JP6163126B2 - 建設機械の稼働状態記録装置及び稼働状態記録方法 - Google Patents
建設機械の稼働状態記録装置及び稼働状態記録方法 Download PDFInfo
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Description
図1は本発明に係る稼働状態記録装置を適用する建設機械の側面図である。
作業装置30を下してバケット33の先端を地山の位置Vの辺りに移動させる。この動作を「掘削位置決め動作」と記載する。
アーム32及びバケット33をクラウド方向32a,33aに回動させてバケット33内に土砂を掻き込む。この動作を「掘削動作」と記載する。このとき、十分に掘削できなければ再度アーム32及びバケット33を動かして掘削位置を若干ずらして掘削動作をする。この動作は掘削位置決め動作と掘削動作の組み合わせである。
バケット33に十分な土砂が入ったらブーム上げ動作と旋回動作、必要であればアームダンプ動作を同時に実行する。例えば油圧ショベル1の右側(紙面に直交する方向の奥側)に配置したダンプトラック(不図示)のベッセルに土砂を積み込む場合を例に挙げると、ベッセルの上方まで作業装置30を上げながら右旋回することになる。これは一般にフロント上げ旋回動作といって油圧ショベルではよく見られる複合動作であり、本願明細書では便宜的に「積込動作」と記載する。
ベッセルの上方で、必要に応じてアーム32をダンプ方向32bに回動させつつバケット33をダンプ方向33bに回動させ、バケット33内の土砂をベッセルに放土する。この動作を「放土動作」と記載する。
図2は運転室22内の運転席周りを上から見た模式図である。
図3は油圧アクチュエータを駆動する油圧システムを模式的に表した油圧回路図である。同図では、例えばブームシリンダ34に関する部分を抜き出して例示してあるが、他の油圧アクチュエータに関する部分も同様の構成である。
油圧ショベル1を動作させたか否かは、操作装置26L,26R,27L,27Rからの操作信号を検出することで判定することができる。
稼働状態記録装置は、建設機械(ここでは油圧ショベル1)の稼働状態データを独自方式で取得し、取得した情報を基に作業内容を判定し、判定結果及び燃料消費量を含む稼働状態を記録して、運転者、管理者、サービスマン、その他建設機械の利用、管理、提供、製造、修理等に関連する者(以下「運転者等」という)に稼働状態のデータ(以下、適宜「レポート」という)を適宜の形式で提供するものである。
車載マイコン50は、入力インタフェイス51、RTC52、電源装置53、記憶装置54、GPS55、通信装置56、演算処理装置57、及び出力インタフェイス58を備えている。次に各装置の機能について簡単に説明する。
入力インタフェイス51は、電源信号Sp、作業操作信号Sf、旋回操作信号Ss、走行操作信号St、原動機稼働信号Se、燃料消費量信号Sqを含む油圧ショベル1の稼働信号を入力しデジタル信号化するものである。この入力インタフェイス51を介することで、電源信号Sp及び燃料消費量信号Sqを除く各信号はONであれば「1」、そうでなければ「0」の値に変換される。信号Sf,Ss,Stは、それぞれ作業操作信号検出器40f、旋回操作信号検出器40s、走行操作信号検出器40tからの入力信号である。車載マイコン50に電源信号Spを出力する電源供給切換器40pにはキースイッチを用いることができる。キースイッチは閉状態のときに車載マイコン50に電源を供給するスイッチであり、開状態になると車載マイコン50への電源供給が遮断されて電源信号SpがOFFになる。原動機稼働信号Se及び燃料消費量信号Sqを出力する原動機稼働検出器40eには、例えば電子ガバナのコントローラを用いることができる。原動機稼働検出器40eはCAN等の通信回路を介して入力インタフェイス51に接続している。原動機稼働検出器40eは、エンジン回転数[rpm]を原動機稼働信号Seに変換し、例えばエンジン回転数Neが停止状態0rpmから仮に最大2100rpmまで変化するとした場合、エンジン回転数Neが設定した閾値Ne0(例えば500rpm)以上であればエンジン稼働状態を表す原動機稼働信号Se(=1)、閾値Ne0未満であればエンジン停止状態を表す原動機稼働信号Se(=0)を、入力インタフェイス51に出力する。また、原動機稼働検出器40eは、例えば単位時間当たりの燃料消費量である燃料消費率Δq[L/s]を燃料消費量信号Sqとして入力インタフェイス51に出力する。
