以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略断面図であり、ここではタンデム方式のカラープリンターについて示している。カラープリンター100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
これらの画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dが配設されており、さらに図1において時計回り方向に回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a〜1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次転写された後、二次転写ローラー9において転写紙S上に一度に転写され、さらに、定着部7において転写紙S上に定着された後、装置本体より排出される。感光体ドラム1a〜1dを図1において反時計回り方向に回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
トナー像が転写される転写紙Sは、カラープリンター100本体下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12a及びレジストローラー対12bを介して二次転写ローラー9へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。また、二次転写ローラー9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナーを除去するためのブレード状のベルトクリーナー19が配置されている。
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電装置2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光装置4と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)を除去するクリーニング部5a、5b、5c及び5dが設けられている。
パーソナルコンピューター等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電装置2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光装置4によって光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーが補給装置(図示せず)によって所定量充填されている。このトナーは、現像装置3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光装置4からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
そして、中間転写ベルト8に所定の転写電圧で電界が付与された後、一次転写ローラー6a〜6dにより感光体ドラム1a〜1d上のシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナーがクリーニング部5a〜5dにより除去される。
中間転写ベルト8は、上流側の搬送ローラー10と、下流側の駆動ローラー11とを含む複数の張架ローラーに掛け渡されており、メインモーター45(図3参照)による駆動ローラー11の回転に伴い中間転写ベルト8が時計回り方向に回転を開始すると、転写紙Sがレジストローラー対12bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラー9へ搬送され、フルカラー画像が転写される。トナー像が転写された転写紙Sは定着部7へと搬送される。
定着部7に搬送された転写紙Sは、定着ローラー対13により加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Sの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Sは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。転写紙Sの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
一方、転写紙Sの両面に画像を形成する場合は、定着部7を通過した転写紙Sの一部を一旦排出ローラー対15から装置外部にまで突出させる。その後、転写紙Sは排出ローラー対15を逆回転させることにより分岐部14で用紙搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態でレジストローラー対12bに再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラー9により転写紙Sの画像が形成されていない面に転写され、定着部7に搬送されてトナー像が定着された後、排出ローラー対15を介して排出トレイ17に排出される。
