以下に、本発明の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る水素含有液体生成装置の構造を示す模式図である。図1に示すように、水素含有液体生成装置1は、取付部2と、電極部10と、電源部20と、制御部21と、回転部30とを有する。水素含有液体生成装置1は、電極部10が水成分を有する液体100に入れられ、電源部20により電極部10に電圧が印加されることにより、液体100を電気分解し、水素を含有する液体である水素含有液体100Hを生成する。本実施形態において、液体100は、水成分を含む飲料である。また、水素含有液体100Hは、水成分を含み、中性を示す飲料である。ただし、液体100は、飲料に限られず、水成分を含む液体であればよい。
取付部2は、円柱状の部材であり、図1に示すように、内部に、電極部10の一部と、電源部20と、制御部21と、回転部30の一部とを収納する。取付部2は、一方の端部3に、開口している固定部4を有する。固定部4は、液体100が貯留されている容器に取付けられ、水素含有液体生成装置1と容器とを固定する。固定部4による容器への取付け方法については、後述する。
図2は、本実施形態に係る電極部の構造を示す模式図である。図2に示すように、電極部10は、陽極部11と、陰極部12と、絶縁体13とを有する。詳しくは後述するが、電極部10は、液体100に配置され、陽極部11と陰極部12との間に電位差を発生させることにより、液体100を電気分解して、水素含有液体100Hを生成する。
図2に示すように、電極部10は、長手方向Eに沿って延在する。陽極部11は、一方向としての長手方向Eが他方向よりも長い筒状の導電体である。陰極部12は、一方向としての長手方向Eが他方向よりも長い筒状の導電体である。陽極部11と陰極部12とは、長手方向Eに沿って延在するように互いに対向している。すなわち、電極部10は、陽極部11と陰極部12とが互いに対向することで、長手方向Eに沿って延在している。より詳しくは、図2に示すように、陽極部11及び陰極部12は、円筒形状の導電体である。絶縁体13は、陽極部11の外周部に設けられて、陽極部11と接している。陰極部12は、絶縁体13の外周部に設けられて絶縁体13と接している。すなわち、陽極部11は、陰極部12の内部に設けられており、絶縁体13は、陽極部11の外周部と陰極部12の内周部との間に設けられて陽極部11及び陰極部12と接している。陽極部11、陰極部12及び絶縁体13は、いずれも網状の部材である。陽極部11、陰極部12及び絶縁体13の詳細な形状については後述する。
図2に示すように、電極部10、より具体的には陽極部11及び陰極部12は、両方の端部にそれぞれ端部側開口部10HA、10HBを有している。電極部10は、端部側開口部10HA、10HBを有していなくてもよいし、少なくとも一方の端部に端部側開口部10HA又は端部側開口部10HBを有していてもよい。
陽極部11は、端部側開口部10HAにおいて、棒状の導体である陽極用給電部材14が、電気的に接続されている。陰極部12は、端部側開口部10HAにおいて、棒状の導体である陰極用給電部材15が電気的に接続されている。図1に示すように、陽極用給電部材14は、電源部20の陽極と電気的に接続されている。また、陰極用給電部材15は、電源部20の陰極と電気的に接続されている。このような構造により、陽極部11は、電源部20の陽極と陽極用給電部材14を介して電気的に接続され、陰極部12は、電源部20の陰極と陰極用給電部材15を介して電気的に接続される。ただし、陽極用給電部材14は、このような棒状の形状でなくてもよく、任意の形状にすることができる。また、陽極用給電部材14は、端部側開口部10HAにおいて陽極部11に接続されることに限られず、導体として陽極部11と電気的に接続されていれば、接続箇所は任意である。また、同様に、陰極用給電部材15は、このような棒状の形状でなくてもよく、任意の形状にすることができる。そして、陰極用給電部材15は、端部側開口部10HAにおいて陰極部12に接続されることに限られず、導体として陰極部12と電気的に接続されていれば、接続箇所は任意である。
陽極部11は、長手方向E、すなわち筒状の部材である陽極部11が延びる方向に向かうスリット11SLを有している。陰極部12は、長手方向E、すなわち筒状の部材である陰極部12が延びる方向に向かうスリット12SLを有している。図2に示すように、電極部10は、陰極部12の外側部であって、陽極用給電部材14及び陰極用給電部材15よりも端部側開口部10HB側に、拘束部材40が設けられている。拘束部材40は、陽極部11のスリット11SL及び陰極部12のスリット12SLを閉じて、陰極部12と絶縁体13と陽極部11とを陰極部12及び陽極部11の周方向から拘束する。なお、本実施形態において、拘束部材40は2つ設けられているが、その個数は任意である。
図1に示すように、電極部10は、端部側開口部10HAにおいて、取付部2に取付けられている。電極部10は、端部側開口部10HAが取付部2の内部に収納され、固定部4から、取付部2と離れる方向に向かって延在する。
電源部20は、直流電圧を発生させる電源である。図1に示すように、電源部20は、取付部2の内部に収納される。上述のように、電源部20は、陽極側が陽極用給電部材14と電気的に接続され、陰極側が陰極用給電部材15と電気的に接続されている。電源部20は、電極部10が液体100内に配置されている場合、電極部10に直流電圧を印加することにより、液体100を電気分解させる。この時、液体100には電流が流れる。
制御部21は、電源部20による直流電圧の印加を制御する。制御部21は、操作部を有し、使用者が操作部を操作することにより、電源部20に直流電圧の印加を開始させる。また、制御部21は、電源部20に直流電圧の印加を開始させてから所定の時間が経過したら、直流電流の印加を停止させる。
図1に示すように、回転部30は、駆動部31と、シャフト部32と、撹拌部33とを有する。回転部30は、駆動部31が電源部20と電気的に接続されている。回転部30は、電源部20から直流電圧が印加されることにより、駆動部31がシャフト部32を回転させることにより、撹拌部33を回転させる。回転部30は、撹拌部33が液体100内に入れられて駆動部31に回転されることにより、液体100を撹拌する。
