JP6167707B2 - 射出成形装置およびガラス繊維強化樹脂の製造方法 - Google Patents

射出成形装置およびガラス繊維強化樹脂の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、射出成形装置およびガラス繊維強化樹脂の製造方法に関する。
ガラス繊維が含まれた溶融樹脂を射出成形することによってガラス繊維強化樹脂を製造する技術が開発されている。
特許文献1は、二軸押出機を用いてガラス繊維のロービング剤を熱可塑性樹脂に混練した後に混練物を射出シリンダに供給して射出成形することによってガラス繊維強化樹脂を製造する射出成形装置を開示する。この射出成形装置によれば、二軸押出機内で、ロービング剤から得られるストランド状のガラス繊維と熱可塑性樹脂との混練物に、アスペクト比が1〜5、平均粒径が10μm以下の粒状固形物が添加される。粒状固形物が潤滑剤の役割を果たすことにより二軸押出機内及び射出シリンダ内でのガラス繊維の過剰な折損が抑制される。
特開2009−242616号公報
(発明が解決しようとする課題)
図6は、ガラス繊維強化樹脂中に含まれるガラス繊維の繊維長とガラス繊維強化樹脂の材料特性(剛性、強度、耐衝撃性)との関係を表すグラフである。図6において、横軸がガラス繊維の繊維長、縦軸がガラス繊維強化樹脂の材料特性の大きさを表す。図6に示すように、ガラス繊維の繊維長が長くなればなるほど、ガラス繊維強化樹脂の剛性(modulus)、強度(strength)、耐衝撃性(impact resistance)といった材料特性が向上することがわかる。
ガラス繊維が含まれる樹脂を、射出シリンダ内で通常の圧縮比(圧縮比=2.0〜4.0)を有するフルフライトスクリューを用いて混練した場合、スクリューの回転によりガラス繊維に作用するせん断力でガラス繊維が過剰に折損される。例えば、射出シリンダに供給される前のガラス繊維の長さ(繊維長)が10mmであった場合、射出される樹脂中に含まれるガラス繊維の繊維長は1〜2mmである。上記特許文献1に記載のような潤滑性固形粒子の添加によって、ガラス繊維の折損の度合いは多少は改善されるが、スクリューの回転によるせん断力がガラス繊維の折損に及ぼす影響が多大であるため、上記したような改善策を施しても、繊維長がせいぜい2〜3mm程度に延びるにすぎない。このため成形されたガラス繊維強化樹脂の強度等の材料特性を十分に向上させることができなかった。
本発明は、射出成形時に樹脂中に含まれるガラス繊維の過剰な折損を抑え、これにより十分に材料特性が向上したガラス繊維強化樹脂を成形することができる射出成形装置およびそのようなガラス繊維強化樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明は、基端側から先端側にかけて、第1ゾーン、第2ゾーンおよび第3ゾーンが形成されており、第1ゾーンの圧縮比が2.0以上であり、第2ゾーンおよび第3ゾーンの圧縮比が1.0以上2.0未満である射出スクリューと、この射出スクリューを収容する射出シリンダと、射出スクリューが射出シリンダ内で回転することにより、無極性の樹脂が第1ゾーン、第2ゾーンおよび第3ゾーンを通過するように、無極性の樹脂を射出シリンダ内に供給する第1供給手段と、射出スクリューが射出シリンダ内で回転することにより、ストランド状のガラス繊維束が第1ゾーンを通過せずに第2ゾーンおよび第3ゾーンを通過するように、ストランド状のガラス繊維束を射出シリンダ内に供給する第2供給手段と、射出スクリューが射出シリンダ内で回転することにより、無極性の樹脂とストランド状のガラス繊維束を構成するガラス繊維とを接着させるためのバインダ剤が第1ゾーンおよび第2ゾーンを通過せずに第3ゾーンを通過するように、バインダ剤を前記射出シリンダ内に供給する第3供給手段と、を備える射出成形装置を提供する。
この場合において、第1供給手段は、無極性の樹脂を射出シリンダ内に供給するために射出シリンダに開口した第1開口部を有する第1ホッパであり、第1開口部は、射出シリンダの壁面であってそこから射出シリンダ内に供給された無極性の樹脂が第1ゾーン、第2ゾーンおよび第3ゾーンを通過するような位置に開口しているのがよい。また、第2供給手段は、ストランド状のガラス繊維束を射出シリンダ内に供給するために射出シリンダに開口した第2開口部を有する第2ホッパであり、第2開口部は、射出シリンダの壁面であってそこから射出シリンダ内に供給されたストランド状のガラス繊維束が第1ゾーンを通過せずに第2ゾーンおよび第3ゾーンを通過するような位置に開口しているのがよい。また、第3供給手段は、バインダ剤を射出シリンダ内に供給するために射出シリンダに開口した第3開口部を有する第3ホッパであり、第3開口部は、射出シリンダの壁面であってそこから射出シリンダ内に供給されたバインダ剤が第1ゾーンおよび第2ゾーンを通過せずに第3ゾーンを通過するような位置に開口しているのがよい。
