JP6140101B2 - 半導体光装置 - Google Patents

半導体光装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6140101B2
JP6140101B2 JP2014091990A JP2014091990A JP6140101B2 JP 6140101 B2 JP6140101 B2 JP 6140101B2 JP 2014091990 A JP2014091990 A JP 2014091990A JP 2014091990 A JP2014091990 A JP 2014091990A JP 6140101 B2 JP6140101 B2 JP 6140101B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
type
electrode
semiconductor
layer
discharge electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014091990A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015211135A (ja
Inventor
進 反町
進 反町
浩徳 柳澤
浩徳 柳澤
和徳 斉藤
和徳 斉藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ushio Opto Semiconductors Inc
Original Assignee
Ushio Opto Semiconductors Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ushio Opto Semiconductors Inc filed Critical Ushio Opto Semiconductors Inc
Priority to JP2014091990A priority Critical patent/JP6140101B2/ja
Publication of JP2015211135A publication Critical patent/JP2015211135A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6140101B2 publication Critical patent/JP6140101B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Semiconductor Lasers (AREA)
  • Led Devices (AREA)

Description

本発明は、半導体光装置に関する。
従来、半導体レーザ装置等の半導体光装置は、活性層及び複数の半導体層と、当該半導体層に電気的に接続されるp型電極及びn型電極とをそれぞれ有する。半導体光装置は、p型電極とn型電極との間に順方向電圧を印加することで、活性層より光を発する。
ここで、p型電極とn型電極との間に逆方向電圧を印加すると、印加する逆方向電圧の大きさがいわゆる降伏電圧以下の場合、半導体光装置の半導体層にはほとんど電流が流れない。
下記特許文献1には、n型窒化物半導体に対してオーミック接続を得るための熱処理を施したn電極を用いる、窒化物半導体発光装置が記載されている。
また、特許文献2には、第1の電極と第2の電極との間に素子本体部と逆方向でかつ並列に設けられ、素子本体部とは溝で分離されるダイオード部を備えるIII族窒化物半導体発光素子が記載されている。
特開2009−194295号公報 特開2003−243701号公報
しかし、静電気放電(以下、ESD:Electrostatic Dischargeと呼ぶ。)等により、p型電極とn型電極との間に降伏電圧を上回る大きさの逆方向電圧が印加されると、活性層等に、瞬間的に大きな逆方向電流が流れる場合がある。そのような逆方向電流は、活性層等に損傷を与える場合があり、半導体光装置の寿命を著しく短くする場合があった。
そこで、本発明は、p型電極とn型電極との間に逆方向電圧が印加される場合であっても、活性層等の損傷が抑制される半導体光装置を提供することを目的とする。
(1)上記課題を解決するために、本発明に係る半導体光装置は、p型電極と、n型電極と、前記n型電極と導電体を介して電気的に接続される放電電極と、前記p型電極と前記n型電極との間に順方向電圧が印加される駆動状態において、順方向電流が流れ、端面より光を出射する活性層と、前記p型電極と前記放電電極との間に電気的に接続される抵抗体と、を備える、半導体光装置であって、前記順方向電圧が印加される場合は、前記p型電極と前記n型電極との間の電気抵抗は、前記抵抗体の電気抵抗より小さく、前記順方向電圧とは反対方向の逆方向電圧が印加される場合に、前記p型電極と前記n型電極との間の電気抵抗は、前記抵抗体の電気抵抗より大きい、ことを特徴とする。
(2)上記(1)に記載の半導体光装置であって、前記活性層の上に積層されるp型半導体層をさらに備え、前記p型半導体層の上面に、前記p型電極及び前記放電電極が互いに離間して配置され、前記抵抗体は、前記p型半導体層である、ことを特徴とする。
(3)上記(2)に記載の半導体光装置であって、基板と、前記基板上に積層され、前記活性層の下側に配置されるn型半導体層と、をさらに備え、前記p型半導体層は、前記活性層に形成される光導波路の上側に形成されるリッジ部を有し、前記p型電極は、前記リッジ部の上面に形成される部分を含み、前記放電電極は、前記リッジ部の第1の側方に配置され、前記n型電極は、前記リッジ部の前記第1の側方であって、前記n型半導体層のうち、前記活性層及び前記p型半導体層が形成されない領域に形成されるパッド部分を含む、ことを特徴とする。
(4)上記(3)に記載の半導体光装置であって、前記放電電極の形状は、前記リッジ部側に、前記リッジ部の延伸方向に並行して延伸する第1の辺を有し、平面視において、前記第1の辺の長さは、前記リッジ部の延伸方向の長さより短い、ことを特徴とする。
(5)上記(4)に記載の半導体光装置であって、前記放電電極の形状は、前記第1の辺を外縁に含む矩形状である、ことを特徴とする。
(6)上記(4)又は(5)のいずれかに記載の半導体光装置であって、前記パッド部分の形状は、前記リッジ部側に、前記リッジ部の延伸方向に並行して延伸する第2の辺を有し、平面視において、前記第1の辺の長さは、前記第2の辺の長さより短い、ことを特徴とする。
(7)上記(2)乃至(6)のいずれかに記載の半導体光装置であって、前記p型半導体層は、前記第1の側方に形成されるバンク部を有し、前記放電電極は、前記バンク部の上面に形成される、ことを特徴とする。
(8)上記(7)に記載の半導体光装置であって、前記バンク部は、前記活性層の端面から離間して形成される、ことを特徴とする。
(9)上記(2)乃至(8)のいずれかに記載の半導体光装置であって、前記放電電極と、前記活性層の端面との間に、少なくとも前記活性層の下面にまで達する、溝が形成される、ことを特徴とする。
(10)上記(3)乃至(9)のいずれかに記載の半導体光装置であって、前記p型半導体層及び前記n型半導体層は、窒化物半導体により形成される、ことを特徴とする。
本発明により、p型電極とn型電極との間に逆方向電圧が印加された場合であっても、活性層等の損傷が抑制される半導体光装置が提供される。
本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ装置の上面図である。 本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ素子の上面図である。 本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ素子の断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ素子の断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ素子における電流経路を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ装置の断面図である。 本発明の第1の実施形態の変形例に係る半導体レーザ装置の断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る半導体レーザ素子の上面図である。 本発明の第3の実施形態に係る半導体レーザ素子の上面図である。 本発明の第4の実施形態に係る半導体レーザ装置の上面図である。 本発明の第5の実施形態に係る半導体レーザ装置の上面図である。 本発明の第6の実施形態に係る半導体レーザ装置の上面図である。 本発明の第6の実施形態に係る半導体レーザ素子における電流経路を示す図である。 本発明の第7の実施形態に係る半導体レーザ装置の上面図である。 本発明の第8の実施形態に係る発光ダイオード素子の上面図である。 本発明の第8の実施形態に係る発光ダイオード素子の断面図である。
以下に、図面に基づき、本発明の実施形態を具体的かつ詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、以下に示す図は、あくまで、実施形態の実施例を説明するものであって、図の大きさと本実施例記載の縮尺は必ずしも一致するものではない。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ装置100の上面図である。本実施形態に係る半導体レーザ装置100は、本実施形態に係る半導体レーザ素子1、サブマウント50、p型リード52、n型リード54、ワイヤ60、ワイヤ62、及びワイヤ64を備えており、半導体レーザ素子1はサブマウント50に搭載されている。半導体レーザ素子1は、基板の表面に、p型レーザ電極10、n型レーザ電極12、及び放電電極14を備えている。また、本実施形態に係る半導体レーザ素子1の上部に位置する半導体層に、リッジ部20、及びバンク部22が形成される。
本実施形態に係る半導体レーザ装置100は、p型電極4及びn型電極6を備えている。p型電極4は、半導体レーザ素子1のp型レーザ電極10、p型リード52、及びワイヤ60を含んでいる。また、n型電極6は、半導体レーザ素子1のn型レーザ電極12、n型リード54、及びワイヤ62を含んでいる。本実施形態に係る半導体レーザ素子1は、リッジ型半導体レーザ素子であり、基板の上表面(一方の表面)にp型レーザ電極10及びn型レーザ電極12がともに形成される。
p型リード52及びn型リード54は、例えば金属等の導電体で形成し、外部電源に接続する。p型リード52は、導電体であるワイヤ60によりp型レーザ電極10と電気的に接続される。また、n型リード54は、導電体であるワイヤ62によりn型レーザ電極12と電気的に接続される。
半導体レーザ素子1の放電電極14は、導電体であるワイヤ64を介してn型リード54と電気的に接続される。よって、放電電極14は、導電体を介してn型電極6と電気的に接続されており、半導体レーザ素子1の放電電極14は、n型電極6と導電体を介して電気的に接続するために設けられる。