RTC(リアルタイムクロック)52は車載マイコン50の時計であり、RTC52が刻む時刻(日付を含む)を基に車載マイコン50のデータ処理に使用する時刻、例えば“電源が入った時刻は2012年6月22日5:00:40”という記録が残る。電源が供給されない間もRTC52の時計機能は継続する。
電源装置53には、電源供給切換器40pによって電源供給が遮断された場合に、演算処理装置57によるプログラム処理により所定の条件が満たされてから車載マイコン50の各構成要素への電源供給を停止し、次に電源供給切換器40pによって電源供給がされるまで待機する機能がある。この機能によって、例えば作業の終了又は中断の際に電源供給切換器40pで電源が切られても演算処理装置57や通信装置56等への電源供給が確保され、各処理部の所定の処理が遂行される。
記憶装置54には、演算処理装置57が実行するプログラム、車載マイコン50に入力された各データ、演算処理装置57の演算データ、各データの時刻等を格納する記憶領域が含まれている。
GPS55はGPS衛星Lからの油圧ショベル1の現在の位置データを受信し取得するものである。位置情報を活用する必要がない場合には、GPS55は省略することもできる。
通信装置56は、離れた場所(例えば事務所)にあるサーバ60等との間でデータを授受するための装置であり、記憶装置54に一時記憶されたデータは通信装置56を介してサーバ60に送信される。通信装置56には、携帯電話や衛星通信機器、無線装置等を用いることができる。
出力インタフェイス58は、通信装置56の他、外部の端末X(パーソナルコンピュータや携帯端末等)との間でデータを授受するためのもので、記憶装置54に格納されたデータや入力インタフェイス51への入力データ、GPS55で受信した位置情報の現在のデータ等を有線通信又は無線通信(赤外線通信等)により端末Xに出力する機能を持つ。通信装置56が使えない地域では、この出力インタフェイス58を介して車載マイコン50を端末Xに接続することで、車載マイコン50からデータをダウンロードすることができる。この端末Xを有線通信、無線通信、又はインターネットによってサーバ60と接続することで、端末Xを介して車載マイコン50とサーバ60との間でデータを授受することができる。
演算処理装置57は、電源供給の開始をトリガとして記憶装置54内のプログラムに従って稼働状態データ(作業内容やその時間及び燃料消費に関するデータを含む)を取得又は演算し、サーバ60に送信する手順(後の図6〜図8参照)を実行し処理を終了するものである。一連の手順を実行するために、演算処理装置57には、電源入り時間演算装置57a、原動機稼働時間演算装置57b、操作信号判定装置57c、無操作時間演算装置57d、走行単独操作時間演算装置57e、作業単独操作時間演算装置57f、操作時間演算装置57g、作業時間演算装置57h、作業判定装置57i、燃料消費量演算装置57jの各処理部が含まれている。
サーバ60は、油圧ショベル1から離れた場所に設置されていて、入出力インタフェイス61、記憶装置62、及び演算処理装置63を備えている。各装置の機能について簡単に説明する。
入出力インタフェイス61は、通信装置65や出力装置66との間で有線通信、無線通信、又はインターネット等によってデータを授受するための装置である。通信装置65は、通信装置56と同等の装置であり、通信装置56との間で無線通信によってデータを授受するものである。出力装置66は、運転者等に作業内容のレポートを出力する装置であり、表示装置、プリンタ、スピーカ等を含み、表示出力、印刷出力、音声出力等の出力態様については特に限定されない。出力装置66により出力されるレポートには、作業内容別の時間及び燃料消費量が含まれる。
記憶装置62には、演算処理装置63が実行するプログラム、サーバ60に入力された各データ、演算処理装置63の演算データ等を格納する記憶領域が含まれている。