駆動部31は、直流モータである。駆動部31は、電源部20から印加された駆動電圧を、回転運動に変換して、シャフト部32に伝達する。なお、駆動部31は、電源部20でなく、他の電源から駆動電圧が印加されてもよい。また、駆動部31は、直流モータに限られず、駆動電圧を回転運動に変換して、シャフト部32に伝達するものであればよい。
シャフト部32は、駆動部31に接続される軸状の部材である。シャフト部32は、一方の端部32aが、駆動部31に接続されている。シャフト部32は、陽極部11の内部52を貫通し、一方の端部32aから他方の端部32bに向かって、取付部2と離れる方向に延在する。また、シャフト部32の他方の端部32bは、陽極部11の内部52から、長手方向Eに沿った外側(取付部2と離れる方向)に露出している。シャフト部32は、一方の端部32aが駆動部31に回転駆動されることにより、回転する。
陽極部11の内部52には、端部側開口部10HA,10HBの位置に、それぞれ軸受部35a,35bが設けられている。軸受部35a,35bは、円筒状のすべり軸受けである。軸受け部35a,35bは、外周部35oと陽極部11の内周部11Siとが固定されている。軸受け部35a,35bは、内部にシャフト部32が貫通されている。すなわち、軸受け部35a,35bは、陽極部11に固定されているが、シャフト部32には固定されていない。従って、シャフト部32は、駆動部31により回転されるが、陽極部11を含む電極部10は、回転されない。
シャフト部32は、軸受け部35a,35bを軸受けとして、陽極部11の内部52で、シャフト部32の中心軸である回転軸AX1を中心に回転する。ここで、シャフト部32の回転軸AX1と、電極部10の長手方向Eに沿った軸とは、平行となっている。より詳しくは、電極部10は、長手方向Eに沿った中心軸AX2を有する。シャフト部32の回転軸AX1と、電極部10の中心軸AX2とは、互いに平行である。さらに詳しくは、シャフト部32の回転軸AX1と、電極部10の中心軸AX2とは、互いに一致する。
図3は、本実施形態に係る撹拌部の構造を示す斜視図である。図3に示すように、撹拌部33は、円錐台形状の円錐台部37と、溝部38とを有する。円錐台部37は、側面37aと、長径側の端部である長径側端部37bと、短径側の端部である短径側端部37cとを有する。溝部38は、円錐台部37の側面37aに、長径側端部37bから短径側端部37cへ沿って設けられる溝である。本実施形態において、溝部38は、円錐台部37の周方向に沿って、側面37aに8個設けられているが、その個数は任意である。
図1に示すように、撹拌部33は、長径側端部37bにおいて、シャフト部32の他方の端部32bに取付けられている。言い換えれば、撹拌部33は、電極部10の端部側開口部10HBに位置している。撹拌部33は、シャフト部32と同軸で取り付けられている。撹拌部33は、シャフト部32を介して、駆動部31に回転される。撹拌部33は、シャフト部32と同軸で取り付けられるため、シャフト部32の回転軸AX1を中心に回転する。そして、撹拌部33の回転中心である回転軸AX1は、電極部10の中心軸AX2と一致する。すなわち、電極部10、シャフト部32及び撹拌部33は、同軸上に配置されている。
撹拌部33は、液体100内に入れられ、駆動部31に回転されることにより水流を発生させ、液体100を撹拌する。なお、溝部38は、長径側端部37bから短径側端部37cへ沿って設けられるため、好適に水流を発生させることができるが、撹拌部33が回転されることにより水流を発生させるものであれば、その形状は任意である。
次に、電極部10による液体100の電気分解について説明する。図4は、本実施形態に係る電極部による液体の電気分解について説明した模式図である。図4に示すように、電極部10は、液体100中に入れられることにより、液体100中で水素含有液体を生成する。図4に示すように、電極部10は、容器101に貯留された液体100に、端部側開口部10HB側から入れられる。従って、電極部10は、端部側開口部10HBを鉛直方向下方に位置した状態で液体100中に配置される。ただし、電極部10の液体100中での位置は、これに限られず、例えば、電極部10は、端部側開口部10HAと端部側開口部10HBとが水平に位置するように配置されていてもよい。
本実施形態における水素含有液体生成装置1は、電極部10の陽極部11と陰極部12との間に電源部20から所定の電圧(直流電圧)が印加されると、陽極部11において、下記式(1)の反応が生じる。
2H2O→O2+4H++4e− ・・・(1)
また、本実施形態における水素含有液体生成装置1は、電極部10の陽極部11と陰極部12との間に電源部20から所定の電圧(直流電圧)が印加されると、陰極部12において、下記式(2)の反応が生じる。
4H++4e−→ 2H2・・・(2)
本実施形態における水素含有液体生成装置1は、電極部10の陽極部11と陰極部12との間に電源部20から所定の電圧(直流電圧)が印加されると、陽極部11及び陰極部13の全体において、下記式(3)の反応が生じる。
2H2O→O2+2H2・・・(3)
以上のように、本実施形態における水素含有液体生成装置1は、酸性液体の発生が抑制され、例えばpH7以上7.5以下程度の中性になる。このように、陽極部11で発生する電離した水素イオンH+は絶縁体13を通過して陰極部12側に集まり、陰極部12には水素ガス(H2)の気泡が生成される。この気泡は、直径がナノメートルオーダーの微小な気泡である。酸素ガス(O2)は、筒状の陽極部11の内側に気泡となって集まり、陽極部11の内側に沿って移動して、端部側開口部10HAから陽極部11の外部に放出される。
次に、電極部10の形状について、より詳細に説明する。図5は、本実施形態に係る電極部を示す側面図である。図5は、電極部10の陰極部12及び絶縁体13の一部を除いた状態を示している。図6は、本実施形態に係る電極部の断面図である。
本実施形態において、円筒状の電極部10の長手方向Eにおける長さLHは、50mm以上90mm以下であることが好ましい。また、電極部10の外径LDは、10mm以上15mm以下であることが好ましい。電極部10の長さLH及び外径LDがこの範囲内であることにより、例えば容器101が飲料用の容器である場合にも、電極部10を容易に容器101内に投入することができる。
