〔実施形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
(塗布装置1の構成)
まず、図1及び図2を用いて塗布装置1の構成について説明する。図1は実施形態1の塗布装置1の構成を表す斜視図である。図2は実施形態1の塗布装置1の構成を表す断面図である。
塗布装置1は、ベルトコンベア構造を有し、基板5を搬送可能な構造となっている。塗布装置1は、本実施の形態では、いわゆるLEDパッケージであるLED光源発光モジュールの製造過程で成膜される撥液剤(機能性液体、機能性膜)28を塗布する装置であるものとして説明する。
撥液剤28は、基板に実装されたLEDチップを封止する封止樹脂を半球形状に形成するために、封止樹脂形成前に、基板上であって封止樹脂形成領域の周囲に形成される。
なお、塗布装置1は撥液剤28を塗布する装置に限定されるものではない。塗布装置1が塗布する液体として、種々の機能性膜を基板に成膜するための液体(機能性液体)を用いることができる。
塗布装置1は、載置された基板5を搬送する搬送ベルト(搬送部、ベルト)11と、搬送ベルト11を回転移動させるローラ(搬送部)12・13と、搬送ベルト11に載置された基板5に撥液剤28を噴霧する吐出ヘッド(第1塗布部)21と、搬送ベルト11に付着した撥液剤28に洗浄液38を噴霧する洗浄用ノズル(第2塗布部)31と、搬送ベルト11に付着した撥液剤28を剥離するスクレーパ(剥離部)41と、剥離された撥液剤28を貯留するトレイ(容器)42と、塗布装置1の動作を制御する制御部60とを備えている。
制御部60は塗布装置1の各部を制御する装置である。制御部60は、吐出ヘッド21の動作を制御する吐出ヘッド制御部61と、洗浄用ノズル31の動作を制御する洗浄用ノズル制御部62と、スクレーパ41の動作を制御するスクレーパ制御部63とを備えている。
さらに、塗布装置1は、ポンプ25、空気供給部26、及びタンク27からなり吐出ヘッド21に撥液剤28を供給したり撥液剤28を霧化して吐出ヘッド21から噴霧させたりするためのユニットと、ポンプ35、空気供給部36、及びタンク37からなり洗浄用ノズル31に洗浄液38を供給したり洗浄液38を霧化して洗浄用ノズル31から噴霧させたりするためのユニットとを備えている。
ここで、搬送ベルト11の基板5の設置面と平行な平面における、基板5の搬送方向(基板搬送方向と称する場合がある)をY軸方向とし、Y軸方向と直交する方向をX軸方向とする。
基板5は、一例として、LEDパッケージを形成するための基板である。基板5は、例えばセラミックからなる。なお、塗布装置1に投入する基板5として、LEDパッケージを形成するための基板に限定されるものではない。
搬送ベルト11は、2箇所で折り返されることで、上側の搬送ベルト11と、下側の搬送ベルト11とが構成されている、無端ベルトである。搬送ベルト11の材質は特に限定されるものではないが、例えばゴムからなる。
さらに、搬送ベルト11の表面はフッ素樹脂により覆われていることが好ましい。これにより、搬送ベルト11に撥液剤28が付着しても、当該付着した撥液剤28を剥離し易くすることができる。フッ素樹脂として、例えば、ポリテトラフルオロチレン(テフロン:登録商標)を用いることができる。
搬送ベルト11の2箇所の折り返し部分(端部)のうち、基板5の搬送方向の上流側の折り返し部分(端部)は下方から上方へ向けて折り返されている。そして、基板5の搬送方向の上流側の折り返し部分の内側面に接触するようにX軸方向に延伸するローラ12が配されている。
また、搬送ベルト11の2箇所の折り返し部分(端部)のうち、基板5の搬送方向の下流側の折り返し部分(端部)は上方から下方へ向けて折り返されている。そして、基板5の搬送方向の下流側の折り返し部分の内側面に接触するようにX軸方向に延伸するローラ13が配されている。
上側の搬送ベルト11の表面は平坦であり、上側の搬送ベルト11の表面に基板5が載置される。そして、ローラ12・13が回転することで搬送ベルト11は回転移動する。
矢印Aは、上側の搬送ベルト11の移動方向である。すなわち矢印Aは基板5の搬送方向である。矢印B(図2参照)は下側の搬送ベルト11の移動方向である。すなわち、矢印Bは基板搬送方向と逆の方向である。
また、ローラ12によって、搬送ベルト11のうち、基板搬送方向上流側の折り返し部分は下方から上方に移動する。そして、ローラ13によって、搬送ベルト11のうち、基板搬送方向下流側の折り返し部分は上方から下方に移動する。
このように搬送ベルト11は回転移動することで、上側の搬送ベルト11の表面に載置された基板5を一方向(基板搬送方向の上流側から下流側に向かう方向)に搬送する。
なお、図1では、塗布装置1の外側へ搬送されていく基板5の様子を破線及び矢印で表している。
吐出ヘッド21はスプレー方式により撥液剤28を拡散させて基板5に噴霧する。吐出ヘッド21は、搬送ベルト11の上方であって、洗浄用ノズル31よりも基板搬送方向の上流側に配されている。吐出ヘッド21は、支持部22に固定されている。支持部22はX軸方向に延伸するガイド部23にX軸方向にスライド可能に接続されている。このように吐出ヘッド21は基板搬送方向と直交する方向であるX軸方向に移動可能に配されている。
図3は吐出ヘッド21が撥液剤28を基板5に噴霧している様子を表す図である。
吐出ヘッド21には撥液剤28が供給され、吐出ヘッド21は当該供給された撥液剤28を搬送ベルト11で搬送されている基板5に噴霧する。吐出ヘッド21は、撥液剤28を、基板5の縁部からはみ出し、搬送ベルト11にも付着するように、基板5の全面に撥液剤28を噴霧する。
なお、吐出ヘッド21はスプレーに限定されず、撥液剤28を、搬送ベルト11上の基板5の全面であって基板5の縁部の外側へはみ出すように塗布できるものであればよい。
