本実施形態の説明に先立ち、本願発明者が行った検討結果について説明する。
データセンタの形態には様々なものがあるが、コンテナ内にファンユニットとラックとを収容したデータセンタはモジュール型データセンタと呼ばれる。そのモジュール型データセンタは、コンテナ内の空間のみをファンユニットで冷却すればよいため、冷却効率がよく省エネルギ化に有利である。
図1は、本願発明者が検討したモジュール型データセンタの内部構成を示す斜視図である。
このモジュール型データセンタ1は、筐体の一例であるコンテナ2を備え、その内側にファンユニット3とこれに対向する第1〜第3のラック11〜13とが設けられる。
ファンユニット3は、例えば気化式冷凍機であって、コンテナ2の吸気口2aから外気Aを取り込むためのファン3aを有する。外気Aが所定の温度よりも高い場合には、気化式冷凍機の機能によって外気Aが冷却されて冷却風Bが生成される。一方、外気Aが所定の温度以下の場合には、気化式冷凍機としての機能を使用せずに、外気Aをそのまま冷却風Bとして利用する。
一方、第1〜第3のラック11〜13は、上記の冷却風Bによって空冷されるサーバ等の電子機器5を複数備える。第1〜第3のラック11〜13の各々には吸気面4aと排気面4bとが設けられ、吸気面4aから取り込まれた冷却風Bによって各電子機器5が冷却される。そして、冷却後に暖められた排気流Eは、各ラック11〜13の排気面4bから排出された後、コンテナ2の排気口2bから外部に逃がされる。
なお、吸気面4aとこれに対向するファンユニット3との間の空間は、冷却風Bが通るコールドアイル15として供される。また、排気面4bとこれに対向する排気口2bとの間の空間は、各電子機器5で暖められた排気流Eが通るホットアイル16として供される。
ホットアイル16に出た排気流Eの一部は、コンテナ2の天井を伝ってファンユニット3側に流れる。なお、コールドアイル15の上には天板6が設けられているため、その排気流Eが直接コールドアイル15に流れ込むことはない。
ファンユニット3の上には、仕切板7と複数のダンパ8とが設けられる。そのダンパ8が開くと排気流Eの一部がファンユニット3の上流側に流れ込み、外気Aと排気流Eとが混合する。高地や冬季では外気Aの温度が低く各電子機器5が過剰冷却になるおそれがあるが、このように外気Aと排気流Eとを混合することで冷却風Bを暖めることができ、電子機器5の過剰冷却を防止できる。
ここで、各電子機器5で処理すべきジョブの種類や数は第1〜第3のラック11〜13ごとに異なることがあり、これが原因で各ラック11〜13の総負荷がばらついて総発熱量もラック11〜13ごとにばらつくことがある。
この場合に各ラック11〜13を効率的に冷却するには、複数のファン3aを個別に制御することで、総発熱量が多いラックに対向するファン3aの回転数を増大させ、そのラックに供給する冷却風Bの風量を増加させればよいと考えられる。
しかしながら、ファン3aから出た冷却風Bはコールドアイル15において拡散してしまうため、ラック11〜13に到達したときには冷却風Bが弱まってしまい、その冷却風Bで総発熱量が多いラックを優先的に冷却するのが難しい。
図2は、このような冷却の困難性を調査して得られたグラフである。
そのグラフの縦軸は、第1〜第3のラック11〜13の各々の排気面4bと吸気面4bとの温度差ΔTを示す。また、グラフの横軸は、上記の温度差を測定してからの経過時間を示す。
なお、この調査では、第1〜第3のラック11〜13の消費電力をそれぞれ7kW、9kW、5kW、に設定し、温度差ΔTが3℃となるように複数のファン3aの回転数をPID(Proportional Integral Derivative)でファン3aごとに個別に制御した。また、コンテナ2の大きさは、幅を2.2m、奥行きを3.3m、高さを2.5mとした。そして、各ラック11〜13の大きさは、それぞれ幅を0.7m、奥行きを1m、高さを2mとした。
図2に示すように、測定の初期には、第2のラック12と第3のラック13の各々における温度差ΔTは3℃を超えていた。よって、温度差ΔTを低減するために、第2のラック12と第3のラック13に対向するファン3aをその最大出力で回転させた。
しかしながら、ファン3aから送出された冷却風Bが拡散してしまったため、時間が経過しても第2のラック12と第3のラック13の各々の温度差ΔTは目標の3℃以下にはならず、むしろ温度差ΔTが増加してしまっている。
更に、冷却風Bの拡散によって第3のラック13が過剰冷却の状態となり、第3のラック13における温度差ΔTは常に3℃を下回ってしまっている。
この結果から、複数のファン3aの回転数を単に制御するだけでは、複数のラック11〜13を効率的に冷却するのが難しいことが明らかとなった。
以下、本実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図3は、本実施形態に係るモジュール型データセンタの内部構成を示す斜視図である。
なお、図3において図1で説明したのと同じ要素には図1におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
図3に示すように、本実施形態に係るモジュール型データセンタ20においては、図1におけるのと同様にコンテナ2内に第1〜第3のラック11〜13が互いに間隔をおいて設けられる。
