JP6159994B2 - 合成置換コラムとその築造装置および築造方法 - Google Patents

合成置換コラムとその築造装置および築造方法 Download PDF

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本発明は小規模建築物や戸建住宅等の建築物や土間スラブの基礎工法としてのソイルセメント柱状体と水硬性固化材液置換柱状体を合成した合成置換コラムとその築造装置および築造方法に関する。
比較的小規模の建築物や戸建住宅等の建築物や土間スラブの基礎工法として、一般的に深層混合処理工法によるコラム工法が採用されている。しかしながら、一般的に使用されているコラム工法は原位置の地盤とセメントスラリーを攪拌混合するため、粘着力の高い粘性土を対象とする場合には共回り現象が発生して混合不良による品質不良が発生したり、有機質土などの地盤種別によっては固化不良を発生したりするという問題があった。
この問題を解決するため、出願人らは先に特開2011−106253号において水硬性固化材液置換コラムの築造方法および水硬性固化材液置換コラムの施工装置(特許文献1参照)を提供している。
本発明は、出願人らのその後の研究開発により、水硬性固化材液置換コラムの基本構造に変更を加えるとともに、その築造装置およびその築造方法について新たな発明を行ったものである。
特開2011−106253号公報
近年は環境問題が社会問題となり、建設工事における排土が環境に負荷を与えるとして、排土量(発生土量)の多い基礎工法は施工費が低コストであっても忌避されるようになってきた。特許文献1に示す従来技術では、側面が平坦な掘削ロッドを使用することにより、ほとんど無排土で置換コラムを築造することができるため、そのタイプが採用される例が増えてきた。
しかしながら、戸建住宅基礎用の小型施工機により、排土機能のない側面が平坦な掘削ロッドでは地盤の掘進抵抗が大きいため、置換コラムを築造できるコラム径は大きくとも20〜30cm程度であり、大径化することは困難であった。そのため、従来の置換コラム技術では、置換コラムの材料強度から決まる支持力と、地盤から決まる置換コラムの鉛直支持力がアンバランスであった。つまり、外径が小さな置換コラムは地盤の支持力が相対的に小さく、一方、置換コラムは純粋な水硬性固化材液で構成されており、その強度は一般のソイルセメントより格段に大きいので材料強度から決まる鉛直支持力が相対的に大きくなり、結果的に地盤から決まる支持力と材料強度から決まる支持力が大きくかけ離れてアンバランスとなり、不経済な状態であった。言い換えると、置換コラムの優れた材料強度を有効に活用することができていなかった。
本発明は、地盤から決まる支持力と材料強度から決まる支持力のバランスを従来技術のそれよりも調和させることにより、具体的には従来技術による置換コラムの地盤支持力をより大きくするための、より合理的でかつ経済的な合成置換コラムとその築造装置および築造方法を提供するものである。
本発明は、従来技術が有する上記欠点を解消するためになされたものであり、請求項1の発明は、ソイルセメント柱状体の軸心部に円柱状の水硬性固化材液置換柱状体をその軸心が略一致するように配置し、ソイルセメント柱状体中の水硬性固化材液置換柱状体の外径を確保かつ一定に保つために、該水硬性固化材液置換柱状体が該ソイルセメント柱状体を貫いて下方に突出し、その突出部長さが該突出部径の少なくとも1.5倍の長さであることを特徴とするソイルセメント柱体と水硬性固化材液硬化柱体の合成置換コラムである。
請求項2の発明は、内部に水硬性固化材液の流路を有し、上端に掘削ロッドとの継手部を有する軸部の下端に水硬性固化材液の吐出口を有する掘削ヘッドを装着し、軸部には少なくとも2枚の攪拌翼を固設し、合成置換コラムの水硬性固化材液置換柱状体の下方への突出部を形成するために、最下段の攪拌翼位置から下方の軸部長さが少なくとも該軸部径の1.5倍であることを特徴とする合成置換コラムの築造装置である。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、軸部は回動自在に装着された共回り防止翼を有し、該共回り防止翼の回転径は攪拌翼のそれよりも大きく、かつ該攪拌翼固設位置近傍に設置していることを特徴とする合成置換コラムの築造装置である。
請求項4の発明は、請求項2または3の発明において、掘削ヘッドが下方向きの円錐状の形状をしており、その側面に、正回転時に掘削土砂を上方へ移動させる向きのスパイラル翼が固設され、該スパイラル翼の最大回転径が軸部径を超えない大きさであるとともに、該側面には水硬性固化材液の吐出口が設けられていることを特徴とする合成置換コラムの築造装置である。
請求項5の発明は、請求項2乃至4のいずれか1項の発明において、掘削ヘッドが、軸部に対して着脱自在に接続されていることを特徴とする合成置換コラムの築造装置である。
請求項6の発明は、掘削ロッドの下方に請求項2乃至5のいずれか1項記載の合成置換コラムの築造装置を接続し、該築造装置下方の掘削ヘッド先端中心部を地盤の杭心位置にセットし、該築造装置を正回転させながら掘削ヘッドの吐出口から水硬性固化材液を吐出しつつ掘進し、該掘削ヘッドが所定深度に達した後、水硬性固化材液を吐出しつつ、該築造装置を正回転または逆回転しつつ引き上げてなるソイルセメント柱体と水硬性固化材液硬化柱体の合成置換コラムの築造方法である。
請求項7の発明は、周側面に連続または断続のスパイラル翼を固設した掘削ロッドの下方に請求項2乃至5のいずれか1項記載の合成置換コラムの築造装置を接続し、該築造装置下方の掘削ヘッド先端中心部を地盤の杭心位置にセットし、該築造装置を正回転させながら掘進しつつ、吐出口から水硬性固化材液を吐出しながら掘削ロッド周辺地盤を攪拌混合してソイルセメント化し、該掘削ヘッドが所定深度に達した後、水硬性固化材液の吐出をしつつ、該築造装置を正回転または逆回転しつつ引き上げてなるソイルセメント柱体と水硬性固化材液硬化柱体の合成置換コラムの築造方法である。
請求項8の発明は、請求項6または8の発明において、合成置換コラム築造装置を引上げつつ水硬性固化材液を吐出し、吐出された水硬性固化材液の液面が上方の所定位置に到達する前に、該合成置換コラム築造装置を上方に引上げ、その後さらに、水硬性固化材液を吐出し、該水硬性固化材液液面が該所定位置と略一致するように調整することを特徴とするソイルセメント柱体と水硬性固化材液硬化柱体の合成置換コラムの築造方法である。
請求項9の発明は、請求項6乃至8のいずれか1項の発明において、水硬性固化材液にはブリーディング低減用の炭酸マグネシウムを混和していることを特徴とするソイルセメント柱体と水硬性固化材液硬化柱体の合成置換コラムの築造方法である。
本発明によれば、次のような効果を奏する。
(1)請求項1にかかる発明は、水硬性固化材液置換柱状体の周囲に同心円状にソイルセメント柱状体を配置しているため、地盤の周面支持力は水硬性固化材液置換柱状体よりも外径の大きなソイルセメント柱状体側面に生じるため、面積効果で周面支持力が大きくなるという効果を奏する。また、該合成置換コラムの下方部は外径の小さな水硬性固化材液置換柱状体であるため、比較的良好な地盤いわゆる支持層への貫入が容易になる。同時に支持層の大きな支持力と水硬性固化材液置換柱状体の材料強度がバランスする方向に向かい、コストパフォーマンスが向上するという効果がある。
(2)さらに、請求項1にかかる発明は水硬性固化材液置換柱状体の下方への突出部長さが該突出部径の少なくとも1.5倍の長さであることを特徴としている。これは、突出部長さが短くなると、ソイルセメント柱状体中に築造される水硬性固化材液置換柱状体の外径が痩せて小さくなるという現象を避けるためであり、該突出部長さを突出部径の少なくとも1.5倍にすれば、ソイルセメント柱状体中の水硬性固化材液置換柱状体の外径が痩せて小さくなる現象を避けることができるという効果がある。
(3)請求項2にかかる発明は、合成置換コラムの築造装置であり、軸部(側面)に固設した少なくとも2枚の攪拌翼を有しているため、掘進時に掘削ヘッドから水硬性固化材液を吐出しつつ回転すると、水硬性固化材液が該攪拌翼により原地盤と攪拌混合され円筒状のソイルセメント部が形成される。その後、所定深度に達したら掘削ヘッドから水硬性固化材液の吐出をしつつ、該築造装置を回転させながら引上げると、最下段の攪拌翼位置から下方の軸部側面の練り付け効果により、ソイルセメント中及びソイルセメント部下方に軸部とほぼ同径円筒状の空隙が形成され、同時に水硬性固化材液で満たされるので、ソイルセメント柱状体と水硬性固化材液柱状体の合成置換コラムを築造することができる。このとき、攪拌翼は1段の2枚でもソイルセメント柱状体は形成されるが経験的に2段、4枚以上が好ましい。また、最下段の攪拌翼位置から下方の軸部長さが短いと軸部側面の練り付け効果が小さくなるため、該空隙孔壁が安定せず、したがって、水硬性固化材液硬化柱体の外径が安定せず、図3(b)に示すように痩せた状態の水硬性固化材液硬化柱体が形成される。そのため、最下段の攪拌翼位置から下方の軸部長さは少なくとも軸径の1.5倍の長さが必要となる。該空隙孔壁をさらに安定した状態にするためには該軸部長さは軸径の2倍以上にするほうが好ましい。なお、このときの軸部長さには、築造装置下端に接続する掘削ヘッドの軸部径と同一径部分の長さを含めるものとする。
