本発明者らは、還元された酸化インジウムスズの明度が、還元された酸化インジウムスズおよびマーキング成分を含むインク配合物のマーキング特性、すなわち、マーキング性またはイメージング性にとって重要であることを見出した。マーキング特性、すなわちマーキング性は、所与のフルエンスでの一定量のインク配合物で入手可能なマーキングまたはイメージのための光学濃度とみなすことができる。マーキング成分、および粉末形態で1976CIE(L*、a*、b*)座標に準拠して50以下の明度(L*)を示す還元された酸化インジウムスズを含むインク配合物を、基材をコーティングするために使用すると、コーティングされた基材に優秀なマーキング特性がもたらされることが見出された。さらに、粉末形態で1976CIE(L*、a*、b*)座標に準拠して50を超える明度(L*)を示す還元された酸化インジウムスズをインク配合物に用いると、インク配合物に劣等なマーキング特性を与えることが示された。
基材のマーキングにおいて、インク配合物がコーティングされる基材の色は、暗色を有するマーキングとして典型的に現れるマーキングが、対照的に明確に視認可能とするために、典型的に明るい。暗い基材のために、明るい顔料が、インク配合物中に含まれていてもよい。基材は、透明でありうる。透明な基材の例としては、プラスチックフィルムおよびガラスの基材が挙げられる。さらに、基材は、低い透明度を有していてもよいし、または本質的に不透明であってもよい。低い透明度を有するか、または本質的に不透明である基材の典型的な例は、紙の基材、または包装用ラミネートなどの紙を含む基材である。マーキングは、典型的に、暗色を有するものであるから、基材の明度(L*)は、マーキングが、背景に対して対照的であり、それによって明確に視認できるために、好ましくは、高くあるべきである。黒っぽい、暗褐色がかった、または暗い灰色がかったマーキングは、着色していない紙またはクレーコート紙の基材など、対照的な白または明るい灰色の基材上で、明確に視認できる。
したがって、実施形態は、マーキング成分および還元された酸化インジウムスズ(r-ITO)を含むインク配合物に関するものであり、粉末形態のr-ITOは、1976CIE(L*、a*、b*)座標に準拠して50以下の明度(L*)を示す。好ましくは、粉末形態のr-ITOは、1976CIE(L*、a*、b*)座標に準拠して少なくとも20の明度(L*)を示す。
1976CIE(L*、a*、b*)座標は、国際照明委員会(CIE、Commision Internationale de l'Eclairage(仏語)またはThe International Commission on Illumination(英語))によって、1976年に採択されたカラーモデルである。1976CIE(L*、a*、b*)座標は、1960年代半ばに発見された、L、a、bカラー反対相関(L,a,b. Color opposition correlates)と呼ばれたRichard Hunterの初期のシステムに基づく反対色システムであり、視神経と脳との間のどこかで、網膜の色刺激が、明るさと暗さ、赤と緑、および青と黄色との間の区別に翻訳されることを示す。1976CIE(L*、a*、b*)座標カラーモデルにおいて、これは、3つの軸上の値、L*、a*、およびb*によって示される。中央の縦軸は、明度(L*で示される)を表し、0(黒)〜100(白)である。色の軸は、色が赤と緑の両方、または青と黄の両方であることが不可能であるという事実に基づく。なぜなら、これらの色が、互いに反対側にあるからである。それぞれの軸上の値は、正から負まで続き、a軸上で、正の値は、赤の量を示し、一方、負の値は、緑の量を示す。b軸上で、正の値は、黄の量を示し、一方、負の値は、青の量を示す。両方の軸にとって、ゼロは、中立の灰色である。1976CIE(L*、a*、b*)座標は、デバイスに依存しないので、非常に重要になり、カラーマネージメントのために使用されている。例として、1976CIE(L*、a*、b*)座標は、国際色彩コンソーシアム(ICC、International Color Consortium)のデバイスに依存しないモデルとして、使用されている。
r-ITOは、典型的に、青であり、したがって、典型的に負のbの値を示す。マーキング用途において使用される場合、r-ITOは、好ましくは、上述した通り、50以下の明度(L*)を有するべきである。好ましくは、本明細書に開示されたマーキング用途における使用のためのr-ITOは、したがって、暗青色などの暗色であるべきである。
r-ITOの試料の明度(L*)は、比色法によって、測定することができる。例として、GretagMacbethのSpectroEye分光光度計/濃度計を、使用することができる。r-ITOの試料の明度(L*)を測定するために、パウダーセルを使用することができる。さらに、以下の設定を使用することができる。照明タイプ:D65、D50、およびTL84、標準観測者:2°または10°。好ましい設定は、照明タイプD65および標準観測者2°である。
しかし、上述した通り、1976CIE(L*、a*、b*)座標は、デバイスに依存しないカラーモデルであり、したがってまたその他の分光光度計も、r-ITOの試料の色を測定するのに使用することができる。
還元された酸化インジウムスズは、酸化スズでドープされた酸化インジウムを含む非化学量論的化合物であり、ドープされた酸化インジウムは還元されている。酸化インジウムスズの還元は、酸素を取り除き、したがって、過剰なインジウムおよび/またはスズをゼロの酸化状態のまま、すなわち、金属インジウムおよび/またはスズにしておく。いずれの理論にも結びつくことなく、固体格子を通って自由に遊走する、自由電子が創造されると考えられる。この自由電子は、電気伝導特性を与え、r-ITOの場合は、NIR吸収特性を与える。
実施形態によれば、0モル%超、例えば、少なくとも25モル%または少なくとも50モル%の、還元された酸化インジウムスズ(r-ITO)中のスズは、ゼロの酸化状態である。さらに、100モル%未満、例えば、75モル%以下の、還元された酸化インジウムスズ(r-ITO)中のスズは、ゼロの酸化状態のスズでありうる。さらに、0モル%超、例えば、少なくとも5モル%であるが25モル%以下、または少なくとも5モル%であるが15モル%以下の、前記還元された酸化インジウムスズ(r-ITO)中インジウムは、ゼロの酸化状態のインジウムでありうる。
粉末形態のr-ITOの明度が、還元度に関連しうる一方で、またその他のパラメーター、例えば、化学量論、粒径、混入率等は、r-ITOの明度に影響しうる。上に詳述した通り、本発明者らは、粉末形態のr-ITOの明度が、NIR吸収体(NIR-absorber)を含むインク配合物の印刷適性のための指標となるパラメーターであることを見出した。
還元された酸化インジウムスズは、典型的に、粒子の形態、すなわち粉末として存在する。還元された酸化インジウムスズの粒子は、10nm〜10μmの範囲のメジアン粒径を有していてもよい。さらに、粒子は、ナノ粒子であってもよく、メジアン粒径は、したがって、1μm未満、例えば、250nm未満であってもよい。ナノ粒子は、少なくとも10nmのメジアン粒径を有していてもよい。粒径を減少させることは、NIR吸収特性を強化することになる。
実施形態によれば、メジアン粒径は、ISO規格9276-2または9276-5に従って測定される。さらに、粒子は、10nm〜10μm、例えば、1μm未満またはさらに250nm未満の体積粒径(volume based particle size)を有していてもよい。体積粒径は、少なくとも10nmでありうる。
