〔実施形態1〕
(タッチパネルシステム1の構成)
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態1に係るタッチパネルシステム1の基本構成を示す概略図である。図1に示すように、タッチパネルシステム1は、表示装置2、タッチパネル3、ドライブライン駆動部4、タッチ位置検出部5、およびホスト端末6を備えている。以下では、使用者が利用する側を、前面(または上方)として説明する。
表示装置2は、表示面を有している。表示面には、操作用の各種アイコンや、使用者の操作指示に応じた文字情報等が表示される。表示装置2は、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、電界放出ディスプレイ(FED;field
emission display)等から構成される。これらのディスプレイは、日常的な電子機器に多用されており、汎用性の高いタッチパネルシステム1が構成される。表示装置2は、任意の構成とすればよく、特に限定されない。また、表示装置2は、TFT(Thin-Film Transistor)として、その半導体層にいわゆる酸化物半導体を用いたTFTを採用することが好ましい。この酸化物半導体には、例えば、InGaZnO系酸化物半導体が含まれる。InGaZnO系酸化物半導体を採用した表示装置2は、高精細表示および飛躍的な省エネルギー化を実現することができる。
タッチパネル3は、使用者が指またはペン等の指示体により、タッチパネル3の表面をタッチ(押圧)操作することによって、各種の操作指示を入力する。タッチパネル3は、表示面を覆うように、表示装置2の前面(上部)に積層されている。本実施形態では、タッチパネル3として、投影型静電容量方式のタッチパネルを用いている。静電容量方式のタッチパネル3は、透過率が高く、耐久性も有するという利点を有する。しかし、タッチパネル3の方式は限定されるものではなく、他の方式であってもよい。例えば、タッチパネル3の方式は、抵抗膜方式、電磁誘導方式、超音波表面弾性波方式、または、赤外線走査方式であってもよい。
具体的には、タッチパネル3は、表示面に沿って設けられる複数の平行なドライブラインDLと、表示面に沿って設けられドライブラインDLと立体交差する複数の平行なセンスラインSLとを備える。ドライブラインDLとセンスラインSLとの交差部分には、静電容量が形成されている。ドライブラインDL及びセンスラインSLは、いずれも、例えば、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)などの透明な配線材料、または、金属メッシュから形成することができる。ドライブラインDL及びセンスラインSLは、表示装置2(表示面の一部を成すパネル体)に配線される。なお、図1では、ドライブラインDLとセンスラインSLとが垂直に立体交差する場合について例示しているが、垂直以外の角度で立体交差してもよい。
ドライブライン駆動部4は、ドライブラインDLに接続されており、タッチパネルシステム1の起動時に、ドライブラインDLに一定周期で電位を印加する。ドライブライン駆動部4は、ドライブラインDLを駆動することで当該ドライブラインDLと立体交差するセンスラインSLに状態信号を生成させる。状態信号は、タッチパネル3上の上記立体交差部分やその近傍部分(以下、検出領域(図1中の検出領域X))上におけるタッチの状態を示す信号である。
状態信号は、ドライブラインDLとセンスラインSLとの間の静電容量に応じた値となり、タッチパネル3上の検出領域Xに対して接触あるいは近接しているかを示す信号となる。つまり、状態信号は、検出領域Xに対する接触あるいは近接の有無や、検出領域Xと指示体との離間距離などを示す信号となる。なお、指示体が検出領域Xに接触または近接するほど、静電容量は小さくなる。
タッチ位置検出部5は、タッチパネル3からの信号を処理し、タッチ位置を検出する。すなわち、タッチ位置検出部5は、センスラインSLに生成された状態信号を処理することで、表示面に接触または近接するタッチの位置を検出する。タッチ位置検出部5は、増幅部51、信号取得部52、A/D変換部53、復号処理部54、タッチ位置算出部55、およびタッチ位置予測部56を、タッチパネル3側からこの順に備えている。
増幅部51は、センスラインSLに生成される状態信号を増幅する。信号取得部52は、増幅部51によって増幅された状態信号を取得して時分割で出力する。A/D変換部53は、信号取得部52から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。復号処理部54は、A/D変換部53で変換されたデジタル信号に基づいて、タッチパネル3内の容量分布の変化量を求める。タッチ位置算出部55は、復号処理部54で求められた容量分布の変化量に基づいて、タッチパネル3上のタッチの位置を算出し、その位置を示すタッチ位置情報を生成する。タッチ位置予測部56は、一連のタッチ操作中にタッチ位置情報が欠落している可能性がある場合に、次に検出されるタッチ位置の予測座標または予測範囲を設定すると共に、欠落前後のタッチ位置情報の連続性を判定する。タッチ位置予測部56の詳細は、後述する。
ホスト端末6は、ドライブライン駆動部4が駆動するドライブラインDLを制御する。また、ホスト端末6は、タッチ位置検出部5が状態信号を処理するセンスラインSLを制御する。なお、以下では、ホスト端末6がこれらの両方を制御する場合について例示するが、ホスト端末6がこれらの一方のみを制御してもよい。
(タッチパネルシステム1の基本動作)
次に、図1を参照して、このタッチパネルシステム1の基本動作の一例について説明する。なお、以下では、タッチパネルシステム1がタッチパネル3に接触または近接する指示体を検出する1回の試行動作について説明する。
