JP6156038B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
GaN、AlN、InN及びその混晶に代表される窒化物半導体は、その優れた材料特性から高出力電子デバイスや短波長発光デバイスとして非常に注目を浴びている。例えば高出力電子デバイスとして、電界効果トランジスタ、特に高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor:HEMT)についての報告が数多くなされている。HEMTは、高出力・高効率増幅器や、大電力スイッチングデバイス等のアプリケーションが考えられる。また、例えばショットキーバリアダイオード(Schottky Barrier Diode:SBD)等の2端子デバイスの研究も進められている。
特開2007−134456号公報 特開平1−261871号公報
HEMTにおけるゲート電極の形成工程は、デバイス特性を決定する重要なプロセスとして位置付けられる。特に、前工程によるプロセス残渣やプロセスダメージに起因した界面準位は、ゲートリーク電流やヒステリシス特性の原因となり、特性劣化及び信頼性低下を抑制するために、できるだけ低減されることが好ましい。また、SBDにおいても、ショットキー接合を有するアノード電極の形成工程は、HEMTのゲート電極の形成工程と同様の理由により重要なプロセスと位置付けられる。
HEMTにおいては、いわゆるエンハンスメント型(E-mode)トランジスタと、ディプレッション型(D-mode)トランジスタがある。E-modeトランジスタでは、ゲート電極として仕事関数の低い金属(Ti,Ta等)を用いることが有利である。D-modeトランジスタでは、ゲート電極として仕事関数の高い金属(Ni,Pt,Cu等)を用いることが有利である。
SBDにおいては、アノード電極には低いターンオン電圧が求められるため、仕事関数の低い金属(Ti,Al等)を用いることが必要である。
仕事関数の低い金属であるTi等は、通常スパッタ法により堆積されるところ、GaNやAlGaN等の化合物半導体層上に堆積する場合にその表面のスパッタによるダメージが大きい。このダメージにより、上記と同様に界面準位に起因した特性劣化及び信頼性劣化の問題が生じるという問題がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、電極と半導体層との界面準位の発生を容易且つ確実に抑止して、優れたデバイス特性を有する信頼性の高い半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
半導体装置の製造方法の一態様は、半導体層の上方に、開口を有する絶縁膜を形成する工程と、前記開口を埋め込むように、前記絶縁膜上に第1金属を堆積する工程と、前記第1金属上の前記開口の上方に位置整合する部位のみに、前記第1金属よりも仕事関数が低い金属である第2金属を形成する工程と、前記第1金属を加工して、前記第2金属下に前記開口を前記第1金属で埋め込む金属層を形成する工程と、前記第2金属の融点よりも低い温度で熱処理を行い、下層部分に前記第2金属が析出してなる第1電極を形成する工程とを含む。
半導体装置の製造方法の一態様は、半導体層の上方において、第1領域には第1開口を、第2領域には第2開口をそれぞれ有する絶縁膜を形成する工程と、前記第1開口及び前記第2開口を埋め込むように、前記絶縁膜上に第1金属を堆積する工程と、前記第1金属上の前記第1開口の上方に位置整合する部位のみに、前記第1金属よりも仕事関数が低い金属である第2金属を形成する工程と、前記第1金属を加工して、前記第1領域には前記第2金属下で前記第1開口を前記第1金属で埋め込む第1金属層を、前記第2領域には前記第2開口を前記第1金属で埋め込む第2金属層を形成する工程と、前記半導体層の上方において、前記第1領域には第3金属の第3金属層を、前記第2領域には前記第3金属の第4金属層を形成する工程と、前記第2金属の融点よりも低い温度で熱処理を行い、前記第1領域には、前記第1金属層の下層部分に前記第2金属が析出してなる第1ショットキー電極、及び前記第3金属層が前記半導体層とオーミック接触してなる第1オーミック電極を、前記第2領域には、前記第2金属層の第2ショットキー電極、及び前記第4金属層が前記半導体層とオーミック接触してなる第2オーミック電極を形成する工程とを含む。
上記の各態様によれば、電極と半導体層との界面準位の発生を容易且つ確実に抑止して、優れたデバイス特性を有する信頼性の高い半導体装置が実現する。
第1の実施形態による化合物半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。 図1に引き続き、第1の実施形態による化合物半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。 第2の実施形態による化合物半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。 図3に引き続き、第2の実施形態による化合物半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。 図4に引き続き、第2の実施形態による化合物半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。 第3の実施形態による化合物半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。 図6に引き続き、第3の実施形態による化合物半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。 図7に引き続き、第3の実施形態による化合物半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。 第4の実施形態による化合物半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。 図9に引き続き、第4の実施形態による化合物半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。 第5の実施形態による化合物半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。 図11に引き続き、第5の実施形態による化合物半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。 第5の実施形態により作製された化合物半導体装置について、ゲート−ソース間電圧(Vgs)とドレイン電流(Id)との関係を示す特性図である。 第6の実施形態による化合物半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。 図14に引き続き、第6の実施形態による化合物半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。 第7の実施形態による化合物半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。 図16に引き続き、第7の実施形態による化合物半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。 図17に引き続き、第7の実施形態による化合物半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。 第8の実施形態による電源装置の概略構成を示す結線図である。 第9の実施形態による高周波増幅器の概略構成を示す結線図である。
以下、化合物半導体装置の諸態様について、その製造方法と共に図面を用いて詳細に説明する。
なお、以下の図面において、図示の便宜上、相対的に正確な大きさ及び厚みに示していない構成部材がある。
また、以下の諸実施形態において、各素子構造を画定するための素子分離工程を適宜行うが、具体的な記載は省略する。素子分離工程では、化合物半導体積層構造の素子分離領域にアルゴン(Ar)等を注入したり、STI(Shallow Trench Isolation)法を用いたりして素子分離を行う。
(第1の実施形態)
本実施形態では、化合物半導体装置として、AlGaN/GaN・HEMT及びAlGaN/GaN・SBDが同一基板に集積されたデバイスを開示する。
図1〜図2は、第1の実施形態による化合物半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
先ず、図1(a)に示すように、成長用基板として例えば半絶縁性のSiC基板1上に、化合物半導体積層構造2を形成する。成長用基板としては、SiC基板の代わりに、Si基板、サファイア基板、GaAs基板、GaN基板等を用いても良い。また、基板の導電性としては、半絶縁性、導電性を問わない。
化合物半導体積層構造2は、バッファ層2a、電子走行層2b、中間層2c、及び電子供給層2dを有して構成される。
AlGaN/GaN・HEMTでは、その動作時において、電子走行層2bの電子供給層2d(正確には中間層2c)との界面近傍に2次元電子ガス(2DEG)が発生する。この2DEGは、電子走行層2bの化合物半導体(ここではGaN)と電子供給層2dの化合物半導体(ここではAlGaN)との格子定数の相違に基づいて生成される。
詳細には、SiC基板1上に、例えば有機金属気相成長(MOVPE:Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)法により、以下の各化合物半導体を成長する。MOVPE法の代わりに、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法等を用いても良い。
SiC基板1上に、AlNを200nm程度の厚みに、i(インテンショナリ・アンドープ)−GaNを3μm程度の厚みに、i−AlGaNを5nm程度の厚みに、n−AlGaNを30nm程度の厚みに順次成長する。これにより、バッファ層2a、電子走行層2b、中間層2c、及び電子供給層2dが形成される。バッファ層2aとしては、AlNの代わりにAlGaNを用いたり、低温成長でGaNを成長するようにしても良い。
AlNの成長条件としては、原料ガスとしてトリメチルアルミニウム(TMAl)ガス及びアンモニア(NH3)ガスの混合ガスを用いる。GaNの成長条件としては、原料ガスとしてトリメチルガリウム(TMGa)ガス及びNH3ガスの混合ガスを用いる。AlGaNの成長条件としては、原料ガスとしてTMAlガス、TMGaガス、及びNH3ガスの混合ガスを用いる。成長する化合物半導体層に応じて、Al源であるTMAlガス、Ga源であるTMGaガスの供給の有無及び流量を適宜設定する。共通原料であるNH3ガスの流量は、100ccm〜10LM程度とする。また、成長圧力は50Torr〜300Torr程度、成長温度は1000℃〜1200℃程度とする。
電子供給層2dのAlGaNをn型として成長する際には、n型不純物として例えばSiを含む例えばSiH4ガスを所定の流量で原料ガスに添加し、GaN及びAlGaNにSiをドーピングする。Siのドーピング濃度は、1×1018/cm3程度〜1×1020/cm3程度、例えば5×1018/cm3程度とする。
