JP6193533B1 - 被覆体、生地材の補強構造、およびそれを用いたスポーツ用シューズ - Google Patents

被覆体、生地材の補強構造、およびそれを用いたスポーツ用シューズ Download PDF

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Abstract

シューズ(S)のアッパー(3)に部分的に被覆体(7)を設ける。この被覆体(7)は、伸縮性を有するメッシュ生地からなる生地材(4)と、この生地材(4)の表面に一体的に設けられたオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる積層材(5)とを備えている。被覆体(7)は、生地材(4)の伸張方向に交差する方向を幅方向としたときに、生地材(4)が伸張する方向のアッパー(3)の歪み速度が所定の基準歪み速度よりも大きい高歪み速度域では、該基準歪み速度以下の低歪み速度域に比べ、被覆体(7)の歪み量に対する単位幅あたりの引張荷重が大きくて伸びにくくなる歪み速度依存性を有している。

Description

本発明は、被覆体、生地材の補強構造、およびそれを用いたスポーツ用シューズに関するものである。
従来から、例えば特許文献1のように、足の甲を包むためのアッパーを備えるシューズが知られている。このアッパーは、網目状のメッシュ材と、このメッシュ材上であって足の爪先側に対応する位置に縫合された補強部と、を有している。この補強部は、例えば人工皮革のような伸び難い素材で形成されており、アッパーの部分的な領域(例えば足の指を含む前側部分)の形状を維持するためのものである。
国際公開2008/047659号公報
ところで、スポーツ用シューズ等では、例えば使用者がシューズを履くときにはアッパーが足の形状になじむようなフィット性を有している一方、激しい運動を行っている際には足がアッパーに包まれてしっかり保持されるようなホールド性を備えているのが一般的に望ましい。
しかしながら、特許文献1のようなシューズでは、伸び難い補強部を有するアッパーによって、運動中に足がアッパーに包まれてしっかり保持されているが、使用者がシューズを履くときにアッパーが伸び難く足の形状になじみにくいという問題があった。具体的には、特許文献1のシューズは、このシューズを履いた使用者が激しい運動をして突発的な外力がアッパーにかかっているときにはホールド性を発揮できるだけであり、使用者がシューズを履くときのように緩やかな外力がアッパーにかかるときには一般的に要求されるようなフィット性が損なわれていた。すなわち、従来のシューズ構造では、使用状況に応じてフィット性およびホールド性を両立させるようにすることは困難であった。
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用状況に応じて被覆体または生地材の補強構造におけるフィット性およびホールド性を両立させるようにすることにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、歪み速度が低速のときに被覆体または生地材の補強構造が柔らかくなる一方、歪み速度が高速のときに被覆体または生地材の補強構造が硬くなるようにした。
具体的には、第1の形態は、伸縮性を有する生地材と、該生地材の表面に一体的に設けられたオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる積層材とを備え、身体を被覆するための被覆体であって、生地材は、ポリエステルからなる糸をダブルラッセル編により作製したメッシュ生地からなり、積層材は、延伸性を有する熱可塑性フィルム材を介して生地材の表面に接着されており、被覆体のサンプルに対して、生地材の伸張方向であって引張試験機に設置する箇所の長さ寸法を4cmとしかつ該引張試験機の周囲温度を室温域とする測定条件下で引張試験を実施した場合において、生地材の伸張方向に交差する方向を幅方向としたときに、生地材が伸張する方向の被覆体の歪み速度が100%/s歪み速度となる基準歪み速度よりも大きい高歪み速度域では、該基準歪み速度以下の低歪み速度域に比べ、被覆体の歪み量に対する単位幅あたりの引張荷重が大きくて伸びにくくなる歪み速度依存性を有することを特徴とする。
この第1の形態において、熱可塑性エラストマーからなる積層材が生地材の表面に一体的に設けられた被覆体は、高歪み速度域で低歪み速度域よりも歪み量に対する単位幅あたりの引張荷重が大きくて伸びにくくなる歪み速度依存性を有する。すなわち、この被覆体は、低歪み速度域では相対的に柔らかくて伸びやすくなる一方、高歪み速度域では低歪み速度域よりも硬くて伸びにくくなるという特性を有している。この特性によって、例えば使用者がこの被覆体を装着するときのように、緩やかな外力が被覆体にかかったとき(すなわち歪み速度が低歪み速度域にあるとき)には、被覆体が相対的に柔らかくかつ伸びやすくなり、身体の形状になじむようにフィット性を高めることができる。一方、この被覆体を着衣した使用者が激しい動作を行って突発的な外力が被覆体にかかっているとき(すなわち歪み速度が高歪み速度域にあるとき)には、被覆体が相対的に硬くかつ伸びにくくなり、被覆体に包まれた身体をしっかり保持するようにホールド性を高めることができる。つまり、第1の形態に係る被覆体では、使用状況に応じて上記のようなフィット性およびホールド性を両立させた効果を得ることが可能となる。なお、「単位幅あたりの引張荷重」とは、生地材の伸張方向に交差する方向を幅方向としたときに、被覆体の幅寸法を1mmに換算した場合の単位幅にかかる引張荷重値(N/mm)を指すものである。
