JP6137681B2 - ニトリル化合物 - Google Patents

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Description

本発明は、新規なニトリル化合物、およびそれを含有する香料組成物に関する。
香りは製品等の嗜好性や高級感、安心感、効果への期待感などを演出する重要な要素である。さらに特徴ある香りは製品識別効果、顧客吸引力を与える。一方、製品への賦香は、香りのバランスや持続性などを制御するために、複数の香料素材を混合した香料組成物を用いて行われるのが一般的である。香料組成物を構成する香料素材は他の香料素材との調和性がよいことが求められる。
脂環式構造を有するニトリル化合物である香料素材としては、2−シクロヘキシリデン−2−フェニルアセトニトリルであるペオニル(Givaudan社)が、新鮮でグレープフルーツ、ゲラニウム、ローズフローラル様香気を有すことが知られている(非特許文献1)。
その他に、特許文献1には、2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−アセトニトリル等の2,6,6−トリメチルシクロヘキサン−1−アセトニトリルの不飽和誘導体が、パチュリの匂い物質であることが記載されている。
特許文献2には、特定のシクロヘキサンニトリル類がイロン類の製造中間体として有用であり、かつ持続性香気香味付与ないし変調剤としても有用であることが記載されている。
特許文献3には、香料物質として有用なイオノン、イロンなどの合成中間体となる、2−メチル−3−(2,2−ジメチル−3−アルキル−6−メチレンシクロヘキシル)アクリロニトリルの製法が開示されている。
また、トリメチルシクロヘキセンメチルブタナールであるCetonal(Givaudan社)が、強いオリス様ウッディ香を有すること、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−1(2)−シクロヘキセニル)ブテン−1−アールであるIonal、Veltonal(Bedoukian社)が、甘いフルーティ、ウッディなイチジク様香気を有すること、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−1(2)−シクロヘキセニル)ブテン−2−アールであるBoronal(Symrise社)が、スミレのアクセントを伴うボロニアを思い起こさせるフローラル香気を有することが知られている(非特許文献1、2)。
香料素材は、極めて大雑把には、構造が類似していれば類似の香調を有するが、例外も多く、特に複数の置換基を組み合わせて変化させた場合、その香調がどのように変化していくかは予測しがたく、また、他の香料素材との調和性も予測しがたいものである。
印藤元一著 合成香料 化学と商品知識 増補改訂版 2005年、199ページ、200ページ及び702ページ Kurt Bauer、Dorothea Garbe著 Common Fragrance and Flavor Materials 1985年、79及び80ページ
特表2010−522797号公報 特開平2−160755号公報 特開昭61−97251号公報
本発明の課題は、香料として有用なオリス様の濃厚な甘さを持つウッディ−フローラル調の香気を有し、持続性が高く、かつ、他の香料と調合することで、フローラル香気を強調することが可能な化合物及びその化合物を含有する香料組成物を提供することにある。
本発明者らは、特定の構造を有するニトリル化合物が、オリス様の濃厚な甘さを持つウッディ−フローラル調の香気を有し、持続性が高く、かつ、他の香料と調合することで、フローラルな甘さを強調することが可能であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、式(I)で表されるニトリル化合物である。
Figure 0006137681
前記式中、
C−3’とC−2’、およびC−2’とC−1’の間の結合のうち1つは、点線と共に二重結合を表し、
C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合のうちの1つは、点線と共に二重結合を表すか、または、C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合の両方が、単結合を表す。
また、本発明は、前記式(I)で表されるニトリル化合物を含有する香料組成物である。
本発明の式(I)で表されるニトリル化合物は、香料として有用なオリス様の濃厚な甘さを持つウッディ−フローラル調の香気を有し、持続性が高い。また、本発明の式(I)で表されるニトリル化合物は、他の香料と調合することで、フローラルな甘さを強調することが可能である。
