次に、本発明を実施する形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態における電源システムについて、図1を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における電源システムの構成を表す図である。本発明の第1の実施形態における電源システムは、図1に示すように、主電源部101、電力測定部102、蓄電池106を有する補助電源部105、及び制御ユニット103を有する。主電源部101と、補助電源部105の出力は統合され、負荷104に供給されている。
主電源部101は、外部から入力される入力電力を、負荷104に適した形式に変換して、出力電力として負荷104に供給する。主電源部101は、単体の電力変換回路としてもよいが、例えばPMBus(Power Management Bus)などの制御プロトコルに対応した電力変換装置であってもよい。入力電力としては、例えば商用の交流電力や無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supply)など、任意の電力供給源を採用することができる。主電源部における電力変換回路としては、例えばダブルフォワード回路や、フルブリッジ回路等を採用してよい。
主電源部101には、入力電力と出力電力との間の変換関係をモデル化した、入出力変換モデルが設定されている。入出力変換モデルを設定する設定領域は、各電源部101の仕様や構成に応じて任意に定めてよく、例えば各電源部101にフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを搭載し、出荷前の製造段階、或いは出荷後のメンテナンス段階等において、適当な治具を利用して当該メモリ領域内に格納してもよい。入出力変換モデルの詳細については、後述する。
電力測定部102は、主電源部101及び補助電源部105の出力側に接続され、出力電力の合計を測定する。電力の測定方法は一般的な電力計と同様の手法を採用してよいため、本実施形態における説明は省略する。
制御ユニット103は、電力測定部102において測定した出力電力に基づいて、本実施形態に係る電源システム全体の電力変換効率が最大となるように、主電源部101及び補助電源部105の出力電力と、補助電源部105に対する充電電力とを調整する。制御ユニット103は、専用の制御用ハードウェアを用いて構成してもよいが、汎用のCPU(Central Processing Unit)及びメモリ等(何れも不図示)からなるハードウェアと、そのCPUによって実行される各種ソフトウェア・プログラム(コンピュータ・プログラム)とによって構成してもよい。
制御ユニット部103と主電源部101との間は、主電源部101の入出力変換モデルや、出力電圧、各種制御信号を送受信できるよう、通信可能に接続されている。
同様に、制御ユニット103と補助電源部105との間も、補助電源部105が有する蓄電部106の残量情報や、補助電源部105に対する充放電制御信号を送受信できるように、通信可能に接続されている。また、制御ユニット103と電力測定部102との間は、電力測定部102における測定データや各種制御信号を送受信できるよう、通信可能に接続されている。これらの接続のための通信路としては、例えばI2C(Inter−Integrated Circuit)や、SMBus(System Management Bus)などの任意の通信路を用いてもよく、通信プロトコルとしても例えばPMBusプロトコル等、任意のプロトコルを用いてもよい。なお、これらの通信路やプロトコルは、電源システムの構成に応じて適切に選択すればよく、必ずしも前述の例示を採用する必要はない。
補助電源部105は、電力供給源としての蓄電池106を有し、蓄電池106に蓄電された電力を、負荷104に適した形式に変換して、出力電力として供給する。また、補助電源部105は、蓄電池106に対する充放電回路を有してもよく、制御ユニット103からの制御信号に従って、蓄電池106を充放電する。蓄電部106において直流電力を供給する場合には、補助電源部105は、負荷104に適した出力電力を供給するために、直流−交流変換回路(DC/AC変換回路)や、直流−直流変換回路(DC/DC変換回路)を有してもよい。
蓄電池106は、所定の電力を蓄電可能な二次電池である。蓄電池106については、負荷における消費電力等を考慮して、適切な容量や性能を有する2次電池を適宜選択してよく、本実施形態においては主電源部101の定格最大出力を所定時間以上維持できる二次電池を採用する。
なお、主電源部101、補助電源部105、電力測定部102、制御ユニット103とについては、それぞれ独立したハードウェアとして構成してもよいが、一部または全部を統合したハードウェアとして構成してもよく、一部の機能を当該ハードウェアにより実行されるソフトウェア・プログラムとして提供してもよい。
次に、本実施形態に係る電源システムの動作について図2及び図3を参照して説明する。図2は、本発明の第1の実施形態における、電源システムの動作を表すフローチャートである。まず、主電源部101は、外部から入力される入力電力yを、負荷104に適した形式に変換し、出力電力xを出力する(ステップS201)。電源部101においては、電圧変換やAC/DC変換等、接続される負荷104に応じて任意の変換処理を行ってよい。本実施形態においては、各電源部101に、入力電力と出力電力との間の変換をモデル化した、入出力変換モデルが設定されている。主電源部101について、入力電力をy
、出力電力をxとすると、本実施形態における入力電力と出力電力の変換モデルは下式(1)のように表すことができる。
式(1)に表される通り、本実施形態における入出力変換モデルは、出力電力から入力電力を導出可能であればよく、各電源部の仕様に応じて適切に選択してよい。例えば、入出力変換モデルfとして、各電源部の入力電力yと出力電力xの間の変換関係を規定した関数を用いてもよく、出力電力xと入力電力yに関する変換テーブルを用いてもよい。
次に、電力測定部102は、上記負荷104に起因する消費電力Rを測定する(ステップS202)。本実施形態においては、主電源部101の出力電力は全て負荷104に供給される。よって、負荷104における消費電力Rは、下式(2)により表すことができる。
次に、制御ユニット103は、上記入出力変換モデルを用いて、電力測定部102により測定した負荷における消費電力から、主電源部101に対する入力電力を式(1)により算出する(ステップS103)。
次に、制御ユニット103は、上記入出力変換モデルから、電力変換効率Eの算出関数を導出する(ステップS104)。電力変換効率は、入力電力yと、出力電力xを用いて、E=x/yと表されるため、電力変換効率の算出関数は下式(3)により表される。
なお、後述する補助電源部105における充放電の制御を考慮し、電力変換効率の算出関数を下式(4)のように導出してもよい。本実施形態においては、下式(4)を電力変換効率の算出関数として採用する。
次に、制御ユニット103は、電力測定部102において計測した負荷における消費電力Rと、ステップS103において算出した主電源部101に対する入力電力と、と用いて式(4)より、電力変換効率E(X=R)を算出する(ステップS205)。
次に、制御ユニット103は、ステップS205において算出した電力変効率E(X=R)と、式(3)とに基づいて、電源システム全体の電力変換効率が最も高くなる、主電源部の出力電力と、補助電源部の充放電電力を導出する(ステップS206)。ステップS206における処理の詳細については、後述する。その後、制御ユニット103は、ステップS206において算出した、主電源部101の出力電力と、補助電源部105の充放電電力とに基づいて、主電源部101の出力電力と、補助電源部105の充放電電力を制御する(ステップS207)。ステップS207における処理の詳細については、後述する。
次に、ステップS206の処理について説明する。制御ユニット103は、電力測定部102により計測した消費電力Rを基準とし、特定の下限値をRm=R-β、特定の上限値をRM=R+αとして、出力電力XがR-β≦X≦R+αにおいて変動した場合の、電力変換効率を算出する。即ち、制御ユニット103は、電力測定部102により測定した消費電力Rに応じて、特定の調整値φ(-β≦φ≦α)を用いて出力電力をX=R+φ(-β≦φ≦α)とする。制御ユニット103は、当該出力電力X=R+φについて、特定の出力調整範囲内(-β≦φ≦α)において式(3)により表される電力変換効率が最大となるφを算出する。本実施形態においては、αとして、補助電源部105有する蓄電池106に対する最適な充電電力の値を採用する。制御ユニット103は、0<φ≦αとなる領域については、φ=α(一定)として、充電電力αにて補助電源部105を充電するよう制御する。なお、蓄電池106に対する最適な充電電力の値αは、蓄電池106の種類や性能によって適宜定められた値を用いればよい。次に本実施形態においては、βとして補助電源部105が出力可能な最大出力電力の値を採用する。補助電源部105の最大出力電力βは、蓄電池106の定格出最大出力電力の範囲内で任意に設定してもよい。制御ユニット103は、−β≦φ<0となる領域においては、補助電源部105から出力電力γ(−β≦γ<0)を出力するよう制御する。なお、βの値の具体的な調整については後述する。
上述した制御ユニット103の動作について図3を参照して説明する。図3は、制御ユニット103において、主電源部101の出力電力と、補助電源部105の充放電電力とを導出する過程を表すフローチャートである。制御ユニット103は、主電源部101による出力電力をX=R+αとして、式(5)より、電力変換効率E(X=R+α)を算出し(ステップS301)、上述した図2におけるステップS205において算出した電力変換効率E(X=R)と比較する(ステップS302)。比較した結果、E(X=R+α)>E(X=R)がtrueであれば、制御ユニット103は、調整値φをφ=αとする(ステップS303)。ステップS302における比較結果がfalseの場合、制御ユニット103は、γ=βとして(ステップS304)、式(5)より電力変換効率E(X=R−γ)を算出する(ステップS305)。次に、制御ユニット103は、算出した電力変換効率がE(X=R−γ)≦0となるか確認し(ステップS306)、ステップS306の結果がtrueの場合は、式(4)から、変換効率をE=1とする(ステップS307)。なお、この場合、主電源部101からの出力電力が0となるよう制御してもよい。次に、制御ユニット103は、電力変換効率E(X=R−γ)と、上述した図2におけるステップS205において算出した電力変換効率E(X=R)と比較し(ステップS308)、E(X=R−γ)>E(X=R)がtrueであれば、調整値φをφ=−γとする(ステップS309)。ステップS308における比較結果がfalseの場合、制御ユニット103は、γの値を特定の定数const分減算し(ステップS310)、γ≦0となるか確認する(ステップS311)。ステップS311の比較結果がtrueの場合、制御ユニット103は調整値φをφ=0(出力電力の調整無し)とする。ステップS309の比較結果がfalseの場合、制御ユニット103はステップS305以降のステップを実行する。なお、上記処理においては、γを初期値βとして(ステップS304)、γの値を順次小さくしながら(ステップS310)、電力変換効率が高くなるγの値を探索しているが、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態においては、例えばγの初期値を0として、γの値をβ以下の範囲内で順次大きくしながら、電力変換効率が高くなるγの値を探索してもよい。
上述した制御ユニット103の動作について、更に図4を参照して説明する。図4は、主電源部101における出力電力X(=消費電力)と、主電源部における電力変換効率Eとの関係を表す、電力変換効率曲線の模式図である。なお、図4に示す電力変換の効率曲線は、式(4)に示した電力変換効率の算出関数に相当する。図4に示すように、電力測定部102によって測定した負荷における消費電力がR1である場合、E(X=R1−γ:-β≦γ<0)<E(X=R1)<E(X=R1+α)という関係が成立している。つまり、主電源部の出力電力をX=R1+αとして、αを補助電源部105に対する充電電力とした場合、負荷に対してのみ電力R1を供給する場合に比して、主電源部101による出力電力はαの値だけ増大するものの、システム全体の電源効率は高くなる。同様に、電力測定部102によって測定した負荷における消費電力が=R2である場合、E(X=R2+α)<E(X=R2)<E(X=R2−γ:-β≦γ<0)という関係が成立している。つまり、主電源部の出力電力をX=R2−γとして、γを補助電源部105からの出力電力とした場合、負荷に対して主電源部101のみにより電力R1を供給する場合に比して、主電源部101による出力電力はγの値だけ減少し、かつシステム全体の電源効率は高くなる。
次にステップS207における処理について図5を参照して説明する。図5は、制御ユニット103において、主電源部101の出力電力と、補助電源部105の充放電電力とを制御する過程を表すフローチャートである。
上述したように、制御ユニット103は、電力測定部102において測定した負荷における消費電力Rに基づいて、特定の範囲内(-β≦φ≦α)において出力電力が変動した場合の電力変換効率を算出し(図2におけるステップS206)、最も電力変換効率が高くなるように主電源部101の出力電力と、補助電源部105の充放電電力を制御する。
まず、制御ユニット103は、ステップS206において算出したφを参照し、係るφが0となる場合(ステップS501においてtrue)主電源部の出力電力についてX=Rとなるように制御する(ステップS502)。
ステップS501における判定結果がfalseの場合、制御ユニット103はφ=αとなるか判定する(ステップS503)。ステップS503における判定結果がtrueの場合、制御ユニット103は、主電源部101に対して、負荷における消費電力Rに加えて、調整値αに相当する電力を追加して出力するよう制御する(ステップS504)。制御ユニット103は、このαに相当する追加分の出力電力を補助電源部105に対する充電電力として、補助電源部105を充電するよう制御する(ステップS504)。ステップS503における判定結果がfalseの場合、制御ユニット103は、E(X=R−γ)≦0が成立するか判定する(ステップS505)。
ステップS505における判定結果がtrueの場合(E(X=R−γ)≦0が成立)、制御ユニット103は、補助電源部105において、消費電力Rに相当する電力を出力するよう制御する(ステップS506)。この場合、制御ユニット103は、主電源部101を停止するよう制御して、主電源部101からの出力電力を0としてもよい。ステップS505における判定結果がfalseの場合、制御ユニット103は、φ=γが成立するか判定する(ステップS507)。
