JP6176783B2 - 結晶系シリコン太陽電池及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、結晶系シリコン太陽電池の製造方法及びその製造方法によって製造される結晶系シリコン太陽電池に関する。
単結晶シリコン又は多結晶シリコンを平板状に加工した結晶系シリコンを基板に用いた結晶系シリコン太陽電池は、近年、その生産量が大幅に増加している。これらの太陽電池は、結晶系シリコン基板の一方の表面に、不純物拡散層、反射防止膜及び光入射側電極を有し、他方の表面に裏面電極を有する。光入射側電極及び裏面電極によって、結晶系シリコン太陽電池により発電した電力を外部に取り出すことができる。
太陽電池の製造方法として、例えば、特許文献1には、第1導電型の半導体基板にpn接合を形成して太陽電池を製造する方法であって、少なくとも、前記第1導電型の半導体基板上にドーパントを含む第1塗布剤を塗布し、気相拡散熱処理により、第1塗布剤の塗布により形成される第1拡散層と、気相拡散により第1拡散層に接するように形成され、第1拡散層より導電率が低い第2拡散層とを同時に形成することを特徴とする太陽電池の製造方法が記載されている。
また、特許文献2には、正面と裏面とを有する結晶性シリコン基板を用意し、前記結晶性シリコン基板を化学溶液に浸すことによって前記正面上及び前記裏面上の少なくとも一方に酸化シリコン薄膜を形成し、前記正面上及び前記裏面上の少なくとも一方の前記酸化シリコン薄膜上に絶縁性被膜を形成することを具備する、結晶性シリコン太陽電池の製造方法が記載されている。また、特許文献2には、酸化シリコン薄膜は、結晶性シリコン基板を化学溶液に浸すことによって形成されることが開示されている。さらに、特許文献2には、上述の化学溶液は、硝酸、過酸化水素、硫酸、塩酸、オゾン、酢酸、沸騰水、水素化アンモニウム、またはこれらを組み合わせたものからなり得ることが記載されている。ただし、特許文献2には、化学溶液がフッ酸を含むことは記載されていない。
また、特許文献3には、単結晶又は多結晶のシリコン基板の表面上に形成される化学的酸化膜である酸化シリコン薄膜と、前記酸化シリコン薄膜上に形成されるアモルファスシリコン層とを備える太陽電池が記載されている。特許文献3には、ヘテロ接合型構造を採用する太陽電池において、単結晶又は多結晶のシリコンの表面とアモルファスシリコン層との界面での不整合を改善することを課題とすることが記載されている。
特開2006−310368号公報 特表2010−504651号公報 特開2012−049156号公報
図2に、従来の結晶系シリコン太陽電池の断面模式図を示す。図2に示すように、結晶系シリコン太陽電池では、一般に、結晶系シリコン基板4(例えばp型結晶系シリコン基板4)の光入射側である表面(光入射側表面)に、不純物拡散層4(例えばn型不純物を拡散したn型不純物拡散層)を形成する。不純物拡散層4の上には、反射防止膜2を形成する。さらに、スクリーン印刷法などによって導電性ペーストを用いて光入射側電極1(表面電極)の電極パターンを反射防止膜2上に印刷し、導電性ペーストを乾燥及び焼成することによって光入射側電極1が形成される。この焼成の際、導電性ペーストが反射防止膜2をファイアースルーすることによって、光入射側電極1は、不純物拡散層4に接触するように形成することができる。なお、ファイアースルーとは、絶縁膜である反射防止膜2を導電性ペーストに含まれるガラスフリット等でエッチングし、光入射側電極1と不純物拡散層4とを導通させることである。p型結晶系シリコン基板4の裏面側からは光を入射させなくてもよいため、一般に、ほぼ全面に裏面電極15を形成する。p型結晶系シリコン基板4と不純物拡散層4の界面にはpn接合が形成されている。結晶系シリコン太陽電池に入射した入射光の大部分は、反射防止膜2及び不純物拡散層4を透過して、p型結晶系シリコン基板4に入射し、この過程で吸収され、電子−正孔対が発生する。これらの電子−正孔対は、pn接合による電界によって、電子は光入射側電極1へ、正孔は裏面電極15へと分離される。電子及び正孔(キャリア)は、これらの電極を介して、電流として外部に取り出される。
結晶系シリコン電池に入射した入射光は、反射防止膜2を透過し、不純物拡散層4に入射する。入射光の一部は、不純物拡散層4で吸収され、電子−正孔対が発生する。しかしながら、不純物拡散層4で発生した電子−正孔対は、再結合割合が大きいため再結合しやすく、結果としてエネルギー損失になることが知られている。これは、特に不純物拡散層4の表面近傍には高濃度で不純物がドープされているため、不純物に起因する再結合が生じやすくなることに起因する。したがって、不純物拡散層4での入射光の吸収をできるだけ少なくするために、不純物拡散層4の表面近傍の高濃度層の厚さを電気特性に影響を与えない程度に薄くする方がよいこととなる。不純物拡散層4の表面近傍の高濃度層の厚さを薄くするために、エッチバックという方法を行う場合がある。エッチバックとは、不純物拡散層4の形成後、不純物拡散層4の表面をエッチングすることにより、不純物拡散層4の表面近傍の高濃度層を薄くし、表面濃度を低下させる方法である。
一方、不純物拡散層4の表面には、表面準位が多数存在するために、入射光の吸収により発生したキャリアの表面再結合が生じることとなる。そのため、表面再結合に相当する入射光のエネルギーは電力に変換されず、結果として太陽電池のエネルギー損失になる。キャリアの表面再結合するための技術として、表面パッシベーションが知られている。