さらに、中間転写ベルト8を挟んで駆動ローラー11と対向する位置には画像濃度センサー46が配置されている。画像濃度センサー46としては、一般にLED等から成る発光素子と、フォトダイオード等から成る受光素子を備えた光学センサーが用いられる。中間転写ベルト8上のトナー付着量を測定する際、発光素子から中間転写ベルト8上に形成された各基準画像に対し測定光を照射すると、測定光はトナーによって反射される光、及びベルト表面によって反射される光として受光素子に入射する。
トナー及びベルト表面からの反射光には正反射光と乱反射光とが含まれる。この正反射光及び乱反射光は、偏光分離プリズムで分離された後、それぞれ別個の受光素子に入射する。各受光素子は、受光した正反射光と乱反射光を光電変換して制御部90(図3参照)に出力信号を出力する。そして、正反射光と乱反射光の出力信号の特性変化からトナー量を検知し、予め定められた基準濃度と比較して現像バイアスの特性値などを調整することにより、各色について濃度補正が行われる。
図2は、本発明のカラープリンター100に搭載される現像装置3aの構成を示す側面断面図である。なお、ここでは図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aについて説明するが、画像形成部Pb〜Pdに配置される現像装置3b〜3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
図2に示すように、現像装置3aは、二成分現像剤(以下、単に現像剤ともいう)が収納される現像容器20を備えており、現像容器20は仕切壁20aによって第1及び第2攪拌室20b、20cに区画され、第1及び第2攪拌室20b、20cには図示しないトナーコンテナから供給されるトナー(正帯電トナー)をキャリアと混合して撹拌し、帯電させるための第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bが回転可能に配設されている。
そして、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって現像剤が攪拌されつつ軸方向に搬送され、仕切壁20aの両端に形成された現像剤通過路(図示せず)を介して第1及び第2攪拌室20b、20c間を循環する。図示の例では、現像容器20は左斜め上方に延在しており、現像容器20内において第2攪拌スクリュー21bの上方には磁気ローラー22が配置され、磁気ローラー22の左斜め上方には現像ローラー23が対向配置されている。そして、現像ローラー23は現像容器20の開口側(図3の左側)において感光体ドラム1aに対向しており、磁気ローラー22及び現像ローラー23は図中時計回り方向に回転する。
なお、現像容器20には、第1攪拌スクリュー21aと対面してトナー濃度センサー(図示せず)が配置されており、トナー濃度センサーで検知されるトナー濃度に応じて補給装置(図示せず)からトナー補給口20dを介して現像容器20内にトナーが補給される。
磁気ローラー22は、非磁性の回転スリーブ22aと、回転スリーブ22aに内包される複数の磁極を有する固定マグネット体22bで構成されている。本実施形態では、固定マグネット体22bの磁極は、主極35、規制極(穂切り用磁極)36、搬送極37、剥離極38、及び汲上極39の5極構成である。磁気ローラー22と現像ローラー23とはその対面位置(対向位置)において所定のギャップをもって対向している。
また、現像容器20には穂切りブレード25が磁気ローラー22の長手方向(図2の紙面と垂直な方向)に沿って取り付けられており、穂切りブレード25は、磁気ローラー22の回転方向(図2の時計回り方向)において、現像ローラー23と磁気ローラー22との対向位置よりも上流側に位置付けられている。そして、穂切りブレード25の先端部と磁気ローラー22表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。
現像ローラー23は、非磁性の現像スリーブ23aと、現像スリーブ23a内に固定された現像ローラー側磁極23bで構成されている。現像ローラー側磁極23bは、固定マグネット体22bの対向する磁極(主極)35と異極性である。
現像ローラー23及び磁気ローラー22には、バイアス制御回路41(図3参照)を介して現像バイアス電源43が接続されている。具体的には、現像ローラー23には直流電源と交流電源から成る第1電源43aが接続されており、磁気ローラー22には、直流電源と交流電源から成る第2電源43bが接続されている。これにより、現像ローラー23には、直流電圧に交流電圧が重畳された現像バイアスが印加され、磁気ローラー22には、直流電圧に交流電圧が重畳された供給バイアスが印加される。現像バイアスは、直流電圧に矩形波形の交流電圧を印加するパルス部と、交流電圧の印加を休止する休止部とを含む。現像バイアスの具体的な波形については後述する。