続いて、図1(b)に示すように、HEMT側にはゲート電極3Aを、SBD側には電極層3aを同時形成する。
詳細には、先ず、化合物半導体積層構造2の表面を、有機溶剤又は酸・アルカリ等を用いて充分に洗浄する。この化合物半導体積層構造2の表面の洗浄処理により、界面準位の極めて少ない良好な表面(後述する各種電極との界面となる)を得ることができる。
次に、ゲート電極及び電極層を形成するためのレジストマスクを形成する。レジストを化合物半導体積層構造2上に塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、HEMT側でゲート電極の形成予定部位を、SBD側でアノード電極の形成予定部位をそれぞれ露出する各開口を形成する。以上により、当該各開口を有するレジストマスクが形成される。
本実施形態では、ゲート電極及び電極層の材料として、仕事関数の高い金属であるNi,Pt,Cu等を含有する材料(第1金属)を用いる。ここでは、Ni/Au(Niが下層でAuが上層)を第1金属として例示する。
上記のレジストマスクを用いて、第1金属としてNi/Auを、例えば蒸着法により、化合物半導体積層構造2の表面を露出する各開口内を含むレジストマスク上に堆積する。Niの厚みは30nm程度、Auの厚みは400nm程度とする。リフトオフ法により、レジストマスク及びその上に堆積したNi/Auを除去する。以上により、HEMT側にはショットキー電極であるゲート電極3Aが、SBD側には電極層3aが同時形成される。
レジストマスクは、所定の薬液を用いたウェット処理又は酸素プラズマを用いたアッシング処理により、除去される。
続いて、図1(c)に示すように、SBD側の電極層3a上のみに上層部分3bを形成する。
詳細には、先ず、上層部分を形成するためのレジストマスクを形成する。レジストを全面に塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、SBD側で電極層3aの上面のみを露出する開口を形成する。以上により、当該開口を有するレジストマスクが形成される。
本実施形態では、上層部分の材料として、第1金属よりも仕事関数の低い高融点金属であるTi,Mo,Ta,W等を含有する材料(第2金属)を用いる。ここでは、Tiを第2金属として例示する。
上記のレジストマスクを用いて、第2金属としてTiを、例えば蒸着法により、電極層3aの上面を露出する開口内を含むレジストマスク上に堆積する。Tiの厚みは30nm程度とする。リフトオフ法により、レジストマスク及びその上に堆積したTiを除去する。以上により、SBD側の電極層3a上のみにキャップ層となる上層部分3bが形成される。
レジストマスクは、所定の薬液を用いたウェット処理又は酸素プラズマを用いたアッシング処理により、除去される。
続いて、図2(a)に示すように、HEMT側にはソース電極4A及びドレイン電極4Bを、SBD側にはカソード電極4Cを同時形成する。
詳細には、先ず、ソース電極4A及びドレイン電極4B、並びにカソード電極4Cを形成するためのレジストマスクを形成する。レジストを化合物半導体積層構造2の全面に塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、HEMT側でソース電極及びドレイン電極の形成予定部位を、SBD側でカソード電極の形成予定部位をそれぞれ露出する各開口を形成する。以上により、当該各開口を有するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、電極材料として、例えばTa/Al(Taが下層でAlが上層)を、例えば蒸着法により、各開口内を含むレジストマスク上に堆積する。Taの厚みは20nm程度、Alの厚みは200nm程度とする。リフトオフ法により、レジストマスク及びその上に堆積したTa/Alを除去する。以上により、HEMT側にはソース電極4A及びドレイン電極4Bが、SBD側にはカソード電極4Cが形成される。
レジストマスクは、所定の薬液を用いたウェット処理又は酸素プラズマを用いたアッシング処理により、除去される。
続いて、図2(b)に示すように、パッシベーション膜5を形成する。
詳細には、化合物半導体積層構造2の全面に絶縁膜、例えばSiNをプラズマCVD法等により2nm程度〜200nm程度の厚みに堆積する。これにより、パッシベーション膜5が形成される。
続いて、図2(c)に示すように、SiC基板1を熱処理する。
詳細には、窒素雰囲気中において、第2金属である高融点金属、ここではTiの融点よりも低い温度、好ましくは400℃程度〜1000℃程度の温度、例えば550℃程度でSiC基板1を熱処理(アニール処理)する。この熱処理により、HEMT側ではソース電極4A及びドレイン電極4Bについて、SBD側ではカソード電極4Cについて、それぞれ電子供給層2dとのオーミックコンタクトが確立し、それぞれオーミック電極となる。それと共に、当該熱処理により、SBD側で上層部分3bのTiが電極層3a内に下方拡散し、Tiが電子供給層2dのAlGaNと電極層3aのNiとの界面に析出して、下層部分3cが形成される。下層部分3cは、例えば1nm程度〜2nm程度の厚みに形成される。電極層3aと上層部分3b及び下層部分3cとにより、ショットキー電極であるアノード電極3Bが形成される。
本実施形態では、Tiを熱拡散させてアノード電極3Bを形成するための熱処理を、ソース電極4A及びドレイン電極4B、並びにカソード電極4Cのオーミックコンタクトを得るための熱処理と兼ねて行う。これにより、アノード電極3Bを形成するための熱処理の工程を単独に設ける必要がなく、工程削減が実現する。
しかる後、層間絶縁膜の形成、ゲート電極3A、ソース電極4A、ドレイン電極4B、アノード電極3B、カソード電極4Cとそれぞれ接続される各配線の形等の諸工程を実行する。以上により、SiC基板1上に、AlGaN/GaN・HEMT及びAlGaN/GaN・SBDが集積されてなる化合物半導体装置が形成される。
本実施形態においては、低い仕事関数が必要な電極にのみ、Ti等の第2金属からなる上層部分を形成し、熱処理によりTi等を電極最下面に析出させる。これにより、異なる仕事関数、且つ界面準位の少ない良好な底面(化合物半導体積層構造との界面)を有する電極(本実施形態ではアノード電極3B)を形成することが可能となる。
特許文献1では、Si半導体デバイスの閾値電圧を作り分ける目的で、In等のSiへの拡散による仕事関数の低減を実現している。しかしながらこの場合、拡散させる金属としてIn,Ga,Tl等の低融点金属を用い、当該金属の融点以上の温度で熱処理を行う。本実施形態のような化合物半導体装置では、高温動作が可能であることを特徴としており、Inのような低融点金属がショットキー界面に存在すると、他の金属や半導体との反応による特性劣化及び信頼性低下の原因となる。そのため、特許文献1の技術は本実施形態には適用できない。
本実施形態では、特に化合物半導体装置への適用を考慮して、融点が高く、仕事関数が低く、融点よりも低温の熱処理による熱拡散が可能な金属材料を、好適な第2金属として選択すべく鋭意検討した。その結果、Ti,Mo,Ta,W等から選ばれた金属が第2金属として最も良好な金属材料であることを見出した。特にTiは、融点が1660℃程度と高く、仕事関数も約4.3eVと充分に低い。高仕事関数の第1金属として、GaN系トランジスタのゲート材料に広く用いられる例えばNi上にTiを堆積し、その融点より充分低い600℃程度の温度(本実施形態では550℃を例示した)で熱処理をする。これにより、TiがNi中に下方拡散し、Niの化合物半導体層との界面に選択的に析出することが把握された。この結果から、Tiのキャップ層の有無により、高仕事関数のNiの電極と低仕事関数のTiの電極との作り分けが可能であることが示された。母体の第1金属は、2種類の電極に共通する電極層として同時形成することができる。
本実施形態では、同一基板上に上記の2種類の電極を形成する場合に、化合物半導体層上にTi等を直接的に堆積することなく、例えばNi等の第1金属を蒸着法で堆積する。一方の電極については、第1金属で高仕事関数を実現する。他方の電極については、第1金属の上にTi等の第2金属を堆積した後、第1金属内に第2金属を拡散させ、実質的に低仕事関数を実現する。これにより、プロセス残渣やプロセスダメージのない良好な界面状態の化合物半導体層の表面に、同一工程を利用して可及的に少ない工程数で形成することが可能となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、各電極と化合物半導体層との界面準位の発生を容易且つ確実に抑止して、優れたデバイス特性を有する信頼性の高い化合物半導体装置が実現する。
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、化合物半導体装置として、AlGaN/GaN・HEMT及びAlGaN/GaN・SBDが同一基板に集積されたデバイスを開示するが、各電極の構成が異なる点で第1の実施形態と相違する。なお、第1の実施形態の構成部材等と同一のものについては、同符号を付して詳しい説明を省略する。
図3〜図5は、第2の実施形態による化合物半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、先ず図1(a)の工程を実行する。このとき、SiC基板1上に化合物半導体積層構造2が形成される。
続いて、図3(a)に示すように、絶縁膜11を形成する。
詳細には、先ず、化合物半導体積層構造2の表面を、有機溶剤又は酸・アルカリ等を用いて充分に洗浄する。この化合物半導体積層構造2の表面の洗浄処理により、界面準位の極めて少ない良好な表面(後述する各種電極との界面となる)を得ることができる。
次に、化合物半導体積層構造2の全面に、例えばSiNをプラズマCVD法等により100nm程度の厚みに堆積する。堆積したSiNの全面にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、HEMTのゲート電極の形成予定部位及びSBDのアノード電極の形成予定部位をそれぞれ露出する各開口を形成する。以上により、当該各開口を有するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、SiNをドライエッチングする。これにより、SiNには、HEMTのゲート電極の形成予定部位及びSBDのアノード電極の形成予定部位にそれぞれ化合物半導体積層構造2の表面を露出する開口が形成される。以上により、開口11a,11bを有する絶縁膜11が形成される。
レジストマスクは、所定の薬液を用いたウェット処理又は酸素プラズマを用いたアッシング処理により、除去される。
続いて、図3(b)に示すように、Ni/Au12を堆積する。
本実施形態では、ゲート電極及び電極層の材料として、仕事関数の高い金属であるNi,Pt,Cu等を含有する材料(第1金属)を用いる。ここでは、Ni/Au(Niが下層でAuが上層)を第1金属として例示する。
Ni/Au12を、例えばスパッタ法により、開口11a,11bを埋め込むように絶縁膜11上に堆積する。Niの厚みは30nm程度、Auの厚みは400nm程度とする。