本発明は、式(I)で表されるニトリル化合物である。
Figure 0006137681
前記式中、
C−3’とC−2’、およびC−2’とC−1’の間の結合のうち1つは、点線と共に二重結合を表し、
C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合のうちの1つは、点線と共に二重結合を表すか、または、C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合の両方が、単結合を表す。
前記式(I)で表されるニトリル化合物は、具体的には、以下のとおりである。
Figure 0006137681
前記式(I)で表されるニトリル化合物は、香料として有用なオリス様の濃厚な甘さを持つウッディ−フローラル調の香気を有する観点から、
C−3’とC−2’の間の結合が、点線と共に二重結合を表し、かつ、C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合の両方が、単結合を表す(式(I−1)で表されるニトリル化合物)か、
C−2’とC−1’の間の結合が、点線と共に二重結合を表し、かつ、C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合の両方が、単結合を表す(式(I−2)で表されるニトリル化合物)か、
C−2’とC−1’の間の結合が、点線と共に二重結合を表し、かつ、C−3とC−2の間の結合が、点線と共に二重結合を表す(式(I−3)で表されるニトリル化合物)か、
または、
C−3’とC−2’の間の結合が、点線と共に二重結合を表し、かつ、C−3とC−2の間の結合が、点線と共に二重結合を表す(式(I−5)で表されるニトリル化合物)が好ましい。
前記式(I)で表されるニトリル化合物は、香料として有用なオリス様の濃厚な甘さを持つウッディ−フローラル調の香気を有する観点から、式(I)中、C−3’とC−2’、およびC−2’とC−1’の間の結合のうち1つは、点線と共に二重結合を表し、C−4とC−3間の結合は、単結合を表し、C−3とC−2の間の結合は、点線と共に二重結合を表すか、または、C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合の両方が、単結合を表すニトリル化合物が好ましく、式(I)中、C−3’とC−2’、およびC−2’とC−1’の間の結合のうち1つは、点線と共に二重結合を表し、C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合の両方が、単結合を表すニトリル化合物が更に好ましい。すなわち、前記式(I)で表されるニトリル化合物は、C−3’とC−2’の間の結合が、点線と共に二重結合を表し、かつ、C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合の両方が、単結合を表す(式(I−1)で表されるニトリル化合物)か、C−2’とC−1’の間の結合が、点線と共に二重結合を表し、かつ、C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合の両方が、単結合を表す(式(I−2)で表されるニトリル化合物)か、更に好ましい。
[式(I)で表されるニトリル化合物の製造方法]
本発明の式(I)で表されるニトリル化合物は、一般的な有機化学反応を用いて合成することができ、その製造方法に制限はない。本発明の式(I)で表されるニトリル化合物の製造方法としては、たとえば、式(II)で表されるオキシム化合物を脱水して式(I)で表されるニトリル化合物を得る脱水工程を有する方法が好ましい。
Figure 0006137681
前記式(I)および(II)中、
C−3’とC−2’、およびC−2’とC−1’の間の結合のうち1つは、点線と共に二重結合を表し、
C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合のうちの1つは、点線と共に二重結合を表すか、または、C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合の両方が、単結合を表す。
前記式(II)で表されるオキシム化合物は、例えば、式(III)で表されるアルデヒド化合物をオキシム化することによって、式(II)で表される化合物を得る工程により、製造することが好ましい。
Figure 0006137681
前記式(II)および(III)中、
C−3’とC−2’、およびC−2’とC−1’の間の結合のうち1つは、点線と共に二重結合を表し、
