以下、本発明に係る電子機器を例示して好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るキーボード装置10をタブレット型PC12に装着した電子機器14の斜視図である。
本実施形態に係るキーボード装置10は、タブレット型PC12の一側面12aの近傍に磁石を用いて着脱可能に装着され、タブレット型PC12に対する入力手段として機能する。さらに当該キーボード装置10は、タブレット型PC12に対して装着された状態で最大3段階に角度調整を行うことができる。キーボード装置10はタブレット型PC12以外の携帯用情報機器、例えばスマートフォンや各種端末装置を装着対象としてもよい。
図2は、キーボード装置10の装着対象となるタブレット型PC12の一構成例を示す正面図であり、図3は、図2に示すタブレット型PC12の背面図である。また、図4は、図2に示すタブレット型PC12から拡張装置16を取り外した状態での正面図である。
図1及び図2に示すように、タブレット型PC12は、タッチパネル式の液晶表示部からなるディスプレイ17を表面12bに備える。タブレット型PC12は、その内部に基板、図示しない演算装置及びメモリ等の各種電子部品を収納している。タブレット型PC12の一側面12aには、拡張装置16が着脱可能に装着される。
図3に示すように、タブレット型PC12は、ディスプレイ17側の表面12bの裏面となる背面12cにスタンド部18を備える。スタンド部18は、一側面12a近傍で該一側面12aに沿った軸方向を有する回動軸18aを中心に回動可能な矩形状のプレートである。スタンド部18は、回動軸18aを中心に開放端18bを背面12cから離間する方向に略90度回動させることで該背面12cから略垂直方向に突出する。これによりスタンド部18は、例えば図1に示すような所望の起立姿勢にタブレット型PC12を起立保持することが可能となる。
拡張装置16は、タブレット型PC12の一側面12aに着脱可能に装着されることで、タブレット型PC12の電源機能及び周辺機器やネットワークに対する拡張機能等を拡張・補強するカートリッジ型の装置である。拡張装置16の筐体は、一側側に絞り形状を有し、タブレット型PC12の一側面12aに沿って延在する断面略涙形の棒形状に形成されている(図6参照)。拡張装置16は、接続端子部19がタブレット型PC12の端子20に接続されることにより、タブレット型PC12に対して各種接続ポートやバッテリ装置等を増設することができる。
図4に示すように、拡張装置16は、その一側面16aにタブレット型PC12に対する着脱部となる位置決め突起22及びフック24が突設されている。位置決め突起22は一側面16aに左右一対設けられ、タブレット型PC12側の図示しない位置決め穴に挿入される。フック24は一側面16aに左右一対設けられ、タブレット型PC12側の図示しない係合穴に係合される。タブレット型PC12に装着された状態でディスプレイ17側となる拡張装置16の表面16bの中央には、キーボード装置10の接続端子部25(図5参照)と電気的に接続される端子26が配置されている。タブレット型PC12に装着された状態でスタンド部18側となる拡張装置16の背面16cには、フック24を係合方向及び係合解除方向に進退させる着脱操作レバー27が左右一対設けられている(図3参照)。
拡張装置16は、タブレット型PC12に装着された状態で、その表面16bがタブレット型PC12側の表面12bと略面一となり、これら表面12b,16bが全体としてタブレット型PC12の表面を形成する。
図2及び図4に示すように、タブレット型PC12の表面12b,16bの内側には、一側面12a(16a)の長手方向に直交するY方向で拡張装置16側からタブレット型PC12側に向かって順に、機器側第1磁石列28、機器側装着用磁石列30、機器側第2磁石列32及び機器側第3磁石列34が互いに間隔を介して平行に並んでいる。