の形態は、第1の形態において、引張試験による歪みと単位幅あたりの引張荷重との関係は、歪み量1%に対する該引張荷重P(N/mm)が、低歪み速度域のときに0.05≦P≦1.09の範囲となる一方、高歪み速度域のときに0.65≦P≦2.47の範囲となる関係にあることを特徴とする。
この第の形態では、歪み量1%に対する単位幅あたりの引張荷重が上記数値範囲に含まれるものとすることによって、低歪み速度域では柔らかくて伸びやすくなる一方、高歪み速度域では低歪み速度域に比べて硬くて伸びにくくなるといった歪み速度依存性を有する被覆体を具体的に構成することができる。
の形態は、第1またはの形態のいずれか1つの形態において、引張試験による歪みと単位幅あたりの引張荷重との関係は、歪み量5%に対する該引張荷重P(N/mm)が、低歪み速度域のときに0.25≦P≦2.05の範囲となる一方、高歪み速度域のときに1.72≦P≦7.85の範囲となる関係にあることを特徴とする。
この第の形態では、歪み量5%に対する単位幅あたりの引張荷重が上記数値範囲に含まれるものとすることによって、低歪み速度域では柔らかくて伸びやすくなる一方、高歪み速度域では低歪み速度域に比べて硬くて伸びにくくなるといった歪み速度依存性を有する被覆体を具体的に構成することができる。
の形態は、伸縮性を有する生地材と、該生地材の表面に一体的に設けられたオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる積層材とを備え、身体を被覆するための被覆体であって、生地材は、ポリエステルからなる糸をダブルラッセル編により作製したメッシュ生地からなり、積層材は、延伸性を有する熱可塑性フィルム材を介して生地材の表面に接着されており、被覆体のサンプルに対して、生地材の伸張方向であって引張試験機に設置する箇所の長さ寸法を4cmとしかつ該引張試験機の周囲温度を室温域とする測定条件下で引張試験を実施した場合において、生地材が伸張する方向の被覆体の歪み速度が大きくなるにつれて、歪み量に対する単位幅あたりの引張荷重が増大して伸びにくくなる歪み速度依存性を有することを特徴とする。
この第の形態では、第1の形態と同様、使用状況に応じてフィット性およびホールド性を両立させることができる。
の形態は、第1〜の形態のいずれか1つの被覆体を含むアッパーが設けられたスポーツ用シューズであることを特徴とする。
この第の形態では、被覆体の歪み速度依存性によって、例えば使用者がスポーツ用シューズを履くときのように、緩やかな外力がアッパーにかかったとき(歪み速度が低歪み速度域にあるとき)には、アッパーが相対的に柔らかくかつ伸びやすくなり、シューズをスムーズに履くことができ、足の形状になじむようにフィット性を高めることができる。一方、このシューズを履いた使用者が激しい運動を行っている際に突発的な外力がアッパーにかかっているとき(歪み速度が高歪み速度域にあるとき)では、アッパーが相対的に硬くかつ伸びにくくなり、アッパーに包まれた足をしっかり保持するようにホールド性を高めることができる。
の形態は、伸縮性を有する生地材と、該生地材の表面に一体的に設けられたオレフィン系熱可塑性エラストマーからなりかつ該生地材の機械的強度を補強する補強材とを備える生地材の補強構造であって、生地材は、ポリエステルからなる糸をダブルラッセル編により作製したメッシュ生地からなり、補強材は、延伸性を有する熱可塑性フィルム材を介して生地材の表面に接着されており、生地材の補強構造のサンプルに対して、生地材の伸張方向であって引張試験機に設置する箇所の長さ寸法を4cmとしかつ該引張試験機の周囲温度を室温域とする測定条件下で引張試験を実施した場合において、生地材の伸張方向に交差する方向を幅方向としたときに、該生地材が伸張する方向の生地材の補強構造の歪み速度が100%/s歪み速度となる基準歪み速度よりも大きい高歪み速度域では、該基準歪み速度以下の低歪み速度域に比べ、該生地材の補強構造の歪み量に対する単位幅あたりの引張荷重が大きくて伸びにくくなる歪み速度依存性を有することを特徴とする。
この第の形態では、第1の形態と同様の効果を奏するとともに、補強材により生地材の機械的強度が一定に保たれて例えば生地材の経年劣化を抑制することができる。
の形態は、第の形態において、引張試験による歪みと単位幅あたりの引張荷重との関係は、歪み量1%に対する該引張荷重P(N/mm)が、低歪み速度域のときに0.05≦P≦1.09の範囲となる一方、高歪み速度域のときに0.65≦P≦2.47の範囲となる関係にあることを特徴とする。