ステップS507における判定結果がtrueの場合(φ=γとなる場合)、制御ユニット103は、主電源部101に対して、負荷における消費電力Rよりも、調整値γに相当する電力だけ少ない電力X=R−γを出力するよう制御する。また、制御ユニット103は、このγに相当する電力を出力するよう、補助電源部105を制御する(ステップS508)。主電源部101及び補助電源部105の出力電力を制御する方法としては、出力電圧制御や、出力電流制御等、主電源部101及び補助電源部105の仕様や構成に基づいて適切な方法を選択してよい。例えば、主電源部101がスイッチング方式のAC/DC変換器であれば、出力電圧を制御してもよい。補助電源部105についても、内部にDC/DC変換器を有する場合は、出力電圧を制御してもよい。
以上説明した本実施形態における、本実施形態の効果について、図6及び図7を参照して説明する。図6は、電源システムの稼働時間(t)に対する、負荷104における消費電力の変動を表すタイムチャートの模式図である。図7は、図4と同様、主電源部101における出力電力X(=消費電力)と、電源効率Eの関係を表す、電力変換の効率曲線の模式図である。図6のタイムチャートに表すように、例えば、0≦t≦t1の間は負荷における消費電力がRmであり、t1<t≦t1+t2の間は負荷における消費電力がRMでなり、t1+t2<t≦t2+t3の間は、負荷における消費電力がRoffであるとする。また、図7に示すように、RmとRMとの間に電力変換効率が最高となるピーク値Rpが存在し、Roff−γ<0とする。ここでRoffは、負荷の稼働を停止した場合の、待機電力に相当する。また、本実施形態における本実施形態の効果を説明するため、RM+α=Rp、RM−γ=Rpを仮定する。
図6を参照すると、一定時間0≦t≦t3において、補助電源部105における充放電制御を実行せず、主電源部105のみにより負荷104に対して消費電力を供給した場合の消費電力P1は、式(6)により表される。
次に、上述した本実施形態のように、主電源部101における出力電力と、補助電源部105における充放電電力を制御した場合の消費電力P2は、式(7)により表される。
本実施形態においては、制御ユニット103は、上述した本実施形態における処理に従い、電全システム全体として電力変換効率が最も高くなるよう、主電源部101における出力電力及び補助電源部105における充放電電力を制御する。即ち、制御ユニット103は、0≦t≦t1の間は、主電源部101について、出力電力がRp(=Rm+α)となるよう制御し、補助電源部105について、電力αにて充電するよう制御する。結果として、負荷104には電力Rmが供給される。次に、制御ユニット103は、t1<t≦t1+t2の間は、主電源部について、出力電力がRp(=RM−γ)となるよう制御し、補助電源部105から、出力電力γを供給するよう制御する。結果として負荷104には電力RMが供給される。次に、制御ユニット103は、t1+t2<t≦t2+t3の間は、主電源部を停止して出力電力を0とし、補助電源部105から、出力電力Roffを供給するよう制御する。結果として、主電源部101について、稼働時間中の大部分において電力変換効率の高い状態を維持できる。また、主電源部101の電力変換効率が低下する領域については、補助電源部105による充放電を組み合わせることにより、電源システム全体として、電力変換効率が高い状態を維持できる。
以上述べたように、本実施形態における電源システムにおいては、制御ユニット103は、主電源部101における出力電力に加え、補助電源部105における充放電電力まで含めて、電源システム全体の電力変換効率が高い状態を維持できるよう、主電源部101及び補助電源部105を制御している。このため、本実施形態における電源システムにおいては、補助電源部105を充電するために電源システム全体の消費電力が増大するような状況においても、電源システム全体の電力変換効率が高い状態を維持することが可能となる。更に、主電源部101の電力変換効率が低い負荷領域においては、制御ユニット103は、補助電源部105に充電しておいた電力を用いて補助電力を供給するよう制御することから、電源システム全体の稼働時間にわたって電力変換効率が最適化されるという作用・効果を奏する。なお、本実施形態においては、補助電源部105に対する充電電力をαとして一定にしているが、本願発明はこれに限定されるものではなく、充電電力についても可変となるように制御してもよい。
<第2の実施形態>
次に、上述した本願発明の第1の実施形態を基本とした、本願発明の第2の実施形態につい図8を参照して説明する。以下の説明においては、本実施形態に係る特徴的な構成を中心に説明する。その際、前記第1の実施形態と同様な構成については、同一の参照番号を付すことにより、重複する説明は省略する。
図8は、本願発明の第2の実施形態における電源システムの構成を表す図である。上述した第1の実施形態同様、本発明の第2の実施形態における電源システムは、図8に示すように、主電源部101、電力測定部102、蓄電池106を有する補助電源部105、及び制御ユニット103を有する。主電源部101と、補助電源部105の出力は統合され、負荷104に供給されている。
本実施形態においては、主電源部101には、式(1)により表される入出力変換モデルが設定されている。以下においては、まず、本実施形態において提案する入出力変換モデルについて説明する。入出力変換モデルは、入力電力を出力電力に変換する過程を模式化するので、本実施形態においては、実際の入出力変換過程で生じる現象を表現できるモデルを採用する。まず、各電源部に対する入力電力Yと、出力電力Xとの関係を検討すると、Y(入力電力)=X(出力電力)+L(電源部において発生する損失)という関係が成立する。電源部において発生する損失としては、一般的に、変圧器内部において発生する鉄損、各種電源回路の配線やトランスなどの銅線部において発生する銅損、電源回路のインピーダンスにより発生するジュール熱、及び発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)や制御回路等の電源部自体の駆動電力等が挙げられる。一般的に、電源部の出力電圧を一定にした場合、鉄損および電源部自体の駆動電力はほぼ一定となり、回路インピーダンスによる損失は出力電力に比例し、銅損は出力電力の2乗に比例する。このため、電源部において発生する損失は下式(8)のように、出力電力の2乗に比例する成分と、出力電力に線形比例する成分と、定数成分との総和で近似できると考えられる。下式(8)において、Lは損失を表し、Xは出力電力を表し、A、B、Cは電源部固有の係数を表す。
式(8)の2次関数の係数A、B、Cについては、例えば各電源部について、予め入力電力と、出力電力と、発生した損失とを実測し、当該実測値に対する2次の近似曲線を最小二乗法等により求めることにより算出することができる。図30は、出力電力に対する損失電力の実測値を、最小二乗法により、2次関数近似した場合の近似曲線を例示した図である。図31は入出力変換効率の実測値を、最小二乗法により、2次関数近似した場合の近似曲線を例示した図である。図30及び図31に示すように、実測値として測定した入出力特性を、2次関数により十分な精度をもって近似できることが確かめられる。上述したように、入力電力Yについて、Y=X(出力電力)+L(損失)という関係が成立することから、入力電力Yを出力電力Xの2次関数として精度よく近似できると考えられる。以上より、本実施形態においては、入出力変換モデルとして、下式(9)により表される出力電力の2次関数を提案する。
次に、本実施形態における制御ユニット103の内部構成及び処理内容について説明する。本実施形態における制御ユニット103は、変換関数導出部801と、変換効率演算部802と、コントローラ803と、を有する。これら制御ユニット103の構成要素は、互いに通信可能に接続されており、データや制御コマンドなどを送受信する。これらの構成要素間の通信路や通信プロトコルについても、前述した既存の技術を適応してよい。なお、前記第1の実施形態にて記載した通り、制御ユニット103を汎用のハードウェア資源と、当該汎用ハードウェアにより実行されるソフトウェア・プログラムとによって構成する場合、電源制御103の各構成要素は、ソフトウェア・プログラムを構成するモジュールとして実現してもよい。
変換関数導出部801は、主電源部101に設定された入出力変換モデルを参照し、電源システム全体の入出力変換関数を導出する。変換効率演算部802は、電力測定部102により計測した消費電力Rと、変換関数導出部801により導出した入出力変換関数を参照し、当該計測した消費電力に対して、本実施形態に係る電源システム全体の電力変換効率を算出する。また、変換効率演算部802は、前記第1の実施形態において説明したように、電力測定部102において計測した消費電力と、特定の調整値φとに基づいて、電源システム全体の電力変換効率が最大となる、主電源部101の出力電力と、補助電源部105の充放電電力を算出する。コントローラ803は、上述した変換効率演算部802において算出した出力電力を出力するように、主電源部101に制御信号を送る。また、コントローラ803は、補助電源部105が有する蓄電部106の残量情報を参照し、上述した変換効率演算部802において算出した充放電電力と、蓄電部106の残量情報に基づいて、補助電源部105における充放電電力を制御する。
次に、本実施形態に係る電源システムの動作について説明する。本実施形態においても、電源システムの基本的な動作は、図2、図3及び図5に示した前記第1の実施形態と同様であるので、以下本実施形態において特徴的な部分を中心に説明する。
まず、本実施形態において、コントローラ803は、補助電源部105における充放電の閾値を保持している。閾値の保持方法としては、制御ユニット103の仕様や構成に応じて任意に定めてよく、例えば制御ユニット103にフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを搭載し、出荷前の製造段階、或いは出荷後のメンテナンス段階等において、適当な治具を利用して当該メモリ領域内に格納してもよい。また、前述のように制御ユニット103を汎用のハードウェア資源と、当該汎用ハードウェアにより実行されるソフトウェア・プログラムとによって構成する場合、当該ソフトウェアプログラム内部に、係る閾値を格納しても良い。なお、係る閾値を補助電源部105内に保持して置き、コントローラ803が適宜参照するよう構成してもよい。
具体的には、コントローラ803は、蓄電部106の充電残量の閾値として、ζFと、ζMと、ζEとを保持し、これらの閾値をもとに、補助電源部105に対する充放電を制御する。コントローラ803は、これらの閾値により、蓄電部106に対する過充電や過放電を防止し、蓄電部106において常に適切な充電残量を維持するように、補助電源部105の充放電を制御する。以下、コントローラ803による、補助電源部105に対する充放電制御について図9のフローチャートを参照して説明する。なお、以下の説明においては、電力測定部により測定された出力電力をRとする。
まず、コントローラ803は、変換効率演算部802において算出した主電源部101の出力電力について、R+φ>0かつ、主電源部101が停止しているか確認する(ステップS901)。ステップS901の結果がtrueの場合は、主電源101を起動する(S902)。
次に、コントローラ803は、蓄電部106の充電残量を参照し、満充電状態にあるか判定する(ステップS903)。ステップS903の判定結果がtrueの場合、蓄電部106は満充電状態となっているため、コントローラ803は主電源部101を停止し、負荷における消費電力Rを出力するように補助電源部105を制御する(ステップS904)。なお、ステップS904においては、補助電源部105が有する蓄電部106の充電残量が特定の値ζMになるまで、補助電源部105より電力供給を行う。
次に、ステップS904の判定結果がfalseの場合、コントローラ803は、蓄電部106の充電残量が特定の上限値ζFより小さいか判定する(ステップS905)。判定結果がtrueの場合、コントローラ803は蓄電部106の充電残量が特定の下限値ζEより大きいか判定する(ステップS906)。判定結果がtrueの場合、コントローラ803は、変換効率演算部802において算出したφについてφ>0を判定する(ステップS907)。φ>0がtrueの場合、コントローラ803は、蓄電部106を充電するよう、補助電源部105を制御する(suステップS908)。なお、ステップS908において、コントローラ803は、蓄電部106の充電電力がαとなるように制御する。以上、ステップS905、S906、S907、S908においては、コントローラ803は、蓄電部106の充電残量が(ζEより大きく、ζFより小さい)特定の範囲内にある場合に、変換効率演算部802により算出したφがφ>0であれば、蓄電部106を充電するよう、補助電源部105を制御する。これらのステップは、例えば、図7において出力電力がRmとなる場合に実行される処理となる。
次に、ステップS907の判定結果がfalseの場合、コントローラ803は、φ<0を判定する(ステップS909)。判定結果がtrueの場合、コントローラ803は変換効率演算部802により算出したR+φについて、R+φ≦0を判定する(ステップS910)。ステップS910における判定結果がtrueの場合、負荷における消費電力Rを出力するように補助電源部105を制御し、その後主電源部101を停止する(ステップS911)。なお、ステップS910、S911は、例えば図7における出力電力がRoffの場合のように、主電源部101の電力変換効率が低い領域において実行される処理となる。次に、コントローラ803は、補助電源部からの出力電力がγとなるように、補助電源部を制御する(ステップS912)。同様に、コントローラ803は、前述したステップS905における判定結果がfalseの場合も、ステップS909以下の処理を実行する。ステップS909の判定結果がfalseの場合、コントローラは補助電源部105について充放電を停止し、待機状態とする(ステップS913)。以上ステップS909、S910、S911、S912により、コントローラ803は、蓄電部106の充電残量が特定の上限値ζF以上または特定の下限値ζE以上であり、変換効率演算部802により算出したφがφ<0となる場合、出力電力としてγを供給するよう補助電源部105を制御する。これらのステップは、例えば、図7において出力電力がRMとなる場合に実行される処理となる。
