JP6162711B2 - アルカリ金属を使用する石油原料の改質 - Google Patents

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Description

本出願は、2011年11月16日出願の米国仮特許出願第61/560,653号を優先権主張した出願である。本出願は、更に、2010年11月1日出願の米国一部継続特許出願第12/916,984号、発明の名称:「アルカリ金属および炭化水素を用いた石油原料の改質」を優先権主張している。この一部継続特許出願は2009年11月2日出願の米国仮特許出願第61/251,369号を優先権主張している。これらの先の出願は、参照により本出願に引用される。
本発明は、硫黄および窒素などのヘテロ原子を石油原料から除去することに使用でき、従来の方法よりもより安価である新たなプロセスに関する。
米国特許出願第12/916,984号(参照により本出願に引用される)は、米国特許出願公開第2011/0100874号として公開されている。本開示を読む者はこの公開公報の開示内容に詳しいと思われる。この公開公報は、以下「874出願」と参照する。
エネルギー(およびエネルギーを誘導する炭化水素)の要求が引続き高まっている。しかしながら、このエネルギーを供給する炭化水素原料は、しばしば硫黄や金属を除去するのに困難を伴う。例えば、硫黄は大気汚染を引き起こし、自動車の排気ガスから炭化水素や窒素酸化物を除去するように設計されている触媒の被毒を引き起こす。燃料として使用できるように炭化水素原料から硫黄を除去するためには、高価なプロセスを必要とすることが必至である。更に、金属(例えば重金属類)が、しばし炭化水素原料中に見出される。これらの重金属類は、炭化水素類から硫黄を除去するために典型的に使用される触媒を被毒する。これらの重金属類を除去するために、更なる炭化水素類の加工プロセスが必要とされ、それによりますますコストが増加する。
現在、米国は、外国の石油に依存することを低減するために、新しいエネルギー源の探査が行われている。シェール油鉱物からレトルトされて石油が得られる豊富な埋蔵量のシェール油が、米国の将来のエネルギー需要に重要な役割を演じるであろうと推測される。米国において、1兆バレルを超える利用可能なシェール油の埋蔵が、コロラド、ユタ及びワイオミング州に位置するグリーンリバー(Green River)層として知られる比較的狭いエリアで発見されている。原油価格の上昇により、これらのシェール油資源は、代替エネルギー資源として非常に注目されるようになってきている。これらの資源を利用するため、コストシェール油資源などを使用できるようにするための、石油原料として費用効率性の高い特別な技術課題を解決しなくてはならない。これらの原料に関連する1つの課題としては、このシェール油を炭化水素燃料として適切に機能させるために除去すべき窒素、硫黄および金属が、比較的高レベルで含まれていることである。
硫黄、窒素または重金属の除去の必要がある炭化水素燃料の可能性の他の例としては、ビチューメン(カナダのアルバータ州に大量に存在する)及び重油(ヴェネズエラで発見される)が挙げられる。
シェール油、ビチューメン及び重油などの石油原料(これらを纏めて又は単独に「石油原料」と称する)中の高濃度に含まれる窒素、硫黄および重金属類はこれらの原料を加工することを困難にする。代表的には、これらの石油原料は、「水素処理」として知られるプロセスを介して精製され、硫黄、窒素および重金属類を除去する。
水素処理は、Co−Mo/Al又はNi−Mo/Al等の触媒を使用し、加熱、加圧下で石油原料を水素ガスで処理することによって行われる。
本発明において、石油原料をアルカリ金属(ナトリウム等)および水素ガスと混合する。この混合物は、適度な加圧下で反応させる(そして、通常過熱下で)。硫黄および窒素原子は、石油原料中の炭素原子に化学的に結合する。硫黄および窒素ヘテロ原子がアルカリ金属によってイオン性塩(NaS、NaN、LiS等)に還元される反応となる。コーキング(例えば、石炭状の生成物の形成)を防ぐために、反応は、ヘテロ原子と予め結合していた石油原料の炭素原子と結合を形成するための水素ガスの存在下で行われる。水素原子は、予めヘテロ原子と結合していた炭素原子と結合することにより、石油原料の水素対炭素比を増加させ、得られた有機物原料のヘテロ原子対炭素比を減少させる。水素処理反応後、有機相(石油原料)は粘度が低下し、更に、炭化水素燃料原料にするための精製工程に送られる。
水素処理プロセスにおいて形成されるイオン性塩は、濾過により有機化合物から除去されるたり、あるいは、最初に処理原料と硫化水素とを混合して水硫化アルカリを形成し、有機相(石油原料)から分離される相を形成する。この反応は、アルカリ金属がナトリウム(Na)の場合に以下の反応式で示される。もちろん、他のアルカリ金属も使用できる。
NaS+HS→2NaHS(375℃において液体である)
NaN+3HS→3NaHS+NH
窒素化合物は、アンモニアガス(NH)の形で除去され、放出または回収される。一方硫黄化合物は、NaHS等の水硫化アルカリ金属の形で、更なる分離プロセスを経て除去される。重金属類は、重量(比重)分離法により有機炭化水素から分離される。
プロセスの一環としてアルカリ金属が使用できる。ヘテロ原子を還元するため、水素の代わりにナトリウム又はリチウム等のアルカリ金属を使用する利点は、アルカリ金属は強い還元力を提供できることである。換言すれば、アルカリ金属は、ヘテロ原子を還元する能力に優れ、アルカリ金属窒化物またはアルカリ金属硫化物を形成できる。更に、アルカリ金属を使用することによって、不安定となる環を水素で飽和させる必要が少なくなり、その結果、非常に少ない量の水素でヘテロ原子を還元して除去できる。
アルカリ金属処理プロセスは、工業的に知られており、例えば、特許文献1〜3(米国特許第3,787,315号明細書、米国特許出願公開第2009/0134040号明細書および米国特許出願公開第2005/0161340号明細書)に記載されている(これらも参照により本願発明に引用される)。
水素処理プロセスを使用する欠点としては、水素処理プロセスのために水素ガスが必須の反応剤であるということである。しかしながら、水素ガスは高価である。一般的には、水素ガスは炭化水素分子に水を反応させて形成する。例えば、米国において、水素ガスの95%が、水蒸気−メタン改質プロセスを使用して天然ガスから製造されている。最初の工程は改質工程として知られ、天然ガス中のメタン(CH)に水蒸気(HO)を750〜800℃で反応させ、合成ガスを製造する。合成ガスは水素ガス(H)と一酸化炭素(CO)が主成分の混合物である。次の工程は、水蒸気シフト反応(転化反応)として知られ、最初の工程で製造された一酸化炭素を、触媒上で水蒸気(HO)と反応させ、水素ガス(H)及び二酸化炭素(CO)を形成する。第2工程(すなわち水蒸気シフト反応)は、350℃付近で生じる第1段階反応と200℃付近で生じる第2段階反応とから成る。