したがって、低コストで高性能の太陽電池を製造するためには、不純物拡散層4の表面近傍の高濃度層の厚さが薄く、キャリアの再結合が少ない不純物拡散層4を簡単な工程で形成することが必要である。
そこで、本発明は、簡便な方法によって低コストで高性能の結晶系シリコン太陽電池を製造するための製造方法を提供することを目的とする。具体的には、表面近傍の高濃度層の厚さが薄く、キャリアの再結合が少ない不純物拡散層4を、簡便な方法によって形成することのできる、低コストで高性能の結晶系シリコン太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、結晶系シリコン太陽電池の製造過程において、不純物拡散層を所定のエッチング溶液を用いてエッチバックすると、不純物拡散層の表面に、パッシベーション膜の機能を有するシリコン酸化膜を形成することができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、上記課題を解決するため、本発明は、下記の構成1〜9である結晶系シリコン太陽電池の製造方法、及び下記の構成10である結晶系シリコン太陽電池である。
(構成1)
本発明の構成1は、一の導電型の結晶系シリコン基板を用意する工程と、結晶系シリコン基板の一方の表面に、他の導電型の不純物拡散層を形成する工程と、フッ酸、硫酸及び硝酸を含むエッチング溶液を用いて、不純物拡散層の一部をエッチングするとともに、不純物拡散層の表面にシリコン酸化膜を形成する工程と、該シリコン酸化膜の表面に反射防止膜を形成する工程と、第1の導電性ペーストを、反射防止膜の表面に印刷し、及び焼成することによって光入射側電極を形成する工程とを含む、結晶系シリコン太陽電池の製造方法である。
本発明の構成1によれば、簡便な方法によってパッシベーション膜の機能を有するシリコン酸化膜を形成することができるので、低コストで高性能の結晶系シリコン太陽電池を製造するための製造方法を提供することができる。具体的には、表面近傍の高濃度層の厚さが薄く、キャリアの再結合が少ない不純物拡散層を、簡便な方法によって形成することのできる、低コストで高性能の結晶系シリコン太陽電池の製造方法を提供することができる。
(構成2)
本発明の構成2は、エッチング溶液が、フッ酸1重量部に対し、硫酸を8〜30重量部及び硝酸を150〜700重量部含む、構成1の結晶系シリコン太陽電池の製造方法である。エッチング溶液が、所定割合の成分を含むことにより、パッシベーション膜の機能を有するシリコン酸化膜を確実に形成することができる。
(構成3)
本発明の構成3は、エッチング溶液が、フッ酸1重量部に対し、水を90〜500重量部含む、構成1又は2の結晶系シリコン太陽電池の製造方法である。エッチング溶液が、所定割合の水を含むことにより、エッチング溶液の取り扱いを容易にし、パッシベーション膜の機能を有するシリコン酸化膜をより確実に形成することができる。
(構成4)
本発明の構成4は、シリコン酸化膜を形成する工程において、エッチング溶液の温度が、0〜40℃であり、不純物拡散層の一部をエッチングする時間が、40〜500秒である、構成1〜3のいずれかの結晶系シリコン太陽電池の製造方法である。エッチング溶液が所定温度であり、エッチングする時間が所定の時間であることによって、パッシベーション膜の機能を有するシリコン酸化膜を、より確実に形成することができる。
(構成5)
本発明の構成5は、シリコン酸化膜を形成する工程において、エッチング前のシート抵抗が40〜60Ω/□であり、エッチング後の不純物拡散層のシート抵抗が70〜150Ω/□となるように不純物拡散層の一部をエッチングする、構成1〜4のいずれかの結晶系シリコン太陽電池の製造方法である。エッチング後の不純物拡散層のシート抵抗が、エッチング前のシート抵抗より高くなるように不純物拡散層表面をエッチングすることにより、結晶系シリコン太陽電池の短絡電流密度(Jsc)を、増加させることができる。
(構成6)
本発明の構成6は、シリコン酸化膜を形成する工程において、膜厚が0.1〜10nmとなるようにシリコン酸化膜を形成する、構成1〜5のいずれかの結晶系シリコン太陽電池の製造方法である。シリコン酸化膜の膜厚が所定の範囲であることにより、その後に形成される反射防止膜とともに、反射防止膜としての機能を発揮することができる。
(構成7)
本発明の構成7は、シリコン酸化膜を形成する工程において、不純物拡散層の一部をエッチングする際のエッチングレートが、0.3〜1.0μg/(cm・s)である、構成1〜6のいずれかの結晶系シリコン太陽電池の製造方法である。不純物拡散層の一部をエッチングする際のエッチングレートが、所定の範囲であることにより、上述の所定の機能を有するシリコン酸化膜を確実に形成することができる。
(構成8)
本発明の構成8は、反射防止膜が、窒化シリコン膜である、構成1〜7のいずれかの結晶系シリコン太陽電池の製造方法である。反射防止膜が窒化シリコン膜であることにより、上述のように形成されたシリコン酸化膜とともに、入射した光に対して反射防止機能を発揮することができる。
(構成9)
本発明の構成9は、結晶系シリコン基板の他方の表面に、第2の導電性ペーストを印刷し、及び焼成することによって裏面電極を形成する工程をさらに含む、構成1〜8のいずれかの結晶系シリコン太陽電池の製造方法である。光入射側電極とともに、裏面電極が形成されることにより、結晶系シリコン太陽電池によって発電された電力を外部に取り出すことができる。
(構成10)
本発明は、本発明の構成10は、構成1〜9のいずれかの製造方法によって製造される結晶系シリコン太陽電池である。本発明の結晶系シリコン太陽電池では、簡便な方法によって所定のシリコン酸化膜を形成することができるので、低コストで高性能の結晶系シリコン太陽電池を得ることができる。