モジュール型データセンタ20の大きさは特に限定されない。本実施形態では、コンテナ2の幅を2.2m、奥行きを3.3m、高さを2.5mとする。また、第1〜第3のラック11〜13の各々の幅を0.7m、奥行きを1m、高さを2mとする。なお、この例ではラックの設置台数を3台としているが、モジュール型データセンタ20の仕様に応じて任意の台数のラックを設置してもよい。
更に、本実施形態ではコールドアイル15に複数の仕切部材21を設け、その仕切部材21によってコールドアイル15を複数の通風路22に分ける。この例では各仕切部材21が鉛直面に平行に設けられており、その仕切部材21がラック11〜13ごとにコールドアイル15を仕切ることで、各ラック11〜13に一つの通風路22が割り当てられる。
各々の通風路22には複数のファン3aから冷却風Bが供給される。ファン3aの台数は特に限定されないが、以下では一つの通風路22に6台のファン3aを割り当てる。これにより、各通風路22が仕切部材21で仕切られた状態では、第1〜第3のラック11〜13の各々に対し6台のファン3aから冷却風Bが供給されることになる。なお、図3では、図が煩雑になるので一つの通風路22あたり3台のファン3aのみを図示している。
また、第1〜第3のラック11〜13の各々には複数の電子機器5が設けられる。各電子機器5は、例えばラックマウント型のサーバであって、各ラック11〜13内に平積みにされる。本実施形態では電子機器5のうちの一台を制御部5xとして用い、その制御部5xにより複数のファン3aの回転数をファン3aごとに個別に調節して、通風路22ごとに冷却風Bの風量を最適化する。これについては後述の第2実施形態でも同様である。
なお、ラックマウント型のサーバに代えて、ブレード型のサーバを電子機器5として用いてもよい。更に、電子機器5とは別にPLC(Programmable Logic Controller)を設け、そのPLCを制御部5xとして用いてもよい。
また、各電子機器5には所定の演算を行うためのCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、及びGPU(Graphic Processing Unit)等の演算処理ユニット5yが設けられる。
各通風路22を流れる冷却風Bは、仕切部材21によって互いに交わるのが防止されるため、本実施形態では各ラック11〜13に対して最適な風量の冷却風Bを供給することができる。
仕切部材21の材料は特に限定されず、樹脂や金属等を材料する板を仕切部材21として使用し得る。
また、仕切部材21は、以下のようにコンテナ2内で移動可能とするのが好ましい。
図4は、このように移動可能な仕切部材21の斜視図である。
図4に示すように、この例に係る仕切部材21は、本体23と複数の回動片24とを備える。
このうち、回動片24は、ファンユニット3の各面のうち各ラック11〜13(図3参照)と対向する表面3bに回動軸21aを備える。
その回動軸21aは、ファン3aの横において鉛直方向に延在しており、不図示のモータと連結される。そのモータを回転駆動することで、回動軸21aを中心にして回動片24が矢印Xの方向に回動してファン3aを塞ぐことができる。
一方、本体23は、各回動片24と嵌合する複数の切欠部23aを備えると共に、不図示のモータによって各ラック11〜13側に向いた矢印Yの方向に移動して、隣接するラック間の隙間に収納可能である。
図4の例では、本体23がファンユニット3に当接して当該本体23が閉められた状態を示しているが、不図示のモータによって矢印Yの方向に本体23を移動させて当該本体23を開いた状態にすることもできる。
図5は、このように本体24を開いた場合の斜視図である。
この例では、本体24が矢印Yに沿って各ラック11〜13(図3参照)の方向に移動することにより回動片23と本体24とが大きく分離し、これらの間を気流Bが流通することができるようになる。
また、図5の例では、二つのファン3aのうちの一方が回動片24によって塞がれ、他方のファン3aは回動片24で塞がれずに冷却風Bを送風することができる状態となる。なお、本実施形態では、複数の回動片24の各々を独立に制御することで、複数のファン3aのうちの任意のファン3aを回動片24で塞ぐことができる。
図6は、このモジュール型データセンタ20が備えるコンテナ2の内部の上面図である。
図6に示すように、ホットアイル16には第1〜第3の温度センサ31〜33が設けられる。
これらのうち、第1〜第3の温度センサ31〜33は各ラック11〜13の排気面4bの温度を測定し、その測定結果を第1〜第3の温度情報ST1〜ST3として出力する。
また、ファンユニット3のファン3aの各々には回転数計と消費電力計とが設けられており、各ファン3aの実際の回転数と消費電力とを含むセンサ信号Scがファンユニット3から制御部5xに出力される。
制御部5xは、上記の第1〜第3の温度情報ST1〜ST3とセンサ信号Scとに基づいて、ファン制御信号Sfと仕切部材制御信号Spとを生成する。なお、第1〜第3の温度情報ST1〜ST3に代えて、各ラック11〜13の消費電力や、各ラック11〜13における演算処理ユニット5yの使用率に基づいてファン制御信号Sfと仕切部材制御信号Spとを生成してもよい。
