(実施例) 図1ないし図14は、本発明に係る美容用の噴霧器(以下、単にミスト器と言う。)の実施例を示している。なお、本発明における前後、左右、上下とは、図1および図5に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
図1および図2においてミスト器は、上下面が開口する縦長筒状の本体ケース1を基本構造体にして、その内部に作動ユニット2を収容して構成されている。本体ケース1の断面は前後方向の長軸を備えただ円形状に形成されており、その左右幅は前後幅に比べて充分に小さく設定されて、主なユーザーである女性の手に馴染みやすく、しかも片手で掴みやすい大きさとされている。本体ケース1の前壁の上部には円形のミスト口3が開口され、本体ケース1の上端(上部)にはスイッチノブ(スイッチ操作具)4が配置されている。また、本体ケース1の後面の上部寄りにはグリップ部5がなだらかに凹み形成されている(図1参照)。図2において符号6はキャップであり、不使用時にキャップ6を本体ケース1に被せ付けた状態では、ミスト口3およびスイッチノブ4の外面がキャップ6で覆われる。そのため、スイッチノブ4が誤ってオン操作されるのを防止できる。また、ミストノズル12のノズル口57やその周辺部に塵埃が付着し、あるいはノズル口57に異物が入込んで目詰まりに陥ることなどを防止できる。さらに、キャップ6は、ミスト器が床面などに落下した場合の防護体としても機能しており、キャップ6の内面に面して配置された機器の破損を防止することにも役立っている。
図3に示すように作動ユニット2は、上下に長い電装ケース10と、電装ケース10の上部に組付けられる逆L字状のノズルケース11を骨格構造にして、両ケース10・11にミスト生成構造(ミスト生成手段)とイオン発生構造(イオン種生成手段)の構成部品を組付けて構成されている。ミスト生成構造は、ミスト口3の内側中央に配置されるミストノズル12と、同ノズル12の下方に配置されるタンク13と、エアーポンプ14と、同ポンプ14を駆動するモーター15と、2次電池(電池)16を含む電装品部17などで構成されている。電装品部17には、制御回路が実装された回路基板18と、樹脂モールド19と、充電用のコネクター20と、先の2次電池16と、補助回路基板22などが設けられている。
イオン発生構造(イオン種生成手段)は、先の樹脂モールド19と、ミストノズル12の上側に配置した電極ユニット21と、補助回路基板22と、イオン種が放出されるイオン種放出窓74などで構成されている。後述する電流調整用の前段の回路群が補助回路基板22に実装され、電流調整用の後段の回路が樹脂モールド19の内部に封入されている。補助回路基板22は、2次電池16の側方空間に配置されて電装ケース10に固定されている。
上記の各機器を本体ケース1の内部に整然と組込むために、本体ケース1の内部を区分壁23で前室1Aと後室1Bとに区分している。区分壁23は本体ケース1と一体に形成されており、底開口の近傍から本体ケース1の過半上部にわたって、前壁に沿う状態で上下方向に連続している。区分壁23の上端でノズルケース11の下端壁を支持し、区分壁23の下端と本体ケース1の底開口とが協同して内底壁24を受止めている。この内底壁24に作動ユニット2を締結して、作動ユニット2を本体ケース1と一体化するが、その詳細は後述する。
区分壁23で区分した前室1Aにタンク13を収容し、後室1Bにエアーポンプ14と、モーター15と、2次電池16を含む電装品部17を収容すると、タンク13から漏れ出したミスト原液が後室1B側へ流入するのを区分壁23で阻止できる。従って、後室1Bに収容した電気機器に漏れ出したミスト原液が付着して生じる電気系統の故障、例えば短絡や発熱などの故障を防止できる。区分壁23は、縦長筒状に形成された本体ケース1の補強構造体としても機能しており、本体ケース1の構造強度を増強することに役立っている。
電装ケース10は縦長のプラスチック成形品からなり、本体ケース1と協同してノズルケース11を支持しており、その上半部にエアーポンプ14とモーター15を収容する上収容部25が後向きに開口する状態で形成されている。また、電装ケース10の下半部には、樹脂モールド19および2次電池16を収容するモールド収容部26と電池収容部27とが、前向きに開口する状態で形成されている。回路基板18は、モールド収容部26と電池収容部27の後側に配置されて、電装ケース10に固定されており、その前側に補助回路基板22が固定されている。コネクター20は、別途設けたソケットホルダー103に固定されている。
エアーポンプ14は、ダイヤフラムポンプからなり、その上端に吐出部28と、空気をポンプ内部に導入するための吸気部29とが、前後に隣接する状態でそれぞれ上向きに突設されている。この実施例では、エアーポンプ14とモーター15とが一体化してあるローリングポンプを適用した場合を示している。ローリングポンプ(エアーポンプ14)の内部には複数個のダイヤフラムが設けられており、これらのダイヤフラムを、モーター15で回転駆動されて「皿回し運動」をする駆動体で上下操作することにより、吸気部29から吸込んだ空気を加圧して吐出部28から送出する。
図3に示すように、電装ケース10の上面前部および前面上部には、それぞれ断面T字状の連結突起30・31が形成されており、同ケース10の下端には左右一対のねじボス32が下向きに突設されている。ノズルケース11を電装ケース10の上面前部および前面上部で支持し、さらに連結突起30・31を介して電装ケース10に連結し、ビス102で両ケース10・11を締結することにより、ノズルケース11を電装ケース10に対して上下、左右、前後に位置決めすることができる。