本発明によれば、簡便な方法によって低コストで高性能の結晶系シリコン太陽電池を製造するための製造方法を提供することができる。具体的には、表面近傍の高濃度層の厚さが薄く、キャリアの再結合が少ない不純物拡散層を、簡便な方法によって形成することのできる、低コストで高性能の結晶系シリコン太陽電池の製造方法を提供することができる。
本発明の結晶系シリコン太陽電池の断面模式図である。 従来の結晶系シリコン太陽電池の断面模式図である。 実施例1〜4及び比較例1〜4の単結晶シリコン太陽電池の開放電圧(Voc)の測定結果である。 実施例1〜4及び比較例1〜4の単結晶シリコン太陽電池の短絡電流密度(Jsc)の測定結果である。
本明細書では、「結晶系シリコン」は単結晶及び多結晶シリコンを包含する。また、「結晶系シリコン基板」とは、電気素子又は電子素子の形成のために、結晶系シリコンを平板状など、素子形成に適した形状に成形した材料のことをいう。結晶系シリコンの製造方法は、どのような方法を用いても良い。例えば、単結晶シリコンの場合にはチョクラルスキー法、多結晶シリコンの場合にはキャスティング法を用いることができる。また、その他の製造方法、例えば、種結晶を用いたキャスティング法により作製されたモノライク基板、リボン引き上げ法により作製された多結晶シリコンリボン基板、ガラス等の異種基板上に多結晶シリコン層が形成されている基板なども結晶系シリコン基板として用いることができる。また、「結晶系シリコン太陽電池」とは、結晶系シリコン基板を用いて作製された太陽電池のことをいう。
太陽電池特性を表す指標として、光照射下での電流−電圧特性の測定から得られる変換効率(η)、開放電圧(Voc:Open Circuit Voltage)、短絡電流(Isc:Short Circuit Current。単位面積あたりの短絡電流を、短絡電流密度Jscという。)及び曲線因子(フィルファクター、以下、「FF」ともいう)を用いることができる。不純物拡散層(エミッタ層ともいう。)とは、p型又はn型の不純物を拡散した層であって、ベースとなる結晶系シリコン基板中の不純物濃度よりも高濃度となるように不純物を拡散させた層である。本明細書において、「一の導電型」とはp型又はn型の導電型を意味し、「他の導電型」とは、「一の導電型」とは異なる導電型を意味する。例えば、「一の導電型の結晶系シリコン基板」がp型結晶系シリコン基板である場合には、「他の導電型の不純物拡散層」はn型不純物拡散層(n型エミッタ層)である。
図1に、光入射側及び裏面側の両方に電極(光入射側電極20及び裏面電極15)を有する本発明の結晶系シリコン太陽電池の、光入射側電極20付近の断面模式図を示す。図1に示すように、本発明の結晶系シリコン太陽電池では、光入射側電極20(表面電極)が形成されていない部分において、不純物拡散層4(例えばn型不純物を拡散したn型不純物拡散層4)と、反射防止膜2との間に、シリコン酸化膜3が配置される。本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法は、不純物拡散層4をエッチバックする際のエッチングと同時に、不純物拡散層4の表面にシリコン酸化膜3を形成することに特徴がある。以下、本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法について、さらに説明する。
本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法は、一の導電型の結晶系シリコン基板1を用意する工程と、結晶系シリコン基板1の一方の表面に、他の導電型の不純物拡散層4を形成する工程と、フッ酸、硫酸及び硝酸を含むエッチング溶液を用いて、不純物拡散層4の一部をエッチングするとともに、不純物拡散層4の表面にシリコン酸化膜3を形成する工程と、シリコン酸化膜3の表面に反射防止膜2を形成する工程と、第1の導電性ペーストを、反射防止膜2の表面に印刷し、及び焼成することによって光入射側電極20を形成する工程とを含む。
本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法は、一の導電型(p型又はn型の導電型)の結晶系シリコン基板1を用意する工程を含む。結晶系シリコン基板1としては、例えば、B(ホウ素)ドープのp型単結晶シリコン基板を用いることができる。
なお、高い変換効率を得るという観点から、結晶系シリコン基板1の光入射側の表面は、ピラミッド状のテクスチャ構造を有することが好ましい。
次に、本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法は、上述の工程で用意した結晶系シリコン基板1の一方の表面に、他の導電型の不純物拡散層4を形成する工程を含む。例えば結晶系シリコン基板1として、p型単結晶シリコン基板を用いる場合には、不純物拡散層4としてn型不純物拡散層4を形成することができる。
不純物拡散層4を形成する際には、不純物拡散層4のシート抵抗が40〜60Ω/□、好ましくは45〜55Ω/□となるように形成することができる。なお、不純物拡散層4は、後の工程においてエッチバックされるので、不純物拡散層4のシート抵抗は比較的低めのシート抵抗(厚い不純物拡散層4)とすることができる。
また、本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法において、不純物拡散層4を形成する深さは、0.3μm〜1.0μmとすることができる。なお、不純物拡散層4の深さとは、不純物拡散層4の表面からpn接合までの深さをいう。pn接合の深さは、不純物拡散層4の表面から、不純物拡散層4中の不純物濃度が基板の不純物濃度となるまでの深さとすることができる。