続いて、図3(c)に示すように、開口11bの上方に位置整合する部位のみに上層部分13bを形成する。
本実施形態では、上層部分の材料として、第1金属よりも仕事関数の低い高融点金属であるTi,Mo,Ta,W等を含有する材料(第2金属)を用いる。ここでは、Tiを第2金属として例示する。
Tiを、例えばスパッタ法により、絶縁膜11上の全面に堆積する。Tiの厚みは30nm程度とする。堆積したTi上にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、SBD側の開口11bの上方に位置整合する部位を覆うようにレジストを残す。以上により、レジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、Tiをドライエッチングして除去する。以上により、SBD側の開口11bの上方に位置整合する部位のみにTiが残存し、キャップ層となる上層部分13bが形成される。
レジストマスクは、所定の薬液を用いたウェット処理又は酸素プラズマを用いたアッシング処理により、除去される。
続いて、図4(a)に示すように、HEMT側にはゲート電極13Aを、SBD側には電極層13aを同時形成する。
詳細には、ゲート電極及び電極層を形成するためのレジストマスクを形成する。レジストをNi/Au12及び上層部分13b上に塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、HEMT側でゲート電極の形成予定部位を、SBD側で上層部分13bをそれぞれ覆うようにレジストを残す。以上により、レジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、Ni/Au12をイオンミリング及びドライエッチングして除去する。以上により、HEMT側には残存したNi/Au12からなるゲート電極13Aが、SBD側には上層部分13b下に残存したNi/Au12からなる電極層13aが同時形成される。
レジストマスクは、所定の薬液を用いたウェット処理又は酸素プラズマを用いたアッシング処理により、除去される。
続いて、図4(b)に示すように、層間絶縁膜14を形成する。
詳細には、絶縁膜11の全面に絶縁膜、例えばSiO2をCVD法等により500nm程度の厚みに堆積する。これにより、層間絶縁膜14が形成される。
続いて、図4(c)に示すように、絶縁膜11及び層間絶縁膜14に開口15a,15b,15cを形成する。
詳細には、層間絶縁膜14の全面にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、HEMT側ではソース電極の形成予定部位及びドレイン電極の形成予定部位を、SBD側ではカソード電極の形成予定部位をそれぞれ露出する各開口を形成する。以上により、当該各開口を有するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、絶縁膜11及び層間絶縁膜14をドライエッチングする。これにより、絶縁膜11及び層間絶縁膜14において、HEMT側では、ソース電極の形成予定部位及びドレイン電極の形成予定部位に、化合物半導体積層構造2の表面を露出する開口15a,15bが形成される。SBD側では、カソード電極の形成予定部位に、化合物半導体積層構造2の表面を露出する開口15cが形成される。
レジストマスクは、所定の薬液を用いたウェット処理又は酸素プラズマを用いたアッシング処理により、除去される。
続いて、図5(a)に示すように、HEMT側にはソース電極15A及びドレイン電極15Bを、SBD側にはカソード電極15Cを同時形成する。
詳細には、先ず、電極材料として、例えばTi/Al(Tiが下層でAlが上層)を、例えばスパッタ法により、開口15a,15b,15c内を埋め込むように層間絶縁膜14上に堆積する。Tiの厚みは20nm程度、Alの厚みは200nm程度とする。
堆積したTi上にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、HEMT側では開口15aの上方及び開口15bの上方に置整合する部位のみに、SBD側では開口15cの上方に置整合する部位のみにレジストを残す。以上により、レジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、Ti/Alをドライエッチングして除去する。以上により、HEMT側にはソース電極15A及びドレイン電極15Bが、SBD側にはカソード電極15Cが形成される。
レジストマスクは、所定の薬液を用いたウェット処理又は酸素プラズマを用いたアッシング処理により、除去される。
続いて、図5(b)に示すように、SiC基板1を熱処理する。
詳細には、窒素雰囲気中において、第2金属である高融点金属、ここではTiの融点よりも低い温度、好ましくは400℃程度〜1000℃程度の温度、例えば650℃程度でSiC基板1を熱処理(アニール処理)する。この熱処理により、HEMT側ではソース電極15A及びドレイン電極15Bについて、SBD側ではカソード電極15Cについて、それぞれ電子供給層2dとのオーミックコンタクトが確立する。それと共に、当該熱処理により、SBD側で上層部分13bのTiが電極層13a内に下方拡散し、Tiが電子供給層2dのAlGaNと電極層13aのNiとの界面に析出して、下層部分13cが形成される。下層部分13cは、例えば1nm程度〜2nm程度の厚みに形成される。電極層13aと上層部分13b及び下層部分13cとにより、アノード電極13Bが形成される。
本実施形態では、Tiを熱拡散させてアノード電極13Bを形成するための熱処理を、ソース電極15A及びドレイン電極15B、並びにカソード電極15Cのオーミックコンタクトを得るための熱処理と兼ねて行う。これにより、アノード電極13Bを形成するための熱処理の工程を単独に設ける必要がなく、工程削減が実現する。
しかる後、層間絶縁膜の形成、ゲート電極13A、ソース電極15A、ドレイン電極15B、アノード電極13B、カソード電極15Cとそれぞれ接続される各配線の形等の諸工程を実行する。以上により、SiC基板1上に、AlGaN/GaN・HEMT及びAlGaN/GaN・SBDが集積されてなる化合物半導体装置が形成される。
本実施形態によれば、各電極と化合物半導体層との界面準位の発生を容易且つ確実に抑止して、優れたデバイス特性を有する信頼性の高い化合物半導体装置が実現する。
(第3の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、化合物半導体装置として、AlGaN/GaN・HEMT及びAlGaN/GaN・SBDが同一基板に集積されたデバイスを開示するが、化合物半導体積層構造がSBD側で異なる点で相違する。なお、第1の実施形態の構成部材等と同一のものについては、同符号を付して詳しい説明を省略する。
図6〜図8は、第3の実施形態による化合物半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
先ず、図6(a)に示すように、成長用基板として例えば半絶縁性のSiC基板1上に、化合物半導体積層構造21を形成する。成長用基板としては、SiC基板の代わりに、Si基板、サファイア基板、GaAs基板、GaN基板等を用いても良い。また、基板の導電性としては、半絶縁性、導電性を問わない。
化合物半導体積層構造21は、バッファ層21a、電子走行層21b、中間層21c、電子供給層21d、及びn−GaN層21eを有して構成される。
AlGaN/GaN・HEMTでは、その動作時において、電子走行層21bの電子供給層21d(正確には中間層21c)との界面近傍に2次元電子ガス(2DEG)が発生する。この2DEGは、電子走行層21bの化合物半導体(ここではGaN)と電子供給層21dの化合物半導体(ここではAlGaN)との格子定数の相違に基づいて生成される。
詳細には、SiC基板1上に、例えばMOVPE法により、以下の各化合物半導体を成長する。MOVPE法の代わりにMBE法等を用いても良い。
SiC基板1上に、AlNを200nm程度の厚みに、i(インテンショナリ・アンドープ)−GaNを3μm程度の厚みに、i−AlGaNを5nm程度の厚みに、n−AlGaNを30nm程度の厚みに、n−GaNを200nm程度の厚みに順次成長する。これにより、バッファ層21a、電子走行層21b、中間層21c、電子供給層21d、及びキャップ層21eが形成される。バッファ層21aとしては、AlNの代わりにAlGaNを用いたり、低温成長でGaNを成長するようにしても良い。
AlNの成長条件としては、原料ガスとしてTMAlガス及びNH3ガスの混合ガスを用いる。GaNの成長条件としては、原料ガスとしてTMGaガス及びNH3ガスの混合ガスを用いる。AlGaNの成長条件としては、原料ガスとしてTMAlガス、TMGaガス、及びNH3ガスの混合ガスを用いる。成長する化合物半導体層に応じて、Al源であるTMAlガス、Ga源であるTMGaガスの供給の有無及び流量を適宜設定する。共通原料であるNH3ガスの流量は、100ccm〜10LM程度とする。また、成長圧力は50Torr〜300Torr程度、成長温度は1000℃〜1200℃程度とする。
電子供給層21dのAlGaN及びn−GaN層21eをn型として成長する際には、n型不純物として例えばSiを含む例えばSiH4ガスを所定の流量で原料ガスに添加し、GaN及びAlGaNにSiをドーピングする。電子供給層21dにおけるSiのドーピング濃度は、1×1018/cm3程度〜1×1020/cm3程度、例えば5×1018/cm3程度とする。n−GaN層21eにおけるSiのドーピング濃度は、比較的低濃度、例えば2×1017/cm3程度とする。
続いて、図6(b)に示すように、n−GaN層21eを加工してSBD側のみに残す。
詳細には、n−GaN層21e上の全面にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、n−GaN層21eの表面でSBD側を覆いHEMT側を露出するレジストマスクを形成する。
このレジストマスクを用いて、n−GaN層21eをドライエッチングする。ドライエッチングには、塩素系のエッチングガスを用いる。n−GaN層21eは、HEMT側の部分が除去され、SBD側の部分のみが残存する。
レジストマスクは、所定の薬液を用いたウェット処理又は酸素プラズマを用いたアッシング処理により、除去される。
本実施形態では、化合物半導体積層構造21において、SBD側のみにn−GaN層21eを形成する。比較的厚いn−GaN層21eにより、n−GaN層21e上に形成される各電極が2DEGから大きく離間する。この構成により、AlGaN/GaN・SBDにおける2DEGの影響を可及的に排除し、信頼性の高いSBDが得られる。
続いて、図6(c)に示すように、HEMT側にはゲート電極3Aを、SBD側には電極層3aを同時形成する。
詳細には、先ず、化合物半導体積層構造21の表面を、有機溶剤又は酸・アルカリ等を用いて充分に洗浄する。この化合物半導体積層構造21の表面の洗浄処理により、界面準位の極めて少ない良好な表面(後述する各種電極との界面となる)を得ることができる。
