JP6176235B2 - 金属皮膜の成膜装置およびその成膜方法 - Google Patents

金属皮膜の成膜装置およびその成膜方法 Download PDF

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Description

本発明は、基材表面に金属皮膜を成膜する成膜装置および成膜方法に係り、特に、陽極と基材との間に電圧を印加することにより金属皮膜を好適に成膜することができる金属皮膜の成膜装置および成膜方法に関する。
従来から、基材の表面に金属イオンを析出させて金属皮膜を成膜することがある。たとえば、このような金属皮膜の成膜技術として、無電解めっき処理などのめっき処理により金属皮膜を成膜したり、スパッタリングなどのPVD法により金属皮膜を成膜したりする成膜技術が提案されている。
しかしながら、無電解めっき処理などのめっき処理を行なった場合には、めっき処理後の水洗が必要であり、水洗された廃液を処理する必要があった。また、スパッタリングなどのPVD法により基材表面に成膜を行った場合には、被覆された金属皮膜に内部応力が生じるため、膜厚を厚膜化するには制限があり、特に、スパッタリングの場合には、高真空化でしか成膜できない場合があった。
このような点を鑑みて、例えば、陽極と、陽極と基材(陰極)の間に配置される固体電解質膜と、陽極と陰極(基材)との間に電圧を印加する電源部とを備えた金属皮膜の成膜装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
ここで、特許文献1に係る成膜装置では、陽極は、金属イオンを含む溶液(金属溶液)が透過し、かつ固体電解質膜に金属イオンを供給する多孔質体からなる。陽極である多孔質体は、金属溶液に対して不溶性を有する多孔質のベース材に、金属皮膜と同じ金属からなる金属めっき膜が被覆されたものである。
さらに、基材と反対側の陽極に対向した位置に、金属溶液を介して金属皮膜と同じ金属からなるめっき用陽極が配置されており、めっき用陽極と陽極には、金属溶液を介してめっき用陽極の金属を陽極の表面に析出させるためのめっき用電源部が接続されている。
この成膜装置によれば、基材の表面に固体電解質膜を接触させ、多孔質陽極と陰極(基材)との間に、電源部により電圧を印加することにより、陽極の金属めっき膜が溶解する。溶解した金属めっき膜の金属イオンは、固体電解質膜を通過し、還元されて基材の表面に析出し、基材の表面に金属皮膜を成膜することができる。さらに、金属めっき膜の金属が成膜時に消費したとしても、めっき用電源部を印加して、消費した金属をめっき用陽極の金属から補給することができる。
特開2014−185371号公報
特許文献1に係る成膜装置では、成膜時に陽極の金属めっき膜からの金属イオンが、金属皮膜の成膜に用いられるため、短時間で基材の表面に金属皮膜を成膜することができる。しかしながら、陽極のベース材に成膜される金属めっき膜の膜厚は、多孔質のベース材に被覆されているため、金属めっき膜は短時間で消滅してしまう。したがって、これに合わせて、めっき用陽極およびめっき用電源部を用いて、陽極のベース材に金属めっき膜を成膜しなければならず、金属皮膜の成膜を一旦中断しなければならなかった。さらに、陽極の空孔を塞がないよう、ベース材に金属めっき膜を成膜しなければならず、その膜厚を管理することが難しかった。
また、めっき用陽極およびめっき用電源部は、陽極の表面に金属めっき膜を成膜するために用いられ、直接的に金属皮膜の成膜に用いるものではない。このような部材および機器を設けることにより、成膜装置の装置構成はより複雑なものとなる。
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とすることころは、単純な装置構成で、短時間で成膜することができるとともに、連続して長期間、金属皮膜を成膜することができる金属皮膜の成膜装置およびその成膜方法を提供することにある。
このような点を鑑みて、本発明に係る金属皮膜の成膜装置は、陽極と、前記陽極と陰極となる基材との間に配置される固体電解質膜と、前記陽極と基材との間に電圧を印加する電源部と、を少なくとも備え、前記固体電解質膜を前記基材に押圧した状態で、前記陽極と前記基材との間に電圧を印加して、前記固体電解質膜の内部に含有された金属イオンを還元することで金属皮膜を前記基材の表面に成膜する金属皮膜の成膜装置であって、前記陽極は、前記金属皮膜の金属と同じ金属からなる非多孔質の陽極であり、前記陽極と前記固体電解質膜との間には、前記陽極と前記固体電解質膜とに接触するように多孔質体が配置されており、該多孔質体には、前記陽極と前記固体電解質膜との間を連通し、前記金属イオンを含む溶液が供給される複数の空孔が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、多孔質体の複数の空孔に前記金属イオンを含む溶液(以下金属溶液という)を供給した状態で、電源部により陽極と基材との間に電圧を印加した際に、非多孔質の陽極の金属が、金属イオンとなって金属溶液に溶出する。金属溶液中の金属イオンは、多孔質体の空孔を介して固体電解質膜に供給される。