この第の形態では、第の形態と同様の効果を奏することができる。
の形態は、第6またはの形態のいずれか1つの形態において、引張試験による歪みと単位幅あたりの引張荷重との関係は、歪み量5%に対する該引張荷重P(N/mm)が、低歪み速度域のときに0.25≦P≦2.05の範囲となる一方、高歪み速度域のときに1.72≦P≦7.85の範囲となる関係にあることを特徴とする。
この第の形態では、第の形態と同様の効果を奏することができる。
の形態は、伸縮性を有する生地材と、該生地材の表面に一体的に設けられたオレフィン系熱可塑性エラストマーからなりかつ該生地材の機械的強度を補強する補強材とを備える生地材の補強構造であって、生地材は、ポリエステルからなる糸をダブルラッセル編により作製したメッシュ生地からなり、補強材は、延伸性を有する熱可塑性フィルム材を介して生地材の表面に接着されており、生地材の補強構造のサンプルに対して、生地材の伸張方向であって引張試験機に設置する箇所の長さ寸法を4cmとしかつ該引張試験機の周囲温度を室温域とする測定条件下で引張試験を実施した場合において、生地材が伸張する方向における該生地材の補強構造の歪み速度が大きくなるにつれて、歪み量に対する単位幅あたりの引張荷重が増大して伸びにくくなる歪み速度依存性を有することを特徴とする。
この第の形態では、第の形態と同様の効果を奏することができる。
10の形態は、第の形態のいずれか1つの生地材の補強構造を含むアッパーが設けられたスポーツ用シューズであることを特徴とする。
この第10の形態では、第の形態と同様の効果を奏することができる。
以上説明したように、本発明によると、低歪み速度域では相対的に柔らかくて伸びやすくなる一方、高歪み速度域では低歪み速度域よりも硬くて伸びにくくなるという特性(すなわち歪み速度依存性)を有する被覆体または生地材の補強構造によって、低歪み速度域ではフィット性を高めることができるとともに、高歪み速度域ではホールド性を高めることができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係るシューズを示す斜視図である。 図2は、本発明の第1実施形態に係るシューズを示す平面図である。 図3は、シューズのアッパーに用いられた被覆体の構成を示す縦断面図である。 図4は、積層材と足の骨格構造との位置関係を模式的に示す平面図である。 図5は、積層材と足の骨格構造との位置関係を模式的に示す側面図である。 図6は、サンプルp1における引張試験の結果(応力−歪み特性)を示すグラフである。 図7は、サンプルe3における引張試験の結果(応力−歪み特性)を示すグラフである。 図8は、各サンプルの概略形状を模式的に示す図である。 図9は、サンプル4における引張試験の結果(歪みと単位幅あたりの引張荷重との関係)を示すグラフである。 図10は、サンプル5における引張試験の結果(歪みと単位幅あたりの引張荷重との関係)を示すグラフである。 図11は、サンプル6における引張試験の結果(歪みと単位幅あたりの引張荷重との関係)を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1〜図5は、本発明の実施形態に係るシューズSを示し、このシューズSは、好ましくは、特に突発的な動きが多いインドア系スポーツ(例えばバレー、バトミントンなど)のためのシューズとして用いられる。ここで、シューズSは、右足用のシューズのみを例示している。そして、左足用のシューズは、右足用シューズSと左右対称になるように構成されているので、以下の説明では右足用シューズSのみについて説明し、左足用シューズの説明は省略する。なお、以下の説明において、上方(上側)および下方(下側)とはシューズSの上下方向の位置関係を表し、前方(前側)および後方(後側)とはシューズSの前後方向の位置関係を表し、左側および右側とはシューズSの左右方向の位置関係を表すものとする。
図1に示すように、シューズSは、路面に接地する接地面を有するアウトソール1を備えている。このアウトソール1は、高硬度の硬質弾性部材で構成されている。また、アウトソール1の上側には、人体の足裏を支持するミッドソール2が設けられている。このミッドソール2は、例えば軟質の弾性材からなり、その下側部が接着剤などによってアウトソール1上側部に固着されている。
ミッドソール2の上方には、身体の足(具体的にはつま先から踵までの部分)を被覆するアッパー3が設けられている。このアッパー3は、上部に足挿入部3aが開口され、その下部周縁がミッドソール2の周縁全体に接着剤などで一体的に固着されている。そして、シューズSの上部には、足挿入部3aに連通して前後方向に延びる開口部3bが形成されており、開口部3bの左右縁部には、この縁部に沿って前後方向に延びる左右のハトメ飾り3cが縫製等で固着されている。