C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合のうちの1つは、点線と共に二重結合を表すか、または、C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合の両方が、単結合を表す。
<脱水工程>
前記のように、本発明の製造方法においては、式(II)で表されるオキシム化合物を脱水して、式(I)で表されるニトリル化合物を得る工程を有する。
Figure 0006137681
前記式(I)および(II)中、
C−3’とC−2’、およびC−2’とC−1’の間の結合のうち1つは、点線と共に二重結合を表し、
C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合のうちの1つは、点線と共に二重結合を表すか、または、C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合の両方が、単結合を表す。
本工程においては、無水酢酸を用いる無水酢酸法、アルカリを用いるアルカリ触媒法等が好ましく、収率と得られる生成物の純度を高める観点から、アルカリ触媒法がより好ましい。
[無水酢酸法]
無水酢酸法は、式(II)で表されるオキシム化合物を無水酢酸存在下、加熱により脱水して式(I)で表されるニトリル化合物を得る工程を有する。
無水酢酸法において、無水酢酸の使用量は、高収率化と反応後処理の簡便さの観点から、式(II)で表されるオキシム化合物に対して1.0〜10モル倍が好ましく、1.0〜5モル倍がより好ましく、1.0〜3モル倍がさらに好ましく、1.3〜2.0モル倍がさらに好ましい。
反応温度は、反応を効率的に完結させる観点から、未反応の無水酢酸や副生した酢酸が十分に還流する120〜200℃が好ましく、120〜180℃がより好ましく、120〜160℃がさらに好ましい。
反応は無溶媒でも実施できるが、徐熱の観点から、好ましい反応温度近辺に沸点を持つ溶媒を適量用いて還流下実施することもできる。
反応生成物である式(I)で表されるニトリル化合物と過剰分の無水酢酸や副生した酢酸は、反応後に蒸留や、アルカリ水による中和で酢酸塩とした後、水層と一緒に除去する方法で分離できる。
[アルカリ触媒法]
アルカリ触媒法は、式(II)で表されるオキシム化合物をアルカリ触媒存在下、加熱により脱水して式(I)で表されるニトリル化合物を得る工程を有する。
アルカリ触媒法においては、アルカリ触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が好ましく用いられる。
アルカリ触媒の使用量は、収率を高める観点から、式(II)で表されるオキシム化合物に対して0.1〜20質量%が好ましく、反応操作性の観点から、1〜15質量%がより好ましい。
アルカリ触媒法においては、副生する水を系外に除去しながら反応を行うことが好ましく、溶媒還流下での共沸脱水法、生成物も反応系外へ除去する連続脱水法が挙げられ、なかでも生成物として得られる式(I)で表されるニトリル化合物の熱分解や熱重合を抑制する観点から、式(I)で表されるニトリル化合物も同様に反応系外へ除去する連続脱水法が好ましい。
アルカリ触媒法における反応温度は、反応を効率的に完結させ、式(II)で表されるオキシム化合物や式(I)で表されるニトリル化合物の熱分解や熱重合を抑制する観点から、80〜250℃が好ましく、高収率化の観点から、120〜200℃がより好ましい。この場合、好ましい温度範囲下で式(I)で表されるニトリル化合物を効率良く留出させ、生成物の熱分解や熱重合を抑制する観点から、減圧下で行うことが好ましく、10kPa以下で行うことがより好ましい。
また、式(II)で表されるオキシム化合物の滞留時間を短縮して副反応を抑制する観点から、式(II)で表されるオキシム化合物を反応系内に連続的に滴下する方法が好ましい。
いずれかの方法によって得られた式(I)で表されるニトリル化合物は、香料素材としてより好ましい品質に改善する観点から、さらに蒸留やシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製を行うことが好ましい。
以下は、本発明の製造方法における前記式(II)で表されるオキシム化合物を得る、製造方法の例示である。
<オキシム化工程>
例えば、式(III)で表されるアルデヒド化合物と、ヒドロキシルアミンとを用いてオキシム化反応を行い、式(II)で表されるオキシム化合物を得ることができる。
Figure 0006137681
前記式(II)および(III)中、
C−3’とC−2’、およびC−2’とC−1’の間の結合のうち1つは、点線と共に二重結合を表し、
