JP6152777B2 - 改質エチレン系重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、改質エチレン系重合体の製造方法に関し、さらに詳しくは、有機過酸化物による変成によって溶融張力を向上させる、改質エチレン系重合体の製造方法に関する。
一般的に、分子構造が線状であるポリエチレン(線状ポリエチレン)は成型加工性に乏しいことが知られており、成型加工性を改善する方法として、分子構造中に枝分かれ構造を有する長鎖分岐ポリエチレンを線状ポリエチレンにブレンドする方法が知られている。従来から、代表的な長鎖分岐ポリエチレンとしては、高圧法低密度ポリエチレン(HPLD)がよく知られており、工業的にも広く用いられている。ところが、HPLDはその製造工程が複雑で、製造設備が極めて高価となるという問題点がある。
近年の触媒技術の進歩により、高圧法でなくとも長鎖分岐ポリエチレンが製造できる技術が数多く提案されている。例えば、メタロセンとして架橋ビスインデニル化合物(例えば、特許文献1参照)や幾何拘束ハーフメタロセン(特許文献2参照)を用いて、長鎖分岐ポリエチレンを製造する方法が提案されている。
また、特許文献3には、シクロペンタジエニル基とインデニル基を炭素架橋した非対称型メタロセンとメチルアルミノキサンを用いて、溶液重合でエチレンのホモ重合を行なうと、分岐を持つポリエチレンが製造可能なことが報告されている。
さらに、特許文献4では、シクロペンタジエニル基とインデニル基を架橋基で架橋した非対称型メタロセンのうち、シクロペンタジエニル基上に該架橋基以外の置換基が無く、かつインデニル基3位に水素あるいは特定の置換基を有する、特定の非対称型メタロセンを必須成分としたオレフィン重合用担持触媒、さらには、そのオレフィン重合用担持触媒を用いた成型加工性が改善されたエチレン系重合体の製造方法が提案されている。
しかしながら、長鎖分岐を有するポリマーは、その代表的な特性として伸長粘度測定時におけるにおけるストレインハードニング(歪硬化)現象を有することが知られているところ(非特許文献1参照)、これらの引用文献1〜4等に開示されるメタロセンを用いた先行技術では伸長粘度の歪硬化度が不十分である、あるいは、長鎖分岐の分岐指数が未だHPLDには及ばないため、更なる長鎖分岐構造の改良が求められていた。
さらに、最近、本発明者らは、従来以上に高い歪硬化度を有し、長鎖分岐指数が高圧法低密度ポリエチレンに近い長鎖分岐ポリエチレンを製造できる触媒を見出している(特許文献5参照)。このように、触媒技術によって成型加工性向上に適した溶融特性を有する、メタロセン触媒を用いて製造されたポリエチレン(以下、「メタロセン系ポリエチレン」ともいう。)を製造する技術は着実に進歩しているものの、長鎖分岐をさらに導入して溶融特性をこれまで以上に改良する余地は未だ残されている。
一方、ポリエチレンに長鎖分岐を導入する方法として、触媒や重合技術には拠らず、溶融混練や成型加工の工程で有機過酸化物を使用する方法は広く知られている(例えば特許文献6〜8参照)。ポリエチレンに有機過酸化物を加えて加熱することで、ラジカル反応により分子鎖中に長鎖分岐を導入することができ、一般に加える過酸化物の量を多くすれば、分岐度を高くすることができる。
しかし、有機過酸化物を使用することにより、出来上がりのペレットあるいは製品の色相が悪化する、長期耐久性を低下させる、臭気が悪化する等の問題や、食品分野等の特定分野での使用に制限がある等の問題があり、むやみに過酸化物の量を増やすことはできず、溶融特性の改質の度合いにおのずから制限があることが実情であった。
特開平08−048711号公報 特表平07−500622号公報 特開平05−043619号公報 特開2011−137146号公報 特願2012−215715号公報 特開昭60−188412号公報 特開平3−199244号公報 特開平4−130148号公報
「ポリエチレン技術読本」 松浦一雄、三上尚孝編著、工業調査会、2001
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点に鑑み、ポリエチレン、特にメタロセン系ポリエチレンの成型加工性を改善するために、十分な数と長さの長鎖分岐を導入した改質エチレン系重合体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた結果、特定のメルトフローレート(MFR)や密度等の範囲を有し、特に特定の伸張粘度特性を有する遷移金属触媒によって製造された原料エチレン系重合体を有機過酸化物とともに溶融混練することで、従来以上に効率的に溶融張力を向上させられることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記の特性(1)〜(5)を満足する原料エチレン系重合体100重量部に対して、有機過酸化物0.00001〜5重量部を配合し、溶融混練することにより、溶融張力が10mN以上の改質エチレン系重合体を得る工程を含む、改質エチレン系重合体の製造方法が提供される。
(1)MFR=0.1〜200g/10分
(2)密度=0.88〜0.97g/cm
(3)Mw/Mn=2〜10
(4)示差屈折計、粘度検出器、および、光散乱検出器を組み合わせたGPC測定装置により測定される分岐指数g’の分子量10万から100万の間での最低値が0.25〜0.75である。
(5)遷移金属メタロセン化合物を含む触媒を用いたエチレンの重合反応により製造された重合体である。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、原料エチレン系重合体が以下の特性(6)を満足することを特徴とする改質エチレン系重合体の製造方法が提供される。
(6)温度170℃、伸長歪速度2.0(単位:1/秒)で測定される伸長粘度η(t)(単位:Pa・秒)と伸長時間t(単位:秒)の両対数プロットにおいて、歪硬化に起因する伸長粘度の変曲点が観測され、歪硬化後の最大伸長粘度をηMax(t1)、硬化前の伸長粘度の近似直線をηLinear(t1)としたとき、ηMax(t1)/ηLinear(t1)で定義される歪硬化度λmax(2.0)が1.2〜30である。なお、t1は最大伸長粘度の観測された時間(単位:秒)である。
また、本発明の第3の発明によれば、第1または第2の発明において、有機過酸化物の1分間半減期分解温度が150〜200℃であることを特徴とする改質エチレン系重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、原料エチレン系重合体が、次の必須成分(Ac)を含む重合用触媒によって製造されることを特徴とするに記載の改質エチレン系重合体の製造方法が提供される。
成分(Ac):下記一般式(1c)で示されるメタロセン化合物
[式(1c)中、M1cは、Ti、ZrまたはHfの遷移金属を示す。X1cおよびX2cは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、酸素若しくは窒素を含む炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基置換アミノ基または炭素数1〜20のアルコキシ基を示す。Q1cとQ2cは、炭素原子、ケイ素原子またはゲルマニウム原子を示す。R1cは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、2つまたは4つのR1cは、結合しているQ1cおよびQ2cと一緒に環を形成していてもよい。mは、0または1であり、mが0の場合、Q1cは、R2cを含む共役5員環と直接結合している。R2c、R4cは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、酸素を含む炭素数1〜20の炭化水素基または炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基を示す。R3cは、次の一般式(1−ac)で示される置換アリール基を示す。]
[式(1−ac)中、Y1cは、周期表14族、15族または16族の原子を示す。R5c、R6c、R7c、R8cおよびR9cは、それぞれ独立して、水素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、酸素若しくは窒素を含む炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基置換アミノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、または炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基を示し、R5c、R6c、R7c、R8cおよびR9cは隣接するR同士でそれらに結合している原子と一緒に環を形成していてもよい。nは、0または1であり、nが0の場合、Y1cに置換基R5cが存在しない。pは、0または1であり、pが0の場合、R8cとR8cが結合する炭素原子は存在せず、R7cが結合する炭素原子とR9cが結合する炭素原子は直接結合している。Y1cが炭素原子の場合、R5c、R6c、R7c、R8c、R9cのうち少なくとも1つは水素原子ではない。]
また、本発明の第5の発明によれば、第4の発明のおいて、重合用触媒が、さらに、下記の必須成分(B)および(C)を含むことを特徴とする改質エチレン系重合体の製造方法が提供される。
成分(B):成分(Ac)と反応してカチオン性メタロセン化合物
を生成させる化合物
成分(C):微粒子担体
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、温度140〜210℃の範囲で溶融混練を行うことを特徴とする改質エチレン系重合体の製造方法が提供される。
本発明の製造方法により、成型加工性が改善され、十分な数と長さの長鎖分岐を導入した改質エチレン系重合体を得ることができ、ポリエチレン、特にメタロセン系ポリエチレンの成型加工性を改善することができる。
本発明の製造方法によって得られる改質エチレン系重合体は、従来技術により製造されたエチレン系重合体と比べて、流動性(MFR)の割に高い溶融張力(MT)を有しており、各種成型加工を向上させる特性を有している。よって、例えば高い溶融張力を保ったまま、流動性を上げることができ、成形加工時に押出機にかかる負荷を小さくし、成形加工時の電力消費を抑えることができる。
また、ある特定のMTを得るために有機過酸化物によるエチレン系重合体の変成を行った場合、従来技術と比べて有機過酸化物の添加量を削減することができる。少量の有機過酸化物の使用により高いMTを達成できるので、改質ポリエチレンへの有機過酸化物の残留を抑制でき、色相の悪化や臭気の悪化も抑えることができると考えられる。
図1は、GPC−VIS測定から算出する分子量分布曲線及び分岐指数(g’)と分子量(M)との関係を示すグラフである。 図2は、伸長粘度の変曲点が観察される場合(実施例の重合例1)の伸長粘度のグラフ図である。 図3は、伸長粘度の変曲点が観察されない場合の伸長粘度のプロット図である。 図4は、実施例1〜4および比較例1〜4におけるMFRと溶融張力(MT)の関係を示したプロット図である。 図5は、実施例1〜4および比較例5、6におけるMFRと溶融張力(MT)の関係を示したプロット図である。
本発明は、原料エチレン系重合体として、遷移金属を含む重合触媒によって製造された、長鎖分岐を有するエチレン系重合体を用い、これを有機過酸化物とともに溶融混練することにより、従来以上に効率的にかつ十分な量の長鎖分岐が導入された改質エチレン系重合体を製造する方法に係るものである。以下、本発明を項目ごとに説明する。
1.原料エチレン系重合体
