JP6141669B2 - サスペンション制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄道車両の振動等を低減するのに好適に用いられるサスペンション制御装置に関する。
高速走行時の台車の安定性と車両の走行安全性を高めるために、近年の高速鉄道車両では台車にヨーダンパが取付けられている。ヨーダンパは、その粘性が高いほど高速走行時の安定性が高まる。その一方で、在来線区間や車両基地内等のように軌道の曲率が大きい区間を走行するときは、ヨーダンパは、台車が線路に合わせて回転するのを阻害するよう作用する。このため、車両の横圧が上昇して、軌道や車輪の損傷やキシリ音が発生する可能性がある。
この対策として、減衰力可変式のヨーダンパが採用される場合がある。このヨーダンパは、在来線軌道や車両基地内の走行時に減衰力をソフトにして使用する。減衰力は速度に依存し、高速走行時の減衰力は常にハードである。また、地点によって減衰力を可変させるという構成も知られている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、減衰力可変式のヨーダンパには、前述のように速度や地点に応じて減衰力を変えるものと、台車のヨー振動を検知し、このヨー振動を打ち消すように減衰力を連続的にまたは段階的に可変するものがある。後者は前者と比較して最大減衰力の大きいダンパを使用できるため、効果的にヨー振動を抑えることができ、車両の更なる高速化に貢献できる。
ところで、近年の鉄道の高速化と、それに伴う車両の軽量化等により、車両の剛性の低下が原因と見られる縦方向の車体の弾性振動が問題となることが増えている。この車体の弾性振動のうち、特に車体の1次曲げ振動の固有値は、人間が上下振動を敏感に感じる周波数帯(4〜8Hz)に近いため、乗り心地を悪化させる原因になっている。
この弾性振動に対する対策として、各種の方法が考案されている。主たる対策方法として、特許文献3のように車体の上下方向の台車−車体間の振動伝達を断つように上下方向のサスペンションの硬さを制御するもの、特許文献4のように車体曲げ振動の固有値周辺の加速度信号を不感帯として車体の振動を制御するもの、特許文献5のように車体の曲げ振動を直接打ち消すものがある。また、特許文献2のように台車の前後方向の振動に着目して、台車をダイナミックダンパとして作用させる方法等もある。
特開2006−282059号公報 特開2004−203171号公報 特開2005−145312号公報 特開平6−239231号公報 特開2000−88044号公報
ところで、台車の安定性向上のためにヨーダンパを用いる場合、ヨーダンパが台車の振動を抑えるために発生する力が、車体側では車体の振動を励起させる力として作用し、結果として車体の曲げ振動を悪化させることがある。
また、前述したように、軌道からの上下方向の入力が車体を上下方向に揺すり、車体の曲げ振動を励起させる。車体の軽量化と高速化、左右方向の乗り心地の向上に伴って、この車体曲げ振動が問題になることが増えている。
本発明は、上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、台車の振動を抑制しつつ、車体の曲げ振動を抑制するサスペンション制御装置を提供することにある。
上述した課題を解決するため、請求項1に係る発明は、鉄道車両の台車と車体との間に設けられ前記鉄道車両に加わるヨー方向の減衰力を調整可能なヨーダンパと、前記台車の振動を検出する台車振動検出手段と、前記台車振動検出手段によって検出した前記台車の前後方向の振動を減衰させる減衰力指令値を求めて前記ヨーダンパを制御する制御装置とからなるサスペンション制御装置であって、前記車体の曲げ振動を検出する車体振動検出手段をさらに備え、前記制御装置は、前記台車振動検出手段によって検出した前記台車の前後方向の振動と、前記車体振動検出手段によって検出した前記車体の曲げ振動とを考慮した状態方程式に対して、評価関数を最小にする前記減衰力指令値を求めて、前記台車の前後方向の振動と前記車体の曲げ振動とを同時に抑制するように前記ヨーダンパを制御することを特徴としている。
また、請求項2に係る発明は、鉄道車両の台車と車体との間に設けられ前記鉄道車両に加わるヨー方向の減衰力を調整可能なヨーダンパと、前記台車の振動を検出する台車振動検出手段と、前記台車振動検出手段によって検出した前記台車の前後方向の振動を減衰させる減衰力指令値を求めて前記ヨーダンパを制御する制御装置とからなるサスペンション制御装置であって、前記制御装置は、前記台車振動検出手段によって検出した前記台車の前後方向の振動または前記減衰力指令値について、前記車体の曲げ振動の固有値範囲の周波数帯の信号を、他の周波数帯の信号に比べて減衰させるフィルタを備え、前記フィルタを通じて出力される前記減衰力指令値を用いて前記ヨーダンパを制御することを特徴としている。
本発明によれば、台車の振動を抑制しつつ、車体の曲げ振動を抑制することができる。
本発明の第1,第5の実施の形態によるサスペンション制御装置が適用された鉄道車両を示す正面図である。 図1中の台車およびヨーダンパを上側からみた平面図である。 第1の実施の形態による鉄道車両のシミュレーションモデル図である。 第1の実施の形態による鉄道車両のヨーダンパを示すシミュレーションモデル図である。 図1中の台車、ヨーダンパおよび加速度センサの配置関係を示す説明図である。 車体が曲げ振動している状態を示す説明図である。 (a)は台車が前後方向に並進振動している状態を示す説明図であり、(b)は台車がヨー方向に振動している状態を示す説明図である。 車体曲げ加速度PSD、台車ヨー角加速度PSDおよび減衰力PSDを示す特性線図である。 本発明の第2,第6の実施の形態によるサスペンション制御装置が適用された鉄道車両を示す正面図である。 車体曲げ加速度PSD、台車ヨー角加速度PSDおよびノッチフィルタゲインの周波数特性を示す特性線図である。 図9中の制御装置を示すブロック図である。 第1の変形例による制御装置を示すブロック図である。 第2の変形例による制御装置を示すブロック図である。 第3の変形例による制御装置を示すブロック図である。 本発明の第3の実施の形態によるサスペンション制御装置が適用された鉄道車両を示す正面図である。 図15中の制御装置が実行するヨーダンパの制御プログラムを示す流れ図である。 本発明の第4の実施の形態によるサスペンション制御装置が適用された鉄道車両を示す正面図である。 図17中の制御装置が実行するヨーダンパの制御プログラムを示す流れ図である。 本発明の第5の実施の形態による制御装置が実行するヨーダンパの制御プログラムを示す流れ図である。 本発明の第6の実施の形態による制御装置が実行するヨーダンパの制御プログラムを示す流れ図である。
以下、本発明の実施の形態によるサスペンション制御装置を、添付図面に従って詳細に説明する。
図1ないし図8は本発明の第1の実施の形態を示している。図1において、鉄道車両1は、例えば乗客、乗員等が乗車する車体2と、車体2の下側に設けられた前側および後側の台車31,32とを備えている。なお、以下では、前台車31と後台車32を総称するときには、台車3iという。
図2に示すように、台車3iは、台車枠5、空気ばね6、輪軸7、軸箱10、牽引リンク11等を備えている。前台車31と後台車32は、車体2の前部側と後部側とに離間して配置され、各台車31,32にはそれぞれ4個の車輪8が設けられている。鉄道車両1は、各車輪8が左,右のレール4(一方のみ図示)上を回転することによりレール4に沿って、例えば前進時に矢示A方向に走行駆動される。