また、還元された酸化インジウムスズ中のIn/Snの比は、還元された酸化インジウムスズを含むインク配合物の印刷適性にとって重要でありうる。実施形態は、したがって、インク配合物に関するものであり、還元された酸化インジウムスズ(r-ITO)は、In:Snの重量比12:1未満を有する。好ましくは、In:Snの重量比は、6:1〜12:1、例えば、7:1〜11:1またはさらに8:1〜10:1でありうる。
インク配合物のマーキング成分は、典型的に、活性化可能であり、活性化に際して、色変化を起こす。これは、マーキング成分が、活性化に際して、着色されるおよび/または色を変えることを意味する。活性化は、加熱によって典型的に達成される。加熱は、マーキング成分を直接活性化させるか、または同様にマーキング成分を活性化させる熱酸発生剤などの活性剤を活性化させるかの、いずれであってもよい。インク配合物は、r-ITOを含み、波長2500nm未満の照射を吸収するので、NIRレーザーを使用して、熱など、波長2500nm超の照射に反応して色変化を通常起こすマーキング成分を活性化させることができる。
実施形態によれば、インク配合物中のマーキング成分は、2500nmを超える波長、例えば、約10.6μmの波長の照射に反応して色変化を通常起こす化合物である。さらに、典型的に、マーキング成分は、r-ITOの不存在下で、波長2500nm未満、例えば、780〜2500nmの波長の照射に反応して、色変化を、起こさないまたは無視できる程度にしか起こさない化合物でありうる。当分野において、かかるマーキング成分の様々な例がある。インク配合物は、1種類を超えるマーキング成分を含みうることもまた、指摘されるべきである。
実施形態によれば、インク配合物中のマーキング成分は、オキシ金属アニオンを含む。WO 02/01250は、レーザーマーキングにおける、オクタモリブデン酸アンモニウム(AOM)などのオキシ金属塩の使用を記載している。例として、オキシ金属アニオンは、モリブデン酸塩、好ましくは、オクタモリブデン酸塩でありうる。オキシ金属アニオンを含むマーキング成分の好ましい例は、オクタモリブデン酸アンモニウムである。
実施形態によれば、インク配合物中のマーキング成分は、ロイコ染料である。ロイコ染料は、酸性条件への曝露に際して、典型的に、無色から有色に色変化を起こす化合物でありうる。インク配合物中に熱酸発生剤(TAG)を含むことによって、酸性条件への曝露に際して色変化を起こすロイコ染料、すなわち、ハロクロム性ロイコ染料は、r-ITOを含むインク配合物において、マーキング成分として使用しうる。
様々なTAGが、当分野において知られている。TAGの例としては、ビスフェノールAなどの芳香族ヒドロキシル化合物、および4-ヒドロキシ安息香酸ベンジルなどのパラベン型化合物が、挙げられる。その他の例としては、Pergafast201(例えば、BASF)として商業的に知られているN-p-トリルスルホニル-N'-3-(p-トリルスルホニルオキシ)フェニル尿素などの尿素誘導体が挙げられる。
TAGのその他の例としては、WO 2006/108745に開示されているものなど、ホウ素またはケイ素(silicone)を含む有機金属化合物のアミン塩が、挙げられる。TAGのさらなる例としては、WO 2007/063339、WO 2010/049281、WO 2009/010393、WO 2008/110487、WO 2006/067073、WO 2010/029331に教示されているもの、およびWO 2007/088104に教示されているものなどのトシラートTAGが、挙げられる。
実施形態によれば、熱活性化酸発生剤(thermo activated acid generator)(TAG)は、式(I)によるホウ素またはケイ素(silicone)を含む有機金属化合物のアミン塩である。かかる塩は、WO 2006/108745に開示された。ホウ素またはケイ素(silicone)を含む有機金属化合物のアミン塩の好ましい例は、式(I):
に従う塩であり、
式中、
Xは、ケイ素またはホウ素であり、
「n」は、1〜5、好ましくは、1または2の整数であり、
「o」は、0(ゼロ)または1である整数であり、
「p」は、0(ゼロ)または1である整数であり、
EおよびFは、
(式中、R6およびR7のそれぞれは、水素、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロゲン、アミノ、およびカルボキシからなる群から個別に選択され、好ましくは、R6およびR7は、水素である)
からなる群から個別に選択され、
X=ケイ素の場合は常に、o=1、p=0でありかつR1が、アリール、アラルキル、またはC1〜4アルキルであるか、あるいはo=1、p=1でありかつR1およびR2が一緒になって、a、b、c、d、e、f、g、およびhからなる群から選択される残基を形成し、
X=ホウ素の場合は常に、o=0およびp=0であり、
R3、R4、およびR5は、水素、C1〜12アルキル、C1〜6ヒドロキシアルキル、アリル、アラルキル、およびアリールスルホニルからなる群から個別に選択され、ここで、アラルキルもしくはアリールスルホニルは、C1〜4アルキルで置換されていてもよく、あるいは
R3およびR4は、それらが結合している窒素と一緒になって、モルホリノもしくはピペリジノの環を形成し、かつR5は、水素、C1〜12アルキル、C1〜6ヒドロキシアルキル、アリル、アラルキル、およびアリールスルホニルからなる群から選択され、ここで、アラルキルもしくはアリールスルホニルは、C1〜4アルキルで置換され得る。
実施形態によれば、アルキルは、本明細書において、直鎖状または分枝状の飽和炭化水素ラジカルを意味することが意図される。さらに、実施形態によれば、アルコキシは、-O-アルキル基を意味することが意図される。アラルキルは、実施形態によれば、アルカンジイルアリールを意味することが意図される。さらに、アリールスルホニルは、実施形態によれば、-SO2アリール基を意味することが意図される。アリールは、本明細書において、実施形態によれば、完全に非局在化したパイ電子系を有する、炭素環(全て炭素)または2個以上の縮合炭素環(2個の隣接する炭素原子を共有する環)を意味することが意図される。実施形態によれば、カルボキシは、本明細書において、-COOHまたは-COO-基を意味することが意図される。実施形態によれば、アミノは、本明細書において、-NH2を意味することが意図される。いくつかの実施形態において、アミノには、-NHC1〜4アルキルおよび-N(C1〜4アルキル)2がさらに含まれ得る。
本明細書において、Cx1〜x2における整数「xl」および「x2」は、該当する基における炭素原子の数のことである。すなわち、その基は、「xl」〜「x2」個の炭素原子を含有している。例えば、「C1〜4アルキル」基は、1〜4個の炭素を有する全てのアルキル基、すなわち、CH3-、CH3CH2-、CH3CH2CH2-、(CH3)2CH-、CH3CH2CH2CH2-、CH3CH2CH(CH3)-、および(CH3)3C-を指す。