次に、本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法は、フッ酸、硫酸及び硝酸を含むエッチング溶液を用いて、不純物拡散層4の一部をエッチングするとともに、不純物拡散層4の表面にシリコン酸化膜3を形成する工程を含む。不純物拡散層4を所定のエッチング溶液を用いてエッチバックことにより、不純物拡散層4の表面に、パッシベーション膜の機能を有するシリコン酸化膜3を形成することができる。エッチバックよって不純物拡散層4の表面近傍の高濃度層の厚さは薄くなるので、不純物拡散層4での入射光の吸収をできるだけ少なくすることができる。この結果、製造される結晶系シリコン太陽電池の短絡電流密度を比較的高くすることができる。さらに、シリコン酸化膜3は、不純物拡散層4の表面において、パッシベーション膜としての機能を有するので、不純物拡散層4の表面でのキャリアの再結合を抑制させることができる。そのため、製造される結晶系シリコン太陽電池の開放電圧(Voc)を比較的高くすることができる。また、シリコン酸化膜3は、後に形成される反射防止膜2とともに、入射した光に対して反射防止機能を発揮するため、製造される結晶系シリコン太陽電池の短絡電流密度を、さらに高くすることができる。
このように、本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法では、不純物拡散層4のエッチバックという簡便な方法によってパッシベーション膜の機能を有するシリコン酸化膜3を形成することができるので、低コストで高性能の結晶系シリコン太陽電池を製造することができる。具体的には、表面近傍の高濃度層の厚さが薄く、キャリアの再結合が少ない不純物拡散層4を、エッチバックという簡便な方法によって形成することのできるので、低コストで高性能の結晶系シリコン太陽電池を製造することができる。
本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法は、不純物拡散層4のエッチバックのためのエッチング溶液が、フッ酸1重量部に対し、硫酸を8〜30重量部(好ましくは10〜25重量部、より好ましくは12〜20重量部)及び硝酸を150〜700重量部(好ましくは200〜550重量部、より好ましくは250〜400重量部)含むことが好ましい。エッチング溶液が、所定割合の成分を含むことにより、パッシベーション膜の機能を有するシリコン酸化膜3を確実に形成することができる。
不純物拡散層4のエッチバックのためのエッチング溶液は、フッ酸1重量部に対し、水を90〜500重量部、好ましくは150〜400重量部、より好ましくは250〜300重量部含むことが好ましい。エッチング溶液が、所定割合の水を含むことにより、エッチング溶液の取り扱いを容易にし、パッシベーション膜の機能を有するシリコン酸化膜3をより確実に形成することができる。
本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法のシリコン酸化膜3を形成する工程において、エッチング溶液の温度は、0〜40℃、好ましくは15〜35℃、より好ましくは20〜30℃、さらに好ましくは室温(例えば25℃)であることが好ましい。また、不純物拡散層4をエッチングする時間は、40〜500秒、好ましくは50〜300秒、より好ましくは60〜200秒、さらに好ましくは80〜100秒であることが好ましい。エッチング溶液が所定温度であり、エッチングする時間が所定の時間であることによって、パッシベーション膜の機能を有するシリコン酸化膜3を、より確実に形成することができる。
本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法では、不純物拡散層4に対するエッチバックによるエッチング後に、不純物拡散層4のシート抵抗が70〜150Ω/□、好ましくは70〜130Ω/□となるように不純物拡散層4をエッチングすることが好ましい。エッチング後の不純物拡散層4のシート抵抗が、エッチング前のシート抵抗より高くなるように不純物拡散層4をエッチングすることにより、結晶系シリコン太陽電池の短絡電流密度(Jsc)を、増加させることができる。
本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法では、シリコン酸化膜3を形成する工程において、膜厚が0.1〜10nm、好ましくは0.5〜5nmとなるようにシリコン酸化膜3を形成することが好ましい。シリコン酸化膜3の膜厚が所定の範囲であることにより、その後に形成される反射防止膜2とともに、反射防止膜2としての機能を発揮することができる。
本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法では、シリコン酸化膜3を形成する工程において、不純物拡散層4の一部をエッチングする際のエッチングレートが、0.3〜1.0μg/(cm・s)、好ましくは0.4〜0.8μg/(cm・s)であることが好ましい。不純物拡散層4のエッチバックする際のエッチレートが、所定の範囲であることにより、所定の機能を有するシリコン酸化膜3を確実に形成することができる。