前述のように、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって、現像剤が攪拌されつつ現像容器20内を循環してトナーを帯電させ、第2攪拌スクリュー21bによって現像剤が磁気ローラー22に搬送される。穂切りブレード25には固定マグネット体22bの規制極36が対向するため、穂切りブレード25として非磁性体或いは規制極36と異なる極性の磁性体を用いることにより、穂切りブレード25の先端と回転スリーブ22aとの隙間に引き合う方向の磁界が発生する。
この磁界により、穂切りブレード25と回転スリーブ22aとの間に磁気ブラシが形成される。そして、磁気ローラー22上の磁気ブラシは穂切りブレード25によって層厚規制された後、現像ローラー23に対向する位置に移動すると、固定マグネット体22bの主極35及び現像ローラー側磁極23bにより引き合う磁界が付与されるため、磁気ブラシは現像ローラー23表面に接触する。そして、磁気ローラー22に印加されるVmag(DC)と現像ローラー23に印加されるVslv(DC)との電位差ΔV、及び磁界によって現像ローラー23上にトナー薄層を形成する。
現像ローラー23上のトナー層厚は現像剤の抵抗や磁気ローラー22と現像ローラー23との回転速度差等によっても変化するが、ΔVによって制御することができる。ΔVを大きくすると現像ローラー23上のトナー層は厚くなり、ΔVを小さくすると薄くなる。現像時におけるΔVの範囲は一般的に100V〜350V程度が適切である。
図3は、本発明のカラープリンター100に用いられる制御経路の一例を示すブロック図である。なお、カラープリンター100を使用する上で装置各部の様々な制御がなされるため、カラープリンター100全体の制御経路は複雑なものとなる。そこで、ここでは制御経路のうち、本発明の実施に必要となる部分を重点的に説明する。
画像入力部40は、カラープリンター100にパーソナルコンピューター等から送信される画像データを受信する受信部である。画像入力部40より入力された画像信号はデジタル信号に変換された後、一時記憶部94に送出される。
バイアス制御回路41は、帯電バイアス電源42、現像バイアス電源43、及び転写バイアス電源44と接続され、制御部90からの出力信号によりこれらの各電源を作動させるものであり、これらの各電源はバイアス制御回路41からの制御信号によって、帯電バイアス電源42は帯電装置2a〜2d内の帯電ローラーに、現像バイアス電源43は現像装置3a〜3d内の磁気ローラー22及び現像ローラー23に、転写バイアス電源44は一次転写ローラー6a〜6d及び二次転写ローラー9に、それぞれ所定のバイアスを印加する。
メインモーター45はギヤ列を介して感光体ドラム1a〜1d、現像装置3a〜3d、一次転写ローラー6a〜6d、定着部7、二次転写ローラー9、駆動ローラー11、及び装置各部の搬送ローラー等に連結されており、制御部90からの制御信号に基づいて装置各部を駆動させる。また、本発明においては、記録媒体の厚みや種類に応じて現像装置3a〜3d及び定着部7を含む装置各部の駆動速度を切り換え可能となっている。
操作部50には、液晶表示部51、各種の状態を示すLED52が設けられており、カラープリンター100の状態を示したり、画像形成状況や印字部数を表示したりするようになっている。カラープリンター100の各種設定はパーソナルコンピューターのプリンタードライバーから行われる。
その他、操作部50には、画像形成を開始するようにユーザーが指示するスタートボタン、画像形成を中止する際等に使用するストップ/クリアボタン、カラープリンター100の各種設定をデフォルト状態にする際に使用するリセットボタン等が設けられている。
制御部90は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)91、読み出し専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)92、読み書き自在の記憶部であるRAM(Random Access Memory)93、一時的に画像データ等を記憶する一時記憶部94、カウンター95、カラープリンター100内の各装置に制御信号を送信したり操作部50からの入力信号を受信したりする複数(ここでは2つ)のI/F(インターフェイス)96を少なくとも備えている。また、制御部90は、装置本体内部の任意の場所に配置可能である。
ROM92には、カラープリンター100の制御用プログラムや、制御上の必要な数値等、カラープリンター100の使用中に変更されることがないようなデータ等が収められている。RAM93には、カラープリンター100の制御途中で発生した必要なデータや、カラープリンター100の制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される。また、RAM93(或いはROM92)には、後述するようにプロセス速度に応じて変化させる現像バイアスのパルス部と休止部の比率等も記憶される。一時記憶部94は、パーソナルコンピューター等から送信される画像データを受信する画像入力部(図示せず)より入力され、デジタル信号に変換された画像信号を一時的に記憶する。カウンター95は、印字枚数を累積してカウントする。
