JP6152775B2 - 有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法、およびそれに用いる有機エレクトロルミネッセンス表示装置形成用マスク基材 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法、およびそれに用いる有機エレクトロルミネッセンス表示装置形成用マスク基材 Download PDF

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Description

本発明は、マスク基材を用いて有機層を塗り分ける有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法に関するものである。
有機エレクトロルミネッセンス素子は、自己発色により視認性が高いこと、液晶表示装置と異なり全固体ディスプレイであるため耐衝撃性に優れていること、応答速度が速いこと、温度変化による影響が少ないこと、および視野角が広いこと等の利点が注目されている。また、有機エレクトロルミネッセンス素子は、自己発光方式の表示装置であるためカラーフィルタが不要である。したがって、発光の利用効率が高く消費電力を低減することができるという利点を有する。なお、以下、有機エレクトロルミネッセンスを有機ELと略す場合がある。
一般に、有機EL表示装置の製造にあたっては、色純度やコントラストが高く、消費電力が低いという観点から発光層等の有機層の塗り分けがなされている。有機層の塗り分け方式としては、例えば塗布方式や蒸着方式が知られているが、有機層を高精細に塗り分けるという観点から、開口部が設けられたメタルマスクを有機層形成面に貼りつけ、上記メタルマスクを介して有機材料を蒸着する蒸着方式が有利であると考えられている。
しかしながら、メタルマスクを用いて有機層の塗り分けをする場合、有機層を形成する面に貼りつけられたメタルマスクの温度が上昇することにより、メタルマスクが熱膨張して寸法変動をもたらすおそれがある。また、上述のようなメタルマスクの温度の上昇に伴い、メタルマスクと密着した有機層の形成面である基板の温度も上昇して、熱膨張および寸法変動をもたらすおそれがある。このように、メタルマスクおよび有機層を形成する基板がそれぞれ熱膨張すると、メタルマスクに設けられた開口部の位置と基板表面における有機層の形成位置との間でズレが生じ、有機層の塗り分けの精度が低下してしまうという問題がある。また、このような問題は、製造される有機EL表示装置が大面積になるにつれて顕著になる。
さらに、メタルマスクを用いて有機層の塗り分けをする場合においては、製造される有機EL表示装置が大面積になるにつれてメタルマスクの大きさも大きくなる。そのため、大面積の有機EL表示装置を製造するにあたっては、メタルマスクの大きさに相当する分だけメタルマスクの重量が増し、製造効率が低下してしまうという問題がある。
上記課題に対して特許文献1では、可視光を透過する樹脂製のマスク用部材を画素電極上に形成し、上記マスク用部材にレーザー光を照射して開口部を形成した後、これをマスクとして有機層を塗り分ける方法が提案されている。具体的には、次のような方法が提案されている。すなわち、図11(a)に例示するように、基板10上に画素電極20R、20Gおよび20Bと上記画素電極20R、20Gおよび20Bの間に絶縁層30とを形成する。次に、図11(b)に例示するように、上記画素電極20R、20Gおよび20B上にマスク用部材40を形成する。続いて、図11(c)に例示するように、マスク用部材40において画素電極20Rに対応する領域にレーザー光Lを照射して、マスク用部材40に開口部を形成する。その後、図11(d)に例示するように、マスク用部材40の開口部により露出した画素電極20R上に有機層50Rを形成し、図11(e)に例示するように、マスク用部材40を除去して、有機層50Rをパターン状に形成する。次に、図11(b)〜(e)に例示した有機層50Rの形成方法と同様の方法により、有機50Gを形成する。すなわち、図11(f)に例示するように、マスク用部材40を形成する。続いて、図11(g)に例示するように、レーザー光Lを照射してマスク用部材40において画素電極20Gに対応する領域に開口部を形成する。その後、図11(h)に例示するように、マスク用部材40の開口部により露出した画素電極20G上に有機層50Gを形成し、図11(i)に例示するように、マスク用部材40を除去して、有機層50Gをパターン状に形成する。最後に、図11(b)〜(i)に例示した有機層50Rおよび50Gの形成方法と同様の方法により、有機層50Bを形成する。すなわち、図11(j)に例示するように、マスク用部材40を形成する。続いて、図11(k)に例示するように、レーザー光Lを照射してマスク用部材40において画素電極20Bに対応する領域に開口部を形成する。その後、図11(l)に例示するように、マスク用部材40の開口部により露出した画素電極20B上に有機層50Bを形成し、図11(m)に例示するように、マスク用部材40を除去して、有機層50Bをパターン状に形成する方法である。
図11(a)〜(m)に例示する特許文献1に記載の方法では、上述のように、絶縁層30によって画素領域が画定された基板上に直接マスク用部材40を形成し、その後マスク用部材40に開口部を形成して各有機層50R、50Gおよび50Bをパターン状に形成することができる。そのため、画素領域が画定された基板上に、予めパターン状の開口部を有するメタルマスクを配置して各有機層を形成する場合に、メタルマスクの寸法変動により有機層の塗り分けの精度が低下してしまうという問題を解消することができる。また、大面積の有機EL表示装置を製造する場合であっても、メタルマスクを用いた従来の方法とは異なり、大面積のマスクを用いることによるマスクの重量の大幅な増加を防ぎ、それに伴った製造効率の低下を解消することができる。しかしながら、このような方法においては、図11(f)、(j)に例示するように、成膜済みの有機層50Rや50G上にマスク用部材40を直接形成するため、有機層50Rや50Gが損傷したり、また、図11(c)、(g)および(k)に例示するように、画素電極20R、20Gおよび20B上に直接形成されたマスク用部材40にレーザー光を照射して開口部を形成するため、除去されたマスク用部材40の粉塵が飛散して有機EL表示装置の品質に悪影響を及ぼしたりするという問題がある。
特開2013−20764号公報
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、有機層の塗り分けを高精細に行うことが可能な有機EL表示装置の製造方法であって、メタルマスクを用いずに有機層の塗り分けを行うことができ、また成膜済みの有機層の損傷を防ぎ、さらにはレーザー光を照射してマスクとして用いられる部材に開口部を形成する際に、除去されたマスクの粉塵等が飛散するのを防ぐことが可能な品質に優れた有機EL表示装置の製造方法を提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、基板、上記基板上に形成され、複数色の画素領域を形成する複数の画素電極、上記画素電極を囲うように枠状に形成されたスペーサ部、上記画素領域に形成された少なくとも発光層を有する複数色の有機EL層、および上記有機EL層上に形成された上部電極、を有する有機EL表示装置を製造する有機EL表示装置の製造方法であって、上記有機EL表示装置の製造方法は、上記画素領域に、上記複数色の有機EL層を塗り分ける有機EL層塗り分け工程を有し、上記有機EL層塗り分け工程は、上記基板上に上記画素電極および上記スペーサ部が形成された有機EL基板に、レーザー光を透過する支持基材およびレーザー光を吸収するレーザー吸収層から構成されたマスク基材を、上記レーザー吸収層および上記有機EL基板が対向するように配置して、上記有機EL基板および上記マスク基材を密着させる密着工程と、上記複数色の中の一色の上記画素領域の上記画素電極を囲う枠状の上記スペーサ部の外周に沿って、上記マスク基材側からレーザー光を照射して上記レーザー吸収層に切り取り線を形成するレーザー光照射工程と、上記有機EL基板から、上記支持基材および上記レーザー光照射工程にて形成された切り取り線により囲われた上記レーザー吸収層を剥離して、上記レーザー吸収層に開口部を形成する開口部形成工程と、上記開口部を介して当該色の上記画素領域の上記画素電極上に、当該色の上記発光層を有する有機EL層を形成する有機EL層形成工程とを有し、上記密着工程、上記レーザー光照射工程、上記開口部形成工程、および上記有機EL層形成工程が上記複数色の色の数分繰り返し行われることを特徴とする有機EL表示装置の製造方法を提供する。
