JP6182094B2 - 無段変速機構 - Google Patents

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Description

本発明は、回転軸に対して等距離を維持しながら径方向に可動に且つ一体回転(回転軸まわりの公転)するように支持されて回転軸の軸心に対して公転する複数のピニオンスプロケット及びガイドロッドとこれらに巻き掛けられたチェーンとにより動力伝達する無段変速機構に関するものである。
従来、プライマリプーリとセカンダリプーリとに駆動ベルトが巻き掛けられ、各プーリの可動シーブに加える推力により各プーリと駆動ベルトとの間に発生した摩擦力を用いて動力伝達するベルト式無段変速機が、例えば車両用変速機として実用化されている。
かかる無段変速機では、大きな動力を伝達する際に、推力を増大させて摩擦力を確保することが必要である。この際、推力発生用のオイルポンプを駆動する駆動源(エンジン又は電動モータ)の負担が増大し、これにかかる燃料消費量又は電力消費量の増加を招いてしまうおそれがあり、また、各プーリや駆動ベルトには過大な推力が加わるので、構造的に滑りが発生する部分では大きな摩擦損失が発生する。
そこで、上記の推力や摩擦力を用いずに、複数のピニオンスプロケットとこれに巻き掛けられたチェーンとにより動力伝達する無段変速機構が開発されている。
このような無段変速機構としては、回転軸の軸心に対して等距離を維持しながら径方向に可動に且つ一体回転するように支持されて回転軸の軸心に対して公転する複数のピニオンスプロケット及びガイドロッドがそれぞれ多角形の頂点をなすようにして形成された見かけ上の大スプロケット(ここでは、「複合スプロケット」と呼ぶことにする)が、入力側及び出力側のそれぞれに設けられ、これらの複合スプロケットに巻き掛けられたチェーンによって動力伝達するものが挙げられる。
例えば、複数のピニオンスプロケット及びガイドロッドの一側に二つディスク(スピンドル)が並設され、それぞれのディスクに放射状溝が設けられ、回転軸と一体に回転する固定ディスクの放射状溝(以下、「固定放射状溝」という)と回転軸に対して回転可能な可動ディスクの放射状溝(以下、「可動放射状溝」という)とが互いに交差するように配置され、固定放射状溝と可動放射状溝とが交差する箇所にピニオンスプロケット及びガイドロッドの各軸が支持されたものが提案されている。固定放射状溝は、固定ディスクの径方向に沿う直線状に形成され、可動放射状溝は、可動ディスクの径方向に対して傾斜する曲線状に形成されている。
固定ディスクと可動ディスクとの相対角度(位相)が変更されると、固定放射状溝と可動放射状溝との交差箇所が径方向に移動するため、かかる交差箇所に軸支されたピニオンスプロケット及びガイドロッドのそれぞれは、両ディスクの相対回転により径方向に移動される。このように、ピニオンスプロケット及びガイドロッドのそれぞれが回転軸に対して等距離を維持しながら同期して径方向に移動することで、多角形の大きさが相似的に変化して複合スプロケットが拡縮径することにより、変速比が変化する。
このような無段変速機構が例えば特許文献1に示されている。
米国特許第7713154号
ところで、複合スプロケットにかかる多角形が円形に近いほど、チェーンの巻き掛け半径の変動が小さくなり、騒音の低減や動力伝達効率の向上といった効果を得ることができる。かかる観点から、複合スプロケットにかかる多角形の頂点の数、即ち、ピニオンスプロケット及びガイドロッドの数を増やすことが有効である。
また、固定放射状溝と可動放射状溝との交差角度が大きいほど、固定ディスクに対する可動ディスクの回転トルクを低減させることができ、両放射状溝におけるピニオンスプロケット及びガイドロッドの各軸のひっかかり(スティック)を抑制することができる。かかる観点からは、固定放射状溝と可動放射状溝との交差角度を確保することが有効である。
しかしながら、前者の観点から、ピニオンスプロケット及びガイドロッドの数を増やすと、これらを案内する放射状溝どうしの間隔が小さくなってしまう。
これに加えて、後者の観点から、固定放射状溝に対して可動放射状溝の交差角度を大きくするとなると、可動放射状溝が径方向に対して更に傾斜した曲線状をなし、特に可動放射状溝の内周部(内周側の部分)における間隔を確保することができないおそれがある。延いては、可動放射状溝どうしが干渉してしまうおそれがある。これにより、可動ディスクの耐久性の低下を招き、延いては、可動ディスクの破損を招いてしまうおそれがある。
このように、ピニオンスプロケット及びガイドロッドの数の確保と固定放射状溝に対する可動放射状溝の交差角度の確保とを両立するのが困難という課題がある。
本発明の目的の一つは、上記のような課題に鑑み創案されたもので、ピニオンスプロケット及びガイドロッドの数を確保するとともに固定放射状溝に対する可動放射状溝の交差角度を確保することができるようにした、無段変速機構を提供することである。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的として位置づけることができる。
(1)上記の目的を達成するために、本発明の無段変速機構は、動力が入力又は出力される回転軸と、前記回転軸に対して径方向に可動に支持された複数のピニオンスプロケット及び複数のガイドロッドと、前記複数のピニオンスプロケット及び前記複数のガイドロッドを前記回転軸の軸心から等距離を維持させながら前記径方向に同期させて移動させる移動機構とを有する複合スプロケットを二組と、前記二組の複合スプロケットに巻き掛けられたチェーンとを備え、前記複数のピニオンスプロケット及び前記複数のガイドロッドの何れもを囲み且つ前記複数のピニオンスプロケット及び前記複数のガイドロッドの何れにも接する円の半径である接円半径の変更によって変速比を変更する無段変速機構であって、前記移動機構は、前記複数のピニオンスプロケット及び前記複数のガイドロッドの各支持軸が内挿される固定放射状溝が複数形成され、前記回転軸と一体回転する固定ディスクと、前記固定放射状溝のそれぞれと交差する交差箇所に前記支持軸が位置する可動放射状溝が複数形成され、前記固定ディスクに対して同心に配置され且つ相対回転可能な可動ディスクと、を備え、前記固定放射状溝の内周部と前記可動放射状溝の内周部とは、前記径方向に対して互いに反対方向に傾斜して設けられることを特徴としている。
(2)前記径方向に対して、前記固定放射状溝の前記内周部が傾斜する第一角度よりも
前記可動放射状溝の前記内周部が傾斜する第二角度の方が大きく設定されることが好まし
い。
(3)前記固定放射状溝は直線状に形成されることが好ましい。
(4)前記移動機構は、前記可動ディスクを前記固定ディスクに対して相
対回転駆動して、前記交差箇所を前記径方向に移動させる相対回転駆動機構を備えること
が好ましい。
本発明の無段変速機構によれば、固定放射状溝の内周部と可動放射状溝の内周部とが径方向に対して互いに反対方向に傾斜して設けられているため、固定放射状溝の内周部と可動放射状溝の内周部との交差角度を確保することができる。これにより、複数のピニオンスプロケット及びガイドロッドの径方向移動にかかる固定ディスクに対する可動ディスクの回転トルクを低減させることができ、固定放射状溝及び可動放射状溝におけるピニオンスプロケット及びガイドロッドの各支持軸のひっかかり(スティック)を抑制することができる。
また、従来構造のように、固定放射状溝が径方向に沿う直線状のものに比較して、固定放射状溝と可動放射状溝との交差角度を確保しながら径方向に対する可動放射状溝の傾きを小さくすることができ、従来の可動放射状溝では確保が困難であった可動放射状溝の内周部どうしの間隔を確保することができる。このため、可動放射状溝の溝数を確保し、ピニオンスプロケット及びガイドロッドの数を確保することができる。これにより、チェーンの巻き掛け半径の変動を抑制することができ、静音性の向上や動力伝達性の向上に寄与する。
これらより、ピニオンスプロケット及びガイドロッドの数を確保するとともに固定放射状溝に対する可動放射状溝の交差角度を確保することができる。