ノズルケース11は、左右に2分割された左ケース体11Lと右ケース体11Rとで中空ケース状に構成したプラスチック成形品からなり、その内部が区画壁35で前後に区分されている。ノズルケース11の後部下面には、電装ケース10の上面前部および前面上部で支持される段部36が直交状に形成され、段部36の横壁および縦壁に先の連結突起30・31に係合する切欠部37と連結凹部38が形成されている。ノズルケース11の前壁には、ミスト口3に対応してミスト窓39が開口され、下端壁にはタンク13を連結するためのタンク開口40が開口されている。
ノズルケース11の上面を覆う上壁41は、左ケース体11Lと一体に形成されて、その中央に長円状のスイッチ窓42が開口されている。区画壁35の接合部には、後述する給気管66を挟持固定して同管66の移動を規制する保持穴43が形成され、その下縁に沿って給気管66の中途部を支持する管支持壁44が部分円弧状(湾曲状)に形成されている。また、段部36の横壁の接合部には、吐出部28に連結された給気管66の周面を挟持して、同管66の移動を規制する保持穴45が形成されている。保持穴43の中心の高さ位置は、後述する継手部58の中心の高さ位置と一致させてある。管支持壁44は左ケース体11L側の区画壁35と一体に形成されている。
図4に示すように、区画壁35より前側の区画には、ミストノズル12と、電極ユニット21と、タンク13用の連結具47が組付けられており、後側の区画にはスイッチ基板が組付けられ、その上面にモーター15への通電状態をオン・オフするスイッチ48が実装されている。ミストノズル12の左右側面にはL字状の装着突起49が突設されており(図3参照)、この装着突起49を左右のケース体11L・11Rの内側面に設けた装着枠50に係合することにより、ミストノズル12はノズルケース11と一体化されている。電極ユニット21および連結具47の左右側面にも、同様の四角形状の装着突起51・52が突設されており、これらの突起51・52を左右のケース体11L・11Rの内側面に設けた装着枠53・54に係合することにより、電極ユニット21および連結具47はノズルケース11と一体化されている。ノズルケース11に固定した状態における電極ユニット21の中心軸は、ミストノズル12の水平の噴霧中心軸に対して下り傾斜されている。
ミストノズル12は、光透過性を備えた透明なプラスチック材を素材とする射出成形品からなり、その上部前面にミストを噴出するノズル口57が開口され、上部後面と下面前部とのそれぞれに筒状の継手部58・59が突設されている。ノズル口57は、ミスト口3を介して本体ケース1の外面に臨ませてある。図4に示すように、上部後面の継手部58には給気口60が開口され、この給気口60に連続してノズル口57へ向かって先すぼまり状の空気通路61が形成されている。同様に、下面前部の継手部59には、給液口62が開口され、この給液口62に連続してノズル口57へ向かって上すぼまり状の液通路63が形成されている。
前者継手部58とエアーポンプ14の吐出部28とが、横臥J字状の給気管66を介して接続され、後者継手部59と連結具47の出口部93とが、クランク状に屈曲する給液管68を介して接続されている。給気管66および給液管68は、それぞれ軟質で屈曲自在なシリコーンゴム製のチューブやプラスチック製のチューブで形成されている。給気管66の屈曲形状を一定にするために、給気管66と交差する区画壁35に設けた保持穴43で、給気管66の中途部を遊動不能に挟持固定し、さらに、給気管66の下面側を湾曲する管支持壁44で支持している。また、段部36の横壁の接合部に設けた保持穴45で、吐出部28に連結された給気管66の周面を挟持固定している。このように、給気管66の中途部を保持穴43と管支持壁44で湾曲案内し、給気管66の下部を保持穴45で保持すると、図4に示すように区画壁35と吐出部28との間の管路に形成される屈曲部69の形状を常に一定にすることができる。
上記の保持穴43は、左右のケース体11L・11Rの区画壁35に形成した半円状の凹みを接合して形成されており、これら一対の凹みで給気管66が挟持され支持されている。同様に保持穴45は、左右のケース体11L・11Rの段部36の横壁に形成した半円状の凹みを接合して形成されており、これら一対の凹みで給気管66が挟持され支持されている。なお、保持穴43・45は、いずれか一方のケース体11L(または11R)に半長円状の凹みを形成し、他方のケース体11R(または11L)には凹みを形成せずに、給気管66を挟持する形態であってもよく、要は、給気管66が保持穴43・45で支持される構造であればよい。例えば、穴の凹み形状をV字状や台形状、あるいは多角形状に形成してもよく、さらに、区画壁35および段部36の横壁のそれぞれに半割り状のボスを一体に設けて、その対向面に形成した保持穴43・45で給気管66を保持固定することができる。
給液管68はクランク状に折曲がる状態で、ミストノズル12の継手部59と連結具47の出口部93とを接続している。詳しくは、ミストノズル12の継手部59と給液管68との接続部中心を、連結具47の出口部93と給液管68との接続部中心よりも前方に位置させて、給液管68の中途部の2個所に屈曲通路部70を形成している。このように、給液管68の中途部に屈曲通路部70を形成すると、屈曲通路部70の内部を流動するミスト原液の流動方向を強制的に変向させて流動抵抗を与えることができる。また、流動抵抗が増加することにより、負圧力によって液通路63の上端から吸出されるミスト原液の流動速度を低下させて、ミストを噴霧する初期状態において、ミストがノズル口57から斜め上向きに噴霧されるのを防止することができる。さらに、給液管68がクランク状に屈曲する分だけミストノズル12のノズル口57を本体ケース1の前側に位置させることができる。