台車枠5は、例えばH字状をなす枠体によって構成されている。具体的には、台車枠5は、左右方向に離間して設けられた右側梁5Aおよび左側梁5Bと、これらの側梁5A,5Bを連結する2本の中央横梁5C,5Dとにより大略構成されている。
空気ばね6は、台車枠5の左右方向の両側にそれぞれ設けられ、台車3iに対して車体2を上下方向に弾性的に支持する。この空気ばね6は、車体2と台車枠5との間の上下方向の振動を低減させる。
輪軸7は、左,右の車輪8と、これら2個の車輪8を連結する車軸9とによって構成されている。輪軸7は、台車枠5の前,後にそれぞれ配置され、軸箱10の主軸受け(図示せず)によって回転可能に支持される。
軸箱10は、輪軸7に車体2と台車3iの加重を伝達する主軸受けのハウジングである。この軸箱10は、軸ばねおよび軸ダンパ(いずれも図示せず)によって台車枠5の側梁5A,5Bに連結されている。
牽引リンク11は、車体2に設けられた中心ピン12と台車3iの中央横梁5C,5Dとの間に設けられている。この牽引リンク11は、例えば上からみてZ字状のリンク機構により構成され、車体2と台車3iとの間で前後方向に加わる牽引力や制動力を伝達する。また、牽引リンク11は、台車3iに対して車体2が上下方向、左右方向、ヨー(台車旋回)方向、およびピッチング方向に相対変位する(動く)ことを許容するように、ゴムブッシュ等を用いて構成される。そして、牽引リンク11は、車体2と台車3iとの間で牽引力や制動力を伝達できるように、車体2の中心ピン12と台車3iの中央横梁5C,5Dとの間を連結している。なお、牽引リンク11は、上からみてI字状のリンク機構によって構成してもよく、他のリンク機構によって構成してもよい。
ヨーダンパ1311およびヨーダンパ1312は、前台車31の台車枠5の右側と左側にそれぞれ位置して車体2と前台車31との間に設けられる。ヨーダンパ1321およびヨーダンパ1322は、後台車32の台車枠5の右側と左側にそれぞれ位置して車体2と後台車32との間に設けられる。なお、以下では、前部右側、前部左側、後部右側、後部左側のヨーダンパ1311,1312,1321,1322を総称するときには、ヨーダンパ13ijという。
ヨーダンパ13ijは、例えばゴムブッシュ等を介して車体2と台車3iにそれぞれ連結される。このヨーダンパ13ijは、減衰力を個別に調整可能なシリンダ装置(例えば、セミアクティブダンパと呼ばれる減衰力調整式の油圧緩衝器)を用いて構成される。ヨーダンパ13ijは、例えば比例ソレノイド等からなる減衰力調整バルブ(図示せず)を備え、この減衰力調整バルブは、台車3iの振動を低減するため減衰力特性をハードな特性とソフトな特性との間で任意な特性に調整する。
即ち、ヨーダンパ13ijは、車体2に対する台車3iの水平方向の回転(ヨーイング)を左右方向でそれぞれ個別に緩衝して低減させるように、後述の制御装置20から個別に出力される制御信号(指令電流)に従って減衰力が可変に制御される。これにより、ヨーダンパ13ijは、台車3iの前後方向の振動を抑えるための制御力を発生させる。
なお、ヨーダンパ13ijは、ハードな特性とソフトな特性との間で減衰力特性を連続的に調整する構成でもよく、2段階または複数段階で調整可能な構成であってもよい。
加速度センサ14は、車体2の床面に設けられ、車体2の前側部に配置される。加速度センサ15は、車体2の床面に設けられ、進行方向の中央付近に配置される。加速度センサ16は、車体2の床面に設けられ、車体2の後側部に配置される。これらの加速度センサ14〜16は、車体2の1次曲げモードを算出するために使用されるものであり、それぞれの位置で上下方向の加速度を検出する。加速度センサ17は、車体2の中央付近に配置され、車体2の前後方向の加速度を検出する。このとき、加速度センサ14〜17は、車体2の振動を検出する車体振動検出手段を構成する。
加速度センサ181は、前台車31のうち、進行方向(X方向)の中央に位置して、右側端部に配置され、加速度センサ182は、後台車32のうち、進行方向(X方向)の中央に位置して、右側端部に配置される。また、加速度センサ191は、前台車31のうち、進行方向(X方向)の中央に位置して、左側端部に配置され、加速度センサ192は、後台車32のうち、進行方向(X方向)の中央に位置して、左側端部に配置される。加速度センサ181,191は、それぞれの位置で前台車31の前後方向の加速度を検出し、加速度センサ182,192は、それぞれの位置で後台車32の前後方向の加速度を検出する。
このとき、加速度センサ181,182,191,192は、台車31,32の振動を検出する台車振動検出手段を構成する。なお、以下では、右側の加速度センサ181,182を総称するときには、加速度センサ18iという。また、左側の加速度センサ191,192を総称するときには、加速度センサ19iという。
制御装置20は、例えばマイクロコンピュータ等により構成され、その入力側には加速度センサ14〜17,18i,19iが接続されている。また、制御装置20の出力側には、鉄道車両1の前部右側、前部左側、後部右側、後部左側にそれぞれ配置された4個のヨーダンパ13ijが接続されている。そして、制御装置20は、加速度センサ14〜17,18i,19iからの検出信号に基づいて4個のヨーダンパ13ijの減衰力指令信号を生成し、各ヨーダンパ13ijの減衰力を可変に制御する。
具体的には、制御装置20は、加速度センサ14〜17,18i,19iからの検出信号に基づいて、車体2と台車3iとの間に設けられたヨーダンパ13ijへの減衰力指令値を算出し、各ヨーダンパ13ijのソレノイドに指令電流を流す。これにより、車体2の曲げ振動と、台車3iのヨー振動が減衰され、車体2の乗り心地と台車3iの安定性を向上させることができる。
なお、制御装置20は、減衰力指令値を算出する前段階として、例えば加速度取得処理、ローパスフィルタ処理(以下、LPF処理という)、ハイパスフィルタ処理(以下、HPF処理という)、位相補償器の処理等を行う。具体的には、加速度取得処理では、例えばAD変換器等を用いて、アナログ信号からなる加速度センサ14〜17,18i,19iの検出信号をデジタル信号に変換すると共に、各種の演算処理を施して、それぞれの加速度G1〜G8を取得する。LPF処理では、加速度G1〜G8の信号から高周波ノイズを除去する。HPF処理では、加速度G1〜G8の信号からオフセット成分を除去する。位相補償器の処理では、LPF処理、HPF処理によって悪化した信号の位相特性を改善する。
ここで、車体2の1次曲げモードと台車3iの前後振動に関して説明する。図6は、車体2の1次曲げモードを概念的に示す図であり、車体2の中央を腹とする1次曲げ運動を表している。また、図7は、台車3iの前後振動を車体2の直上から透視してみた概念図である。図7(a)は台車3iの前後並振モードを表し、図7(b)は台車3iのヨーイングモードを表している。制御装置20は、これらの前後並振モードおよびヨーイングモードを含めて、台車3iの前後方向の振動を減衰させるように、ヨーダンパ13ijを制御する。
車体2の曲げ振動は、台車3iを支持点として車体2を両端支持の梁としてみたときに現れる弾性振動であり、高次まである振動モードのうち、本発明では車体2の1次の振動モードに注目する。車体2の1次曲げは、主にレール4(軌道)の上下狂いが輪軸7→台車3i→車体2と伝わって励起されるものである。また、台車3iの前後振動も1次曲げに作用する。