本発明に係る半導体光装置の主な特徴は、p型電極4と、n型電極6と、n型電極6と導電体を介して電気的に接続される放電電極14と、p型電極4と放電電極14との間に電気的に接続される抵抗体と、を備え、順方向電圧が印加される場合は、p型電極4とn型電極6との間の電気抵抗は、抵抗体の電気抵抗より小さく、逆方向電圧が印加される場合に、p型電極4とn型電極6との間の電気抵抗は、抵抗体の電気抵抗より大きいことにある。本実施形態に係る半導体レーザ装置100は、半導体光装置の一つであり、本実施形態において、後述する通り、抵抗体はp型半導体層である。
本明細書において抵抗体とは、印加される電圧と抵抗体を流れる電流とが比例する関係を有するか、又は印加される電圧と抵抗体を流れる電流とが非線形な関係を有する電気抵抗体をいい、印加する電圧の極性によって電気抵抗が変化しないものをいうこととする。例えば、整流機能を有するダイオード等は、本明細書における抵抗体に含まれないものとする。抵抗体は、半導体により形成されてよいが、半導体のpn接合又はpin接合等は含まないこととする。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ素子1の上面図である。本実施形態に係る半導体レーザ素子1は、p型レーザ電極10と、n型レーザ電極12との間に電圧を印加することにより、レーザ発振を行う。帯状のリッジ部20は、上部に位置する半導体層のうち、光導波路の上方に形成される。また、矩形状のバンク部22は、上部に位置する半導体層のうち、リッジ部20の第1の側方(図の左側)に、リッジ部20と離間して形成される。ここで、リッジ部20の第2の側方(図の右側)は、リッジ部20やバンク部22よりも一段低い平坦部となっている。リッジ部20の第1の側方には、n型レーザ電極12が形成される。n型レーザ電極12は、リッジ部20の第2の側方に拡がる平坦部よりも、さらに一段低い平坦部に形成される。
図3乃至図5は、本実施形態に係る半導体レーザ素子1の断面図であり、図2のIII−III線、IV−IV線、及びV−V線における断面を矢印の方向から平面視した様子をそれぞれ示している。以下に、図2乃至図5を用いて、本実施形態に係る半導体レーザ素子1の構造、及び本発明の特徴について説明する。
図3に示す通り、本実施形態に係る半導体レーザ素子1には、GaN基板30の上に、n型バッファ層31、n型クラッド層32、n型ガイド層33、活性層34、電子ブロック層35、p型クラッド層36、及びp型コンタクト層38が順に積層される半導体多層(半導体層)が形成される。半導体多層の上表面に、所定の形状にパッシベーション膜37が形成されている。なお、所定の形状は、リッジ部20の上面となる領域(の少なくとも一部)及びバンク部22の上面となる領域(の少なくとも一部)を含んでいない。
電子ブロック層35、p型クラッド層36、及びp型コンタクト層38は、p型半導体層である。p型半導体層は、活性層34の上に積層される。また、n型バッファ層31、n型クラッド層32、及びn型ガイド層33は、n型半導体層である。n型半導体層は、GaN基板30上に積層され、活性層34の下側に配置される。本実施形態に係る半導体レーザ素子1のp型半導体層及びn型半導体層は、窒化物半導体により形成される。
リッジ部20の上面を覆うように、p型レーザ電極10が形成される。p型レーザ電極10は、第1のp型レーザ電極10aと第2のp型レーザ電極10bとを含んでいる。リッジ部20の最上層はp型コンタクト層38であり、リッジ部20の上面の上には第1のp型レーザ電極10aが形成され、第1のp型レーザ電極10a(p型レーザ電極10)はリッジ部20の上面と電気的に接続される。第1のp型レーザ電極10aはリッジ部20の上面の両側へ広がっており、リッジ部20の両側面、さらに第1の側方及び第2の側方に広がって形成され、バンク部22の側面及び上面の一部にも形成される。第1のp型レーザ電極10aの上には、第2のp型レーザ電極10bが形成される。第2のp型レーザ電極10bは、リッジ部20の第1の側方については第1のp型レーザ電極10aの端部まで延伸し、リッジ部20の第2の側方については第1のp型レーザ電極10aの端部を越えてさらに半導体レーザ素子1の端面付近まで延伸し、ワイヤ60をボンディングするためのパッド部分を形成する。
バンク部22の最上層はp型コンタクト層38であり、バンク部22の上面の上に、p型レーザ電極10と離間して、放電電極14が形成される。放電電極14は、第1の放電電極14aと第2の放電電極14bとを含む2層構造となっている。すなわち、バンク部22の上面の上に、第1の放電電極14aが形成され、第1の放電電極14aの上には、第2の放電電極14bが形成される。なお、本実施形態では、p型レーザ電極10、及び放電電極14を複数層からなるものとしたが、単層で形成することとしてもよい。
前述の通り、バンク部22の上面にはパッシベーション膜37は形成されず、p型レーザ電極10と放電電極14とは、バンク部22の最上層であるp型コンタクト層38により電気的に接続される。ここで、p型コンタクト層38は、p型半導体で形成され、抵抗体とみなせる。すなわち、p型レーザ電極10と放電電極14との間には、抵抗体が電気的に接続されている。
図4には、p型レーザ電極10と、n型レーザ電極12との位置関係が示されている。前述の半導体多層は、n型レーザ電極12となる領域において、n型バッファ層31の途中まで除去されており、n型レーザ電極12は、n型バッファ層31の上面に形成される。本実施形態に係る半導体レーザ素子1を含む半導体レーザ装置100の駆動状態では、p型電極4とn型電極6とに順方向電圧が印加され、p型電極4(p型レーザ電極10)から活性層34にホールが供給され、n型電極6(n型レーザ電極12)から活性層34に電子が供給されることとなる。
図5には、主な3つの電流経路が矢印A、矢印B、及び両矢印Cを用いて示されている。矢印Aは、p型電極4とn型電極6との間に順方向電圧が印加される場合に活性層34(の光導波路となる部分)を通って流れる、順方向電流の経路を表すものである。すなわち、矢印Aは、半導体レーザ装置100の通常の駆動状態における電流経路である。矢印Aが示す向きは電流の向きを示しており、すなわち、電子の流れとは逆向き、ホールの流れと同じ向きである。駆動状態において、p型レーザ電極10は高電位に保たれ、p型半導体層から活性層34にホールが供給される。また、n型レーザ電極12は低電位に保たれ、n型半導体層から活性層34に電子が供給される。活性層34において、電子とホールの再結合が起こり、光が発生する。本実施形態に係る半導体レーザ素子1では、活性層34で発生した光を活性層34の両端面に形成した反射膜により反射させ、リッジ部20下方の光導波路を往復させつつ増幅して、レーザ発振を行う。
矢印Bは、p型電極4とn型電極6との間に、逆方向電圧を印加した場合に活性層34(の光導波路となる部分)を通って流れる、逆方向電流の経路を表すものである。逆方向電圧を印加した場合、逆方向電圧が降伏電圧より小さい電圧であれば、ごく僅かしか逆方向電流は流れない。しかし、逆方向電圧が降伏電圧より大きな電圧であれば、飛躍的に大きな逆方向電流が流れ、活性層34等に損傷が起き得る。逆方向電圧の印加は、通常の駆動状態において意図して行われることはないが、ESD等により意図せずに印加される場合がある。本実施形態のように半導体レーザ素子1の半導体層を窒化物半導体で形成する場合、InPやGaAsで半導体層を形成する場合と比較して降伏電圧が低くなる傾向にあるため、ESD等による逆方向電圧に対する耐久性がより求められる。
矢印Cは、p型電極4とn型電極6との間に順方向電圧が印加される場合に抵抗体(p型半導体層)を通って流れる順方向電流の経路と、p型電極4とn型電極6との間に逆方向電圧が印加される場合に抵抗体を通って流れる逆方向電流の経路の両方を表す両矢印である。順方向電圧を印加する場合、p型レーザ電極10のうちバンク部22の上面に形成される部分から、放電電極14に向かってホールが流れることにより、順方向電流が流れる。ここで、ホールは、主としてバンク部22の最上層であるp型コンタクト層38を流れ、部分的にp型クラッド層36を流れる。また、逆方向電圧を印加する場合、放電電極14から、p型レーザ電極10のうちバンク部22の上面に形成される部分に向かってホールが流れることにより、逆方向電流が流れる。
本実施形態では、p型クラッド層36及びp型コンタクト層38をMgが添加されるAlGaNで形成するため、例えばInPでp型クラッド層を形成しInGaAsでp型コンタクト層を形成する場合と比較して、両層の電気抵抗は大きい。そのため、p型レーザ電極10のうちバンク部22の上面に形成される部分と、放電電極14との間は、抵抗体(p型半導体層)で電気的に接続された状態となっている。ここで、当該抵抗体の電気抵抗の値は、p型レーザ電極10と放電電極14との間の距離、p型レーザ電極10のバンク部22に形成される部分の面積(p型半導体層との接触面積)、放電電極14(のバンク部22に形成される部分)の面積(p型半導体層との接触面積)、バンク部22におけるp型半導体層の厚み(p型コンタクト層38の厚さ及びp型クラッド層36の厚さ)、等を調整することで設計する。
p型電極4と放電電極14とは、p型半導体層という抵抗体を介して電気的に接続され、放電電極14とn型電極6とは、ワイヤ64という導電体を介して電気的に接続される。よって、p型電極4とn型電極6との間の電気的接続は、活性層34を介する経路とは別に、抵抗体を介する経路でも行われる。
本実施形態では、図2に示すように、放電電極14の形状は、リッジ部20側に、リッジ部20の延伸方向に並行して延伸する第1の辺E1を有する。また、放電電極14の形状は、第1の辺E1を外縁に含む矩形状である。第1の辺E1の長さL1は、平面視において、リッジ部20の延伸方向の長さL0より短い。そのため、p型レーザ電極10から流入する電流は、放電電極14に至るまでに狭窄され、第1の辺E1の長さL1をリッジ部20の延伸方向の長さL0と同程度とする場合に比べて、p型レーザ電極10と放電電極14との間の電気抵抗は上昇する。
なお、放電電極14の形状は矩形状に限られない。その場合であっても、放電電極14の辺のうちリッジ部20の延伸方向に並行して延伸する辺の長さが、リッジ部20の延伸方向の長さL0より短いことが望ましい。もっとも、p型レーザ電極10と放電電極14との間の電気抵抗として所望の値を得ることができるのであれば、放電電極14の形状はどのようなものであってもよい。本実施形態では、電気抵抗の調整を容易とするため、放電電極14の形状を矩形状とし、第1の辺E1の長さL1を、電気抵抗を調整するためのパラメータの1つとしている。またここで言う矩形状とは放電電極14全体の大まかな形状を示し、例えば角部を応力低減のために少し丸めた形状のものも含むとする。さらに、放電電極14へのワイヤボンディグ性を考慮し、その面積は50〜200μmが望ましい。