(4)請求項3にかかる発明は、請求項2の発明において、軸部本体に対して回動自在に装着された共回り防止翼を有し、該共回り防止翼の回転径は攪拌翼のそれよりも大きく、かつ該攪拌翼固設位置近傍に設置していることを特徴とする合成置換コラムの築造装置であるため、掘進時に掘削ヘッド吐出口から吐出された水硬性固化材液と原地盤が攪拌混合されるとき、該共回り防止翼が地中で地盤抵抗により掘削ロッドとの同期回転を阻止されて静止する。さらに、該共回り防止翼を該攪拌翼近傍に設置することにより、最下段の攪拌翼により掘削された土塊を効率よく細断することができる。そのため、いわゆる共回り防止効果を有効に発揮して水硬性固化材液と原地盤が確実に攪拌混合され、良好なソイルセメント柱状体が形成される。また、所定深度に達した後の引上げ時においても、すでに形成されたソイルセメント部が再攪拌混合されるときに、再び共回り防止効果が有効に発揮されるので、その攪拌混合状態がさらに良好なものとなる。
共回り防止翼の設置位置は攪拌翼の近傍にするが、できれば、攪拌翼は共回り防止翼の近傍上下に固設されていることが好ましい。それは、掘削された土塊の細断が共回り防止翼の上下面2箇所でなされるため、攪拌混合の効率が倍増するためである。
共回り防止翼と攪拌翼の距離(隙間)は小さいほど掘削土塊に対する細断効果が高いが、施工中に礫等の異物が咬み込む確率も高くなり、そうなれば共回り防止翼が攪拌翼と同期回転する共回り現象が発生することになる。そのため、実工事においては、共回り防止翼と攪拌翼の距離(隙間)は2cm程度以上の距離を確保した方がよい。また、本発明は比較的小径の合成置換コラムを対象としているので、該距離は大きくとも10cm程度を超えると土塊の細断効果が落ちるので好ましくない。該距離の好ましい距離は2〜5cmである。
共回り防止翼の回転半径は、その原理から攪拌翼のそれよりも大きい必要がある。その必要差は、地盤条件によって異なるが、少なくとも2cm以上必要である。一般的な土質に適用させるには該差は5cm程度が好ましい。
(5)請求項4にかかる発明は、請求項2または3の発明において、掘削ヘッドが下方向きの円錐状の形状をしており、その側面に、正回転時に掘削土砂を上方へ移動させる向きのスパイラル翼が固設され、該スパイラル翼の最大回転径が軸部径を超えない大きさであるとともに、該側面には水硬性固化材液の吐出口が設けられていることを特徴とする合成置換コラムの築造装置である。掘削ヘッドが下向きの円錐状の形状をしており、その側面には正回転時に掘削土砂を上方へ移動させる向きのスパイラル翼が固設されているため、従来技術による掘削ヘッドに比べて掘削性に優れており、比較的硬い地盤の掘削が可能になるとともに、掘削掘進施工時には掘削対象土砂のほとんど全てを掘削ヘッドの円錐部側面の傾斜とスパイラル翼の効果により上方や側方へ強制排除することができるとともに、掘削ヘッドに付着した土砂は掘削ヘッド引上げ時にはその付着力と掘削ヘッド側面のスパイラル翼によりさらに付着効果が高まっているため掘削ヘッドから剥落することがないので、水硬性固化材液置換部に土塊が残存することによる品質不良が生じることがない。
該スパイラル翼の最大回転径が軸部径を超えない大きさであるため、該築造装置を引上げる際に軸部側面で練りつけて形成した孔壁面を乱すことがない。
また、掘削ヘッドの円錐部側面に吐出口を設けることにより、吐出口に逆止弁を設けたとしても、その高さが側面に固設されたスパイラル翼の高さより低ければ、回転掘進時に吐出口乃至逆止弁が直接に原地盤に接触することがないので、逆止弁の耐久性に優れるという効果がある。
(6)請求項5にかかる発明は、請求項2乃至4のいずれか1項の発明において、掘削ヘッドが、軸部に対して着脱自在に接続されているため、掘削ヘッドはその機能から築造装置に比べて損耗しやすいが、損耗しても掘削ヘッドのみを交換できるため、トータルの施工コストを低減することができる。
(7)請求項6にかかる発明は、掘削ロッドの下方に合成置換コラムの築造装置を接続し、該築造装置下方の掘削ヘッド先端中心部を地盤の杭心位置にセットし、該築造装置を正回転させながら掘削ヘッドの吐出口から水硬性固化材液を吐出しつつ掘進し、該掘削ヘッドが所定深度に達した後、水硬性固化材液を吐出しつつ、該築造装置を正回転または逆回転しつつ引き上げてなるソイルセメント柱体と水硬性固化材液硬化柱体の合成置換コラムの築造方法であるため、下方は該築造装置の軸部径相当の水硬性固化材液置換柱状体が、上方は水硬性固化材液置換柱状体の周囲をソイルセメントが円筒状に取り囲む合成置換コラムを築造することができる。この方法により、中心部は土塊が混じることのなく高品質の純粋な水硬性固化材液の柱体が形成され、上方周辺は水硬性固化材液と原地盤が攪拌混合されたソイルセメントが円筒状に形成され、両者が一体的に合成された合成置換コラムが一工程の簡便な方法で築造される。したがって、比較的小径の水硬性固化材液置換コラムに比べて、大径のソイルセメント柱体が形成されるため、高い鉛直支持力を発揮する。
さらに、本請求項6にかかる発明は、請求項2乃至5にかかる発明である築造装置を使用するため、引上げ時に攪拌翼下端から下方の軸部側面による練り付け効果により原地盤部およびソイルセメント部に強固な孔壁を築造することが可能になり、外径が安定した水硬性固化材液柱体を構築することができる。
(8)請求項7にかかる発明は、周側面に連続または断続のスパイラル翼を固設した掘削ロッドの下方に請求項2乃至5のいずれか1項記載の合成置換コラムの築造装置を接続し、該築造装置下方の掘削ヘッド先端中心部を地盤の杭心位置にセットし、該築造装置を正回転させながら掘進しつつ、吐出口から水硬性固化材液を吐出しながら掘削ロッド周辺地盤を攪拌混合してソイルセメント化し、該掘削ヘッドが所定深度に達した後、水硬性固化材液の吐出をしつつ、該築造装置を正回転または逆回転しつつ引き上げてなるソイルセメント柱体と水硬性固化材液硬化柱体の合成置換コラムの築造方法であるため、掘進時および引上げ時等の掘削ロッドを正回転しているときに掘削ロッドに固設した連続または断続のスパイラル翼の効果により築造されたソイルセメントを地上に排出することができる。
合成置換コラム築造時、特に掘進時に地中に注入した水硬性固化材液や掘削ロッド、築造装置の体積分に相当する地盤を側方に押し出す力が発生し、そのために近隣構造物、特に擁壁等を押し出して変状させる現象が起こることがある。このようなときに、本請求項7にかかる発明によれば、合成置換コラム施工時にソイルセメントを地上に排出することができるために、地盤を側方に押し出す力を減殺することができるので、擁壁等の近隣構造物の変状を防止することができる。
(9)請求項8にかかる発明は、請求項6もしくは7の発明において、合成置換コラム築造装置を引上げつつ水硬性固化材液を吐出し、吐出された水硬性固化材液の液面が上方の所定位置に到達する前に、該合成置換コラム築造装置を上方に引上げ、その後さらに、水硬性固化材液を吐出し、該水硬性固化材液液面が該所定位置と略一致するように調整することを特徴とするソイルセメント柱体と水硬性固化材液硬化柱体の合成置換コラムの築造方法であるため、硬化後の圧縮強度が高く、ハツリ作業が困難な水硬性固化材液柱体の頭部の築造レベル(天端レベル)を施工時にほぼ決定することができるので、後工程での水硬性固化材液柱体頭部のレベル合せ時のハツリ作業が不要になり、後工程が簡便になるとともに、ハツリ作業時の合成置換コラムの破損事故をも無くすことができる。
(10)請求項9にかかる発明は、請求項6乃至8のいずれか1項の発明において、水硬性固化材液にはブリーディング低減用の炭酸マグネシウムを混和していることを特徴とするソイルセメント柱体と水硬性固化材液硬化柱体の合成置換コラムの築造方法であるため、炭酸マグネシウムは水硬性固化材液のブリーディング量を低減させることができるので、合成置換コラム築造後の水硬性固化材液のブリーディング相当量の注ぎ足し作業が極小化乃至不要となり、施工が簡便化される。なお、本発明でいう炭酸マグネシウムは塩基性炭酸マグネシウムを含む広い概念で使用するものとする。
本発明の実施の形態を示す合成置換コラムの正面図(a)および平面図(b)である。 水硬性固化材液置換コラム(a)と合成置換コラム(b)に生ずる周面摩擦力を説明する説明正面図である。 ソイルセメント柱状体中の水硬性固化材液置換柱状体の痩せ状況の説明図(a)(b)である。 水硬性固化材液のブリーディング状態と追加注入によるコールドジョイントの説明図(a)(b)(c)である。 本発明の実施の形態を示す合成置換コラムの築造装置(含む掘削ヘッド)を例示(a)(b)(c)(d)する正面図である。 本発明の実施の形態を示す円錐状の掘削ヘッドの正面図(a)(b)であり、円錐状として円錐形の場合(a)と円錐台形の場合(b)である。 本発明に係る合成置換コラム築造の施工工程を工程順(a)(b)(c)(d)(e)に示す説明図である。 本発明で使用する掘削ロッドを例示(a)(b)(c)する正面図である。 スパイラル翼付掘削ロッドを使用して合成置換コラムを築造する施工工程を工程順(a)(b)(c)(d)(e)に示す説明図である。 合成置換コラムの築造で、水硬性固化材液を注足し施工する場合を、工程順(a)(b)(c)(d)(e)(f)(g)に示す説明図である。 本発明の実施例1に係る合成置換コラム築造装置を示す正面図(a)および比較例1に係る合成置換コラム築造装置を示す正面図(b)である。 本発明の実施例1に係る合成置換コラム築造装置での施工工程の時間と深度の関係を示す説明図である。 比較例1に係る置換コラム築造装置での施工工程の時間と深度の関係を示す説明図である。 本発明の実施例1の合成置換コラム製造装置により築造した合成置換コラムの引き抜き後の写真図(a)と比較例1の置換コラム築造装置により築造した置換コラムの引抜き後の写真図(b)である。 本発明の実施例1により築造した合成置換コラムを引き抜きし、破砕後の断面状況を示す写真図である。 実施例2に係る合成置換コラム築造装置を示す正面図であり、図11(a)に示す実施例1の合成置換コラム築造装置から共回り防止翼を取り外した築造装置で、共回り防止翼を備えない合成置換コラム築造装置である。 図11(a)に示す実施例1および実施例2に係る合成置換コラム築造装置での施工工程の時間と深度の関係を示す説明図である。 実施例2の合成置換コラム築造装置で築造した合成置換コラムを引き抜きし、破砕後の断面状況を示す写真図である。 図11(a)に示す実施例1の合成置換コラム築造装置で築造した合成置換コラムを引き抜きし、破砕後の断面状況を示す写真図である。 比較例2に係る合成置換コラム築造装置を示す正面図である。 図11(a)に示す実施例1に係る合成置換コラム築造装置での施工工程の時間と深度の関係を示す説明図である。 比較例2に係る合成置換コラム築造装置での施工工程の時間と深度の関係を示す説明図である。 図11(a)に示す実施例1に係る合成置換コラム築造装置により築造した合成置換コラムを引き抜きし、破砕後の断面状況を示す写真図(a)(b)である。 比較例2に係る合成置換コラム築造装置により築造した合成置換コラムを引き抜きし、破砕後の断面状況を示す写真図(a)(b)である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態を示す合成置換コラムの正面図(a)および平面図(b)である。