撥液剤28は、LEDパッケージにおけるLEDチップを封止する封止樹脂を、略半球や略扁球形状とするために、封止樹脂の形成前に、基板上であって封止樹脂形成領域の周囲に形成されるものである。
撥液剤28は、フッ素樹脂を溶剤に溶解したものであり、例えば、菱光化学製マーベルコートを用いることができる。撥液剤28は基板5等の被着体へ噴霧後、加熱し乾燥させることで、被着体表面に水素結合、分子間力などにより、被着体の界面と密着(接着)する。撥液剤28として、菱光化学製マーベルコート以外にも、例えば、信越化学製KY‐108、又はダイキン工業製ユニダイン等を用いることができる。
なお、吐出ヘッド21が噴霧する液体としては撥液剤28に限定されるものではない。吐出ヘッド21が噴霧する液体は、種々の機能性膜を基板に成膜するための液体(機能性液体)であってもよい。
図1に示すポンプ25は空気を供給するポンプである。ポンプ25は空気供給部26と、タンク27と、それぞれバルブを介して接続されている。
空気供給部26は吐出ヘッド21に、撥液剤28を霧化するための空気を供給するものである。空気供給部26はバルブを介して吐出ヘッド21のヘッド先端部近傍と接続されている。空気供給部26はポンプ25から供給される空気を吐出ヘッド21の先端部に供給する。これにより、吐出ヘッド21内であってノズル開口部近傍で気泡が発生し、この結果、吐出ヘッド21のノズル開口部から霧化した撥液剤28が噴霧される。
タンク27には撥液剤28が貯留されている。タンク27は密閉されており、バルブを介してポンプ25と接続されていると共に、バルブを介して吐出ヘッド21と接続されている。
ポンプ25からタンク27に空気が供給されると、タンク27に貯留されている撥液剤28の水面が加圧される。これによりタンク27に貯留されている撥液剤28は吐出ヘッド21に供給される。
図1、2に示すように、洗浄用ノズル31は、搬送ベルト11の上方であって、吐出ヘッド21よりも基板搬送方向の下流側に配されている。本実施の形態では、洗浄用ノズル31は、搬送ベルト11の基板搬送方向の下流側の折り返し部分(端部)に洗浄液38が噴霧されるように、搬送ベルト11の下流側の折り返し部分の上方に配されている。
洗浄用ノズル31は、支持部32に固定されている。支持部32はX軸方向に延伸するガイド部33にX軸方向にスライド可能に接続されている。このように洗浄用ノズル31は基板搬送方向と直交する方向であるX軸方向に移動可能に配されている。
洗浄用ノズル31は、搬送ベルト11が基板5を排出した後、撥液剤28が付着した搬送ベルト11に、搬送ベルト11を洗浄するための洗浄液38を噴霧する。本実施の形態では、洗浄用ノズル31は、スプレー方式により洗浄液38を搬送ベルト11に噴霧するものである。なお、洗浄用ノズル31はスプレーに限定されず、洗浄液38を、撥液剤28が付着した搬送ベルト11に塗布できるものであればよい。
洗浄液38は吐出ヘッド21から吐出された液体を溶解可能な溶剤である。例えば、撥液剤28として菱光化学製マーベルコートを用いた場合、洗浄液38として住友スリーエム製のノベックを用いることができる。
ポンプ35は空気を供給するポンプである。ポンプ35は空気供給部36と、タンク37と、それぞれバルブを介して接続されている。空気供給部36は洗浄用ノズル31に、洗浄液38を霧化するための空気を供給するものである。空気供給部36はバルブを介して洗浄用ノズル31のノズル先端部近傍と接続されている。空気供給部36はポンプ35から供給される空気を洗浄用ノズル31の先端部に供給する。これにより、洗浄用ノズル31内であってノズル開口部近傍で気泡が発生し、この結果、洗浄用ノズル31のノズル開口部から霧化した洗浄液38が噴霧される。
タンク37には洗浄液38が貯留されている。タンク37は密閉されており、バルブを介してポンプ35と接続されていると共に、バルブを介して洗浄用ノズル31と接続されている。
ポンプ35からタンク37に空気が供給されると、タンク37に貯留されている洗浄液38の水面が加圧される。これにより、タンク37に貯留されている洗浄液38は洗浄用ノズル31に供給される。
スクレーパ41は、支持部43によってX軸方向に移動可能にトレイ42と接続されている。
図4は、塗布装置1のスクレーパ41の平面図である。
スクレーパ41は先端部(先端)41aが吸引可能な構成となっている。スクレーパ41の先端部41aは、搬送ベルト11のうち、基板搬送方向下流側の、上方から下方へ折り返されている端部の表面と接触するように配されている。スクレーパ41の先端部41aと、搬送ベルト11の接触面との接触角度θは約45度である。
スクレーパ41は先端部41aに吸引口を有する。これにより、スクレーパ41は、先端部41aで搬送ベルト11に固着した撥液剤28を剥離する(はがし取る)と共に、スクレーパ制御部63からの指示により、先端部41aの吸引口から、搬送ベルト11からはがし取った撥液剤28を吸引したり、洗浄用ノズル31から噴霧された洗浄液38を吸引したりする。スクレーパ41で吸引された撥液剤28や洗浄液38は支持部43内を通じてトレイ42内に残膜45として貯留される。
なお、スクレーパ41は、先端部41aの吸引する構成を持たず、搬送ベルト11に固着した撥液剤28をはがし取るだけの構成であってもよい。
スクレーパ41は、例えば、スプレーイングシステムジャパン製のブロー用ノイズを用いることができる。ただし、スクレーパ41は、ブローではなく吸引するようにする必要がある。
スクレーパ41の先端部41aから、剥離した撥液剤28や洗浄液38を吸引することで、塗布装置1のメンテナンス性(メンテナンスのし易さ)を向上させることができる。
また、スクレーパ41の先端部41aを、搬送ベルト11のうち基板搬送方向下流側の端部と接触させることにより、搬送ベルト11から剥離された撥液剤28のうち、先端部41aで吸引されなかった撥液剤28も下方へ落下する。これにより、一旦剥離された撥液剤28の搬送ベルト11への再付着を防止することができる。