C1〜4アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、およびtert-ブチルであり、C1〜4アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec-ブトキシ、イソブトキシ、およびtert-ブトキシであり、ハロゲンの例は、塩素、臭素、フッ素、およびヨウ素であり、アリールの例は、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、およびピリジルであり、アラルキルの例は、ベンジルおよび2-フェニルエチルであり、C1〜12アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、およびtert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2-エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、およびドデシルであり、C1〜6ヒドロキシアルキルの例は、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル、5-ヒドロキシペンチル、および6-ヒドロキシヘキシルであり、ならびにアリールスルホニルの例は、フェニルスルホニルおよびトシルである。
好ましくは、R3、R4、およびR5は、水素、C1〜12アルキル、およびアリルからなる群から個別に選択され、あるいはR3およびR4は、付いている窒素と一緒に、モルホリノもしくはピペリジノの環を形成し、かつR5は、水素、C1〜12アルキル、およびアリルからなる群から選択される。ホウ素を含む有機金属化合物のアミン塩の好ましい例は、式(I)に従う塩であり、式中、EおよびFは、a、b、f、g、およびh、例えば、a、b、およびgからなる群から個別に選択される。ケイ素を含む有機金属化合物のアミン塩の好ましい例は、式(I)に従う塩であり、式中、EおよびFは、a、b、c、d、およびe、例えば、a、b、およびcからなる群から個別に選択される。X=ケイ素、o=1、およびp=0の場合は常に、Rlがフェニルであることが好ましい。
EおよびFの基の例として、aは、ベンジル酸の残基であってよく、bは、マンデル酸の残基であってよく、cは、ナフタレン-2,3-ジオールの残基であってよい。さらに、R6およびR7は、水素であってよい。
式(I)による化合物の典型的な例は、以下のもの:
である。
酸性条件への曝露に際して色変化を起こすロイコ染料の例は、フタリド、フルオラン、トリアリールメタン、ベンゾオキサジン、キナゾリン、スピロピラン、キノン、チアジン、オキサジン、およびそれらの混合物である。
フタリドの様々な既存の例としては、クリスタルバイオレットラクトン(3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチル-アミノフタリド)、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3-ビス(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、(例えば、商品名Ciba(登録商標)Pergascript(登録商標)Red I 6 Bで販売されている)、3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチル-インドール-3-イル)-フタリド、7-(N-エチル-N-イソペンチルアミノ)-3-メチル-1-フェニルスピロ[4H-クロメノ-[2,3-c]ピラゾール-4(1H)-3'フタリド、3,6,6'-トリス(ジメチルアミノ)スピロ[フルオレン-9,3'-フタリド]、3,6,6'-トリス(ジエチルアミノ)スピロ[フルオレン-9,3'-フタリド]、3,3-ビス-[2-(p-ジメチルアミノフェニル)-2-(p-メトキシフェニル)エテニル-4,5,6,7-テトラブロモフタリド、3,3-ビス-[2-(p-ジメチルアミノ-フェニル)-2-(p-メトキシフェニル)エテニル-4,5,6,7-テトラクロロフタリド、3,3-ビス[1,1-ビス(4-ピロ-リジノフェニル)エチレン-2-イル]-4,5,6,7-テトラブロモフタリド、3,3-ビス-[1-(4-メトキシフェニル)-1-(4-ピリジノフェニル)エチレン-2-イル]-4,5,6,7-テトラクロロフタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシ-フェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリドおよび3-(4-シクロヘキシルエチルアミノ-2-メトキシ-フェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリドを挙げることができる。フタリドは、当分野において既知の方法によって調製することができ、例えば、クリスタルバイオレットラクトンは、GB 1,347,467に記載された通りに調製でき、3,3-ビス(l-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリドは、GB 1,389,716に記載された通りに調製することができる。
フルオランの様々な既存の例としては、3-ジ(エチル)アミノ-6-メチル-7-(tert-ブトキシカルボニル)アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-ジブチルアミノ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-ジエチル-アミノ-6-メチル-7-(ジベンジルアミノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-メチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-フェルト-ブチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(エトキシカルボニル)-フルオラン(例えば、商品名Ciba(登録商標)Pergascript(登録商標)Orange IGで販売されている)、3-ジエチルアミノ-7-メチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-6,8-ジメチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチルフルオラン、S-シクロヘキシルアミノ-[θ]-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-ベンゾ[a]フルオラン、3-ジエチルアミノ-ベンゾ[c]フルオラン、3-ジメチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(2,4-ジメチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(3-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(2-クロロアニリノ)-フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(p-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(2-フルオロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(p-オクチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(p-オクチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(p-メチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-エトキシエチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(3-メチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチル-アミノ-7-(3-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチル-アミノ-7-(2-フルオロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-アニリノフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン(例えば、商品名Ciba(登録商標)Pergascript(登録商標)Black