C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合のうちの1つは、点線と共に二重結合を表すか、または、C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合の両方が、単結合を表す。
本工程における好適な方法としては、式(III)で表されるアルデヒド化合物にヒドロキシルアミン水溶液を滴下する方法、式(III)で表されるアルデヒド化合物とヒドロキシルアミンの無機酸塩の水溶液を混合したところに、塩基を滴下する方法が挙げられ、なかでも、式(III)で表されるアルデヒド化合物とヒドロキシルアミンの無機酸塩の水溶液を混合したところに、塩基を滴下する方法が好ましい。この方法によれば、塩基を滴下することで、反応系内でヒドロキシルアミンを発生させることができ、副反応を抑制し、反応を安全に行うことができるという利点がある。
本工程に用いられるヒドロキシルアミンの無機酸塩としては、副反応の抑制と経済性の観点から、ヒドロキシルアミン硫酸塩を用いるのが好ましい。
ヒドロキシルアミン又はその無機酸塩の使用量は、反応後処理の簡便さと経済性の観点から、ヒドロキシルアミン換算で式(III)で表されるアルデヒド化合物に対して1.0〜3.0モル倍が好ましく、1.0〜2.0モル倍がより好ましく、1.0〜1.5モル倍がさらに好ましい。
前記塩基を滴下する好適な方法に用いられる塩基としては、ヒドロキシルアミンより強塩基であるものが用いられ、なかでも水溶性であることが好ましい。経済的観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が好ましい。操作性と作業効率の観点から、アルカリ金属の水酸化物の20〜40質量%水溶液を用いることが好ましい。
反応は無溶媒で行ってもよいが、徐熱と反応の進行に伴う反応液の粘度上昇を抑制する観点から、溶媒を用いることが好ましい。溶媒としては、原料であるアルデヒド中間体とヒドロキシルアミンを溶解し易い脂肪族アルコール、水等が好ましい。前記脂肪族アルコールとしては、炭素数1〜3の脂肪族アルコールが好ましく、エタノール、イソプロピルアルコール等がさらに好ましい。前記溶媒としては、脂肪族アルコールと水の混合物がより好ましい。
反応温度は、反応を効率的に完結させ、ヒドロキシルアミンの発熱的分解を抑制する観点から、30〜50℃に保つことが好ましい。
反応生成物である式(II)で表されるオキシム化合物は、水層を分離した後、そのまま次の反応に用いることができるが、蒸留精製等で溶媒や高沸点の副生物を除去してから用いることが好ましい。
[香料組成物]
本発明の香料組成物は、式(I)で表されるニトリル化合物を含有する。式(I)で表されるニトリル化合物の含有量は、香料組成物中、好ましくは0.01〜99質量%、より好ましくは0.1〜15質量%、更に好ましくは0.3〜3質量%である。式(I)で表されるニトリル化合物を0.01〜99質量%含むことにより、香料組成物へ香料として有用なオリス様の濃厚な甘さを持つウッディ−フローラル調の香気を付与することができる。
本発明の香料組成物は、式(I)で表されるニトリル化合物を含むため、香料として有用なオリス様の濃厚な甘さを持つウッディ−フローラル調の香気を有し、かつ、他の香料と調合され、フローラルな甘さを強調することが可能である。また、本発明の香料組成物は、式(I)で表されるニトリル化合物以外に、その他の香料として、通常用いられる他の香料成分や、所望組成の調合香料を含有させ、例えば、シトラス調、フローラル調、フルーティ調、ハーバル調、スパイシー調、グリーン調、ウッディ調、バルサム香気等の香気を付与することができる。従って、本発明の香料組成物は、式(I)で表されるニトリル化合物以外の香料を更に含有するのが好ましい。
本発明の香料組成物において、式(I)で表されるニトリル化合物と組み合わせて用いることができるその他の香料としては、炭化水素類、アルコール類、フェノール類、アルデヒド類、ケトン類、アセタール類、エーテル類、エステル類、カーボネート類、ラクトン類、オキシム類、ニトリル類、シッフ塩基類、含窒素化合物、含硫黄化合物、天然精油および天然抽出物のうち1種以上が好ましく、中でも、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、エーテル類、エステル類、ラクトン類、含窒素化合物、天然精油および天然抽出物のうち1種以上が、他の香料と調合することでフローラルな甘さを強調する観点から、より好ましい。
本明細書中、各香料の「類」には単一の化合物、あるいは2つ以上の化合物の混合物を意味する。