搬送ベルト11をゴムから構成した場合、スクレーパ41は金属材料から構成することが好ましい。これにより、物理的にスクレーパ41を搬送ベルト11に接触させて、撥液剤28を搬送ベルト11から剥離し易くすることができる。
トレイ42は上面が一面開口部となっている凹形状である。X軸方向に延伸している。トレイ42の開口部は、スクレーパ41の先端部41aと搬送ベルト11との接触部分の下方に来るように配されている。すなわち、トレイ42の開口部は、搬送ベルト11の基板搬送方向下流側の折り返された端部の下方に配されている。
これにより、トレイ42は、スクレーパ41の先端部41aによって搬送ベルト11からはがし取られた撥液剤28を受けて残膜45として貯留する。また、トレイ42は、洗浄用ノズル31から噴霧された洗浄液38を、トレイ42内に貯留する。
吐出ヘッド制御部61は、搬送ベルト11に載置されている基板5の基板搬送方向下流側の縁部が、撥液剤28の噴霧開始位置にくると、吐出ヘッド21に撥液剤28の噴霧開始を指示する。これにより、吐出ヘッド制御部61は吐出ヘッド21に撥液剤28を噴霧させる。
吐出ヘッド制御部61は、搬送ベルト11に載置されている基板5の基板搬送方向上流側の縁部が、撥液剤28の噴霧停止位置にくると、吐出ヘッド21に撥液剤28の噴霧停止を指示する。これにより、吐出ヘッド制御部61は吐出ヘッド21に撥液剤28の噴霧を停止させる。
なお、撥液剤28の噴霧開始位置及び撥液剤28の噴霧停止位置は、予めY座標として、吐出ヘッド制御部61に登録しておく。そして、搬送ベルト11の移動量や速度から、吐出ヘッド制御部61は、搬送ベルト11に載置された基板5が撥液剤28の噴霧開始位置に到達したか否か、また、撥液剤28の噴霧停止位置に到達したか否かを判定する。
吐出ヘッド制御部61には、予め撥液剤28を噴霧するX軸方向の距離(幅)が登録されている。この撥液剤28を噴霧するX軸方向の距離(幅)は、搬送ベルト11に載置された基板5のX軸方向に対向する両端部の幅より大きくなるように設定される。
吐出ヘッド制御部61は、この登録されている撥液剤28を噴霧するX軸方向の距離(幅)分、吐出ヘッド21が撥液剤28を基板5上及び搬送ベルト11上に噴霧するように、支持部22をX軸方向にスライドさせる。
洗浄用ノズル制御部62は、洗浄用ノズル31に、搬送ベルト11に付着した撥液剤28に洗浄液38を噴霧させる。
搬送ベルト11に載置された基板5に対する撥液剤28の噴霧が終了し、当該基板5が搬送ベルト11外へ搬送された後、搬送ベルト11に載置されていた上記基板5の基板搬送方向下流側の縁部の基板搬送方向下流側の外側へはみ出すことで搬送ベルト11に付着した撥液剤28が、洗浄液38の噴霧開始位置にくると、洗浄用ノズル制御部62は、洗浄用ノズル31に洗浄液38の噴霧開始を指示する。これにより、洗浄用ノズル制御部62は洗浄用ノズル31に洗浄液38を噴霧させる。
搬送ベルト11に載置された基板5に対する撥液剤28の噴霧が終了し、また、搬送ベルト11から搬送された上記基板5が、搬送ベルト11に載置されていた上記基板5の基板搬送方向上流側の縁部の基板搬送方向上流側の外側へはみ出すことで搬送ベルト11に付着した撥液剤28が、洗浄液38の噴霧停止位置にくると、洗浄用ノズル制御部62は、洗浄用ノズル31に洗浄液38の噴霧停止を指示する。これにより、洗浄用ノズル制御部62は洗浄用ノズル31に洗浄液38の噴霧を停止させる。
なお、洗浄液38の噴霧開始位置及び洗浄液38の噴霧停止位置は、予めY座標として、洗浄用ノズル制御部62に登録しておく。そして、搬送ベルト11の移動量や速度から、洗浄用ノズル制御部62は、搬送ベルト11に付着した撥液剤28が噴霧開始位置に到達したか否か、また、搬送ベルト11に付着した撥液剤28が噴霧停止位置に到達したか否かを判定する。
洗浄用ノズル制御部62には、予め洗浄液38を噴霧するX軸方向の距離(幅)が登録されている。この洗浄用ノズル31が洗浄液38を噴霧する際のX軸方向の距離(幅)は、吐出ヘッド21が撥液剤28を基板5及び搬送ベルト11に噴霧するX軸方向の幅以上となるように設定される。
洗浄用ノズル制御部62は、この登録されている洗浄液38を噴霧するX軸方向の距離(幅)分、洗浄用ノズル31が洗浄液38を搬送ベルト11上に噴霧するように、支持部32をX軸方向にスライドさせる。
スクレーパ制御部63は、スクレーパ41に、搬送ベルト11に付着した撥液剤28を剥離させると共に、当該剥離した撥液剤28や洗浄用ノズル31が噴霧した洗浄液38を吸引させる。
スクレーパ制御部63は、洗浄用ノズル制御部62が洗浄用ノズル31に洗浄液38の噴霧開始を指示すると、スクレーパ41に吸引開始を指示する。これによりスクレーパ41に吸引させる。また、スクレーパ制御部63は、洗浄用ノズル制御部62が洗浄用ノズル31に洗浄液38の噴霧停止を指示すると、スクレーパ41に吸引停止を指示する。これによりスクレーパ41に吸引を停止させる。
スクレーパ制御部63は、洗浄用ノズル制御部62に予め登録されている洗浄液38のX軸方向の噴霧距離(幅)を参照し、当該洗浄液38のX軸方向の噴霧距離(幅)以上、スクレーパ41がX軸方向へ移動するように、スクレーパ41をX軸方向にスライドさせる。
(塗布装置の動作)
次に、図5、図6を用いて塗布装置1の動作について説明する。
図5は、撥液剤28を噴霧する塗布装置1の動作を説明する図であり、(a)は吐出ヘッド21が撥液剤28の噴霧を開始した直後の様子を表し(b)は吐出ヘッド21が撥液剤28の噴霧を停止した直後の様子を表し(c)は撥液剤28が噴霧された基板5が塗布装置1から排出されている様子を表している。
図6は、洗浄液38を噴霧する塗布装置1の動作を説明する図であり(a)は洗浄用ノズル31が洗浄液38の噴霧を開始した直後の様子を表し(b)は洗浄用ノズル31が洗浄液38の噴霧を継続している状態を表し(c)は洗浄用ノズル31が洗浄液38の噴霧を停止した直後の様子を表している。
