JP6177115B2 - 複合体の製造方法 - Google Patents

複合体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6177115B2
JP6177115B2 JP2013251965A JP2013251965A JP6177115B2 JP 6177115 B2 JP6177115 B2 JP 6177115B2 JP 2013251965 A JP2013251965 A JP 2013251965A JP 2013251965 A JP2013251965 A JP 2013251965A JP 6177115 B2 JP6177115 B2 JP 6177115B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silicone resin
composite
silicone
resin layer
porous
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2013251965A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015107473A (ja
Inventor
大介 平木
大介 平木
吉宏 油屋
吉宏 油屋
澤田 真
澤田  真
米山 聡
聡 米山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2013251965A priority Critical patent/JP6177115B2/ja
Priority to TW103142169A priority patent/TW201532661A/zh
Priority to PCT/JP2014/082065 priority patent/WO2015083766A1/ja
Publication of JP2015107473A publication Critical patent/JP2015107473A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6177115B2 publication Critical patent/JP6177115B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D71/00Semi-permeable membranes for separation processes or apparatus characterised by the material; Manufacturing processes specially adapted therefor
    • B01D71/06Organic material
    • B01D71/70Polymers having silicon in the main chain, with or without sulfur, nitrogen, oxygen or carbon only
    • B01D71/701Polydimethylsiloxane
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D67/00Processes specially adapted for manufacturing semi-permeable membranes for separation processes or apparatus
    • B01D67/0081After-treatment of organic or inorganic membranes
    • B01D67/0088Physical treatment with compounds, e.g. swelling, coating or impregnation
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D53/00Separation of gases or vapours; Recovering vapours of volatile solvents from gases; Chemical or biological purification of waste gases, e.g. engine exhaust gases, smoke, fumes, flue gases, aerosols
    • B01D53/22Separation of gases or vapours; Recovering vapours of volatile solvents from gases; Chemical or biological purification of waste gases, e.g. engine exhaust gases, smoke, fumes, flue gases, aerosols by diffusion
    • B01D53/228Separation of gases or vapours; Recovering vapours of volatile solvents from gases; Chemical or biological purification of waste gases, e.g. engine exhaust gases, smoke, fumes, flue gases, aerosols by diffusion characterised by specific membranes
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D2323/00Details relating to membrane preparation
    • B01D2323/42Details of membrane preparation apparatus
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D71/00Semi-permeable membranes for separation processes or apparatus characterised by the material; Manufacturing processes specially adapted therefor
    • B01D71/06Organic material
    • B01D71/70Polymers having silicon in the main chain, with or without sulfur, nitrogen, oxygen or carbon only

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)