I-2Rで販売されている)、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-(2,4-ジメチルアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-(4-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-(2-フルオロアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-(3-トリフルオロメチル-アニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-6-エトキシエチル-7-アニリノフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-クロロ-アニリノフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-(4-メチルアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-7-(2-フルオロアニリノ)フルオラン、3-ジペンチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジペンチルアミノ-6-メチル-7-(4-2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジペンチル-アミノ-7-(3-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジペンチルアミノ-6-クロロ-7-アニリノフルオラン、3-ジペンチルアミノ-7-(4-クロロアニリノ)フルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピペリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-メチル-N-プロピルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-メチル-N-シクロヘキシルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-シクロヘキシルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-ヘキシルアミノ)-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-p-トルイジノ)-アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-p-トルイジノ)アミノ-7-メチルフルオラン、3-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-7-(2-クロロアニリノ)-フルオラン、3-(N-エチル-N-イソアンニルアミノ)-6-クロロ-7-フルオラン、アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-テトラヒドロフルフリル-アミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-ブチル-N-イソアミルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-イソプロピル-N-3-ペンチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-エトキシプロピルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、2-メチル-6-p-(p-ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2-メトキシ-6-p-(p-ジメチル-アミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2-クロロ-3-メチル-6-p-(p-フェニルアミノフェニル)アミノ-アニリノフルオラン、2-ジエチルアミノ-6-p-(p-ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2-フェニル-6-メチル-6-p-(p-フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2-ベンジル-6-p-(p-フェニルアミノ-フェニル)アミノアニリノフルオラン、3-メチル-6-p-(p-ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-p-(p-ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-p-(p-ジブチル-アミノフェニル)アミノアニリノフルオランおよび2,4-ジメチル-6-[(4-ジメチルアミノ)アニリノ]フルオランを挙げることができる。フルオラン、例えば、3-ジエチルアミノ-7-ジ-ベンジルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-tert-ブチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノ-フルオラン、および3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(2,4-ジメチルアニリノ)フルオランは、当分野における既知の方法によって、およびUS 5,166,350 Aに記載されている通りに調製することができ、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(3-メチルアニリノ)フルオランは、EP 0 546 577 Alに記載されている通りに調製することができ、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-アニリノフルオランは、DE 2130845に記載されている通りに調製することができ、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオランおよび3-ピペリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオランは、US 3,959,571 Aに記載されている通りに調製することができ、3-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオランは、GB 2 002 801 Aに記載されている通りに調製することができ、ならびに3-(N-メチル-N-プロピルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオランは、GB 2,154,597 Aに記載されている通りに調製することができる。