同図において、合成置換コラム1は、ソイルセメント柱状体2aと水硬性固化材液置換柱状体3aの合成置換コラムであり、ソイルセメント柱状体2aの軸心部に円柱状の水硬性固化材液置換柱状体3aをその軸心が略一致するように配置し、かつ該水硬性固化材液置換柱状体3aが該ソイルセメント柱状体2aを貫いて下方に突出4して形成されている。
ソイルセメント柱状体2aは、原位置地盤と水硬性固化材液を撹拌混合することにより造成されるが、その品質は、特に一軸圧縮強度は原位置地盤の土質に依存するため、深度方向に土質が変化する地盤や同一土質でも深度によって土質組成がばらつくような場合には、ソイルセメント柱状体2aの品質もばらつくという欠点がある。一方、水硬性固化材液柱状体3aは、原位置地盤との撹拌混合は行われないため、硬化後の品質が高品質で安定しているという特徴がある。しかし、ソイルセメント柱状体2aのように原地盤を撹拌混合しないので、水硬性固化材液置換柱状体3aは全て水硬性固化材液で構成されているため、コストに占める材料費が大きくなる。そのため、水硬性固化材液置換柱状体3aは経済的な理由もあって大径化が困難であった。それに起因して、水硬性固化材液置換柱状体3aは比較的小径であるために周面積もまた小さいので、地盤の周面支持力も小さくなる。そのため、地盤から決まる支持力と材料強度から決まる支持力がアンバランスとなり、材料強度を有効にすることができなかった。
然るに、本発明に係る前記合成置換コラム1は、水硬性固化材液置換柱状体3aの周囲に同心円状にソイルセメント柱状体2aを配置しているため、地盤の周面支持力は水硬性固化材液置換柱状体3aよりも外径の大きなソイルセメント柱状体2aの側面に生ずるので、面積効果で周面支持力が大きくなる。図2(a)は、水硬性固化材液置換コラム3aの正面図で、(b)は合成置換コラム1の正面図であり、地盤の周面摩擦力度tが同一であっても、小径の水硬性固化材液置換コラム3aが発揮する周面支持力Paより大径の合成置換コラム1のソイルセメント柱状体2aの周面支持力Pbの方が大きいことがよく理解できる。従って、ソイルセメント柱状体2aと水硬性固化材液置換柱状体3aとを同一軸心上で合成した合成置換コラム1にすることにより、大径のソイルセメント柱状体2aの周面積効果で周面支持力が増大する。ソイルセメント柱状体2aの外径を適宜選択することにより、合成置換コラム1の地盤から決まる支持力と材料強度から決まる支持力をバランスさせることが可能になり、高品質で安定した品質の合成置換コラムの性能を十二分に発揮させることができる合理的な基礎コラムを提供することができる。
また、合成置換コラム1における水硬性固化材液置換柱状体3aの下方への円柱状の突出部4の長さHは、該突出部4の径Dの少なくとも1.5倍の長さとする。突出部4の長さHが短く突出部4の径Dの1.5倍を下回ると、ソイルセメント柱状体2a中の築造される水硬性固化材液置換柱状体3aの外径が、例えば痩せて小さくなる、等の乱れる傾向が現れる。突出部4の長さHを、その径Dの1.5倍以上にすると、ソイルセメント柱状体2a中の水硬性固化材液置換柱状体3aの外径が孔壁の塑性もどりはあるもののほぼ均一であり、かつ突出部4の外径に近づく。好ましくは、突出部4の長さHは、突出部4の径Dの2倍以上である。ソイルセメント柱状体2a中の水硬性固化材液置換柱状体3aの外径を確保しかつ一定の径に保つには突出部4の長さHを長くすればするほどよいが、長くしすぎると、合成置換コラム1の合成部分が相対的に少なくなり、期待する支持力向上効果が小さくなったり、突出部4を比較的硬い支持層中に貫入させる必要が生じて結果的に施工が困難になる場合が生じる。従って、突出部4の長さHは、長くとも突出部4の径Dの6倍以下とするのが好ましい。
図3(a)は、合成置換コラム1の水硬性固化材液置換柱状体3aの下方への突出部4の長さHが、突出部4の径Dの1.5倍以上の場合であり、ソイルセメント柱状体2a中の水硬性固化材液置換柱状体3aが正常に築造されている状態を示し、(b)は下方への突出部4の長さHが、突出部4の径Dの1.5倍未満の場合であり、ソイルセメント柱状体2a中の水硬性固化材液置換柱状体3aの外径が乱れ、痩せて小さくなった状態を示している。このように合成置換コラム1の水硬性固化材液置換柱状体3aの下方への突出部4の長さHは、突出部4の径Dの1.5倍以上で6倍以下が好ましい。
また、合成置換コラム1を築造する水硬性固化材液には、ブリーディング低減材が混和されている。合成置換コラム1の施工後に置換した水硬性固化材液がブリーディングして天端レベルが低下すると出来形不良になるため、水硬性固化材液を追加注入する必要がある。従って、水硬性固化材液を追加注入しなければならないので、後工程での施工手間が発生する。この後工程が施工日翌日にずれ込むことになれば、場合によっては打ち継部がコールドジョイントになり、合成置換コラム1そのものが品質不良となることがある。また、場合によっては後工程作業のために工期が1日延び、施工コストが増大することもある。水硬性固化材液にブリーディング低減材を混和することにより、水硬性固化材液の追加注入工程を実質的に無くすか、あるいは追加注入作業を圧倒的に簡便化して、コールドジョイントの発生を防止するとともに、工期の延びを抑制して施工コストの増大を防止できる。
図4(a)は、施工後のソイルセメント柱状体2aおよび水硬性固化材液3bの天端レベルLが正常な状態の合成置換コラム1を示し、(b)は、施工後に水硬性固化材液3bがブリーディングして天端レベルLが低下した状態の合成置換コラム1を示し、(c)は施工後に水硬性固化材液3bがブリーディングして天端レベルLが低下したので、水硬性固化材液3cを追加注入した状態の合成置換コラム1を示し、コールドジョイントは、水硬性固化材液3bと追加注入した水硬性固化材液3cとの継目5で発生する。
このように水硬性固化材液3bにブリーディング低減材を混和しなければ、水硬性固化材液3bはブリーディングを起こして、合成置換コラム1の築造後に水硬性固化材液置換柱状体3aの天端レベルLが下がってしまい、施工後に補修しなければならない。そのために、工期遅れやコストアップとなる。水硬性固化材液3bにブリーディング低減材を適宜混和すれば、水硬性固化材液置換柱状体3aの天端レベルLが所定の位置に収まった状態で固化するので、健全な合成置換コラム1を築造できる。
次に、本発明に係る合成置換コラムの築造装置の実施の形態について説明する。図5(a)(b)(c)(d)は、本発明の実施の形態を示す合成置換コラムの築造装置を例示する正面図である。
図5(a)に示す合成置換コラム築造装置10Aは、内部に水硬性固化材液の流路を有する軸部11と、該軸部11の上端に掘削ロッド20を接続する継手部12と、軸部11の下端に連結する掘削ヘッド13と、軸部11の側面に固設した撹拌翼16とを備える。
軸部11は、連結する掘削ロッド20と同外径であり、その軸部11の下端には継手部(図示省略)を有し掘削ヘッド13が連結されている。該掘削ヘッド13は、下向きの円錐状(円錐形又は円錐台形)であり、側面には水硬性固化材液の吐出口14が設けられている。軸部11内には水硬性固化材液の流路が設けられ吐出口14に連通しており、掘削ロッド20内の流路により供給された水硬性固化材液は、軸部11の流路を介し吐出口14より吐出される。この吐出口14には掘削土砂の逆流入を防ぐ逆止弁(図示省略)が設置される。この逆止弁は、固定式でも着脱自在であってもよい。
また、円錐状の掘削ヘッド13の外周面には、掘削ロッド20が正回転時に掘削土砂を上方へ押し上げる向きのスパイラル翼15が固着されている。このスパイラル翼15の最大回転径は、軸部11の外径Dを超えない大きさである。
このように掘削ヘッド13は、下方向きの円錐状の形状をしており、その側面に、正回転時に掘削土砂を上方へ移動させる向きのスパイラル翼15が固設されているため、従来技術による掘削ヘッドに比べて掘削性に優れており、比較的固い地盤の掘削が可能になるとともに、掘削掘進施工時には掘削対象土砂のほとんど全てを掘削ヘッド13の円錐部側面の傾斜とスパイラル翼15の効果により上方や側方へ掘削排除することができるとともに、掘削ヘッド13に付着した土砂は掘削ヘッド13の引き上げ時には、その付着力と掘削ヘッド13側面のスパイラル翼15によりさらに付着効果が高まっているため、掘削ヘッド13から剥落することがほとんどないので、水硬性固化材液置換部に土塊が残存することによる品質不良が生じることがない。