また、制御部90は、カラープリンター100における各部分、装置に対し、CPU91からI/F96を通じて制御信号を送信する。また、各部分、装置からその状態を示す信号や入力信号がI/F96を通じてCPU91に送信される。制御部90が制御する各部分、装置としては、例えば、画像形成部Pa〜Pd、露光装置4、定着部7、中間転写ベルト8、二次転写ローラー9、画像濃度センサー40、バイアス制御回路41、操作部50等が挙げられる。
図4は、現像装置3a〜3dにおいて現像ローラー23に印加される現像バイアスの波形Pの一例を示すグラフである。現像バイアスの波形Pは、図4に示すように、矩形波形の交流バイアスを印加するパルス部T1と、交流バイアスの印加を休止した休止部T2とを有するブランクパルスバイアスである。
現像バイアスの波形Pは、交流電圧のデューティ比がトナーにより静電潜像が現像される方向に50%以上であり、例えば、図4に示すように、50%に設定される。つまり、交流電圧を印加するパルス部T1のうち、感光体ドラム1a〜1dの表面に予め形成された静電潜像が現像される方向(以下、第1方向という)P1の電圧P11、P12の印加時間T3が、トナーを現像ローラー23へ引き戻す方向(以下、第2方向という)P2の電圧P21、P22の印加時間T4と同等である。このようにT3がT4と同等以上の現像バイアスであると、現像ギャップが広がったときであっても、多くのトナーが感光体ドラム37まで到達できるので、現像ギャップが広がったときの画像ムラ、特に網点画像の濃度低下による画像ムラを抑制できる。
また、現像バイアスの波形Pは、パルス部T1における交流電圧の周期数(パルス数)が2以上であり、例えば、図4に示すように2周期に設定される。このような現像バイアスを用いると、第1方向P1の電圧P11、P12と第2方向P2の電圧P21、P22とが交互にそれぞれ2回以上印加される。その結果、潜像部に付着したトナーには、感光体ドラム1a〜1dにより強固に付着させる方向の力と、感光体ドラム1a〜1dから引き剥がす方向の力とが交互に作用するので、トナーの再配置が進み、潜像部に均一にトナーが付着する。さらに、非潜像部(地肌部)に付着したトナーも、上記2種類の力が交互に作用することによって、潜像部に再付着される。従って、静電潜像の形状に応じたより忠実なトナー像が形成される。
さらに、現像バイアスの波形Pは、パルス部T1の休止部T2に移行する直前の交流電圧P22が、第2方向P2の電圧である。このような現像バイアスを用いると、トナーを現像ローラー23へ引き戻す方向の力を作用させた直後に、交流電圧を印加しない休止部T2に移行する。その結果、トナーが感光体ドラム1a〜1dから現像ローラー23に向かう方向の力を、潜像部に付着したトナーが引き剥がされない程度の弱い力で長時間作用させることができるので、潜像部に付着したトナーは引き剥がすことなく、非潜像部に付着している不要なトナーのみを引き剥がすことができ、画像かぶりを抑制することができる。従って、現像ギャップが狭くなったときの画像ムラ、特にベタ画像の引き剥がしによる画像ムラを抑制できる。
以上より、現像装置3a〜3dは、現像バイアスとして上記のようなブランクパルスバイアスを印加することによって、現像ギャップの変動による画像ムラの発生を効果的に抑制することができる。
現像バイアスとしては、上述のような交流電圧であれば、交流電圧のみであっても、直流電圧に交流電圧を重畳した重畳電圧であってもよい。また、直流電圧の電圧値は、交流電圧における第2方向P2の電圧P21、P22の絶対値より低いことが好ましく、例えば150V以下であることが好ましい。交流電圧のピークツーピーク値は、500〜2000Vであることが好ましく、例えば、1200Vや1500Vに設定される。また、交流電圧の周波数は1〜6kHzであることが好ましい。
現像バイアスの好ましい具体例としては、例えば、図4に示すように、パルス部T1と休止部T2のインターバル(継続時間)が等しく、テューティ比(T3/(T3+T4))=0.5、最大電圧V1=1000V、最小電圧V2=−200V、休止部T2の電圧V3が0V、周期数が2周期である。
また、本発明のカラープリンター100では、上述したように、搬送される転写紙Sの厚みや種類に応じて、画像処理速度(プロセス速度)が3段階に切り換えられる。即ち、転写紙Sが普通紙である場合は通常の駆動速度(全速モード)で画像形成処理が行われ、転写紙Sが厚紙である場合は通常の3/4速(中間速モード)または1/2速(半速モード)で画像形成処理が行われる。これにより、厚紙を用いる場合に十分な定着時間を確保して画質を向上させることができる。