水蒸気−メタン改質プロセスの反応全体は、CH+2HO→4H+COとなる。それゆえ、(理論的に)製造される水素ガス1モル毎に、メタン0.25モルと水0.5モルとが必要となる。更に、製造される水素ガス1モル毎に、二酸化炭素0.25モルが製造され、大気中に放出される。水蒸気−メタン改質プロセスは、一般的に、65−75%程度の効率であることにも注目しなければならない。それゆえ、仮に70%の効率であるとすると、実際の水蒸気−メタン改質プロセスは、製造される水素ガス1モル毎に、メタン0.36モルと水0.71モルとを使用し、二酸化炭素0.36モルを放出する。
この水素処理での二酸化炭素の生成は、二酸化炭素の発生に関わるため多くの環境問題専門家から問題視されており、二酸化炭素の発生により環境に影響を及ぼすかもしれない。
多くの地域における更なる問題として、水素製造に必要な水に乏しいことである。例えば、シェール油のグリーンリバー層の一部がある西部コロラド及び東部ユタ地域では、気候が乾燥し、水素ガスの形成において水を使用することは高価である。
また、ある実業者は、電解プロセスを使用して水素処理プロセスに必要な水素ガスを供給している。この電解反応は、水の電気分解を含む。この電解反応において、水は、カソードにおいて水素を形成し、アノードにおいて酸素を形成するように分割される:HO→H+1/2O。この反応において、電気エネルギーが使用されて水を分割する。セルの作動効率が90%で約1.4Vで作動させた場合、必要とされる電気エネルギーは、製造される水素1モル当たり約72kcal/モルである。この電解反応において製造される水素1モル毎に、水1モルが消費される。この方法では、1モルの水が消費されて水素を製造するため、水蒸気−メタン改質プロセスで使用される水素を製造するのに必要な水(水0.71モル必要)よりも多くの水が電気分解を介して水素を製造する際に必要である。それゆえ、水のコストが高い乾燥した地方において、水素製造のために電解プロセスを使用することは、経済的実現が難しい。
それゆえ、通常の水素処理やアルカリ金属脱硫プロセスは知られてはいるものの、高価であり、機能するプラントを作るためには巨額な投資を必要とする。硫黄および窒素などのヘテロ原子を石油原料から除去することに使用でき、従来の方法よりもより安価である新たなプロセスが、産業的に必要とされている。そのようなプロセスをここに開示する。
更に、精製装置によって製造された多数の有機物流からナフテン酸を除去しなくてはならない。ナフテン酸類(NAPs)は、原油または種々の精製流中に存在するカルボン酸である。これらの酸は精製装置の腐食の原因となる。石油の酸性度の共通評価基準として、Total Acid Number(全酸価、TAN)値があり、石油原料1gにおける酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム(mg)量で規定される(石油原料中には他の酸もあり、TAN値に寄与する)。TAN>1である全ての石油流は、高TANと呼ばれる。NAPsは、種々の異なる化合物の混合物であり、蒸留を介しては分離できない。その上、高TAN原油はBrent原油(北海原油)価格よりディスカウントされる。例えば、Doba原油(ドバイ原油)はTAN値が4.7でり、Brent原油の1バレル当たりの基本価格$80から1バレル当たり$19ディスカウントされる。
NAPsは、ケロシン(灯油)/ジェット燃料と同じ沸点範囲で沸騰する(しかしながら、ケロシン/ジェット燃料には非常に厳しいTAN仕様規制がある)。水性苛性または他の塩基を使用してこれらの酸を中和して塩にする試みがある。これらの水中の塩は、安定なエマルションの形成を導く。更に、NAP還元手法は、水素処理または脱炭酸処理という分解手法を含み、これらの方法ではNAPsを回収できない。溶媒抽出または吸着法は、吸着剤の再生や溶媒の沸騰などでのエネルギー使用から高コストである。そのため、低エネルギー消費でNAPsを除去でき、NAPsを回収でき、製品として加工処理も出来るような新たな手法が要求されている。従って、NAPsの中和および/または除去する新たな手法が必要である。本発明において、そのような方法および装置をここに開示する。
米国特許第3,787,315号明細書 米国特許出願公開第2009/0134040号明細書 米国特許出願公開第2005/0161340号明細書
本発明の目的は、硫黄および窒素などのヘテロ原子を石油原料から除去することに使用でき、従来の方法よりもより安価である新たなプロセスを提供することである。
本実施態様は、強アルカリ金属剤の利点を生かし、アルカリ金属を直接取り扱ったり、貯蔵したり移送することなく、石油原料を改質する方法を提供する。本方法は、所定量の石油原料を得る工程を含み、石油原料は、少なくとも1つの炭素原子とヘテロ原子および/または1つ以上の重金属とを含む。所定量の石油原料は、反応器内の電極上で発生するアルカリ金属と反応する。アルカリ金属を用いた反応は、更に、水素ガス又は炭化水素などの改質剤炭化水素を使用することを含んでもよい。
これらの実施態様を実施するために、少なくとも一部においてアルカリ金属イオン伝導性膜に分離された少なくとも2つの室を有する反応器を使用する。この膜は、アルカリ金属イオン源材料(例えば、ナトリウム塩またはナトリウム金属から成る液体)から、アルカリ金属イオンを伝導させる。正電荷を持つ電極(アノード)はアルカリ金属イオン源と連通している。反応器の反対側の室は(石油原料室と称する)は、石油原料流(有機石油原料から成る)と負電荷を持つ電極(カソード)とを含む。アルカリ金属が石油原料室に入ると、石油原料中のヘテロ原子および/または重金属と反応し、1つ以上の無機生成物を形成し、改質剤炭化水素は石油原料と反応し、改質された石油原料を製造する。改質剤炭化水素との反応は、改質された石油原料の炭素数が改質前の元の石油原料の炭素数よりも大きくなるように操作される。無機生成物は改質された石油原料から分離される。石油原料、アルカリ金属および改質剤炭化水素分子の反応は、水素ガス使用または不使用で実施されてもよい。水素ガスを使用する場合は、必要とされる水素ガスの量は、通常の水素処理で必要とされる量よりもはるかに少ない量である。
ある実施態様において、アルカリ金属は、ナトリウム、リチウム又はリチウムとナトリウムとのアロイから成る。改質剤水素源は、水素、天然ガス、シェールガス及び/又はこれらの混合物から成る。他の実施態様において、改質剤炭化水素は、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、これらの異性体、エテン、プロペン、ブテン、ペンテン、ジエン、及び/又はこれらの混合物から成る(精製プロセスにおいて製造されるガスの混合物である石油レトルトガスも改質剤炭化水素として使用してもよい)。