次に、前述したステップS906における判定がfalseの場合、コントローラ803は(主電源部101が起動していない場合は)主電源部101を起動し(ステップS914)、変換効率演算部802により算出したφについて、φ>0を判定する(ステップS915)。ステップS915における判定結果がtrueの場合、コントローラ803は、ステップS908以下を実行し、蓄電部106を充電電力αにて充電する。ステップS915における判定結果がfalseの場合、ステップS913以下を実行し、補助電源部105における充放電を停止し、補助電源部105を待機状態とする。以上ステップS906、S914、S915においては、コントローラ803は、蓄電部106における充電残量が特定の下限値ζE未満の場合に、主電源部を起動し、φ>0であれば蓄電部106を充電するよう補助電源部を制御し、φ≦0であれば、補助電源部における充放電を停止するように、補助電源部を制御する。
以上説明したように、コントローラ803は、蓄電部106における充電残量が特定の上限値ζFより大きい場合は、蓄電部106を充電しないよう制御し、蓄電部106に対する過充電を抑制する(ステップS905、S909、S913等)。また、コントローラ803は、蓄電部106における充電残量が特定の下限値ζEより小さい場合は、蓄電部106から放電しないよう制御し、蓄電部106に対する過放電を抑制する(ステップS906、S914、S915,S913)。更に、コントローラ803は、蓄電部106が満充電となっている場合には、蓄電部106の充電残量が特定の値ζMとなるまで電力を供給するよう、補助電源部105を制御する。以上のような処理により、コントローラ803は、常に蓄電部106が適度な充電残量となる領域において使用されるよう、補助電源部105における充放電を制御する。なお、上述した各閾値ζF、ζM、及びζEは、蓄電部106の性能や特性に応じて適切な値を設定すればよい。
上述したコントローラ803による、補助電源部105に対する充放電制御に伴う蓄電部106の充電残量の推移について、図10を参照して説明する。図10は、蓄電部106の充電残量の推移を表す模式図である。図10に表される通り、コントローラ803は、蓄電部106の充電残量が、特定の下限値ζEより大きく、特定の上限値ζFより小さい領域に収まるように、補助電源部105における充放電を制御する。結果として、蓄電部106における過充電や過放電が抑制され、適切な充電残量ζM近辺において、充放電が繰り返される。
次に、本実施形態における、主電源部101及び補助電源部105の出力電力を制御する方法の一例について説明する。本実施形態においては、コントローラ803は、主電源部101と、補助電源部105との出力電圧比を調整することにより、それぞれの出力電力を制御する。以下、図11を参照しながら出力電圧比の調整方法について説明する。図11は、本発明の第2の実施形態において、電源部の電圧を調整する回路構成の一例を表す図である。図11において、V1及びV2はそれぞれ主電源部101及び補助電源部105の出力電圧を表し、I1及びI2はそれぞれダイオード1101及びダイオード1102を流れる電流を表し、Ioは負荷に供給される全出力電流を表す。
ここで、負荷104のインピーダンスをZとし、ダイオード1101及び、ダイオード1102の正方向抵抗値をそれぞれRとすると、図10の回路についてキルヒホフの法則より下式が成立する。
ここで、主電源部101のみを稼働する場合にはI
2=0となるよう制御するため、上式(10)においてI
2=0とすると、下式(12)が得られる。
また、補助電源部105のみを稼働する場合は、I
1=0となるよう制御するため、上式(11)においてI
1=0とすると、下式(13)が得られる。
上式(12)及び(13)を、主電源部101と補助電源部105との出力を切り替える境界条件として考えると、V
1及びV
2を下式(14)乃至(16)のように調整することにより、主電源部101と補助電源部105との出力を切り替えられる。即ち、下式(14)が成立するようにV
1及びV
2を調整した場合は、主電源部101のみが稼働し、I
1のみを出力する。
次に、下式(15)が成立するようにV
1及びV
2を調整した場合は、主電源部101及び補助電源部105の両方が稼働し、I
1及びI
2を出力する。
次に、下式(16)が成立するようにV
1及びV
2を調整した場合は、副電源部105のみが稼働し、I
2のみを出力する。
上述の通り、V1及びV2の比率を調整することで、出力電流I1及びI2を調整でき、結果として主電源部101と補助電源部105の出力電力を調整できる。なお、各電源部の電圧制御は、電源部の具体的な回路構成に応じて適切な方法を選択すればよく、例えば電圧可変型のリニアレギュレータや、パルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)型のスイッチングレギュレータなど周知の構成を適用してよいため、本願では詳細な説明を省略する。また、主電源部101または補助電源部105のいずれか一方のみを稼働すればよい場合、稼働しない方の電源の出力電圧が0となるよう制御して、当該電源を完全に停止してもよい。
以上述べたように、本実施形態における電源システムにおいては、コントローラ803により、蓄電部106に対する過充電や過放電を抑止しつつ、電源システム全体として電力変換効率がが最も高く高くなるように、主電源部101の出力電力と、補助電源部105の充放電電力とを制御している。結果として、蓄電部106の充電残量が適切な領域に維持されると共に、前述した第1の実施形態同様、電源システム全体の稼働時間にわたって電力変換効率が最適化されるという作用・効果を奏する。
<第3の実施形態>
次に上述した本願発明の第1及び第2の実施形態を基本とした、本願発明の第3の実施形態について、図12を参照して説明する。以下の説明においては、本実施形態に係る特徴的な構成を中心に説明する。その際、前記第1及び第2の実施形態と同様な構成については、同一の参照番号を付すことにより、重複する説明は省略する。
図12は、本願発明の第3の実施形態における電源システムの構成を表す図である。上述した第1及び第2の実施形態同様、本発明の第3の実施形態における電源システムは、図12に示すように、主電源部101、電力測定部102、蓄電池106を有する補助電源部105、及び制御ユニット103を有する。主電源部101と、補助電源部105の出力は統合され、負荷104に供給されている。本実施形態においては、主電源部101における入出力変換モデルとして、前記第2の実施形態と同様、式(9)により表される2次関数を採用する。本願発明の第3の実施形態は、第1及び第2の実施形態における制御ユニット103の内部構成及び処理内容のみが異なるので、以下当該部分を中心に説明する。
本実施形態における制御ユニット103は、上述した第2の実施形態と同様、変換関数導出部801と、変換効率演算部802と、コントローラ803と、を有し、これら制御ユニット103の構成要素は、互いに通信可能に接続されている。本実施形態においては、コントローラ803は、更に変換特性調整部1201を有する。変換特性調整部1201は、専用のハードウェア(回路)などにより構成してもよい。また、制御ユニット103を汎用のハードウェア資源と、当該汎用ハードウェアにより実行されるソフトウェア・プログラムとによって構成する場合には、変換特性調整部1201を、ソフトウェア・プログラムを構成するモジュールとして実現してもよい。なお、本実施形態においては、変換特性調整部1201を、コントローラ803の構成要素としているが、コントローラ803とは別に、制御ユニット103の独立した構成要素として設けてもよい。
次に、上記のように構成された本実施形態に係る電源システムの動作について説明する。前記第1及の実施形態において説明したように、制御ユニット103は、電力測定部102において測定した負荷における消費電力Rに基づいて、特定の調整範囲内(-β≦φ≦α)において出力電力が変動した場合の電力変換効率を算出し(図2におけるステップS206)、最も電力変換効率が高くなるように主電源部101の出力電力と、補助電源部105の充放電電力を制御する。図4に示すように、例えば、R1+α<Rpとなる領域において負荷における消費電力R1が変動した場合、E(X=R1+α)≧E(X=R)となる。よって、この領域における、コントローラ803による補助電源部105に対する制御は、充電に偏よる可能性がある。前記第2の実施形態にて説明した通り、蓄電部106の充電残量が特定の上限値を超えた場合は、過充電防止のため、コントローラ803は蓄電部106に対する充電処理を停止する。
同様に、図4に示すように、例えば、R2−β>Rpとなる領域において負荷における消費電力R2が変動した場合、E(X=R2−β)≧E(X=R)となる。よって、この領域における、コントローラ803による補助電源部105に対する制御は、放電に偏よる可能性がある。前記第2の実施形態にて説明した通り、蓄電部106の充電残量が特定の下限値を下回った場合は、過放電防止のため、コントローラ803は蓄電部106に対する放電処理を停止する。
上述のように、コントローラ803による補助電源部105に対する制御が、充電または放電に偏よる場合、コントローラ803は、最終的に補助電源部105に対する充放電を停止する。この場合、主電源部101における出力電力を、補助電源部105における充放電電力により補完できなくなるため、電源システム全体としては電力変換効率が低下してしまう可能性がある。このため、本実施形態においては、前述した消費電力Rに基づいた特定の範囲内(-β≦φ≦α)に、主電源部101における電力変換効率が最高値(ピーク)となる出力電力が存在し、補助電源部105における充放電の電力がバランスするように、主電源部101の電力変換効率特性を調整する。
以下、本実施形態におけるコントローラ803と、変換特性調整部1201の動作について、図13を参照して説明する。図13は、主電源部の電力変換効率特性を調整する過程を例示するフローチャートである。まず、変換特性調整部1201は、電力測定手段102により測定した、負荷104における消費電力Rの、一定時間内の平均値Raveを算出する(ステップS1301)。Raveの具体的な算出方法としては、一定時間にわたり電力測定手段102から定期的に消費電力値Rを取得して集計し、集計時間で除算してもよい。次に、変換特性調整部1201は、ステップS1301において算出したRaveを、主電源部101の電力変換効率がピークとなる出力電力である、ピーク効率出力Wとする(ステップS1302)。次に、変換特性調整部1201は、主電源部101の電力変換効率のピークが、前記ピーク効率出力Wと等しいかまたは略等しくなるように、主電源部101を制御する(ステップS1303)。主電源部101における電力変換効率の調整手段については後述する。次に、変換特性調整部1201は、変換効率演算部802において算出した出力電力の調整値φ(-β≦φ≦α)について、一定時間(0≦t≦T)内の累積値を、φ>0となる場合、φ<0となる場合の両方について、下式により算出する(ステップS1303乃至ステップS1304)。
ここで、P(φ>0)は、一定時間内における、補助電源部105に対する充電電力の合計であり、P(φ<0)は、一定時間内における、補助電源部105からの出力電力の合計である。次に、変換特性調整部1201は、上式(17)及び(18)において算出したP(φ>0)とP(φ<0)について、P(φ>0)=P(φ<0)となるか判定する(ステップS1305)。ステップS1305における判定結果がtrueの場合、変換特性調整部1201は、ステップS1303から処理を続行する。ステップS1305における判定結果がfalseの場合、変換特性調整部1201は、一定期間内の充電電力P(φ>0)が放電電力P(φ<0)を上回るか判定し(ステップS1306)、判定結果がtrue(充電電力P(φ>0)の方が大)の場合、主電源部101のピーク効率出力Wを、所定の定数(const)分だけ減らし(ステップS1307)、ステップS1302から処理を続行する。ステップS1306における判定結果がfalse(放電電力P(φ<0)の方が大)の場合、主電源部101のピーク効率出力Wを、所定の定数(const)分だけ増やし(ステップS1308)、ステップS1302から処理を続行する。なお、上述した所定の定数constについては適宜適切な値を選択してよい。
上述した、変換特性調整部1202の動作について、図14及び図15を参照して説明する。図14は、一定時間(0≦t≦T)内における、出力電力の調整値φの推移を表す図であり、図15は、主電源部101の電力変換特性を調整した場合の電力変換の効率曲線の模式図である。まず、図14に示すように、変換効率演算部802が算出するφは、負荷104における消費電力Rの変動に応じて、一定時間(0≦t≦T)内において-β≦φ≦αの範囲にて変動する。ここで、補助電源部105に対する充電電力の合計は、図14において、0<φとなる領域の面積の合計で表され、補助電源部105からの出力電力の合計は、図14において、φ<0となる領域の面積の合計で表される。本実施形態において、変換効率調整部1201は、補助電源部105における充電電力と、放電電力とが等しいまたは略等しくなるように(補助電源部105における充電電力と、放電電力とがバランスするように)、主電源部101の電力変換特性を調整する。即ち、変換効率調整部1201は、変換効率調整部1201は、図14において0<φとなる領域の面積の合計と、φ<0となる領域の面積の合計とが等しいまたは略等しくなるように、主電源部101の電力変換効率を制御する。このような変換効率調整部1201による制御の結果、補助電源部105に対する充放電制御が、充電まはた放電に偏ることなくバランスするため、補助電源部105の充放電電力が、主電源部101の出力電力を補完することとなり、電源システム全体としての電力変換効率が高い状態を保つことができる。
次に図15を参照して、主電源部101のピーク効率出力Wを調整した場合の、電力変換効率曲線の変動と、補助電源部105における充放電電力との関係について説明する。図15においては、説明のための例示として、変換特性調整部1201が、主電源部101のピーク効率出力Wを、W1、W2,及びW3となるよう調整した場合、電力変換の効率曲線は、例えばE1、E2、及びE3のように変化する。また、W2=W1−const、W3=W1+constとする。