本発明によれば、有機EL基板上に配置されたマスク基材にレーザー光を照射してレーザー吸収層に開口部を形成するため、上記レーザー吸収層の開口部と画素電極が形成された画素領域との位置合わせを不要とすることができる。これにより、製造効率の向上を図ることができるとともに、レーザー吸収層の開口部の位置と画素領域の位置とのズレによる有機層のパターニング精度の低下を防ぐことができ、有機層が高精細に塗り分けられた高品質な有機EL表示装置を得ることができる。また、マスク基材がレーザー光を透過する支持基材とレーザー光を吸収するレーザー吸収層との2層を有するため、レーザー光照射工程において切り取り線を形成した後に支持基材を剥離することによって、支持基材とともに、切り取り線により囲われたレーザー吸収層を部分的に剥離することができ、レーザー吸収層に所望の開口部を容易に形成することができる。さらに、マスク基材が支持基材およびレーザー吸収層の2層を有するため、マスク基材にレーザー光を照射してレーザー吸収層に切り取り線を形成した際に、支持基材によってマスク基材と有機EL基板との間の空間を密閉状態に保つことができる。これにより、レーザー光により除去されたレーザー吸収層の粉塵が広い領域に飛散し、有機EL表示装置の表示特性が低下するという不具合を抑制することができる。さらにまた、有機EL基板にスペーサ部が形成されていることにより、成膜済みの有機EL層の表面にマスク基材が接触するのを防ぐことができるため、有機EL層の損傷による品質の低下を抑制することが可能な有機EL表示装置を得ることができる。
本発明は、上述の有機EL表示装置の製造方法に用いられる有機EL表示装置形成用マスク基材であって、レーザー光を透過する支持基材と、上記支持基材上に形成され、レーザー光を吸収するレーザー吸収層とを有することを特徴とする有機EL表示装置形成用マスク基材を提供する。
本発明によれば、上記有機EL表示装置形成用マスク基材は、上述の有機EL表示装置の製造方法に用いることができるため、開口部を容易かつ高精度に形成して有機層を高精細に塗り分けることができるとともに、画素領域の汚染による表示特性の低下を抑制することが可能な有機EL表示装置を得ることができる。
本発明においては、マスク基材におけるレーザー吸収層に開口部を容易かつ高精度に形成することにより有機層を高精細に塗り分けることができるとともに、画素領域の汚染による表示特性の低下を抑制することができ、さらに有機EL層の損傷等による品質の低下を抑制することが可能な有機EL表示装置を得ることができるという効果を奏する。
本発明の有機EL表示装置の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明における有機EL基板の一例を示す概略斜視図である。 本発明におけるスペーサ部を説明する模式図である。 本発明における有機EL基板の一例を示す概略平面図である。 本発明におけるレーザー吸収層に形成される切り取り線を説明する模式図である。 本発明におけるレーザー吸収層に形成される切り取り線を説明する模式図である。 本発明におけるレーザー吸収層に形成される切り取り線を説明する模式図である。 本発明におけるレーザー吸収層に形成される開口部を説明する模式図である。 本発明におけるレーザー光照射工程および開口部形成工程の一例を示す工程図である。 本発明の有機EL表示装置の製造方法の工程順を説明する工程図である。 従来の有機EL表示装置の製造方法の一例を示す工程図である。
以下、本発明の有機EL表示装置の製造方法、および有機EL表示装置形成用マスク基材について詳細に説明する。
A.有機EL表示装置の製造方法
本発明の有機EL表示装置の製造方法は、基板、上記基板上に形成され、複数色の画素領域を形成する複数の画素電極、上記画素電極を囲うように枠状に形成されたスペーサ部、上記画素領域に形成された少なくとも発光層を有する複数色の有機EL層、および上記有機EL層上に形成された上部電極、を有する有機EL表示装置を製造する有機EL表示装置の製造方法であって、上記有機EL表示装置の製造方法は、上記画素領域に、上記複数色の有機EL層を塗り分ける有機EL層塗り分け工程を有し、上記有機EL層塗り分け工程は、上記基板上に上記画素電極および上記スペーサ部が形成された有機EL基板に、レーザー光を透過する支持基材およびレーザー光を吸収するレーザー吸収層から構成されたマスク基材を、上記レーザー吸収層および上記有機EL基板が対向するように配置して、上記有機EL基板および上記マスク基材を密着させる密着工程と、上記複数色の中の一色の上記画素領域の上記画素電極を囲う枠状の上記スペーサ部の外周に沿って、上記マスク基材側からレーザー光を照射して上記レーザー吸収層に切り取り線を形成するレーザー光照射工程と、上記有機EL基板から、上記支持基材および上記レーザー光照射工程にて形成された切り取り線により囲われた上記レーザー吸収層を剥離して、上記レーザー吸収層に開口部を形成する開口部形成工程と、上記開口部を介して当該色の上記画素領域の上記画素電極上に、当該色の上記発光層を有する有機EL層を形成する有機EL層形成工程とを有し、上記密着工程、上記レーザー光照射工程、上記開口部形成工程、および上記有機EL層形成工程が上記複数色の色の数分繰り返えし行われることを特徴とする製造方法である。
図1(a)〜(g)は本発明の有機EL表示装置の製造方法の一例を示す工程図である。まず、図1(a)に例示するように、基板1上に画素電極2を形成し、赤色、緑色および青色の画素領域を形成する画素電極形成工程を行う。したがって本例では、画素電極2として、赤色の画素領域Rにおける赤色画素電極2、緑色の画素領域Gにおける緑色画素電極2および青色の画素領域Bにおける青色画素電極2を形成する。次に、赤色画素電極2、緑色画素電極2および青色画素電極2を囲うように枠状のスペーサ部3を形成するスペーサ部形成工程を行う。このようにして、有機EL基板10を形成する有機EL基板形成工程を行う。続いて、図1(b)に例示するように、レーザー光を透過する支持基材4aおよびレーザー光を吸収するレーザー吸収層4bから構成されたマスク基材を準備し、マスク基材を有機EL基板に対向するように配置して、有機EL基板およびマスク基材を密着させる密着工程を行う。このとき、マスク基材におけるレーザー吸収層4bが有機EL基板側になるようにし、スペーサ部3の頂部にレーザー吸収層4bを接触させる。次に、図1(c)に例示するように、赤色の画素領域Rにおける画素電極2を囲う枠状のスペーサ部3の外周に沿って上記マスク基材側からレーザー光Lを照射し、マスク基材におけるレーザー吸収層4bに枠状の切り取り線Xを形成するレーザー光照射工程を行う。続いて、図1(d)に例示するように、有機EL基板から、支持基材4aとともに、レーザー光照射工程にて形成された切り取り線に沿って赤色の画素領域Rにおける画素電極2上のレーザー吸収層4bを剥離し、レーザー吸収層4bの赤色の画素領域Rに開口部を形成する開口部形成工程を行う。次に、図1(e)に例示するように、赤色の画素領域Rに形成された開口部を介して赤色の画素領域Rにおける画素電極2上に、少なくとも赤色発光層を有する有機EL層5Rを形成する有機EL層形成工程を行う。次いで、図示はしないが、赤色画素領域に開口部を有するレーザー吸収層を有機EL基板から剥離する工程を行う。その後、図1(b)〜図1(e)に例示したように、赤色の画素領域Rに有機EL層5Rを形成する工程と同様に、緑色の画素領域Gに有機EL層5Gを形成し、さらに青色の画素領域Bに有機EL層5Bを形成する工程を行う。このようにして、図1(f)に例示するように、各画素領域に有機EL層5R、5Gおよび5Bが塗り分けられた有機EL基板を形成する有機EL層塗り分け工程を行う。最後に、上記有機EL基板上に上部電極6を形成する上部電極形成工程を行う。これにより、本発明における有機EL表示装置100が得られる。
ここで、「スペーサ部の頂部」とは、例えば図1、図3(a)、(b)に例示するように、スペーサ部3が台形である場合にはスペーサ部3の上底面Hを指す。また、スペーサ部が台形以外の形状である場合には、スペーサ部の最上部を指し、有機EL基板とマスク基材とを接触させて減圧密封させる際に、スペーサ部においてマスク基材が先に接触する部分を指す。
本発明においては、有機EL基板上に配置されたマスク基材にレーザー光を照射して上記マスク基材におけるレーザー吸収層に開口部を形成するため、上記レーザー吸収層の開口部と画素電極が形成された画素領域との位置合わせを不要とすることができる。これにより、製造効率の向上を図ることができるとともに、レーザー吸収層の開口部の位置と画素領域の位置とのズレによる有機層のパターニング精度の低下を防ぐことができる。また、本発明においては、レーザー光を照射してレーザー吸収層に切り取り線を形成し、その切り取り線に沿ってパターン状にレーザー吸収層を剥離することで開口部を形成している。このように、直進性に優れたレーザー光を用いて開口部を形成することにより、高精細な開口部の形成が可能になり、上記開口部を介して形成される有機層をより高精細に形成することができる。これにより、高品質な有機EL表示装置を得ることができる。