n型レーザ電極12の形状は、リッジ部20側に、リッジ部20の延伸方向に並行して延伸する第2の辺E2を有する。また、n型レーザ電極12の形状は、第2の辺E2を外縁に含む矩形状である。第1の辺E1と第2の辺E2の長さを平面視において比較すると、第1の辺E1の長さL1は、第2の辺E2の長さL2より短い。そのため、p型レーザ電極10から流入する電流は、放電電極14に至るまでに狭窄され、第1の辺E1の長さL1を第2の辺E2の長さL2と同程度とする場合に比べて、p型レーザ電極10と放電電極14との間の電気抵抗は上昇する。
なお、n型レーザ電極12の形状が矩形状に限られない点は、放電電極14の形状と同様である。また、上述のように、第1の辺E1の長さL1は、p型レーザ電極10と放電電極14との間の電気抵抗として所望の値を得るように調整されるのであって、必ずしも第2の辺E2の長さL2より短くなければならないわけではない。例えば、第1の辺E1の長さL1を、半導体レーザ素子1の幅(リッジ部20と直交する方向についての半導体レーザ素子1の長さ)より短くすることとしてもよい。
本実施形態に係る半導体レーザ素子1は、p型レーザ電極10と、放電電極14との間の電気抵抗を調整して形成する結果、順方向電圧が印加される場合におけるp型電極4とn型電極6との間の電気抵抗は、抵抗体であるp型半導体層の電気抵抗より小さい。ここで、p型電極4とn型電極6との間の電気抵抗は、放電電極14とn型電極6との接続を断った場合における電気抵抗を意味する。また、抵抗体であるp型半導体層の電気抵抗とは、放電電極14とn型電極6との接続を断った場合のp型電極4と放電電極14との間の電気抵抗であり、矢印Cで表される電流経路における、実質的な電気抵抗を意味する。
本実施形態に係る半導体レーザ素子1では、順方向電圧が印加される場合におけるp型電極4とn型電極6との間の電気抵抗は、抵抗体であるp型半導体層(p型半導体層のうち、p型レーザ電極10と放電電極14との間の電流経路となる部分)の電気抵抗より小さいため、通常の駆動状態において、電流は主として矢印Aの経路で流れる。もっとも、p型レーザ電極10と放電電極14との間の電気抵抗の値によっては、矢印Cの経路で電流が流れることとなる。本実施形態では、抵抗体であるp型半導体層の電気抵抗が、順方向電圧が印加される場合におけるp型電極4とn型電極6との間の電気抵抗の約6千倍となるよう設計している。そのため、通常の駆動状態において、矢印Cで表される経路に流れる電流はほとんどなく、矢印Aで表される経路に大部分の電流が流れ、高効率な発光が実現される。
一方、本実施形態において、逆方向電圧が印加される場合におけるp型電極4とn型電極6との間の電気抵抗は、抵抗体であるp型半導体層の電気抵抗より大きい。そのため、ESD等により逆方向電圧が印加された場合には、電流は主として矢印Cの経路で流れる。本実施形態では、逆方向電圧が印加される場合におけるp型電極4とn型電極6との間の電気抵抗は、順方向電圧が印加される場合におけるp型電極4とn型電極6との間の電気抵抗の約2万倍である。すなわち、逆方向電圧が印加される場合におけるp型電極4とn型電極6との間の電気抵抗は、抵抗体であるp型半導体層の電気抵抗の約3.3倍である。そのため、ESD等により逆方向電圧が印加された場合であっても、矢印Bで表される経路に流れる電流はほとんどなく、矢印Cで表される経路に大部分の電流が流れる。よって、p型電極4とn型電極6との間に逆方向電圧が印加された場合であっても、活性層34に流れる電流はほとんどなく、活性層34等の半導体層の損傷が抑制される。
本実施形態に係る半導体レーザ素子1の半導体層は窒化物半導体で形成されており、降伏電圧が比較的低く、本発明には最適であるが、窒化物半導体を用いる半導体レーザ素子1に限定されないことは言うまでもない。他の半導体材料、例えば、InP又はGaAsで半導体層を形成する場合であっても、本発明を適用することが出来る。
本実施形態に係る半導体レーザ素子1の構成は、以下に説明するように、一般的な製造工程により得られるものである。一方で、例えば、引用文献2に記載の発明では、熱処理を行うことで電極と半導体層の接続を変質させるといった特殊な工程を要する。本実施形態に係る半導体レーザ素子1は、製造において特殊な工程を要する構成を有しないため、製品間のばらつきなく、安定的に、ESD等による活性層34等の損傷が抑止されるという効果を奏することができる。
本実施形態に係る半導体レーザ素子1では、p型半導体層を抵抗体として用いるため、抵抗体となる新たな層を形成する必要がない。また、引用文献2に記載の発明のように、素子上にダイオードを形成する必要がないため、本実施形態に係る半導体レーザ素子1は、比較的簡単な工程により製造することができる。
なお、順方向電圧が印加される場合に、順方向電流はリッジ部20のみに流れるのではなく、順方向電流の一部が、バンク部22を経由してバンク部22の下方に流れ、バンク部22下方の活性層34に僅かに流れ得る。その場合、バンク部22下方(放電電極14下方)の活性層34が発光し得る。そのような発光が半導体レーザ装置100の光学特性に影響することを抑制するために、バンク部22(放電電極14)を活性層34の端面から離間して内側に形成するのが望ましい。バンク部22を半導体レーザ素子1の端面から離間させて内側に配置することにより、放電電極14下方に位置する活性層34端面における発光強度が弱まり、半導体レーザ装置100の光学特性が安定する。また、放電電極14と、半導体レーザ素子1の端面(活性層34の端面)との間に、少なくとも活性層34の下面にまで達する溝を形成することとしてもよい。当該溝を形成することにより、放電電極14下方に位置する活性層34で発生する光が半導体レーザ素子1の端面より出射することがさらに抑止され、半導体レーザ装置100の光学特性がさらに安定する。
本実施形態に係る半導体レーザ素子1は、以下の工程により形成する。なお、以下の工程は1枚のウェハ上で行い、複数の半導体レーザ素子1を1枚のウェハ上に形成することとしてよい。すなわち、第1の工程では、GaN基板30上に、Siが添加(ドープ)されるGaNからなるn型バッファ層31、Siが添加されるAlGaNからなるn型クラッド層32、Siが添加されるGaNからなるn型ガイド層33、InGaN多重量子井戸構造からなる活性層34、Mgが添加されるAlGaN(Al組成比=10%)からなる電子ブロック層35、Mgが添加されるAlGaN(Al組成比=4%)からなるp型クラッド層36、及びMgが高濃度に添加されるAlGaNからなるp型コンタクト層38を、有機金属気相成長法を用いて順次成長させる。
第2の工程では、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いてp型コンタクト層38の上部にPSG(Phosphorus Silicon Glass)膜等を堆積した後、PSG膜の上部に形成したフォトレジスト膜をマスクにしたエッチングでPSG膜をリッジ部22となる領域(ストライプ状の領域)にパターニングする。また、リッジ部20の第1の側方に、リッジ部20を形成するためのストライプ状のパターニングと離間して、矩形状のバンク部22を形成するためのPSG膜をバンク部22となる領域にパターニングする。
第3の工程では、パターニングされたPSG膜をマスクに用いて、GaN基板30の上面に成長させた半導体多層を、p型クラッド層36の途中まで、具体的にはp型クラッド層36を30〜40nm程度残す深さまでエッチングする。ここで、p型コンタクト層38やp型クラッド層36はMgが添加されるAlGaNによって形成されており、Mgが添加されるAlGaNをドライエッチングするには、例えば塩素系のガスを使用する。ドライエッチングにより、p型コンタクト層38を頂上部とする共振器幅7μm程度の、凸状のリッジ部20を形成するとともに、リッジ部20と離間した位置にバンク部22を形成する。
本実施形態に係る半導体レーザ素子1のp型半導体層は、活性層34に形成される光導波路の上側に形成されるリッジ部20を有する。光導波路は、n型クラッド層32及びn型ガイド層33と、電子ブロック層35及びp型クラッド層36とに囲まれる領域であり、図2の紙面に垂直な方向に延伸する。光導波路は、活性層34を含んで形成され、活性層34で発生した光を増幅する共振器の一部となる。
第4の工程では、例えばECR(Electron Cyclotron Resonance)スパッタ法で、厚さ160nm程度のSiN等によりパッシベーション膜37を保護膜として全面に形成する。
第5の工程では、リッジ部20の上面及びバンク部22の上面以外にフォトレジスト膜を形成し、そのレジストをマスクとしてフッ酸系のエッチング液でリッジ部20の上面に形成されたPSG膜を除去する。第4の工程を経たリッジ部20及びバンク部22は、頂上部にPSG膜とパッシベーション膜37とが積層されているが、このエッチングにより、リッジ部20及びバンク部22の上面に形成されたPSG膜及びパッシベーション膜37は除去されて、リッジ部20及びバンク部22の上面が露出する。
第6の工程では、例えばPd/Ti/Pt/Auをこの順に蒸着し、リフトオフ法でパターニングして、リッジ部20の上面、リッジ部20の側面、及びリッジ部20の第1の側方及び第2の側方に第1のp型レーザ電極10aを形成する。同時に、バンク部22の上面に、第1のp型レーザ電極10aと離間して、第1の放電電極14aを形成する。さらに、第1のp型レーザ電極10aの上面、及びリッジ部20の第2の側方に、例えばMo/Auをこの順に蒸着し、リフトオフ法でパターニングして第2のp型レーザ電極10bを形成する。同時に、第1の放電電極14aの上面に第2の放電電極14bを形成する。
本実施形態に係る半導体レーザ素子1のp型半導体層は、リッジ部20の第1の側方に形成されるバンク部22を有する。バンク部22は、リッジ部20の第1の側方にのみ形成され、リッジ部20の延伸方向についての長さが、リッジ部20よりも短いことを特徴とする。また、本実施形態に係る半導体レーザ素子1の放電電極14は、バンク部22の上面に形成される。より具体的には、放電電極14は、バンク部22の最上層であるp型コンタクト層38の上面に形成される。バンク部22は、活性層34の端面を含む劈開面から離間して形成する。
p型レーザ電極10は、リッジ部20の上面に形成される部分を含み、リッジ部20の上面に形成される部分から連続して、バンク部22の上面の一部に形成する。本実施形態において、p型レーザ電極10は、リッジ部20の上面(リッジ部20の最上層であるp型コンタクト層38の上面)と、リッジ部20の側面と、リッジ部20の第1の側方及び第2の側方に配置されるパッシベーション膜37の上面と、バンク部22のリッジ部20側の側面と、バンク部22の上面の一部(バンク部22の最上層であるp型コンタクト層38の上面の一部)と、に形成する。
p型レーザ電極10の一部は、バンク部22の上面に、放電電極14と離間して形成する。p型レーザ電極10のうちバンク部22の上面に形成される部分と、放電電極14とをどの程度離間させるかについては、放電電極14とp型レーザ電極10との間の電気抵抗をどのような値とするかに応じて設計することとなる。