次に、本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法は、上述の工程で形成したシリコン酸化膜3の表面に反射防止膜2を形成する工程を含む。反射防止膜2としては、シリコン窒化膜(SiN膜)を形成することができる。シリコン窒化膜を反射防止膜2として用いる場合には、該シリコン酸化膜3とシリコン窒化膜の層が表面パッシベーション膜としての機能も有する。そのため、シリコン窒化膜を反射防止膜2として用いる場合には、高性能の結晶系シリコン太陽電池を得ることができる。また、反射防止膜2が窒化シリコン膜であることにより、上述のように形成されたシリコン酸化膜3とともに、入射した光に対して反射防止機能を発揮することができる。シリコン窒化膜は、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法などにより、成膜することができる。
本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法は、第1の導電性ペーストを、反射防止膜2の表面に印刷し、及び焼成することによって光入射側電極20を形成する工程を含む。また、本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法は、結晶系シリコン基板1の他方の表面に、第2の導電性ペーストを印刷し、及び焼成することによって裏面電極15を形成する工程をさらに含むことが好ましい。具体的には、まず、第1の導電性ペースト(光入射側電極20形成用の導電性ペースト)を用いて印刷した電極パターンを、100〜150℃程度の温度で数分間(例えば0.5〜5分間)乾燥する。なお、このとき、裏面電極15の形成のため、裏面に対しても所定の裏面電極15用の導電性ペースト(第2の導電性ペースト)をほぼ全面に印刷し、乾燥することが好ましい。
その後、第1及び/又は第2の導電性ペーストを乾燥したものを、管状炉などの焼成炉を用いて大気中で、所定の焼成条件で焼成する。焼成条件として、焼成雰囲気は大気中、焼成温度は、400〜850℃、好ましくは400〜820℃であることができる。焼成の際は、光入射側電極20及び裏面電極15を形成するための導電性ペーストを同時に焼成し、両電極を同時に形成することが好ましい。このように、第1及び第2の導電性ペーストを光入射側表面及び裏面に印刷し、同時に焼成することにより、電極形成のための焼成を1回のみにすることができるので、結晶系シリコン太陽電池を、より低コストで製造することができる。
本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法では、光入射側電極20を形成するための第1の導電性ペーストを焼成する際に、第1の導電性ペーストが、反射防止膜2及びシリコン酸化膜3をファイアースルーすることによって、光入射側電極20が不純物拡散層4に対して接するように形成することが好ましい。この結果、光入射側電極20と、不純物拡散層4との間の接触抵抗を低減することができる。
上述のような製造方法によって、本発明の結晶系シリコン太陽電池を製造することができる。
本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法において、光入射側電極20の形成のために用いる第1の導電性ペーストは、特に限定されない。光入射側電極20と、不純物拡散層4との間の接触抵抗を低くするために、本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法に用いる第1の導電性ペーストは、導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを含むことが好ましい。
表面電極形成用の導電性ペーストは、導電性粉末を含む。導電性粉末としては、任意の単元素又は合金の金属粉末を用いることができる。金属粉末としては、例えば、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛及びスズからなる群より選択される1種以上を含む金属粉末を用いることができる。金属粉末としては、単一元素の金属粉末又はこれらの金属の合金粉末等を用いることができる。
第1の導電性ペーストに含まれる導電性粉末としては、銀、銅及びそれらの合金から選択される1種以上を含む導電性粉末を用いることが好ましい。その中でも特に、銀を含む導電性粉末を用いることがより好ましい。銅粉末は、比較的低価格であり、高い導電率を有するため、電極材料として好ましい。また、銀粉末は、導電率が高く、多くの結晶系シリコン太陽電池用の電極として、従来から用いられており、信頼性が高い。第1の導電性ペーストの場合も、導電性粉末として、特に銀粉末を用いることにより、信頼性が高く、高性能の結晶系シリコン太陽電池を製造することができる。そのため、銀粉末を、導電性粉末の主成分として用いることが好ましい。なお、第1の導電性ペーストには、太陽電池電極の性能が損なわれない範囲で、銀以外の他の金属粉末又は銀との合金粉末を含むことができる。しかしながら、低い電気抵抗及び高い信頼性を得る点から、導電性粉末は銀粉末を導電性粉末全体に対して80重量%以上含むことが好ましく、90重量%以上含むことがより好ましく、導電性粉末は銀粉末からなることがさらに好ましい。
銀粉末等の導電性粉末の粒子形状及び粒子寸法は、特に限定されない。粒子形状としては、例えば、球状及びリン片状等のものを用いることができる。粒子寸法は、一粒子の最長の長さ部分の寸法をいう。導電性粉末の粒子寸法は、作業性の点等から、0.05〜20μmであることが好ましく、0.1〜5μmであることがさらに好ましい。