炭化水素類としては、リモネン、α−ピネン、β−ピネン、テルピネン、p−サイメン、セドレン、ロンギフォレン、バレンセン、カンフェン、ミルセン等が挙げられる。
アルコール類としては、脂肪族アルコール、テルペン系アルコール、芳香族アルコール等が挙げられる。
脂肪族アルコールとしては、プレノール、trans−2−ヘキセノール、cis−3−ヘキセノール、2,6−ジメチルヘプタノール、1−オクテン−3−オール、3,6−ノナジエン−1−オール、3,6−ノナジエオール、ウンデカベルトール(ジボダン社商品名、4−メチル−3−デセン−5−オール)、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール、イソシクロゲラニオール、2−tert−ブチルシクロヘキサノール、4−tert−ブチルシクロヘキサノール、マイヨール(フィルメニッヒ社商品名、4−(1−メチルエチル)−シクロヘキサンメタノール)、アンバーコア(花王株式会社商品名)、チンベロール(シムライズ社商品名、1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン−3−オール)、サンダルマイソールコア(花王株式会社商品名、2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール)、バクダノール(IFF社商品名、2−エチル‐4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール)、フロローサ(ジボダン社商品名、4−メチル−2−(2−メチルプロピル)テトラヒドロ−2H−4−ピラノール)、バクダノール(IFF社商品名、2−エチル−4−(2,2,3−トリメチルシクロペン−1−イル)−2−ブテン−1−オール)等が挙げられる。なかでも他の香料と調合することでフローラルな甘さを強調する観点から、cis−3−ヘキセノール、またはフロローサが好ましい。
テルペン系アルコールとしては、シトロネロール、ヒドロキシシトロネロール、リナロール、ジヒドロリナロール、テトラヒドロリナロール、エチルリナロール、ゲラニオール、ネロール、テトラヒドロゲラニオール、ミルセノール、ジヒドロミルセノール、テトラヒドロミルセノール、オシメノール、テルピネオール、メントール、ボルネオール、フェンキルアルコール、ファルネソール、ネロリドール、セドロール、テルピネオール等が挙げられる。なかでも他の香料と調合することでフローラルな甘さを強調する観点から、シトロネロール、リナロールまたはゲラニオールが好ましい。
芳香族アルコールとしては、ベンジルアルコール、スチラリルアルコール、フェネチルアルコール、クミンアルコール、ジメチルフェニルエチルカルビノール、シンナミックアルコール、フェニルヘキサノール(花王株式会社商品名)、パンプルフルール(IFF社商品名、4−フェニルペンタノール)、マジャントール(シムライズ社商品名、2,2−ジメチル−3−(3−メチルフェニル)プロパノール)等が挙げられる。なかでも他の香料と調合することでフローラルな甘さを強調する観点から、フェネチルアルコールまたはシンナミックアルコールが好ましい。
フェノール類としては、アネトール、グアヤコール、オイゲノール、イソオイゲノール、モスシンス等が挙げられる。
アルデヒド類としては、上記アルコール類と同様に脂肪族アルデヒド、テルペン系アルデヒド、芳香族アルデヒド等が挙げられ、アルコール類香料成分の官能基のみを変換したアルデヒド類はいずれも香料成分として挙げられる。
その他のアルデヒド類としては、アルデヒド C−6(花王株式会社商品名、1−ヘキサナール)、アルデヒド C−8(花王株式会社商品名、1−オクタナール)、アルデヒド C−9(花王株式会社商品名、1−ノナナール)、アルデヒドC−10(花王株式会社商品名、1−デカナール)、アルデヒドC−11 UNDECYL(花王株式会社商品名、ウンデシナール)、アルデヒド C−111 LEN(花王株式会社商品名、10−ウンデセナール)、アルデヒド C−12 