各制御信号の内容は特に限定されない。例えば、ファン制御信号Sfは複数のファン3aの各々の回転数を含み得る。また、仕切部材制御信号Spは、複数の仕切部材21の各々に対して出力され、図4に示した本体23の矢印Yの方向への移動量や、回動片24の回転量等を含み得る。
次に、本実施形態に係るモジュール型データセンタの制御方法について説明する。
図7は、本実施形態に係るモジュール型データセンタの制御方法について示すフローチャートである。
最初のステップP1では、制御部5xが、第1〜第3のラック11〜13の全ての電子機器5の使用率とデバイス温度とを収集する。
このうち、使用率は、各電子機器5が備える演算処理ユニット5y(図3参照)の使用率であって、これらの演算処理ユニット5yから出力される信号に基づいて制御部5xが電子機器5ごとに取得する。
また、デバイス温度は、CPU温度等のような演算処理ユニット5yの実温度である。その実温度を含む信号は各演算処理ユニット5yから出力され、その信号に基づいて制御部5xが電子機器5ごとにデバイス温度を取得する。
次に、ステップP2に移り、制御部5xが、上記のデバイス温度のラック11〜13ごとの平均値を制御部5xが算出する。
次いで、ステップP3に移り、後述の片寄せ処理を行う。片寄せ処理は、各ラック11〜13のうちの一部のラックで処理しているジョブを他のラックに移動し、移動元のラックの電源を切ることで省エネルギ化を実現する処理である。その処理内容については後述する。
次に、ステップP4に移り、ファンユニット3が備える複数のファン3aのなかに故障しているものがあるかどうかを調べる。本ステップは、図6のセンサ信号Scに基づいて制御部5xが行う。既述のようにセンサ信号Scには各ファン3aの実際の回転数や消費電力が含まれており、その回転数や消費電力が0のファン3aは故障していると制御部5xは判断することができる。
ここで、故障しているファン3aがある(YES)と判断した場合にはステップP5に移る。
ステップP5では、上記のセンサ信号Scに基づいて、複数のファン3aのうちのどれが故障しているのかを制御部5xが特定する。
次いで、ステップP6に移り、制御部5xが、故障したファン3aの横の回動片24(図4参照)を回動させ、その回動片24により故障したファン3aを塞ぐ。
これにより、故障して送風することができないファン3aを気流が逆流するのを防止して、そのファン3aを介してコールドアイル15内の冷気が外部に逃げてしまうのを防止できる。
なお、本ステップは、駆動対象となる回動片24が含まれる仕切部材21に対し、制御部5xが図5の仕切部材制御信号Spを出力することで行うことができる。
そして、ステップP10に移り、ステップP6で回動させた回動片24と共に仕切り部材21を形成していた本体23(図4参照)をラック11〜13側に移動させることにより本体23を開く。これにより、故障しているファン3aに対応する通風路22とこれに隣接する通風路22の各々が連絡するようになる。その結果、故障しているファン3aが担っていた風力を、その隣の通風路22のファン3aが補うことができ、ファン3aの故障による風力の低下が原因で各ラック11〜13の冷却効率が低下するのを防止できる。
一方、上記のステップP4において、故障しているファン3aがない(NO)と判断された場合にはステップP7に移る。
ステップP7では、制御部5xが、第1〜第3のラック11〜13の各々の代表温度Tr1〜Tr3を算出する。
代表温度Tr1〜Tr3は、第1〜第3のラック11〜13の各々の排気面4bの温度の目安であって、その算出方法は特に限定されない。例えば、ステップP1で収集した電子機器5の実際のデバイス温度を各ラック11〜13ごとに平均した値を代表温度Tr1〜Tr3として採用し得る。
或いは、ステップP1で収集した各電子機器5の実際のデバイス温度のうち、当該ラックにおける最高の温度をそのラックの代表温度としてもよい。
また、第1〜第3の温度情報ST1〜ST1(図6参照)を用いて、第1〜第3の温度センサ31〜33の各々で測定された温度を代表温度Tr1〜Tr3として採用してもよい。
そして、制御部5xが、代表温度Tr1〜Tr3のばらつきΔが所定値ΔT0以上かどうかを判断する。なお、ばらつきΔは、代表温度Tr1〜Tr3の最大値と最小値との差を言う。また、所定値ΔT0は、第1〜第3のラック11〜13の各々の排気面4bの温度が、是正を要する程度にばらついているか否かの目安となる値であって、ユーザによって予め設定される。この例では、所定値ΔT0を例えば5℃〜10℃程度とする。
ここで、上記のように代表温度Tr1〜Tr3の算出には電子機器5のデバイス温度や第1〜第3の温度情報ST1〜ST1を採用し得るが、デバイス温度は演算処理ユニット5yの実温度の変動に高速に追従する。よって、代表温度Tr1〜Tr3の算出にデバイス温度を採用することで、本ステップにおける判断を正確に行うことができる。
なお、上記のばらつきΔと所定値ΔT0との大小関係の判断と共に、複数のファン3aの回転数等の設定が、第1〜第3のラック11〜13の各々で異なっているかどうかを本ステップP7で制御部5xが判断してもよい。
本ステップp7でばらつきΔが所定値ΔT0以上である(YES)と判断された場合にはステップP8に移る。