次に、前述した構成を有する鉄道車両1において、加速度センサ14〜17,18i,19iの出力に基づいて、ヨーダンパ13ijの減衰力を制御するときの制御則について説明する。
制御装置20での減衰力指令値の算出に当っては、車体2の前後並振モード・上下並振モード・曲げモードと、前台車31の上下並振モード・前後並振モード・ヨーモードと、後台車32の上下並振モード・前後並振モード・ヨーモードと、右前ヨーダンパ1311の前後動モードと、左前ヨーダンパ1312の前後動モードと、右後ヨーダンパ1321の前後動モードと、左後ヨーダンパ1322の前後動モードとの13自由度で鉄道車両1をモデル化し、26次の状態方程式を用いて最適フィードバックを求めた。
次に、状態方程式の算出方法について説明する。図3は、本実施の形態における鉄道車両1をシミュレーション用にモデリングしたモデル図である。図中の右方向(矢示A方向)が本モデルの進行方向であり、進行方向にX軸、車体2の上下方向にZ軸、車体2の左右方向にY軸を取っている。本モデルでは、車体2の1次曲げ振動を考慮するために、車体2は梁として扱い、台車3iは剛体として扱う。
モデリングで用いる主な記号は表1の通りである。なお、特に注記しない限り、i=1は前台車、i=2は後台車、j=1は台車右側、j=2は台車左側、h=1は台車前側、h=2は台車後側に対応する。また、式中のドットは、時間tによる1階微分(d/dt)を意味する。ドットが2つであれば2階微分(d2/dt2)を意味する。
Figure 0006141669
まず、車体2のモデリングについて説明する。車体2のモデリングに関して、車体2の梁としてのモデルは、例えば特許文献3の車体モデルと同様に、以下に示す通りである。
車体2を両端自由の一様な弾性はりと仮定し、慣性、内部粘性、曲げ剛性を考慮すると、車体2の長手方向の位置xにおける微小な車体2の上下変位z(x,t)に対して、以下の数1の式が成り立つ。
Figure 0006141669
ここで、fk(t)は、位置Lkで車体2の上下方向に加わる外力であり、δ(x)は、デルタ関数である。数1の式は、車体2の各モードの変位をqBm(m≧1)として、モード解析法により、以下の数2の式のように展開される。
Figure 0006141669
但し、車体2の上下並進変位をzBとし、ピッチング変位をθBとしている。ここで、車体2の1次曲げよりも高次のモード(m>3)を無視すると、車体2について、各モード(m=1,2,3)で、以下の数3〜数5の式が成り立つ。
Figure 0006141669
Figure 0006141669
Figure 0006141669
但し、fAizは、位置LTCiでの空気ばね6による支持力である。また、ω,ζは、以下の数6の式で定義される。
Figure 0006141669
また、数5の式の曲げモード固有関数は、以下の数7の式で表される。
Figure 0006141669
ここで、X=λx/Lであり、λは、振動数方程式である以下の数8の式の1次曲げモードに対応する根である。
Figure 0006141669
次に、車体2の結合力のモデリングについて説明する。車体2の結合力に関しては、軸箱10の支持部、車体2の支持部、牽引リンク11、ヨーダンパ13ijについてそれぞれ以下の数9〜数11の式ように数式化する。
Figure 0006141669
Figure 0006141669
Figure 0006141669
また、ヨーダンパ13ijに関しては、ヨーダンパ13ijの1本毎に図4のようにモデル化する。このとき、ヨーダンパ13ijの前後力は、数12および数13の式のように数式化する。
Figure 0006141669
Figure 0006141669
但し、ヨーダンパ13ijの車体側変位xDBijおよび台車側変位xDRijは、以下の数14および数15の式に示す通りである。
Figure 0006141669
Figure 0006141669
また、ここでヨーダンパ13ijが車体2に伝える力fDBijは、セミアクティブ制御時にはcDij=0とし、セミアクティブダンパの発生力をFij≠0とする。一方、パッシブダンパ時にはcDij≠0とし、セミアクティブダンパの発生力をFij=0とする。このとき、車体2の支持部における上下力は、以下の数16の式に示す通りになる。
Figure 0006141669
次に、運動方程式について説明する。13自由度のモデルに対する運動方程式は、以下の数17〜数22の式に示す通りになる。
Figure 0006141669
Figure 0006141669
Figure 0006141669
Figure 0006141669
Figure 0006141669
Figure 0006141669
そして、これらの運動方程式とヨーダンパ13ijの運動方程式により、26個の状態量を持ち、16個の外乱入力と4個の制御入力(ヨーダンパ13ijの発生減衰力)をもつ次の状態方程式を得ることができる。
Figure 0006141669
但し、状態ベクトルxr、外乱入力w、制御入力uのベクトルは以下の数24〜数26の式に示す通りである。
Figure 0006141669
Figure 0006141669
Figure 0006141669
この状態方程式を用いて最適フィードバックを得るには、一般的な現代制御理論の通り、状態方程式に対して以下の数27の式で表せる評価関数Jを最小にするように、状態フィードバックKを与えればよい。
Figure 0006141669
以上の制御則によれば、車体2の曲げ振動と、台車3iの前後振動を同時に抑制することができ、乗り心地と台車3iの安定性を同時に向上することができる。
なお、本システムを実現するに当って、各加速度センサ14〜17によって検出する加速度をG1(車体前部、Z方向),G2(車体中央、Z方向),G3(車体後部、Z方向),G4(車体中央、X方向)とする。また、加速度センサ18i,19iによって検出する加速度をG5(前台車右部、X方向),G6(前台車左部、X方向),G7(後台車右部、X方向),G8(後台車左部、X方向)とする。このとき、状態ベクトルxrの加速度成分は、それぞれ以下の数28〜数32の式のように求められる。状態量は、これらの加速度センサ14〜17,18i,19iによる情報から求めてもよく、適当な状態オブザーバを設計して推定してもよい。
Figure 0006141669
Figure 0006141669
Figure 0006141669
Figure 0006141669
Figure 0006141669
但し、ds1は加速度G5,G6を検出する加速度センサ181,191の取付け間隔であり、ds2は加速度G7,G8を検出する加速度センサ182,192の取付け間隔である。また、加速度センサ14〜17,18i,19i等の配置構成は、前述した状態ベクトルxrを求めることができれば、適宜変更可能である。
次に、前述した制御則における振動制御結果として、車体2の曲げ加速度のパワースペクトル密度(以下、PSDという)と、台車3iのヨー角加速度のPSDとを図8に示す。
図8において、実線が台車3iの振動と車体2の曲げ振動の両方を制御する第1の実施の形態による制御則を適用した場合を示し、破線が第1の比較例として台車3iの振動のみを制御する制御則を適用した場合を示し、二点鎖線が第2の比較例として減衰力固定の油圧ダンパをヨーダンパ13ijに使用した場合を示し、一点鎖線が第3の比較例としてヨーダンパ13ijを省いた場合を示している。