最初に、ドライブライン駆動部4がドライブラインDLを駆動して、センスラインSLに状態信号を生成させる。次に、増幅部51が、センスラインSLに生成される状態信号を増幅する。さらに、信号取得部52が、増幅部51で増幅された状態信号を、時分割で出力する。なお、ドライブライン駆動部4、増幅部51及び信号取得部52のそれぞれは、ホスト端末6によってその動作が制御される。すなわち、ホスト端末6は、駆動すべきドライブラインDL、状態信号を処理すべきセンスラインSLを制御する。
次に、A/D変換部53が、信号取得部52から出力されたアナログ信号を、所定のビット数のデジタル信号に変換する。続いて、復号処理部54は、A/D変換部53によって変換されたデジタル信号に基づいて、タッチパネル3内の容量分布の変化量を求める。例えば、復号処理部54は、タッチの検出前に、タッチパネル3上にタッチ対象(指示体)が存在しない場合のデジタル信号を取得して、タッチパネル3上にタッチ対象(指示体)が存在しない場合の容量分布をあらかじめ求めておく。復号処理部54は、A/D変換部53から指示体の検出時のデジタル信号を取得して、指示体が存在する場合の容量分布を求める。そして、あらかじめ求めたタッチ対象が存在しない場合の容量分布と、タッチ対象が存在する場合の容量分布とを比較して、容量分布の変化量を求める。この容量分布の変化量は、タッチ対象(指示体)に起因する静電容量の変化量とも言い換えられる。
タッチ位置算出部55は、復号処理部54で求められた容量分布の変化量に基づいて、タッチパネル3上のタッチ対象の位置を算出し、タッチ位置情報を生成する。例えば、タッチ位置算出部55は、タッチパネル3上で静電容量の変化量が、タッチ判定しきい値よりも大きくなっている部分にタッチ対象が存在すると判断して、タッチパネル3上のタッチ対象の位置を算出する。タッチ位置算出部55は、任意のスキャン周期で検出された、各時点のタッチ位置を算出する。
タッチ位置予測部56は、タッチ位置算出部55で算出されたタッチ位置情報の欠落可能性の有無を判定する。さらに、タッチ位置予測部56は、タッチ位置情報が欠落している可能性がある場合に、タッチ操作の履歴に基づいて、次に検出されるであろうタッチ位置(欠落後のタッチ位置)の予測座標または予測範囲を設定する。タッチ位置予測部56は、その予測座標または予測範囲に基づいて、欠落前後のタッチ操作の連続性を判定する。
図2に基づいて、タッチ位置予測部56の一例について説明する。図2は、図1のタッチパネルシステム1におけるタッチ位置予測部56の構成を示すブロック図である。図2に示すように、タッチ位置予測部56は、タッチ履歴記憶部56aと、タッチ位置判定部(連続性判定部)56bとから構成されている。
タッチ履歴記憶部56aは、タッチ位置算出部55により算出されたタッチ位置に関するタッチ情報を記憶する。具体的には、タッチ履歴記憶部56aは、算出されたタッチ位置の相対時刻と共に、そのタッチ位置情報(タッチ位置の座標など)を記憶する。タッチパネルシステム1では、タッチ履歴記憶部56aは、タッチ操作の履歴に基づいて算出される、タッチ位置の移動速度(タッチ速度)、タッチ位置の移動加速度も記憶している。タッチ履歴記憶部56aは、タッチ位置の移動量と移動時間とからタッチ位置の移動速度を算出し、連続するタッチ位置の移動速度から移動加速度を算出する。このように、タッチパネル3上で一連のタッチ操作がされた場合、タッチ履歴記憶部56aは、タッチ操作中、継続的にタッチ情報を記憶する。従って、タッチ履歴記憶部56aは、タッチ情報をリアルタイムに記憶することになる。
タッチ位置判定部56bは、タッチ履歴記憶部56aに記憶されたタッチ情報を読み出す。一連のタッチ操作中にノイズ等が発生すると、本来のタッチ位置が検出されず、そのタッチ位置に関するタッチ情報が欠落する。このため、欠落したタッチ情報については、タッチ履歴記憶部56aに記憶されない。そこで、タッチ位置判定部56bは、タッチ位置の検出結果(タッチ情報)の欠落可能性の有無を判定すると共に、欠落可能性がある場合に、欠落前後のタッチ情報の連続性を判定する。タッチ位置判定部56bは、連続性を判定したタッチ情報をタッチ位置算出部55(図1参照)に出力する。タッチ位置判定部56bについては、後述する。
タッチパネルシステム1では、このような試行動作を繰り返すことによって、タッチ対象である指示体を、継続的に検出する。
なお、ホスト端末6は、必要に応じてタッチ位置算出部55から出力されるタッチ位置情報を参照して、ドライブライン駆動部4およびタッチ位置検出部5の各部を制御することができる。また、ホスト端末6は、タッチ位置検出部5が単位時間(例えば1秒)当たりにタッチ対象の検出を試行する回数であるフレームレートを、制御することができる。すなわち、タッチパネルシステム1では、ホスト端末6の制御によって、ドライブライン駆動部4が駆動すべきドライブラインDL、タッチ位置検出部5が状態信号を処理すべきセンスラインSL、フレームレート、検出感度などを、それぞれ任意に設定することができる。
(タッチ位置予測部56の処理)
次に、タッチパネルシステム1の特徴的構成であるタッチ位置予測部56の詳細について説明する。タッチパネルシステム1では、タッチ位置検出部5が所定時間ごとにタッチ位置を検知することにより、ある時点のタッチ位置が認識される。一連のタッチ操作中にノイズ等が発生すると、本来のタッチ位置が検出されず、そのタッチ位置に関するタッチ情報が欠落する。また、タッチパネル3の損傷、タッチパネル3への水滴や埃の付着など、タッチパネル3へのタッチが妨害されると、タッチ位置に関するタッチ情報が欠落する原因となる。つまり、指示体による一連のタッチ操作中に、一部のタッチ位置が認識されない状態(指示体によりタッチ操作されているにもかかわらず、一部のタッチ位置が認識されていない状態)が起こり得る。その結果、一連のタッチ操作であるのにもかかわらず、欠落したタッチ位置の前後で、タッチ操作が途切れたと認識される可能性がある。つまり、タッチ操作を正確に認識することができなくなる可能性がある。
