以下、本発明を図面に基づいて詳しく説明する。
[実施例1]
(1)画像形成装置例
図1は本発明に係る画像形成装置の一例の概略構成を表わす横断面図である。この画像形成装置は、電子写真式のフルカラーレーザープリンタであり、記録材搬送方向と直交する方向において記録材搬送路の中央搬送基準CL(図2(b)参照)に記録材Pの中央を一致させて記録材Pの搬送を行うようになっている。
本実施例に示す画像形成装置Aは、記録紙等の記録材Pに未定着トナー像(画像)を形成する画像形成部Bと、記録材Pに未定着トナー像を加熱定着する定着部(以下、定着装置という)Cと、給紙駆動部Dを有している。更に、画像形成部B、定着部C及び給紙駆動部Dなどを制御する制御部Eを有している。
画像形成部Bには、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の色トナー像を形成する4つのプロセスカートリッジ5Y,5M,5C,5Kが並列に配設してある。
各プロセスカートリッジ5Y,5M,5C,5Kは、それぞれ、円筒状の電子写真感光体(像担持体(以下、感光ドラムと記す))1Y,1M,1C,1Kと、帯電ローラ(帯電手段)2Y,2M,2C,2Kを有している。更に、現像装置(現像手段)3Y,3M,3C,3Kと、ドラム用クリーニング装置(クリーニング手段)4Y,4M,4C,4Kを有などを有している。
各現像装置3Y,3M,3C,3Kは、それぞれ、トナー容器3Y1,3M1,3C1,3K1と、現像ローラ3Y2,3M2,3C2,3K2などを備えている。トナー容器3Y1にはイエロー色のトナー(現像剤)が収納されている。トナー容器3M1にはマゼンタ色のトナー(現像剤)が収納されている。トナー容器3C1にはシアン色のトナー(現像剤)が収納されている。トナー容器3K1にはブラック色のトナー(現像剤)が収納されている。ドラム用クリーニング装置4Y,4M,4C,4Kは、それぞれ、廃トナー容器4Y1,4M1,4C1,4K1と、クリーニングブレード4Y2,4M2,4C2,4K2などを備えている。
そして、感光ドラム1Y,1M,1C,1Kと、帯電ローラ2Y,2M,2C,2Kと、現像装置3Y,3M,3C,3Kと、クリーニング装置4Y,4M,4C,4Kは、カートリッジフレーム(不図示)に収納されて一体的に結合されている。
各プロセスカートリッジ5Y,5M,5C,5Kは、画像形成装置の筐体を構成する画像形成装置本体Fに取り外し可能に装着されている。
各プロセスカートリッジ5Y,5M,5C,5Kの下方には、それぞれ、各プロセスカートリッジ5Y,5M,5C,5Kと対向するようにレーザー走査露光光学系(露光手段)7Y,7M,7C,7Kが配設されている。
各プロセスカートリッジ5Y,5M,5C,5Kの上方には、プロセスカートリッジ5Y,5M,5C,5Kの並列方向に沿ってエンドレスの中間転写ベルト(第2の像担持体)8が配設してある。この中間転写ベルト8は、各プロセスカートリッジ5Y,5M,5C,5Kの感光ドラム1Y,1M,1C,1Kの外周面(表面)と接触するように駆動ローラ9と、二次転写対向ローラ10に掛け回されている。
中間転写ベルト8の内側には、中間転写ベルト8を介して各感光ドラム1Y,1M,1C,1Kと対向するように1次転写ローラ(転写手段)6Y,6M,6C,6Kが配設されている。中間転写ベルト8の外側には、中間転写ベルト8を介して二次転写対向ローラ10と対向するように2次転写ローラ(第2の転写手段)11が配設されている。また、中間転写ベルト8の外側には、中間転写ベルト8を介して駆動ローラ9と対向するようにベルト用クリーニング装置(第2のクリーニング手段)22を有している。このベルト用クリーニング装置22は、クリーニングブレード21と、廃トナー容器22などを備えている。
搬送駆動部Dは、A6サイズ紙(小サイズ記録材)又はLTRサイズ紙(大サイズ記録材)などの記録材Pを積載収納させた給紙カセット13内から記録材Pを給紙する給紙ローラ14と、給紙された記録材Pを搬送する搬送ローラ対15などを有している。
制御部Eは、画像形成装置A全体の制御を行うための電気回路が搭載された制御基板25に搭載されている。この制御部EはCPU(制御手段)26とROM26aやRAM26bなどのメモリとからなり、メモリには画像形成制御シーケンス、画像形成に必要な各種テーブルなどが記憶されている。CPU26は、画像形成制御シーケンスに基づいて、画像形成部B、定着装置及び給紙駆動部Dの動作に関する制御など、画像形成装置A全体の動作を一括して制御するようになっている。
符号27はスイッチング電源である。スイッチング電源27は、電源ケーブル28から入力される交流電圧を、画像形成装置Aで使用する直流電圧に変換し、制御基板25など画像形成装置本体Eに供給している。
本実施例の画像形成装置Aは、画像形成装置AのCPU26がホストコンピューターなどの外部装置(不図示)からのプリント指令を入力すると画像形成制御シーケンスを実行する。
画像形成制御シーケンスが実行されると、各プロセスカートリッジ5Y,5M,5C,5Kの感光ドラム1Y,1M,1C,1Kと、中間転写ベルト8が所定の周速度(プロセススピード)で矢印方向に回転される。
まず、プロセスカートリッジ5Yにおいて、感光ドラム1Yの外周面(表面)は帯電ローラ2Yにより所定の極性・電位に一様に帯電される(帯電工程)。そしてこの感光ドラム1Y表面の帯電面に対して、レーザー走査露光光学系7Yが外部装置から入力した画像情報(画像データ)に基づきレーザ光で走査露光することによって、感光ドラム表面の帯電面が露光される。これにより、感光ドラム1Y表面の帯電面に画像情報に応じた静電潜像が形成される(露光工程)。この潜像は、トナー容器3Y1に収納されているイエロートナーを現像ローラ3Y2により付着させることによって顕像化されイエロートナー像となる。これにより、感光ドラム1Y表面にイエロートナー像が形成される(現像工程)。
プロセスカートリッジ5M,5C,5Kにおいても同様の帯電工程、露光工程、現像工程の画像形成プロセスが行なわれる。これにより、プロセスカートリッジ5Mの感光ドラム1M表面にマゼンタトナー像が形成される。プロセスカートリッジ5Cの感光ドラム1C表面にシアントナー像が形成される。プロセスカートリッジ5Kの感光ドラム1K表面にブラックトナー像が形成される。
感光ドラム1Y表面のイエロートナー像は感光ドラム1Yの回転によって感光ドラム1Y表面と中間転写ベルト8とで形成された1次転写ニップ部に送られる。感光ドラム1M表面のマゼンタトナー像は感光ドラム1Mの回転によって感光ドラム1M表面と中間転写ベルト8とで形成された1次転写ニップ部に送られる。感光ドラム1C表面のシアントナー像は感光ドラム1Cの回転によって感光ドラム1C表面と中間転写ベルト8とで形成された1次転写ニップ部に送られる。感光ドラム1K表面のブラックトナー像は感光ドラム1Kの回転によって感光ドラム1K表面と中間転写ベルト8とで形成された1次転写ニップ部に送られる。
各感光ドラム1Y,1M,1C,1K表面に形成された各色のトナー像は、各感光ドラム1Y,1M,1C,1Kと対応する1次転写ローラ6Y,6M,6C,6Kにより中間転写ベルト8の外周面(表面)に順次重ねた状態に転写される(1次転写工程)。これにより、中間転写ベルト8表面に4色のフルカラーの未定着トナー像(画像)が担持される。
トナー像転写後の感光ドラム1Y,1M,1C,1K表面はクリーニングブレード4Y2,4M2,4C2,4K2により転写残トナーが除去されてクリーニングされ次の画像形成に供される。クリーニングブレード4Y2,4M2,4C2,4K2により除去された転写残トナーは廃トナー容器4Y1,4M1,4C1,4K1に収納される。
中間転写ベルト8表面のフルカラーの未定着トナー像は中間転写ベルト8の回転によって中間転写ベルト8表面と2次転写ローラ11の外周面(表面)とで形成された2次転写ニップ部に送られる。
一方、給紙カセット13内から給紙ローラ14により給紙された記録材Pは搬送ローラ対15によりレジストローラ対16に搬送される。その記録材Pはレジストローラ対16により所定のタイミングで2次転写ニップ部に搬送される。そしてその記録材Pは2次転写ニップ部で中間転写ベルト8表面と2次転写ローラ11表面と挟持されその状態に搬送(挟持搬送)される。この搬送過程において中間転写ベルト8表面のフルカラーの未定着トナー像が2次転写ローラ11により記録材P上に転写される(2次転写工程)。これにより、中間転写ベルト8表面に4色のフルカラーの未定着トナー像(画像)が担持される。
フルカラーの未定着トナー像転写後の中間転写ベルト8表面はクリーニングブレード21により転写残トナーが除去されてクリーニングされ次の画像形成に供される。クリーニングブレード21により除去された転写残トナーは廃トナー容器22に収納される。
フルカラーの未定着トナー像を担持した記録材Pは、定着装置Bの後述する定着ニップ部(ニップ部)Nに導入される。そして定着ニップ部Nを通過することにより未定着トナー像は熱と圧力を受けて記録材Pの面上に加熱定着される。この記録材Pは定着装置Bから排出ローラ20へと搬送され、排出ローラ20によって排出トレイ24に排出される。
(2)定着部(定着装置)
図2は定着装置の一例の概略構成を表わす横断面図である。この定着装置はフィルム加熱方式の定着装置である。
以下の説明において、定着装置及びこの定着装置を構成する部材に関し、長手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向である。短手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と平行な方向である。幅とは短手方向の寸法である。記録材に関し、長手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と平行な方向である。短手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向である。長さとは長手方向の寸法である。
(2)定着部(定着装置)C
以下の説明において、定着装置及び定着装置を構成する部材に関し、長手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向をいう。短手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と平行な方向をいう。長手幅とは長手方向の寸法をいう。短手幅とは短手方向の寸法をいう。記録材に関し、幅方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向をいう。記録材幅とは幅方向の寸法をいう。
図2において、(a)は本実施例に係る定着装置Cの概略構成を表わす横断面図、(b)は本実施例に係る定着装置Cの定着ヒータ30の導電部35a,35bの長手幅と記録材Pの短手幅を表わす説明図である。図2の(a)に示す定着装置Cはフィルム加熱方式の定着装置である。
本実施例に示す定着装置Cは、加熱源としてのセラミックヒータ(加熱部材)30と、ヒータホルダ(支持部材)29と、筒状の定着フィルム(定着回転体)18と、加圧ローラ(バックアップ部材)18などを有している。セラミックヒータ30と、ヒータホルダ29と、定着フィルム18と、加圧ローラ18は何れも長手方向に長い部材である。
本実施例の定着装置Cは、セラミックヒータ30を横断面半円弧状樋型の耐熱性・剛性を有するヒータホルダ29の短手方向上面中央に支持させ、このヒータホルダ29に定着フィルム18をルーズに外嵌させる構成としてある。ヒータホルダ29の長手方向両端部は定着装置Cの定着フレーム17の長手方向両側の側板(不図示)に支持されている。
定着フィルム18を介してセラミックヒータ30と対向するように配置された加圧ローラ19は、芯金31の外周面上にシリコーンゴム等の耐熱性弾性層32を有するものである。芯金31の長手方向両端部は定着フレーム17の長手方向両側の側板に軸受を介して回転可能に支持されている。そして芯金31の長手方向両端部の軸受を加圧バネ(不図示)などの加圧部材により加圧して加圧ローラ19を定着フィルム18を挟んでセラミックヒータ30に押圧させている。これにより加圧ローラ19の耐熱性弾性層32を弾性変形させ、加圧ローラ19の外周面(表面)と定着フィルム123の外周面(表面)とで所定の短手幅の定着ニップ部(ニップ部)Nを形成している。
図2の(b)に示すように、セラミックヒータ30は、窒化アルミニウム(AlN)からなる細長いヒータ基板(以下、基板と記す)34を有している。この基板34の裏面(定着ニップ部Nとは反対側の面)には、基板34の長手方向に沿って長手幅の異なる2つ(複数)の通電発熱抵抗体(以下、発熱体と記す)35a,35bがスクリーン印刷などにより形成してある。この2つの発熱体35a,35bのうち、発熱体35aは大サイズ記録材用であり、発熱体35bは小サイズ記録材用である。更に、基板34の裏面には、導電部36a,36b,36cと、共通電極37aと、給電電極37b,37cがパターン印刷により形成してある。
大サイズ記録材用の発熱体35aは基板34の記録材搬送方向上流側に形成され、小サイズ記録材用の発熱体35bは基板34の記録材搬送方向下流側に形成されている。発熱体35aの長手幅はLTRサイズ紙の紙幅(215.9mm)よりも長い225mmとしてある。一方、発熱体35bの長手幅はA6サイズ紙の紙幅(105mm)よりも長い115mmとしてある。そして2つの発熱体35a,35bは、それぞれ、中央搬送基準CLに対し左右対称である。
発熱体35aは、基板34の長手方向一端部に設けられた給電電極37bと導電部36bを介して電気的に接続され、基板34の長手方向他端部に設けられた共通電極37aと導電部36aを介して電気的に接続されている。一方、発熱体35bは、基板34の長手方向一端部に設けられた給電電極37cと導電部36cを介して電気的に接続され、基板34の長手方向他端部に設けられた共通電極37aと導電部36aを介して電気的に接続されている。
そしてこの発熱体35a,35bと、導電部36a,36b,36cと、共通電極37aと、給電電極37b,37cは、基板34bの裏面に設けられたガラス保護膜(電気絶縁層)28によって被覆されている。
セラミックヒータ30の長手方向中央付近には、サーミスタ(温度検知手段)33が配設されている。このサーミスタ33はヒータホルダ29に支持されている。
(3)定着装置Cの動作
本実施例の定着装置Cは、プリント指令に応じて加圧ローラ19が駆動モータ(不図示)により矢印の反時計方向に所定の周速度で回転される。この加圧ローラ19の回転は定着ニップ部Nにおいて加圧ローラ19表面と定着フィルム18表面との摩擦力により定着フィルム18表面に伝わる。これにより定着フィルム18は定着フィルム18の内周面(内面)がセラミックヒータ30の基板34の表面に接触しながら加圧ローラ19の回転に追従してヒータホルダ29の外回りを矢印方向に回転する。
画像形成部Bで小サイズの記録材(A6サイズ紙)Pに未定着トナー画像が形成された場合、この記録材Pのプリント指令に応じて後述する駆動回路100(図3参照)のCPU26はリレー43をセラミックヒータ30の発熱体35b側に切り替える。これにより交流電源41から発熱体35bに通電がなされ、発熱体35bが急速に昇温してセラミックヒータ30は定着フィルム18を加熱する。また、CPU26は、サーミスタ33から出力された温度情報(出力信号)を取り込み、その温度情報に基づいてトライアック44の駆動を制御してセラミックヒータ30の温度を所定の定着温度(目標温度)に維持する。
駆動モータを回転し、かつ発熱体35bに通電してセラミックヒータ30の温度を所定の定着温度に維持した状態において、未定着トナー画像Tを担持した小サイズの記録材Pがトナー画像担持面を下向きにして定着ニップ部Nに通紙(導入)される。この記録材Pは定着ニップ部Nで定着フィルム18表面と加圧ローラ19表面とで挟持されその状態に搬送(挟持搬送)される。この搬送過程において記録材P上のトナー画像Tは定着フィルム18により加熱されて溶融し定着ニップ部Nのニップ圧を受けて記録材上に定着される。トナー画像Tが定着された記録材Pは定着フィルム18表面から分離して定着ニップ部Nより排出される。
画像形成部Bで大サイズの記録材(LTRサイズ紙)Pに未定着トナー画像が形成された場合、この記録材Pのプリント指令に応じて駆動回路100のCPU26はリレー43をセラミックヒータ30の発熱体35a側に切り替える。これにより交流電源41から発熱体35aに通電がなされ、発熱体35aが急速に昇温してセラミックヒータ30は定着フィルム18を加熱する。また、CPU26は、サーミスタ33から出力された温度情報(出力信号)を取り込み、その温度情報に基づいてトライアック44の駆動を制御してセラミックヒータ30の温度を所定の定着温度(目標温度)に維持する。
駆動モータを回転し、かつ発熱体35aに通電してセラミックヒータ30の温度を所定の定着温度に維持した状態において、未定着トナー画像Tを担持した大サイズの記録材Pがトナー画像担持面を下向きにして定着ニップ部Nに通紙(導入)される。この記録材Pは定着ニップ部Nで定着フィルム18表面と加圧ローラ19表面とで挟持されその状態に搬送(挟持搬送)される。この搬送過程において記録材P上のトナー画像Tは定着フィルム18により加熱されて溶融し定着ニップ部Nのニップ圧を受けて大サイズ記録材上に定着される。トナー画像Tが定着された記録材Pは定着フィルム18表面から分離して定着ニップ部Nより排出される。
(4)セラミックヒータ30の駆動回路100の説明
図3はセラミックヒータ30の駆動回路100の回路構成を表わす図である。
図3において、交流電源41に対し、リレー42,43と、セラミックヒータ30と、トライアック(通電手段)44と、サーモスイッチ(通電遮断手段)40が電気的に直列に接続してある。
リレー42は、必要な時にセラミックヒータ30への通電ラインの遮断を行うものであり、CPU26が出力するリレー駆動信号を基に、抵抗45とトランジスタ46などからなるリレー駆動回路rd1によって駆動されている。セラミックヒータ30への通電は、トライアック44によりオン/オフされている。CPU26は、ヒータ駆動信号を抵抗47,48とトランジスタ49などからなるトライアック駆動回路(保持手段)tdへ出力することにより、フォトトライアックカプラ50のLEDを点灯させている。
フォトトライアックカプラ50のLEDが点灯すると、フォトトライアックカプラ50がオンとなり、トライアック44のバイアス抵抗51,52によりトライアック44をオンさせている。ここで、53はトライアック44のサージ保護用の部品である。
リレー43は、セラミックヒータ30への通電ライン切り替え用のリレーであり、抵抗55とトランジスタ56などからなるリレー駆動回路rd2によって駆動されている。セラミックヒータ30には、前述の通り、LTRサイズ紙用の発熱体35aと、A6サイズ紙の記録材幅よりも長い小サイズ紙用の発熱体35bが備えられている。CPU26はプリント条件によってリレー43をオン/オフして何れか一方の発熱体35a,35bに通電するかを切り替えるようになっている。
セラミックヒータ30の温度は、サーミスタ33を用いて監視している。サーミスタ33と抵抗54により分圧されたアナログ電圧値の温度情報をCPU26に入力し、CPU26は入力された温度情報を基にトライアック44の駆動を制御し、セラミックヒータ30の温度が所定の定着温度となるようにしている。
サーモスイッチ40は、交流電源41と発熱体35a及び発熱体35bとを結ぶ電力供給ラインに直列に接続された通電遮断素子である。このサーモスイッチ40は、セラミックヒータ30の異常昇温(発熱体35aの異常昇温、又は発熱体35bの異常昇温)を感知してサーモスイッチ40の作動温度に達した場合に発熱体35a又は発熱体35bへの電力供給ラインを遮断するようになっている。本実施例におけるサーモスイッチ40の通電遮断温度は250℃である。
図3の交流電源41の両端(Live、Neutral)には、ゼロクロス検出部(第1のパルス出力手段)57が接続されている。図4は、ゼロクロス検出部57の回路図である。
ゼロクロス検出部57は、交流電源電圧のゼロクロスポイントに応じてゼロクロス信号を出力するように構成してある。図4において、交流電源41のNeutral又はLiveから供給された交流電圧は、それぞれ、整流ダイオード60又は整流ダイオード61によって、半波整流される。また、電流制限用の抵抗62,63,66によって定められる電流が、トランジスタ67のベースに供給される。ここで、コンデンサ65は、外部からのノイズ除去のために挿入されている。
図4においては、1次と2次間の沿面距離を確保するために、フォトカプラ69が用いられている。また、1次側の電源電圧Vd(図3では不図示)が、電流制限用の抵抗68を介して、フォトカプラ79の発光側に供給されている。更に、2次側の電源電圧Vcc(図3では不図示)が電流制限用の抵抗70を介して、フォトカプラ69の出力トランジスタ72のコレクタに供給されている。フォトカプラ69の出力は、抵抗71を介し、ゼロクロス信号としてCPU26に送られる。
図4において、Live点の交流電源電圧が、トランジスタ67のゼロクロス閾値電圧(以下、閾値電圧と記す)よりも高くなると、トランジスタ67及びフォトカプラ69がオンし、ゼロクロス信号は“L”レベル(ローレベル)となる。一方、Live点の交流電源電圧が、トランジスタ67の閾値電圧よりも低くなると、ゼロクロス信号は“H”レベル(ハイレベル)となる。従って、ゼロクロス信号は、“H”及び“L”を出力するパルス信号(第1のパルス信号)となる。
トライアック44の駆動制御は、CPU26がゼロクロス信号を基にトライアック44に流れる交流電流を位相制御することによって、セラミックヒータ30に供給する電力を制御している。位相制御とは、交流電源波形におけるゼロクロスポイント(振幅がゼロになる点)から通電するタイミングまでの時間を変化させることで位相制御する方式として一般的に知られている。
図5(a)は、ヒータ電流と、ゼロクロス信号と、ヒータ駆動信号のタイミングを示す波形図である。
交流電源41からトライアック44に供給される交流電流波形の1周期において、CPU26は、ゼロクロス信号の立上り/立下りエッジを基準とし、所定時間t1遅延したタイミングでヒータ駆動信号を“H”レベルで出力する。ヒータ駆動信号が“H”レベルになると、トライアック44に電流が流れる。CPU26の出力するヒータ駆動信号は、再び“L”レベルとなるものの、トライアック44のオン状態は、交流電流波形のゼロクロスポイントまで維持される。これによりトライアック44は、ヒータ駆動信号の立上がりからゼロクロスポイントまでの期間中、セラミックヒータ30に対しヒータ電流を通電する。
図5(b)は、CPU26がヒータ駆動信号を出力するタイミングt1と、セラミックヒータ30に供給される電力の関係を示すテーブルである。本実施例では、ヒータ駆動信号がオンとなるタイミングt1を図5(b)に示すテーブルに従って設定し、セラミックヒータ30に所望の電力を供給することができる。また、図5(b)のテーブルは、交流電源41の周波数を50Hzとし、また、全ての位相において通電した場合の電力を100%としている。
本実施例では、図3に示すトランジスタ56がオンとなっている状態がLTRサイズ用の発熱体35a側にリレー43の接点が接続されているものとする。トランジスタ56がオンとなっている場合、トランジスタ56のコレクタ電圧(“L”レベル)はコンパレータ80で基準となる電圧(Vm/2)と比較され、コンパレータ80は“L”レベルを出力する。一方、トランジスタ56がオフとなり、発熱体35b側にリレー43の接点が接続されている場合、コンパレータ80は“H”レベルを出力する。
また、コンパレータ80の出力(以下、リレー切替信号)及び、ゼロクロス信号はロジック回路部(第2のパルス出力手段)81に入力される。ロジック回路部81の内部の回路ブロックを図6に示す。
ロジック回路部81には、外部から供給された外部クロック90をもとに内部クロックを生成する内部クロック生成部91と、入力されるゼロクロス信号のエッジ検出部92と、内部クロックをカウントするカウンタ部93が備えられている。更に、カウンタ部93でカウントした値を格納する格納レジスタ94と、ゼロクロス信号のエッジを基準として所定幅のパルス信号を生成するマスク信号生成部95が備えられている。そしてマスク信号生成部95が生成した内部のマスク信号は、リレー切替信号と共にAND回路96に入力される。そして、AND回路96の出力がロジック回路部81の出力するマスク信号(第2のパルス信号)となる。
本実施例におけるロジック回路部81は、リレー切替信号が“H”の時に、マスク信号を出力する。つまり、ロジック回路部81は、ゼロクロス信号が入力され、ゼロクロス信号の電圧レベルが切り替わるタイミング毎に所定パルス幅のマスク信号を出力する。このマスク信号は、電流制限抵抗82を介し、トランジスタ83をオン/オフする。
トランジスタ83のコレクタは、ヒータ駆動信号のラインと接続されている。その為、トランジスタ83がオンの期間中は、CPU26が行うヒータ駆動信号の出力レベル(“H”/“L”)に関わらず、トライアック駆動用のトランジスタ49はオンできない。その結果、強制的にセラミックヒータ30(発熱体35b)への通電がオフされることになる。つまり、トライアック駆動回路tdはマスク信号に基づいてトライアック44を非通電側に保持する。
図7は、ヒータ電流と、ゼロクロス信号と、リレー切替信号と、ヒータ駆動信号と、ロジック回路部81が出力するマスク信号のタイミングを示す波形図である。
本実施例では、発熱体35bの抵抗値を実際に必要としている抵抗値よりも小さくしている。その為、[発明が解決しようとする課題]の項で説明したように、抵抗体ペーストの抵抗率が想定した値よりも小さくなってしまった場合、その発熱体35bが供給できる最大熱量は、想定していた最大熱量よりも大きくなってしまう。本実施例では、発熱体35bの最大発熱量は、想定していた最大発熱量の4/3倍として設定している。また、交流電源41の周波数は50Hzとし、マスク信号は、図5(b)より、セラミックヒータ30(発熱体35b)への供給電力が75%となるマスク信号幅t2(=3.68[msec])としている。
ここで、リレー43の接点が、発熱体35b側に接続されている状態(リレー切替信号が“H”)において、何かしらの原因により、CPU26がヒータ駆動信号を“H”レベルで出力し続けた場合を想定する。この場合においても、図7(a)に示すように、セラミックヒータ30(発熱体35b)への供給電力は、75%までに制限している。
逆に、通常動作時において、発熱体35bに通電する際は、本来、3/4倍の電力しか必要としていない前提を考慮すると、75%以上の電力を供給しなくても温調制御は成り立つ。よって、図7(b)に示すように、ヒータ駆動信号はマスク信号よりも小電力側の位相角で出力されるため、事実上、マスク信号は無視することができる。当然の事ながら、発熱体35aに通電する際は、リレー切替信号が“L”レベルとなる為、図7(c)に示すようにロジック回路部81はマスク信号も出力しない通常制御となる。
ここで、改めて電力を低減したことによる過昇温対策への効果を説明する。図8はセラミックヒータ30の温度と、サーモスイッチ40の作動温度の関係を示す図である。一般的に、サーモスイッチ40の実際の作動温度は、熱容量に起因して、周囲の温度上昇速度によって変化する特徴を有している。直線Aは、セラミックヒータ30の温度変化が急峻である場合の、サーモスイッチ40の実際の作動温度を示している。直線Aの場合に、サーモスイッチ40は、実際には、250℃よりもΔTa高い温度において作動し、通電経路を遮断する。
一方、直線Bは、セラミックヒータ30の温度変化が緩やかである場合のサーモスイッチ40の実際の作動温度を示している。直線Bの場合に、サーモスイッチ40は、実際には、250℃よりもΔTb(ΔTb<ΔTa)高い温度において作動し、通電経路を遮断する。つまり、サーモスイッチ40の動作は、作動温度に到達するまでのセラミックヒータ30の温度上昇が緩やかな程、より250℃に近い温度(作動温度)で動作する。
本実施例の効果としては、発熱体35bへの印加電力を制限(75%)することによって、図8の直線Aの状態を直線Bの状態に変化させることができる為、サーモスイッチ40の動作による過昇温防止効果を高めることが可能となる。
以上説明したように、小サイズ紙専用の発熱体パターン35bを設けた際、発熱体ペーストの製造限界により、抵抗率が想定よりも小さくなった場合においても、図8で示したように、セラミックヒータ30の昇温速度を緩やかにすることが可能となる。その為、過昇温防止対策に必要以上のコストをかける必要がなくなる。
更に、前述の通り、小サイズ記録材のプリントにおいて、正常にプリント動作している間は、マスク信号の影響を受けない。つまり、位相制御による温度リップルを抑えた最適なプリント温調制御を行うことができる。
以上説明したように、本実施例の画像形成装置は、セラミックヒータ30の駆動回路100において、発熱体35bへ通電する際、ゼロクロス信号の電圧レベルが切り替わるタイミング毎に所定パルス幅のマスク信号を出力する。そしてこのマスク信号によって、発熱体35bへの通電を行うトライアック44のトライアック駆動回路tdを強制的にオフする。その為、発熱体35bに対して所定Duty以上では通電させないようにしながら、位相制御を実施する。これにより、通常時の温度制御性(温度リップル)を低下させることなく、且つ、発熱体35bが過昇温状態に陥った異常時の昇温速度が緩やかになる為、温調制御の最適化と過昇温防止対策を低コストで両立することができる。
[実施例2]
図9は本実施例に係る画像形成装置Aのセラミックヒータ30の駆動回路100におけるヒータ電流と、ゼロクロス信号と、リレー切替信号と、マスク信号と、ヒータ駆動信号のタイミングを示す波形図である。(a)はマスク信号のマスク信号幅が同じ場合のタイミング波形図である。(b)はマスク信号のマスク信号幅が異なる場合のタイミング波形図である。
実施例1のセラミックヒータ30の駆動回路100では、ゼロクロス信号の“H”及び“L”に関わらず、マスク信号の幅は固定値t2[msec]としていた。しかしながら、ゼロクロス検出部57から出力されるゼロクロス信号は、交流電源電圧が0[V]となるポイントではなく、ある閾値電圧に対して交流電源電圧がクロスしたポイントとなる。つまり、図9(a)に示すようにゼロクロス信号の“L”レベル幅Ta[msec]と“H”レベル幅Tb[msec]はTa≠Tbである。
従って、ゼロクロス信号を基準に出力されるマスク信号のマスク信号幅を同じ(t2[msec])にした場合、発熱体35bが過昇温状態に陥った異常時に発熱体35bに通電し得る電力Dutyも、交流電源電圧の上半波と下半波で異なる。つまり、DutyA≠DutyBである。以下、電力DutyをマスクDutyと記す。ゼロクロス検出部57の回路構成のバラツキも含めると、目標とするマスクDutyと実際のマスクDutyにズレが生じる。
これに対し、本実施例の画像形成装置Aでは、図9(b)のように、ゼロクロス信号の“H”/“L”周期に対して、マスク信号のマスク信号幅を別々に設定する。本実施例の画像形成装置は、この点を除いて実施例1の画像形成装置と同じ構成としてある。
図9(b)においては、交流電源電圧波形の上半波に対するマスク信号幅をt2[msec]とした場合、交流電源電圧波形の下半波に対するマスク信号幅をt3(>t2)[msec]としている。その結果として、マスクDutyも交流電源電圧波形の上半波と下半波で同じにしている(DutyA=DutyB)。
つまり、マスク信号のパルス幅は、ゼロクロス信号が“H”レベルとなる期間に対応したマスク信号幅t2(第1のパルス幅)と、ゼロクロス信号が“L”レベルとなる期間に対応したマスク信号幅t3(第2のパルス幅)とでそれぞれ異なっている。このマスク信号において、マスク信号幅t2はゼロクロス信号の直前の“H”レベルのパルス幅に基づいて決定され、マスク信号幅t3はゼロクロス信号の直前の“L”レベルのパルス幅に基づいて決定される。
この場合のマスク信号幅t2、t3の設定は、ゼロクロス検出部57の回路構成及び目標とするマスクDutyの値に応じて適宜設定すればよい(マスク信号幅の設定については、後述の実施例3で説明する)。
以上のように、交流電源電圧波形の上半波と下半波のそれぞれに対して、マスク信号幅を設定することで、ゼロクロス検出部57の影響を受けることなく、マスクDutyを所望の値にすることが可能となる。
以上説明したように、本実施例の画像形成装置は、発熱体35bへ通電する際、ゼロクロス信号の電圧レベルが切り替わるタイミング毎にパルス信号幅の異なるマスク信号を出力する。そしてこのマスク信号によって、発熱体35bへの供給電力の制御を行うトライアック44のトライアック駆動回路tdを強制的にオフする。その為、発熱体35bに対して所定Duty以上では通電させないようにしながら、位相制御を実施する。よって、実施例1と同様な作用効果を得ることができる。
[実施例3]
図10は本実施例の画像形成装置Aのセラミックヒータ30の駆動回路100におけるマスク信号幅の算出方法の説明図である。
実施例2のセラミックヒータ30駆動回路100では、ゼロクロス検出部57の出力が、交流電源電圧波形の上半波と下半波とで異なることによる対策方法について説明した。
本実施例の画像形成装置Aでは、実施例2の上記対策方法に加えて、交流電源電圧の周波数そのものが変動した場合の対策方法について図10を用いて説明する。
図6において、ロジック回路部81は、エッジ検出部92により、交流電源電圧波形の上半波(ゼロクロス信号の立下りエッジ〜立上りエッジまで)の間にカウンタ部93がカウントした値を格納レジスタ94Aに格納する。また、交流電源電圧波形の下半波(ゼロクロス信号の立上りエッジ〜立下りエッジまで)の間にカウンタ部93がカウントした値を格納レジスタ94Bにそれぞれ格納している。
図10に示したように、マスク信号生成部95は、例えばN番目の交流電源電圧波形の上半波に相当するカウント値をAn、下半波に相当するカウント値をBnとする。そしてこのマスク信号生成部95は、それらの値を用いて(N+1)番目の交流電源電圧波形の上半波及び下半波に対応したマスク信号幅をそれぞれ算出する。
本実施例では、マスクDutyを75%とし、交流電源電圧の周波数50Hz(半波周期=10[msec])とする。ここで、図5(b)のテーブルより、電力Dutyを75%にする為にCPU26がヒータ駆動信号を出力するタイミングt1は3.68[msec]である。よって、マスク信号生成部95は、検出したゼロクロス信号幅(格納レジスタ94(94A、94B)の値)に対し、3.68/10倍のカウンタ値となるマスク信号幅t2及びt3となる内部のマスク信号を生成して出力すればよい。
以上のように、N番目の交流電源電圧の上半波と下半波のそれぞれに対し、マスク信号幅を算出する。そしてその算出した結果を(N+1)番目の交流電源電圧の上半波と下半波のマスク信号幅とすることで、交流電源電圧の変動の影響を受けることなく、マスクDutyを所望の値にすることが可能となる。
以上説明したように、本実施例の画像形成装置は、交流電源電圧の周波数そのものが変動した場合でも、発熱体35bへ通電する際、ゼロクロス信号の電圧レベルが切り替わるタイミング毎にパルス信号幅の異なるマスク信号を出力する。そしてこのマスク信号によって、発熱体35bへの供給電力の制御を行うトライアック44のトライアック駆動回路tdを強制的にオフする。その為、発熱体35bに対して所定Duty以上では通電させないようにしながら、位相制御を実施する。よって、実施例1と同様な作用効果を得ることができる。
[実施例4]
図11は本実施例に係る画像形成装置のセラミックヒータの駆動回路における交流電源電圧と、ゼロクロス信号と、マスク信号のタイミングを示す波形図であり、交流電源波形とゼロクロス閾値電圧の関係を表わした図である。図12は図11に示す交流電源電圧の上半波と下半波に相当するマスク信号の立上げ/立下げを行う際の内部クロック生成部のカウンタ値の関係を表わす波形図である。
図3に示すトライアック44は、トライアック44の両端に所定以上の電圧V1がかかり、その両端にかかった電圧をトライアック44のバイアス抵抗51,52によって分圧した電圧値が、トライアック44の動作電圧以上にならないと動作しない。つまり、ゼロクロス検出部57によるゼロクロス閾値電圧としてのゼロクロス検出電圧をV2とすると、V1>V2の関係を満たすゼロクロス検出部57の閾値電圧の設定を行う必要がある。
ここで、実施例1乃至3においては、V1>V2の関係が成り立つことが条件となる。しかしながら、V1>V2の関係を満たす為には、ゼロクロス検出部57の回路バラツキなどを含めたゼロクロス検出部57の設計が困難な場合もある。
そこで、本実施例では、V1>V2の関係が成り立たない場合においても、マスク信号による過昇温防止を確実に行うための対策を行う。
図11において、斜線で示した領域A及び領域Bは、実際のゼロクロスポイントとゼロクロス閾値電圧との間に位置する領域である。
ここで、領域Aに着目すると、領域Aは、交流電源電圧の上半波の開始ポイントである。しかしながら図11をみると、この領域Aではマスク信号が“H”となっていない為、通電を禁止することができないことを意味する。つまり、この領域Aでヒータ駆動信号が“H”となった場合、交流電源電圧の上半波ではほぼ100%の電力が発熱体35bに供給される。一方、領域Bでは、マスク信号が“H”となっている為、領域Aのような問題はない。
本実施例では、図11に示す領域Aでも、マスク信号が有効(通電を禁止)できる構成として、実施例3に対してマスク信号を“H”にするタイミングをロジック回路部81の内部クロック生成部91(図6参照)でM[CLK]に相当する時間だけ前倒しする。
図12は、交流電源電圧の上半波及び下半波に相当するマスク信号の立上げ/立下げを行う際の内部クロック生成部91のカウンタ値の関係を具体的に示したものである。マスク信号の立下げに関しては、実施例3で説明しているため、説明は省略する。
図12において「立上げB」と記載しているマスク信号の立上げタイミングは、ゼロクロス信号のN番目の立上りエッジ〜立下りエッジまでをカウントするカウンタ(Bn)を利用する。ロジック回路部81は、ゼロクロス信号の(N−1)番目の立上りエッジ〜立下りエッジまでのカウント値(B(n−1))と、上記マスク信号の前倒しする時間に相当するクロック数Mより以下の計算を行う。
Bn=B(n−1)−M ・・・(1)
そして、N番目の立上りエッジ〜立下りエッジまでをカウントするカウンタ(Bn)が、式(1)を満たしたタイミングで、ロジック回路部81はマスク信号を“H”にする。
図12において「立上げA」と記載しているマスク信号の立上げタイミングは、ゼロクロス信号のN番目の立下りエッジ〜立上りエッジまでをカウントするカウンタ(An)を利用する。ロジック回路部81は、ゼロクロス信号の(N−1)番目の立下りエッジ〜立上りエッジまでのカウント値(A(n−1))と、上記マスク信号の前倒しする時間に相当するクロック数Mより以下の計算を行う。
An=A(n−1)−M ・・・(2)
そして、N番目の立下りエッジ〜立上りエッジまでをカウントするカウンタ(An)が、式(2)を満たしたタイミングで、ロジック回路部81はマスク信号を“H”にする。
マスク信号を“H”にするタイミングの前倒し量は、ゼロクロス検出部57の回路バラツキなどをふまえて、マスク信号が図11の領域Aにも有効になるように設定すればよい。
本実施例では、駆動回路100の共通化という観点より、マスク信号の前倒しをゼロクロス信号の立下り/立上りの両方で実施している。ただし、本実施例のゼロクロス検出部57であれば、前述の通り、図11の領域Bは、既にマスク信号が有効となっている為、必ずしもマスク信号を前倒しする必要はない。
以上説明したように、マスク信号を“H”にするタイミングを前倒しすることによって、ゼロクロス検出部57の回路バラツキに対しても、マスク信号を有効(通電を禁止)させることが可能となる。
以上説明したように、本実施例の画像形成装置は、V1>V2の関係が成り立たない場合でも、発熱体35bへ通電する際、ゼロクロス信号の電圧レベルが切り替わるタイミング毎にパルス信号幅の異なるマスク信号を出力する。そしてこのマスク信号によって、発熱体35bへの供給電力の制御を行うトライアック44のトライアック駆動回路tdを強制的にオフする。その為、発熱体35bに対して所定Duty以上では通電させないようにしながら、位相制御を実施する。よって、実施例1と同様な作用効果を得ることができる。