Description

本発明は、原料ガスから酸性ガスを選択的に分離する酸性ガス分離膜に利用される複合体の製造方法に関する。詳しくは、促進輸送膜が多孔質支持体に入り込むことを防止するためのシリコーン樹脂層を、多孔質支持体の表面に適性に形成できる複合体の製造方法に関する。
近年、原料ガス(被処理ガス)から、炭酸ガスなどの酸性ガスを選択的に分離する技術の開発が進んでいる。例えば、酸性ガスを選択的に透過する酸性ガス分離膜を用いて、原料ガスから酸性ガスを分離する酸性ガス分離膜が開発されている。
例えば、特許文献1には、管壁に貫通孔が形成された、分離した酸性ガスを収集するための中心筒(中心透過物収集管)に、酸性ガス分離膜を含む積層体を多重に巻き付けてなる酸性ガス分離モジュールが記載されている。
この特許文献1に開示される酸性ガス分離モジュールは、酸性ガス分離膜として、いわゆる溶解拡散膜を用いている。この溶解拡散膜は、膜に対する酸性ガスと分離対象物質との溶解性、および、膜中の拡散性の差を利用して、原料ガスから酸性ガスを分離する。
また、特許文献2には、原料ガスから炭酸ガス(二酸化炭素)を分離する酸性ガス分離膜(二酸化炭素分離ゲル膜)として、二酸化炭素透過性の支持体の上に、二酸化炭素キャリアを含む水溶液を、架橋構造を有するビニルアルコール−アクリル酸塩共重合体に吸収させて形成したハイドロゲル膜を形成した酸性ガス分離膜が記載されている。
この酸性ガス分離膜は、いわゆる促進輸送膜を用いる酸性ガス分離膜である。促進輸送膜は、二酸化炭素キャリアのような酸性ガスと反応するキャリアを膜中に有し、このキャリアで酸性ガスを膜の反対側に輸送することで、原料ガスから酸性ガスを分離する。
このような酸性ガス分離膜は、通常、不織布や多孔質膜などのガス透過性を有する支持体(多孔質支持体)の表面に、前述の溶解拡散膜や促進輸送膜(以下、両者をまとめて分離層とも言う)を形成した構成を有する。
そのため、酸性ガス分離膜は、使用すると、次第に、分離層が多孔質支持体に入り込む(染み込む)場合が有る。特に、促進輸送膜は、酸性ガスを移動あるいは輸送するために、ゲル膜や低粘性の膜である場合が多い。そのため、促進輸送膜を用いる酸性ガス分離膜は、使用すると、次第に、分離層が多孔質支持体に入り込む。
酸性ガス分離膜は、この多孔質支持体への分離層の入り込みにより、経時と共に酸性ガスの分離能力が低下してしまう。
しかも、促進輸送膜は、キャリアを十分に機能させるために、膜中に多量の水分を保持させる必要がある。そのため、促進輸送膜には、非常に吸水性および保水性が高いポリマーが用いられる。加えて、促進輸送膜は、金属炭酸塩などのキャリアの含有量が多い程、吸水量が増えて、酸性ガスの分離性能が向上する。すなわち、促進輸送膜は、非常に柔らかい(粘性が低い)、ゲル膜である場合が多い。
加えて、促進輸送膜を利用する酸性ガス分離膜では、酸性ガスの分離時には、温度100〜130℃、湿度90%程度の原料ガスを、1.5MPa程度の圧力で供給される。
そのため、促進輸送膜を利用する酸性ガス分離膜では、促進輸送膜の多孔質支持体への入り込みが生じ易く、耐久性が低い。
一方、特許文献3には、多孔質支持体の表面に、ポリマーを主成分とする溶液を塗布して、シリコーン系ポリマー等の通気性を有するポリマーからなる下地層を形成し、この下地層の上に、分離層となる素材を主成分とする有機溶媒溶液を塗布、乾燥して分離層を形成する、酸性ガス分離膜の製造方法(薄膜の製造方法)が記載されている。
この製造方法による酸性ガス分離膜では、通気性を有するポリマーからなる下地層を有することにより、均一な分離層を形成できると共に、低粘度の分離層が多孔質支持体に入り込むことを防止できる。
特開平4−215824号公報 特公平7−102310号公報 特開昭62−140620号公報
特許文献3にも示されるように、多孔質支持体の表面にシリコーン系ポリマー等の通気性を有する無多孔の下地層を形成し、その上に分離層を形成することにより、多孔質支持体への分離層の入り込みを防止できる。
しかしながら、このような下地層の形成も、通常、下地層となる成分を含有する塗布液を、多孔質支持体の表面に塗布して、乾燥および硬化することで行われる。
そのため、多孔質支持体に下地層となる塗布液を塗布した際に、この塗布液が多孔質支持体に染み込んでしまう。この塗布液の染み込みによって、多孔質支持体の表面に、適正な下地層を形成することが難しいという問題が有る。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、促進輸送膜を有する酸性ガス分離膜に用いられる、促進輸送膜が多孔質支持体に入り込むことを防止するためのシリコーン樹脂層を有する複合体の製造方法であって、シリコーン樹脂層となるシリコーン塗布液が多孔質支持体に染み込むことを防止して、多孔質支持体の表面に、緻密なシリコーン樹脂層を適性に形成できる製造方法を提供することにある。
この目的を達成するために、本発明の複合体の製造方法は、促進輸送膜を有する酸性ガス分離膜において、表面に促進輸送膜形成される、多孔質支持体の表面にシリコーン樹脂層を形成してなる複合体の製造方法であって、
ロール・トゥ・ロール方式によって、シリコーン樹脂層となるシリコーン塗布液を多孔質支持体の表面に塗布する工程を有し、
シリコーン塗布液が有機溶剤を含まないものであり、かつ、多孔質支持体として、最大孔径が5μm以下である多孔質体を用い、さらに、多孔質支持体の表面に塗布する際におけるシリコーン塗布液の粘度を300mPa・s以上とすることを特徴とする複合体の製造方法を提供する。
このような本発明の複合体の製造方法において、さらに、ロール・トゥ・ロール方式によって、少なくとも酸性ガスと反応するキャリアおよびキャリアを担持するための親水性化合物を含有する、促進輸送膜となる塗布組成物を、シリコーン樹脂層の表面もしくは多孔質支持体のシリコーン樹脂層が形成されていない側の表面に塗布する工程を有するのが好ましい。
また、塗布組成物を、シリコーン樹脂層の表面に塗布するのが好ましい。
また、25℃における塗布組成物の粘度が100mPa・s以上であるのが好ましい。
また、シリコーン塗布液を塗布した後、7秒以内に、シリコーン塗布液を硬化してシリコーン樹脂層を形成するのが好ましい。
また、シリコーン塗布液の硬化を紫外線照射によって行うのが好ましい。
また、膜厚が10μm以下のシリコーン樹脂層を形成するのが好ましい。
また、多孔質支持体が、含フッ素ポリマー、ポリプロピレン、および、ポリスルホンから選択される1以上の材料を含むのが好ましい。
さらに、多孔質支持体の内部へのシリコーン塗布液の染み込みに起因して、多孔質支持体の内部にもシリコーン樹脂が形成されており、かつ、多孔質支持体の内部のシリコーン樹脂の厚さが、シリコーン樹脂層の厚さに対して、
(支持体内部のシリコーン樹脂)/(シリコーン樹脂層)=0.1〜100
を満たすのが好ましい。
このような本発明によれば、促進輸送膜を用いる酸性ガス分離膜において、促進輸送膜が多孔質支持体に入り込む事を防止するためのシリコーン樹脂層を、多孔質支持体の表面に適性に形成できる。
そのため、本発明によれば、多孔質支持体への促進輸送膜の入り込み(染み込み)を防止して、耐久性に優れる酸性ガス分離膜を得ることができる。
(A)および(B)は、本発明の複合体の製造方法で製造する複合体の一例を概念的に示す図である。 本発明の複合体の製造方法を実施する製造装置の一例を概念的に示す図である。 本発明の複合体の製造方法の別の工程を実施する製造装置の一例を概念的に示す図である。 本発明の複合体の製造方法を実施する製造装置の別の例を概念的に示す図である。
以下、本発明の複合体の製造方法について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
図1(A)に、本発明の複合体の製造方法で製造される複合体の一例を概念的に示す。
この複合体10は、促進輸送膜を有する酸性ガス分離膜に用いられる複合体であって、多孔質支持体12の表面に、シリコーン樹脂層14を形成してなるものである。
前述のように、促進輸送膜を利用する酸性ガス分離膜では、柔らかいゲル膜である促進輸送膜が多孔質支持体12に入り込み(染み込み)、耐久性が悪いという問題が有る。これに対し、多孔質支持体12の表面にシリコーン樹脂層14を有し、このシリコーン樹脂層14の表面に促進輸送膜(酸性ガス分離層)を形成することにより、促進輸送膜が多孔質支持体12に入り込むことを防止できる。
本発明の製造方法は、長尺な多孔質支持体12を用い、いわゆるロール・トゥ・ロール方式(以下、RtoRとも言う)によって、多孔質支持体12の表面に、シリコーン樹脂層14となるシリコーン塗布液を塗布する。周知のように、RtoRとは、長尺な被処理物を巻回したロールから、被処理物を引き出し、被処理物を長手方向に搬送しつつ、塗布や硬化などの処理を行って、処理済の被処理物を、ロール状に巻回する製造方法である。
ここで、本発明の複合体10の製造方法においては、多孔質支持体12として、最大孔径が5μm以下の多孔質体を用い、かつ、塗布時におけるシリコーン塗布液の粘度を300mPa・s以上とする。
図2に、本発明の製造方法を実施する製造装置の一例を概念的に示す。
前述のように、本発明の製造方法においては、RtoRを利用して複合体10を製造する。従って、製造装置20は、長尺な多孔質支持体12(ウェブ状の多孔質支持体12)をロール状に巻回してなる支持体ロール12Rから多孔質支持体12を送り出し、多孔質支持体12を長手方向に搬送しつつ、多孔質支持体12の表面にシリコーン樹脂層14となるシリコーン塗布液を塗布する。製造装置20は、次いで、多孔質支持体12に塗布したシリコーン塗布液を硬化してシリコーン樹脂層14を形成し、多孔質支持体12の表面にシリコーン樹脂層14を形成した複合体10とする。さらに、製造装置20は、このようにして作製した複合体10を、ロール状に巻回して(巻き取って)、複合体ロール10Rとする。
このような製造装置20は、基本的に、供給部24と、塗布部26と、硬化装置28と、巻取部30とを有して構成される。
なお、製造装置20には、図示した部材以外にも、必要に応じて、パスローラ(ガイドローラ)、搬送ローラ対、搬送ガイド、各種のセンサ等、RtoRによって機能性膜(機能性フィルム)を製造する装置に設けられる、各種の部材を有してもよい。
供給部24は、回転軸31に、長尺な多孔質支持体12をロール状に巻回してなる支持体ロール12Rを回転軸31に装填し、この回転軸31(すなわち支持体ロール12R)を回転することにより、多孔質支持体12を送り出す部位である。
供給部24において、このような多孔質支持体12の送り出しおよび搬送は、公知の方法で行えばよい。
多孔質支持体12(以下、支持体12とも言う)は、炭酸ガス等の酸性ガスの透過性を有し、かつ、表面に形成されたシリコーン樹脂層14、および、シリコーン樹脂層14の表面もしくは支持体12の表面(シリコーン樹脂層の形成面と逆面)に形成された促進輸送膜を支持するものである。
支持体12は、この機能を発現できる物であれば、公知の各種の物が利用可能である。
本発明の製造方法において、多孔質支持体は、単層であってもよい。しかしながら、多孔質支持体は、図1に示す支持体12のように、多孔質膜12aと補助支持膜12bとからなる2層構成であるのが好ましい。支持体12を、このような2層構成を有することにより、上記の酸性ガス透過性や、シリコーン樹脂層14および促進輸送膜の支持という機能を、より確実に発現する。
なお、多孔質支持体が単層である場合には、形成材料としては、以下に多孔質膜12aおよび補助支持膜12bで例示する各種の材料が利用可能である。
この2層構成の支持体12では、この多孔質膜12aがシリコーン樹脂層14の形成面(シリコーン塗布液の塗布面)となる。また、通常は、このシリコーン樹脂層14の表面に、促進輸送膜が形成される。
多孔質膜12aは、耐熱性を有し、また加水分解性の少ない材料からなることが好ましい。このような多孔質膜12aとしては、具体的には、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン(PP)およびセルロースなどのメンブレンフィルター膜、ポリアミドやポリイミドの界面重合薄膜、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)や高分子量ポリエチレンの延伸多孔膜等が例示される。
中でも、PTFE等の含フッ素ポリマー、PPおよびPSFから選択される1以上の材料を含む多孔質膜12aは好ましく例示される。その中でも、PTFEや高分子量ポリエチレンの延伸多孔膜は、高い空隙率を有し、酸性ガス(特に炭酸ガス)の拡散阻害が小さく、さらに、強度、製造適性などの観点から好ましい。特に、耐熱性を有し、また加水分解性の少ない等の点で、PTFEの延伸多孔膜が、好適に利用される。
補助支持膜12bは、多孔質膜12aの補強用に備えられるものである。
補助支持膜12bは、要求される強度、耐延伸性および気体透過性を満たすものであれば、各種の物が利用可能である。例えば、不織布、織布、ネット、および、メッシュなどを、適宜、選択して用いることができる。
補助支持膜12bも、前述の多孔質膜12aと同様、耐熱性を有し、また加水分解性の少ない素材からなることが好ましい。
この点を考慮すると、不織布、織布、編布を構成する繊維としては、耐久性や耐熱性に優れる、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、アラミド(商品名)などの改質ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素含有樹脂などからなる繊維が好ましい。メッシュを構成する樹脂材料も同様の素材を用いるのが好ましい。これらの材料のうち、安価で力学的強度の強いPPからなる不織布は、特に好適に例示される。
支持体12が補助支持膜12bを有することにより、力学的強度を向上させることができる。そのため、図示例のRtoRを利用する製造方法であっても、支持体12に皺がよることを防止でき、生産性を高めることもできる。
支持体12は、薄すぎると強度に難がある。この点を考慮すると、多孔質膜12aの膜厚は5〜100μm、補助支持膜12bの膜厚は50〜300μmが好ましい。
また、支持体12を単層にする場合には、支持体12の厚さは、30〜500μmが好ましい。
ここで、本発明の製造方法においては、多孔質支持体として、最大孔径が5μm以下の多孔質体を用いる。
なお、図示例のように、2層構成の支持体12を用いる場合には、シリコーン樹脂層14となるシリコーン塗布液が塗布される、多孔質膜12aの最大孔径が5μm以下であればよい。すなわち、図1に示す複合体10において、本発明の製造方法で製造する複合体における多孔質支持体とは、多孔質膜12aである。
本発明の製造方法では、多孔質膜12a(多孔質支持体)の表面に、シリコーン樹脂層14となるシリコーン塗布液を塗布する。ここで、多孔質膜12aの最大孔径が5μmを超えると、多量のシリコーン塗布液が多孔質膜12aに染み込んでしまい、シリコーン塗布液を適性に塗布できず、適性なシリコーン樹脂層14を形成できない。また、形成したシリコーン樹脂層14の耐圧性が低下し、多孔質膜12a内に入り込んでしまう等の不都合も生じる。
また、孔径が小さい多孔質体は、シリコーン塗布液の染み込み防止という点では有利であるが、孔径が極めて微細な多孔質体は、非常に高価である。これに対し、本発明は、最大孔径が5μm以下という、比較的孔径の大きな多孔質膜12aを用いることができるので、複合体10すなわち酸性ガス分離膜のコストも低減できる。
なお、より優れたシリコーン塗布液の染み込みの防止硬化という点で、多孔質膜12aの最大孔径は、1μm以下であるのが好ましく、特に、0.3μm以下であるのが好ましい。
なお、多孔質膜12aの最大孔径は、例えば、パームポロメータで測定すればよい。
さらに、多孔質膜12aの孔の平均孔径は、0.01〜1μmが好ましく、0.01〜0.3μmがより好ましい。
多孔質膜12aの平均孔径をこの範囲とすることにより、多孔質膜12aが酸性ガスの通過の妨げとなることを好適に防止でき、かつ、後述するシリコーン塗布液を塗布する際に、毛管現象などにより膜面が不均一になることを防げる。
支持体ロール12Rから送り出された支持体12は、次いで、塗布部26に搬送され、長手方向に搬送されつつ、シリコーン樹脂層14となるシリコーン塗布液を塗布される。
図示例において、塗布部26は、塗布装置32およびバックアップローラ34を有して構成される。支持体12は、バックアップローラ34によって所定の位置に支持されつつ長手方向に搬送されて、多孔質膜12aの表面にシリコーン塗布液を塗布される。
なお、支持体12の搬送速度は、生産性の観点から速い方が好ましい。しかしながら、シリコーン塗布液を均一に塗布するために、1〜200m/minが好ましく、3〜150m/minがより好ましく、5〜120m/minが特に好ましい。
シリコーン樹脂層14は、オルガノポリシロキサン(シリコーン樹脂)やポリトリメチルシリルプロピンなどシリコーン含有ポリアセチレン等が利用できる。オルガノポリシロキサンの具体例としては、下記の一般式で示されるものが例示される。