固体電解質膜に供給された金属イオンは、固体電解質膜に接触した基材の表面に移動し、基材の表面で還元されて、基材の表面には金属イオンに由来した金属が析出する。これにより、基材の表面に金属皮膜を成膜することができる。ここで、成膜時に固体電解質膜を基材に押圧する際には、多孔質体が固体電解質膜の支持部材として機能するので、固体電解質膜を基材に均一に押圧することができる。
このように、本発明では、電圧を印加した際に、非多孔質の陽極の金属が金属溶液に溶出して、金属溶液から金属イオンを固体電解質膜に常時供給することができる。したがって、本発明に係る成膜装置を用いれば、金属溶液中の金属イオンのみを成膜原料として、不溶性の陽極を用いて金属皮膜を成膜した場合に比べて、短時間で金属皮膜を成膜することができる。
さらに、従来の如く、金属皮膜と同じ金属からなる金属めっき膜を被覆した多孔質の陽極では、金属皮膜の成膜時に金属めっき膜が溶解してすぐに消滅するため、連続して長期間使用するには金属めっき膜を陽極に被覆する装置構成が必要であった。しかしながら、本発明では、非多孔質の陽極を用いるので、非多孔質の陽極は、金属めっき膜が被覆された多孔質の陽極に比べて消耗し難い。これにより、簡単な装置構成で、成膜装置を連続して長期にわたって、金属皮膜の成膜に使用することができる。
本発明でいう「金属イオンを含む溶液(金属溶液)が供給される複数の空孔」とは、少なくとも成膜時に、金属溶液が供給(充填)されている状態の空孔のことをいう。したがって、たとえば、成膜前に多孔質体の空孔に金属溶液が供給されていてもよく、成膜前に多孔質体の空孔に金属が溶解する溶媒を供給し、溶媒に陽極の金属を溶出させ、成膜装置内で金属溶液を生成してもよい。また、本発明でいう「非多孔質の陽極」とは、金属を含む溶液が含浸される孔が無い陽極のことをいう。
ここで、多孔質体は、陽極と固体電解質膜との間を連通し、金属溶液が供給される複数の空孔を有するものであれば、その材質は特に限定されるものではない。しかしながら、より好ましい態様としては、前記多孔質体は、樹脂材料からなる。
樹脂材料は、金属材料よりも柔らかいので、樹脂材料からなる多孔質体は、金属材料からなるものに比べて、圧縮変形しやすい。これにより、成膜時に、固体電解質膜を基材に押圧する際には、基材の表面に倣うように固体電解質膜を変形させることができる。このような結果、成膜時に、固体電解質膜を基材の表面に均一に押圧することができるので、均一な膜厚の金属皮膜を成膜することができる。
さらに好ましい態様としては、前記成膜装置には、前記多孔質体を介して前記陽極を前記固体電解質膜に向かって弾性的に付勢する付勢部材が前記陽極に配置されている。この態様によれば、付勢部材が陽極を弾性的に付勢するので、成膜により陽極が消耗したとしても、陽極と多孔質体との接触状態、および多孔質体と固体電解質膜との接触状態を維持することができる。この結果、連続して長期間、金属皮膜を成膜したとしても、固体電解質膜を基材の表面に均一に押圧することができる。
さらに好ましい態様としては、前記成膜装置は、前記多孔質体内に前記溶液(金属溶液)が流れるように構成されており、前記多孔質体内に流れる前記溶液(金属溶液)を循環する循環機構を備える。
この態様によれば、多孔質体の内部に金属溶液を循環して流すことができる。ここで、陽極の表面のうち多孔質体の空孔に面した部分は金属溶液に対して露出しているため、この露出した部分にも金属溶液が循環して流れる。これにより、陽極の溶出が起因した金属溶液の金属イオンの濃度ムラを抑え、金属溶液に含まれる金属イオンの濃度をより均一にすることができ、均質な金属皮膜を成膜することができる。
一方、固体電解質膜の表面のうち多孔質体の空孔に面した部分も金属溶液に対して露出しているため、この露出した部分にも金属溶液が循環して流れる。この結果、固体電解質膜に、金属溶液中の金属イオンおよび溶媒を安定して補給することができる。特に、固体電解質膜に溶液中の溶媒を安定して供給することで、固体電解質膜内の金属イオンの移動が阻害されることを防止することができる。