また、本発明は、基端側から先端側にかけて、第1ゾーン、第2ゾーンおよび第3ゾーンが形成されており、第1ゾーンの圧縮比が2.0以上であり、第2ゾーンおよび第3ゾーンの圧縮比が1.0以上2.0未満である射出スクリューと、射出スクリューを収容する射出シリンダとを備える射出成形装置を用いたガラス繊維強化樹脂の製造方法であり、射出スクリューを射出シリンダ内で回転させることにより、第1ゾーンにて無極性の樹脂を混練および溶融させるとともに第2ゾーンに送り出す第1工程と、第2ゾーンにて無極性の樹脂にストランド状のガラス繊維束を混入させるとともに、射出スクリューを射出シリンダ内で回転させることにより、第2ゾーンにてストランド状のガラス繊維束を解束させ、解束されたガラス繊維を無極性の樹脂中に分散させてガラス繊維含有溶融樹脂を形成し、形成したガラス繊維含有溶融樹脂を第3ゾーンに送り出す第2工程と、第3ゾーンにて、無極性の樹脂とガラス繊維とを接着させるためのバインダ剤をガラス繊維含有溶融樹脂に混入させるとともに、射出スクリューを射出シリンダ内で回転させることにより、第3ゾーンにて、バインダ剤を介して無極性の樹脂とガラス繊維とを接着させて、ガラス繊維接着溶融樹脂を形成する第3工程と、ガラス繊維接着溶融樹脂を金型内に射出してガラス繊維強化樹脂を形成する第4工程と、を含む、ガラス繊維強化樹脂の製造方法を提供する。
本発明によれば、無極性の樹脂が射出スクリューの第1ゾーン、第2ゾーン、第3ゾーンを通過する。第1ゾーンの圧縮比は2.0以上であるため、第1ゾーンを通過する無極性の樹脂は射出スクリューが射出シリンダ内で回転することによって十分に混練されるとともに溶融される。こうして第1ゾーンにて混練および溶融された無極性の樹脂が第2ゾーンに送り出される(第1工程)。
また、ストランド状のガラス繊維束が射出スクリューの第1ゾーンを通過せずに第2ゾーンおよび第3ゾーンを通過する。したがって、ストランド状のガラス繊維束は、射出スクリューが射出シリンダ内で回転することによって第2ゾーンにて解束される。また、解束されたガラス繊維が第1ゾーンから送り込まれてきた無極性の樹脂に混入し、無極性の樹脂中に均一に分散する。ここで、第2ゾーンの圧縮比は1.0以上であり且つ2.0未満である。つまり第2ゾーンの圧縮比は低い。換言すれば、第2ゾーンは低圧縮スクリューにより構成される。したがって、この第2ゾーンでガラス繊維が無極性の樹脂に混練される際には、射出スクリューの回転によってストランド状のガラス繊維束が解束されて解束されたガラス繊維が無極性の樹脂中に均一に分散されるものの、圧縮比が低いためにガラス繊維の折損は極力防止される。このようにして、第2ゾーンで折損が極力防止されたガラス繊維が均一に分散した無極性の樹脂(ガラス繊維含有溶融樹脂)が形成される。そして、形成されたガラス繊維含有溶融樹脂が第3ゾーンに送り出される(第2工程)。
また、無極性の樹脂とガラス繊維とを接着させるためのバインダ剤が射出スクリューの第1ゾーンおよび第2ゾーンを通過せずに第3ゾーンを通過する。したがって、バインダ剤は、射出スクリューが射出シリンダ内で回転することによって、第3ゾーンにて、ガラス繊維含有溶融樹脂に混練される。このバインダ剤の添加によって、無極性の樹脂とガラス繊維が強固に接着される。ここで、第3ゾーンの圧縮比は1.0以上であり且つ2.0未満である。つまり第3ゾーンの圧縮比は低く、第3ゾーンは低圧縮スクリューにより構成される。したがって、この第3ゾーンでバインダ剤がガラス繊維含有溶融樹脂に混練される際には、射出スクリューの回転によってバインダ剤が均一に分散されるものの、圧縮比が低いためにガラス繊維の折損が極力防止される。このようにして、第3ゾーンで無極性の樹脂にガラス繊維が接着したガラス繊維接着溶融樹脂が形成される(第3工程)。
そして、第3ゾーンで形成されたガラス繊維接着溶融樹脂が金型内に射出されることによって、ガラス繊維強化樹脂が形成される(第4工程)。
したがって、第1ゾーン、第2ゾーン、及び第3ゾーンを経て射出成形されたガラス繊維強化樹脂中にはガラス繊維が均一に分散するとともに、均一に分散したガラス繊維がバインダ剤により樹脂に強固に接着している。さらに、ガラス繊維強化樹脂中のガラス繊維は第1ゾーンを通過せずに、低圧縮比の第2ゾーン及び第3ゾーンを通過するため、射出スクリューの回転によるガラス繊維の折損が極力防止される。そのため本発明に係る射出成形装置を用いて形成されるガラス繊維強化樹脂中のガラス繊維の繊維長は、従来のガラス繊維強化樹脂中に含まれるガラス繊維の繊維長よりも長いことが期待される。よって、十分に強度等の材料特性が向上したガラス繊維強化樹脂を製造することができる。
第1ゾーンの圧縮比は上述のように2.0以上である。圧縮比が2.0未満であると、樹脂が十分に混練および溶融されない。また、第2ゾーンおよび第3ゾーンの圧縮比は上述のように1.0以上2.0未満である。第2ゾーンおよび第3ゾーンの圧縮比が2.0以上であると、射出スクリューの回転によりガラス繊維が過剰に折損するためガラス繊維強化樹脂の材料特性が悪化する。また、第2ゾーンを形成するスクリューの溝深さは、深いほど良い。