まず、主電源部101のピーク効率出力がW1の場合、主電源部101の電力変換効率はE(X=R-β)<E(X=R+α)<E(X=R)となり、補助電源部105における充放電が発生しない場合に、電源システム全体として電力変換効率が高くなる。これに対して、変換特性調整部1201が、主電源部101のピーク効率出力W1を、W2に調整した場合(図13のステップ1307に相当)、主電源部101の電力変換効率はE(X=R+α)<E(X=R)<E(X=R−β)となり、補助電源部105において電力βを出力する場合に、電源システム全体として電力変換効率が高くなる。よって、変換特性調整部1201が、主電源部101のピーク効率出力をW1からW2に調整することにより、結果として、コントローラ803は、補助電源部105による電力供給量が増えるように補助電源部105を制御する。同様に、変換特性調整部1201が、主電源部101のピーク効率出力W1を、W3に調整した場合(図13のステップ1307に相当)、主電源部101の電力変換効率はE(X=R−β)<E(X=R)<E(X=R+α)となり、補助電源部105を充電電力αにより充電する場合に、電源システム全体として電力変換効率が高くなる。よって、変換特性調整部1201が、主電源部101のピーク効率出力をW1からW3に調整することにより、結果として、コントローラ803は、補助電源部105における充電電力が増えるように補助電源部105を制御する。
次に、電力変換効率を調整可能な主電源部101の構成について説明する。本実施形態においては、電力変換効率を調整可能な主電源部101の構成として、例えば図16に示すように、主電源部101として複数の電源ユニットA乃至電源ユニットNを用いる構成や、図17に示すように主電源部101の内部に複数のトランス(変圧器)A乃至トランスNを設ける構成を採用してよい。図16に示すような複数の電源ユニットを用いる構成を採用した場合、変換特性調整部1201は、スイッチA乃至スイッチNをONまたはOFFすることにより、稼働する電源ユニットの台数を制御し、主電源部101の電力変換特性を調整する。なお、図16においては、各電源ユニットA乃至電源ユニットNのそれぞれに対して入出力変換モデルが設定されていてもよく、これらをまとめた主電源部101全体として1つの入出力変換モデルが設定されていてもよい。次に、図17に示すような複数のトランスを用いる構成を採用した場合は、変換特性調整部1201は、スイッチB乃至スイッチMをONまたはOFFすることにより、接続するトランスの台数を制御し、主電源部101の電力変換特性を調整する。図16に示す電源ユニットの台数や、図17に示すトランスの台数は主電源部101に求める性能や、必要とする電力変換特性の調整範囲に応じて、適宜選択すればよい。
また、主電源部101内部に変圧器を有する場合、当該変圧器に対する入力電力を調整することにより、主電源部101の電力変換特性を調整する構成を採用してもよい。以下、図18を参照して、当該構成について説明する。図18は、主電源部101の電力変換回路の構成を例示する図面である。主電源部101の電力変換回路は、力率改善回路(Power Factor Correction:PFC回路)1801と、変圧器1802、整流回路1803により構成される。PFC回路1801の出力が、変圧器1802への入力電圧E
IN、I
INとなる。一般的に、PFC回路1801は、インダクタ、ダイオード、スイッチング素子、及び平滑コンデンサなどで構成されており、PFC回路1801から出力する電圧や、動作周波数を調整可能である。変圧器1802において、一般的に、コア(鉄心)に発生する磁束密度は変圧器の入力電圧E
INに比例し、動作周波数に反比例する。また、変圧器1802において発生する鉄損は、一般的にうず電流損とヒステリシス損の和として表され、磁束密度が低下すると、これらの損失も低下する。よって、トランスに対する入力電圧や動作周波数を制御することにより、変圧器1802において発生する鉄損は増減する。ここで、上記本願第2の実施形態において述べたように、鉄損は、式(9)により表される入出力変換関数の定数成分cを構成することから、変圧器1802に対する入力電圧や動作周波数を制御することにより、主電源101の変換特性を制御することが可能となる。なお、一般的に、電力変換回路として下式(19)が成立し、出力電圧V
Oについては負荷104の定格駆動電圧の範囲内であることが必要となるため、変圧器1802に対する入力電圧E
INは、適切な範囲で調整すればよい。
式(19)において、出力電圧VOと出力電流IOとを一定とした場合、変圧器1802に対する入力電圧EINを低下させると、入力電流IINが増加する。この場合、主電源部101における電力変換回路にて生じる銅損や、電力変換回路のインピーダンスにより生じるジュール熱に起因する損失は増大し、式(9)により表される入出力変換関数におけるaX2やbXの項に影響する。よって、コントローラ803は、負荷104における消費電力Rが小さい場合(電力変換回路からの出力電力が小さい場合)には、変圧器1802に対する入力電力EINを低下させ、負荷104における消費電力Rが大きい場合には、変圧器1802に対する入力電力EINを高くするように制御してもよい。以上例示した構成を適宜採用することにより、主電源部101の電力変換効率を調整可能である。なお、主電源部101の電力変換効率の調整については、上記例示した構成に限定されず、適宜適切な構成を採用してよい。
なお、変換特性調整部1201は、主電源部101の電力変換効率を調整した場合、主電源部101に設定されている入出力変換モデルを変更する。例えば、主電源部101における入出力変換モデルとして、式(9)の2次関数を採用している場合には、変換特性調整部1201は、主電源部101の電力変換効率を調整した場合、主電源部2次関数の係数a、b、及びcを変更する。図17に示すように、複数の電源ユニットA乃至Nにより、主電源部101を構成した場合には、各電源ユニット毎にの入出力変換モデルを変更してもよく、各電源ユニットをまとめた主電源部101全体としての入出力変換モデルを変更してもよい。
以上述べたように、本実施形態における電源システムにおいては、変換特性調整部1201は、電源部101における電力変換効率の最高値(ピーク)となる出力電力が、一定期間の負荷104における消費電力の平均値となるよう主電源101の電力変換効率を制御する。更に、変換特性調整部1201は、補助電源部105における充放電電力がバランスするように、主電源101の電力変換効率を制御する。結果として、補助電源部における充放電がバランスし、蓄電部106における過充電、過放電が抑制され、主電源部101の出力電力が、補助電源部105の充放電電力により補完されることから、前述した第1及び第2の実施形態同様、電源システム全体の稼働時間にわたって電力変換効率が最適化されるという作用・効果を奏する。
<第4の実施形態>
次に上述した本願発明の第1乃至第3の実施形態を基本とした、本願発明の第4の実施形態について、上記第3の実施形態と同様、図12を参照して説明する。以下の説明においては、本実施形態に係る特徴的な構成を中心に説明する。その際、前記第1及乃至第3の実施形態と同様な構成については、同一の参照番号を付すことにより、重複する説明は省略する。
上述した第1及び第2の実施形態同様、本発明の第2の実施形態における電源システムは、図8に示すように、主電源部101、電力測定部102、蓄電池106を有する補助電源部105、及び制御ユニット103を有する。主電源部101と、補助電源部105の出力は統合され、負荷104に供給されている。本実施形態においては、主電源部101における入出力変換モデルとして、前記第2の実施形態と同様、式(9)により表される2次関数を採用する。本願発明の第3の実施形態は、第1乃至大3の実施形態における制御ユニット103の内部構成及び処理内容のみが異なるので、以下当該部分を中心に説明する。
本実施形態における制御ユニット103は、上述した第3の実施形態と同様、変換関数導出部801と、変換効率演算部802と、コントローラ803と、を有し、これら制御ユニット103の構成要素は、互いに通信可能に接続されている。本実施形態においては、コントローラ803は、更に充放電量調整部1202を有する。充放電量調整部1201は、専用のハードウェア(回路)などにより構成してもよい。また、制御ユニット103を汎用のハードウェア資源と、当該汎用ハードウェアにより実行されるソフトウェア・プログラムとによって構成する場合は、充放電量調整部1202を、ソフトウェア・プログラムを構成するモジュールとして実現してもよい。なお、本実施形態においては、充放電量調整部1202を、コントローラ803の構成要素としているが、コントローラ803とは別に、制御ユニット103の独立した構成要素として設けてもよい。
次に、上記のように構成された本実施形態に係る電源システムの動作について説明する。前記第3の実施形態においては、補助電源部105における充放電電力のバランスを保つために、コントローラ803における変換特性調整部1201は、主電源部101の電力変換特性を調整する。これに対して、本実施形態においては、補助電源部105における充放電電力のバランスを保つために、充放電量調整部1202は、補助電源部105における最大出力電力βを調整する。また、本実施形態においては、主電源部101に対して最低電力変換効率eを導入し、本実施形態におけるコントローラ803は、主電源部101における電力変換効率が、最低電力変換効率より低い場合に、補助電源部105より電力を供給するよう制御する。本実施形態における充放電量調整部1202は、補助電源部105における充放電電力のバランスを保つため、上述した最大出力電力βの調整に加え、最低電力変換効率eを調整する。
以下、充放電量調整部1202の動作について、図19を参照して説明する。図19は、最低電力変換効率と、補助電源部における最大出力電力を調整する過程を例示するフローチャートである。
まず、充放電量調整部1202は、カウンタn=0,累積時間t=0とし(ステップS1901),変換効率演算部802において算出した出力電力の調整値φ(-β≦φ≦α)について、一定時間((n×t1)≦t≦((n+1)×t1))内の累積値を、φ>0となる場合、φ<0となる場合の両方について、式(17)及び式(18)により算出する(ステップS1902)。次に、充放電量調整部は、式(17)及び(18)において算出したP(φ>0)とP(φ<0)について、P(φ>0)=P(φ<0)となるか判定する(ステップS1903)。ステップS1903における判定結果がtrueの場合、充放電量調整部1202は、累積時間が所定の時間t2を超えるか判定し(ステップS1907)、判定結果がfalseの場合は、カウンタnをインクリメントし(ステップS1908)、ステップS1902から処理を継続する。なお、この場合、補助電源部105における充電量と放電量がバランスしているため、特に調整は必要ない。次に、充放電量調整部1202は、ステップS1907における判定結果がtrueの場合、ステップS1909以下の処理を続行する。なお、ステップS1909以下の処理については後述する。
次に、ステップS1903における判定結果がfalseの場合、充放電量調整部1202は、一定期間内の充電電力P(φ>0)が放電電力P(φ<0)より大きいか判定し(ステップS1904)、ステップS1904における判定結果がtrue(充電電力P(φ>0)の方が大)の場合、補助電源部105における最大出力電力(蓄電部106の放電量)βを所定の定数(const)分だけ増やし(ステップS1905)、ステップS1907から処理を続行する。ステップS1904における判定結果がfalse(充電電力P(φ<0)の方が大)の場合、充放電量調整部1202は、補助電源部105における最大出力電力βを所定の定数(const)分だけ減らし(ステップS1906)、ステップS1907から処理を続行する。以上述べた処理により、充放電量調整部1202は、補助電源部105における最大出力電力βを調整する。なお、上述した所定の定数constについては適宜適切な値を選択してよい。
次に、ステップS1907における判定結果がtrueの場合について、ステップS1909以下の処理を説明する。充放電量調整部1202は、変換効率演算部802において算出した出力電力の調整値φ(-β≦φ≦α)について、一定時間(0≦t≦t2)内の累積値を、φ>0となる場合、φ<0となる場合の両方について、式(17)及び式(18)により算出する(ステップS1909)。次に、充放電量調整部は、式(17)及び(18)において算出したP(φ>0)とP(φ<0)について、P(φ>0)=P(φ<0)となるか判定する(ステップS1910)。ステップS1910における判定結果がtrueの場合、充放電量調整部1202は、ステップS1901から処理を続行する。この場合、補助電源部105における充電量と放電量がバランスしているため、特に調整は必要ない。
次に、ステップS1910における判定結果がfalseの場合、充放電量調整部1202は、一定期間内の充電電力P(φ>0)が放電電力P(φ<0)より大きいか判定し(ステップS1911)、ステップS1911における判定結果がtrue(充電電力P(φ>0)の方が大)の場合、主電源部101における最低電力変換効率eを所定の定数(const)分だけ増やし(ステップS1912)、ステップS1901から処理を続行する。ステップS1911における判定結果がfalse(充電電力P(φ<0)の方が大)の場合、充放電量調整部1202は、主電源部101における最低電力変換効率eを所定の定数(const)分だけ減らし(ステップS1913)、ステップS1901から処理を続行する。以上述べた処理により、充放電量調整部1202は、最低電力変換効率eを調整する。なお、上述した所定の定数constについては適宜適切な値を選択してよく、最低電力変換効率eの初期値についても、適宜実験等により求めた適切案値を選択すればよい。
次に、上述した最大出力電力βの調整について、図14を参照して説明する。補助電源部105における、一定時間(0≦t≦T)の間の出力電力の合計は、図14において電力調整値φ<0となる領域の面積の合計で表される。このため、βの絶対値を大きくすると、当該領域の面積が増大し、結果として補助電源部105における出力電力(蓄電部106における放電電力)は、増大する。βの絶対値を小さくすると、当該領域の面積は減少し、結果として補助電源部105における出力電力(蓄電部106における放電電力)は減少する。このように、充放電量調整部1202は、補助電源部105における最大出力電力βを調整することにより、補助電源部105における充放電電力がバランスするように、補助電源部105における出力電力を制御する。