LAURYL(花王株式会社商品名、1−ドデカナール)、アルデヒドC−12MNA(花王株式会社商品名、2−メチルウンデカナール)、cis−4−デセナール、trans−4−デセナール、フローラルスーパー(IFF社商品名、4,8−ジメチル−4,9−デカジエナール)、ポレナールII(花王株式会社商品名、2−シクロヘキシルプロパナール)、マイラックアルデヒド(IFF社商品名、4(3)−(4−メチル−3−ペンテン−1−イル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド)、リラール(IFF社商品名、4(3)−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド)、セトナール(ジボダン社商品名、トリメチルシクロヘキセンメチルブタナール)、ベルンアルデヒド(ジボダン社商品名、1−メチル−4−(4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセンカルボキシアルデヒド)、メロゾン(IFF社商品名、オクタヒドロ‐4,7−メタノインデンカルボキシアルデヒド)、センテナール(フィルメニッヒ社商品名、メトキシジシクロペンタジエンカルボキシアルデヒド)、デュピカール(ジボダン社商品名、4−トリシクロデシリデンブタナール)、ベルガマール(IFF社商品名、3,7−ジメチル−2−メチレン−6−オクテナール)、カンホレンアルデヒド、ブルゲオナール(ジボダン社商品名、3−(4−tert−ブチルフェニル)プロパナール)、シクラメンアルデヒド(ジボダン社商品名、3−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルプロピオンアルデヒド)、フロラロゾン(IFF社商品名、3−(4−エチルフェニル)−2,2−ジメチルプロピオンアルデヒド)、スザラール(高砂香料工業株式会社商品名、3−(4−イソブチルフェニル)−2−メチルプロピオンアルデヒド)、リリアール(ジボダン社商品名、3−(4−t−ブチルフェニル)−2−メチルプロピオンアルデヒド)、アミルシンナミックアルデヒド(花王株式会社商品名)、ヘキシルシンナミックアルデヒド(花王株式会社商品名、2−n−ヘキシル−3−フェニル−2−プロペナール)、カントキサール(IFF社商品名、2−メチル−3−(4−メトキシフェニル)プロパナール)、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピン(高砂香料工業社商品名、3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒド)、ヘリオナール(IFF社商品名、α−メチル−1,3ベンゾジオキソール−5−プロパナール)、トリプラール(IFF社商品名、2,4−ジメチル−3−シクロヘキサン−1−カルボキシアルデヒド)、2,6−ノナジエナール、2,6−ノナジエノール等が挙げられる。なかでも他の香料と調合することでフローラルな甘さを強調する観点から、ヘリオトロピンが好ましい。
ケトン類としては、メチルヘプテノン、ジメチルオクテノン、3−オクタノン、ヘキシルシクロペンタノン、ジヒドロジャスモン、ベルートン(フィルメニッヒ社商品名、2,2,5−トリメチル−5−ペンチルシクロペンタノン)、ネクタリル(ジボダン社商品名、2−(2−(4−メチル−3−シクロヘキセン−1−イル)プロピル)シクロペンタノン)、イオノン、メチルイオノン、γ−メチルイオノン、ダマスコン、α−ダマスコン、β−ダマスコン、δ−ダマスコン、イソダマスコン(シムライズ社商品名、1−(2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキシル)−trans−2−ブタノン)、ダマセノン、ダイナスコン(フィルメニッヒ社商品名、1−(5,5−ジメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−4−ペンテン−1−オン)、イロン、カシュメラン(IFF社商品名、1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,1,2,3,3−ペンタメチル−4H−インデン−4−オン)、イソ・イー・スーパー(IFF社商品名、1−(1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−エタン−1−オン)、カロン(フィルメニッヒ社商品名、7−メチル−3,5−ジヒドロ−2H−ベンゾジオキセピン−3−オン)、カルボン、メントン、アセチルセドレン、イソロンギフォラノン、ヌートカトン、ベンジルアセトン、ラズベリーケトン、ベンゾフェノン、トナリド(PFW社商品名、6−アセチル−1,1,2,4,4,7−ヘキサメチルテトラヒドロナフタレン)、β−メチルナフチルケトン、エチルマルトール、カンファー、ムスコン、ムセノン(フィルメニッヒ社商品、3−メチル−5−シクロペンタデセン−1−オン)、シベトン、グロバノン(シムライズ社商品名、8−シクロヘキサデセノン)、メチルノニルケトン、cis−ジャスモン等が挙げられる。なかでも他の香料と調合することでフローラルな甘さを強調する観点から、イオノン、ダマセノン、イソ・イー・スーパー、またはγ−メチルイオノンが好ましい。