第2ゾーンのL/Dは、第3ゾーンのL/Dよりも大きくされているのがよい。これによれば、第2ゾーンのL/Dを比較的長く取ることにより、溶融樹脂中にガラス繊維を十分均一に分散させることができる。また、射出スクリュー全体のL/Dは20〜30であるのがよい。
また、バインダ剤は、無極性の樹脂とガラス繊維とを接着させる機能を有する。この場合、ストランド状のガラス繊維束はガラス繊維およびガラス繊維に結合したカップリング剤を含み、バインダ剤は、カップリング剤に結合する官能基を有し、且つ無極性の樹脂と相性の良い材料で形成されているのがよい。好ましくは、バインダ剤は、無極性の樹脂と同じ材料で形成され、且つ、カップリング剤に結合する官能基を持つ化合物で変性されている変性樹脂であるのがよい。
この場合、無極性の樹脂はポリプロピレン樹脂であり、ストランド状のガラス繊維束に含まれるカップリング剤がアミノシランカップリング剤であり、バインダ剤が無水マレイン酸変性ポリプロピレンであるのがよい。これによれば、バインダ剤がアミノシランカップリング剤およびポリプロピレン樹脂に結合することによって、確実にガラス繊維と樹脂(ポリプロピレン樹脂)とを結合することができる。
本発明の実施形態に係る射出成形装置を示す概略図である。 射出スクリューの一例を示す側面図である。 無水マレイン酸変性PPをバインダ剤として、ガラス繊維がポリプロピレン樹脂に接着されるメカニズムを示す図である。 本実施形態の射出成形装置を用いてガラス繊維強化樹脂成形品を製造した場合における成形品内のガラス繊維の繊維長の平均値と、従来技術に係る射出成形装置を用いてガラス繊維強化樹脂成形品を製造した場合における成形品内のガラス繊維の繊維長の平均値とを比較したグラフである。 分散性評価試験結果を示すグラフである。 樹脂中に含まれる強化繊維の繊維長と、その強化繊維が含まれる樹脂成形材料の材料特性(剛性、強度、耐衝撃性)との関係を表すグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る射出成形装置を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態に係る射出成形装置1は、射出スクリュー10と、射出シリンダ20と、第1ホッパ31と、第2ホッパ32と、第3ホッパ33とを備える。なお、図1において、型締装置、射出シリンダ20の加熱ヒータ、動作制御装置、温度制御装置等の付帯設備の構成は公知であるので省略されている。
射出スクリュー10は、軸状に形成され、その基端(図1において右端)から先端(図1において左端)にかけてスクリュー羽が形成されている。射出スクリュー10の基端に駆動ユニット41が接続される。駆動ユニット41は例えば電動モータを備え、射出スクリュー10を軸周り回転させるための駆動力を発生する。
射出シリンダ20は所定の軸方向に向かって延びるように構成され、その内部には円柱状の内部空間が形成される。射出シリンダ20の内部空間内に射出スクリュー10が射出シリンダ20と同軸的に収容される。射出シリンダ20の先端(図1において左端)にはノズル21が取付けられていて、このノズル21から射出シリンダ20と射出スクリュー10との間の溶融樹脂が金型MOに向けて射出される。射出された溶融樹脂は金型MO内のキャビティに充填される。なお、射出シリンダ20の外周には図示しない加熱ヒータが取付けられていて、この加熱ヒータを作動させて射出シリンダ20を加熱させることにより、射出シリンダ20内の溶融樹脂の温度を所望の温度に設定することができる。
図2は、射出シリンダ20内の射出スクリュー10の一例を示す側面図である。図2に示すように、射出スクリュー10は、その基端側(下流側)から先端側(上流側)にかけて、フィードゾーン11、コンプレッションゾーン12(第1ゾーン)、分散ゾーン13(第2ゾーン)、接着ゾーン14(第3ゾーン)が形成されている。本実施形態において、フィードゾーン11の圧縮比は1.0である。コンプレッションゾーン12の圧縮比は2.0以上であるのがよい。本実施形態において、コンプレッションゾーン12の圧縮比は3.0である。分散ゾーン13の圧縮比は1.0以上であり且つ2.0未満であるのがよい。本実施形態において分散ゾーン13の圧縮比は1.2である。接着ゾーン14の圧縮比も1.0以上であり且つ2.0未満であるのがよい。本実施形態において接着ゾーン14の圧縮比は1.2である。すなわち、分散ゾーン13および接着ゾーン14は、圧縮比が2.0未満の低圧縮スクリューである。
また、フィードゾーン11のL/Dは3であり、コンプレッションゾーン12のL/Dは8であり、分散ゾーン13のL/Dは5であり、接着ゾーン14のL/Dは4である。なお、射出スクリュー10の先端にミキシングエレメントを取り付けても良い。使用可能なミキシングエレメントとして、マドック型、ピン型、ダルメージ型等のミキシングエレメントが挙げられる。このうち、ピン型のミキシングエレメントが、ガラス繊維を折損させないという面から好ましい。また、射出スクリュー10全体で見た場合におけるL/Dは20である。