そこで、タッチパネルシステム1は、ノイズ等の影響によるタッチ情報の欠落対策として、タッチ位置予測部56を備えている。タッチ位置予測部56は、一連のタッチ操作中にタッチ情報が欠落した可能性がある場合、欠落前後のタッチ情報の連続性の有無を判定する。
以下では、図3および図4に基づいて、タッチ位置予測部56が、タッチ情報の欠落可能性の有無の判定、および、欠落前後のタッチ情報の連続性の有無の判定を実施する処理例について説明する。図3は、図1のタッチパネルシステム1におけるタッチ位置予測部56の処理を示すフローチャートである。図4は、図1のタッチパネルシステム1におけるタッチ位置予測部56の処理を示す模式図である。
図3に示すように、タッチ位置検出部5は、任意のスキャン周期でタッチパネル3からの信号を処理し、タッチ位置を検出する(S1)。具体的には、タッチパネル3上でタッチ操作が行われると、タッチ位置算出部55は、タッチパネル3の静電容量の変化量に基づいて、現在のタッチ位置を算出し、算出結果をタッチ位置予測部56(タッチ履歴記憶部56a)に送信する。
次に、タッチ位置判定部56bは、タッチ履歴記憶部56aに記憶されたタッチ情報を読み出し、一連のタッチ操作中にタッチ情報が欠落している可能性があるかどうかを判定する(S2)。タッチ位置判定部56bは、タッチ情報が欠落した可能性がある場合に、タッチ位置の履歴から欠落したタッチ位置及び現在のタッチ位置を予測する(S3)。図3の例では、タッチ位置判定部56bは、等速直線運動でタッチ操作されているとみなして、欠落したタッチ位置および現在のタッチ位置を予測する。次に、タッチ位置判定部56bは、予測の合否によって欠落前後のタッチの連続性を判定(S4〜S6)する。具体的には、実際に検出された現在のタッチ位置が、現在のタッチ位置の予測位置に近接しているかまたは予測範囲内であるかどうかに基づいて、タッチの連続性を判定する。
ここで、図4に基づいて、タッチ位置判定部56bの処理(図3のS2〜S6)についてより詳細に説明する。図4の例では、図1のタッチパネルシステム1において検出された一連のタッチ操作の例が示されている。すなわち、図4には、タッチ位置Pt−4→タッチ位置Pt−3→タッチ位置Pt−2の順にタッチ位置が検出され、ある時刻においてタッチ位置P1、タッチ位置P2、またはタッチ位置P3(現在のタッチ位置)が検出された例が示されている。また、図3の例では、現在のタッチ位置(タッチ位置P1、タッチ位置P2、タッチ位置P3)の直前のタッチ位置(タッチ位置Pt−1)のタッチ情報が欠落している。また、図3には、タッチ位置Pt−4からタッチ位置Pt−3へのタッチ位置の移動速度Vt−3、タッチ位置Pt−3からタッチ位置Pt−2へのタッチ位置の移動速度Vt−2、タッチ位置Pt−2からタッチ位置Pt−1へのタッチ位置の移動速度Vt−1、タッチ位置Pt−1から予測された現在のタッチ位置Ptへのタッチ位置の移動速度Vtも記載されている。
まず、タッチ位置判定部56bは、第1期間(t)ごとに、タッチ履歴記憶部56aに記憶されたタッチ情報を読み出す。そして、あるタッチ位置が検出された後、次のタッチ位置が検出されるまでの期間が第1期間(t)よりも長く、かつ、第2期間(T;ただしT>t)以内の場合に、タッチ情報(タッチ位置の検出結果)が欠落している可能性があると判定する。図4の例では、タッチ位置判定部56bは、第1期間(t)としてスキャン周期が設定され、第2期間(T)としてスキャン周期の2倍が設定されている。すなわち、タッチ位置判定部56bは、スキャン周期ごとにタッチ情報を読み出す(t=スキャン周期)と共に、ある時点で読み出されたタッチ情報から、次に読み出されたタッチ情報までの期間(間隔)が、スキャン周期の2倍以内(T=2t=スキャン周期×2)かどうかを確認して、タッチ情報の欠落可能性を判定する。図4では、タッチ位置Pt−2のタッチ情報が検出された後、t秒後にはタッチ情報(タッチ位置Pt−1)が検出されず、2t秒後にタッチ位置P1またはタッチ位置P2が検出されている。この場合、タッチ位置Pt−2が検出されてからタッチ位置P1またはタッチ位置P2が検出されるまでの期間(T1,T2)は、いずれもスキャン周期の2倍(T1=T2=2t)であり、t<T1≦2tおよびt<T2≦2tを満たす。従って、タッチ位置判定部56bは、タッチ位置Pt−1のタッチ情報が欠落している可能性があると判定する(S2でYES)。
タッチ情報が欠落している可能性があると判定した場合、タッチ位置判定部56bは、タッチ履歴に基づいて欠落したタッチ位置Pt−1及び現在のタッチ位置Ptを予測する(S3)。本実施形態のタッチパネルシステム1では、タッチ操作を等速直線運動と仮定して、欠落したタッチ位置Pt−1及び現在のタッチ位置Ptを予測する。具体的には、タッチ位置判定部56bは、欠落したタッチ位置(タッチ位置Pt−1)よりも前に検出されたタッチ位置(タッチ位置Pt−2,タッチ位置Pt−3)のタッチ情報を利用し、タッチ位置Pt−3→タッチ位置Pt−2→タッチ位置Pt−1→タッチ位置Ptと等速直線運動するものと仮定して、欠落したタッチ位置Pt−1及び現在のタッチ位置Ptを予測する。つまり、移動速度Vt−2=移動速度Vt−1=移動速度Vtとみなして、欠落したタッチ位置Pt−1及び現在のタッチ位置Ptを予測する。さらに、タッチ位置判定部56bは、タッチ履歴を利用して、現在のタッチ位置の予測範囲Pt’を設定してもよい。ここでは、予測範囲Pt’として、予測された現在のタッチ位置Ptを中心とする円が設定されている。
タッチ位置判定部56bは、実際に検出された現在のタッチ位置P1またはタッチ位置P2と、予測された現在のタッチ位置Ptまたはその予測範囲Pt’とを比較して、タッチの連続性を判定する。すなわち、現在のタッチ位置P1またはタッチ位置P2が、予測された現在のタッチ位置Ptから所定距離に存在するかどうか、または、予測範囲Pt’内に存在するかどうかに基づいて、タッチの連続性を判定する。
