られた溶液にメタノール37.5mLを加えて全体が均一となるように攪拌した。次に、この溶液に、濃度0.1mmol%の水酸化ナトリウム水溶液5mLと、中和指示薬としてフェノールフタレインのエタノール溶液数滴とを加えた後、濃度0.1mmol%の塩酸を用いて逆滴定を実施し、中和に要する塩酸の量から樹脂の酸価を求めた。
一定量のMMA単量体をアセトンに溶解させ、これにメタノールを少量加えた溶液を試料として、自動滴定装置(平沼産業製、COM550)を用い、窒素雰囲気下における中和滴定法によりメタクリル酸としての有機酸の濃度を求めた。
作製した熱可塑性樹脂体に含まれる異物の数(樹脂体1gあたりの数)は、以下のようにして求めた。まず、作製したペレットを、0.1μmの濾過精度で濾過精製したクロロホルムに溶解させ、濃度1質量%の溶液を形成した。次に、この溶液に含まれる、粒径が5〜10μmの範囲にある粒子(この範囲の粒径を有する粒子は可視光域の光を遮蔽および散乱し、光学的欠点になりうる)の数をパーティクルカウンタ(PAMAS製、液体用光散乱式自動粒子計数器、型式:SVSS−C、センサー仕様:HCB−LD−50/50、液体用光散乱式自動粒子計数器の仕様を定めたJIS B9925の規定に準拠)により計測し、計測した粒子数をペレット1gあたりに換算した値を、熱可塑性樹脂体に含まれる異物の数とした。なお、ペレットをクロロホルムに溶解させる際には、予め濾過精製後のクロロホルムに含まれる上記粒子の数がゼロであることを上記パーティクルカウンタにより確認した。
メタクリル酸換算で有機酸分が1ppm未満のメタクリル酸メチル(MMA)80質量部およびN−フェニルマレイミド(PMI)15質量部の単量体混合物95質量部、ならびに連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン0.15質量部を含む重合性原料と、MMA5質量部および重合開始剤である1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン0.012質量部を含む開始剤溶液とを、それぞれ別個に窒素置換法により脱酸素した。
脱揮完了後、樹脂ペレットを作製する際にリーフディスクフィルタによる溶融濾過を実施しなかった以外は実施例1と同様にして、MMA−PMIコポリマーからなる透明な樹脂ペレット(P−2)を得た。単量体の回収の状況は、実施例1と同様であった。
重合反応器に供給する前に重合性原料および開始剤溶液の濾過を実施しなかった以外は実施例1と同様にして、MMA−PMIコポリマーからなる透明な樹脂ペレット(P−3)を得た。単量体の回収の状況は、実施例1と同様であった。
単量体混合物の組成をMMA72質量部およびPMI23質量部とし、かつ連続重合の重合率を質量基準で60%とした(連続重合により得た重合液のMMA−PMIコポリマー濃度を60質量%とした)以外は実施例1と同様にして、MMA−PMIコポリマーからなる透明な樹脂ペレット(P−4)を得た。単量体の回収の状況は、実施例1と同様であった。
二軸押出機にて揮発性成分を脱揮させる際に、押出機の第3ベントよりも上流側に設けられた溶媒供給口からベンジルアルコール(沸点205℃)を供給した以外は実施例4と同様にして、MMA−PMIコポリマーからなる透明な樹脂ペレット(P−5)を得た。揮発性成分の脱揮中、各ベントの上部に取り付けられた点検用ガラス窓を観察したところ、いずれのガラス窓にも付着物は確認されなかった。リアベントおよび第1ベントから脱揮させた揮発性成分は、回収配管を通した後、コンデンサにより液化して回収した。その際、PMI単量体はMMA単量体に溶解した状態で液体として回収することができた。第3ベントおよび第4ベントから脱揮させた揮発性成分は、PMI単量体およびPMI単量体由来の不純物がベンジルアルコールに溶解した液体の状態で回収することができた。また、押出機による脱揮および押出成形を5時間実施した後、各ベントから、当該ベントを減圧するための真空装置に接続された回収配管を分解してその内面を確認したが、いずれのベントおよび回収配管の内面にも付着物は確認されなかった。
単量体混合物の組成をMMA85質量部およびPMI10質量部とし、かつ連続重合の重合率を質量基準で40%とした(連続重合により得た重合液のMMA−PMIコポリマー濃度を40質量%とした)以外は実施例1と同様にして、MMA−PMIコポリマーからなる透明な樹脂ペレット(P−6)を得た。単量体の回収の状況は、実施例1と同様であった。
メタクリル酸換算で5ppmの有機酸分を含むMMAを使用した以外は実施例6と同様にして、MMA−PMIコポリマーからなる透明な樹脂ペレット(P−7)を得た。単量体の回収の状況は、実施例1と同様であった。
メタクリル酸換算で8ppmの有機酸分を含むMMAを使用した以外は実施例6と同様にして、MMA−PMIコポリマーからなる透明な樹脂ペレット(P−8)を得た。単量体の回収の状況は、実施例1と同様であった。
単量体混合物の組成をMMA73質量部およびN−シクロヘキシルマレイミド(CHMI)22質量部とし、かつ連続重合の重合率を質量基準で60%とした(連続重合により得た重合液のMMA−PMIコポリマー濃度を60質量%とした)以外は実施例1と同様にして、MMA−PMIコポリマーからなる透明な樹脂ペレット(P−9)を得た。単量体の回収の状況は、実施例1と同様であった。