次に、ゲート電極及び電極層を形成するためのレジストマスクを形成する。レジストを化合物半導体積層構造21上に塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、HEMT側でゲート電極の形成予定部位を、SBD側でアノード電極の形成予定部位をそれぞれ露出する各開口を形成する。以上により、当該各開口を有するレジストマスクが形成される。
本実施形態では、ゲート電極及び電極層の材料として、仕事関数の高い金属であるNi,Pt,Cu等を含有する材料(第1金属)を用いる。ここでは、Ni/Au(Niが下層でAuが上層)を第1金属として例示する。
上記のレジストマスクを用いて、第1金属としてNi/Auを、例えば蒸着法により、化合物半導体積層構造21の表面を露出する各開口内を含むレジストマスク上に堆積する。Niの厚みは30nm程度、Auの厚みは400nm程度とする。リフトオフ法により、レジストマスク及びその上に堆積したNi/Auを除去する。以上により、HEMT側には電子供給層21d上にゲート電極3Aが、SBD側にはn−GaN層21e上に電極層3aが同時形成される。
レジストマスクは、所定の薬液を用いたウェット処理又は酸素プラズマを用いたアッシング処理により、除去される。
続いて、図7(a)に示すように、SBD側の電極層3a上のみに上層部分3bを形成する。
詳細には、先ず、上層部分を形成するためのレジストマスクを形成する。レジストを全面に塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、SBD側で電極層3aの上面のみを露出する開口を形成する。以上により、当該開口を有するレジストマスクが形成される。
本実施形態では、上層部分の材料として、第1金属よりも仕事関数の低い高融点金属であるTi,Mo,Ta,W等を含有する材料(第2金属)を用いる。ここでは、Tiを第2金属として例示する。
上記のレジストマスクを用いて、第2金属としてTiを、例えば蒸着法により、電極層3aの上面を露出する開口内を含むレジストマスク上に堆積する。Tiの厚みは30nm程度とする。リフトオフ法により、レジストマスク及びその上に堆積したTiを除去する。以上により、SBD側の電極層3a上のみにキャップ層となる上層部分3bが形成される。
レジストマスクは、所定の薬液を用いたウェット処理又は酸素プラズマを用いたアッシング処理により、除去される。
続いて、図7(b)に示すように、HEMT側にはソース電極4A及びドレイン電極4Bを、SBD側にはカソード電極4Cを同時形成する。
詳細には、先ず、ソース電極及びドレイン電極、並びにカソード電極を形成するためのレジストマスクを形成する。レジストを化合物半導体積層構造21の全面に塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、HEMT側でソース電極及びドレイン電極の形成予定部位を、SBD側でカソード電極の形成予定部位をそれぞれ露出する各開口を形成する。以上により、当該各開口を有するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、電極材料として、例えばTa/Al(Taが下層でAlが上層)を、例えば蒸着法により、各開口内を含むレジストマスク上に堆積する。Taの厚みは20nm程度、Alの厚みは200nm程度とする。リフトオフ法により、レジストマスク及びその上に堆積したTa/Alを除去する。以上により、HEMT側には電子供給層21d上にソース電極4A及びドレイン電極4Bが、SBD側にはn−GaN層21e上にカソード電極4Cが形成される。
レジストマスクは、所定の薬液を用いたウェット処理又は酸素プラズマを用いたアッシング処理により、除去される。
続いて、図8(a)に示すように、パッシベーション膜5を形成する。
詳細には、化合物半導体積層構造21の全面に絶縁膜、例えばSiNをプラズマCVD法等により2nm程度〜200nm程度の厚みに堆積する。これにより、パッシベーション膜5が形成される。
続いて、図8(b)に示すように、SiC基板1を熱処理する。
詳細には、窒素雰囲気中において、第2金属である高融点金属、ここではTiの融点よりも低い温度、好ましくは400℃程度〜1000℃程度の温度、例えば550℃程度でSiC基板1を熱処理(アニール処理)する。この熱処理により、HEMT側ではソース電極4A及びドレイン電極4Bについて、SBD側ではカソード電極4Cについて、それぞれ電子供給層2dとのオーミックコンタクトが確立する。それと共に、当該熱処理により、SBD側で上層部分3bのTiが電極層3a内に下方拡散し、Tiが電子供給層2dのAlGaNと電極層3aのNiとの界面に析出して、下層部分3cが形成される。下層部分3cは、例えば1nm程度〜2nm程度の厚みに形成される。電極層3aと上層部分3b及び下層部分3cとにより、アノード電極3Bが形成される。
本実施形態では、Tiを熱拡散させてアノード電極3Bを形成するための熱処理を、ソース電極4A及びドレイン電極4B、並びにカソード電極4Cのオーミックコンタクトを得るための熱処理と兼ねて行う。これにより、アノード電極3Bを形成するための熱処理の工程を単独に設ける必要がなく、工程削減が実現する。
しかる後、層間絶縁膜の形成、ゲート電極3A、ソース電極4A、ドレイン電極4B、アノード電極3B、カソード電極4Cとそれぞれ接続される各配線の形等の諸工程を実行する。以上により、SiC基板1上に、AlGaN/GaN・HEMT及びAlGaN/GaN・SBDが集積されてなる化合物半導体装置が形成される。
以上説明したように、本実施形態によれば、各電極と化合物半導体層との界面準位の発生を容易且つ確実に抑止して、優れたデバイス特性を有する信頼性の高い化合物半導体装置が実現する。
(第4の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、化合物半導体装置として、AlGaN/GaN・HEMT及びAlGaN/GaN・SBDが同一基板に集積されたデバイスを開示するが、化合物半導体積層構造がSBD側で異なる点で相違する。なお、第1の実施形態の構成部材等と同一のものについては、同符号を付して詳しい説明を省略する。
図9〜図10は、第4の実施形態による化合物半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、先ず図1(a)の工程を実行する。このとき、SiC基板1上に化合物半導体積層構造2が形成される。
続いて、図9(a)に示すように、SBD側のみに電子供給層2dに電極用リセス2Aを形成する。
詳細には、化合物半導体積層構造2上の全面にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、SBD側のアノード電極の形成予定部位のみを露出する開口を有するレジストマスクを形成する。
このレジストマスクを用いて、電子供給層2dを所定深さまでドライエッチングする。ドライエッチングには、塩素系のエッチングガスを用いる。これにより、電子供給層2dには、SBD側のアノード電極の形成予定部位に電極用リセス2Aが形成される。電子供給層2dのエッチング残量は、AlGaN/GaN・SBDの素子としての要求性能に依存する。
続いて、図9(b)に示すように、HEMT側にはゲート電極3Aを、SBD側には電極層3aを同時形成する。
詳細には、先ず、化合物半導体積層構造2の表面を、有機溶剤又は酸・アルカリ等を用いて充分に洗浄する。この化合物半導体積層構造2の表面の洗浄処理により、界面準位の極めて少ない良好な表面(後述する各種電極との界面となる)を得ることができる。
次に、ゲート電極及び電極層を形成するためのレジストマスクを形成する。レジストを化合物半導体積層構造2上に塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、HEMT側でゲート電極の形成予定部位を、SBD側でアノード電極の形成予定部位である電極用リセス2Aをそれぞれ露出する各開口を形成する。以上により、当該各開口を有するレジストマスクが形成される。
本実施形態では、ゲート電極及び電極層の材料として、仕事関数の高い金属であるNi,Pt,Cu等を含有する材料(第1金属)を用いる。ここでは、Ni/Au(Niが下層でAuが上層)を第1金属として例示する。
上記のレジストマスクを用いて、第1金属としてNi/Auを、例えば蒸着法により、化合物半導体積層構造2の表面を露出する各開口内を含むレジストマスク上に堆積する。Niの厚みは30nm程度、Auの厚みは400nm程度とする。リフトオフ法により、レジストマスク及びその上に堆積したNi/Auを除去する。以上により、HEMT側には電子供給層2d上にゲート電極3Aが、SBD側には電子供給層2dの電極用リセス2Aを埋め込む電極層3aが同時形成される。
レジストマスクは、所定の薬液を用いたウェット処理又は酸素プラズマを用いたアッシング処理により、除去される。
続いて、図9(c)に示すように、SBD側の電極層3a上のみに上層部分3bを形成する。
詳細には、先ず、上層部分を形成するためのレジストマスクを形成する。レジストを全面に塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、SBD側で電極層3aの上面のみを露出する開口を形成する。以上により、当該開口を有するレジストマスクが形成される。
本実施形態では、上層部分の材料として、第1金属よりも仕事関数の低い高融点金属であるTi,Mo,Ta,W等を含有する材料(第2金属)を用いる。ここでは、Tiを第2金属として例示する。
上記のレジストマスクを用いて、第2金属としてTiを、例えば蒸着法により、電極層3aの上面を露出する開口内を含むレジストマスク上に堆積する。Tiの厚みは30nm程度とする。リフトオフ法により、レジストマスク及びその上に堆積したTiを除去する。以上により、SBD側の電極層3a上のみにキャップ層となる上層部分3bが形成される。
レジストマスクは、所定の薬液を用いたウェット処理又は酸素プラズマを用いたアッシング処理により、除去される。
続いて、図10(a)に示すように、HEMT側にはソース電極4A及びドレイン電極4Bを、SBD側にはカソード電極4Cを同時形成する。
詳細には、先ず、ソース電極4A及びドレイン電極4B、並びにカソード電極4Cを形成するためのレジストマスクを形成する。レジストを化合物半導体積層構造2の全面に塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、HEMT側でソース電極及びドレイン電極の形成予定部位を、SBD側でカソード電極の形成予定部位をそれぞれ露出する各開口を形成する。以上により、当該各開口を有するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、電極材料として、例えばTa/Al(Taが下層でAlが上層)を、例えば蒸着法により、各開口内を含むレジストマスク上に堆積する。Taの厚みは20nm程度、Alの厚みは200nm程度とする。リフトオフ法により、レジストマスク及びその上に堆積したTa/Alを除去する。以上により、HEMT側には電子供給層21d上にソース電極4A及びドレイン電極4Bが、SBD側にはn−GaN層21e上にカソード電極4Cが形成される。