ベンゾオキサジンの様々な既存の例としては、2-フェニル-4-(4-ジエチルアミノフェニル)-4-(4-メトキシフェニル)-6-メチル-7-ジメチルアミノ-3,1-ベンゾオキサジン(EP 0 187 329 Alに記載されている通り調製できる)および2-フェニル-4-(4-ジエチルアミノフェニル)-4-(4-メトキシフェニル)-8-メチル-7-ジメチルアミノ-3,1-ベンゾオキサジンを挙げることができる。キナゾリンの例は、4,4'-[l-メチルエチルイデン)ビス(4,l-フェニレンオキシ-4,2-キナゾリンジイル)]ビス[N,N-ジエチルベンゼンアミン]である。トリアリールメタンの例は、ビス(N-メチルジ-フェニルアミン)-4-イル-(N-ブチルカルバゾール)-3-イル-メタンであり、GB 1,548,059に記載されている通りに調製することができる。
スピロピランの様々な既存の例としては、1',3',3'-トリメチルスピロ[2H-l-ベンゾピラン-2,2'-インドリン]、l,3,3-トリ-メチルスピロ[インドリン-2,3'-[3H]ナフト[2,1-b][l,4]オキサジン]、および1',3',3'-トリメチルスピロ-[2H-l-ベンゾチオピラン-2,2'-インドリン]を挙げることができる。キノンの例は、ヘマトキシリンであり、オキサジンの例は、3,7-ビス(ジメチル-アミノ)-10-ベンゾイルフェノキサジンである。チアジンの例は、3,7-ビス(ジメチルアミノ)-10-ベンゾイルフェノチアジンである。
酸性条件への曝露に際して色変化を起こすロイコ染料は、フタリドまたはフルオランまたはそれらの混合物であってよい。さらに、酸性条件への曝露に際して色変化を起こすロイコ染料は、3,3-ビス(l-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド(例えば、商品名Ciba(登録商標)Pergascript(登録商標)Red I 6Bで販売されている)、3-ジ-エチルアミノ-7-(エトキシカルボニル)-フルオラン(例えば、商品名Ciba(登録商標)Pergascript(登録商標)Orange IGで販売されている)、または3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン(例えば、商品名Ciba(登録商標)Pergascript(登録商標)Black I-2Rで販売されている)であってよい。別のロイコ染料は、ETAC(例えば、山田化学工業株式会社)として商業的に知られている、2'-アニリノ-6'-[エチル(p-トリル)アミノ]-3'-メチルスピロ[イソベンゾフラン-1(3Η),9'-[9H]キサンテン]-3-オンである。
実施形態によれば、インク配合物中のマーキング成分は、炭化可能な(charrable)化合物であり、また、チャー形成化合物と表すこともできる。チャー形成化合物は、加熱に際して、典型的には茶色がかった色から黒の、有色のチャーを形成する化合物である。好ましい例は、単糖、二糖、および多糖、ならびにカルボニル基がヒドロキシル基に還元されたそれらの誘導体、いわゆる糖アルコールなどの炭水化物からなる群から選択される、ポリヒドロキシ化合物を含む。
単糖の例は、糖類である、グルコース、マンノース、ガラクトース、アラビノース、フルクトース、リボース、エリトロース、およびキシロースであり、二糖の例は、糖類である、マルトース、セロビオース、ラクトース、およびスクロースであり、多糖の例は、セルロース、デンプン、アラビアゴム、デキストリン、およびシクロデキストリンであり、ならび二糖アルコールの例は、メソ-エリトリトール、ソルビトール、マンニトール、およびペンタエリトリトールである。
より好ましいポリヒドロキシ化合物は、二糖、多糖、および糖アルコールである。最も好ましいポリヒドロキシ化合物は、スクロース、アラビアゴム、およびメソ-エリトリトールである。
ポリヒドロキシ化合物が、D-鏡像異性体、L-鏡像異性体、またはラセミ体として存在し得る場合、これらの3つの形態の全てが、含まれる。場合によって、チャー形成を補助するために塩を加えてもよい。チャー形成を補助する塩の例としては、ホウ酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、および炭酸水素ナトリウムが、挙げられる。チャー形成剤のさらなる例は、WO 2010/026407、WO 2010/049282、WO 2008/083912、WO 2007/031454、およびWO 2007/012578に教示されている。
実施形態によれば、インク配合物中のマーキング成分は、ジアセチレンであり、例えば、熱への曝露によって活性化され、活性化されたジアセチレンはUV光への曝露に際して色変化を起こしうるが、ジアセチレンは、活性化されない場合には、UV光への曝露に際して色変化を起こさない。ジアセチレンなどが、WO 10/112940に記載されており、かかるジアセチレンの例は、10,12-ペンタコサジイン酸、10,12-ドコサジイン二酸、およびそれらの誘導体を含む。適切な化合物のさらなる例は、WO 2009/093028およびWO 2010/001171に教示されている。
インク配合物中に、一定の状況において有益でありうる、様々な種類の添加剤を組み込むことが可能であることは、当業者によって理解されるであろう。かかる添加剤としては、例えば、ポリマーバインダー、感熱式プリンターの性能を促進するための穏やかな還元剤、染料または顔料などの着色剤、UV吸収体および束縛アミン光安定剤(HALS)などの光安定化剤、抗酸化剤およびその他の既知の安定剤、pH緩衝剤、酸および塩基捕捉剤、タルクまたは選択されたシリカなどのブロッキング防止材料、およびレーザーイメージングの任意の熱分解生成物を吸収するまたは熱分解生成物と反応する材料、界面活性剤、接着促進剤、分散助剤、インクフロー/レオロジー改質剤、湿潤剤、遅乾性溶媒、速乾性溶媒、殺生物剤等が、挙げられる。
実施形態によれば、インク配合物はまた、バインダーを含む。バインダーは、水性コーティングまたはインク配合物における使用に適切な、一つまたは複数の、広範な水溶性の、またはアミンで安定化された水性エマルジョンのポリマーであることができる。例として、アクリルポリマーを使用しうる。さらに、インク配合物は、炭酸カルシウム等などの水分散性の無機または有機添加剤などの顔料を含んでいてもよい。インク配合物は、添加されて、画像スミアリングを減少させうる、ステアリン酸亜鉛等などの界面活性剤または潤滑剤およびZnOなどの架橋剤を含む、一つまたは複数の広範な添加剤をさらに含んでいてもよい。さらに、インク配合物は、鉱油系の消泡剤など、消泡剤を含んでいてもよい。インク配合物はまた、分散剤および/またはフィルム形成改質剤を含んでいてもよい。
さらに、インク配合物は、UV吸収体およびヒンダードアミンなどの光安定化剤、インクフロー/レオロジー改質剤、弱溶媒、例えばジエチレングリコールなどの乾燥速度調整剤、および可塑剤、および/またはチタン酸塩化合物などの接着促進剤を含んでいてもよい。
実施形態によれば、インク配合物は、水性である、すなわち、インク配合物は、水を含む。例として、組成物は、水性溶媒を5〜95重量%、例えば、40〜80重量%、マーキング成分を5〜50重量%、例えば、20〜40重量%、およびr-ITOを0.1〜10重量%、例えば、0.25〜5重量%含んでいてよい。水性溶媒は、水を少なくとも10重量%、好ましくは、水を少なくとも50重量%、例えば、少なくとも75重量%または少なくとも95重量%含んでいてよい。実施形態によれば、水性インク配合物は、アクリルポリマーなどのバインダーを、10〜30重量%含む。