本願では、金属皮膜の成膜方法も開示する。本発明に係る金属皮膜の成膜方法は、陽極と、陰極となる基材との間に固体電解質膜を配置し、前記固体電解質膜を前記基材に押圧すると共に、前記陽極と前記基材との間に電圧を印加して、前記固体電解質膜の内部に含有された金属イオンを還元することで金属皮膜を前記基材の表面に成膜する金属皮膜の成膜方法であって、前記陽極に、前記金属皮膜の金属と同じ金属からなる非多孔質の陽極を用い、前記陽極と前記固体電解質膜との間に、前記陽極と前記固体電解質膜とに接触するように多孔質体を配置し、該多孔質体に、前記陽極と前記固体電解質膜との間を連通する複数の空孔が形成された多孔質体を用い、前記複数の空孔に前記金属イオンを含む溶液を供給した状態で、前記陽極と前記基材との間に前記電圧を印加することにより、前記金属皮膜の成膜を行うことを特徴とする。
本発明によれば、複数の空孔に金属溶液を供給した状態で、陽極と基材との間に電圧を印加した際に、非多孔質の陽極の金属が、金属イオンとなって金属溶液に溶出する。金属溶液中の金属イオンは、多孔質体の空孔を介して固体電解質膜に供給される。固体電解質膜に供給された金属イオンは、固体電解質膜に接触した基材の表面に移動し、基材の表面で還元されて、基材の表面には金属イオンに由来した金属が析出する。これにより、基材の表面に金属皮膜を成膜することができる。ここで、成膜時に固体電解質膜を基材に押圧する際には、多孔質体が固体電解質膜の支持部材として機能するので、固体電解質膜を基材に均一に押圧することができる。
このように、本発明では、電圧を印加する際に、非多孔質の陽極の金属が金属溶液に溶出して、金属溶液から金属イオンが固体電解質膜に常時供給されるので、上述したように、短時間で金属皮膜を成膜することができる。また、上述したように、本発明では、非多孔質の陽極を用いるので、非多孔質の陽極は多孔質の陽極に比べて消耗し難く、より簡単な装置構成で、連続して長期間、金属皮膜を成膜することができる。
より好ましい態様としては、前記多孔質体は、樹脂材料からなる。上述したように、樹脂材料からなる多孔質体は、金属材料からなるものに比べて、圧縮変形しやすいので、成膜時に、固体電解質膜を基材の表面により均一に押圧することができる。これにより、均一な膜厚の金属皮膜を成膜することができる。
さらに好ましい態様としては、前記多孔質体を介して前記陽極を前記固体電解質膜に向かって弾性的に付勢しながら、前記金属皮膜の成膜を行う。この態様によれば、成膜時に、陽極を固体電解質膜に向かって弾性的に付勢するので、上述したように、成膜による陽極の消耗に拘わらず、成膜時に固体電解質膜を基材の表面に均一に押圧することができる。
さらに好ましい態様としては、前記多孔質体内に前記溶液を流し、前記多孔質体内に流れる前記溶液を循環させながら、前記金属皮膜の成膜を行う。
この態様によれば、上述したように、陽極の溶出が起因した金属溶液の金属イオンの濃度ムラを抑え、金属溶液に含まれる金属イオンの濃度をより均一にすることができ、均質な金属皮膜を成膜することができる。一方、固体電解質膜に、金属溶液中の金属イオンおよび溶媒を安定して補給することができる。
本発明によれば、短時間で金属皮膜を成膜することができるとともに、連続して長期間、金属皮膜を成膜することができる。
本発明の第1実施形態に係る金属皮膜の成膜装置の模式的分解概念図。 図1に示す金属皮膜の成膜装置による成膜方法を説明するための図であり、(a)は、成膜装置の成膜前の状態を説明するための模式的断面図であり、(b)は、成膜装置の成膜時の状態を説明するための模式的断面図。 本発明の第2実施形態に係る金属皮膜の成膜装置の模式的分解概念図。 図3に示す成膜装置の模式的断面図。 図4に示す成膜装置の成膜時の状態を説明するための模式的断面図。 (a)は、第3実施形態に係る金属皮膜の成膜装置を説明するための図であり、(b)は、成膜装置の成膜時の状態を説明するための模式的断面図であり、(c)は、(b)の状態からさらに成膜装置を使用した状態を説明ための模式的断面図。 実施例および比較例1、2に係る成膜装置を用いた際の金属皮膜の成膜速度の結果を示した図。
以下に本発明の3つの実施形態に係る金属皮膜の成膜方法を好適に実施することができる成膜装置について説明する。
〔第1実施形態〕
1−1.成膜装置1Aについて
図1は、本発明の第1実施形態に係る金属皮膜の成膜装置1Aの模式的分解概念図である。図1に示すように、本発明に係る成膜装置1Aは、金属イオンを還元することで金属を析出させて、析出した金属からなる金属皮膜Fを基材Bの表面Baに成膜する装置である。
基材Bは、成膜される表面が陰極(すなわち導電性を有した表面)として機能するものであれば、特に限定されるものではなく、アルミニウム、鉄等の金属材料からなってもよく、樹脂、セラミックス等の表面に、銅、ニッケル、銀、または鉄などの金属層が被覆さていてもよい。
成膜装置1Aは、金属製の陽極11と、陽極11と基材B(陰極)との間に配置される固体電解質膜13と、陽極11と基材Bとの間に電圧を印加する電源部16と、を備えている。