レジストマスクは、所定の薬液を用いたウェット処理又は酸素プラズマを用いたアッシング処理により、除去される。
続いて、図10(b)に示すように、パッシベーション膜5を形成する。
詳細には、化合物半導体積層構造2の全面に絶縁膜、例えばSiNをプラズマCVD法等により2nm程度〜200nm程度の厚みに堆積する。これにより、パッシベーション膜5が形成される。
続いて、図10(c)に示すように、SiC基板1を熱処理する。
詳細には、窒素雰囲気中において、第2金属である高融点金属、ここではTiの融点よりも低い温度、好ましくは400℃程度〜1000℃程度の温度、例えば550℃程度でSiC基板1を熱処理(アニール処理)する。この熱処理により、HEMT側ではソース電極4A及びドレイン電極4Bについて、SBD側ではカソード電極4Cについて、それぞれ電子供給層2dとのオーミックコンタクトが確立する。それと共に、当該熱処理により、SBD側で上層部分3bのTiが電極層3a内に下方拡散し、Tiが電子供給層2dのAlGaNと電極層3aのNiとの界面に析出して、下層部分3cが形成される。下層部分3cは、例えば1nm程度〜2nm程度の厚みに形成される。電極層3aと上層部分3b及び下層部分3cとにより、アノード電極3Bが形成される。
本実施形態では、Tiを熱拡散させてアノード電極3Bを形成するための熱処理を、ソース電極4A及びドレイン電極4B、並びにカソード電極4Cのオーミックコンタクトを得るための熱処理と兼ねて行う。これにより、アノード電極3Bを形成するための熱処理の工程を単独に設ける必要がなく、工程削減が実現する。
しかる後、層間絶縁膜の形成、ゲート電極3A、ソース電極4A、ドレイン電極4B、アノード電極3B、カソード電極4Cとそれぞれ接続される各配線の形等の諸工程を実行する。以上により、SiC基板1上に、AlGaN/GaN・HEMT及びAlGaN/GaN・SBDが集積されてなる化合物半導体装置が形成される。
以上説明したように、本実施形態によれば、各電極と化合物半導体層との界面準位の発生を容易且つ確実に抑止して、優れたデバイス特性を有する信頼性の高い化合物半導体装置が実現する。
(第5の実施形態)
本実施形態では、化合物半導体装置として、同一基板にE-mode・AlGaN/GaN・HEMT及びD-mode・AlGaN/GaN・HEMTが集積されたデバイスを開示する。なお、第1の実施形態の構成部材等と同一のものについては、同符号を付して詳しい説明を省略する。
図11〜図12は、第5の実施形態による化合物半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、先ず図1(a)の工程を実行する。このとき、SiC基板1上に化合物半導体積層構造2が形成される。
続いて、図11(a)に示すように、E-mode・HEMT側にはゲート電極22Aを、D-mode・HEMT側には電極層22aを同時形成する。
詳細には、先ず、化合物半導体積層構造2の表面を、有機溶剤又は酸・アルカリ等を用いて充分に洗浄する。この化合物半導体積層構造2の表面の洗浄処理により、界面準位の極めて少ない良好な表面(後述する各種電極との界面となる)を得ることができる。
次に、ゲート電極及び電極層を形成するためのレジストマスクを形成する。レジストを化合物半導体積層構造2上に塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、E-mode・HEMT側及びD-mode・HEMT側でそれぞれゲート電極の形成予定部位を露出する各開口を形成する。以上により、当該各開口を有するレジストマスクが形成される。
本実施形態では、ゲート電極及び電極層の材料として、仕事関数の高い金属であるNi,Pt,Cu等を含有する材料(第1金属)を用いる。ここでは、Ni/Au(Niが下層でAuが上層)を第1金属として例示する。
上記のレジストマスクを用いて、第1金属としてNi/Auを、例えば蒸着法により、化合物半導体積層構造2の表面を露出する各開口内を含むレジストマスク上に堆積する。Niの厚みは30nm程度、Auの厚みは400nm程度とする。リフトオフ法により、レジストマスク及びその上に堆積したNi/Auを除去する。以上により、E-mode・HEMT側にはゲート電極22Aが、D-mode・HEMT側には電極層22aが同時形成される。
レジストマスクは、所定の薬液を用いたウェット処理又は酸素プラズマを用いたアッシング処理により、除去される。
続いて、図11(b)に示すように、D-mode・HEMT側の電極層22a上のみに上層部分22bを形成する。
詳細には、先ず、上層部分を形成するためのレジストマスクを形成する。レジストを全面に塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、D-mode・HEMT側で電極層22aの上面のみを露出する開口を形成する。以上により、当該開口を有するレジストマスクが形成される。
本実施形態では、上層部分の材料として、第1金属よりも仕事関数の低い高融点金属であるTi,Mo,Ta,W等を含有する材料(第2金属)を用いる。ここでは、Tiを第2金属として例示する。
上記のレジストマスクを用いて、第2金属としてTiを、例えば蒸着法により、電極層22aの上面を露出する開口内を含むレジストマスク上に堆積する。Tiの厚みは30nm程度とする。リフトオフ法により、レジストマスク及びその上に堆積したTiを除去する。以上により、D-mode・HEMT側の電極層22a上のみにキャップ層となる上層部分22bが形成される。
レジストマスクは、所定の薬液を用いたウェット処理又は酸素プラズマを用いたアッシング処理により、除去される。
続いて、図11(c)に示すように、E-mode・HEMT側にはソース電極23A及びドレイン電極23Bを、D-mode・HEMT側にはソース電極23C及びドレイン電極23Dを同時形成する。
詳細には、先ず、ソース電極23A及びドレイン電極23B、並びにソース電極23C及びドレイン電極23Dを形成するためのレジストマスクを形成する。レジストを化合物半導体積層構造2の全面に塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、E-mode・HEMT側及びD-mode・HEMT側でソース電極及びドレイン電極の形成予定部位をそれぞれ露出する各開口を形成する。以上により、当該各開口を有するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、電極材料として、例えばTa/Al(Taが下層でAlが上層)を、例えば蒸着法により、各開口内を含むレジストマスク上に堆積する。Taの厚みは20nm程度、Alの厚みは200nm程度とする。リフトオフ法により、レジストマスク及びその上に堆積したTa/Alを除去する。以上により、E-mode・HEMT側にはソース電極23A及びドレイン電極23Bが、D-mode・HEMT側にはソース電極23C及びドレイン電極23Dが形成される。
レジストマスクは、所定の薬液を用いたウェット処理又は酸素プラズマを用いたアッシング処理により、除去される。
続いて、図12(a)に示すように、パッシベーション膜5を形成する。
詳細には、化合物半導体積層構造2の全面に絶縁膜、例えばSiNをプラズマCVD法等により2nm程度〜200nm程度の厚みに堆積する。これにより、パッシベーション膜5が形成される。
続いて、図12(b)に示すように、SiC基板1を熱処理する。
詳細には、窒素雰囲気中において、第2金属である高融点金属、ここではTiの融点よりも低い温度、好ましくは400℃程度〜1000℃程度の温度、例えば550℃程度でSiC基板1を熱処理(アニール処理)する。この熱処理により、E-mode・HEMT側ではソース電極23A及びドレイン電極23Bについて、D-mode・HEMT側ではソース電極23C及びドレイン電極23Dについて、それぞれ電子供給層2dとのオーミックコンタクトが確立する。それと共に、当該熱処理により、D-mode・HEMT側で上層部分22bのTiが電極層22a内に下方拡散し、Tiが電子供給層2dのAlGaNと電極層22aのNiとの界面に析出して、下層部分22cが形成される。下層部分22cは、例えば1nm程度〜2nm程度の厚みに形成される。電極層22aと上層部分22b及び下層部分22cとにより、ゲート電極22Bが形成される。
本実施形態では、Tiを熱拡散させてゲート電極22Bを形成するための熱処理を、ソース電極23A及びドレイン電極23B、並びにソース電極23C及びドレイン電極23Dのオーミックコンタクトを得るための熱処理と兼ねて行う。これにより、ゲート電極22Bを形成するための熱処理の工程を単独に設ける必要がなく、工程削減が実現する。
しかる後、層間絶縁膜の形成、ゲート電極22A、ソース電極23A、ドレイン電極23B、ゲート電極22B、ソース電極23C、ドレイン電極23Dとそれぞれ接続される各配線の形等の諸工程を実行する。以上により、SiC基板1上に、E-mode・AlGaN/GaN・HEMT及びD-mode・AlGaN/GaN・HEMTが集積されてなる化合物半導体装置が形成される。
本実施形態により作製された化合物半導体装置について、ゲート−ソース間電圧(Vgs)とドレイン電流(Id)との関係について調べた。その結果を図13に示す。ゲート電極22AはNiの仕事関数が高いため、E-mode動作を実現しており、ゲート電極22BはTiの仕事関数が低いため、D-mode動作を実現している。ゲート電極22AのNiと電極層22aのNiとは同時形成されるため、化合物半導体積層構造2の表面の充分な洗浄により、界面準位が極めて少なく、且つ2種類の閾値電圧(Vth)を有する化合物半導体装置が実現することが確認された。
以上説明したように、本実施形態によれば、各電極と化合物半導体層との界面準位の発生を容易且つ確実に抑止して、優れたデバイス特性を有する信頼性の高い化合物半導体装置が実現する。
(第6の実施形態)
本実施形態では、第5の実施形態と同様に、化合物半導体装置として、同一基板にE-mode・AlGaN/GaN・HEMT及びD-mode・AlGaN/GaN・HEMTが集積されたデバイスを開示する。本実施形態は、いわゆるMIS型構造とされている点で第5の実施形態と相違する。なお、第5の実施形態の構成部材等と同一のものについては、同符号を付して詳しい説明を省略する。
図14〜図15は、第6の実施形態による化合物半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、先ず図1(a)の工程を実行する。このとき、SiC基板1上に化合物半導体積層構造2が形成される。
続いて、図14(a)に示すように、ゲート絶縁膜24を形成する。
詳細には、先ず、化合物半導体積層構造2の表面を、有機溶剤又は酸・アルカリ等を用いて充分に洗浄する。この化合物半導体積層構造2の表面の洗浄処理により、界面準位の極めて少ない良好な表面(後述する各種電極との界面となる)を得ることができる。
次に、化合物半導体積層構造2上に、絶縁材料として例えばAl23を堆積する。Al23は、例えば原子層堆積法(Atomic Layer Deposition:ALD法)により膜厚2nm〜200nm程度、ここでは10nm程度に堆積する。これにより、ゲート絶縁膜24が形成される。