次に、上述した最低電力変換効率eの調整について、図20及び図21を参照して説明する。図20は、本実施形態において、主電源部からの電力供給と、補助電源部に対する充放電とを制御する過程を表すフローチャートである。図21は、主電源部101における電力変換の効率曲線と、最低電力変換効率eとの関係を表す模式図である。図20に示す本実施形態におけるコントローラ803の動作は、図9に示した前記第2の実施形態におけるコントローラ803の動作に対して、ステップS2001の判定処理が追加されており、その他は同一である。本実施形態におけるコントローラ803は、主電源部101における電力変換効率が、特定の最低電力変換効率eより低いか判定し(ステップS2001)、判定結果がtrueの場合、ステップS907以下の処理を実行する。ここで、コントローラ803は、ステップS907における判定結果がfalseであり、ステップS909における判定結果がtrueである場合に、ステップS912において、補助電源105が出力電力γを供給するように制御する。ステップS2001の判定結果がfalseの場合、コントローラ803は、補助電源105において出力電力を供給しないよう制御する。ここで図21を参照すると、特定の最低電力変換効率eについて、E=e未満となる領域であれば、補助電源部105から出力電力(蓄電部106における放電電力)が供給される可能性がある。図21より、充放電量調整部1202がeの絶対値を増加させた場合(図19のステップ1912)、ステップS2001においてtrueと判定される領域が増大するため、補助電源部105から出力電力を供給する領域が増大する。これに対して、充放電量調整部1202がeの絶対値を減少させた場合(図19のステップ1913)、ステップS2001においてfalseと判定される領域が増大するため、補助電源部105から出力電力を供給する領域が減少する。このように、充放電量調整部1202は、主電源部101における最低電力変換効率eを調整することにより、補助電源部105における充放電電力がバランスするように、補助電源部105における放電電力を制御する。
以上述べたように、本実施形態における電源システムにおいて、変換特性調整部1202は、補助電源部105における最大出力電力βと、主電源部101における最低電力変換効率eを調整することにより、補助電源部105における一定時間内の出力電力量の増減を制御する。結果として、補助電源部105における充放電がバランスし、蓄電部106における過充電、過放電が抑制される。また、主電源部101の出力電力が、補助電源部105の充放電電力により補完されることから、前述した第1及び第2の実施形態同様、電源システム全体の稼働時間にわたって電力変換効率が最適化されるという作用・効果を奏する。
なお、本願発明の制御ユニット103及びコントローラ803については、本実施形態と、前記第3の実施形態とを組み合わせた構成としてもよい。
<第5の実施形態>
次に上述した本願発明の第1乃至第4の実施形態を基本とした、本願発明の第5の実施形態について、図22を参照して説明する。以下の説明においては、本実施形態に係る特徴的な構成を中心に説明する。その際、前記第1及乃至第4の実施形態と同様な構成については、同一の参照番号を付すことにより、重複する説明は省略する。
図22は、本願発明の第5の実施形態における電源システムの構成を表す図である。上述した第3乃至第4の実施形態同様、本発明の第5の実施形態における電源システムは、図22に示すように、主電源部2201、電力測定部102、蓄電池106を有する補助電源部105、及び制御ユニット103を有する。本実施形態においては、これらの構成に加え、副電源部2202と、最適出力電力演算部2203、電圧変換部2206、負荷としてのメイン駆動回路2204、及びスタンバイ駆動回路2205を有する。主電源部101及び副電源部2202と、補助電源部105との出力は統合され、負荷としてのメイン駆動回路2204及びスタンバイ駆動回路2205に供給される。以下、それぞれの構成要素について説明する。
主電源部2201は、AC/DC変換やDC/DC変換などを行い、出力段に直流電力xAを出力する直流電力供給源であり、後述する消費電力が大きいメイン駆動回路2204を駆動できる、出力電力容量が比較的大きい回路により構成する。主電源部2204を構成する回路としては、例えばダブルフォワード回路や、フルブリッジ回路等を採用してよい。
副電源部2202も、出力段に直流電力xBを出力する直流電力供給源であり、後述する消費電力が小さいスタンバイ駆動回路204bを駆動できる、出力電力容量が比較的小さい回路により構成する。副電源部2205を構成する回路としては、例えばフライバック回路や、シリーズレギュレーターを採用してもよい。
なお、本実施形態における主電源部2201及び副電源部2201には、それぞれについて式(9)に表すような2次関数が、入出力変換モデルとして設定されている。具体的には、本実施形態における、主電源部2201及び副電源部2202ついて、下式(20)及び(21)の2次関数を、それぞれの入出力変換モデルとして採用する。ここで、y
Aは主電源部2201の入力電力を表し、x
Aは主電源部2201の出力電力を表し、y
Bは副電源部2202の入力電力を表し、x
Bは副電源部2202の出力電力を表す。なお下式の2次関数の係数a、b、c、d、e、fは、主電源部2201及び副電源部2202について、それぞれ別途計測した入出力特性の実測値から最小二乗法等を用いて算出し、例えば各電源部に設けられた不揮発性メモリ等からなる設定領域に予め設定する。
電力測定部102は、主電源部2201、副電源部2202及び補助電源部105の出力側に接続され、各電源部の出力電力の合計を測定する。測定方法としては、前記第1の実施形態同様、一般的な手法を採用してよいため、説明は省略する。本実施形態においては、各電源部の出力電力は、負荷であるメイン駆動回路2204と、スタンバイ駆動回路2205とに供給されるので、電力測定部102により計測した出力電力を、負荷である各駆動回路における消費電力Rとする。
制御ユニット103は、電力測定部102により測定した消費電力Rに応じて、電源システム全体の電力変換効率が最大となるように、主電源部2201及び2202の出力電力を調整し、補助電源部105の充放電電力を制御する。制御ユニット103と、主電源部2201、副電源部2202、補助電源部105、及び電力測定部102との間は、前記第1の実施形態同様、各電源部の入出力変換モデルや出力電圧、測定した出力電力値などの各種データや、制御信号などを送受信できるよう、通信可能に接続されている。これらの接続のための通信路や、通信プロトコルについては、前記第1の実施形態の制御ユニット103同様、周知の技術を適応してよい。
制御ユニット103は、内部構成として変換関数導出部801と、変換効率演算部802と、コントローラ803と、最適出力電力演算部2203とを有する。これら制御ユニット103の構成要素は互いに通信可能に接続されており、データや制御コマンドなどを送受信する。これらの構成要素間の通信路や通信プロトコルについても、前述した既存の技術を適応してよい。なお、前記第1の実施形態にて記載した通り、制御ユニット203を汎用のハードウェア資源と、当該汎用ハードウェアにより実行されるソフトウェア・プログラムとによって構成する場合、電源制御203の各構成要素は、ソフトウェア・プログラムを構成するモジュールとして実現してもよい。ここで、変換関数導出部801、変換効率演算部802、及びコントローラ803は、前記第2乃至第4の実施形態と同一であるため、説明を省略する。
最適出力電力演算部2203は、電力測定部102により計測した消費電力と、変換関数導出部801により導出した入出力変換モデルを参照し、当該計測した消費電力に対して、本実施形態に係る電源システム全体の入力電力が最小となるような、主電源部2201及び副電源部2202の出力電力を算出する。
コントローラ803は、前記第2乃至第4の実施形態において説明した動作に加え、上述の最適出力電力演算部2203において算出した出力電力を出力するように、主電源部2201及び副電源部2202に制御信号を送り、各電源部の出力電力を制御する。
メイン駆動回路2204は、電源システムの主たる負荷であり、電源スイッチSWがONとなった場合に駆動される。
スタンバイ駆動回路2205は、電源スイッチSWがOFFの場合にスタンバイ用に駆動される負荷である。なお、スタンバイ駆動回路2205を電源スイッチSWがONの場合に駆動するか否かは、任意である。また、スタンバイ駆動回路の消費電力は、メイン駆動回路の消費電力よりも小さい。
補助電源部105は、前記第1乃至第4の実施形態と同様であるため、説明を省略する。なお、本実施形態においては蓄電部106として、電源部2201及び2202の定格最大出力を所定時間以上維持できる2次電池を採用する。
電圧変換部2206は、スタンバイ駆動回路2205向けの電圧変換回路であり、例えば、任意のDC−DCコンバータ等を用いてよい。スタンバイ駆動回路2204の駆動電圧が各電源部の出力電圧とは異なる場合、電圧変換部2206は、各電源部の出力電力を電圧変換して、スタンバイ駆動回路2205に供給する。なお、電圧変換部2206を接続するか否かは、スタンバイ駆動回路2205の駆動電圧に応じて任意に選択してよい。
次に、上述のように構成された、本発明の第5の実施形態における、電源システムの動作を説明する。本実施形態において、制御ユニット103は、図2に示した第1の実施形態における処理に加え、電源システム全体の入力電力が最小となるように、主電源部2201及び副電源部2202の出力電力を制御する。以下図23を参照して、制御ユニット103による、主電源部2201及び副電源部2202の出力電力制御について説明する。
まず、図23において、ステップS2301乃至ステップS2302は、図2におけるステップS201乃至S202と同様であるので、説明を省略する。
次に、制御ユニットは、電力測定部102において測定した負荷における消費電力Rと、各電源部に設定された入出力変換モデルに基づいて、電源システムへの全入力電力Yを算出する(ステップS2303)。以下、ステップS2303における処理について説明する。入力制御ユニット103の構成要素である変換関数導出部801は、前述のとおり主電源部2201及び副電源部2020と通信可能に接続されており、当該各電源部の入出力変換モデルを参照する。当該入出力変換モデルの参照方法としては、例えば、各電源部に設定されている2次関数の係数に関する情報を、前述した通信路を経由してデータとして取得してもよい。主電源部2201及び副電源部2202の入出力変換モデルを、それぞれf
A及びf
Bと表すと、システム全体の全入力電力Yについて、下式(22)が得られる。
上式(20)及び(21)を式(22)に適用すると、入出力変換関数として下式(23)が導出される。
変換関数導出部801は、式(23)の入出力変換関数を、後述する最適出力電力演算部2203に所定の通知手段により通知する。具体的な通知内容としては、例えば前述した通信路を経由して、最適出力電力演算部2203に、式(23)の2次関数の係数をデータとして通知してもよい。具体的な通知手段は、変換関数導出部801と最適出力電力演算部2203との間の接続方法によって適切な方法を選択してよく、例えば上述したI2C通信のコマンドを使用してもよいが、これに限定されるものではない。
次に、制御ユニット103は、上記算出した全入力電力Yが最小となる、主電源部2201及び副電源部2202における出力電力を算出する(ステップS2304)。以下、ステップS2304の処理における処理について説明する。制御ユニット103の構成要素である、最適出力電力演算部2203は、電力測定部102により測定した負荷における消費電力と、前記変換関数導出部801において導出した入出力変換関数とを参照して、式(23)により表される入力電力Yが最小となるところのxA及びxBを算出する。より具体的には、最適出力電力演算部2203は、以下(i)乃至(iii)の3つの場合について、それぞれ入力電力Yが最小となるところの、主電源部2201における出力電力xAと、副電源部2202における出力電力xBと、を算出する。
(i)主電源部2201及び副電源部2202の両方を稼働させる場合
(ii)主電源部2201のみを稼働させる場合
(iii)副変換部2202のみを稼働させる場合 まず、上述した(i)主電源部2201及び副電源部2202の両方を稼働させる場合、最適出力電力演算部2203は、入力電力Yと、出力電力x
Aとx
Bとを以下の通り算出する。即ち、電力測定部102により測定した負荷における消費電力をRとすると、主電源部2201及び副電源部2202からの出力電力は出力側の接続点で統合され、負荷(メイン駆動回路2204及びスタンバイ駆動回路2205)に供給されることから、下式(24)が得られる。
式(24)よりx
B=R-x
Aとなる。これを前記変換関数導出部203aから通知された入出力変換関数である(23)に適用すると、下式(25)が得られる。
ここで、出力電力Yが最小の時、Yの微分値Y’=0となることから、下式(26)が得られる。
これより、最適出力電力演算部2203は、主電源部2201及び副電源部2202に対する、最適な出力電力を以下のように算出する。
以上より、最適出力電力演算部2203は、電力測定部102により測定した負荷における消費電力Rと、前記変換関数導出部801により導出した2次関数モデルの具体的な係数(a乃至f)を参照し、これらの値を計算式(27)及び(28)に代入することで、出力電力xA及びxBを算出できる。また、最適出力電力演算部2203は、上式(27)及び(28)で算出したxAとxBを上式(23)に代入することで、この場合の入力電力Yを算出できる。なお、本実施形態においては、最適出力電力演算部2203は、式(23)と、式(27)と、式(28)とを予め保持していればよい。最適出力電力演算部2203における計算式の具体的な保持方法については、制御ユニット103の構成によって適切な方法を選択してよい。例えば制御ユニット103を単体のハードウェアとして構成する場合は、計算式に相当するロジックを回路で実現してもよい。また、制御ユニットが前述のように汎用CPUとメモリ等のハードウェアとソフトウェア・プログラムとで構成される場合には、当該ソフトウェア・プログラム内に計算式を組み込んでもよい。
次に、上述した(ii)主電源部2201のみを稼働させる場合、最適出力電力演算部2203は、入力電力Yと、出力電力x
Aとx
Bとを以下の通り算出する。即ち、副電源部2202を停止して出力電力x
B=0とし、電力測定部102により測定した負荷における消費電力をRとすると、下式(29)が得られる。
式(30)の係数fは、副電源部2202の待機電力に相当する。本実施形態においては、副電源部2202を完全に停止して、入力電力をy
B=0としてもよく、その場合の全入力電力は下式(31)により表される。
以上より、最適出力電力演算部2203は、電力測定部102により測定した負荷における消費電力Rと、前記変換関数導出部801により導出した2次関数モデルの具体的な係数を参照し、上記計算式に代入することで、入力電力Yと出力電力xAを算出できる。なお、本実施形態においては、最適出力電力演算部2203は、上式(30)または(31)を保持していればよい。当該計算式の具体的な保持方法は、上述の通り、制御ユニット103の構成によって適切な方法を選択してよい。また、本実施形態では、各電源部と、制御ユニット103との具体的構成に応じて、入力電力の計算式として上式(30)あるいは(31)を適切に選択してよい。例えば、制御ユニット103が、副電源部2202を待機状態とするよう制御するのであれば、式(30)を選択し、副電源部2202を完全に停止するよう制御するのであれば、式(31)を選択すればよい。