なお、上記一般式中、nは1以上の整数を表す。ここで、入手容易性、揮発性、粘度等の観点から、nの平均値は10〜1,000,000の範囲が好ましく、100〜100,000の範囲がより好ましい。
また、R1n、R2n、R3、および、R4は、それぞれ、水素原子、アルキル基、ビニル基、アラルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、および、エポキシ基からなる群より選択されるいずれかを示す。なお、n個存在するR1nおよびR2nは、それぞれ、同じであっても異なっていても良い。また、アルキル基、アラルキル基、アリール基は環構造を有していても良い。さらに、前記アルキル基、ビニル基、アラルキル基、アリール基は置換基を有していても良く、アルキル基、ビニル基、アリール基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基またはフッ素原子から選ばれる。これらの置換基は、可能であればさらに置換基を有することもできる。
1n、R2n、R3、および、R4に選択されるアルキル基、ビニル基、アラルキル基、および、アリール基は、入手容易性などの観点から、炭素数1〜20のアルキル基、ビニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリール基がより好ましい。
特に、R1n、R2n、R3、および、R4は、メチル基またはエポキシ置換アルキル基が好ましく、例えば、エポキシ変性のポリジメチルシロキサン(PDMS)などが好適に利用できる。
従って、このシリコーン樹脂層14を形成するためのシリコーン塗布液は、シリコーン樹脂層となる化合物のモノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー、プレポリマー、これらの混合物や、硬化剤、硬化促進剤、架橋剤、増粘剤、補強剤、フィラー等を含有する。
なお、シリコーン塗布液は、通常、このような樹脂層を形成する際に用いられる有機溶剤を含まないのが好ましい。
シリコーン塗布液が有機溶剤を含まないことにより、シリコーン塗布液の乾燥工程を不要にして、シリコーン塗布液を塗布した直後に、モノマー等の硬化を行うことができる、シリコーン塗布液の粘度を容易に300mPa・s以上にできる、製造設備が簡素化できる(除電設備化や防爆設備化が不要にできる)等の点で好ましい。
ここで、本発明の製造方法においては、前述のように、RtoRを利用して、最大孔径が5μm以下の多孔質膜12a(多孔質支持体)を用い、塗布時における粘度を300mPa・s以上にして、多孔質膜12aの表面にシリコーン塗布液を塗布する。
本発明の製造方法は、このような構成を有することにより、多孔質膜12aの表面に、緻密(無多孔)なシリコーン樹脂層14を適性に形成することを可能にしている。
なお、本発明の製造方法において、塗布時におけるシリコーン塗布液の粘度は、JIS Z8803に準じた方法で測定すればよく、B型粘度計あるいはそれに類似する粘度計を用いて、回転数60rpmにおける粘度を、シリコーン塗布液の液温を塗布時における温度として測定すればよい。
前述のように、促進輸送膜を有する酸性ガス分離膜では、使用によって柔らかいゲル状の促進輸送膜が多孔質支持体に入り込んでしまうため、耐久性に問題が有る。これに対し、特許文献3等にも示されるように、多孔質支持体の表面にシリコーン樹脂層を形成し、このシリコーン樹脂層の表面に促進輸送膜を形成することにより、多孔質支持体への促進輸送膜の入り込みを防止できる。
しかしながら、シリコーン樹脂層は、通常、シリコーン樹脂となるモノマー等を含有する塗布液を多孔質支持体に塗布して、硬化することで形成する。そのため、塗布液を多孔質支持体に塗布した際に、塗布液が多孔質支持体に染み込んでしまい、多孔質支持体の表面に適正なシリコーン樹脂層を形成できない。
その結果、多孔質支持体の表面にシリコーン樹脂層を形成したにも関わらず、多孔質支持体への促進輸送膜の入り込みを十分に防止できず、酸化ガス分離膜の耐久性を向上することができない。
これに対し、本発明の製造方法では、RtoRによって、最大孔径が5μm以下の多孔質膜12aを用い、塗布時における粘度を300mPa・s以上にして、多孔質膜12aの表面にシリコーン塗布液を塗布して、シリコーン樹脂層14を形成する。
そのため、本発明の製造方法によれば、塗布したシリコーン塗布液が多孔質膜12aに染み込むことを、好適に防止(抑制)して、多孔質膜12aの表面に、緻密(無多孔)なシリコーン樹脂層14を形成できる。従って、本発明の製造方法による複合体10を用いて、シリコーン樹脂層14の表面に促進輸送膜を形成することで、促進輸送膜が多孔質膜12a(支持体12)に入り込むことを防止して、耐久性に優れた促進輸送型の酸性ガス分離膜を得ることができる。
本発明の製造方法において、多孔質膜12aに塗布する際におけるシリコーン塗布液の粘度が300mPa・s未満では、シリコーン塗布液が多孔質膜12aへのシリコーン塗布液の染み込み防止効果を十分に得られない等の問題を生じる。
また、多孔質膜12aに塗布する際におけるシリコーン塗布液の粘度は、400mPa・s以上が好ましく、500mPa・s以上がより好ましい。
シリコーン塗布液の粘度を上記範囲とすることにより、より好適なシリコーン塗布液の染み込み防止効果を得られる等の点で好ましい。
さらに、多孔質膜12aに塗布する際におけるシリコーン塗布液の粘度は、基本的に、使用する塗布装置に応じて、適正な塗布が可能な粘度以下とすればよい。ここで、多孔質膜12aに塗布する際におけるシリコーン塗布液の粘度は、10,000,000mPa・s以下が好ましい。
シリコーン塗布液の粘度を10,000,000mPa・s以下とすることにより、シリコーン塗布液の塗布の均一性等の点で好ましい。
なお、多孔質膜12aに塗布する際におけるシリコーン塗布液の粘度制御は、増粘剤の添加や有機溶剤の添加量(好ましくは前述のように非使用)の調節などの塗布液の組成の調節、加熱や冷却などのシリコーン塗布液の温度調節、粘度の異なるシリコーン樹脂の混合、シリコーン樹脂の部分的架橋による分子量調節等の公知の方法で行えばよい。
前述のように、塗布部26は、塗布装置32とバックアップローラ34とを有する。
支持体12は、バックアップローラ34によって所定の塗布位置に位置されつつ長手方向に搬送されて、塗布装置32によって、多孔質膜12aの表面にシリコーン塗布液を塗布され、塗布液の塗膜(液膜)を形成される。
なお、塗布部26では、必要に応じて、シリコーン塗布液や支持体12等の温度制御を行ってもよい。
塗布装置32は、公知のものが、各種、利用可能である。
具体的には、ロールコータ、ダイレクトグラビアコータ、オフセットグラビアコータ、1本ロールキスコータ、3本リバースロールコータ、正回転ロールコータ、カーテンフローコータ、エクストルージョンダイコータ、エアードクターコータ、ブレードコータ、ロッドコータ、ナイフコータ、スクイズコータ、リバースロールコータ、バーコータ等が例示される。
中でも、シリコーン塗布液の粘度、シリコーン塗布液の塗布量、シリコーン樹脂の染み込み量の制御等を考慮すると、ロールコータ、ダイレクトグラビアコータ、オフセットグラビアコータ、1本ロールキスコータ、3本リバースロールコータ、正回転ロールコータ、スクイズコータ、リバースロールコータ等は好適に利用される。
ここで、塗布装置32は、硬化して形成されるシリコーン樹脂層14の膜厚が10μm以下となるように、多孔質膜12aの表面にシリコーン塗布液を塗布する。すなわち、本発明の製造方法においては、形成するシリコーン樹脂層14の膜厚は、10μm以下であるのが好ましい。
なお、本発明において、シリコーン樹脂層14の膜厚とは、多孔質膜12aに染み込んだ分を含まない、多孔質膜12aの表面(多孔質膜12aの上)に形成されたシリコーン樹脂層14の膜厚である。
シリコーン樹脂層14の膜厚を10μm以下とすることにより、シリコーン樹脂層14によるガス透過性の低下を好適に防止できる等の点で好ましい。
以上の点を考慮すると、シリコーン樹脂層14の膜厚は5μm以下が、より好ましい。
また、シリコーン樹脂層14は、緻密な膜で多孔質膜12aの表面を抜けなく全面的に覆っていれば、薄くても構わない。
この点を考慮すると、シリコーン樹脂層14の膜厚は、0.01μm以上が好ましい。シリコーン樹脂層14の膜厚を、0.01μm以上とすることにより、緻密なシリコーン樹脂層14で多孔質膜12aの表面を好適に覆って、多孔質膜12aへの促進輸送膜の入り込みを、より好適に防止できる複合体10が得られる。
なお、シリコーン樹脂層14の膜厚は、後述する多孔質膜12aへのシリコーン塗布液の染み込み等を考慮して、予め実験やシミュレーションを行って制御すればよい。
本発明の製造方法によっても、多孔質膜12aへのシリコーン塗布液の染み込みを完全に防止するのは、困難である。
しかしながら。本発明においては、多孔質膜12aへのシリコーン塗布液の染み込みは、少ないほど、好ましい。すなわち、多孔質膜12aの内部に形成されるシリコーン樹脂の厚さは、薄い方が好ましい。
ここで、多孔質膜12aの内部に形成されるシリコーン樹脂の厚さ(多孔質膜12aの厚さ方向のサイズ)と、シリコーン樹脂層14の厚さとは、
(多孔質膜12a内部のシリコーン樹脂の厚さ)/(シリコーン樹脂層14の厚さ)
の厚さの比で、0.1〜100であるのが好ましい。
すなわち、本発明の製造方法においては、この厚さの比を達成するように、シリコーン塗布液の粘度や塗布厚、多孔質膜12aの平均孔径や最大孔径、シリコーン塗布液を塗布してから硬化するまでの時間等を制御するのが好ましい。
上記厚さの比を0.1以上とすることにより、シリコーン樹脂層14と多孔質膜12aとの密着性を向上できる、シリコーン樹脂層の耐圧性を向上できる等の点で好ましい。
また、上記厚さの比を100以下とすることにより、ガス透過性の低下を抑制できる等の点で好ましい。
さらに、上記効果を、より好適に得られる等の点で、(多孔質膜12a内部のシリコーン樹脂の厚さ)/(シリコーン樹脂層14の厚さ)の厚さの比は、0.1〜30が、より好ましい。
塗布部26においてシリコーン塗布液を塗布された支持体12は、次いで、硬化装置28(乾燥工程)に搬送される。硬化装置28は、好ましくは、支持体搬送方向の塗布部26の直後(直下流)に配置される。
支持体12は、硬化装置28によって、長手方向に搬送されつつ、シリコーン塗布液を硬化(モノマー等を架橋)されて、支持体12(多孔質膜12a)の表面にシリコーン樹脂層14が形成された複合体10とされる。
硬化装置28におけるシリコーン塗布液の硬化は、シリコーン塗布液に含有されるモノマー等の種類に応じて、シリコーン塗布液を硬化できる方法を、適宜、利用すればよい。
具体的には、紫外線の照射、電子線の照射、加熱、加湿等が例示される。
中でも、支持体12のカール(変形)を抑制できる、支持体12を構成する樹脂などの劣化を防止できる等の理由により、紫外線照射や短時間の加熱によるシリコーン塗布液の硬化は、好適に利用され、特に紫外線照射による硬化は、最も好ましく利用される。すなわち、本発明の製造方法においては、紫外線の照射による硬化が可能なモノマー等を用いたシリコーン塗布液によって、シリコーン樹脂層14を形成するのが好ましい。
なお、シリコーン塗布液の硬化は、必要に応じて、窒素雰囲気等の不活性雰囲気で行ってもよい。
ここで、本発明の製造方法においては、シリコーン塗布液を塗布した後、5秒以内に、シリコーン塗布液を硬化して、シリコーン樹脂層14を形成するのが好ましい。
本発明の製造方法においては、RtoRを利用することにより、シリコーン塗布液の塗布後、短時間でのシリコーン塗布液の硬化を可能にしている。
多孔質膜12aにシリコーン塗布液を塗布した後、硬化するまでは、シリコーン塗布液は、次第に、多孔質膜12aに染み込んでいく。ここで、前述のように、多孔質膜12aへのシリコーン塗布液の染み込み(多孔質膜12a中のシリコーン樹脂)は、少ない方が好ましい。
すなわち、シリコーン塗布液を塗布した後、7秒以内に、シリコーン塗布液を硬化してシリコーン樹脂層14とすることにより、多孔質膜12aへのシリコーン塗布液の染み込みを好適に抑制して、多孔質膜12a中のシリコーン樹脂が薄い、高品質な複合体10を得ることができる。
さらに、多孔質膜12aへのシリコーン塗布液の染み込みを、より好適に抑制できる等の点で、シリコーン塗布液を塗布した後、5秒以内に、シリコーン塗布液を硬化するのが、より好ましい。
硬化装置28でシリコーン塗布液を硬化されて、シリコーン樹脂層14を形成された複合体10は、パスローラ38a、38b、38cおよび38dに案内されて、巻取部30に搬送される。
なお、パスローラ38b、38cおよび38dはテンションカッタとしても作用しており、複合体10を蛇行するように、案内する。
巻取部30は、複合体10を巻き取って複合体ロール10Rとするものであり、パスローラ38eと巻取り軸40とを有する。
巻取部30に搬送された複合体10は、パスローラ64eによって巻取り軸40に案内され、巻取り軸40によって巻き取られて、複合体ロール10Rとされる。