図1に示すように、第1ホッパ31、第2ホッパ32および第3ホッパ33が射出シリンダ20の上部に取り付けられる。第1ホッパ31には、粒状であり、無極性の樹脂であるポリプロピレン樹脂Rが外部から投入される。また、第1ホッパ31は、投入されたポリプロピレン樹脂Rを射出シリンダ20内に供給するために射出シリンダ20に開口した第1開口部31aを有する。第1開口部31aは、射出スクリュー10のフィードゾーン11と射出シリンダ20の内壁とにより囲まれた空間に開口する。つまり、第1開口部31aは、射出シリンダ20の壁面であって射出スクリュー10のフィードゾーン11に面する位置に形成される。したがって、第1開口部31aを通って射出シリンダ内に供給されたポリプロピレン樹脂Rは射出スクリュー10のフィードゾーン11に落下する。フィードゾーン11に落下したポリプロピレン樹脂Rは、射出シリンダ20内で射出スクリュー10が回転することにより、フィードゾーン11、コンプレッションゾーン12、分散ゾーン13、および接着ゾーン14をこの順に通過する。
第2ホッパ32には(チョップド)ストランド状のガラス繊維束Sが外部から投入される。ここで、「ストランド状のガラス繊維束」とは、非常に微小な径(例えば7μm)及び所定の長さ(例えば10mm)の複数本のガラス繊維が収束剤により結合されることによって形成されたガラス繊維の束である。本実施形態では、約3000本〜24000本のガラス繊維が収束剤により結合されて束ねられたストランド状のガラス繊維束Sを用いた。このガラス繊維束Sの幅は約10mm程度であり、各ガラス繊維の繊維長は約10mm程度である。また、ガラス繊維束Sは、複数のガラス繊維と、複数のガラス繊維を束ねるための収束剤と、各ガラス繊維の表面に結合したアミノシランカップリング剤を有する。アミノシランカップリング剤は、ガラス繊維と熱可塑性樹脂との接着を良好にするために、ガラス繊維の表面に結合されている。アミノシランカップリング剤は、ガラス繊維をポリプロピレン樹脂に接着させる際に良く用いられるが、ポリプロピレン樹脂は無極性であるため、アミノシランカップリング剤のみでは十分にガラス繊維をポリプロピレン樹脂に接着させることができない。
また、第2ホッパ32は、投入されたストランド状のガラス繊維束Sを射出シリンダ20内に供給するために射出シリンダ20に開口した第2開口部32aを有する。第2開口部32aは、射出スクリュー10の分散ゾーン13と射出シリンダ20の内壁とにより囲まれた空間に開口する。つまり、第2開口部32aは、射出シリンダ20の壁面であって射出スクリュー10の分散ゾーン13に面する位置に形成される。したがって、第2開口部32aを通って射出シリンダ20内に供給されたストランド状のガラス繊維束Sは射出スクリュー10の分散ゾーン13に落下する。分散ゾーン13に落下したストランド状のガラス繊維束Sは、射出シリンダ20内で射出スクリュー10が回転することにより、フィードゾーン11およびコンプレッションゾーン12を通過せずに、分散ゾーン13および接着ゾーン14をこの順に通過する。
第3ホッパ33には、ガラス繊維とポリプロピレン樹脂とを接着させるためのバインダ剤としての無水マレイン酸変性ポリプロピレン(以下、無水マレイン酸変性PP)が投入される。投入される無水マレイン酸変性PPは粒状である。また、第3ホッパ33は、投入された無水マレイン酸変性PPを射出シリンダ20内に供給するために射出シリンダ20に開口した第3開口部33aを有する。第3開口部33aは、射出スクリュー10の接着ゾーン14と射出シリンダ20の内壁とにより囲まれた空間に開口する。つまり、第3開口部33aは、射出シリンダ20の壁面であって射出スクリュー10の接着ゾーン14に面する位置に形成される。したがって、第3開口部33aを通って射出シリンダ20内に供給された無水マレイン酸変性PPは射出スクリュー10の接着ゾーン14に落下する。接着ゾーン14に落下した無水マレイン酸変性PPは、射出シリンダ20内で射出スクリュー10が回転することにより、フィードゾーン11、コンプレッションゾーン12、分散ゾーン13を通過せずに、接着ゾーン14を通過する。
なお、第2ホッパ32の第2開口部32aは、ストランド状のガラス繊維束Sが分散ゾーン13のできるだけ上流側(射出スクリュー10の基端側)に供給されるように、分散ゾーン13と射出シリンダ20の内壁とにより囲まれた空間の上流側に開口するように形成されている。また、第3ホッパ33の第3開口部33aは、無水マレイン酸変性PPが接着ゾーン14のできるだけ上流側に供給されるように、接着ゾーン14と射出シリンダ20の内壁とにより囲まれた空間の上流側に開口するように形成されている。