一般的に、多数の微小な粒子の寸法は一定の分布を有するので、すべての粒子が上記の粒子寸法である必要はなく、全粒子の積算値50%の粒子寸法(平均粒径:D50)が上記の粒子寸法の範囲であることが好ましい。本明細書に記載されている導電性粉末以外の粒子の寸法についても同様である。なお、平均粒径は、マイクロトラック法(レーザー回折散乱法)によって粒度分布測定を行い、粒度分布測定の結果からD50値を得ることにより求めることができる。
また、銀粉末等の導電性粉末の大きさを、BET値(BET比表面積)として表すことができる。導電性粉末のBET値は、好ましくは0.1〜5m/g、より好ましくは0.2〜2m/gである。
本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法に用いる導電性ペーストは、任意の酸化物成分を含むガラスフリットを含むことができる。反射防止膜2をファイアースルーすることにより、表面電極と、不純物拡散層4との間の接触抵抗を低くするために、本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法に用いる表面電極形成用の導電性ペーストは、MoO−B−Bi−TiO−ZnO−SnO系、MoO−B−Bi−TiO−ZnO系、PbO−TeO−AgO系、PbO−TeO−AgO系、PbO−TeO−Bi−ZnO−WO系、PbO−TeO−Bi−ZnO−WO系、PbO−SiO−Al−P−TiO−ZnO系又はPbO−SiO−Al−P−TiO−ZnO系のガラスフリットを用いることが好ましい。それらの中でも、特にPbOを含むガラスフリットを用いることが、より好ましい。
第1の導電性ペーストは、導電性粉末100重量部に対し、ガラスフリットを好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜8重量部含むことができる。非導電性のガラスフリットが電極中に多く存在する場合には、電極の電気抵抗が上昇することになる。第1の導電性ペーストのガラスフリットが所定の範囲の添加量であることにより、形成される電極の電気抵抗の上昇を抑制することができる。
ガラスフリットの粒子の形状は特に限定されず、例えば球状、不定形等のものを用いることができる。また、粒子寸法も特に限定されないが、作業性の点等から、粒子寸法の平均値(D50)は0.1〜10μmの範囲が好ましく、0.5〜5μmの範囲がさらに好ましい。
本発明の結晶系シリコン太陽電池の製造方法に用いる導電性ペーストは、有機ビヒクルを含む。
導電性ペーストに含まれる有機ビヒクルとしては、有機バインダ及び溶剤を含むことができる。有機バインダ及び溶剤は、導電性ペーストの粘度調整等の役割を担うものであり、いずれも特に限定されない。有機バインダを溶剤に溶解させて使用することもできる。
有機バインダとしては、セルロース系樹脂(例えばエチルセルロース、ニトロセルロース等)、(メタ)アクリル系樹脂(例えばポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート等)から選択して用いることができる。有機バインダの添加量は、導電性粉末100重量部に対し、通常0.2〜30重量部であり、好ましくは0.4〜5重量部である。
溶剤としては、アルコール類(例えばターピネオール、α−ターピネオール、β−ターピネオール等)、エステル類(例えばヒドロキシ基含有エステル類、2,2,4―トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチラート、ブチルカルビトールアセテート等)から1種又は2種以上を選択して使用することができる。溶剤の添加量は、導電性粉末100重量部に対し、通常0.5〜30重量部であり、好ましくは5〜25重量部である。
第1の導電性ペーストには、添加剤として、可塑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、安定剤及び密着促進剤などから選択したものを、必要に応じてさらに配合することができる。これらのうち、可塑剤としては、フタル酸エステル類、グリコール酸エステル類、リン酸エステル類、セバチン酸エステル類、アジピン酸エステル類及びクエン酸エステル類などから選択したものを用いることができる。
第1の導電性ペーストは、有機バインダ及び溶剤に対して、導電性粉末、上述のガラスフリット、並びに、場合によりその他の添加剤及び添加粒子を、添加し、混合し、分散することにより製造することができる。混合は、例えばプラネタリーミキサーで行うことができる。また、分散は、三本ロールミルによって行うことができる。混合及び分散は、これらの方法に限定されるものではなく、公知の様々な方法を使用することができる。
裏面電極15を形成するための第2の導電性ペーストは、特に限定されない。例えば、p型結晶系シリコン基板14を用いて、裏面にBSF(Back Surface Field)層を形成する場合には、第2の導電性ペーストとしてアルミニウム粉末を含む導電性ペーストを用いることができる。アルミニウムは結晶系シリコン基板14に対してp型不純物となるため、アルミニウム粉末を含む第2の導電性ペーストを焼成する際にBSF層を形成することができる。また、第2の導電性ペーストは、第1の導電性ペーストと同様に、必要に応じて、上述のガラスフリット、有機ビヒクル及び添加剤等から適宜選択したものを含むことができる。
以上の説明では、図1に示す結晶系シリコン太陽電池の場合には、基板としてp型結晶系シリコン基板1を用いた例について主に説明したが、基板としてn型結晶系シリコン基板を用いることも可能である。その場合には、不純物拡散層4として、n型不純物拡散層4の代わりに、p型不純物拡散層を配置する。
