JP6157857B2 - 放射性廃棄物の固化処理方法 - Google Patents
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Description
これら汚染水は、汚染水浄化システムにおいて浄化されたのちに、再び原子炉を冷却するために注入される(循環注水冷却方式)。
汚染水に多量に存在する放射性セシウムの除去方法としては、高効率でセシウムを吸着することができる吸着剤を使用している。
このような無機系吸着剤によって放射性セシウムを吸着除去する処理を実行した後には、放射性セシウムを高濃度で含有した使用済み無機吸着剤が多量に発生する。
また、これら使用済み吸着剤は、粒径が細かいため、取り扱い時の飛散等を抑制する必要もある。
このために、現時点における方針は未定であるが、中間保管に向けて使用済み吸着剤を固化体にして安定化する必要性に迫られることが予想される。
因みに、1200℃で3時間加熱保持した場合、無機吸着剤に吸着させたセシウムの揮発率が0.02〜0.22%であるといった報告例がある。
この場合、排ガスの処理システムの負荷が高まる恐れがあるために、放射性セシウムを吸着させた吸着剤を焼成固化する際には、セシウムの揮発をできるだけ抑制することが望まれる。
ライトを主成分とする吸着剤を回収する工程と、前記回収した吸着剤に水酸化ナトリウムを溶融助剤として配合する工程と、前記溶融助剤の配合された吸着剤を溶融するまで加熱する工程と、前記溶融体を冷却固化させて一体化する工程と、を含むことを特徴とする。
放射性廃棄物の固化処理方法において、放射性核種を吸着させた、チャバサイト系ゼオライト又は結晶性ケイチタン酸塩を主成分とする吸着剤を回収する工程と、前記回収した吸着剤にホウ酸ナトリウムを溶融助剤として配合する工程と、前記溶融助剤の配合された吸着剤を1000℃〜1100℃の範囲における任意の温度で溶融するまで加熱する工程と、前記溶融体を冷却固化させて一体化する工程と、を含むことを特徴とする。
放射性廃棄物の固化処理方法において、放射性核種を吸着させた、チャバサイト系ゼオライトを主成分とする吸着剤を回収する工程と、前記回収した吸着剤に炭酸ナトリウムとホウ酸ナトリウムとの混合物を溶融助剤として配合する工程と、前記溶融助剤の配合された吸着剤を溶融するまで加熱する工程と、前記溶融体を冷却固化させて一体化する工程と、を含むことを特徴とする。
図1に示すように、実施形態に係る放射性廃棄物の固化処理方法は、放射性核種を吸着させた吸着剤(使用済み吸着剤)を回収する工程(S11)と、この回収した吸着剤にNa化合物もしくはNa−B化合物またはこれらの混合物を溶融助剤として配合する工程(S12)と、この溶融助剤の配合された吸着剤を溶融するまで加熱する工程(S13)と、この溶融体を冷却固化させて一体化する工程(S14)と、を含んでいる。
これら放射性核種のうち137Csは、半減期が約30年であり、強い放射線を放出するとともに生体に滞留して食物連鎖により濃縮され易い性質を有するために、比較的長期間に渡り生体に被ばく影響を与えることが懸念されている。
そして、溶融した核燃料から放出され続ける崩壊熱を除去するために、滞留する汚染水を外部に取り出して除熱・浄化した後に、再び原子炉圧力容器の内部に注水する冷却方式がとられる。
そのような吸着剤としては、チャバサイト系ゼオライト又は結晶性ケイチタン酸塩を主成分とするものが好適に用いられる。
また、これらに限定されることはなく、アルミケイ酸塩、クリノプチロライト、ハーシュライトといった放射性核種を吸着する性質を有するものであれば、吸着剤として用いることができる。
そして、放射性核種の吸着能の低下した吸着剤は、新しい吸着剤と交換された後に、使用済み無機吸着剤として最終処分される前に中間保管されることになる。
なお溶融助剤は、これら化合物に限定されることはなく、吸着剤に配合させて加熱することにより、吸着剤を固有の融点よりも低温で溶融させるものであれば適宜用いることができる。
900℃よりも低温であると、吸着剤の溶融が不充分となり、全体としての一体化が不完全となる。
1000℃よりも高温であると、使用済みの吸着剤に吸着されている放射性セシウムの揮発量が増加してしまう。
この試験結果は、吸着剤としてチャバサイト系ゼオライト及び結晶性ケイチタン酸塩を主成分とするものそれぞれ約10g秤量後、これをアルミナ製のるつぼに投入し、所定の溶融助剤を添加後、大気雰囲気下で900℃、1000℃、1100℃で3時間加熱したのちに得られる固化物の性状について示している。
