以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下の説明において、「印刷」とは、ユーザからの印刷指示に基づいて印画を行い、印画媒体である所の紙を排紙するまでの一連の全体動作を指すものとする。また、「印画」とは、印刷動作のうち、印画媒体である印画用紙に対してインクリボンに塗布されたインクを熱転写することにより画像を印画用紙に記録する動作を指すものとする。
フルカラー印刷を行う熱転写記録方式の印刷装置では、インクリボンに順に塗布されたイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)の3色を順に重ねて印刷する事によりフルカラーの印画物を生成する構成になっている。この様な熱転写式印刷装置では、印画後の画像の保護を目的に予めインクリボンに塗布されているオーバーコート用インクを、印画後の画像上に転写することにより、記録用紙に形成された画像上に、オーバーコート層を形成することも行われている。
インクリボンは一般的にポリエステルなどの基材フィルム上にイエロー、マゼンダ、シアンの染料層及びアクリル系樹脂を主成分としたオーバーコート層が形成された構成となっている。染料層は色材である染料とバインダーと呼ばれる合成樹脂の混合材を適当な溶剤により融解させたインクを基材フィルム上に塗布し乾燥する事により形成されている。
インクリボンは、一端をインクリボンの幅よりも長い円筒状の軸へ固定された後に巻き回され、他端を他の円筒状の軸に固定される。そして、両軸を回動可能且つ一定の距離に位置規制して外装ケースに組み込まれて、インクリボンカセットとして供給される。これは、ユーザが消耗品であるインクリボンを交換する際に作業を容易にするためであり、薄いフィルム上のインクリボンにダメージが与えられる事を避けるためでもある。
このような、印刷装置では、可搬性や扱いやすさの観点から小型化の要求が大きい。印刷装置全体を小型化するため、インクリボンの搬送経路を屈曲させ、スペース効率の高い経路とされる事が一般的である。また、熱転写方式の印刷装置に用いられる記録用紙の表面は、基材である天然紙に微小な空気を含み断熱材としての機能を有するポリエチレンテフタレートやポリプロピレンフィルムが貼り合わされている。そして、ポリエチレンテフタレートやポリプロピレンのフィルム上に染料受容性の高いポリマーを適当な溶剤に融解させ塗布する事で受容層が形成されている。
熱転写記録方法の印刷装置では、サーマルヘッドと、サーマルヘッドに対向する位置にあるプラテンローラとでインクリボンと記録用紙を挟持しながら搬送させる。そして、サーマルヘッドへ圧接し、サーマルヘッド上にライン状に配された発熱素子に選択的に電力を供給して発熱させて、インクリボン上の染料(インク)を印画媒体表面の受容層に拡散転写する事で印刷が行われる。印画媒体表面の受容層に染料を転写したインクリボンは、印画用紙と貼りついた状態になるが、染料が印画用紙の受容層に定着するための一定の冷却時間後にプリンタに備えられた用紙とインクリボンの搬送機構により引き剥がされ、印画を完了する。印画ではサーマルヘッドからインクリボン及び印画用紙に大きな熱量が与えられる。このため、高階調で在る程サーマルヘッドから加えられる熱によりインクリボンは熱収縮などに起因するダメージを受ける事になる。また、高階調領域ほどインクリボンと印画用紙表面の貼り付き力も大きくなり、引き剥がしの際にインクリボンはダメージを受ける事になる。これらインクリボンのダメージを受けると、インクリボンの表面が捻じれ、シワが発生し、このシワに起因する色抜け等を生じさせる事が知られている。
また、印画時には、インクリボンと印画用紙はサーマルヘッドとプラテンローラにより挟持しながら搬送するため、インクリボンには大きな張力がかかる。また、サーマルヘッドとプラテンローラにより挟持していない間にもインクリボンの搬送は行われる。サーマルヘッドとプラテンローラにより挟持する場合としない時とで、インクリボンにかかる張力が異なる。また、インクリボンの残量によっても、インクリボンにかかる張力は異なってくる。どのような場合であっても安定的な搬送を行わなければ、シワが発生してしまう。
そこで、本実施形態の印刷装置は、インクリボンにかかる張力が異なってもインクリボンを安定して搬送させるために以下のような構成を有している。
以下、図1及至図12を参照して、本実施形態の印刷装置について説明する。
図1は、本実施形態にかかる印刷装置100および印刷装置100に用いられるインクリボンカセット300の外観構成を示す図である。
図1に示すように、印刷装置100は、その側面に開閉可能に支持されたカセットカバー111−1を備え、インクリボンカセット300を矢印120方向に着脱可能としている。ケース101の上部には、表示部102及び各種スイッチで構成された操作部103が配されている。また、印刷装置100には不図示のUSB端子やSDカードコネクタ等のインターフェースを備えており、画像データの入ったSDカードを装着する事や、USBケーブルで外部メモリ機器と接続する事により画像データを受信出来るように構成されている。