アッパー3は、伸縮性を有する生地材4を有している。この生地材4は、例えばポリエステルからなる糸を経編(すなわちダブルラッセル編)により編まれた網目状のメッシュ生地が好適である。このようなメッシュ生地の特性として、糸の径が小さくなるほど、または編み目が荒くなるほど、生地自体が柔らかくなる傾向にある。また、生地の厚みを薄くすることによっても、メッシュ生地を柔らかくすることが可能である。すなわち、メッシュ生地の伸張度合いを適宜変えることによって、後述するアッパーの歪み速度依存性を調整することが可能となる。なお、本実施形態では、生地材4がシューズSの左右方向に伸びるように構成されている。
図1および図2に示すように、生地材4の表面の一部には、熱可塑性エラストマーからなる帯状の積層材5,5,…が一体的に設けられている。具体的には、図3に示すように、積層材5は、延伸性を有する熱可塑性フィルム材6(すなわちホットメルト接着剤)を介して、生地材4の表面に接着(複合化)されている。本実施形態では、積層材5と、その積層材5が接着された部分の生地材4とによって、本発明でいう被覆体7が構成されている。なお、積層材5の厚みとしては、0.5〜2.0mmの範囲が好ましい。
図1および図2に示すように、積層材5,5,…の各々は、シューズSの前側および後側において、左右一対となるようにそれぞれ設けられおり、側面視で逆V字状になるようにハトメ飾り3cとミッドソール2との間に亘って形成されている。そして、図4および図5に示すように、シューズS前側に設けられた一対の積層材5,5は、例えば足の前足部F(具体的には中足骨の先端部分、基節骨、および末節骨を含む部分)に対応する位置に配置されている。一方、シューズS後側に設けられた一対の積層材5,5は、例えば足の中足部Mおよび後足部H前側を含む部分(具体的には中足骨の後端部分、楔状骨、立方骨、および舟状骨を含む部分)に対応する位置に配置されている。
ここで、熱可塑性エラストマーとしては、粘性率を弾性率で除した値(いわゆるtanδ)が室温域でピーク値を示すような物性を有するものが好ましい。このような物性を有していれば、同様の歪み速度依存性が発揮されやすくなる。より具体的に、本実施形態で用いられる熱可塑性エラストマーは、4−メチル−1ペンテン・αオレフィン共重合体を含む組成物(三井化学株式会社製)からなる。このような組成物を含む熱可塑性エラストマーであれば、例えばポリプロピレン(PP)等のオレフィンポリマー成分と、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等のオレフィンゴム成分との配合量を調整することにより、上記tanδが室温域でピーク値となりかつ熱可塑性エラストマーの硬度が本実施形態に適した実用的な値になるように構成することが可能となる。他の熱可塑性エラストマーの具体例としては、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。特に、積層材5の軽量化という観点からすれば、オレフィン系熱可塑性エラストマーがより好ましい。
次に、本発明の特徴として、アッパー3の被覆体7は、ベースである生地材4が伸張する方向のアッパー3の歪み速度が大きくなるにつれて、歪み量に対する単位幅あたりの引張荷重が増大して伸びにくくなる歪み速度依存性を有している。すなわち、生地材4が伸張する方向のアッパー3の歪み速度が所定の基準歪み速度よりも大きい高歪み速度域では、基準歪み速度以下の低歪み速度域に比べ、被覆体7の歪み量に対する単位幅あたりの引張荷重が大きくて伸びにくくなる歪み速度依存性を有している。
ここで、「単位幅あたりの引張荷重」とは、生地材4の伸張方向に交差する方向を幅方向としたときに、被覆体7の幅寸法を1mmに換算した場合の単位幅にかかる引張荷重値(N/mm)を指すものである。つまり、歪み速度依存性については歪み量に対する引張応力の変化により特定する方法が一般的であるが、本実施形態では、被覆体7が生地材4と積層材5との複合構造であることにより被覆体7の厚みが厳密に一定となりにくいことを考慮し、単位断面積あたりの力(N/mm)として表示される応力に代わる概念として、被覆体7の歪み速度依存性を特定するために「単位幅あたりの引張荷重」という概念を用いることとした。
また、本実施形態を説明する便宜上、一例として、例えば100%/sの歪み速度を「基準歪み速度」と定め、この基準歪み速度以下の歪み速度域(例えば4.2〜100%/sの歪み速度域)を「低歪み速度域」と定める一方、基準歪み速度よりも高速となる歪み速度域(例えば500%/s以下であって100%/sよりも大きい歪み速度域)を「高歪み速度域」と定めている。
以上のように、本実施形態に係るシューズSにおいて、熱可塑性エラストマーからなる積層材5が生地材4の表面に一体的に設けられたアッパー3の被覆体7は、上記歪み速度依存性によって、具体的に、低歪み速度域では相対的に柔らかくて伸びやすくなる一方、高歪み速度域では低歪み速度域よりも硬くて伸びにくくなるという特性を示すことになる。この特性によって、例えば使用者がシューズSを履くときのように、緩やかな外力がアッパー3にかかったとき(すなわち歪み速度が低歪み速度域にあるとき)には、アッパー3が相対的に柔らかくかつ伸びやすくなり、使用者は足挿入部3aに足を挿入してスムーズにシューズSを履くことができ、足の形状になじむようにフィット性を高めることができる。一方、このシューズSを履いた使用者が激しい運動を行っている際に突発的な外力がアッパー3にかかっているとき(すなわち歪み速度が高歪み速度域にあるとき)には、アッパー3が相対的に硬くかつ伸びにくくなり、アッパー3に包まれた足をしっかり保持するようにホールド性を高めることができる。したがって、本実施形態に係るアッパー3では、使用状況に応じて上記のようなフィット性およびホールド性を両立させた効果を得ることが可能となる。