石油原料をアルカリ金属と反応させるプロセスは、2つの工程から成る。第1工程は、膜を介してアルカリ金属イオンを移送し、負電荷を持つ電極上の膜表面(膜表面に直接固定されていてもよい)においてアルカリ金属イオンを還元する工程を含む。第2工程は、形成されたアルカリ金属を石油原料中の成分(または、石油と共に下流分と反応させる)と直接反応させる工程を含む。アルカリ金属が形成される電極は、多孔質またはメッシュから成っていてもよい。他の実施態様において、電極は、導線(または電流コレクタ)に接続されている金属アルカリ金属フィルムであってもよい。連続性を維持するため、スクリーン又はメッシュが、石油原料からアルカリ金属が還元される領域を分離するための仕切板の役割を提供してもよい。このスクリーンは形成されたそれ自身のアルカリ金属を透過できる。
アルカリ金属と石油原料との反応は、大気圧〜2500psiの加圧下および/または約100℃〜450℃の温度で生じる。他の実施態様において、アルカリ金属と石油原料との反応は、アルカリ金属の融点よりも高く且つ450℃より低い温度で生じる。さらに、他の実施態様において、この反応で触媒を使用する。触媒は、モリブデン、ニッケル、コバルト又はそれらのアロイ、酸化モリブデン、酸化ニッケル又は酸化コバルト、及び/又はこれらの組合せから成る。
アルカリ金属と石油原料との反応は無機生成物を製造するため、分離工程が必要となる。プロセス中の分離工程は、無機生成物が、改質された石油原料および/または未反応石油原料から成る有機相から分離可能な相を形成するようなセパレーターで行う。分離を容易にするために、セパレーターに融剤を添加してもよい。分離後、無機生成物からアルカリ金属を再生し、再使用する。
反応により改質された石油原料は、元の石油原料よりも大きな水素対炭素比を有する。反応により製造された改質された石油原料もまた、元の石油原料よりも大きなエネルギーを有する。更に、改質された石油原料のヘテロ原子対炭素比は、元の石油原料ヘテロ原子対炭素比よりも小さい。
更なる実施態様において、石油原料のTAN値を低くするために、石油原料にアルカリ金属を添加するように設計される。具体的に、アルカリ金属が石油原料と反応し、酸性化合物を除去し、それによりTAN値が低くなる。ある実施態様において、元の(未反応)石油原料のTAN値が1以上である場合、アルカリ金属との反応後ではTAN値が1以下となる。
本発明によれば、硫黄および窒素などのヘテロ原子を石油原料から除去することに使用でき、従来の方法よりもより安価である新たなプロセスを提供できる。
図1は、所定量の石油原料を脱酸するために使用される装置の概略図である。 図2は、所定量の石油原料を改質するために使用される装置の概略図である。 図3は、所定量の石油原料を脱酸するために使用される装置の概略図である。 図4は、所定量の石油原料を脱酸するために使用される装置の他の実施態様の概略図である。 図5は、所定量の石油原料を改質するために使用される装置の他の実施態様の概略図である。 図6は、所定量の石油原料を改質するための方法を示すフロー図である。 図7は、所定量の石油原料を改質するために使用されるシステムの他の実施態様の概略図である。
本発明の実施態様は、石油を脱酸し、精製流とする方法に関する。そのような脱酸は、配管腐食を低減し、ナフテン酸を塩の形態に変換するため、有益である。本発明の実施態様は、ナフテン酸と反応させる手段として、アルカリ金属(例えば、ナトリウム又はリチウム金属)を石油原料に添加し、それによってこれらの酸を脱酸する。この反応が起こると、ナフテン酸は対応するナトリウム又はリチウム塩(あるいは他の無機生成物)に変換される。水素ガスもまたこの反応において形成される。この反応は以下のようにまとめられる。
R−COOH+Na→(R−COO)Na+1/2H
また、ナトリウムは更に酸素原子と反応し、以下の式に示すようにカルボキシル基を取り除く。
R−COOH+4Na+H→R−CH+2Na
この方法におけるナフテン酸類(NAPs)との反応は好ましく、その結果として、石油原料のTotal Acid Number(TAN、全酸価)を低減できる。アルカリ金属が石油原料に添加される方法としては、複数の異なる方法がある。ある実施態様において、ナトリウム又はリチウム金属を直接流体に添加する。これが行われると、無機生成物が石油流から濾別される。他の実施態様において、(ここに記載されるように)石油原料流にアルカリ金属を添加する他の機構も提供される(例えば、その場においてアルカリ金属を形成する方法)。
酸(ナフテン酸など)と反応するのに加え、石油原料に添加されるアルカリ金属は、硫黄/窒素、金属(例えば重金属)等を除去するためにも反応することも特筆すべきである。これらの金属/ヘテロ原子を除去するためのこのプロセスは、874出願中にも議論されている。それ故、石油原料にアルカリ金属を添加することによって、石油原料流中の酸に関する問題のみならず、石油原料流中の金属/ヘテロ原子に関する問題も解消できる。
金属ナトリウム又はリチウムは非常に反応性が高いため、多くの工業的な石油加工において取り扱いにくいことも特筆すべきである。換言すれば、これらを実践する人にとって、ナトリウム/リチウムを使用することは厄介であり、石油原料流中に直接これらを添加することは危険である。したがって、本実施態様では、石油原料室内において(例えば、その場所で)電気化学的にアルカリ金属を製造し、これによりナトリウム等のアルカリ金属を石油原料に直接接触させるように作動する方法および装置も提供する。このアルカリ金属が室内で製造されると、石油原料内の重金属/ヘテロ原子および/または酸と反応して消費される。これらの実施態様は、大量の金属を存在させること無しで、アルカリ金属に関わる強い還元力および反応性を提供する点で好ましい。換言すれば、本実施態様は、実践者がアルカリ金属を取り扱い、貯蔵し、移送するような必要も無く、アルカリ金属(例えば強還元剤)を使用して石油原料を改質できる。
図1には、所定量の未処理石油原料(第1の石油原料)9を脱酸するのに使用される装置2が示される。図1に示されるように、石油原料9は室3内に配置される液体である。室3は、反応管、電解セルの室(例えばここに示されるように)等であり、当業者ならば、どのような管、容器などが室3として使われるかは理解できるであろう。
石油原料9は所定量のナフテン酸8を含む。上述のように、ナフテン酸8は、原油または種々の精製流中に存在するカルボン酸から成る。ナフテン酸8は多くの異なる化合物の混合物であり、蒸留によって分離できない。石油原料9からナフテン酸8を除去するために、所定量のアルカリ金属5を室3に添加する(アルカリ金属を「AM」と略す)。ある実施態様において、アルカリ金属が、ナトリウム、リチウム又はナトリウムとリチウムとのアロイである。液体のアルカリ金属5を容易に液体の石油原料に添加できるように、室3は、アルカリ金属5の融点よりも高い温度に保たれる。ある実施態様において、反応は、アルカリ金属の融点より高い温度(または約100℃よりも高い温度で)で行われる。他の実施態様において、反応温度は約450℃未満である。