なお、Al23の堆積は、ALD法の代わりに、例えばプラズマCVD法又はスパッタ法等で行うようにしても良い。また、Al23を堆積する代わりに、Alの窒化物又は酸窒化物を用いても良い。それ以外にも、Si,Hf,Zr,Ti,Ta,Wの酸化物、窒化物又は酸窒化物、或いはこれらから適宜に選択して多層に堆積して、ゲート絶縁膜を形成しても良い。
続いて、図14(b)に示すように、E-mode・HEMT側にはゲート電極22Aを、D-mode・HEMT側には電極層22aを同時形成する。
詳細には、ゲート電極及び電極層を形成するためのレジストマスクを形成する。レジストをゲート絶縁膜24上に塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、E-mode・HEMT側及びD-mode・HEMT側でそれぞれゲート電極の形成予定部位を露出する各開口を形成する。以上により、当該各開口を有するレジストマスクが形成される。
本実施形態では、ゲート電極及び電極層の材料として、仕事関数の高い金属であるNi,Pt,Cu等を含有する材料(第1金属)を用いる。ここでは、Ni/Au(Niが下層でAuが上層)を第1金属として例示する。
上記のレジストマスクを用いて、第1金属としてNi/Auを、例えば蒸着法により、ゲート絶縁膜24の表面を露出する各開口内を含むレジストマスク上に堆積する。Niの厚みは30nm程度、Auの厚みは400nm程度とする。リフトオフ法により、レジストマスク及びその上に堆積したNi/Auを除去する。以上により、E-mode・HEMT側にはゲート電極22Aが、D-mode・HEMT側には電極層22aが同時形成される。
レジストマスクは、所定の薬液を用いたウェット処理又は酸素プラズマを用いたアッシング処理により、除去される。
続いて、図14(c)に示すように、D-mode・HEMT側の電極層22a上のみに上層部分22bを形成する。
詳細には、先ず、上層部分を形成するためのレジストマスクを形成する。レジストを全面に塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、D-mode・HEMT側で電極層22aの上面のみを露出する開口を形成する。以上により、当該開口を有するレジストマスクが形成される。
本実施形態では、上層部分の材料として、第1金属よりも仕事関数の低い高融点金属であるTi,Mo,Ta,W等を含有する材料(第2金属)を用いる。ここでは、Tiを第2金属として例示する。
上記のレジストマスクを用いて、第2金属としてTiを、例えば蒸着法により、電極層22aの上面を露出する開口内を含むレジストマスク上に堆積する。Tiの厚みは30nm程度とする。リフトオフ法により、レジストマスク及びその上に堆積したTiを除去する。以上により、D-mode・HEMT側の電極層22a上のみにキャップ層となる上層部分22bが形成される。
レジストマスクは、所定の薬液を用いたウェット処理又は酸素プラズマを用いたアッシング処理により、除去される。
続いて、図15(a)に示すように、ゲート絶縁膜24に開口24a,24b,24c,24dを形成する。
詳細には、ゲート絶縁膜24上の全面にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、ゲート絶縁膜24の表面において、E-mode・HEMT側及びD-mode・HEMT側のソース電極及びドレイン電極の形成予定部位をそれぞれ露出する各開口を形成する。以上により、当該各開口を有するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、ゲート絶縁膜24をドライエッチングする。以上により、ゲート絶縁膜24には、E-mode・HEMT側及びD-mode・HEMT側におけるソース電極及びドレイン電極の形成予定部位で化合物半導体積層構造2の表面を露出する開口24a,24b,24c,24dが形成される。
レジストマスクは、所定の薬液を用いたウェット処理又は酸素プラズマを用いたアッシング処理により、除去される。
続いて、図15(b)に示すように、E-mode・HEMT側にはソース電極23A及びドレイン電極23Bを、D-mode・HEMT側にはソース電極23C及びドレイン電極23Dを同時形成する。
詳細には、ソース電極23A及びドレイン電極23B、並びにソース電極23C及びドレイン電極23Dを形成するためのレジストマスクを形成する。レジストをゲート絶縁膜24の全面に塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、ゲート絶縁膜24の開口24a,24b,24c,24dをそれぞれ露出する各開口を形成する。以上により、当該各開口を有するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、電極材料として、例えばTa/Al(Taが下層でAlが上層)を、例えば蒸着法により、各開口内を含むレジストマスク上に堆積する。Taの厚みは20nm程度、Alの厚みは200nm程度とする。リフトオフ法により、レジストマスク及びその上に堆積したTa/Alを除去する。以上により、E-mode・HEMT側には開口24a,24bを埋め込むソース電極23A及びドレイン電極23Bが、D-mode・HEMT側には開口24c,24dを埋め込むソース電極23C及びドレイン電極23Dが形成される。
レジストマスクは、所定の薬液を用いたウェット処理又は酸素プラズマを用いたアッシング処理により、除去される。
続いて、図15(c)に示すように、SiC基板1を熱処理する。
詳細には、窒素雰囲気中において、第2金属である高融点金属、ここではTiの融点よりも低い温度、好ましくは400℃程度〜1000℃程度の温度、例えば550℃程度でSiC基板1を熱処理(アニール処理)する。この熱処理により、E-mode・HEMT側ではソース電極23A及びドレイン電極23Bについて、D-mode・HEMT側ではソース電極23C及びドレイン電極23Dについて、それぞれ電子供給層2dとのオーミックコンタクトが確立する。それと共に、当該熱処理により、D-mode・HEMT側で上層部分22bのTiが電極層22a内に下方拡散し、Tiが電子供給層2dのAlGaNと電極層22aのNiとの界面に析出して、下層部分22cが形成される。下層部分22cは、例えば1nm程度〜2nm程度の厚みに形成される。電極層22aと上層部分22b及び下層部分22cとにより、ゲート電極22Bが形成される。
本実施形態では、Tiを熱拡散させてゲート電極22Bを形成するための熱処理を、ソース電極23A及びドレイン電極23B、並びにソース電極23C及びドレイン電極23Dのオーミックコンタクトを得るための熱処理と兼ねて行う。これにより、ゲート電極22Bを形成するための熱処理の工程を単独に設ける必要がなく、工程削減が実現する。
しかる後、層間絶縁膜の形成、ゲート電極22A、ソース電極23A、ドレイン電極23B、ゲート電極22B、ソース電極23C、ドレイン電極23Dとそれぞれ接続される各配線の形等の諸工程を実行する。以上により、SiC基板1上に、MIS構造のE-mode・AlGaN/GaN・HEMT及びD-mode・AlGaN/GaN・HEMTが集積されてなる化合物半導体装置が形成される。
以上説明したように、本実施形態によれば、各電極と化合物半導体層との界面準位の発生を容易且つ確実に抑止して、優れたデバイス特性を有する信頼性の高い化合物半導体装置が実現する。
(第7の実施形態)
本実施形態では、第6の実施形態と同様に、化合物半導体装置として、同一基板にE-mode・AlGaN/GaN・HEMT及びD-mode・AlGaN/GaN・HEMTが集積されたMIS型構造のデバイスを開示する。本実施形態は、化合物半導体積層構造がE-mode・HEMT側で異なる点で第6の実施形態と相違する。なお、第6の実施形態の構成部材等と同一のものについては、同符号を付して詳しい説明を省略する。
図16〜図18は、第7の実施形態による化合物半導体装置の製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、先ず図1(a)の工程を実行する。このとき、SiC基板1上に化合物半導体積層構造2が形成される。
続いて、図16(a)に示すように、E-mode・HEMT側のみに電子供給層2dに電極用リセス2Bを形成する。
詳細には、化合物半導体積層構造2上の全面にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、E-mode・HEMT側のゲート電極の形成予定部位のみを露出する開口を有するレジストマスクを形成する。
このレジストマスクを用いて、電子供給層2dを所定深さまでドライエッチングする。ドライエッチングには、塩素系のエッチングガスを用いる。これにより、電子供給層2dには、E-mode・HEMT側のゲート電極の形成予定部位に電極用リセス2Bが形成される。電極用リセスは、エッチング部位で電子供給層2dが残存するようにしても、或いは電子走行層2bに達するまで形成しても良い。
電極用リセス2Bを形成することにより、電極用リセス2Bをゲート絶縁膜を介して埋め込むゲート電極において、より確実にE-mode動作を行うことができる。
続いて、図16(b)に示すようにゲート絶縁膜24を形成する。
詳細には、先ず、化合物半導体積層構造2の表面を、有機溶剤又は酸・アルカリ等を用いて充分に洗浄する。この化合物半導体積層構造2の表面の洗浄処理により、界面準位の極めて少ない良好な表面(後述する各種電極との界面となる)を得ることができる。
次に、化合物半導体積層構造2上に、絶縁材料として例えばAl23を堆積する。Al23は、例えば原子層堆積法(Atomic Layer Deposition:ALD法)により膜厚2nm〜200nm程度、ここでは10nm程度に堆積する。これにより、ゲート絶縁膜24が形成される。
なお、Al23の堆積は、ALD法の代わりに、例えばプラズマCVD法又はスパッタ法等で行うようにしても良い。また、Al23を堆積する代わりに、Alの窒化物又は酸窒化物を用いても良い。それ以外にも、Si,Hf,Zr,Ti,Ta,Wの酸化物、窒化物又は酸窒化物、或いはこれらから適宜に選択して多層に堆積して、ゲート絶縁膜を形成しても良い。
続いて、図16(c)に示すように、E-mode・HEMT側にはゲート電極22Aを、D-mode・HEMT側には電極層22aを同時形成する。
詳細には、ゲート電極及び電極層を形成するためのレジストマスクを形成する。レジストをゲート絶縁膜24上に塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工する。これにより、E-mode・HEMT側にはゲート電極の形成予定部位である電極用リセス2Bの上方に位置整合する部位を露出する開口が、D-mode・HEMT側にはゲート電極の形成予定部位を露出する開口がそれぞれ形成される。以上により、当該各開口を有するレジストマスクが形成される。