図5に示すように、陽極部11は、側部に複数の開口11Hを有しており、陰極部12は、側部に複数の開口12Hを有している。陽極部11が有する複数の開口11Hは、陽極部11の側部を陽極部11の厚み方向に貫通している。陰極部12が有する複数の開口12Hは、陰極部12の側部を陰極部12の厚み方向に貫通している。本実施形態において、陽極部11及び陰極部12は導電体で製造されており、本実施形態においては、チタン(Ti)に白金(Pt)をめっきしたものである。めっきは、例えば、白金(Pt)−イリジウム(Ir)めっきであってもよい。本実施形態において、チタンは純チタンである。陽極部11及び陰極部12は、チタンに白金をめっきしたものに限定されるものではないが、液体100に溶け出さない材料(例えば、バナジウム(V))であることが好ましい。本実施形態においては、陽極部11及び陰極部12の両方がめっきされているが、陽極部11のみをめっきし、陰極部12はめっきしなくてもよい。このようにすることで、電極部10の製造コストを低減することができる。
図6に示すように、陽極部11と、陽極部11の外側の側部(外側部)11Soと、陰極部12の内側の側部(内側部)12Siとの間に介在する絶縁体13は、陽極部11の外側部11Soと陰極部12の内側部12Siとに接している。絶縁体13は、図5に示すように、複数の開口13Hを有している。開口13Hは、絶縁体13をその厚み方向に貫通している。絶縁体13は、例えば、絶縁性を有する材料(例えば樹脂)の繊維で編まれた網を用いることができる。また、絶縁体13としては、イオン交換機能を有していてもよい。例えば、絶縁体13は、イオン交換膜(陽イオン交換膜)であってもよい。この場合、絶縁体13は、開口13Hを有していなくてもよい。
前述したように、絶縁体13は、イオン交換膜を用いてもよいが、電気的に中性である材料が用いられる。このようにすることで、絶縁体の製造コストを低減でき、また、加工も容易になる。また、イオン交換膜は、イオンは通過させるが水分子を通過させない程度の孔を有している。イオン交換膜を絶縁体13に用いると、この絶縁体13を備えた電極部10は、水素含有液体を生成する際に必要な電圧が高くなり、消費電力が大きくなる可能性を有している。本実施形態において、絶縁体13は、電気的に中性である網状の部材である。このため、イオン交換膜と比較して低い電圧で水素含有水を生成することができ、消費電力を抑制できる。
絶縁性を有する繊維で編まれた網を絶縁体13に用いる場合、絶縁体13の厚みは、0.1mm以上1mm以下であることが好ましい。本実施形態において、絶縁体13は、陽極部11の外側部11Soと陰極部12の内側部12Siとに接している。従って、陽極部11の外側部11Soと陰極部12の内側部12Siとの間の距離(電極間隙間)は、絶縁体13の厚みにより決定される。電極間隙間が0.1mm以上1mm以下であることにより、電極部10が水素含有液体を生成する際に、陽極部11と陰極部12とに印加する電圧の電位差が比較的小さくても、電極部10は、十分な量の水素を発生させることができる。電極間隙間が前述した範囲であれば、電極部10に印加される電圧が比較的低電圧でも、電極部10は、十分な量の水素を液体100に溶存させて多くの水素を溶存した水素含有液体100Hを生成することができる。また、水素含有液体100Hに溶存する水素の量が同一であれば、電極部10は、消費電力を抑制することができる。
本実施形態において、電極部10は、容器101等に直接入れられて水素含有液体100Hを生成する。そして、水素含有液体100Hを生成後、電極部10は、容器101等から取り出される。このように、電極部10は、適宜移動されるため、振動及び衝撃の影響を受けやすい。電極部10は、絶縁体13を陽極部11と陰極部12との間に介在させ、両者に接触させると、陽極部11及び陰極部12の動きが規制される。その結果、電極部10は、振動及び衝撃に対する耐性が向上する。
また、絶縁体13を陽極部11と陰極部12との間に介在させ、両者に接触させると、絶縁体13によって、電極部10の全体にわたって陽極部11と陰極部12との間隔を一定にしやすくなる。その結果、電極部10は、陽極部11と陰極部12との間の電気抵抗のばらつきが抑制され、電流密度のばらつきが抑制されるので、全体から一様に水素の気泡を発生することができる。電極間隙間を、絶縁体13の厚みと同等とすることで、絶縁体13を陽極部11と陰極部12との両方に接触させやすくなるので好ましい。
本実施形態において、陽極用給電部材14及び陰極用給電部材15は、陽極部11及び陰極部12と同様に、チタンに白金をめっきした部材である。陽極用給電部材14及び陰極用給電部材15は、陽極部11及び陰極部12と同様に、チタンに白金をめっきしたものに限定されるものではないが、液体100に溶け出さない材料であることが好ましい。陽極用給電部材14と陰極用給電部材15とは、例えば、スポット溶接によって、それぞれ、陽極部11と陰極部12とに接合される。ただし、陽極用給電部材14と陰極用給電部材15とは、それぞれ陽極部11と陰極部12とに電気的に接続されれば、溶接に限られず、任意の接合手段が用いられてよい。
陽極用給電部材14及び陰極用給電部材15に施されるめっきは、例えば、白金(Pt)−イリジウム(Ir)めっきであってもよい。本実施形態において、陰極部12はめっきを施さなくてもよいが、この場合、陰極用給電部材15もめっきを施さなくてもよい。
次に、陽極部11、陰極部12及び絶縁体13が有する開口11H、12H、13Hについて説明する。図7は、陽極及び陰極の一部を拡大して示す図である。図8は、陽極及び陰極が有する開口の拡大図である。図9は、図7のB−B断面図である。図10は、絶縁体の一部を拡大して示す図である。陽極部11及び陰極部12は、複数の線状の部分(線状部分)16が交差した、網状の部材である。複数の線状部分16で囲まれる部分が、陽極部11及び陰極部12の開口11H、12Hとなる。本実施形態において、陽極部11及び陰極部12が有する開口11H、12Hは、菱形形状である。開口11H、12Hは、一方の対角線(第1対角線)TLlが他方の対角線(第2対角線)TLsよりも長くなっている。開口11H、12Hは、第1対角線TLl上の頂部Pa、Pbでの角度が、第2対角線TLs上の頂部Pc、Pdでの角度よりも小さくなっている。
陽極部11及び陰極部12は、複数の開口11H、12Hを有するので、開口11H、12Hを通して電気力線を内側と外側とに回すことができる。このため、陽極部11及び陰極部12は、両面を電気分解に利用することができるので、水素を効率的に発生させることができる。また、陰極部12は、線状部分16で囲まれた開口12Hにより、自身が生成する水素の気泡のぬれ角を小さくすることができるので、水素の気泡を小さい状態で離脱させることができる。すなわち、生成される水素と陰極部12の表面との間に生じる吸着力が、点接触に近い状態になって表面張力が抑制されるので、結果として、陰極部12は、水素の気泡を小さい状態で離脱させて、多くの水素の気泡を溶存した水素含有水を生成することができる。