本発明の複合体の製造方法においては、このようにして支持体12の表面にシリコーン塗布液を塗布、硬化して、シリコーン樹脂層14を形成した後、好ましくは、さらに、シリコーン樹脂層14の表面に、促進輸送膜となる塗布組成物を塗布して、促進輸送膜16を形成して、図1(B)に示すような酸性ガス分離膜18とする。
なお、本発明の製造方法においては、シリコーン樹脂層14を形成した後、促進輸送膜を、シリコーン樹脂層14の表面に形成するのではなく、以下の方法と同様にして、支持体12の表面(シリコーン樹脂層14を形成しない補助支持膜12bの表面)に、促進輸送膜となる塗布組成物を塗布して、促進輸送膜を形成してもよい。
図3に、本発明の製造方法において、複合体10(シリコーン樹脂層14もしくは支持体12)の表面に促進輸送膜を形成する製造装置の一例を概念的に示す。なお、以下の説明は、シリコーン樹脂層14の表面に促進輸送膜を形成する場合を例に行う。
本発明の製造方法は、シリコーン樹脂層14の表面に促進輸送膜16を形成する際にも、RtoRを利用する。従って、図3に示す製造装置50も、長尺な複合体10を巻回してなる複合体ロール10Rから複合体10を送り出し、複合体10を長手方向に搬送しつつ、シリコーン樹脂層14に促進輸送膜16となる塗布組成物を塗布する。製造装置50は、次いで、塗布組成物を乾燥して促進輸送膜16を形成して、本発明の製造方法で製造する複合体の一種である酸性ガス分離膜18とする。さらに、製造装置20は、作製した酸性ガス分離膜18を、ロール状に巻回して、分離膜ロール18Rとする。
このような製造装置50は、基本的に、供給部52と、塗布部54と、乾燥装置56と、巻取部58とを有して構成される。
なお、先の製造装置20と同様、製造装置50においても、図示した部材以外にも、必要に応じて、パスローラや各種のセンサ等、RtoRによって機能性膜を製造する装置に設けられる、各種の部材を有してもよい。
供給部52は、複合体10に促進輸送膜16を形成する際に、回転軸61に、複合体10をロール状に巻回してなる複合体ロール10Rを装填し、回転軸61すなわち複合体ロール10Rを回転することにより、複合体10を送り出す部位である。
なお、先の製造装置20と同様、このような複合体10の送り出しおよび搬送は、公知の方法で行えばよい。
複合体ロール10Rから送り出された複合体10は、長手方向に搬送されつつ、次いで、塗布部54に搬送され、促進輸送膜16となる塗布組成物を塗布される。
図示例において、塗布部54は、塗布装置62およびバックアップローラ64を有して構成される。複合体10は、バックアップローラ64によって所定の位置に支持されつつ長手方向に搬送されて、シリコーン樹脂層14の表面に塗布組成物を塗布される。
本発明の製造方法において、促進輸送膜16を形成する際の複合体10の搬送速度は、複合体10の種類や塗布組成物の粘度等に応じて、適宜、設定すればよい。
ここで、複合体10の搬送速度が速すぎると、塗布組成物の塗膜の膜厚均一性の低下や塗布組成物の乾燥が不十分になるおそれがあり、遅過ぎると生産性が低下する。この点を考慮すると、複合体10の搬送速度は、0.5m/min以上が好ましく、0.75〜200m/minがより好ましく、1〜200m/分が特に好ましい。
促進輸送膜16は、親水性ポリマー等の親水性化合物、酸性ガスと反応するキャリアおよび水等を含有する。
従って、このような促進輸送膜16を形成するための塗布組成物は、親水性化合物、キャリアおよび水(常温水または加温水)、あるいはさらに、架橋剤等の必要となる成分を含む組成物(塗料/塗布液)ものである。なお、親水性化合物は、架橋、一部架橋および未架橋のいずれでも良く、また、これらが混合されたものでもよい。
親水性化合物はバインダとして機能するものであり、促進輸送膜16において、水分を保持して、キャリアによる二酸化炭素等のガスの分離機能を発揮させる。また、親水性化合物は、耐熱性の観点から、架橋構造を有するのが好ましい。
親水性化合物は、水に溶けて塗布液を形成できると共に、促進輸送膜16が高い親水性(保湿性)を有するのが好ましいという観点から、親水性が高いものが好ましい。
具体的には、親水性化合物は、生理食塩液の吸水量が0.5g/g以上の親水性を有することが好ましく、同1g/g以上の親水性を有することがより好ましく、同5g/g以上の親水性を有することがさらに好ましく、同10g/g以上の親水性を有することが特に好ましく、さらには、同20g/g以上の親水性を有することが最も好ましい。
親水性化合物の重量平均分子量は、安定な膜を形成し得る範囲で、適宜、選択すればよい。具体的には、20,000〜2,000,000が好ましく、25,000〜2,000,000がより好ましく、30,000〜2,000,000が特に好ましい。
親水性化合物の重量平均分子量を20,000以上とすることで、安定して十分な膜強度を有する促進輸送膜16を得ることができる。
特に、親水性化合物が架橋可能基として−OHを有する場合には、親水性化合物は、重量平均分子量が30,000以上であるのが好ましい。この際には、重量平均分子量は更に好ましくは40,000以上であり、より好ましくは、50,000以上である。また、親水性化合物が架橋可能基として−OHを有する場合には、製造適性の観点から、重量平均分子量は、6,000,000以下であることが好ましい。
また、架橋可能基として−NH2を有する場合には、親水性化合物は、重量平均分子量が10,000以上であるものが好ましい。この際には、親水性化合物の重量平均分子量は、15,000以上であるのがより好ましく、20,000以上であるのが特に好ましい。また、親水性化合物が、架橋可能基として−NH2を有する場合には、製造適性の観点から、重量平均分子量は、1,000,000以下であるのが好ましい。
なお、親水性化合物の重量平均分子量は、例えば、親水性化合物としてPVAを用いる場合には、JIS K 6726に準じて測定した値を用いればよい。また、市販品を用いる場合には、カタログ、仕様書などで公称される分子量を用いればよい。
親水性化合物を形成する架橋可能基としては、耐加水分解性の架橋構造を形成し得るものが、好ましく選択される。
具体的には、ヒドロキシ基、アミノ基、塩素原子、シアノ基、カルボキシ基、および、エポキシ基等が例示される。これらの中でも、アミノ基およびヒドロキシ基が好ましく例示される。さらに、最も好ましくは、キャリアとの親和性およびキャリア担持効果の観点から、ヒドロキシ基が例示される。
親水性化合物としては、具体的には、単一の架橋可能基を有するものとしては、ポリアリルアミン、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリオルニチン、ポリリジン、ポリエチレンオキサイド、水溶性セルロース、デンプン、アルギン酸、キチン、ポリスルホン酸、ポリヒドロキシメタクリレート、ポリ−N−ビニルアセトアミドなどが例示される。最も好ましくはポリビニルアルコールである。また、親水性化合物としては、これらの共重合体も例示される。
また、複数の架橋可能基を有する親水性化合物としては、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体が例示される。ポリビニルアルコール−ポリアクリル塩共重合体は、吸水能が高い上に、高吸水時においてもハイドロゲルの強度が大きいため好ましい。
ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体におけるポリアクリル酸の含有率は、例えば1〜95モル%、好ましくは2〜70モル%、より好ましくは3〜60モル%、特に好ましくは5〜50モル%である。なお、アクリル酸の含有率は、公知の合成方法で制御することができる。
なお、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体において、ポリアクリル酸は、塩であってもよい。この際におけるポリアクリル酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩の他、アンモニウム塩や有機アンモニウム塩等が例示される。
ポリビニルアルコールは市販品としても入手可能である。具体的には、PVA117(クラレ社製)、ポバール(クラレ製)、ポリビニルアルコール(アルドリッチ社製)、J−ポバール(日本酢ビ・ポバール社製)等が例示される。分子量のグレードは種々存在するが、重量平均分子量が130,000〜300,000のものが好ましい。
ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸塩共重合体(ナトリウム塩)も、市販品として入手可能である。例えば、クラストマーAP20(クラレ社製)が例示される。
なお、本発明の製造方法において、形成するの促進輸送膜16の親水性化合物は、2種以上を混合して使用してもよい。
塗布組成物における親水性化合物の含有量は、形成した促進輸送膜16において、親水性化合物がバインダーとして機能し、かつ、水分を十分に保持できる量を、親水性組成物やキャリアの種類等に応じて、適宜、設定すればよい。
具体的には、促進輸送膜16における含有量が、0.5〜50質量%となる量が好ましく、0.75〜30質量%となる量がより好ましく、1〜15質量%となる量が特に好ましい。親水性化合物の含有量を、この範囲とすることにより、上述のバインダとしての機能および水分保持機能を、安定して、好適に発現できる。
親水性化合物の架橋構造は、熱架橋、紫外線架橋、電子線架橋、放射線架橋、光架橋等、公知の手法により形成できる。
好ましくは光架橋もしくは熱架橋であり、最も好ましくは熱架橋である。
また、塗布組成物は、架橋剤を含有するのが好ましい。
架橋剤としては、親水性化合物と反応し、熱架橋や光架橋等の架橋し得る官能基を2以上有する架橋剤を含むものが選択される。また、形成された架橋構造は、耐加水分解性の架橋構造となるのが好ましい。
このような観点から、塗布組成物に添加される架橋剤としては、エポキシ架橋剤、多価グリシジルエーテル、多価アルコール、多価イソシアネート、多価アジリジン、ハロエポキシ化合物、多価アルデヒド、多価アミン、有機金属系架橋剤などが好適に例示される。より好ましくは多価アルデヒド、有機金属系架橋剤およびエポキシ架橋剤であり、中でも、アルデヒド基を2以上有するグルタルアルデヒドやホルムアルデヒドなどの多価アルデヒドが好ましい。
エポキシ架橋剤としては、エポキシ基を2以上有する化合物であり、4以上有する化合物も好ましい。エポキシ架橋剤は市販品としても入手可能であり、例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(共栄社化学株式会社製、エポライト100MF等)、ナガセケムテックス社製EX−411、EX−313、EX−614B、EX−810、EX−811、EX−821、EX−830、日油株式会社製エピオールE400などが例示される。
また、エポキシ架橋剤に類似する化合物として、環状エーテルを有するオキセタン化合物も、また、好ましく使用される。オキセタン化合物としては、官能基を2以上有する多価グリシジルエーテルが好ましく、市販品としては、例えばナガセケムテックス社製EX−411、EX−313、EX−614B、EX−810、EX−811、EX−821、EX−830、などが例示される。
多価グリシジルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等が例示される。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピル、オキシエチエンオキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソビトール等が例示される。
多価イソシアネートとしては、例えば、2,4−トルイレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が例示される。
多価アジリジンとしては、例えば、2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アシリジニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサメチレンジエチレンウレア、ジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−ジエチレンウレア等が例示される。
ハロエポキシ化合物としては、例えば、エピクロルヒドリン、α−メチルクロルヒドリン等が例示される。
多価アルデヒドとしては、例えば、グルタルアルデヒド、グリオキサール等が例示される。
多価アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン等が例示される。
さらに、有機金属系架橋剤としては、例えば、有機チタン架橋剤、有機ジルコニア架橋剤等が例示される。