第7の工程では、パッシベーション膜37の上面の一部の領域を除いて、半導体レーザ素子1の上面にフォトレジスト膜を形成してマスクとし、ドライエッチング又はイオンミリングを行って、フォトレジスト膜を形成しない領域の半導体多層を、n型バッファ層31の途中まで除去し、n型バッファ層31を露出させる。本実施形態では、リッジ部20の第1の側方であって、平面視においてバンク部22と離間した領域に、フォトレジスト膜を形成せず、かかる領域の半導体多層を除去している。
第8の工程では、n型バッファ層31の上面を露出した領域に例えばNi/Al/Ni/Ti/Pt/Auをこの順に蒸着し、リフトオフ法でパターニングしてn型レーザ電極12を形成する。n型レーザ電極12は、第7の工程において半導体多層が除去されて、露出されたn型バッファ層31の上面に形成される。すなわち、n型レーザ電極12が形成される領域は、平面視して、リッジ部20の第1の側方であって、n型半導体層のうち、活性層34及びp型半導体層が形成されない領域である。
第9の工程では、基板厚が80μm程度になるように、GaN基板30を裏面(リッジ部20等が形成される側とは反対側の面)側から切削加工し、GaN基板30の裏面に例えばTi/Pt/Auをこの順に蒸着し、ダイボンディングパッド40を形成する。ダイボンディングパッド40形成後、電気的特性安定化のため、例えば500℃、10分のアニール処理を行なう。
第10の工程では、完成したウェハを矩形に整形し、リッジ部20の延伸方向と直交する方向に、劈開用のキズを入れ、バー状に劈開する。バーの幅、すなわち共振器長は、例えば800μmとする。
第11の工程では、第10の工程で作成したバーの劈開面の内、レーザ出射側の端面に反射率4%程度の低反射膜を形成し、出射側と反対の端面に反射率95%程度の高反射膜を形成する。
第12の工程では、リッジ部20の延伸方向と並行する方向に、チップ分割用のキズを入れ、チップ分割することで半導体レーザ素子1を得る。
本実施形態に係る半導体レーザ装置100は、本実施形態に係る半導体レーザ素子1のダイボンディングパッド40をサブマウント50に半田付けし、p型レーザ電極10とp型リード52とをワイヤ60でワイヤボンディングし、n型レーザ電極12とn型リード54とをワイヤ62でワイヤボンディングし、放電電極14とn型リード54とをワイヤ64でワイヤボンディングすることにより得られる。
図6は、本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ装置100の断面図である。本実施形態に係る半導体レーザ装置100では、半導体レーザ素子1のダイボンディングパッド40と、サブマウント50とが、ダイボンディングソルダ42により半田付けされる。ここで、ダイボンディングソルダ42は、例えばAuSnである。また、サブマウント50は、例えばAlNで形成する。
図7は、本発明の第1の実施形態の変形例に係る半導体レーザ装置100の断面図である。変形例では、p型パターン53及びn型パターン55がサブマウント50上にパターニングされ、p型レーザ電極10、n型レーザ電極12、及び放電電極14の上面に、それぞれp型メッキパターン70、n型メッキパターン72、及び放電電極メッキパターン(図示せず)が形成される。p型メッキパターン70、n型メッキパターン72、及び放電電極メッキパターンは、それぞれの電極上に開口を有するようにフォトレジスト膜を形成し、例えば亜硫酸系Auメッキ液に浸漬し通電することで、Auメッキパターンとして形成する。そして、p型メッキパターン70をサブマウント50のp型パターン53に半田付けし、n型メッキパターン72及び放電電極メッキパターンを、n型パターン55に半田付けする。ここで、p型メッキパターン70、n型メッキパターン72、及び放電電極メッキパターンの高さは、リッジ部20の高さより高いことが望ましい。リッジ部20がサブマウント50に接触して損傷することを避けるためである。また、p型メッキパターン70、n型メッキパターン72、及び放電電極メッキパターンの高さは、それぞれ同程度であることが望ましい。半導体レーザ素子1を、サブマウント50に水平にマウントするためである。
第1の実施形態の変形例において、p型電極4は、p型レーザ電極10と、p型メッキパターン70と、p型パターン53とを含む。また、n型電極6は、n型レーザ電極12と、n型メッキパターン72と、n型パターン55とを含む。放電電極14は、導電体である放電電極メッキパターンを介してn型電極6と電気的に接続される。放電電極14とp型電極4は、抵抗体であるp型半導体層(p型半導体層のうち、p型レーザ電極10と放電電極14との間の電流経路となる部分)により電気的に接続される。このような構成を採用する場合でも、第1の実施形態の場合と同じく、ESD等により、p型電極4とn型電極6との間に逆方向電圧が印加された場合であっても、活性層34等の損傷が抑制されるという効果を奏する。
なお、変形例の場合、ダイボンディングパッドは不要である。変形例のように配線を行うことで、ワイヤボンディングを排することが可能となり、半導体レーザ装置100の製造工程が簡単化されるという利点がある。またp型レーザ電極10およびn型レーザ電極12の幅設計にあたってワイヤボンディングに必要となる面積を考慮する必要がなくなり、チップ幅を小さくできる利点がある。
[第2の実施形態]
図8は、本発明の第2の実施形態に係る半導体レーザ素子1の上面図である。本実施形態に係る半導体光装置は、本実施形態に係る半導体レーザ素子1を備える半導体レーザ装置100である。第2の実施形態に係る半導体レーザ素子1は、基板の表面に、p型レーザ電極10、n型レーザ電極12、及び放電電極14を備えている。また、本実施形態に係る半導体レーザ素子1の上部に位置する半導体層に、リッジ部20、及びバンク部22が形成される。本実施形態に係る半導体レーザ素子1のバンク部22は矩形状の主要部分に橋部分が繋がった形状を有し、橋部分によってリッジ部20と繋がっている。図8では、リッジ部20とバンク部22の境界を想像線である二点鎖線で表している。第2の実施形態に係る半導体レーザ素子1は、p型レーザ電極10の形状と、バンク部22の位置及び形状と、放電電極14の位置及び大きさ以外の構成については、第1の実施形態に係る半導体レーザ素子1と同様の構成を有する。
本実施形態では、p型レーザ電極10がバンク部22の橋部分の上面に形成され、p型レーザ電極10と放電電極14とは、当該橋部分の最上層であるp型コンタクト層38を介して電気的に接続される。ここで、バンク部22の橋部分の最上層であるp型コンタクト層38は、p型レーザ電極10と放電電極14との間に電気的に接続される抵抗体となる。本実施形態において、p型レーザ電極10と放電電極14との間の電気抵抗は、主として、バンク部22の橋部分の幅と、p型レーザ電極10と放電電極14との離間距離によって調整される。
バンク部22の橋部分は、リッジ部20のうち、半導体レーザ素子1の劈開面側に偏って配置することが好ましい。半導体レーザ素子1の光導波路はリッジ部20の下方にあるため、リッジ部20の中央に橋部分を形成すると、半導体レーザ素子1の光学特性に影響を及ぼすおそれがあるためである。
第2の実施形態に係る半導体レーザ素子1は、第1の実施形態に係る半導体レーザ素子1と同様に、p型レーザ電極10とn型レーザ電極12との間に逆方向電圧が印加された場合であっても、活性層34等の半導体層の損傷が抑制されるという効果を奏する。
第2の実施形態に係る半導体レーザ素子1を製造する工程は、第1の実施形態に係る半導体レーザ素子1を製造する工程と、第2の工程において相違する。他の工程については同様である。
本実施形態では、第2の工程において、リッジ部20の第1の側方に、リッジ部20となる領域(ストライプ状の領域)のパターニングと連続して、バンク部22となる領域にPSG膜をパターニングする。PSG膜は、リッジ部20となる領域に形成されるストライプ状の部分と、バンク部22の矩形状の部分となる領域に形成される部分と、両者を橋渡しするバンク部22の橋部分となる領域に形成される部分とからなる。
第3の工程では、ドライエッチングにより、リッジ部20と、リッジ部20と橋部分により繋がったバンク部22とを形成する。第4の工程でパッシベーション膜37を全面に形成し、第5の工程でリッジ部20及びバンク部22の上面以外にフォトレジスト膜を形成し、そのレジストをマスクとしてウェットエッチングにより、リッジ部20及びバンク部22の上面に形成されたPSG膜及びパッシベーション膜37を除去する。第6の工程では、p型レーザ電極10を形成するとともに、バンク部22の上面に矩形状の放電電極14を形成する。
[第3の実施形態]
図9は、本発明の第3の実施形態に係る半導体レーザ素子1の上面図である。本実施形態に係る半導体光装置は、本実施形態に係る半導体レーザ素子1を備える半導体レーザ装置100である。第3の実施形態に係る半導体レーザ素子1は、基板の表面に、p型レーザ電極10、n型レーザ電極12、及び放電電極14を備えている。また、本実施形態に係る半導体レーザ素子1の上部に位置する半導体層に、リッジ部20、及びバンク部22が形成される。本実施形態に係る半導体レーザ素子1のバンク部22は、リッジ部20と繋がる橋部分のみからなる。図9では、リッジ部20とバンク部22の境界を仮想的に二点鎖線で表している。第3の実施形態に係る半導体レーザ素子1は、p型レーザ電極10の形状と、バンク部22の位置及び形状と、放電電極14の位置及び大きさ以外の構成については、第1の実施形態に係る半導体レーザ素子1と同様の構成を有する。
本実施形態では、p型レーザ電極10が、バンク部22である橋部分の上面に形成され、放電電極14と当該橋部分の最上層であるp型コンタクト層38を介して電気的に接続される。ここで、バンク部22の最上層であるp型コンタクト層38は、p型レーザ電極10と放電電極14との間に電気的に接続される抵抗体となる。本実施形態において、p型レーザ電極10と放電電極14との間の電気抵抗は、主として、バンク部22である橋部分の幅とp型レーザ電極10と放電電極14との離間距離によって調整される。また、放電電極14のうちバンク部22に重畳する部分の大きさによっても調整される。バンク部22は、第2の実施形態の場合と同様に、リッジ部20のうち、半導体レーザ素子1の劈開面側に偏って配置することが好ましい。
第3の実施形態に係る半導体レーザ素子1は、第1の実施形態に係る半導体レーザ素子1と同様に、p型レーザ電極10とn型レーザ電極12との間に逆方向電圧が印加された場合であっても、活性層34等の半導体層の損傷が抑制されるという効果を奏する。
第3の実施形態に係る半導体レーザ素子1を製造する工程は、第1の実施形態に係る半導体レーザ素子1を製造する工程と、第2の工程において相違する。他の工程については同様である。
本実施形態では、第2の工程において、リッジ部20の第1の側方に、リッジ部20となる領域(ストライプ状の領域)に形成するパターニングと連続して、バンク部22となる領域にPSG膜をパターニングする。PSG膜は、リッジ部20となる領域に形成するストライプ状の部分と、バンク部22となる領域に形成する橋部分とからなる。