また、本発明においては、マスク基材がレーザー光を透過する支持基材とレーザー光を吸収するレーザー吸収層との2層を有するため、レーザー光照射工程において切り取り線を形成した後に支持基材を剥離することによって、支持基材とともに、切り取り線により囲われたレーザー吸収層を部分的に剥離することができ、レーザー吸収層に所望の開口部を容易に形成することができる。さらに、マスク基材が支持基材およびレーザー吸収層の2層を有するため、マスク基材にレーザー光を照射してレーザー吸収層に切り取り線を形成した際に、支持基材によってマスク基材と有機EL基板との間の空間を密閉状態に保つことができる。これにより、レーザー光により除去されたレーザー吸収層の粉塵が広い領域に飛散し、有機EL表示装置の表示特性が低下するという不具合を抑制することができる。
さらに、本発明においては、スペーサ部が各画素電極を囲うように枠状に形成されており、レーザー光照射工程では上記スペーサ部の外周に沿ってレーザー光が照射される。すなわち、レーザー光が照射される箇所と近接する画素領域との間がスペーサ部により隔たれることになる。これにより、画素領域にレーザー吸収層の粉塵が飛散するのをより効果的に抑えることができ、表示特性の低下を抑制することが可能な有機EL表示装置を得ることができる。
さらにまた、本発明においては、各画素電極を囲うように枠状のスペーサ部が形成されていることにより、有機EL基板上にマスク基材を対向させて配置した際に、マスク基材が有機EL基板の画素領域表面に接触するのを防ぐことができる。したがって、例えば図1(a)〜(g)に例示するように、赤色の画素領域Rに有機EL層5Rを形成し、続いて緑色の画素領域Gおよび青色の画素領域Bに有機EL層5G、5Bを順に形成する場合であって、緑色の画素領域Gや青色の画素領域Bに有機EL層5G、5Bを形成するために有機EL基板上にマスク基材を配置する場合に、成膜済みの有機EL層5Rの表面にマスク基材が接触するのを防ぐことができる。これにより、画素領域における有機EL層の表面にマスク基材が接触することによる有機EL層の損傷や汚染を防ぐことができ、高品質な有機EL表示装置を得ることができる。
また、本発明において用いられるマスク基材は、メタルマスクを用いた従来の製造方法とは異なり、大面積の有機EL表示装置の製造にも好適である。また、マスク基材のロール・ツー・ロール製造技術への適用が可能になるため、製造効率の向上を図ることが可能になる。
ここで、本発明において「枠状のスペーサ部」とは、例えば図2(a)に例示するように、隣り合う各画素電極2を囲うように形成されたスペーサ部3を指す。また、図2(b)に例示するように、各色の画素領域における画素電極2が画素領域の色毎に並列して形成される場合には、画素領域の色毎に並列した各画素電極を隔てるように形成されたスペーサ部を指す。なお、図2(a)、(b)は本発明における有機EL基板の一例を示す概略斜視図であり、図2(a)、(b)において説明していない符号については図1と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
また、「画素電極を囲う枠状のスペーサ部の外周に沿って」とは、例えば図4に例示する矢印のように、赤色の画素領域Rにおける画素電極2を囲う枠状のスペーサ部3と一定の距離を保ちながら進むことを指す。なお、図4は本発明における有機EL基板の一例を示す概略平面図であり、図4において説明していない符号については図1と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
さらに、「レーザー光を照射してレーザー吸収層に切り取り線を形成する」とは、例えば図5(a)に例示するように、マスク基材の支持基材4a側からレーザー光Lを照射し、その下層として配置されたレーザー吸収層4bにおけるレーザー光Lの照射箇所を除去することにより、図5(b)に例示するように、レーザー吸収層4bにおいて開口部を形成する領域を部分的に剥離するための切り取り線Xを形成することを指す。
以下、本発明の有機EL表示装置の製造方法における各工程について説明する。
1.有機EL基板形成工程
本発明における有機EL基板形成工程としては、基板上に画素電極およびスペーサ部が形成された有機EL基板を形成することができる工程であれば特に限定されるものではない。本発明における有機EL基板形成工程としては、例えば、基板上に、複数色の画素領域を形成する複数の画素電極を形成する画素電極形成工程と、上記画素電極を囲うように枠状にスペーサ部を形成するスペーサ部形成工程とを有する工程が挙げられる。
以下、具体例として画素電極形成工程およびスペーサ部形成工程について説明する。
(1)画素電極形成工程
本工程は、基板上に、複数色の画素領域を形成する複数の画素電極を形成する工程である。
以下、本工程において用いられる部材、および具体的な画素電極形成工程について説明する。
(a)基板
本工程における基板は、後述する画素電極、スペーサ部、有機EL層および上部電極を支持するものである。
本発明において用いられる基板は、可撓性を有していてもよく有さなくてもよく、有機EL表示装置の用途により適宜選択される。このような基板の材料としては、例えば、ガラスや樹脂が挙げられる。なお、基板の表面にはガスバリア層が形成されていてもよい。
基板の厚みとしては、基板の材料および有機EL表示装置の用途により適宜選択され、具体的には0.005mm〜5mm程度である。
(b)画素電極
本工程における画素電極は、基板上にパターン状に形成されるものである。このような画素電極は、光透過性を有していてもよく、有さなくてもよい
画素電極は、陽極および陰極のいずれであってもよい。
画素電極が陽極である場合には、抵抗が小さいことが好ましく、一般的には導電性材料である金属材料が用いられるが、有機化合物または無機化合物を用いてもよい。
陽極には、正孔が注入しやすいように仕事関数の大きい導電性材料を用いることが好ましい。例えば、Au、Cr、Mo等の金属;酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛、酸化インジウム等の無機酸化物;金属ドープされたポリチオフェン等の導電性高分子等が挙げられる。これらの導電性材料は、単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上を用いる場合には、各材料からなる層を積層してもよい。
また、画素電極が陰極である場合には、一般的には導電性材料である金属材料が用いられるが、有機化合物または無機化合物を用いてもよい。
陰極には、電子が注入しやすいように仕事関数の小さい導電性材料を用いることが好ましい。例えば、MgAg等のマグネシウム合金、AlLi、AlCa、AlMg等のアルミニウム合金、Li、Cs、Ba、Sr、Ca等のアルカリ金属類およびアルカリ土類金属類の合金等が挙げられる。
画素電極の厚みとしては、画素電極のエッジ部分からのリーク電流の有無等に応じて適宜調整され、例えば、10nm〜1000nm程度にすることができ、好ましくは20nm〜500nm程度である。
また、隣り合う画素電極の間隔としては、各画素電極を囲うように枠状のスペーサ部を形成することができる程度であれば特に限定されるものではない。具体的には、1μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、中でも2μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。なお、隣り合う画素電極および補助電極の間隔とは、図1(a)に示した距離dを指す。
(c)画素電極形成工程
本工程は、基板上に画素電極を形成することができれば特に限定されるものではなく、一般的な電極の形成方法を採用することができる。例えば、マスクを用いた蒸着法、フォトリソグラフィー法等が挙げられる。また、蒸着法としては、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等が挙げられる。
(2)スペーサ部形成工程
本工程は、上記画素電極を囲うように枠状にスペーサ部を形成する工程である。
以下、本工程において形成されるスペーサ部、および具体的なスペーサ部形成工程について説明する。
(a)スペーサ部
本工程において形成されるスペーサ部は、上記画素電極を囲うように枠状に形成されたものであれば特に限定されるものではない。