また、被覆体7における積層材5は、延伸性を有する熱可塑性フィルム材6を介して生地材4の表面に接着されている。これにより、生地材4内に熱可塑性エラストマーの一部が浸透することなく、熱可塑性フィルム材6により両者間を隔てた状態で積層材5を生地材4の表面に接着することが可能となり、生地材4と積層材5との接着状態を強固に保ちつつ、アッパー3の伸縮性を損なわないようにすることができる。
また、被覆体7についての引張試験による歪みと単位幅あたりの引張荷重との関係は、歪み量1%に対する単位幅あたりの引張荷重P(N/mm)が、低歪み速度域のときに0.05≦P≦1.09の範囲となる一方、高歪み速度域のときに0.65≦P≦2.47の範囲である関係が好ましい。あるいは、同じ引張試験による歪みと単位幅あたりの引張荷重との関係は、歪み量5%に対する単位幅あたりの引張荷重P(N/mm)が、低歪み速度域のときに0.25≦P≦2.05の範囲となる一方、高歪み速度域のときに1.72≦P≦7.85の範囲である関係が好ましい。すなわち、歪み量1%および/または5%に対する単位幅あたりの引張荷重Pが上記数値範囲に含まれるものとすることによって、低歪み速度域では柔らかくて伸びやすくなる一方、高歪み速度域では低歪み速度域に比べて硬くて伸びにくくなるといった歪み速度依存性を有するアッパー3の被覆体7を構成することができる。特に、歪み量5%という数値は、従来のスポーツ用シューズに設けられるアッパーに対して外力が生じるときの平均的な歪み量であると考えられている。つまり、この歪み量5%に対する単位幅あたりの引張荷重が上記数値範囲に含まれるアッパー3の被覆体7を構成することによって、フィット性およびホールド性を両立させた効果をより確実に得ることが可能となる。
[実施形態の変形例]
上記実施形態に係るシューズSでは、積層材5,5,…を備える被覆体7をアッパー3に適用した形態について説明したが、この形態に限定されない。すなわち、被覆体7をアッパー3に適用した形態に代わる変形例として、上述した積層材5と同様の構成を有しかつ生地材4の機械的強度を補強するための補強材と、この補強材が接着された部分の生地材4とを備える生地材4の補強構造をアッパー3に適用した形態であってもよい。このような生地材4の補強構造であれば、上記被覆体7と同様の効果を奏するとともに、補強材により生地材4の機械的強度が一定に保たれて例えば生地材4の経年劣化を抑制することができる。
[その他の実施形態]
上記実施形態では、生地材4としてメッシュ生地を用いた形態を示したが、この形態に限られない。すなわち、生地材4としては、編物、織物、不織布、人工皮革、布地のような素材であって、伸縮性を有するものであればよい。そして、積層材5と複合化させる生地材4の伸縮性や応力特性を考慮することにより、アッパー3の被覆体7の歪み速度依存性を調整することが可能となる。
上記実施形態では、積層材5の厚みとして0.5〜2.0mmの範囲となる形態を示したが、この範囲に限られない。例えば、積層材5の厚みが2.0mmよりも大きくなるように設定してもよく、積層材5が厚くなるほど、歪み量に対する応力が大きくなる。そして、積層材5の厚みを適宜変えることにより、被覆体7の歪み速度依存性を調整することが可能となる。なお、上述した変形例に係る補強材の厚みについても同様である。
上記実施形態では、生地材4に積層材5を複合化する方法として、延伸性を有する熱可塑性フィルム材6(すなわちホットメルト接着剤)を介して生地材4の表面に積層材5を接着させた形態を示したが、この形態に限られない。例えば、射出成形や熱プレスによる融着、接着剤による接着、プライマー処理、縫製による縫い付けなどで生地材4に積層材5を複合化してもよい。なお、上述した変形例に係る補強材を生地材4に複合化する方法についても同様である。
上記実施形態では、シューズSのアッパー3に部分的に被覆体7を設けた形態を示したが、この形態に限られない。上記アッパー3と同様の構成からなる被覆体7を、例えば靴下、手袋、タイツ(コンプレッションウエア)、ブラジャー、サポーター、身体にフィットするシャツやパンツなどのウエア、野球用のグローブ、リストバンド、ストッキングバンド等に適用することが可能である。なお、上述した変形例に係る生地材4の補強構造における適用例についても同様である。
以上、本発明についての実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態のみに限定されず、発明の範囲内で種々の変更が可能である。
[引張試験1]
まず、被覆体を構成する要素のうち積層材について、静的および動的な一軸引張試験により歪み速度依存性の有無を確認した。