室3にアルカリ金属5を添加した際、アルカリ金属5は石油原料9と反応する。より具体的には、アルカリ金属5は所定量のナフテン酸8と反応して脱酸石油原料12を形成する。この反応において無機酸生成物13が形成されるため、生成物セパレーター10が使用され、無機酸生成物から脱酸石油原料12を分離する。当業者ならば、この分離がどのように行われるかは理解できるであろう。更に、当業者ならば、生成物セパレーター10として使用される構成体(例えば沈降室など)についても理解できるであろう。生成物セパレーター10は、室3と一体となっていてもよく、また、図1に示すように別の構成体であってもよい。
ここに示すように、アルカリ金属5とナフテン酸8との反応は、石油原料9からナフテン酸8を除去するように操作される。それゆえ、脱酸石油原料12のTAN値は、元の(未反応)最初の石油原料9のTAN値よりも低い。例えば、ある実施態様において、元の(未反応)石油原料9のTAN値が1以上の場合(例えば、3、4、5等)、脱酸石油原料12のTAN値は、例えば1以下と低くなる。上述のように、石油原料9中の他の酸も、石油原料9のTAN値に寄与する。これらの酸もまた同様の方法でアルカリ金属と反応し、TAN値を更に低くする。
このTAN値の低減は、石油原料の所有者に対し非常に大きな経済面での利益をもたらす。上述のように、石油製品の1バレル当たりの値段は、高TAN値(すなわち、TAN値が1を超える)を考慮して、しばしば、低TAN値の石油製品の1バレル当たりの値段に対して大幅なディスカウントが行われるからである。それゆえ、石油原料中のTAN値の低減は、石油原料の価値を極めて高めるものである。
図2は、装置2aの他の実施態様を示す。上述のように、装置2aは図1中の装置2と類似である。装置2aは、石油原料9の脱酸を行うように設計されている。それと同時に、装置2aはまた、石油原料9中に存在する重金属14及び/又は1つ以上のヘテロ原子11を除去することによって、最初の石油原料9の更なる改質も行うように設計されている。
上述のように、重金属14(例えば、ニッケル、バナジウム、鉄、ヒ素など)が、石油原料9のサンプル中にしばしば認められる。ある実施態様において、これらの重金属14は、炭化水素加工工程において典型的に使用される触媒の被毒をもたらすため、除去することが望ましい。しかしながら、図2に示すように、装置2aは、アルカリ金属5が石油原料9中の重金属14と反応するように設計されている。より具体的には、アルカリ金属5をナフテン酸8と反応させて石油原料の脱酸を行うこと(上述のように)に加えて、所定量のアルカリ金属5を更に重金属14と反応させて、重金属を金属状態に還元する。この反応もまた室3で行ってもよい。
図2示すように、これらの重金属16は、分離され、回収される(生成物セパレーター10を使用して)。金属状態の重金属16は、無機物質であり、有機石油原料から分離される。従って、生成物セパレーター10は、重金属16を分離するための手段としてこの性質を利用する。当業者ならば、重金属16を分離するために使用される他の分離方法を使用できることを理解できるであろう。金属16が分離されると、それらを回収し、販売し、更なる加工を施してもよい。これらの金属は一般的に高価な商品となるため、そのような金属を集め(そして使用/販売される)ることは、石油原料の所有者にとって大きな商業的利益を与える。
重金属を除去するのに加え、アルカリ金属5は、石油原料9中に存在する1つ以上のヘテロ原子11(N、S等)とも反応する。これらのN、S原子は、有機石油原料9中の炭素/水素原子に結合されている。しかしながら、ここに記載されているように、アルカリ金属5は、これら1つ以上のヘテロ原子11と反応して無機硫黄化合物/無機窒素化合物17を形成する。例えば、アルカリ金属5がナトリウムの場合、ヘテロ原子11との反応により、NaS、NaN及び/又は他の無機生成物などの無機硫黄生成物/無機窒素生成物17を形成する(再度、生成物セパレーター10が、石油原料から無機硫黄化合物/無機窒素化合物17を分離するために使用されてもよい)。無機硫黄生成物/無機窒素生成物17が除去されると、処理後の石油原料ヘテロ原子対炭素比は、処理前の(未処理、未反応)石油原料9ヘテロ原子対炭素比よりも小さくなる。
石油原料9は、脱酸、脱金属、脱硫黄および/または脱窒素がなされ、そして、この石油原料は「改質された」石油原料12aと呼ばれ、この原料は更なる精製や商品化などに非常に適している。
図2に示す実施態様において、単独の生成物セパレーター10は、重金属16、無機酸化合物13及び無機硫黄/窒素生成物17を分離除去し、それにより、改質された石油原料12aからこれらの物質を除去するとして図示されている。しかしながら、当業者は、そのような分離を達成するのに複数の生成物セパレーター10及び/又は分離手段も使用できることは理解できるであろう。更に、改質された石油原料12aから種々の物質の連続分離方法もある。
図2の実施態様において、1つの室3が、石油原料9とアルカリ金属5とを反応させるために使用される(それにより、ナフテン酸8、重金属14及びヘテロ原子11が有機石油原料から除去される)。当業者ならば、そのような反応は異なる室においても行うことができることは理解できるであろう。換言すれば、この実施態様は、第1の室がアルカリ金属5と重金属14とを反応させるのに使用され(そしてその後、重金属14が分離される)、第2の室がアルカリ金属5とナフテン酸8とを反応させるのに使用され(そしてその後、酸化合物13が分離される)、そして第3の室がアルカリ金属5とヘテロ原子11とを反応させるのに使用される(そしてその後、硫黄/窒素化合物17が分離される)ように設計されていてもよい。もちろん、もし異なる室がこれらのそれぞれの反応に使用されるのであれば、圧力、温度、流量などの反応条件が、個々の反応に最適と成るように調節/適応される。
図1及び図2に示す実施態様において、アルカリ金属5は室3に添加するように示されている。当業者はならば、反応を誘発するために添加されるアルカリ金属5による種々の異なる方法があることは理解できるであろう。例えば、アルカリ金属5のサンプルを単純に室3に添加してもよい。しかしながら、多く石油プロセス工業において、金属ナトリウム(又は他の金属アルカリ金属)の反応性ゆえそのまま扱うことは好ましいものではない。それゆえ、他の実施態様において、室3内のその場においてアルカリ金属イオンからアルカリ金属5が形成されるように設計される。換言すれば、アルカリ金属イオン(安全で取扱いやすい)が室3に添加され、そして、そのイオンが電気化学還元反応を経て還元されて金属状となる。これらのアルカリ金属イオンがその場で還元され、金属状アルカリ金属5を形成し、形成されたアルカリ金属5は直ちに石油原料9と反応し(ここに記載されている方法で)、形成後即座にほとんどが消費される。このアルカリ金属をその場で電気化学的に形成する実施態様は、相当量の金属を存在させることなく、アルカリ金属の石油原料に対する強力な還元力および反応性を付与できるという利点を有する。
図3は、石油原料の脱酸、ヘテロ原子/重金属の除去、および/または石油原料の改質に使用される装置100の1実施態様を示す。具体的には、装置100は、少なくとも2つの室、すなわち、石油原料室20及びアルカリ金属源室30から成る。石油原料室20は外壁21を有し、入り口22及び出口23を有していてもよい.