本発明の一実施形態にかかる無段変速機構の複合スプロケット及びチェーンに着目した要部を模式的に示す径方向断面図(横断面図)である。 本発明の一実施形態にかかる無段変速機構のピニオンスプロケット等の径方向移動用の相対回転駆動機構に着目した要部を模式的に示す軸方向断面図(縦断面図)である。 本発明の一実施形態にかかる無段変速機構の固定ディスクに着目して示す側面図である。この図3は、図2の矢視A−Aに対応している。 本発明の一実施形態にかかる無段変速機構の可動ディスクに着目して示す側面図である。この図4は、図2の矢視B−Bに対応している。 本発明の一実施形態にかかる無段変速機構においてピニオンスプロケット等の径方向移動用の固定ディスク及び可動ディスクとこれらによって移動されるピニオンスプロケット及びガイドロッドの各支持軸とを示し、スプロケット移動機構及びロッド移動機構を説明する図であり、(a),(b),(c)の順に接円半径が大きくなっている。なお、接円半径が、最小径のものを(a)に示し、最大径のものを(c)に示す。 本発明の一実施形態にかかる無段変速機構の径方向断面図である。この図6は、図2のC−C矢視断面図である。 本発明の一実施形態にかかる無段変速機構の径方向断面図である。この図7は、図2のD−D矢視断面図である。 本発明の一実施形態にかかる無段変速機構の第一カム溝及び第二カム溝を拡大して示す要部拡大図である。この図8は、図2のE−E矢視図である。 本発明の一実施形態にかかる無段変速機構のチェーン及びこれをガイドするガイドロッドの一部を取り出して模式的に示す斜視図である。
以下、図面を参照して、本発明の無段変速機構にかかる実施の形態を説明する。本実施形態の無段変速機構は、車両用変速機に用いて好適である。なお、本実施形態では、無段変速機構における回転軸の軸心に近い側(公転軸側)を内側とし、その反対側を外側として説明する。
〔一実施形態〕
以下、一実施形態にかかる無段変速機構について説明する。
〔1.構成〕
無段変速機構は、図1に示すように、二組の複合スプロケット5,5と、これらの複合スプロケット5,5に巻き掛けられたチェーン6とを備えている。なお、複合スプロケット5とは、詳細を後述する複数のピニオンスプロケット20及び複数のガイドロッド29が多角形(ここでは十八角形)の頂点をなすようにして形成された見かけ上の大スプロケットを意味する。
二組の複合スプロケット5,5のうち、一方は、入力側の回転軸1(入力軸)と同心に一体回転する一組の複合スプロケット5(図1では左方に示す)であり、他方は、出力側の回転軸1(出力軸)と同心に一体回転する複合スプロケット5(図1では右方に示す)である。これらの複合スプロケット5,5はそれぞれ同様に構成されているため、下記の説明では、入力側の複合スプロケット5に着目し、その構成を説明する。
複合スプロケット5は、回転軸1と、この回転軸1に対して径方向に可動に支持された複数(ここでは三個)のピニオンスプロケット20及び複数(ここでは十五本)のガイドロッド(第一ガイドロッド)29とを有している。三個のピニオンスプロケット20は、回転軸1の軸心C1を中心にした円周上において周方向に沿って等間隔に配置され、ピニオンスプロケット20の相互間にはそれぞれ五本のガイドロッド29が配置されている。
図1には示さないが、複合スプロケット5は、複数のピニオンスプロケット20を移動させるスプロケット移動機構40Aと、スプロケット移動機構40Aに連動してピニオンスプロケット20に含まれる自転ピニオンスプロケット22,23を自転駆動する機械式自転駆動機構50と、複数のガイドロッド29を移動させるロッド移動機構40Bとを備えている(図2,図5〜図7参照)。これらについては、詳細を後述する。
この無段変速機構は、ピニオンスプロケット20及びガイドロッド29が多角形の頂点をなすようにして形成された見かけ上の大スプロケットの外径、即ち、複合スプロケット5の外径を変更(拡縮径)することによって変速比を変更するものである。
複合スプロケット5の外径とは、複数のピニオンスプロケット20の何れもを囲み、且つ、複数のピニオンスプロケット20の何れにも接する円(接円)の半径(以下、「接円半径」という)に対応するものである。また、複合スプロケット5にはチェーン6が巻き掛けられるため、複合スプロケット5の外径は、複数のピニオンスプロケット20とチェーン6との接触半径、即ち、複合スプロケット5のピッチ円の半径に対応するものともいえる。
なお、図1には、入力側の接円半径が最小径であり、出力側の接円半径が最大径のものを示している。
このように、無段変速機構は、接円半径の変更によって変速比を変更するものである。例えば、複合スプロケット5,5の接円半径が等しければ、無段変速機構は変速比が1(一方の複合スプロケット5と他方の複合スプロケット5との動力伝達比が1:1)をなす。
以下、無段変速機構の構成を、複合スプロケット5及びこれに巻き掛けられるチェーン6の順に説明する。
〔1−1.複合スプロケット〕
以下の複合スプロケット5にかかる構成の説明では、ピニオンスプロケット20,ガイドロッド29,スプロケット移動機構40A,ロッド移動機構40B,機械式自転駆動機構50の順に説明する。
〔1−1−1.ピニオンスプロケット〕
三個のピニオンスプロケット20は、それぞれチェーン6と噛合って動力伝達する歯車として構成され、回転軸1の軸心C1周りに公転する。ここでいう「公転」とは、各ピニオンスプロケット20が、回転軸1の軸心C1を中心に回転することを意味する。回転軸1が回転すると、この回転に連動して各ピニオンスプロケット20が公転する。つまり、回転軸1の回転数とピニオンスプロケット20が公転する回転数とは等しい。なお、図1には、白抜きの矢印で反時計回りの公転方向を示している。
これらのピニオンスプロケット20は、自転しない一つのピニオンスプロケット(以下、「固定ピニオンスプロケット」という)21と、この固定ピニオンスプロケット21を基準に公転の回転位相が進角側及び遅角側のそれぞれに配置され自転可能な二つの自転ピニオンスプロケット22,23とから構成されている。なお、以下の説明では、固定ピニオンスプロケット21を基準に進角側に設けられたピニオンスプロケット(進角側自転ピニオンスプロケット)を第一自転ピニオンスプロケット22と呼び、遅角側に設けられたピニオンスプロケット(遅角側自転ピニオンスプロケット)を第二自転ピニオンスプロケット23と呼んで区別する。
各ピニオンスプロケット21,22,23は、何れも、その中心に設けられた支持軸(ピニオンスプロケット軸)21a,22a,23aに対して結合されている。ここでいう「自転」とは、各自転ピニオンスプロケット22,23がその支持軸22a,23aの軸心C3,C4周りに回転することを意味する。なお、各支持軸21a,22a,23aの軸心C2,C3,C4及び回転軸1の軸心C1は、何れも相互に平行である。
固定ピニオンスプロケット21は、本体部21bとこの本体部21bの外周部全周に形成された歯21cとを有する。同様に、自転ピニオンスプロケット22,23は、何れも本体部22b,23bとこの本体部22b,23bの外周部全周に突出形成された歯22c,23cとを有する。
当然ながら、各ピニオンスプロケット21,22,23に形成される歯の形状寸法及びピッチは同一規格のものとなっている。
詳細は後述するが、第一自転ピニオンスプロケット22は、接円半径の拡径時に時計回りに自転し、接円半径の縮径時に反時計回りに自転する。一方、第二自転ピニオンスプロケット23は、接円半径の拡径時に反時計回りに自転し、接円半径の縮径時に時計回りに自転する。
なお、第一自転ピニオンスプロケット22と第二ピニオンスプロケット23とは、配設箇所及び自転方向が異なるのを除いて同様に構成されるため、ここでは、第一自転ピニオンスプロケット22に着目して説明する。
本実施形態では、図2に示すように、第一自転ピニオンスプロケット22は、軸方向に三列の歯車を備え、図示省略するが、固定ピニオンスプロケット21,第二自転ピニオンスプロケット23もそれぞれ軸方向に三列の歯車を備え、これらの各列の歯車に対応してチェーン6も三本巻き掛けられている。このように、各ピニオンスプロケット21,22,23は、軸方向に三列の歯車を有する。ここでは、各ピニオンスプロケット20の三列の歯車は、スペーサを介し互いに間隔をあけて設けられている。
各ピニオンスプロケット21,22,23の歯車の列数は、無段変速機構の伝達トルクの大きさによるが、二列又は四列以上であってもよいし一列であってもよい。また、図2には、理解容易のため模式的に示しており、同断面に第一自転ピニオンスプロケット22及び後述する相対回転駆動機構30を示している。