バインダ剤としての無水マレイン酸変性PPは、ガラス繊維の表面に結合したアミノシランカップリング剤に結合する官能基を有する。また、無水マレイン酸変性PPの主成分はポリプロピレン樹脂であるため、ポリプロピレン樹脂と相性がよく、これに接着する。図3は、無水マレイン酸変性PPをバインダ剤として、ガラス繊維がポリプロピレン樹脂に接着されるメカニズムを示す図である。図3に示すように、ガラス繊維中のケイ素がアミノシラン(結合剤)と共有結合する。また、アミノシランのアミノ基と無水マレイン酸変性PPの持つカルボキシル基がイオン結合する。さらに、無水マレイン酸変性PPがポリプロピレン樹脂に接着する。このような結合形態によって、無水マレイン酸変性PPをバインダ剤として、ポリプロピレン樹脂がガラス繊維に接着される。
次に、上記構成の射出成形装置1を用いた射出成形方法について説明する。
まず、射出シリンダ20の外周に取付けられている図示しない加熱ヒータを作動させて、射出シリンダ20内の温度を所望の温度に加熱する。射出シリンダ20内の温度を所望の温度に加熱した後に、駆動ユニット41を駆動させて、射出シリンダ20内で射出スクリュー10を回転させる。また、第1ホッパ31にポリプロピレン樹脂Rを外部から投入し、第2ホッパ32にストランド状のガラス繊維束Sを外部から投入し、さらに第3ホッパ33に無水マレイン酸変性PPを外部から投入する。
第1ホッパ31に投入されたポリプロピレン樹脂Rは、第1開口部31aを通って、射出シリンダ20内に供給される。開口部31aは、射出スクリュー10のフィードゾーン11に面する位置に設けられるので、射出シリンダ20内に供給されたポリプロピレン樹脂Rは射出スクリュー10のフィードゾーン11上に落下する。したがって、フィードゾーン11に落下したポリプロピレン樹脂Rは加熱ヒータの熱により加熱されるとともに射出スクリュー10が射出シリンダ20内で回転することにより先端側に進み、やがて、フィードゾーン11からコンプレッションゾーン12に送り出される。
フィードゾーン11からコンプレッションゾーン12に進入したポリプロピレン樹脂Rは、このコンプレッションゾーン12にて射出スクリュー10に混練される。ここで、コンプレッションゾーン12の圧縮比は3.0である。したがって、コンプレッションゾーン12にてポリプロピレン樹脂Rに強いせん断力が作用し、ポリプロピレン樹脂Rが十分に混練される。また、このような混練と同時に加熱ヒータにより加熱されるために、ポリプロピレン樹脂Rは溶融する。このようにしてコンプレッションゾーン12で十分に混練・溶融されたポリプロピレン樹脂は、射出シリンダ20内での射出スクリュー10の回転により先端側に送られる。そして、十分に混練・溶融されたポリプロピレン樹脂Rが、コンプレッションゾーン12から分散ゾーン13に送り出される(第1工程)。
第2ホッパ32に投入されたストランド状のガラス繊維束Sは、第2開口部32aを通って射出シリンダ20内に供給される。第2開口部32aは、射出スクリュー10の分散ゾーン13に面する位置に設けられるので、射出シリンダ20内に供給されたストランド状のガラス繊維束Sは射出スクリュー10の分散ゾーン13上に落下する。分散ゾーン13上に落下したストランド状のガラス繊維束Sは、射出スクリュー10の回転によるせん断力を受けて解束されて、ガラス繊維に分解される。
分散ゾーン13にて解束されたガラス繊維は、コンプレッションゾーン12から分散ゾーン13に送り込まれてきたポリプロピレン樹脂に混入される。そして、射出シリンダ20内で射出スクリュー10が回転することにより、ガラス繊維がポリプロピレン樹脂に均一に分散される。このようにしてガラス繊維が均一に分散されたポリプロピレン樹脂を、本明細では、「ガラス繊維含有溶融ポリプロピレン樹脂」と呼ぶ。
ガラス繊維含有溶融ポリプロピレン樹脂中に均一分散したガラス繊維は、分散ゾーン13を通過する際に射出スクリュー10の回転によるせん断力を受けるが、分散ゾーン13の圧縮比は1.2であって非常に低いため、ガラス繊維はほとんど折損されない。そのためガラス繊維長が十分長い状態が維持される。こうして形成されたガラス繊維含有溶融ポリプロピレン樹脂は、射出スクリュー10の回転により先端側に送られ、やがて、分散ゾーン13から接着ゾーン14に送り出される(第2工程)。
第3ホッパ33に投入された無水マレイン酸変性PPは、第3開口部33aを通って射出シリンダ20内に供給される。第3開口部33aは、射出スクリュー10の接着ゾーン14に面する位置に設けられるので、射出シリンダ20内に供給された無水マレイン酸変性PPは射出スクリュー10の接着ゾーン14上に落下する。接着ゾーン14に落下した無水マレイン酸変性PPは、この接着ゾーン14にて、分散ゾーン13から接着ゾーン14に送られてきたガラス繊維含有溶融ポリプロピレン樹脂に混入される。そして、射出スクリュー10の回転により、無水マレイン酸変性PPがガラス繊維含有溶融ポリプロピレン樹脂中に均一に分散される。また、この接着ゾーン14にて、無水マレイン酸変性PPをバインダ剤としてガラス繊維含有溶融ポリプロピレン樹脂中のガラス繊維とポリプロピレン樹脂が強固に接着される。こうして無水マレイン酸変性PPを介してガラス繊維が接着されたポリプロピレン樹脂を、本明細書では、「ガラス繊維接着溶融ポリプロピレン樹脂」と呼ぶ。接着ゾーン14内のガラス繊維接着溶融ポリプロピレン樹脂は、射出シリンダ20内での射出スクリュー10の回転により先端側に移動され、やがて、接着ゾーン14からその先の部分に送り出される(第3工程)。