本実施形態では、基材Bを載置する金属製の載置台40が設けられており、載置台40には、電源部16の負極が接続されており、陽極11には、電源部16の正極が接続されている。なお、ここで載置台40と基材Bの成膜される表面Baとは導通している。これにより、基材Bの表面Baを陰極として機能させることができる。なお、電源部16の負極に基材Bの表面Baを導通することができるのであれば、載置台40を省略してもよく、載置台40の代わりに非導電性の載置台としてもよい。
さらに、本実施形態では、成膜装置1Aは、多孔質体14を備えている。多孔質体14は、陽極11と固体電解質膜13とに接触するように、陽極11と固体電解質膜13との間に配置されている。
より具体的には、本実施形態では、成膜装置1Aは、ハウジング15を備えており、ハウジング15の下方には、陽極11および多孔質体14を収容する収容凹部15aが形成されている。収容凹部15aに陽極11および多孔質体14を収容した状態で、収容凹部15aを封止するように固体電解質膜13がハウジング15の底面に取付けられている。
ここで、陽極11は、収容凹部15aに対して多孔質体14側に向かって移動可能である。これにより、成膜時に陽極11が消耗しても、陽極11の自重で陽極11が移動し、陽極11と多孔質体14との接触状態を維持することができる。
本実施形態では、多孔質体14は、後述するように固体電解質膜13で基材Bを押圧する際に、固体電解質膜13を支持する支持部材として機能するため、多孔質体14は、ハウジング15に固定されている。しかしながら、固体電解質膜13で基材Bを押圧する際に、陽極11および多孔質体14の自重、後述する付勢部材により、固体電解質膜13を介して多孔質体14で基材Bを均一に押圧することができるのであれば、多孔質体14は陽極11と同様に収容凹部15aに対して移動可能であってもよい。
さらに、ハウジング15には、金属イオンを含む溶液(金属溶液)Lを多孔質体14に供給する供給孔15bと、多孔質体14から排出する排出孔15cとが形成されており、供給孔15bと排出孔15cとは、収容凹部15aに連通している。供給孔15bと排出孔15cには、成膜時に供給孔15bおよび排出孔15cから金属溶液Lが流出しないように、シール材(図示せず)が設けられている。
本実施形態では、成膜装置1Aは、ハウジング15の上部に、加圧部18を備えている。加圧部18は、油圧式または空気式のシリンダなどを挙げることができ、固体電解質膜13を、基材Bの表面Baに押圧する機器である。これにより、固体電解質膜13で基材Bの表面Baを押圧しながら金属皮膜を成膜することができる。
陽極11は、金属皮膜の金属と同じ金属からなる非多孔質(たとえば無孔質)の陽極であり、ブロック状または平板状の陽極である。多孔質体14には、陽極11と固体電解質膜13との間を連通し、金属溶液Lが供給される複数の空孔が形成されている。本実施形態では、多孔質体14は、等方性を有した材料であり、任意の方向から金属溶液Lが透過するように複数の空孔が形成された多孔質体である。
これにより、供給孔15bから導入された金属溶液Lは、多孔質体14に含浸され、多孔質体14の空孔に金属溶液Lが供給され、これがすべての空孔に充填される。また、成膜後に、多孔質体14にさらに金属溶液Lを供給することにより、使用された金属溶液Lが多孔質体14から排出孔15cから排出され、新たな金属溶液Lを多孔質体14に供給することができる。
ここで、複数の空孔は、陽極11と固体電解質膜13との間を連通しているので、多孔質体14に供給された金属溶液Lは、陽極11と固体電解質膜13との双方に接触する。これにより、陽極11と基材Bとの間に電圧を印加することより、陽極11は溶解し、陽極11を構成する金属は、金属イオンとなって金属溶液Lに溶出する。一方、固体電解質膜13には、金属溶液Lに含まれる金属イオンが供給される。
ここで、多孔質体14としては、(1)金属溶液Lに対して耐食性を有し、(2)金属溶液Lを透過することができ、(3)加圧部18により固体電解質膜13を基材Bに加圧することができる(固体電解質膜13の支持部材となる)ものであれば、特に限定されるものではない。
多孔質体14の材料は、金属、樹脂、セラミックスなどを挙げることができる。多孔質体14が、金属製である場合には、たとえば、白金や酸化イリジウムなどの耐食性が高い発泡金属、または、チタン等の耐食性が高い発泡金属に白金や酸化イリジウムなどを被覆したものが好ましい。
多孔質体14が、樹脂である場合には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の発泡樹脂を挙げることができる。発泡材を用いる場合には、気孔率50〜95体積%、孔径1〜600μm程度、厚さ0.1〜50mm程度のものが好ましい。