本実施形態において、陽極部11及び陰極部12の線状部分16は、図9に示すように、断面が長方形(図9の例では正方形)となっている。陰極部12は、線状部分16が有する角部16Tによって、水素の気泡のぬれ角をさらに小さくして表面張力を抑制することができるので、水素の気泡をより小さい状態で離脱させることができる。このため、陰極部12は、より小さい水素の気泡を溶存させた水素水を生成することができる。また、陰極部12は、断面が長方形の線状部分16を有するので、水素の発生に利用することができる表面積を大きくすることができる。これらの作用により、陰極部12は、水素を原水に溶存させる効率が向上する。
本実施形態において、開口11H、12Hは、図8に示すように、第1対角線TLlが、陽極部11及び陰極部12が延びる方向、すなわち長手方向Eに向かっている。第2対角線TLsは、円筒形状の陽極部11及び陰極部12の周方向Cに向かっている。陽極部11及び陰極部12は、図2に示すように、長手方向Eの両側に端部側開口部10HA、10HBを有している。陽極部11の内側に発生した酸素の気泡は、図4に示すように、端部側開口部10HAから電極部10の外部に放出される。このとき、酸素の気泡が移動する方向に、陽極部11の開口11Hの長軸方向が揃っているので、酸素の気泡は端部側開口部10HAに移動しやすくなる。その結果、電極部10は、酸素の気泡を効率的に外部へ放出することができる。また、陽極部11の開口11Hは、第1対角線TLl上の頂部Pa、Pbの角度が鋭角になるので、酸素の気泡と線状部分16との接触面積を小さくすることができる。その結果、酸素の気泡は、線状部分16から離脱しやすくなるので、電極部10は、酸素の気泡を効率的に外部へ放出することができる。また、陽極部11は、線状部分16が角部16Tを有するので、この角部16Tによって、酸素の気泡のぬれ角をさらに小さくして表面張力を抑制することができる。その結果、陽極部11は、酸素の気泡を線状部分16から速やかに離脱させて端部側開口部10HA、10HBに移動させることができる。このため、電極部10は、酸素の気泡を効率的に外部へ放出することができる。さらに、酸素の気泡が陽極部11の内側に沿って移動する過程で、陽極部11側で新たに生成された酸素の気泡を取り込んで酸素の気泡が成長する。このため、酸素の気泡と液体100とが接触する面積を小さくして、液体100への酸素の溶存を抑制することができる。
図10に示すように、絶縁体13は、複数の線状部材17を交差させ、線状部材17で囲まれる部分が開口13Hとなる網状の部材である。開口13Hは、長方形形状(本実施形態では正方形形状)となっている。開口13Hは、一辺の長さがLaであり、この辺に隣接する辺の長さがLbである。本実施形態において、開口13Hは正方形形状なので、La=Lbである。長さがLaの辺は、陽極部11及び陰極部12の長手方向Eと平行であり、長さがLbの辺は、円筒形状の陽極部11及び陰極部12の周方向Cと平行である。
本実施形態において、陽極部11の開口11H及び陰極部12の開口12Hは、絶縁体13の開口13Hよりも大きい。開口11H、12Hの面積は、第1対角線TLlの長さをLl、第2対角線TLsの長さをLsとすると、Ll×Ls/2である。開口13Hの面積(開口面積)は、La×Lbである。このため、Ll×Ls/2>La×Lbとなる。本実施形態において、例えば、第1対角線TLlの長さLlは6mm、第2対角線TLsの長さLsは3mmであるので、開口11H、12Hの面積は、9mm2となる。開口13Hは、例えば、La=Lb=1.06mmである。すなわち、絶縁体13は、1inchあたり24個の開口13Hが配列されている。開口13Hの面積(開口面積)は、1.12mm2となる。このように、本実施形態において、陽極部11及び陰極部12の開口11H、12Hの面積は、絶縁体13の開口13Hの面積の8倍程度である。
陽極部11及び陰極部12の開口11H、12Hよりも絶縁体13の開口13Hが大きい場合、絶縁体13の開口13Hを通して陽極部11と陰極部12とが接触する可能性が高くなる。電極部10は、陽極部11及び陰極部12の開口11H、12Hよりも絶縁体13の開口13Hを小さくすることにより、絶縁体13の開口13Hを通して陽極部11と陰極部12とが互いに接触することを回避できる。このように、電極部10は、陽極部11と陰極部12との距離を小さくしても、陽極部11と陰極部12との短絡を回避して、両者の絶縁を確保できる。
本実施形態において、絶縁体13は、複数の線状部材17を交差させた網状の部材である。このような網状の部材を用いると、絶縁体13は、厚み方向にある程度の変形が許容されるので、電極部10が振動又は衝撃を受けたとき、これを絶縁体13が吸収することができる。
電極部10は、絶縁体13の開口13Hが陽極部11の開口11H及び陰極部12の開口12Hよりも小さいので、陽極部11側で発生した酸素の気泡を絶縁体13の線状部材17で捕捉し、大きな気泡とすることができる。酸素の気泡が大きくなることで、液体100への酸素の溶存が抑制されるので、電極部10は、水素の気泡の溶存率が高い水素含有液体を生成することができる。また、酸素の気泡が大きくなることで浮力が大きくなる結果、酸素の気泡が陽極部11の内側を移動しやすくなり、また開口13Hを通過しやすくなるので、電極部10は、酸素の気泡を内部から放出しやすくなる。
次に、撹拌部33による液体100の撹拌について説明する。図11は、本実施形態に係る撹拌部が液体を撹拌している様子を示す模式図である。図11に示すように、水素含有液体生成装置1は、液体100が貯留されている容器102に取付けられる。容器102は、円筒状の部材の一方の端部に、外径が小さくなって開口する開口部103を有し、他方の端部に底部104を有する容器である。容器102は、筒状であるため、中心軸AX3を有する。本実施形態では、容器102は、飲料が貯留されるペットボトルである。なお、容器102は、ペットボトルでなくてもよく、一方の端部に開口を有し、他方の端部に底部を有する筒状の容器であれば、その形状は任意である。