図5の(a)に示すように、搬送ベルト11の表面に載置された基板5の基板搬送方向下流側の縁部が、撥液剤28の噴霧開始位置にくると、吐出ヘッド制御部61からの指示により、吐出ヘッド21は、基板5に向けて撥液剤28の噴霧を開始する。ここでは、撥液剤28の噴霧開始位置は吐出ヘッド21の直下のY座標とする。
また、吐出ヘッド21は、基板5の全面に撥液剤28を噴霧するためにX軸方向へ往復移動する。この吐出ヘッド21のX軸方向への移動は、吐出ヘッド21が固定されている支持部22が、吐出ヘッド制御部61からの指示により、ガイド部23の延伸方向に往復移動することでなされる。
なお、吐出ヘッド21は、X軸方向へ移動せず固定されたままでも基板5の全面に撥液剤28の噴霧が可能であれば、X軸方向へ移動せず、固定されたまま撥液剤28を噴霧してもよい。
吐出ヘッド21は、基板5の縁部からはみ出し搬送ベルト11上にも付着するように、一定の高さから、撥液剤28を、基板5の全面に噴霧する。これにより、基板5に噴霧され固化した撥液剤28の厚みを基板5の縁部まで均一にすることができる。
吐出ヘッド21が基板5に噴霧した撥液剤28の厚さは、特に限定されるものでは無いが、約1μm以上2μm以下程度である。このように、比較的薄い厚みであっても、吐出ヘッド21は、搬送ベルト11にはみ出すように撥液剤28を噴霧するため、基板5の全面であって縁部まで均一に撥液剤28を噴霧することができる。
次に、図5の(b)に示すように、吐出ヘッド21が搬送ベルト11の表面に載置された基板5の全面に撥液剤28を噴霧し、基板5の基板搬送方向の上流側の縁部が、噴霧停止位置にくると、吐出ヘッド制御部61からの指示により、吐出ヘッド21は撥液剤28の噴霧を停止する。ここでは、撥液剤28の噴霧停止位置は吐出ヘッド21の直下のY座標とする。なお、吐出ヘッド21は、撥液剤28を、基板5の基板搬送方向上流側の縁部の外側の搬送ベルト11上にも噴霧する。
そして、図5の(c)に示すように、塗布装置1は、撥液剤28が全面に塗布された基板5を搬送ベルト11の基板搬送方向下流側の折り返し部分から離間させ、搬送ベルト11から排出する。この撥液剤28が全面に塗布された基板5は、次工程へ搬送される。
また、搬送ベルト11のうち基板5が載置されていた領域の外側に付着している、基板5からはみ出した撥液剤28は、搬送ベルト11の基板搬送方向下流側の折り返し部分を通り、下側の搬送ベルト11に回り込む。そして、搬送ベルト11に付着した撥液剤28は基板搬送方向と逆側方向(矢印Bの方向)へ移動する。
そして、図6の(a)に示すように、搬送ベルト11に付着した撥液剤28は、搬送ベルト11の回転移動により、搬送ベルト11の基板搬送方向上流側の折り返し部分を通り、再び、上側の搬送ベルト11の表面に回り込む。
そして、搬送ベルト11に付着した撥液剤28のうち、基板5の基板搬送方向下流側の縁部の基板搬送方向下流側の外側にはみ出していた撥液剤28が、洗浄液38の噴霧開始位置にくると、洗浄用ノズル制御部62からの指示により、洗浄用ノズル31は、搬送ベルト11に付着した撥液剤28に向けて洗浄液38の噴霧を開始する。ここでは、洗浄液38の噴霧開始位置は、洗浄用ノズル31の直下のY座標とする。
洗浄用ノズル31が、搬送ベルト11に付着した撥液剤28に洗浄液38を噴霧することで、搬送ベルト11に付着した撥液剤28が固化し始めていても溶解させることができ、さらに、溶解した撥液剤28を洗浄液38により洗い流すことができる。
洗浄液38は、撥液剤28を溶解可能なものを用いる。例えば、撥液剤28にフッ素系樹脂が溶解されている液体を用いた場合、洗浄液38も同様のフッ素系樹脂が溶解されている液体を用いることで、より撥液剤28を溶解させることができる。
具体的には、撥液剤28に、菱江化学製マーベルコートを用いた場合、マーベルコートと同様のフッ素系樹脂が溶解されている住友スリーエム製のノベック(HFE‐7100(品番))を用いることで、確実に撥液剤28を溶解することができる。
しかし、住友スリーエム製のノベックは、蒸気圧が0.028MPaと低く、揮発し易く、また、高価である。
このため、例えば特許文献2のように、搬送ベルトを浸漬可能な大きさの洗浄槽を予め設けておき、その洗浄槽に洗浄液を貯留しておく装置構成の場合、揮発しやすく高価なノベックを頻繁に洗浄槽に継ぎ足す必要があり、装置が大型化するだけでなく、製造コスト増加を招く。
一方、塗布装置1によると、撥液剤28を噴霧する吐出ヘッド21より、基板搬送方向下流側に、洗浄液38を噴霧する洗浄用ノズル31が配されている。そして、洗浄用ノズル31は、全面に撥液剤28が噴霧された基板5を搬送ベルト11が排出した後、搬送ベルト11に付着した撥液剤28に向けて洗浄液38を噴霧する。これにより、搬送ベルト11に付着し固化した撥液剤28を溶解させることができる。そして搬送ベルト11が回転移動することで、搬送ベルト11のうち、基板搬送方向下流側の折り返し部分から、溶解された撥液剤28は下方に落下し、トレイ42内に貯留する。このようにして塗布装置1は、搬送ベルト11に付着した撥液剤28を除去することができる。
塗布装置1によると、特許文献1のように、基板5の縁部に沿って形状の機能液受けを予め設けておいたり、特許文献2のように搬送ベルト11を浸漬可能な程度の大きさの洗浄槽を設けて洗浄液を貯留しておく必要がない。このため、装置の大型化を防止して、搬送ベルト11に付着した撥液剤28を除去することができる。さらに、塗布装置1によると、特許文献2のように、搬送ベルトが浸漬可能な程度の大きさの洗浄槽に大量の洗浄液を貯留しておく必要が無く、必要なときに、洗浄用ノズル31から洗浄液38を、搬送ベルト11に付着した撥液剤28に噴霧することができるため、洗浄液38の使用量を抑え、製造コスト増加を防止することができる。