機器側装着用磁石列30は、表面16bに所定の極が臨むように拡張装置16内に配設されている。機器側装着用磁石列30は、一側面12a(16a)の長手方向に沿うX方向に並んだ4つの機器側装着用磁石30aS,30bN,30cS,30dN(以下、単に「磁石30aS,30bN,30cS,30dN」ともいう)を備える。磁石30aS,30cSは、表面16bにS極が臨んで吸着可能に配置され、磁石30bN,30dNは、表面16bにN極が臨んで吸着可能に配置されている。磁石30aS,30bNは表面16bの中央に設けられた端子26の一方側に対となって互いに隣接配置され、磁石30cS,30dNは端子26の他方側に対となって互いに隣接配置されている。
機器側第1磁石列28は、機器側装着用磁石列30のY方向で一方側(図2中で下側)において、表面16bに所定の極が臨むように該拡張装置16内に配設されている。機器側第1磁石列28は、X方向に並んだ4つの機器側第1磁石28aS,28bS,28cS,28dS(以下、単に「磁石28aS〜28dS」ともいう)を備える。磁石28aS〜28dSは、表面16bにS極が臨んで吸着可能に配置されている。両端側の磁石28aS,28dSは、拡張装置16の左右両端部付近にそれぞれ配置されている。中央側の磁石28bS,28cSは、それぞれ機器側装着用磁石30aS,30dNとY方向に並びX方向位置が一致している。
機器側第2磁石列32は、機器側装着用磁石列30のY方向で他方側(図2中で上側)において、表面16bに所定の極が臨むように拡張装置16内に配設されている。機器側第2磁石列32は、X方向に並んだ4つの機器側第2磁石32aS,32bS,32cS,32dS(以下、単に「磁石32aS〜32dS」ともいう)を備える。磁石32aS〜32dSは、表面16bにS極が臨んで吸着可能に配置されている。両端側の磁石32aS,32dSは、拡張装置16の左右両端部付近にそれぞれ配置され、機器側第1磁石28aS,28dSとY方向に並びX方向位置が一致している。中央側の磁石32bS,32cSは、それぞれ機器側装着用磁石30aS,30dN(機器側第1磁石28bS,28cS)とY方向に並びX方向位置が一致している。
機器側第3磁石列34は、機器側第2磁石列32のY方向で他方側(図2中で上側)において、表面12bに所定の極が臨むようにタブレット型PC12内に配設されている。機器側第3磁石列34は、X方向に並んだ6つの機器側第3磁石34aN,34bN,34cN,34dN,34eN,34fN(以下、単に「磁石34aN〜34fN」ともいう)を備える。磁石34aN〜34fNは、表面12bにN極が臨んで吸着可能に配置されている。両端側の磁石34aN,34dNは、タブレット型PC12の左右両端部付近にそれぞれ配置され、機器側第1磁石28aS,28dS(機器側第2磁石32aS,32dS)とY方向に並びX方向位置が一致している。中央側の磁石34bN,34cNは、それぞれ機器側装着用磁石30aS,30dN(機器側第1磁石28bS,28cS、機器側第2磁石32bS,32cS)とY方向に並びX方向位置が一致している。残りの磁石34eN,34fNは、それぞれ磁石34aN,34bN間、磁石34cN,34dN間となる位置に配置されている。
図3に示すように、タブレット型PC12の背面12c、本実施形態では拡張装置16の背面16cの内側には、機器側収納用磁石列36が設けられている。
機器側収納用磁石列36は、背面16cに所定の極が臨むように該拡張装置16内に配設されている。機器側収納用磁石列36は、X方向に並んだ4つの機器側収納用磁石36aS,36bN,36cS,36dN(以下、単に「磁石36aS,36bN,36cS,36dN」ともいう)を備える。磁石36aS,36cSは、背面16cにS極が臨んで吸着可能に配置され、磁石36bN,36dNは、背面16cにN極が臨んで吸着可能に配置されている。磁石36aS,36bN,36cS,36dNの配列ピッチは、機器側装着用磁石30aS,30bN,30cS,30dNの配列ピッチと同一ピッチに設定されている。
図5は、キーボード装置10の構成例を示す平面図である。
図1及び図5に示すように、キーボード装置10は、キーボード部40及びタッチパッド42を備え、タブレット型PC12に対する入力手段となる装置である。キーボード装置10の幅寸法(X方向寸法)は、タブレット型PC12の幅寸法と略一致している。キーボード装置10は、タブレット型PC12に対して着脱可能に装着される装着部44と、装着部44とキーボード部40との間を連結するフレキシブルヒンジ部46とを備える。