この場合は、上記のように第1〜第3のラック11〜13の各々の排気面4bの温度が是正を要する程度にばらついていることになる。
そこで、ステップP8では、全ての仕切部材21の本体23を閉めることにより各通風路22を画定し、各通風路22を流れる冷却風B同士が互いに交わらないようにして、冷却風Bの風量を各ラック11〜13ごとに最適化する準備をする。なお、本ステップは、制御部5xが各仕切部材21に仕切部材制御信号Spを出力することで行われる。
また、本ステップの実行前に全ての仕切部材21が閉められているときは、本ステップは省略してよい。
更に、ステップP7において各ファン3aの設定を判断した場合であって、各ラック11〜13ごとに設定が異なっている(YES)と判断されたときにもステップP8を行う。
次に、ステップP9に移り、複数のラック11〜13の各々の代表温度Tr1〜Tr3のばらつきΔが閾値min以下となるように、ファンユニット3が各ファン3aの回転数を調節して、通風路22ごとに冷却風Bの風量を調節する。その調節は、例えば、制御部5xがファンユニット3に対してファン制御信号Sf(図5参照)を出力することにより行い得る。
これにより、第1〜第3のラック11〜13ごとの排気流Eの温度のばらつきが抑制され、これらのラックを効率的に冷却することができる。
なお、閾値minは特に限定されず、ステップP7の所定値ΔT0と同じ5℃〜10℃程度の温度を採用し得る。
また、ばらつきΔを閾値min以下にするためのファンユニット3の制御方法としては、例えばPID制御がある。
更に、既述のように、ステップP7においては代表温度Tr1〜Tr3として各電子機器5のデバイス温度のうち当該ラックにおける最高の温度をそのラックの代表温度とする場合もある。この場合は、ばらつきΔを閾値min以下にしながら、代表温度Tr1〜Tr3が電子機器5の動作保障温度を超えないようにファン3aの風量を調節するのが好ましい。これにより、各ラック11〜13の全電子機器5がその動作保障範囲よりも低い温度に保たれるので、高温が原因で電子機器5が故障するのを防止できる。
また、演算処理ユニット5yの温度変化が排気流Eの温度に現れるのにはタイムラグが生じるが、演算処理ユニット5yの実温度であるデバイス温度を用いて代表温度Tr1〜Tr3を算出することでタイムラグなしにファン3aの回転数を調節できる。
一方、ステップP7においてばらつきΔが所定値ΔT0以上ではない(NO)と判断された場合には既述のステップP10に移り、仕切部材21を形成する本体23をラック11〜13側に移動させる。
また、ステップP7において各ファン3aの回転数等の設定を判断した場合であって、各ラック11〜13ごとに設定が異なっていない(NO)と判断されたときにもステップP10に移る。
なお、ステップP6から移行する場合とは異なり、ステップP7からの移行によりステップP10を行う場合には、一部の本体23だけでなく全ての本体23をラック11〜13側に移動させてよい。
以上により、本実施形態に係るモジュール型データセンタの制御方法の基本ステップを終了する。
この制御方法によれば、ステップP8で仕切部材21の本体23を閉めるため、各通風路22を流れる冷却風Bが互いに交わるのを防止でき、ステップP9において通風路22ごとに冷却風Bの風量を個別に調節できる。その結果、第1〜第3のラック11〜13の排気流Eの温度差が低減し、これらのラック11〜13の中に冷却不足のラックや過剰冷却のラックが発生するのを抑制できる。これにより、ラック11〜13の冷却効率が向上し、データセンタ全体の省エネルギ化を実現できる。
次に、本実施形態によりどの程度の省エネルギ化が図られるかについて簡単に計算する。
一例として、第1のラック11の発熱量が4kW、第2のラック12の発熱量が8kW、第3のラック13の発熱量が4kWの場合を考える。この場合は、発熱量が最も多い第2のラック12を優先的に冷却することになる。
仕切部材21がない図1の例では、第1〜第3のラック11〜13の各々に供給する冷却風Bの風量の比を1:2:1としても、気流の拡散によって各ラックに到達する時点ではその比は1.2:1.6:1.2のように変化する可能性がある。これでは第2のラック12の冷却が不足するため、全てのファン3aの出力を一律に25%だけ上げることで上記の比を1.5:2:1.5とし、第2のラック12に供給する冷却風Bの比を「2」に維持できる。
一方、本実施形態では冷却風Bが拡散するのを仕切部材21で防止できるので、各ラックに到達した時点でも冷却風Bの風量の比が1:2:1のままとなり、上記のように全ファン3aの出力を上げる必要がない。よって、本実施形態では、図1の場合と比較して冷却風Bの総風量が100×(1+2+1)/(1.5:2:1.5)=80%となり、20%の総風量に相当する電力を削減することができる。
次に、図7のステップP3の片寄せ処理について説明する。
上記のようにモジュール型データセンタ20には第1〜第3のラック11〜13が設けられるが、これらのラックには他のラックと比較して処理すべきジョブが少ないラックがある。この場合には、そのラックの電源を切り、他のラックでジョブを処理した方がモジュール型データセンタ20の全体の省エネルギ化には有利である。このようなラック間でのジョブの移し替えは片寄せ処理と呼ばれる。