このようなスペーサ部の縦断面形状としては、上述したスペーサ部の機能を発揮することができるものであれば特に限定されない。例えば、順テーパー形状、逆テーパー形状、矩形等が挙げられるが、中でも、順テーパー形状であることが好ましい。後述する上部電極を全面に均一に形成することができ、十分な導通を得ることができるからである。
また、本工程において形成されるスペーサ部は、隣接するスペーサ部の頂部が互いに接触しなければ特に限定されるものではない。例えば、図3(a)、(b)に例示するように、隣接するスペーサ部3の頂部Hが接触しておらず、隣接するスペーサ部3の頂部Hの間に所定の幅wを有するように形成される。隣接するスペーサ部の頂部の間の幅wとしては、0.1μm〜20μmの範囲内であることが好ましく、中でも1μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、特に1μm〜5μmの範囲内であることが好ましい。隣接するスペーサ部の頂部の間の幅が上記範囲内であることにより、後述する減圧密封工程において有機EL基板にマスク基材を対向させた際に、隣接するスペーサ部とマスク基材とで囲われた空間を十分に確保することができる。これにより、有機EL基板とマスク基材との間の空間を減圧した際に、有機EL基板とマスク基材との接触面での密着性を向上させ、後述するレーザー光照射工程においてレーザー光により除去されたレーザー吸収層の粉塵が飛散するのを抑制することができる。なお、図3(b)に例示するように、スペーサ部3が絶縁層11上に形成される場合については、後述する「(3)その他の工程」の項にて説明するため、ここでの記載は省略する。
また、各画素電極に対応して形成されるスペーサ部は、いずれも同じ高さに形成される。なお、ここでの「同じ高さ」とは、各画素電極に対応するスペーサ部の高さが、いずれも同程度の高さを有することを指す。具体的には、各スペーサ部の高さの差が、少なくとも±1μmの範囲内、中でも±0.5μmの範囲内、特に±0.2μmの範囲内であることを指す。本工程において形成される各スペーサ部の高さの差が上記範囲内であることにより、後述する減圧密封工程において有機EL基板とマスク基材を対向させて、スペーサ部の頂部とマスク基材とが接触するように配置した際に、各スペーサ部の頂部とマスク基材とが均一な力で密着し、有機EL基板とマスク基材との間の空間を均一に減圧密封することが可能になる。
上記スペーサ部の高さとしては、後述する減圧密封工程において、有機EL基板およびマスク基材を対向させた際に、スペーサ部の頂部とマスク基材とが接触するように配置することができる程度であれば特に限定されるものではない。具体的なスペーサ部の高さとしては、0.1μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、中でも0.5μm〜5μmの範囲内であることが好ましく、特に1μm〜3μmの範囲内であることが好ましい。スペーサ部の高さが上記範囲内であることにより、後述する減圧密封工程において有機EL基板にマスク基材を対向させた際に、隣接するスペーサ部とマスク基材とで囲われた空間の体積を十分に確保することができる。これにより、有機EL基板とマスク基材との間の空間を減圧した際に、マスク基材を介して外気から進入してくる気体や、後述するレーザー光照射工程においてレーザー光により発生するガス等による圧力の上昇を十分に抑えることができ、有機EL基板とマスク基材との接触面での密着性を維持することができる。
なお、スペーサ部の高さとは、図3(a)、(b)に例示するように、スペーサ部3の下底面から頂部までの高さhを指す。
このようなスペーサ部に用いられる材料としては、本発明により得られる有機EL表示装置の特性に悪影響を及ぼさないような材料であれば特に限定されるものではないが、絶縁性材料を用いることが好ましい。画素電極のエッジ部分を覆うようにスペーサ部を形成することにより、画素電極のエッジ部分からのリーク電流による不具合を防ぐことができ、絶縁層としての機能を発揮することができる。具体的には、感光性ポリイミド樹脂、アクリル系樹脂等の光硬化型樹脂、または熱硬化型樹脂、および無機材料等を挙げることができる。
(b)スペーサ部形成工程
本工程は、各画素電極を囲うように枠状にスペーサ部を形成する工程を有する。スペーサ部の形成方法としては、ラミネーション法、フォトリソグラフィー法、印刷法等の一般的な方法を用いることができる。また、鋳型等を用いてスペーサ部を別途形成し、画素領域を囲うように接着剤等を用いてスペーサ部を貼り合わせる方法を挙げることができる。
(3)その他の工程
本発明においては、有機EL基板形成工程が上述した画素電極形成工程およびスペーサ部形成工程以外にもその他の工程を有していてもよい。その他の工程としては、例えば、絶縁層形成工程が挙げられる。
以下、絶縁層形成工程において形成される絶縁層、および具体的な絶縁層形成工程について説明する。
(a)絶縁層
本発明が絶縁層形成工程を有する場合、図3(b)に例示するように、基板1上に形成された画素電極2のエッジ部分を覆うように絶縁層11が形成され、上記絶縁層11上にスペーサ部3が形成される。
このような絶縁層は、画素電極のエッジ部分を覆うように形成されるため、画素電極の配列に応じて適宜形成される。例えば、格子状に形成することができる。なお、絶縁層により画素領域が画定される。
絶縁層の材料としては、有機EL表示装置における一般的な絶縁層の材料を用いることができ、例えば、感光性ポリイミド樹脂、アクリル系樹脂等の光硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、無機材料等を挙げることができる。
絶縁層の厚みとしては、画素領域を画定し、画素電極を絶縁することができる程度の厚みであれば特に限定されるものではないが、例えば、0.3μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、中でも0.5μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、特に1μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。
(b)絶縁層形成工程
本工程は、画素電極のエッジ部分を覆うように絶縁層を形成する工程を有する。絶縁層の形成方法としては、一般的な絶縁層の形成方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ディップコート法、バーコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
2.有機EL層塗り分け工程
本発明における有機EL塗り分け工程としては、上記基板上に上記画素電極および上記スペーサ部が形成された有機EL基板に、レーザー光を透過する支持基材およびレーザー光を吸収するレーザー吸収層から構成されたマスク基材を、上記レーザー吸収層および上記有機EL基板が対向するように配置して、上記有機EL基板および上記マスク基材を密着させる密着工程と、上記複数色の中の一色の上記画素領域の上記画素電極を囲う枠状の上記スペーサ部の外周に沿って、上記マスク基材側からレーザー光を照射して上記レーザー吸収層に切り取り線を形成するレーザー光照射工程と、上記有機EL基板から、上記支持基材および上記レーザー光照射工程にて形成された切り取り線により囲われた上記レーザー吸収層を剥離して、上記レーザー吸収層に開口部を形成する開口部形成工程と、上記開口部を介して当該色の上記画素領域の上記画素電極上に、当該色の上記発光層を有する有機EL層を形成する有機EL層形成工程とを有し、上記密着工程、上記レーザー光照射工程、上記開口部形成工程、および上記有機EL層形成工程が上記複数色の色の数分繰り返えし行われる工程である。
以下、本工程を構成する上記密着工程、上記レーザー光照射工程、上記開口部形成工程、および上記有機EL層形成工程について説明する。
(1)密着工程
本発明における密着工程としては、上記基板上に上記画素電極および上記スペーサ部が形成された有機EL基板に、レーザー光を透過する支持基材およびレーザー光を吸収するレーザー吸収層から構成されたマスク基材を、上記レーザー吸収層および上記有機EL基板が対向するように配置して、上記有機EL基板および上記マスク基材を密着させる工程である。
以下、本工程において用いられるマスク基材、および具体的な密着工程について説明する。
(a)マスク基材
本工程において用いられるマスク基材は、レーザー光を透過する支持基材およびレーザー光を吸収するレーザー吸収層から構成されるものである。
以下、支持基材およびレーザー吸収層について説明する。
(i)支持基材
マスク基材を構成する支持基材は、レーザー光を透過するものである。