この条件で得られる固化物の密度は、900℃、1000℃いずれの温度条件においても2.1g/cm3であった。
なお、この密度値はチャバサイト系ゼオライト吸着剤のかさ密度よりも大きいことから、この条件により得られる固化物は、充分な減容性能を有しているといえる。
一方、この条件のうち溶融助剤としてのNaOHを6gから3gに減量すると、吸着剤に有意な空隙が観察され、一体化した固体物が得られなかった。
この条件で得られる固化物の密度は、1000℃、1100℃いずれの温度条件においても1.7g/cm3であった。
なお、この密度値はチャバサイト系ゼオライト吸着剤のかさ密度とほぼ同等である。
一方、この条件のうち加熱温度を1000℃から900℃に下げると、吸着剤に有意な空隙が観察され、一体化した固体物が得られなかった。
この条件で得られる固化物の密度は、2.6g/cm3であった。
なお、この密度値はチャバサイト系ゼオライト吸着剤のかさ密度よりも大きいことから、この条件により得られる固化物は、充分な減容性能を有しているといえる。
この条件で得られる固化物の密度は、1000℃、1100℃いずれの温度条件においても2.2g/cm3であった。
なお、この密度値は結晶性ケイチタン酸塩吸着剤のかさ密度よりも大きいことから、この条件により得られる固化物は、充分な減容性能を有しているといえる。
一方、この条件のうち加熱温度を1000℃から900℃に下げると、吸着剤に有意な空隙が観察され、一体化した固体物が得られなかった。
また、実施した加熱温度の条件であれば、放射性セシウムの揮発を充分に抑制することができ、排ガス設備を過剰に設ける必要がない。
さらに、溶融処理によって得られる固化物は含水率がほぼゼロであることから、保管期間中に水分が放射性分解することはなく、水素が発生することがない。
この乾燥させた吸着剤は、計量部13aで所定量が計量されて、撹拌部14に移送される。
溶融助剤蓄積部12に蓄積される溶融助剤は、計量部13bで所定量が計量されて、撹拌部14に移送される。
加熱部15の構成材料は設定温度範囲で顕著な腐食が生じない材料であればよく、たとえばアルミナ系材料を適用することができる。
なお加熱部15には、セシウム捕集フィルタ18(一例としてバグフィルタなど)を設けた排気機構19が接続されている。
また、撹拌部14と加熱部15とを一体化して構成することも考えられる。
保管容器16としては、高レベル放射性廃棄物用として一般に用いられているガラス固化体の保管容器(内径430mm×高さ1340mm)と同等サイズ・同等形状の容器が想定されるが、特に限定はない。
このように、収容された吸着剤及び溶融助剤の配合体が冷却固化して一体化した後は、保管容器16の開口に蓋をして溶接又はボルト固定により密閉する。
これにより、放射性廃棄物をより安定的に閉じ込めることができる。
この場合、配合体は溶融すると減容するために、吸着剤及び溶融助剤の直接配合・加熱・冷却のサイクルを繰り返すことにより、保管容器16の内部全体をガラス状の一体化固形物で充填させることができる。
Claims (4)
- 放射性核種を吸着させた、チャバサイト系ゼオライトを主成分とする吸着剤を回収する工程と、
前記回収した吸着剤に水酸化ナトリウムを溶融助剤として配合する工程と、
前記溶融助剤の配合された吸着剤を溶融するまで加熱する工程と、
前記溶融体を冷却固化させて一体化する工程と、を含むことを特徴とする放射性廃棄物の固化処理方法。 - 放射性核種を吸着させた、チャバサイト系ゼオライト又は結晶性ケイチタン酸塩を主成分とする吸着剤を回収する工程と、
前記回収した吸着剤にホウ酸ナトリウムを溶融助剤として配合する工程と、
前記溶融助剤の配合された吸着剤を1000℃〜1100℃の範囲における任意の温度で溶融するまで加熱する工程と、
前記溶融体を冷却固化させて一体化する工程と、を含むことを特徴とする放射性廃棄物の固化処理方法。 - 放射性核種を吸着させた、チャバサイト系ゼオライトを主成分とする吸着剤を回収する工程と、
前記回収した吸着剤に炭酸ナトリウムとホウ酸ナトリウムとの混合物を溶融助剤として配合する工程と、
前記溶融助剤の配合された吸着剤を溶融するまで加熱する工程と、
前記溶融体を冷却固化させて一体化する工程と、を含むことを特徴とする放射性廃棄物の固化処理方法。 - 前記加熱は、900℃〜1000℃の範囲における任意の温度で実施される請求項1又は請求項3に記載の放射性廃棄物の処理方法。
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