そして、接着ゾーン14よりも先の部分に送り込まれたガラス繊維接着溶融ポリプロピレン樹脂が、射出スクリュー10の前進移動によって、射出シリンダ20のノズル21から射出され、金型MO内に充填される。金型MO内に充填後、保圧、保冷工程を経て、金型MO内のポリプロピレン樹脂成形品が取り出される。こうして、ガラス繊維強化ポリプロピレン樹脂が射出成形により製造される。
図4は、上記した本実施形態の射出成形装置1を用いてガラス繊維強化ポリプロピレン樹脂を製造した場合における成形品中のガラス繊維の繊維長の平均値(シミュレーション値)と、従来技術に係る射出成形装置を用いてガラス繊維強化ポリプロピレン樹脂を製造した場合における成形品内のガラス繊維の繊維長の平均値とを比較したグラフである。図4に示すように、従来技術に係る射出成形装置を用いた場合、成形品中のガラス繊維の繊維長は2〜3mmであるのに対し、本実施形態に係る射出成形装置を用いた場合、成形品中のガラス繊維の繊維長が4〜10mmである。このことから、本実施形態に係る射出成形装置を用いることにより、成形品中のガラス繊維の繊維長を長くすることができ、その結果、成形品の強度等の材料特性を向上できることがわかる。
(分散性評価試験)
ガラス繊維強化樹脂中のガラス繊維の分散性を評価するために、次のような試験を行った。
下記の表1に示す材料配合比でブレンドした2種類の原材料(サンプル1、2)を用意し、それぞれのサンプルを通常のフルフライトスクリューのフィードゾーンに供給し、同一条件で射出成形した。成形後、成形品に存在するガラス繊維束(解束していないガラス繊維束)の単位体積当たりの個数をカウントした。その結果を図5に示す。
Figure 0006167707
図5からわかるように、サンプル1においては成形品の単位体積当たりに6.4個のガラス繊維束の存在を確認できたが、サンプル2においてガラス繊維束の存在は確認されなかった。この理由は以下のように考えられる。すなわち、サンプル1には無水マレイン酸変性PPがガラス繊維と共にポリプロピレン樹脂に混入しているので、射出スクリューから受けるせん断力でガラス繊維が解束してポリプロピレン樹脂内に十分に分散する前に、無水マレイン酸変性PPがポリプロピレン樹脂とガラス繊維束とを接着してしまう。接着されてしまったガラス繊維束はそれ以上分散することができない。その結果、成形品にガラス繊維束が存在する。これに対し、サンプル2には無水マレイン酸変性PPが混入されていないため、ガラス繊維束は射出スクリューから受けるせん断力によって十分に解束される。このため成形品にガラス繊維束は存在せず、ガラス繊維束が解束したガラス繊維が均一にポリプロピレン樹脂内に分散されるのである。
しかしながら、サンプル2においてはガラス繊維がポリプロピレン樹脂内に均一分散されるものの、無水マレイン酸変性PPが混入されていないために、ガラス繊維がポリプロピレン樹脂に十分に接着されていない。そのため成形品の強度が低い。これに対し、本実施形態では、サンプル2のように均一にガラス繊維が分散されたポリプロピレン樹脂を射出スクリュー10の分散ゾーン13で形成し、その後に接着ゾーン14にて無水マレイン酸変性PPを混入させて、ガラス繊維とポリプロピレン樹脂とを強固に接着させている。つまり、ガラス繊維束を十分に解束させて、溶融ポリプロピレン樹脂に均一にガラス繊維を分散させた後に、無水マレイン酸変性PPを混入させて、ポリプロピレン樹脂とガラス繊維とを接着させている。したがって、均一にガラス繊維が分散するとともに、十分にポリプロピレン樹脂とガラス繊維とを接着させることができる。それに加え、ガラス繊維は射出スクリューのコンプレッションゾーン12を通過せずに、低圧縮比の分散ゾーン13および接着ゾーン14のみを通過するため、射出スクリュー10の回転によりガラス繊維に作用するせん断力が比較的弱く、それ故、ガラス繊維の折損を大幅に抑えることができる。すなわち、本実施形態で示した射出成形装置1を用いてガラス繊維強化ポリプロピレン樹脂を成形すれば、ポリプロピレン樹脂中にガラス繊維を均一に分散させることができ、均一に分散されたガラス繊維をポリプロピレン樹脂に強固に接着させることができ、なお且つガラス繊維の繊維長を従来に比べて長くすることができる。よって、強度等の材料特性が十分に向上したガラス繊維強化樹脂を射出成形することができるのである。