具体的には、現在のタッチ位置としてタッチ位置P1が検出された場合、タッチ位置P1は、予測範囲Pt’内に存在する(S4でYES)。つまり、タッチ位置P1は、予測された現在のタッチ位置Ptから所定距離に存在する。この場合、タッチ位置判定部56bは、欠落したタッチ位置Pt−1前後のタッチが、一連のタッチ操作によるものであると判定する(S5)。つまり、タッチ位置Pt−4→タッチ位置Pt−3→タッチ位置Pt−2→タッチ位置Pt−1→タッチ位置P1の順にされた一連のタッチ操作であると判定する。判定結果は、タッチ履歴記憶部56aに記録される。なお、タッチ情報が欠落していない場合(S2でNO)も、同様に、連続して検出されたタッチ情報が、一連のタッチ操作によるものであると判定される。
一方、現在のタッチ位置としてタッチ位置P2が検出された場合、タッチ位置P2は、予測範囲Pt’内に存在しない(S4でNO)。つまり、タッチ位置P2は、予測された現在のタッチ位置Ptから所定距離に存在しない。この場合、タッチ位置判定部56bは、欠落したタッチ位置Pt−1前後のタッチが、一連のタッチ操作によるものでなく、連続しない独立したタッチ操作と判定する(S6)。つまり、連続したタッチは、タッチ位置Pt−2で一旦途切れ、タッチ位置P2は、タッチ位置Pt−4→タッチ位置Pt−3→タッチ位置Pt−2までのタッチとは独立したものであると判定する。判定結果は、タッチ履歴記憶部56aに記録される。
なお、上述したタッチ位置P1およびタッチ位置P2が検出されず、タッチ位置Pt−2の検出後、第2期間(T)以降に、現在のタッチ位置としてタッチ位置P3が検出される場合もある。この場合、タッチ位置Pt−2が検出されてから次のタッチ位置P3が検出されるまでの期間(T3)は、スキャン周期の2倍より大きくなるため(T3>T=2t)、t<T3≦2tを満たさない。タッチ位置判定部56bは、この場合も、連続したタッチは、タッチ位置Pt−2で一旦途切れ、タッチ位置P3は、タッチ位置Pt−4→タッチ位置Pt−3→タッチ位置Pt−2までのタッチとは独立したものであると判定する。判定結果は、タッチ履歴記憶部56aに記録される。また、タッチ位置判定部56bは、図4において、タッチ位置Pt−2の検出後、第2期間(T)以降にタッチ情報が検出されなかった場合、タッチ位置Pt−2で一連のタッチ操作が終了したと判断する。
タッチパネルシステム1は、このような処理を繰り返し、一連のタッチ操作を認識し、欠落前後のタッチ位置の連続性を判定する。なお、タッチ位置判定部56bに設定される第1期間(t)および第2期間(T)は、上述の例に限定されるものではない。当業者であれば、第1期間(t)および第2期間(T)を、経験則に基づいて設定することができる。
また、タッチ位置判定部56bは、予測した欠落したタッチ位置Pt−1、現在のタッチ位置Ptおよびその予測範囲Pt’をタッチ履歴記憶部56aに記録してもよい。これにより、タッチ位置Pt−1、現在のタッチ位置Ptおよびその予測範囲Pt’の各タッチ情報が補完される。
以上のように、タッチパネルシステム1は、タッチ位置検出部5が、一連のタッチ操作中における、タッチ位置Pt−2が検出された後、次のタッチ位置(タッチ位置P1、タッチ位置P2、タッチ位置P3)が検出されるまでの期間が第1期間(t)よりも長く、かつ、第2期間(T;ただしT>t)以内の場合に、タッチ位置Pt−2の検出結果が欠落している可能性があると判定すると共に、タッチ位置の履歴から次のタッチ位置の予測座標(タッチ位置Pt)または次のタッチ位置が入るであろう範囲(予測範囲Pt’)を予測するタッチ位置予測部56を備え、予測の合否によって2つのタッチ(タッチ位置Pt−2とタッチ位置P1、タッチ位置P2、またはタッチ位置P3)連続性を判定する。
すなわち、本実施形態のタッチパネルシステム1は、一連のタッチ操作中に、ある時点のタッチ位置Pt−1が欠落した場合に、直ちにタッチ情報の関連付けを終了するのではなく、次の時点についてタッチ位置の予測座標(タッチ位置Pt)またはタッチ位置Ptの予測範囲Pt’を設定する。そして、そのタッチ位置Pt付近または予測範囲Pt’内に、タッチが検出された場合、欠落したタッチ位置Pt−1の前後のタッチ位置のタッチ情報を関連付け、一連のタッチ操作であると判定する。そして、次の時点以降も、タッチ情報の関連付けの判定を継続する。
一方、本実施形態のタッチパネルシステム1は、予測座標(タッチ位置Pt)から離れてタッチが検出された場合、または、予測範囲Pt’外でタッチが検出された場合、欠落したタッチ位置Pt−1の前後のタッチ位置のタッチ情報を関連付けずに、独立したタッチであると判定する。これにより、不自然なタッチ情報の関連付けを排除することができる。従って、タッチ操作中のタッチ情報が欠落した場合であっても、タッチ操作の誤認識を防止することができる。
また、本実施形態のタッチパネルシステム1において、連続して検出されたタッチ位置の距離だけで、タッチ操作を関連付けすると、タッチ位置の履歴からして明らかに不自然な方向に出現しているノイズ等のタッチ様現象を、一連のタッチ操作として誤って関連付けてしまい、タッチ操作を誤認識する可能性がある。
そこで、本実施形態のタッチパネルシステムは、欠落以前のタッチ位置の履歴(タッチ履歴記憶部56aに記憶されたタッチ情報)から、欠落したタッチ位置Pt−1への移動速度Vt−1および現在のタッチ位置Ptを予測する。これにより、タッチ操作を誤認識が排除され、タッチの連続性を正確に判定することができる。
このように、本実施形態のタッチパネルシステム1は、タッチパネル3上での一連のタッチ操作中にタッチが一旦途切れた際(欠落した際)に、途切れた前後のタッチの連続性の有無を適切に判別することが可能となる。