本実施形態では、ゲート電極及び電極層の材料として、仕事関数の高い金属であるNi,Pt,Cu等を含有する材料(第1金属)を用いる。ここでは、Ni/Au(Niが下層でAuが上層)を第1金属として例示する。
上記のレジストマスクを用いて、第1金属としてNi/Auを、例えば蒸着法により、ゲート絶縁膜24の表面を露出する各開口内を含むレジストマスク上に堆積する。Niの厚みは30nm程度、Auの厚みは400nm程度とする。リフトオフ法により、レジストマスク及びその上に堆積したNi/Auを除去する。以上により、E-mode・HEMT側にはゲート絶縁膜24を介して電極用リセス2Bを埋め込むゲート電極22Aが、D-mode・HEMT側にはゲート絶縁膜24上に電極層22aが同時形成される。
レジストマスクは、所定の薬液を用いたウェット処理又は酸素プラズマを用いたアッシング処理により、除去される。
続いて、図17(a)に示すように、D-mode・HEMT側の電極層22a上のみに上層部分22bを形成する。
詳細には、先ず、上層部分を形成するためのレジストマスクを形成する。レジストを全面に塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、D-mode・HEMT側で電極層22aの上面のみを露出する開口を形成する。以上により、当該開口を有するレジストマスクが形成される。
本実施形態では、上層部分の材料として、第1金属よりも仕事関数の低い高融点金属であるTi,Mo,Ta,W等を含有する材料(第2金属)を用いる。ここでは、Tiを第2金属として例示する。
上記のレジストマスクを用いて、第2金属としてTiを、例えば蒸着法により、電極層22aの上面を露出する開口内を含むレジストマスク上に堆積する。Tiの厚みは30nm程度とする。リフトオフ法により、レジストマスク及びその上に堆積したTiを除去する。以上により、D-mode・HEMT側の電極層22a上のみにキャップ層となる上層部分22bが形成される。
レジストマスクは、所定の薬液を用いたウェット処理又は酸素プラズマを用いたアッシング処理により、除去される。
続いて、図17(b)に示すように、ゲート絶縁膜24に開口24a,24b,24c,24dを形成する。
詳細には、ゲート絶縁膜24上の全面にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、ゲート絶縁膜24の表面において、E-mode・HEMT側及びD-mode・HEMT側のソース電極及びドレイン電極の形成予定部位をそれぞれ露出する各開口を形成する。以上により、当該各開口を有するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、ゲート絶縁膜24をドライエッチングする。以上により、ゲート絶縁膜24には、E-mode・HEMT側及びD-mode・HEMT側におけるソース電極及びドレイン電極の形成予定部位で化合物半導体積層構造2の表面を露出する開口24a,24b,24c,24dが形成される。
レジストマスクは、所定の薬液を用いたウェット処理又は酸素プラズマを用いたアッシング処理により、除去される。
続いて、図18(a)に示すように、E-mode・HEMT側にはソース電極23A及びドレイン電極23Bを、D-mode・HEMT側にはソース電極23C及びドレイン電極23Dを同時形成する。
詳細には、ソース電極23A及びドレイン電極23B、並びにソース電極23C及びドレイン電極23Dを形成するためのレジストマスクを形成する。レジストをゲート絶縁膜24の全面に塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、ゲート絶縁膜24の開口24a,24b,24c,24dをそれぞれ露出する各開口を形成する。以上により、当該各開口を有するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、電極材料として、例えばTa/Al(Taが下層でAlが上層)を、例えば蒸着法により、各開口内を含むレジストマスク上に堆積する。Taの厚みは20nm程度、Alの厚みは200nm程度とする。リフトオフ法により、レジストマスク及びその上に堆積したTa/Alを除去する。以上により、E-mode・HEMT側には開口24a,24bを埋め込むソース電極23A及びドレイン電極23Bが、D-mode・HEMT側には開口24c,24dを埋め込むソース電極23C及びドレイン電極23Dが形成される。
レジストマスクは、所定の薬液を用いたウェット処理又は酸素プラズマを用いたアッシング処理により、除去される。
続いて、図18(b)に示すように、SiC基板1を熱処理する。
詳細には、窒素雰囲気中において、第2金属である高融点金属、ここではTiの融点よりも低い温度、好ましくは400℃程度〜1000℃程度の温度、例えば550℃程度でSiC基板1を熱処理(アニール処理)する。この熱処理により、E-mode・HEMT側ではソース電極23A及びドレイン電極23Bについて、D-mode・HEMT側ではソース電極23C及びドレイン電極23Dについて、それぞれ電子供給層2dとのオーミックコンタクトが確立する。それと共に、当該熱処理により、D-mode・HEMT側で上層部分22bのTiが電極層22a内に下方拡散し、Tiが電子供給層2dのAlGaNと電極層22aのNiとの界面に析出して、下層部分22cが形成される。下層部分22cは、例えば1nm程度〜2nm程度の厚みに形成される。電極層22aと上層部分22b及び下層部分22cとにより、ゲート電極22Bが形成される。
本実施形態では、Tiを熱拡散させてゲート電極22Bを形成するための熱処理を、ソース電極23A及びドレイン電極23B、並びにソース電極23C及びドレイン電極23Dのオーミックコンタクトを得るための熱処理と兼ねて行う。これにより、ゲート電極22Bを形成するための熱処理の工程を単独に設ける必要がなく、工程削減が実現する。
しかる後、層間絶縁膜の形成、ゲート電極22A、ソース電極23A、ドレイン電極23B、ゲート電極22B、ソース電極23C、ドレイン電極23Dとそれぞれ接続される各配線の形等の諸工程を実行する。以上により、SiC基板1上に、MIS構造のE-mode・AlGaN/GaN・HEMT及びD-mode・AlGaN/GaN・HEMTが集積されてなる化合物半導体装置が形成される。
以上説明したように、本実施形態によれば、各電極と化合物半導体層との界面準位の発生を容易且つ確実に抑止して、優れたデバイス特性を有する信頼性の高い化合物半導体装置が実現する。
なお、第5の実施形態において、本実施形態と同様に、化合物半導体積層構造2のE-mode・HEMT側に電極用リセス2Bを形成し、ゲート絶縁膜24を形成することなく電極用リセス2Bを埋め込むようにゲート電極22Aを形成するようにしても良い。
第1〜第7の実施形態では、第2金属(Ti等)を電極層(Ni等)内へ下方拡散させるための熱処理を、ソース電極及びドレイン電極(並びにカソード電極)のオーミックコンタクトを得るための熱処理と兼ねているが、両処理を別個に行うようにしても良い。その場合、上記の下方拡散のための熱処理は、第2金属である高融点金属の融点よりも低い温度、例えば400℃程度〜800℃程度とすることが好適である。また、上記のオーミックコンタクトを得るための熱処理は、当該オーミックコンタクトが得られるのであれば、不要である場合もある。
(第8の実施形態)
本実施形態では、第1〜第7の実施形態から選ばれた1種の化合物半導体装置を適用した電源装置を開示する。
図19は、第8の実施形態による電源装置の概略構成を示す結線図である。
本実施形態による電源装置は、高圧の一次側回路31及び低圧の二次側回路32と、一次側回路31と二次側回路32との間に配設されるトランス33とを備えて構成される。
一次側回路31は、交流電源34と、いわゆるブリッジ整流回路35と、複数(ここでは4つ)のスイッチング素子36a,36b,36c,36dとを備えて構成される。また、ブリッジ整流回路35は、スイッチング素子36eを有している。
二次側回路22は、複数(ここでは3つ)のスイッチング素子37a,37b,37cを備えて構成される。
本実施形態では、第1〜第4の実施形態から選ばれた1種の化合物半導体装置を適用した場合には、一次側回路31のスイッチング素子36a,36b,36c,36d,36eが当該実施形態の化合物半導体装置のAlGaN/GaN・HEMTとされる。ブリッジ整流回路35のダイオードが当該実施形態の化合物半導体装置のAlGaN/GaN・SBDとされる。
第5〜第7の実施形態から選ばれた1種の化合物半導体装置を適用した場合には、一次側回路31のスイッチング素子36a,36b,36c,36d,36eに、当該実施形態の化合物半導体装置のAlGaN/GaN・HEMTとされる。この場合、当該実施形態のE-mode・AlGaN/GaN・HEMT及びD-mode・AlGaN/GaN・HEMTが適宜適用される。
一方、二次側回路32のスイッチング素子37a,37b,37cは、シリコンを用いた通常のMIS・FETとされている。
本実施形態では、各電極と化合物半導体層との界面準位の発生を容易且つ確実に抑止して、優れたデバイス特性を有する信頼性の高いAlGaN/GaN・HEMT及びAlGaN/GaN・SBDを、高圧回路に適用する。これにより、信頼性の高い大電力の電源回路が実現する。
(第9の実施形態)
本実施形態では、第1〜第7の実施形態から選ばれた1種の化合物半導体装置を適用した高周波増幅器を開示する。
図20は、第9の実施形態による高周波増幅器の概略構成を示す結線図である。
本実施形態による高周波増幅器は、ディジタル・プレディストーション回路41と、ミキサー42a,42bと、パワーアンプ43とを備えて構成される。
ディジタル・プレディストーション回路41は、入力信号の非線形歪みを補償するものである。ミキサー42aは、非線形歪みが補償された入力信号と交流信号をミキシングするものである。パワーアンプ43は、交流信号とミキシングされた入力信号を増幅するものであり、第1〜第7の実施形態から選ばれた1種における化合物半導体装置のAlGaN/GaN・HEMTを有している。なお図20では、例えばスイッチの切り替えにより、出力側の信号をミキサー42bで交流信号とミキシングしてディジタル・プレディストーション回路41に送出できる構成とされている。
本実施形態では、各電極と化合物半導体層との界面準位の発生を容易且つ確実に抑止して、優れたデバイス特性を有する信頼性の高いAlGaN/GaN・HEMTを、高周波増幅器に適用する。これにより、信頼性の高い高耐圧の高周波増幅器が実現する。
(他の実施形態)
第1〜第9の実施形態では、化合物半導体装置としてAlGaN/GaN・HEMT及びAlGaN/GaN・SBDを例示した。化合物半導体装置としては、AlGaN/GaN・HEMT及びAlGaN/GaN・SBD以外にも、以下のようなデバイスに適用できる。
・その他のデバイス例1
本例では、化合物半導体装置として、InAlN/GaN・HEMT及びInAlN/GaN・SBDを開示する。
InAlNとGaNは、組成によって格子定数を近くすることが可能な化合物半導体である。この場合、上記した第1〜第7の実施形態では、電子走行層がi−GaN、中間層がi−InAlN、電子供給層がn−InAlNで形成される。また、この場合のピエゾ分極がほとんど発生しないため、2次元電子ガスは主にInAlNの自発分極により発生する。
