JP6142667B2 - ボイラシステム - Google Patents
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Description
このようなボイラシステムでは、停止状態にあるボイラの燃焼を開始する場合に、当該ボイラが給蒸可能となるまでに生じる不足分を他のボイラが代わりに生成(バックアップ)することで、蒸気量が不足することを補うこととしている。
なお、段階値制御方式のボイラとは、複数段階の燃焼位置で燃焼するN位置ボイラ(例えば、燃焼停止、低燃焼、高燃焼等の3位置ボイラ)をいい、このような段階値制御方式のボイラでは、燃焼率が段階的(例えば、50%毎)に変更される。他方、比例制御方式のボイラとは、例えば、燃焼率を1%刻みで変更可能なボイラをいい、細かな調整によって安定した蒸気供給が可能である。
この点、特許文献1のような従来の工夫(バックアップ制御)は、段階値制御方式のボイラについてのものであり、比例制御方式のボイラについての工夫は何ら開示するものではなかった。
まず、本発明のボイラシステム1の全体構成につき、図1を参照しながら説明する。ボイラシステム1は、複数(5台)のボイラ20を含むボイラ群2と、これら複数のボイラ20において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダ6と、この蒸気ヘッダ6の内部の圧力を測定する蒸気圧センサ7と、ボイラ群2の燃焼状態を制御する制御部4を有する台数制御装置3と、を備える。
蒸気ヘッダ6は、蒸気管11を介してボイラ群2を構成する複数のボイラ20に接続されている。この蒸気ヘッダ6の下流側は、蒸気管12を介して蒸気使用設備18に接続されている。
蒸気ヘッダ6は、ボイラ群2で生成された蒸気を集合させて貯留することにより、複数のボイラ20の相互の圧力差及び圧力変動を調整し、圧力が調整された蒸気を蒸気使用設備18に供給する。
ボイラシステム1において要求される負荷(要求負荷)は、蒸気使用設備18における蒸気消費量である。台数制御装置3は、この蒸気消費量の変動に対応して生じる蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧の変動を、蒸気圧センサ7が測定する蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧(物理量)に基づいて算出し、ボイラ群2を構成する各ボイラ20の燃焼状態を制御する。
本実施形態のボイラ20は、燃焼率を連続的に変更して燃焼可能な比例制御ボイラからなる。
比例制御ボイラとは、少なくとも、最小燃焼状態S1(例えば、燃焼率の20%の燃焼状態)から最大燃焼状態S2の範囲で、燃焼率が連続的に制御可能とされているボイラである。比例制御ボイラは、例えば、燃料をバーナに供給するバルブや、燃焼用空気を供給するバルブの開度(燃焼比)を制御することにより、燃焼率を調整するようになっている。
より具体的には、複数のボイラ20それぞれには、変動可能な蒸気量の単位である単位蒸気量Uが設定されている。これにより、ボイラ20は、最小燃焼状態S1から最大燃焼状態S2の範囲においては、単位蒸気量U単位で、蒸気量を変更可能となっている。
なお、出力蒸気量とは、ボイラ群2により出力される蒸気量を示し、この出力蒸気量は、複数のボイラ20それぞれから出力される蒸気量の合計値により表される。
また、増加基準蒸気量は、燃焼させるボイラを増加させる基準となる蒸気量であり、必要蒸気量が増加基準蒸気量に達する(以上又はより大きくなる)と、停止していたボイラ20が燃焼を開始し、ボイラ20の台数が増加する。
これら停止基準蒸気量及び増加基準蒸気量は、任意に設定することができ、また、停止基準閾値及び増加基準閾値として、停止基準蒸気量及び増加基準蒸気量以外の任意の情報を用いることとしてもよい。
ローカル制御部22は、要求負荷に応じてボイラ20の燃焼状態を変更させる。具体的には、ローカル制御部22は、信号線16を介して台数制御装置3から送信される台数制御信号に基づいて、ボイラ20の燃焼状態を制御する。