次に、上述した(iii)副電源部2202のみを稼働させる場合、最適出力電力演算部2203は、入力電力Yと、出力電力x
Aとx
Bとを以下の通り算出する。即ち、主電源部2201を停止して出力電力x
A=0とし、電力測定部102により測定した負荷における消費電力をRとすると、下式(32)が得られる。
式(33)の係数cは、主電源部2201の待機電力に相当する。本実施形態においては、主電源部2201を完全に停止して、入力電力をy
A=0としてもよく、その場合の全入力電力は下式(34)により表される。
以上より、最適出力電力演算部2203は、電力測定部102により測定した負荷における消費電力Rと、前記変換関数導出部801により導出した2次関数モデルの具体的な係数を参照し、上記計算式に代入することで、入力電力Yと出力電力xBを算出できる。なお、本実施形態においては、最適出力電力演算部2203は、上式(33)または(34)を保持していればよい。具体的な計算式の保持方法は、上述の通り、制御ユニットの構成によって適切な方法を選択してよい。また、本実施形態では、上述した(ii)の場合と同様、各電源部と、制御ユニット103との具体的構成に応じて、入力電力の計算式として上式(33)あるいは(34)を適切に選択してよい。
最適出力電力演算部2203は、上述した(i)乃至(iii)の各場合について算出した出力電力Yを比較して、出力電力Yが最小となる場合のxA及びxBを、主電源部2201及び副電源部2201の最適な出力電力として選択し、接続されているコントローラ803に通知する。具体的な通知手段は、最適出力電力演算部2203とコントローラ803との接続方法によって適切な方法を選択してよく、例えば上述したI2C通信のコマンドを使用してもよいが、これに限定されるものではない。
次に、制御ユニット103は、ステップS2304において算出した最適な出力電力を出力するよう、主電源部2201及び副電源部2202を制御する(ステップ2305)。以下、ステップS2305における処理について説明する。制御ユニット103の構成要素である、コントローラ803は、最適出力電力演算部2203から通知された出力電力を出力するように、主電源部2201及び副電源部2202を制御する。本実施形態においては、コントローラ803は、前記第2の実施形態における主電源部101及び補助電源部105の出力電力の調整と同様に、主電源部2201と補助電源部2203の出力電圧比を調整することにより、それぞれの出力電力を調整すればよい。具体的な調整方法は、前記第2の実施形態の場合と同様であるため、説明は省略する。
以上説明した制御ユニット103の動作により、主電部2201及び副電源部2202の出力電力は、メイン駆動回路2204及びスタンバイ駆動回路2205において消費される電力に応じて、電源システム全体への入力電力Yが最小となるように制御され、電源システム全体としての変換効率が最適化される。
本実施形態において、主電源部2201として出力電力が比較的大きな高負荷領域における電力変換効率が高い電源回路を採用し、副電源部2202として出力電力が比較的小さな低負荷領域における電力変換効率が高い電源回路を採用した場合、各電源部の出力電力は以下のように制御される。
即ち、スイッチSWがOFFの場合、消費電力が比較的小さい、スタンバイ駆動回路2205が駆動される。スタンバイ駆動回路2205の消費電力は比較的小さいため、制御ユニット103は、副変換部2202のみを稼働させる場合に入力電力が最小になると算出する場合がある。この場合、制御ユニット103は、副電源部2202のみを稼働するように、各電源部の出力電圧を制御する。なお、制御ユニット103は主電源部2201を完全に停止してもよい。次に、スイッチSWをONにしてメイン駆動回路2204を駆動した場合、制御ユニット103は、メイン駆動回路2204の消費電力に対応して、入力電力が最小となるように、主電源部2201及び副電源部2202の出力電圧を制御する。この場合、制御ユニット103は主電源部2201及び副電源部2202の両方を稼働するか、あるいは主電源部2201のみを稼働するように、主電源部2201及び副電源部2202の出力電圧を制御する。なお、主電源部2201のみを稼働する場合、制御ユニット103は、副電源部2202を完全に停止してもよい。このように、負荷である各駆動回路における消費電力の変動に伴って、電力変換効率を最大化するように各電源部の出力電圧を調整することにより、制御ユニット103は各電源部の切り替え操作を行う。
次に、本実施形態における、各電源部における出力電力の切り替え操作と、前記第1乃至第4の実施形態における、補助電源部105の充放電制御との組合せについて説明する。本実施形態における補助電源部105及びコントローラ803は、前記第1乃至第4の実施形態において説明した補助電源部における充放電制御と、本実施形態において説明した各電源部の出力電力制御とを組み合わせて実行してもよい。
本実施形態において、コントローラ803は、負荷における消費電力に対して電源システム全体の入力電力を最小化するように、主電源部2201と副電源部2201の出力電力を制御する。このため、負荷における消費電力の値によっては、前述したように主電源部2201あるいは副電源部2202のいずれか一方のみが稼働する状況が発生する。例えば、負荷における消費電力の急増に伴い、主電源部2201と副電源部2202の両方を稼働する必要がある場合に、いずれか一方の電源が停止していると、一時的に負荷に供給する出力電力が低下してしまう可能性がある。同様に、各電源部の切り替えが発生する場合にも、切り替えタイミングにおける負荷の消費電力によっては、一時的に負荷に対して十分な電力を供給できない可能性がある。
そこで本実施形態においては、コントローラ803は、負荷に供給する出力電力が低下した際に補助電源部105から電力を供給し、停止している電源がある場合には、当該電源を起動するよう各電源部を制御する。以下、図25を参照して、コントローラ803による各電源部の制御について説明する。なお、本実施形態におけるコントローラ803の動作は、図9に示す前記第2の実施形態におけるコントローラ803の動作に対して、ステップS2501、S2501、S2503の処理が追加されており、それ以外は同一である。よって図25においては、図9におけるステップS904以降の処理を省略している。
まず、コントローラ803は、電力測定部102における測定結果を参照し、消費電力の変動を検出する(ステップS2501)。次に、コントローラ803は、電源部の出力電力が低下しているか判定し(ステップS2502)、判定結果がtrueの場合には、主電源部2201が停止していれば起動し、補助電源部105において出力電力を供給するよう制御する(ステップS2503)。ステップS2501については、コントローラ803は、特定の閾値と出力電力の変動幅を比較して、出力電力の変動を検出してもよい。ステップS2502については、コントローラ803は、例えば各電源部の出力電圧を参照して、出力電圧の低下を判定してもよい。以上説明したコントローラ803の制御により、主電源部2201と副電源部2202の切り替えなどの際に、補助電源部105により出力電力を補完でき、出力電力の低下に伴うシステムの停止を回避できる。
また、本実施形態においては、コントローラ803は、負荷における消費電力に対して電源システム全体の入力電力を最小化するように、主電源部2201と副電源部2201の出力電力を制御する。このため、負荷における消費電力の値によって主電源部2201及び副電源部2202の出力電力が変動し、場合によっては主電源部2201あるいは副電源部2202のいずれか一方のみが稼働する状況となる。このような出力変動に伴い、システム全体の電力変換効率が変動する場合がある。図24は、各電源部の出力変動に伴う、システム全体の電力変換効率の変動を表す模式図である。図24に示すように、本実施形態においては、負荷に応じて各電源部の出力電力が動的に変化し、場合によっては一方の電源部が停止することから、システム全体の電力変換に関する効率曲線が変動する。制御ユニット103は、消費電力に対する入力電力が最小となるように、即ち最も電力変換効率が良くなるように各電源の出力電力を制御するため、電力変換効率はある程度高い状態が保たれる。これに対して、前記第1乃至第4の実施形態において説明した、補助電源部105における充放電制御を実行することにより、電源切り替え時の出力変動を抑える効果を奏し、更に補助電源105における細かい充放電制御によって、電源システムの稼働時間全体にわたって電力変換効率が最適化されるという効果を奏する。
以上説明した本実施形態に係る電源システムによれば、主電源部2201と副電源部2202とを有する電源システムにおいて、入力電力を出力電力の2次関数としてモデル化し、当該入出力変換モデル及び電力測定部102において計測された消費電力Rから、制御ユニット103において入力電力を算出し、当該算出した入力電力を最小化するように各電源部の出力電圧を制御する。結果として、各駆動回路における消費電力Rに応じて主電源部2201と副電源部2202とが切り替えられ、消費電力Rに対する入力電力が最小化される電源システムが得られる。更に、補助電源部105による充放電制御を組み合わせることにより、電源切り替え時の出力低下によるシステム停止を防ぐことが可能であり、電源システムの稼働時間全体にわたって電力変換効率が最適化される。
<第6の実施形態>
次に上述した本願発明の第1乃至第5の実施形態を基本とした、本願発明の第6の実施形態について、図26を参照して説明する。以下の説明においては、本実施形態に係る特徴的な構成を中心に説明する。その際、前記第1及乃至第5の実施形態と同様な構成については、同一の参照番号を付すことにより、重複する説明は省略する。
図26は、本願発明の第6の実施形態にかかる電源システムの構成を表す図である。本発明の第6の実施形態における電源システムは、上述した第5の実施形態を基本として、電源部2601a乃至電源部2601nと、電力入力部2602と、装置制御部2603と、駆動回路2604と、を有する。各電源部2601a乃至2601nと、補助電源部105との出力は統合され、負荷としての駆動回路2604に供給される。以下、それぞれの構成要素について説明する。
電源部2601a乃至2601nは、上述の第5の実施形態と同様、AC/DC変換やDC/DC変換などを行い、出力段に直流電力を出力する直流電力供給源であり、各電源部について式(9)に表すような2次関数が、入出力変換モデルとして設定されている。本実施形態に係る電源システムにはN(Nは2以上の整数)台の電源部が含まれており、各電源部2601a乃至2601nについては、それぞれ同一の定格仕様に基づいた電源部を採用してもよく、異なる定格仕様に基づいた異種の電源部を採用してもよい。 制御ユニット103は、前記第5の実施形態と同様、電力測定部102において測定した出力電力に基づいて、本実施形態に係る電源システム全体の電力変換効率が最大となるように、主電源部101及び補助電源部105の出力電力と、補助電源部105に対する充電電力とを調整する。制御ユニット103と、各電源部2601a乃至2601n、補助電源部105、及び電力測定部102との間は、前記第5の実施形態同様、各電源部の入出力変換モデルや出力電圧、測定した出力電力値などの各種データや、制御信号などを送受信できるよう、通信可能に接続されている。これらの接続のための通信路や、通信プロトコルについては、前記第1の実施形態の制御ユニット103同様、周知の技術を適応してよい。
制御ユニット103は各電源部2601a乃至2601nが出力する電源検出信号を参照することにより、電源システム全体に含まれる電源部の台数を判別するよう構成してもよい。なお、電源部の台数を検出する具体的な方法はこれに限られず、複数の各電源部2601a乃至2601nを相互接続すると共に、特定の電源部をマスター電源とし、マスター電源が電源システムに含まれる電源部の存在信号を検出し、制御ユニット103に通知してもよい。また、図26には図示しない電源台数検出部を別途設けて、電源台数検出部において各電源部2601a乃至2601nが出力する電源検出信号を検出し、検出した電源台数を制御ユニット103に通知するよう構成してもよい。なお、各電源部2601a乃至2601nの間や、各電源部と電源台数検出部との間を接続する通信路や通信プロトコルについても、前記第1の実施形態の電源制御部103同様、既存の技術を適応してよい。
各電源部の入力側には、各電源部に電力を供給する電力入力部2602が接続される。電力入力部2602としては、例えば商用電源系統や発電機、無停電電源装置等の電力供給源を接続してよい。ここで、本実施形態の電力入力部2602には定格最大出力電力B設定されている。定格最大出力電力Bは、例えば電力入力部2602に設けられた不揮発性メモリに、適当な治具を利用して格納してもよい。なお、定格最大出力電力Bは、後述する装置制御部2603に設定されていてもよい。
各電源部の出力側には負荷である駆動回路2604が接続されている。本実施形態の駆動回路2604には定格最大消費電力Rmaxが設定されている。定格最大消費電力Rmaxは例えば駆動回路2604に設けられた不揮発性メモリに適当な治具を利用して格納してもよい。なお、定格最大消費電力Rmaxは、後述する装置制御部2603に設定されていてもよい。駆動回路2604は、図26に示すように、複数の駆動回路2604a乃至2604mを用いて構成してもよく、このように構成する場合は、各駆動回路2604a乃至2604mのそれぞれに定格最大消費電力Ri_maxが設定される。ここでiはi番目の駆動回路であることを表す。
装置制御部2603は、上述した電力入力部2602及び駆動回路2604に、通信可能に接続されており、電力入力部2602に設定されている定格最大出力電力Bと、駆動回路2604に設定されている定格最大消費電力Rmaxとを参照し、所定の定格内で駆動されているかを判定する。また、装置制御部2603は、変換関数導出部801とも通信可能に接続されており、変換関数導出部801により導出した入出力変換モデルを参照する。これらの要素間の接続については、前記第1の実施形態における制御ユニット103同様、既存の技術を適応してよい。装置制御部2603は、専用の制御用ハードウェアを用いて構成してもよいが、汎用のCPU及びメモリ等(何れも不図示)からなるハードウェアと、そのCPUによって実行される各種ソフトウェア・プログラムとによって構成してもよい。