本例によれば、上述したAlGaN/GaN・HEMT及びAlGaN/GaN・SBDと同様に、各電極と化合物半導体層との界面準位の発生を容易且つ確実に抑止して、優れたデバイス特性を有する信頼性の高い化合物半導体装置が実現する。
・その他のHEMT例2
本例では、化合物半導体装置として、InAlGaN/GaN・HEMT及びInAlGaN/GaN・SBDを開示する。
GaNとInAlGaNは、後者の方が前者よりも組成によって格子定数を小さくすることができる化合物半導体である。この場合、上記した第1〜第7の実施形態では、電子走行層がi−GaN、中間層がi−InAlGaN、電子供給層がn−InAlGaNで形成される。
本例によれば、上述したAlGaN/GaN・HEMT及びAlGaN/GaN・SBDと同様に、各電極と化合物半導体層との界面準位の発生を容易且つ確実に抑止して、優れたデバイス特性を有する信頼性の高い化合物半導体装置が実現する。
以下、化合物半導体装置及びその製造方法、並びに電源装置及び高周波増幅器の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)半導体層の上方に、第1金属の金属層を形成する工程と、
前記金属層上に、前記第1金属よりも仕事関数が低い金属である第2金属を形成する工程と、
前記第2金属の融点よりも低い温度で熱処理を行い、下層部分に前記第2金属が析出してなる第1電極を形成する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記2)前記第2金属は、Ti,Mo,Ta,Wから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記3)前記第1金属は、Ni,Pt,Cuから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする付記1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
(付記4)前記半導体層の上方に、前記金属層と共に前記第1金属の第2電極を形成する工程を更に含むことを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記5)前記半導体層上に第3電極を形成する工程を更に含み、
前記熱処理により、前記第1電極の形成と共に前記第3電極を前記半導体層とオーミック接触させることを特徴とする付記1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記6)前記金属層を形成する前に、前記半導体層の表面を洗浄する工程を更に含むことを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記7)前記半導体層は、化合物半導体積層構造であることを特徴とする付記1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記8)半導体層の上方において、第1領域には第1金属の第1金属層を、第2領域には前記第1金属の第2金属層を形成する工程と、
前記第1領域において、前記第1金属層上に前記第1金属よりも仕事関数が低い金属である第2金属を形成する工程と、
前記半導体層の上方において、前記第1領域には第3金属の第3金属層を、前記第2領域には前記第3金属の第4金属層を形成する工程と、
前記第2金属の融点よりも低い温度で熱処理を行い、前記第1領域には、前記第1金属層の下層部分に前記第2金属が析出してなる第1ショットキー電極、及び前記第3金属層が前記半導体層とオーミック接触してなる第1オーミック電極を、前記第2領域には、前記第2金属層の第2ショットキー電極、及び前記第4金属層が前記半導体層とオーミック接触してなる第2オーミック電極を形成する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記9)前記第2金属は、Ti,Mo,Ta,Wから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする付記8に記載の半導体装置の製造方法。
(付記10)前記第1金属は、Ni,Pt,Cuから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする付記8又は9に記載の半導体装置の製造方法。
(付記11)半導体層と、
前記半導体層の上方に形成された第1電極と
を含み、
前記第1電極は、第1金属の金属層に、Ti,Mo,Ta,Wから選ばれた少なくとも1種である第2金属が熱拡散されており、下層部分に前記第2金属が析出していることを特徴とする半導体装置。
(付記12)前記第1金属は、Ni,Pt,Cuから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする付記11に記載の半導体装置。
(付記13)前記半導体層の上方に形成された第2電極を更に含み、
前記第2電極は、前記第1金属からなることを特徴とする付記11又は12に記載の半導体装置。
(付記14)前記半導体層は、化合物半導体積層構造であることを特徴とする付記11〜13のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記15)変圧器と、前記変圧器を挟んで高圧回路及び低圧回路とを備えた電源装置であって、
前記高圧回路はトランジスタを有しており、
前記トランジスタは、
半導体層と、
前記半導体層の上方に形成された第1電極と
を含み、
前記第1電極は、第1金属の金属層に、Ti,Mo,Ta,Wから選ばれた少なくとも1種である第2金属が当該第2金属の融点よりも低い温度で熱拡散されており、下層部分に前記第2金属が析出していることを特徴とする電源装置。
(付記16)入力した高周波電圧を増幅して出力する高周波増幅器であって、
トランジスタを有しており、
前記トランジスタは、
半導体層と、
前記半導体層の上方に形成された第1電極と
を含み、
前記第1電極は、第1金属の金属層に、Ti,Mo,Ta,Wから選ばれた少なくとも1種である第2金属が当該第2金属の融点よりも低い温度で熱拡散されており、下層部分に前記第2金属が析出していることを特徴とする高周波増幅器。
1 SiC基板
2,21 化合物半導体積層構造
2a,21a バッファ層
2b,21b 電子走行層
2c,21c 中間層
2d,21d 電子供給層
21e n−GaN層
2A,2B 電極用リセス
3A,13A,22A,22B ゲート電極
3B,13B アノード電極
3a,13a,22a 電極層
3b,13b,22b 上層部分
3c,13c,22c 下層部分
4A,15A,23A,23C ソース電極
4B,15B,23B,23D ドレイン電極
4C,15C カソード電極
5 パッシベーション膜
11 絶縁膜
11a,11b,15a,15b,15c,24a,24b,24c,24d 開口
12 Ni/Au
14 層間絶縁膜
24 ゲート絶縁膜
31 一次側回路
32 二次側回路
33 トランス
34 交流電源
35 ブリッジ整流回路
36a,36b,36c,36d,36e,37a,37b,37c スイッチング素子
41 ディジタル・プレディストーション回路
42a,42b ミキサー
43 パワーアンプ

Claims (10)

  1. 半導体層の上方に、開口を有する絶縁膜を形成する工程と、
    前記開口を埋め込むように、前記絶縁膜上に第1金属を堆積する工程と、
    前記第1金属上の前記開口の上方に位置整合する部位のみに、前記第1金属よりも仕事関数が低い金属である第2金属を形成する工程と、
    前記第1金属を加工して、前記第2金属下に前記開口を前記第1金属で埋め込む金属層を形成する工程と、
    前記第2金属の融点よりも低い温度で熱処理を行い、下層部分に前記第2金属が析出してなる第1電極を形成する工程と
    を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 前記第2金属は、Ti,Mo,Ta,Wから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記第1金属は、Ni,Pt,Cuから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
  4. 前記半導体層の上方に、前記金属層と共に前記第1金属の第2電極を形成する工程を更に含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  5. 前記半導体層上に第3電極を形成する工程を更に含み、
    前記熱処理により、前記第1電極の形成と共に前記第3電極を前記半導体層とオーミック接触させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  6. 前記金属層を形成する前に、前記半導体層の表面を洗浄する工程を更に含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  7. 前記半導体層は、化合物半導体積層構造であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  8. 半導体層の上方において、第1領域には第1開口を、第2領域には第2開口をそれぞれ有する絶縁膜を形成する工程と、
    前記第1開口及び前記第2開口を埋め込むように、前記絶縁膜上に第1金属を堆積する工程と、
    前記第1金属上の前記第1開口の上方に位置整合する部位のみに、前記第1金属よりも仕事関数が低い金属である第2金属を形成する工程と、
    前記第1金属を加工して、前記第1領域には前記第2金属下で前記第1開口を前記第1金属で埋め込む第1金属層を、前記第2領域には前記第2開口を前記第1金属で埋め込む第2金属層を形成する工程と、
    前記半導体層の上方において、前記第1領域には第3金属の第3金属層を、前記第2領域には前記第3金属の第4金属層を形成する工程と、
    前記第2金属の融点よりも低い温度で熱処理を行い、前記第1領域には、前記第1金属層の下層部分に前記第2金属が析出してなる第1ショットキー電極、及び前記第3金属層が前記半導体層とオーミック接触してなる第1オーミック電極を、前記第2領域には、前記第2金属層の第2ショットキー電極、及び前記第4金属層が前記半導体層とオーミック接触してなる第2オーミック電極を形成する工程と
    を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  9. 前記第2金属は、Ti,Mo,Ta,Wから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
  10. 前記第1金属は、Ni,Pt,Cuから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項8又は9に記載の半導体装置の製造方法。
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