また、ローカル制御部22は、台数制御装置3で用いられる信号を、信号線16を介して台数制御装置3に送信する。台数制御装置3で用いられる信号としては、ボイラ20の実際の燃焼状態、及びその他のデータが挙げられる。
台数制御装置3は、蒸気圧センサ7からの蒸気圧信号に基づいて、要求負荷に応じたボイラ群2の必要燃焼量、及び必要燃焼量に対応する各ボイラ20の燃焼状態を算出し、各ボイラ20(ローカル制御部22)に台数制御信号を送信する。この台数制御装置3は、図1に示すように、記憶部5と、制御部4と、を備える。
図3に示すように、制御部4は、起蒸指示部41と、給蒸可否判定部42と、出力制御部43と、起蒸制御部44と、を含んで構成される。
また、このような給蒸可否の判定は、台数制御装置3の制御部4ではなく、ボイラ20のローカル制御部22により行うこととしてもよい。ローカル制御部22が給蒸可否の判定を行う場合、ローカル制御部22から所定の通知を受けることで、台数制御装置3の制御部4がボイラ20の給蒸完了を把握する。即ち、ボイラ20が給蒸可能になったことをローカル制御部22が判定すると、ローカル制御部22が給蒸完了の旨を台数制御装置3に通知することで、制御部4(給蒸可否判定部42)がボイラ20の給蒸可否の判定を行う。
また、出力制御部43は、起蒸指示を行ったボイラ20が給蒸可能になると、当該ボイラ20の燃焼率と給蒸ボイラの燃焼率とが均一な燃焼率になるように制御する。即ち、出力制御部43は、起蒸指示を行ったボイラ20の代わりに燃焼していた給蒸ボイラの燃焼率を本来の燃焼率に戻す。
起蒸指示を行った3号機ボイラが給蒸不可能である場合、出力制御部43は、3号機ボイラから発生させる予定の蒸気を既に燃焼状態にある1号機ボイラ及び2号機ボイラから代わりに発生させるよう、1号機ボイラ及び2号機ボイラの燃焼率を上昇させる。また、出力制御部43は、3号機ボイラが給蒸可能になるまでの間、蒸気使用設備18の消費蒸気量(要求負荷)の変動に応じて1号機ボイラ及び2号機ボイラの燃焼率を連続的に変更する。
具体的には、起蒸制御部44は、起蒸指示を行った後、ボイラ20から発生する蒸気の圧力が上がり始めるまで、ボイラ20を最大燃焼率(100%)で燃焼させる。ここで、発生する蒸気の圧力が上がり始めるまでとは、例えば、ボイラ20から発生する蒸気の蒸気圧力が所定圧力に上昇するまでであってもよく、また、ボイラ20の水管温度が所定温度を超えるまでであってもよく、また、最大燃焼率での燃焼を開始してから所定時間を経過するまでであってもよい。
また、起蒸制御部44は、ボイラ20から発生する蒸気の圧力が上がり始めた後、当該ボイラ20が給蒸可能になるまで、最小燃焼率(20%)又はバックアップ中の給蒸ボイラと均一な燃焼率で、当該ボイラ20を燃焼させる。
時間T1において、起蒸指示部41がボイラ20に起蒸指示を行った結果、ボイラ20の燃焼が開始する。このとき、起蒸制御部44は、起蒸指示を行ったボイラ20を最大燃焼率(100%)で燃焼させ、水管内の缶水を早急に沸騰させる。
時間T2において、ボイラ20から発生する蒸気の圧力が上がり始めると、起蒸制御部44は、ボイラ20の燃焼率を最小燃焼率(20%)まで減少させる。
その後、時間T3において、給蒸可否判定部42によりボイラ20が給蒸可能になったと判定されると、出力制御部43は、ボイラ20を台数制御に組み込む。このとき、台数制御に組み込まれた時点では、ボイラ20は最小燃焼率(20%)で燃焼しているため、他のボイラ20よりも低い燃焼率で燃焼している。そこで、出力制御部43は、燃焼状態にある複数のボイラ20の燃焼率が均一になるように、時間T3の後、当該ボイラ20の燃焼率を優先的に変更する。
時間T1において、起蒸指示部41がボイラ20に起蒸指示を行った結果、ボイラ20の燃焼が開始する。このとき、起蒸制御部44は、起蒸指示を行ったボイラ20を最大燃焼率(100%)で燃焼させ、水管内の缶水を早急に沸騰させる。
時間T2において、ボイラ20から発生する蒸気の圧力が上がり始めると、起蒸制御部44は、ボイラ20の燃焼率を給蒸ボイラの燃焼率と均一な燃焼率まで減少させる。
その後、時間T3において、給蒸可否判定部42によりボイラ20が給蒸可能になったと判定されると、出力制御部43は、ボイラ20を台数制御に組み込み、その後の負荷変動に応じてボイラ20及び他のボイラ20の燃焼率を変更する。
そこで、起蒸制御部44は、バックアップする他のボイラ20(給蒸ボイラ)が所定数よりも少ない場合には、起蒸指示を行ったボイラ20を最小燃焼率(20%)で燃焼させ、バックアップする他のボイラ20(給蒸ボイラ)が所定数よりも多い場合には、起蒸指示を行ったボイラ20を他のボイラ20(給蒸ボイラ)と均一な燃焼率で燃焼させることとしてもよい。これにより、1台当たりの負担する燃焼率が低減されるため、起蒸指示を行ったボイラ20が台数制御に組み込まれる際に、バックアップしていた他のボイラ20において減少する燃焼率を低減することができ、ボイラ群2における圧力安定性を向上することができる。
これにより、比例制御ボイラにより構成されるボイラ群2において、燃焼を開始するボイラ20のバックアップ制御を適切に行うことができる。即ち、燃焼させるボイラ20の台数増加時であっても、比例制御ボイラ特有の連続燃焼を実現し、ボイラ20の燃焼開始時にも負荷変動に対して安定した蒸気出力を行うことができる。
例えば、上記実施形態では、起蒸指示を行ったボイラ20の燃焼状態の制御を、台数制御装置3の制御部4(起蒸制御部44)により行うこととしているが、当該ボイラ20の燃焼状態の制御は、当該ボイラ20のローカル制御部22が行うこととしてもよい。即ち、台数制御装置3の制御部4(起蒸指示部41)から起蒸指示があると、ローカル制御部22は、起蒸指示の後、蒸気圧力が所定圧力になるまでボイラ20を最大燃焼率で燃焼させ、その後、台数制御装置3の制御部4から送られた燃焼状態にある他のボイラ20(給蒸ボイラ)の台数に応じて、当該ボイラ20を他のボイラ20と均一な燃焼率又は最小燃焼率で燃焼させることとしてもよい。
2 ボイラ群
20 ボイラ
3 台数制御装置
4 制御部
41 起蒸指示部
42 給蒸可否判定部
43 出力制御部
44 起蒸制御部
Claims (3)
- 燃焼率を連続的に変更して燃焼可能な複数のボイラを備えるボイラ群と、前記ボイラ群の燃焼状態を制御する制御部と、を備えるボイラシステムであって、
前記制御部は、
要求負荷に応じて、複数の前記ボイラのうち蒸気を供給していないボイラである停止ボイラに対して、蒸気の供給開始のための起蒸指示を行う起蒸指示部と、
前記起蒸指示を行った停止ボイラが給蒸可能になったか否かを判定する給蒸可否判定部と、
前記起蒸指示を行ってから前記停止ボイラが給蒸可能になるまでの間、複数の前記ボイラのうち蒸気を供給しているボイラである給蒸ボイラの燃焼率を要求負荷に応じて連続的に変更することで、要求負荷に対する蒸気出力の追従制御を行う出力制御部と、
前記起蒸指示を行った後、前記停止ボイラの蒸気圧力が所定圧力に上昇するまで、当該停止ボイラを最大燃焼率で燃焼させ、前記停止ボイラの蒸気圧力が前記所定圧力まで上昇した後、給蒸可能になるまで、当該停止ボイラを最小燃焼率で燃焼させる起蒸制御部と、
を備えるボイラシステム。 - 燃焼率を連続的に変更して燃焼可能な複数のボイラを備えるボイラ群と、前記ボイラ群の燃焼状態を制御する制御部と、を備えるボイラシステムであって、
前記制御部は、
要求負荷に応じて、複数の前記ボイラのうち蒸気を供給していないボイラである停止ボイラに対して、蒸気の供給開始のための起蒸指示を行う起蒸指示部と、
前記起蒸指示を行った停止ボイラが給蒸可能になったか否かを判定する給蒸可否判定部と、
前記起蒸指示を行ってから前記停止ボイラが給蒸可能になるまでの間、複数の前記ボイラのうち蒸気を供給しているボイラである給蒸ボイラの燃焼率を要求負荷に応じて連続的に変更することで、要求負荷に対する蒸気出力の追従制御を行う出力制御部と、
前記起蒸指示を行った後、前記停止ボイラの蒸気圧力が所定圧力に上昇するまで、当該停止ボイラを最大燃焼率で燃焼させ、前記停止ボイラの蒸気圧力が前記所定圧力まで上昇した後、給蒸可能になるまで、当該停止ボイラを前記給蒸ボイラと均一な燃焼率で燃焼させる起蒸制御部と、
を備えるボイラシステム。 - 前記出力制御部は、前記給蒸ボイラが複数存在する場合には、複数の前記給蒸ボイラを均一な燃焼率に制御する、請求項1又は請求項2に記載のボイラシステム。
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