ミストノズル12のノズル口57の周囲とミスト口3との間の隙間を塞ぐために、ミスト口3の内面に凹面鏡状(ドーム状)のミスト口カバー72を嵌込み、その中央にミスト放出口73を開口している(図5参照)。また、ミスト放出口73の上側にイオン種放出窓74を開口し、電極ユニット21で生成されたイオン種を、イオン種放出窓74を介してノズル口57から噴霧されたミスト流へ向かって放出できるようにしている。ミスト口カバー72の内面には、左右一対の係合腕75が突設されており、これらの係合腕75をノズルケース11に設けた一対の係合リブ76に係合することにより、ミスト口カバー72をノズルケース11に固定している(図10参照)。電極ユニット21の前端と正対するイオン種放出窓74の内面側には、指先が電極ユニット21に触れるのを防ぐガード枠77が設けられている。ミストノズル12の後面下部にはLED(光源)78が密着配置されており、このLED78をミスト噴出時に点灯することにより、LED78から照射されてミストノズル12で散乱された柔らかな光でミスト流(ミスト噴流)を照らすことができる。
図4において電極ユニット21は、筒状に形成されるプラスチック製のホルダー80と、ホルダー80の前面中央に固定される針状の中央電極81と、中央電極81の周囲を囲むリング状の対向電極82と、両電極81・82の間の空間を絶縁する誘電筒83などで構成される。中央電極81は高圧リードを介してダイオード132に接続され、対向電極82は接触電極を兼ねるスイッチノブ4とともにグランドリード133(図11参照)に接続されている。グランドリード133は、中央電極(放電電極)81、および対向電極82に高圧のパルス電流を供給する電流調整用の回路のグランドライン134に接続されている。
タンク13は、透明ないし半透明のプラスチック材で形成した上下に長いびん状のタンク本体85と、タンク本体85の上端に設けた接続部86と、接続部86の内面下部に固定される直管状の吸上パイプ87などで構成されている。図9に示すように、タンク本体85の断面はトンネル断面状に形成されている。接続部86の上面の中央には、連結具47に差込み連結される筒ボス88が上向きに突設されており、その周面にOリング89が装着されている(図2参照)。
先に説明したように、本体ケース1の断面は、女性の手に馴染みやすく、しかも片手で掴みやすくするために、図9および図10に示すように前後に長いだ円形状に形成されている。さらに、本体ケース1を縦長筒状に形成してシンプルな外観形状とされている。こうした本体ケース1の外観上の印象を損なうことなく、タンク13の大容量化を実現するために、タンク13の上下長は大きく設定されている。前室1Aに収容した状態のタンク7の上端は、エアーポンプ14の上下中途部に達している。
上記のように、タンク13を縦長構造にして大容量化を実現することにより、大量のミストが消費されるヘビーユース時にも、余裕を持ってミストを連続して供給することができる。また、縦長のタンク13内にミスト原液を収容するので、ミスト器を大きく動かしながらミストを噴霧する場合でも、ミスト原液の液位が大きく変動し、あるいはミスト原液が前後左右に揺れ動くのを抑止できる。従って、ミストを安定した状態で連続して噴霧できる。
タンク13は消耗品であって、予めタンク本体85にミスト原液を充填した状態で販売され、ミスト原液を消費するごとに新規なタンク13と交換して使用する。ミスト原液としては、顔肌に潤いを与える化粧水や水、あるいは、髪に潤いを与える髪用の美容用液などが用意される。ミスト原液の残量レベルを確認するために、本体ケース1の前壁の下部に透明なレベル確認窓90が設けられている。ユーザーは、レベル確認窓90を介してタンク本体85内の残量レベルを視認することにより、新規なタンク13を用意すべき時期が近付いたことを確認できる。
タンク13の接続部86をミストノズル12に連通するために、前室1Aの上端、具体的にはノズルケース11の下端壁に連結具47が固定されている。連結具47の下面側には、タンク13の接続部86を外嵌装着するための筒壁92が下向きに突設され、連結具47の上面側には給液管68を接続するための出口部93が上向きに突設されている。図4に示すように、タンク13の接続部86を連結具47の筒壁92に差込み装着した状態においては、筒ボス88が連結具47に設けた連結穴(図示していない)に嵌合して、両者の隙間がOリング89でシールされる。連結穴の下部は上すぼまりテーパー状に形成されている。なお、図示していないが、接続部86の内部には、タンク本体85の内部が負圧状態になるのを防ぐ負圧防止弁が設けられている。
図4においてスイッチノブ4は、ノズルケース11の上壁41の上面側に配置されて本体ケース1の上端の開口を塞いでおり、その前部下面に設けたピン98を中心にして先の上壁41で上下揺動可能に支持されている。スイッチノブ4はプラスチック成形品の表面に金属めっきを施して形成されており、その上面には指掛け凹部99が形成されている。また、スイッチノブ4の下面にはシールゴム(シール体)100を介してスイッチ48をオン・オフする操作ピン101が設けられている。上記のように、ノズルケース11の上壁41がスイッチノブ4を支持するためのスイッチベースを兼ねるようにすると、本体ケース1の側にピン98を支持するためのブラケットを設ける必要がないので、縦長筒状に構成された本体ケース1の成形を容易に行うことができる。スイッチノブ4は、グランドリード133に接続されて対向電極82と同じ電位になっており、スイッチノブ4に触れたユーザーも対向電極82と同じ電位になる。図示していないが、グランドライン134とスイッチノブ4との間には抵抗値が大きな抵抗が介在されている。スイッチノブ4は、アルミニウム、銅、鋼板などの金属を素材にして形成してもよい。
シールゴム100は、先の上壁41に形成したスイッチ窓42を上面側から塞いで、水滴あるいは塵埃などがノズルケース11の内部に侵入するのを防止している。不使用状態におけるスイッチノブ4は、本体ケース1の上開口面に沿って開口前部から開口後部へ向かって下り傾斜しており、この状態のスイッチノブ4を、図示していない復帰ばねとシールゴム100の弾性に抗して押下げるとスイッチ48がオンされる。なお、スイッチ48は自己復帰型のスイッチであるので、スイッチノブ4を人指し指で押下げている間のみモーター15が起動され、人指し指による押下げ動作を解除するとモーター15は停止する。図4に示すように、ノズルケース11の上壁41の周囲には、本体ケース1の内面壁に密着するOリング97が装着されている。