図11に示すように、取付部2は、固定部4の内周部が、容器102の開口部103の外周部に被せられることにより、容器102に取付けられる。電極部10及び撹拌部33は、固定部4の内部から、取付部2と離れる方向に延在している。そのため、電極部10及び撹拌部33は、取付部2の固定部4が容器102の開口部103に被せられることにより、容器102内に収納されて、液体100内に入れられる。この時、撹拌部33の短径側端部37cと、容器102の底部104とは、対向する。また、シャフト部32の回転軸AX1及び電極部10の中心軸AX2と、容器102の中心軸AX3とは、互いに平行となる。より詳しくは、シャフト部32の回転軸AX1及び電極部10の中心軸AX2と、容器102の中心軸AX3とは、互いに一致する。なお、容器102はペットボトルであり、開口部103の外周には、おねじ部が設けられている。取付部2の固定部4の外周は、開口部103の外周のおねじ部に取付けて互いに締め付け可能なめねじ部を有していてもよい。
取付部2が容器102に取付けられた後、制御部21は、電源部20に電極部10への直流電圧を印加させる。電極部10は、直流電圧が印加されることにより、液体100を電気分解して、陰極部12に気泡状の水素を発生させる。また、陽極部11には、気泡状の酸素が発生する。
制御部21は、電源部20が電極部10に直流電流を印加させるのと同時に、電源部20に駆動部31への直流電圧を印加させる。駆動部31は、直流電圧が印加されることにより、撹拌部33を回転させる。なお、駆動部31への直流電圧の印加は、電極部10への直流電流の印加と同時でなくてもよく、電極部10への直流電流の印加の前後いずれに行われてもよい。
図11に示すように、撹拌部33は、回転させられることにより、電極部10の長手方向Eに沿って、容器102の底部104に向かって、らせん状の水流S1を発生させる。水流S1は、底部104により反射され、水流S1の反射波として、水流S2を発生させる。水流S2は、開口部103に向かうらせん状の水流(渦)である。水流S2は、容器102内に遠心力を発生させて、液体100を撹拌する。
陰極部12に発生した気泡状の水素は、水流S2による遠心力により、気泡が小さい状態のままで、陰極部12から外側へ離脱させられる。また、陰極部12から離脱した気泡状の水素は、水流S2による遠心力により、液体100中に広く分散する。従って、気泡状の水素は、液体100中に溶存しやすくなる。
一方、陽極部11の内部52には、開口部103に向かうらせん状の水流S3が発生する。陽極部11の内部52は、水流S2の回転中心側に位置する。また、陽極部11の内部52は、陽極部11と絶縁体13と陰極部12とにより、陽極部11の外部(陰極部12の外部)と隔てられている。従って、水流S3は、容器102内であって陽極部11の外部に発生した水流S2とは異なり、陽極部11の内部52に、回転中心に向かう向心力を発生させる。
陽極部11に発生した気泡状の酸素は、水流S3による向心力により、気泡が小さい状態のままで、陽極部11から内側へ離脱させられる。また、離脱した気泡状の酸素は、水流S3の向心力により互いに集まる。集まった気泡状の酸素は、開口部103へ向かう水流S3により、開口部103へ向かう。従って、気泡状の酸素は、液体100中に溶存しにくくなり、開口部103から大気中に放出されやすくなる。
このように、本実施形態に係る水素含有液体生成装置1は、電極部10が液体100を電気分解し、撹拌部33が回転されることにより液体100を撹拌する。また、撹拌部33は、電極部10の長手方向Eに沿った軸と平行な回転軸AX1を中心に回転される。水素含有液体生成装置1は、撹拌部33が液体100を撹拌することにより、液体100の電気分解により発生した気泡状の水素を、気泡が小さい状態のままで陰極部12から分離させ、かつ、液体100内に広く分散させる。このように、水素含有液体生成装置1は、気泡が小さい水素を液体100中に広く分散させることができるため、水素が液体100中に溶存しやすくなり、水素含有液体100Hの水素溶存量を向上させることができる。
さらに、撹拌部33の回転軸AX1と、電極部10の長手方向Eに沿った軸とは、互いに平行である。従って、撹拌部33により発生した水流S1は、らせん状で、かつ、電極部10の長手方向Eに沿った方向に発生する。従って、電極部10の周囲には、長手方向Eに沿って、らせん状の水流S2が発生する。このらせん状の水流S2は、電極部10の長手方向Eに沿って発生するため、陰極部12に発生した水素を好適に陰極部12から分離させることができる。従って、水素含有液体生成装置1は、水素含有液体100Hの水素溶存量を向上させることができる。
また、液体100が貯留される容器102は、ペットボトルであり、開口部103の開口部は小さい。従って、例えば電極部10が入れられた容器102に、さらにマドラー等を入れ、そのマドラーをかき混ぜることにより液体100を撹拌することは困難である。しかし、本実施形態において、撹拌部33は、駆動部31により回転される。従って、本実施形態に係る水素含有液体生成装置1は、撹拌部33を容器102内に入れて、駆動部31を駆動させるだけで液体100を撹拌することができる。言い換えれば、水素含有液体生成装置1は、かき混ぜるという作業をすることなく液体100を撹拌して、水素含有液体100Hの水素溶存量を向上させることができる。
また、本実施形態において、撹拌部33は、電極部10の長手方向Eの端部である端部側開口部10HBに位置している。従って、撹拌部33は、水流S1の回転軸を、電極部10の中心軸AX2と一致させることができる。そのため、撹拌部33は、電極部10の周囲に、電極部10を回転中心とする水流S2を発生させることができる。この水流S2は、電極部10を回転中心とするらせん状の水流であるため、陰極部12に発生した水素に好適に遠心力を発生させる。従って、撹拌部33は、陰極部12に発生した水素をより好適に陰極部12から分離させ、かつ、液体100中に広く分散させることができる。そのため、水素含有液体生成装置1は、水素含有液体100Hの水素溶存量をより好適に向上させることができる。