キャンドルフィルタによる重合液の濾過、および押出成形時のリーフディスクフィルタによる溶融濾過を実施しなかった以外は実施例1と同様にして、MMA−PMIコポリマーからなる透明な樹脂ペレット(P−10)を得た。単量体の回収の状況は、実施例1と同様であった。
キャンドルフィルタによる重合液の濾過を実施しなかった以外は実施例1と同様にして、MMA−PMIコポリマーからなる透明な樹脂ペレット(P−11)を得た。単量体の回収の状況は、実施例1と同様であった。
平均滞留時間を6時間とすることで連続重合の重合率を質量基準で70%とした以外は実施例1と同様にして、MMA−PMIコポリマーを濃度70質量%で含む重合液を得た。この重合液に対して、実施例1と同様にキャンドルフィルタによる濾過を試みたが、当該フィルタが破損して濾過ができなかった。
Claims (8)
- メタクリル酸メチル単量体およびN−置換マレイミド単量体を含む単量体混合物を連続的に重合反応器に供給し、前記混合物中の単量体を塊状重合により重合させて当該単量体のコポリマーである熱可塑性樹脂を形成する連続重合工程と、
前記連続重合工程により得た、ポリマー濃度30質量%以上60質量%以下の重合液を濾過する重合液濾過工程と、
前記濾過後の重合液から未反応の前記単量体を含む揮発性成分を脱揮させて回収するとともに、前記熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を押出成形する脱揮・押出工程と、を含む、熱可塑性樹脂体の製造方法。 - 前記連続重合工程において、前記混合物中の単量体を重合率(質量基準)60%以下で重合させる、請求項1に記載の熱可塑性樹脂体の製造方法。
- 前記脱揮・押出工程において、前記樹脂組成物を、ポリマーフィルタによる溶融濾過を経て押出成形する、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂体の製造方法。
- 前記連続重合工程において、濾過した前記単量体混合物を前記重合反応器に供給する、請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂体の製造方法。
- 前記脱揮・押出工程にベント付き押出機を使用し、
当該工程において、前記押出機内にある前記重合液を加熱するとともに少なくとも1つの前記ベントを減圧して、前記減圧したベントから前記揮発性成分を脱揮し、
前記揮発性成分を脱揮する最も下流側のベントよりも上流側において、前記揮発性成分に比べて沸点が高い有機溶媒を前記重合液に添加する、請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂体の製造方法。 - 前記樹脂組成物の酸価が0.5mmol/g以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂体の製造方法。
- 前記N−置換マレイミド単位が、N−フェニルマレイミド単位およびN−シクロヘキシルマレイミド単位から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂体の製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂体がペレットまたはフィルムである、請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013204442A JP6196865B2 (ja) | 2013-09-30 | 2013-09-30 | 熱可塑性樹脂体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013204442A JP6196865B2 (ja) | 2013-09-30 | 2013-09-30 | 熱可塑性樹脂体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015067769A JP2015067769A (ja) | 2015-04-13 |
JP6196865B2 true JP6196865B2 (ja) | 2017-09-13 |
Family
ID=52834790
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013204442A Active JP6196865B2 (ja) | 2013-09-30 | 2013-09-30 | 熱可塑性樹脂体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6196865B2 (ja) |
Family Cites Families (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2507355B2 (ja) * | 1986-10-02 | 1996-06-12 | 東レ株式会社 | プラスチツク系光フアイバ− |