本発明で、過酸化物による変成に供する原料エチレン系重合体とは、エチレンの単独重合体またはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体である。ここで用いられる共重合成分であるα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン−1、テトラデセン−1、ヘキサデセン−1、オクタデセン−1、エイコセン−1等が挙げられる。また、これらα−オレフィンは1種のみでもよく、また2種以上が併用されていてもよい。これらのうち、より好ましいα−オレフィンは炭素数3〜10のものであり、具体的にはプロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン−1等が挙げられる。更に好ましいα−オレフィンは炭素数4〜8のものであり、具体的にはブテン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等が挙げられる。特に好ましいα−オレフィンは、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1である。
原料エチレン系重合体中におけるエチレンとα−オレフィンの割合は、エチレン約80〜約100重量%、α−オレフィン約0〜約20重量%であり、好ましくはエチレン約85〜99.9重量%、α−オレフィン約0.1〜15重量%であり、より好ましくはエチレン約90〜99.5重量%、α−オレフィン約0.5〜10重量%であり、さらに好ましくはエチレン約90〜99重量%、α−オレフィン約1〜10重量%である。エチレン含量がこの範囲内であれば、改質エチレン系重合体や該成形体の剛性と衝撃強度のバランスがよい。
共重合は、交互共重合、ランダム共重合、ブロック共重合のいずれであっても差し支えない。もちろん、エチレンやα−オレフィン以外のコモノマーを少量使用することも可能であり、この場合、スチレン、4−メチルスチレン、4−ジメチルアミノスチレン等のスチレン類、1,4−ブタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等のジエン類、ノルボルネン、シクロペンテン等の環状化合物、ヘキセノール、ヘキセン酸、オクテン酸メチル等の含酸素化合物類、等の重合性二重結合を有する化合物を挙げることができる。
2.原料エチレン系重合体の各特性
[特性(1) MFR]
原料エチレン系重合体のMFRの範囲は、0.1〜200g/10分である。ここで、MFRはJIS K7210の「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠して、190℃、21.18N(2.16kg)荷重の条件で測定したときの値をいう。好ましいMFRの範囲は0.1〜200g/10分、より好ましくは0.5〜100g/分、さらに好ましくは、1〜50g/分である。
MFRが上記範囲を下回るものは、過酸化物による変成の結果として得られる改質エチレン系重合体のMFRが低くなりすぎて、フィルム成型、シート成型、ブロー成型、射出成型などの一般的なエチレン系重合体の成型に適さないものとなる。上記範囲を上回るものについては、流動性が高すぎ、改質をしたとしても溶融張力(MT)の値が十分でなく、成形性の改質効果が得られない。
[特性(2) 密度]
原料エチレン系重合体の密度の範囲は、0.88〜0.97g/cm、好ましくは0.89〜0.96g/cm、より好ましくは0.90〜0.95g/cmである。
密度が上記範囲内にあると、改質エチレン系重合体や該成形体の衝撃強度と剛性のバランスおよび透明性が優れる。また、密度が0.88g/cm未満では剛性が低下し、製品がフィルムやシート等の厚さの薄い成形体の場合、製品使用時において各種不都合が生じるのはもちろんのこと、製品巻取工程、表面印刷・貼合等の後加工工程において不都合が生じるので好ましくなく、製品がパイプや各種容器等の肉厚成形体の場合、製品が柔らか過ぎて変形するため、必要以上に肉厚な設計を迫られるので好ましくない。一方、密度が0.97g/cmより大きいと衝撃強度や透明性が損なわれるので好ましくない。
なお、密度は、JIS K7112に準拠し、MFR測定時に得られるストランドを100℃で1時間熱処理し、更に室温で1時間放置した後に密度勾配管法で測定したときの値をいう。
[特性(3) Mw/Mn]
原料エチレン系重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、2〜10、好ましくは2〜6、より好ましくは2.5〜5.6である。
Mw/Mnが2未満では流動特性が悪くなり、各種の成型に適さないものとなる。一方、Mw/Mnが10より大きいと成形体の衝撃強度が不十分となったり、透明性が悪化したり、ベトツキしやすくなるので好ましくない。
なお、原料エチレン系重合体のMwやMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定したときの値とし、測定条件は以下の通りである。
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
試料の調製:試料は、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて、1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
各々が0.5mg/mLとなるように、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PE:K=3.92×10−4、α=0.733
[特性(4) 分岐指数g’]
原料エチレン系重合体の示差屈折計、粘度検出器、および、光散乱検出器を組み合わせたGPC測定装置により測定される分岐指数g’の分子量(M)10万から100万の間での最低値は、0.25〜0.75、好ましくは0.35〜0.73であり、より好ましくは0.4〜0.70である。
g’は後述するように、長鎖分岐の存在度合いの尺度であり、g’を上記範囲とするには、ある程度の長鎖分岐をエチレン系重合体に導入させることにより達成することができる。
後述する実施例の重合例1ではg’が0.41のエチレン・1−ヘキセン共重合体が得られているが、例えば、g’の値は、
で後述の重合条件で上記モノマーを重合することによって本発明の範囲内に調製することができるが、特に好ましい重合条件として、重合温度を60℃〜90℃の範囲内、重合系内の圧力を0.5MPa〜1.5MPaの範囲を採用することが望ましい。
なお、エチレン系重合体のg’値は、下記のGPC−VIS測定から算出する分子量分布曲線や分岐指数(g’)を用いた長鎖分岐量の評価手法により測定した値である。
(i)GPC−VISによる分岐構造解析
示差屈折計(RI)および粘度検出器(Viscometer)を装備したGPC装置として、Waters社のAlliance GPCV2000を用いた。また、光散乱検出器として、多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)Wyatt Technology社のDAWN−Eを用いた。検出器は、MALLS、RI、Viscometerの順で接続した。移動相溶媒は、1,2,4−trichlorobenzene(酸化防止剤Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)である。流量は1mL/分である。カラムは、東ソー社 GMHHR−H(S) HTを2本連結して用いた。カラム、試料注入部および各検出器の温度は、140℃である。試料濃度は1mg/mLとした。注入量(サンプルループ容量)は0.2175mLである。MALLSから得られる絶対分子量(M)、慣性二乗半径(Rg)およびViscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、以下の文献を参考にして計算を行った。
参考文献:
1.Developments in polymer characterization, vol.4. Essex: Applied Science; 1984. Chapter1.
2.Polymer, 45, 6495−6505(2004)
3.Macromolecules, 33, 2424−2436(2000)
4.Macromolecules, 33, 6945−6952(2000)
(ii)分岐指数(g’)等の算出
分岐指数(g’)は、サンプルを上記Viscometerで測定して得られる極限粘度(ηbranch)と、別途、線形ポリマーを測定して得られる極限粘度(ηlin)との比(ηbranch/ηlin)として算出する。
ポリマー分子に長鎖分岐が導入されると、同じ分子量の線形のポリマー分子と比較して慣性半径が小さくなる。慣性半径が小さくなると極限粘度が小さくなることから、長鎖分岐が導入されるに従い同じ分子量の線形ポリマーの極限粘度(ηlin)に対する分岐ポリマーの極限粘度(ηbranch)の比(ηbranch/ηlin)は小さくなっていく。したがって分岐指数(g’=ηbranch/ηlin)が1より小さい値になる場合には分岐が導入されていることを意味し、その値が小さくなるに従い導入されている長鎖分岐が増大していくことを意味する。
図1(a)および図1(b)に上記GPC−VISによる解析結果の一例を示した。図1(a)は、MALLSから得られる分子量(M)とRIから得られる濃度を元に測定された分子量分布曲線を、図1(b)は、分子量(M)における分岐指数(g’)を表す。ここで、線形ポリマーとしては、直鎖ポリエチレンStandard Reference Material 1475a(National Institute of Standards & Technology)を用いた。
[特性(5) 触媒]
本発明の原料エチレン系重合体は、遷移金属を含む触媒を用いたエチレンの重合反応により製造された重合体である。原料エチレン系重合体を製造する触媒成分については、後述の「3.原料エチレン系重合体の製造方法」の項にて詳細する。
本発明における原料エチレン系重合体は、遷移金属を含む触媒を用いたエチレンの重合反応により製造された重合体であり、好ましくは、後述の本発明のエチレン系重合体の製造方法の項で詳細に説明された遷移金属を含む触媒を用いたエチレンの重合反応により製造された重合体であり、より好ましくは、遷移金属を含む触媒を用いたエチレンの配位アニオン重合反応により製造された重合体である。
今日、遷移金属を含まないエチレン重合用触媒としては、各種ラジカル重合開始剤がよく知られており、具体的にはジアルキルペルオキシド化合物、アルキルヒドロペルオキシド化合物、過酸化ベンゾイル、過酸化水素等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等のアゾ化合物、等が挙げられるが、これらラジカル重合開始剤を使用したラジカル重合反応で生成するエチレン系重合体は本発明には含まれない。なお、例え、遷移金属を含む触媒であっても、過酸化水素/塩化第一鉄やセリウム塩/アルコールのようないわゆるレドックス系のように重合反応が実質的にラジカル重合で進行する場合は、本発明でいう遷移金属を含む触媒とは見なさない。
[歪硬化度λmax(2.0)]
また、原料エチレン系重合体は、付加的に下記特性(6)を満足することが好ましい。
特性(6):温度170℃、伸長歪速度2.0(単位:1/秒)で測定される伸長粘度η(t)(単位:Pa・秒)と伸長時間t(単位:秒)の両対数プロットにおいて、歪硬化に起因する伸長粘度の変曲点が観測され、歪硬化後の最大伸長粘度をηmax(t1)、硬化前の伸長粘度の近似直線をηLinear(t1)としたとき、ηmax(t1)/ηLinear(t1)で定義される歪硬化度λmax(2.0)が1.2〜30である。ここで、t1は最大伸長粘度の観測された時間(単位:秒)である。
特性(6)は原料エチレン系重合体がある特定の伸長粘度特性を有していることを特徴付ける特性である。一般に、エチレン系重合体には、一般の高密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレンのように、分子構造が直鎖状とみなせるものと、高圧法低密度ポリエチレンのように長鎖分岐を有するものとがある。このうち、直鎖状のものの伸張粘度−時間のプロファイルは、時間と共に伸張粘度ははじめ上昇し、徐々に上昇率が低下して、定常値を示すようになる。他方、長鎖分岐構造を有する場合には、最初は線状の場合と同様に時間と共に上昇率が徐々に低下するものの、歪が1程度を境に逆に上昇率が増加に転じ、歪硬化と呼ばれる現象を示す(例えば「力学的性質I」 高分子学会高分子実験学編集委員会編、共立出版株式会社、1982)。