固体電解質膜13は、上述した金属溶液Lに接触させることにより、金属イオンを内部に含浸(含有)することができ、電圧を印加したときに基材Bの表面Baにおいて金属イオンが還元され、金属イオン由来の金属が析出することができるのであれば、特に限定されるものではない。固体電解質膜の材質としては、たとえばデュポン社製のナフィオン(登録商標)などのフッ素系樹脂、炭化水素系樹脂、ポリアミック酸樹脂、旭硝子社製のセレミオン(CMV,CMD,CMFシリーズ)などのイオン交換機能を有した樹脂を挙げることができる。
または、金属溶液Lは、上述したように成膜すべき金属皮膜の金属をイオンの状態で含有している液(電解液)であり、その金属に、銅、ニッケル、銀、または鉄を挙げることができ、金属溶液Lは、これらの金属を、硝酸、リン酸、コハク酸、硫酸ニッケル、またはピロリン酸などの酸で溶解(イオン化)した水溶液である。たとえば、金属がニッケルの場合には、金属溶液Lは、たとえば、硝酸ニッケル、リン酸ニッケル、コハク酸ニッケル、硫酸ニッケル、またはピロリン酸ニッケルなどの水溶液を挙げることができる。
1−2.成膜装置1Aを用いた成膜方法について
以下に本実施形態に係る成膜装置1Aを用いた成膜方法を説明する。図2は、図1に示す金属皮膜の成膜装置1Aによる成膜方法を説明するための図であり、(a)は、成膜装置1Aの成膜前の状態を説明するための模式的断面図であり、(b)は、成膜装置1Aの成膜時の状態を説明するための模式的断面図である。
まず、金属溶液Lを供給孔15bから導入し、多孔質体14に金属溶液Lを含浸させる。含浸後は、供給孔15bおよび排出孔15cから金属溶液が漏れないように、供給孔15bおよび排出孔15cをシール材で封止する(図示せず)。ここでは、金属溶液Lを用いたが、たとえば、陽極11の金属が溶解する溶媒(たとえば、硝酸、硫酸など上述した酸を含む酸性水溶液)を導入し、成膜装置1A内で金属溶液Lを生成してもよい。
次に、図2(a)に示すように、固体電解質膜13に対向するように、載置台40に基材Bを配置する。次に、図2(b)に示すように、加圧部18を用いて、ハウジング15を載置台40に向かって下降させ、固体電解質膜13を基材Bの表面Baに接触させ、さらに固体電解質膜13で基材Bの表面Baを押圧する。
このとき、固体電解質膜13を基材Bに押圧する際には、多孔質体14が固体電解質膜13の支持部材として機能するので、固体電解質膜13を基材Bに均一に押圧することができる。多孔質体14が、樹脂材料からなる場合には、樹脂材料からなる多孔質体は、金属材料からなるものに比べて、圧縮変形しやすい。これにより、基材Bの表面Baに固体電解質膜13を倣わせ、基材Bを固体電解質膜13でより均一に押圧することができる。この結果、基材Bの表面Baに均一な膜厚の金属皮膜Fを成膜することができる。
この押圧状態を維持しつつ、多孔質体14の空孔に金属溶液Lを供給した状態で、電源部16を用いて、陽極11と陰極となる基材Bとの間に電圧を印加する。これにより、非多孔質の陽極11の金属が、金属イオンとなって金属溶液Lに溶出する。この金属イオンは、多孔質体14の空孔を介して、固体電解質膜13に供給される。
固体電解質膜13に供給された金属イオンは、さらに固体電解質膜13に接触した基材Bの表面に移動し、陰極である基材Bの表面Baで金属イオンを還元し、基材Bの表面Baに金属イオン由来の金属が析出する。これにより、基材Bの表面Baに金属皮膜Fを成膜することができる。
このように、電圧を印加することにより、非多孔質の陽極11の金属を金属溶液Lに溶出させて、金属溶液Lから金属イオンを固体電解質膜13に常時供給することができる。したがって、金属溶液Lの金属イオンのみを成膜原料として、不溶性の陽極を用いて金属皮膜を成膜した場合に比べて、短時間で金属皮膜Fを成膜することができる。
さらに、従来の如く(特許文献1の技術の如く)、金属皮膜と同じ金属からなる金属めっき膜を被覆した多孔質の陽極では、金属皮膜の成膜時に金属めっき膜が溶解してすぐに消耗する。このため、金属めっき膜を多孔質の陽極に被覆する装置構成が必要であった。しかしながら、本実施形態では、多孔質体14を陽極とは別に設けることにより、非多孔質の陽極11を溶解させて成膜することができる。
これにより、非多孔質の陽極11は、多孔質陽極に比べて、金属イオンの供給源となる金属の密度が高いため、連続して長期に成膜を行ったとしても、陽極11は消耗し難い。このようにして、本実施形態に係る成膜装置1Aは、従来のものよりも簡単な装置構成で、連続して長期にわたって、金属皮膜Fの成膜に使用することができる。
〔第2実施形態〕
2−1.成膜装置1Bについて
図3は、本発明の第2実施形態に係る金属皮膜の成膜装置1Bの模式的分解概念図である。図4は、図3に示す成膜装置1Bの模式的断面図である。第2実施形態が、第1実施形態と相違する点は、成膜装置1B内に、金属溶液Lが流れる流路30を形成し、流路30を流れる金属溶液Lを循環させた点である。したがって、第1実施形態と共通する構成は、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