スパイラル翼15の最大回転径は軸部11の外径を超えないことであるため、合成置換コラム築造装置10Aを引き上げる際に軸部11の側面で練り付けて形成した孔壁面を乱すことがない。
また、掘削ヘッド13の円錐状の側面に吐出口14を設けたことにより、吐出口14に逆止弁を設けたとしても、その吐出口14および逆止弁の位置が側面に固設されたスパイラル翼15の高さよりも低ければ、回転掘削時に吐出口14乃至逆止弁が直接に原地盤に接触することがないので、逆止弁の耐久性が向上する。
また、軸部11の側面には、2枚対の撹拌翼16が2段固設されている。本例では撹拌翼16を2枚対の2段としているが、本発明はこの例に限るものではなく、3枚対の3段以上の撹拌翼としてもよいし、1段につき1枚の撹拌翼を複数段固設してもよい。撹拌翼16の回転径は、ソイルセメントの攪拌混合性から小さくても軸部11の径Dの1.5倍程度が好ましい。これ以上撹拌翼16の長さが短くなると、水硬性固化材液と掘削土砂との撹拌混合が不良となり、ソイルセメントの品質が低下するおそれがある。
また、最下段の撹拌翼16の下端から掘削ヘッド13の継手部19の外径がDである最下端の位置までの長さHが、外径Dの1.5倍以上6倍以下が好ましい。
軸部11における最下段の撹拌翼16の下端から掘削ヘッド13の継手部19の外径がDである最下端の位置までの間が、合成置換コラム1の水硬性固化材液置換柱状体3aの下方への突出部4を形成するのに寄与する部分である。軸部11における最下段の撹拌翼16の下端から掘削ヘッド13の継手部19の外径がDである最下端の位置までの長さHで、合成置換コラム1を築造したとき水硬性固化材液置換柱状体3aの下方への突出部4の長さHが決定される。従って、両者の長さを共にHとした。また、軸部11の径Dで水硬性固化材液置換柱状体3aの下方への突出部4の径Dが決定される。従って、両者の径を共にDとした。
前記合成置換コラム築造装置10Aを用い、掘進時に吐出口14から水硬性固化材液を吐出しつつ回転すれば、軸部11側面に固設された撹拌翼16により原地盤土と攪拌混合され、掘進の進行と共に掘削ロッド20の周囲にソイルセメント部が形成される。所定深度に達してから、該吐出口14からの水硬性固化材液の吐出を継続しながら該築造装置10Aを引き上げれば、ソイルセメント部は撹拌翼16により再攪拌され混合度が向上するとともに、該築造装置10Aの最下段の撹拌翼16から下方に突出している軸部11の側面による練り付け効果によりソイルセメント中に軸部11の径Dと略同一径の孔を形成する、と同時に該孔は水硬性固化材液で満たされ、ソイルセメントと水硬性固化材液が硬化すれば合成置換コラムとなる。つまり、合成置換コラム築造装置10Aを使用することにより、掘進・引き上げの一工程でソイルセメント柱状体2aと水硬性固化材液置換柱状体3aを合成した合成置換コラム1を築造することができる。
合成置換コラム築造装置10Aの最下段の撹拌翼16からの軸部11の突出長が、軸部11の径Dの1.5倍以下であると、該築造装置10Aの引き上げ工程で、ソイルセメント部への練り付け効果が小さくなり、孔壁の保持力が弱まるために孔壁の収縮=断面収縮が生じやすくなり、結果的に水硬性固化材液置換部の外径がやせ細る現象が現れることがある。逆に、軸部11の突出長さを軸部11径Dの10倍以上長くしても、孔壁の練り付け効果は線形には大きくならない。また軸部11の突出長さが長すぎると、相対的にソイルセメント柱状体の長さが短くなるため、合成置換コラムとしての出来形長が小さくなり好ましくない。軸部11の突出長さは、軸部11の径Dの1.5〜6倍程度が好ましい。
図5(b)に示す合成置換コラム築造装置10Bは、前記図5(a)に示す合成置換コラム築造装置10Aにおける軸部11に設けた上下の撹拌翼16と撹拌翼16との間に、共回り防止翼17を回転自在に設けたものであり、他は図5(a)に示す合成置換コラム築造装置10Aの実施の形態と同様であるので、同様な構成要素には同一符号を付して他の詳細な説明は省略する。
共回り防止翼17は、軸部11に回転自在に装着され、その回転径は撹拌翼16の回転径より大きく、かつ該撹拌翼16の固設位置近傍に設置する。本例では上下の撹拌翼16と撹拌翼16との間に位置して設けられている。従って、この合成置換コラム築造装置10Bでは、掘削時に掘削ヘッド13の吐出口14から吐出された水硬性固化材液と原地盤土が攪拌混合されるとき、該共回り防止翼17が地中で地盤抵抗により掘削ロッド20(軸部11)との同期回転を阻止されて静止する。さらに該共回り防止翼17を撹拌翼16の近傍に設置することにより、最下段の撹拌翼16により掘削された土塊を効率よく細断することができる。そのため、いわゆる共回り防止効果を有効に発揮して水硬性固化材液と原地盤土が確実に撹拌混合され、良好なソイルセメント柱状体が形成される。また、所定深度に達した後の引き上げ時においても、すでに形成されたソイルセメント部が再撹拌混合されるときに、再び共回り防止効果が有効に発揮されるので、その撹拌混合状態がさらに良好なものとなる。
共回り防止翼17の設置位置は、撹拌翼16の近傍にするが、できれば、撹拌翼16は共回り防止翼17の近傍二段に固設するのが好ましい。それは、掘削された土塊の細断が共回り防止翼17の近傍上下面2箇所でなされるため、撹拌混合の効率が倍増するためである。
共回り防止翼17と撹拌翼16との距離(間隔)は、小さいほど掘削土塊に対する細断効果が高いが、施工中に礫等の異物が咬み込む確率も高くなり、そうすれば共回り防止翼17が撹拌翼16と同期回転する共回り現象が発生することになる。そのため、実工事においては、共回り防止翼17と撹拌翼16との距離(間隔)は2cm程度以上の距離(間隔)を確保した方がよい。本発明では比較的小径の合成置換コラムを対象としているので、該距離(間隔)が大きくとも10cm程度を越えると土塊の細断効果が落ちるので好ましくない。
また、共回り防止翼17の回転径は、その原理から撹拌翼16の回転径よりも大きい必要がある。その必要差は、地盤条件によって異なるが、少なくとも2cm以上必要である。一般的な土質に適用させるには、該差は5cm程度が好ましい。
図5(c)に示す合成置換コラム築造装置10Cは、前記図5(b)に示す合成置換コラム築造装置10Bにおける円錐状の掘削ヘッド13を、剣刃状の掘削ヘッド13aにしたものであり、他は図5(b)に示す合成置換コラム築造装置10Bの実施の形態と同様であるので、同様な構成要素には同一符号を付して他の詳細な説明は省略する。水硬性固化材液の吐出口14は、軸部11の底面に設けられている。この剣刃状の掘削ヘッド13aは、円錐状の掘削ヘッド13に比べて製造コストが小さいという利点と水硬性固化材液の吐出方向が真下に向くため、吐出時に孔壁を乱しにくいという利点がある。しかし、掘削地盤の土砂が砂質土であると剣刃状掘削ヘッド13aは、掘削土砂を側方乃至上方に排出する機能がないため、掘進が困難になるという欠点がある。
図5(d)に示す合成置換コラム築造装置10Dは、前記図5(b)に示す合成置換コラム築造装置10Bにおける軸部11の外周面にスパイラル翼18を設けたものであり、他は図5(b)に示す合成置換コラム築造装置10Bの実施の形態と同様であるので、同様な構成要素には同一符号を付して他の詳細な説明は省略する。
スパイラル翼18は、主に軸部11の最下方の撹拌翼16より下方に設けるが、最上方の撹拌翼16より上方の軸部11に存在してもよい。スパイラル翼18の回転径は、掘削ロッド20の外径と同じ外径である。従って、この場合の軸部11の外径は、掘削ロッド20の外径よりも小さい。この合成置換コラム築造装置10Dでは、軸部11に正回転時に掘削土砂を上方へ移動させる向きのスパイラル翼18を固設することにより、掘削ヘッド13により掘削された掘削土砂を上方に排出する機能を発揮するため、図5(a)及び(b)に示す築造装置10A、10Bよりも掘進性が向上する。この合成置換コラム築造装置10Dは、特に砂質土地盤における掘進性に優れており、後述する図8(b)(c)に示す連続スパイラルスクリュー25または断続スパイラルスクリュー25a付の掘削ロッド20と組み合わせることにより、図5(a)(b)(c)に示す築造装置10A、10B、10Cでは掘進困難な砂質地盤においても、掘進が良好に可能となる。スパイラル翼18の幅は、掘削土砂の排土機能を発揮させるために、少なくとも10mm程度は必要である。このように本例の合成置換コラム築造装置10Dによれば、図5(b)に示した合成置換コラム築造装置10Bの作用、効果に加え、軸部11の外周面にスパイラル翼18が設けられているので、排土機能が向上し、掘削土砂が砂質土であっても掘進性が良好となる。
図6は円錐状の掘削ヘッドの実施の形態を示す正面図で、円錐状として(a)が円錐形の場合であり、(b)が円錐台形の場合である。
(a)に示す円錐形の掘削ヘッド13は、側面に正回転時に掘削土砂が上方へ押し上げられる方向にスパイラル翼15が固着されており、該スパイラル翼15の高さは20mm程度である。このスパイラル翼15は、平鋼で作製してもよいし、鋼棒を巻き付けたり、多段重ねにして作製してもよい。スパイラル翼15の最下端部は、掘削による摩耗が激しい部位なので、硬度の高い鋼種を溶着するか超硬チップを埋め込むと耐久性が向上し好ましい。水硬性固化材液の吐出口14は円錐の側面に形成し、吐出口14には掘削土砂の逆流を防ぐため逆止弁(図示省略)が設けられる。逆止弁は合成ゴムや合成樹脂等の弾性板を着脱自在に取り付ける。場合によっては、鋼製のばね付逆止弁を使用してもよい。
図6(b)は、円錐台形の掘削ヘッド13であり、(a)の円錐形の掘削ヘッド13は尖端部が鋭角であり耐久性が低下するので、尖端部を切り落として円錐台形として耐久性を高めたものである。尖端部の切り落とし高さは、切り落とした円錐部底面の径が大きくても1cm程度が好ましい。これ以上の径になると、円錐台部に掘削爪を設ける等の掘進性を向上させる対策を講じる必要が生じてくることもある。