アセタール類としては、アントキサン(花王株式会社商品名)、ボアザンブレンフォルテ(花王株式会社商品名)、トロエナン(花王株式会社商品名)、メチルパンプルムース(ジボダン社商品名、1,1−ジメトキシ−2,2,5−トリメチル−4−ヘキセン)、アセトアルデヒドエチルリナリルアセタール、シトラールジメチルアセタール、ヒドラトロプアルデヒドジメチルアセタール、ベルドキサン(花王株式会社商品名)、フロロパール(シムライズ社商品名、2,4,6−トリメチル−2−フェニル−1,3−ジオキサン)等が挙げられる。
エーテル類としては、ハーバベール(花王株式会社商品名、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルエチルエーテル)、セドリルメチルエーテル、アンブロキサン(花王株式会社商品名、[3aR−(3a.α,5a.β,9a.α,9b.β)]ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン)、アンブロテック(花王株式会社商品名、ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン)、メチルイソオイゲノール、シトロネリルエチルエーテル、ゲラニルエチルエーテル、1,8−シネオール、ローズオキサイド、ジヒドロローズオキサイド、リナロールオキサイド、エストラゴール、アネトール、ヒノキチオール、ジフェニルオキサイド、β−ナフトールメチルエーテル、β−ナフトールエチルエーテル、ガラクソリド(IFF社商品名、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチルシクロペンタ−γ−2−ベンゾピラン)等が挙げられる。なかでも他の香料と調合することでフローラルな甘さを強調する観点から、メチルイソオイゲノールが好ましい。
香料素材として用いられるエステル類としては、脂肪族カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、その他のカルボン酸エステルが挙げられる。
脂肪族カルボン酸エステルを形成する脂肪族カルボン酸としては、炭素数1〜18の直鎖及び分岐鎖カルボン酸が挙げられるが、中でもギ酸、酢酸、プロピオン酸等の炭素数1〜6のカルボン酸、特に酢酸が重要である。芳香族カルボン酸エステルを形成する芳香族カルボン酸としては、安息香酸、アニス酸、フェニル酢酸、桂皮酸、サリチル酸、アントラニル酸等が挙げられる。脂肪族及び芳香族エステルを形成するアルコールとしては、炭素数1〜5の直鎖及び分岐鎖脂肪族アルコール及び上記の香料成分アルコール類が挙げられる。
その他のカルボン酸エステルとしては、エチルサフラネート(ジボダン社商品名、ジヒドロシクロゲラン酸エチル)、ポワレネート(花王株式会社商品名、エチル−2−シクロヘキシルプロピオネート)、フルテート(花王株式会社商品名、エチルトリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−2−カルボキシレート)、ジャスモン酸メチル、MDJ(花王株式会社商品名、ジヒドロジャスモン酸メチル、メチル (2−ペンチル−3−オソシクロペンチル)アセテート)、シクロヘキシルサリシレート(花王株式会社商品名)等が挙げられる。
カーボネート類としては、リファローム(IFF社商品名、cis−3−ヘキセニルメチルカーボネート)、ジャスマシクラット(花王株式会社商品名)、フロラマット(花王株式会社商品名)等が挙げられる。
ラクトン類としては、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、δ−デカラクトン、ジャスモラクトン(フィルメニッヒ社商品名、テトラヒドロ−6−(3−ヘキセニル)−2H−ピラン−2−オン)、γ−ウンデカラクトン、クマリン、オクタヒドロクマリン、フロレックス(フィルメニッヒ社商品名、6−エチリデンオクタヒドロ−5,8−メタノ−2H−1−ベンゾピラン−2−オン)、シクロペンタデカノリド、ハバノライド(フィルメニッヒ社商品名、12(11)−オキサシクロヘキサデセン−2−オン)、アンブレットライド(IFF社商品名、10−オクタシクロヘプタデセン−2−オン)、エチレンブラシレート等が挙げられる。なかでも他の香料と調合することでフローラルな甘さを強調する観点から、シクロペンタデカノリドが好ましい。
オキシム類としては、ブッコキシム(シムライズ社商品名、1,5−ジメチル−ビシクロ[3,2,1]オクタン−8−オンオキシム)、ラビエノキシム(ジボダン社商品名、2,4,4,7−テトラメチル−6,8−ノナジエン−3−オンオキシム)、5−メチル−3−ヘプタノンオキシム等が挙げられる。