さらに、本実施形態においては、筒状の陰極部12の内部に筒状の陽極部11が設けられている。また、陽極部11の内部52には、シャフト部32が設けられている。そして、シャフト部32は、一方の端部32aが駆動部31により回転駆動され、他方の端部32bに撹拌部33が取り付けられている。撹拌部33は、陽極部11の内部52に延在するシャフト部32により回転される。従って、本実施形態における水素含有液体生成装置1は、撹拌部33を取り付ける形状をシンプルにすることができる。また、本実施形態においては、陰極部12の内部に陽極部11が設けられているため、最外周には陰極部12のみが露出しており、陽極部11は、外部に露出していない。従って、例えば、使用者が電極部10の外周部に触れた場合においても、陰極部12にのみ触れることになり、陽極部11には触れない。従って、本実施形態に係る水素含有液体生成装置1は、例えば作動中に使用者が電極部10に触れた場合においても、電極部10が短絡することを抑制し、その安全性を高めることができる。
さらに、本実施形態において、電極部10は、絶縁体13を有する。そして、絶縁体13は、陽極部11の外周部と陰極部12の内周部との間に設けられて陽極部11及び陰極部12と接する。そして、陽極部11及び陰極部12は、側部に複数の開口11H,12Hを有する。電極部10は、陽極部11及び陰極部12が開口11H,12Hを有するため、水素を効率的に発生させることができる。従って、本実施形態における水素含有液体生成装置1は、電極部10が水素の発生を効率的にさせ、かつ、撹拌部33が水素溶存量を向上させるため、水素含有液体100Hの水素溶存量をより好適に向上させることができる。
さらに、本実施形態において、撹拌部33は、シャフト部32が取り付けられた側(電極部10側)に長径側端部37bを有する。撹拌部33は、電極部10と反対方向の端部に、短径側端部37cを有する。従って、撹拌部33は、容器102の底部104(電極部10と反対方向)に向かう水流S1を、より好適に発生させることができる。そのため、水素含有液体生成装置1は、水素含有液体100Hの水素溶存量をより好適に向上させることができる。
さらに、本実施形態において、水素含有液体生成装置1は、電極部10の端部側開口部10HAに取付けられる取付部2を有する。取付部2は、容器102の開口部103に取付けられる。取付部2は、容器102の開口部103に取付けられることにより、電極部10及び撹拌部33を容器102内に配置させる。また、取付部2は、容器102の開口部103に取付けられることにより、撹拌部33と容器102の底部104とを対向させる。水素含有液体生成装置1は、取付部2により、好適に撹拌部33と容器102の底部104とを対向させることができる。撹拌部33は、容器102の底部104と対向するため、容器102の底部104に向かう水流S1を、より好適に発生させることができる。そのため、水素含有液体生成装置1は、水素含有液体100Hの水素溶存量をより好適に向上させることができる。
なお、本実施形態において、取付部2は、開口している固定部4を有する円柱状の部材であり、内部に電極部10の一部等を収納する。ただし、取付部2は、容器102の開口部103に取付けられることにより、電極部10及び撹拌部33を容器102内に配置させて、撹拌部33と容器102の底部104とを対向させるものであれば、その形状は任意である。また、取付部2は、内部に電極部10の一部等を収納しなくてもよい。
(変形例1)
次に、本実施形態に係る水素含有液体生成装置1の変形例1について説明する。変形例1に係る水素含有液体生成装置1Aは、電極部及び撹拌部が、水素含有液体生成装置1とは異なる。変形例1に係る水素含有液体生成装置1Aのその他の点については、水素含有液体生成装置1と共通するため、説明を省略する。
図12は、変形例1に係る水素含有液体生成装置の電極部を示す模式図である。図13は、変形例1に係る水素含有液体生成装置の電極部を示す模式図である。図13は、水素含有液体生成装置の一部を断面として示している。
図12及び図13に示すように、変形例1に係る水素含有液体生成装置1Aは、収納部2Aと、電極部10Aと、電源部20Aと、駆動部31Aと、シャフト部32Aと、軸受部35Aとを有する。図12及び図13に示すように、収納部2Aは、電源部20Aと、駆動部31Aと、シャフト部32Aの一部と、軸受け部35Aの一部とを内部に収納する。
電極部10Aは、陽極部11Aと、陰極部12Aと、カバー部19Aとを有する。陽極部11Aは、開口を有し、一方向としての長手方向EAが他方向よりも長い矩形状の平板である。陰極部12Aは、開口を有し、一方向としての長手方向EAが他方向よりも長い矩形状の平板である。陽極部11Aの一方の表面11AS1と、陰極部12Aの一方の表面12AS1とは、所定の距離LAだけ離間されて、長手方向EAに沿って延在するように互いに対向している。従って、電極部10Aは、長手方向EAに沿って延在する。また、カバー部19Aは、陽極部11Aと陰極部12Aとを、互いの表面を対向させた状態で覆う絶縁部材である。より詳しくは、カバー部19Aは、陽極部11A及び陰極部12Aの側面を覆っている。一方、カバー部19Aは、陽極部11Aの他方の表面11AS2及び陰極部12Aの他方の表面12AS2については、覆っていない。すなわち、陽極部11Aの他方の表面11AS2及び陰極部12Aの他方の表面12AS2は、外部に露出している。
電源部20Aは、電極部10A及び駆動部31Aに直流電位を印加する。駆動部31Aは、電源部20Aの直流電圧による電気エネルギーを、回転運動に変換する。
シャフト部32Aは、一方の端部32Aaがカバー部19Aに取付けられ、他方の端部32Abが駆動部31Aと接続される軸状の部材である。シャフト部32Aは、駆動部31Aにより回転駆動される。
軸受部35Aは、一方の端部35Aaが収納部2Aに固定される円筒状のすべり軸受けである。軸受部35Aは、駆動部31Aに接続されていないため、回転駆動されない。また、軸受部35Aは、内部にシャフト部32Aが貫通されている。軸受部35Aは、シャフト部32Aの軸受けとして作用し、自身は回転しない。また、軸受部35Aは、使用者が把持する把持部としても使用されてもよい。
変形例1に係る電極部10Aは、シャフト部32A及びカバー部19Aを介して、駆動部31Aにより回転される。すなわち、変形例1に係る電極部10Aは、撹拌部としても作用する。変形例1に係る電極部10Aは、電源部20Aに直流電圧を印加されることにより、液体100を電気分解し、かつ、駆動部31Aに回転駆動されることにより、液体100を撹拌する。