実施形態によれば、インク配合物は、水性である、すなわち、インク配合物は、有機溶媒を含む。例として、組成物は、有機溶媒を5〜95重量%、例えば、40〜80重量%、マーキング成分を5〜50重量%、例えば、20〜40重量%、およびr-ITOを0.1〜10重量%、例えば、0.25〜5重量%含みうる。有機溶媒は、水混和性溶媒であり得る。さらに、溶媒は、溶媒の混合物であってもよい。溶媒の例としては、C1〜4アルカノール、C2〜4ポリオール、C3〜6ケトン、C4〜6エーテル、C2〜3ニトリル、ニトロメタン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、およびスルホラン(C1〜4アルカノールおよびC2〜4ポリオールは、C1〜4アルコキシ基で置換されていてもよい)、および酢酸エチルなどの水混和性有機溶媒が挙げられる。実施形態によれば、インク配合物は、アクリルポリマーなどのバインダーを10〜30重量%含む。
水性配合物は、揮発性溶媒を含む配合物ほど健康に悪くないという利点を有する。水性インク配合物は、C1〜4アルカノール、C2〜4ポリオール、C3〜6ケトン、C4〜6エーテル、C2〜3ニトリル、ニトロメタン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、およびスルホランなどの水混和性有機溶媒をさらに含んでいてもよく、C1〜4アルカノールおよびC2〜4ポリオールは、C1〜4アルコキシ基で置換されていてもよい。
C1〜4アルカノールの例は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、またはブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、およびtert-ブタノールである。それらのC1〜4アルコキシ誘導体の例は、2-エトキシエタノールおよびl-メトキシ-2-プロパノールである。C2〜4ポリオールの例は、グリコールおよびグリセロールである。C3〜6ケトンの例は、アセトンおよびメチルエチルケトンである。C4〜6エーテルの例は、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエチル、およびテトラヒドロフランである。C2〜3ニトリルの例は、アセトニトリルである。好ましくは、水混和性有機溶媒は、C1〜4アルカノール、C2〜4ポリオール、C3〜6ケトン、ジメチルホルムアミド、およびジメチルアセトアミドからなる群から選択され、C1〜4アルカノールおよびC2〜4ポリオールは、C1〜4アルコキシ基で置換されていてもよい。
本明細書に開示したインク配合物は、典型的に、包装材料などの基材上にコーティングすることができる。例として、インク配合物は、フラッドコーティング、フレキソ印刷、グラビア印刷等などの水性インクに適切な、任意の既知の印刷またはコーティングの方法によって、適用することができる。乾燥コート重量は、0.5〜10g/m2、または1〜5g/m2など、0.1〜20g/m2の範囲内にあってよい。インク配合物は、印刷方法によって基材に適用できるので、基材のコーティングは、いくつかの実施形態において、印刷と表すことができる。かかる実施形態において、マーキングの工程は、典型的に、イメージングと表すことができる。
NIRレーザーでコーティングされた基材を照射することによって、マーキングを得てもよい。様々な種類の基材は、インク配合物でコーティングしてもよい。かかる基材の例としては、紙、ボール紙、段ボール、PEおよびPPなどのポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルム、セルロース系フィルム、織物、木材、金属、ガラス、皮革、硬質プラスチック製品(ridged plastic part)、食品、および固体の医薬組成物が、挙げられる。
インク配合物は、基材の全体に適用でき、それによって、基材は、マスカスタマイゼーションにおける使用に適切になる。あるいはインク配合物は、基材の比較的小さい部分上にパッチとして適用しうる。次に、パッチは、照射されて、例えば、ヒトが読み取り可能なデータおよびロットコード情報、ならびに1Dバーコードおよび2Dデータマトリクスコードおよび大容量データバーコードなどの機械が読み取り可能なコードを提供しうる。
さらに、インク配合物がコーティングされた基材は、印刷、マーキング、または包装適用における使用に適切な基材の製造において知られている、任意の物質を含んでいてもよい。これらの物質は、基材内または基材の表面上のいずれに存在してもよい。例としては、基材表面上のクレーコーティングの層、および例えばPEまたはアルミニウム等から作られるバリア層が挙げられる。
さらに、基材上にコーティングされたインク配合物は、インク配合物が、熱可塑性ポリマー層によって保護されるように、熱可塑性ポリマー層によって覆われていてもよい。かかる実施形態において、インク配合物は、基材と熱可塑性ポリマー層との間および/または熱可塑性ポリマー層の中に、位置する。インク配合物が、熱可塑性ポリマー層によって覆われたインク配合物でコーティングされた基材は、オーバーラミネートされていると表すことができる。オーバーラミネーションは、マーキング可能なコーティングを保護しうるし、および/または不透過性などのその他の特性を、基材に与えうる。オーバーラミネーションの方法は、コーティング仕上げとして、あるいは溶融ポリマーを押し出すか、もしくは本明細書に開示された組成物でコーティングされた表面上に、予め作られたポリマーフィルムをラミネートすることによって、実施することができる。基材は、ポリエチレン(例えば、低密度ポリエチレン(LDPE))またはポリプロピレンなどのポリオレフィンによって、オーバーラミネートされ得る。
包装材料ラミネートに関する例において、基材は、紙または板紙から選択される。さらに、インク配合物は、包装材料ラミネートにおける使用の場合、熱可塑性ポリマー層によって覆われることが、好ましい。
一つの実施形態によれば、コーティングされた基材は、紙、ボール紙、段ボール、板紙から選択され、マーキング成分は、オクタモリブデン酸アンモニウムまたはロイコ染料であり、インク配合物は、マーキング成分がロイコ染料である場合、熱酸発生剤をさらに含んでいてもよく、ならびに基材にコーティングされたインク配合物は、ポリマー層によって覆われ、そのポリマーは、ポリオレフィンである。
コーティングとして基材に適用されるのと同様に、本明細書に開示されたインク配合物はまた、基材の中へ直接組み込むこともできる。インク配合物を、例えば、ポリマーフィルムの中へ同時に押し出す、またはプラスチックの物品に同時に型成形する、または紙もしくはカードに直接添加する、例えば、サイジング段階で紙パルプに添加することができる。
具体的な例として、基材は、液体食品用包装材料などのこん包材料の一部であってよい。実施形態によれば、かかるこん包材料は、液体食品などの製品と接触することが意図されるポリオレフィンの最も内側の層(場合によって、多層フィルムである)を含む。基材と最も内側の層との間に、バリア材料が、配置される。基材の熱可塑性ポリマー層は、液体食品用包装材料の最も外側の層であり、それによって、製品と接触することが意図されない。バリア材料は、酸素バリアなどの気体バリア、水蒸気バリア、光バリア、または臭気バリアでありうる。バリア材料の例は、アルミホイルまたは金属蒸着層を含有するフィルムである。その他のバリア材料は、エチレンビニルアルコールコポリマー(EvOH)およびポリアミド(PA)である。場合によって、接着を促進するための接着層が、例えばバリア層と最も内側の層との間に使用される。基材は、紙、ボール紙、段ボール、板紙、多層フィルムなどのプラスチックフィルム、硬質プラスチック製品、織物、木材、金属、ガラス、または皮革から選択される。場合によって、ボンディング層は、基材とバリア材料との間に、配置される。基材は、通常、印刷を有し、外側の熱可塑性ポリマー層、例えば、LDPEまたはそのブレンドによって、覆われる。