例えば、親水性化合物として、重量平均分子量が130,000以上のポリビニルアルコールを用いる場合には、この親水性化合物と反応性が良好で、加水分解耐性も優れている架橋構造が形成可能である点から,エポキシ架橋剤やグルタルアルデヒドが好ましく利用される。
また、親水性化合物として、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体を用いる場合は、エポキシ架橋剤やグルタルアルデヒドが好ましく利用される。
また、親水性化合物として、重量平均分子量が10,000以上のポリアリルアミンを用いる場合には、この親水性化合物と反応性が良好で、加水分解耐性も優れている架橋構造が形成可能である点から、エポキシ架橋剤、グルタルアルデヒド、および、有機金属架橋剤が好ましく利用される。
さらに、親水性化合物として、ポリエチレンイミンやポリアリルアミンを用いる場合には、エポキシ架橋剤が好ましく利用される。
架橋剤の量は、塗布組成物に添加する親水性化合物や架橋剤の種類に応じて、適宜、設定すればよい。
具体的には、親水性化合物が有する架橋可能基量100質量部に対して0.001〜80質量部が好ましく、0.01〜60質量部がより好ましく、0.1〜50質量部が特に好ましい。架橋剤の含有量を上記範囲とすることにより、架橋構造の形成性が良好であり、かつ、形状維持性に優れる促進輸送膜を得ることができる。
また、親水性化合物が有する架橋可能基に着目すれば、架橋構造は、親水性化合物が有する架橋可能基100molに対し、架橋剤0.001〜80molを反応させて形成されたものであるのが好ましい。
促進輸送膜16において、キャリア(酸性ガスキャリア)は、酸性ガス(例えば、炭酸ガス(CO2))と反応して、酸性ガスを輸送するものである。
キャリアは、酸性ガスと親和性を有し、かつ、塩基性を示す水溶性の化合物である。具体的には、アルカリ金属化合物、窒素含有化合物および硫黄酸化物等が例示される。
なお、キャリアは、間接的に酸性ガスと反応するものでも、キャリア自体が、直接、酸性ガスと反応するものでもよい。
前者は、供給ガス中に含まれる他のガスと反応し、塩基性を示し、その塩基性化合物と酸性ガスが反応するものなどが例示される。より具体的には、スチーム(水分)と反応してOH-を放出し、そのOH-がCO2と反応することで、促進輸送膜16中に選択的にCO2を取り込むことができる化合物であり、例えば、アルカリ金属化合物である。
後者は、キャリア自体が塩基性であるようなもので、例えば、窒素含有化合物や硫黄酸化物である。
アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、および、アルカリ金属水酸化物等が例示される。ここで、アルカリ金属としては、セシウム、ルビジウム、カリウム、リチウム、および、ナトリウムから選ばれたアルカリ金属元素が好ましく用いられる。なお、本発明において、アルカリ金属化合物とは、アルカリ金属そのもののほか、その塩およびそのイオンも含む。
アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、および、炭酸セシウム等が例示される。
アルカリ金属重炭酸塩としては、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、および、炭酸水素セシウム等が例示される。
さらに、アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、および、水酸化セシウム等が例示される。
これらの中でも、アルカリ金属炭酸塩が好ましく、また、酸性ガスとの親和性が良いという観点から、水に対する溶解度の高いカリウム、ルビジウム、および、セシウムを含む化合物が好ましい。
また、キャリアとしてアルカリ金属化合物を用いる際には、2種以上のキャリアを併用してもよい。
促進輸送膜16中に2種以上のキャリアが存在することにより、膜中で異なるキャリアを距離的に離間させることができる。これにより、複数のキャリアの潮解性の違いによって、促進輸送膜16の吸水性に起因して、製造時等に促進輸送膜16同士や、促進輸送膜16と他の部材とが貼着すること(ブロッキング)を、好適に抑制できる。
また、ブロッキングの抑制効果を、より好適に得られる等の点で、2種以上のアルカリ金属化合物をキャリアとして用いる場合には、潮解性を有する第1化合物と、第1化合物よりも潮解性が低く比重が小さい第2化合物を含むのが好ましい。一例として、第1化合物としては炭酸セシウムが、第2化合物としては炭酸カリウムが、例示される。
窒素含有化合物としては、グリシン、アラニン、セリン、プロリン、ヒスチジン、タウリン、ジアミノプロピオン酸などのアミノ酸類、ピリジン、ヒスチジン、ピペラジン、イミダゾール、トリアジンなどのヘテロ化合物類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミンなどのアルカノールアミン類、クリプタンド[2.1]、クリプタンド[2.2]などの環状ポリエーテルアミン類、クリプタンド[2.2.1]、クリプタンド[2.2.2]などの双環式ポリエーテルアミン類、ポルフィリン、フタロシアニン、エチレンジアミン四酢酸等が例示される。
さらに、硫黄化合物としては、シスチン、システインなどのアミノ酸類、ポリチオフェン、ドデシルチオール等が例示される。
塗布組成物におけるキャリアの含有量は、キャリアや親水性化合物の種類等に応じて、適宜、設定すればよい。具体的には、促進輸送膜16におけるキャリアの量が、0.3〜30質量%となる量が好ましく、0.5〜25質量%となる量がより好ましく、1〜20質量%となる量が特に好ましい。
塗布組成物におけるキャリアの含有量を、上記範囲とすることにより、塗布前の塩析を好適に防ぐことができ、さらに、形成した促進輸送膜16が、酸性ガスの分離機能を確実に発揮できる。
また、塗布組成物における親水性化合物とキャリアとの量比は、親水性化合物:キャリアの質量比で1:9〜2:3以下が好ましく、1:4〜2:3以下がより好ましく、3:7〜2:3が特に好ましい。
塗布組成物は、必要に応じて、増粘剤を含有してもよい。
増粘剤としては、例えば、寒天、カルボキシメチルセルロース、カラギナン、キタンサンガム、グァーガム、ペクチン等の増粘多糖類が好ましい。中でも、製膜性、入手の容易性、コストの点から、カルボキシメチセルロースが好ましい。
カルボキシメチルセルロースを用いることにより、少量の含有量で、所望粘度の塗布組成物が容易に得られるうえ、塗布液に含まれる溶媒以外の成分の少なくとも一部が塗布液中で溶解できずに析出してしまう恐れも少ない。
塗布組成物における増粘剤の含有量は、組成物(塗布液)中の増粘剤の含有量は、目的とする粘度に調節可能であれば、できるだけ少ないほうが好ましい。
一般的な指標としては、10質量%以下が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましく、0.1〜2質量%以下がより好ましい。
塗布組成物(促進輸送膜16)は、このような親水性化合物、架橋剤およびキャリア、あるいはさらに増粘剤に加え、必要に応じて、各種の成分を含有してもよい。
このような成分としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等の酸化防止剤、炭素数3〜20のアルキル基または炭素数3〜20のフッ化アルキル基と親水性基とを有する化合物やシロキサン構造を有する化合物等の特定化合物、オクタン酸ナトリウムや1−ヘキサスルホン酸ナトリウム等の界面活性剤、ポリオレフィン粒子やポリメタクリル酸メチル粒子等のポリマー粒子等が例示される。
その他、必要に応じて、触媒、保湿(吸湿)剤、補助溶剤、膜強度調節剤、欠陥検出剤等を用いてもよい。
塗布組成物は、公知の方法で調製すればよい。すなわち、まず、親水性化合物、キャリア、および、必要に応じて添加する各種の成分を、それぞれ適量で水(常温水または加温水)に添加して、十分、攪拌することで、促進輸送膜16となる塗布組成物を調製する。
この塗布組成物の調製では、必要に応じて、攪拌しつつ加熱することで、各成分の溶解を促進させてもよい。また、親水性化合物を水に加えて溶解した後、キャリアを徐々に加えて攪拌することで、親水性化合物の析出(塩析)を効果的に防ぐことができる。
ここで、促進輸送膜16となる塗布組成物は、25℃における粘度が100mPa・s以上であるのが好ましい。
塗布組成物の25℃における粘度を、100mPa・s以上とすることにより、シリコーン樹脂層14の上に塗布組成物を塗布する際のハジキを抑制できる、塗布組成物の塗布の均一性を良くできる等の点で好ましい。
なお、塗布組成物の粘度は、前述のシリコーン塗布液の粘度と同様に測定すればよい。
前述のように、塗布部54は、長手方向に搬送される複合体10(シリコーン樹脂層14)に、このような塗布組成物を塗布する部位である。
図示例において、塗布部54は、塗布装置62とバックアップローラ64とから構成される。すなわち、複合体10は、バックアップローラ64によって所定の塗布位置に保たれつつ搬送されて、塗布装置62によって塗布組成物を塗布され、塗布組成物の塗膜(液膜)を形成される。なお、塗布部54では、必要に応じて、塗布組成物や複合体10等の温度制御を行ってもよい。
塗布装置62は、公知の物が各種、利用可能であり、前述の塗布装置32と同様の物が例示される。また、塗布組成物の好ましい粘度や塗布組成物の塗布量等を考慮すると、ロールコータ、バーコータ、正回転ロールコータ、ナイフコータ等は好適に利用される。
ここで、本発明の製造方法においては、促進輸送膜16を形成する際には、塗布装置62は、塗膜の厚さ(複合体10に塗布する塗布組成物の厚さ)が0.05〜2mmとなるように、支持体12に塗布組成物を塗布するのが好ましい。
塗布組成物の塗膜の厚さを、上記範囲とすることにより、目的とする機能を適性に発現する促進輸送膜16を形成できる、気泡や異物の混入に起因する欠陥の発生を防止できる、後述する乾燥装置56で十分な乾燥を行うことができる等の点で好ましい。
また、以上の点を考慮すると、促進輸送膜16となる塗膜の厚さは、0.1〜1.5mmがより好ましい。
また、本発明の製造方法において、後述する塗布組成物の乾燥によって形成する促進輸送膜16の膜厚は、促進輸送膜16の組成等に応じて、目的とする性能を得られる膜厚を、適宜、設定すればよい。具体的には、3〜1000μmが好ましく、5〜500μmがより好ましい。なお、促進輸送膜16の膜厚は、前述のシリコーン樹脂層14と同様に制御すればよい。
すなわち、前述の塗膜厚で、この膜厚の促進輸送膜16が得られるように、塗布組成物を調製するのが好ましい。
促進輸送膜16の膜厚を、上記範囲とすることにより、ガス透過性能を向上できる、欠陥の発生を抑制できる等の点で好ましい。
なお、本発明の製造方法では、同じ組成もしくは異なる組成の複数層の促進輸送膜を形成してもよい。
塗布部54において塗布組成物を塗布された複合体10は、裏面(塗布組成物の塗布面と逆面)に当接するパスローラ68aに案内されて、乾燥装置56に搬送される。
乾燥装置56(乾燥工程)は、支持体12に塗布された塗布組成物から水の少なくとも一部を除去して乾燥(あるいはさらに、親水性化合物を架橋)することで、促進輸送膜16を形成して、酸性ガス分離膜18を作製する部位である。
乾燥方法は、温風乾燥や支持体12の加熱による乾燥方法等、水の除去による乾燥を行う公知の方法が、各種、利用可能である。
温風乾燥を行う場合には、温風の風速は、塗布組成物を迅速に乾燥できると共に、塗布組成物の塗膜(ゲル膜)が崩れない速度を、適宜、設定すればよい。具体的には、0.5〜200m/分が好ましく、0.75〜200m/分がより好ましく、1〜200m/分が特に好ましい。
また、温風の温度は、支持体12の変形などが生じず、かつ、塗布組成物を迅速に乾燥できる温度を、適宜、設定すればよい。具体的には、膜面温度で、1〜120℃が好ましく、2〜115℃がより好ましく、3〜110℃が特に好ましい。
支持体12の加熱による乾燥を行う場合には、支持体12の変形などが生じず、かつ、塗布組成物を迅速に乾燥できる温度を、適宜、設定すればよい。また、支持体12の加熱に、乾燥風の吹き付けを併用してもよい。
具体的には、支持体12の温度を60〜120℃として行うのが好ましく、60〜90℃として行うのがより好ましく、70〜80℃として行うのが特に好ましい。また、この際において、膜面温度は、15〜80℃が好ましく、30〜70℃がより好ましい。
乾燥装置56で塗布組成物の塗膜を乾燥された複合体10すなわち酸性ガス分離膜18は、パスローラ68bに案内されて、巻取部58に搬送される。
巻取部58は、巻取り軸70に酸性ガス分離膜18を巻き取って、分離膜ロール18Rとするのものである。
巻取部58は、前述の巻取り軸70と、3本のパスローラ68c〜68eを有する。
酸性ガス分離膜18は、パスローラ68c〜68eによって所定の搬送駅路を案内されて、巻取り軸70(分離膜ロール18R)に巻き取られ、分離膜ロール18Rとされる。