なお、図示省略するが、各ピニオンスプロケット21,22,23において、各支持軸21a,22a,23aに対して自転を規制しつつ微小回転(一定範囲内での回転)を許容して動力伝達を実現する位相ズレ許容動力伝達機構が装備されていてもよい。かかる位相ズレ許容動力伝達機構としては、ピニオンスプロケット21,22,23の内周側に一体回転するように装備されたキー部材と、ピニオンスプロケット21,22,23の支持軸21a,22a,23aの外周側に形成されてキー部材が回転方向に遊びをもって係合するキー溝と、キー部材がキー溝の回転方向の中立位置に位置するように、キー部材を回転方向の正転と逆転方向との双方から付勢する付勢部材とを備え、回転方向の中立位置に付勢し回転を弾性的に規制するものを用いることができる。この場合、ピニオンスプロケット21,22,23の本体部21b,22b,23bは、支持軸21a,22a,23aに対して微小な回転が許容されつつ動力伝達することができる。
〔1−1−2.ガイドロッド〕
図1に示すように、複数のガイドロッド29は、チェーン6と回転軸1の軸心C1との距離の変動を小さくするように、つまり、回転軸1周りのチェーン6の軌道を可能な限り円軌道に近づけるように、チェーン6をガイドするものである。これらのガイドロッド29は、その径方向外側の周面に当接するチェーン6の軌道をガイドする。ピニオンスプロケット21,22,23及び各ガイドロッド29は多角形(略正多角形)の形状をなすので、チェーン6は、その径方向内側のピニオンスプロケット21,22,23及び各ガイドロッド29に当接しガイドされながら多角形の形状に沿って転動する。
図1及び図2に示すように、ガイドロッド29は、ロッド支持軸29a(図1では破線で示す)の外周に円筒状のガイド部材29bが外挿されたものであり、ロッド支持軸29aによって支持され、ガイド部材29bの外周面でチェーン6(図1及び図2参照)をガイドする。
なお、ガイドロッド29の本数は、十五本に限らず、これよりも多くてもよいし少なくてもよい。この場合、ガイドロッド29の本数は、ピニオンスプロケット20の相互間の数(ここでは三つ)の倍数であることが好ましい。また、ガイドロッド29を多く設けるほど複合スプロケット5を真円に近づけ、チェーン6と回転軸1の軸心C1との距離の変動を小さくすることができるが、パーツの増加による製造コストや重量の増加を招くため、これらを考慮してガイドロッド29の本数を設定することが好ましい。
〔1−1−3.スプロケット移動機構,ロッド移動機構及び機械式自転駆動機構〕
次に、スプロケット移動機構40A,ロッド移動機構40B,機械式自転駆動機構50をそれぞれ説明する。
スプロケット移動機構40Aは、複数のピニオンスプロケット20を移動対象とし、また、ロッド移動機構40Bは、複数のガイドロッド29を移動対象としている。
これらの移動機構40A,40Bは、各移動対象(複数のピニオンスプロケット20,複数のガイドロッド29)を回転軸1の軸心C1から等距離を維持させながら径方向に同期して移動させるものである。
機械式自転駆動機構50は、スプロケット移動機構40Aによる複数のピニオンスプロケット20の径方向移動に伴って、チェーン6に対する複数のピニオンスプロケット20の位相ズレを解消するように自転ピニオンスプロケット22,23をスプロケット移動機構40Aと連動して自転駆動するものである。
〔1−1−3−1.前提構成〕
まず、図2を参照して、上記の機構40A,40B,50の前提構成を説明する。ここでは、かかる前提構成として、回転軸1と一体に回転する固定ディスク10(径方向移動用固定ディスク,自転用固定ディスク)と、この固定ディスク10に対して同心に配置され且つ相対回転可能な可動ディスク19と、固定ディスク10と一体に回転する第一回転部15と、可動ディスク19と一体に回転する第二回転部16と、可動ディスク19を固定ディスク10に対して相対回転駆動する相対回転駆動機構30との順にそれぞれを説明する。
固定ディスク10,可動ディスク19,第一回転部15,第二回転部16は、回転軸1の軸心C1と同心に配設されており、ディスク10,19における径方向は回転軸1の径方向と一致する。
なお、固定ディスク10及び可動ディスク19は、複数のピニオンスプロケット20の両側(回転軸1の軸心C1に沿う方向の一側及び他側)にそれぞれ設けられているが、ここでは一側(図2の上方側)に設けられた固定ディスク10,可動ディスク19に着目し、その構成を説明する。
〔1−1−3−1−1.固定ディスク〕
固定ディスク10は、回転軸1と一体に形成されるか、或いは、何れも回転軸1と一体回転するように結合されている。なお、図2では、複数のピニオンスプロケット20側から軸方向外側に向けて可動ディスク19,固定ディスク10の順に配置されたもの例示する。
図3に示すように、固定ディスク10には、各ピニオンスプロケット21,22,23に対応して設けられたスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cと各ガイドロッド29に対応して設けられたロッド用固定放射状溝12(一箇所のみに符号を付す)との二種の放射状溝が形成されている。なお、図3には、白抜きの矢印で反時計回りの公転方向を示している。
以下、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11c,ロッド用固定放射状溝12の順に説明する。
〔1−1−3−1−1−1.スプロケット用固定放射状溝〕
スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cには、ピニオンスプロケット21,22,23の支持軸21a,22a,23aが内挿されている。固定ピニオンスプロケット21に対応するスプロケット用固定放射状溝11aは、固定ピニオンスプロケット21の径方向移動を案内する溝(固定ピニオンスプロケット案内溝)といえ、同様に、第一自転ピニオンスプロケット22に対応するスプロケット用固定放射状溝11bは、第一自転ピニオンスプロケット22の径方向移動を案内する溝といえ、第二自転ピニオンスプロケット23に対応するスプロケット用固定放射状溝11cは、第二自転ピニオンスプロケット23の径方向移動を案内する溝といえる。このため、これらのスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cは、対応するピニオンスプロケット21,22,23の径方向移動経路に沿っている。
ここで、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cの配設箇所を説明するために、ピニオンスプロケット21,22,23の支持軸21a,22a,23aの径方向位置について述べる。
ピニオンスプロケット21,22,23における支持軸21a,22a,23aの軸心C2,C3,C4と回転軸1の軸心C1との距離は、接円半径が最小径であるときに最小距離(以下、「最小径」という)r1となり、接円半径が最大径であるときに最大距離(以下、「最大径」という)r3となり、各複合スプロケット5(図1及び図2参照)の接円半径が互いに等しくなるときに最小径r1と最大径r3との中間距離(以下、「中間径」という)r2となる。
固定ディスク10におけるスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cの径方向位置は、ピニオンスプロケット21,22,23の支持軸21a,22a,23aの移動範囲に応じて、最小径r1,中間径r2及び最大径r3に跨って配設されている。
これらのスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cは、配設箇所を除いて同様に構成されているため、以下の説明では、スプロケット用固定放射状溝11aに着目して説明する。また、スプロケット用固定放射状溝11aにかかる説明では、固定ピニオンスプロケット21を単にピニオンスプロケット21と呼ぶ。
まず、スプロケット用固定放射状溝11aにおける接円半径に対応するピニオンスプロケット21の支持軸21aの位置を説明する。
スプロケット用固定放射状溝11aにおいて、内周側端部111には、接円半径が最小径であるときピニオンスプロケット21の支持軸21aが位置し、外周側端部113には、接円半径が最大径であるときにピニオンスプロケット21の支持軸21a(二点鎖線で示す)が位置し、径方向中間部112には、各複合スプロケット5の接円半径が互いに等しくなるときにピニオンスプロケット21の支持軸21a(二点鎖線で示す)が位置する。