掘削ヘッド13は、円錐状(円錐型、円錐台型)で側面に正回転時に掘削土砂を上方へ押し上げる向きのスパイラル翼15が固設されているために、円錐状の効果と相俟って掘削土砂を上方のみならず側方へも排除する効果があるため、掘削・掘進性がよい。これは掘削された土砂が円錐状の傾斜側面とスパイラル翼15の排土効果により効率的に側方へ移動排除されるためである。従って、砂質地盤のように側方移動しにくい地盤であっても掘進性がよい。また、円錐状の掘削ヘッド13においては、掘削土砂が粘性土の場合は円錐状の側面に沿ってスパイラル翼15の高さまでの比較的薄い層にしか存在できないので、掘削土砂自重による落下力よりも掘削ヘッド13に対する付着力の方が大きいため、掘削ヘッド13の引き上げ時には、該掘削ヘッドに付着して地上まで引き上げられる。そのため、置換された水硬性固化材液中に掘削ヘッド13より粘性土が落下して残存し品質不良になる恐れがない。掘削土砂が砂質土の場合は付着力がないので掘削ヘッドに付着して上方へ引き上げられることがない。
また、掘削ヘッド13、13aは、軸部11に対し着脱自在に接続するのが好ましい。掘削ヘッド13、13aは、その機能から合成置換コラム築造装置10A、10B、10Cおよび10D中でも損耗しやすい箇所であり、損耗しても掘削ヘッド13、13aのみを交換できるため、トータルの施工コストを低減することが出来る。
図6(a)(b)は、軸部11に対し掘削ヘッド13を着脱自在に接続する構成の一例を示す正面図(a)(b)であり、掘削ヘッド13の上端部が六角の雌雄はめ込み式継手19の構造となっており、軸部11と着脱可能となっている場合を示している。(a)は掘削ヘッド13が円錐形の場合であり、(b)は掘削ヘッド13が円錐台型の場合である。継手構造はこれに限定されるものではなく、比較的コストが低いフランジ接続型やボルト接続型、等でもよい。
図7は、本発明に係る合成置換コラム築造装置を用いて合成置換コラムを築造する施工方法を工程順(a)(b)(c)(d)(e)に示す説明図である。合成置換コラム築造装置には、図5(b)に示した合成置換コラム築造装置10Bを使用した場合である。
まず、工程1では、掘削ロッド20の下端に合成置換コラム築造装置10Bを接続し、該築造装置10Bの掘削ヘッド13の先端中心位置を地盤の杭心位置にセットする(図7(a))。次に、工程2では、回転力を付与でき、かつ給進後退(進退)させることができるオーガモータを備える施工機(図示せず)に掘削ロッド20を把持させて、合成置換コラム築造装置10Bを正回転させながら掘進し、該築造装置10Bの最下段の撹拌翼16の最下段位置が最初の所定深度(空堀部の下端位置)に達してから掘削ヘッド13の吐出口から水硬性固化材液を吐出し、その状態で掘進を続ける(図7(b))。水硬性固化材液の吐出量は、築造するソイルセメント部2bの品質が設計要求性能を満足する量とする。
次の工程3では、掘削ヘッド13が所定深度(築造する合成置換コラムの下端位置に)達したら(図7(c))、合成置換コラム築造装置10Bの回転と水硬性固化材液の吐出を継続しながら、該築造装置10Bを上方へ引き上げる。このとき、回転方向は正回転の方が好ましいが、逆回転でも可能である。逆回転とすると掘削ヘッド13の側面に付着している土砂が落下しやすくなるおそれがあるので、正回転の方が好ましい。
また、次の工程4では、図7(d)に示すように合成置換コラム築造装置10Bの回転と水硬性固化材液の吐出を継続しながら引き上げるが、この時の水硬性固化材液の吐出量は、該築造装置10Bの引き上げにより生ずる空間を満たし、かつサクション(負圧)が生じない量を維持するものとする。また、該築造装置10Bの掘削ヘッド13が所定深度に達した位置では、最下端の撹拌翼16より下方にはソイルセメント部は形成されていないので、この位置からの引き上げではソイルセメント部2bが形成されているまでの間は、軸部11および掘削ヘッド13で形成された孔に水硬性固化材液が充満されて引き上げられ、水硬性固化材液置換柱状体3aの下方への突出部4が形成される。
引き上げて最下端の撹拌翼16から下方の軸部11がソイルセメント部2bに位置するようになると、最下端の撹拌翼16から下方の軸部11の側面の練り付けによりソイルセメント部2b中に孔を形成しつつ引き上げられるが、この孔には即座に吐出された水硬性固化材液で充満されつつ引き上げられる。この引き上げ時にはソイルセメント部2bは、撹拌翼16で再攪拌される。なお、引き上げ時にソイルセメント部2b中に形成される孔は、最下端の撹拌翼16より下方の軸部11の側面の練り付けで形成されるので、孔壁はソイルセメントが練り付けられて強固なものとなる。
さらに、工程5では、図7(e)に示すように合成置換コラム築造装置10Bを地上に引き上げ、水硬性固化材液置換柱状体3aを所定の天端レベルLまで充填して施工を終了する。
次に、本発明に使用する掘削ロッドの例を図8(a)(b)(c)に示す。掘削ロッド20は、図示しない施工機のオーガモータに接続可能な外径を有する施工機用ロッド部22と、水硬性固化材液置換部を形成する比較的大径(スパイラルスクリューの場合はその外径)で、下端に合成置換コラム築造装置を接続するロッド本体部21と、それらを接続するアダプター23からなる。
図8(a)は、側面が平坦な平坦ロッド20aで掘削ヘッド13により掘削した掘削土砂を地上に排出する働きがないため、本ロッド20aを使用して施工した場合は、発生残土が最も少ない。
図8(b)は、ロッド本体部21の側面に連続スパイラルスクリュー25を固設した掘削ロッド20bであり、掘削ヘッド13により掘削した掘削土砂を地上に排出する働きが大きいため、掘進性に最も優れているが、反面、本ロッド20bを使用して施工した場合は、発生残土が最も多い。
図8(c)は、ロッド本体部21の側面に断続スパイラルスクリュー25aを固設した掘削ロッド20cであり、掘削ヘッド13により掘削した掘削土砂を地上に排出する働きを、(b)の連続スパイラルスクリュー25を有する掘削ロッド20bよりも低下させ、掘進性と発生残土量とのバランスを改善しようとするもので、本ロッド20cを使用して施工した場合は、掘進性および発生残土がともに(a)と(b)の中間になる。
次に、図8(b)に示すロッド本体部21の側面に連続スパイラルスクリュー25を固設した掘削ロッド20bに、図5(d)に示す合成置換コラム築造装置10Dを接続しての合成置換コラムの施工方法を、図9(a)(b)(c)(d)(e)について説明する。図9(a)(b)(c)(d)(e)は、工程順に示している。合成置換コラム築造装置10Dは、図5(d)に示すように撹拌翼16、共回り防止翼17および側面にスパイラル翼18を備える軸部11の下端に、側面にスパイラル翼15を有する円錐状の掘削ヘッド13を接続したものであり、この合成置換コラム築造装置10Dが掘削ロッド20bに接続されている。
施工に際しては、該掘削ロッド20bは、図示しない施工機のオーガモータに連結されており、このオーガモータは、掘削ロッド20bを把持して、回転力を伝え、かつ給進後退(進退)をさせることができる。
まず、工程(a)では、図9(a)に示すように該掘削ヘッド13の先端中心位置を、地盤の杭心位置にセットする。
次に工程(b)では、図9(b)に示すように図示しない施工機のオーガモータに連結した掘削ロッド20bを介し合成置換コラム築造装置10Dを正回転させながら掘進し、該築造装置10Dの撹拌翼16の最下段位置が第1の所定深度(空掘部深度)に達してから掘削ヘッド13の吐出口14から水硬性固化材液を吐出し、その状態で掘進を続ける。水硬性固化材液の吐出量は、築造する柱状体のソイルセメント部2bの品質が設計要求性能を満足する量とする。このとき、掘削ロッド20bに固設した連続スパイラルスクリュー25の排土効果によりソイルセメントが地上に排出され、発生土となる。この排土効果により合成置換コラムの施工に伴う地盤の側方変位が緩和される。また、円錐状の掘削ヘッド13および軸部11にもスパイラル翼15、18が固設されているため、比較的硬い地盤や側方移動が困難な砂質層であっても、掘削された土砂を上方に移動させることができるため掘進性がよく、所定深度までの掘進が確実に行える。
次に工程(c)では、図9(c)に示すように掘削ヘッド13が所定深度(築造すべき合成置換コラムの下端位置となる深度)に達したら、工程(d)として図9(d)に示すように合成置換コラム築造装置10Dの回転と水硬性固化材液の吐出を継続しながら、該築造装置10Dを上方へ引き上げる。このとき、回転方向は正回転の方が好ましいが、逆回転でも可能である。この築造装置10Dの回転を継続しての水硬性固化材液の吐出量は、該築造装置10Dの引き上げにより生じる空間を満たし、かつサクション(負圧)が生じない量を維持するものとする。
このとき、掘削ヘッド13が所定深度に達した位置(図9(c))では、最下端の撹拌翼16より下方にはソイルセメント部は形成されていないので、この位置からの引き上げでは、ソイルセメント部が形成されているまでの間は、軸部11および掘削ヘッド13で形成された孔に水硬性固化材液が充満されつつ引き上げられ、水硬性固化材液置換柱状体3aの下方への突出部4が形成されることとなる。
さらに引き上げて最下端の撹拌翼16から下方の軸部11がソイルセメント部に位置するようになると、最下端の撹拌翼16から下方の軸部11の側面の練り付けによりソイルセメント部2b中に孔を形成しつつ引き上げられ、この孔は吐出する水硬性固化材液で直ちに充満されつつ引き上げられる。この引き上げ時にソイルセメント部2b中に形成される孔は、最下端の撹拌翼16より下方の軸部11の側面の練り付けで形成されているので、孔壁はソイルセメントが練り付けられて強固なものとなるが、その程度は平坦ロッド20aよりも強固ではない。