洗浄用ノズル31は、搬送ベルト11に付着した撥液剤28に対し全体的に洗浄液38を噴霧するために、洗浄用ノズル制御部62からの指示により、X軸方向へ往復移動する。この洗浄用ノズル31のX軸方向への移動は、洗浄用ノズル31が固定されている支持部32が、ガイド部33の延伸方向に往復移動することでなされる。
洗浄用ノズル31は、噴霧する洗浄液38のX軸方向の距離(幅)が、吐出ヘッド21が撥液剤28を基板5及び搬送ベルト11に噴霧したX軸方向の幅以上となるように、X軸方向に往復移動する。
なお、洗浄用ノズル31は、X軸方向へ移動せず固定されたままでも搬送ベルト11に付着した撥液剤28に対し全体的に洗浄液38の噴霧が可能であれば、X軸方向へ移動せず、固定されたまま洗浄液38を噴霧してもよい。
また、洗浄用ノズル31が洗浄液38の噴霧を開始すると、スクレーパ制御部63からの指示により、スクレーパ41は吸引を開始し、先端部41aから、洗浄用ノズル31が噴霧した洗浄液38を吸引する。
さらに、スクレーパ41は、搬送ベルト11に付着しており洗浄液38が噴霧された撥液剤28を、相対移動する搬送ベルト11と接触している先端部41aではがし取り、そのはがし取った撥液剤28を先端部41aで吸引する。搬送ベルト11に付着している撥液剤28には洗浄液38が噴霧されることで溶解されているため、スクレーパ41の先端部41aを接触させることで容易に搬送ベルト11からはがし取り、吸引することが可能である。
スクレーパ41は、先端部41aから吸引した洗浄液38や撥液剤28を、支持部43を通じてトレイ42内へ貯留させる。また、トレイ42は、搬送ベルト11の基板搬送方向下流側の折り返し部分の下方に配されているため、スクレーパ41の先端部41aで吸引されなかった洗浄液38や撥液剤28は、搬送ベルト11の基板搬送方向下流側の折り返された端部から、下方のトレイ42内へ落下する。これにより、スクレーパ41の先端部41aで吸引されなかった洗浄液38や撥液剤28もトレイ42内へ収納することができる。
スクレーパ41は、洗浄用ノズル31が噴霧した洗浄液38や、搬送ベルト11に付着した撥液剤28を全体的に先端部41aではがし取るために、スクレーパ制御部63からの指示により、X軸方向へ往復移動する。このスクレーパ41のX軸方向への移動は、スクレーパ41が固定されている支持部43が、トレイ42の延伸方向に往復移動することでなされる。
スクレーパ41は、先端部41aと搬送ベルト11との接触部分のX軸方向の距離(幅)が、洗浄液38のX軸方向の噴霧距離(幅)以上となるように、スクレーパ制御部63からの指示によりX軸方向にスライドする。
なお、スクレーパ41は、X軸方向へ移動せず固定されたままでも搬送ベルト11に付着した撥液剤28を全体的にはがし取り、また、洗浄用ノズル31から噴霧されている洗浄液38の吸引が可能であれば、X軸方向へ移動せず、固定されたまま先端部41aで搬送ベルト11に付着した撥液剤28をはがし取ったり、洗浄用ノズル31から噴霧されている洗浄液38の吸引を行ってもよい。
図6の(b)に示すように、洗浄用ノズル31は、搬送ベルト11に付着している撥液剤28に対し全体的に洗浄液38を噴霧する。また、スクレーパ41は、搬送ベルト11に付着し洗浄液38が噴霧された撥液剤28を先端部41aではがし取り吸引する。また、スクレーパ41は、洗浄用ノズル31から噴霧されている洗浄液38を吸引する。
そして、図6の(b)(c)に示すように、搬送ベルト11に付着した撥液剤28のうち、基板5の基板搬送方向上流側の縁部の基板搬送方向外側にはみ出していた撥液剤28が、洗浄液38の噴霧停止位置にくると、洗浄用ノズル制御部62からの指示により、洗浄用ノズル31は洗浄液38の噴霧を停止し、またX軸方向への移動も停止する。
また、洗浄用ノズル31が洗浄液38の噴霧を停止すると、スクレーパ制御部63からの指示により、スクレーパ41は吸引を停止し、また、X軸方向への移動も停止する。
これにより、搬送ベルト11に付着していた撥液剤28は、洗浄用ノズル31及びスクレーパ41によって除去される。
なお、ここでは、洗浄液38の噴霧停止位置は、洗浄用ノズル31の直下のY座標とする。
ここで、搬送ベルト11の表面を、例えば、メッキ処理する等により、シリコンウエハ程度平坦な材質でコーティングしておけば、洗浄液ではなく水を、ピール方向(上側の搬送ベルト11表面と平行な方向)から噴霧することでも、撥液剤28を搬送ベルト11から容易に剥離することができる。これは、撥液剤28としてマーベルコート等のフッ素系樹脂材料を用いた場合、上述したように、固化した撥液剤28と搬送ベルト11との密着は主に水素結合によってなされることになる。このため、撥液剤28と、被着体である搬送ベルト11との間に水分が侵入すると、水素分子により水素結合が切断され、容易に撥液剤28は剥離する。
しかし、搬送ベルト11をゴムで構成した場合、表面に微小な凹凸が形成されことになる。このため、この凹凸形状により、水素結合などと共にアンカー効果が発現し、水での剥離は難しく洗浄液38を使用する必要がある。
また、撥液剤28を搬送ベルト11から剥離するために、洗浄液38を用いるウェット洗浄では無く、ドライ洗浄を用いる方法を挙げることができる。
図10は、ドライ洗浄の各方法と原理及び特徴を表す図である。図10に示すように、ドライ洗浄の方法として、酸素(O2)プラズマを用いる方法、アルゴン(Ar)ガスを用いたプラズマによるスパッタ法、剥離対象を酸化させて分解するUV‐オゾンを用いる方法、又はレーザ照射により剥離対象を変質等させるレーザーを用いる方法等を挙げることができる。
しかし、これらのドライ洗浄方法では、何れも装置が大型化することになる。
一方、塗布装置1によると、撥液剤28を噴霧する吐出ヘッド21より、基板搬送方向下流側に、洗浄液38を噴霧する洗浄用ノズル31が配されている。そして、洗浄用ノズル31は、搬送ベルト11に付着した撥液剤28に向けて洗浄液38を噴霧する。これにより、ドライ洗浄方法のように、プラズマ発生装置等を設ける必要が無く、装置が大型化することを防止することができる。