最も内側の層は、LDPE、LLDPE、mLLDPE、およびVLDPE、またはそれらのブレンドから選択される、低密度ポリエチレンでありうる。最も内側の層は、ヒートシールが可能である。お互いに独立して、接着層およびボンディング層は、エチレンアクリル酸コポリマー(EAA)、エチレンメタクリル酸コポリマー、またはLDPEであってよい。
さらなる実施形態は、本明細書に上述したかかる食品包装材料を含む、液体食品用パッケージに関する。液体食品用パッケージは、ロール供給システム(roll fed system)によって得てもよく、包装材料は、充填機に供給される。図4は、ロール供給充填機を図示しており、包装材料は、滅菌され、折られてチューブ(61)になり、縦方向にシールされる(63)。縦方向にシールされたチューブは、横方向にシールされる前に(65)、製品(64)を充填される(フォームフィルシール技術)。シーリングは、誘導シーリングまたは超音波シーリングによって行いうる。シールされたパッケージは、その後、切られ、最終的に折られてパッケージ(66)になる。別の方法として、包装材料を、充填機において使用する前に、予め切ってもよい。予め切られた包装材料は、ブランクと通常呼ばれ、例えば、ゲーブルトップ型のパッケージの製造において、使用されてきた。
液体食品用パッケージへの液体食品の充填およびパッケージのシーリングに関連して、情報を、インク配合物の活性化によって、基材上に印刷してよい。包装材料の滅菌は、過酸化水素によっておよび/またはUV線もしくはEB線によって、従来なされる。インク配合物が熱可塑性ポリマー層によって覆われているので、さもなければ、インクが、例えば変色によって損なわれる可能性がある充填機におけるステップの間、インク配合物は保護される。
実施形態によれば、インク配合物は、紙の最も外側の表面を有する基材上にコーティングされ、場合によってクレーコーティングされる。
別の実施形態によれば、インク配合物は、硬質プラスチック製品の一部を形成する基材、プラスチックフィルムである基材、または最も外側の層がプラスチック層である、ラミネートである基材など、最も外側のプラスチック表面を有する基材上にコーティングされる。
さらなる実施形態は、基材にマーキングする方法に関する。基材の例は、本明細書に開示された。かかる方法において、基材は、粉末形態のr-ITOが1976CIE(L*、a*、b*)座標に準拠して50以下の明度(L*)を示すr-ITOおよびマーキング成分を含むインク配合物でコーティングされる。好ましくは、粉末形態のr-ITOは、1976CIE(L*、a*、b*)座標に準拠して少なくとも20の明度(L*)を示す。表面をコーティングするのに続いて、コーティングされた基材の、マーキングが意図される部分を、典型的には、レーザーで照射することができる。照射される前に、場合によって、インク配合物がポリマー層によって覆われてもよい。
実施形態によれば、決められたパターンのマーキングが得られるコーティングの部分のみが、照射される。必須というわけではないが、典型的には、基材の少なくとも一部は、かかる実施形態において、艶消しコーティングされてもよい。かかる艶消しコーティングの照射について、マーキングは、コーティングが照射される場所に現れることになる。艶消しコーティングの部分を照射することによってのみ、決められたパターンのマーキングを得ることができる。比喩的に言えば、これは、コーティングにおいて、レーザー光で書くことまたはエッチングすることと理解することができる。
別の実施形態によれば、インク配合物は、決められたパターンでコーティングされる。かかるコーティングされた基材のマーキングにおいて、コーティング全体、または決められたパターンの少なくとも一部が、マーキングを作成するために照射される。比喩的に言えば、これは、マーキングを得るために、コーティングされたパターンを現像することと理解することができる。
好ましくは、レーザーは、かかるNIR照射が、r-ITOによって吸収され、照射される部分の加熱、および続いて基材のマーキングの加熱を引き起こすことになるように、動作波長780〜2500nmの範囲を有する。例として、Nd:YAGレーザーまたはNIRファイバーレーザーを、コーティングされた表面を照射するのに使用してもよい。レーザーは、単一ビームまたは多重ビームアレイ型システムでありうる。レーザーは、典型的には、ステアードビームシステム(steered beam system)を使用して、基材に光を適用する。しかし、マスク配置もまた、使用してもよい。
レーザー、またダイオードに加えて、波長範囲700〜2500nmで動作するファイバー結合ダイオードアレイシステムまたはダイオードアレイシステムを、マーキングを作成する光を供給するために使用することができる。ダイオードアレイシステムは、コヒーレント光と非コヒーレント光の両方を放つ可能性があり、高速連続イメージングまたは「オンザフライ」イメージングにおける使用に特に適切である。
別の実施形態は、マーキングされた基材に関する。かかるマーキングされた基材は、上述した通りに入手可能である。
1976CIE(L*、a*、b*)座標に準拠して50以下の明度(L*)を示す還元された酸化インジウムスズ(r-ITO)が、マーキング成分を含むインク配合物に改善されたマーキング特性を与えることが見出されたので、さらなる実施形態は、1976CIE(L*、a*、b*)座標に準拠して50以下の明度(L*)を示す還元された酸化インジウムスズ(r-ITO)の、レーザーマーキング用途における使用に関する。
好ましくは、r-ITOは、1976CIE(L*、a*、b*)座標に準拠して、少なくとも20の明度(L*)を示す。r-ITOの試料の色は、比色法によって測定することができる。例として、GretagMacbethのSpectroEye分光光度計/濃度計を使用することができる。r-ITOの試料の色を測定するために、パウダーセルを、使用することができる。さらに、以下の設定を、使用することができる。照明タイプ:D65、D50、およびTL84、標準観察者2°または10°。好ましくは、照明タイプD65および標準観察者2°である。
さらに、還元された酸化インジウムスズ(r-ITO)は、ゼロの酸化状態のインジウムおよび/またはスズ、すなわち、金属インジウムおよび/またはスズを含む。したがって、還元された酸化インジウムスズ(r-ITO)中のスズの0モル%超、例えば、少なくとも25モル%または少なくとも50モル%が、ゼロの酸化状態のスズであってよい。さらに、還元された酸化インジウムスズ(r-ITO)中のスズの100モル%未満、例えば、75モル%以下が、ゼロの酸化状態のスズであってよい。さらに、前記還元された酸化インジウムスズ(r-ITO)中のインジウムの0モル%超、例えば、少なくとも5モル%であるが25モル%以下、または少なくとも5モル%であるが15モル%以下が、ゼロの酸化状態のインジウムであってよい。
還元された酸化インジウムスズは、粒子の形態で典型的に存在する。これらの粒子は、10nm〜10μmの範囲のメジアン粒径を有していてもよい。さらに、粒子は、ナノ粒子であってよく、メジアン粒径は、したがって、1μm未満、例えば、250nm未満であってよい。粒子を縮小することは、NIR吸収特性を強化すると考えられる。
実施形態によれば、メジアン粒径は、ISO規格9276-2または9276-5に従って測定される。さらに、粒子は、10nm〜10μm、例えば、1μm未満またはさらに250nm未満の体積粒径を有していてよい。