装着部44は、キーボード装置10の幅寸法より僅かに小さい幅寸法に形成されてX方向に延在する棒状部材である。装着部44の中央には、タブレット型PC12側の端子26と電気的に接続される接続端子部25が配設されている。装着部44は、例えば長手方向に沿った芯材が内部に収容されることである程度の剛性を有する。キーボード部40側にある装着部44の表面44aの内側には、装着用磁石列48が設けられている。
装着用磁石列48は、表面44aに所定の極が臨むように該装着部44内に配設されている。装着用磁石列48は、装着部44の長手方向に沿うX方向に並んだ中央側の4つの装着用磁石48aN,48bS,48cN,48dS(以下、単に「磁石48aN,48bS,48cN,48dS」ともいう)と、左右両端側にそれぞれ一対ずつ並んだ4つの補助装着用磁石48eN,48fN,48gN,48hN(以下、単に「磁石48eN〜48hN」ともいう)とを備える。磁石48aN,48cN,48eN〜48hNは、表面44aにN極が臨んで吸着可能に配置され、磁石48bS,48dSは、表面44aにS極が臨んで吸着可能に配置されている。
磁石48aN,48bSは接続端子部25の一方側に対となって互いに隣接配置され、磁石48cN,48dSは接続端子部25の他方側に対となって互いに隣接配置されている。磁石48aN,48bS,48cN,48dSの配列ピッチは、タブレット型PC12側の機器側装着用磁石30aS,30bN,30cS,30dN(機器側収納用磁石36aS,36bN,36cS,36dN)の配列ピッチと同一ピッチに設定されると共に、N極S極が逆転配置されている。
両端側の磁石48eN,48hNは、装着部44の左右両端部付近にそれぞれ配置され、これら磁石48eN,48hNと磁石48aN,48dSとの間に磁石48fN,48gNが配置されている。これら磁石48eN〜48hNは、後述するカバー部材60の装着用として利用される。
フレキシブルヒンジ部46は、装着部44とキーボード部40との間を柔軟性を持って連結するヒンジ状部分である。フレキシブルヒンジ部46は、少なくともX方向に沿って折曲可能な材質、例えば薄い樹脂や皮革等のシート状部材によって形成されている。フレキシブルヒンジ部46には、Y方向で装着部44側からキーボード部40側に向かって順に、第1磁石列50及び第2磁石列52が互いに間隔を介して平行に並んでいる。
第1磁石列50は、フレキシブルヒンジ部46の内部にX方向に延在する芯材54が収容されることである程度の剛性を有した帯状部分に配列されている。第1磁石列50は、芯材54の延在方向となるX方向に並んだ6つの第1磁石50aN,50bN,50cN,50dN,50eN,50fN(以下、単に「磁石50aN〜50fN」ともいう)を備える。磁石50aN〜50fNは、フレキシブルヒンジ部46の表面46aにN極が臨んで吸着可能に配置されている。磁石50aN〜50fNの配列ピッチは、タブレット型PC12側の機器側第3磁石34aN〜34fN(機器側第1磁石28aS〜28dS、機器側第2磁石32aS〜32dS)の配列ピッチと同一ピッチに設定されている。
第2磁石列52は、フレキシブルヒンジ部46の内部にX方向に延在する芯材55が収容されることである程度の剛性を有した帯状部分に配列されている。第2磁石列52は、芯材55の延在方向となるX方向に並んだ6つの第2磁石52aS,52bS,52cS,52dS,52eS,52fS(以下、単に「磁石52aS〜52fS」ともいう)を備える。磁石52aS〜52fSは、フレキシブルヒンジ部46の表面46aにS極が臨んで吸着可能に配置されている。磁石52aS〜52fSの配列ピッチは、磁石50aN〜50fNの配列ピッチ、つまりタブレット型PC12側の機器側第3磁石34aN〜34fN(機器側第1磁石28aS〜28dS、機器側第2磁石32aS〜32dS)の配列ピッチと同一ピッチに設定されている。