各機器が組付けられた電装ケース10に、タンク13を除く各機器が組付けられたノズルケース11を組付けることにより、電装ケース10とノズルケース11を一体化して作動ユニット2を構成することができる。詳しくは、各機器が組付けられた電装ケース10の前上隅に、各機器が組付けられたノズルケース11の段部36を接合する。さらに、左右のケース体11L・11Rに設けた切欠部37と連結凹部38を、電装ケース10側の連結突起30・31に係合することにより、両ケース10・11を位置決めする。この状態で左右のケース体11L・11Rをビス(締結具)102(図4参照)で締結することにより、電装ケース10とノズルケース11を一体化して作動ユニット2とする。
得られた作動ユニット2は、図8に示すように、後室1B内に電装ケース10を差込装着し、ノズルケース11を前室1Aの上部に嵌込んで、その下端を区分壁23の上端に接当する。この状態でソケットホルダー103を水平姿勢にして電装ケース10の下端にあてがい、本体ケース1の後面下部に開口した円形のコネクター開口に表示リング104を嵌込む。さらに、内底壁24を本体ケース1の底開口に装着した状態で、ビス105を電装ケース10のねじボス32にねじ込むことにより、作動ユニット2を本体ケース1に固定できる。表示リング104は、透明なプラスチック材でリング状に形成されており、その上面側に回路基板18に実装したLED106の照射光を導入する導光部107が設けられている。この状態で、ミスト口カバー72をミスト口3の内部に差込み装填してノズルケース11に固定する。
表示リング104およびLED106は、2次電池16が充電中であることを表示し、さらに、2次電池16の電力残量がどの程度であるかを表示するために設けられている。LED106は3色LEDからなり、LED106の発光色を変更して、あるいはLED106を点滅させるなどにより、充電状態であることを表示し、あるいは電力残量を表示することができる。図6に示すように表示リング104の中央には、コネクター20の端部を露出させるためのコネクター窓108が開口されており、この窓108を介して充電用のプラグをコネクター20に着脱する。
上記の組立状態におけるエアーポンプ14およびモーター15は、後壁を間にしてグリップ部5に臨んでいる。これは、グリップ部5にユーザーの手の平をあてがって本体ケース1を握り持った状態において、重量の大きなエアーポンプ14とモーター15を手の平の近傍に位置させて、持ち重りしない状態で本体ケース1を掴み保持できるようにするためである。また、持ち重りしない状態で本体ケース1を掴み保持することにより、例えばミスト器を頭の周りに大きく動かしながら噴霧するような場合であっても、ミストを軽快に噴霧できるからである。さらに、ユーザーの手の平を内凹み状のグリップ部5で受止めることにより、手が上下あるいは周方向へずれ動くのを確実に防止できる。
本体ケース1の底開口を開閉して、タンク13を前室1Aに出入れ可能とするために底蓋111が設けられている。図2、図6および図7に示すように底蓋111は、無端環状の蓋周縁壁112を備えた上向きに開口するだ円形の皿状に形成されており、その中央下面側に操作ノブ113を収容するための操作凹部114が上向きに膨出する状態で形成されている。蓋周縁壁112と操作凹部114の膨出壁との間の底壁は、タンク13から漏洩したミスト原液を受止める液受凹部115として機能する。液受凹部115は蓋周縁壁112に沿って周回状に形成されており、タンク本体85の底面と対向する液受凹部115には、タンク13を連結具47に向かって押付けるゴム製の押圧ピース116が固定されている。操作凹部114を囲む底蓋111の下面は平坦に形成されているため、不使用状態におけるミスト器は本体ケース1を起立する状態で載置収納することができる。
底蓋111と内底壁24との間には、本体ケース1に装着した底蓋111をロック保持するロック機構が設けられている。ロック機構は、操作凹部114に収容される操作ノブ113と、操作ノブ113と一体に設けられる左右一対の係合腕119と、内底壁24の下面側に設けた左右一対の蓋係合枠120と、操作凹部114の上壁上面に配置されるスライド板121などで構成されている。一対の係合腕119は、底蓋111に形成したスライド溝を介して底蓋111の上方に突出されている。操作ノブ113とスライド板121は、操作ノブ113に設けたピン122で同行移動可能に一体化されている。ロック状態(図6に示す状態)における係合腕119は蓋係合枠120と係合して、底蓋111が本体ケース1から分離するのを防止している。また、操作ノブ113を図6において後側へスライド操作すると、係合腕119と蓋係合枠120との係合状態が解除されるので、底蓋111を本体ケース1から分離することができる。
蓋係合枠120は内底壁24を射出成形する際に一体に形成するが、その際に蓋係合枠120の形成位置の上側に、左右一対の金型の抜跡穴123が形成されてしまう(図7参照)。この抜跡穴123から電装品部17へ液滴等が浸入するのを防ぐために、ソケットホルダー103の下面に設けた左右一対の栓状突起124で抜跡穴123を塞いでいる。また、栓状突起124を抜跡穴123と係合することにより、ソケットホルダー103が前後にがたつくのを防止できるので、コネクター20に対する充電用プラグの着脱を的確に行うことができる。