石油原料室20は、アルカリ金属イオン伝導セパレーター25によってアルカリ金属源室30から分離されている。イオンセパレーター25は、アルカリ金属がナトリウムの場合、Nasicon、ナトリウムβ−アルミナ、ナトリウムβ−第1アルミナ又はナトリウムイオン伝導ガラス;アルカリ金属がリチウムの場合、Lisicon、リチウムβ−アルミナ、リチウムβ−第1アルミナ又はリチウムイオン伝導ガラスとして知られるセラミック材料から成る。イオンセパレーター25を構成する材料は、Ceramatec,Inc.(セラマテックインク、ユタ州、ソルトレークシティ)社から入手できる。
負電荷を有し、電源40(電線42を介して)に接続されるカソード26は少なくとも部分的に、石油原料室20内に収納される。好ましくは、カソード26は、イオン抵抗を最小とするために、イオンセパレーター25にきわめて接近して配置される。カソード26は、イオンセパレーター25に接続されている(図3に示すように)か、あるいはイオンセパレーター25にスクリーン印刷されている。他の実施態様において、米国特許出願公開第2010/0297537号明細書、発明の名称「ELECTROCHEMICAL CELL COMPRISING IONICALLY CONDUCTIVE MEMBRANE AND POROUS MULTIPHASE ELECTRODE」(イオン伝導性膜および多孔性多相電極から成る電気化学的セル、この特許公報の記載は特に本願に参照により引用される)に記載されるように、カソード26はイオンセパレーター25と一体化されていてもよい。イオンセパレーター25に接してまたは近傍にカソード26を配置することにより、石油原料がイオン/電荷を移送するためにイオン伝導性を有する必要がない。
アルカリ金属源室30は、外壁31と、入り口32及び出口33とを有する。アノード36(正電荷に帯電した)は、電源40に(電線42を介して)接続されており、少なくとも一部はアルカリ金属源室30に配置される。カソード26の好ましい材料としては、電気的導電性である炭素、グラファイト、ニッケル、鉄などから成る材料が挙げられる。アノード36の好ましい材料としては、チタン、白金メッキチタン、炭素、グラファイト等から成る材料が挙げられる。図3に示される実施態様において、カソード26及びアノード36は、同じ電源40に接続されている。更に、図3は、入り口22及び32を介して室20及び30から出ていく電線42も示す。このような描写はわかりやすくするものであり、これに限定されるものではない。当業者ならば、カソード26及び/又はアノード36に接続するためにどのように電源40/電線42を配置するかは理解できるはずである。同様に、当業者ならば、カソード26及びアノード36が、種々の方法によって電源に接続できることを理解できるはずである。
装置100の操作方法について記載する。具体的には、まず石油原料50を石油原料室20に供給する(例えば、注入口22を介して流入させる)。同時に、アルカリ金属51の溶液をアルカリ金属源室30に流す。このアルカリ金属溶液は、例えば、硫化ナトリウム、硫化リチウム、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム等の溶液である。アノード36及びカソード26に電源40から電位を印加する。この電圧により化学反応が生じる。これらの反応は、イオンセパレーター25を介してアルカリ金属イオン52(「AMイオン」52と略す)を透過させる。換言すれば、アルカリ金属イオン52は、アルカリ金属源室30からイオンセパレーター25を介して石油原料室20に流れる。
アルカリ金属イオン52(例えば、ナトリウムイオン又はリチウムイオン)を、イオンセパレーター25に透過させると、イオン52が、カソード26においてアルカリ金属状態55(例えば、ナトリウム金属またはリチウム金属)に還元される。形成されると、アルカリ金属55は石油原料50と混ざる(矢印58で示される)。ここに記載されているように、石油原料50とアルカリ金属55との間の反応は、石油原料50中の酸(例えば、ナフテン酸)との反応を含む。それゆえ、室20内でその場で形成されたアルカリ金属55との反応は、石油原料50中の酸含有量を低減させるように行われ、それにより石油原料50のTAN値を低減させる。
更におよび/またはそれとは別に、石油原料50と室20内に形成されるアルカリ金属55との反応は、石油原料50中の硫黄または窒素部分との反応を生じさせる。この反応は更に、石油原料50のバナジウムやニッケル等重金属を還元する。更に、「874出願」にも説明されているように、アルカリ金属55とヘテロ原子(S、N)との反応は、高温、高圧下、アルカリ金属によって硫黄および窒素のヘテロ原子をイオン塩に還元させる(例えば、NaS、NaN、LiS等)。これらのイオン塩は、次いで石油原料50から除去される。それにより、石油原料50中の硫黄および窒素の含有量は、室20内で形成されたアルカリ金属55の反応により顕著に減少する。換言すれば、改質された石油原料のヘテロ原子対炭素比は、未処理(未反応)石油原料のヘテロ原子対炭素比よりも小さい(ヘテロ原子の比率が小さい)。また、石油原料中の重金属の量は更に減少する。改質された(反応処理済)石油原料中の炭素対重金属の比率は、未処理(未反応)石油原料中の炭素対重金属の比より小さい(重金属の比率が小さい)。
更に、石油原料50に加えて、室20は、石油原料50と反応する所定量の改質剤である炭化水素60を含んでいてもよい(矢印74で示す)。具体的には、「874出願」に教示されているように、石油原料50の硫黄/窒素部分がアルカリ金属55と反応した際に、改質剤である炭化水素60と反応してラジカル種が形成される。ある実施態様において、改質剤である炭化水素60は、ナフテン酸と反応することによって形成される水素ガスを含む水素ガスでもよい(もし水素が炭化水素60として使用される場合、必要とされる水素の量が、一般的な水素処理プロセスが利用できる場合に必要とされる水素の量よりも少ない場合である)。他の実施態様において、改質剤である炭化水素60が、天然ガス、シェールガス及び/又はこれらの混合物、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、これらの異性体、エテン、プロペン、ブテン、ペンテン、ジエン及び/又はこれらの混合物から成る。「874出願」に説明されているように、改質剤である炭化水素60とのこの反応は、未処理の石油原料60より大きい水素対炭素の比を有するような改質剤である炭化水素を製造するように操作される。この反応で製造される改質された石油原料は、未処理の石油原料60よりも大きなエネルギー値(価)を有する。代表的には、改質剤である炭化水素60の存在が、反応中の不溶固体の形成を減少させる。これらの不溶物はラジカル反応の一部として形成される粗大有機ポリマーであると考えられる。しかしながら、改質剤である炭化水素60を使用することにより、この炭化水素60が、これら固形物である有機ポリマーの形成を防止する「封止」種として働く。それゆえ、炭化水素60を使用することにより、後続における液体石油原料の収率が増加する(例えば、目的とする生成物の)。
図3に示す反応は高温で行われる。例えば、この反応は、ナトリウムの融点を超えるかあるいは、特定の石油原料のために効果的であるとわかっているより高い温度で行われる。装置100の操作法は、アルカリ金属源室30のナトリウム源51として溶融ナトリウム、またはリチウム源としては溶融リチウム金属を使用することから成る。この反応は、更に、例えば300−2000ポンド/平方インチ(PSI)の高圧下で行われてもよい。
ある実施態様において、石油原料50は装置100を通過させる(硫化ナトリウム溶液も通過する)。装置100に通過した後、石油原料は、異なる温度と圧力で作動される他の容器に流入する(例えば、所望の反応をより行いやすくする温度と圧力で、第2の容器の容量における石油原料の滞留時間が反応速度および流量に適合するようにする)。