なお、フレキシブルヒンジ部46は、薄いシート状部材で形成されているため、その表面46aにN極が臨んでいる磁石50aN〜50fNは、キーボード装置10の裏面に臨む背面46bに対してはS極が臨む配置となっている。同様に、表面46aにS極が臨んでいる磁石52aS〜52fSは、背面46bに対してはN極が臨む配置となっている。
図6は、タブレット型PC12に装着したキーボード装置10の設置角度を最小にした状態を示す要部拡大側面図であり、図7は、図6に示す状態からキーボード装置10の設置角度を大きくした状態を示す要部拡大側面図であり、図8は、図7に示す状態からキーボード装置10の設置角度をさらに大きくして最大にした状態を示す要部拡大側面図である。また、図9は、タブレット型PC12に装着したキーボード装置10を収納形態とした要部拡大側面図であり、図9(A)は、キーボード装置10をタブレット型PC12の表面12b側に収納した状態を示す図であり、図9(B)は、キーボード装置10をタブレット型PC12の背面12c側に収納した状態を示す図である。
先ず、キーボード装置10をタブレット型PC12に装着する際には、キーボード装置10の装着部44の表面44aをタブレット型PC12の表面16bに対向配置する。そして、装着用磁石列48の4つの磁石48aN,48bS,48cN,48dSを機器側装着用磁石列30の4つの磁石30aS,30bN,30cS,30dNに吸着させ、同時に接続端子部25を端子26に接続する。これにより、図6に示すように、キーボード装置10が装着部44を介してタブレット型PC12の表面16bに装着され、両者が電気的にも接続される。なお、キーボード装置10とタブレット型PC12との間は無線によって通信可能に接続されてもよい。
この状態で、スタンド部18を介してタブレット型PC12を一側面12a側を下にして起立させ、図6に示すようにフレキシブルヒンジ部46の装着部44と第1磁石列50との間となる位置をX方向に沿って下方に折り返す。続いて、キーボード装置10側の第2磁石列52の4つの磁石52aS〜52dSにおける背面46b側に臨むN極をタブレット型PC12側の機器側第1磁石列28の4つの磁石28aS〜28dSに吸着させる。そうすると、図1及び図6に示すように、キーボード装置10のキーボード部40を略水平方向に沿った最小の設置角度に設定したノート型PCとしての使用形態となる。
次に、装着部44を介してキーボード装置10をタブレット型PC12に装着し、スタンド部18を介してタブレット型PC12を起立させる。また、図7に示すようにキーボード装置10側の第1磁石列50の4つの磁石50aN〜50dNをタブレット型PC12側の機器側第2磁石列32の4つの磁石32aS〜32dSに吸着させる。続いて、フレキシブルヒンジ部46の第1磁石列50と第2磁石列52との間となる位置をX方向に沿って下方に折り返し、第1磁石列50の6つの磁石50aN〜50fNにおける背面46b側に臨むS極と、第2磁石列52の6つの磁石52aS〜52fSにおける背面46b側に臨むN極とを吸着させる。そして、フレキシブルヒンジ部46のキーボード部40と第2磁石列52との間となる位置をキーボード部40が前方に延在するようにX方向に沿って折り返す。そうすると、図7に示すように、キーボード装置10のキーボード部40を図6に示す設置角度よりも後端部を上位置に配置し、前下がりに傾斜させた中間の設置角度に設定したノート型PCとしての使用形態となる。
次に、装着部44を介してキーボード装置10をタブレット型PC12に装着し、スタンド部18を介してタブレット型PC12を起立させる。また、図8に示すようにキーボード装置10側の第1磁石列50の4つの磁石50aN〜50dNをタブレット型PC12側の機器側第2磁石列32の4つの磁石32aS〜32dSに吸着させる。続いて、キーボード装置10側の第2磁石列52の6つの磁石52aS〜52fSをタブレット型PC12側の機器側第3磁石列34の6つの磁石34aN〜34fNに吸着させる。そして、フレキシブルヒンジ部46のキーボード部40と第2磁石列52との間となる位置をキーボード部40が前方に延在するようにX方向に沿って折り返す。そうすると、図8に示すように、キーボード装置10のキーボード部40を図7に示す設置角度よりも後端部をさらに上位置に配置し、前下がりに大きく傾斜させた最大の設置角度に設定したノート型PCとしての使用形態となる。