演算処理装置63は、車載マイコン50で取得された情報を記憶装置62内のプログラムに従って処理する機能を果たす(後述する図9及び図10参照)。一連の手順を実行するために、演算処理装置63には、レポート作成装置63eが含まれている。
次に稼働状態記録装置による油圧ショベル1の作業判定処理について説明する。作業判定処理は、稼働状態データ取得の手順、セッション単位の稼働状態データの送信手順、電源入り時間単位の稼働状態データ送信手順、セッション単位のデータ処理手順、及び電源入り時間単位のデータ処理手順に大別される。ただ、本実施の形態の場合、前者を車載マイコン50で実行し、後者をサーバ60で実行する例であるため、車載マイコン50によるサーバ60への稼働状態データ送信の手順が間に入る。
図6は本発明の一実施の形態に係る稼働状態記録装置による稼働状態データ取得手順を表すフローチャートである。同図の手順は車載マイコン50の演算処理装置57により実行される手順である。また、この手順は、電源供給切換装置40pにより電源信号SpがOFFにされるまでの間、ステップS102〜ステップS114の手順を設定周期(この例では1秒周期)でサンプリングして無操作時間Ti、走行単独操作時間Tt’、作業単独操作時間Tf’を計時する手順である。本願明細書では、稼働状態データ取得手順を開始してから稼働状態データ送信手順に移行するまでの1期間を便宜的に「セッション」と呼ぶ。本実施の形態は、一定の時間間隔でセッションが更新されていく例である。
電源供給切換装置40pが閉状態になって入力インタフェイス51に入力される電源信号SpがONになると、車載マイコン50は、記憶装置54のプログラムに従って演算処理装置57により図6の手順を開始する。
同図の手順を開始すると、演算処理装置57は、まずRTC52及びGPS55から現在の時刻及び位置情報を取得して作業開始時の時刻と場所のデータとして記憶装置54に記録する。
10≦M<20の場合、C=(M−10)×60+S;
20≦M<30の場合、C=(M−20)×60+S;
30≦M<40の場合、C=(M−30)×60+S;
40≦M<50の場合、C=(M−40)×60+S;
50≦Mの場合は、C=(M−50)×60+S
例えば、現在の時刻が8時5分20秒であれば、0≦M<10であるため、C=M×60+S=5×60+20=320となる。
続くステップS102において、演算処理装置57は、作業操作信号Sf,旋回操作信号Ss,走行操作信号St、原動機稼働信号Se、燃料消費量信号Sqを入力する。また、電源入り時間演算装置57aにより電源入り時間T0に1秒(操作信号のサンプリング周期)を加算し、電源が入ってからの経過時間をカウントアップする(T0=T0+1)。さらに、演算処理装置57は、セッションカウンタCをカウントアップする(C=C+1)。
ステップS103に手順を移すと、演算処理装置57は、原動機稼働信号Seが1(稼働中)か0(停止中)かを判定し、原動機Eが停止していると判定した場合には操作信号の判定手順をバイパスしてステップ112に手順を移す。原動機Eが停止している場合、油圧ポンプP1,P2も動いておらず操作装置26L,26R,27L,27Rから操作信号が入力され得ないからである。反対に、原動機Eが稼働していると判定した場合、演算処理装置57はステップS104に手順を移し、原動機運転時間演算装置57bによって原動機稼働時間T1を1秒カウントアップする(T1=T1+1)。原動機稼働時間T1をカウントアップしたら、演算処理装置57は、ステップS104からステップS105に手順を移す。
ステップS105では、演算処理装置57は、操作装置26L,26R,27L,27Rからの操作信号Sf,Ss,Stを基に、操作判定装置57cが無操作状態であるか否かを判定する。すなわち、操作信号Sf,Ss,Stがいずれも入力されなかったか否かを判定し、いずれの入力もなかった場合(Sf=Ss=St=0の場合)にはステップS106に手順を移す。ステップS106では、無操作時間演算装置57dによって無操作時間Tiを1秒カウントアップする(Ti=Ti+1)とともに、燃料消費量演算装置57jによって無操作時の燃料消費量Qiの積算値をカウントアップする(Qi=Qi+Sq、Sqは燃料消費率Δq[L/s])。反対に、操作信号Sf,Ss,Stのいずれか1種でも入力があった場合(Sf,Ss,Stの少なくとも1つが1であった場合)には、演算処理装置57はステップS105からステップS107に手順を移す。