さらに、搬送ベルト11の表面を、例えば、ポリテトラフルオロチレン(テフロン:登録商標)等のフッ素樹脂でコーティングしておくことで、撥液剤28を剥離し易くすることができる。
(LEDパッケージの製造方法)
次に、図7〜9を用いて、塗布装置1を用いたLEDパッケージの製造方法について説明する。
図7はLEDパッケージ50の各製造工程における基板の平面図であり(a)は撥液剤噴霧工程に投入される基板5のLEDチップ形成領域の平面を表し(b)はエッチング工程後の基板5のLEDチップ形成領域の平面を表している。図8はエッチング処理工程の様子を表す図である。図9はLEDパッケージを表す図であり(a)はLEDパッケージの断面を表し(b)はLEDパッケージの平面を表している。
なお、図7では、基板5のうち、LEDチップが配される領域近傍のみを表している。すなわち、基板5には、図7に示すLEDチップ形成領域がマトリクス状に複数配されている。
LEDパッケージ50は、主に、撥液剤噴霧工程、エッチング工程(撥液剤除去工程)、実装工程、封止樹脂形成工程を経て製造される。以下、順に説明する。
まず、図7の(a)に示すように、予め、基板表面であってLEDチップ形成領域に一対の電極51・51がパターン形成された基板5を準備する。基板5は、例えばセラミックからなる。一対の電極51・51は、一方がアノードとなり、他方がカソードとなる電極である。
撥液剤噴霧工程では、作業者又は装置が、塗布装置1の搬送ベルト11に基板5を載置する。そして、塗布装置1は、図5の(a)〜(c)を用いて説明したように、基板5の全面に撥液剤28を噴霧し、塗布装置1から払い出す。これにより、縁部分まで膜厚が均一となるように撥液剤28が塗布された基板5を得ることができる。
撥液剤28が噴霧された基板5を、オーブン等に入れ熱を加え、撥液剤28を固化する。これにより、基板全面に撥液剤28が成膜される。
この後、撥液剤28のうち不要部分である封止樹脂の形成領域を除去するエッチング工程へ基板5を搬送する。
エッチング工程では、図8に示すように、固化した撥液剤28の表面にエッチングマスク47を載置し、アルゴンガスを用いたプラズマ処理を行う。
エッチングマスク47には、基板5のうち、後に形成される封止樹脂の形成領域と対応する箇所には、レーザ加工等によって形成された開口部が設けられている。このため、基板5に成膜された撥液剤28のうち、エッチングマスク47の開口部と対応する領域はマスキングされず露出する。この表面が露出した撥液剤28にイオンをぶつけることで撥液剤28からスパッタ原子又は分子が飛び出し、これを繰り返すことでマスキングされていない箇所の撥液剤28が除去される。
これにより、図7の(b)に示すように、基板5に成膜された撥液剤28のうち、不要部分である、封止樹脂の形成領域が除去されることで撥液剤28に開口部28aが形成された基板5を得る。
次に、図9に示すように、実装工程にて、撥液剤28の開口部28a内、すなわち、基板5上であってLEDチップの形成領域にLEDチップ52を配し、LEDチップ52と、電極51・51とを、金(Au)からなるワイヤ53で接続する。これにより、LEDチップ52が基板5上のLEDチップの形成領域内に実装される。なお、基板5のうち、一つのLEDチップ形成領域に実装されるLEDチップ52の個数は特に限定されるものではない。図9に示すように2個であってもよいし、1又は3個以上であってもよい。
そして、LEDチップが実装された基板5は、次に、封止樹脂形成工程に搬送される。封止樹脂形成工程では、撥液剤28の開口部28a内、すなわち、基板5上であってLEDチップの形成領域にLEDチップ52及びワイヤ53を覆うように第1封止樹脂54を塗布する。第1封止樹脂54は、例えばシリコーン等の透明樹脂に、LEDチップ52の発光色により励起され発光する蛍光体を分散させた樹脂材料からなる。
基板5のうち、LEDチップの形成領域の周囲に配されている撥液剤28は、第1封止樹脂54に対し撥液性を有する。
このため、撥液剤28の開口部28a内に、第1封止樹脂54を塗布すると、第1封止樹脂54は、開口部28a内の基板5の表面に拡がり、開口部28aの撥液剤28の内側面(内壁面)や表面と接する。そして、撥液剤28は撥液性により第1封止樹脂54の拡がりを食い止める(堰き止める)。この結果、第1封止樹脂54の表面張力により第1封止樹脂54は略半球または略扁球形状となる。
次に、第1封止樹脂54に熱を加えることで固化した後、さらに、蛍光体が含有されておらずシリコーン等の透明樹脂からなる第2封止樹脂55を、第1封止樹脂54上に塗布する。そして、第2封止樹脂55に熱を加えることで固化する。
これにより、封止樹脂であり略半球または略扁球形状の第1封止樹脂54及び第2封止樹脂55によってLEDチップ52が封止されたLEDパッケージ50が完成する。
LEDパッケージ50では、基板5の縁部まで撥液剤28の膜厚が均一に形成されているため、基板5面内における第1封止樹脂54及び第2封止樹脂55の形状のバラつきを防止することができる。このため、LEDパッケージ50によると、第1封止樹脂54及び第2封止樹脂55の形状のバラつきに伴う各LEDチップの形成領域からの発光色の色バラつきを防止することができる。
LEDパッケージ50では、第1封止樹脂54に、LEDチップ52の光により励起され発光する蛍光体が含有されているため、LEDチップ52の発光色に別の色の光を混色させ、白色等の所望の色の光を得ることができる。
また、LEDパッケージ50では、LEDチップ52を封止する封止樹脂が第1封止樹脂54と第2封止樹脂55との2層構造となっており、外側の第2封止樹脂55には蛍光体が含有されていない。このため、高価な蛍光体の使用量を抑え、コスト増加を防止することができる。