なお、機器側第3磁石列34はタブレット型PC12の表面12bにおけるガラス面の内側に配設されるため、樹脂板の内側に配設される他の磁石列(機器側第1磁石列30等)よりも表面12bでの磁力が低下する。そこで、当該電子機器14では、機器側第3磁石列34の磁石設置数を他の磁石列(機器側第1磁石列30等)の磁石設置数よりも増やすことで十分な吸着力を担保している。
一方、図9(A)に示すようにキーボード装置10をタブレット型PC12の表面12b,16b側に重ね、キーボード装置10でディスプレイ17を覆った収納姿勢とする際には、装着部44を介してキーボード装置10をタブレット型PC12に装着する。続いて、キーボード装置10側の第1磁石列50の4つの磁石50aN〜50dNをタブレット型PC12側の機器側第2磁石列32の4つの磁石32aS〜32dSに吸着させる。さらに、キーボード装置10側の第2磁石列52の6つの磁石52aS〜52fSをタブレット型PC12側の機器側第3磁石列34の6つの磁石34aN〜34fNに吸着させる。そして、キーボード部40をディスプレイ17を覆うように重ねる。そうすると、図9(A)に示すように、キーボード装置10でディスプレイ17を覆った収納姿勢とすることができ、当該電子機器14の持ち運び等に適した形態となる。
次に、図9(B)に示すようにキーボード装置10をタブレット型PC12の背面12c側に重ね、ディスプレイ17を使用可能に露出させた収納姿勢とする際には、キーボード装置10の装着部44の表面44aをタブレット型PC12の背面16cに対向配置する。そして、装着用磁石列48の4つの磁石48aN,48bS,48cN,48dSを機器側収納用磁石列36の4つの磁石36aS,36bN,36cS,36dNに吸着させる。これにより、図9(B)に示すように、キーボード装置10が装着部44を介してタブレット型PC12の背面16cに装着される。この状態で、フレキシブルヒンジ部46の装着部44と第1磁石列50との間となる位置を背面12c,16c側にX方向に沿って折り返し、キーボード部40をタブレット型PC12の背面12cを覆うように重ねる。そうすると、図9(B)に示すように、キーボード装置10で背面12c,16cを覆った収納姿勢とすることができ、当該電子機器14を手で把持した状態での使用に適した通常のタブレット型PCとしての使用形態となる。
なお、拡張装置16は、図10に示すようにプロジェクタモジュール58を搭載した構成であってもよい。プロジェクタモジュール58は、例えば拡張装置16の筐体に回転可能に設けられた筒形筐体58aと、筒形筐体58aの外周面に設けられた投射レンズ58bと、操作ボタン58cを有して構成される。拡張装置16は、プロジェクタモジュール58に代えて図示しない2Dカメラや3Dカメラ等のカメラモジュールを搭載していてもよい。
プロジェクタモジュール58を搭載した拡張装置16では、搭載しているプロジェクタモジュール58を避けて磁石を配設する必要があるため、図2に示す拡張装置16と比べて機器側第2磁石列32の配列が多少異なっている。この拡張装置16では、中央側の機器側第2磁石32bS,32cSに代えて、これらより外方に位置ずれした機器側第2磁石32eS,32fSを備える。磁石32eS,32fSの配列ピッチは、機器側第3磁石34eN,34fN(キーボード装置10側の第1磁石50eN,50fN、第2磁石52eS,52fS)の配列ピッチと同一ピッチに設定されている。
ところで、本実施形態に係る電子機器14を構成するタブレット型PC12は、拡張装置16を装着しない単独の状態で使用されることもある。この状態では、タブレット型PC12の表面12bと一側面12aとの間の段差や、拡張装置16を装着するための係合穴や凹凸形状が一側面12aに露出する。そこで当該電子機器14では、タブレット型PC12を単独で使用する場合は拡張装置16に代えてカバー部材60(図11参照)を一側面12aに対して装着することができる。タブレット型PC12は、装着されたカバー部材60によって一側面12a側の外面の外観品質が確保される。