一方、上述したようにメインモーター45を用いて定着部7と共に現像装置3a〜3dの駆動を行う場合、全速モードから中間速モードまたは減速モードに切り換えられると、現像装置3a〜3dの駆動速度(現像ローラー23の回転速度)も全速モードの3/4または1/2となる。その結果、現像ローラー23上のトナーが現像ニップ部を通過する時間も長くなるため、現像時間が過剰になり、ベタ画像のエッジ部とそれ以外の部分とで濃度差が大きくなる、いわゆる後端溜まりが発生してしまう。
上記の現象は、各使用モード(全速モード、中間速モードまたは半速モード)におけるプロセス速度に応じて、パルス部T1と休止部T2の時間比率(以下、ブランク比という)の最適設定が異なることが原因である。
そこで、本発明においては、プロセス速度に応じて現像バイアスのブランク比を変更することとした。具体的には、全速モードから中間速モード、半速モードの順にプロセス速度が低下するにつれて、休止部T2の時間比率を段階的に大きくする。上記の制御によれば、プロセス速度に応じた適切な現像時間が確保されるため、後端溜まりの発生を効果的に抑制することができる。
また、休止部T2の時間比率が大きくなり過ぎると、休止部T2の周期で発生する濃度ムラが目立つようになることがある。そこで、休止部T2のインターバルを、各プロセス速度において休止部T2の周期で濃度ムラが発生しない最大の比率以下とし、後端溜まりの抑制と濃度ムラの抑制との両立を図ることができる適切な長さに設定することが好ましい。
なお、パルス部T1のインターバルを変化させてブランク比を変更すると、現像性に影響を及ぼすおそれがある。そのため、ブランク比の変更は、パルス部T1のインターバルは変化させずに、休止部T2のインターバルのみを変化させて行うことが好ましい。
図5は、本発明のカラープリンター100に搭載される現像装置3aの他の構成例を示す側面断面図である。図2と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。図5に示すように、電圧印加装置43は、現像ローラー23に接続される第1電源43aと、第1電源43aと現像ローラー23の間から分岐して設けられ、磁気ローラー22に接続される第2電源43bと、を備えており(デュアルバイアス制御)、第1電源43a及び第2電源43bは共通のグランドに接地されている。
この構成によれば、現像ローラー23には第1電源43aから直流電圧に交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される。一方、磁気ローラー22には、供給バイアスとして、第1電源43aから印加されるバイアスをベースに、第2電源43bから直流電圧に交流電圧を重畳したバイアスが重畳して印加される。
図2に示したように、第1電源43a及び第2電源43bを、それぞれ現像ローラー23及び磁気ローラー22に別個に接続する方式(シングルバイアス制御)では、現像ローラー23と磁気ローラー22との間(MS間)に印加されるバイアス波形(現像バイアスと供給バイアスの合成波形)のデューティ比と、現像ローラー23と感光体ドラム1aとの間(DS間)に印加されるバイアス波形(現像バイアスの波形)のデューティ比は、トータルで100%となるように反転した設定とする必要があり、一方のデューティ比を高く設定しようとすると、もう一方を低く設定せざるを得なかった。
これに対し、図5に示すデュアルバイアス制御によれば、MS間に印加されるバイアス波形(現像バイアスと供給バイアスの合成波形)が第2電源43bのバイアス波形と等しくなり、第1電源43aのバイアスによる影響を受けることがない。また、DS間に印加されるバイアス波形も第2電源43bによる影響を受けることなく、第1電源43aのバイアスのみで制御することができる。
即ち、DS間のバイアス波形及びMS間のバイアス波形は、互いに独立して各バイアスの電圧とデューティ比を設定することができる。このため、磁気ローラー22から現像ローラー23へのトナー薄層の形成、及び現像ローラー23から磁気ローラー22へのトナー回収を良好に維持するように、MS間のデューティ比を大きく(例えば70%に)維持したまま、DS間のデューティ比を大きく(例えば50%に)設定することで、トナーが感光体ドラム1aへ飛翔する時間を長くとることができ、現像性を向上させることができる。また、現像ローラー23へトナーを引き戻す方向の電圧(Vmin)がマイナス側に大きくなるため、トナーの往復運動(トナークラウド)を強めることができる。
図5に示した構成においても、全速モードから中間速モード、半速モードの順にプロセス速度が低下するにつれて、休止部T2の時間比率を段階的に大きくすることで、プロセス速度に応じた適切な現像時間が確保されるため、後端溜まりの発生を効果的に抑制することができる。また、休止部T2のインターバルを、休止部T2の周期で発生する濃度ムラが目立たない程度の長さに設定することで、後端溜まりの抑制と濃度ムラの抑制との両立を図ることができる。なお、ブランク比の変更は、パルス部T1のインターバルは変化させずに、休止部T2のインターバルのみを変化させて行うことが好ましい。