上記歪硬化度λmax(2.0)が1.2を下回るような原料エチレン系重合体は、長鎖分岐を有するとしても、その量や長さがあまりにも少ないあるいは短いような場合であり、過酸化物による改質を行ったとしても、一般的な直鎖状のエチレン系重合体と比べて、改質における優位性が見られない。逆に、30を上回るような場合には、原料エチレン系重合体には十分な長鎖分岐が既に存在しており、これを過酸化物によって改質すると、流動性が低すぎたり、ゲルが生じたりするおそれがある。すなわち、この特性(6)は、前述の特性(4)と同じく、原料エチレン系重合体が長鎖分岐を有し、それが適切な範囲であることを表す付加的な性質である。λmax(2.0)の好ましい範囲は、2〜20、より好ましくは3〜15である。
[λmax(2.0)/λmax(0.1)]
また、原料エチレン系重合体は、付加的に以下の特性(7)を満足することが好ましい。
特性(7):上記特性(6)と同様にして定義されたλmax(2.0)と、伸長歪速度を0.1(単位:1/秒)として同様に測定した場合のλmax(0.1)の比λmax(2.0)/λmax(0.1)が1.2〜10.0である。
これは、歪速度が速い場合ほど歪硬化度が高いことを表す指標であり、原料エチレン系重合体がこの特性を満足するものが、より好適に用いることができる。
上記歪硬化度の測定方法に関しては、一軸伸長粘度を測定できれば、どのような方法でも原理的には同一の値が得られ、例えば、公知文献:Polymer、42、8663(2001)に測定方法及び測定機器の詳細が記載されている。
本発明に係るエチレン系重合体の測定に当り、好ましい測定方法及び測定機器として、以下を挙げることができる。
測定方法:
・装置:Rheometorics社製 Ares
・冶具:ティーエーインスツルメント社製 Extentional Viscosity Fixture
・測定温度:170℃
・歪み速度:2/秒、0.1/秒
・試験片の作成:プレス成形して18mm×10mm、厚さ0.7mm、のシートを作成する。
・データは歪0〜4までの範囲を200点で取り込み。ただし、最小の取り込み時間間隔は0.01秒
算出方法:
伸長粘度を、横軸に時間t(秒)、縦軸に伸長粘度η(Pa・秒)を両対数グラフでプロットする。その両対数グラフ上で、歪硬化後、歪量が4.0となるまでの最大伸長粘度をηMax(t1)(t1は最大伸長粘度を示す時の時間)とし、歪硬化前の伸長粘度の近似直線をηLinear(t)としたとき、ηMax(t1)/ηLinear(t1)として算出される値を歪硬化度(λmax)と定義する。なお、歪硬化の有無は、時間の経過と共に伸長粘度が上に凸の曲線から下に凸の曲線へと変わる変曲点を有するか、否かによって、判断される。その判定手法は詳細には以下の通りである。
本測定手法においては、伸張粘度は時間に対して離散的な値として得られるから、伸張粘度曲線の傾き(伸張粘度の対数の時間の対数に対する傾き)の変化率を求めるためには、種々の平均法を利用する。たとえば隣接データの傾きをそれぞれ求め、周囲数点(4点が推奨。データが荒れている場合は適宜2〜10点に変更しても良い)の移動平均をとる方法が挙げられる。この傾きの時間に対する変化率を求め、それが歪量(=歪速度×時間)が0.5〜1.5の領域で、時間と共に負の値(つまり上に凸の曲線)から正の値(つまり下に凸の曲線)に変わる点が存在する場合に変曲点を有すると判定し、その時間が歪硬化開始時間である。データが荒れている場合など、そのような負から正に変化する点が複数見られる場合には、歪量がより1に近い点を歪硬化の開始時間とする。歪硬化前の伸張粘度の近似直線は、歪硬化開始点以前の時間で、各時間での上記平均化後の傾きが最小となる時間での傾きを近似直線の傾きとして採用し、傾きが最小となる点を通るように切片を求めるものとする。
図2および図3は典型的な伸長粘度のプロット図である。図2は伸長粘度の変曲点が観測される場合であり、図中にηMax(t1)、ηLinear(t)を示した。図3は伸長粘度の変曲点が観測されない場合である。
[W−15
さらに、原料エチレン系重合体は、付加的に下記特性(8)を満たすことが好ましい。
特性(8):オルトジクロロベンゼン溶媒を用いた温度昇温溶出分別(TREF)測定において、−15℃で溶出する成分の含有量(W−15:単位wt%)が、2.0wt%以下。
−15値の上限は、好ましくは1.1wt%以下であり、より好ましくは0.6wt%以下であり、さらに好ましくは0.5wt%以下であり、特に好ましくは0.4wt%以下であり、最も好ましくは0.3wt%以下である。W−15の下限は検出されないことであり、好ましくは0.0wt%である。この範囲なら耐衝撃性、透明性がより良好である。
TREF測定の条件は、以下の通りである。
試料を140℃でオルトジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)に溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で−15℃まで冷却し、60分間保持する。その後、溶媒であるオルトジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)を1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で−15℃のオルトジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。この時、−15℃で溶出する成分量を−15℃可溶分量、すなわちW−15(単位wt%)とした。
装置
(TREF部)
TREFカラム:4.3mmφ×150mmステンレスカラム
カラム充填材:100μm表面不活性処理ガラスビーズ
加熱方式:アルミヒートブロック
冷却方式:ペルチェ素子(ペルチェ素子の冷却は水冷)
温度分布:±0.5℃
温調器:(株)チノー デジタルプログラム調節計KP1000
(バルブオーブン)
加熱方式:空気浴式オーブン
測定時温度:140℃
温度分布:±1℃
バルブ:6方バルブ、4方バルブ
(試料注入部)
注入方式:ループ注入方式
注入量:ループサイズ 0.1ml
注入口加熱方式:アルミヒートブロック
測定時温度:140℃
(検出部)
検出器:波長固定型赤外検出器 FOXBORO社製 MIRAN 1A
検出波長:3.42μm
高温フローセル:LC−IR用ミクロフローセル、光路長1.5mm、窓形状2φ×4mm長丸、合成サファイア窓板
測定時温度:140℃
(ポンプ部)
送液ポンプ:センシュウ科学社製 SSC−3461ポンプ
測定条件
溶媒:オルトジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)
試料濃度:5mg/mL
試料注入量:0.1mL
溶媒流速:1mL/分
3.原料エチレン系重合体の製造方法
本発明に用いられる原料エチレン系重合体の製造方法としては、上記特性(1)〜(5)、好ましくは特性(6)〜(8)を満たすエチレン系重合体が得られれば、特に限定されないが、好ましくは以下に説明するオレフィン重合用触媒を用いて、製造されることが好ましい。
以下、原料エチレン系重合体の製造に好適に用いられるオレフィン重合用触媒に含まれる各成分、オレフィン重合用触媒、及び、そのオレフィン重合用触媒を用いた原料エチレン系重合体重合体の製造方法について、項目毎に、詳細に説明する。
(1)メタロセン化合物
本発明に用いられる原料エチレン系重合体は、以下の必須成分(Ac)を含むオレフィン重合用触媒によって製造されることが好ましい。
成分(Ac):下記一般式(1c)で示されるメタロセン化合物
[式(1c)中、M1cは、Ti、ZrまたはHfのいずれかの遷移金属を示す。X1cおよびX2cは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、酸素若しくは窒素を含む炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基置換アミノ基または炭素数1〜20のアルコキシ基を示す。Q1cとQ2cは、炭素原子、ケイ素原子またはゲルマニウム原子を示す。R1cは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、4つのR1cは、結合しているQ1cおよびQ2cと一緒に環を形成していてもよい。mは、0または1であり、mが0の場合、Q1cは、R2cを含む共役5員環と直接結合している。R2c、R4cは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、酸素を含む炭素数1〜20の炭化水素基または炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基を示す。R3cは、次の一般式(1−ac)で示される置換アリール基を示す。
(式(1−ac)中、Y1cは、周期表14族、15族または16族の原子を示す。R5c、R6c、R7c、R8cおよびR9cは、それぞれ独立して、水素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、酸素若しくは窒素を含む炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基置換アミノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、または炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基を示し、R5c、R6c、R7c、R8cおよびR9cは隣接するR同士でそれらに結合している原子と一緒に環を形成していてもよい。nは、0または1であり、nが0の場合、Y1cに置換基R5cが存在しない。pは、0または1であり、pが0の場合、R8cとR8cが結合する炭素原子は存在せず、R7cが結合する炭素原子とR9cが結合する炭素原子は直接結合している。Y1cが炭素原子の場合、R5c、R6c、R7c、R8c、R9cのうち少なくとも1つは水素原子ではない。)]
上記、一般式(1c)で表されるメタロセン化合物は、シクロペンタジエニル環とインデニル環を架橋し、さらにインデニル環の4位の特定の置換基を有することに特徴がある。以下に、具体例を列挙する。
上記一般式(1c)中、メタロセン化合物のM1cは、Ti、ZrまたはHfを表す。タロセン化合物のM1cは、好ましくはZrまたはHfを表し、さらに好ましくはZrを表す。
また、X1cおよびX2cは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、酸素若しくは窒素を含む炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基置換アミノ基または炭素数1〜20のアルコキシ基を示す。X1cおよびX2cの具体例としては、水素原子、または塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、i−プロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、i−ブトキシメチル基、t−ブトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、アセチル基、1−オキソプロピル基、1−オキソ−n−ブチル基、2−メチル−1−オキソプロピル基、2,2−ジメチル−1−オキソ−プロピル基、フェニルアセチル基、ジフェニルアセチル基、ベンゾイル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−フリル基、2−テトラヒドロフリル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジi−プロピルアミノメチル基、ビス(ジメチルアミノ)メチル基、ビス(ジi−プロピルアミノ)メチル基、(ジメチルアミノ)(フェニル)メチル基、メチルイミノ基、エチルイミノ基、1−(メチルイミノ)エチル基、1−(フェニルイミノ)エチル基、1−[(フェニルメチル)イミノ]エチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、フェノキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn−プロピルアミノ基、ジi−プロピルアミノ基、ジn−ブチルアミノ基、ジi−ブチルアミノ基、ジt−ブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などが挙げられる。