さらに、工程(e)では、図9(e)に示すように合成置換コラム築造装置10Dを地上に引き上げ、水硬性固化材液の天端レベルLまで充填して施工を終了する。
なお、本例では連続スパイラルスクリュー25を固設した掘削ロッド20bを使用したが、発生土量が予定よりも多い場合は、より排土量の少ない図8(c)に示すような断続スパイラルスクリュー25aを固設した掘削ロッド20cに変更する等の対策を講じる。逆に、発生土量が予定よりも少ない場合は、掘削ロッドの回転数を上げたり、掘進速度乃至引き上げ速度を遅くする等の対策を講じる。
掘削ヘッド13の吐出口14から水硬性固化材液を吐出しながら合成置換コラム築造装置10A、10B、10C、10Dを引き上げることにより合成置換コラム1を築造するが、通常の液面レベル(天端レベルL)を施工地盤面より下方にある所定位置に合わせて水硬性固化材液の吐出を停止することは、施工時には液面(天端)が見えないため目で確認することができず、極めて困難である。結果的に水硬性固化材液の液面(天端)が所定位置より低ければ、後工程で水硬性固化材液の追加填充が必要になる。逆に液面(天端)が所定位置より高ければ、水硬性固化材液が硬化する前に柄杓等を用いて掬い取るか、後工程で高すぎる分を削り取る必要がある。普通ポルトランドセメントを主成分とする水硬性固化材液は、材例1日で10N/mmを超える圧縮強度を発現するため、後工程が遅れれば削り取り作業そのものが困難となる。バックホウ等で無理に削り取ろうとすると、合成置換コラム自体が破損する可能性すら生じてしまう。いずれにしても、合成置換コラムの築造工程で水硬性固化材液の液面(天端)を所定位置に合わせることができなければ、後工程が発生して工期遅延やコストアップにつながる。
次に、合成置換コラムを築造する施工において、合成置換コラムの天端レベルLを所定位置に矯正する施工方法を、図10(a)(b)(c)(d)(e)(f)(g)について説明する。
合成置換コラム築造装置10Bを用いて合成置換コラムを築造する施工方法は、図7(a)(b)(c)(d)(e)に示す施工工程と同様であるので、同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。
まず、図10(a)(b)(c)(d)(e)までの施工工程は、図7(a)(b)(c)(d)(e)と同じである。この施工工程では、図10(e)に示すように水硬性固化材液3bの吐出は、所定の天端レベルLより低い位置で停止し、合成置換コラム築造装置10Bを上方に引き上げ、液面(天端)L1は所定の天端レベルLより低い位置となっている。この時の築造装置10Bの引き上げは、正回転させておいた方が、水硬性固化材液填充位置L1より上方のソイルセメント部2bを、築造装置10Bの最下端の撹拌翼16より下方の軸部11が孔壁を練り付けるので孔壁が安定し好ましい。
この図10(e)に示すように水硬性固化材液の液面(天端)L1が所定の天端レベルLより低い位置に施工された場合には、図10(f)に示すように合成置換コラム築造装置10Bを引き上げ、掘削ヘッド13の吐出口14から吐出される水硬性固化材液が孔壁内に収まるような位置に固定した状態で水硬性固化材液の吐出を再開し、地上からの目視で、図10(f)に示すように水硬性固化材液を所定の天端レベルLまで填充する。目視で管理するため、水硬性固化材液を容易に所定位置(所定の天端レベルL)に合わせて填充することができる。
また、築造装置10Bが邪魔になって目視管理ができないときは、図10(g)に示すように築造装置10Bを移動した後に、柄杓やバケツを用いて水硬性固化材液を所定位置(所定の天端レベルL)まで填充する。この場合に、水硬性固化材液の填充量が多いときは、施工用のグラウトポンプからホースを介して直接注入して填充するようにしてもよい。
本発明において使用する水硬性固化材液は、普通ポルトランドセメントを代表とする各種ポルトランドセメントや、高炉セメント、フライアッシュセメント、地盤改良用のセメント系固化材等を主成分とするスラリーである。この水硬性固化材液は填充後にブリーディングをする。ブリーディング量は水硬性固化材液の配合、特に水セメント比に大きく左右される。水セメント比を大きくすればスラリーの流動性が向上し、ポンプ圧送時の施工効率がよくなるが、ブリーディング量が増えて、水硬性固化材液の固化時の天端レベルが填充時のそれよりも大きく低下する。そのため、ブリーディング量を勘案して築造完了時の水硬性固化材液填充量を増やす必要があるが、戸建住宅のように天端レベルが比較的浅い深度にある場合は余長が小さいため、水硬性固化材液の填充量を増やすことが困難である。したがって、後工程で水硬性固化材液の填充作業をせざるを得ず、工期遅れやコストアップなどが生じる。一方、実質的に後工程が不要になる程度のブリーディング量に抑えるためには、水硬性固化材液の流動性がなくなる程度に水セメント比を小さくする必要がある。しかし、そのように水セメント比を小さくすれば水硬性固化材液はもはやスラリー状ではなく、ポンプ圧送が不可能な状態になり、施工そのものが実施できなくなる。
そこで、水硬性固化材液がスラリーとしての流動性を維持し、かつブリーディングを低減する混和材を使用すれば、上記問題を解決することが出来る。ブリーディング低減材としてはベントナイトが一般的であるが、ベントナイトはセメントに対して10〜20%程度と比較的大量の混和量を必要とすること、ブリーディング低減効果が品種により大きく変化すること、ミキシングのバッチ毎にブリーディング率がばらつくこと、ベントナイトの混和量が増えれば水硬性固化材液の硬化後の圧縮強度が低下する、等の欠点があり、本発明に使用するには解決すべき点が多い。
このような点に鑑み、本発明では、ブリーディング低減材として炭酸マグネシウムを使用するものである。本発明においては、炭酸マグネシウムは塩基性炭酸マグネシウムを含む広い概念で使用している。水硬性固化材液に炭酸マグネシウムを混和すればスラリーの粘性は高くなるが、水セメント比やスラリー温度等の条件に合わせた添加量とすれば、スラリーの流動性を損なうことなくブリーディング量を減らすことが出来る。さらに、ベントナイト混和に比べて圧縮強度の低下が小さいという特徴もある。
次に、本発明の実施例と比較例を挙げて図面と共に詳細に説明する。
図11(a)は、本発明に係る合成置換コラム築造装置の実施例1を示す正面図である。この実施例1の合成置換コラム築造装置10Bは、図5(b)に示す合成置換コラム築造装置10Bと同じ構成であり、外径216mmの軸部11には、軸部11の下端から上方500mmの位置より上方に2段4枚の回転外径400mmの撹拌翼16が突設され、その2段の撹拌翼16、16の中間に回転外径500mmの共回り防止翼17が回転自在に設けられており、軸部11の下端には掘削ヘッド13が連結されている。撹拌翼16は水平軸に対して30度の勾配を有し、幅(高さ)は80mm、2段の撹拌翼16と16の間隔240mm、共回り防止翼17の幅(高さ)70mm、撹拌翼16と共回り防止翼17の間隔は45mmである。この合成置換コラム築造装置10Bが、外径216mmの掘削ロッド20に連結されている。
比較例1
図11(b)は、水硬性固化材液置換コラム築造装置の比較例1を示す正面図である。この比較例1の水硬性固化材液置換コラム築造装置30Aは、外径216mmの掘削ロッド20の先端に長さ(高さ)300mmの掘削ヘッド13が設けられているものである。撹拌翼と共回り防止翼は設けられていない。
実施例1および比較例1とも掘削ヘッド13は、砂地盤での掘削性を確保するとともに、掘削ヘッドに付着した土砂を掘削ヘッドから剥落させないため、掘削ヘッド13は、下向きの円錐状とし、その側面には正回転時に掘削土砂を上方へ移動させる向きのスパイラル翼15が固設してあり、また、掘削ヘッド13の側面には水硬性固化材液の吐出口14が設けられている。
図12は、図11(a)に示す前記実施例1の合成置換コラム築造装置10Bを用いて合成置換コラムを築造する施工工程の時間と深度の関係を示す説明図である。この例では合成置換コラム築造装置10Bを用い、長さ4mの合成置換コラムを築造した。
掘進工程では、吐出口14からW/C=60%(W:水、C:セメント)の水硬性固化材液を毎分41リットルで吐出しながら、毎分2.0mの速度で正回転で掘進し、ソイルセメント部を築造した。所定深度に達してから、正回転のまま該吐出口14から水硬性固化材液の吐出量を毎分44リットルとし吐出を継続し所定深度位置で30秒間保持し、その後引き上げを開始し、引き上げ工程では吐出口14からの水硬性固化材液の吐出量を毎分44リットルとしたまま正回転で毎分1.2mの速度で引き上げ、合成置換コラムを築造した。なお、掘進工程の水硬性固化材液の吐出量は、掘削土1m当たり250kgを添加する量として、対象土の体積を外径400mm、内径216mmの円筒柱(ロッド体積を除く)として設定した。また、引き上げ工程の水硬性固化材液の吐出量は、毎分当たり1.2mの速度で引き上げた際に生じる孔の内径を216mmとして、その体積に相当する量を充填できる吐出量とした。
図13は、図11(b)に示す前記比較例1の水硬性固化材液置換コラム築造装置30Aを用いて置換コラムを築造する施工工程の時間と深度の関係を示す説明図である。この例では、水硬性固化材液置換コラム築造装置30Aを用い、長さ4mの水硬性固化材液置換コラムを築造した。