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば上記各実施形態においては、本発明を、二成分現像剤を用い、磁気ローラー22上に磁気ブラシを形成し、磁気ローラー22から現像ローラー23にトナーのみを移動させ、現像ローラー23から感光体ドラム1a〜1dにトナーを飛翔させる非接触現像方式の現像装置3a〜3dに適用したが、その他、磁気ローラー22を設けず現像ローラー23のみを設け、一成分現像剤を用いて現像ローラー23上に形成される現像剤層(トナー層)を感光体ドラム1a〜1dに飛翔させる非接触現像方式の現像装置にも適用することができる。
また本発明は、図1に示したようなカラープリンター100に限らず、モノクロプリンターやモノクロ複写機、デジタル複合機、タンデム式或いはロータリー式のカラー複写機、或いはファクシミリ等、非接触現像方式の現像装置を備えた種々の画像形成装置に適用できる。以下、実施例を用いて本発明の効果を更に具体的に説明する。
図2に示した現像装置3a〜3dが搭載された、図1に示すようなカラープリンター100を、全速モード、中間速モード(全速モードの3/4速)、半速モード(全速モードの1/2速)のそれぞれのモードで使用する際に、図4に示した現像バイアスのパルス部T1と休止部T2の時間比率T1:T2(ブランク比)を変化させたときの、ベタ画像のエッジ部における濃度差、及び現像ギャップの変動に起因する濃度ムラの発生について調査した。なお、試験は感光体ドラム1a及び現像装置3aを含むシアンの画像形成部Paにおいて、全速モード、中間速モード、半速モードのプロセス速度(感光体ドラム周速)を、それぞれ180mm/sec、135mm/sec、90mm/secに設定して行った。
試験機の条件としては、感光層として厚さ20μmのアモルファスシリコン層を有する感光体ドラム1aを用いた。また、現像ローラー23に印加する現像バイアスは、70Vの直流電圧に、ピークツーピーク値(Vpp)=1500V、デューティ比0.5、周波数4700Hzの交流電圧を2パルスのインターバルで重畳して印加したパルス部T1と、交流電圧をオフとし、70Vの直流電圧のみを印加した休止部T2から成るブランクパルスバイアスである。
そして、全速モード(デフォルト)における休止部T2のインターバルを交流波形2パルス分(ブランク比2:2)とし、休止部T2のインターバルを変化させてブランク比を5:1〜5:5まで変化させたときのベタ画像のエッジ部における濃度差、及び現像ギャップの変動に起因する濃度ムラの発生状況を評価した。
ベタ画像のエッジ部における濃度差の評価方法としては、印字率100%のベタ画像を印字し、図6に示すように、搬送方向におけるベタ画像の濃度変化のピーク部と平坦部との濃度差d1を測定する。そして、濃度差d1が視認できる所定の閾値以下の場合を○、濃度差d1が閾値を超え、目視によりやや目立つ場合を△、閾値を大幅に超え、目視により顕著に目立つ場合を×とした。
現像ギャップの変動に起因する濃度ムラの評価方法としては、印字率25%のハーフトーン画像を印字し、図7に示すように、現像ローラー23が1周する間の濃度変化d2を測定する。そして、濃度変化d2と濃度むらが視認できる所定の閾値以下の場合を○、濃度変化d2が閾値を超え、目視により濃度むらがやや目立つ場合を△、閾値を大幅に超え、目視により濃度むらが顕著に目立つ場合を×とした。全速モード、中間速モード、半速モードにおける結果を、それぞれ表1〜表3に示す。
表1〜表3から明らかなように、中間速モード、半速モードにおいては、全速モードに比べてベタ画像のエッジ部における濃度差(後端溜まり)が発生し易くなっており、休止部T2の時間比率を大きくするほど、ベタ画像のエッジ部における濃度差(後端溜まり)が解消された。これは、休止部T2の時間比率を長くすると、現像ニップの下流側における現像性を抑制する設定となり、現像ローラー23と感光体ドラム1aとの間に浮遊するトナーが感光体ドラム1a側に飛翔しなくなるため、ベタ画像の後端部における過剰現像(吸い込み現象)が抑制されるためである。
一方、全速モード及び中間速モードにおいては、休止部T2の時間比率が大きくなるほど現像ギャップ変動による濃度ムラが顕著になった。また、半速モードにおいては、休止部T2の時間比率を変化させても現像ギャップ変動による濃度ムラは認められなかった。このことから、プロセス速度が速くなると、休止部T2の時間比率が長くなるにつれて、休止部T2の周期で発生する濃度ムラが目立つようになることがわかる。
以上の結果より、全速モード、中間速モード、及び半速モードのそれぞれにおいて、現像バイアスとして用いるブランクパルスバイアスのブランク比を最適な設定(全速モードで5:1〜5:2、中間速モードで5:3、半速モードで5:4〜5:5)とすることで、ベタ画像のエッジ部における濃度差の抑制と現像ギャップ変動による濃度ムラの両方を効果的似抑制できることが確認された。なお、ここではシアンの画像形成部Paを用いて試験を行ったが、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像形成部Pb〜Pdにおいても同様の結果が得られることが確認されている。