図3および図4に示すように、第2実施形態に係る成膜装置1Bでは、多孔質体14内に金属溶液Lが流れるように流路30が形成されている。具体的には、ハウジング15には、流路30の一部として、金属溶液Lをハウジング15の内部に供給する供給流路30aと、ハウジング15の内部に供給された金属溶液Lを外部に排出する排出流路30bが形成されている。
供給流路30aは、収容凹部15aの一方側の内壁と陽極11との間に形成された上流側隙間30cに連通している。上流側隙間30cは、金属溶液Lが多孔質体14に向かって流れる流路30の一部を構成している。上流側隙間30cを流れる金属溶液Lは、陽極11と固体電解質膜13との間の配置された多孔質体14に導かれる。
多孔質体14は、第1実施形態と同じように、陽極11および固体電解質膜13と接触した状態で、これらの間に配置されている。本実施形態では、陽極11と固体電解質膜13との間に形成された空間30dが、金属溶液Lが流れる流路30の一部となり、この流路30に多孔質体14が配置されることになる。
従って、多孔質体14に導かれた金属溶液Lは、陽極11および固体電解質膜13に接触しながら、多孔質体14の内部(具体的には多孔質体14の複数の空孔)を通過して流れる。多孔質体14の内部を流れた金属溶液Lは、収容凹部15aの他方側の内壁と陽極11との間に形成された下流側隙間30eを流れ、排出流路30bから排出される。なお、本実施形態では、図4の紙面垂直方向において、収容凹部15aの内壁との間に金属溶液Lが流れないように、陽極11は収容凹部15aの内壁に移動可能に接触している。
供給流路30aと排出流路30bとは、配管を介して、循環機構21に接続されている。循環機構21は、金属溶液Lを供給流路30aに圧送する圧送ポンプ22と、排出流路30bから排出された金属溶液Lを回収する回収槽23とを備えている。圧送ポンプ22は、回収槽23に接続されており、回収槽23で回収された金属溶液Lは供給流路30aに圧送される。このようにして、多孔質体14内に流れる金属溶液Lを循環させることができる。
2−2.成膜装置1Bを用いた成膜方法について
以下に本実施形態に係る成膜装置1Bを用いた成膜方法を説明する。図5は、図4に示す成膜装置1Bの成膜時の状態を説明するための模式的断面図である。
まず、上述した図3,4に示すように、固体電解質膜13に対向するように、載置台40に基材Bを配置する。次に、図5に示すように、加圧部18を用いて、ハウジング15を載置台40に向かって下降させ、固体電解質膜13を基材Bの表面Baに接触させ、さらに固体電解質膜13で基材Bの表面Baを押圧する。
この押圧状態を維持し、圧送ポンプ22を用いて、回収槽23に収容された金属溶液Lを供給流路30aに圧送し、流路30に金属溶液Lを流す。これにより、陽極11と固体電解質膜13との間に配置された多孔質体14内に金属溶液Lを流し、これらの間(すなわち流路30)に流れた金属溶液Lを循環させることができる。このようにして金属溶液Lを循環させながら、電源部16を用いて、陽極11と基材Bの間に電圧を印加する。これにより、基材Bの表面Baに金属皮膜Fを成膜する。
本実施形態によれば、第1実施形態の成膜装置1Aによる効果に加え、さらに以下の効果を期待することができる。本実施形態では、多孔質体14内に金属溶液Lが流れるように流路30を形成し、この流路30に流れる金属溶液Lを循環機構21で循環させた。これにより、流路30内に配置された多孔質体14の内部に金属溶液Lを循環して流すことができる。
ここで、陽極11の表面のうち多孔質体14の空孔に面した部分は、金属溶液Lに対して露出しているため、この露出した部分が流路30を形成する壁面の一部となる。この壁面にも金属溶液Lが循環して流れる。これにより、成膜時の陽極11の溶出が起因した金属溶液Lの金属イオンの濃度ムラを抑え、金属溶液Lに含まれる金属イオンの濃度をより均一にすることができ、均質な金属皮膜Fを成膜することができる。
一方、固体電解質膜13の表面のうち多孔質体14の空孔に面した部分も金属溶液Lに対して露出しているため、この露出した部分が流路を形成する壁面の一部となる。この壁面にも金属溶液Lが循環して流れる。これにより、固体電解質膜13に、金属溶液中の金属イオンを安定して補給することができる。特に、固体電解質膜13に金属溶液中の水分を安定して供給することで、固体電解質膜13の含水率が安定し、固体電解質膜13内の金属イオンの移動が阻害されることを防止することができる。
〔第3実施形態〕