掘進工程では、水硬性固化材液を吐出せずに、毎分2.0mの速度で正回転で掘進した。所定深度に達してから、正回転のまま吐出口14から水硬性固化材液を毎分44リットルで吐出し該深度位置で30秒間保持し、その後引き上げを開始した。引き上げ工程では吐出口14からの水硬性固化材液の吐出量を毎分44リットルとしたまま正回転で毎分1.2mの速度で引き上げ、水硬性固化材液置換コラムを築造した。
なお、実施例1および比較例1とも施工後に水硬性固化材液置換部の頭部(天端)がブリーディングして天端レベルが低下することを防止するため、水硬性固化材液にはブリーディング低減材(塩基性炭酸マグネシウム)を混和している。表1に水硬性固化材液の配合例を示す。
また、実施例1および比較例1で築造したコラムには、移動式クレーンで引き抜くための芯材として施工直後にコラム全長にわたり中心位置にネジ節付の異形棒鋼を挿入している。
Figure 0006159994
実施例1および比較例1とともに図12、図13に示す施工工程の通り施工を行い、3.2m以深の砂質地盤でも掘進速度は低下しなかった。また、施工後の水硬性固化材液置換部の頭部(天端)にブリーディングはみられなかった。
また、実施例1および比較例1ともに前記図12、図13に示す施工工程で、それぞれ3本の合成置換コラムおよび水硬性固化材液置換コラムを築造した。実施例1で築造した合成置換コラムを実施例コラム1〜3とし、比較例1で築造した水硬性固化材液置換コラムを比較例コラム1〜3とする。この実施例コラム1〜3および比較例コラム1〜3の材齢28日で実施した移動式クレーンを用いて引き抜いた際の地盤の引き抜き抵抗力の測定結果を表2に示す。
なお、表2に示す引き抜き抵抗力は、コラム自重相当分として合成置換コラム(実施例コラム1〜3)で8kN、水硬性固化材液置換コラム(比較例コラム1〜3)で2kNを減じた値である。
Figure 0006159994
この試験結果によれば、比較例コラム1〜3の引抜き抵抗力の平均値98.6kNに対し、実施例コラム1〜3の平均値は231.1kNと約2.34倍になっている。本発明の実施例と比較例の築造体の周面積比は1.87倍であり、引抜き力は周面積比以上に大きくなっており、周面抵抗力度は1.25倍になっている。以上より、本発明実施例の合成置換コラムは比較例のコラムに比し大幅に周面支持力が向上しているといえる。
次に、前記実施例コラム3と比較例コラム3の出来形調査結果を表3に示す。
Figure 0006159994
この表3の出来形調査結果によれば、本発明の実施例コラム3の合成置換コラムのソイルセメント部の出来形径は、合成置換コラム築造装置10Bの撹拌翼16の外径にほぼ等しいことがわかる。
図14は、本発明の実施例コラム3と比較例コラム3の引き抜き後のコラムの側面状況を示す写真図であり、(a)が本発明による実施例コラム3の合成置換コラム、(b)が比較例コラム3の水硬性固化材液置換コラムである。
図15は、本発明の実施例コラム3の合成置換コラムの破砕後の断面状況を示す写真図である。実施例コラム3のコラム断面中央には、合成置換コラム築造装置10Bの軸部11と同等の直径200mm程度の水硬性固化材液置換コラムが築造されていることが確認できる。全長に亘って水硬性固化材液置換コラムの痩せ細りはみられなかった。
なお、本発明の実施例コラム1〜3および比較例コラム1〜3とも水硬性固化材液置換部に土塊の混入はみられなかった。
図16は、本発明の実施例2を示す合成置換コラム築造装置の正面図である。この実施例2の合成置換コラム築造装置10Eは、図11(a)に示した実施例1の合成置換コラム築造装置10Bから共回り防止翼17を取り外したもので、共回り防止翼を装着しない合成置換コラム築造装置10Eである。この実施例2に示す共回り防止翼を装着しない合成置換コラム築造装置10Eおよび実施例1の図11(a)に示す共回り防止翼17を装着した合成置換コラム築造装置10Bを用いて合成置換コラムを築造した。
図17は、この合成置換コラムを築造した施工工程の時間と深度の関係を示す説明図である。この例では、共回り防止翼17を装着した合成置換コラム築造装置10Bと共回り防止翼を装着しない合成置換コラム築造装置10Eを用い、それぞれ長さ4mの合成置換コラムを築造した。掘進工程では、吐出口14からW/C=60%の水硬性固化材液を毎分41リットルで吐出しながら、毎分2.0mの速度で正回転で掘進し、ソイルセメント部を築造した。所定深度に達してから、正回転のまま吐出口14から水硬性固化材液の吐出量を毎分44リットルとし吐出を継続し所定深度位置で30秒間保持し、その後引き上げた。引き上げ工程では、吐出口14からの水硬性固化材液の吐出量を44リットルとしたまま正回転で毎分1.2mの速度で引き上げ、合成置換コラムを築造した。
なお、掘進工程の水硬性固化材液の吐出量は、掘削土1m当たり250kgを添加する量とし、対象土の体積を外径400mm、内径216mmの円筒状(ロッド体積を除く)として設定した。また、引き上げ工程の吐出量は、毎分当たり1.2mの速度で引き上げた際に生じる孔の内径を216mmとして、その体積に相当する量を充填できる吐出量とした。
施工後に水硬性固化材液置換部の頭部(天端)がブリーディングして天端レベルが低下することを防止するため、水硬性固化材液にはブリーディング低減材を混和している。ブリーディング低減材には塩基性炭酸マグネシウムを使用しているが、炭酸マグネシウムでもよい。なお、セメントミルクのブリーディング低減に効果のあるベントナイトは、ソイルセメントの強度低下を招くため好ましくない。水硬性固化材液は、前記表1と同一配合である。
また、施工後に移動式クレーンで引き抜く為の芯材として合成置換コラム築造直後にコラム全長にわたり中心位置にネジ節付きの異形棒鋼を挿入している。
いずれの合成置換コラム築造装置10B、10Eを用いた場合でも図17に示す施工工程の通り施工を行った。また、施工後に水硬性固化材液置換部の頭部にブリーディングはみられなかった。
前記のようにして実施例1の図11(a)に示す共回り防止翼17を装着した合成置換コラム築造装置10Bと実施例2の図16に示す共回り防止翼を装着しない合成置換コラム築造装置10Eを用いて合成置換コラムを築造し、施工後、材齢28日で移動式クレーンにより該合成置換コラムを引き抜いて、その出来形を確認した。
実施例2の共回り防止翼を装着しない合成置換コラム築造装置10Eを用いて築造した合成置換コラムの外周面付近には水硬性固化材液が薄皮状に固化していた。掘削土が築造装置10Eと同期回転するいわゆる掘削土の共回り現象が起きたことで、掘削土と水硬性固化材液が良好に撹拌混合されていないためである。
図18は、共回り防止翼を装着しない実施例2の合成置換コラム築造装置10Eを用いて築造した合成置換コラムの破断後の断面状況を示す写真図である。コラム断面中央には、築造装置10Eの軸部11と略同等の直径200mm程度の水硬性固化材液置換コラムが築造されていることが確認できる。全長に亘って水硬性固化材液置換部の痩せ細りはみられず、土塊の混入もない。しかしながら、その外側のソイルセメント部は、水硬性固化材液がそのまま固化した部分と原地盤土の土塊が残存しており、撹拌混合が良好になされていないことがわかる。
しかし、次に説明する通り、共回り防止翼17を装着した実施例1の合成置換コラム築造装置10Bを用いて築造した合成置換コラムの方が品質が良好となるが、本実施例2でも実施例1と比較すると品質は劣るものの原地盤土によっては品質は余り差がない実施が可能である。例えば、原地盤土が砂質土の場合には、共回り防止翼がなくても共回りが生じないので、良好な品質の合成置換コラムに築造が可能となる。
図19は、共回り防止翼17を装着した実施例1の合成置換コラム築造装置10Bを用いて築造した合成置換コラムの破断後の断面状況を示す写真図である。合成置換コラム中央には、築造装置10Bの軸部11と略同等の直径200mm程度の水硬性固化材液置換コラムが築造されており、その周囲には撹拌翼16の回転径と同等の直径(外径)400mmのソイルセメント部が築造されていることが確認できる。ソイルセメント部には、共回りを起こした様子はなく、均一に撹拌混合されていることがわかる。共回り防止翼17を装着した合成置換コラム築造装置10Bは、共回り防止翼17の原地盤の突出部が掘進抵抗となり掘進性が低下する場合もあるが、粘着力の大きい粘性地盤では、掘削土の共回り現象を防止することで均一なソイルセメント部を築造できる。
比較例2
図20は、比較例2を示す合成置換コラム築造装置の正面図である。この比較例2の合成置換コラム築造装置30Bは、外径216mmの軸部11の先端に長さ(高さ)300mmの掘削ヘッド13が設けられている。該掘削ヘッド13は、掘進性を向上させるのみならず、掘削ヘッドに付着した土砂を掘削ヘッド13から剥落させないため、下向きの円錐状の形状とし、その側面には正回転時に掘削土砂を上方へ移動させる向きのスパイラル翼15が固設してある。掘削ヘッド13の側面には水硬性固化材液の吐出口14が設けられている。
軸部11には、軸部11の下端から上方100ミリの位置より上方に2段4枚の回転外径400mmの撹拌翼16が固設され、その2段の撹拌翼16、16の中間に回転外径500mmの共回り防止翼17が回転自在に設けられている。撹拌翼16は水平軸に対して30度の勾配を有し、その幅(高さ)は80mm、2段の撹拌翼16、16の間隔は240mm、共回り防止翼17の幅(高さ)は70mm、撹拌翼16と共回り防止翼17の間隔は45mmである。
この比較例2に示す合成置換コラム築造装置30Bと、図11(a)に示す実施例1に係る合成置換コラム築造装置10Bを用いそれぞれ合成置換コラムを築造した。実施例1に示す合成置換コラム築造装置10Bは、最下方の撹拌翼16の下端より下方の軸部11の長さが300mmであるのに対し、比較例2の合成置換コラム築造装置30Bは、最下方の撹拌翼16の下端より下方の軸部11の長さが100mmである点で両者は相違し、他は同じである。