図8に示すように、第1の実施の形態では、台車3iの振動のみを制御する第1の比較例に比べて、車体2の曲げ振動が、ヨーダンパ13ijを省いた第3の比較例と同程度まで低下する。また、第1の実施の形態では、減衰力固定のヨーダンパ13ijに使用した第2の比較例およびヨーダンパ13ijを省いた第3の比較例に比べて、台車3iの振動が、台車3iの振動のみを制御する第1の比較例と同程度まで低下する。
このように、第1の実施の形態では、台車3iの振動を低減するためにヨーダンパ13ijの減衰力を制御しても、車体2の曲げ振動が増加することはない。即ち、第1の実施の形態では、台車3iのヨー振動を抑えつつ、車体2の曲げ振動の悪化を抑制することができる。この結果、車体2の1次曲げ振動と台車3iのヨー振動をそれぞれ低減することができる。
また、図8中に、ヨーダンパ13ijの減衰力のPSDも併せて示す。図8に示すように、第1の実施の形態では、台車3iの振動のみを制御する第1の比較例に比べて、車体2の曲げ振動を考慮することで車体2の曲げの固有値周辺の周波数帯域では、ヨーダンパ13ijの減衰力が小さくなっている。
かくして、本実施の形態では、車体2の曲げ振動を考慮した状態方程式を用いて最適フィードバックを得るから、制御装置20は、車体2の曲げ振動の固有値範囲では、他の周波数範囲に比べて、ヨーダンパ13ijの減衰力を小さくすることができる。このため、車体2の曲げ振動を悪化させずに、台車3iの振動を低減することができる。この結果、車両1の軽量化、台車3iの安定化、車両1の高速化、乗り心地の向上を両立させることができる。
第1の実施の形態では、車体2を単純な梁として考慮したが、車体2の捻じれも考慮した運動方程式において、車体2の中心を腹として曲がる1次曲げの成分に加えて、車体2の中心が捻じれる運動モードに対してもヨーダンパ13ijを用いてその振動を抑制してもよい。
次に、図9ないし図11は本発明の第2の実施の形態を示している。第2の実施の形態の特徴は、車体の1次曲げの固有値周辺の周波数帯の信号を出力しないようなフィルタを設け、車体の1次曲げの固有値周辺の周波数範囲では、ヨーダンパの減衰力を小さくするように制御したことにある。なお、第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
第2の実施の形態による鉄道車両31は、第1の実施の形態による鉄道車両1とほぼ同様に、車体2、台車3i、ヨーダンパ13ij、加速度センサ18i,19i、制御装置32等を備える。
但し、車体2の1次曲げモードを算出するのに利用する加速度センサ14〜16と、車体2の前後方向の加速度を検出する加速度センサ17とが省かれている点で、第1の実施の形態による鉄道車両1とは異なる。
また、制御装置32は、後述の制御則に従って、加速度センサ18i,19iによって検出した加速度G5〜G8から、ヨーダンパ13ijが発生すべき制御力を演算し、ヨーダンパ13ijに任意の減衰力を発生させる。
次に、第2の実施の形態による鉄道車両31において、加速度センサ18i,19iの出力に基づいて、ヨーダンパ13ijの減衰力を制御するときの制御則について説明する。
制御装置32は、加速度センサ18i,19iによって検出した加速度G5〜G8に基づいて、車体2と台車3iとの間に設けられたヨーダンパ13ijへの減衰力指令値を算出し、各ヨーダンパ13ijのソレノイドに指令電流を流す。これにより、台車3iの前後振動が減衰され、台車3iの安定性を向上させることができる。
具体的な制御則は様々なものが使用できるが、第2の実施の形態では、スカイフック制御を用いる。本制御則では、車体2の振動モードを考慮していないため、第1の実施の形態とは異なり、車体2に設けられた加速度センサ14〜17が不要となり、システムの構成を簡略化することができる。
しかし、例えば特許文献2のように、台車3iの前後振動の固有値が車体2の1次曲げ振動の固有値と一致するように設計された車両においては、ヨーダンパ13ijによって台車3iの振動を抑制すると、1次曲げ振動に対する台車3iのダイナミックダンパ効果が薄れることがある。このため、1次曲げ振動が悪化する虞れがある。
そこで、第2の実施の形態による制御装置32は、車体2の1次曲げの固有値周辺の周波数成分の台車3iの振動だけは抑制しないようにする。具体的には、制御装置32は、加速度センサ18i,19iによって検出した加速度G5〜G8の信号に対して、車体2の1次曲げの固有値周辺の周波数帯の信号を出力しないようなノッチフィルタ36を設ける。これにより、車体2の1次曲げ固有値付近では、台車3iが振動してダイナミックダンパとして作用し、結果として車体2の1次曲げの悪化を防止できる。さらに、車体2の1次曲げ固有値付近以外の周波数帯では、台車3iの振動はヨーダンパ13ijの制御によって抑えられるため、車体2の安定性も確保できる。
制御装置32の制御ブロックを図11に示す。制御装置32は、加速度取得部33、ローパスフィルタ34(以下、LPF34という)、ハイパスフィルタ35(以下、HPF35という)、ノッチフィルタ36、位相補償器37、振動制御器38、電流出力部39を備える。
加速度取得部33は、例えばAD変換器等からなり、アナログ信号からなる加速度センサ18i,19iの検出信号をデジタル信号に変換すると共に、各種の演算処理によって加速度G5〜G8に変換して取得する。LPF34は、時間変化する加速度G5〜G8の信号から高周波ノイズを除去する。HPF35は、加速度G5〜G8の信号からオフセット成分を除去する。
ノッチフィルタ36は、バンドエリミネーションフィルタからなり、図10に示すように、車体2の1次曲げ固有値付近の周波数帯の信号を、他の周波数帯の信号に比べて減衰させる。このノッチフィルタ36は、例えばマイクロコンピュータ等からなる制御装置32内のソフトウエア処理によって実現される。このノッチフィルタ36によって、加速度G5〜G8の信号の強度は、車体2の1次曲げ固有値付近の周波数帯の成分が他の周波数帯の成分よりも低下する。
位相補償器37は、各フィルタ34〜36によって悪化した位相特性を改善する。振動制御器38は、台車3iの加速度G5〜G8の信号を台車3iの速度信号に変換した後にスカイフック制御則に基づいて振動制御演算を行う。電流出力部39は、振動制御器38の演算した減衰力指令値に基づいてヨーダンパ13ijに指令電流を出力する。
制御装置32の制御則は、前述した通りであり、次に、前述した制御則における振動制御結果として、車体2の曲げ加速度のPSDと、台車3iのヨー角加速度のPSDとを図10に示す。
図10において、実線がノッチフィルタ36を用いて台車3iの振動を制御する第2の実施の形態による制御則を適用した場合を示し、破線が第4の比較例としてノッチフィルタ36を省いて台車3iの振動を制御する制御則を適用した場合を示し、二点鎖線が第2の比較例として減衰力固定の油圧ダンパをヨーダンパ13ijに使用した場合を示し、一点鎖線が第3の比較例としてヨーダンパ13ijを省いた場合を示している。
図10に示すように、第2の実施の形態では、ノッチフィルタ36を省いて台車3iの振動を制御する第4の比較例および減衰力固定のヨーダンパ13ijに使用した第2の比較例に比べて、車体2の曲げ振動を低下させることできる。