図11にミスト器の回路構成の概略を示す。ミスト器の使用時にスイッチノブ4をオン操作すると、回路基板18に実装された制御回路を介してモーター15が回転駆動され、同時にイオン発生構造を構成する電流調整用の回路が作動して、放電電極となる中央電極81にコロナ放電用の高圧電流が供給される。電流調整用の前段回路は、2次電池16の電流を交流に変換する発振回路127と、発振回路127で生成されたパルス電流を昇圧する第1の昇圧回路128と、昇圧回路128で100Vにまで昇圧されたパルス電流を整流する整流回路129と、整流回路129で整流された直流電流を再度パルス電流に変換するパルス発生回路130とで構成する。
電流調整用の後段回路は、パルス発生回路130から出力されるパルス電流を4kVにまで昇圧する第2の昇圧回路131と、ミストの帯電極性を設定するダイオード132とで構成する。先に説明したように、電流調整用の各回路のうち、発振回路127からパルス発生回路130までが補助回路基板22に実装され、昇圧回路131とダイオード132とが樹脂モールド19内に封入されている。
電流調整用の各回路で調整された高圧電流が、中央電極81と対向電極82との間に供給されると、コロナ放電により中央電極81から電子が放出されて空気中の酸素分子と結合し、負電荷あるいは正電荷のイオン種となる。生成されたイオン種は、ノズル口57から噴出される高速の空気流に引き込まれて、空気流とともに噴出されたミストに接触してミストをマイナス電位あるいはプラス電位に帯電させる。ダイオード132が中央電極81へ向かって順方向に接続してある場合には、ミストはプラスに帯電され、ダイオード132が中央電極81へ向かって逆方向に接続してある場合には、ミストはマイナスに帯電される。
タンク13は底蓋111を取外した状態で、本体ケース1の底開口の側から前室1Aに出入れする。そのため、タンク13を前室1Aに差込み装填するとき、細長いタンク13の接続部86の中心と、連結具47の筒壁92の中心とを正しく一致させるのが難しくなる。このような煩わしさを解消するために、図4に示すように、区分壁23の上部に位置決め部135と、位置決めガイド136とが設けられている。
上記のように、前室1Aの上部に位置決め部135と位置決めガイド136を形成すると、タンク13を前室1Aに差込み終える直前に、タンク本体85の平坦な肩部を位置決めガイド136で位置決め部135へ向かって移動案内できる。従って、タンク13を単に前室1Aに差込み操作するだけで、接続部86の中心と連結具47の筒壁92の中心とを一致させて、連結具47に対するタンク13の連結を容易に行うことができる。なお、タンク13を連結具47に連結する場合には、湾曲する前壁がトンネル断面状のタンク13の湾曲壁を大まかに位置決めした状態で案内し、さらにタンク13の平坦な肩部を位置決め部135が受止めて、タンク13の周方向の姿勢を矯正するので、常に的確に接続部86の中心と筒壁92の中心とを一致させることができる。
ミスト器を使用する場合には、図12に示すように、グリップ部5にユーザーの手の平をあてがい、本体ケース1の左右壁を親指およびその付け根と、中指、薬指、小指の3指とで挟み保持し、さらに、人指し指でスイッチノブ4を押下げてモーター15を起動させる。モーター15の起動と同時にエアーポンプ14が作動して、加圧された空気(加圧気体)が給気管66を介してミストノズル12へ送給され、空気通路61によって絞られた流速の速い空気がノズル口57から吹出される。そのため、液通路63の空気通路61との交差部分には大きな負圧が作用し、この負圧による吸引作用でタンク13内のミスト原液が、吸上パイプ87と、連結具47と給液管68を介して吸上げられる。さらに、吸上げられたミスト原液は、液通路63の上端においてミスト化されて加圧空気(加圧気体)とともにノズル口57から吹出される。ミスト原液が例えば化粧水である場合には、ノズル口57から吹出されたミストを顔肌に吹付ける。
モーター9が起動するのと同時にイオン発生構造も起動され、各回路127〜132で調整された高圧(4kV)のパルス電流が高圧リードを介して中央電極81に供給される。これに伴い、中央電極81と対向電極82との間でコロナ放電が生じ、中央電極81から放出された電子が空気中の酸素分子と結合してイオン種となり、このイオン種がノズル口57から噴出される高速の空気流に引き込まれてミストに接触し、ミストをマイナス電位あるいはプラス電位に帯電させる。この状態におけるユーザーの顔肌(人体)は、スイッチノブ4に接触する指先を介して対向電極82と同じグランド電位になっているので、中央電極81から顔肌へ向かって電気力線が形成され、イオン種で帯電されたミストを顔肌へ向かって誘引させることができる。
上記のように、中央電極81と対向電極82との間に高電圧を印加してイオン種を生成し、生成されたイオン種をミストノズル12から噴出されるミストに接触させると、マイナス電位あるいはプラス電位に帯電されたミストを的確に生成できる。また、指先がスイッチノブ4に接触している状態においては、人体の電位を対向電極82の電位と同じ電位にすることができるので、帯電されたミストを安定した状態で人体に引寄せ吸着させることができる。因みに、人体は通常プラスに帯電しているので、マイナスに帯電したミストを生成することにより、ミストを人体に引寄せて吸着させることができる。
ミスト器を使用する状態では、スイッチノブ4がオン操作されるのと同時に、ミストノズル12の後に配置したLED78が発光する。LED78から照射された光は、透明のミストノズル12を通過する間に繰り返し反射され散乱された状態で、ノズル口57の周囲壁からミスト流へ向かって放出される。そのため、散乱された柔らかな光でミスト流を照らして、LED78が発光する色に染めることができるので、幻想的な雰囲気を演出することができる。LED78はパイロットランプを兼ねており、スイッチノブ4がオン・オフ操作されるのに対応して点灯し、あるいは消灯する。このように、光透過性のプラスチック材で形成したミストノズル12は、LED78から照射された表示光をミスト噴流の側へ向かって導光する導光体を兼ねている。