図11は、タブレット型PC12からカバー部材60を取り外した状態での正面図である。図12は、カバー部材60を装着したタブレット型PC12の構成図であり、図12(A)は、背面図、図12(B)は、底面図である。
図11及び図12に示すように、カバー部材60は、タブレット型PC12の一側面12aに沿って延在する棒形状の端部部材である。カバー部材60はタブレット型PC12に装着された状態で該タブレット型PC12の外形面を形成するため、その長手方向寸法はタブレット型PC12の一側面12aの幅寸法と略同一に設定してある。カバー部材60は、その一側面60aにタブレット型PC12に対する着脱部となるフック62が複数突設されている。フック62は、タブレット型PC12側の図示しない係合穴に係合される。
カバー部材60は、タブレット型PC12に装着された際に端子20に対応する位置に端子逃げ孔64を有する。端子逃げ孔64は端子20を挿通させる孔部であり、カバー部材60を装着した状態で端子20をタブレット型PC12の外形面となる他側面60b側から利用可能とするものである。つまり、カバー部材60はタブレット型PC12に装着された状態で、その他側面60bがタブレット型PC12側の底面となる。
カバー部材60の他側面60bの内側には、機器側装着用磁石列66が設けられている。機器側装着用磁石列66は、他側面60bに所定の極が臨むようにカバー部材60内に配設されている。機器側装着用磁石列66は、カバー部材60の長手方向に沿うX方向に並んだ中央側の4つの機器側装着用磁石66aS,66bN,66cS,66dN(以下、単に「磁石66aS,66bN,66cS,66dN」ともいう)と、左右両端側にそれぞれ一対ずつ並んだ4つの機器側補助装着用磁石66eS,66fS,66gS,66hS(以下、単に「磁石66eS〜66hS」ともいう)とを備える。磁石66aS,66cS,66eS〜66hSは、他側面60bにS極が臨んで吸着可能に配置され、磁石66bN,66dNは、他側面60bにN極が臨んで吸着可能に配置されている。
磁石66aS,66bNは他側面60bの中央に設けられた端子逃げ孔64を通して配置される端子20の一方側に対となって互いに隣接配置され、磁石66cS,66dNは端子20の他方側に対となって互いに隣接配置されている。磁石66aS,66bN,66cS,66dNの配列ピッチは、機器側装着用磁石30aS,30bN,30cS,30dNの配列ピッチと同一ピッチに設定されている。つまり、磁石66aS,66bN,66cS,66dNの配列ピッチは、キーボード装置10側の磁石48aN,48bS,48cN,48dSの配列ピッチと同一ピッチに設定されると共に、N極S極が逆転配置されている。
両端側の磁石66eS,66hSは、カバー部材60の左右両端部付近にそれぞれ配置され、これら磁石66eS,66hSと磁石66aS,66dNとの間に磁石66fS,66gSが配置されている。これら磁石66eS〜66hSの配列ピッチは、キーボード装置10の装着部44の補助装着用磁石48eN〜48hNの配列ピッチと同一ピッチに設定されることで互いに吸着可能とされている。
図13は、カバー部材60を用いたタブレット型PC12に装着したキーボード装置10の設置角度を最小にした状態を示す要部拡大側面図であり、図14は、図13に示す状態からキーボード装置10の設置角度を大きくして最大にした状態を示す要部拡大側面図である。また、図15は、カバー部材60を用いたタブレット型PC12に装着したキーボード装置10を収納形態とした要部拡大側面図であり、図15(A)は、キーボード装置10をタブレット型PC12の表面12b側に収納した状態を示す図であり、図15(B)は、キーボード装置10をタブレット型PC12の背面12c側に収納した状態を示す図である。