好ましいX1cおよびX2cの具体例としては、塩素原子、臭素原子、メチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、フェノキシ基、ジメチルアミノ基、ジi−プロピルアミノ基が挙げられる。これらの具体例の中でも、塩素原子、メチル基、ジメチルアミノ基が特に好ましい。
また、Q1cとQ2cは、炭素原子、ケイ素原子またはゲルマニウム原子を示す。Q1cとQ2cは、好ましくは炭素原子またはケイ素原子であり、より好ましくはケイ素原子である。
さらに、R1cは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示すが、R1cの具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基などが挙げられる。
また、4つのR1cは、結合しているQ1cおよびQ2cと一緒に環を形成していてもよいが、R1cがQ1cおよびQ2cと一緒に環を形成している場合として、シクロブチリデン基、シクロペンチリデン基、シクロへキシリデン基、シラシクロブチル基、シラシクロペンチル基、シラシクロヘキシル基などが挙げられる。
好ましいR1cの具体例として、Q1cまたは/およびQ2cが炭素原子の場合、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基、エチレン基、シクロブチリデン基が挙げられ、また、Q1cまたは/およびQ2cがケイ素原子の場合、メチル基、エチル基、フェニル基、シラシクロブチル基が挙げられる。
また、R2c、R4cは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、酸素を含む炭素数1〜20の炭化水素基または炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基を示す。R2cとR4cの具体例としては、水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、3,5−ジ−t−ブチルフェニル基、ビス(トリメチルシリル)メチル基、ビス(t−ブチルジメチルシリル)メチル基、ブロモメチル基、クロロメチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモプロピル基、3−ブロモプロピル基、2−ブロモシクロペンチル基、2,3−ジブロモシクロペンチル基、2−ブロモ−3−ヨードシクロペンチル基、2,3−ジブロモシクロヘキシル基、2−クロロ−3−ヨードシクロヘキシル基、2−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、フリル基、テトラヒドロフリル基、2−メチルフリル基、トリメチルシリル基、トリt−ブチルシリル基、ジt−ブチルメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基などが挙げられる。
また、R2cとR4cのいずれかが、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、酸素を含む炭素数1〜20の炭化水素基または炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基であると、特に重合活性が高くなるので、好ましい。
2cとR4cの好ましい具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、2−メチルフリル基、トリメチルシリル基が挙げられる。これらの具体例の中でも、水素原子、メチル基、n−ブチル基、t−ブチル基、フェニル基、トリメチルシリル基がさらに好ましく、水素原子、メチル基、t−ブチル基、フェニル基、トリメチルシリル基が特に好ましい。
置換基のR3cは、上記一般式(1−ac)で示される構造を有する置換アリール基、好ましくは、特定の置換基を有するフェニル(Ph)基、またはフリル基類、チエニル基類を示す。
具体的には、4−トリメチルシリルフェニル基、4−(t−ブチルジメチルシリル)フェニル基、3,5−ビストリメチルシリルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、4−イソプロポキシフェニル基、4−n−ブトキシフェニル基、2−フリル基、2−(5−メチル)フリル基、2−(5−t−ブチル)フリル基、2−(5−トリメチルシリル)フリル基、2−(4,5−ジメチル)フリル基、2−ベンゾフリル基、2−チエニル基、2−(5−メチル)チエニル基、2−(5−t−ブチル)チエニル基、2−(5−トリメチルシリル)チエニル基、2−(4,5−ジメチル)チエニル基、などが挙げられる。
また、一般式(1c)中、mは、0または1であり、mが0の場合、Q1cは、R2cを含む共役5員環と直接結合している。
また、上記一般式(1c)で示されるメタロセン化合物の中でも、下記一般式(2c)で示されるものが好ましい。
上記の一般式(2c)で示されるメタロセン化合物において、M1c、X1c、X2c、Q1c、R1c、R2cおよびR4cは、前述の一般式(1c)で示されるメタロセン化合物の説明で示した原子および基と同様な構造を選択することができる。また、R10cは前述の一般式(1c)で示されるメタロセン化合物の説明で示したR5c、R6c、R7c、R8c、R9cの原子および基と同様な構造を選択することができる。
また、上記一般式(1c)で示されるメタロセン化合物の中でも、下記一般式(3c)で示されるものも一般式(2c)と同様に好ましい。
上記の一般式(3c)で示されるメタロセン化合物において、M1c、X1c、X2c、Q1c、R1c、R2cおよびR4cは、前述の一般式(1c)で示されるメタロセン化合物の説明で示した原子および基と同様な構造を選択することができる。また、R12c、R13cおよびR14cは、前述の一般式(1c)で示されるメタロセン化合物の説明で示したR5c、R6c、R7c、R8c、R9cの原子および基と同様な構造を選択することができる。そしてZ1cは、酸素原子または硫黄原子を示す。
(2)原料エチレン系重合体の重合用触媒
原料エチレン系重合体を製造する際、好適用いられるオレフィン重合用触媒は、次の必須成分(Ac)、(B)および(C)を含むことが好ましい。
成分(Ac):上記一般式(1c)で示されるメタロセン化合物
成分(B):成分(Ac)のメタロセン化合物と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物
成分(C):微粒子担体
(i) 成分(Ac)
本発明に好適に用いられるオレフィン重合用触媒は、必須成分(Ac)として、上記一般式(1c)で表されるメタロセン化合物、好ましくは上記一般式(2c)及び(3c)で表されるメタロセン化合物を用いる。また、成分(Ac)は、2種以上の上記一般式(1c)、(2c)、(3c)で表されるメタロセン化合物を用いることも可能である。
(ii) 成分(B)
本発明に好適に用いられるオレフィン重合用触媒は、必須成分として、上記成分(Ac)以外に、成分(Ac)と反応してカチオン性メタロセン化合物を形成する化合物である成分(B)を含む。
成分(B)の一つとして、有機アルミニウムオキシ化合物が挙げられる。
上記有機アルミニウムオキシ化合物は、分子中に、Al−O−Al結合を有し、その結合数は通常1〜100、好ましくは1〜50個の範囲にある。このような有機アルミニウムオキシ化合物は、通常、有機アルミニウム化合物と水とを反応させて得られる生成物である。
有機アルミニウムと水との反応は、通常、不活性炭化水素(溶媒)中で行われる。不活性炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素及び芳香族炭化水素が使用できるが、脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素を使用することが好ましい。
有機アルミニウムオキシ化合物の調製に用いる有機アルミニウム化合物は、下記一般式(5)で表される化合物がいずれも使用可能であるが、好ましくはトリアルキルアルミニウムが使用される。
tAlX3−t・・・式(5)
(式(5)中、Rは、炭素数1〜18、好ましくは1〜12のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等の炭化水素基を示し、Xは、水素原子又はハロゲン原子を示し、tは、1≦t≦3の整数を示す。)
トリアルキルアルミニウムのアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等のいずれでも差し支えないが、メチル基であることが特に好ましい。
上記有機アルミニウム化合物は、2種以上混合して使用することもできる。
水と有機アルミニウム化合物との反応比(水/Alモル比)は、0.25/1〜1.2/1、特に、0.5/1〜1/1であることが好ましく、反応温度は、通常−70〜100℃、好ましくは−20〜20℃の範囲にある。反応時間は、通常5分〜24時間、好ましくは10分〜5時間の範囲で選ばれる。反応に要する水として、単なる水のみならず、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物等に含まれる結晶水や反応系中に水が生成しうる成分も利用することもできる。なお、上記した有機アルミニウムオキシ化合物のうち、アルキルアルミニウムと水とを反応させて得られるものは、通常、アルミノキサンと呼ばれ、特にメチルアルミノキサン(実質的にメチルアルミノキサン(MAO)からなるものを含む)は、有機アルミニウムオキシ化合物として、好適である。
もちろん、有機アルミニウムオキシ化合物として、上記した各有機アルミニウムオキシ化合物の2種以上を組み合わせて使用することもでき、また、前記有機アルミニウムオキシ化合物を前述の不活性炭化水素溶媒に溶液または分散させた溶液としたものを用いても良い。
オレフィン重合用触媒の成分(B)として、有機アルミニウムオキシ化合物を用いると、得られるエチレン系重合体の歪硬化度(λmax)が大きくなったり、高分子量成分含有量の尺度であるMz/Mw(ここで、MzはGPCで測定されるZ平均分子量、Mwは同重量平均分子量を示す。)が大きくなって、成形性がより改善されるので好ましい。
また、成分(B)の他の具体例として、ボラン化合物やボレート化合物が挙げられる。上記ボラン化合物をより具体的に表すと、トリフェニルボラン、トリ(o−トリル)ボラン、トリ(p−トリル)ボラン、トリ(m−トリル)ボラン、トリ(o−フルオロフェニル)ボラン、トリス(p−フルオロフェニル)ボラン、トリス(m−フルオロフェニル)ボラン、トリス(2,5−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(4−トリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(3,5―ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロナフチル)ボラン、トリス(パーフルオロビフェニル)、トリス(パーフルオロアントリル)ボラン、トリス(パーフルオロビナフチル)ボランなどが挙げられる。
これらの中でも、トリス(3,5―ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロナフチル)ボラン、トリス(パーフルオロビフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロアントリル)ボラン、トリス(パーフルオロビナフチル)ボランがより好ましく、さらに好ましくはトリス(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロナフチル)ボラン、トリス(パーフルオロビフェニル)ボランが好ましい化合物として例示される。