第3の工程では、ドライエッチングにより、リッジ部20と、リッジ部20と繋がった橋部分であるバンク部22とを形成する。第4の工程でパッシベーション膜37を全面に形成し、第5の工程でリッジ部20及びバンク部22の上面以外にフォトレジスト膜を形成し、そのレジストをマスクとしてウェットエッチングにより、リッジ部20及びバンク部22の上面に形成されたPSG膜及びパッシベーション膜37を除去する。第6の工程では、p型レーザ電極10を形成するとともに、バンク部22の上面、側面、及びパッシベーション膜37の上面に放電電極14を形成する。放電電極14は、平面視において矩形状であり、バンク部22と重畳する部分を含み、バンク部22の周囲に広がって形成される。
[第4の実施形態]
図10は、本発明の第4の実施形態に係る半導体レーザ装置100の上面図である。本実施形態に係る半導体レーザ装置100は、本実施形態に係る半導体レーザ素子1、サブマウント50、p型リード52、n型リード54、ワイヤ60、ワイヤ62、ワイヤ64、及びワイヤ66を備えており、半導体レーザ素子1はサブマウント50に搭載されている。半導体レーザ素子1は、基板の表面に、p型レーザ電極10、n型レーザ電極12、放電電極14、及びp型補助電極16を備えている。また、本実施形態に係る半導体レーザ素子1の上部に位置する半導体層に、リッジ部20、及びバンク部22が形成される。本実施形態に係る半導体レーザ装置100は、p型補助電極16を有し、バンク部22の上面以外にも放電電極14が形成される。本実施形態では、p型電極4は、p型レーザ電極10、p型補助電極16、p型リード52、ワイヤ60、及びワイヤ66を含んでいる。また、n型電極6は、n型レーザ電極12、n型リード54、及びワイヤ62を含んでいる。放電電極14とn型電極6とは、導電体であるワイヤ64を介して電気的に接続されている。第4の実施形態に係る半導体レーザ装置100は、半導体レーザ素子1と、ワイヤ66以外の構成について、第1の実施形態に係る半導体レーザ装置100と同様の構成を有する。また、第4の実施形態に係る半導体レーザ素子1は、p型レーザ電極10の形状と、バンク部22の位置及び形状と、放電電極14の位置及び大きさと、p型補助電極16の有無以外の構成については、第1の実施形態に係る半導体レーザ素子1と同様の構成を有する。
本実施形態では、放電電極14とp型補助電極16とが、バンク部22の最上層であるp型コンタクト層38を介して電気的に接続される。また、p型補助電極16は、p型リード52と、ワイヤ66を介して電気的に接続される。そのため、バンク部22の最上層であるp型コンタクト層38は、p型電極4と放電電極14との間に電気的に接続される抵抗体となる。
本実施形態において、p型レーザ電極10と放電電極14との間の電気抵抗は、主として、p型レーザ電極10及び放電電極14のうちバンク部22の上面に形成される部分の幅(バンク部22の有する辺のうち、リッジ部20の延伸方向と直交する方向に延伸する辺の長さ)と、p型レーザ電極10と放電電極14との離間距離によって調整される。また、放電電極14及びp型補助電極16のうちバンク部22の上面に形成される部分の大きさによっても調整される。本実施形態では、放電電極14及びp型補助電極16の大きさを同程度としたが、いずれか一方を大きく形成することとしてもよい。また、バンク部22の平面視における形状を矩形状としたが、異なる形状であってもよい。それらの事項は、p型電極4と放電電極14との間の電気抵抗を所望の値とするために調整することができる。
第4の実施形態に係る半導体レーザ装置100は、第1の実施形態に係る半導体レーザ装置100と同様に、p型電極4とn型電極6との間に逆方向電圧が印加された場合であっても、活性層34等の半導体層の損傷が抑制されるという効果を奏する。
第4の実施形態に係る半導体レーザ素子1を製造する工程は、第1の実施形態に係る半導体レーザ素子1を製造する工程と、第2の工程において相違する。本実施形態では、第2の工程において、リッジ部20の第1の側方に、リッジ部20となる領域(ストライプ状の領域)に形成するパターニングと離間して、バンク部22となる領域にPSG膜を矩形状にパターニングする。PSG膜は、リッジ部20となる領域に形成するストライプ状の部分と、バンク部22となる領域に形成する矩形状の部分とからなる。
第3の工程では、ドライエッチングにより、リッジ部20と、バンク部22とを形成する。第4の工程でパッシベーション膜37を全面に形成し、第5の工程でリッジ部20及びバンク部22の上面以外にフォトレジスト膜を形成し、そのレジストをマスクとしてウェットエッチングにより、リッジ部20及びバンク部22の上面に形成されたPSG膜及びパッシベーション膜37を除去する。第6の工程では、p型レーザ電極10を形成するとともに、バンク部22の上面、側面、及びパッシベーション膜37の上面に放電電極14を形成し、放電電極14とは接触させずに、バンク部22の上面、側面、及びパッシベーション膜37の上面にp型補助電極16を形成する。放電電極14は、平面視において矩形状であり、バンク部22の有する辺のうちリッジ部20の延伸方向と直交して延伸する1辺を覆い、バンク部22の周囲に広がって形成される。p型補助電極16は、平面視において矩形状であり、放電電極14とは離間して、バンク部22の有する辺のうちリッジ部20の延伸方向と直交して延伸する1辺(p型放電電極16に覆われる辺の対辺)を覆い、バンク部22の周囲に広がって形成される。
[第5の実施形態]
図11は、本発明の第5の実施形態に係る半導体レーザ装置100の上面図である。本実施形態に係る半導体レーザ装置100は、本実施形態に係る半導体レーザ素子1、サブマウント50、p型リード52、n型リード54、ワイヤ60、及びワイヤ62を備えており、半導体レーザ素子1はサブマウント50に搭載されている。半導体レーザ素子1は、基板の表面に、p型レーザ電極10、n型レーザ電極12、及び放電電極14を備えている。また、本実施形態に係る半導体レーザ素子1の上部に位置する半導体層に、リッジ部20、及びバンク部22が形成される。本実施形態に係る半導体レーザ装置100は、半導体レーザ素子1以外の構成において、第1の実施形態に係る半導体レーザ素子1と同様の構成を有する。また、本実施形態に係る半導体レーザ素子1は、n型レーザ電極12が突出部を有し、当該突出部の一部は、放電電極14と重畳して形成される点で、第1の実施形態に係る半導体レーザ素子1の構成と相違する。本実施形態に係る半導体レーザ素子1の構成のうちn型レーザ電極12以外の構成については、第1の実施形態に係る半導体レーザ素子1の構成と同様である。
第5の実施形態に係る半導体レーザ装置100は、第1の実施形態に係る半導体レーザ装置100と同様に、p型電極4とn型電極6との間に逆方向電圧が印加された場合であっても、活性層34等の半導体層の損傷が抑制されるという効果を奏する。
本実施形態では、放電電極14とn型レーザ電極12とが、導電体であるn型レーザ電極12自体を介して電気的に接続される。このような構成を採用することで、ワイヤ64を排することができ、ワイヤボンディングの工程を1つ減らして、半導体レーザ装置100の製造工程を簡単化することができる。
第5の実施形態に係る半導体レーザ素子1を製造する工程は、第1の実施形態に係る半導体レーザ素子1を製造する工程と、第8の工程において相違する。本実施形態では、第8の工程において、放電電極14と重畳する部分を有するようにn型レーザ電極12を形成する。n型レーザ電極12は、リッジ部20の第1の側方であって、n型半導体層のうち、活性層34及びp型半導体層が形成されない領域に形成されるとともに、n型バッファ層31の側面、n型クラッド層32の側面、n型ガイド層33の側面、活性層34の側面、電子ブロック層35の側面、p型クラッド層36の側面、パッシベーション膜37の側面及び上面、放電電極14の上面に形成される。
[第6の実施形態]
図12は、本発明の第6の実施形態に係る半導体レーザ素子1の上面図である。本実施形態に係る半導体光装置は、本実施形態に係る半導体レーザ素子1を備える半導体レーザ装置100である。図12では、本実施形態に係る半導体レーザ素子1を半導体レーザ装置とした場合の構成を想像線である二点鎖線により示し、各電極についての配線関係を示している。本実施形態に係る半導体レーザ素子1は、基板の表面に、p型レーザ電極10、n型レーザ電極12、放電電極14、及びp型補助電極16を備えている。また、本実施形態に係る半導体レーザ素子1の上部に位置する半導体層に、リッジ部20、及びバンク部22が形成される。図12では、各電極の配線関係を示すため、サブマウント50、p型リード52、n型リード54、ワイヤ60、ワイヤ62、ワイヤ64、及びワイヤ66を仮想的に図示している。第6の実施形態に係る半導体レーザ素子1は、p型レーザ電極10の形状と、バンク部22の位置及び形状と、放電電極14の位置及び大きさと、p型補助電極16の有無以外の構成については、第1の実施形態に係る半導体レーザ素子1と同様の構成を有する。
本実施形態では、放電電極14は、バンク部22の最上層であるp型コンタクト層38の上面に形成され、p型補助電極16は、p型クラッド層36の上面に形成される。そのため、放電電極14とp型補助電極16とは、p型コンタクト層38及びp型クラッド層36を介して電気的に接続される。また、p型補助電極16は、p型リード52と、ワイヤ66を介して電気的に接続される。そのため、p型コンタクト層38及びp型クラッド層36は、p型電極4と放電電極14との間に電気的に接続される抵抗体となる。
本実施形態において、p型電極4と放電電極14とのとの間の電気抵抗は、主として、放電電極14とp型補助電極16との平面視における離間距離によって調整される。また、放電電極14とp型補助電極16とがそれぞれ有する、互いに向かい合う辺の長さによっても調整される。また、バンク部22の高さ(第3の工程における、p型クラッド層36のエッチング深さ)によっても調整される。
第6の実施形態に係る半導体レーザ素子1を製造する工程は、第1の実施形態に係る半導体レーザ素子1を製造する工程と、第2の工程において相違する。本実施形態では、第2の工程において、リッジ部20の第1の側方に、リッジ部20となる領域(ストライプ状の領域)に形成するパターニングと離間して、バンク部22となる領域にPSG膜を矩形状にパターニングする。PSG膜は、リッジ部20となる領域に形成するストライプ状の部分と、バンク部22となる領域に形成する矩形状の部分とからなる。
第3の工程では、ドライエッチングにより、リッジ部20と、バンク部22とを形成する。第4の工程でp型補助電極16を形成する領域を除いてパッシベーション膜37を形成し、第5の工程でリッジ部20及びバンク部22の上面以外にフォトレジスト膜を形成し、そのレジストをマスクとしてウェットエッチングにより、リッジ部20及びバンク部22の上面に形成されたPSG膜及びパッシベーション膜37を除去する。第6の工程では、p型レーザ電極10を形成するとともに、バンク部22の上面(バンク部22の最上層であるp型コンタクト層38の上面)に矩形状の放電電極14を形成し、放電電極14と離間して、p型クラッド層36の上面に矩形状のp型補助電極16を形成する。p型補助電極16は、バンク部22とも離間して形成する。