以下に記載されるように、ここに概略する反応を行う際に種々の固体、無機生成物などが形成される。これらの無機生成物は、NaS、NaN、重金属およびラジカル反応によって形成される固体有機ポリマーから成る。これらの無機化合物を取扱うため、図3に示す装置に伴って使用されるプロセスは、液体から固体を除去するための十分な時間ナトリウムに暴露した後に、更に濾過または遠心力により石油原料を分離する工程を含んでもよい。この分離は、以下に説明するセパレーター80の使用を含んでもよい。
石油原料50、アルカリ金属溶液51及び装置100の他の成分を極性溶媒に溶解させる。極性溶媒としては、ホルムアミド、メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、メチルアセトアミド、ジメチルアセトアミド、トリエチルアミン、ジエチルアセトアミド、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルプロピレン尿素、ブチレンカーボネート、シクロヘキサノール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、エタノールアミン、メチルスルホキシド、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、ピリジン、キノリン、アンモニア、イオン性液体または溶融塩などが挙げられる。例えば、アルカリ金属溶液51が、これらの溶媒の1つ以上に溶解し、次いでアルカリ金属源室30に流れ込む(アルカリ金属溶液51として使われる塩は、アルカリ金属塩化物、水酸化物、リン酸塩、炭酸塩、硫化物などである)。同様に、このような溶媒は石油原料50及び/又は炭化水素60に使用されてもよく、次いで混合物は室20に流れ込む。
アルカリ金属源の種類によって(例えば、アルカリ金属溶液51)、アルカリ金属源室30内のアノード反応は変化する。例えば、硫化物の場合は多硫化物および/または原子状硫黄を形成してもよく、塩化物の場合は塩素ガスを形成してもよく、水酸化物の場合は酸素ガスを形成してもよく、炭酸塩の場合は酸素ガス形成や二酸化炭素の放出があってもよいなどである。もしアルカリ金属源がアルカリ金属の場合、金属イオンは単純な形態となる。これらの変化は異なる実施態様を構成する。ガスの取扱い及び回収が全体のプロセスの一部となる。
図3に示すように、石油原料室20内で形成される生成物は、生成物セパレーター80に送られる(矢印82で示される)。生成物セパレーター80内で、無機生成物が、改質された石油原料および/または未反応石油原料から成る有機相から分離可能な相を形成する。この分離を容易にするため、生成物セパレーターに融剤(フラックス)を添加してもよい(当業者ならば、有機石油原料と無機生成物とを容易に分離できる融剤として使用できる材料についてよく知っているはずである)。分離後、無機生成物からアルカリ金属が再生され、再利用されてもよい。ある実施態様において、生成物セパレーター80が沈降室であっても他の類似の構造体であってもよい。
図4は、装置100の他の実施態様を含む概略図である。図4に描かれる多くの構成/要素は、図3に描かれているそれと類似する。従って、簡略のため、多くの構成/要素に関する説明は省略する。
図4は、図3に描かれる類似の実施態様の概略図を描いたものであるが、異なる点は、多孔質の仕切り101がイオンセパレーター25と石油原料50との間に配置されていることである。この仕切り101は、金属メッシュ、穴のあいた金属シートガラス繊維メッシュ、炭素繊維メッシュ、アルカリ金属を通過できる穴または孔を有する他の材料から成る。アルカリ金属102はイオンセパレーター25において形成され、アルカリ金属102と接触した負に帯電された集電体103を有するカソードとして機能する(または、電気的伝導性を有する場合、多孔性仕切り101は負に帯電され、集電体として機能する)。アルカリ金属102が形成されると、多孔性仕切り101を流通し、上述の方法で石油原料50と反応させてもよい。
それ故、ここで説明するように、これらの原料流体の脱酸の発明の一部として、少なくとも3つの異なるプロセスが挙げられる。
1)ナトリウム又はリチウムを原料流体に直接添加し、酸塩および水素を形成し、次いで酸塩を原料流体から濾別する。
2)ナトリウム又はリチウム源がアルカリ金属源室中に有り、石油原料が石油原料室に有り、ナトリウム金属が石油原料室と共に配置されるカソードにおいて形成し、アルカリ金属が石油原料と反応して、酸を酸のナトリウム又はリチウム塩に変換し、副生物として水素が発生するような方法の新規の装置を使用する。
3)アルカリ金属源室中にナトリウム又はリチウム源が有り、石油原料が石油原料室に有り、アルカリイオンは電位勾配下で2つの室を分離するイオンセパレーターを通過し、石油原料室と共に配置されるカソードにおいて水素が発生し、アルカリ金属イオンは有機酸アニオンと結合して塩を形成するような方法の新規の装置を使用する。この場合、低水素過電圧を有するカソード材料(例えば、白金または他の材料)の使用が好ましい。
酸を除去する場合、水素ガスが副生物であるので、カソードを有する石油原料室に改質剤である炭化水素(ガス)60を添加する理由がない。そのような場合、この形成された水素が改質剤である炭化水素60として機能する。もし、硫黄、窒素などのヘテロ原子が存在する場合、水素、天然ガス、シェールガス及び/又はこれらの混合物などの改質剤であるガス60が必要となる。
アルカリ金属102の添加は、ナフテン酸中の酸性水素を単に中和することではない。具体的には、ナフテン酸はR-COOHの構造を有する。ある実施態様において、アルカリ金属102は、アルカリ金属添加後の残った炭化水素がR-CH、R-H等を有するように酸素原子(水素原子に加え)と反応する(この反応の理由は、アルカリ金属102が水素部分と同様に酸素部分を還元する)。生成した無機生成物はNaOH、NaO等を含む。上述の通り、アルカリ金属103との反応後、石油原料50のTAN値は減少する。しかしながら、上述の酸素部分との反応は、脱酸された石油原料と塩基(NaOH等の)との単純な反応によりTAN値を増加させない(または処理前の状態に戻る)。むしろ、ここで説明するように、TAN値の減少が、ナフテン酸または他の酸基を純粋な炭化水素官能基(例えば、R-CH、R-H基など)に変換することをもたらすものである。
図5は、装置100の他の実施態様を示す。具体的には、装置100は石油原料50の改質に使用される。より具体的には、石油原料50が脱酸、脱硫黄、脱金属および脱窒素されることにより、石油原料50が改質される。換言すれば、装置100は、石油原料50から硫黄、重金属、酸(例えばナフテン酸など)及び窒素を除去するように操作可能である。
図5に示される装置100の実施態様は、図3に示され、記載されるものと類似する。従って、簡略のため、多くの説明は省略する。明確にするため、電線42および電源40が図5には記載されていない。しかしながら、当業者は、このような構成が実際に存在し、装置100に関連した電解反応を行うために必要であることは理解できるであろう。
ここに示すように、図5に示す石油原料50は、所定量の重金属、ナフテン酸および少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、窒素および硫黄)を含む。従って、以下に概説する方法を使用してそのような物質を石油原料50から除去する。具体的には、石油原料50を所定量のアルカリ金属55a、55b、55cと接触させる(矢印58が、アルカリ金属55a、55b、55cと石油原料50との反応を表す)。より具体的には、石油原料50が、第1の所定量のアルカリ金属55aと接触する。第1の所定量のアルカリ金属55aと石油原料50との反応で、アルカリ金属55aと石油原料50中の重金属とが反応する。この反応した石油原料は、室20から排出され、生成物セパレーター80を通過する。生成物セパレーター80の目的は、石油原料から重金属を除去することである。これらの重金属は、回収され、販売されるなどしてもよい。