図21は、本発明の実施例1の合成置換コラム築造装置10Bで合成置換コラムを築造する施工工程の時間と深度の関係を示す説明図、図22は、比較例2の合成置換コラム築造装置30Bで合成置換コラムを築造する施工工程の時間と深度の関係を示す説明図である。いずれも長さ4mの合成置換コラムを築造した。
いずれも掘進工程では、吐出口14からW/C=60%の水硬性固化材液を毎分57リットルで吐出しながら、毎分2.0mの速度で正回転で掘進し、ソイルセメント部を築造した。所定深度に達してから、正回転のまま吐出口14から水硬性固化材液の吐出量を毎分44リットルとして吐出を継続し所定深度位置で30秒間保持し、その後引き上げた。引き上げ工程では吐出口14からの水硬性固化材液の吐出量を毎分44リットルとしたまま正回転のままで毎分1.2mの速度で引き上げ、合成置換コラムを築造した。掘進工程の水硬性固化材液の吐出量は、掘削土1m当たり350kgを添加する量とし、対象土の体積を外径400mm、内径216mmの円筒状(ロッド体積を除く)として設定した。また、引き上げ工程の吐出量は、毎分当たり1.2mの速度で引き上げた際に生じる孔の直径を216mmとして、その体積に相当する量を充填できる吐出量とした。
なお、この実施例1および比較例2での合成置換コラムの築造では、施工後に水硬性固化材液置換部の頭部(天端)がブリーディングして天端レベルが低下するのを防止するため、水硬性固化材液にはブリーディング低減材を混和している。水硬性固化材液は表1と同一配合である。また、移動式クレーンで築造後の合成置換コラムを引き抜くための芯材として施工直後にコラム全長に亘り中心位置にネジ節付きの異形棒鋼を挿入している。
実施例1に示す合成置換コラム築造装置10Bを用いた場合は、図21に示す施工工程の通り施工を行い、比較例2に示す合成置換コラム築造装置30Bを用いた場合は、図22に示す施工工程の通り施工を行った。また、いずれも施工後の水硬性固化材液置換部の頭部(天端)にブリーディングはみられなかった。
上記で築造した合成置換コラムは、施工後、材齢28日で移動式クレーンにより引き抜いて、その出来形を確認した。
図23は、図11(a)に示す実施例1の合成置換コラム築造装置10Bを用いて築造した合成置換コラムの断面を示す写真図(a)(b)である。コラム断面中央には、築造装置10Bの軸部11と略同等の直径200mm程度の水硬性固化材液置換部が築造されていることが確認できる。図示していないが、水硬性固化材液置換部の直径は、部分的に200mmを僅かに下回る箇所もあったが、ほぼ全長に亘って築造装置10Bの軸部11と略同等の直径200mm程度であった。本例においては、土塊の混入は一切見られなかった。
図24は、比較例2の合成置換コラム築造装置30Bを用いて築造した合成置換コラムの断面を示す写真図(a)(b)である。コラム断面中央には、水硬性固化材液置換部が築造されており、土塊の混入は見られないものの、その直径は築造装置30Bの軸部11の直径216mmより細い150mmとなっており、痩せ細りがみられた。
以上の結果より、最下段の撹拌翼16の位置から下方の軸部11の長さ(軸部突出長)Hが少なくとも該軸部11の径の1.5倍とすることで、水硬性固化材液置換部の外径を安定して築造することが可能であるといえる。本施工例のような軟弱なシルト地盤では、軸部突出長さHをさらに長くすることで水硬性固化材液置換部の外径をより安定して築造することが可能であるといえる。
しかし、軸部突出長さHが長すぎると、相対的にソイルセメント柱状体の長さが短くなるために、合成置換コラムとしての出来形長が小さくなり、好ましくない。また、軸部突出長さHが該軸部11の径の6倍を超えると、吐出口14から撹拌翼16までの距離が離れすぎるため、撹拌翼16により原地盤土と撹拌混合される前に水硬性固化材液が地中へ逸脱するなどにより、水硬性固化材液と原地盤土の撹拌混合度が不良となりソイルセメント部の出来形が不良となるおそれがある。従って軸部11の突出長Hは、該軸部11の径の6倍程度までが好ましい。
前記実施例および比較例から以下のことがいえる。
(1)本発明の合成置換コラム築造装置および方法により、攪拌翼外径と略同径の合成置換コラムの築造が可能である。また本実施例の範囲においては、合成置換コラム引き抜き時の破壊面はソイルセメント部と原地盤の境界で生じており、合成置換コラムと水硬性固化材液置換コラムの外周面積比よりも大きい比率で周面支持力の向上が可能である。
(2)ブリーディング低減剤を用いることで水硬性固化材液置換部頭部のブリーディングを抑制できる。
(3)最下段の攪拌翼位置から下方の軸部長さを軸径の1.5倍以上の長さとし、水硬性固化材液置換柱状体の円柱状の突出部長さを該突出部径の1.5倍以上長さとすることで、水硬性固化材液置換部の痩せ細りを防止できる。
(4)共回り防止翼を軸部本体に対して回動自在に装着することで、水硬性固化材液と原地盤が確実に攪拌混合されソイルセメント部を均質なものとすることができる。
(5)掘削ヘッドは下方向きの円錐状の形状とし、その側面には正回転時に掘削土砂を上方へ移動させる向きのスパイラル翼を固設することで、硬質地盤での掘削性を確保するとともに、掘削ヘッドに付着した土砂を掘削ヘッドから剥落させないため、水硬性固化材液置換部に土塊を混入することがない。
1 合成置換コラム
2 ソイルセメント柱体
2a ソイルセメント柱状体
2b ソイルセメント
3 水硬性固化材液硬化柱体
3a 水硬性固化材液置換柱状体
3b 水硬性固化材液
3c 追加注入した水硬性固化材液
4 水硬性固化材液置換柱状体の下方への突出部
5 継目(コールドジョイント)
10A、10B、10C、10D、10E 合成置換コラム築造装置
11 軸部
12 継手部
13、13a 掘削ヘッド
14 吐出口
15 スパイラル翼
16 撹拌翼
17 共回り防止翼
18 スパイラル翼
19 継手部
20、20a、20b、20c 掘削ロッド
21 ロッド本体部
22 施工機用ロッド部
23 アダプター
24 継手部
25 連続スパイラルスクリュー
25a 断続スパイラルスクリュー

Claims (9)

  1. ソイルセメント柱状体の軸心部に円柱状の水硬性固化材液置換柱状体をその軸心が略一致するように配置し、ソイルセメント柱状体中の水硬性固化材液置換柱状体の外径を確保かつ一定に保つために、該水硬性固化材液置換柱状体が該ソイルセメント柱状体を貫いて下方に突出し、その突出部長さが該突出部径の少なくとも1.5倍の長さあることを特徴とするソイルセメント柱体と水硬性固化材液硬化柱体の合成置換コラム。
  2. 内部に水硬性固化材液の流路を有し、上端に掘削ロッドの継手部を有する軸部の下端に、水硬性固化材液の吐出口を有する掘削ヘッドを装着し、軸部には少なくとも2枚の撹拌翼を固設し、合成置換コラムの水硬性固化材液置換柱状体の下方への突出部を形成するために、最下段の撹拌翼位置から下方の軸部長さが少なくとも該軸部径の1.5倍であることを特徴とする合成置換コラムの築造装置。
  3. 前記軸部は回動自在に装着された共回り防止翼を有し、該共回り防止翼の回転径は攪拌翼のそれよりも大きく、かつ該攪拌翼固設位置近傍に設置していることを特徴とする請求項2記載の合成置換コラムの築造装置。
  4. 掘削ヘッドが下方向きの円錐状の形状をしており、その側面に、正回転時に掘削土砂を上方へ移動させる向きのスパイラル翼が固設され、該スパイラル翼の最大回転径が軸部径を超えない大きさであるとともに、該側面には水硬性固化材液の吐出口が設けられていることを特徴とする請求項2または3記載の合成置換コラムの築造装置。
  5. 掘削ヘッドが、軸部に対して着脱自在に接続されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の合成置換コラムの築造装置。
  6. 掘削ロッドの下方に請求項2乃至5のいずれか1項記載の合成置換コラムの築造装置を接続し、該築造装置下方の掘削ヘッド先端中心部を地盤の杭心位置にセットし、該築造装置を正回転させながら掘削ヘッドの吐出口から水硬性固化材液を吐出しつつ掘進し、該掘削ヘッドが所定深度に達した後、水硬性固化材液を吐出しつつ、該築造装置を正回転または逆回転しつつ引き上げてなるソイルセメント柱体と遂行性硬化材液硬化柱体の合成置換コラムの築造方法。
  7. 掘削ロッドがその周側面に連続または断続のスパイラル翼を固設した掘削ロッドの下方に請求項2乃至5のいずれか1項記載の合成置換コラムの築造装置を接続し、該築造装置下方の掘削ヘッドの先端中心部を地盤の杭心位置にセットし、該築造装置を正回転させながら掘進しつつ、吐出口から水硬性固化材液を吐出しながら掘削ロッド周辺地盤を攪拌混合してソイルセメント化し、該掘削ヘッドが所定深度に達した後、水硬性固化材液の吐出をしつつ、該築造装置を正回転または逆回転しつつ引き上げてなるソイルセメント柱体と水硬性固化材液硬化柱体の合成置換コラムの築造方法。
  8. 合成置換コラム築造装置を引き上げつつ水硬性固化材液を吐出し、吐出された水硬性固化材液の液面が情報の所定位置に到達する前に、該合成置換コラム築造装置を上方に引き上げ、その後さらに、水硬性固化材液を吐出し、該水硬性固化材液液面が該所定位置と略一致するように調整することを特徴とする請求項6または7記載のソイルセメント柱体と水硬性固化材液硬化柱体の合成置換コラムの築造方法。
  9. 水硬性固化材液にはブリーディング低減用の酸化マグネシウムを混和していることを特徴とする請求項6乃至8のいずれが1項に記載のソイルセメント柱体と水硬性固化材液硬化柱体の合成置換コラムの築造方法。
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