ステップS107では、演算処理装置57は、操作装置26L,26R,27L,27Rから入力された操作信号が走行操作信号Stのみか否かを操作判定装置57cによって判定する。入力された操作信号が走行操作信号Stのみであった場合(St=1,Sf=Ss=0の場合)にはステップS108に手順を移す。ステップS108では、走行単独操作時間演算装置57eによって走行単独操作時間Tt’を1秒カウントアップする(Tt’=Tt’+1)とともに、燃料消費量演算装置57jによって走行単独操作時の燃料消費量の積算値をカウントアップする(Qt’=Qt’+Sq、Sqは燃料消費率Δq[L/s])。それ以外の場合には、演算処理装置57はステップS107からステップS109に手順を移す。
ステップS109では、演算処理装置57は、燃料消費量演算装置57jによって作業操作時の燃料消費量の積算値をカウントアップする(Qo=Qo+Sq、Sqは燃料消費率Δq[L/s])。作業操作とは、エンジン稼働状態にあって無操作でも走行単独操作でもない状態をいい、具体的には作業操作信号Sf及び旋回操作信号Ssの少なくとも一方が入力されている状態である。作業操作時は走行作業以外の作業の最中であり、例えば掘削作業か積込作業をしているものと推定される。
ステップS112では、演算処理装置57は、セッションカウンタCがまだ設定値C0に達していないか否かを判定する。Cの値が設定値C0未満である場合には(C<C0)、演算処理装置57は、ステップS112から直接ステップS114に手順を移し、Cの値が設定値C0である場合(C=C0)には、ステップS112からステップS113のセッションデータ送信手順(詳細は後述)を実行した上でステップS114に手順を移す。C0の値は適宜変更可能であるが、ここではC=600とする。この場合、C=C0の条件下では、時刻の分・秒の値が0(0分00秒、10分00秒、20分00秒、30分00秒、40分00秒、50分00秒のいずれか)となる。したがって、本実施の形態では電源が入っている間、毎時0分丁度、10分丁度、20分丁度、30分丁度、40分丁度、50分丁度と定時かつ10分間隔でセッション単位の稼働状態データがサーバ60に送信される。図6の手順は電源が入っている間毎秒処理されるので、例えば電源が入った時のセッションカウンタCの初期値が320の場合、278秒でC=600となる。なお、例えばRTC52の精度によりセッションの区切りが正確な時刻とずれる場合はあるが、その程度の誤差は作業判定やレポートの結果に影響しないので許容される。
ステップS114では、演算処理装置57は、電源が切られたか否か、すなわち電源信号SpがOFFになったか否かを判定する。電源が入っていれば、演算処理装置57はステップS114からステップS102に手順を戻し、電源が入っている限りステップS102〜S114の毎秒処理を繰り返し実行する。電源が切れていれば、演算処理装置57は図6の稼働状態データ取得手順を終了し、ステップS114から図8のステップS115に手順を移して稼働状態データ送信手順に移行する。
図7は本発明の一実施の形態に係る稼働状態記録装置によるセッション単位の稼働状態データの送信手順を表すフローチャートである。図7のステップS113a〜S113fの手順は、ステップS112(図6参照)でC=C0となる度に車載マイコン50の演算処理装置57により実行され、セッション毎に稼働状態データがサーバ60に送信される。
図7の手順は現在のセッションの終了処理であると同時に次のセッションの開始処理でもある。電源が入ってからi番目のセッションS(i)の作業が終了して図7の手順に移行したとして、演算処理装置57は、まずステップS113aで次のセッションS(i+1)の開始時の時刻及び位置のデータとして現在の時刻及び位置情報をRTC52及びGPS55から取得して記憶装置54に記録する。