図8は、その片寄せ処理のフローチャートである。
まず、最初のステップP11では、第1〜第3のラック11〜13に収容されている全ての電子機器5の使用率の平均値Uを算出する。その平均値は、図6のステップP1で求めた全電子機器5の使用率に基づいて制御部5xが算出する。
そして、制御部5xが、使用率の平均値Uが第1の基準値U01以下であるかどうかを判断する。第1の基準値U01は、片寄せ処理が可能な程度にまで全ラック11〜13の使用率が低下しているかどうかを判断するための目安となる値であって、ユーザによって予め設定される。この例では第1の基準値U01を例えば30%とする。
ここで、第1の基準値U01以下である(YES)と判断された場合にはステップP12に移る。
ステップP12では、制御部5xが、第1〜第3のラック11〜13ごとに、複数の電子機器5の使用率の平均値を算出する。以下では、第1〜第3のラック11〜13の各々の使用率の平均値をU1〜U3で表す。また、使用率の平均値U1〜U3は、第1〜第3のラック11〜13の使用率の代表値の一例である。
そして、制御部5xが、使用率の平均値U1〜U3の最小値を求めることにより、第1〜第3のラック11〜13のうちで使用率の平均値が最小のラックを特定する。
次に、ステップP13に移り、制御部5xが、ステップP12で特定されたラックに新規にジョブを投入するのを中止する。
そして、ステップP14に移り、制御部5xの制御下において、ステップP12において使用率の平均値が最小であると特定されたラックで処理していたジョブを、使用率の平均値が最小ではない他のラックに移す。
次いで、ステップP15に移り、制御部5xが、使用率の平均値が最小のラックにおける全ての電子機器5の電源を切る。なお、当該ラックに制御部5xとして供される電子機器5が含まれる場合には、その電子機器5の電源は切らないで制御部5xの機能を維持する。
ここまでのステップにより上記の片寄せ処理が終了する。
なお、この片寄せ処理によって電子機器5の電源が切られたラックではジョブの処理に伴う発熱がないため、そのラックに冷却風Bを送っても無駄である。
そのため、次のステップP16では、電源が切られたラックの両脇の仕切部材21を閉じることにより、そのラックを隣のラックから隔離する。
その後、ステップP17に移り、電源が切られたラックに冷却風Bを送っていたファン3aを停止し、無駄な電力消費を抑制する。
このようにファン3aを停止しても、ステップP16において予め仕切部材21を閉じているので、電源が切られたラックに向かって冷却風Bが拡散せず、稼働中のラックに冷却風Bを供給することができる。
一方、上記のステップP11において使用率の平均値Uが第1の基準値U01以下ではない(NO)と判断された場合にはステップP18に移る。
ステップP18では、制御部5xの制御下において、第1〜第3のラック11〜13の中に片寄せ処理によって既に全電子機器5の電源が切られているものがあるかどうかを判断する。
ここで、全電子機器5の電源が切られているラックがない(NO)と判断された場合には片寄せ処理を終了し、電源が切られているラックがある(YES)と判断された場合にはステップP19に移る。
そのステップP19では、制御部5xが、第1〜第3のラック11〜13に収容されている全ての電子機器5の使用率の平均値Uが、第2の基準値U02以上であるかどうかを判断する。第2の基準値U02は、片寄せ処理で電源が切られているラックの電源を再投入しなければならない程度にジョブ数が増えているかどうかを判断するための目安となる値であって、ユーザによって予め設定される。この例では、第2の基準値U02を例えば50%とする。
ここで、第2の基準値U02以上ではない(NO)と判断された場合には片寄せ処理を終了し、第2の基準値U02以上である(YES)と判断された場合にはステップP20に移る。
そのステップP20では、第1〜第3のラック11〜13のうち、片寄せ処理によって全電子機器5の電源が切られていたラックの電源を再び入れることにより、当該ラックの全電子機器5の電源を入れる。
その後、ステップp21に移り、ステップP20で電源を入れたラックの両脇の仕切部材21の本体24(図4参照)を開いた後、ステップP22でそのラックに対向するファン3aの回転を再開し、当該ラックの冷却を開始する。
なお、冷却を開始したラックに供給する冷却風Bの風量を最適化したい場合には、ステップp21を省いて当該ラックの両脇の仕切部材21を閉じたままにしてもよい。
以上により、片寄せ処理の基本ステップを終了する。
その片寄せ処理によれば、ステップP15において、第1〜第3のラック11〜13のうち使用率の平均値が最小のラックにおける電子機器5の電源を切る。そのラックでは少量のジョブしていないため、このようにジョブを他のラックに移して電源を切ることでモジュール型データセンタ20の全体の消費電力を抑えることができる。
次に、上記の片寄せ処理と仕切部材21とを併用することによりどの程度の省エネルギ化が図られるかについて簡単に計算する。
一例として、一台のファン3aの消費電力が48Wであるとし、一台のラックに6台のファン3aで冷却風Bを供給する場合を考える。