また、酸性ガス分離膜18も、同様に、パスローラ68c〜68eによって所定の搬送駅路を案内されて、巻取り軸70(分離膜ロール18R)によって巻き取られ、分離膜ロール18Rとされる。3本のパスローラ68c〜40eは、テンションカッタとしても作用しており、複合体10等を蛇行するように、案内する。
以下、製造装置20および製造装置50の作用の一例を説明することにより、本発明の複合体の製造方法について、より詳細に説明する。
まず、支持体ロール12Rを、製造装置20の供給部24の回転軸31に装着し、回転軸31を回転して支持体ロール12Rから支持体12を送り出す。次いで、支持体ロール12Rから送り出した支持体12を、塗布部26(バックアップローラ34)、硬化装置28、パスローラ38a〜38eを経て、巻取り軸40に至る所定の搬送経路に通し(挿通/通紙)、支持体12の先端を巻取り軸40に巻き付ける。
なお、この支持体12は、図1(A)に示すように、多孔質膜12aおよび補助支持膜12bからなる2層構成を有するものである。また、この支持体12において、多孔質膜12aの最大孔径は、5μm以下である。
支持体ロール12Rは、多孔質膜12a側が、塗布装置32に対面するように、回転軸31に装着される。
さらに、塗布装置32に、必要な量のシリコーン塗布液を充填する。なお、本例では、シリコーン塗布液の塗布は、室温で行うとする。従って、このシリコーン塗布液は、有する有機溶剤を含有しておらず、室温において300mPa・s以上の粘度を有する。
所定の搬送経路に支持体12を通し、さらに、塗布装置62に塗布組成物を充填したら、回転軸31、巻取り軸40、および、バックアップローラ34等を同期して駆動し、支持体12の搬送を開始する。
支持体ロール12Rから送り出された支持体12は、長手方向に搬送されつつ、まず、塗布部54において、バックアップローラ64によって所定の塗布位置に支持されつつ搬送されて、塗布装置32によって、シリコーン樹脂層14となるシリコーン塗布液を、目的とする塗布厚(塗布量)となるように塗布される。
なお、本発明においては、前述のように、シリコーン塗布液が塗布される多孔質膜12aの最大孔径が5μm以下で、かつ、塗布時におけるシリコーン塗布液の粘度が300mPa・s以上である。そのため、多孔質体である多孔質膜12aへのシリコーン塗布液の染み込みを、好適に防止できる。
シリコーン樹脂層14となるシリコーン塗布液を塗布された支持体12は、直後に配置される硬化装置28に搬送される。
硬化装置28においては、例えば、紫外線の照射によってシリコーン塗布液が硬化されて、シリコーン樹脂層14が形成され、複合体10が形成される。前述のように、本発明においては、シリコーン塗布液を塗布した後、5秒以内に、シリコーン塗布液を硬化して、シリコーン樹脂層14とするのが好ましい。
シリコーン樹脂層14を形成された複合体10は、パスローラ38a〜38dによって所定の搬送経路を案内されて巻取部30に搬送され、パスローラ38eによって巻取り軸40に案内されて、巻取り軸40に巻き取られ、複合体ロール10Rとされる。
目的とする長さの複合体10を巻回してなる複合体ロール10Rが完成したら、必要に応じて複合体10を切断して巻取り軸40から複合体ロール10Rを取り外し、複合体ロール10Rを、製造装置50の供給部52の回転軸61に装着する。
次いで、回転軸61を回転して複合体ロール10Rから複合体10を送り出す。次いで、複合体ロール10Rから送り出した複合体10を、塗布部54(バックアップローラ64)、パスローラ68a、乾燥装置56、パスローラ68bおよびパスローラ68c〜68eを経て、巻取り軸70に至る所定の搬送経路に通し、複合体10の先端を巻取り軸70に巻き付ける。
さらに、塗布装置62に、必要な量の塗布組成物を充填する。なお、この塗布組成物は、25℃における粘度が100mPa・s以上であるのが好ましいのは、前述のとおりである。
所定の搬送経路に複合体10を通し、さらに、塗布装置62に塗布組成物を充填したら、回転軸61、巻取り軸70、および、バックアップローラ64等を同期して駆動し、複合体10の搬送を開始する。
複合体ロール10Rから送り出された複合体10は、長手方向に搬送されつつ、まず、塗布部54において、バックアップローラ64によって所定の塗布位置に支持されつつ長手方向に搬送されて、塗布装置62によって、促進輸送膜16となる塗布組成物を、所定の塗布厚(塗布量)となるように塗布される。
促進輸送膜16となる塗布組成物を塗布された複合体10は、次いで、パスローラ68aに案内されて乾燥装置56に至り、乾燥装置56において塗布組成物が乾燥されることにより、促進輸送膜16が形成された、本発明の製造方法によって製造される複合体の一種ある酸性ガス分離膜18とされる。
酸性ガス分離膜18は、パスローラ68bに案内されて、巻取部58に搬送され、パスローラ68c〜68eによって所定の搬送経路を案内されて、巻取り軸70に巻き取られ、分離膜ロール18Rとされる。
図示例の製造装置20は、塗布装置32および硬化装置28のみ有し、また、製造装置50は、塗布装置62および乾燥装置56のみ有する。すなわち、この装置を用いる場合には、シリコーン樹脂層14と促進輸送膜16とを、別々の装置で形成する。
しかしながら、本発明の製造方法では、図4に概念的に示すように、塗布装置32および硬化装置28と、塗布装置62および乾燥装置56とを有する装置を用いて、RtoRによるロールからの送り出しと巻取りとを、1回行うことで、シリコーン樹脂層14および促進輸送膜16を形成して、酸性ガス分離膜18を作製してもよい。
以上、本発明の複合体の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明の複合体の製造方法について、より詳細に説明する。
[実施例1]
<シリコーン塗布液>
シリコーン樹脂層を形成するためのシリコーン塗布液として、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のUV9300を用意した。また、硬化剤として、東京化成工業社製の4−イソプロピル−4´−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートをシリコーン樹脂に対して0.5重量%添加した。
このシリコーン塗布液(硬化剤を添加したシリコーン塗布液)の25℃における粘度は、JIS Z8803に準じて、東機産業社製のTVB−10Mを用い、ロータをスピンドルNo.M4、回転速度60rpmとして、回転開始から30秒後の値を、シリコーン塗布液の粘度として測定した。その結果、25℃におけるシリコーン塗布液の粘度は300mPa・sであった。
<支持体>
幅が500mmで、厚さ200μmの長尺な(多孔質)支持体12をロール状に巻回してなる支持体ロール12Rを用意した。なお、支持体12は、補助支持膜12bとしてのPP不織布の表面に、多孔質膜12aとしての多孔質PTFEを積層してなる積層体(GE社製)を用いた。
この支持体12の多孔質膜12aの最大孔計をパームポロメータで測定したところ、0.17μmであった。
<複合体10の作製>
多孔質膜12a側にシリコーン塗布液が塗布されるように、支持体ロール12Rを図2に示す製造装置20の供給部24の回転軸31に装填した。次いで、支持体ロール12Rから支持体12を送り出し、前述のように、塗布部26および硬化装置28を経て、巻取部30に至る所定の搬送経路で通して、支持体12の先端を巻取り軸40に巻き付けた。
他方、シリコーン塗布液を、塗布部26の塗布装置32に充填した。なお、塗布装置32においては、充填したシリコーン塗布液の温度が24〜25℃となるように、温度制御を行った。
以上の準備を終了した後に、支持体12の搬送を開始して、前述のように、塗布部26において多孔質膜12aの表面にシリコーン塗布液を塗布し、硬化装置28によって紫外線を照射してシリコーン塗布液を硬化して、支持体12にシリコーン樹脂層14を形成してなる複合体10とした。さらに、作製した複合体10を巻取り軸40に巻き取って、複合体ロール10Rとした。
支持体12の搬送速度は、50m/minとした。また、シリコーン塗布液を塗布した後、2秒でシリコーン塗布液が硬化するように、硬化装置28における紫外線の照射位置および照射量を調節した。
シリコーン塗布液の塗布は、シリコーン樹脂層14の厚さが10μmとなるように行った。また、任意の箇所で複合体10を切断して、断面の走査型電子顕微鏡での観察、および、断面のエネルギ分散型X線分析像の解析によって、多孔質膜12aに染み込んだシリコーン樹脂の厚さ(平均値)を測定したところ、
(多孔質膜12a内部のシリコーン樹脂の厚さ)/(シリコーン樹脂層14の厚さ)
の厚さの比は0.9であった。
なお、シリコーン塗布液を塗布した後、シリコーン塗布液が硬化するまでの時間と紫外線照射量との関係、および、シリコーン樹脂層14の膜厚とシリコーン塗布液の塗布量は、予め実験によって調べておいた。
[実施例2〜4]
支持体12として、多孔質膜12aの最大孔径が4.7μmの積層体を用い、シリコーン樹脂層14の厚さを2μmとした以外(実施例2);
シリコーン樹脂層14の厚さを0.5μmとした以外(実施例3);
シリコーン塗布液として信越化学工業社製のKF−102を用い、シリコーン樹脂層14の厚さを0.3μmとした用いた以外(実施例4);
は、実施例1と同様にして、複合体10を作製した。
なお、実施例4において、実施例1と同様にシリコーン塗布液の25℃における粘度を測定したところ、4000mPa・sであった。
また、実施例2〜4において、実施例1と同様にして、多孔質膜12a内部のシリコーン樹脂とシリコーン樹脂層14との厚さの比を測定したところ、実施例2が4、実施例3が4、実施例4が5であった。
[比較例1〜2]
UV9300をヘプタンで希釈して、濃度を20質量%とした液をシリコーン塗布液として用いた以外(比較例1);
支持体12として、多孔質膜12aの最大孔径が10μmの積層体を用いた以外(比較例2);
は、実施例1と同様にして、複合体10を作製した。
なお、比較例1において、実施例1と同様にシリコーン塗布液の25℃における粘度を測定したところ、20mPa・sであった。ただし、比較例1では、シリコーン塗布液が多孔質膜12aに染み込んでしまい、多孔質膜12aの上にシリコーン樹脂層14を形成できなかった。
また、比較例2も、シリコーン塗布液が多孔質膜12aに染み込んでしまい、多孔質膜12aの上にシリコーン樹脂層14が形成できなかった。
[ガス透過性試験]
各複合体ロール10Rから複合体10を引き出し、任意の位置で切り抜いて、直径47mmの円形の複合体10を作製した。なお、円形の複合体10は、幅方向の500mmに対して、100mm間隔で4箇所、サンプリングした。
テストガスとしてCO2/H2:25/75(容積比)の混合ガスを用いた。この混合ガスを、流量500ml/min、温度40℃、全圧500kPaの条件で、作製した各透過試験サンプルに供給した。なお、透過側にはArガス(流量100ml/min)をフローさせた。
透過してきたガスをガスクロマトグラフで分析して、CO2透過速度(Q(CO2))を測定し、各複合体の評価を行った。
なお、透過速度単位(GPU)は、『1×10-6cm3(STP)/(sec・cm2・cmHg)』である。
評価は、以下のとおりである。
A: 上記試験条件において、500kPaの加圧が可能で、かつ、CO2透過速度がが200以上である場合。
B: 上記試験条件において、500kPaの加圧が可能で、かつ、CO2透過速度がが10以上200未満である場合。
C: 上記試験条件において、500kPaの加圧が不可能、もしくは、CO2透過速度が10未満である場合。
結果を下記の表に示す。
上記表に示すように、本発明の製造方法によって製造した複合体10を用いる実施例1〜4の酸性ガス分離膜18は、優れたガス透過性能を有する。特に、シリコーン樹脂層14の膜厚が薄い実施例3および実施例4の酸性ガス分離膜18は、非常に優れたガス透過性能を有している。
これに対し、シリコーン塗布液の粘度が300mPa・s未満である比較例1、および、支持体12(多孔質膜12a)の最大孔径が5μmを超える比較例2は、共に、支持体12にシリコーン塗布液が染み込んでしまい、多孔質膜12aの表面にシリコーン樹脂層を形成できず、共に、ガス透過性能が悪くなってしまっている。
以上の結果より、本発明の効果が明らかである。
水素ガスの製造や天然ガスの精製等に用いられる酸性ガス分離膜に好適に利用可能である。
10 複合体
10R 複合幕ロール
12 (多孔質)支持体
12R 支持体ロール
12a 多孔質膜
12b 補助支持幕
14 シリコーン樹脂層
16 促進輸送幕
18 酸性ガス分離幕
18R 分離幕ロール
20,50 製造装置
26,52 供給部
26,54 塗布部
28 硬化装置
30,58 巻取部
31,61 回転軸
32,62 塗布装置
34,64 バックアップローラ
38a〜38e,68a〜68e パスローラ
40,70 巻取り軸
46、48 空間
56 乾燥装置