上記のミスト器において、イオン発生構造で生成したイオン種を効果的にミスト噴流に取込むために、ミストノズル12、電極ユニット21、およびミスト口カバー72の構造ないし配置形態等は図13および図14に示すように構成されている。
先に説明したように、ミストノズル12のノズル口57の周囲とミスト口3との間の隙間は、ミスト口3の内面に嵌込んだミスト口カバー72で塞がれており、図13に示すように、ドーム状に凹むミスト口カバー72によって噴霧凹部151が形成されている。噴霧凹部151を形成するミスト口カバー72の湾曲壁(凹部壁)は、単一の球面半径で部分球面状に形成されている。ミスト口カバー72の湾曲壁の中央には、ノズル口57を噴霧凹部151に露出させる長円形のミスト放出口73が開口されている。また、ミスト放出口73の周囲の上側の湾曲壁には一文字状のリブを備えたイオン種放出窓74を開口し、電極ユニット21で生成されたイオン種を、イオン種放出窓74を介してノズル口57から噴出されたミスト噴流へ向かって放出できるようにしている。
詳しくは、ミストノズル12のノズル口57とイオン種放出窓74とは、それぞれの噴霧中心軸Pとイオン種放出軸Qとが互いに交差する状態で、しかも両者57・74が上下に近接する状態で配置されている。この実施例では、水平の噴霧中心軸Pに対して、イオン種放出軸Qを下り傾斜させて、噴霧中心軸Pとイオン種放出軸Qが挟む角度を15度として、両軸P・Qをノズル口57の前方の約23mm付近で交差させた。このように、ミストノズル12のノズル口57とイオン種放出窓74とは、それぞれの噴霧中心軸Pとイオン種放出軸Qとが互いに交差する状態で近接位置に配置されている。なお、イオン種放出窓74の直径はガード枠77の内直径と同じである。
イオン種をミスト噴流に確実に引きずりこんで、ミストを効果的に帯電させるために、ノズル口57の開口径dは、イオン種放出窓74の開口径Dより充分に小さく設定されている。この実施例では、ノズル口57の開口径dを0.5mmとするとき、イオン種放出窓74の開口径Dを7.1mmとして、後者の開口径Dが前者開口径dの約14倍となるようにした。このように、ノズル口57の開口径dがイオン種放出窓74の開口径Dに比べて充分に小さいと、ミストの噴出速度を高速化してミスト噴流の到達力を大きくできる。また、ノズル口57におけるミストの噴出速度が高速化される分だけ、高速度のミスト噴流を形成して、イオン種放出窓74から放出されたイオン種を周りの空気とともにミスト噴流に引きずりこむことができる。
高速度のミスト噴流が形成されると、ミスト噴流の周囲の空気、とくにノズル口57の近傍に位置する、噴霧凹部151の中央付近の空気がミスト噴流に引きずりこまれる。これに伴い、噴霧凹部151の中央付近の気圧が低下するため、ドーム状のミスト口カバー72の周縁から噴霧凹部151の中央付近へ向かって空気が流れる。つまり、ミスト口カバー72の湾曲面に沿って、噴霧凹部151の中央付近の気圧の低下を補う空気の流れが形成され、同様に、噴霧凹部151の中央付近に臨むイオン種放出窓74においても、気圧の低下を補う空気の流れが形成される。そのため、誘電筒83の周辺部分で生成されたイオン種は、先の空気の流れに乗って噴霧凹部151の中央付近へ移動し、やがて周りの空気とともにミスト噴流に引きずりこまれる。
電極ユニット21におけるイオン種の生成を的確に行うために、電極ユニット21をノズル口57の開口位置より後方で、かつミストノズル12の液通路63の中心より後方に位置させて、遊離ミストによって電極ユニット21の周辺部の相対湿度が高くなるのを防止している。ノズル口57からミストを噴霧するときには、先拡がりテーパー状のミスト噴流が形成され、ミスト噴流の周囲の空間にミスト噴流から離脱した遊離ミストが漂う。そのため、例えば電極ユニット21が噴霧凹部151に露出する状態で配置してあるような場合には、遊離ミストが電極ユニット21の放電部の周囲に浮遊して、放電部の周囲の相対湿度が上昇し、電極ユニット21の放電作用が抑制されるおそれがある。そのため、電極ユニット21をノズル口57の開口位置より後方で、かつミストノズル12の液通路63の中心より後方に位置させて、中央電極81および対向電極82の周辺部分に遊離ミストが入込むのを防止し、相対湿度が上昇するのを阻止している。
作動ユニット2を本体ケース1に組付け、さらに、ミスト口カバー72をノズルケース11に組付けてミスト口3を塞いだ状態においては、ミストノズル12の前部周面はミスト放出口73で受止められて、ノズル口57をミスト口カバー72に対して位置決めしている。また、この状態のノズル口57の周囲の前端壁152は、ミスト口カバー72の湾曲面に沿って噴霧凹部151に露出されており、図14に示すように、前端壁152がミスト口カバー72の周縁72aより後方で、ミスト口カバー72の湾曲面の中央よりも、寸法Rの分だけ僅かに突出されている。前端壁152の上部には円形の液受凹部153が凹み形成されており、その中央にノズル口57が開口されている。
上記のように、ミストノズル12の前部周面をミスト放出口73で受止めて、ノズル口57をミスト口カバー72に対して全方位方向へ位置決めすると、ノズル口57においてミストを常に適正に噴出させ、ノズル口57から噴出されたミストの殆どでミスト噴流を形成できる。なお、ノズル口57がミスト口カバー72に対して位置ずれしている場合には、ノズル口57から噴出されたミストの一部がミスト口カバー72に付着するため、その分だけミストの有効量が減少する。必要があれば、ミストノズル12の前端壁152は、ミスト口カバー72の周縁72aより後方で、ミスト口カバー72の湾曲面と面一になる状態で湾曲させてあってもよい。