本引張試験において、100%/s以上の高歪み速度では、「インストロン ジャパン カンパニイ リミテッド」製の「ElectroPlus E3000 電気式試験機」という引張試験機を用いた。この引張試験機の主な仕様としては、動的荷重容量が±3000N、ストロークが60mmとなっており、各種材料などに対する静的および動的な引張試験を行うことが可能となっている。一方、4%/s及び42%/sの低歪み速度では、「インストロン ジャパン カンパニイ リミテッド」製の「3365型 電気機械式万能材料試験機」という引張試験機を用いた。この引張試験機のロードセルの動的荷重容量は±1000Nである。また、高歪み速度試験を行った「ElectroPlus E3000 電気式試験機」を用いて4%/s及び42%/sの歪み速度も測定し、「3365型 電気機械式万能材料試験機」でも同様の測定結果が得られることを確認した。
そして、本試験の実施例として、厚み2.0mmのオレフィン系熱可塑性エラストマーからなるサンプルe3を用いた。このサンプルe3については、上記引張試験機に設置する箇所の長さ寸法(すなわち後述するメッシュ生地の伸張方向に対応する方向の寸法)として4cmが含まれかつ幅寸法(すなわちメッシュ生地の伸張方向に交差する方向の寸法)が2cmになるように作製した。
さらに、サンプルe3に対する比較例として、厚さ2.0mmの軟質ポリウレタンからなるサンプルp1を用いた。なお、このサンプルp1の大きさについては、エラストマーのサンプルe3と同様である。
図6は、比較例のサンプルp1について、上記引張試験機により3段階の歪み速度(4.2%/s、100%/s、500%/s)で一軸引張試験を行った結果(応力−歪み特性)を示している。同様に、図7は、実施例のサンプルe3について、上記引張試験を行った結果を示している。ここで、結果考察の便宜上、100%/sの歪み速度を「基準歪み速度」と定めた。その上で、この基準歪み速度以下の歪み速度域(すなわち4〜100%/sの歪み速度域)を「低歪み速度域」と定める一方、基準歪み速度よりも高速となる歪み速度域を「高歪み速度域」と定めることとした(後述する引張試験2でも同様である。)。
図6に示すように、比較例のサンプルp1では、歪み量に対する引張応力値の変化率がほぼ一定であって、歪み速度を変えても歪み量に対する引張応力値に大きな変化が見られなかった。すなわち、サンプルp1では、低歪み速度域および高歪み速度域のいずれであっても伸張度合いがほとんど変化せず、歪み速度依存性は見られなかった。
これに対し、図7に示すように、実施例のサンプルe3では、オレフィン系熱可塑性エラストマーの粘弾性によって非線形曲線を描くように歪み量に対する引張応力の関係が変化した。特に、高歪み速度域では、より大きな曲線になるように歪み量に対する引張応力値が変化する傾向が見られた。そして、サンプルe3では、歪み速度を低速から高速に変えていくと、歪み量に対する引張応力値が増大した。例えば、低歪み速度域の上限となる基準歪み速度(100%/s)では、歪み量5%で引張応力値が約1.8N/mmとなっていた。これに対し、高歪み速度域における歪み速度500%/sでは、歪み量5%で引張応力値が約2.9N/mmとなっていた。つまり、低歪み速度域では歪み量5%に対する引張応力値が相対的に低くなったが、高歪み速度域では低歪み速度域に比べて歪み量5%に対する引張応力値が約1.5倍以上に増大していた。
このように、オレフィン系熱可塑性エラストマーは、低歪み速度域では柔らかくて伸びやすくなる一方、高歪み速度域では低歪み速度域よりも硬くて伸びにくくなるという特性、すなわち歪み速度依存性を有することがわかった。この結果から、軟質ポリウレタンからなる積層材を生地材に複合化させた被覆体では歪み速度依存性が発揮されないが、オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる積層材を生地材に複合化させた被覆体では歪み速度依存性が発揮されることが明らかである。
[引張試験2]
次に、上記引張試験機を用いて、以下に示す被覆体のサンプル1〜12に静的および動的な一軸引張試験を行い、その結果から各サンプルの歪み速度に対する単位幅あたりの引張荷重の挙動(歪み速度依存性)を観察した。なお、本引張試験において、「単位幅あたりの引張荷重」とは、メッシュ生地の伸張方向に交差する方向を幅方向としたときに、各サンプルの幅寸法を1mmに換算した場合の単位幅にかかる引張荷重値(N/mm)を指すものである。
各サンプルを構成する生地材として、ポリエステルからなる糸を経編(すなわちダブルラッセル編)により作製した4種類のメッシュ生地m1〜m4を用いた。これらメッシュ生地の各々は、後述する各サンプルの長手方向に伸張するように構成されている。また、メッシュ生地m1〜m4の各々は、その仕様(糸の径の大小、編み目の荒さ、生地自体の厚みなど)の違いによって伸張度合いがそれぞれ異なっている。ここで、メッシュ生地m1〜m4の各々は、メッシュ生地m1〜m4の順に伸びにくくなる(硬くなる)ように設定されている。