ここで、支持基材が「レーザー光を透過する」とは、後述するレーザー光照射工程において用いられるレーザー光を透過することができれば特に限定されるものではないが、例えば、波長355nmにおける光透過率が80%以上であることが好ましい。
なお、波長355nmにおける支持基材の光透過率は、例えば島津製作所製紫外可視光分光光度計UV−3600により測定することができる。
このような支持基材の材料としては、レーザー光を透過するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、樹脂材料、ガラス等が挙げられる。中でも、樹脂材料であることが好ましい。具体的な樹脂材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、環状ポリオレフィン(COP)等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルムは、他の材料からなる樹脂フィルムに比べて酸素透過度が低いため、例えば、密着工程として次のような方法を用いた際に有利である。すなわち、真空空間のチャンバー内においてマスク基材と有機EL基板とを対向させるように配置し、上記チャンバー内からマスク基材および有機EL基板を常圧空間に取り出して、マスク基材および有機EL基板の間の空間とその外周の空間との圧力に差を設けることにより、マスク基材と有機EL基板とを密着させる方法である。上記方法では、支持基材としてポリエチレンテレフタレート等の酸素透過度が低い樹脂フィルムを用いることにより、後述するレーザー光照射工程の際に、マスク基材において有機EL基板と対向する側とは反対側の面から、有機EL基板とマスク基材との間の空間へと気体が侵入するのをより効果的に防ぐことができる。そのため、レーザー光照射工程においても、マスク基材および有機EL基板の間の空間とその外周の空間との圧力の差を維持して、マスク基材および有機EL基板を十分に密着させることができる。
なお、具体的な密着工程については後述するため、ここでの記載は省略する。
(ii)レーザー吸収層
マスク基材を構成するレーザー吸収層は、レーザー光を吸収するものである。
このようなレーザー吸収層に用いられる材料としては、レーザー光を吸収するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、樹脂材料、薄い金属箔等が挙げられる。中でも樹脂材料であることが好ましい。具体的な樹脂材料としては、ポリイミドが挙げられる。
レーザー吸収層の厚みとしては、後述するレーザー光照射工程において照射されるレーザー光によりレーザー吸収層に切り取り線を形成することができる程度の厚みであれば特に限定されるものではなく、レーザー光の種類やエネルギーにより適宜調整されるものである。レーザー吸収層の厚みとしては、例えば、1μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、中でも1μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、特に1μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。
(iii)マスク基材の形成方法
上述した支持基材およびレーザー吸収層を有するマスク基材の形成方法としては特に限定されるものではない。例えば、支持基材上にレーザー吸収層を配置してマスク基材を形成してもよく、支持基材およびレーザー吸収層をラミネートしてマスク基材を形成してもよく、さらには支持基材およびレーザー吸収層を容易に剥離することが可能な易接着層により接着させてマスク基材を形成してもよい。
支持基材およびレーザー吸収層を易接着層により接着させてマスク基材を形成する際に用いられる易接着層としては、支持基材およびレーザー吸収層を容易に剥離することが可能な接着力により接着させることができるものであれば特に限定されるものではない。なお、ここでの「容易に剥離することが可能な接着力」とは、後述する開口部形成工程においてレーザー吸収層から支持基材を剥離することができる程度の接着力を指す。
易接着層に用いられる材料としては、後述するレーザー光照射工程において照射されるレーザー光を透過する材料であれば特に限定されるものではない。易接着層がレーザー光を透過することにより、易接着層を介して支持基材側からレーザー吸収層にレーザー光を照射することができるからである。なお、具体的な易接着層の材料については、一般的に使用されている材料を用いることができるためここでの記載は省略する。
(b)密着工程
上記有機EL基板に、レーザー光を透過する支持基材およびレーザー光を吸収するレーザー吸収層から構成されたマスク基材を、上記レーザー吸収層および上記有機EL基板が対向するように配置して、上記有機EL基板および上記マスク基材を密着させる法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。すなわち、マスク基材および有機EL基板の間の空間とその外周の空間との圧力に差を設けることにより、マスク基材および有機EL基板を密着させる方法や、あるいは、有機EL基板上に配置されたマスク基材上に、後述するレーザー光照射工程において用いられるレーザー光を透過する重量物を配置して、マスク基材および有機EL基板を密着させる方法等が挙げられる。本発明においては、中でも前者に挙げた方法を用いることが好ましい。
以下、マスク基材および有機EL基板の間の空間とその外周の空間との圧力に差を設けることにより、マスク基材および有機EL基板を密着させる方法について具体的に説明する。
まず、マスク基材および有機EL基板の間の空間とその外周の空間との圧力に差を設ける方法としては、例えば、減圧された空間にてマスク基材および有機EL基板を密着させ、その後、マスク基材および有機EL基板を常圧空間にさらす方法や、減圧された空間にてマスク基材および有機EL基板を密着させ、その後、マスク基材および有機EL基板の外周を加圧する方法が挙げられる。なお、マスク基材および有機EL基板を常圧空間にさらす場合における上記「常圧空間」としては、有機EL基板の劣化を抑制するという観点から、例えば酸素濃度および水分濃度が少なくとも1ppm以下であり、窒素やアルゴン等の不活性ガスで充填された空間であることが好ましい。
ここで、上記「減圧された空間にてマスク基材および有機EL基板を密着」させる方法としては、所定の真空度に設定された真空チャンバー内において、外周部にシール剤が形成された有機EL基板とマスク基材とを対向させて配置し、有機EL基板とマスク基材とを接触させて、有機EL基板とマスク基材との間の空間を密封する方法や、真空チャンバー内において、治具等を用いて有機EL基板とマスク基材との間の空間を密封する方法が挙げられる。
なお、上記「治具」としては、例えば、磁性体および上記磁性体と磁力により密着する金属層が挙げられる。具体的には、有機EL基板の基板側およびマスク基材の支持基材側における外周部に、磁性体および上記磁性体と磁力により密着する金属層を形成することにより、有機EL基板とマスク基材とを密着させることができる。
上記「減圧された空間」の具体的な真空度としては、マスク基材および有機EL基板を常圧空間にさらした際や、マスク基材および有機EL基板の外周を加圧した際に、マスク基材および有機EL基板の間の空間とマスク基材および有機EL基板の外周の空間との圧力に差を設け、上記マスク基材および上記有機EL基板を十分に密着させることにより、後述するレーザー光照射工程においてレーザー光により除去されるレーザー吸収層の粉塵が画素領域に飛散するのを防ぐことができれば特に限定されるものではない。具体的には、常圧に比べて真空度の値ができるだけ大きいこと、すなわち、マスク基材および有機EL基板の間の空間の圧力の間が常圧に比べてできるだけ小さいことが好ましい。中でも、本工程においては、有機EL基板とマスク基材との間の空間が真空空間であることが好ましく、例えば、1×10−5Pa〜1×10Paの範囲内であることが好ましく、中でも1×10−5Pa〜1×10Paの範囲内であることが好ましく、特に1×10−5Pa〜1×10Paの範囲内であることが好ましい。
(2)レーザー光照射工程
本発明におけるレーザー光照射工程としては、上記複数色の中の一色の上記画素領域の上記画素電極を囲う枠状の上記スペーサ部の外周に沿って、上記マスク基材側からレーザー光を照射して上記レーザー吸収層に切り取り線を形成する工程である。なお、密着工程として、例えば、上述したように、減圧された真空チャンバー内にてマスク基材および有機EL基板を密着させ、その後、真空チャンバー内に気体を流入させて加圧し、マスク基材および有機EL基板を密着させる方法を用いる場合には、例えば次のような方法により本工程を行うことができる。すなわち、ガラス等の透光性基材から構成される真空チャンバーに設置されたレーザー光透過窓等を介してレーザー光を照射し、レーザー吸収層に切り取り線を形成する方法である。