変形例1に係る電極部10Aは、液体100を電気分解し、かつ、駆動部31Aに回転駆動されることにより液体100を撹拌する。また、電極部10Aは、電極部10Aの長手方向EAに沿った軸AX2Aが、電極部10Aの回転軸となる。すなわち、電極部10Aの長手方向EAに沿った軸AX2Aと、電極部10Aの回転軸とが一致する。従って、変形例1に係る水素含有液体生成装置1Aは、水素含有液体生成装置1と同様に、水素含有液体100Hの水素溶存量を向上させることができる。
(変形例2)
次に、本実施形態に係る水素含有液体生成装置1の変形例2について説明する。変形例2に係る水素含有液体生成装置1Bは、電極部及び撹拌部が、水素含有液体生成装置1とは異なる。変形例2に係る水素含有液体生成装置1Bのその他の点については、水素含有液体生成装置1と共通するため、説明を省略する。
図14は、変形例2に係る水素含有液体生成装置の電極部及び撹拌部を示す模式図である。図15は、変形例2に係る水素含有液体生成装置の電極部及び撹拌部を示す模式図である。図15は、水素含有液体生成装置の一部を断面として示している。
図14及び図15に示すように、変形例2に係る水素含有液体生成装置1Bは、収納部2Bと、電極部10Bと、電源部20Bと、駆動部31Bと、カップリング部32Bと、撹拌部33Bとを有する。収納部2Bは、内部に、電極部10Bの一部と、電源部20Bと、駆動部31Bと、カップリング部32Bと、撹拌部33Bの一部とを収納する。
図15に示すように、電極部10Bは、陽極部11Bと、陰極部12Bと、固定部41Bと、を有する。陽極部11Bは、一方向としての長手方向EBが他の方向より長い軸状の導電体である。陰極部12Bは、一方向としての長手方向EBが他の方向より長い軸状の導電体である。固定部41Bは、陽極部11B及び陰極部12Bの一方の端部に取付けられる。固定部41Bは、陽極部11Bと陰極部12Bとを互いに離間させ、陽極部11Bと陰極部12Bとの中心軸間の距離を所定の距離LBに保つように、陽極部11Bと陰極部12Bとを、長手方向EAに沿って延在するように互いに対向させて固定する。従って、電極部10Bは、長手方向EBに沿って延在する。
固定部41Bは、収納部2B内に収納され、収納部2B内の駆動部31Bに固定される絶縁部材である。ただし、固定部41Bは、駆動部31Bにより回転駆動されない。
電源部20Bは、電極部10B及び駆動部31Bに直流電位を印加する。駆動部31Bは、電源部20Bの直流電圧による電気エネルギーを、回転運動に変換する。
カップリング部32Bは、円筒状の部材の一方の端部32aBの外径が大きくなっている形状を有している。カップリング部32Bは、他方の端部32bBにおいて、駆動部31Bに接続されている。カップリング部32Bは、駆動部31Bにより回転駆動される。また、カップリング部32Bの内部には、電極部10Bの固定部41Bが配置されている。カップリング部32Bと固定部41Bとは、互いに接していない。従って、カップリング部32Bが回転駆動されても、電極部10Bは回転しない。
撹拌部33Bは、複数の輪状部53Bと、複数の軸部55Bとを有する。輪状部53Bは、輪状の部材である。複数の輪状部53Bは、互いに同軸上に並んでいる。軸部55Bは、複数の輪状部53Bの外周部に取付けられている軸状の部材であり、複数の輪状部53B同士を、互いに同軸上に並ぶように連結している。すなわち、撹拌部33Bは、複数の輪状の部材である輪状部53Bが同軸上に並び、輪状部53B同士が軸状の部材である軸部55Bにより連結されている、長軸状の部材である。
撹拌部33Bは、一方の端部57B側の輪状部53Bが、カップリング部32Bに取付けられている。より詳しくは、一方の端部57B側の輪状部53Bの内周と、カップリング部32Bの一方の端部32aBの外周とが、互いに固定されている。そして、撹拌部33Bは、複数の輪状部53Bの内部に、陽極部11Bと陰極部12Bとが配置されている。言い換えれば、撹拌部33Bは、内部に陽極部11Bと陰極部12Bとが貫通している。また、撹拌部33Bは、カップリング部32Bに接続されているので、カップリング部32Bを介して、駆動部31Bにより回転される。
変形例2に係る電極部10Bは、電源部20Bに直流電圧を印加されることにより、液体100を電気分解する。また、撹拌部33Bは、駆動部31Bに回転駆動されることにより、液体100を撹拌する。また、電極部10Bは、撹拌部33Bの内部に設けられている。そして、電極部10Bの長手方向EBに沿った軸である軸は、撹拌部33Bの回転軸AX1Bと、平行となっている。従って、変形例2に係る水素含有液体生成装置1Bは、水素含有液体生成装置1と同様に、水素含有液体100Hの水素溶存量を向上させることができる。
変形例1及び2に示したように、水素含有液体生成装置1は、長手方向としての一方向が他方向より長い陽極部11及び陰極部12を有して、陽極部11と陰極部12とが対向し、液体を電気分解する電極部と、回転されることにより液体100を撹拌する撹拌部とを有し、陽極部11と陰極部12の長手方向に沿った軸と撹拌部の回転軸とが互いに平行であれば、電極部及び撹拌部の構成は任意である。このような場合であっても、水素含有液体生成装置1は、水素含有液体100Hの水素溶存量を向上させることができる。
(評価結果)
次に、本発明に係る水素含有液体生成装置により生成した水素含有液体100Hの水素含有量の評価結果について説明する。本評価においては、液体100として、500mlの水道水を使用して、水素水を生成した。また、電気分解用に印加した直流電圧は、24Vであった。電気分解時に発生した電流は、1Aである。図16は、本実施形態に係る水素含有液体生成装置1により生成した水素水に溶存した水素量を示したグラフである。
図16に示す横軸は、水素含有液体生成装置により電極部に電気分解用の直流電圧を印加した時間を示している。また、図16に示す縦軸は、生成した水素水に溶存した水素の含有量を示している。図16の線分A1は、本実施形態に係る水素含有液体生成装置1において撹拌部33による撹拌を行わなかった場合における、温度17度の水道水(水)を電気分解した結果を示している。図16の線分A2は、本実施形態に係る水素含有液体生成装置1において撹拌部33による撹拌を行った場合における、温度17度の水道水(水)を電気分解した結果を示している。図16の線分B1は、本実施形態に係る水素含有液体生成装置1において撹拌部33による撹拌を行わなかった場合における、温度46度の水道水(湯)を電気分解した結果を示している。図16の線分B2は、本実施形態に係る水素含有液体生成装置1において撹拌部33による撹拌を行った場合における、温度46度の水道水(湯)を電気分解した結果を示している。