ノズル口57の周囲の前端壁152を、ミスト口カバー72の湾曲面の中央よりも寸法Rの分だけ僅かに突出させると、ノズル口57から噴出されるミストが、ミスト口カバー72に付着するのを確実に防止して、ミストの有効量が減少するのを防止できる。また、前端壁152がミスト口カバー72の周縁72aより後方に位置されているため、ミスト器が床面に落下して衝撃を受けるような場合であっても、落下衝撃がミストノズル12に直接作用することはなく、従って、ミストノズル12が落下衝撃を受けて損傷するのを確実に防止できる。同様に、ミスト口3にはめ込まれたミスト口カバー72の周縁72aは、図13に示すように、ミスト口3の開口縁よりも僅かに後ろ側に位置しているため、落下衝撃がミスト口カバー72に直接作用することはなく、ミスト口カバー72の損傷を防止できる。
ミスト器を使用するのに伴って、ノズル口57から噴出される直前のミストの一部が、ノズル口57と液通路63の上端との間の通路壁154(図14参照)に付着し、通路壁154から受ける摩擦抵抗によってノズル口57の開口縁で液化して滴り落ちることがある。しかし、ノズル口57の周囲に、同口57より大径の液受凹部153を形成しておくことにより、通路壁154から受ける摩擦抵抗を減少させて、ミストの一部が液化するのを可及的に減少できる。
以上のように構成したミスト器は、ミスト原液をミスト化して噴出するミストノズル12を含むミスト生成手段と、イオン種をミスト噴流に向かって放出するイオン種放出窓74を含むイオン種生成手段とを備えている。ミストノズル12のノズル口57とイオン種放出窓74とは、それぞれの噴霧中心軸Pとイオン種放出軸Qとが互いに交差する状態で近接した位置に配置されている。ミストノズル12はベンチュリー方式のノズルで構成されており、加圧気体の流速がミストノズル12の内部で増加するときの吸引作用でミスト原液を吸引しミスト化する。
また、上記構成のミスト器は、ノズル口57から噴出された高速度のミスト噴流の周辺部における空気引込み作用で、イオン種放出窓74から放出されたイオン種を空気とともにミスト噴流に引込むことができるように、ノズル口57とイオン種放出窓74とが近接配置されている。
上記のように、ミストノズル12をベンチュリー方式のノズルで構成するミスト器によれば、スイッチノブ4をオン操作してミスト器の試用を開始するのと同時に、ミストノズル12のノズル口57からミストを噴出して、高速度のミスト噴流を形成できる。同時に、イオン種生成手段で生成したイオン種をイオン種放出窓74から放出できるので、水をヒーターで加熱してミスト化する噴霧器に比べて、噴霧器の即応性を向上できる。また、ベンチュリー方式のミストノズル12で高速度のミスト噴流を形成して、イオン種放出窓74から放出されたイオン種を、ミスト噴流の周囲の空気とともにミスト噴流に確実に引きずりこむことができるので、ミストを効果的に帯電させることができる美容効果に優れた噴霧器を提供できる。
図15はイオン種放出窓74の変形例を示している。図15(a)は、ガード枠77の内直径がイオン種放出窓74の直径より小さい場合を示しており、図15(b)は、イオン種放出窓74の直径がガード枠77の内直径より小さい場合を示している。このように、イオン種放出窓74はイオン種が最終的に噴霧凹部151に放出される開口部分を意味しており、その直径寸法がガード枠77の内直径に対して大小に異なり、あるいは同じであるかどうかは関係ない。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下に説明する変形例においても同じとする。
図16はノズル口57の変形例を示している。図16(a)は、ミストノズル12がミスト口カバー72の後面に配置されて、ノズル口57がミスト口カバー72の中央に開口したミスト放出口73を介して噴霧凹部151に臨ませた場合を示している。ミスト放出口73は前方へ向かって拡がるテーパー穴状に形成されており、窓後端の直径はノズル口57の開口径dより大きく設定されている。
同様に図16(b)には、ミストノズル12がミスト口カバー72の後面に配置されて、ノズル口57をミスト口カバー72の中央に開口したミスト放出口73を介して噴霧凹部151に臨ませると共に、ミスト放出口73の開口径が、ノズル口57の開口径より小さい場合を示している。この場合には、液通路63の上端で霧化されたミストは、加圧空気とともに断面積が小さなミスト放出口73で絞られて噴霧凹部151に噴出される。そのため、図16(a)においてノズル口57から噴出されるミスト噴流の速度に比べて、図16(b)ミスト放出口73から噴出されるミスト噴流の速度は、より速い速度になる。従って、ミスト放出口73の開口径が、ミストノズル12のノズル口57の直径より小さい場合には、ミスト放出口73がノズル口57の機能を果たすことになる。従って、図16(b)におけるノズル口57の開口径dは、ミスト放出口73の開口径となる。
図17はイオン生成手段の変形例を示しており、そこでは、ミスト口カバー72の中央に位置するノズル口57を間に挟む左右の対称位置にイオン種放出窓74を開口して、各イオン種放出窓74の斜め後方に配置した左右一対の電極ユニット21でイオン種を生成するようにした。このように、必要があれば複数個の電極ユニット21を設けて、より大量のイオン種を生成することができる。その場合の電極ユニット21は、ノズル口57の周囲の任意の位置に配置されていればよい。
図18はノズル口57の変形例を示している。そこでは、ミストノズル12の液通路63の上端を噴霧凹部151で開口させ、この開口部分の近傍の後側で、ミストノズル12の空気通路61の前端を開口させるようにした。また、空気通路61は先すぼまり形状とはせずに、直径が均一なストレートの通路で形成した。このミストノズル12は、いわゆる霧吹き器の原理に従ってミスト原液を吸上げ、ミスト化するものである。この実施例から理解できるように、ミストノズル12は、加圧気体がミストノズル12の内部で増速するものである必要はなく、また、空気通路61と液通路63とが直接に交差する構造である必要もない。