ステップS113bでは、演算処理装置57は次のデータ処理を実行する。まず、演算処理装置57は、操作時間演算装置57gにより、セッションS(i)の間に操作装置26L,26R,27L,27Rの少なくとも1つが操作されていた時間(以下「操作時間T2」という)を演算する。ここでは、操作時間T2は、原動機稼働時間T1と無操作時間Tiの差分として求められる(T2=T1−Ti)。次に、演算処理装置57は、作業時間演算装置57hにより、操作時間T2から走行単独操作時間Tt’の差分をとって作業時間Toを求める(To=T2−Tt’)。最後に、演算処理装置57は、作業判定装置57iにより、作業内容を表す評価係数Rとして作業時間Toに占める作業単独操作時間Tf’の割合(%)を求める(R=Tf’/To)。本実施の形態の場合、原動機稼働時間T1、無操作時間Ti、作業単独操作時間Tf’はいずれも積算値ではなくセッション終了時に後のステップS113fでリセットされる値であるため、これらを基に演算される操作時間T2、作業時間To、評価係数Rは現在のセッションS(i)における値である。
ステップS113dでは、演算処理装置57はセッションS(i)の稼働状態データを通信装置56からサーバ60に送信する。ここで送信される稼働状態データは、例えば、(a)開始時刻、(b)開始時の油圧ショベル1の位置、(c)電源入り時間T0、(d)原動機稼働時間T1、(e)無操作時間Ti、(f)操作時間T2、(g)走行単独操作時間Tt’、(h)掘削操作時間TD、(i)積込操作時間TL、(j)無操作時燃料消費量Qi、(k)走行単独操作時燃料消費量Qt’、(l)掘削操作時燃料消費量QD、(m)積込操作時燃料消費量QLである。これらは全てセッションS(i)に関する情報である。
ステップS113dでは、演算処理装置57は、電源入り時間T0単位の稼働状態データとして電源が入ってから現在までの各時間の積算値を求める。ここで演算される積算値は、例えば、電源入り時間の積算値ΣT0、原動機稼働時間の積算値ΣT1、無操作時間の積算値ΣTi、走行単独操作時間の積算値ΣTt’、掘削操作時間の積算値ΣTD、積込操作時間の積算値ΣTL、無操作時燃料消費量積算値ΣQi、走行単独操作時燃料消費量積算値ΣQt’、掘削操作時燃料消費量積算値ΣQD、及び積込操作時燃料消費量積算値QLである。
ステップS113fでは、演算処理装置57は、セッションS(i)の終了処理の手順として各計時時間、及び各燃料消費量をリセットし(C=T0=T1=Ti=Tf’=Tt’=0,Qi=Qt’=QD=QL=0)、セッション番号iをカウントアップして(i=i+1)、図6の手ステップS114に手順を移行する。これにより次のセッションS(i+1)が図6の手順で開始される。
図8は本発明の一実施の形態に係る稼働状態記録装置による電源入り時間単位の稼働状態データ送信手順を表すフローチャートである。同図の手順は車載マイコン50の演算処理装置57により記憶装置54のプログラムに従って1サイクルだけ実行される処理であり、電源信号SpがOFFになった場合に、セッションカウンタCの値に関わらずステップS114(図6参照)から移行して実行される。この手順により電源入り時間T0を通した総括的な稼働状態データがサーバ60に送信される。
演算処理装置57は、まずステップS115で現在の(最後の)セッションS(f)の終了時、すなわち作業終了時の時刻及び位置のデータとして現在の時刻及び位置情報をRTC52及びGPS55から取得して記憶装置54に記録する。
続くステップS116〜S119の手順は図7のステップS113b〜S113eの手順と同様である。これら手順を実行することによって、最後のセッションS(f)の稼働状態データがサーバ60に送信され(ステップS118)、各時間の積算値が求められる(ステップS119)。
ステップS120では、演算処理装置57は、これまでの手順で得られた電源入り時間T0を通しての稼働状態データをサーバ60に送信し、ステップS121で電源装置53により車載マイコン50の電源を切断して図8の手順を終了する。ステップS120で送信される稼働状態データは、ステップS119で演算した各積算値、具体的には(C)合計電源入り時間ΣT0、(D)合計原動機稼働時間ΣT1、(E)合計無操作時間ΣTi、(F)合計走行単独操作時間ΣTt’、(G)合計掘削操作時間ΣTD、(H)合計積込操作時間ΣTL、(I)合計無操作時燃料消費量ΣQi、(J)合計走行単独操作時燃料消費量ΣQt’、(K)合計掘削操作時燃料消費量ΣQD、(L)合計積込操作時燃料消費量ΣQLに、ステップS101で取得した(A)作業開始時の時刻及び位置、及びステップS115で取得した(B)作業終了時の時刻及び位置を加えたものである。