以上のように、本実施形態の射出成形装置1は、射出スクリュー10と、射出シリンダ20と、第1ホッパ31(第1供給手段)と、第2ホッパ32(第2供給手段)と、第3ホッパ33(第3供給手段)とを備える。射出スクリュー10には、その基端側から先端側にかけて、コンプレッションゾーン12(第1ゾーン)、分散ゾーン13(第2ゾーン)および接着ゾーン14(第3ゾーン)が形成されている。コンプレッションゾーン12の圧縮比は2.0以上であり、分散ゾーン13および接着ゾーン14の圧縮比は1.0以上2.0未満である。射出シリンダ20は射出スクリュー10を収容する。第1ホッパ31は、射出スクリュー10が射出シリンダ20内で回転することにより、無極性の樹脂であるポリプロピレン樹脂Rがコンプレッションゾーン12、分散ゾーン13および接着ゾーン14を通過するように、ポリプロピレン樹脂Rを射出シリンダ20内に供給する。第2ホッパ32は、射出スクリュー10が射出シリンダ20内で回転することにより、ストランド状のガラス繊維束Sがコンプレッションゾーン12を通過せずに分散ゾーン13および接着ゾーン14を通過するように、ストランド状のガラス繊維束Sを射出シリンダ20内に供給する。第3ホッパ33は、射出スクリュー10が射出シリンダ20内で回転することにより、ポリプロピレン樹脂とガラス繊維とを接着させるためのバインダ剤としての無水マレイン酸変性PPがコンプレッションゾーン12および分散ゾーンを通過せずに接着ゾーン14を通過するように、無水マレイン酸変性PPを射出シリンダ20内に供給する。
また、第1ホッパ31は、ポリプロピレン樹脂Rがコンプレッションゾーン12、分散ゾーン13および接着ゾーン14をこの順に通過するように、射出シリンダ20のうち射出スクリュー10のフィードゾーン11に面する位置に開口する第1開口部31aを有する。第2ホッパ32は、ストランド状のガラス繊維束Sがコンプレッションゾーン12を通過せずに分散ゾーン13および接着ゾーン14をこの順に通過するように、射出シリンダ20のうち射出スクリュー10の分散ゾーン13に面する位置に開口する第2開口部32aを有する。第3ホッパ33は、無水マレイン酸変性PPがコンプレッションゾーン12および分散ゾーン13を通過せずに接着ゾーン14を通過するように、射出シリンダ20のうち接着ゾーン14に面する位置に開口する第3開口部33aを有する。
また、本実施形態に係るガラス繊維強化ポリプロピレン樹脂の製造方法は、射出スクリュー10を射出シリンダ20内で回転させることにより、コンプレッションゾーン12にてポリプロピレン樹脂Rを混練および溶融させるとともに分散ゾーン13に送り出す第1工程と、分散ゾーン13にてポリプロピレン樹脂Rにストランド状のガラス繊維束Sを混入させるとともに、射出スクリュー10を射出シリンダ20内で回転させることにより、分散ゾーン13にてストランド状のガラス繊維束Sを解束させ、解束されたガラス繊維をポリプロピレン樹脂R中に分散させてガラス繊維含有溶融ポリプロピレン樹脂を形成し、形成したガラス繊維含有溶融ポリプロピレン樹脂を接着ゾーン14に送り出す第2工程と、接着ゾーン14にて、無水マレイン酸変性PPをガラス繊維含有溶融ポリプロピレン樹脂に混入させるとともに、射出スクリュー10を射出シリンダ20内で回転させることにより、接着ゾーンにて、無水マレイン酸変性PPを介してポリプロピレン樹脂とガラス繊維とを接着させて、ガラス繊維接着溶融ポリプロピレン樹脂を形成する第3工程と、ガラス繊維接着溶融ポリプロピレン樹脂を金型MO内に射出してガラス繊維強化ポリプロピレン樹脂を形成する第4工程と、を含む。
本実施形態によれば、射出成形装置1を用いてガラス繊維強化ポリプロピレン樹脂を製造することにより、ガラス繊維が均一に分散させることができるとともに、均一に分散されたガラス繊維が無水マレイン酸変性PPを介してポリプロピレン樹脂に強固に接着する。さらに、ガラス繊維強化ポリプロピレン樹脂中のガラス繊維は、射出スクリュー10のコンプレッションゾーン12を通過せずに、低圧縮比の分散ゾーン13及び接着ゾーン14を通過してから射出されるため、射出スクリュー10の回転によるガラス繊維の折損が極力防止される。そのため本実施形態に係る射出成形装置1を用いて成形されるガラス繊維強化ポリプロピレン樹脂中のガラス繊維の繊維長は、従来のガラス繊維強化ポリプロピレン樹脂中に含まれるガラス繊維の繊維長よりも長い。よって、十分に強度等の材料特性が向上したガラス維強化ポリプロピレン樹脂を製造することができる。
また、分散ゾーン13のL/Dは、接着ゾーン14のL/Dよりも大きくされている。このため溶融したポリプロピレン樹脂中にガラス繊維を十分均一に分散させることができる。また、無水マレイン酸変性ポリプロピレンを用いているため、この無水マレイン酸変性ポリプロピレンをバインダ剤として確実にガラス繊維と樹脂(ポリプロピレン樹脂)とを接続することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるべきものではない。例えば、上記実施形態では、射出スクリュー10のコンプレッションゾーン12の圧縮比を3.0としたが、2.0以上であれば良い。同様に、射出スクリュー10の分散ゾーン13および接着ゾーン14の圧縮比を1.2としたが、1.0以上2.0未満であればよい。また、その範囲内であれば、分散ゾーン13の圧縮比と接着ゾーン14の圧縮比は異なっていても良いし同じでもよい。また、上記実施形態では、無極性の樹脂としてポリプロピレン樹脂を例示したが、それ以外の無極性の樹脂でもよい。この場合、バインダ剤として、その樹脂と同じ材料であり、且つガラス繊維に結合した化合物に結合可能な官能基を持つ化合物を用いると良い。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