また、第2の実施の形態では、減衰力固定のヨーダンパ13ijに使用した第2の比較例およびヨーダンパ13ijを省いた第3の比較例に比べて、台車3iの振動を、ノッチフィルタ36を省いて台車3iの振動を制御する第4の比較例と同程度まで低下させることできる。このように、第2の実施の形態では、車体2の1次曲げ振動と台車3iのヨー振動をそれぞれ低減できることが分かる。第2の実施の形態では、制御装置32の制御によって、台車3iのヨー振動が低減でき、かつ車体2の1次曲げ振動がノッチフィルタ36を省いたときに比べて改善される。
かくして、このように構成される第2の実施の形態による鉄道車両31でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。また、制御装置32は、加速度センサ18i,19iによって検出した台車3iの前後方向の振動について、車体2の曲げ振動の固有値範囲を除去するノッチフィルタ36を備えるから、車体2の1次曲げの固有値周辺の周波数成分の台車3iの振動だけは抑制せずに、他の周波数帯の振動を抑制することができる。これにより、台車3iの振動を抑えるときでも、車体2の曲げ固有値周辺の制御力の発生を避けることができ、車体2の曲げ振動を悪化させることがなく、台車3iの安定化と乗り心地の向上を両立させることができる。
なお、第2の実施の形態では、ノッチフィルタ36は、振動制御器38の前段側に設け、加速度G5〜G8の信号にフィルタ処理を行う構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図12に示す第1の変形例による制御装置41のように、車体2の1次曲げ固有値付近の周波数帯の信号を減衰させるノッチフィルタ42を、振動制御器38の後段側に設け、振動制御器38が出力した減衰力指令値に対してフィルタ処理を行う構成としてもよい。
また、第2の実施の形態では、制御装置32は、加速度センサ18i,19iを設置した各点の振動を抑制する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図13に示す第2の変形例のように、台車3iのヨー振動を抑制する制御装置43に適用してもよい。この場合、制御装置43は、加速度取得部33の後段にヨー角加速度抽出部44を接続して設けると共に、ヨー角加速度抽出部44と振動制御器45との間には、車体2の1次曲げ固有値付近の周波数帯の信号を減衰させるノッチフィルタ46を接続して設ける。これにより、制御装置43は、ヨー角加速度抽出部44によって台車3iのヨー運動を抽出すると共に、振動制御器45は、抽出した台車3iのヨー振動を抑える減衰力指令値を出力する。
さらに、図14に示す第3の変形例による制御装置47のように、第2の変形例と第1の変形例とを組み合わせてもよい。この場合、車体2の1次曲げ固有値付近の周波数帯の信号を減衰させるノッチフィルタ48を、振動制御器45の後段側に設け、振動制御器45が出力した減衰力指令値に対してフィルタ処理を行う。
また、第2の実施の形態および第2の変形例では、ノッチフィルタ36,46はLPF34およびHPF35よりも後段側に設けたが、LPF34およびHPF35よりも前段側に設けてもよく、LPF34とHPF35との間に設けてもよい。LPF34およびHPF35をハードウエアのフィルタ回路によって構成する場合には、ノッチフィルタ36,46はLPF34およびHPF35よりも後段側に設けた方がよい。
さらに、前記第2の実施の形態では、振動制御器45は、スカイフック制御則によって減衰力指令値を演算する構成としたが、本発明はこれに限らず、例えばLQG制御則、H∞制御則等のような他の制御則に基づいて減衰力指令値を演算してもよい。この構成は、第1ないし第3の変形例にも適用することができる。
次に、図15および図16は本発明の第3の実施の形態を示している。第3の実施の形態の特徴は、鉄道車両の走行速度が所定の閾値以上であるときには、車体の曲げ振動の固有値範囲であっても、ヨーダンパの減衰力を大きくするように制御したことにある。なお、第3の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
第3の実施の形態による鉄道車両51は、第1の実施の形態による鉄道車両1とほぼ同様に、車体2、台車3i、ヨーダンパ13ij、加速度センサ14〜17,18i,19i、制御装置52等を備える。これに加えて、鉄道車両51は、その走行速度Vを検出する走行速度検出手段としての速度センサ53をさらに備える。速度センサ53は、走行速度を直接的に検出するものでもよく、例えば車輪8の回転速度等から間接的に検出するものでもよい。
制御装置52は、第1の実施の形態よる制御装置20とほぼ同様に構成され、加速度センサ14〜17,18i,19iによって検出した加速度G1〜G8に基づいて、ヨーダンパ13ijの減衰力を制御する。このため、制御装置52は、鉄道車両51の走行速度Vが所定の閾値V0よりも低いとき(V<V0)には、車体2の曲げ振動の固有値範囲で、ヨーダンパ13ijの減衰力を小さくするように制御する。このとき、閾値V0は、乗り心地の快適性よりも台車3iの安定性を優先する走行速度Vの下限値であり、例えば実験的に求められる値である。
但し、制御装置52は、速度センサ53によって検出した鉄道車両51の走行速度Vが所定の閾値V0以上であるとき(V≧V0)には、車体2の曲げ振動の固有値範囲であっても、ヨーダンパ13ijの減衰力を大きくするように制御する。この点で、第3の実施の形態による制御装置52は、第1の実施の形態による制御装置20とは異なる。
制御装置52は、ROM、RAM等からなる記憶部(図示せず)を有し、この記憶部には、図16に示すヨーダンパ13ijの制御プログラム等が格納されている。そして、制御装置52は、この制御プログラムを所定の制御周期毎に実行することによって、減衰力指令値に応じた指令電流をヨーダンパ13ijのソレノイドに出力する。これにより、ヨーダンパ13ijは、台車3iの振動を低減する。
次に、制御装置52が制御周期毎に実行するヨーダンパ13ijの制御プログラムについて図16を用いて説明する。
まず、制御装置52は、ステップ1で、加速度センサ14〜17,18i,19iの検出信号を用いて加速度G1〜G8を取得する。ステップ2で、これらの加速度G1〜G8の信号に対して、前処理としてLPF処理、HPF処理、位相補償器の処理を行う。ステップ3では、速度センサ53の検出信号を用いて鉄道車両51の走行速度Vを取得する。
続くステップ4では、走行速度Vが予め決められた所定の閾値V0よりも低い(V<V0)か否かを判定する。ステップ4で「YES」と判定したときには、鉄道車両51は低速走行しているから、ステップ5に移行して、台車3iの振動制御用のパラメータおよび車体2の曲げ振動制御用のパラメータを設定する。
一方、ステップ4で「NO」と判定したときには、鉄道車両51は高速走行しているから、ステップ6に移行して、車体2の曲げ振動制御用のパラメータを省いて、台車3iの振動制御用のパラメータを設定する。即ち、ステップ6では、車体2の曲げモードの変位qが生じても、この変位qがヨーダンパ13ijの制御に反映されないようにする。
続くステップ7では、ステップ5またはステップ6で設定したパラメータを用いて、振動制御の演算を行い、減衰力指令値を算出する。最後に、ステップ8では、減衰力指令値に対応した指令電流をヨーダンパ13ijに出力する。