このスプロケット用固定放射状溝11aは、径方向中間部112よりも内周側端部111側の内周部11iと、径方向中間部112よりも外周側端部113側の外周部11oとに大別することができる。
次に、スプロケット用固定放射状溝11aの形態について説明する。
スプロケット用固定放射状溝11aは、径方向に対して傾斜して設けられている。ここでは、スプロケット用固定放射状溝11aのうち内周側端部111に着目して説明する。
具体的には、スプロケット用固定放射状溝11aが径方向θsに対して直交する第一の周方向(ここでは公転方向)に向けて第一角度αだけ傾斜して配設されている。このため、スプロケット用固定放射状溝11aは、外周に向かうに連れて径方向θsに対して第一の周方向に向けて離隔することとなる。ここでいう径方向θsは、内周側端部111の位相における軸中心を通過する径方向線の方向である。
ここでは、スプロケット用固定放射状溝11aが直線状に形成されている。このため、スプロケット用固定放射状溝11aは、径方向位置が外周に向かうに連れて径方向に対する傾斜角度が小さくなる。
〔1−1−3−1−1−2.ロッド用固定放射状溝〕
ロッド用固定放射状溝12(一箇所のみに符号を付す)には、対応するガイドロッド29のロッド支持軸29a(一箇所のみに符号を付す)が内挿されている。なお、ロッド用固定放射状溝12は、それぞれ配設箇所が異なる点を除いては同様に構成されている。
ロッド用固定放射状溝12は、上記のスプロケット用固定放射状溝11aと同様に、径方向に対して第一の周方向(公転方向)に向けて傾斜して設けられている。また、ロッド用固定放射状溝12は、直線状に形成されている。
図3では、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11の相互間のそれぞれに五本のロッド用固定放射状溝12(ここでは、公転方向とは反対方向へ向かう順に、スプロケット用固定放射状溝11cに近い方から順に、第一ロッド用固定放射状溝121,第二ロッド用固定放射状溝122,第三ロッド用固定放射状溝123,第四ロッド用固定放射状溝124,第五ロッド用固定放射状溝125と呼んで区別する)が設けられたものを例示する。
具体的には、五本のロッド用固定放射状溝121,122,123,124,125のうち、径方向に対して第一の周方向へ向けた傾斜角度が、第一ロッド用固定放射状溝121,第一ロッド用固定放射状溝122,第一ロッド用固定放射状溝123の順に小さくなる。なお、第四ロッド用固定放射状溝124は、径方向に沿って配設され、第五ロッド用固定放射状溝125は、径方向に対して第一の周方向とは反対方向に向けて傾斜して配設されている。
これらのロッド用固定放射状溝121,122,123,124,125は、ピニオンスプロケット20(図1参照)が何れの径方向位置にあるときでもピニオンスプロケット20間にガイドロッド29が等間隔に位置するように、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cに合わせて配設されている。
なお、複数のロッド用固定放射状溝12が、何れも径方向に対して第一の周方向に傾斜して設けられていてもよい。この場合、各ロッド用固定放射状溝12の傾斜角度を等しく設定することもできる。
〔1−1−3−1−2.可動ディスク〕
図2に示すように、可動ディスク19は、ピニオンスプロケット20を挟んで一側及び他側のそれぞれに設けられる。これらの可動ディスク19は、連結シャフト19Aで互いに連結されている。ここでは、図1に示すように、各ピニオンスプロケット21,22,23の相互間にそれぞれ連結シャフト19A(一箇所にのみ符号を付す)が設けられている。これにより、一側の可動ディスク19と他側の可動ディスク19とが一体に回転する。
図4及び図5に示すように、可動ディスク19(図5には破線で示す)には、スプロケット用可動放射状溝19aとロッド用可動放射状溝19b(何れも一箇所のみに符号を付し、図5には破線で示す)との二種の可動放射状溝が形成されている。なお、可動ディスク19の外形は円形であり、円形である固定ディスク10の外形と一致して重合するが、図5では便宜上の可動ディスク19の外形円を縮小して示している。
〔1−1−3−1−2−1.スプロケット用可動放射状溝〕
スプロケット用可動放射状溝19aのそれぞれは、上記のスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cのそれぞれに交差して設けられる。スプロケット用可動放射状溝19aとスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cとが交差する第一交差箇所CP1(図5のそれぞれに一箇所のみ符号を付す)には、ピニオンスプロケット21,22,23の各支持軸21a,22a,23aが位置する。
各スプロケット用可動放射状溝19aは、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cのそれぞれに対応する形状に設けられている。
スプロケット用可動放射状溝19aは、配設箇所を除いてそれぞれ同様に構成されているため、以下の説明では、固定ピニオンスプロケット21に対応するスプロケット用可動放射状溝19aに着目して説明する。また、スプロケット用可動放射状溝19a及びロッド用可動放射状溝19bにかかる説明では、固定ピニオンスプロケット21を単にピニオンスプロケット21と呼ぶ。
図4に示すように、スプロケット用可動放射状溝19aは、上記のスプロケット用固定放射状溝11aと同様に、最小径r1,中間径r2及び最大径r3に跨って配設されている。
まず、スプロケット用可動放射状溝19aにおける接円半径に対応するピニオンスプロケット21の支持軸21aの位置を説明する。
スプロケット用可動放射状溝19aにおいて、内周側端部191には、接円半径が最小径であるときにピニオンスプロケット21の支持軸21aが位置し、外周側端部193には、接円半径が最大径であるときにピニオンスプロケット21の支持軸21a(二点鎖線で示す)が位置し、径方向中間部192には、各複合スプロケット5の接円半径が互いに等しくなるときにピニオンスプロケット21の支持軸21a(二点鎖線で示す)が位置する。
このスプロケット用可動放射状溝19aは、径方向中間部192よりも内周側端部191側の内周部19iと、径方向中間部192よりも外周側端部193側の外周部19oとに大別することができる。
次に、スプロケット用可動放射状溝19aの形態について説明する。
スプロケット用可動放射状溝19aは、径方向に対して第一の周方向とは反対方向の第二の周方向(ここでは公転方向に対して反対方向)に向けて傾斜して設けられている。ここでは、スプロケット用可動放射状溝19aのうち内周側端部191に着目して説明する。
具体的には、スプロケット用可動放射状溝19aが径方向θcに対して第二の周方向に第二角度βだけ傾斜して配設されている。なお、ここでいう径方向θcは、内周側端部191の位相における軸中心を通過する径方向線に対応している。このため、スプロケット用可動放射状溝19aの内周側端部191とスプロケット用固定放射状溝11aの内周側端部111との交差角度は、第一角度αと第二角度βとを加算した角度となる。
このように、スプロケット用固定放射状溝11aとスプロケット用可動放射状溝19aとは、径方向に対して互いに反対方向に傾斜して設けられている。
この第二角度βは、上記の第一角度αよりも大きく設定されている。
このスプロケット用可動放射状溝19aは曲線状に形成されている。この曲線は、内周から外周に向かうに連れて、径方向に対する傾斜角度が大きくなるように設定される。このため、スプロケット用可動放射状溝19aが径方向に対して傾斜する角度のうち最小の角度(即ち、内周側端部191の第二角度β)が、スプロケット用固定放射状溝11aが径方向に対して傾斜する角度のうち最大の角度(内周側端部111の第一角度α)よりも大きく設定されている。
ここでは、スプロケット用可動放射状溝19aの形状は、スプロケット用固定放射状溝11aに対応して設定され、固定ディスク10に対する可動ディスク19の相対回転角度と支持軸21aの径方向位置の変位量とが比例関係を有するように設定される。言い換えれば、単位あたりの相対回転角度に対応する支持軸21aの径方向位置の変位量が一定となる曲線状に、スプロケット用可動放射状溝19aの形状が設定される。なお、単位あたりの相対回転角度に対応する支持軸21aの径方向位置の変位量は一定でなくてもよく、これに対応する形状のスプロケット用可動放射状溝19aを用いてもよい。