この場合、仕切部材21がない図1の例では、ラック11〜13の中に片寄処理によって電源を切ったラックが存在しても、残りのラックへの冷却風Bの風量が低減するのを防止するために全てのファン3aを回転させ続けなければならない。よって、片寄せ処理の有無に関わらず、図1の例ではファンユニット3の消費電力は864W(=6×3×48W)となる。
一方、本実施形態では、片寄せ処理をしたラックに対しては、ステップP16で仕切り部材21を閉じて冷却風Bの拡散を防止した後、ステップP17で冷却風Bの供給を停止する。よって、片寄せ処理によって第1〜第3のラック11〜13のうちの2台の電源を切り、これらに冷却風Bを供給していたファン3aの回転も停止させると、ファンユニット3の消費電力は288W(=6×48W)となる。このように、片寄せ処理と仕切り部材21とを併用することで、図1の例と比較して本実施形態では大幅な電力削減を実現できる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、図3に示したように、仕切部材21によってコールドアイル15をラック11〜13ごとに仕切った。
コールドアイル15を仕切る単位はこれに限定されない。本実施形態では、以下のように仕切部材21で電子機器5ごとにコールドアイル15を仕切る。
図9は、本実施形態に係るモジュール型データセンタの内部構成を示す斜視図である。
なお、図9において第1実施形態で説明したのと同じ要素には第1実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
図9に示すように、本実施形態に係るモジュール型データセンタ40においては、水平面に平行となるように仕切部材21を設ける。そして、その仕切部材21を鉛直方向に互いに間隔おいて複数設けることにより、隣接する仕切部材21で画定される通風路22を電子機器5ごとに設ける。
なお、各通風路22に冷却風Bを供給するファン3aの個数は特に限定されないが、本実施形態では一つの通風路に一つのファン3aを割り当てる。
更に、上記の仕切部材21が設けられるコールドアイル15には、鉛直面内に平行な複数のパーティション41がラック11〜13ごとに固定される。パーティション41は、隣接するラック間で冷却風Bが混合するのを防止する役割を担うが、冷却風Bの混合が問題にならない場合にはパーティション41を省いてもよい。
更に、上記の仕切部材21は、以下のようにコンテナ2内で移動可能とするのが好ましい。
図10は、このように移動可能な仕切部材21の斜視図である。
図10に示すように、各仕切部材21は本体23と回動片24とを備える。
このうち、回動片24は、水平方向に延在する回動軸21aをファンユニット3の表面3bに備える。そして、回動軸21aは、ファン3aの下に位置しており、不図示のモータと連結される。そのモータを回転駆動することで、回動軸21aを中心にして回動片24が矢印Xの方向に回動し、ファン3aを塞ぐことができる。
一方、本体23は、回動片24と嵌合する複数の切欠部23aを備えると共に、不図示のモータによって各ラック11〜13側に向いた矢印Yの方向に移動して、上下に隣接するラック間の隙間に収納可能である。
図10の例では、本体23がファンユニット3に当接して当該本体23が閉められた状態を示しているが、不図示のモータによって矢印Yの方向に本体23を移動させて当該本体23を開いた状態にすることもできる。
図11は、このように本体24を開いた場合の斜視図である。
複数の本体24はそれぞれ独立に制御可能であり、図11の例では二つの本体24のうちの一方が矢印Yに沿って各ラック11〜13(図9参照)の方向に移動し、他の本体24は移動せずに閉じた状態となっている。
また、この例では本体24と分離した回動片23がファン3aを塞いでいるが、本体24の移動と回動片23の回動とは独立に制御でき、本体24の移動後にも回動片23を回動させずにファン3aで送風を行うこともできる。
図12は、このモジュール型データセンタ40が備えるコンテナ2の内部の側面図である。なお、図12において、第1実施形態の図6で説明したのと同じ要素には図5におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
図12に示すように、ホットアイル16には各電子機器5に対応した複数の温度センサ47が設けられる。その温度センサ47は、各電子機器5の排気面4bの温度を測定し、その測定結果を温度情報STとして出力する。
また、複数の電子機器5のうちの一台は制御部5xとして用いられる。なお、電子機器5とは別にPLCを設け、そのPLCを制御部5xとして用いてもよい。その制御部5xは、温度情報STの各々とセンサ信号Scとに基づいて、ファン制御信号Sfと仕切部材制御信号Spとを生成する。
これらの信号のうち、仕切部材制御信号Spは、複数の仕切部材21の各々に対して出力され、図10に示した本体23の矢印Yの方向への移動量や、回動片24の回転量等を含み得る。
次に、本実施形態に係るモジュール型データセンタの制御方法について説明する。
図13は、本実施形態に係るモジュール型データセンタの制御方法について示すフローチャートである。
最初のステップP31では、制御部5xが、第1〜第3のラック11〜13の全ての電子機器5のデバイス温度を収集する。