先ず、キーボード装置10を一側面12aにカバー部材60を装着したタブレット型PC12に装着する際には、キーボード装置10の装着部44の表面44aをタブレット型PC12の底面となるカバー部材60の他側面60bに対向配置する。そして、装着用磁石列48の4つの磁石48aN,48bS,48cN,48dSを機器側装着用磁石列66の4つの磁石66aS,66bN,66cS,66dNに吸着させると共に、4つの補助装着用磁石48eN〜48hNを4つの機器側補助装着用磁石66eS〜66hSに吸着させる。同時に接続端子部25を端子逃げ孔64を挿通した端子20に接続する。これにより、図13に示すように、キーボード装置10が装着部44を介してタブレット型PC12の底面(他側面60b)に装着され、両者が電気的にも接続される。
この状態で、スタンド部18を介してタブレット型PC12を底面に装着された装着部44を下にして起立させ、図13に示すようにフレキシブルヒンジ部46の装着部44と第1磁石列50との間となる位置をキーボード部40が前方に延在するようにX方向に沿って折り返す。そうすると、キーボード装置10のキーボード部40を略水平方向に沿った最小の設置角度に設定したノート型PCとしての使用形態となる。
なお、図13に示す使用形態でフレキシブルヒンジ部46の第1磁石列50と第2磁石列52との間となる位置をX方向に沿って上方に山形状に折り返し、第1磁石列50の6つの磁石50aN〜50fNにおける背面46b側に臨むS極を第2磁石列52の6つの磁石52aS〜52fSにおける背面46b側に臨むN極に吸着させてもよい。そうすると、図13に示す位置よりもキーボード部40の位置がタブレット型PC12側に近づいた位置に水平移動した使用形態となる。
次に、装着部44を介してキーボード装置10をタブレット型PC12に装着し、スタンド部18を介してタブレット型PC12を起立させる。また、図14に示すようにフレキシブルヒンジ部46の装着部44と第1磁石列50との間となる位置を表面12b側にX方向に沿って折り返す。続いて、キーボード装置10側の第2磁石列52の6つの磁石52aS〜52fSをタブレット型PC12側の機器側第3磁石列34の6つの磁石34aN〜34fNに吸着させる。そして、フレキシブルヒンジ部46のキーボード部40と第2磁石列52との間となる位置をキーボード部40が前方に延在するようにX方向に沿って折り返す。そうすると、図14に示すように、キーボード装置10のキーボード部40を図13に示す設置角度よりも後端部を上位置に配置し、前下がりに傾斜させた最大の設置角度に設定したノート型PCとしての使用形態となる。
一方、図15(A)に示すようにキーボード装置10をタブレット型PC12の表面12b側に重ね、キーボード装置10でディスプレイ17を覆った収納姿勢とする際には、装着部44を介してキーボード装置10をタブレット型PC12に装着する。また、フレキシブルヒンジ部46の装着部44と第1磁石列50との間となる位置を表面12b側にX方向に沿って折り返す。続いて、キーボード装置10側の第2磁石列52の6つの磁石52aS〜52fSをタブレット型PC12側の機器側第3磁石列34の6つの磁石34aN〜34fNに吸着させる。そして、キーボード部40をディスプレイ17を覆うように重ねる。そうすると、図15(A)に示すように、キーボード装置10でディスプレイ17を覆った収納姿勢とすることができ、当該電子機器14の持ち運び等に適した形態となる。
次に、図15(B)に示すようにキーボード装置10をタブレット型PC12の背面12c側に重ね、ディスプレイ17を使用可能に露出させた収納姿勢とする際には、装着部44を介してキーボード装置10をタブレット型PC12に装着する。また、フレキシブルヒンジ部46の装着部44と第1磁石列50との間となる位置をX方向に沿って背面12c側に折り返す。続いて、フレキシブルヒンジ部46の第1磁石列50と第2磁石列52の間となる位置をX方向に沿って背面12c側に折り返す。そうすると、図15(B)に示すように、キーボード装置10で背面12cを覆った収納姿勢とすることができ、当該電子機器14を手で把持した状態での使用に適した通常のタブレット型PCとしての使用形態となる。