かくして、このように構成される第3の実施の形態による鉄道車両51でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。また、第3の実施の形態では、鉄道車両51の走行速度Vに応じて車体2の曲げ振動を低減する度合いを切替える。即ち、制御装置52は、鉄道車両51が低速走行しているときには、車体2の曲げ振動の固有値範囲で、ヨーダンパ13ijの減衰力を小さくするように制御する。このため、鉄道車両51が低速走行しているときには、乗り心地と台車3iの安定性を両立させることができる。
一方、制御装置52は、鉄道車両51が高速走行しているときには、車体2の曲げ振動の固有値範囲であっても、低速走行しているときに比べて、ヨーダンパ13ijの減衰力を大きくするように制御する。このため、鉄道車両51が高速走行しているときには、乗り心地の快適性よりも台車3iの安定性を優先させることができる。
なお、車体2の曲げ振動は走行速度Vが高いほど増加する。このため、制御の切替えは台車3iの安定性に支障のでる走行速度Vのみで実施し、台車3iの安定性に支障のでない速度帯では、できる限り車体2の曲げ振動を考慮した制御則とすることが望ましい。
通常、安定性に支障が出る速度帯は営業運転では使われない。このため、制御の切替えが営業運転中に行われることは稀だと考えられる。しかしながら、第3の実施の形態では、例えば営業速度以上の速度での走行試験、営業運転中における台車3iの蛇行動を励起するような予期せぬ軌道狂い等のように、特殊な状況下での台車3iの安定性を確保することができる。
また、第3の実施の形態では、走行速度Vに応じてパラメータを切替える場合を例に挙げて説明したが、パラメータの切替えに限るものではない。例えば制御入力中の車体曲げ加速度(d2B/dt2)を強制的に0(零)にマスクする(d2B/dt2=0)というように、車体2の曲げに対して制御がかからないようにできるのであれば、いかなる手段も採用することができる。
また、第3の実施の形態では、車体2の曲げ制御の有無を走行速度Vに応じて2通りで切替える場合を例に挙げて説明したが、走行速度Vに応じて複数段階または連続的にパラメータを切替えてもよい。
次に、図17および図18は本発明の第4の実施の形態を示している。第4の実施の形態の特徴は、鉄道車両の走行速度に応じてノッチフィルタの効き具合を切替えることにある。なお、第4の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
第4の実施の形態による鉄道車両61は、第2の実施の形態による鉄道車両31とほぼ同様に、車体2、台車3i、ヨーダンパ13ij、加速度センサ18i,19i、制御装置62等を備える。これに加えて、鉄道車両61は、その走行速度Vを検出する走行速度検出手段としての速度センサ63をさらに備える。速度センサ63は、第3の実施の形態による速度センサ53とほぼ同様である。
制御装置62は、第2の実施の形態よる制御装置32とほぼ同様に構成される。この制御装置62は、加速度センサ18i,19iによって検出した加速度G5〜G8に基づいて、ヨーダンパ13ijの減衰力を制御する。具体的には、制御装置62は、鉄道車両61の走行速度Vが所定の閾値V0よりも低いとき(V<V0)には、車体2の曲げ振動の固有値範囲で、ヨーダンパ13ijの減衰力を小さくするように制御する。
但し、制御装置62は、速度センサ63によって検出した鉄道車両61の走行速度Vが所定の閾値V0以上であるとき(V≧V0)には、車体2の曲げ振動の固有値範囲であっても、ヨーダンパ13ijの減衰力を大きくするように制御する。この点で、第4の実施の形態による制御装置62は、第2の実施の形態による制御装置32とは異なる。
制御装置62は、ROM、RAM等からなる記憶部(図示せず)を有し、この記憶部には、図18に示すヨーダンパ13ijの制御プログラム等が格納されている。そして、制御装置62は、この制御プログラムを所定の制御周期毎に実行することによって、減衰力指令値に応じた指令電流をヨーダンパ13ijのソレノイドに出力する。これにより、ヨーダンパ13ijは、台車3iの振動を低減する。
次に、制御装置62が制御周期毎に実行するヨーダンパ13ijの制御プログラムについて図18を用いて説明する。
まず、制御装置62は、ステップ11で、加速度センサ18i,19iの検出信号を用いて加速度G5〜G8を取得する。ステップ12で、これらの加速度G5〜G8の信号に対して、前処理としてLPF処理、HPF処理、位相補償器の処理を行う。ステップ13では、速度センサ63の検出信号を用いて鉄道車両61の走行速度Vを取得する。
続くステップ14では、走行速度Vが予め決められた所定の閾値V0よりも低い(V<V0)か否かを判定する。ステップ14で「YES」と判定したときには、鉄道車両61は低速走行しているから、ステップ15に移行する。ステップ15では、加速度G5〜G8の信号に対して、第2の実施の形態によるノッチフィルタ36と同様なフィルタ処理を行い、車体2の1次曲げ固有値付近の周波数帯の信号を、他の周波数帯の信号に比べて減衰させる。このため、第4の実施の形態では、ステップ15の処理が、本発明のフィルタに相当する。ノッチフィルタの処理が終了するとステップ16に移行する。
一方、ステップ14で「NO」と判定したときには、鉄道車両61は高速走行している。このため、車体2の曲げ振動を考慮したノッチフィルタの処理を行わず、そのままステップ16に移行する。
続くステップ16では、ステップ15によってノッチフィルタ処理を行った加速度G5〜8の信号、またはノッチフィルタ処理を行わない加速度G5〜8の信号を用いて、振動制御の演算を行い、減衰力指令値を算出する。最後に、ステップ17では、減衰力指令値に対応した指令電流をヨーダンパ13ijに出力する。
かくして、このように構成される第4の実施の形態による鉄道車両61でも、第1および第3の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
なお、第4の実施の形態では、第2の実施の形態による制御装置32とほぼ同様な制御装置62に適用した場合を例に挙げて説明したが、第1ないし第3の変形例による制御装置41,43,47に適用してもよい。第4の実施の形態を第1,第3の変形例による制御装置41,47に適用する場合には、ステップ16の振動制御演算をステップ14の前に行えばよい。
また、第4の実施の形態では、ノッチフィルタの処理の有無を走行速度Vに応じて2通りで切替える例を挙げたが、走行速度Vに応じて複数段階または連続的にノッチフィルタの処理を切替えてもよい。
次に、図1および図19は本発明の第5の実施の形態を示している。第5の実施の形態の特徴は、台車の振動が所定の閾値以上であるときには、車体の曲げ振動の固有値範囲であっても、ヨーダンパの減衰力を大きくするように制御したことにある。なお、第5の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
第5の実施の形態による鉄道車両71は、第1の実施の形態による鉄道車両1とほぼ同様に、車体2、台車3i、ヨーダンパ13ij、加速度センサ14〜17,18i,19i、制御装置72等を備える。