以下、本工程において用いられるレーザー光、本工程においてレーザー吸収層に形成される切り取り線および具体的なレーザー光照射工程について説明する。
(a)レーザー光
本工程に用いられるレーザー光としては、マスク基材の支持基材側からレーザー光を照射した際に上記支持基材を透過してレーザー吸収層を除去することが可能なものであれば特に限定されるものではない。レーザー光が有する波長域としては、本発明において用いられるマスク基材における支持基材を透過し、レーザー吸収層を効率的に除去することができる波長域であれば特に限定されるものではないが、例えば、紫外線領域であることが好ましい。具体的な紫外線領域としては、300nm〜400nmの範囲内であることが好ましく、中でも320nm〜380nmの範囲内であることが好ましく、特に340nm〜360nmの範囲内であることが好ましい。このような波長域を有するレーザー光としては、例えば、YAG、YVO等の固体レーザー、XeCl、XeF等のエキシマーレーザーや半導体レーザー等が挙げられる。
(b)切り取り線
本工程において形成される切り取り線としては、上述したレーザー吸収層にレーザー光を照射することにより形成されるものであり、後述する開口部形成工程において支持基材とともに剥離されるレーザー吸収層、すなわち開口部を画定するものである。
本工程において、赤色の画素領域、緑色の画素領域、青色の画素領域がランダムに配置されている場合には、例えば図5(a)、(b)に例示するように、レーザー吸収層4bにおいて赤色の画素領域Rに対応する位置に開口部を形成するために、赤色の画素領域Rに形成された画素電極2を囲う枠状のスペーサ部の外周に沿って切り取り線Xが形成される。なお、図5(a)、(b)では、レーザー吸収層4bにおいて赤色の画素領域Rに対応する位置に開口部を形成する場合の一例であり、図示はしないが、レーザー吸収層において緑色の画素領域、あるいは青色の画素領域に対応する位置に開口部を形成する場合も同様である。また、図5(a)では、説明の簡単のためにスペーサ部について省略している。
また、本工程において、赤色の画素領域、緑色の画素領域、青色の画素領域が一列に配置されている場合には、例えば図6(a)、(b)に例示するように、レーザー吸収層4bにおいて赤色の画素領域Rに対応する位置に開口部を形成するために、一列に配置された赤色の画素領域Rにおける複数の画素電極2を囲う枠状のスペーサ部の外周に沿って切り取り線Xを形成してもよい。図6(a)、(b)では、レーザー吸収層4bにおいて赤色の画素領域Rに対応する位置に一括して開口部を形成する場合の一例であり、図示はしないが、緑色の画素領域G、あるいは青色の画素領域Bが一列に配置されている場合であって、レーザー吸収層において緑色の画素領域、あるいは青色の画素領域に対応する位置に一括して開口部を形成する場合も同様である。また、図6(a)では、説明の簡単のためにスペーサ部について省略している。さらに、図6(a)、(b)において説明していない符号については図1(a)〜(g)と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本工程において形成される切り取り線としては、後述する開口部形成工程にて、支持基材とともに切り取り線により画定されたレーザー吸収層の一部を剥離することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば図7(a)に例示するように、レーザー光を連続して照射することによりストライプ状に切り取り線Xを形成してもよく、あるいは図7(b)に例示するように、レーザー光をショットとして照射することによりドット状に切り取り線Xを形成してもよい。
(c)レーザー光照射工程
上述したレーザー光をマスク基材に照射してマスク基材におけるレーザー吸収層に切り取り線を形成する方法としては、開口部を形成する領域を画定するように切り取り線を形成することができる方法であれば特に限定されないが、複数の開口部を形成する場合には、開口部の数に応じて形成される切り取り線を、複数のレーザー光を用いて一括して形成することが好ましい。製造効率の向上を図ることができるからである。
(3)開口部形成工程
本発明における開口部形成工程は、上記有機EL基板から、上記支持基材および上記レーザー光照射工程にて形成された切り取り線により囲われた上記レーザー吸収層を剥離して、上記レーザー吸収層に開口部を形成する工程である。
以下、本工程において形成される開口部および具体的な開口部形成工程について説明する。
(a)開口部
本工程において形成される開口部は、上記有機EL基板から、上記支持基材および上記レーザー光照射工程にて形成された切り取り線により囲われた上記レーザー吸収層を剥離することにより形成されるものである。
図8(a)は、レーザー光照射工程にて図5(b)に例示するように切り取り線Xを形成した場合に、本工程においてレーザー吸収層4bに開口部Pが形成された場合の一例を示す概略平面図である。また、図8(b)は、レーザー光照射工程にて図6(b)に例示するように切り取り線Xを形成した場合に、本工程においてレーザー吸収層4bに開口部Pが形成された場合の一例を示す概略平面図である。このように、本工程において形成される開口部の形状は、上述したレーザー光照射工程において形成される切り取り線に応じて適宜選択されるものであり、特に限定されるものではない。
(b)開口部形成工程
本工程は、有機EL基板から支持基材および上記レーザー光照射工程にて形成された切り取り線により囲われた上記レーザー吸収層を剥離することにより、レーザー吸収層に開口部を形成することができる方法であれば特に限定されるものではない。
本工程では、有機EL基板から支持基材を剥離する際に、切り取り線により囲われたレーザー吸収層の一部が支持基材とともに剥離される。そのため、支持基材と切り取り線により囲われたレーザー吸収層の一部とが所定の密着性を有することが好ましい。支持基材と切り取り線により囲われたレーザー吸収層の一部との間に所定の密着性を付与する方法としては、例えば、支持基材とともに剥離するレーザー吸収層の一部に所定のエネルギーを有するレーザー光を照射して、レーザー吸収層の一部を支持基材に溶着させる方法が挙げられる。具体的には、まず、図9(a)に例示するように、マスク基材の支持基材4a側からレーザー光Lを照射してレーザー吸収層4bに切り取り線Xを形成する。なお、図9(a)は、赤色の画素領域Rにおける画素電極2を囲うように形成された枠状のスペーサ部3の外周に沿って切り取り線Xを形成する場合を示す一例である。次に、図9(b)に例示するように、マスク基材の支持基材4a側から、切り取り線Xにより囲われた赤色の画素領域Rに対応する領域のレーザー吸収層4bに、図9(a)において用いられたレーザー光Lよりも弱いエネルギーを有するレーザー光Lsを照射する。これにより、赤色の画素領域Rに対応する領域のレーザー吸収層4bが支持基材4aに溶着し、図9(c)に例示するように、有機EL基板から支持基材4aを剥離する際に、赤色の画素領域Rに対応する領域のレーザー吸収層4bを支持基材4aとともに有機EL基板から容易に剥離することが可能になる。なお、図9(a)〜(c)において説明していない符号については、図1と同様とすることができるためここでの説明は省略する。
(4)有機EL層形成工程
本発明における有機EL層形成工程は、上記開口部を介して上記複数色の中の一色の上記画素領域の上記画素電極上に、少なくとも当該色の上記発光層を有する有機EL層を形成する工程である。
以下、本工程において形成される有機EL層および具体的な有機EL層形成工程について説明する。
(a)有機EL層
有機EL層を構成する有機層としては、発光層の他に、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層等が挙げられる。
以下、有機EL層を構成する各有機層について説明する。
(i)発光層
本工程においては、複数色の発光層が形成される。発光色の種類としては、製造する有機EL表示装置の用途等に応じて適宜選択されるものであり、例えば、赤色、緑色、青色の3色の発光層を形成してもよく、赤色、緑色、青色、白色の4色の発光層を形成してもよい。
発光層に用いられる発光材料としては、蛍光もしくは燐光を発するものであればよく例えば、色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料等を挙げることができる。なお、具体的な色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料については、一般的に用いられるものと同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