図19および図20は、ミストノズル12のミスト口カバー72に対する配置構造の変形例を示す。この実施例におけるミストノズル12および電極ユニット21の構造は、図1から図5で説明したミストノズル12および電極ユニット21と同じであるが、ミストノズル12の配置構造を変更した点と、ミスト口カバー72の構造を変更した点とが異なっている。詳しくは、ミストノズル12におけるノズル口57の周囲の前端壁152を、ミスト口カバー72の周縁72aより後方で、ミスト口カバー72の湾曲面よりも後方へ寸法Rの分だけ凹んだ位置に配置するようにした(図20参照)。この状態の前端壁152は、ミスト放出口73の窓内面の前後中途部に位置していて、ミスト放出口73を介して噴霧凹部151に臨んでいる。このように、ミスト口カバー72の湾曲面よりも後方へ寸法Rの分だけ凹んだ位置に前端壁152を配置すると、ノズル口57の前開口縁の近傍で生じる噴霧騒音が、噴霧凹部151に直接に放出されて拡散するのを防止できる。また、ノズル口57の前開口縁の周囲をミスト放出口73の内面壁で覆って、噴霧騒音がノズル口57の周囲に拡散しようとするのを抑止できる。従って、図14に示すように前端壁152が、ミスト口カバー72の湾曲面から前方へ突出してある場合に比べて、噴霧騒音の音圧レベルを押えて、使用時における噴霧器の静粛性を向上できる。
この実施例においては、噴霧凹部151を形成するミスト口カバー72の湾曲壁(凹部壁)を、湾曲半径が異なる複数の湾曲面で形成して、噴霧騒音の音圧レベルをさらに減少できるようにした。詳しくは、図19に示すように、イオン種放出口74を含む湾曲壁の上半側の湾曲半径をr1とし、ミスト放出口73を含む湾曲壁の下半側の湾曲半径をr2とするとき、式(r1≠r2)を満足するように湾曲壁を形成した。この実施例においては(r1<r2)とした。このように、湾曲壁の上半側と下半側の湾曲半径を異ならせると、上下の湾曲壁の球面半径の中心位置を異ならせることができる。従って、ノズル口57の前開口縁の近傍で生じた噴霧騒音が上下の湾曲壁で反射されたとしても、反射騒音は個々の湾曲壁の球面半径の中心位置に分散した状態で集中されるので、噴霧騒音がミスト口カバー72の前方1個所に集中して、音圧レベルが高くなるのを防止できる。なお、上半側の湾曲半径r1と下半側の湾曲半径r2とは(r1>r2)であってもよく、要は上下の湾曲壁の球面半径の中心位置が異なっていればよい。また、ミスト口カバー72の湾曲壁は、湾曲半径が異なる3以上の湾曲面で形成してあってもよい。
因みに、図1から図14で説明した噴霧器のミスト口カバー72の湾曲壁は、単一の球面半径で部分球面状に形成してある。そのため、ノズル口57の前開口縁の近傍で生じた噴霧騒音は、ミスト口カバー72の湾曲壁で反射されて、湾曲壁の球面半径の中心位置に集中するのを避けられない。その結果、噴霧騒音がミスト口カバー72の前方1個所に集中して、音圧レベルが高くなってしまう。
図21は、ミスト生成手段とイオン種生成手段の作動タイミングを示すタイミングチャートであり、そこではスイッチノブ4でスイッチ48をオン操作すると、ミスト生成手段とイオン種生成手段とが同時に起動される。また、スイッチノブ4の押圧力を開放してスイッチ48をオフ操作すると、まずモーター15およびエアーポンプ14(ミスト生成手段)の作動が停止される。そして、ミスト生成手段の作動停止から一定時間(5秒)が経過した時点で、電極ユニット21(イオン種生成手段)の作動を停止する。こうした動作を行うための制御フローが制御回路に組込んである。
このように、電極ユニット21の作動停止のタイミングを、モーター15およびエアーポンプ14の停止から5秒後に設定すると、ミストの供給が停止されたのちにも、引続き電極ユニット21によってイオン風を供給できる。そのため、ミスト口3の近傍で遊離しているミストにイオン種を付着させて、帯電されたミストを人体側へ引寄せて吸着させることができる。その結果、ミスト口3の近傍の遊離ミストが、ミスト口カバー72やイオン放出窓74などに付着するのを防止でき、モーター15およびエアーポンプ14が停止されたのち、再び起動された状態において、イオン放出窓74や電極ユニット21の周囲の相対湿度が上昇するのを確実に防止できる。従って、モーター15が停止した後、再度起動された状態において、電極ユニット21の放電作用が抑制されるのを確実に防止できる。なお、ミスト生成手段の作動停止から一定時間(5秒)が経過するまでの間に、スイッチ48がオン操作された場合には、ミスト生成手段とイオン種生成手段とが同時に起動されて、ミストの生成とイオン種の生成が開始される。
上記の実施例では、ミスト口カバー72をドーム状あるいは凹面鏡状に形成したが、その必要はなく、ミスト口カバー72は円筒状、テーパー筒状、ベルマウス状などに形成することができる。また、イオン種放出窓74は、ミスト口カバー72の凹部中央に配置したノズル口57の周囲の任意の位置に開口することができる。さらに、噴霧中心軸Pとイオン種放出軸Qとは、水平のイオン種放出軸Qに対して噴霧中心軸Pを傾斜させて、両軸P・Qを交差させることができ、あるいは両軸P・Qのそれぞれを傾斜させて交差させることができる。なお、噴霧中心軸Pとイオン種放出軸Qとは、互いに交差していることが好ましいが、必ずしも交差している必要はなく、両軸P・Qは平行であってもよい。LED78はミストノズル12の後に配置するのが好ましいが、ミストノズル12の左右側面や底面に配置することができる。ミストノズル12とミスト口カバー72は、プラスチック材で一体に成形することができる。
本発明における噴霧器は、加圧空気(加圧気体)を供給する手段としてはエアーポンプ14以外に、缶に収容したエアゾールや、ボンベに収容した空気ボンベなどを適用できる。また、電極ユニット21の近傍に、同ユニットで生成したイオン種をイオン種放出窓74へ向かって強制的に送給する送給ファンを配置することができる。