JP6186236B2 - アミノ酸の製造方法 - Google Patents
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Description
アミノ酸は、数種の多型や擬似多型を有する有用なバイオマテリアルとして、広く利用されている。特にグルタミン酸は、多型の制御についてよく研究されているアミノ酸の1つであり、pH、温度、過飽和領域などで多型の制御ができることは知られている。
L-アルギニン塩酸塩は、擬似結晶多型を有するアミノ酸の1つであり(非特許文献1)、その結晶型は水溶液から濃縮晶析する際の温度でほとんど決まってしまう。42℃以上で晶析した場合は、L-アルギニン塩酸塩の無水物結晶が安定な結晶形であるが、42℃以下で晶析した場合は、L-アルギニン塩酸塩の一水和物結晶が安定な結晶型となる。工業的規模でアミノ酸の結晶を製造する場合は、エネルギーと結晶化の効率の観点からすれば結晶析出工程の温度はできるだけ低い方が好ましいが、低温晶析で得られるL-アルギニン塩酸塩の一水和物結晶はその無水物結晶に比べ結晶が非常に小さいので(図1)、結晶分離工程やハンドリング等の面からみた場合は、L-アルギニン塩酸塩の無水物結晶の方が好ましい。したがって、低温下でも安定に無水物結晶を製造する方法が望まれているが、そのような製造法はこれまで知られていない。
(1)L-アルギニン塩酸塩水溶液を、42℃より高い温度での晶析に供してL-アルギニン塩酸塩の無水物結晶を析出させた後、得られたL-アルギニン塩酸塩の無水物結晶を含む溶液をL-アラニン、L-α-アミノブチル酸及びL-ノルバリンからなる群より選ばれるアミノ酸の共存下で冷却することを特徴とするL-アルギニン塩酸塩の無水物結晶の製造方法。
(2)L-アラニン、L-α-アミノブチル酸及びL-ノルバリンからなる群より選ばれるアミノ酸を共存させる際、L-アルギニン塩酸塩に対して0.5重量%以上の該アミノ酸を共存させることを特徴とする上記(1)のL-アルギニン塩酸塩の無水物結晶の製造方法。
(1)L-アルギニン塩酸塩水溶液をL-Ala、L-α-ABa及びL-Nvaからなる群より選ばれるアミノ酸の共存下、42℃より高い温度での晶析に供することによりL-アルギニン塩酸塩無水物結晶を析出させた後、得られたスラリーを冷却することによりL-アルギニン塩酸塩の無水物結晶を晶析させることを特徴とする安定にL-アルギニン塩酸塩の無水物結晶の製造する方法であり、また
(2)L-アルギニン塩酸塩水溶液を42℃より高い温度で晶析することによりL-アルギニン塩酸塩無水物結晶を析出させた後、得られたスラリーをL-Ala、L-α-ABa及びL-Nvaからなる群より選ばれるアミノ酸の共存下、冷却することによりL-アルギニン塩酸塩の無水物結晶を晶析させることを特徴とする安定にL-アルギニン塩酸塩の無水物結晶の製造する方法である。
本発明に用いられるL-アルギニン塩酸塩水溶液のpHは、本発明の方法が実施できる限り特に限定されないが、好ましくは3.0〜9.0、より好ましくは4.0〜8.0をあげることができる。pHの調整は塩酸、及び水酸化ナトリウム溶液等を用いて行うことができる。
本発明に用いるL-Ala、L-α-ABa及びL-Nvaは、L-アルギニンと同様に発酵生産で製造されるものであってもよいし、市販のものであってもよい。
媒晶アミノ酸の添加量は、本発明の方法が実施できる限り特に限定されないが、L-アルギニン塩酸塩に対0.5重量%以上、好ましくは1.0重量%以上、より好ましくは2.0重量%以上、さらに好ましくは3.0重量%以上である。
濃縮晶析は、L-アルギニン塩酸塩の無水物結晶を含むスラリー中のL-アルギニン塩酸塩濃度が濃縮前より高くなるまで行われ、好ましくは濃縮後のL-アルギニン塩酸塩の濃度が350g/L以上、好ましくは500g/L以上、より好ましくは600g/L以上、さらに好ましくは700g/L以上になるように行う。
次の冷却工程を実施する前に、上記で得られたスラリーを濃縮し、さらに高濃度のスラリーを調整してもよい。この際の濃縮方法も特に制限されないが、上記したL-アルギニン塩酸塩水溶液の濃縮と同様の方法、条件をあげることができる。濃縮後のスラリーの濃度は、濃縮前のL-アルギニン塩酸塩の無水物結晶を含むスラリー中のL-アルギニン塩酸塩の濃度より高い濃度のスラリーが得られれば、その濃度は限定されないが、好ましくは750g/L以上、より好ましくは800g/L以上、さらに好ましくは850g/L以上の濃度である。