以上のように、本実施形態に係るキーボード装置10は、携帯用情報機器であるタブレット型PC12の一側面12aに沿って配設された機器側装着用磁石30aS,30bN,30cS,30dNに対して吸着可能な装着用磁石48aN,48bS,48cN,48dSを有する装着部44と、装着部44とキーボード部40との間を連結するフレキシブルヒンジ部46と、フレキシブルヒンジ部46に設けられ、フレキシブルヒンジ部46の装着部44側からキーボード部40側に向かって互いに間隔を介して並設された第1磁石50aN〜50fN及び第2磁石52aS〜52fSとを備える。
従って、キーボード装置10は、装着部44の装着用磁石48aN,48bS,48cN,48dSをタブレット型PC12の機器側装着用磁石30aS,30bN,30cS,30dNに対して吸着させることでタブレット型PC12に着脱可能に装着することができる。この際、キーボード部40と装着部44との間にフレキシブルヒンジ部46を備えるため、タブレット型PC12に対して装着部44を装着した状態でフレキシブルヒンジ部46を介してキーボード部40を所望の角度姿勢に配置でき、タブレット型PC12をノート型PCのように使用することが可能となる。しかも、フレキシブルヒンジ部46には互いに間隔を介して並設された第1磁石50aN〜50fN及び第2磁石52aS〜52fSが設けられている。このため、これら第1磁石50aN〜50fN及び第2磁石52aS〜52fSをタブレット型PC12側の他の磁石(本実施形態では機器側第1磁石28aS〜28dS、機器側第2磁石32aS〜32dS及び機器側第3磁石34aN〜34fN)に適宜吸着させることで、キーボード部40の設置角度を3段階に調整して操作性を向上させることができる。
この場合、第1磁石50aN〜50f及び第2磁石52aS〜52fSとは、当該キーボード装置10の表面40a,44aに臨む極が逆に設定されている。これにより、例えば図7に示すようにフレキシブルヒンジ部46を折り返して第1磁石50aN〜50fNと第2磁石52aS〜52fSとの間を互いに吸着させることができ、キーボード部40の設置角度の調整自由度を高めている。
本実施形態に係る電子機器14では、タブレット型PC12は、その一側面12aに直交する方向で機器側装着用磁石30aS,30bN,30cS,30dNの一方側に設けられた機器側第1磁石28aS〜28dSと、一側面12aに直交する方向で機器側装着用磁石30aS,30bN,30cS,30dNの他方側に設けられた機器側第2磁石32aS〜32dS及び機器側第3磁石34aN〜34fNとを有する。これにより、キーボード装置10の第1磁石50aN〜50fN及び第2磁石52aS〜52fSを、タブレット型PC12側の機器側第1磁石28aS〜28dS、機器側第2磁石32aS〜32dS及び機器側第3磁石34aN〜34fNに適宜吸着させることができ、キーボード部40の設置角度の調整自由度が確保される。
この場合、機器側第1磁石28aS〜28dSと機器側第2磁石32aS〜32dSとは、タブレット型PC12の表面12bに臨む極が同一に設定され、機器側第2磁石32aS〜32dSと機器側第3磁石34aN〜34fNとは、タブレット型PC12の表面12bに臨む極が逆に設定されている。これにより、キーボード装置10の表面40a,44aに臨む極が逆に設定された第1磁石50aN〜50fN及び第2磁石52aS〜52fSを高い配置自由度でタブレット型PC12側の各磁石に吸着させることができ、キーボード部40の設置角度の調整自由度が確保される。
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
例えば上記実施形態では、タブレット型PC12の本体に対して拡張装置16又はカバー部材60を着脱可能に装着する構成を例示したが、拡張装置16又はカバー部材60はタブレット型PC12の本体と着脱不能で一体に構成されていてもよい。換言すれば、タブレット型PC12は、キーボード装置10側の各磁石が装着される機器側装着用磁石30aS,30bN,30cS,30dN、機器側第1磁石28aS〜28dS、機器側第2磁石32aS〜32dS及び機器側第3磁石34aN〜34fNとを有すれば、拡張装置16又はカバー部材60を備えない構成であってもよい。