図13は、本発明の第6の実施形態に係る半導体レーザ素子1における電流経路を示す図である。図13は、図12のXIII−XIII線における断面を矢印の方向から平面視した様子を示す図である。図6には、電流経路を示す矢印として、矢印A、矢印B、及び両矢印Dを示している。ここで、矢印A及び矢印Bについては、第1の実施形態において説明したものと同じである。
矢印Dは、p型電極4とn型電極6との間に順方向電圧が印加される場合に抵抗体(p型半導体層)を通って流れる順方向電流の経路と、p型電極4とn型電極6との間に逆方向電圧が印加される場合に抵抗体を通って流れる逆方向電流の経路の両方を表す両矢印である。順方向電圧を印加する場合、p型電極4に導電体を介して電気的に接続されたp型補助電極16と、n型電極6に導電体を介して電気的に接続された放電電極14との間に順方向電圧が印加されることとなる。そのため、p型補助電極16から、放電電極14に向かってホールが流れることにより、順方向電流が流れる。ここで、ホールが流れる主な経路は、p型クラッド層36と、バンク部22の最上層であるp型コンタクト層38である。また、逆方向電圧を印加する場合におけるホールが流れる主な経路は順方向電圧を印加する場合と同様である。すなわち、放電電極14から、バンク部22の最上層であるp型コンタクト層38及びp型クラッド層36を通り、p型補助電極16に向かってホールが流れることにより、逆方向電流が流れる。
p型補助電極16と放電電極14とは、p型半導体層(p型クラッド層36及びp型コンタクト層38)という抵抗体を介して電気的に接続され、放電電極14とn型電極6とは、ワイヤ64という導電体を介して電気的に接続される。本実施形態に係る半導体レーザ素子1では、順方向電圧が印加される場合におけるp型電極4とn型電極6との間の電気抵抗は、抵抗体であるp型半導体層の電気抵抗より小さいため、通常の駆動状態において、電流は主として矢印Aの経路で流れる。
一方、本実施形態において、逆方向電圧が印加される場合におけるp型電極4とn型電極6との間の電気抵抗は、抵抗体であるp型半導体層の電気抵抗より大きい。そのため、ESD等により逆方向電圧が印加された場合には、電流は主として矢印Dの経路で流れる。そのため、ESD等により逆方向電圧が印加された場合であっても、矢印Bで表される経路に流れる電流はほとんどなく、矢印Dで表される経路に大部分の電流が流れる。よって、p型電極4とn型電極6との間に逆方向電圧が印加された場合であっても、活性層34に流れる電流はほとんどなく、活性層34等の半導体層の損傷が抑制される。
[第7の実施形態]
図14は、本発明の第7の実施形態に係る半導体レーザ装置100の上面図である。本実施形態に係る半導体レーザ装置100は、本実施形態に係る半導体レーザ素子1、放電電極14、サブマウント50、p型リード52、n型リード54、シート抵抗56、ワイヤ60、ワイヤ62、ワイヤ64、及びワイヤ68を備えており、半導体レーザ素子1はサブマウント50に搭載されている。半導体レーザ素子1は、基板の表面に、p型レーザ電極10、及びn型レーザ電極12を備えている。また、本実施形態に係る半導体レーザ素子1の上部に位置する半導体層に、リッジ部20、及びバンク部22が形成される。第7の実施形態に係る半導体レーザ装置100は、半導体レーザ素子1と、放電電極14と、シート抵抗56と、ワイヤ68以外の構成について、第1の実施形態に係る半導体レーザ装置100と同様の構成を有する。また、第4の実施形態に係る半導体レーザ素子1は、p型レーザ電極10の形状と、放電電極14の有無と、バンク部22の有無以外の構成については、第1の実施形態に係る半導体レーザ素子1と同様の構成を有する。
本実施形態では、放電電極14はn型リード54の一部として構成される。放電電極14とp型リード52とは、シート抵抗56を介して電気的に接続される。より具体的には、放電電極14とシート抵抗56は導電体であるワイヤ64により電気的に接続され、シート抵抗56とp型リード52は導電体であるワイヤ68により電気的に接続される。シート抵抗56は、p型電極4と放電電極14との間に電気的に接続される抵抗体となる。
本実施形態において、p型電極4と放電電極14との間の電気抵抗は、シート抵抗56の厚さや材質によって調整される。本実施形態では、抵抗体としてシート抵抗56を用いるが、抵抗体はこれに限られず、種々のものを採用することができる。もっとも、抵抗体以外のもの、例えば整流機能を有するダイオード等、をシート抵抗56の代わりに用いることは意図されていない。
第7の実施形態に係る半導体レーザ装置100は、第1の実施形態に係る半導体レーザ装置100と同様に、p型電極4とn型電極6との間に逆方向電圧が印加された場合であっても、活性層34等の半導体層の損傷が抑制されるという効果を奏する。
第7の実施形態に係る半導体レーザ素子1を製造する工程は、第1の実施形態に係る半導体レーザ素子1を製造する工程と、第2、第3、及び第6の工程において相違する。本実施形態では、第2の工程において、リッジ部20となる領域(ストライプ状の領域)に形成するストライプ状のPSG膜のみをパターニングする。また、第3の工程においてバンク部22を形成せず、第6の工程で放電電極14を形成しない。
[第8の実施形態]
図15は、本発明の第8の実施形態に係る発光ダイオード素子2の上面図である。本実施形態に係る半導体光装置は、本実施形態に係る発光ダイオード素子2を備えている。本実施形態に係る発光ダイオード素子2は、p型ダイオード電極10c、n型ダイオード電極12c、及び放電電極14を含む。本実施形態では、発光ダイオード素子2は、サブマウント50に搭載され、p型ダイオード電極10cは、ワイヤ60を介してp型リード52に電気的に接続され、n型ダイオード電極12cは、ワイヤ62を介してn型リード54に電気的に接続され、放電電極14は、ワイヤ64を介してn型リード54に電気的に接続されて、半導体光装置となる。ここで、p型電極4は、p型ダイオード電極10c、p型リード52、ワイヤ60、及びワイヤ66を含むものである。また、n型電極6は、n型ダイオード電極12c、n型リード54、及びワイヤ62を含む。放電電極14とn型電極6とは、導電体であるワイヤ64を介して電気的に接続される。本実施形態の半導体光装置の構造は、半導体レーザ素子1を発光ダイオード素子2に置換した以外は、第1の実施形態の半導体レーザ装置100と同様の構造を有している。本実施形態に係る発光ダイオード素子2のp型ダイオード電極10c、及びn型ダイオード電極12cは、第1の実施形態に係る半導体レーザ素子1のp型レーザ電極10、及びn型レーザ電極12とそれぞれ対応しており、ワイヤ60、及びワイヤ62をそれぞれ介して、p型リード52、及びn型リード54と電気的に接続される。
図16は、本発明の第8の実施形態に係る発光ダイオード素子2の断面図である。図16は、図15におけるXVI−XVI線における断面を矢印の方向から平面視した様子を示す図である。本実施形態に係る発光ダイオード素子2は、GaN基板30の上に、n型バッファ層31、n型クラッド層32、活性層34、p型クラッド層36、パッシベーション膜37、及びp型コンタクト層38を積層することによって形成される。
p型ダイオード電極10cは、p型コンタクト層38の上面に形成され、放電電極14は、p型ダイオード電極10cと離間して、p型コンタクト層38の上面に形成される。また、n型ダイオード電極12cは、n型バッファ層31の上面に形成される。また、n型ダイオード電極12cと放電電極14とは、導電体を介して電気的に接続される。p型ダイオード電極10cと放電電極14とは、主としてp型コンタクト層38により電気的に接続される。p型コンタクト層38は、p型ダイオード電極10cと放電電極14との間に電気的に接続される抵抗体となる。
本実施形態では、p型ダイオード電極10cと放電電極14との間の電気抵抗を、p型ダイオード電極10cと放電電極14との間の距離、n型ダイオード電極12cとp型コンタクト層38との接触面積、放電電極14とp型コンタクト層38との接触面積、p型コンタクト層38の厚さ、等を調整することで、順方向電圧が印加される場合におけるp型電極とn型電極との間の電気抵抗より大きくする。また、p型ダイオード電極10cと放電電極14との間の電気抵抗を、逆方向電圧が印加される場合におけるp型電極とn型電極との間の電気抵抗より小さくする。
p型ダイオード電極10cと放電電極14との間の電気抵抗を上記のように調整することで、順方向電圧を印加した場合には、主としてp型ダイオード電極10cから活性層34を通ってn型ダイオード電極12cへ電流が流れ、高効率の発光が実現できる。
また、ESD等により意図せず逆方向電圧が印加された場合であっても、主として放電電極14からp型半導体層を介してp型ダイオード電極10cに電流が流れる。そのため、p型電極とn型電極との間に逆方向電圧が印加された場合であっても、活性層34に流れる電流はほとんどなく、活性層34等の半導体層の損傷が抑制される。
以上説明した第1乃至第8の実施形態では、n型レーザ電極12(又はn型ダイオード電極12c)をp型レーザ電極10(又はp型ダイオード電極10c)と同じ側に形成することとしたが、n型レーザ電極12(又はn型ダイオード電極12c)をGaN基板30の裏面に形成することとしてもよい。
また、第1乃至第7の実施形態では、1つのリッジ部20を有する場合を説明したが、リッジ部20を複数並列して形成することして、複数本のレーザを発生させることとしてもよい。
なお、第1乃至第8の実施形態に示した具体的な材料名および構成は一例として示したものであり、本発明の技術的範囲をこれに限定することは意図されていない。また平面図での説明においてリッジ部20の左側を第1の側方、右側を第2の側方として説明したが、右および左の位置関係はこれに限定することは意図されていない。リッジ部20の同一の側方にp型レーザ電極10、n型レーザ電極12、及び放電電極14を配置する等、当業者は、これら開示された実施形態を適宜変形してもよく、本明細書にて開示される発明の技術的範囲は、そのようになされた変形をも含むものと理解すべきである。
1 半導体レーザ素子、2 発光ダイオード素子、4 p型電極、6 n型電極、10 p型レーザ電極、10a 第1のp型レーザ電極、10b 第2のp型レーザ電極、10c p型ダイオード電極、12 n型レーザ電極、12c n型ダイオード電極、14 放電電極、14a 第1の放電電極、14b 第2の放電電極、16 p型補助電極、20 リッジ部、22 バンク部、30 GaN基板、31 n型バッファ層、32 n型クラッド層、33n型ガイド層、34 活性層、35 電子ブロック層、36 p型クラッド層、37 パッシベーション膜、38 p型コンタクト層、40 ダイボンディングパッド、42 ダイボンディングソルダ、50 サブマウント、52 p型リード、53 p型パターン、54 n型リード、55 n型パターン、56 シート抵抗、60 ワイヤ、62 ワイヤ、64 ワイヤ、66 ワイヤ、68 ワイヤ、70 p型メッキパターン、72 n型メッキパターン、100 半導体レーザ装置。