発光層の厚みとしては、電子および正孔の再結合の場を提供して発光する機能を発現することができる厚みであれば特に限定されるものではなく、例えば10nm〜500nm程度にすることができる。
(ii)正孔注入輸送層
本工程において形成される有機EL層としては、発光層と陽極との間に正孔注入輸送層が形成されていてもよい。
正孔注入輸送層は、正孔注入機能を有する正孔注入層であってもよく、正孔輸送機能を有する正孔輸送層であってもよく、正孔注入層および正孔輸送層が積層されたものであってもよく、正孔注入機能および正孔輸送機能の両機能を有するものであってもよい。
正孔注入輸送層に用いられる材料としては、発光層への正孔の注入、輸送を安定化させることができる材料であれば特に限定されるものではなく、一般的な材料を用いることができる。
正孔注入輸送層の厚みとしては、正孔注入機能や正孔輸送機能が十分に発揮される厚みであれば特に限定されないが、具体的には0.5nm〜1000nmの範囲内、中でも10nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。
(iii)電子注入輸送層
本工程において形成される有機EL層としては、発光層と陰極との間に電子注入輸送層が形成されていてもよい。
電子注入輸送層は、電子注入機能を有する電子注入層であってもよく、電子輸送機能を有する電子輸送層であってもよく、電子注入層および電子輸送層が積層されたものであってもよく、電子注入機能および電子輸送機能の両機能を有するものであってもよい。
電子注入層に用いられる材料としては、発光層への電子の注入を安定化させることができる材料であれば特に限定されるものではなく、また、電子輸送層に用いられる材料としては、陰極から注入された電子を発光層へ輸送することが可能な材料であれば特に限定されるものではない。
電子注入層および電子輸送層に用いられる具体的な材料としては、一般的な材料を用いることができる。
電子注入輸送層の厚みとしては、電子注入機能や電子輸送機能が十分に発揮される厚みであれば特に限定されない。
(b)有機EL層形成工程
本工程は、上述した有機EL層を画素電極上に形成する工程を有する。なお、ここでは有機EL層が、正孔注入輸送層、発光層および電子注入輸送層の順で積層される場合について説明する。
正孔注入輸送層の形成方法としては、少なくとも画素電極上に形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、材料の種類等に応じて適宜選択される。例えば、材料等を溶媒に溶解もしくは分散させた正孔注入輸送層形成用塗工液を塗布するウェットプロセスや、上述したマスク基材を用いた真空蒸着法等のドライプロセス等が挙げられる。
次に、発光層の形成方法としては、上述したマスク基材を用いた真空蒸着法等のドライプロセスが挙げられる。
次に、電子注入輸送層の形成方法としては、上記発光層上に形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、材料の種類等に応じて適宜選択される。例えば、材料等を溶媒に溶解もしくは分散させた電子注入輸送層形成用塗工液を塗布するウェットプロセスや、上述したマスク基材を用いた真空蒸着法等のドライプロセスが挙げられる。
(5)有機EL層塗り分け工程
本発明における有機EL層塗り分け工程においては、次にような工程順により、各有機層を塗り分ける方法が挙げられる。例えば、レーザー吸収層の第1の色の画素領域に開口部を形成して、正孔注入輸送層、発光層および電子注入輸送層等の複数の有機層を形成し、その後、新たなマスク基材を用いてレーザー吸収層の第2の色の画素領域に開口部を形成し、正孔注入輸送層、発光層および電子注入輸送層等の複数の有機層を形成する工程を、画素領域の色の数分繰り返すことにより各有機層を塗り分ける方法や、また、レーザー吸収層の第1の色の画素領域に開口部を形成して正孔注入輸送層を形成し、次いで、レーザー吸収層の第2の色の画素領域に開口部を形成して正孔注入輸送層を形成する工程を画素領域の色の数分繰り返し、その後、同様の方法により発光層および電子注入輸送層を形成する工程を行うことにより、各有機層を塗り分ける方法が挙げられる。本発明においては、前者に示す工程順により各有機層を塗り分けることが、製造効率の観点から好ましい。
また、有機EL層塗り分け工程においては、第1の色の画素領域に有機EL層を形成するために、上述した密着工程、レーザー光照射工程、開口部形成工程、および有機EL層形成工程を行った後には、第1の色の画素領域に開口部を有するレーザー吸収層を有機EL基板から剥離するレーザー吸収層剥離工程を行い、その後に、第2の色の画素領域に有機EL層を形成するための各工程が繰り返し行われる。したがって、例えば図1(e)に示すように、赤色の画素領域Rに開口部を有するレーザー吸収層4bを用いた工程を終えた後には、当該赤色の画素領域Rに開口部を有するレーザー吸収層4bを有機EL基板から剥離するレーザー吸収層剥離工程を行い、その後に、緑色または青色の画素領域に開口部を形成して有機EL層を形成する工程に移る。
有機EL基板からレーザー吸収層を剥離する方法としては特に限定されるものではなく、例えば、レーザー吸収層に粘着層を有する基材を貼りつけて有機EL基板からレーザー吸収層を剥離する方法や、ピーラー等を用いた物理的手法により有機EL基板からレーザー吸収層を剥離する方法等が挙げられる。また、マスク基材および有機EL基板の間の空間とその外周の空間との圧力に差を設けることにより、マスク基材と有機EL基板とを減圧密封して密着させた場合には、レーザー吸収層剥離工程として次のような方法が挙げられる。すなわち、レーザー吸収層の所定の位置にレーザー光を照射して貫通孔を形成し、上記貫通孔より減圧密封されたレーザー吸収層と有機EL基板との間に気体を流入させて、レーザー吸収層および有機EL基板の間の空間とその外周の空間との圧力の差を解消することにより、有機EL基板からレーザー吸収層を剥離する方法が挙げられる。なお、上記貫通孔は、例えば、図1(e)、図8(a)に示すように、赤色の画素領域Rに開口部を有するレーザー吸収層4bの場合には、緑色の画素領域Gおよび青色の画素領域Bに対応するレーザー吸収層4bに形成される。
具体的には、次のような工程順により有機EL層塗り分け工程を行うことができる。
以下、本発明における有機EL層塗り分け工程の具体例について図を参照しながら説明する。
例えば、図10(a)に例示するような工程順により有機EL層塗り分け工程を行うことができる。すなわち、有機EL基板形成工程後に密着工程を行い、次いでレーザー光照射工程を行うことにより、レーザー吸収層において第1の色の画素領域に対応する領域を囲うように切り取り線を形成して、その後、支持基材および切り取り線で囲われたレーザー吸収層の一部を剥離することにより開口部を形成する開口部形成工程を行う。このようにして得られた第1の色の画素領域に開口部を有するレーザー吸収層を用いて、第1の色の画素領域に正孔注入輸送層、発光層および電子注入輸送層を順に形成する。最後に、第1の色の画素領域に開口部を有するレーザー吸収層を有機EL基板から剥離するレーザー吸収層剥離工程を行う。第1の色の画素領域への有機EL層の形成方法と同様に、密着工程、レーザー光照射工程、開口部形成工程を行うことにより、第2の色の画素領域に開口部を有するレーザー吸収層を形成し、上記レーザー吸収層を用いて第2の色の画素領域に正孔注入輸送層、発光層および電子注入輸送層を順に形成する。最後に、第2の色の画素領域に開口部を有するレーザー吸収層を有機EL基板から剥離するレーザー吸収層剥離工程を行う。図10(a)の矢印に示すように、画素領域の種類に応じて上述した工程を繰り返し行うことにより正孔注入輸送層、発光層および電子注入輸送層の塗り分けを行い、最後に後述する上部電極形成工程を行うことにより、本発明における有機EL表示装置を得ることができる。
その他にも、図10(b)に例示するような工程順により有機EL層塗り分け工程を行うことができる。すなわち、有機EL基板形成工程を行い、得られた有機EL基板上に正孔注入輸送層を形成する正孔注入輸送層形成工程を行う。その後、密着工程を行い、次いでレーザー光照射工程を行うことにより、レーザー吸収層において第1の色の画素領域に対応する領域を囲うように切り取り線を形成して、その後、支持基材および切り取り線で囲われたレーザー吸収層の一部を剥離することにより開口部を形成する開口部形成工程を行う。このようにして得られた第1の色の画素領域に開口部を有するレーザー吸収層を用いて、第1の色の画素領域に発光層を形成する。最後に、第1の色の画素領域に開口部を有するレーザー吸収層を有機EL基板から剥離するレーザー吸収層剥離工程を行う。第1の色の画素領域への発光層の形成方法と同様に、密着工程、レーザー光照射工程、開口部形成工程を行うことにより、第2の色の画素領域に開口部を有するレーザー吸収層を形成し、上記レーザー吸収層を用いて第2の色の画素領域に発光層を形成する。最後に、第2の色の画素領域に開口部を有するレーザー吸収層を有機EL基板から剥離するレーザー吸収層剥離工程を行う。図10(b)の矢印に示すように、画素領域の種類に応じて上述した工程を繰り返し行うことにより発光層の塗り分けを行い、最後に後述する上部電極形成工程を行うことにより、本発明における有機EL表示装置を得ることができる。