また、ボレート化合物を具体的に表すと、第1の例は、次の一般式(6)で示される化合物である。
[L−H]+[BR]−・・・式(6)
式(6)中、Lは、中性ルイス塩基であり、Hは、水素原子であり、[L−H]は、アンモニウム、アニリニウム、ホスフォニウム等のブレンステッド酸である。アンモニウムとしては、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、トリ(n−ブチル)アンモニウムなどのトリアルキル置換アンモニウム、ジ(n−プロピル)アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウムなどのジアルキルアンモニウムを例示できる。
また、アニリニウムとしては、N,N−ジメチルアニリニウム、N,N−ジエチルアニリニウム、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムなどのN,N−ジアルキルアニリニウムが例示できる。さらに、ホスフォニウムとしては、トリフェニルホスフォニウム、トリブチルホスホニウム、トリ(メチルフェニル)ホスフォニウム、トリ(ジメチルフェニル)ホスフォニウムなどのトリアリールホスフォニウム、トリアルキルホスフォニウムが挙げられる。
また、式(6)中、RおよびRは、6〜20、好ましくは6〜16の炭素原子を含む、同じか又は異なる芳香族又は置換芳香族炭化水素基で、架橋基によって互いに連結されていてもよく、置換芳香族炭化水素基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等に代表されるアルキル基やフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンが好ましい。さらに、X及びXは、ハイドライド基、ハライド基、1〜20の炭素原子を含む炭化水素基、1個以上の水素原子がハロゲン原子によって置換された1〜20の炭素原子を含む置換炭化水素基である。
上記一般式(6)で表される化合物の具体例としては、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、ジ(1−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボレートなどを例示することができる。
これらの中でも、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレートが好ましい。
また、ボレート化合物の第2の例は、次の一般式(7)で表される。
[L]+[BR]−・・・式(7)
式(7)中、Lは、カルボカチオン、メチルカチオン、エチルカチオン、プロピルカチオン、イソプロピルカチオン、ブチルカチオン、イソブチルカチオン、tert−ブチルカチオン、ペンチルカチオン、トロピニウムカチオン、ベンジルカチオン、トリチルカチオン、ナトリウムカチオン、プロトン等が挙げられる。また、R、R、X及びXは、前記一般式(6)における定義と同じである。
上記化合物の具体例としては、トリチルテトラフェニルボレート、トリチルテトラ(o−トリル)ボレート、トリチルテトラ(p−トリル)ボレート、トリチルテトラ(m−トリル)ボレート、トリチルテトラ(o−フルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(p−フルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(m−フルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(3,5−ジフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリチルテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリチルテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トロピニウムテトラフェニルボレート、トロピニウムテトラ(o−トリル)ボレート、トロピニウムテトラ(p−トリル)ボレート、トロピニウムテトラ(m−トリル)ボレート、トロピニウムテトラ(o−フルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(p−フルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(m−フルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(3,5−ジフルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、NaBPh、NaB(o−CH−Ph)、NaB(p−CH−Ph)、NaB(m−CH−Ph)、NaB(o−F−Ph)、NaB(p−F−Ph)、NaB(m−F−Ph)、NaB(3,5−F−Ph)、NaB(C、NaB(2,6−(CF−Ph)、NaB(3,5−(CF−Ph)、NaB(C10、HBPh・2ジエチルエーテル、HB(3,5−F−Ph)・2ジエチルエーテル、HB(C)4・2ジエチルエーテル、HB(2,6−(CF−Ph)・2ジエチルエーテル、HB(3,5−(CF−Ph)・2ジエチルエーテル、HB(C10・2ジエチルエーテルを例示することができる。
これらの中でも、トリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリチルテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリチルテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トロピニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、NaB(C、NaB(2,6−(CF−Ph)、NaB(3,5−(CF−Ph)、NaB(C10、HB(C・2ジエチルエーテル、HB(2,6−(CF−Ph)・2ジエチルエーテル、HB(3,5−(CF−Ph)・2ジエチルエーテル、HB(C10・2ジエチルエーテルが好ましい。
さらに好ましくは、これらの中でもトリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、NaB(C、NaB(2,6−(CF−Ph)、HB(C・2ジエチルエーテル、HB(2,6−(CF−Ph)・2ジエチルエーテル、HB(3,5−(CF−Ph)・2ジエチルエーテル、HB(C10・2ジエチルエーテルが挙げられる。
成分(B)として、ボラン化合物やボレート化合物を用いると、重合活性や共重合性が高くなるので、長鎖分岐を有するエチレン系重合体の生産性が向上する。また、オレフィン重合用触媒の成分(B)として、前記の有機アルミニウムオキシ化合物と、上記ボラン化合物やボレート化合物との混合物を用いることもできる。さらに、上記ボラン化合物やボレート化合物は、2種以上混合して使用することもできる。
(iii)成分(C)
微粒子担体である成分(C)としては、無機物担体、粒子状ポリマー担体またはこれらの混合物が挙げられる。無機物担体は、金属、金属酸化物、金属塩化物、金属炭酸塩、炭素質物、またはこれらの混合物が使用可能である。
無機物担体に用いることができる好適な金属としては、例えば、鉄、アルミニウム、ニッケルなどが挙げられる。
また、金属酸化物としては、周期表1〜14族の元素の単独酸化物または複合酸化物が挙げられ、例えば、SiO、Al、MgO、CaO、B、TiO、ZrO、Fe、Al・MgO、Al・CaO、Al・SiO、Al・MgO・CaO、Al・MgO・SiO、Al・CuO、Al・Fe、Al・NiO、SiO・MgOなどの天然または合成の各種単独酸化物または複合酸化物を例示することができる。ここで、上記の式は、分子式ではなく、組成のみを表すものであって、本発明において用いられる複合酸化物の構造および成分比率は特に限定されるものではない。また、本発明において用いる金属酸化物は、少量の水分を吸収していても差し支えなく、少量の不純物を含有していても差し支えない。
金属塩化物としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属の塩化物が好ましく、具体的にはMgCl、CaClなどが特に好適である。金属炭酸塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属の炭酸塩が好ましく、具体的には、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどが挙げられる。炭素質物としては、例えば、カーボンブラック、活性炭などが挙げられる。以上の無機物担体は、いずれも本発明に好適に用いることができるが、特に金属酸化物、シリカ、アルミナなどの使用が好ましい。
これら無機物担体は、通常、200〜800℃、好ましくは400〜600℃で空気中または窒素、アルゴン等の不活性ガス中で焼成して、表面水酸基の量を0.8〜1.5mmol/gに調節して用いるのが好ましい。これら無機物担体の性状としては、特に制限はないが、通常、平均粒径は5〜200μm、好ましくは10〜150μm、平均細孔径は20〜1000Å、好ましくは50〜500Å、比表面積は150〜1000m/g、好ましくは200〜700m/g、細孔容積は0.3〜2.5cm/g、好ましくは0.5〜2.0cm/g、見掛比重は0.20〜0.50g/cm、好ましくは0.25〜0.45g/cmを有する無機物担体を用いるのが好ましい。
上記した無機物担体は、もちろんそのまま用いることもできるが、予備処理としてこれらの担体をトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどの有機アルミニウム化合物やAl−O−Al結合を含む有機アルミニウムオキシ化合物に接触させた後、用いることができる。
(3)オレフィン重合用触媒の調製
成分(Ac)、成分(B)、および成分(C)を含むオレフィン重合用触媒を得る際の各成分の接触方法は、特に限定されず、例えば、以下の方法が任意に採用可能である。
(I)成分(Ac)と、成分(B)とを接触させた後、成分(C)を接触させる。
(II)成分(Ac)と、成分(C)とを接触させた後、成分(B)を接触させる。
(III)成分(B)と、成分(C)とを接触させた後、成分(Ac)を接触させる。
これらの接触方法の中で(I)と(III)が好ましく、さらに(I)が最も好ましい。いずれの接触方法においても、通常は窒素またはアルゴンなどの不活性雰囲気中、一般にベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素(通常炭素数は6〜12)、ヘプタン、ヘキサン、デカン、ドデカン、シクロヘキサンなどの脂肪族あるいは脂環族炭化水素(通常炭素数5〜12)等の液状不活性炭化水素の存在下、撹拌下または非撹拌下に各成分を接触させる方法が採用される。この接触は、通常−100℃〜200℃、好ましくは−50℃〜100℃、さらに好ましくは0℃〜50℃の温度にて、5分〜50時間、好ましくは30分〜24時間、さらに好ましくは30分〜12時間で行うことが望ましい。
また、成分(Ac)、成分(B)と成分(C)の接触に際しては、上記した通り、ある種の成分が可溶ないしは難溶な芳香族炭化水素溶媒と、ある種の成分が不溶ないしは難溶な脂肪族または脂環族炭化水素溶媒とがいずれも使用可能である。
各成分同士の接触反応を段階的に行う場合にあっては、前段で用いた溶媒などを除去することなく、これをそのまま後段の接触反応の溶媒に用いてもよい。また、可溶性溶媒を使用した前段の接触反応後、ある種の成分が不溶もしくは難溶な液状不活性炭化水素(例えば、ペンタン、ヘキサン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素あるいは芳香族炭化水素)を添加して、所望生成物を固形物として回収した後に、あるいは一旦可溶性溶媒の一部または全部を、乾燥等の手段により除去して所望生成物を固形物として取り出した後に、この所望生成物の後段の接触反応を、上記した不活性炭化水素溶媒のいずれかを使用して実施することもできる。本発明では、各成分の接触反応を複数回行うことを妨げない。