制御装置72は、第1の実施の形態よる制御装置20とほぼ同様に構成され、加速度センサ14〜17,18i,19iによって検出した加速度G1〜G8に基づいて、ヨーダンパ13ijの減衰力を制御する。このため、制御装置72は、台車3iの振動として、台車3iのヨー角加速度パワーPが所定の閾値P0よりも小さいとき(P<P0)には、車体2の曲げ振動の固有値範囲で、ヨーダンパ13ijの減衰力を小さくするように制御する。
このとき、台車3iのヨー角加速度パワーPは、加速度センサ18i,19iからの検出信号(加速度G5〜G8)によって求められる。また、閾値P0は、乗り心地の快適性よりも台車3iの安定性を優先するヨー角加速度パワーPの下限値であり、例えば実験的に求められる値である。
但し、制御装置72は、台車3iのヨー角加速度パワーPが所定の閾値P0以上であるとき(P≧P0)には、車体2の曲げ振動の固有値範囲であっても、ヨーダンパ13ijの減衰力を大きくするように制御する。この点で、第5の実施の形態による制御装置72は、第1の実施の形態による制御装置20とは異なる。
制御装置72は、ROM、RAM等からなる記憶部(図示せず)を有し、この記憶部には、図19に示すヨーダンパ13ijの制御プログラム等が格納されている。そして、制御装置72は、この制御プログラムを所定の制御周期毎に実行することによって、減衰力指令値に応じた指令電流をヨーダンパ13ijのソレノイドに出力する。これにより、ヨーダンパ13ijは、台車3iの振動を低減する。
次に、制御装置72が制御周期毎に実行するヨーダンパ13ijの制御プログラムについて図19を用いて説明する。
まず、制御装置72は、ステップ21で、加速度センサ14〜17,18i,19iの検出信号を用いて加速度G1〜G8を取得する。ステップ22で、これらの加速度G1〜G8の信号に対して、前処理としてLPF処理、HPF処理、位相補償器の処理を行う。ステップ23では、加速度センサ18i,19iによる加速度G5〜G8を用いて、前台車31と後台車32のヨー角加速度パワーPをそれぞれ算出する。
続くステップ24では、前台車31と後台車32のヨー角加速度パワーPのうち、大きい方が予め決められた所定の閾値P0よりも低い(P<P0)か否かを判定する。ステップ24で「YES」と判定したときには、台車3iの振動レベルが小さいから、ステップ25に移行して、台車3iの振動制御用のパラメータおよび車体2の曲げ振動制御用のパラメータを設定する。
一方、ステップ24で「NO」と判定したときには、台車3iの振動レベルが大きいから、ステップ26に移行して、車体2の曲げ振動制御用のパラメータを省いて、台車3iの振動制御用のパラメータを設定する。このステップ26の処理は、前述した第3の実施の形態によるステップ6と同様である。
続くステップ27では、ステップ25またはステップ26で設定したパラメータを用いて、振動制御の演算を行い、減衰力指令値を算出する。最後に、ステップ28では、減衰力指令値に対応した指令電流をヨーダンパ13ijに出力する。
かくして、このように構成される第5の実施の形態による鉄道車両71でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。また、第5の実施の形態では、台車3iの振動レベルに応じて車体2の曲げ振動を低減する度合いを切替える。即ち、制御装置72は、台車3iの振動レベルが小さいときには、車体2の曲げ振動の固有値範囲で、ヨーダンパ13ijの減衰力を小さくするように制御する。このため、台車3の振動レベルが小さいときには、乗り心地と台車3iの安定性を両立させることができる。
一方、制御装置72は、台車3iの振動レベルが大きいときには、車体2の曲げ振動の固有値範囲であっても、台車3iの振動レベルが小さいときに比べて、ヨーダンパ13ijの減衰力を大きくするように制御する。このため、台車3iの振動レベルが大きいときには、乗り心地の快適性よりも台車3iの安定性を優先させることができる。
なお、第5の実施の形態では、台車3iの振動に応じてパラメータを切替える場合を例に挙げて説明したが、パラメータの切替えに限るものではない。例えば制御入力中の車体曲げ加速度(d2B/dt2)を強制的に0(零)にマスクする(d2B/dt2=0)というように、車体2の曲げに対して制御がかからないようにできるのであれば、いかなる手段も採用することができる。
また、第5の実施の形態では、台車3iの振動に応じて2通りで切替える場合を例に挙げて説明したが、台車3iの振動に応じて複数段階または連続的にパラメータを切替えてもよい。
次に、図9および図20は本発明の第6の実施の形態を示している。第6の実施の形態の特徴は、台車の振動に応じてノッチフィルタの効き具合を切替えることにある。なお、第6の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
第6の実施の形態による鉄道車両81は、第2の実施の形態による鉄道車両31とほぼ同様に、車体2、台車3i、ヨーダンパ13ij、加速度センサ18i,19i、制御装置82等を備える。
制御装置82は、第2の実施の形態よる制御装置32とほぼ同様に構成される。この制御装置82は、加速度センサ18i,19iによって検出した加速度G5〜G8に基づいて、ヨーダンパ13ijの減衰力を制御する。具体的には、制御装置82は、台車3iの振動として、台車3iのヨー角加速度パワーPが所定の閾値P0よりも小さいとき(P<P0)には、車体2の曲げ振動の固有値範囲で、ヨーダンパ13ijの減衰力を小さくするように制御する。
但し、制御装置82は、台車3iのヨー角加速度パワーPが所定の閾値P0以上であるとき(P≧P0)には、車体2の曲げ振動の固有値範囲であっても、ヨーダンパ13ijの減衰力を大きくするように制御する。この点で、第6の実施の形態による制御装置82は、第2の実施の形態による制御装置32とは異なる。
制御装置82は、ROM、RAM等からなる記憶部(図示せず)を有し、この記憶部には、図20に示すヨーダンパ13ijの制御プログラム等が格納されている。そして、制御装置82は、この制御プログラムを所定の制御周期毎に実行することによって、減衰力指令値に応じた指令電流をヨーダンパ13ijのソレノイドに出力する。これにより、ヨーダンパ13ijは、台車3iの振動を低減する。
次に、制御装置82が制御周期毎に実行するヨーダンパ13ijの制御プログラムについて図20を用いて説明する。
まず、制御装置82は、ステップ31で、加速度センサ18i,19iの検出信号を用いて加速度G5〜G8を取得する。ステップ32で、これらの加速度G5〜G8の信号に対して、前処理としてLPF処理、HPF処理、位相補償器の処理を行う。ステップ23では、加速度センサ18i,19iによる加速度G5〜G8を用いて、前台車31と後台車32のヨー角加速度パワーPをそれぞれ算出する。
続くステップ34では、前台車31と後台車32のヨー角加速度パワーPのうち、大きい方が予め決められた所定の閾値P0よりも低い(P<P0)か否かを判定する。ステップ34で「YES」と判定したときには、台車3iの振動レベルが小さいから、ステップ35に移行する。ステップ35では、加速度G5〜G8の信号に対して、第2の実施の形態によるノッチフィルタ36と同様なフィルタ処理を行い、車体2の1次曲げ固有値付近の周波数帯の信号を、他の周波数帯の信号に比べて減衰させる。このため、第6の実施の形態では、ステップ35の処理が、本発明のフィルタに相当する。ノッチフィルタの処理が終了するとステップ36に移行する。
一方、ステップ34で「NO」と判定したときには、台車3iの振動レベルが大きい。このため、車体2の曲げ振動を考慮したノッチフィルタの処理を行わず、そのままステップ36に移行する。