また、本実施形態のタッチパネルシステム1では、タッチ位置判定部56bは、現在のタッチ位置P1が、予測範囲Pt’内に存在する場合に、欠落したタッチ位置Pt−1を含めて、一連のタッチが連続したものであると判定する。これにより、タッチ操作の連続性を簡便に判定することができる。
また、本実施形態のタッチパネルシステム1では、タッチ位置判定部56bは、現在のタッチ位置P2およびタッチ位置P3が予測範囲Pt’内に存在しないことで、タッチ位置Pt−1が欠落しているのではなく、タッチ位置Pt−2でタッチが一旦途切れたと判定する。これにより、タッチ操作の連続性をより正確に判定することができる。
また、本実施形態のタッチパネルシステム1では、タッチ位置予測部56(タッチ位置判定部56b)は、タッチ位置、タッチ位置の移動速度に基づいて、次のタッチ位置の予測座標(タッチ位置Pt)または予測範囲Pt’を設定するようになっている。これにより、予測座標(タッチ位置Pt)または予測範囲Pt’の設定処理(予測処理)を簡素化することができる。
なお、欠落したタッチ位置の予測は必須ではないものの、図4のようにしてタッチ位置を算出する場合、現在のタッチ位置Ptを予測する過程で、欠落したタッチ位置Pt−1も予測していることになる。欠落したタッチ位置の予測座標は、必要に応じて、タッチ履歴記憶部56aに記憶することにより、欠落したタッチ位置Pt−1のタッチ情報を補完してもよい。
また、タッチ位置予測部56は、少なくともタッチ位置の検出結果が欠落している可能性があると判定した場合に、次に検出されるタッチ位置を予測すればよい。しかし、タッチ位置予測部56は、常時、次に検出されるタッチ位置を予測するようになっていてもよい。
また、本実施形態1では、欠落したタッチ位置が1つである場合について説明したが、2つ以上のタッチ位置が欠落した場合についても同様に、タッチの連続性を判定することができる。ただし、欠落したタッチ位置が1つである場合の判定精度が最も高くなるため、欠落したタッチ位置の数は1つであることが好ましい。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図5および図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。以下の説明では、実施形態1との相違点であるタッチ位置予測部56の処理を中心に説明する。
(タッチ位置予測部56の他の処理)
実施形態1では、タッチ位置予測部56が、欠落したタッチ位置(タッチ位置Pt−1)の前に検出されたタッチ位置(タッチ位置Pt−2,タッチ位置Pt−3)のタッチ情報を利用し、タッチ位置Pt−3→タッチ位置Pt−2→タッチ位置Pt−1→タッチ位置Ptと等速直線運動するものとして、欠落したタッチ位置Pt−1及び現在のタッチ位置Ptを予測していた。
しかし、実際の指示体の動きは、単純な直線的な軌跡をたどるだけでなく、曲線的な軌跡をたどる場合が多い。
そこで、実施形態2では、タッチ位置予測部56が、タッチ位置およびタッチ位置の移動速度だけでなく、タッチ位置の移動加速度も鑑みて欠落したタッチ位置Pt−1及び現在のタッチ位置Ptを予測する。
図5は、本発明の実施形態2に係るタッチパネルシステム1におけるタッチ位置予測部56の処理を示すフローチャートである。図6は、本発明の実施形態2に係るタッチパネルシステム1におけるタッチ位置予測部56の処理を示す模式図である。
図5に示すように、タッチ位置検出部5は、任意のスキャン周期でタッチパネル3からの信号を処理し、タッチ位置を検出する(S11)。具体的には、タッチパネル3上でタッチ操作が行われると、タッチ位置算出部55は、タッチパネル3の静電容量の変化量に基づいて、現在のタッチ位置を算出し、算出結果をタッチ位置予測部56(タッチ履歴記憶部56a)に送信する。
次に、タッチ位置判定部56bは、タッチ履歴記憶部56aに記憶されたタッチ情報を読み出し、一連のタッチ操作中にタッチ情報が欠落している可能性があるかどうかを判定する(S12)。タッチ位置判定部56bは、タッチ情報が欠落した可能性がある場合に、タッチ位置の履歴から欠落したタッチ位置及び現在のタッチ位置を予測する(S13)。図5の例では、タッチ位置判定部56bは、欠落したタッチ位置以前のタッチ位置、欠落したタッチ位置以前のタッチ位置の移動速度、欠落したタッチ位置以前のタッチ位置の移動加速度に基づいて、欠落したタッチ位置および現在のタッチ位置を予測する。次に、タッチ位置判定部56bは、予測の合否によって欠落前後のタッチの連続性を判定(S14〜S16)する。具体的には、実際に検出された現在のタッチ位置が、現在のタッチ位置の予測位置に近接しているかまたは予測範囲内であるかどうかに基づいて、タッチの連続性を判定する。
ここで、図6に基づいて、タッチ位置判定部56bの処理(図5のS12〜S16)についてより詳細に説明する。図6の例では、図4と同様に、タッチ位置Pt−4→タッチ位置Pt−3→タッチ位置Pt−2の順にタッチ位置が検出され、ある時刻においてタッチ位置P1、タッチ位置P2、またはタッチ位置P3(現在のタッチ位置)が検出された例が示されている。また、図6の例でも、現在のタッチ位置(タッチ位置P1、タッチ位置P2、タッチ位置P3)の直前のタッチ位置(タッチ位置Pt−1)のタッチ情報が欠落している。また、図6には、タッチ位置Pt−4からタッチ位置Pt−3へのタッチ位置の移動速度Vt−3、タッチ位置Pt−3からタッチ位置Pt−2へのタッチ位置の移動速度Vt−2、タッチ位置Pt−2からタッチ位置Pt−1へのタッチ位置の移動速度Vt−1、タッチ位置Pt−1から予測された現在のタッチ位置Ptへのタッチ位置の移動速度Vtも記載されている。