〔1−1−3−1−2−2.ロッド用可動放射状溝〕
図5に示すように、ロッド用可動放射状溝19bは、上記のロッド用固定放射状溝12と交差して設けられ、これらの交差箇所に各ロッド支持軸29aが配設される。なお、ロッド用可動放射状溝19bは、それぞれ配設箇所が異なる点を除いては同様に構成されている。
各ロッド用可動放射状溝19bは、スプロケット用固体放射状溝11aに対してスプロケット用可動放射状溝19aの形状が設定されるのと同様に、ロッド用固定放射状溝12のそれぞれに対応する形状に設けられている。
このロッド用可動放射状溝19bとロッド用固定放射状溝12とは、径方向に対して反対方向に傾斜して設けられている。すなわち、ロッド用可動放射状溝19bは、上記のスプロケット用可動放射状溝19aと同様に、径方向に対して第二の周方向(公転方向に対して反対方向)に向けて傾斜して設けられている。
また、同径方向位置において比較したときに、ロッド用可動放射状溝19bにかかる第二の周方向への傾斜角度よりもロッド用固定放射状溝12における第一の周方向へ向けた傾斜角度の方が小さく設定されている。ここでは、ロッド用可動放射状溝19bが径方向に対して傾斜する角度のうち最小の角度が、ロッド用固定放射状溝12が径方向に対して第一の周方向に傾斜する角度のうちの最大の角度よりも大きく設定されている。
図4では、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cの相互間に五本のロッド用可動放射状溝19b(ここでは、公転方向とは反対方向へ向かう順に、スプロケット用可動放射状溝19aに近い方から順に、第一ロッド用可動放射状溝19b1,第二ロッド用可動放射状溝19b2,第三ロッド用可動放射状溝19b3,第四ロッド用可動放射状溝19b4,第五ロッド用可動放射状溝19b5と呼んで区別する)が設けられたものを例示する。
ここでは、同径方向位置で比較したときに、径方向に対する傾斜角度は、第一ロッド用可動放射状溝19b1,第二ロッド用可動放射状溝19b2,第三ロッド用可動放射状溝19b3,第四ロッド用可動放射状溝19b4,第五ロッド用可動放射状溝19b5の順に大きくなっている。
第一ロッド用可動放射状溝19b1は第一ロッド用固定放射状溝121に対応し、同様に、ロッド用可動放射状溝19b2,19b3,19b4,19b5はロッド用固定放射状溝122,123,124,125にそれぞれ対応している。各ロッド用可動放射状溝19b1,19b2,19b3,19b4,19b5と対応するロッド用固定放射状溝121,122,123,124,125との交差角度は等しく設定されており、各ロッド用可動放射状溝19b1,19b2,19b3,19b4,19b5と対応するロッド用固定放射状溝121,122,123,124,125とが対応する形状(径方向に対する傾斜角度)に設定されている。
このように、第一の周方向に傾斜していないロッド用固定放射状溝124,125に対応するロッド用可動放射状溝19b4,19b5は、径方向に対する傾斜角度が大きいため、ロッド用固定放射状溝124,125とロッド用可動放射状溝19b4,19b5との交差角度が確保されている。
なお、複数のロッド用固定放射状溝12が、何れも径方向に対して第一の周方向に向けて等しく傾斜して設けられていれば、各ロッド用可動放射状溝19bにかかる第二の周方向へ向かう傾斜角度も等しく設定することができる。
また、径方向に対する傾斜角度が、ロッド用可動放射状溝19bにおいては内周から外周に向かうに連れて大きくなる。
なお、ロッド用可動放射状溝19bは、ピニオンスプロケット20(図1参照)が何れの径方向位置にあるときでもピニオンスプロケット20間にガイドロッド29が等間隔に位置するように、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cに合わせて配設されている。
〔1−1−3−1−3.第一回転部〕
図2に示すように、第一回転部15は、固定ディスク10と一体回転する部分、即ち、回転軸1と一体回転する部分である。ここでは、第一回転部15が回転軸1の一部に設けられている。この第一回転部15は、固定ディスク10及び可動ディスク19よりも軸方向外側に配設されている。
図2,図7及び図8に示すように、第一回転部15には、第一カム溝15aが設けられている。この第一カム溝15aは、回転軸1の軸方向に沿って凹設して設けられている。ここでは、第一カム溝15aが回転軸1の軸心C1と平行に形成されている。図7には、第一カム溝15a(一箇所のみに符号を付す)が周方向に間隔をおいて三箇所に設けられたものを例示するが、第一カム溝15aの形成箇所や形成個数は、周囲の構成や要求仕様等に応じて設定すればよく、種々の形状や個数のものを採用することができる。
〔1−1−3−1−4.第二回転部〕
図2,図6及び図7に示すように、第二回転部16は、可動ディスク19と接続部17を介して接続されている。なお、図6及び図7には、白抜きの矢印で反時計回りの公転方向を示している。
まず、接続部17について説明する。
接続部17は、可動ディスク19及び第二回転部16と一体に回転し、固定ディスク10を覆うように配設されている。この接続部17は、固定ディスク10の外周(径方向外側)を覆う軸方向接続部17aと、固定ディスク10の軸方向外側を覆う径方向接続部17bとを有する。
接続部17においては、可動ディスク19と第二回転部16との接続のうち、軸方向成分の離隔分を接続しているのが軸方向接続部17aであり、径方向の離隔分を接続しているのが径方向接続部17bである。
軸方向接続部17aは、回転軸1の軸心C1と同心に設けられるとともに軸方向に延びる円筒形状をなしている。この軸方向接続部17aは、図2に示すように、軸方向内側が可動ディスク19の外周端部(外周部)19tに結合され、軸方向外側が次に説明する径方向接続部17bに接続されている。
図2,図6及び図7に示すように、径方向接続部17bは、径方向外側が軸方向接続部17aに接続され、径方向内側が第二回転部16に接続されている。この径方向接続部17bは、回転軸1の軸心C1と同心に設けられるとともに径方向に延在する円盤から次に説明する肉抜き部17cによって肉抜きされた形状をなしている。
図6及び図7に示すように、径方向接続部17bには、肉抜き部17cが設けられている。この肉抜き部17cは、詳細を後述する機械式自転駆動機構50のラック53,54及びピニオン51,52に対応する箇所に形成されている。図6には、三箇所に設けられた扇形の肉抜き部17cが、相互間に径方向接続部17bを挟んで等間隔に設けられたものを例示している。ただし、肉抜き部17cの形状や形成個数は、周囲の構成や要求仕様等に応じて設定すればよく、種々の形状や個数のものを採用することができる。
次に、第二回転部16について説明する。
図2,図6及び図7に示すように、第二回転部16は、第一回転部15の外周(径方向外側)を覆うように設けられ、回転軸1の軸心C1と同心の円筒形状に形成されている。ここでは、図2に示すように、第二回転部16が、可動ディスク19の外周端部19tから内周側にシフトされて軸方向に沿って設けられている。
図2及び図8に示すように、第二回転部16には、第二カム溝16aが設けられている。この第二カム溝16aは、第一カム溝15aの外周に隣接して設けられ、また、第一カム溝15aと交差するとともに回転軸1に沿って設けられている。なお、第二カム溝16aは、回転軸1の軸方向に交差するように設けられている。
図7には、第二カム溝16a(一箇所にのみ符号を付す)が周方向に間隔をおいて三箇所に設けられたものを例示するが、第二カム溝15aの形成箇所や形成個数は、第一カム溝15aの形成箇所や形成個数に応じて設定される。
〔1−1−3−1−5.相対回転駆動機構〕
相対回転駆動機構30は、上述した第一回転部15に設けられた第一カム溝15aと第二回転部16に設けられた第二カム溝16aとに加えて、第一カム溝15aと第二カム溝16aとが交差する第二交差箇所CP2に配設されたカムローラ90と、このカムローラ90に対して軸方向の力を伝達するメガネフォーク(軸方向力伝達部材)35と、このメガネフォーク35を軸方向に移動させる軸方向移動機構31とを備えている。
以下、カムローラ90,メガネフォーク35,軸方向移動機構31の順に説明する。