Claims (9)

  1. 促進輸送膜を有する酸性ガス分離膜において、表面に前記促進輸送膜形成される、多孔質支持体の表面にシリコーン樹脂層を形成してなる複合体の製造方法であって、
    ロール・トゥ・ロール方式によって、前記シリコーン樹脂層となるシリコーン塗布液を前記多孔質支持体の表面に塗布する工程を有し、
    前記シリコーン塗布液が有機溶剤を含まないものであり、かつ、前記多孔質支持体として、最大孔径が5μm以下である多孔質体を用い、さらに、前記多孔質支持体の表面に塗布する際における前記シリコーン塗布液の粘度を300mPa・s以上とすることを特徴とする複合体の製造方法。
  2. さらに、ロール・トゥ・ロール方式によって、少なくとも酸性ガスと反応するキャリアおよび前記キャリアを担持するための親水性化合物を含有する、前記促進輸送膜となる塗布組成物を、前記シリコーン樹脂層の表面もしくは前記多孔質支持体の前記シリコーン樹脂層が形成されていない側の表面に塗布する工程を有する請求項1に記載の複合体の製造方法。
  3. 前記塗布組成物を、前記シリコーン樹脂層の表面に塗布する請求項2に記載の複合体の製造方法。
  4. 25℃における前記塗布組成物の粘度が100mPa・s以上である請求項2または3に記載の複合体の製造方法。
  5. 前記シリコーン塗布液を塗布した後、7秒以内に、前記シリコーン塗布液を硬化してシリコーン樹脂層を形成する請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
  6. 前記シリコーン塗布液の硬化を紫外線照射によって行う請求項5に記載の複合体の製造方法。
  7. 膜厚が10μm以下の前記シリコーン樹脂層を形成する請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
  8. 前記多孔質支持体が、含フッ素ポリマー、ポリプロピレン、および、ポリスルホンから選択される1以上の材料を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
  9. 前記多孔質支持体の内部へのシリコーン塗布液の染み込みに起因して、前記多孔質支持体の内部にもシリコーン樹脂が形成されており、
    かつ、前記多孔質支持体の内部のシリコーン樹脂の厚さが、シリコーン樹脂層の厚さに対して、
    (支持体内部のシリコーン樹脂)/(シリコーン樹脂層)=0.1〜100
    を満たす請求項1〜8のいずれか1項に記載の複合体の製造方法。
JP2013251965A 2013-12-05 2013-12-05 複合体の製造方法 Expired - Fee Related JP6177115B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013251965A JP6177115B2 (ja) 2013-12-05 2013-12-05 複合体の製造方法
TW103142169A TW201532661A (zh) 2013-12-05 2014-12-04 複合體的製造方法
PCT/JP2014/082065 WO2015083766A1 (ja) 2013-12-05 2014-12-04 複合体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013251965A JP6177115B2 (ja) 2013-12-05 2013-12-05 複合体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015107473A JP2015107473A (ja) 2015-06-11
JP6177115B2 true JP6177115B2 (ja) 2017-08-09