まず、タッチ位置判定部56bは、第1期間(t)ごとに、タッチ履歴記憶部56aに記憶されたタッチ情報を読み出す。そして、あるタッチ位置が検出された後、次のタッチ位置が検出されるまでの期間が第1期間(t)よりも長く、かつ、第2期間(T;ただしT>t)以内の場合に、タッチ情報(タッチ位置の検出結果)が欠落している可能性があると判定する。図6の例では、タッチ位置判定部56bは、第1期間(t)としてスキャン周期が設定され、第2期間(T)としてスキャン周期の2倍が設定されている。すなわち、タッチ位置判定部56bは、スキャン周期ごとにタッチ情報を読み出す(t=スキャン周期)と共に、ある時点で読み出されたタッチ情報から、次に読み出されたタッチ情報までの期間(間隔)が、スキャン周期の2倍以内(T=2t=スキャン周期×2)かどうかを確認して、タッチ情報の欠落可能性を判定する。図6では、タッチ位置Pt−2のタッチ情報が検出された後、t秒後にはタッチ情報(タッチ位置Pt−1)が検出されず、2t秒後にタッチ位置P1またはタッチ位置P2が検出されている。この場合、タッチ位置Pt−2が検出されてからタッチ位置P1またはタッチ位置P2が検出されるまでの期間(T1,T2)は、いずれもスキャン周期の2倍(T1=T2=2t)であり、t<T1≦2tおよびt<T2≦2tを満たす。従って、タッチ位置判定部56bは、タッチ位置Pt−1のタッチ情報が欠落している可能性があると判定する(S12でYES)。
タッチ情報が欠落している可能性があると判定した場合、タッチ位置判定部56bは、タッチ履歴に基づいて欠落したタッチ位置Pt−1及び現在のタッチ位置Ptを予測する(S13)。
実施形態1では、タッチ操作を等速直線運動(移動速度Vt−2=移動速度Vt−1=移動速度Vt)とみなして、欠落したタッチ位置Pt−1及び現在のタッチ位置Ptを設定していた。
これに対し、実施形態2では、欠落したタッチ位置Pt−1及び現在のタッチ位置Ptを設定するために、タッチ位置の移動速度に加えて、タッチ位置の移動加速度も用いる。
具体的には、本実施形態のタッチパネルシステム1では、タッチ位置判定部56bは、移動速度Vt−2だけでなく、移動加速度at−2を加味して、タッチ位置Pt−2から欠落したタッチ位置Pt−1への移動速度Vt−1を予測する。すなわち、移動速度Vt−2と移動速度Vt−3との差分から移動加速度at−2を算出する(移動加速度at−2=移動速度Vt−2−移動速度Vt−3)。さらに、移動速度Vt−2と移動加速度at−2と和を、移動速度Vt−1と予測して(移動速度Vt−1=移動速度Vt−2+移動加速度at−2)、欠落したタッチ位置Pt−1を設定する。
同様にして、タッチ位置判定部56bは、現在のタッチ位置Ptを予測する。すなわち、移動速度Vt−1と移動速度Vt−2との差分から移動加速度at−1を算出する(移動加速度at−1=移動速度Vt−1−移動速度Vt−2)。さらに、移動速度Vt−1と移動加速度at−1と和を、移動速度Vtと予測して(移動速度Vt=移動速度Vt−1+移動加速度at−1)、現在のタッチ位置Ptを設定する。さらに、タッチ位置判定部56bは、タッチ履歴を利用して、現在のタッチ位置の予測範囲Pt’を設定してもよい。ここでは、予測範囲Pt’として、予測された現在のタッチ位置Ptを中心とする円が設定されている。
タッチ位置判定部56bは、実際に検出された現在のタッチ位置P1またはタッチ位置P2と、予測された現在のタッチ位置Ptまたはその予測範囲Pt’とを比較して、タッチの連続性を判定する。すなわち、現在のタッチ位置P1またはタッチ位置P2が、予測された現在のタッチ位置Ptから所定距離に存在するかどうか、または、予測範囲Pt’内に存在するかどうかに基づいて、タッチの連続性を判定する。
具体的には、現在のタッチ位置としてタッチ位置P1が検出された場合、タッチ位置P1は、予測範囲Pt’内に存在する(S14でYES)。つまり、タッチ位置P1は、予測された現在のタッチ位置Ptから所定距離に存在する。この場合、タッチ位置判定部56bは、欠落したタッチ位置Pt−1前後のタッチが、一連のタッチ操作によるものであると判定する(S15)。つまり、タッチ位置Pt−4→タッチ位置Pt−3→タッチ位置Pt−2→タッチ位置Pt−1→タッチ位置P1の順にされた一連のタッチ操作であると判定する。判定結果は、タッチ履歴記憶部56aに記録される。なお、タッチ情報が欠落していない場合(S12でNO)も、同様に、連続して検出されたタッチ情報が、一連のタッチ操作によるものであると判定される。
一方、現在のタッチ位置としてタッチ位置P2が検出された場合、タッチ位置P2は、予測範囲Pt’内に存在しない(S14でNO)。つまり、タッチ位置P2は、予測された現在のタッチ位置Ptから所定距離に存在しない。この場合、タッチ位置判定部56bは、欠落したタッチ位置Pt−1前後のタッチが、一連のタッチ操作によるものでなく、連続しない独立したタッチ操作と判定する(S16)。つまり、連続したタッチは、タッチ位置Pt−2で一旦途切れ、タッチ位置P2は、タッチ位置Pt−4→タッチ位置Pt−3→タッチ位置Pt−2までのタッチとは独立したものであると判定する。判定結果は、タッチ履歴記憶部56aに記録される。
なお、上述したタッチ位置P1およびタッチ位置P2が検出されず、タッチ位置Pt−2の検出後、第2期間(T)以降に、現在のタッチ位置としてタッチ位置P3が検出される場合もある。この場合、タッチ位置Pt−2が検出されてから次のタッチ位置P3が検出されるまでの期間(T3)は、スキャン周期の2倍より大きくなるため(T3>T=2t)、t<T3≦2tを満たさない。タッチ位置判定部56bは、この場合も、連続したタッチは、タッチ位置Pt−2で一旦途切れ、タッチ位置P3は、タッチ位置Pt−4→タッチ位置Pt−3→タッチ位置Pt−2までのタッチとは独立したものであると判定する。判定結果は、タッチ履歴記憶部56aに記録される。また、タッチ位置判定部56bは、図4において、タッチ位置Pt−2の検出後、第2期間(T)以降にタッチ情報が検出されなかった場合、タッチ位置Pt−2で一連のタッチ操作が終了したと判断する。
タッチパネルシステム1は、このような処理を繰り返し、一連のタッチ操作を認識し、欠落前後のタッチ位置の連続性を判定する。