Claims (8)

  1. 基板と、
    前記基板上に積層されるn型半導体層と、
    前記n型半導体層の上側に積層され、端面より光を出射する活性層と、
    前記活性層の上に積層されるp型半導体層と、
    p型電極と、
    n型電極と、
    前記n型電極と少なくともワイヤを介して電気的に接続される放電電極と、
    前記p型電極と前記放電電極との間に電気的に接続される抵抗体と、
    を備える、半導体光装置であって、
    前記p型半導体層は、前記活性層に形成される光導波路の上側に形成されるリッジ部と、前記リッジ部の第1の側方に形成され前記リッジ部から離間するとともに上面の少なくとも一部にパッシベーション膜が形成されないバンク部と、前記リッジ部の第2の側方に形成され前記リッジ部及び前記バンク部よりも高さが低い平坦部と、を備え、
    前記p型電極は、前記リッジ部の上面に形成される部分と、前記バンク部の上面のうちパッシベーション膜が形成されない部分に形成される部分とを含み、
    前記放電電極は、前記p型電極から離間して、前記バンク部の上面のうちパッシベーション膜が形成されない部分を含んで形成され、
    前記抵抗体は、前記p型半導体層であり、前記バンク部の上面において前記p型電極と前記放電電極との間に電気的に接続され、
    前記順方向電圧が印加される場合は、前記p型電極と前記n型電極との間の電気抵抗は、前記抵抗体の電気抵抗より小さく、
    前記順方向電圧とは反対方向の逆方向電圧が印加される場合に、前記p型電極と前記n型電極との間の電気抵抗は、前記抵抗体の電気抵抗より大きい、
    ことを特徴とする、半導体光装置。
  2. 請求項1に記載の半導体光装置であって、
    前記n型電極は、前記リッジ部の前記第1の側方であって、前記n型半導体層のうち、前記活性層及び前記p型半導体層が形成されない領域に形成されるパッド部分を含む、
    ことを特徴とする、半導体光装置。
  3. 請求項2に記載の半導体光装置であって、
    前記放電電極の形状は、前記リッジ部側に、前記リッジ部の延伸方向に並行して延伸する第1の辺を有し、
    平面視において、前記第1の辺の長さは、前記リッジ部の延伸方向の長さより短い、
    ことを特徴とする、半導体光装置。
  4. 請求項3に記載の半導体光装置であって、
    前記放電電極の形状は、前記第1の辺を外縁に含む矩形状である、
    ことを特徴とする、半導体光装置。
  5. 請求項3又は4のいずれかに記載の半導体光装置であって、
    前記パッド部分の形状は、前記リッジ部側に、前記リッジ部の延伸方向に並行して延伸する第2の辺を有し、
    平面視において、前記第1の辺の長さは、前記第2の辺の長さより短い、
    ことを特徴とする、半導体光装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体光装置であって、
    前記バンク部は、前記活性層の端面から離間して形成される、
    ことを特徴とする、半導体光装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の半導体光装置であって、
    前記放電電極と、前記活性層の端面との間に、少なくとも前記活性層の下面にまで達する、溝が形成される、
    ことを特徴とする、半導体光装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の半導体光装置であって、
    前記p型半導体層及び前記n型半導体層は、窒化物半導体により形成される、
    ことを特徴とする、半導体光装置。
JP2014091990A 2014-04-25 2014-04-25 半導体光装置 Active JP6140101B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014091990A JP6140101B2 (ja) 2014-04-25 2014-04-25 半導体光装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014091990A JP6140101B2 (ja) 2014-04-25 2014-04-25 半導体光装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015211135A JP2015211135A (ja) 2015-11-24
JP6140101B2 true JP6140101B2 (ja) 2017-05-31