デバイス温度は、各電子機器5に設けられる演算処理ユニット5y(図9参照)の実温度である。その実温度を含む信号は各演算処理ユニット5yから出力され、その信号に基づいて制御部5xが電子機器5ごとにデバイス温度を取得する。
次に、ステップP32に移り、ファンユニット3が備える複数のファン3aのなかに故障しているものがあるかどうかを調べる。本ステップは、図12のセンサ信号Scに基づいて制御部5xが行う。第1実施形態で説明したようにセンサ信号Scには各ファン3aの実際の回転数や消費電力が含まれており、その回転数や消費電力が0のファン3aは故障していると制御部5xは判断することができる。
ここで、故障しているファン3aがある(YES)と判断した場合にはステップP34に移る。
ステップP34では、上記のセンサ信号Scに基づいて、複数のファン3aのうちのどれが故障しているのかを制御部5xが特定する。
次いで、ステップP35に移り、制御部5xが、故障したファン3aの下の回動片24(図10参照)を回動させ、その回動片24により故障したファン3aを塞ぐ。
これにより、故障して送風することができないファン3aを気流が逆流するのを防止して、そのファン3aを介してコールドアイル15内の冷気が外部に逃げてしまうのを防止できる。
なお、本ステップは、駆動対象となる回動片24が含まれる仕切部材21に対し、制御部5xが図12の仕切部材制御信号Spを出力することで行うことができる。
そして、ステップP36に移り、ステップP35で回動させた回動片24と共に仕切り部材21を形成していた本体23(図10参照)をラック11〜13側に移動させる。これにより、故障しているファン3aに対応する通風路22とこれに隣接する通風路22の各々が連絡するようになる。その結果、故障しているファン3aが担っていた風力を、その上の通風路22のファン3aが補うことができ、ファン3aの故障による風力の低下が原因で各電子機器5の冷却効率が低下するのを防止できる。
一方、上記のステップP32において故障しているファン3aがない(NO)と判断された場合にはステップP33に移る。
ステップP33では、制御部5xが、第1〜第3のラック11〜13の全ての電子機器5の代表温度Trを算出する。
代表温度Trは、各電子機器5の後ろの排気面4bの温度の目安となる温度であって、電子機器5ごとに算出される。
代表温度Trの算出方法は特に限定されない。例えば、ステップP31で収集した電子機器5の実際のデバイス温度をその電子機器5の代表温度Trとして採用し得る。これに代えて、温度情報ST(図12参照)を用いて、各電子機器5に対応する温度センサ47で測定された温度をその電子機器5の代表温度Trとして採用してもよい。
そして、制御部5xが、一つのラックにおける代表温度TrのばらつきΔが所定値ΔT0以上かどうかを判断する。なお、本実施形態におけるばらつきΔは、一つのラックでの代表温度Trの最大値と最小値との差を言う。また、本実施形態における所定値ΔT0は、一つのラックにおける排気面4bの温度が、是正を要する程度にばらついているか否かの目安となる値であって、ユーザによって予め設定される。この例では、所定値ΔT0を例えば5℃〜10℃程度とする。
なお、上記のばらつきΔと所定値ΔT0との大小関係の判断と共に、複数のファン3aの回転数等の設定が、第1〜第3のラック11〜13の各々で異なっているかどうかを本ステップP33で制御部5xが判断してもよい。
ここで、ばらつきΔが所定値ΔT0以上である(YES)と判断された場合にはステップP37に移る。
この場合は、上記のように一つのラックの排気面4bの温度が是正を要する程度にばらついていることになる。
そこで、ステップP37においては、全ての仕切部材21の本体23を閉めることにより各通風路22を画定し、各通風路22を流れる冷却風B同士が互いに交わらないようにして、冷却風Bの風量を電子機器5ごとに最適化する準備をする。なお、本ステップは、制御部5xが各仕切部材21に仕切部材制御信号Spを出力することで行われる。
また、本ステップの実行前に全ての仕切部材21が閉められているときは、本ステップは省略してよい。
更に、ステップP33において各ファン3aの設定を判断した場合であって、各ラック11〜13ごとに設定が異なっている(YES)と判断されたときにもステップP37を行う。
次に、ステップP38に移り、一つのラックの全代表温度TrのばらつきΔが閾値min以下となるように、ファンユニット3が各ファン3aの回転数を調節して、通風路22ごとに冷却風Bの風量を調節する。その調節は、例えば、制御部5xがファンユニット3に対してファン制御信号Sf(図12参照)を出力することにより行い得る。
これにより、一つのラックにおける電子機器5ごとの排気流Eの温度のばらつきが抑制され、各電子機器5を効率的に冷却することができる。
なお、閾値minは特に限定されず、ステップP33の所定値ΔT0と同じ5℃〜10℃程度の温度を採用し得る。
また、ばらつきΔを閾値min以下にするためのファンユニット3の制御方法としては、例えばPID制御がある。
一方、ステップP33においてばらつきΔが所定値ΔT0以上ではない(NO)と判断された場合には既述のステップP36に移り、仕切部材21を形成する本体23をラック11〜13側に移動させる。