以上のように、本実施形態のタッチパネルシステムにおいても、タッチ位置判定部56bが、実際に検出されたタッチ位置(タッチ位置P1、タッチ位置P2、タッチ位置P3)と、予測座標(タッチ位置Pt)または予測範囲Pt’とを比較して、タッチ位置Pt−2と検出されたタッチ位置(タッチ位置P1、タッチ位置P2、タッチ位置P3)との連続性を判定する。従って、実施形態1のタッチパネルシステムと同様の効果を奏する。
さらに、本実施形態のタッチパネルシステムは、タッチ位置の履歴として、タッチ位置およびタッチ位置の移動速度に加えて、タッチ位置の移動加速度に基づいて、予測座標(タッチ位置Pt)または予測範囲Pt’を設定する。これにより、指示体が曲線的な軌跡をたどって移動しているか直線的な軌跡をたどって移動しているかに関係なく、指示体の動きに応じた予測座標(タッチ位置Pt)または予測範囲Pt’が高精度に設定される。従って、実際の指示体の動きを考慮して、タッチ操作をより正確に認識することができる。
〔実施形態3〕
図7は、タッチパネルシステム1を搭載した携帯電話機10の構成を示す機能ブロック図である。携帯電話機(電子機器)10は、CPU71と、RAM73と、ROM72と、カメラ74と、マイクロフォン75と、スピーカ76と、操作キー77と、タッチパネルシステム1とを備えている。各構成要素は、相互にデータバスによって接続されている。
CPU71は、携帯電話機10の動作を制御する。CPU71は、たとえばROM72に格納されたプログラムを実行する。操作キー77は、携帯電話機10のユーザによる指
示の入力を受ける。RAM73は、CPU71によるプログラムの実行により生成されたデータ、または操作キー77を介して入力されたデータを揮発的に格納する。ROM72は、データを不揮発的に格納する。
また、ROM72は、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)やフラッシュメモリなどの書込みおよび消去が可能なROMである。なお、図7には示していないが、携帯電話機10が、他の電子機器に有線により接続するためのインターフェイス(IF)を備える構成としてもよい。
カメラ74は、ユーザの操作キー77の操作に応じて、被写体を撮影する。なお、撮影された被写体の画像データは、RAM73や外部メモリ(たとえば、メモリカード)に格納される。マイクロフォン75は、ユーザの音声の入力を受付ける。携帯電話機10は、当該入力された音声(アナログデータ)をデジタル化する。そして、携帯電話機10は、通信相手(たとえば、他の携帯電話機)にデジタル化した音声を送る。スピーカ76は、たとえば、RAM73に記憶された音楽データなどに基づく音を出力する。
CPU71は、タッチパネルシステム1の動作を制御する。CPU71は、例えばROM72に記憶されたプログラムを実行する。RAM73は、CPU71によるプログラムの実行により生成されたデータを揮発的に格納する。ROM72は、データを不揮発的に格納する。なお、タッチパネルシステム1には、ROM72、RAM73に格納されている画像を表示する。
なお、本発明は、以下のように表現することもできる。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るタッチパネルシステム1は、タッチパネル3と、タッチパネル3上のタッチ位置を検出するタッチ位置検出部5とを備え、
タッチ位置検出部5は、一連のタッチ操作中における、あるタッチ位置(タッチ位置Pt−2)が検出された後、次のタッチ位置(タッチ位置P1、タッチ位置P2、タッチ位置P3)が検出されるまでの期間が第1期間(t)よりも長く、かつ、第2期間(T;ただしT>t)以内の場合に、タッチ位置(タッチ位置Pt−2)の検出結果が欠落している可能性があると判定すると共に、タッチ位置の履歴に基づいて、上記次のタッチ位置(タッチ位置P1、タッチ位置P2、タッチ位置P3)の予測座標(タッチ位置Pt)または予測範囲Pt’を設定するタッチ位置予測部56を備え、
上記タッチ位置予測部56は、上記検出された次のタッチ位置(タッチ位置P1、タッチ位置P2、タッチ位置P3)と、上記予測座標(タッチ位置Pt)または予測範囲Pt’とを比較して、上記あるタッチ位置(タッチ位置Pt−2)と次のタッチ位置(タッチ位置P1、タッチ位置P2、タッチ位置P3)との連続性を判定する連続性判定部(タッチ位置判定部56b)を備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、タッチ位置予測部56(タッチ位置判定部56b)が、タッチ操作中に、連続して検出された2つのタッチ位置の検出時間に基づいて、タッチ位置の検出結果の欠落(タッチ情報の欠落)可能性の有無を判定する。さらに、タッチ位置判定部56bは、タッチ情報の欠落可能性ありと判定された場合、検出された2つのタッチ位置(タッチ位置Pt−2と、タッチ位置P1、タッチ位置P2またはタッチ位置P3)のうち、後に検出されたタッチ位置(タッチ位置P1、タッチ位置P2またはタッチ位置P3)を予測し、そのタッチ位置の予測座標(タッチ位置Pt)または予測範囲Pt’を設定する。そして、実際に後に検出されたタッチ位置(タッチ位置P1、タッチ位置P2、タッチ位置P3)と、そのタッチ位置の予測座標(タッチ位置Pt)または予測範囲Pt’とを比較することにより、2つのタッチ位置間(タッチ位置Pt−2と、タッチ位置P1、タッチ位置P2またはタッチ位置P3)のタッチの連続性が判定される。これにより、欠落したタッチ位置(タッチ位置Pt−1)の前後のタッチ位置(タッチ位置Pt−2と、タッチ位置P1、タッチ位置P2またはタッチ位置P3)が、一連のタッチ操作によるものか、独立したタッチ操作(一連のタッチ操作ではない)によるものかが判定される。従って、タッチ操作中にタッチ位置の検出結果が欠落した場合であっても、タッチ操作を正確に認識することができる。