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、図11〜図13に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図11及び図12を用いて塗布装置2の構成について説明する。図11は、実施形態2の塗布装置2の構成を表す斜視図である。図12は吐出パターン検出装置71の構成を表すブロック図である。
塗布装置2は、カメラ(位置検出センサ)70及び吐出パターン検出装置71を備えている点で、塗布装置1と相違する。塗布装置2の他の構成は塗布装置1と同様である。
吐出パターン検出装置71は、吐出パターン検出装置制御部72、二値化処理部73、縁部検出部74、縁部幅算出部75、判定部76、記憶装置77、表示装置78および警告装置(警告手段)79を備えている。
カメラ70は搬送ベルト11の上方に配されている。カメラ70は、吐出ヘッド21と並んで配されており、支持部22に固定されている。カメラ70は、例えばCCD等の撮像素子を備えた撮像装置である。カメラ70は、吐出ヘッド21が基板5及び搬送ベルト11に噴霧した撥液剤28の全体を撮像し、画像データとして吐出パターン検出装置71へ出力する。
吐出パターン検出装置制御部72は、吐出パターン検出装置71の各部の動作を制御する。二値化処理部73は、カメラ70が得た撥液剤28の画像データを二値化し、二値化した画像データ(二値データ)に変換する。
縁部検出部74は、二値化処理部73が二値化した画像データから、搬送ベルト11上の撥液剤28のX軸方向に対向する両縁部のそれぞれを、画像の濃淡から検出し、当該画像データから上記検出した両縁部それぞれのX座標を得る。なお、縁部検出部74が、二値化した画像データから、搬送ベルト11上の撥液剤28のX軸方向に対向する両縁部を検出する方法は、種々の方法を用いることができる。
縁部幅算出部75は、縁部検出部74が得た搬送ベルト11上の撥液剤28の両縁部それぞれのX座標から、搬送ベルト11上の撥液剤28の両縁部の幅Wを算出するものである。
判定部76は、縁部幅算出部75が算出した、搬送ベルト11上の撥液剤28の両縁部の幅Wと、記憶装置77に予め記憶されている基板5のX軸方向の幅を比較する。そして、判定部76は、撥液剤28の両縁部の幅Wが、基板5のX軸方向の幅以下の場合は、警告装置79に警告指示を出力することで警告させる。
記憶装置77には、予め、基板5のX軸方向の幅が記憶されている。また、記憶装置77は、カメラ70から吐出パターン検出装置制御部72に出力された画像データ、二値化処理部73が二値化した画像データ、縁部検出部74が得た撥液剤28の両縁部それぞれのX座標、縁部幅算出部75が算出した撥液剤28の両縁部の幅W、判定部76が行った撥液剤28の両縁部の幅Wと基板5のX軸方向の幅との比較結果などを適宜記憶する。
表示装置78は、例えば液晶ディスプレイからなり、吐出パターン検出装置制御部72からの指示により各種情報を表示する。警告装置79は、判定部76から警告指示を取得すると警告を行う。
次に、図11〜図13を用いて塗布装置2の動作について説明する。図13は、塗布装置2の動作を表すフローチャートである。
カメラ70は、吐出ヘッド21が、基板5上及び基板5からはみ出して搬送ベルト11上に噴霧した撥液剤28の吐出パターンを撮像する。カメラ70は、基板5からはみ出し搬送ベルト11上に噴霧された撥液剤28のX軸方向に対向する両縁部を含むように、撥液剤28の吐出パターンを撮像する。カメラ70は撮像して得られた画像データを逐次、吐出パターン検出装置制御部72に出力する。
吐出パターン検出装置制御部72は、カメラ70から上記画像データを取得する(ステップS11)。次に、二値化処理部73は、吐出パターン検出装置制御部72が取得した上記画像データを二値化する(ステップS12)。そして、縁部検出部74は、二値化処理部73が二値化した画像データから、搬送ベルト11上の撥液剤28のX軸方向に対向する両縁部を検出し、当該画像データから上記検出した両縁部それぞれのX座標を得る(ステップS13)。
次に、縁部幅算出部75は、縁部検出部74が得た搬送ベルト11上の撥液剤28の両縁部それぞれのX座標から、搬送ベルト11上の撥液剤28の両縁部の幅Wを算出する(ステップS14)。
判定部76は、縁部幅算出部75が算出した、搬送ベルト11上の撥液剤28の両縁部の幅Wと、記憶装置77に予め記憶されている基板5のX軸方向の幅とを比較する(ステップS15)。
ステップS15において、判定部76が幅Wと基板5の幅とを比較した結果、搬送ベルト11上の撥液剤28の両縁部の幅Wが、基板5のX軸方向の幅より大きい場合(ステップS15のYES)、判定部76は幅Wが適正であると判定し(ステップS16)、処理は終了する。この場合、警告装置79による警告は行われない。
一方、ステップS15において、判定部76が幅Wと基板5の幅とを比較した結果、搬送ベルト11上の撥液剤28の両縁部の幅Wが、基板5のX軸方向の幅以下の場合(ステップS15のNO)、判定部76は幅Wが適正ではない判定し(ステップS17)、判定部76は警告装置79に警告指示を出力する。警告装置79は、判定部76から警告指示を取得すると警告を行う(ステップS38)。
警告装置79により警告を受けた場合、作業者は、撥液剤の吐出パターンが適正となるように吐出ヘッド21の調整を行う。すなわち、作業者は、吐出ヘッド21の高さ位置を調整したり、空気供給部26から供給される空気圧を調整したり、ポンプ25が供給する空気圧を調整したりすることで吐出ヘッド21が噴霧する撥液剤28の噴霧角度を調整する。また、吐出ヘッド21のX軸方向の可動範囲を調整する。
また、判定部76は、幅Wが基板5の幅より大きくなるように、吐出ヘッド21の撥液剤28の噴霧形状や可動範囲についての調整項目および調整内容を求め、表示装置78に表示するようにしてもよい。