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1〜4及び比較例1〜4の太陽電池の製造方法>
実施例1〜4として、本発明の製造方法により不純物拡散層4の表面にシリコン酸化膜3が形成されている単結晶シリコン太陽電池を製造し、太陽電池特性を測定した。比較のため、比較例1〜4として、不純物拡散層4の表面に形成されたシリコン酸化膜3を除去した単結晶シリコン太陽電池を製造し、太陽電池特性を測定した。
実施例及び比較例の単結晶シリコン太陽電池は、次のように製造した。
結晶系シリコン基板1としては、B(ホウ素)ドープのp型単結晶シリコン基板(基板厚み200μm)を用いた。
次に、この基板表面にウェットエッチングによってテクスチャ(凸凹形状)を形成した。具体的にはウェットエッチング法(水酸化ナトリウム水溶液)によってピラミッド状のテクスチャ構造を形成した。その後、塩酸及び過酸化水素を含む水溶液で洗浄した。
次に、上記基板のテクスチャ構造を有する表面に、オキシ塩化リン(POCl)を用い、拡散法によって、リンを温度860℃で拡散し、n型不純物拡散層4が約0.5μmの深さになるようにn型不純物拡散層4を形成した。n型不純物拡散層4のシート抵抗は、50Ω/□だった。
次に、n型不純物拡散層4をエッチバックした。具体的には、フッ酸、硫酸及び硝酸を含むエッチング溶液を用いて、n型不純物拡散層4の表面を、室温(25℃)で90秒間のエッチングを行った。エッチング溶液としては、1体積部のフッ酸(重量濃度50%)に対し、5体積部の硫酸(重量濃度96%)及び300体積部の硝酸(重量濃度61%)を含むエッチング溶液を用いた。なお、このエッチング溶液の体積割合を重量割合で示すならば、フッ酸1重量部に対して、硫酸15.4重量部、硝酸439.2重量部及び水282.4重量部である。このエッチング溶液を用いてn型不純物拡散層4をエッチバックした後に、n型不純物拡散層4の表面をエリプソメータで測定したところ、n型不純物拡散層4の表面に、膜厚1nm程度のシリコン酸化膜3が形成されていることを確認した。
次に、比較例1〜4のn型不純物拡散層4の表面に形成されたシリコン酸化膜3を、フッ酸でエッチングすることにより、除去した。
次に、実施例1〜4においては表面にシリコン酸化膜3が形成されたn型不純物拡散層4の表面に、比較例1〜4においてはシリコン酸化膜3を除去したn型不純物拡散層4の表面に、プラズマCVD法によってシランガス及びアンモニアガスを用いて窒化シリコン膜(反射防止膜2)を約80nmの厚みに形成した。
光入射側(表面)電極用の導電性ペーストの印刷は、スクリーン印刷法によって行った。上述の基板の反射防止膜2上に、膜厚が約20μmになるように長さ18mm、幅2mmバス電極部と、11本の長さ18mm、幅50μmのフィンガー電極部とからなる電極パターンを印刷し、その後、120℃で約600秒間乾燥した。
光入射側(表面)電極用の導電性ペーストの組成は、下記の通りである。
・導電性粉末: Ag(100重量部)。球状、BET値が1.0m/g、平均粒径D50が1.4μmのものを用いた。
・有機バインダ: エチルセルロース(2重量部)、エトキシ含有量48〜49.5重量%のものを用いた。
・可塑剤: オレイン酸(0.2重量部)を用いた。
・溶剤: ブチルカルビトール(5重量部)を用いた。
・ガラスフリット: PbO−SiO−Al−P−TiO−ZnO系のガラスフリットを用いた。なお、導電性ペースト中のガラスフリットの重量割合は、2重量部とした。また、ガラスフリットの平均粒径D50は2μmとした。
次に、裏面電極15用の導電性ペーストの印刷を、スクリーン印刷法によって行った。具体的には、上述の基板の裏面に、アルミニウム粉末、ガラスフリット、エチルセルロース及び溶剤を主成分とする導電性ペーストを47mm角で印刷し、120℃で約600秒間乾燥した。乾燥後の裏面電極15用の導電性ペーストの膜厚は約20μmであった。
上述のように導電性ペーストを表面及び裏面に印刷した基板を、ハロゲンランプを加熱源とする近赤外焼成炉(DESPATCH社製 太陽電池用高速焼成炉)を用いて、大気中で所定の条件により焼成した。焼成条件は、800℃のピーク温度とし、大気中、焼成炉のイン−アウト60秒で両面同時焼成した。以上のようにして、単結晶シリコン太陽電池を製造した。
<太陽電池特性の測定>
太陽電池セルの電気的特性の測定は、次のように行った。すなわち、製造した単結晶シリコン太陽電池の電流−電圧特性を、ソーラーシミュレータ光(AM1.5、エネルギー密度100mW/cm)の照射下で測定し、測定結果から開放電圧(Voc)及び短絡電流密度(Jsc)を算出した。
<太陽電池特性の測定結果>
表1に、実施例1〜4及び比較例1〜4の単結晶シリコン太陽電池の特性である開放電圧(Voc)及び短絡電流密度(Jsc)の測定結果を示す。また、図3及び図4に、表1に示した開放電圧(Voc)及び短絡電流密度(Jsc)の測定結果を、それぞれ図示する。
表1、図3及び図4から明らかなように、実施例1〜4の単結晶シリコン太陽電池の開放電圧(Voc)及び短絡電流密度(Jsc)は、比較例1〜4の単結晶シリコン太陽電池と比べて高かった。実施例1〜4の単結晶シリコン太陽電池の開放電圧(Voc)と短絡電流(Jsc)がともに高かったことは、実施例1〜4の単結晶シリコン太陽電池では、比較例1〜4と比べて、不純物拡散層4の表面でのキャリアの表面再結合速度が低いことが示唆される。すなわち、不純物拡散層4の表面に形成されたシリコン酸化膜3は、不純物拡散層4の表面のパッシベーションに大きく寄与しているものと推測できる。さらに、シリコン酸化膜3は、シリコン窒化膜と組み合わせることで反射防止膜としても機能していることが示唆される。したがって、本発明の製造方法により、表面近傍の高濃度層の厚さが薄く、キャリアの再結合が少ない不純物拡散層4を簡単な工程を用いて形成することができ、低コストで高性能の結晶系シリコン太陽電池の製造することが明らかとなった。