本発明の態様2に係るタッチパネルシステム1は、上記態様1において、上記タッチ位置予測部は、少なくともタッチ位置、タッチ位置の移動速度に基づいて、次のタッチ位置の予測座標または予測範囲を設定することが好ましい。
上記の構成によれば、タッチ位置予測部56は、タッチ位置の履歴として、少なくともタッチ位置およびタッチ位置の移動速度に基づいて、予測座標(タッチ位置Pt)または予測範囲Pt’を設定する。これにより、予測座標(タッチ位置Pt)または予測範囲Pt’の設定処理(予測処理)を簡素化することができる。
本発明の態様3に係るタッチパネルシステム1は、上記態様2において、上記タッチ位置予測部56は、さらに、タッチ位置の移動加速度に基づいて、次のタッチ位置の予測座標または予測範囲を設定することがより好ましい。
上記の構成によれば、タッチ位置予測部56は、タッチ位置の履歴として、タッチ位置およびタッチ位置の移動速度に加えて、タッチ位置の移動加速度に基づいて、予測座標(タッチ位置Pt)または予測範囲Pt’を設定する。これにより、指示体が曲線的な軌跡をたどって移動しているか直線的な軌跡をたどって移動しているかに関係なく、指示体の動きに応じた予測座標(タッチ位置Pt)または予測範囲Pt’が高精度に設定される。従って、実際の指示体の動きを考慮して、タッチ操作をより正確に認識することができる。
本発明の態様4に係るタッチパネルシステム1は、上記態様1〜3のいずれかにおいて、上記連続性判定部(タッチ位置判定部56b)は、上記検出された次のタッチ位置(タッチ位置P1)が、上記予測座標(タッチ位置Pt)から所定距離内に存在する場合、または、上記予測範囲Pt’内に存在する場合に、上記あるタッチ位置(タッチ位置Pt−2)から次のタッチ位置(タッチ位置P1)までタッチが連続していると判定することが好ましく、上記予測範囲Pt’内に存在する場合に、上記あるタッチ位置(タッチ位置Pt−2)から次のタッチ位置(タッチ位置P1)までタッチが連続していると判定することがより好ましい。
上記の構成によれば、タッチ位置判定部56bが、実際に後に検出されたタッチ位置(タッチ位置P1、タッチ位置P2、タッチ位置P3)が、そのタッチ位置の予測座標(タッチ位置Pt)から所定距離の範囲内に存在する場合に、欠落したタッチ位置(タッチ位置Pt−1)の前後のタッチ位置(タッチ位置Pt−2と、タッチ位置P1、タッチ位置P2またはタッチ位置P3)が、一連のタッチ操作によるものであると判定される。これにより、タッチ操作の連続性を簡便に判定することができる。
本発明の態様5に係るタッチパネルシステム1は、上記態様1〜4のいずれかにおいて、上記連続性判定部(タッチ位置判定部56b)は、上記検出された次のタッチ位置(タッチ位置P1、タッチ位置P2、タッチ位置P3)が、上記予測座標(タッチ位置Pt)から所定距離よりも離れて存在する場合、または、上記予測範囲Pt’外に存在する場合に、上記あるタッチ位置(タッチ位置Pt−2)で連続するタッチが終了したと判定することが好ましい。
上記の構成によれば、タッチ位置判定部56bが、実際に後に検出されたタッチ位置(タッチ位置P1、タッチ位置P2、タッチ位置P3)が、そのタッチ位置の予測座標(タッチ位置Pt)から所定距離よりも離れて存在する場合に、欠落したタッチ位置(タッチ位置Pt−1)の前後のタッチ位置(タッチ位置Pt−2と、タッチ位置P1、タッチ位置P2またはタッチ位置P3)が、一連のタッチ操作によるものであると判定せずに、あるタッチ位置(タッチ位置Pt−2)で一連のタッチが終了したと判定する。これにより、タッチ操作の連続性をより正確に判定することができる。
本発明の態様6に係るタッチパネルシステム1は、上記態様1〜5のいずれかにおいて、上記タッチ位置予測部56は、上記予測範囲Pt’を、上記予測座標(タッチ位置Pt)を中心とする円形状に設定することが好ましい。
上記の構成によれば、現在のタッチ位置の予測範囲Pt’が円形状であるため、現在のタッチ位置の予測座標(タッチ位置Pt)を中心として均等な範囲の予測範囲Pt’が設定される。これにより、予測されたタッチ位置Ptを中心としてあらゆる方向で検出されたタッチの連続性を判定することができる。
本発明の態様7に係るタッチパネルシステム1は、上記態様1〜6のいずれかにおいて、上記タッチパネル3は、投影型静電容量方式のタッチパネルであってもよい。
上記の構成によれば、動作原理が投影型静電容量方式のタッチパネルを備えているため、マルチタッチ(多点検出)が可能なタッチパネルシステムを提供することができる。
本発明の態様8に係るタッチパネルシステム1は、上記態様1〜7のいずれかにおいて、表示装置をさらに備え、上記タッチパネル3は、上記表示装置の前面に設けられていてもよい。
上記の構成によれば、タッチパネル3が表示装置2の前面に設けられているため、表示装置2に発生したノイズがタッチ位置として誤認識されるのを防止することができる。
本発明の態様9に係るタッチパネルシステム1は、上記態様1〜8のいずれかにおいて、上記表示装置2は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、または有機ELディスプレイ、電界放出ディスプレイ、またはInGaZnO系酸化物半導体を搭載したディスプレイであってもよい。
上記の構成によれば、表示装置2が、日常的な電子機器に多用されている各種ディスプレイから構成されている。従って、汎用性の高いタッチパネルシステム1を提供することができる。また、InGaZnO系酸化物半導体を採用した表示装置2は、高精細表示および飛躍的な省エネルギー化を実現することができる。
本発明の態様10に係る電子機器は、上記態様1〜9のいずれかに記載のタッチパネルシステムを備える構成である。
従って、タッチ操作中のタッチ情報が欠落した場合であっても、タッチ操作を正確に認識することのできる電子機器を提供することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。