図5に示すように、生成物のセパレーター80を透過した後、石油原料50(すでに重金属が除去されている)は室20に戻される。室20は前段で重金属を除去するのに使用されたものと同じ室であってもよく、また、生成物セパレーター80の下流側に配置される異なる装置100の室20であってもよい。
室20内で、石油原料50(重金属がすでに除去されている)は、第2の所定量のアルカリ金属55bと反応する。この際、アルカリ金属55bはナフテン酸と反応して脱酸石油原料を形成し、脱酸した石油原料のTAN値は未反応の石油原料のTAN値より小さくなる。酸と反応した後、反応した石油原料50は、第2の所定量のアルカリ金属55bと反応して形成された無機物質を除去するのに使用される生成物セパレーター80に再度送られる。この無機物質の分離は、重金属を除去するのに使用したものと同じ生成物セパレーター80で行ってもよく、また、異なる生成物セパレーター80で行ってもよい。
生成物セパレーター80を通過した後、石油原料50(重金属およびナフテン酸が前段で除去されている)は室20に戻される。この室20は重金属/ナフテン酸を除去するのに前段で使用されたものと同じ室であってもよく、また、生成物セパレーター80の下流側に配置される異なる装置100の室20であってもよい。室20内で、石油原料50(重金属/ナフテン酸がすでに除去されている)は、第3の所定量のアルカリ金属55cと反応する。第3の所定量のアルカリ金属55cとの反応で、少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、N、S)が石油原料50から除去され、改質された石油原料が形成される。改質された石油原料のヘテロ原子対炭素比は、未反応の石油原料のヘテロ原子対炭素比より小さい。この生成物は、再度生成物セパレーター80を通過させて、石油原料から無機物質および/またはN、S部分を除去し、これにより改質された石油原料を得る。
図5中の所定量のアルカリ金属55a、55b、55cは、アルカリ金属イオンをセパレーター25に通過させることによる装置100−等の方法を利用して導入し、次いで室20内においてその場で金属状態に還元される。もちろん、他の実施態様において、所定量のアルカリ金属55a、55b、55cの1つ以上が石油原料50に直接導入されるように設計されてもよい(例えば、還元反応を介して生成される金属なしで)。異なる所定量のアルカリ金属55a、55b、55cは、同じアルカリ金属であっても異なるアルカリ金属であってもよい。
図6は、所定量の未処理石油原料50aの改質に使用される方法190のフロー図を示す。具体的には、先ず、所定量の石油原料50を得る。この石油原料50は、所定量の重金属、酸(例えば、ナフテン酸)および/または1つ以上のヘテロ原子(例えば、硫黄および窒素部分)を含む。石油原料50aを改質するために、これらの金属/ヘテロ原子/酸類が、石油原料50aから除去される。具体的には、所定量の石油原料50が室110aに添加される。この室110aは「脱金属」室と参照し、この室110a内で石油原料50aから重金属が除去される。ある実施態様において、室110は上記の石油原料室20のような種類であってもよい。しかしながら、他の実施態様において、室110aは、単純に、石油原料50aから金属を除去するように設計された別の種類の容器である。石油原料50aから金属を除去するために、所定量のアルカリ金属(例えば、図5に示すアルカリ金属55)が石油原料50aに添加される。反応が起こると、生成物セパレーター80a内に生成物が生じる。当業者ならば、生成物セパレーター80aとして使用できる装置の種類について(例えば沈降室など)理解できるであろう。この生成物セパレーター80a内で、重金属125が分離除去され、所定量の「脱金属」石油原料50bのみ残る。
この石油原料50bは室110bに送られる。室110bは室110aと同じ室であってもよく(例えば、石油原料を再度室110aに供給する)、また、異なる容器であってもよい。室110bは「脱酸」室と参照し、この室110b内で石油原料50bが脱酸される。この反応を遂行するため、石油原料50bは所定量のアルカリ金属(例えば、図5に示す第2の所定量のアルカリ金属55b)と反応させる。このアルカリ金属55bとの反応は、石油原料50b内のナフテン酸との反応である。より具体的には、反応後の石油原料のTAN値が(未反応)石油原料50aのTAN値より小さくなるように、アルカリ金属55bがナフテン酸を除外する。
反応が起こると、生成物セパレーター80b内に生成物が生じる。当業者ならば、生成物セパレーター80bとして使用できる装置の種類について(例えば沈降室など)理解できるであろう。生成物セパレーター80bは生成物セパレーター80と同じ構成であってもよく、また、異なる構成であってもよい。この生成物セパレーター80bにおいて、無機酸生成物127が分離除去され、所定量の「脱酸」石油原料50cのみ残る。
この脱酸石油原料50c(すでに脱金属されている)は室110cに供給される。この室110cは、室110a、110bのいずれかまたは両方と同じであってもよく、また他の実施態様として、室110cは、室110a、110bと異なっていてもよい。この室110cは「脱硫」室と参照され、石油原料から硫黄部分が除去される。より具体的には、アルカリ金属(例えば、第3の所定量のアルカリ金属55c)が添加されて石油原料と反応する。更に具体的には、この反応はアルカリ金属と硫黄などのヘテロ原子との反応を含む(この反応は上述の通りである)。反応後、生成物は生成物セパレーター80c内に添加される。生成物セパレーター80cは、石油原料から無機硫黄生成物129が除去されるように作動し、これにより脱硫石油原料50dを製造される。
この石油原料50dは更に室110dに添加される。この室110dは、室110a、110b、110cと同じであっても異なっていてもよい。この室では、石油原料を所定量のアルカリ金属(例えば、図5のアルカリ金属55c)と反応させることにより、窒素などのヘテロ原子が石油原料から除去する。反応が生じた後、無機窒素生成物131は、生成物セパレーター80d(生成物セパレーター80a、80b、80cと同じ構成または異なる構成であってもよい)を介して除去される。これらの全ての生成物が除去された後に得られる石油原料は、「改質」石油原料50eとして分類される。
図6に示す実施態様において、硫黄部分および窒素部分(すなわちヘテロ原子)との反応は、異なる工程で示される。当業者は、S及びNのヘテロ原子の全てを除去するための単一工程(例えば、第3の所定量のアルカリ金属の単独添加)を含む他の実施態様も理解できるであろう。アルカリ金属の単独添加を介して硫黄と窒素を共に除去するならば、その実施態様は、アルカリ金属と窒素部分が反応する前に石油原料から80%までの硫黄を除去するように設計される。実際の動作条件および石油原料の性状に依存することを理解すべきであり、種々の種が除去される順番は、図6に示されるものと異なる順番で除去されてもよい。
図7は、石油原料を改質するためのシステム200の他の実施態様を示す。システム200は、図3の装置100に関連する要旨の多くを含んでいる。簡略のため、多くの説明は省略する。明確にするため、電線42および電源40が図7には記載されていない。しかしながら、当業者は、このような構成が実際に存在し、装置200に関連した電解反応を行うために必要であることは理解できるであろう。
図7の実施態様において、所定量の未処理石油原料150aがTAN低減室205に添加される。この室205は、アルカリ金属(金属状態)が添加される室である。石油原料150aにアルカリ金属を添加することにより、石油原料150a中のナフテン酸を除去するように作動する。それにより、TAN低減容器205内で反応した後の石油原料150aのTAN値は、大きく減少する。形成された無機物質を石油原料から除去するために、セパレーター(図7には示されていないが)が使用されてもよい。この室205に残る石油原料は、脱酸石油原料150bと称する。