線分A1に示すように、撹拌部33による撹拌を行わずに水道水(水)を電気分解した場合、直流電圧を印加した時間が20秒で水素溶存量が0.1ppmとなり、直流電圧を印加した時間が40秒で水素溶存量が0.2ppmとなり、直流電圧を印加した時間が60秒で水素溶存量が0.3ppmとなり、直流電圧を印加した時間が80秒で水素溶存量が0.4ppmとなった。
また、線分A2に示すように、撹拌部33による撹拌を行って水道水(水)を電気分解した場合、直流電圧を印加した時間が20秒で水素溶存量が0.2ppmとなり、直流電圧を印加した時間が40秒で水素溶存量が0.4ppmとなり、直流電圧を印加した時間が60秒で水素溶存量が0.6ppmとなり、直流電圧を印加した時間が80秒で水素溶存量が0.8ppmとなった。
また、線分B1に示すように、撹拌部33による撹拌を行わずに水道水(湯)を電気分解した場合、直流電圧を印加した時間が20秒で水素溶存量が0.5ppmとなり、直流電圧を印加した時間が40秒で水素溶存量が0.7ppmとなり、直流電圧を印加した時間が60秒で水素溶存量が0.9ppmとなり、直流電圧を印加した時間が80秒で水素溶存量が1.1ppmとなった。
また、線分B2に示すように、撹拌部33による撹拌を行って水道水(湯)を電気分解した場合、直流電圧を印加した時間が20秒で水素溶存量が0.7ppmとなり、直流電圧を印加した時間が40秒で水素溶存量が1.0ppmとなり、直流電圧を印加した時間が60秒で水素溶存量が1.2ppmとなり、直流電圧を印加した時間が80秒で水素溶存量が1.4ppmとなった。
線分A1と線分A2とを比較すると、線分A2の方が、溶存水素量が大きくなっていることが分かる。また、同様に、線分B1と線分B2とを比較すると、線分B2の方か、溶存水素量が大きくなっていることが分かる。すなわち、同じ電極部10を有する水素含有液体生成装置1であっても、撹拌部33により撹拌を行った方が、溶存水素量が大きくなっていることが分かる。
なお、線分A1と線分B1とを比較すると、線分B1の方が、溶存水素量が大きくなっていることが分かる。また、同様に、線分A2と線分B2とを比較すると、線分B2の方が、溶存水素量が大きくなっていることが分かる。すなわち、水よりも湯の方が、溶存水素量が大きいことが分かる。
次に、他の評価結果について説明する。この評価においては、変形例2に係る水素含有液体生成装置1Bにおいて撹拌部33Bで撹拌を行わなかった場合の評価と、変形例2に係る水素含有液体生成装置1Bにおいて撹拌部33Bを使用せず容器を手動で撹拌した場合の評価と、本実施形態に係る水素含有液体生成装置1において撹拌部33による撹拌を行わなかった場合の評価とを比較したものである。この評価においても、液体100として、500mlの水道水を使用して、水素水を生成した。また、電気分解用に印加した直流電圧は、18Vであった。電気分解時に発生した電流は、1Aである。図17は、本実施形態及び変形例2に係る水素含有液体生成装置により生成した水素水に溶存した水素量を示したグラフである。
図17に示す横軸は、水素含有液体生成装置により電極部に電気分解用の直流電圧を印加した時間を示している。また、図17に示す縦軸は、生成した水素水に溶存した水素の含有量を示している。図17の線分C1は、変形例2に係る水素含有液体生成装置1Bにおいて撹拌を行わなかった場合における、温度17度の水道水(水)を電気分解した結果を示している。図17の線分C2は、変形例2に係る水素含有液体生成装置1Bにおいて、電気分解を行いながら電極部10Aが入れられている水道水の容器を手動で動かして、水道水を撹拌した場合における、温度17度の水道水(水)を電気分解した結果を示している。図17の線分C3は、本実施形態に係る水素含有液体生成装置1において撹拌部33による撹拌を行わなかった場合における、温度17度の水道水(水)を電気分解した結果を示している。
線分C1に示すように、変形例2に係る水素含有液体生成装置1Bで撹拌を行わずに水道水(水)を電気分解した場合、直流電圧を印加した時間が3分で水素溶存量が0.03ppmとなり、直流電圧を印加した時間が6分で水素溶存量が0.06ppmとなった。
線分C2に示すように、変形例2に係る水素含有液体生成装置1Bにおいて手動で容器を撹拌して水道水(水)を電気分解した場合、直流電圧を印加した時間が3分で水素溶存量が0.12ppmとなり、直流電圧を印加した時間が6分で水素溶存量が0.21ppmとなった。
線分C3に示すように、本実施形態に係る水素含有液体生成装置1において撹拌部33による撹拌を行わずに水道水(水)を電気分解した場合、直流電圧を印加した時間が3分で水素溶存量が0.63ppmとなり、直流電圧を印加した時間が6分で水素溶存量が0.83ppmとなった。
線分C1と線分C2とを比較すると、線分C2の方が、溶存水素量が大きくなっていることが分かる。すなわち、同じ電極部10Bを有する水素含有液体生成装置1Bであっても、容器を手動で撹拌した方が、溶存水素量が大きくなっていることが分かる。
また、線分C1と線分C3とを比較すると、線分C3の方が、溶存水素量が大きくなっていることがわかる。すなわち、撹拌を行わなかった場合においても、本実施形態に係る水素含有液体生成装置1の方が、変形例2に係る水素含有液体生成装置1Bよりも、溶存水素量が大きくなっていることがわかる。
また、線分C2と線分C3とを比較しても、線分C3の方が、溶存水素量が大きくなっていることがわかる。すなわち、水素含有液体生成装置1Bにおいて容器を手動で撹拌しても、本実施形態に係る水素含有液体生成装置1の方が、変形例2に係る水素含有液体生成装置1Bよりも、溶存水素量が大きくなっていることがわかる。
さらに、本評価結果には示していないが、図15に示すように、本実施形態に係る水素含有液体生成装置1は、撹拌部33で撹拌する方がより溶存酸素量が大きくなる。従って、本実施形態に係る水素含有液体生成装置1において撹拌部33で撹拌した場合の溶存水素量は、線分C3よりも大きくなる。すなわち、本実施形態に係る水素含有液体生成装置1は、撹拌部33で撹拌した場合、水素含有液体生成装置1Bにおいて容器を手動で撹拌した場合よりも、より溶存水素量が大きくなることが分かる。
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、これら実施形態の内容によりこの発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。