本発明において、成分(Ac)と、成分(B)と、成分(C)の使用割合は、特に限定されないが、以下の範囲が好ましい。
成分(B)として、有機アルミニウムオキシ化合物を用いる場合、メタロセン化合物である成分(Ac)中の遷移金属(M1c)に対する有機アルミニウムオキシ化合物のアルミニウムの原子比(Al/M1c)は、通常、1〜100,000、好ましくは5〜1000、さらに好ましくは50〜200の範囲が望ましく、また、ボラン化合物やボレート化合物を用いる場合、メタロセン化合物中の遷移金属(M1c)に対する、ホウ素の原子比(B/M1c)は、通常、0.01〜100、好ましくは0.1〜50、さらに好ましくは0.2〜10の範囲で選択することが望ましい。さらに、成分(B)として、有機アルミニウムオキシ化合物と、ボラン化合物、ボレート化合物との混合物を用いる場合にあっては、混合物における各化合物について、遷移金属(M1c)に対して上記と同様な使用割合で選択することが望ましい。
成分(C)の使用量は、メタロセン化合物である成分(Ac)中の遷移金属0.0001〜5ミリモル当たり、好ましくは0.001〜0.5ミリモル当たり、さらに好ましくは0.01〜0.1ミリモル当たり1gである。
成分(Ac)と、成分(B)と、成分(C)とを前記接触方法(I)〜(III)のいずれかで相互に接触させ、しかる後、溶媒を除去することで、オレフィン重合用触媒を固体触媒として得ることができる。溶媒の除去は、常圧下または減圧下、0〜200℃、好ましくは20〜150℃で1分〜50時間、好ましくは10分〜10時間で行うことが望ましい。
なお、オレフィン重合用触媒は、以下の方法によっても得ることができる。
(IV)成分(Ac)と成分(C)とを接触させて溶媒を除去し、これを固体触媒成分とし、重合条件下で有機アルミニウムオキシ化合物、ボラン化合物、ボレート化合物またはこれらの混合物と接触させる。
(V)有機アルミニウムオキシ化合物、ボラン化合物、ボレート化合物またはこれらの混合物と成分(C)とを接触させて溶媒を除去し、これを固体触媒成分とし、重合条件下で成分(Ac)と接触させる。
上記(IV)、(V)の接触方法の場合も、成分比、接触条件および溶媒除去条件は、前記と同様の条件が使用できる。
また、本発明のエチレン系重合体の製造方法の必須成分である成分(B)と成分(C)とを兼ねる成分として、層状珪酸塩を用いることもできる。層状珪酸塩とは、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる珪酸塩化合物である。大部分の層状珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出するが、これら、層状珪酸塩は特に天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。
これらの中では、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライト等のスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族が好ましい。
一般に、天然品は、非イオン交換性(非膨潤性)であることが多く、その場合は好ましいイオン交換性(ないし膨潤性)を有するものとするために、イオン交換性(ないし膨潤性)を付与するための処理を行うことが好ましい。そのような処理のうちで特に好ましいものとしては、次のような化学処理が挙げられる。ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と層状珪酸塩の結晶構造、化学組成に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。具体的には、(イ)塩酸、硫酸等を用いて行う酸処理、(ロ)NaOH、KOH、NH等を用いて行うアルカリ処理、(ハ)周期表第2族から第14族から選ばれた少なくとも1種の原子を含む陽イオンとハロゲン原子または無機酸由来の陰イオンからなる群より選ばれた少なくとも1種の陰イオンからなる塩類を用いた塩類処理、(ニ)アルコール、炭化水素化合物、ホルムアミド、アニリン等の有機物処理等が挙げられる。これらの処理は、単独で行ってもよいし、2つ以上の処理を組み合わせてもよい。
前記層状珪酸塩は、全ての工程の前、間、後のいずれの時点においても、粉砕、造粒、分粒、分別等によって粒子性状を制御することができる。その方法は、合目的的な任意のものであり得る。特に、造粒法について示せば、例えば、噴霧造粒法、転動造粒法、圧縮造粒法、撹拌造粒法、ブリケッティング法、コンパクティング法、押出造粒法、流動層造粒法、乳化造粒法および液中造粒法等が挙げられる。特に好ましい造粒法は、上記の内、噴霧造粒法、転動造粒法および圧縮造粒法である。
上記した層状珪酸塩は、もちろんそのまま用いることもできるが、これらの層状珪酸塩をトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどの有機アルミニウム化合物やAl−O−Al結合を含む有機アルミニウムオキシ化合物と組み合わせて用いることができる。
本発明のエチレン系重合体の製造方法の必須成分である成分(Ac)を、層状珪酸塩に担持するには、成分(Ac)と層状珪酸塩を相互に接触させる、あるいは成分(Ac)、有機アルミニウム化合物、層状珪酸塩を相互に接触させてもよい。
各成分の接触方法は、特に限定されず、例えば、以下の方法が任意に採用可能である。
(VI)成分(Ac)と有機アルミニウム化合物を接触させた後、層状珪酸塩担体と接触させる。
(VII)成分(Ac)と層状珪酸塩担体を接触させた後、有機アルミニウム化合物と接触させる。
(VIII)有機アルミニウム化合物と層状珪酸塩担体を接触させた後、成分(Ac)と接触させる。
これらの接触方法の中で(VI)と(VIII)が好ましい。いずれの接触方法においても、通常は窒素またはアルゴンなどの不活性雰囲気中、一般にベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素(通常炭素数は6〜12)、ヘプタン、ヘキサン、デカン、ドデカン、シクロヘキサンなどの脂肪族あるいは脂環族炭化水素(通常炭素数5〜12)等の液状不活性炭化水素の存在下、撹拌下または非撹拌下に各成分を接触させる方法が採用される。
成分(Ac)と、有機アルミニウム化合物、層状珪酸塩担体の使用割合は、特に限定されないが、以下の範囲が好ましい。成分(Ac)の担持量は、層状珪酸塩担体1gあたり、0.0001〜5ミリモル、好ましくは0.001〜0.5ミリモル、さらに好ましくは0.01〜0.1ミリモルである。また、有機アルミニウム化合物を用いる場合のAl担持量は、0.01〜100モル、好ましくは0.1〜50モル、さらに好ましくは0.2〜10モルの範囲であることが望ましい。
担持および溶媒除去の方法は、前記の無機物担体と同様の条件が使用できる。触媒成分(B)と成分(C)とを兼ねる成分として、層状珪酸塩を用いると、得られるエチレン系重合体は、分子量分布が狭くなる。さらに、重合活性が高く、長鎖分岐を有するエチレン系重合体の生産性が向上する。こうして得られるオレフィン重合用触媒は、必要に応じてモノマーの予備重合を行った後に使用しても差し支えない。
(4)原料エチレン系重合体の製造方法(重合方法)
上記したオレフィン重合用触媒は、本発明に用いられる原料エチレン系重合体の製造に、好適に使用可能である。
本発明において、重合反応は、前記した担持触媒の存在下、好ましくはスラリー重合、又は気相重合にて、行うことができる。スラリー重合の場合、実質的に酸素、水等を断った状態で、イソブタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等から選ばれる不活性炭化水素溶媒の存在下または不存在下で、エチレン等を重合させる。また、液状エチレンや液状プロピレン等の液体モノマーも溶媒として使用できることは言うまでもない。また、気相重合の場合、エチレンやコモノマーのガス流を導入、流通、または循環した反応器内においてエチレン等を重合させる。本発明において、更に好ましい重合は、気相重合である。重合条件は、温度が0〜250℃、好ましくは20〜110℃、更に好ましくは60〜100℃であり、圧力が常圧〜10MPa、好ましくは常圧〜4MPa、更に好ましくは0.5〜2MPaの範囲にあり、重合時間としては5分〜10時間、好ましくは1時間〜8時間、更に好ましくは2時間〜7時間が採用されるのが普通である。
生成重合体の分子量は、重合温度、触媒のモル比等の重合条件を変えることによってもある程度調節可能であるが、重合反応系に水素を添加することで、より効果的に分子量調節を行うことができる。また、重合系中に、水分除去を目的とした成分、いわゆるスカベンジャーを加えても何ら支障なく実施することができる。なお、かかるスカベンジャーとしては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物、前記有機アルミニウムオキシ化合物、分岐アルキルを含有する変性有機アルミニウム化合物、ジエチル亜鉛、ジブチル亜鉛などの有機亜鉛化合物、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、エチルブチルマグネシウムなどの有機マグネシウム化合物、エチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムクロリドなどのグリニヤ化合物などが使用される。これらのなかでは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、エチルブチルマグネシウムが好ましく、トリエチルアルミニウムが特に好ましい。水素濃度、モノマー量、重合圧力、重合温度等の重合条件が互いに異なる2段階以上の多段階重合方式にも、支障なく適用することができる。
4.改質エチレン系重合体の製造方法
本発明の製造方法は、上記(1)〜(5)の特性を満足し、さらに好ましくは上記(6)〜(8)の特性を満足する原料エチレン系重合体100重量部に対し、有機過酸化物を0.00001〜5重量部加えて、これを溶融混練することによって、溶融張力(MT)が10mN以上という高い溶融張力を有する改質エチレン系重合体を得るものである。
(1)有機過酸化物
ここで、有機過酸化物としては、従来公知の各種の過酸化物を用いることができる。その種類としてはジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシエステル類、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類等が挙げられる。
本発明で使用する有機過酸化物の1分間半減期分解温度が150〜200℃であることが好ましい。また、溶融混練の温度は、エチレン系重合体の混練温度としては常用の範囲である、140〜210℃であることが好ましい。この混練温度に対して、1分間半減期分解温度が上記の範囲にあると、溶融混練のプロセス時間(通常、数秒〜数十分)に対して、有機過酸化物がその時間内で十分に反応することができるからである。
具体的な例示としては、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピル、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキシド、ジt−ヘキシルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、p−メンタンヒドロパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、あるいはこれらのうちから選ばれる複数の過酸化物からなる混合物であっても良い。
なかでも特に2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートが好ましく用いられる。
有機過酸化物の添加量は、原料エチレン系重合体100重量部に対し、0.00001〜5重量部であり、好ましくは0.00005〜3重量部、さらに好ましくは0.0001〜1重量部、最も好ましくは0.005〜0.5重量部である。有機過酸化物量がこの量を下回ると改質効果が十分でなく、上回ると改質エチレン系重合体の色相や長期耐久性、臭気が劣るものとなる。