Family

ID=53273526

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013251965A Expired - Fee Related JP6177115B2 (ja) 2013-12-05 2013-12-05 複合体の製造方法

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP6177115B2 (ja)
TW (1) TW201532661A (ja)
WO (1) WO2015083766A1 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2017098887A1 (ja) * 2015-12-10 2018-09-13 富士フイルム株式会社 保護層付きガス分離膜の製造方法、保護層付きガス分離膜、ガス分離膜モジュール及びガス分離装置
JPWO2017122530A1 (ja) * 2016-01-12 2018-09-27 富士フイルム株式会社 ガス分離膜の製造方法、ガス分離膜、ガス分離膜モジュール及びガス分離装置
EP3421118A4 (en) * 2016-02-25 2019-10-23 Kyushu University National University Corporation SINGLE-FILM FILM, COMPOSITE BODY, AND METHOD FOR MANUFACTURING SAME, GAS SEPARATION MATERIAL, FILTER, AND GAS SEPARATION DEVICE
JP6779642B2 (ja) * 2016-03-24 2020-11-04 次世代型膜モジュール技術研究組合 ガス分離膜
JP6609209B2 (ja) * 2016-03-24 2019-11-20 次世代型膜モジュール技術研究組合 ガス分離膜
US11499240B2 (en) * 2017-07-10 2022-11-15 Agfa-Gevaert Nv Reinforced separator for alkaline hydrolysis
JP2019018167A (ja) * 2017-07-19 2019-02-07 旭化成株式会社 ガス分離膜

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62136212A (ja) * 1985-12-07 1987-06-19 Mitsubishi Paper Mills Ltd 選択透過性複合膜の製造方法
JPS6430620A (en) * 1987-07-28 1989-02-01 Asahi Glass Co Ltd Production of gas separating composite membrane
US5522991A (en) * 1994-07-20 1996-06-04 Millipore Investment Holdings Limited Cellulosic ultrafiltration membrane
JPH11217459A (ja) * 1998-02-03 1999-08-10 Dainippon Ink & Chem Inc 多孔質膜の製造方法
JP2007196185A (ja) * 2006-01-30 2007-08-09 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 水素透過炭化膜及びその製造方法
JP2013049042A (ja) * 2011-01-12 2013-03-14 Fujifilm Corp 二酸化炭素分離膜形成用組成物、二酸化炭素分離膜及びその製造方法、並びに二酸化炭素分離装置
JP5689765B2 (ja) * 2011-07-29 2015-03-25 富士フイルム株式会社 二酸化炭素分離部材、その製造方法及び二酸化炭素分離モジュール

Also Published As

Publication number Publication date
TW201532661A (zh) 2015-09-01
WO2015083766A1 (ja) 2015-06-11
JP2015107473A (ja) 2015-06-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6177115B2 (ja) 複合体の製造方法
JP5990555B2 (ja) 酸性ガス分離膜の製造方法および酸性ガス分離膜巻回物
JP6156838B2 (ja) 酸性ガス分離用複合体の製造方法
JP6067649B2 (ja) 酸性ガス分離モジュール
JP6419850B2 (ja) 酸性ガス分離モジュール
JP6276598B2 (ja) 酸性ガス分離用モジュール
JP2016026860A (ja) 酸性ガス分離モジュール
JP5840574B2 (ja) 二酸化炭素分離用複合体の製造方法、二酸化炭素分離用複合体、及び二酸化炭素分離用モジュール
JP2016137462A (ja) 酸性ガス分離用スパイラル型モジュール
JP6170449B2 (ja) 複合体の製造方法
TW201511824A (zh) 酸性氣體分離用螺旋型模組
JP6186286B2 (ja) 酸性ガス分離用積層体の製造方法、酸性ガス分離用積層体および酸性ガス分離モジュール
WO2015029884A1 (ja) 酸性ガス分離膜の製造方法
JP6071872B2 (ja) 複合体の製造方法および複合体
JP6524113B2 (ja) 酸性ガス分離モジュール
JP5975951B2 (ja) 促進輸送型分離膜の製造方法
JP6145431B2 (ja) 酸性ガス分離モジュールの製造方法および酸性ガス分離モジュール
JP6005003B2 (ja) 酸性ガス分離用スパイラル型モジュール
WO2016117360A1 (ja) 酸性ガス分離モジュール

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160301

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170404

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170531

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170627

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170711

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6177115

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees