JP6146275B2 - 障害診断支援システム、障害診断支援装置および障害診断支援方法 - Google Patents

障害診断支援システム、障害診断支援装置および障害診断支援方法 Download PDF

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Description

本発明は、車載システム等の動作データに基づいて障害診断を支援する障害診断支援システム等に関するものである。
近年、車両に搭載される車載システムは、大規模化、複雑化の傾向にある。車載システムでは、複数のECU(「Electronic Control Unit」の略)が、車載ネットワークを介して互いにデータの送受信を行い、協調して動作を行っている。このような車載システムでは、車両の動作データを時系列データとして保存しておき、車両の障害診断に利用している。
システムの障害診断を行う技術の一例として、特許文献1には、プラントや設備等の異常予兆を診断する異常予兆診断装置等が開示されている。この異常予兆診断装置は、正常稼働中の機械設備のセンサデータを学習データとして作成されたモデルからの乖離の度合を示す異常度に基づいて故障予兆の有無の可能性を診断する。そして、可能性有と診断した場合、異常予兆診断装置は、異常度に対する各センサデータの寄与の程度を表す寄与度を算出し、寄与度を用いて故障予兆の有無の判定を行うとともに、寄与度の高いセンサデータの変化の履歴をグラフ表示することで、診断者の故障箇所特定作業を支援する。
また、特許文献2には、産業用機器やプラント等の故障原因を診断する故障原因診断システム等が開示されている。この故障原因診断システムでは、診断対象機器が正常状態から外れていると判断した場合、正常状態を基準として各信号の外れ度合を異常寄与度として算出し、算出された異常寄与度のパターンと、過去の発生した障害の異常寄与度のパターンとを照らし合わせて類似性を評価し、故障箇所を推定する。
特開2013−008111号公報 WO2011/104760
一般に、システムで障害が発生すると、ある信号間の関係が崩れ、それらの信号に依存している他の信号間の関係も崩れ、その結果、多くの信号間の関係が崩れる。また、その信号間の関係の崩れ度合は、障害に直結した信号間の関係よりも、影響を受けて間接的に崩れた信号間の関係の方が大きくなる事象が頻発する。これは、信号間の関係の崩れ度合が大きい信号が、必ずしも真の障害原因とは限らないことを意味する。
しかしながら、特許文献1に記載の異常予兆診断装置では、異常度に対する寄与度の高いセンサデータ、すなわち信号間の関係の崩れ度合が大きい信号に関する情報を診断者に提示するので、診断者は障害原因を誤って特定してしまう恐れがある。
また、特許文献2に記載の故障原因診断システムでは、過去に発生した故障の異常寄与度のパターンと故障部位の対応関係を表すデータベースを用いるため、既知の障害についての障害原因を特定することは容易であるが、未知の障害についての障害原因を特定することはできない。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすることは、未知の障害について真の障害原因を特定することを容易にする情報を提示する障害診断支援システム等を提供することである。
前述した目的を達成するための第1の発明は、複数の信号をやり取りするシステムの動作データに基づいて障害診断を支援する障害診断支援システムであって、正常時の動作データである正常時データと、障害時の動作データである障害時データを記憶する記憶手段と、前記正常時データの各信号の値および前記障害時データの各信号の値に基づいて、前記正常時データから外れている前記障害時データの信号の組合せである外れ組合せパターンを抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出される前記外れ組合せパターンに基づいて、前記外れ組合せパターンに現れる全ての信号に関して、信号間の関係の崩れ構造を推定する推定手段と、前記推定手段によって推定される前記崩れ構造を提示する提示手段と、を具備することを特徴とする障害診断システムである。第1の発明によって、未知の障害について真の障害原因を特定することを容易にする情報を提示することができる。
第1の発明における前記推定手段は、各信号は一つのグループに属するものとして、前記外れ組合せパターンを構成する信号同士を別々のグループに割り当てて、割り当てるグループ総数を最小にするグループ割り当てを行い、前記提示手段は、前記グループ割り当ての結果を提示する。これによって、信号間の関係の崩れ構造を可視化することができる。
また、第1の発明における前記推定手段は、前記グループ割り当ての問題を、前記外れ組合せパターンを構成する信号同士を別々のグループに割り当てることに関する節をハード節、割り当てるグループ総数を最小にすることに関する節をソフト節とする重み付き部分最大充足割当問題として定式化し、SMTソルバを用いて解くようにしても良い。これによって、グループ割り当ての問題を短時間かつ確実に解くことができる。
また、第1の発明における前記正常時データおよび前記障害時データは、信号ごとに所定の加工処理が行われ、加工後の値が同一時刻ごとに纏められたものであり、前記抽出手段は、前記障害時データのそれぞれを全ての前記正常時データと比較し、値が相違する信号の組合せを前記外れ組合せパターンとして抽出するようにしても良い。これによって、信号間の関係に統計学的な前提条件を設ける必要がなく、様々な動作データに適用することができる。
第2の発明は、複数の信号をやり取りするシステムの動作データに基づいて障害診断を支援する障害診断支援装置であって、正常時の動作データである正常時データと、障害時の動作データである障害時データを記憶する記憶手段と、前記正常時データの各信号の値および前記障害時データの各信号の値に基づいて、前記正常時データから外れている前記障害時データの信号の組合せである外れ組合せパターンを抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出される前記外れ組合せパターンに基づいて、前記外れ組合せパターンに現れる全ての信号に関して、信号間の関係の崩れ構造を推定する推定手段と、前記推定手段によって推定される前記崩れ構造を提示する提示手段と、を具備することを特徴とする障害診断装置である。第2の発明によって、未知の障害について真の障害原因を特定することを容易にする情報を提示することができる。
第3の発明は、コンピュータが、複数の信号をやり取りするシステムの動作データに基づいて障害診断を支援する障害診断支援方法であって、前記コンピュータが、正常時の動作データである正常時データを記憶する第1記憶ステップと、障害時の動作データである障害時データを記憶する第2記憶ステップと、前記正常時データの各信号の値および前記障害時データの各信号の値に基づいて、前記正常時データから外れている前記障害時データの信号の組合せである外れ組合せパターンを抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップによって抽出される前記外れ組合せパターンに基づいて、前記外れ組合せパターンに現れる全ての信号に関して、信号間の関係の崩れ構造を推定する推定ステップと、前記推定ステップによって推定される前記崩れ構造を提示する提示ステップと、を実行することを特徴とする障害診断方法である。第3の発明によって、未知の障害について真の障害原因を特定することを容易にする情報を提示することができる。
本発明により、未知の障害について真の障害原因を特定することを容易にする情報を提示する障害診断支援システム等を提供することができる。
障害診断支援システムの概要を示す図 障害診断支援装置を実現するコンピュータのハードウエア構成図 障害診断支援方法の処理の流れを示すフローチャート 信号間の関係を示す図 信号間の関係の有無を示す図 信号間の関係の崩れを示す図 外れ組合せパターンを示す図 必ず満たさなければならない制約を示す図 できるだけ満たしたい制約を示す図 グループ割り当ての結果を示す図
以下図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明の実施形態では、複数の信号をやり取りするシステムとして、車両に搭載される車載システムを例に説明する。但し、本発明の適用範囲は車載システムに限らない。本発明は、前述した課題を有するシステムに対して適用すれば、同様の効果を奏する。
図1は、障害診断支援システムの概要を示す図である。障害診断支援システム1は、車載システム10の動作データに基づいて障害診断を支援するためのシステムである。障害診断支援システム1は、障害診断支援装置2、障害検出装置3、動作データ取得装置4等から構成される。車載システム10は、障害検出装置3、動作データ取得装置4、複数のECU(Electronic Control Unit)11が、CAN(Controller
Area Network)等の車載ネットワーク6や無線通信等を介して接続されている。
障害診断支援装置2は、車載システム10において発生した障害の障害原因を特定するための情報を提示する。障害診断支援装置2は、例えばコンピュータであり、車両に搭載される必要はない。障害診断支援装置2の処理の詳細は、図3を参照しながら後述する。
障害検出装置3は、障害の発生を検出し、障害が発生したことを動作データ取得装置4等に通知する。障害検出装置3は、例えば、車両に搭載されている各種センサから障害発生を示すダイアグノーシス信号を受信することによって、障害の発生を検出しても良い。また、例えば、運転席周りに障害発生検出用の入力装置(ボタン等)を設置し、車両の運転者が障害の発生を感知したときに障害発生検出用の入力装置を押下できるようにしておき、障害検出装置3は、入力装置が押下されたことを示す信号を受信することによって、障害の発生を検出しても良い。
本発明の実施形態における障害診断支援システム1では、未知の障害を対象とし、特に、障害の発生を検出することはできるが、従来技術では真の障害原因を正確に分析できない障害を対象とする。従って、本発明の実施形態においては、障害検出手段がどのようなものであっても良く、前述の障害検出装置3に限定されるものではない。
動作データ取得装置4は、正常時の動作データである正常時データや、障害時の動作データである障害時データを取得する。例えば、動作データ取得装置4は、車載ネットワーク6に流れている各種信号のデータやECUのRAM(Random Access Memory)に記憶されている各種信号のデータ等を取得する。各種信号は、例えば、エンジン回転数、ギアのシフト段数、タイヤ回転数、車速等であり、車両の動作に必要な様々な信号である。
正常時データは、例えば、車両の市場投入前のテスト走行時、テストドライバーが正常と確認したデータとする。動作データ取得装置4は、様々な走行環境で正常時データを取得しておくことが望ましい。正常時データは、障害診断支援装置2またはサーバ(不図示)等に送信され、障害診断支援装置2が利用可能な状態に保存される。
障害時データは、動作データ取得装置4が、障害検出装置3から障害が発生したことを示す通知を受信したときの前後の動作データである。動作データ取得装置4は、常に動作データを取得し、一定期間はその動作データを残すようにしておく。そして、障害検出装置3から通知を受けると、動作データ取得装置4は、既に取得済の一定期間の動作データと、これから取得する一定期間の動作データを、障害時データとして保存する。障害時データは、障害診断支援装置2またはサーバ(不図示)等に送信され、障害診断支援装置2が利用可能な状態に保存される。
ECU5は、車両における各機能を実現する。ECU5は、車載ネットワーク6を介して互いにデータの送受信を行い、協調して動作を行う。例えば、あるECU5に障害が発生すると、他のECU5にも障害が伝搬してしまう。従って、未知の障害の場合、診断者は真の障害原因を特定することが難しい。本発明の実施形態における障害診断支援システム1では、未知の障害であっても、診断者に対して真の障害原因を特定することを容易にする情報を提示する。
図2は、障害診断装置を実現するコンピュータのハードウエア構成図である。尚、図2のハードウエア構成は一例であり、用途、目的に応じて様々な構成を採ることが可能である。
図2に示すように、障害診断支援装置2は、制御部21、記憶部22、メディア入出力部23、通信制御部24、入力部25、表示部26、周辺機器I/F部27等が、バス28を介して接続される。
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等によって構成される。
CPUは、記憶部22、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス28を介して接続された各装置を駆動制御し、障害診断支援装置2が行う後述する処理を実現する。ROMは、不揮発性メモリであり、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持している。RAMは、揮発性メモリであり、記憶部22、ROM、記録媒体等からロードしたプログラム、データ等を一時的に保持するとともに、制御部21が各種処理を行う為に使用するワークエリアを備える。
記憶部22は、HDD(Hard Disk Drive)等であり、制御部21が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OS(Operating System)等が格納される。プログラムに関しては、OSに相当する制御プログラムや、後述する処理をコンピュータに実行させるためのアプリケーションプログラムが格納されている。これらの各プログラムコードは、制御部11により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて各種の手段として実行される。
メディア入出力部23(ドライブ装置)は、データの入出力を行い、例えば、CDドライブ(−ROM、−R、−RW等)、DVDドライブ(−ROM、−R、−RW等)等のメディア入出力装置を有する。通信制御部24は、通信制御装置、通信ポート等を有し、コンピュータとネットワーク間の通信を媒介する通信インタフェースであり、ネットワークを介して、他のコンピュータ間との通信制御を行う。ネットワークは、有線、無線を問わない。
入力部25は、データの入力を行い、例えば、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、テンキー等の入力装置を有する。入力部25を介して、コンピュータに対して、操作指示、動作指示、データ入力等を行うことができる。表示部26は、液晶パネル等のディスプレイ装置、ディスプレイ装置と連携してコンピュータのビデオ機能を実現するための論理回路等(ビデオアダプタ等)を有する。尚、入力部25及び表示部26は、タッチパネルディスプレイのように、一体となっていても良い。
周辺機器I/F(Interface)部27は、コンピュータに周辺機器を接続させるためのポートであり、周辺機器I/F部27を介してコンピュータは周辺機器とのデータの送受信を行う。周辺機器I/F部27は、USB(Universal Serial Bus)やIEEE1394やRS−232C等によって構成されており、通常複数の周辺機器I/Fを有する。周辺機器との接続形態は有線、無線を問わない。バス28は、各装置間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
図3は、障害診断支援方法の処理の流れを示すフローチャートである。図3に示すように、障害診断支援装置2の制御部21は、動作データ取得装置4から正常時データを受信し、正常時データを記憶部22に記憶する(ステップS1)。次に、制御部21は、動作データ取得装置4から障害時データを受信し、障害時データを記憶部22に記憶する(ステップS2)。前述した通り、正常時データは、例えば、車両の市場投入前のテスト走行時に正常と確認された動作データであり、障害時データは、障害検出装置3によって障害が検出されたときの動作データである。
正常時データおよび障害時データは、障害診断支援装置2の通信制御部24がネットワークを介してアクセス可能なサーバに記憶されても良いし、障害診断支援装置2のメディア入出力部23や周辺機器I/F部27等を介して読み取り可能な外部記憶媒体や外部記憶装置に記憶されても良い。
尚、データ容量を圧縮するため、変換後の信号の値が変化する時刻のデータのみを記憶するようにしても良いし、一定時間間隔ごとに記憶するようにしても良い。
次に、制御部21は、正常時データの各信号の値および障害時データの各信号の値に基づいて、正常時データから外れている障害時データの信号の組合せである外れ組合せパターンを抽出する(ステップS3)。
図4は、信号間の関係を示す図である。信号間の関係とは、1対1の関係に限らず、1対多、多対1、多対多の関係も含むものとする。信号間の関係には、直接的な関係と、間接的な関係が存在する。図4では、A〜Iが信号であり、直接的な関係を矢印で示している。例えば、信号Iと信号Fは、間に介在する信号がなく、直接的な関係である。また、例えば、信号Aおよび信号Cと信号Eも、間に介在する信号がなく、直接的な関係である。一方、信号Eと信号Gは、信号Dを介在し、間接的な関係である。
図5は、信号間の関係の有無を示す図である。図5では、A〜Iが信号であり、関係がある信号同士を線で結んでいる。図5では、直接的な関係だけでなく、間接的な関係がある信号同士も線で結んでいる。一般に、車載システム10の場合、障害診断に使える信号数は数百個程度あるため、信号間の関係が多数存在する。また、車種によって必要な信号も異なる。従って、診断者は、信号間の関係を全て把握することは難しい。
信号間の関係は、正常時であれば、一定の関係(線形な関係のみならず、非線形な関係も含む。)が保たれている。例えば、信号Aがエンジン回転数、信号Cがシフト段数、信号Eがタイヤ回転数とすると、信号Cのシフト段数が「1」であれば、信号Eのタイヤ回転数は、信号Aのエンジン回転数に比例する、といった関係である。一方、障害時では、この一定の関係が崩れてしまい、更に、他の信号間の関係にも影響を与える。
尚、図4及び図5に示す信号間の関係は、発明の理解を助けるために図示したものである。本実施の形態では、図4及び図5に示す信号間の関係は、診断者だけでなく、障害診断支援装置2においても未知の情報である。
図6は、信号間の関係の崩れを示す図である。図6では、A〜Iが信号であり、関係がある信号同士を線で結んでおり、関係の崩れを×印で図示している。図6に示すように、信号Aおよび信号Cと信号Eの関係が崩れると、これらの信号に依存している他の信号間の関係も崩れ、その結果、多くの信号間の関係が崩れる。診断者は、信号間の関係の全てを把握していない上、信号間の関係が数多く崩れてしまうことによって、真の障害原因(図6に示す例では、信号Aおよび信号Cと信号Eの関係の崩れ)を特定することが非常に困難になる。そこで、本発明の実施形態における障害診断支援システム1では、後述する処理によって、診断者に対して、真の障害原因を特定することを容易にする情報を提示する。
ここで、ステップ3における外れ組合せパターン抽出処理について説明する。外れ組合せパターン抽出処理としては、(手法1)特許第5287170号公報に記載の統計的指標を用いる手法、(手法2)特開2010−218492号公報や特開2011−70515号公報に記載の手法等を用いることができる。
手法1では、制御部21は、相関を考慮した距離を指標とした中心からの逸脱の度合いである逸脱度によって、正常時データからの外れ度合を判断する。そして、制御部21は、逸脱度が所定の閾値を超えた信号の組合せを外れ組合せパターンとして抽出する。相関を考慮した距離の例としては、ユークリッド距離やマハラノビス距離等が挙げられる。
手法2では、正常時データおよび障害時データは、信号ごとに所定の加工処理が行われ、加工後の値が同一時刻ごとに纏められたものとする。そして、制御部21は、障害時データのそれぞれを全ての正常時データと比較し、値が相違する信号の組合せを外れ組合せパターンとして抽出する。処理の詳細については、特開2010−218492号公報や特開2011−70515号公報に記載されている。手法2によれば、信号間の関係に統計学的な前提条件を設ける必要がなく、様々な動作データに適用することができる。
図7は、外れ組合せパターンを示す図である。例えば、図7に示す例では、1つ目の外れ組合せパターンとして「E、F、H」が記載されている。前述の手法2によれば、制御部21は、単一の障害時データの信号A〜信号Iの値と、全ての正常時データの信号A〜信号Iの値とを比較し、障害時データの信号E、信号F、信号Hの値が、全ての正常時データの信号E、信号F、信号Hの値と相違することを確認し、外れ組合せパターンとして「E、F、H」を抽出する。他の外れ組合せパターンについても同様である。
図3の説明に戻る。次に、制御部21は、ステップS3によって抽出される外れ組合せパターンに基づいて、外れ組合せパターンに現れる全ての信号に関して、信号間の関係の崩れ構造を推定する(ステップS4)。
信号間の関係の崩れ構造を推定するために、制御部21は、各信号は一つのグループに属するものとして、外れ組合せパターンを構成する信号同士を別々のグループに割り当てて、割り当てるグループ総数を最小にするグループ割り当てを行う。このグループ割り当ての結果が、外れ組合せパターンに現れる全ての信号に関する信号間の関係の崩れ構造を示している。
制御部21は、例えば、前述のグループ割り当ての問題を重み付き部分最大充足割当問題として定式化し、SMT(Satisfiable Modulo Theories)ソルバを用いて解く。重み付き部分最大充足可能性問題とは、重み付きの節(clause)の集合{(節、重み)、・・・・、(節、重み)}が与えられたときに、偽の節から発生する重みの総和を最小化する割り当てを求める問題である。必ず満たさなければならない制約に関する節は、∞(無限大)の重みを付ける節(「ハード節」と呼ばれる。)とし、できるだけ満たしたい制約に関する節は、有限の値の重みを付ける節(「ソフト節」と呼ばれる。)とする。
図8は、必ず満たさなければならない制約を示す図である。必ず満たさなければならない制約は、外れ組合せパターンを構成する信号同士を別々のグループに割り当てることである。例えば、図7に示す1つ目の外れ組合せパターン「E、F、H」は、別々のグループに割り当てる必要がある。そこで、制御部21は、「Gr(E)≠Gr(F)、Gr(F)≠Gr(H)、Gr(H)≠Gr(E)」の節に∞(無限大)の重みを付けてハード節として立式する。ここで、Gr(x)は、信号xのグループIDを示し、1〜9のいずれかの値である。また、例えば、図7に示す3つ目の外れ組合せパターン「A、B」は、別々のグループに割り当てる必要がある。そこで、制御部21は、「Gr(A)≠Gr(B)」の節に∞(無限大)の重みを付けてハード節として立式する。他の外れ組合せパターンについても同様である。
図9は、できるだけ満たしたい制約を示す図である。できるだけ満たしたい制約は、Gr(x)にはなるべく小さい値を割り当てて、グループ数nをなるべく小さくすることである。ここで、信号間の関係が1つでも崩れていれば、複数のグループに分けられることになるため、グループ数は2〜9のいずれかの値を取り得る。そうすると、信号が9パターン、取り得るグループ数が8パターンであるから、制御部21は、9×8=72個の節「Gr(x)≦n;x={A、・・・、I}、n=2、・・・、9」に有限の値の重みを付けてソフト節として立式する。有限の値の重みは、同じ値とする。
このように、制御部21は、例えば、グループ割り当ての問題を、外れ組合せパターンを構成する信号同士を別々のグループに割り当てることに関する節をハード節、割り当てるグループ総数を最小にすることに関する節をソフト節とする重み付き部分最大充足割当問題として定式化し、SMTソルバを用いて解く。これによって、グループ割り当ての問題を短時間かつ確実に解くことができる。
また、他の手法としては、制御部21は、例えば、信号A〜IのグループIDの合計を最小化する最適化問題として定式化し、最適化問題を解くための公知の手法を用いることができる。すなわち、制御部21は、min{Gr(A)+Gr(B)+・・・+Gr(I)}(但し、min{X}は、Xの最小値)を目的関数とする最適化問題として定式化し、目的関数を最小にするグループ割り当てを行っても良い。
図3の説明に戻る。次に、制御部21は、ステップS4によって推定される信号間の関係の崩れ構造、すなわちステップS4によるグループ割り当ての結果を表示部26に提示する(ステップS5)。
図10は、グループ割り当ての結果を示す図である。図10(a)は、各信号のグループIDを示している。図10(b)は、同一グループと異なるグループを容易に識別可能に表示する表示例を示している。尚、図10では、信号を抽象的な記号A〜Iのまま図示しているが、信号名(例えば、エンジン回転数、車速等)に代えて表示することが望ましい。
図10(b)において、同一グループに属する信号間の関係は崩れておらず、異なるグループに属する信号間の関係は崩れていることを示している。例えば、同一グループに属する信号Aと信号Iの関係は崩れていない。また、例えば、異なるグループに属する信号A、信号Cおよび信号Eの関係は崩れている。
例えば、診断者は、図7に示す外れ組合せパターンのリストだけを提示されても、信号間の関係の崩れ構造を把握することができず、真の障害原因を特定することは難しい。これに対して、図10に示す信号間の関係の崩れ構造、すなわちステップS4におけるグループ割り当ての結果を診断者に提示することによって、診断者は、信号間の関係の崩れに関わっている信号群を全体的に見渡すことができ、崩れている関係と崩れていない関係を容易に把握することができる。そして、診断者が信号間の関係を明確に把握していなくても、また、信号間の関係が数多く崩れてしまったとしても、診断者は、真の障害原因を特定することが容易となる。
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る障害診断支援システム等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1………障害診断支援システム
2………障害診断支援装置
3………障害検出装置
4………動作データ取得装置
5………ECU
6………車載ネットワーク
10………車載システム

Claims (6)

  1. 複数の信号をやり取りするシステムの動作データに基づいて障害診断を支援する障害診断支援システムであって、
    正常時の動作データである正常時データと、障害時の動作データである障害時データを記憶する記憶手段と、
    前記正常時データの各信号の値および前記障害時データの各信号の値に基づいて、前記正常時データから外れている前記障害時データの信号の組合せである外れ組合せパターンを抽出する抽出手段と、
    前記抽出手段によって抽出される前記外れ組合せパターンに基づいて、前記外れ組合せパターンに現れる全ての信号に関して、信号間の関係の崩れ構造を推定する推定手段と、
    前記推定手段によって推定される前記崩れ構造を提示する提示手段と、
    を具備することを特徴とする障害診断システム。
  2. 前記推定手段は、各信号は一つのグループに属するものとして、前記外れ組合せパターンを構成する信号同士を別々のグループに割り当てて、割り当てるグループ総数を最小にするグループ割り当てを行い、
    前記提示手段は、前記グループ割り当ての結果を提示する
    ことを特徴とする請求項1に記載の障害診断システム。
  3. 前記推定手段は、前記グループ割り当ての問題を、前記外れ組合せパターンを構成する信号同士を別々のグループに割り当てることに関する節をハード節、割り当てるグループ総数を最小にすることに関する節をソフト節とする重み付き部分最大充足割当問題として定式化し、SMTソルバを用いて解く
    ことを特徴とする請求項2に記載の障害診断システム。
  4. 前記正常時データおよび前記障害時データは、信号ごとに所定の加工処理が行われ、加工後の値が同一時刻ごとに纏められたものであり、
    前記抽出手段は、前記障害時データのそれぞれを全ての前記正常時データと比較し、値が相違する信号の組合せを前記外れ組合せパターンとして抽出する
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の障害診断システム。
  5. 複数の信号をやり取りするシステムの動作データに基づいて障害診断を支援する障害診断支援装置であって、
    正常時の動作データである正常時データと、障害時の動作データである障害時データを記憶する記憶手段と、
    前記正常時データの各信号の値および前記障害時データの各信号の値に基づいて、前記正常時データから外れている前記障害時データの信号の組合せである外れ組合せパターンを抽出する抽出手段と、
    前記抽出手段によって抽出される前記外れ組合せパターンに基づいて、前記外れ組合せパターンに現れる全ての信号に関して、信号間の関係の崩れ構造を推定する推定手段と、
    前記推定手段によって推定される前記崩れ構造を提示する提示手段と、
    を具備することを特徴とする障害診断装置。
  6. コンピュータが、複数の信号をやり取りするシステムの動作データに基づいて障害診断を支援する障害診断支援方法であって、
    前記コンピュータが、
    正常時の動作データである正常時データを記憶する第1記憶ステップと、
    障害時の動作データである障害時データを記憶する第2記憶ステップと、
    前記正常時データの各信号の値および前記障害時データの各信号の値に基づいて、前記正常時データから外れている前記障害時データの信号の組合せである外れ組合せパターンを抽出する抽出ステップと、
    前記抽出ステップによって抽出される前記外れ組合せパターンに基づいて、前記外れ組合せパターンに現れる全ての信号に関して、信号間の関係の崩れ構造を推定する推定ステップと、
    前記推定ステップによって推定される前記崩れ構造を提示する提示ステップと、
    を実行することを特徴とする障害診断方法。
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