図2及び図7に示すように、カムローラ90は、円柱状に形成されている。このカムローラ90は、回転軸1の軸心C1に直交する方向に沿った軸心を有し、第一カム溝15aと第二カム溝16aとが交差する第二交差箇所CP2(何れも一箇所にのみ符号を付す)に挿通されている。このため、カムローラ90は、回転軸1の回転に連動して回転軸1の軸心C1を中心に回転する。なお、カムローラ90の外周には、第一カム溝15a及び第二カム溝16aのそれぞれに対応する箇所にベアリングが外嵌されている。
カムローラ90の一端部90aは、第二交差箇所CP2から径方向外側に突出されて設けられている。
なお、図示省略するが、カムローラ90は、カム溝15a,16aから脱落しないように、適宜の抜け止め加工が施されている。かかる抜け止め加工としては、例えばカムローラ90の他端部に頭部を設けることや抜け止めピンを追加し、カムローラ90が軸方向に移動可能であって径方向に移動しないようにすることが挙げられる。
メガネフォーク35は、二つの複合スプロケット5,5に跨って設けられている。このメガネフォーク35は、各複合スプロケット5,5に対応して設けられた円環状のカムローラ支持部35a(一側にのみ符号を付す)と、各カムローラ支持部35aを連結するブリッジ部35bとを有する。カムローラ支持部35aの内周側には、上記の第一回転部15及び第二回転部16が配設されている。
なお、メガネフォーク35は、ディスク10,19に対して平行であって、チェーン6を基準としたときのディスク10,19に対して軸方向外側にプレート状に並設されている。
カムローラ支持部35aには、内周側の全周にわたって溝部35cが凹設されている。
溝部35cは、カムローラ90の突出長さに対応する深さを有し、カムローラ90の一端部90aを収容している。すなわち、溝部35cは、径方向長さがカムローラ90の突出長さの円環状空間を有するものといえる。
この溝部35cには、カムローラ90と転がり接触しうる転動体35d(一箇所にのみ符号を付す)が設けられている。この転動体35dは、回転軸1の軸心C1を中心に回転するカムローラ90が溝部35cの側壁に接触したときにカムローラ90が軸心周りに回転することを抑制するために設けられている。すなわち、溝部35cの側壁を形成するカムローラ支持部35aに、転動体35dが配設されている。ここでは、複数の転動体35dが溝部35cの全周にわたって配設されている。なお、図2及び図7には、転動体35dとしてニードルベアリングを例示するが、これに替えて、ボールベアリングを用いてもよい。
軸方向移動機構31は、メガネフォーク35を軸方向に移動するために、モータ32と、モータ32の出力軸32aの回転運動を直線運動に切り替える運動変換機構33と、メガネフォーク35を支持するとともに運動変換機構33によって直線運動されるフォーク支持部34とを備えている。なお、モータ32としては、ステッピングモータを用いることができる。
以下、図2及び図7を参照して、軸方向移動機構31について、フォーク支持部34,運動変換機構33の順に説明する。
フォーク支持部34は、モータ32の出力軸32aと同心の筒軸を有する円筒状に形成されている。このフォーク支持部34には、モータ32の出力軸32aが内挿されている。
また、フォーク支持部34は、内周にモータ32の出力軸32aに形成された雄ネジ部32bに螺合する雌ネジ部34aが螺設され、外周にメガネフォーク35のブリッジ部35bと係合するフォーク溝34bが凹設されている。
フォーク溝34bは、メガネフォーク35のブリッジ部35bの厚み(軸方向長さ)に対応する幅(軸方向長さ)に形成されている。このフォーク溝34bには、ブリッジ部35bの中間部(二つの複合スプロケット5,5の間)が係合される。
運動変換機構33は、出力軸32aの雄ネジ部32bと、フォーク支持部34の雌ネジ部34aとを有する。出力軸32aが回転すると、雄ネジ部32bと雌ネジ部34aとの螺合によって、雌ネジ部34aが形成されたフォーク支持部34が軸方向に移動される。すなわち、軸方向移動機構31は、モータ31の回転運動を運動変換機構33によって直線運動に変換し、この直線運動でフォーク支持部34を軸方向に直線運動させる。
上記のメガネフォーク35,軸方向移動機構31を含む相対回転駆動機構30は、ピニオンスプロケット21,22,23から軸方向にシフトして設けられている。
以下、相対回転駆動機構30による可動ディスク19の固定ディスク10に対する相対回転駆動について説明する。
軸方向移動機構31によってフォーク支持部34が軸方向に直線運動されると、フォーク支持部34に係合するメガネフォーク35を介して軸方向の力がカムローラ90に伝達され、カムローラ90も軸方向に移動される。
第一カム溝15aと第二カム溝16aとが交差する第二交差箇所CP2に配設されるカムローラ90が軸方向に移動されると、第二交差箇所CP2も軸方向に移動する。第一カム溝15aが設けられた第一回転部15は回転軸1及び固定ディスク10と一体回転するため、第二交差箇所CP2が軸方向に移動すると、第一回転部15に対して第二カム溝16aが設けられた第二回転部16が相対的に回転させられる。
第二回転部16は可動ディスク19と一体回転し、第一回転部10は固定ディスク10と一体回転するので、第一回転部15に対して第二回転部16が相対回転されると、固定ディスク10に対して可動ディスク19が相対的に回転される。
固定ディスク10に対して可動ディスク19が相対回転駆動されると、移動機構40A及び40Bにかかる説明で後述するように、固定ディスク10に設けられたスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cと可動ディスク19に設けられたスプロケット用可動放射状溝19aとが交差する第一交差箇所CP1が径方向に移動される。
このように、相対回転駆動機構30は、軸方向移動機構31によって可動ディスク19を固定ディスク10に対して相対回転駆動して、第一交差箇所CP1を径方向に移動させる。
〔1−1−3−2.スプロケット移動機構及びロッド移動機構〕
次に、図2及び図5を参照して、スプロケット移動機構40A及びロッド移動機構40Bを説明する。
スプロケット移動機構40Aは、ピニオンスプロケット21,22,23のそれぞれに設けられた支持軸21a,22a,23aが内挿されるスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cが形成された固定ディスク10と、スプロケット用可動放射状溝19aが形成された可動ディスク19と、相対回転駆動機構30(図2及び図7参照)とから構成されている。
また、ロッド移動機構40Bは、ロッド支持軸29aが内挿されるロッド用固定放射状溝12が形成された固定ディスク10と、ロッド用可動放射状溝19bが形成された可動ディスク19と、相対回転駆動機構30とから構成されている。
このように、それぞれの移動機構40A,40Bの構成は、各移動対象の支持軸が異なるだけで、その他の構成は同様である。
次に、図5(a)〜図5(c)を参照して、移動機構40A及び40Bによる移動を説明する。
図5(a)は、放射状溝11a,11b,11c,19aにおけるピニオンスプロケット21,22,23(図1及び図2等参照)の支持軸21a,22a,23aと放射状溝12,19bにおけるロッド支持軸29aとが回転軸1の軸心C1から最も近い位置に位置するものを示す。この場合、相対回転駆動機構30(図2参照)により可動ディスク19の回転位相を固定ディスク10に対して変更すると、図5(b),図5(c)の順に、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cとスプロケット用可動放射状溝19aとが交差する第一交差箇所CP1と、ロッド用固定放射状溝12とロッド用可動放射状溝19bとの交差箇所とが、回転軸1の軸心C1から遠ざかる。すなわち、これらの交差箇所に支持軸21a,22a,23a,29aを支持されたピニオンスプロケット20及びガイドロッド29は、回転軸1の軸心C1から等距離を維持しながら径方向に同期して移動される。
一方、相対回転駆動機構30によって可動ディスク19の回転位相の変更方向を上記の方向と反対にすれば、ピニオンスプロケット20及びガイドロッド29は回転軸1の軸心C1に近づく。
なお、入力側の移動機構40A,40Bが接円半径を拡径させるときには、チェーン6の弛緩や緊張が生じないように出力側の移動機構40A,40Bが接円半径を縮径させる。
スプロケット移動機構40Aによりピニオンスプロケット20が移動されると、ピニオンスプロケット20の相互間の距離が変わることにより、チェーン6に対してピニオンスプロケット20の位相ズレが発生してしまう。そこで、かかる位相ズレを解消するために、機械式自転駆動機構50が装備されている。
〔1−1−3−3.機械式自転駆動機構〕
次に、図2及び図6を参照して、機械式自転駆動機構50を説明する。ここでは、機械式自転駆動機構50がピニオンスプロケット20を挟んで対称に構成されるため、一側(図2の上方側)の構成に着目して説明する。
機械式自転駆動機構50は、上記したように、自転ピニオンスプロケット22,23を回転させ、チェーン6に対するピニオンスプロケット20間の位相ズレを解消するように自転ピニオンスプロケット22,23をスプロケット移動機構40Aと連動して機械的に自転駆動するものである。
ただし、機械式自転駆動機構50は、径方向移動時の固定ピニオンスプロケット21を自転させない構成も有している。
まず、機械式自転駆動機構50について、固定ピニオンスプロケット21(図1参照)を自転させないための構成を説明する。
図6に示すように、固定ピニオンスプロケット21の支持軸21aは、固定ディスク10のスプロケット用固定放射状溝11aに挿通されている。この支持軸21aには、案内部材59が一体的に結合されている。
案内部材59は、スプロケット用固定放射状溝11aに内挿されて径方向に案内される。この案内部材59は、径方向の所定長さにわたってスプロケット用固定放射状溝11aに接触するように対応する形状に形成されている。このため、固定ピニオンスプロケット21を自転させるような回転力が作用したときには、案内部材59は、スプロケット用固定放射状溝11aに対して回転力を伝達するとともに、この回転力の反作用(抗力)で固定ピニオンスプロケット21を固定するものといえる。すなわち、案内部材59は、スプロケット用固定放射状溝11aにおいて径方向に摺動可能であって回り止め機能を有する形状に形成されている。なお、ここでいう所定長さとは、固定ピニオンスプロケット21を自転させるような回転力の抗力が確保可能な長さである。
図6では、スプロケット用固定放射状溝11aが径方向に長手方向を有する矩形状に形成されており、この矩形状よりも小さい矩形状に形成された案内部材59を例示している。
また、スプロケット用固定放射状溝11aの内壁に接する案内部材59の側壁、特に案内部材59の四隅に、ベアリングを装着すれば、案内部材59のよりスムーズな摺動を確保することができる。
次に、機械式自転駆動機構50について、自転ピニオンスプロケット22,23を自転駆動するための構成について説明する。
機械式自転駆動機構50は、自転ピニオンスプロケット22,23の支持軸22a,23aのそれぞれと一体回転するように固設されたピニオン51,52と、ピニオン51,52のそれぞれに対応して噛合するように設けられたラック53,54と、を有する。
ピニオン51,52は、自転ピニオンスプロケット22,23の各支持軸22a,23aにおける軸方向端部にそれぞれ設けられている。かかるピニオン51,52にそれぞれ対応するラック53,54は、スプロケット用固定放射状溝11b,11cの延在方向に沿って固設されている。
なお、以下の説明では、第一自転ピニオンスプロケット22のピニオン(進角側ピニオン)51を第一ピニオン51と呼び、この第一ピニオン51と噛合するラック(進角側ラック)53を第一ラック53と呼んで区別する。同様に、第二ピニオンスプロケット23のピニオン(遅角側ピニオン)52を第二ピニオン52と呼び、この第二ピニオン52と噛合するラック(遅角側ラック)54を第二ラック54と呼ぶ。
図6に示すように、第一ラック53は、第一ピニオン51に対して公転方向基準で遅角側に配置される。逆に、第二ラック54は、第二ピニオン52に対して公転方向基準で進角側に配置される。このため、ピニオン51,52及びラック53,54は、ピニオン51,52が拡径方向又は縮径方向に移動されると、ピニオン51,52はこれに噛合するラック53,54によって互いに逆方向に回転されるように配設されている。
すなわち、機械式自転駆動機構50は、スプロケット移動機構40Aにより移動されたピニオンスプロケット20の径方向位置に応じて、自転ピニオンスプロケット22,23の自転にかかる回転位相を設定するものである。つまり、機械式自転駆動機構50によって、ピニオンスプロケット20の径方向位置と自転ピニオンスプロケット22,23の自転にかかる回転位相は一対一の対応関係となる。
このように、機械式自転駆動機構50は、固定ピニオンスプロケット21が自転しないように案内し、自転ピニオンスプロケット22,23が自転するように案内する。
なお、ピニオン51,52に対するラック53,54の位置関係が異なる点を除いては、第一ピニオン51と第二ピニオン52とは同様に構成され、また、第一ラック53と第二ラック54とは同様に構成されている。
なお、第一自転ピニオンスプロケット22には、前述の位相ズレ許容動力伝達機構に代えて、その支持軸22aと第一ピニオン51との間に皿ばねが介装されていてもよい。この皿ばねによれば、支持軸22aと第一ピニオン51との微小な回転を許容しつつ相対回転を規制することで、変速比の変更中に発生しうる第一自転ピニオンスプロケット22とチェーン6との噛合時のショック(衝撃)を吸収する。この皿ばねは、固定ピニオンスプロケット21及び第二自転ピニオンスプロケット23のそれぞれにも同様に備えられていてもよい。
〔1−2.チェーン〕
次に、チェーン6について説明する。
図9に示すように、ガイドロッド29にガイドされるチェーン6は、各ピニオンスプロケット21,22,23の歯車の列数(ここでは三列)に対応する本数が設けられている。ここでは、第一チェーン6A,第二チェーン6B及び第三チェーン6Cの三本が設けられている。
これらのチェーン6A,6B,6Cは、動力伝達方向に位相をずらすように互いにピッチをずらしてピニオンオンスプロケット20に巻き掛けられている。ここでは、1/3ピッチだけ互いのピッチをずらしている。これに対応して、各チェーン6A,6B,6Cに噛合するピニオンスプロケット20の各歯21c,22c,23c(以下、これらを区別せずに示すときには「歯20c」という)の位相もずらして配置されている。
なお、チェーン6A,6B,6Cは、配設ピッチ以外は同様に構成される。
また、無段変速機構の伝達トルクによっては二本又は四本以上のチェーン6が用いられるが、この場合には「1/チェーンの本数」ピッチだけ各チェーンのピッチをずらして設けられるのが好ましい。
〔2.作用及び効果〕
本発明の一実施形態にかかる無段変速機構は、上述のように構成されるため、以下のような作用及び効果を得ることができる。
固定放射状溝11a,11b,11c,12と可動放射状溝19a,19bとが径方向に対して互いに反対方向に傾斜して設けられているため、固定放射状溝11a,11b,11c,12と可動放射状溝19a,19bとの交差角度を確保することができる。これにより、相対回転駆動機構30による固定ディスク10に対する可動ディスク19の回転トルクを低減させることができる。また、固定放射状溝11a,11b,11c,12及び可動放射状溝19a,19bにおけるピニオンスプロケット21,22,23の支持軸21a,21b,21c及びガイドロッド29の支持軸29bのひっかかり(スティック)を抑制することができる。
以下、従来の無段変速機構と本実施形態にかかる無段変速機構とを対比する。
従来の無段変速機構では、径方向に沿う直線状の固定放射状溝と、かかる固定放射状溝に合わせて形成された曲線状の可動放射状溝とを有する。
従来の固定放射状溝が径方向に沿う直線状に形成されているのは、複合スプロケットによってトルク伝達されるときに、回転軸と回転動力を入出力する固定ディスクにおいて各ピニオンスプロケットの支持軸を通して作用する反力(ここでは「トルク反力」という)を、周方向に沿って固定放射状溝の壁部に作用させるためである。これにより、トルク反力によるピニオンスプロケットの径方向への移動が抑制される。
また、従来の可動放射状溝が固定放射状溝に合わせた曲線状に形成されているのは、可動放射状溝19a,19bと同様に、単位あたりの相対回転角度に対応する支持軸21aの径方向位置の変位量が一定となる曲線状に形成されている。このため、本無段変速機における固定放射状溝11a,11b,11c,12と可動放射状溝19a,19bとの交差角度と同交差角度を確保するには、本可動放射状溝19a,19bよりも第一角度αに対応する角度分だけ従来の可動放射状溝が径方向に対して大きな傾斜角度(α+βに対応)を有することになる。