脱酸石油原料150bが室20に添加され、アルカリ金属155bに曝され、それにより石油原料150b中のヘテロ原子および/または重金属が除去される。それゆえ、図7は、TAN値を低減するのに使用される室205が、石油原料の脱窒素/脱硫黄として使用される室20と分離されている実施態様が示される。それゆえ、図7に示されるように、最適なTAN低減のための温度。圧力および流量がTAN容器205において使用され、他の化学反応のための室20内で使用されている温度/圧力/流量などと異なってもよい。これらの異なる温度/圧力/流量は、具体的な反応の反応速度に適合するようにする。
図7に示す実施態様は、本実施態様に関連してかなりの量の適応性を示す。例えば、図7に示すように、石油原料のTAN値を低減するように設計されているTAN低減室205があってもよい。このTAN値が低減されると(例えば、TAN値が1以下になる)、他のプロセスは、石油原料中のヘテロ原子、重金属などを除去するために使用されてもよい。それゆえ、石油原料の所有者は、炭化水素原料の代表的な試料に加工するシステムを設計してもよい。
室20によってヘテロ原子/重金属が除去されると、石油原料150cは室20から排出される。この石油原料は「改質」石油原料150cと称される。
更に、当業者ならば,TAN値を1未満に低減するのに必要なアルカリ金属の量、ヘテロ原子を除去するのに必要なアルカリ金属の量、重金属と反応させるのに必要なアルカリ金属の量は、石油原料/炭化水素原料の具体的な試料に依存することは理解できるであろう。従って、石油原料の試料をテストすることにより、当業者はいかなる量のアルカリ金属が石油原料の改質に必要か決定することが出来る。
ここに記載されている全ての特許出願および特許は参照により本発明に含まれるものとする。

Claims (19)

  1. ナフテン酸を含む所定量の未処理石油原料を得る工程と、当該所定量の石油原料を反応器内で金属状アルカリ金属と反応させて脱酸石油原料を形成する工程から成る石油原料の脱酸方法であって、金属状アルカリ金属はナフテン酸と反応し、脱酸石油原料のTAN値が未処理石油原料のTAN値より低く、上記反応器は所定量の未処理石油原料を収容する室を有し、金属状アルカリ金属はその未処理石油原料室内でアルカリ金属イオンから形成され、そのままその室内で未処理石油原料と反応し、所定量の石油原料を金属状アルカリ金属と反応させて脱酸石油原料を形成する工程が、アルカリ金属源室およびアルカリ金属源室と未処理石油原料室との間に配置されるイオンセパレーターを設ける工程を含み、イオンセパレーターは、アルカリ金属イオンを、アルカリ金属源室からイオンセパレーターを介して未処理石油原料室に透過することができることを特徴とする石油原料の脱酸方法。
  2. 金属状アルカリ金属が、リチウム、ナトリウム及び/又はそれらのアロイから成る請求項1に記載の方法。
  3. 未処理石油原料のTAN値が1以上であり、脱酸石油原料のTAN値が1以下である請求項1に記載の方法。
  4. 反応器がさらに、電源と、未処理石油原料室内に少なくとも1部が収納されるカソードと、アルカリ金属源室内に少なくとも1部が収納されるアノードとを有し、アルカリ金属イオンは未処理石油原料室内に透過し、未処理石油原料室内で還元されて金属状アルカリ金属を形成する請求項に記載の方法。
  5. 金属状アルカリ金属は、更に未処理石油原料中に含まれるヘテロ原子/重金属と反応し、脱酸石油原料のヘテロ原子対炭素比が未処理石油原料のヘテロ原子対炭素比よりも低くなる請求項1に記載の方法。
  6. 反応器がさらに、改質剤を有し、当該改質剤が未処理石油原料と反応することにより脱酸石油原料のエネルギー値が未処理石油原料のエネルギー値よりも大きくなる請求項5に記載の方法。
  7. 改質剤が、水素ガスから成るか、又は、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、エテン、プロペン、ブテン、ペンテン、ジエン、これらの異性体および/またはこれらの混合物から選択される炭化水素から成る請求項6に記載の方法。
  8. 金属状アルカリ金属と石油原料との反応が、アルカリ金属の融点よりも高く且つ450℃より低い温度で行われる請求項1に記載の方法。
  9. 金属状アルカリ金属と石油原料との反応が、250psiを超えて2500psi未満の圧力で行われる請求項1に記載の方法。
  10. 所定量のナフテン酸を含む所定量の未処理石油原料を収納する未処理石油原料室と、未処理石油原料室内に収納される金属状アルカリ金属と、所定量のアルカリ金属イオンを有するアルカリ金属源室と、アルカリ金属源室から未処理石油原料室を分離するイオンセパレーターと、電源と、未処理石油原料室内に少なくとも1部が収納されるカソードと、アルカリ金属源室内に少なくとも1部が収納されるアノードとから成る石油原料の改質装置であって、金属状アルカリ金属は所定量のナフテン酸と反応して脱酸石油原料を形成し、脱酸石油原料のTAN値が未処理石油原料のTAN値より低く、イオンセパレーターは、アルカリ金属イオンを、アルカリ金属源室からイオンセパレーターを介して未処理石油原料室に透過することができ、アルカリ金属イオンは未処理石油原料室内に透過し、未処理石油原料室内で還元されて金属状アルカリ金属を形成することを特徴とする石油原料の改質装置。
  11. 金属状アルカリ金属が、リチウム、ナトリウム及び/又はそれらのアロイから成る請求項10に記載の装置。
  12. 未処理石油原料のTAN値が1以上であり、脱酸石油原料のTAN値が1以下である請求項10に記載の装置。
  13. 未処理石油原料が、少なくとも硫黄および/または窒素ヘテロ原子および/または所定量の重金属を含み、脱酸石油原料のヘテロ原子対炭素比が未処理石油原料のヘテロ原子対炭素比より小さくなるように、金属状アルカリ金属が更にヘテロ原子/重金属と反応する請求項10に記載の装置。
  14. 更に未処理石油原料室内に改質剤である水素ガス又は炭化水素を含み、改質剤が未処理石油原料と反応する請求項13に記載の装置。
  15. 所定量の重金属、ナフテン酸および少なくとも1つのヘテロ原子を含む未処理石油原料を得る工程1と、未処理石油原料を第1の所定量の金属状アルカリ金属と反応させ、第1の所定量の金属状アルカリ金属が未処理石油原料から重金属を除去する工程2と、工程2で重金属を除去された未処理石油原料を第2の所定量の金属状アルカリ金属と反応させ、第2の所定量の金属状アルカリ金属がナフテン酸と反応して脱酸石油原料を得る工程3と、脱酸石油原料を第3の所定量の金属状アルカリ金属と反応させ、第3の所定量の金属状アルカリ金属が少なくとも1つのヘテロ原子と反応して改質された石油原料を形成する工程4とから成る石油原料の改質方法であって、工程3において脱酸石油原料のTAN値より未処理石油原料のTAN値の方が小さく、工程4において改質された石油原料のヘテロ原子対炭素比が未処理石油原料のヘテロ原子対炭素比より小さく、未処理石油原料のTAN値が1以上であり、脱酸石油原料のTAN値が1以下であることを特徴とする石油原料の改質方法。
  16. 金属状アルカリ金属が、リチウム、ナトリウム及び/又はそれらのアロイから成る請求項15に記載の方法
  17. 第1の所定量、第2の所定量および第3の所定量の金属状アルカリ金属との反応が、すべて同じ室内で行われる請求項15に記載の方法。
  18. 第1の所定量、第2の所定量および第3の所定量の金属状アルカリ金属との反応が、すべて異なる室内で行われる請求項15に記載の方法。
  19. 第2の所定量の金属状アルカリ金属が未処理石油原料と反応する前に、重金属が未処理石油原料から分離される請求項15に記載の方法。
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