前述の定格最大出力電力Bと、定格最大消費電力Rmaxについては、具体的な値を装置制御部2603に予め設定しておいてもよい。これらの値を装置制御部2603へ設定する方法としては、例えば装置制御部2603にフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを搭載し、出荷前の製造段階、或いは出荷後のメンテナンス段階等において、適当な治具を利用して当該メモリ領域内にこれらの値を格納してもよい。また、装置制御部2603が前述のように汎用CPUとメモリ等のハードウェアとソフトウェア・プログラムとによって構成される場合には、当該ソフトウェア・プログラム内に組み込んでもよい。本実施形態におけるその他の構成については、前記第5の実施形態と同様である。
次に、本実施形態に係る電源システムの動作について説明する。本実施形態に係る電源システムの基本的な動作は、前記第5の実施形態と同様であるため、以下、第5の実施形態とは異なる部分を中心に、変換関数導出部801と最適出力電力演算部2203、および装置制御部808の動作について説明する。まず、変換関数導出部801の動作について説明する。変換関数導出部801は、各電源部2601a乃至2601nに設定された入出力変換モデルを参照し、各電源部から送出された電源検出信号に基づいて電源の台数Nを判別し、入出力変換関数として下式(35)を導出する。下式(35)において、x
i、y
i、及びf
iはそれぞれi番目の電源の出力電力、入力電力、及び入出力変換モデルを表す。
i番目の電源の入出力変換モデルをy
i=a
ix
i 2+b
ix
i+c
iとすると、式(35)より、下式(36)が得られる。なお、前記第5の実施形態と同様、式(36)のa
i、b
i、およびc
iは、i番目の電源部2601iについて、別途計測した入出力特性の実測値から最小二乗法を用いて算出され、予め電源部に設定される。
変換関数導出部801は、式(36)の入出力変換関数を、後述する最適出力電力演算部2203に所定の通知手段により通知する。最適出力電力演算部2203への通知方法については、前記第5の実施形態と同様としてよいため、説明を省略する。
次に、最適出力電力演算部2203の動作について説明する。最適出力電力演算部2203は、上記第2の実施形態と同様、電力測定部102により測定した駆動回路2604における消費電力と、前記変換関数導出部801において導出した入出力変換関数とを参照して、上式(36)により表された入力電力Yが最小となるところの、各電源部2601a乃至2601nにおける出力電力を算出する。電力測定部102により計測された、駆動回路2604における消費電力をRとすると、式(37)が得られる。
最適出力電力演算部2203は、上式(36)及び(37)に基づいて、Yと各x
iとについて数学的な最適解を導出してもよいが、計算が複雑になる可能性がある。本実施形態においては、最適出力電力演算部2203におけるYと各x
iの算出方法を単純化することを目的として、図27に示すように各電源部を2つのグループ(以下便宜的にグループA、グループBとする)に分け、それぞれのグループに含まれる電源部の出力電力が等しくなるよう制御する。このように単純化した場合は、上式(36)及び(37)から、下式(38)及び(39)が得られる。なお、下式においてN
AとN
Bは、それぞれグループAまたはグループBに含まれる電源部の台数を表し、N
A+N
B=Nである。なお、全ての電源部が一方のグループに含まれる場合(例えばN
A=0、N
B=Nの場合)も含む。また、x
AはグループAに含まれる、それぞれの電源部の出力電力を表し、x
BはグループBに含まれる、それぞれの電源部の出力電力を表す。
次に、式(38)及び(39)に基づいて、入力電力Yが最小となるxAとxBとを算出する処理の一例について、図28を参照して説明する。なお、上式(87)及び(39)については、算出すべき出力電力がxA及びxBの2つであることから、前記第5の実施形態と同様の算出方法により、Yが最小となる場合のxA及びxBを算出できる。よって、以下の説明においては、上式(38)及び(39)から具体的なxA及びxBの値を算出する過程は省略する。
まず、最適出力電力演算部2203は、N台の電源部2601の中で、稼働する電源部2601の台数を選択する。ここでは、稼働する電源部の台数をnとする(ステップS2801)。最適出力電力演算部2203は以下の処理を、n=1台からn=N台まで変更しながら繰り返し行う(ステップS2801乃至ステップS2812)。
次に、最適出力電力演算部2203は、N台の電源部からn台の電源部を選択する全ての組合せを抽出する(ステップS2802)。ここで組合せの数はNCnとなる。例えば、電源システムが電源部1、電源部2、電源部3、電源部4の4台の電源部を含む場合(N=4)、3台の電源部を稼働させるとすると(n=3)、その組合せは4C3=4個となる。その際、抽出する具体的な組合せは(電源部1、電源部2、電源部3)、(電源部1、電源部2、電源部4)、(電源部1、電源部3、電源部4)、(電源部2、電源部3、電源部4)となる。
次に、最適出力電力演算部2203は以下の処理を、抽出した全ての組合せについて繰り返し行う(ステップS2803乃至ステップS2811)。最適出力電力演算部2203は、前記ステップS2802において選択されたn台の電源を2つのグループに分ける、全てのグループ分けパターンを抽出する(ステップS2804)。ここで、2つのグループに分ける全グループ分けパターンは[n/2]+1個となる。なお、本実施形態において、記号”[ ]”は床関数(ガウス記号)を表し、[n/2]はn/2以下の最大の整数を表す。例えば、3台の電源部が稼働する場合、2つのグループに分けるパターンは[3/2]+1=2個となり、抽出するパターンは(3台、0台)、(2台、1台)となる。4台の電源部が稼働する場合は、グループ分けパターンは[4/2]+1=3個となり、抽出するパターンは(4台、0台)、(3台、1台)、(2台、2台)となる。
次に、最適出力電力演算部2203は、以下の処理を抽出した全てのグループ分けのパターンについて繰り返し行う(ステップS2805乃至ステップS2810)。最適出力電力演算部803bは、前記ステップS2804において抽出した全てのグループ分けパターンについて、各電源部をそれぞれのグループに割り当てる、全ての組合せを抽出する(ステップS2806)。各電源部を{m台、N−m台}の2つのグループに分割する場合、グループに割り当てる電源の組合せの数は、最大でnCm個となる。例えば、(電源部1、電源部2、電源部3)の3台の電源部を{2台、1台}のグループにわける場合の組合せは3C2=3個となりあり、具体的には{グループA、グループB}={(電源部1、電源部2)、電源部3}、{(電源部1、電源部3)、電源部2}、{(電源部2、電源部3)、電源部1}となる。以下、本実施形態においては、記号”{ }”は、2つのグループへのグループ分けのパターンを表す。nが偶数であり、m=n/2となる場合は、組合せの数はn!/(m!(n−m)!2!)個となる。なお、本実施形態において記号”!”は階乗を表す。
次に、最適出力電力演算部2203は、上記ステップS2806において抽出した、各電源部を2つのグループへ割り当てる全てのパターンについて、上式(38)及び(39)に基づいて、Yが最小となるxAとxBとを算出する。最適出力電力演算部2203は、前記全てのパターンについて計算した結果から、Yが最小となるxA、xB、及びYの最小値と、そのときの電源部の組合せとを記録する(ステップS2807乃至ステップS2809)。ステップS2808においては、Yが最小値となるxA及びxBと、そのときの電源部の組合せが更新されるたびに、記録を上書きしてもよい。なお、具体的な記録手段としては、例えば電源制御部に設けたメモリ等に一時的に記憶しておいてもよい。
最適出力電力演算部2203は、稼働する電源部の台数nを変えながら(ステップS2801乃至ステップS2812)、n台の稼働する電源部の全ての組合について(ステップS2803乃至ステップS2811)、電源部を2つのグループに分ける全ての組合せを抽出し(ステップS2805乃至ステップS2810)、これらの全ての組合せについて上述した計算を繰り返す。
最適出力電力演算部2203は、上記算出処理の終了後、上述したステップS2808にて記録した、入力電力Yが最小となるところの各電源部の出力電力を、コントローラ803に通知する(ステップS2813)。最適出力電力演算部2203から通知を受けたコントローラ803は、各電源部2601a乃至2601nにおいて、最適出力電力演算部2203により算出された出力電力を出力するように、各電源部2601a乃至2601nの出力電力を制御する。各電源部2601a乃至2601nにおける出力電力を制御する具体的な方法は、前述した本発明の第5の実施形態と同様としてよいので、説明は省略する。
次に、装置制御部2603の動作について図29を参照して説明する。装置制御部2603は、駆動回路2604の定格最大消費電力Rmaxと、変換関数導出部801により導出された入出力変換関数とを参照し、駆動回路2604における消費電力がRmaxとなる場合の、入力電力の最小値YRmaxを算出する(ステップS2801)。具体的な算出方法は、上述した最適出力電力演算部2203と同様としてよい。装置制御部2603は、駆動回路2604が複数の駆動回路2604a乃至2604mにより構成されている場合には、個別の駆動回路に設定されている定格最大消費電力の総和をとり、定格最大消費電力Rmax=ΣRi_maxとしてもよい。
次に、装置制御部2603は、電力入力部2601に設定されている定格最大出力電力Bを参照して、当該定格最大出力電力BとYRmaxとを比較する(ステップS2902)。装置制御部2603は、ステップS2902においてYes(YRmax<B()の場合)であれば、各電源部の出力電力を最適化するよう制御する(ステップS2903)。ステップS2903においては、上述したように、駆動回路2604における消費電力に対して、入力電力Yが最小となるように各電源ユニット2601a乃至2601nの出力電圧が制御される。次に、装置制御部2603は、ステップS2902における判定結果がNoの場合(YRmax≧B)、警告を出力する(ステップS2904)。なお、この場合、警告を出力するとともに、電源システムの始動を抑制する等の所定の処理を実行してもよい(ステップS2905)。警告の出力方法としては、例えば、ディスプレイや警告灯等からなる表示部2605aへの警告表示、警報部2605bによる警報発生、または通信部2605cによるアラート通信等、電源システムに求められる仕様に応じて適切な方法を選択してよい。
装置制御部2603は、上述した動作により、電力の供給元である電力入力部2602が供給可能な定格最大出力電力Bと、駆動回路2604において消費される定格最大消費電力Rmaxの整合性を判定することができ、本願実施形態に係る電源システムが定められた定格の範囲を超えずに運転できる否かを判定できる。
なお、本実施形態においては、装置制御部2603を制御ユニット103とは別に独立した形式として設けているが、本願発明はこれに限定されず、例えば、装置制御部2603を制御ユニット103と一体として設けてもよく、最適出力電力演算部2203やコントローラ803の一つの機能として実現してもよい。
以上説明した本実施形態に係る電源システムによれば、複数の電源部2601a乃至2601nを2つのグループに分けて、各グループに含まれるそれぞれの電源部の出力電力が等しくなるよう制御することにより、各電源部に対する出力電力の計算処理を単純化でき、負荷の変動に応じて各電源部の出力電力を素早く制御できる。また、本実施形態に係る電源システムによれば、電力の供給元である電力入力部2602が供給可能な定格最大出力電力Bと、駆動回路2604において消費される定格最大消費電力Rmaxの整合性を判定することができ、本願実施形態に係る電源システムが定められた定格を超えずに運転できるか否かを判定できる。
次に、本実施形態における、各電源部の切り替え操作と、前記第1乃至第4の実施形態における、補助電源部105の充放電制御との組合せについて説明する。本実施形態における補助電源部105及びコントローラ803は、前記第5の実施形態同様、前記第1乃至第4の実施形態において説明した補助電源部における充放電制御と、本実施形態において説明した各電源部の出力電力制御とを組み合わせて実行してもよい。
本実施形態において、コントローラ803は、駆動回路2604における消費電力に対して電源システム全体の入力電力を最小化するように、各電源部2601a乃至2601nの出力電力を制御し、稼働する電源部の台数も制御する。駆動回路2604における消費電力の値によっては、前述したように各電源部2601a乃至2601nの一部のみが稼働し、他の電源部は停止する状況が発生する。このため、前記第5の実施形態と同様、各電源部の切り替えタイミングにおける負荷の消費電力によっては、一時的に負荷に対して十分な電力を供給できない可能性がある。よって、本実施形態においても、前記第5の実施形態と同様、図25に示すように、負荷に供給する出力電力が低下した際に補助電源部105から電力を供給し、停止している電源がある場合には、当該電源を起動するよう各電源部を制御する。具体的な処理に内容は、前記第5の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
以上説明した本実施形態に係る電源システムによれば、複数の電源部2601a乃至2601nを有する電源システムにおいて、駆動回路2604における消費電力Rに応じて各電源部の出力電力が切り替えられ、消費電力Rに対する入力電力が最小化される電源システムが得られる。更に、補助電源部105による充放電制御を組み合わせることにより、電源切り替え時の出力低下によるシステム停止を防ぐことが可能であり、電源システムの稼働時間全体にわたって電力変換効率が最適化される。
尚、上述した各実施形態を例に説明した本発明については、制御ユニット103、補助電源部105、及び装置制御部2603等における処理を、汎用のCPU及びメモリ等(何れも不図示)からなるハードウェアと、そのCPUによって実行される各種ソフトウェア・プログラムで実現してもよい。即ち、上述した汎用のハードウェア等で構成される装置に対して、上述した各実施形態にて説明した、制御ユニット103や補助電源部105、及び装置制御部2603における処理を実現可能なソフトウェア・プログラムを供給した後、そのソフトウェア・プログラムを、当該装置のCPUに読み出して実行してもよい。当該装置内に供給されたコンピュータ・プログラムは、読み書き可能なDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの一時記憶メモリや、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶デバイスに格納すればよい。