また、各メッシュ生地の表面に接着する積層材として、オレフィン系熱可塑性のエラストマーe1〜e3を用いた。ここで、エラストマーe1〜e3の厚みはそれぞれ異なっており、具体的には、エラストマーe1の厚みが0.5mm、エラストマーe2の厚みが1.0mm(すなわち上記引張試験1で用いたサンプルe2と同じ厚みのもの)、エラストマーe3の厚みが2.0mmとなるようにそれぞれ設定されている。
そして、上記メッシュ生地m1〜m4および上記エラストマーe1〜e3を適宜組み合わせて、被覆体のサンプル1〜12を作製した(メッシュ生地とエラストマーとの組合せについては後述の表1〜表12を参照)。各サンプルの作製方法としては、延伸性を有する熱可塑性フィルム材(ホットメルト接着剤)を介して、上記メッシュ生地の表面に上記エラストマーを接着する方法を用いた。また、図8に示すように、メッシュ生地の伸張方向であって上記引張試験機に設置する箇所(図8の破線で示した部分)の長さ寸法として4cmが含まれるように形成しかつ幅方向の寸法が2cmになるように各サンプルを作製した。
このようなサンプル1〜12に対して、上記引張試験機により4段階の歪み速度(4.2%/s、42%/s、100%/s、500%/s)で一軸引張試験を行い、その結果(すなわち歪みと単位幅あたりの引張荷重との関係)から、歪み速度依存性の有無および歪み量に対する単位幅あたりの引張荷重P(N/mm)の適正範囲について検証を行った。以下に、歪み量が1%のときの各歪み速度におけるサンプル1〜12の単位幅あたりの引張荷重値(N/mm)を表1〜表4に示す。
Figure 0006193533
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同様に、歪み量が5%のときの各歪み速度におけるサンプル1〜12の単位幅あたりの引張荷重値(N/mm)を表5〜表8に示す。
Figure 0006193533
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図9〜図11および表1〜表8の結果から、被覆体のサンプル1〜12では、オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる積層材を生地材の表面に複合化させたことによって、低歪み速度域では相対的に柔らかくて伸びやすくなる一方、高歪み速度域では低歪み速度域に比べて硬くて伸びにくくなるといった特性が見られた。
そして、表1〜表4によれば、歪み量1%に対する単位幅あたりの引張荷重P(N/mm)は、低歪み速度域のときに0.05≦P≦1.09の範囲となる一方、高歪み速度域のときに0.65≦P≦2.47の範囲となった。また、表5〜表8によれば、歪み量5%に対する単位幅あたりの引張荷重P(N/mm)は、低歪み速度域のときに0.25≦P≦2.05の範囲となる一方、高歪み速度域のときに1.72≦P≦7.85の範囲となった。
さらに考察すると、歪み量1%では、高歪み速度域における単位幅あたりの引張荷重の上限値(2.47N/mm)が低歪み速度域における単位幅あたりの引張荷重の上限値(1.09N/mm)の約2倍に相当する値になっていた。また、歪み量5%(従来のスポーツ用シューズのアッパーに外力が生じるときの平均的な歪み量)では、高歪み速度域における単位幅あたりの引張荷重の上限値(7.85N/mm)が低歪み速度域における単位幅あたりの引張荷重の上限値(2.05N/mm)の約4倍に相当する値になっていた。このような結果に基づけば、被覆体の各サンプルを例えばスポーツ用シューズのアッパーに適用することによって、上記実施形態にて説明したフィット性およびホールド性を両立させた効果をより確実に得ることが可能となる。
以上により、本発明に係る被覆体は、生地材が伸張する方向の被覆体の歪み速度が基準歪み速度よりも大きい高歪み速度域では、基準歪み速度以下の低歪み速度域に比べ、歪み量に対する単位幅あたりの引張荷重が大きくて伸びにくくなる歪み速度依存性を有することが結論づけられた。なお、上記変形例に係る生地材の補強構造であっても、被覆体と同様の試験結果および結論を得ることができる。
本発明は、例えば突発的な動きが多いインドア系スポーツのためのシューズのアッパー等に用いられる被覆体として産業上の利用が可能である。
S:シューズ
1:アウトソール
2:ミッドソール
3:アッパー
4:生地材
5:積層材
6:熱可塑性フィルム材
7:被覆体

Claims (10)

  1. 伸縮性を有する生地材と、該生地材の表面に一体的に設けられたオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる積層材とを備え、身体を被覆するための被覆体であって、
    前記生地材は、ポリエステルからなる糸をダブルラッセル編により作製したメッシュ生地からなり、
    前記積層材は、延伸性を有する熱可塑性フィルム材を介して前記生地材の表面に接着されており、
    前記被覆体のサンプルに対して、前記生地材の伸張方向であって引張試験機に設置する箇所の長さ寸法を4cmとしかつ該引張試験機の周囲温度を室温域とする測定条件下で引張試験を実施した場合において、