3.上部電極形成工程
本発明における上部電極形成工程は、上記有機EL層が形成された上記有機EL基板上に上部電極を形成することができれば特に限定されるものではない。
以下、本工程において形成される上部電極および具体的な上部電極形成工程について説明する。
(1)上部電極
本工程における上部電極は、有機EL層が形成された有機EL基板上に形成されるものである。このような上部電極は、光透過性を有していてもよく、有さなくてもよい
上部電極は、陽極および陰極のいずれであってもよい。
上部電極が陽極である場合には、抵抗が小さいことが好ましく、一般的には導電性材料である金属材料が用いられるが、有機化合物または無機化合物を用いてもよい。
陽極には、正孔が注入しやすいように仕事関数の大きい導電性材料を用いることが好ましい。例えば、Au、Cr、Mo等の金属;酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛、酸化インジウム等の無機酸化物;金属ドープされたポリチオフェン等の導電性高分子等が挙げられる。これらの導電性材料は、単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上を用いる場合には、各材料からなる層を積層してもよい。
また、上部電極が陰極である場合には、一般的には導電性材料である金属材料が用いられるが、有機化合物または無機化合物を用いてもよい。
陰極には、電子が注入しやすいように仕事関数の小さい導電性材料を用いることが好ましい。例えば、MgAg等のマグネシウム合金、AlLi、AlCa、AlMg等のアルミニウム合金、Li、Cs、Ba、Sr、Ca等のアルカリ金属類およびアルカリ土類金属類の合金等が挙げられる。
(2)上部電極形成工程
上部電極の形成方法としては、一般的な電極の形成方法を用いることができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、EB蒸着法、イオンプレーティング法等のPVD法、またはCVD法等を挙げることができる。
4.その他の工程
本発明においては、上述した工程を有していれば特に限定されるものではなく、その他の工程を有していてもよい。その他の工程としては、例えば、有機EL表示装置を封止基板により封止する封止工程が挙げられる。
以下、封止基板について説明する。
封止基板は光透過性を有していてもよく有さなくてもよい。また、封止基板は、可撓性を有していてもよく有さなくてもよく、有機EL表示装置の用途により適宜選択される。
封止基板の材料としては、一般的に封止基板に用いらる材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、石英、ガラス等の無機材料や、アクリル樹脂、COPと称されるシクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン等の樹脂が挙げられる。
また、樹脂製の封止基板の表面にはガスバリア層が形成されていてもよい。
封止基板の厚みとしては、封止基板の材料および有機EL表示装置の用途により適宜選択される。具体的に、封止基板の厚みは0.001mm〜5mm程度である。
B.有機EL表示装置形成用マスク基材
本発明の有機EL表示装置形成用マスク基材は、上述の有機EL表示装置の製造方法に用いられるものであって、レーザー光を透過する支持基材と、上記支持基材上に形成され、レーザー光を吸収するレーザー吸収層とを有することを特徴とするものである。なお、以下、有機EL表示装置形成用マスク基材をマスク基材と略す場合がある。
本発明のマスク基材は、上述の有機EL表示装置の製造方法に用いることができる。したがって、次のような効果を得ることができる。すなわち、本発明においては、マスク基材がレーザー光を透過する支持基材とレーザー光を吸収するレーザー吸収層との2層を有するため、レーザー光照射工程において切り取り線を形成した後に支持基材を剥離することによって、支持基材とともに、切り取り線により囲われたレーザー吸収層を部分的に剥離することができ、レーザー吸収層に所望の開口部を容易に形成することができる。さらに、マスク基材が支持基材およびレーザー吸収層の2層を有するため、マスク基材にレーザー光を照射してレーザー吸収層に切り取り線を形成した際に、支持基材によってマスク基材と有機EL基板との間の空間を密閉状態に保つことができる。これにより、レーザー光により除去されたレーザー吸収層の粉塵が広い領域に飛散し、有機EL表示装置の表示特性が低下するという不具合を抑制することができる。
上記マスク基材については、上記「A.有機EL表示装置の製造方法 2.有機EL層塗り分け工程 (1)密着工程 (a)マスク基材」の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1 … 基板
2 … 画素電極
3 … スペーサ部
4a … 支持基材
4b … レーザー吸収層
5 … 有機EL層
6 … 上部電極
10 … 有機EL基板
100… 有機EL表示装置
X … 切り取り線
P … 開口部

Claims (2)

  1. 基板、前記基板上に形成され、複数色の画素領域を形成する複数の画素電極、前記画素電極を囲うように枠状に形成されたスペーサ部、前記画素領域に形成された少なくとも発光層を有する複数色の有機エレクトロルミネッセンス層、および前記有機エレクトロルミネッセンス層上に形成された上部電極、を有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置を製造する有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法であって、
    前記有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法は、前記画素領域に、前記複数色の有機エレクトロルミネッセンス層を塗り分ける有機エレクトロルミネッセンス層塗り分け工程を有し、
    前記有機エレクトロルミネッセンス層塗り分け工程は、前記基板上に前記画素電極および前記スペーサ部が形成された有機エレクトロルミネッセンス基板に、レーザー光を透過する支持基材およびレーザー光を吸収するレーザー吸収層から構成されたマスク基材を、前記レーザー吸収層および前記有機エレクトロルミネッセンス基板が対向するように配置して、前記有機エレクトロルミネッセンス基板および前記マスク基材を密着させる密着工程と、
    前記複数色の中の一色の前記画素領域の前記画素電極を囲う枠状の前記スペーサ部の外周に沿って、前記マスク基材側からレーザー光を照射して前記レーザー吸収層に切り取り線を形成するレーザー光照射工程と、
    前記有機エレクトロルミネッセンス基板から、前記支持基材および前記レーザー光照射工程にて形成された切り取り線により囲われた前記レーザー吸収層を剥離して、前記レーザー吸収層に開口部を形成する開口部形成工程と、
    前記開口部を介して当該色の前記画素領域の前記画素電極上に、当該色の前記発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス層を形成する有機エレクトロルミネッセンス層形成工程とを有し、
    前記密着工程、前記レーザー光照射工程、前記開口部形成工程、および前記有機エレクトロルミネッセンス層形成工程が前記複数色の色の数分繰り返し行われることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
  2. 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法に用いられる有機エレクトロルミネッセンス表示装置形成用マスク基材であって、
    レーザー光を透過する支持基材と、
    前記支持基材上に形成され、レーザー光を吸収するレーザー吸収層とを有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置形成用マスク基材。
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