JPH0819193B2 (ja) * | 1990-04-11 | 1996-02-28 | 三菱レイヨン株式会社 | 光学的に優れたメタクリル樹脂 |
JPH0457810A (ja) * | 1990-06-28 | 1992-02-25 | Nippon Steel Chem Co Ltd | スチレン―メチルメタクリレート共重合体の製造法 |
JP3102181B2 (ja) * | 1993-01-20 | 2000-10-23 | 東レ株式会社 | 光ファイバクラッド材の製造方法 |
JP2000143719A (ja) * | 1998-11-11 | 2000-05-26 | Nippon Shokubai Co Ltd | 熱可塑性樹脂の製造方法 |
JP4928187B2 (ja) * | 2005-08-04 | 2012-05-09 | 株式会社日本触媒 | 低複屈折共重合体 |
JP5027718B2 (ja) * | 2008-04-08 | 2012-09-19 | 株式会社日本触媒 | 熱可塑性樹脂体とその製造方法 |
JP5636165B2 (ja) * | 2009-04-21 | 2014-12-03 | 株式会社カネカ | 光学フィルム |
-
2013
- 2013-09-30 JP JP2013204442A patent/JP6196865B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2015067769A (ja) | 2015-04-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6691778B2 (ja) | 光学用樹脂組成物、および成形体 | |
EP2727961A1 (en) | Acrylic thermoplastic resin composition and molded article thereof | |
JP6637313B2 (ja) | 光学用樹脂組成物、およびフィルム | |
CN109790351B (zh) | 一种用于制备光学薄膜的掺杂溶液及使用其的光学薄膜 | |
JP2015214713A (ja) | 樹脂組成物、およびそのフィルム | |
KR20110099219A (ko) | 광학 필름과 그 제조 방법 | |
JP5230363B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物の製造方法 | |
JP2013054338A (ja) | 位相差フィルムの製造方法および位相差フィルムロール | |
JP2015057664A (ja) | 光学フィルム、偏光子保護フィルム、偏光板および画像表示装置 | |
KR101623218B1 (ko) | 광학용 연신 필름과 이를 이용한 편광판 및 화상 표시 장치 | |
JP5154169B2 (ja) | フィルム | |
JPWO2015098980A1 (ja) | 光学用熱可塑性樹脂、および成形体 | |
JP2010072135A (ja) | 光学フィルム | |
JP5433328B2 (ja) | 位相差フィルム | |
TWI541285B (zh) | 樹脂組成物、其製造方法以及包含其之光學膜 | |
JP6703411B2 (ja) | アクリル系樹脂フィルム | |
JP2013195939A (ja) | 位相差フィルムの製造方法 | |
JP6196865B2 (ja) | 熱可塑性樹脂体の製造方法 | |
JP2017061643A (ja) | アクリル系重合体およびその製造方法 | |
JP6231839B2 (ja) | 紫外線吸収剤を含む熱可塑性樹脂組成物の製造方法 | |
JP5027718B2 (ja) | 熱可塑性樹脂体とその製造方法 | |
JP2014098133A (ja) | 樹脂組成物とそれを用いた樹脂成形品 | |
JP5733066B2 (ja) | 光学フィルム及び偏光板 | |
JP2014046464A (ja) | 延伸樹脂フィルムの製造方法 | |
JP2019035017A (ja) | メタクリル系樹脂の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20160606 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20170213 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20170228 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170322 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20170815 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20170821 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6196865 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |