JP6172651B2 - 電動把持装置 - Google Patents
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Description
前記前腕上部の筋肉の収縮および弛緩に伴って現れる皮膚表面の変化を非接触で検出するセンサと、
当該検出された皮膚表面の変化に応じ、先端部が互いに接触する閉状態と放射状に開いた開状態とを取ることが可能な複数の指部材、および、通電によって駆動される駆動源の駆動に応じ、前記複数の指部材を前記開状態および前記閉状態となるように変位させる開閉機構を有するハンドユニットと、
開放部を介して対向し、前記前腕上部を受容するための一対の基端側部分、開放部を介して対向し、前記ハンドユニットを支持するための一対の末端側部分、および、基端側の位置から末端側に向けて連続した開放部を有するインタフェースユニットと、
を具え、
前記一対の末端側部分は、前記一対の基端側部分に対し、装着対象となる前腕の回内方向に所定角度シフトした位置関係をもって形成されていることを特徴とする。
(1−1)全体構成
図1は、本発明電動把持装置の一実施形態としての電動義手の外観構成例を示す斜視図である。同図に示す電動義手は、インタフェースユニット100と、ハンドユニット200と、ハンドユニット200をインタフェースユニット100に支持するための支持ユニット500とを具える。インタフェースユニット100は、使用者の左前腕の切断端とハンドユニット200とを連結するべく機能する。ハンドユニット200は、複数(本例では3本)の指部材を備えて把持機能を果たす把持機能部300と、把持機能部300を駆動するためのモータおよび制御部等を内蔵した駆動部400とを有する。支持ユニット500はハンドユニット200を駆動部400の部位で支持する支持部501と、インタフェースユニット100の末端側(肩から遠位にある側)に回動軸541を中心として回動可能に支持される被支持部511とを有する。
図3は本実施形態に係るインタフェースユニット100を示す斜視図である。本例のインタフェースユニット100は、例えば3Dプリンタを用いて造形されたABS樹脂製の部材であり、両端が開放された中空の略円筒形状を基本形状とし、基端側において切断端を受容し、末端側において支持ユニット500を支持する。基端側の開放端には、対向する一対の略U字形状の切り欠き部121Oおよび121Iが末端方向に向かって形成されている。一方、末端側の開放端には、対向する一対の略U字形状の切り欠き部131Oおよび131Iが、それぞれ切り欠き部121Oおよび121Iに対し、長手軸100Lに関して周方向に所定角度シフトした位置関係をもって、基端側に向かって形成されている。従って、インタフェースユニット100は、対向する一対の基端側部分123Rおよび123Uと、これらに対しそれぞれ周方向にシフトした位置関係をもって対向する一対の末端側部分133Rおよび133Uとを有することになる。当該シフトの方向は、図3における反時計方向C、すなわち使用者から見て時計(回内)方向であり、シフトの角度は0度超90度未満の適切な角度とされる。また、切り欠き部121Oと131Oとは、それぞれのU字形状の底部において、開放部101を介して接続されており、従ってインタフェースユニット100は基端側の開放端部から末端側の開放端部まで、切り欠き部121O、開放部101および切り欠き部131Oで形成される1つの連続した開放部を有することになる。
上述のように、使用者から見て時計方向に0度超90度未満の適切な角度シフトした末端側部分133Rおよび133Uを備えることで、支持ユニット500ないしハンドユニット200は、当該角度だけ回内した位置に支持されることになる。なお、その角度は適宜定めることができるが、人間が通常の生活において机上の物を把持したり離したりする動作を行うことを考慮すれば、好ましくは15度〜75度、より好ましくは30度〜60度、さらに好ましくは40度〜60度、最も好ましくは45度程度とされる。
図4はハンドユニットの把持機能部の正面図であり、同図を用いて本実施形態に係る指部材の配置を説明する。本例の把持機能部300は3本の指部材311、312および313を有し、これらはそれぞれ、健常者の手の第1指(拇指)、第2指(示指)および第3指(中指)に相当する位置関係をもって駆動部400の末端部に配置されている。すなわち、図のようにこれらの指部材を開いた状態で正面から見たとき、指部材311がY字形の幹部分に、指部材312および313がY字形の左右の枝部分に対応し、従って指部材311と312との間の間隔および指部材311と313との間の間隔は、指部材312と313との間の間隔よりも大となり、健常者が第1指から第3指を使用して物を把持しようとするに近い状態を実現している。また、本例のような指部材の配置を採用することによって、物体を把持する際の物体のエントリ方向が3つ確保されるため、腕の回内外が困難な場合や、把持機能部300のみでは行い得ない動作が必要となる場合でも、肩や腰などの動きを利用した最小限の代償動作で補完させることが可能となる。さらに、3本の指部材を有することで、従来の能動フックのピンチ動作に加えて握力による把持動作が可能となった点も大きな特長である。なお、これらの指部材を互いに区別する必要のないときは、符号310をもって包括的に参照する。
図7〜図9は、指部材ないし把持機能部の開閉機構および開閉動作を説明するために、ハンドユニットの一部を透視した状態で下方から示した図であり、図7は指部材ないし把持機能部が閉じた状態、図9は開いた状態、図8はそれらの中間的な状態を示している。
図10(a)および(b)は、それぞれ、皮膚表面形状の変化を検出するセンサユニットの外観構成を示す底面図および検出原理を説明するための模式的側面図である。本実施形態においては、筋収縮に伴う皮膚表面形状の変化(筋弛緩時からの皮膚表面の高さの変化)を非接触で検出するために反射型の光距離センサ470を用いている。すなわち、皮膚表面形状の変化を光距離センサ470と皮膚表面11との距離(以下、センサ・皮膚間距離と称する)の変化として検出する構成としている。光距離センサ470を支持する部材474はスポンジ等軟質な材料で形成されたスペーサ472に担持され、スペーサ472を皮膚表面11に配置することで光距離センサ470が皮膚表面11から距離を置いた位置に保持される。