図9は本発明の一実施の形態に係る稼働状態記録装置によるセッション単位のデータ処理手順を表すフローチャートである。同図の手順は、サーバ60において記憶装置62のプログラムに従って演算処理装置63によって実行される処理である。
演算処理装置63は、まずステップS151で車載マイコン50からの稼働状態データの受信があったか否かを判定する。受信がなければ、演算処理装置63は待機してステップS151の手順を繰り返す。図7のステップS113d又は図8のステップS118で車載マイコン50から送信されるセッション毎の稼働状態データを受け取ると、演算処理装置63は、ステップS151からステップS152に手順を移す。
ステップS152では、演算処理装置63は、送信されてきた1セッション分の稼働状態データを記憶装置62に記録する。記録する稼働状態データは、前述した項目(a)〜(m)である。
続くステップS153では、演算処理装置63は、レポート作成装置63eによって油圧ショベル1の位置情報を予め与えられた稼働現場の地図データに照合し、地図データ上で油圧ショベル1の位置する区画を判別するとともに、GPS55の位置情報に対応する地図上の位置にプロットし、その位置に時刻や作業内容等の稼働状態データを表示するレポートを作成する。作成されたレポートは、出力装置66に出力される。
図10は本発明の一実施の形態に係る稼働状態記録装置による電源入り時間単位のデータ処理手順を表すフローチャートである。
図11はレポートの一例であってセッション毎に稼働状態データをまとめた例である。
(1)基本的効果
前述したように、油圧ショベルの典型的な作業では、「掘削位置決め動作」→「掘削動作」→「ダンプへの積込動作又は放土動作」が繰り返され、走行装置11を駆動して掘削位置や掘削場所を変える。こうした作業中の掘削場所の変更は頻繁に発生するが、多くの場合はバケット33の幅程度の移動である。こうした掘削場所をずらす際の走行動作は短距離で時間も短く、離れた場所に移動するような走行動作とは作業としての性質が異なる。また、走行用の操作装置27L,27Rにはペダル27b(図2参照)が備わっていて、通常は足による操作が主体となる。そのため、掘削や積込の作業中に無意識に足に力が入ってペダル27bを踏み込んでしまう場合がある。但し、踏込量が小さいために方向流量制御弁の作動には至らないため、又は方向流量制御弁が作動しても走行用油圧モータ13の駆動には至らないため、ペダル7bを踏み込んでいることに運転者が気付かないことが多い。以上のような場合に検出された走行操作信号Stを基に走行操作時間が加算されてしまうと、意図しない走行操作や実効を伴わない走行操作の時間が計時されてしまい、作業判定の妥当性を欠いてしまう。そこで、本実施の形態では“走行単独操作”の概念を導入し、運転者が意図的に走行動作を指示した時間として計測することとした。
燃料消費量のデータを併せてレポートすることにより、例えばある時期から走行作業時(走行単独操作時)の燃料消費量が大きくなったのであれば、その時期から地面の状態に変化があって走行抵抗が増加した可能性を知ることができる。また、走行動作に関する油圧切換弁や油圧モータ等の機器の劣化も疑われる。この場合、ユーザは油圧ショベル1の製造元やディーラに問い合わせをすることができるし、反対に製造元やディーラはメンテナンスをユーザに勧めたり、路面の状態や斜度の変化等に関してユーザに問い合わせたりすることもできる。
以上の各実施の形態において、電源入り時間T0を通した稼働状態データは、電源が切れる度に車載マイコン50から送信される態様としたが、サーバ60からの要求に応じて車載マイコン50からサーバ60に送信される構成とすることもできる。また、RTC52と電源装置53の機能によって特定の時刻(例えば午前0時)に自動的に車載マイコン50の電源が入ってサーバ60に送信される構成とすることもできる。後者の場合、特定時刻に稼働状態データを受信して一日単位のレポートを作成したい場合に有用である。