Family

ID=54613120

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014091990A Active JP6140101B2 (ja) 2014-04-25 2014-04-25 半導体光装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6140101B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6821921B2 (ja) * 2016-02-29 2021-01-27 日亜化学工業株式会社 レーザ素子
WO2021070276A1 (ja) * 2019-10-09 2021-04-15 ウシオオプトセミコンダクター株式会社 半導体発光装置

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR930015139A (ko) * 1991-12-18 1993-07-23 이헌조 빛세기 변화 가능용 발광다이오드의 제조방법
JP3920613B2 (ja) * 2001-10-02 2007-05-30 三洋電機株式会社 光半導体装置
JP2004126108A (ja) * 2002-10-01 2004-04-22 Toshiba Corp 半導体光変調器及び光変調システム
JP2006066846A (ja) * 2004-07-29 2006-03-09 Seiko Epson Corp 面発光型装置及びその製造方法
JP4857937B2 (ja) * 2005-10-26 2012-01-18 セイコーエプソン株式会社 光素子の製造方法
KR100875128B1 (ko) * 2007-01-16 2008-12-22 한국광기술원 고내정전압을 갖는 발광다이오드 및 그의 제조방법
US7759670B2 (en) * 2007-06-12 2010-07-20 SemiLEDs Optoelectronics Co., Ltd. Vertical LED with current guiding structure
JP2011199006A (ja) * 2010-03-19 2011-10-06 Sharp Corp 窒化物半導体レーザ素子

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015211135A (ja) 2015-11-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5039343B2 (ja) キャビティ内コンタクトのための高融点金属ELOGマスクを備えているGaNレーザ
US11626707B2 (en) Semiconductor laser diode
US20100059790A1 (en) Nitride-based semiconductor device and method of manufacturing the same
JP5326957B2 (ja) 発光素子の製造方法及び発光素子
JP7332623B2 (ja) 半導体レーザ装置
JP2013239471A (ja) 発光ダイオード素子の製造方法
JP2011014891A (ja) 半導体素子及びその製造方法
JP2008205139A (ja) 窒化物系半導体レーザ素子
WO2009107621A1 (ja) 半導体レーザ素子およびその製造方法
JP6140101B2 (ja) 半導体光装置
JP6627728B2 (ja) 発光素子の製造方法
JP2009004524A (ja) 窒化物系半導体レーザ素子及び窒化物系半導体レーザ素子の作製方法
JP6934868B2 (ja) 窒化物半導体レーザ及び窒化物半導体レーザ装置
JP5872790B2 (ja) 半導体レーザ装置
JP5945409B2 (ja) 半導体素子とその製造方法
JP2009188273A (ja) ジャンクションダウン型の光半導体素子及び光半導体装置
TWI688117B (zh) 半導體發光裝置
JP2006351661A (ja) 面発光型半導体レーザ
JP5865870B2 (ja) 半導体発光素子
CN113439344A (zh) 具有传导层的部段的光电半导体构件及其制造方法
JP2007158008A (ja) 半導体発光素子
WO2018158934A1 (ja) 半導体レーザ及びその製造方法
WO2020195282A1 (ja) 半導体レーザ素子
WO2023281848A1 (ja) 半導体レーザ素子
WO2022201771A1 (ja) 半導体レーザ

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160309

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160419

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160617

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20161108

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170208

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20170215

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170404

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170428

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6140101

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250