図6(a)は、第3実施形態に係る金属皮膜の成膜装置1Cを説明するための図であり、(b)は、成膜装置1Cの成膜時の状態を説明するための模式的断面図であり、(c)は、(b)の状態からさらに成膜装置1Cを使用した状態を説明ための模式的断面図である。
第3実施形態の成膜装置1Cが第2実施形態と異なる点は、陽極11を固体電解質膜13に弾性的に付勢する構造を設けた点である。よって、第2実施形態と共通する構成は、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
図6(a)に示すように、本実施形態に係る成膜装置1Cは、多孔質体14を介して陽極11を固体電解質膜13に向かって弾性的に付勢する複数のばね材(付勢部材)41を備えている。ばね材41は、圧縮変形した状態で、ハウジング15の収容凹部15aに配置されており、押さえプレート42を介して、陽極11を付勢している。
さらに、ばね材41を金属溶液Lが流れる流路30から隔離するように、押さえプレート42と、収容凹部15aの内壁との間には、シール材43が取り付けられている。シール材43は、押さえプレート42と収容凹部15aの内壁との間隔に応じて伸縮自在な形状となっている。
本実施形態では、ばね材41が陽極11を弾性的に付勢するので、成膜により、たとえば図6(b)から図6(c)の状態に陽極11が消耗したとしても、陽極11と多孔質体14との接触状態、および多孔質体14と固体電解質膜13との接触状態を維持することができる。この結果、連続して長期間、金属皮膜Fを成膜したとしても、固体電解質膜13を基材Bの表面Baに均一に押圧することができる。
なお、本実施形態では、付勢部材として、ばね材41を用いたが、多孔質体14を介して陽極11を固体電解質膜13に向かって弾性的に付勢することができるのであれば、ゴム、発泡樹脂などの弾性材料であってもよい。
さらに、本実施形態では、ばね材41を用いたが、たとえば、陽極11を多孔質体14側に移動できるように、ハウジング15の上部に、ボルト等の締結部材を設けてもよい。これにより、陽極11の消耗に合わせて締結部材を締め込んで、陽極11を多孔質体14側に移動させ、陽極11と多孔質体14との接触状態、および多孔質体14と固体電解質膜13との接触状態を確保することができる。
本発明を以下の実施例により説明する。
[実施例]
上述した図4に示す第2実施形態に係る成膜装置を用いて金属皮膜を成膜した。まず、ガラス板(50mm×50mm×厚さ1mm)を準備し、この表面に金をスパッタリングして、金皮膜が形成された基材を作製した。次に、金属溶液として、1.0mol/Lの硫酸銅水溶液を準備した。陽極に非多孔質の溶解性陽極を用いた。溶解性陽極に、無酸素銅板(30mm×30mm×厚さ1mm)を準備した。多孔質体に、気孔率85%、孔径50μmの発泡チタン板(30mm×30mm×厚さ0.5mm(三菱マテリアル製))を用いた。固体電解質膜に、膜厚183μmの電解質膜(デュポン社製:ナフィオンN117)を用いた。
次に、基材の金皮膜を電源部の負極に導通させ、イオン溶液を15ml/分で、陽極と固体電解質膜との間に供給しつつ、固体電解質膜を基材の表面に0.5MPaで押圧しながら、陽極と基材との間に電圧を印加し、基材の金皮膜の表面に銅皮膜を成膜した。
ここで、成膜される銅皮膜の目標膜厚が10μmとなるように、銅皮膜に成膜不良が起きない限界電流密度まで電流密度を上げ、銅皮膜が成膜される成膜時間を測定した。成膜前後の基材の質量を測定し、その質量差から銅皮膜の質量を算出し、銅皮膜の膜厚を算出した。銅皮膜の膜厚と成膜時間から、銅皮膜の成膜速度を算出した。この結果を表1および図7に示す。
[比較例1]
実施例と同じように、銅皮膜を成膜した。実施例と相違する点は、多孔質体を用いず、非多孔質の溶解性陽極の代わりに多孔質の不溶性陽極を用いて、銅皮膜を成膜した点である。具体的には、多孔質の不溶性陽極に、30mm×30mm×厚さ2.5mmの発泡チタン板に白金めっき膜を被覆した陽極を準備した。この多孔質の不溶性陽極を固体電解質膜に接触させ、固体電解質膜を基材に押圧した状態で、実施例と同じ条件で陽極内に硫酸銅水溶液を供給し、陽極と基材との間に電圧を印加しながら、銅皮膜を成膜した。実施例と同じように、限界電流密度を測定し、銅皮膜の成膜速度を算出した。この結果を表1および図7に示す。
[比較例2]
実施例と同じように、銅皮膜を成膜した。実施例と相違する点は、多孔質体を用いず、非多孔質の溶解性陽極の代わりに多孔質の溶解性陽極を用いて、銅皮膜を成膜した点である。具体的には、多孔質の溶解性陽極に、30mm×30mm×厚さ2.5mmの発泡チタン板に銅めっき膜を被覆した陽極を準備した。この多孔質の溶解性陽極を固体電解質膜に接触させ、固体電解質膜を基材に押圧した状態で、実施例と同じ条件で陽極内に硫酸銅水溶液を供給し、陽極と基材との間に電圧を印加しながら、銅皮膜を成膜した。実施例と同じように、限界電流密度を測定し、銅皮膜の成膜速度を算出した。この結果を表1および図7に示す。