(2−1)制御系の構成
図11は本実施形態に係るハンドユニット200の制御系の構成例を示す。図において、符号450で示すものは制御部であり、CPU451、ROM453、RAM455、EEPROM457およびI/O459が実装されている。CPU451はROM453に格納された制御手順に対応するプログラムに従って各部を制御する。ROM453には、図12について後述する制御手順に対応するプログラムのほか、所要の固定データが格納される。RAM455はデータの一時格納領域およびワーク領域として用いられる記憶領域を有する。EEPROM457には制御の過程で使用するパラメータ、例えばリニアモータ401を駆動するためのパラメータを格納することができる。光距離センサ470の検出値(アナログ量)は、A/D変換器461にてデジタル量に変換され、入出力ユニットであるI/O459を介してCPU451に提供される。また、CPU451が生成し、I/O459が出力するリニアモータ401の駆動信号はモータドライバ463を介してリニアモータ401に供給される。
図12は以上の構成を用いたハンドユニット200の制御手順の一例を示す。本手順は、使用者が本実施形態に係る電動義手を装着し、例えば操作・表示部480に設けられたオン/オフスイッチを用いてパワーオン操作を行うことで起動されるものとすることができる。電源としては例えばリチウムイオン電池を用いることができ、パワーオン操作に応じて所要の各部に電力が供給される。
本実施形態によれば、本研究では能動義手のような高い作業性と筋電義手のような高い操作性を両立できる。また、汎用性に富み、種々の寸法を有し得る切断端に柔軟に対応して容易に装着が可能であり、しかも傷や炎症の発生を抑制することが可能なインタフェースを構成したことから、能動義手や筋電義手で採用されているソケットに比較して拘束感がなくしかも軽量であり、さらにモータやセンサとして比較的廉価な構成部品を使用可能であることとも相俟って、電動義手の低廉化を実現することができる。さらに、筋電センサによって表面筋電位を感知することを前提とする筋電義手に比較し、非接触のセンサによって皮膚表面の形状変化を検出することで、前腕切断者の皮膚の状態の影響を受けにくく、安定した検出ないしは動作が可能となる。
上述した実施形態では、本発明を電動義手に適用した場合について説明した。しかし本発明は、前腕が欠損した使用者だけでなく、健常者のための自助具に対しても適用が可能である。ここで言う健常者とは、前腕は存在しているものの脳梗塞や神経損傷等によって前腕ないし手指の機能が不全となっている者を言う。
なお、本発明は、上述した実施形態に限られることなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で適宜の変形や変更が可能である。
121I、121O、131I、131O インタフェースユニットの切り欠き部
123R、123U インタフェースユニットの基端側部分
133R、133U、133R’、133U’ インタフェースユニットの末端側部分
200 ハンドユニット
300 把持機能部
310、311、312、313 指部材
321 指部材の先端側延在部
323 指部材の基端側延在部
327 トーションばね
400 駆動部
401 リニアモータ
403 可動子(ロッド)
411 開閉駆動部材
413 規制溝
450 制御部
470 光距離センサ
472 スペーサ
480 操作・表示部
500 支持ユニット
541 回動軸
Claims (5)
- 前腕上部に装着可能な電動把持装置であって、
前記前腕上部の筋肉の収縮および弛緩に伴って現れる皮膚表面の変化を非接触で検出するセンサと、
当該検出された皮膚表面の変化に応じ、先端部が互いに接触する閉状態と放射状に開いた開状態とを取ることが可能な複数の指部材、および、通電によって駆動される駆動源の駆動に応じ、前記複数の指部材を前記開状態および前記閉状態となるように変位させる開閉機構を有するハンドユニットと、
開放部を介して対向し、前記前腕上部を受容するための一対の基端側部分、開放部を介して対向し、前記ハンドユニットを支持するための一対の末端側部分、および、基端側の位置から末端側に向けて連続した開放部を有するインタフェースユニットと、
を具え、
前記一対の末端側部分は、前記一対の基端側部分に対し、装着対象となる前腕の回内方向に所定角度シフトした位置関係をもって形成されていることを特徴とする電動把持装置。 - 前記インタフェースユニットは、両端が開放された中空の略円筒形状を基本形状とする部材であって、基端側の開放端に対向する一対の略U字形状の切り欠き部を有することで前記一対の基端側部分が形成され、末端側の開放端に対向する一対の略U字形状の切り欠き部を有することで前記一対の基端側部分が形成されるとともに、前記基端側の一対の切り欠き部の一方および前記末端側の一対の切り欠き部の一方が接続されていることで、前記連続した開放部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の電動把持装置。
- 前腕欠損者のための義手として機能することを特徴とする請求項1または2に記載の電動把持装置。
- 手指の機能不全者の自助具として機能し、前記末端側部分が前記手指を避けるよう屈曲して形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電動把持装置。
- 前記ハンドユニットを支持する支持部と、前記一対の末端側部分間に挿通される回動軸の周りに回動可能且つ回動位置で係止可能に支持される被支持部と、を有する支持ユニットを具えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の電動把持装置。
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