さらに、還元された酸化インジウムスズ(r-ITO)は、In:Snの重量比、12:1未満を有していてよい。好ましくは、In:Snの重量比は、6:1〜12:1、例えば、7:1〜11:1、またはさらに8:1〜10:1であってよい。例として、In:Snの重量比は、約8.7:1であってよい。
さらに詳述することなく、当業者は、前述の説明を使用して、最大限に本発明を利用できると考えられる。本明細書に記載された好ましい具体的な実施形態は、したがって、単なる例証あり、何であれ決して記載の残りを限定しないと、解釈されるべきである。さらに、本発明は、具体的な実施形態に関して上に記載されたが、本明細書に述べられた具体的な形態に限定することは、意図されない。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、上の具体的なもの以外の実施形態は、これらの添付の特許請求の範囲内で等しく可能であり、例えば、上に記載されたものと異なる。
特許請求の範囲において、用語「含む(comprises/comprising)」は、その他の要素またはステップの存在を排除しない。さらに、個々の特徴が、異なる特許請求中に含まれることができるが、これらは、恐らく有利に組み合わされてもよく、異なる特許請求中への包含は、特徴の組合せが、実行可能および/または有利ではないことを意味しない。
さらに、単数は、複数を排除しない。用語「一つの(a)」、「一つの(an)」、「第一の(first)」、「第二の(second)」等は、複数を妨げない。
実験
以下の実施例は、単なる例であり、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきでは決してない。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲によって限定される。
それぞれ異なる供給者から、r-ITOナノ粉末の4つの試料を得た。
1. In:Snのモル比、89:11を有する
2. In:Snのモル比、92.7:7.5を有する
3. In:Snのモル比、89:11を有する
4. In:Snのモル比、89:11を有する
r-ITO試料番号1、3、および4は、全て暗青色の粉末であった。一方、試料番号2は、明るい青色の粉末であった。
その他の材料
Elvacite2028(例えばLucite International社、低分子量メタクリレートコポリマーのバインダー)。
オクタモリブデン酸アンモニウム(AOM)粉末(例えばDataLase Ltd社、マーキング成分)。
Aerosil200(例えばEvonik社、フュームドシリカ、沈降防止剤)。
酢酸エチル(溶媒)。
変性エタノールB100(DEB100、溶媒)。
r-ITOを含むインク配合物を、以下の成分を混合することによって調製し、合計4つの配合物(配合物番号1〜4、配合物番号1は、上で1と表示されたr-ITOを含む、等)を得た。
r-ITO試料 2.5重量%
AOM 25重量%
Elvacite2028 20重量%
Aerosil200 0.5重量%
酢酸エチル 15重量%
DEB100 37重量%
各インク配合物を、Silveronミキサーを使用して、予め混合した。次に、予め混合したインクを、Eiger-Torranceの容量50mlのビーズミルを使用して、10分間、磨砕し、ヘグマンゲージを使用して測定した場合に粒径5ミクロン未満を有する分散系を達成した。続いて、それぞれのインク配合物の粘度を、DEB100:酢酸エチル、3:1を使用して、ザーンの2番カップ(Zahn 2)、30秒に調整した。
次に、それぞれのインクを、RK K-Controlモデル202コーティング機に取り付けたK2バーを使用して、白い50ミクロンのPETフィルム上へドローダウンした。およそ5g/m2のコート重量が、いずれの場合も得られた。
次に、それぞれのドローダウンを、PCに連結された、ガルボミラー型イメージングヘッドを取り付けた5W、1550nmファイバーレーザーを使用して、イメージングした。イメージングは、2つのフルエンス域:0〜5J/cm2(速度100%)および0〜3.7J/cm2(速度150%)について実施した。結果を、図1および図2に示す。
さらに、r-ITO粉末およびドローダウンの両方の吸光度を、550nmおよび1550nmで得た。これは、PCに連結したVarian-Cary分光光度計を使用して、実施した。結果を、以下のTable 1(表1)に示す。
table 1(表1)の粉末スキャンからわかるように、供給者2からの試料は、可視領域において最低の吸光度および近赤外領域において最高の吸光度を有する、最も効率的なNIR吸収体であるようにみえる可能性がある。しかし、table 1(表1)からまたわかるように、別の傾向が、コーティングされたインク配合物によって得られた結果から、出現する。コーティングされた配合物にとって、より低いSn含有量を有し、より明るい(すなわち、より暗くない)、供給者2からのr-ITOを含む配合物についての吸光度は、驚いたことに、その他の配合物と比較して、1550nmでの劣等な吸光度を有することが、見出された。さらに、図1および図2からわかるように、この傾向は、供給者2からのr-ITO配合物を含む配合物2が、その他の試料と比較して、同一のレーザーフルエンスで、より低いODB(黒の光学濃度)を表したことで確認される。
様々な供給者から得た、一次粒子径250nm未満を有するr-ITOナノ粉末の合計14の試料を評価した。1976CIE(L*、a*、b*)座標によるそれぞれの試料の明度を、パウダーセルと組み合わせたGretag-Macbeth Spectroeye(照明タイプD65および標準観測角度2°)を使用して測定した。
それぞれの試料についての、測定された明度と、供給者によって示されたIn:Snの重量比とを、以下のTable 2(表2)に示す。
さらに、1550nm(フルエンス3.5J/cm2)でのイメージングからもたらされたODBを示す。ODB測定のために、r-ITOを含むインク配合物を、インク配合物を得るための以下の成分を混合することによって調製した。
r-ITO試料 2.5重量%
オクタモリブデン酸アンモニウム(マーキング成分) 30重量%
Elvacite2028(アクリル樹脂バインダー) 15重量%
変性エタノールB100:酢酸エチル(3:1) 52.5重量%
各インク配合物を、Eiger-Torranceの容量50mlのビーズミルを使用して、10分間磨砕し、ヘグマンゲージを使用して測定した場合に粒径5ミクロン未満を有する分散系を達成した。続いて、それぞれのインク配合物の粘度を、DEB 100:酢酸エチル、3:1を使用して、ザーンの2番カップ、30秒に調整した。
次に、各インクを、RK K-Controlモデル202コーティング機に取り付けたK2バーを使用して、白い50ミクロンのPETフィルム上へドローダウンした。およそ7.5g/m2の乾燥コート量が、いずれの場合も得られた。次に、それぞれのドローダウンを、PCに連結されたガルボミラー型イメージングヘッドを取り付けた5W、1550nmファイバーレーザーを使用して、イメージングした。イメージングは、2つのフルエンス域:0〜5J/cm2(速度100%)および0〜3.7J/cm2(速度150%)について実施した。
Table2(表2)、およびODBがTable2(表2)における試料中のInの重量パーセンテージに対してプロットされている図3からわかるように、マーキング性、すなわち、3.5J/cm2での照射によってもたらされたODBの劇的な低下が、50を超える明度を有するr-ITOの試料について見られる。