表示部102はLCD等の表示手段から構成され、印刷される画像データを表示したり、印刷に必要な設定データを入力するためのメニューを表示したりする。
操作部103は、印刷装置の電源のON/OFFを指示する電源スイッチ104と、表示部102に表示された各種メニューを選択するための選択スイッチ105とを備える。更に、選択スイッチ105の近傍には、表示部102に表示されたカーソルを所望の位置に移動させるための上下左右スイッチ106と、印刷スイッチ107とが配されている。上下左右スイッチ106により所望の画像が選択されると、ユーザにより印刷スイッチ107が押下され、印刷装置100は印刷を開始する。
インクリボンカセット300には、昇華性インクが塗布されているインクリボン114が収納されており、印刷装置に配された動力により搬送され、印画に用いられる。インクリボンカセット300の構造詳細については後述する。印刷装置100正面には開閉可能に軸支されたトレイカバー111−2が配され、トレイカバー111−2を開状態にする事で用紙トレイ112を装着可能としている。
用紙トレイ112には、規定のサイズにカットされた印画用紙113が予めユーザによりセットされており、印刷時には印刷装置100に配された給紙機構により、用紙トレイ112から一枚のみ引き出される。そして、インクリボン114に塗布されたイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンダ(M)の各色インク及び印画面を保護するための無色透明のオーバーコート(OC)が印刷装置のサーマルヘッドにより転写され、フルカラー印画が行われる。トレイ上カバー112−1は用紙トレイ112に回動可能に支持されたカバーで在り、印刷装置100へ装着される場合は予めユーザにより開方向へ回動されている。トレイ上カバー112−1は印刷装置100へ装着されている状態では、印画終了後に印刷装置100から排出された印画用紙113を積載する機能を有している。
次に図2を用いてインクリボン114の構成について説明する。図2は本発明の実施例における、インクリボン114の展開図である。前述した様なフルカラー印刷の場合、インクリボン114はイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)を並べたインクリボンとし、印画用紙にそれぞれの色にて重ねて印画する事によりフルカラーの画像を形成可能とする構成が一般的である。イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)を印刷しフルカラーの画像を形成した後、更に印画表面を保護するためインクリボンには続けて無色透明のオーバーコート(OC)面が設けられている。イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)の色インクを印画したフルカラー画像上全面にオーバーコートの印画が行われる。各色の間には各色の先頭位置を検出するための黒帯状の印刷であるマーキング114−1が施されており、イエロー(Y)面の先頭を示すマーキングは他の色と区別するためマーキングが2本施されている。本実施形態における昇華式のインクリボンでは、厚さ2〜10数ミクロン程度のポリエチレンテフタレートフィルム等耐熱性の高いフィルムを基材としている。イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)の各色はフィルム上に染料とバインダー、可塑剤、粘結剤等を混合して作製された昇華性インクを0.2〜5μm程度の厚さで塗布されている。無色透明のオーバーコート面はスチロース誘導体、スチレン樹脂、スチレン共重合樹脂、バインダー等を0.5〜5μm程度の厚さに塗布し形成されている。また、インクが塗布された面の反対側の面には、摺動部との摩擦抵抗を小さくしインクリボンの走行を安定化させるための潤滑材や、サーマルヘッド表面を研磨清掃するための研磨剤などが塗布されている。
次に印刷装置100の印刷動作を、図3〜図5を用いて説明する。
図3、図4は印刷装置100の動作を示す断面図であり、図5は印刷動作のフローチャートを示した図である。図3(a)は印画待機状態を示し、図3(b)は給紙状態を示している。図4(a)はインクリボン114の頭出し状態を示し、図4(b)は印画動作中の状態を示している。図3(a)に示す様に、ユーザによりインクリボンカセット300及び印刷用紙113をセットされた用紙トレイ112が印刷装置100に装着され、電源スイッチ104を押下されると、印刷装置は待機状態となる。不図示のSDカード等により供給された画像データが印刷装置に読み込まれ、表示部102に表示された後、選択スイッチ105や上下左右スイッチ106を用いて印刷する画像データが指定される。印刷装置100にはプラテンローラ203及びサーマルヘッド201が備えられており、サーマルヘッド201はサーマルヘッド回動軸202に回動可能に支持され、コイルバネ204にて図中時計回り方向へ付勢されている。印画待機状態においては、インクリボンカセット300と挿抜時干渉しない様に、サーマルヘッド201はコイルバネ204の付勢力により図中時計回りに回動し、プラテンローラ203との距離を最大限広く取った位置に規制されている。
次いで印刷スイッチ107が押下されると、印刷装置100は印刷動作を開始する(S101)。印刷動作を開始すると、印刷装置100に備えられたサーマルヘッド201は、不図示の動力源によりコイルバネ204の付勢力に抗してサーマルヘッド回動軸202を中心に図中反時計回りに回動させる。そして、図3(b)に示す様に待機位置とプラテンローラ203とニップする印刷位置との間となる中間位置へ移動する(S102)。サーマルヘッド201の移動が完了すると、印刷装置100は給紙動作を開始する(S103)。給紙動作を開始すると、印刷装置100に備えられた加圧板205が不図示の動力により加圧板回動軸207を中心に図中時計回りに回動し、用紙トレイ112内に積載された印刷用紙113を押し上げ給紙ローラ206へ押し付ける。給紙ローラ206は不図示の動力により図中反時計方向へ回転し、積載された印刷用紙113を印刷装置100の内部へ向かって搬送する。印刷用紙113は印刷装置100に備えられた分離板208に当節し、最上部に積載された一枚の印刷用紙113のみを搬送する。続いて、搬送された印刷用紙113は用紙検出センサ209に検出され、給紙動作不良の無い事が確認される。給紙動作不良の無い事が確認されると、用紙トレイ112内の用紙が誤って印刷装置100内に搬送される事が無いように、加圧板205は不図示の動力により図3(a)に示す、待機状態の位置へ回動する。引き続き給紙ローラ206により搬送された印刷用紙113は、切換板回動軸210により回動可能に支持された切換板209を押す事により図中反時計方向へ回動させ、搬送ローラ212と搬送従動ローラ213のニップ間へ突入する。搬送ローラ212には印刷用紙100の裏面に突き刺さる微小な突起が複数形成されており、印刷用紙113を正確に搬送する事が可能となっている。また、搬送ローラ212は不図示のステッピングモータにより駆動され、正確な送り量の制御が可能となっている。印刷用紙113は、搬送ローラ212及び搬送従動ローラ213により搬送が継続され、印刷用紙113の後端が用紙検出センサ209を通過した後、所定量搬送され、印画開始位置にて停止する(S104)。給紙動作が完了し、印刷用紙113が印画開始位置へ停止すると、インクリボン114のイエロー(Y)頭出し動作が成される(S105)。以下、リボン頭出し動作を説明する。
図4(a)に示した位置まで用紙が搬送され、印画開始位置への搬送が完了すると、インクリボンカセット300に収納されているインクリボン114が巻き上げられる。即ち、インクリボンカセット300内に配された巻取り軸301の先端が印刷装置100に備えられた系合部と系合し、不図示の動力により図中反時計回りに回動され、供給軸302に巻き回されているインクリボン114が巻取り軸301に巻き取られて行く。図2で示したように、インクリボン114の各色先頭には黒帯が設けられており、特にイエロー(Y)の先頭には黒帯が2本設けられている。印刷装置100には反射式光学センサであるインクリボンセンサ214が備えられており、インクリボン114に設けられた黒帯で反射光がさえぎられる事を検出する事によりインクリボンの搬送を停止し、頭出しを行っている。イエロー(Y)の頭出しの際には、二本の黒帯を検出可能か判断される(S106)。イエロー(Y)頭出し動作時に一本または規定時間内に黒帯が検出出来なかった場合はインクリボンカセット300の異常としてエラーを表示部102に表示し(S107)、サーマルヘッド201を図3(a)に示された待機位置へ移動し(S127)印刷動作を終了する。
図4(a)では、新品のインクリボンカセット300の使用開始直後の状態を示しているため、供給軸302には規定枚数印画可能な量のインクリボン114が巻き回されている。規定枚数近く印画に使用済の場合、大部分のインクリボン114が巻取り軸301に巻き回された状態になり、インクリボン114を巻き取る巻取り軸301側の径は、既に巻き取られたインクリボン114の分だけ大きくなる。このため、印刷装置100に備えられた巻取り軸301を回動させる機構によりインクリボン114に与えられる張力は印画が進む毎に低くなっていく。
イエロー(Y)の頭出しが完了すると、サーマルヘッド201はサーマルヘッド回動軸202を中心に更に図中反時計回りに回動し、インクリボン114と印刷用紙113をプラテンローラ203との間に挟持する位置へ移動する(S108)。サーマルヘッド201が印画位置までの移動を完了すると、図4(b)に示される様に印刷用紙113及びインクリボン114はサーマルヘッド201とプラテンローラ203に挟持されたまま、図中矢印Aで示される方向へ搬送される。搬送させながらサーマルヘッド201によりインクリボン114が加熱され、インクリボン114に塗布されたインクが印刷用紙113へ転写されて印画が行われる(S109)。印画動作中は前述の通りインクリボン114と印刷用紙113は同速度にて搬送される。このため、印刷装置100に備えられたインクリボン搬送機構には一定トルク以上の負荷が掛かるとスリップをする不図示のトルクリミッタ機構が組み込まれている。インクリボン114と印刷用紙113はサーマルヘッド201による加熱で印刷が成されると、一定の距離密着状態を保持したまま搬送され、その後互いに離間する方向へ搬送される。即ち、印刷用紙113は搬送ローラ212により矢印Aの方向へ搬送され、インクリボン114はサーマルヘッド201に一体的に配された剥離板215に摺動しながらインクリボンカセット300内に配されたガイド軸303に向かい搬送される。インクリボン114はサーマルヘッド201による印画のための加熱により印刷用紙113に貼りついているが、剥離板215の位置まで搬送され印刷用紙113より引き剥がされる事となる。印刷される画像が高階調である場合では、高濃度が求められるため、より多くの染料を印刷用紙113に拡散移動すべく多くの熱量がサーマルヘッド201から与えられる。このため、高濃度領域では中低階調領域と比較しインクリボン114のダメージが大きくなり、捩れや皺の原因となりやすい。捩れや皺が発生すると、色抜け等が発生し印画品質の低下を招いてしまう。剥離板215のサーマルヘッド201上に配された発熱体との距離は、インクリボン114上から印刷用紙113上に拡散移動した染料が充分冷却され定着するために必要な値へ適正化されている。
印刷用紙113へのイエロー画像の印画領域への印画が完了すると、不図示の印刷装置100に備えられた動力が駆動し、サーマルヘッド201を回動させ図4(a)に示される位置に退避させる(S110)。その後、図4(a)に示される、位置まで印刷用紙113を印画動作とは逆方向に搬送させ印画開始位置へ移動させる(S111)。
その後、イエロー(Y)印画動作同様にインクリボン114を、マーカー114−1Mを検出する事により印画開始位置まで搬送停止しマゼンダ(M)の印画を行う(S112〜116)。同様にマーカー114C及び114OCを検出しリボン頭出しを行い、シアン(C)及びオーバーコート(OC)の印画を行う(S117〜125)。OCまでの印画が終了すると、図4(b)中矢印Aで示される方向に印刷用紙113を更に搬送し、用紙後端が搬送ローラ212を抜けた後は給紙ローラ206の搬送力により印刷装置100の外である、用紙トレイ112上に排紙する(S126)。排紙が完了すると、サーマルヘッド201を不図示の動力により待機位置まで回動し、印刷を終了する。
以上により、イエロー、マゼンタ、シアン、オーバーコート層の順にインクが重ねられて転写される印画動作が完了する。
次にインクリボン114の挙動を、図6、図7を用いて説明する。図6、図7はインクリボンの各状態における搬送経路断面図である。図6(a)は印画初期のインクリボンカセット300を用いた印画状態を示す断面図である。前述した様に、印刷装置に備えられた不図示のインクリボン搬送機構によりインクリボンカセット300内に配された巻取り軸301が図中反時計回りに回動される。印画動作中では、前述したようにインクリボン114は印刷用紙113と共にプラテンローラ203とサーマルヘッド201間に挟持され同速度で搬送され、且つ印画後のインクリボン114は剥離板215にて印刷用紙113と引き剥がされている。図6においては、巻取り軸301は印画初期のインクリボンカセット300内であるため、巻き取られたインクリボンは少量であり巻取り軸301側の軸径は小さい。このように、巻取り軸301側の軸径は小さいため、巻取り軸301により発生する張力は大きく、さらにサーマルヘッド201とプラテンローラ203間で挟持され、剥離動作を行っているため搬送負荷は大きい。この様に、サーマルヘッド下流において巻き取る張力が大きく、搬送負荷が大きいためインクリボン114に加わる張力は非常に大きい物となる。サーマルヘッド下流において、インクリボン114はカセットケース304の巻取り側摺動部304−2と剥離板215にて摺動しながら搬送されている。インクリボン114に加わる張力が大きい場合、搬送経路中にインクリボン114と摺動する個所に応力が発生するが、剥離板215及び巻取り側摺動部304−2は比較的強度のある構造とし易い。そのため、巻取り側で搬送方向を急角度に変えるために設けられ、インクリボンに当接しているガイド軸303にも大きな力が加わる事になる。つまり、図中矢印Bで示した方向にガイド軸303を変形させる様に応力が加わる。ガイド軸303は、樹脂等の弾性変形可能な弾性部材で形成されており、大きな力が加わると変形する。ガイド軸303は、インクリボン114の搬送経路を曲げるため、インクリボン114に当接可能にインクリボンカセット300内に配されている。これはサーマルヘッド201とインクリボンカセット300との間に用紙搬送機構である搬送ローラ212、搬送従動ローラ213、これらローラを保持する機構等を配置し、印刷装置100の小型化を図るためである。
図6(b)は印画初期のインクリボンカセット300を用いたリボン頭出し時の状態を示す断面図である。前述した様に、インクリボン114の各色頭出し動作時には、インクリボン114はサーマルヘッド201とプラテンローラ203間に挟持される事はない。また、サーマルヘッド201は図に示す様に中間位置にあるため、印画状態と比較しインクリボン114の搬送経路は剥離板215にて急角度で曲げられていない。また、インクリボン114への搬送抵抗は、インクリボン114と摺動する供給側摺動部304−1、巻取り側摺動部304−2、サーマルヘッド201、剥離板215にて発生する動摩擦のみである。即ち、巻取り軸301から見ると負荷が非常に小さい。負荷が小さいため、インクリボン114に加わる張力は小さい物になる。つまり、インクリボン114の搬送経路上で、インクリボン114と摺動する個所に加わる応力は小さい物となる。
図7(a)は、使用終期のインクリボンカセット300を用いた印画状態を示す断面図である。インクリボン114は、既に印画に使用された部分が巻取り軸301に巻き取られている状態である。即ち、巻取り軸301側の軸径が大きいため、インクリボン114にかかる張力は比較的小さい値になる。巻取り軸301側の軸径が大きいためインクリボン114の搬送速度は速くなるが、前述した様に、印画中インクリボン114はサーマルヘッド201とプラテンローラ203間に印刷用紙113と共に同速度で搬送される。このため、印刷装置100に備えられた不図示のトルクリミッタが滑り、速度を合わせている。つまり、インクリボン114に加わる張力は巻取り軸301にはトルクリミッタのスリップトルクと、巻取り済みのインクリボン114の形成する巻取り軸301側の軸径によって決定する。上述した様に、印画初期においても印画動作中はトルクリミッタはスリップしながらインクリボン114を搬送しているため、図7(a)で示された印画終期での印画動作中にインクリボン114に加わる張力は印画初期よりも小さい値となる。
図7(b)は、使用終期のインクリボンカセット300を用いたリボン頭出し時の状態を示す断面図である。図6(b)で示した印画初期でのリボン頭出し動作時同様に、インクリボン114に対する搬送抵抗は低い状態にあるが、巻取り軸301には既に印画に使用された部分が巻き回されているため、インクリボン114を巻き取る巻取り軸301側の軸径はインクリボンカセット使用初期と比較し大きい。印刷装置100に備えられた不図示のトルクリミッタのスリップトルクが小さい場合、巻取り軸301側の軸径が大きいため充分な張力を発生させる事が出来ず、インクリボン114を巻き取る事が出来なくなる。このため、トルクリミッタのスリップトルクは図7(b)の状態においてインクリボン114を巻き取る事の出来る値に調整されている。
前述した図6(b)の様にインクリボン114の搬送抵抗は各部での動摩擦によるものだけであるが、この搬送抵抗が高い場合、トルクリミッタのスリップトルクを大きくする必要があり、その結果、図6(a)の状態に於いてインクリボン114に発生する張力が大きい物になってしまう。
次に、図8〜図11を参照してインクリボンカセット300の構成詳細を説明する。図8はインクリボンカセット300の展開図である。インクリボン114は供給軸302に巻き回され、他端を巻取り軸301に貼り付けられた状態でカセットケース304に収納されている。カセットケース304はABS等の汎用成型材料やPC等のエンジニアリングプラスチックが用いられる。巻取り軸301、供給軸302は同じ部品であり、ABSやPS等の汎用樹脂の高摺動材料を用いた射出成型品である。カセットケース304は略二つの半円筒を繋げた形状をしており、半円筒をそれぞれ供給側ケース305と巻取り側ケース306で覆い、略円筒形状を形成している。供給側ケース305及び巻取り側ケース306はそれぞれ供給側ケース系合爪305−1及び巻取り側ケース系合爪306−1にてカセットケース304に系合し一体化されている。また、供給側ケース305と巻取り側ケース306はカセットケース304同様の樹脂射出成型品である。供給軸302及び巻取り軸301はそれぞれカセットケース304と供給側ケース305及び巻取り側ケース306で構成された略円筒内に配置され、回動可能に支持されている。インクリボン114はカセットケース304に設けられた供給側摺動部304−1と巻取り側摺動部304−2に摺動し、カセットケース304に回動可能に支持されたガイド軸303にて屈曲する。供給側ケース305及び巻取り側ケース306とカセットケース304間に設けられた開口部を通り、図6、図7に示された経路を取る様配置されている。ガイド軸303は強度の高い樹脂であるPBT−G30%の射出成型にて製作され、インクリボン114と接触する大径部303−2と同軸に大径部303−2の両端に設けられた小径部303−1にて構成されている。巻取り側ケース306にはガイド軸303を中心にインクリボン114の略反対側に、ガイド軸303の軸方向に複数のリブ形状である、第一規制部306−2、第二規制部306−3、第三規制部306−4、及びガイド軸規制部材306−5が設けられている。
図9はインクリボンカセット300の上面図であり、図10(a)、(d)はそれぞれ、図9で示されたC−C及びD−Dでのガイド軸303近傍の断面図である。図10(a)で示した位置では、ガイド軸303の小径部303−1を回動可能に保持するカセットケース304に設けられたガイド軸受部304−3が設けられている。ガイド軸受部304−3は、樹脂で形成されており、片持ち梁状の薄板形状であり、図中Eで示された方向へ弾性変形可能な構造とされている。小径部303−1近傍には軸の回転方向の位置を規制するガイド軸規制部304−4及び306−5が巻取り側ケース306及びカセットケース304に設けられている。ガイド軸303に小径部303−1を設け、小径部303−1にて回動支持するのは、インクリボン114により大径部303−2に与えられる回転モーメントに対し、小さい回転摺動抵抗に出来るためである。インクリボン114の搬送経路はガイド軸303部で鋭角に曲げられているため、ガイド軸303の回動抵抗が大きい場合、インクリボン114の搬送に必要な力が大きくなる。前述した様に、熱転写式印刷装置では、インクリボンに熱を加えながら印刷用紙と挟持搬送しながら印刷を行うため、インクリボンには熱によりダメージが生じる。ここで、より大きな力でインクリボンを引っ張ると、熱ダメージにより劣化したインクリボンにシワや捩れが生じ、印画品質が低下する可能性がある。
ガイド軸規制部304−4及び306−5は、それぞれカセットケース304及び巻取り側ケース306に一体的に形成されたリブ形状である。ガイド軸規制部304−4及び306−5はガイド軸303の図10(a)中の左右及び上方向の位置を若干の隙間を持って規制している。本実施例では、左右及び上方向の隙間は0.2mmとしている。下方向(図中矢印E方向)には比較的大きな隙間300−1が設けられている。そのため、ガイド軸受部304−3が図中一点鎖線にて示された様にE方向に変形した際には、ガイド軸303は下方向へ移動可能な構成となっている。本実施形態では小径部303−1とガイド軸規制部306−5との下方向の隙間は0.5mmに設定されている。ガイド軸受部304−3は図で示す様に、略片持ち梁形状とされ、自由端側に近い位置にてガイド軸303を支持している。ガイド軸受部304−3が変形していない状態では、ガイド軸303の回転方向の位置はガイド軸規制部304−4、306−5及びガイド軸受部304−3にて回動可能に支持され規制されている。即ち、図6(a)に示される様な、ガイド軸303に対し図6(a)中矢印Bで示された方向にインクリボン114がガイド軸303に押しこむ様な大きな荷重が掛かる状況にある場合、ガイド軸受部304−3は図10(a)中一点鎖線にて示された様にE方向に撓む。そして、ガイド軸303は下方向、つまり、ガイド軸規制部306−5に沿って下側に移動可能な構成となっている。
図10(b)で示された位置では、ガイド軸303の大径部303−2がインクリボン114を屈曲させ搬送ガイドしている。巻取り側ケース306に設けられた第一規制部306−2、第二規制部306−3、第三規制部306−4は軸大径部303−2に対しそれぞれ異なる隙間を持って配置されている。ガイド軸303の中央部近傍に配された第一規制部306−2はガイド軸303と極小の隙間を持った軸と同心円弧状のリブである。本実施形態では大径部303−2との隙間は0.1mmに設定され、図8に示す様に軸中央部に左右対称に3個所設けてある。第二軸規制部306−3は、ガイド軸303の中央部から少し離れて軸方向に左右対称に配されており、第一規制部306−2と同様にガイド軸303に対し同心円弧状のリブである。大径部303−2との隙間を0.15mmに設定され、左右それぞれ二か所、合計四か所に配置されている。更に、ガイド軸303の中央部から更に離れて軸方向に向かって左右対称に軸端近傍に配された左右二箇所の第二規制部306−3同様の形状のリブである第三軸規制部306−4は、大径部303−2との隙間を0.20mmに設定され配置されている。
図11(a)及び図11(b)は、図10(b)において、F−Fにて示された位置での断面図であり、それぞれインクリボン114に掛かる張力が小さい状態と、大きい状態を説明のため誇張した図である。また、図11(c)はガイド軸近傍の簡略図である。図11(c)は説明のため、カセットケース304を省略し、第一規制部306−2、第二規制部306−3、第三規制部306−4を点線にて示している。図11(c)に示される様に、インクリボン114はガイド軸303の大径部303−2の長さと略等しい幅である。即ち、インクリボン114に掛かる張力が大きい場合には、ガイド軸303の大径部303−2略全域にて荷重を受ける事となる。
図6(b)又は図7(b)に示す様な、インクリボン114に発生する張力が小さい様な状況では、ガイド軸303や、ガイド軸受部304−3を撓ませる力がほとんど発生しない。そのため、図11(a)に示される様に、ガイド軸303に最も近接している第一規制部306−2においても隙間300−1が確保され、大きな搬送抵抗を生じる事が無い。また、ガイド軸303は直線状の円筒形状を保っているためインクリボン114の幅方向全面をガイドする事が可能であり、安定的に搬送する事が可能となっている。
図6(a)に示す様な、インクリボン114に大きな張力が発生する場合、図10(b)に示される矢印B方向に、ガイド軸303を移動させるような力が加わる。
図11(b)に示される様に、ガイド軸303に押され、軸受部304−3が撓むと、ガイド軸303の位置が移動することにより、まずは、最も少ない隙間300−1を持って配置された第一規制部306−2とガイド軸303が接触を開始する。更に軸受部304−3が撓むと、略全長でインクリボン114に押されているガイド軸303は更に移動して第二規制部306−3、第三規制部306−4に当接する。この場合に、大径部303−2で荷重を受ける事になるが、インクリボン114が印刷装置100により与えられている搬送力は大きな物で在るため、インクリボン114が搬送出来ないようなことは発生しない。また、第一規制部306−2がガイド軸303の中央部を軸支し、隙間300−1よりも大きい隙間を持っていた、即ち低いリブに軸両端を軸支されているため、ガイド軸303はインクリボン114に対し凸形状となる。このため、インクリボン114は軸方向に沿って中央部より両端に向かって延ばされながら搬送される事になり、印画による熱ダメージで発生したシワや撚れ等は延ばされて行く事になる。
また、ガイド軸受部304−3は、弾性部材で形成されているため、インクリボン114に押し込まれて図11(b)の位置に変形した場合には、元の形状に戻る方向に力が働く。インクリボン114の張力が小さくなると、ガイド軸受部304−3の元の形状に戻るための復元力により、ガイド軸303が付勢されて、ガイド軸303は規制部306から離間する方向に移動に移動し、図11(a)の状態に戻る。
この様に、弾性変形可能な軸受によりガイド軸303を回動自在に支持する事により、ガイド軸303に生じる応力が小さい場合は軸受部でのみの回動を可能とし、インクリボン114の全面を安定的にガイドする事が可能である。また、ガイド軸303に生じる応力が大きい場合には、ガイド軸303が移動して軸受部が規制部306−2〜306−4に当接する。規制部は、、軸中央部側に位置する規制部のほうが、軸端部側に位置する規制部よりも高いリブとしたため、ガイド軸303は、インクリボン114側に向かって凸形状になり、シワや撚れを防止し、安定的に搬送する事が可能となる。
本実施形態では、ガイド軸303をインクリボンカセット300に設けたが、同様な構成でプリンタ本体に設けても良い。
また、本実施形態では、軸受部を片持ち梁形状の弾性変形可能な構成とすることでガイド軸303を移動可能な構成としたが、他の付勢手段を用いてガイド軸が移動するように構成してもよい。
図12は、ガイド軸部規制部306−5を説明するための、ガイド軸303近傍のインクカセット300の構成を示した図である。
図12(a)は、カセットケース304を省略した、巻取り側ケース306、巻取り軸301、インクリボン114、ガイド軸303をカセットケース304側から見た図である。ガイド軸303は、インクリボン114で隠れた状態になっているため、点線で示している。また、第一規制部306−2、第二規制部306−3、第三規制部306−4、ガイド軸部規制部306−5の近傍の巻取り側ケース306の部分についても、ガイド軸303やインクリボン114で隠れた状態となっているため、点線で示している。
これまで説明したように、ガイド軸303に加わる円周方向の力は、インクリボン114の張力によるものである。張力は基本的にはインクリボン114を巻上げる力と、巻上げに抗する力の差より最大値が決定される。
例えば、インクリボン114の裏面とサーマルヘッド201の表面間の動摩擦係数が高い場合、インクリボン114に発生する張力は大きくなる。
また、インクリボン114と印刷用紙113はサーマルヘッド201とプラテンローラ203間に狭持搬送されながらサーマルヘッド201により与えられた熱によりインクリボン114上に塗布された染料が印刷用紙113に転写される。その後インクリボン114と印刷用紙113は剥離板215により引き剥がされる。濃度の高い画像を得るためには、サーマルヘッド201よりインクリボン114に与えられる熱量が大きくなる。このとき、インクリボン114と印刷用紙113の貼り付き力が大きくなり、剥離板215により引き剥がされる際の力が大きくなる。即ち、濃度の高い画像を印刷した場合、インクリボン114と印刷用紙113の貼り付き力が大きくなり、インクリボン114の搬送抵抗が大きくなる。
図12(a)で示されるように、第三規制部306−4はインクリボン114の全幅よりも若干内側に配置されている。また、ガイド軸303の大径部303−2は、インクリボン114の全幅よりも若干大きい長さとされている。これは、インクリボン114やガイド軸303等インクリボンカセット300を構成する各部材の製造上の公差を考慮しつつ、最小限の大きさに抑え、小型化を図るためである。
図12(b)は、図12(a)での7a―7aで示される位置における断面図である。説明のため、インクリボンカセット300の使用開始直後のインクリボン114−1及び使用終了直前のインクリボン114−2の状態をそれぞれ示している。さらに、ガイド軸303がインクリボン114の張力により移動する前のガイド軸303については、ガイド軸部規制部306−5で隠れている部分も含めて実線で示している。また、移動した後のガイド軸303については、ガイド軸部規制部306−5で隠れていない部分も含めて点線で示している。図11(b)で示される様に、インクリボン114の張力によりガイド軸303が移動してガイド軸受部304−3が撓むが、前述した様に、印刷する画像によってもインクリボン114に発生する張力が増減する。即ち、高諧調部の面積が大きい画像ほどインクリボン114と印刷用紙113を引き剥がすために必要な力が大きくなり、その結果、インクリボン114に発生する張力は大きくなる。非常に大きな力がガイド軸303に加わると、第三規制部306−4よりも外側、つまりガイド軸303の両端部である小径部303−1に近い部位のガイド軸303は更に移動することになる。