また、判定部76が求めた調整項目および調整内容から、吐出ヘッド制御部61が吐出ヘッド21の撥液剤28の噴霧形状や、吐出ヘッド21が移動するX座標の範囲を調整するようにしてもよい。
さらに、ステップS14で縁部幅算出部75が得た搬送ベルト11上の撥液剤28の両縁部のそれぞれのX座標から、洗浄用ノズル制御部62は、洗浄用ノズル31が移動するX座標の範囲や、洗浄液38の噴霧量又は噴霧形状を調整してもよい。これにより、効率的に、搬送ベルト11に付着した撥液剤28だけに洗浄液38を噴霧するようにすることで洗浄液38の使用量を低減することができる。
さらに、ステップS14で縁部幅算出部75が得た搬送ベルト11上の撥液剤28の両縁部のそれぞれのX座標から、スクレーパ制御部63は、スクレーパ41が移動するX座標の範囲や吸引量を調整してもよい。これにより、効率的に、搬送ベルト11に付着した撥液剤28を剥離したり、洗浄用ノズル31が噴霧した洗浄液38を吸引したりすることができる。
このように、塗布装置2は、搬送ベルト11の上方に配されており、搬送ベルト11に付着した撥液剤28の縁部の位置を検出するためのカメラ70を備えているため、吐出ヘッド21が噴霧する撥液剤28の基板5に対する位置が適切か否かを、作業者、又は塗布装置2が判定することができる。
〔実施の形態3〕
塗布装置2の制御ブロック(吐出ヘッド制御部61、洗浄用ノズル制御部62、スクレーパ制御部63、二値化処理部73、縁部検出部74、縁部幅算出部75、及び判定部76)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、塗布装置2は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る塗布装置は、載置された基板を搬送する搬送部と、上記基板に成膜される機能性膜となる機能性液体を、上記基板の縁部からはみ出し上記搬送部にも付着するように上記基板の全面に塗布する第1塗布部と、上記機能性液体が全面に塗布された上記基板を上記搬送部が当該搬送部外へ排出した後、上記搬送部を洗浄するための洗浄液を、上記機能性液体が付着した上記搬送部に塗布する第2塗布部とを備えている。
本発明の態様8に係る塗布方法は、搬送部に載置された基板を搬送するステップと、上記基板に成膜される機能性膜となる機能性液体を、上記基板の縁部からはみ出し上記搬送部にも付着するように上記基板の全面に塗布する第1塗布ステップと、上記機能性液体が全面に塗布された上記基板を上記搬送部が当該搬送部外へ排出する排出ステップと、上記排出ステップの後、上記搬送部を洗浄するための洗浄液を、上記機能性液体が付着した上記搬送部に塗布する第2塗布ステップとを有する。
上記構成によると、上記第1塗布部は、上記機能性液体を、上記基板の縁部からはみ出し上記搬送部にも付着するように上記基板の全面に塗布する。これにより、上記基板の縁部まで厚みが均一となるように、上記機能性液体を上記基板の全面に塗布することができる。
そして、上記第2塗布部は、上記機能性液体が全面に塗布された上記基板を上記搬送部が当該搬送部外へ排出した後、上記洗浄液を、上記機能性液体が付着した上記搬送部に塗布する。これにより、上記搬送部に付着した機能性液体を除去することができる。このため、予め、基板の縁部に沿う機能性液体受けを設けておいたり、上記搬送部が浸漬する大きさの洗浄槽に洗浄液を貯留させておく必要がなく、装置を小型化することができる。そして、上記第2塗布部は、必要なときに、上記洗浄液を上記搬送部に付着した機能性液体に塗布するため、洗浄液の使用量を抑えることができる。
本発明の態様2に係る塗布装置は、先端が上記搬送部と接触するように配され、上記搬送部と相対移動することで、上記搬送部に付着した機能性液体を上記搬送部から剥離する剥離部をさらに備えている。上記構成によると、上記剥離部により、上記搬送部に付着した機能性液体を確実に除去することができる。
本発明の態様3に係る塗布装置では、上記剥離部の先端に、上記搬送部に付着した上記機能性液体を吸引するための吸引口が設けられている。上記構成によると、上記剥離部は、上記搬送部から剥離した上記機能性液体を上記吸引口から吸引することができる。これにより、装置のメンテナンスのしやすさを向上させることができる。
本発明の態様4に係る塗布装置は、上記搬送部の上方に配されており、上記搬送部に付着した機能性液体の縁部の位置を検出するための位置検出センサをさらに備えている。上記構成によると、上記第1塗布部が塗布する機能性液体の上記基板に対する位置が適切か否かを判定することができる。
本発明の態様5に係る塗布装置では、上記搬送部は、上記基板を載置するためのベルトを有し、上記ベルトのうち、上記基板を搬送する方向である基板搬送方向の下流側の端部は下方へ折り返されており、上記剥離部の先端は、上記ベルトのうち、上記端部と接触している。
上記構成によると、上記剥離部の先端は、上記ベルトのうち、上記下方に折り返された端部と接触している。これにより、上記搬送部に付着していた機能性液体は、上記剥離部の先端に剥離された後、下方へ落下する。このため、剥離された機能性液体の上記搬送部への再付着を防止することができる。
本発明の態様6に係る塗布装置では、上記ベルトの上記端部の下方に配された容器をさらに備え、上記第2塗布部は、上記端部の上方側から上記端部に向けて上記洗浄液を塗布する。
上記構成によると、上記第2塗布部から塗布された洗浄液は、上記搬送部に付着していた機能性液体と共に、上記容器へ貯留される。これにより、メンテナンスがしやすい装置を得ることができる。
本発明の態様7に係る塗布装置では、上記ベルトの表面はフッ素樹脂により覆われていてもよい。これにより、上記機能性液体を剥離しやすくすることができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。