(2)改質エチレン系重合体の製造方法
有機過酸化物を添加し、溶融混練を行うことで原料エチレン系重合体にさらに長鎖分岐構造を導入することができる。ここで、溶融混練の手法としては、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダーなどの各種公知の溶融混練手法を特に制限無く用いることができる。溶融混練の温度は140〜210℃、好ましくは150〜200℃であるが、例えば単軸押出機、二軸押出機のように、複数の温度設定が可能な混練機であれば、押出機中で過酸化物が反応すると想定されるゾーンの温度を、樹脂の滞留時間と使用する有機過酸化物の半減期温度を考慮して設定すれば良い。
また、溶融混練時間は、通常、1〜25分、好ましくは5〜20分であり、混練の際の回転数は、好ましくは40〜120RPMである。さらに、溶融混練の前に、材料を均質化するため、100〜140℃、1〜10分、回転数2〜100RPM程度の混練をすることが好ましい。
溶融混練中には、本発明の主旨を超えない範囲で、有機過酸化物以外の他の添加剤を添加することができる。例えば、各種α,ω―ジエン、ジビニルベンゼンやトリアリルイソシアヌレート等の架橋助剤や、核剤、フェノール系酸化防止剤、燐系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、中和剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、金属不活性剤、充填剤、抗菌剤、防黴剤、蛍光増白剤、着色剤、可塑剤、発泡剤などである。一般的に、これらの添加剤の配合量は樹脂100重量部に対して0.00001〜3重量部、好ましくは0.0001〜1重量部である。
また、本発明の主旨を超えない範囲で他の樹脂を添加することも可能である。例えば各種ポリエチレン(本発明の原料エチレン系重合体以外のもの)、各種ポリプロピレン、エチレン系エラストマー、その他オレフィン系エラストマー、炭素数4以上を有する各種ポリα−オレフィン重合体、エチレン−ジエン系単量体共重合体、酸変成ポリオレフィン、ポリジエン系(共)重合体、スチレン系エラストマー、アクリル酸系共重合体、メタクリル酸系共重合体、ABS樹脂、石油樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート、各種アイオノマーが挙げられる。これらの添加量は一般に原料エチレン系重合体100重量部に対して、1重量部〜50重量部である。
(3)改質エチレン系重合体の特性
[溶融張力(MT)]
本発明の製造方法により得られる改質ポリエチレンは、溶融張力(MT)が10mN以上である。溶融張力が上記範囲であることにより、ドローダウンしにくく肉厚分布が均一になるなどの成形安定性が期待できるからである。
例えば図5には、本発明の実施形態の一例として、溶融張力が10mN未満の未変性の原料エチレン系重合体(比較例5、比較例6)を、有機過酸化物による変性によって溶融張力を10mN以上に向上させた改質ポリエチレン(実施例1〜4)が示されている。このように、本発明の製造方法によれば、溶融張力が10mN未満のエチレン系重合体であっても、溶融張力を10mN以上とすることができる。
なお、溶融張力は、溶融されたポリエチレンを一定速度で延伸したときの応力を測定することにより測定することができる。
また、一般に溶融張力の値は、MFRが小さくなるほど、大きくなるが、本発明の製造方法は、上記(1)〜(5)などの特性を満足する原料エチレン系重合体を用いることによって、他の従来技術によって製造されたエチレン系重合体と比べてMFRの割に高い溶融張力とするものである。
例えば図4−1〜3には、本発明における原料エチレン系重合体(実施例1〜4)と他の市販のエチレン系重合体(比較例1〜4)を用いて、所定量の有機過酸化物で変性させた場合における、MFRに対する溶融張力(MT)を示しているが、いずれのMFRの範囲においても、本発明の製造方法により得られる改質ポリエチレンの方がより高い溶融張力(MT)を示すことが明かである。
本発明の製造方法により得られる改質ポリエチレンの溶融張力としては、例えば、MFRが1.0〜2.0g/10分である場合、好ましくは50mN以上、より好ましくは60mN以上、さらに好ましくは70mN以上であり、例えば、MFRが2.0g/10分超〜5.0g/10分である場合、好ましくは20mN以上、より好ましくは30mN以上、さらに好ましくは40mN以上である。例えば、MFRが5.0g/10分超〜10.0g/10分である場合、好ましくは10mN以上、より好ましくは12mN以上、さらに好ましくは14mN以上である。
以下に、本発明を実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例において使用した評価方法は、以下のとおりであり、以下の触媒合成工程および重合工程は、すべて精製窒素雰囲気下で行い、また、使用した溶媒は、モレキュラーシーブ4Aで脱水精製したものを用いた。
評価法
(I)各種評価(測定)方法
(i)MFR:
JIS K7210に準拠し、190℃、2.16kg荷重で測定した。
(ii)密度:
密度は、JIS K7112に準拠し、MFR測定時に得られるストランドを100℃で1時間熱処理し、更に室温で1時間放置した後に密度勾配管法で測定した。
(iii)Mw/Mn
GPC測定によって、上記明細書記載の方法にて決定した。
(iv)分岐指数g‘及びW値
示差屈折計、粘度検出器、および、光散乱検出器を組み合わせたGPC測定装置を用い、上記明細書記載の方法にて決定した。
(v)伸長粘度の歪硬化度(λmax)
レオメータを用いて、上記本明細書記載の方法で測定した。なお、試験片の作成に先立ち、以下の手順で重合体の溶解・再沈殿処理を実施した。冷却管を付けた500mlの二口フラスコにキシレン300mlを導入し、室温で窒素バブリングを30分間行った。重合体6.0グラムと2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン(BTH)1.0グラムを導入した。窒素雰囲気下、125℃で30分間撹拌し、重合体をキシレンに完全に溶解させた。重合体が溶解したキシレン溶液をエタノール2.5Lに注ぎ、重合体を析出させた。ろ過により回収した重合体を80℃の真空乾燥機で乾燥した。
(vi)W−15
溶媒にオルトジクロロベンゼンを用いたTREF測定により、明細書記載の方法にて決定した。
(vii)メルトテンション(MT)
東洋精機製作所製のキャピログラフ1C型(バレル内径9.55mm)を用いて下記条件の下で測定した、引取速度3m/分の一定値で引き取る際にかかる荷重(g)をMTとする。
温度:190℃
オリフィス:(L/D=8mm/2.1mm)
ピストンスピード:15mm/分
ダイの出口から荷重測定位置までの距離:40cm
[原料エチレン系重合体の調整]
[メタロセン触媒の調整]
[合成例1]
200mlフラスコにジメチル(4−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)シラン(4.00g、10.7mmol)とジエチルエーテル40mlを加え溶液とした後、−78℃でn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(2.5M、9.4ml、23.5mmol)を加え、室温で2時間、さらに50℃で1時間攪拌した。揮発成分を減圧留去し、続いてジクロロメタン100mlを加え、−78℃で四塩化ジルコニウム(2.50g、10.7mmol)を加えた後、室温で12時間攪拌した。反応混合物をろ過し、得られたろ液を濃縮することで異性体混合物である粗錯体を得た。粗錯体をジエチルエーテル20mlで3回洗浄することでジメチルシリレン(4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)(4−t−ブチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド1.2g(収率21%)を得た。
次に窒素雰囲気下、500ml三口フラスコに600℃で5時間焼成したシリカ30グラムを入れ、150℃のオイルバスで加熱しながら真空ポンプで1時間減圧乾燥した。別途用意した200ml二口フラスコに窒素雰囲気下で、上記で合成したジメチルシリレン(4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)(4−t−ブチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド338ミリグラムを入れ、脱水トルエン67.7mlで溶解した後、更に室温でアルベマール社製の20%メチルアルミノキサン/トルエン溶液43.4mlを加え30分間撹拌した。真空乾燥済みシリカの入った500ml三口フラスコを40℃のオイルバスで加熱および撹拌しながら、上記錯体とメチルアルミノキサンの反応物のトルエン溶液を全量加えた。40℃で1時間撹拌した後、40℃に加熱したままトルエン溶媒を減圧留去することで固体触媒を得た。
[合成例2]
300mlフラスコに、(4−(4−トリメチルシリルフェニル)インデニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシラン1.20g(3.00mmol)、ジエチルエーテル20mlを加え、−70℃まで冷却した。ここに2.5mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液2.60ml(6.60mmol)を滴下した。滴下後、室温に戻し2時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧で留去し、ジクロロメタン30mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。そこに、四塩化ジルコニウム0.770g(3.30mmol)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。反応液をろ過して得られたろ液から溶媒を減圧で留去することで、黄色粉末が得られた。この粉末をトルエン10mlで再結晶し、ジメチルシリレン(4−(4−トリメチルシリルフェニル)インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを黄色結晶として0.500g(収率31%)得た。
次に窒素雰囲気下、500ml三口フラスコに600℃で5時間焼成したシリカ30グラムを入れ、150℃のオイルバスで加熱しながら真空ポンプで1時間減圧乾燥した。別途用意した200ml二口フラスコに窒素雰囲気下で、上記で合成したジメチルシリレン(4−(4−トリメチルシリルフェニル)インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド820ミリグラムを入れ、脱水トルエン67.7mlで溶解した後、更に室温でアルベマール社製の20%メチルアルミノキサン/トルエン溶液43.4mlを加え30分間撹拌した。真空乾燥済みシリカの入った500ml三口フラスコを40℃のオイルバスで加熱および撹拌しながら、上記錯体とメチルアルミノキサンの反応物のトルエン溶液を全量加えた。40℃で1時間撹拌した後、40℃に加熱したままトルエン溶媒を減圧留去することで固体触媒を得た。
[原料エチレン系重合体の重合]
[重合例1]
上記、合成例1で得た固体触媒を使用してエチレン・1−ヘキセン気相連続共重合を行った。すなわち、温度75℃、ヘキセン/エチレンモル比0.009、水素/エチレンモル比6.2×10−4、窒素濃度を20mol%、全圧を0.8MPaに準備された気相連続重合装置(内容積100L、流動床直径10cm、流動床種ポリマ−(分散剤)1.8kg)に該固体触媒を0.51g/時間の速さで間欠的に供給しながらガス組成と温度を一定にして重合を行った。また、系内の清浄性を保つためトリエチルアルミニウム(TEA)のヘキサン稀釈溶液0.03mol/Lを12ml/hrでガス循環ラインに供給した。その結果、生成ポリエチレンの平均生成速度は373g/時間となった。累積5kg以上のポリエチレンを生成した後に得られたエチレン系重合体中の1−ヘキセンの含有量は6.2重量%、MFRと密度は各々9.5g/10分、0.930g/cmであった。