Figure 0006176235
(結果)
実施例の成膜装置を用いた場合、比較例1のものに比べて銅皮膜の成膜速度が大きくなった。これは、比較例1の場合には、銅皮膜を成膜する金属の供給源が、硫酸銅水溶液の銅のみであったのに対して、実施例の場合には、その供給源が、硫酸銅水溶液の銅に加え、陽極の銅も含まれるからである。
さらに、比較例2の成膜装置を用いた場合、銅皮膜の成膜速度は、実施例のものと同等であるが、比較例2の陽極は、発泡チタン板に銅めっき膜を被覆した溶解性陽極であるため、銅めっき膜が消耗してしまうと、成膜ができない。しかしながら、実施例の陽極は、非多孔質の溶解性陽極であるため、長期にわたって金属皮膜を成膜することができる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
第1実施形態に係る成膜装置では、成膜前に多孔質体に金属溶液を間欠的に供給したが、供給孔、多孔質体が配置された空間、および排出孔を、金属溶液が流れる流路として、成膜中に、圧送ポンプを用いて、この流路に金属溶液を連続して流してもよい。
1A,1B,1C:成膜装置、11:陽極、13:固体電解質膜、14:多孔質体、15:ハウジング、16:電源部、18:加圧部、21:循環機構、30:流路、41:ばね材(付勢部材)、B:樹脂基材、L:金属溶液、F:金属皮膜

Claims (8)

  1. 陽極と、前記陽極と陰極となる基材との間に配置される固体電解質膜と、前記陽極と基材との間に電圧を印加する電源部と、を少なくとも備え、前記固体電解質膜を前記基材に押圧した状態で、前記陽極と前記基材との間に電圧を印加して、前記固体電解質膜の内部に含有された金属イオンを還元することで金属皮膜を前記基材の表面に成膜する金属皮膜の成膜装置であって、
    前記陽極は、前記金属皮膜の金属と同じ金属からなる非多孔質の陽極であり、
    前記陽極と前記固体電解質膜との間には、前記陽極と前記固体電解質膜とに接触するように多孔質体が配置されており、
    該多孔質体には、前記陽極と前記固体電解質膜との間を連通し、前記金属イオンを含む溶液が供給される複数の空孔が形成され、前記陽極と前記固体電解質膜との間において、前記陽極と前記固体電解質膜の表面に沿った方向に、前記多孔質体内に前記溶液が流れる流路が形成されていることを特徴とする金属皮膜の成膜装置。
  2. 前記多孔質体は、樹脂材料からなることを特徴とする請求項1に記載の金属皮膜の成膜装置。
  3. 前記成膜装置には、前記多孔質体を介して前記陽極を前記固体電解質膜に向かって弾性的に付勢する付勢部材が前記陽極に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の金属皮膜の成膜装置。
  4. 記多孔質体内に流れる前記溶液を循環する循環機構を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属皮膜の成膜装置。
  5. 陽極と、陰極となる基材との間に固体電解質膜を配置し、前記固体電解質膜を前記基材に押圧すると共に、前記陽極と前記基材との間に電圧を印加して、前記固体電解質膜の内部に含有された金属イオンを還元することで金属皮膜を前記基材の表面に成膜する金属皮膜の成膜方法であって、
    前記陽極に、前記金属皮膜の金属と同じ金属からなる非多孔質の陽極を用い、
    前記陽極と前記固体電解質膜との間に、前記陽極と前記固体電解質膜とに接触するように多孔質体を配置し、
    該多孔質体に、前記陽極と前記固体電解質膜との間を連通する複数の空孔が形成された多孔質体を用い、
    前記複数の空孔に前記金属イオンを含む溶液を供給した状態で、前記陽極と前記固体電解質膜との間において、前記陽極と前記固体電解質膜の表面に沿った方向に、前記多孔質体内に前記溶液を流しながら、前記陽極と前記基材との間に前記電圧を印加することにより、前記金属皮膜の成膜を行うことを特徴とする金属皮膜の成膜方法。
  6. 前記多孔質体は、樹脂材料からなることを特徴とする請求項5に記載の金属皮膜の成膜方法。
  7. 前記多孔質体を介して前記陽極を前記固体電解質膜に向かって弾性的に付勢しながら、前記金属皮膜の成膜を行うことを特徴とする請求項5または6に記載の金属皮膜の成膜方法。
  8. 記多孔質体内に流れる前記溶液を循環させながら、前記金属皮膜の成膜を行うことを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の金属皮膜の成膜方法。
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