また、ステップP33において各ファン3aの回転数等の設定を判断した場合であって、各ラック11〜13ごとに設定が異なっていない(NO)と判断されたときにもステップP36に移る。
なお、ステップP35から移行する場合とは異なり、ステップP33からの移行によりステップP36を行う場合には、一部の本体23だけでなく全ての本体23をラック11〜13側に移動させてよい。
以上により、本実施形態に係るモジュール型データセンタの制御方法の基本ステップを終了する。
上記した本実施形態によれば、ステップP37で仕切部材21を閉めるため、各通風路22を流れる冷却風Bが互いに交わるのを防止でき、ステップP38において通風路22ごとに冷却風Bの風量を個別に調節できる。よって、一つのラック内における各電子機器5の排気流Eの温度差が低減し、一つのラック内に冷却不足の電子機器5や過剰冷却の電子機器5が発生するのを抑制できる。これにより、各電子機器5の冷却効率が向上してデータセンタ全体の省エネルギ化を実現できる。
以上、各実施形態について詳細に説明したが、各実施形態は上記に限定されない。例えば、コンテナ2(図3、図9参照)の吸気口2aや排気口2bに、コンテナ2内に雨水が浸入するのを防止するためのガラリを設けたり防虫ネットを設けたりしてもよい。
以上説明した各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 筐体と、
前記筐体内に設けられ、外気から冷却風を生成するファンユニットと、
前記筐体内において前記ファンユニットと対向して設けられ、前記冷却風を吸気して排気流を排気する複数の電子機器を収容した複数のラックと、
前記ファンユニットと複数の前記ラックとの間の空間を複数の通風路に分ける複数の仕切部材とを有し、
前記ファンユニットは、前記排気流の温度のばらつきが低減するように、前記通風路ごとに前記冷却風の風量を調節するモジュール型データセンタ。
(付記2) 前記ファンユニットは複数のファンを備え、
複数の前記ファンのなかに故障しているファンがあるとき、該ファンに対応する前記通風路とこれに隣接する前記通風路との間の前記仕切部材が移動して、前記通風路の各々が連絡するようになることを特徴とする付記1に記載のモジュール型データセンタ。
(付記3) 前記仕切部材は、前記ファンユニットの表面に回動軸を備えた回動片と、前記回動片から分離されて前記ラック側に移動可能な本体とを有し、
複数の前記ファンのなかに故障しているファンがあるとき、前記回動片が回動して該ファンを塞ぎ、前記本体が前記ラック側に移動することを特徴とする付記2に記載のモジュール型データセンタ。
(付記4) 前記仕切部材は、前記ラックごとに前記空間を仕切ることを特徴とする付記1乃至付記3のいずれかに記載のモジュール型データセンタ。
(付記5) 前記ファンユニットは、複数の前記ラックの各々の代表温度のばらつきが閾値以下となるように前記風量を調節することを特徴とする付記4に記載のモジュール型データセンタ。
(付記6) 複数の前記電子機器の各々は演算処理ユニットを備え、
前記ラックの前記代表温度は、該ラックにおける複数の前記演算処理ユニットの温度のうちの最高の温度であって、
前記ファンユニットは、各々の前記ラックの前記代表温度が前記電子機器の動作保障温度を超えないように前記風量を調節することを特徴とする付記5に記載のモジュール型データセンタ。
(付記7) 前記仕切部材は、前記電子機器ごとに前記空間を仕切ることを特徴とする付記1乃至付記3のいずれかに記載のモジュール型データセンタ。
(付記8) 前記ファンユニットは、複数の前記計算機の各々の代表温度のばらつきが閾値以下となるように前記風量を調節することを特徴とする付記7に記載のモジュール型データセンタ。
(付記9) ファンユニットとこれに対向する複数のラックとの間の筐体内の空間を複数の仕切部材で複数の通風路に分けて、前記ファンユニットにより外気から生成された冷却風を前記通風路を介して前記ラック内の複数の電子機器に吸気させるステップと、
前記冷却風の吸気によって複数の前記電子機器から排出される排気流の温度のばらつきが低減するように、前記ファンユニットを制御して前記通風路ごとに前記冷却風の風量を調節するステップと、
を有するモジュール型データセンタの制御方法。
(付記10) 前記ファンユニットは複数のファンを備え、
複数の前記ファンのなかに故障しているファンがあるとき、該ファンに対応する通風路とこれに隣接する通風路との間の前記仕切部材が移動して、前記通風路の各々が連絡するステップを更に有することを特徴とする付記9に記載のモジュール型データセンタの制御方法。
(付記11) 複数の前記ラックごとに、該ラックの使用率の代表値を取得するステップと、
複数の前記ラックのうち、前記代表値が最小の前記ラックで処理していたジョブを、前記代表値が最小ではない他の前記ラックに移すステップと、
前記ジョブの前記移動の後、前記代表値が最小の前記ラックにおける複数の前記電子機器の電源を切るステップとを更に有することを特徴とする付記10に記載のモジュール型データセンタの制御方法。
(付記12) 前記ファンユニットが、複数の前記ラックの各々の代表温度のばらつきが閾値以下となるように前記風量を調節するステップを更に有することを特徴とする付記11に記載のモジュール型データセンタの制御方法。