上記で得られたL-アルギニン塩酸塩の無水物結晶のスラリーを冷却することにより、安定なL-アルギニン塩酸塩の無水物結晶を析出させることができる。
冷却温度は、室温以下であれば特に限定されないが、0〜28℃、好ましくは5〜25℃、より好ましくは10℃〜23℃、さらに好ましくは15〜20℃、特に好ましくは20℃である。
徐々に室温以下にまで冷却し、目標冷却温度に到達した後は、その温度で1時間以上、好ましくは3時間以上、より好ましくは5時間以上、さらに好ましくは8時間以上保持することにより、結晶を熟成させることができる。
L-アルギニン塩酸塩の結晶化の試験は、恒温液槽中に1Lビーカーを入れて温度制御することで行った。攪拌速度は200rpm、プロペラタイプの攪拌翼をビーカー底部近くで回すことで結晶含有溶液を攪拌しながら結晶化を行った。
200gのL-アルギニン塩酸塩一水和物(協和発酵バイオ社製)及び水を上記のビーカーに入れ、総容量を600mLとし常温にて攪拌した。当該L-アルギニン含有水溶液の温度を55℃まで上げて、L-アルギニンが完全に溶解するまで攪拌を続けた。L-アルギニンが完全に溶解していることを確認した後、55℃、130hPaにて減圧濃縮することで315gの水を除去した。
次に、恒温槽の温度を5℃/時間の割合で除々に下げることで20℃まで冷却し、そのまま8時間保持した。得られた溶液を1000×gにて20分間遠心分離することで液体を除去し、結晶を取得した。
図2には、実施例2以降で媒晶として用いたアミノ酸及びL-アルギニン塩酸塩の構造を示した。
実施例1の一次濃縮を行う前に、L-アルギニン塩酸塩の総量に対して3.0重量%になるようにグリシン(Gly)、L-Ala、L-リジン(L-Lys)又はL-オルニチン(L-Orn)をL-アルギニン塩酸塩水溶液に添加した後、実施例1の一次濃縮以下の操作を行うことによりL-アルギニン塩酸塩の結晶を生成させ、当該結晶を分析した。
実施例2で用いたL-Alaの代わりに、D-Alaを媒晶に用いて同様のL-アルギニン塩酸塩の結晶を生成させた。
その結果、L-アルギニン塩酸塩結晶へのAlaのかみ込み割合はL-Ala又はD-Alaを添加した場合で違いはなかったが、D-Alaを媒晶に用いた場合にはL-アルギニン塩酸塩の無水物結晶は得られなかった。
実施例1において、一次濃縮後の冷却前のスラリーに種々の量のL-Alaを添加し、その後は実施例1と同様の結晶化操作を行い分析した。
表2に示すとおり、0.5重量%のL-AlaでもL-アルギニン塩酸塩の無水物結晶から一水和物結晶への転移を防ぐことができることがわかった。このことは、共存させたアミノ酸はL-アルギニン塩酸塩の無水物結晶の内部に入り込んでではなく、結晶表面に吸着することで無水物結晶を安定化させていることを示している。
L-Alaとは、そのアルキル側鎖長が異なるアミノ酸を媒晶に用いた場合のL-アルギニン塩酸塩の無水物結晶の安定化について検討した。
L-Ala をコントロールとし、L-α‐Aba、L-Nva又はL-バリン(L-Val)を実施例2のL-Alaの代わりに用いて実施例1と同様の方法でL-アルギニン塩酸塩の結晶化試験を行った。
Claims (2)
- L-アルギニン塩酸塩水溶液を、42℃より高い温度での晶析に供してL-アルギニン塩酸塩の無水物結晶を析出させた後、得られたL-アルギニン塩酸塩の無水物結晶を含む溶液をL-アラニン、L-α-アミノブチル酸及びL-ノルバリンからなる群より選ばれるアミノ酸の共存下で冷却することを特徴とするL-アルギニン塩酸塩の無水物結晶の製造方法。
- L-アラニン、L-α-アミノブチル酸及びL-ノルバリンからなる群より選ばれるアミノ酸を共存させる際、L-アルギニン塩酸塩に対して0.5重量%以上の該アミノ酸を共存させることを特徴とする請求項1記載のL-アルギニン塩酸塩の無水物結晶の製造方法。
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