    前記生地材の伸張方向に交差する方向を幅方向としたときに、該生地材が伸張する方向の被覆体の歪み速度が100%/s歪み速度となる基準歪み速度よりも大きい高歪み速度域では、該基準歪み速度以下の低歪み速度域に比べ、該被覆体の歪み量に対する単位幅あたりの引張荷重が大きくて伸びにくくなる歪み速度依存性を有する、被覆体。
  2. 請求項1に記載の被覆体において、
    引張試験による歪みと単位幅あたりの引張荷重との関係は、歪み量1%に対する該引張荷重P(N/mm)が、前記低歪み速度域のときに0.05≦P≦1.09の範囲となる一方、前記高歪み速度域のときに0.65≦P≦2.47の範囲となる関係にある、被覆体。
  3. 請求項1または2に記載の被覆体において、
    引張試験による歪みと単位幅あたりの引張荷重との関係は、歪み量5%に対する該引張荷重P(N/mm)が、前記低歪み速度域のときに0.25≦P≦2.05の範囲となる一方、前記高歪み速度域のときに1.72≦P≦7.85の範囲となる関係にある、被覆体。
  4. 伸縮性を有する生地材と、該生地材の表面に一体的に設けられたオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる積層材とを備え、身体を被覆するための被覆体であって、
    前記生地材は、ポリエステルからなる糸をダブルラッセル編により作製したメッシュ生地からなり、
    前記積層材は、延伸性を有する熱可塑性フィルム材を介して前記生地材の表面に接着されており、
    前記被覆体のサンプルに対して、前記生地材の伸張方向であって引張試験機に設置する箇所の長さ寸法を4cmとしかつ該引張試験機の周囲温度を室温域とする測定条件下で引張試験を実施した場合において、
    前記生地材が伸張する方向の被覆体の歪み速度が大きくなるにつれて、歪み量に対する単位幅あたりの引張荷重が増大して伸びにくくなる歪み速度依存性を有する、被覆体。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の被覆体を含むアッパーが設けられた、スポーツ用シューズ。
  6. 伸縮性を有する生地材と、該生地材の表面に一体的に設けられたオレフィン系熱可塑性エラストマーからなりかつ該生地材の機械的強度を補強する補強材とを備える生地材の補強構造であって、
    前記生地材は、ポリエステルからなる糸をダブルラッセル編により作製したメッシュ生地からなり、
    前記補強材は、延伸性を有する熱可塑性フィルム材を介して前記生地材の表面に接着されており、
    前記生地材の補強構造のサンプルに対して、前記生地材の伸張方向であって引張試験機に設置する箇所の長さ寸法を4cmとしかつ該引張試験機の周囲温度を室温域とする測定条件下で引張試験を実施した場合において、
    前記生地材の伸張方向に交差する方向を幅方向としたときに、該生地材が伸張する方向の生地材の補強構造の歪み速度が100%/s歪み速度となる基準歪み速度よりも大きい高歪み速度域では、該基準歪み速度以下の低歪み速度域に比べ、該生地材の補強構造の歪み量に対する単位幅あたりの引張荷重が大きくて伸びにくくなる歪み速度依存性を有する、生地材の補強構造。
  7. 請求項に記載の生地材の補強構造において、
    引張試験による歪みと単位幅あたりの引張荷重との関係は、歪み量1%に対する該引張荷重P(N/mm)が、前記低歪み速度域のときに0.05≦P≦1.09の範囲となる一方、前記高歪み速度域のときに0.65≦P≦2.47の範囲となる関係にある、生地材の補強構造。
  8. 請求項6または7に記載の生地材の補強構造において、
    引張試験による歪みと単位幅あたりの引張荷重との関係は、歪み量5%に対する該引張荷重P(N/mm)が、前記低歪み速度域のときに0.25≦P≦2.05の範囲となる一方、前記高歪み速度域のときに1.72≦P≦7.85の範囲となる関係にある、生地材の補強構造。
  9. 伸縮性を有する生地材と、該生地材の表面に一体的に設けられたオレフィン系熱可塑性エラストマーからなりかつ該生地材の機械的強度を補強する補強材とを備える生地材の補強構造であって、
    前記生地材は、ポリエステルからなる糸をダブルラッセル編により作製したメッシュ生地からなり、
    前記補強材は、延伸性を有する熱可塑性フィルム材を介して前記生地材の表面に接着されており、
    前記生地材の補強構造のサンプルに対して、前記生地材の伸張方向であって引張試験機に設置する箇所の長さ寸法を4cmとしかつ該引張試験機の周囲温度を室温域とする測定条件下で引張試験を実施した場合において、
    前記生地材が伸張する方向における該生地材の補強構造の歪み速度が大きくなるにつれて、歪み量に対する単位幅あたりの引張荷重が増大して伸びにくくなる歪み速度依存性を有する、生地材の補強構造。
  10. 請求項のいずれか1項に記載の生地材の補強構造を含むアッパーが設けられた、スポーツ用シューズ。
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