10 走行装置
26L,R 操作装置
30 作業装置
54,62 記憶装置
57c 操作信号判定装置
57d 無操作時間演算装置
57e 走行単独操作時間演算装置
57f 作業単独操作時間演算装置
57h,63b 作業時間演算装置
57i,63c 作業判定装置
57j 燃料消費量演算装置
66 出力装置
E 原動機
QD 掘削操作時燃料消費量(燃料消費量)
Qi 無操作時燃料消費量(燃料消費量)
QL 積込操作時燃料消費料(燃料消費量)
Qt’ 走行単独操作時燃料消費量(燃料消費量)
R 評価係数(比率)
Sf 作業操作信号(操作信号)
Ss 旋回操作信号(操作信号)
St 走行操作信号(操作信号)
T1 原動機稼働時間
TD 掘削操作時間
Tf’ 作業単独操作時間
Ti 無操作時間
TL 積込操作時間
To 作業時間
Tt’ 走行単独操作時間
Claims (5)
- 原動機、走行装置、作業装置、並びにこれら走行装置及び作業装置の動作を指示する操作装置を有する建設機械の稼働状態記録装置であって、
前記操作装置から入力された操作信号を判定する操作信号判定装置と、
前記原動機が稼働している間で前記操作装置から操作信号が入力されなかった無操作時間を演算する無操作時間演算装置と、
前記原動機が稼働している間で前記走行装置に対する操作信号のみが入力された走行単独操作時間を演算する走行単独操作時間演算装置と、
前記原動機が稼働している間で前記作業装置に対する操作信号のみが入力された作業単独操作時間を演算する作業単独操作時間演算装置と、
前記操作信号判定装置で判定した各操作時間の燃料消費量を演算する燃料消費量演算装置と、
前記無操作時間、前記走行単独操作時間、前記作業単独操作時間を基に前記建設機械の作業内容を判定する作業判定装置と、
前記作業判定装置で判定した各作業内容の時間と燃料消費量を記憶する記憶装置と
を備えたことを特徴とする稼働状態記録装置。 - 請求項1の稼働状態記録装置において、
前記原動機の稼働時間から前記無操作時間及び前記走行単独操作時間を減算して作業時間を演算する作業時間演算装置を備え、
前記作業判定装置は、前記作業時間に占める前記作業単独操作時間の比率が設定割合以上である場合には前記作業時間を掘削操作時間と判定し、設定割合以下である場合には前記作業時間を積込操作時間と判定し、当該作業時間の燃料消費量を掘削操作時燃料消費量又は積込操作時燃料消費量のいずれかとして前記記憶装置に記録する
ことを特徴とする稼働状態記録装置。 - 請求項1又は2の稼働状態記録装置において、前記作業内容の時間及び燃料消費量を含むレポートを出力する出力装置を更に備えたことを特徴とする稼働状態記録装置。
- 原動機、走行装置、作業装置、並びにこれら走行装置及び作業装置の動作を指示する操作装置を有する建設機械の稼働状態記録方法であって、
前記原動機が稼働している間で前記操作装置から操作信号が入力されなかった無操作時間、前記原動機が稼働している間で前記走行装置に対する操作信号のみが入力された走行単独操作時間、前記原動機が稼働している間で前記作業装置に対する操作信号のみが入力された作業単独操作時間、及び判定した各操作時間の燃料消費量を演算し、
前記無操作時間、前記走行単独操作時間、前記作業単独操作時間を基に前記建設機械の作業内容を判定し、
前記判定した各作業内容の時間と燃料消費量を記録する
ことを特徴とする稼働状態記録方法。 - 請求項4の稼働状態記録方法において、
前記原動機の稼働時間から前記無操作時間及び前記走行単独操作時間を減算して作業時間を演算し、
前記作業時間に占める前記作業単独操作時間の比率が設定割合以上である場合には前記作業時間を掘削操作時間と判定し、設定割合以下である場合には前記作業時間を積込操作時間と判定し、当該作業時間の燃料消費量を掘削操作時燃料消費量又は積込操作時燃料消費量のいずれかとして記録する
ことを特徴とする稼働状態記録方法。
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