[重合例2]
上記、合成例2で得た固体触媒を使用して上記重合例1と同様にしてエチレン・1−ヘキセン気相連続共重合を行った。すなわち、温度75℃、ヘキセン/エチレンモル比0.003、水素/エチレンモル比5.2×10−3、窒素濃度を20mol%、全圧を0.8MPaに準備された気相連続重合装置(内容積100L、流動床直径10cm、流動床種ポリマ−(分散剤)1.8kg)に該固体触媒を0.92g/時間の速さで間欠的に供給しながらガス組成と温度を一定にして重合を行った。また、系内の清浄性を保つためトリエチルアルミニウム(TEA)のヘキサン稀釈溶液0.03mol/Lを12ml/hrでガス循環ラインに供給した。その結果、生成ポリエチレンの平均生成速度は285g/時間となった。累積4kg以上のポリエチレンを生成した後に得られたエチレン系重合体中の1−ヘキセンの含有量は5.4重量%、MFRと密度は各々7.1g/10分、0.93g/cmであった。
重合の結果得られた原料エチレン系重合体の各種評価結果は表1に示す。
比較用の原料エチレン系重合体として、以下のサンプルを用いた。いずれも各種評価結果を表1に示す。
KJ640T(日本ポリエチレン社製):コモノマー(1−ヘキセン、プロピレン)による短鎖分岐が導入された市販のエチレン・α−オレフィン共重合体。
MFR=30g/10分、密度=0.88g/cm
KS571(日本ポリエチレン社製):コモノマー(1−ヘキセン)による短鎖分岐が導入された市販のエチレン・α−オレフィン共重合体。MFR=12.0g/10分、密度=0.91g/cm
KF370(日本ポリエチレン社製):コモノマー(1−ヘキセン)による短鎖分岐が導入された市販のエチレン・α−オレフィン共重合体。MFR=3.5g/10分、密度=0.91g/cm
なお、これら比較例に用いたサンプルのg’値は表1に示す通り0.80〜0.86と、1よりも小さい。g’値はコモノマー量の影響もある程度受けると、文献Polymer, 46, (2005),p5165−5182に述べられており、これらのサンプルが伸長粘度の歪硬化を示さないことから、比較例のサンプルはコモノマー量の影響でg’値が1よりも小さくなったものと考えられる。
[実施例1]
重合例1により得られた原料エチレン系重合体100重量部に対し、日本油脂製パーヘキサ25B(化合物名:2,5−ジクミル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン;1分間半減期温度179.8℃)を0.02重量部添加する。これを、DSM社製の溶融混練機Xplore中に10g投入し、スクリュー回転数50RPM、バレル温度130℃の条件で5分間混練して均質化したのち、バレル温度を190℃に上昇させ、回転数100RPMで15分間混練したのち、酸化防止剤としてIrg1010を0.02g加え、さらに、Xploreで190℃、100RPM、2分間混練してサンプルを回収した。これを改質エチレン系重合体とする。改質エチレン系重合体のMFR、MTの測定結果を表2に示す。
[実施例2]
添加する有機過酸化物の量を0.05重量部に変更した以外は実施例1と同様に行った。改質エチレン系重合体のMFR、MTの測定結果を表2に示す。
[実施例3]
添加する有機過酸化物の量を0.10重量部に変更した以外は実施例1と同様に行った。改質エチレン系重合体のMFR、MTの測定結果を表2に示す。
[実施例4]
重合例2により得られた原料エチレン系重合体を原材料に使用した以外は実施例2と同様に行った。改質エチレン系重合体のMFR、MTの測定結果を表2に示す。
[比較例1]
KJ640Tを原料エチレン系重合体として使用した以外は、実施例2と同様にして行った。改質エチレン系重合体のMFR、MTの測定結果を表2に示す。
[比較例2]
KJ640Tを原料エチレン系重合体として使用した以外は、実施例3と同様にして行った。改質エチレン系重合体のMFR、MTの測定結果を表2に示す。
[比較例3]
KS571を原料エチレン系重合体として使用した以外は、実施例2と同様にして行った。改質エチレン系重合体のMFR、MTの測定結果を表2に示す。
[比較例4]
KF370を原料エチレン系重合体として使用し、190℃での回転数を50rpmにした以外は、実施例1と同様にして行った。改質エチレン系重合体のMFR、MTの測定結果を表2に示す。
[比較例5]
日本油脂製パーヘキサ25B(化合物名:2,5−ジクミル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン;1分間半減期温度179.8℃)を添加しなかった以外は実施例1と同様にサンプルを得た。混練後のサンプルのMFRは16.3と原料パウダーよりも上昇していた。
[比較例6]
日本油脂製パーヘキサ25B(化合物名:2,5−ジクミル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン;1分間半減期温度179.8℃)を添加しなかった以外は実施例4と同様にサンプルを得た。混練後のサンプルのMFRは7.8であった。
[評価]
図4−1〜図4−3に、実施例及び比較例1〜4のMFRとMTのプロットを示す。図より明らかなように、原料エチレン系重合体として、特性(1)〜(5)を満足するものを使用した実施例1〜4では、比較例と比べて明らかにMFRのわりにMTが高い。このように、従来技術と比べてより高いMTが得られるということは、逆にある特定のMTを得るためには、有機過酸化物の添加量を削減できるということとなり、これは有機過酸化物を添加することで生じる、色相や長期耐久性や臭気等の諸問題を減少させられるということのみならず、安全性や経済的な観点からも有用である。
図5に実施例1〜4及び比較例5、6のMFRとMTのプロットを示す。比較例5、6は特性(1)〜(5)を満足する未変性のポリエチレンであり、すでに比較例1〜4に比べMFRのわりにMTは高めであるが、それを変性することでさらにMTが10mN以上に向上されることが明かである。
本発明の改質エチレン系重合体の製造方法は、従来技術と比べて流動性の割に高い溶融張力(MT)を有しており、各種成型加工を向上させる特性を有するエチレン系重合体を製造する。本発明により製造され改質エチレン系重合体は、高い溶融張力を保ったまま、流動性を上げることができるために、成形加工時に押出機にかかる負荷が小さくなり、成形加工時の電力消費を抑制することができる。この特性はフィルム成形、ブロー成形、発泡成形等の高い溶融張力あるいは伸長粘度特性を要求される分野において、産業上大いに有用である。
また、ある特定の溶融張力(MT)を得るために有機過酸化物によるエチレン系重合体の変成を行った場合、少ない量の有機過酸化物の使用で高い溶融張力(MT)を達成できるので、改質ポリエチレンへの有機過酸化物の残留を抑制できるため、色相の悪化や臭気の悪化を抑えることができると考えられる。

Claims (6)

  1. 下記の特性(1)〜(5)を満足する原料エチレン系重合体100重量部に対して、有機過酸化物0.00001〜5重量部を配合し、溶融混練することにより、溶融張力が10mN以上の改質エチレン系重合体を得る工程を含む、改質エチレン系重合体の製造方法。
    (1)MFR=0.1〜200g/10分
    (2)密度=0.88〜0.97g/cm
    (3)Mw/Mn=2〜10
    (4)示差屈折計、粘度検出器、および、光散乱検出器を組み合わせたGPC測定装置により測定される分岐指数g’の分子量10万から100万の間での最低値が0.25〜0.75である。
    (5)遷移金属メタロセン化合物を含む触媒を用いたエチレンの重合反応により製造された重合体である。
  2. 原料エチレン系重合体が以下の特性(6)を満足することを特徴とする請求項1に記載の改質エチレン系重合体の製造方法。
    (6)温度170℃、伸長歪速度2.0(単位:1/秒)で測定される伸長粘度η(t)(単位:Pa・秒)と伸長時間t(単位:秒)の両対数プロットにおいて、歪硬化に起因する伸長粘度の変曲点が観測され、歪硬化後の最大伸長粘度をηMax(t1)、硬化前の伸長粘度の近似直線をηLinear(t1)としたとき、ηMax(t1)/ηLinear(t1)で定義される歪硬化度λmax(2.0)が1.2〜30である。なお、t1は最大伸長粘度の観測された時間(単位:秒)である。
  3. 有機過酸化物の1分間半減期分解温度が150〜200℃であることを特徴とする請求項1または2に記載の改質エチレン系重合体の製造方法。
  4. 原料エチレン系重合体が、次の必須成分(Ac)を含む重合用触媒によって製造されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の改質エチレン系重合体の製造方法。
    成分(Ac):下記一般式(1c)で示されるメタロセン化合物
    [式(1c)中、M1cは、Ti、ZrまたはHfの遷移金属を示す。X1cおよびX2cは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、酸素若しくは窒素を含む炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基置換アミノ基または炭素数1〜20のアルコキシ基を示す。Q1cとQ2cは、炭素原子、ケイ素原子またはゲルマニウム原子を示す。zR1cは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、2つまたは4つのR1cは、結合しているQ1cおよびQ2cと一緒に環を形成していてもよい。mは、0または1であり、mが0の場合、Q1cは、R2cを含む共役5員環と直接結合している。R2c、R4cは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、酸素を含む炭素数1〜20の炭化水素基または炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基を示す。R3cは、次の一般式(1−ac)で示される置換アリール基を示す。]
    [式(1−ac)中、Y1cは、周期表14族、15族または16族の原子を示す。R5c、R6c、R7c、R8cおよびR9cは、それぞれ独立して、水素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、酸素若しくは窒素を含む炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基置換アミノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、または炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基を示し、R5c、R6c、R7c、R8cおよびR9cは隣接するR同士でそれらに結合している原子と一緒に環を形成していてもよい。nは、0または1であり、nが0の場合、Y1cに置換基R5cが存在しない。pは、0または1であり、pが0の場合、R8cとR8cが結合する炭素原子は存在せず、R7cが結合する炭素原子とR9cが結合する炭素原子は直接結合している。Y1cが炭素原子の場合、R5c、R6c、R7c、R8c、R9cのうち少なくとも1つは水素原子ではない。]
  5. 重合用触媒が、さらに、下記の必須成分(B)および(C)を含むことを特徴とする請求項4に記載の改質エチレン系重合体の製造方法。
    成分(B):成分(Ac)と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物
    成分(C):微粒子担体
  6. 温度140〜210℃の範囲で溶融混練を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の改質エチレン系重合体の製造方法。
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