続くステップ36では、ステップ35によってノッチフィルタ処理を行った加速度G5〜G8の信号、またはノッチフィルタ処理を行わない加速度G5〜G8の信号を用いて、振動制御の演算を行い、減衰力指令値を算出する。最後に、ステップ37では、減衰力指令値に対応した指令電流をヨーダンパ13ijに出力する。
かくして、このように構成される第6の実施の形態による鉄道車両81でも、第1および第5の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
なお、第6の実施の形態では、第2の実施の形態による制御装置32とほぼ同様な制御装置82に適用した場合を例に挙げて説明したが、第1ないし第3の変形例による制御装置41,43,47に適用してもよい。第6の実施の形態を第1,第3の変形例による制御装置41,47に適用する場合には、ステップ36の振動制御演算をステップ34の前に行えばよい。
また、第6の実施の形態では、ノッチフィルタの処理の有無を台車3iの振動に応じて2通りで切替える例を挙げたが、台車3iの振動に応じて複数段階または連続的にノッチフィルタの処理を切替えてもよい。
また、前記第5および第6の実施の形態では、台車3iの振動に応じて、車体2の曲げ振動を抑制する乗り心地制御を行うか否かを切替える構成とした。本発明はこれに限らず、台車3iの振動に加えて、走行速度に応じて、車体2の曲げ振動を抑制する乗り心地制御を行うか否かを切替える構成としてもよい。即ち、第5の実施の形態に第3の実施の形態を組み合わせてもよく、第6の実施の形態に第4の実施の形態を組み合わせてもよい。
また、前記各実施の形態では、ヨーダンパ13ijがセミアクティブダンパである場合を例に挙げて説明したが、これに代えて、アクティブダンパ(電気アクチュエータ、油圧アクチュエータのいずれか)を用いるようにしてもよい。アクティブダンパを用いる場合には、より効果的に乗り心地と台車3iの安定性を向上させることができる。
次に、前記各実施の形態に含まれる発明について記載する。本発明によれば、車体の曲げ振動を検出する車体振動検出手段をさらに備え、制御装置は、台車振動検出手段によって検出した台車の前後方向の振動と、車体振動検出手段によって検出した車体の曲げ振動とを考慮した状態方程式に対して、評価関数を最小にする減衰力指令値を求めて、台車の前後方向の振動と車体の曲げ振動とを同時に抑制するようにヨーダンパを制御する。これにより、制御装置は、車体の曲げ振動と台車の振動の両方を抑制するように、ヨーダンパを積極的に制御することができる。
本発明によれば、制御装置は、台車振動検出手段によって検出した台車の前後方向の振動または減衰力指令値について、車体の曲げ振動の固有値範囲の周波数帯の信号を、他の周波数帯の信号に比べて減衰させるフィルタを備え、フィルタを通じて出力される減衰力指令値を用いてヨーダンパの減衰力を制御する。これにより、台車の振動を抑えるときでも、車体の曲げ固有値周辺の制御力の発生を避けることで、車体の曲げ振動を悪化させることがなく、台車の安定化と乗り心地の向上を両立させることができる。
本発明によれば、鉄道車両の走行速度を検出する走行速度検出手段をさらに備え、制御装置は、走行速度検出手段の検出値が所定の閾値よりも低いときには、フィルタを用いてヨーダンパを制御し、走行速度検出手段の検出値が所定の閾値以上のときには、フィルタを省いてヨーダンパを制御する。このため、鉄道車両が低速走行しているときには、車体の曲げ振動を考慮しながら、台車の振動を抑制することができ、乗り心地の向上と台車の安定性を両立させることができる。一方、鉄道車両が高速走行しているときには、車体の曲げ振動を考慮せずに、台車の振動を抑制し、乗り心地の快適性よりも台車の安定性を優先させることができる。
本発明によれば、制御装置は、台車のヨー角加速度パワーが所定の閾値よりも低いときには、フィルタを用いてヨーダンパを制御し、台車のヨー角加速度パワーが所定の閾値以上のときには、フィルタを省いてヨーダンパを制御する。このため、台車の振動が小さいときには、車体の曲げ振動を考慮しながら、台車の振動を抑制することができ、乗り心地の向上と台車の安定性を両立させることができる。一方、台車の振動が大きいときには、車体の曲げ振動を考慮せずに、台車の振動を抑制し、乗り心地の快適性よりも台車の安定性を優先させることができる。
1,31,51,61,71,81 鉄道車両
2 車体
i 台車
5 台車枠
6 空気ばね
8 車輪
10 軸箱
11 牽引リンク
13ij ヨーダンパ
14〜17 加速度センサ(車体振動検出手段)
18i,19i 加速度センサ(台車振動検出手段)
20,32,41,43,47,52,62,72,82 制御装置
36,42,46,48 ノッチフィルタ(フィルタ)
53,63 速度センサ(走行速度検出手段)

Claims (4)

  1. 鉄道車両の台車と車体との間に設けられ前記鉄道車両に加わるヨー方向の減衰力を調整可能なヨーダンパと、前記台車の振動を検出する台車振動検出手段と、前記台車振動検出手段によって検出した前記台車の前後方向の振動を減衰させる減衰力指令値を求めて前記ヨーダンパを制御する制御装置とからなるサスペンション制御装置であって、
    前記車体の曲げ振動を検出する車体振動検出手段をさらに備え、
    前記制御装置は、
    記台車振動検出手段によって検出した前記台車の前後方向の振動と、前記車体振動検出手段によって検出した前記車体の曲げ振動とを考慮した状態方程式に対して、評価関数を最小にする前記減衰力指令値を求めて、前記台車の前後方向の振動と前記車体の曲げ振動とを同時に抑制するように前記ヨーダンパを制御することを特徴とするサスペンション制御装置。
  2. 鉄道車両の台車と車体との間に設けられ前記鉄道車両に加わるヨー方向の減衰力を調整可能なヨーダンパと、前記台車の振動を検出する台車振動検出手段と、前記台車振動検出手段によって検出した前記台車の前後方向の振動を減衰させる減衰力指令値を求めて前記ヨーダンパを制御する制御装置とからなるサスペンション制御装置であって、
    前記制御装置は、
    前記台車振動検出手段によって検出した前記台車の前後方向の振動または前記減衰力指令値について、前記車体の曲げ振動の固有値範囲の周波数帯の信号を、他の周波数帯の信号に比べて減衰させるフィルタを備え、
    前記フィルタを通じて出力される前記減衰力指令値を用いて前記ヨーダンパを制御することを特徴とするサスペンション制御装置。
  3. 前記鉄道車両の走行速度を検出する走行速度検出手段をさらに備え、
    前記制御装置は、前記走行速度検出手段の検出値が所定の閾値よりも低いときには、前記フィルタを用いて前記ヨーダンパを制御し、
    前記走行速度検出手段の検出値が所定の閾値以上のときには、前記フィルタを省いて前記ヨーダンパを制御することを特徴とする請求項2に記載のサスペンション制御装置。
  4. 前記制御装置は、前記台車のヨー角加速度パワーが所定の閾値よりも低いときには、前記フィルタを用いて前記ヨーダンパを制御し、
    前記台車のヨー角加速度パワーが所定の閾値以上のときには、前記フィルタを省いて前記ヨーダンパを制御することを特徴とする請求項またはに記載のサスペンション制御装置。
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