1…射出成形装置、10…射出スクリュー、11…フィードゾーン、12…コンプレッションゾーン(第1ゾーン)、13…分散ゾーン(第2ゾーン)、14…接着ゾーン(第3ゾーン)、20…射出シリンダ、21…ノズル、31…第1ホッパ(第1供給手段)、31a…第1開口部、32…第2ホッパ(第2供給手段)、32a…第2開口部、33…第3ホッパ(第3供給手段)、33a…第3開口部、41…駆動ユニット、MO…金型

Claims (5)

  1. 基端側から先端側にかけて、第1ゾーン、第2ゾーンおよび第3ゾーンが形成されており、前記第1ゾーンの圧縮比が2.0以上であり、前記第2ゾーンおよび前記第3ゾーンの圧縮比が1.0以上2.0未満である射出スクリューと、
    前記射出スクリューを収容する射出シリンダと、
    前記射出スクリューが前記射出シリンダ内で回転することにより、無極性の樹脂が前記第1ゾーン、前記第2ゾーンおよび前記第3ゾーンを通過するように、前記無極性の樹脂を前記射出シリンダ内に供給する第1供給手段と、
    前記射出スクリューが前記射出シリンダ内で回転することにより、ストランド状のガラス繊維束が前記第1ゾーンを通過せずに前記第2ゾーンおよび前記第3ゾーンを通過するように、前記ストランド状のガラス繊維束を前記射出シリンダ内に供給する第2供給手段と、
    前記射出スクリューが前記射出シリンダ内で回転することにより、前記無極性の樹脂と前記ストランド状のガラス繊維束を構成するガラス繊維とを接着させるためのバインダ剤が前記第1ゾーンおよび前記第2ゾーンを通過せずに前記第3ゾーンを通過するように、前記バインダ剤を前記射出シリンダ内に供給する第3供給手段と、を備える射出成形装置。
  2. 基端側から先端側にかけて、第1ゾーン、第2ゾーンおよび第3ゾーンが形成されており、前記第1ゾーンの圧縮比が2.0以上であり、前記第2ゾーンおよび前記第3ゾーンの圧縮比が1.0以上2.0未満である射出スクリューと、前記射出スクリューを収容する射出シリンダとを備える射出成形装置を用いたガラス繊維強化樹脂の製造方法であり、
    前記射出スクリューを前記射出シリンダ内で回転させることにより、前記第1ゾーンにて無極性の樹脂を混練および溶融させるとともに前記第2ゾーンに送り出す第1工程と、
    前記第2ゾーンにて前記無極性の樹脂にストランド状のガラス繊維束を混入させるとともに、前記射出スクリューを前記射出シリンダ内で回転させることにより、前記第2ゾーンにてストランド状のガラス繊維束を解束させ、解束されたガラス繊維を前記無極性の樹脂中に分散させてガラス繊維含有溶融樹脂を形成し、形成した前記ガラス繊維含有溶融樹脂を前記第3ゾーンに送り出す第2工程と、
    前記第3ゾーンにて、前記無極性の樹脂と前記ガラス繊維とを接着させるためのバインダ剤を前記ガラス繊維含有溶融樹脂に混入させるとともに、前記射出スクリューを前記射出シリンダ内で回転させることにより、前記第3ゾーンにて、前記バインダ剤を介して前記無極性の樹脂と前記ガラス繊維とを接着させて、ガラス繊維接着溶融樹脂を形成する第3工程と、
    前記ガラス繊維接着溶融樹脂を金型内に射出してガラス繊維強化樹脂を形成する第4工程と、
    を含む、ガラス繊維強化樹脂の製造方法。
  3. 請求項に記載のガラス繊維強化樹脂の製造方法において、
    前記ガラス繊維束はガラス繊維およびガラス繊維に結合したカップリング剤を含み、
    前記バインダ剤は、前記カップリング剤に結合する官能基を有するとともに前記無極性の樹脂と相性の良い材料で形成されている、ガラス繊維強化樹脂の製造方法
  4. 請求項に記載のガラス繊維強化樹脂の製造方法において、
    前記バインダ剤は、前記無極性の樹脂と同じ材料で形成され、且つ前記カップリング剤に結合する官能基を持つ化合物で変性されている変性樹脂である、ガラス繊維強化樹脂の製造方法
  5. 請求項3または4に記載のガラス繊維強化樹脂の製造方法において、
    前記無極性の樹脂はポリプロピレン樹脂であり、
    前記カップリング剤はアミノシランカップリング剤であり、
    前記バインダ剤は無水マレイン酸変性ポリプロピレンである、ガラス繊維強化樹脂の製造方法
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