このような従来の構成では、周長が短い内周部において、可動放射状溝どうしの間隔が確保することができないおそれがあり、延いては、可動放射状溝どうしが干渉し(重なるように配設され)てしまうおそれがある。
これに対して、本実施形態の無段変速機にかかる固定放射状溝11a,11b,11c,12と可動放射状溝19a,19bは、従来の固定放射状溝及び可動放射状溝に比較して、可動放射状溝19a,19bどうしの間隔を確保することができる。
このため、可動放射状溝19a,19bの溝数を確保し、ピニオンスプロケット21,22,23及びガイドロッド29の数を確保することができる。これにより、チェーン6の巻き掛け半径の変動を抑制することができ、静音性の向上や動力伝達性の向上に寄与する。
また、可動放射状溝19a,19bどうしの間隔が確保されることで、溝幅を拡大してガイドロッド29を太くすることができる。これにより、無段変速機構の耐久性や強度を向上させることができる。
例えば、従来の構成では間隔の確保が困難なガイドロッド用可動放射状溝19bどうしの間隔が確保されることで、ガイドロッド用可動放射状溝19bを区画する壁部に軸受けを配設することができ、ガイドロッド29と可動ディスク19との接触抵抗を低減させることもできる。
このように、ピニオンスプロケット及びガイドロッドの数を確保するとともに固定放射状溝に対する可動放射状溝の交差角度を確保することができる。
固定放射状溝11a,11b,11c,12が直線状に形成されているため、形成が容易であり、製造コストの上昇を抑制することができる。
径方向に対して、スプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cが傾斜する第一角度αよりもスプロケット用可動放射状溝19aが傾斜する第二角度βの方が大きく設定されるため、固定ディスク10に作用するトルク反力の径方向成分を抑制することができる。これにより、トルク反力によるピニオンスプロケット21,22,23の径方向への移動を抑制することができる。
〔その他〕
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。上述した一実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせてもよい。
上述の一実施形態では、固定放射状溝11a,11b,11c,12は、少なくとも内周部が外周に向かうに連れて径方向に対して第一の周方向に向けて傾斜するように設けられていればよく、外周部が径方向に対して第二の周方向に向けて傾斜するように設けられていてもよい。また、互いに反対方向に傾斜する内周部は、径方向中間部112,192よりも内周側端部111側の全領域に限定されず、内周側端部111やその周辺といった一領域であってもよく、更には、径方向中間部112,192を含む領域として扱うこともできる。かかる領域の内周部で、固定放射状溝11a,11b,11c,12と可動放射状溝19a,19bとが径方向に対して互いに反対方向に傾斜して設けられていればよい。
また、複数のピニオンスプロケット20側から可動ディスク19,固定ディスク10の順に配置されたもの例示したが、ディスクの配置や枚数はこれに限られず、種々の配置や枚数を採用することができる。例えば、固定ディスク10に対応するディスクとして、可動ディスク19の軸方向内側及び外側に第一固定ディスク及び第二固定ディスクを配設してもよい。この場合、第一固定ディスクにスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11c及びロッド用固定放射状溝12を形成することができ、第二固定ディスクにスプロケット用固定放射状溝11a,11b,11cに対応する溝を形成するとともにラック53,54を固設することができる。このように、ピニオンスプロケットを径方向に移動させる第一固定ディスク(径方向移動用固定ディスク)とピニオンスプロケットを自転させる第二固定ディスク(自転用固定ディスク)とをそれぞれ備えてもよい。なお、上述の一実施形態では、固定ディスク10が、前述した第一固定ディスクと第二固定ディスクとを兼用するものといえる。
1 回転軸
5 複合スプロケット
6 チェーン
10 固定ディスク(径方向移動用固定ディスク,自転用固定ディスク)
10p プレート
11a,11b,11c, スプロケット用固定放射状溝(固定ピニオンスプロケット案内溝)
111, 内周側端部
112, 径方向中間部
113, 外周側端部
11i, 内周部
11o, 外周部
12 ロッド用固定放射状溝
15 第一回転部
15a 第一カム溝
16 第二回転部
16a 第二カム溝
17 接続部
17a 軸方向接続部
17b 径方向接続部
17c 肉抜き部
19 可動ディスク(径方向移動用可動ディスク)
19a スプロケット用可動放射状溝
19i 内周部
19o 外周部
191 内周側端部
192 径方向中間部
193 外周側端部
19b ロッド用可動放射状溝
19A 連結シャフト
20 ピニオンスプロケット
21 固定ピニオンスプロケット
22 第一自転ピニオンスプロケット(進角側自転ピニオンスプロケット)
23 第二自転ピニオンスプロケット(遅角側自転ピニオンスプロケット)
20a,21a,22a,23a 支持軸
29 ガイドロッド
29a ロッド支持軸
29b ガイド部材
30 相対回転駆動機構
31 軸方向移動機構
32 モータ
33 運動変換機構
34 フォーク支持部
35 メガネフォーク(軸方向力伝達部材)
40A スプロケット移動機構
40B ロッド移動機構
50 機械式自転駆動機構
51 第一ピニオン(進角側ピニオン)
52 第二ピニオン(遅角側ピニオン)
53 第一ラック(進角側ラック)
54 第二ラック(遅角側ラック)
59 案内部材
90 カムローラ
90a 一端部
1,C2,C3,C4 軸心
CP1 第一交差箇所
CP2 第二交差箇所
1 最小径
2 中間径
3 最大径
θS,θC 径方向
α 第一角度
β 第二角度

Claims (4)

  1. 動力が入力又は出力される回転軸と、前記回転軸に対して径方向に可動に支持された複数のピニオンスプロケット及び複数のガイドロッドと、前記複数のピニオンスプロケット及び前記複数のガイドロッドを前記回転軸の軸心から等距離を維持させながら前記径方向に同期させて移動させる移動機構とを有する複合スプロケットを二組と、前記二組の複合スプロケットに巻き掛けられたチェーンとを備え、前記複数のピニオンスプロケット及び前記複数のガイドロッドの何れもを囲み且つ前記複数のピニオンスプロケット及び前記複数のガイドロッドの何れにも接する円の半径である接円半径の変更によって変速比を変更する無段変速機構であって、
    前記移動機構は、
    前記複数のピニオンスプロケット及び前記複数のガイドロッドの各支持軸が内挿される固定放射状溝が複数形成され、前記回転軸と一体回転する固定ディスクと、
    前記固定放射状溝のそれぞれと交差する交差箇所に前記支持軸が位置する可動放射状溝が複数形成され、前記固定ディスクに対して同心に配置され且つ相対回転可能な可動ディスクと、を備え、
    前記固定放射状溝の内周部と前記可動放射状溝の内周部とは、前記径方向に対して互いに反対方向に傾斜して設けられた
    ことを特徴とする、無段変速機構。
  2. 前記径方向に対して、前記固定放射状溝の前記内周部が傾斜する第一角度よりも前記可動放射状溝の前記内周部が傾斜する第二角度の方が大きく設定された
    ことを特徴とする、請求項1に記載に無段変速機構。
  3. 前記固定放射状溝は直線状に形成された
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の無段変速機構。
  4. 記移動機構は、
    前記可動ディスクを前記固定ディスクに対して相対回転駆動して、前記交差箇所を前記径方向に移動させる相対回転駆動機構を備えた
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の無段変速機構。
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