ガイド軸303が一定以上移動すると、小径部303−1はガイド軸規制部306−5に当節して位置が規制される。ガイド軸規制部306−5は巻取り側ケース306に一体的に形成されており、小径部303−1の図中右方向への移動を規制する306−15と下方向への移動を規制する306−25と、両者を円弧形状で繋げた306−35で構成される。ここで、円弧形状306−35の内径は、軸小径部303−1の外径よりも大きい値としている。本実施形態では、小径部303−1の外径は1.20mmであり、円弧形状306−35の内径は1.50mmとしている。ガイド軸303の下流では、図6(a)、図7(a)で示されるように、インクリボン114が巻取り軸301に巻き取られて、巻き取り軸301側のインクリボンの軸径が変化することにより、インクリボン114の搬送経路が、114−1から114−2へ変化する。そのため、インクリボン114の張力によりガイド軸303に加わる力のベクトルは図12(b)中の矢印FRから矢印PRで示される方向へ変化する。
矢印FRで示されるベクトルは、インクリボンカセットの使用開始直後、即ち巻取り軸301に巻き回されているインクリボン114がほとんど無く、巻取り軸301側の軸径が小さい状態において、ガイド軸303に加わる力の方向である。インクリボン114の張力によりガイド軸303を移動させる方向に力が一定以上に加わると、前述した様にガイド軸303はガイド軸規制部306−5に当節し位置が規制される。
矢印PRで示されるベクトルは、インクリボンカセットの使用終期、つまり、巻取り軸301に巻き回されているインクリボン114が多く、巻取り軸301側の軸径が大きい状態において、ガイド軸303に加わる力の方向である。巻取り軸301に巻き上げられたインクリボン114の巻取り側軸301側の軸径が大きくなっていくと、インクリボン114に加わる張力は小さくなっていく。しかし、前述したような画像の特性等の要因により、大きな力がガイド軸303に矢印PRで示される方向へ加わることもある。インクリボンカセットの使用終期であっても、大きな力がガイド軸に303加わった場合は、ガイド軸303が移動して、ガイド軸303の小径部303−1がガイド軸規制部306−5に当節し、ガイド軸303の位置が規制される。
インクリボン114から加わる力が、矢印FR方向でも、矢印PR方向でも、ガイド軸303の小径部303−1は、ガイド軸303移動後にガイド軸規制部306−5の円弧形状306−35で当接するように円弧形状306−35の大きさが設定されている。つまり、円弧形状306−35は、矢印FR及び矢印PRで示されるベクトルが内包される大きさとする。
このような円弧形状306−35を設定したのは、ガイド軸303が、軸規制部306−5の一点当接するようにするためである。例えば、矢印FRの方向へ力が働いている場合、ガイド軸303と軸規制部306−5の当節は円弧形状306−35上の一点7bで当節する。これは、ガイド軸303の小径部303−1の外径よりも、軸規制部306−5の円弧形状306−35の内径のほうが大きいためである。
つまり、インクリボンカセット使用中は、インクリボン114から加わる力が、矢印FRから矢印PR方向に変化し、方向が変わっても、矢印FRから矢印PR方向の間はガイド軸303の小径部303−1は必ず円弧形状306−35において当接する。そのため、インクリボンカセット使用中は、巻取り軸301側の軸径が変わっても、ガイド軸303の小径部303−1は、ガイド軸規制部306−5の一点と当接する。
ガイド軸規制部306−5が円弧形状306−35を有さない、巻取り軸301側の軸径が変わった場合に円弧形状306−35と当接しない、または、ガイド軸303の小径部303−1の外径よりも、ガイド軸規制部306−5の円弧形状306−35の内径のほうが小さくした場合、小径部303−1とガイド軸規制部306−5は同時に二点で当接してしまうことになる。二点で接すると、ガイド軸303の回動抵抗が、ガイド軸規制部306−5との当接状態によって変化し、インクリボン114の安定的な搬送ができない恐れがある。それに対し、本実施形態のガイド軸規制部306−5は、小径部303−1と一点で当接するため、ガイド軸303の回動抵抗を安定させ、インクリボン114を安定的に搬送することができる。
本実施形態では、ガイド軸規制部306−5を巻取り側ケース306に設けたが、同様な構成でプリンタ本体や、カセットケース304に設けても良い。
また、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。