また、前記の場合において、各装置内へのコンピュータ・プログラムの供給方法としては、出荷前の製造段階、或いは出荷後のメンテナンス段階等において、適当な治具を利用して当該装置内にインストールする方法や、インターネット等の通信回線を介して外部よりダウンロードする方法等のように、現在では一般的な手順を採用することができる。そして、このような場合において、本発明は、係るコンピュータ・プログラムを構成するコード、或いは係るコードが記録されたところの、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体によって構成されると捉えることができる。
また、上述した各実施形態を例に説明した本発明については、前述した制御ユニット103に前述した各電源の入出力変換モデルが設定されていてもよい。制御ユニット103に接続される各電源部について、入出力変換モデルが予め判明しているような場合には、電源制御部に各電源部の入出力変換モデルを設定しておくことにより、各電源部の最適な出力電力を算出できる。なお、制御ユニット103における入出力変換モデルの設定方法は、例えば制御ユニット103にフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを搭載し、出荷前の製造段階、或いは出荷後のメンテナンス段階等において、適当な治具を利用して当該メモリ領域内に格納してもよい。また、制御ユニット103が、前述のように汎用CPUとメモリ等のハードウェアとソフトウェア・プログラムとにより構成される場合には、当該ソフトウェア・プログラム内に変換モデルを組み込んでもよい。
また、前述した各電源の入出力変換モデルは、自電源システムの外部に存在してもよい。この場合、制御ユニット103は、外部に存在する入出力変換モデルを参照することにより、各電源部の最適な出力電力を算出できる。このような場合の例として、当該電源システムを通信ネットワークに接続した環境が挙げられる。例えば、当該通信ネットワーク上の特定のサーバにおいて当該電源システムの入出力変換モデルを保持しており、前述した制御ユニット103は、通信路を経由して当該サーバに接続し、当該入出力変換モデルを参照してもよい。
以上、本発明を、上述した模範的な実施形態に適用した例として説明した。しかしながら、本発明の技術的範囲は、上述した各実施形態に記載した範囲には限定されない。当業者には、係る実施形態に対して多様な変更または改良を加えることが可能であることは明らかである。そのような場合、係る変更または改良を加えた新たな実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれ得る。そしてこのことは、特許請求の範囲に記載した事項から明らかである。
尚、上述した実施形態及びその変形例の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうる。しかしながら、上述した実施形態及びその変形例により例示的に説明した本発明は、以下には限られない。
(付記1)
入力電力を出力電力に変換し、その出力電力を負荷に供給可能な1以上の主電源部と、
電力供給源である蓄電部による出力電力を前記負荷に供給可能な補助電源部と、
前記主電源部及び前記補助電源部の出力側と、前記負荷との間に接続され、前記主電源部及び前記補助電源部が出力した出力電力を測定する電力測定部と、
前記電力測定部により測定した出力電力に応じて、前記主電源部に対する特定の出力調整範囲内において、前記主電源部における電力変換効率が最大となる、前記主電源部における最適な出力電力を算出し、
前記特定の出力調整範囲に基づいて、前記補助電源部における最適な出力電力または充電電力を算出し、
前記算出した最適な出力電力に基づいて前記電源部を制御し、
前記算出した最適な出力電力または充電電力に基づいて前記補助電源部を制御する、制御ユニットと、
を備える電源システム。
(付記2)
前記制御ユニットは、前記主電源部への入力電力と、前記主電源部から出力される出力電力との間の電力変換を表す入出力変換モデルに基づいて、前記電力測定部により測定した出力電力に応じた前記主電源部への入力電力を演算する、付記1に記載の電源システム。
(付記3)
前記制御ユニットは、
前記補助電源部が有する前記蓄電部の充電残量を検出し、
前記電力測定部により測定した前記主電源部の出力電力を第1の出力電力とし、
前記第1の出力電力と、前記入出力変換モデルとに基づいて、前記電源部における第1の入力電力を算出し、
前記第1の出力電力と、前記第1の入力電力とに基づいて、第1の電力変換効率を算出し、
前記第1の出力電力を、前記主電源部に対する特定の出力調整範囲内に含まれる特定の調整値を用いて変換した、前記主電源部における第2の出力電力を導出し、
前記第2の出力電力と、前記入出力変換モデルとに基づいて、前記主電源部における第2の入力電力を算出し、
前記第2の出力電力と、前記第2の入力電力とに基づいて、第2の電力変換効率を算出し、
前記第1の電力変換効率と、前記第2の電力変換効率とを比較した結果と、前記検出した前記蓄電池の充電残量とに基づいて、前記主電源部における出力電力と、前記補助電源部おける出力電力または充電電力とを制御する、
付記2に記載の電源システム。
(付記4)
前記制御ユニットは、前記第1の電力変換効率よりも、前記第2の電力変換効率の方が高い場合、
前記第2の出力電力に基づいて、前記主電源部における出力電力を制御し、
前記特定の調整値に基づいて前記補助電源部おける出力電力または充電電力を制御する、付記3に記載の電源システム。
(付記5)
前記制御ユニットは、
前記特定の調整値が正の値となる場合、前記主電源部における出力電力の中で、前記特定の調整値に相当する電力に基づいて、前記補助電源部が有する前記蓄電池を充電し、
前記特定の調整値が負の値となる場合、前記特定の調整値に基づいて、前記補電源部が有する前記蓄電池からの電力供給を制御する、
前記付記3または付記4に記載の電源システム。
(付記6)
前記電源部は、前記電源部における電力変換効率の特性を調整する、電力変換効率調整手段を有し、
前記電力変換効率調整手段は、前記電力測定部において測定した消費電力と、前記特定の調整値とに基づいて、前記電源部の電力変換効率の特性を調整する、
付記3乃至付記5の何れかに記載の電源システム。
(付記7)
前記電源部は、複数の電源ユニットにより構成され、
前記電力変換効率調整手段は、前記複数の電源ユニットの少なくとも一部を選択して稼働する、
付記6に記載の電源システム。
(付記8)
前記電源部は、複数の変圧器を有し、
前記複数の変圧器はそれぞれ並列に接続され、
前記電力変換効率調整手段は、前記複数の変圧器の少なくとも一部を選択して接続する、
付記6に記載の電源システム。
(付記9)
前記電源部は、力率改善回路と、変圧器と、整流回路とを有し、
前記力率改善回路の出力側は、前記変圧器の入力側に接続され、
前記変圧器の出力側は、前記整流回路に接続され、
前記電力変換効率調整手段は、前記力率改善回路の出力電圧または、動作周波数を制御する、
付記6に記載の電源システム。
(付記10)
前記制御部は、前記負荷において特定の期間に消費される消費電力の平均値を算出し、
前記電力変換効率調整手段は、前記算出した消費電力の平均値に基づいて、前記電源部の電力変換効率の特性を調整する、
前記付記6乃至付記9の何れかに記載の電源システム。
(付記11)
前記制御部は、前記負荷において特定の期間に消費される消費電力の平均値を算出し、
前記電力変換効率調整手段は、前記電源部の出力電力が、前記算出した消費電力の平均値と等しいか又は略等しくなるように、前記電源部の電力変換効率を調整する、
前記付記6乃至付記10の何れかに記載の電源システム。
(付記12)
前記制御部は、
前記補助電源部において特定の期間に出力される総出力電力量を算出し、
前記補助電源部において特定の期間に充電される総充電電力量を算出し、
前記電力変換効率調整手段は、前記算出した総出力電力量と、総充電電力量とに基づいて、前記電源部の電力変換効率の特性を調整する、
前記付記6乃至付記11の何れかに記載の電源システム。
(付記13)
前記制御部は、
前記補助電源部において特定の期間に出力される総出力電力量を算出し、
前記補助電源部において特定の期間に充電される総充電電力量を算出し、
前記電力変換効率調整手段は、前記算出した総出力電力量と、総充電電力量とが等しいか又は略等しくなるように、前記電源部の電力変換効率の特性を調整する、
前記付記6乃至付記13の何れかに記載の電源システム。
(付記14)
前記制御部は、
前記補助電源部において特定の期間に出力される総出力電力量を算出し、
前記補助電源部において特定の期間に充電される総充電電力量を算出し、
前記算出した総充電電力量が、前記算出した総出力電力量より大きい場合、前記補助電源部における最大出力電力を大きくするよう制御する、
前記付記3乃至付記11の何れかに記載の電源システム。
(付記15)
前記制御部は、
前記主電源部における電力変換効率が、前記補助電源部からの電力の供給可否を判定する設定値である最低電力変換効率より低い場合に、前記補助電源部において出力電力を供給するよう制御し、
前記補助電源部において特定の期間に出力される総出力電力量を算出し、
前記補助電源部において特定の期間に充電される総充電電力量を算出し、
前記算出した総充電電力量が、前記算出した総出力電力量より大きい場合、前記最低電力変換効率の値を大きくするよう制御する、
前記付記3乃至付記14の何れかに記載の電源システム。
(付記16)
前記制御部は、
前記算出した第1の変換効率が特定の下限値より低い場合、前記電源部を停止し、前記補助電源部の出力電力を負荷に供給する、
前記付記1乃至付記15の何れかに記載の電源システム。
(付記17)
前記制御ユニットは、
前記補助電源部が有する前記蓄電池の充電残量を検出し、
前記検出した充電残量が特定の下限容量より小さい場合、前記補助電源部による電力供給を停止し、
前記検出した充電残量が特定の上限容量より大きい場合、前記補助電源部における前記蓄電池に対する充電を停止する、
前記付記1乃至16の何れかに記載の電源システム。
(付記18)
入力電力を出力電力に変換して負荷に供給可能な1以上の主電源部から出力される出力電力と、蓄電部を電力供給源とする補助電源部から出力される出力電力と、を測定し、
前記測定した出力電力に応じて、前記主電源部に対する特定の出力調整範囲内において、前記主電源部における電力変換効率が最大となる、前記主電源部における最適な出力電力を算出し、
前記特定の出力調整範囲に基づいて、前記補助電源部における最適な出力電力または充電電力を算出し、
前記算出した最適な出力電力に基づいて前記電源部を制御し、
前記算出した最適な出力電力または充電電力に基づいて前記補助電源部を制御する、
電源システムの制御方法。
(付記19)
電源システムの制御プログラムであって、
入力電力を出力電力に変換して負荷に供給可能な1以上の主電源部から出力される出力電力と、蓄電部を電力供給源とする補助電源部から出力される出力電力と、を測定する処理と、
前記測定した出力電力に応じて、前記主電源部に対する特定の出力調整範囲内において、前記主電源部における電力変換効率が最大となる、前記主電源部における最適な出力電力を算出する処理と、
前記特定の出力調整範囲に基づいて、前記補助電源部における最適な出力電力または充電電力を算出する処理と、
前記算出した最適な出力電力に基づいて前記電源部を制御する処理と、
前記算出した最適な出力電力または充電電力に基づいて前記補助電源部を制御する処理と、をコンピュータに実行させる、制御プログラム。
(付記20)
入力電力を出力電力に変換し、その出力電力を負荷に供給する複数の電源部と、
前記電源部の出力側と、前記負荷との間に接続され、前記電源部が出力した出力電力を測定する電力測定部と、
前記電力測定部により測定された出力電力に応じて、前記電源部への入力電力が最小となる前記電源部の最適な出力電力を算出し、算出した最適な出力電力に基づいて前記電源部を制御する電源制御部と、
を備える電源システム。
(付記21)
前記電源制御部は、前記電源部への入力電力と、前記電源部から出力される出力電力との間の電力変換を表す入出力変換モデルに基づいて、前記電力測定部により測定した出力電力に応じた前記電源部への入力電力を演算する、付記20に記載の電源システム。
(付記22)
前記入出力変換モデルは、前記電源部の出力電力の2次関数である、
付記21に記載の電源システム。
(付記23)
前記電力測定部は、
前記負荷において消費される、前記複数の電源部の出力電力の合計を測定し、
前記電源制御部は、
前記電力測定部により測定された前記出力電力の合計と、前記入出力変換モデルとに基づいて、前記複数の電源部への入力電力の合計が最小となる最適な出力電力を、前記電源部それぞれに対して算出し、
算出した最適な出力電力に基づいて、前記電源部それぞれの出力電力を調整する、
付記21乃至22の何れかに記載の電源システム。
(付記24)
前記電源制御部は、
前記複数の電源部に含まれる1以上の特定の電源部の出力電力がそれぞれ等しく、残りの電源部の出力電力がそれぞれ等しいと仮定して、
前記電源部それぞれに対して、前記複数の電源部への入力電力の合計が最小となる最適な出力電力を算出し、
算出した最適な出力電力に基づいて、前記電源部それぞれの出力電力を調整する、
付記23に記載の電源システム。
(付記25)
前記電源部の入力側に接続され、定格最大出力電力が定められた電力入力部と、
前記電源部の出力側に接続され、定格最大消費電力が定められた負荷である駆動回路部と、
装置制御部と、を有し、
前記装置制御部は、
前記負荷において定格最大消費電力が消費されると仮定して、前記複数の電源部への入力電力の最小値を算出し、
算出した入力電力の最小値と前記電力入力部の定格最大出力電力を比較する、
付記21乃至付記24の何れかに記載の電源システム。
(付記26)
前記電源制御部は、前記電源部の出力電圧比を調整することによって、前記電源部の出力電力を制御する、付記20乃至25の何れかに記載の電源システム。
(付記27)
前記電源部の出力側に、蓄電部を更に有する、付記20乃至26の何れかにに記載の電力システム。
(付記28)
前記入出力変換モデルは、前記電源部に設定されている、
付記20乃至付記27の何れかに記載の電源システム。
(付記29)
前記入出力変換モデルは、前記電源制御部に設定されている、
付記20乃至付記28の何れかに記載の電源システム。
(付記30)
入力電力を出力電力に変換して負荷に供給する、複数の電源部から出力される出力電力を測定し、
前記測定した出力電力に応じて、前記電源部への入力電力が最小となる前記電源部の最適な出力電力を算出し、
算出した最適な出力電力に基づいて前記電源部を制御する、電源システムの制御方法。
(付記31)
電源システムの動作を制御する制御プログラムであって、
複数の電源部から出力される出力電力の測定結果を取得する処理と、
前記出力電力の測定結果に応じて、前記電源部へ入力される入力電力が最小となる最適な出力電力を算出する処理と、
算出した最適な出力電力に基づいて前記電源部の出力電力を制御する処理と、
をコンピュータに実行させる、制御プログラム。