<不純物拡散層4のエッチング特性>
上述の実施例1〜4では、n型不純物拡散層4のシート抵抗は、50Ω/□だったものを、所定の組成のエッチング溶液によって90秒間のエッチング(エッチバック)を行ったことにより、高い開放電圧及び高い短絡電流密度を有する結晶系シリコン太陽電池を製造することができた。そこで、さらに、n型不純物拡散層4のエッチング特性について考察するために、表2に示すような条件で、n型不純物拡散層4のエッチバックを行った。なお、このエッチバックに用いた結晶系シリコン基板1及びn型不純物拡散層4の形成条件は、上述の実施例1〜4で用いたものと同様である。表2の試料1として示すように、エッチングを行わなかった場合のn型不純物拡散層4のシート抵抗は、48.6Ω/□だった。また、エッチング溶液の調合にあたり、フッ酸は重量濃度50%、硫酸は重量濃度96%、硝酸は重量濃度61%のものを用いた。表2には、各成分の体積割合(体積部)及び重量割合(重量部)を示す。
表2に示すように、試料2〜試料6では、実施例1〜4のエッチング溶液と同じ組成のエッチング溶液を用い、エッチング時間(エッチング溶液浸漬時間)を30〜180秒の範囲で変化させて、n型不純物拡散層4のエッチバックを行った。なお、試料4は、実施例1〜4と同じ90秒のエッチング時間だった。表2に示すように、この条件でのエッチングレートは、0.533〜0.771μg/(cm・s)の範囲であった。試料2〜試料6のエッチング条件は、エッチング時間を除いて同一であることから、エッチングレートが0.3〜1.0μg/(cm・s)、好ましくは0.4〜0.8μg/(cm・s)である場合には、実施例1〜4のような優れた性能の結晶系シリコン太陽電池を製造することができるといえる。
また、表2に示すように、試料7〜試料9では、エッチング溶液の組成を変化させてn型不純物拡散層4のエッチバックを行った。試料7のためのエッチング溶液は、フッ酸1体積部に対し、硝酸を600体積部という組成としたところ、エッチングレートは0.089μg/(cm・s)と遅くなった。また、試料9のためのエッチング溶液は、フッ酸1体積部に対し、硝酸を60体積部という組成としたところ、エッチングレートは1.289μg/(cm・s)と速くなった。試料7及び試料9と同じエッチング条件のエッチバックにより、実施例1〜4と同様の結晶系シリコン太陽電池を試作したところ、これらの太陽電池の特性(開放電圧及び短絡電流密度)は、比較例1〜4と同程度の低いものだった。これらの結果から、試料7及び試料9の場合には、所定の機能を有するシリコン酸化膜3の形成が十分に行われないものと考えられる。
1 結晶系シリコン基板(p型結晶系シリコン基板)
2 反射防止膜
3 シリコン酸化膜
4 不純物拡散層(n型不純物拡散層)
15 裏面電極
20 光入射側電極(表面電極)

Claims (8)

  1. 一の導電型の結晶系シリコン基板を用意する工程と、
    結晶系シリコン基板の一方の表面に、他の導電型の不純物拡散層を形成する工程と、
    フッ酸、硫酸及び硝酸を含むエッチング溶液を用いて、不純物拡散層の一部をエッチングするとともに、不純物拡散層の表面にシリコン酸化膜を形成する工程であって、エッチング溶液が、フッ酸1重量部に対し、硫酸を8〜30重量部及び硝酸を150〜700重量部含む、工程と、
    シリコン酸化膜の表面に反射防止膜を形成する工程と、
    第1の導電性ペーストを、反射防止膜の表面に印刷し、及び焼成することによって光入射側電極を形成する工程とを含む、結晶系シリコン太陽電池の製造方法。
  2. エッチング溶液が、フッ酸1重量部に対し、水を90〜500重量部含む、請求項1に記載の結晶系シリコン太陽電池の製造方法。
  3. シリコン酸化膜を形成する工程において、
    エッチング溶液の温度が、0〜40℃であり、
    不純物拡散層の一部をエッチングする時間が、40〜500秒である、請求項1又は2に記載の結晶系シリコン太陽電池の製造方法。
  4. シリコン酸化膜を形成する工程において、エッチング前のシート抵抗が40〜60Ω/□であり、エッチング後の不純物拡散層のシート抵抗が70〜150Ω/□となるように不純物拡散層の一部をエッチングする、請求項1〜のいずれかに記載の結晶系シリコン太陽電池の製造方法。
  5. シリコン酸化膜を形成する工程において、膜厚が0.1〜10nmとなるようにシリコン酸化膜を形成する、請求項1〜のいずれかに記載の結晶系シリコン太陽電池の製造方法。
  6. シリコン酸化膜を形成する工程において、不純物拡散層の一部をエッチングする際のエッチングレートが、0.3〜1.0μg/(cm・s)である、請求項1〜のいずれかに記載の結晶系シリコン太陽電池の製造方法。
  7. 反射防止膜が、窒化シリコン膜である、請求項1〜のいずれかに記載の結晶系シリコン太陽電池の製造方法。
  8. 結晶系シリコン基板の他方の表面に、第2の導電性ペーストを印刷し、及び焼成することによって裏面電極を形成する工程をさらに含む、請求項1〜のいずれかに記載の結晶系シリコン太陽電池の製造方法。
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