ニトリル類としては、ドデカンニトリル、シトロネリルニトリル、クミニルニトリル、シンナミルニトリル、ピオニル(ジボダン社商品名、2−シクロヘキシリデン−2−フェニルアセトニトリル)等が挙げられる。
シッフ塩基類としては、オーランチオール(ジボダン社商品名、N−(3,7−ジメチル−7−ヒドロキシオクチリデン)−アントラニル酸メチル)、リガントラール(ジボダン社商品名、3,5−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−イル−メチレンアントラニル酸メチル)、2−[(2−メチルウンデシリデン)アミノ]安息香酸メチル等が挙げられる。
含窒素化合物としては、アミド類、ピロール類、インドール類、チアゾール類等が挙げられる。なかでも他の香料と調合することでフローラルな甘さを強調する観点から、インドール類が好ましい。
アミド類としては、ガルダマイド(ジボダン社商品名、N,2−ジメチル−N−フェニルブチルアミド)、パラダイスアミド(ジボダン社商品名、2−エチル−N−メチル−N−(3−メチルフェニル)ブタンアミド)等が挙げられる。
含硫黄化合物としては、チオール類、スルフィド類、チオフェン類、チオカルボン酸類等が挙げられる。
天然精油や天然抽出物としては、オレンジ、レモン、ライム、ベルガモット、ペチグレン、バニラ、マンダリン、ペパーミント、スペアミント、ラベンダー、カモミル、ローズマリー、ユーカリ、セージ、バジル、ローズ、ロックローズ、ゼラニウム、ジャスミン、イランイラン、アニス、クローブ、ジンジャー、ナツメグ、カルダモン、セダー、ヒノキ、ベチバー、パチュリ、レモングラス、ラブダナム、ガルバナム、オリバナム等が挙げられる。なかでも他の香料と調合することでフローラルな甘さを強調する観点から、イランイランが好ましい。
これらのその他の香料の含有量は、調合香料の種類、目的とする香気の種類及び香気の強さ等により適宜選択することができるが、香料組成物中、それぞれ好ましくは0.0001〜99.99質量%、より好ましくは0.001〜80質量%であり、香料組成物中、合計で好ましくは5〜99.99質量%、より好ましくは50〜99.9質量%である。
本発明の香料組成物は、本発明の式(I)で表されるニトリル化合物及びその他の香料素材を含有させるベースとして、それ自身は匂いを持たない油剤を含有させることができる。このような油剤は、香料成分を均一に混合させ、製品に配合しやすく、適度な強度の香りを賦香しやすくすることができる。前記油剤の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジエチル等のエステル、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル等の界面活性剤等が挙げられる。
これらのなかでも、全ての香料成分の溶解性の観点から、前記油剤としては多価アルコールおよびエステルが好ましく、ジプロピレングリコールおよびミリスチン酸イソプロピルがより好ましい。かかる油剤の含有量は、香料組成物中、好ましくは0.01〜95質量%、より好ましくは1〜90質量%、さらに好ましくは5〜80質量%である。
本発明の香料組成物は、式(I)で表されるニトリル化合物の香気に加え、さらに他の香料と調合することで、オリス様の濃厚な甘さを持つウッディ−フローラル調の香気を付与することができるという効果も奏する。このような香料組成物は、例えば、洗浄剤組成物や繊維処理組成物、化粧料等の賦香に好適に使用することができる。
〔賦香成分としての使用〕
本発明の式(I)で表されるニトリル化合物を含有する香料組成物は、オリス様の濃厚な甘さを持つウッディ−フローラル調香気が付与され、さらに他の香料と調合することで、フローラルな甘さ強調することができる好ましい香調を有する調合香料として、各種製品の賦香成分として使用することができる。従って、本発明は、式(I)で表されるニトリル化合物を賦香成分として使用する方法、好ましくは、式(I)で表されるニトリル化合物を香料組成物、洗浄剤組成物、化粧料または繊維処理組成物の賦香成分として使用する方法である。当該化合物の使用方法としては、単独で又は他の成分と組み合わせて、石鹸、化粧品、毛髪化粧料、洗剤、柔軟剤、スプレー製品、芳香剤、香水、入浴剤等のトイレタリー製品のベースに含有させることができる。
なかでも、本発明の式(I)で表されるニトリル化合物は、持続性が高いこと、ならびに他の香料と調合することで、オリス様の濃厚な甘さを持つウッディ−フローラル調の香気を付与することができる用途であることから、賦香成分として洗浄剤組成物、化粧料、及び繊維処理組成物に用いることがより好ましく、洗浄剤組成物に用いることが更に好ましい。
したがって、本発明は、本発明の香料組成物を含有する洗浄剤組成物、本発明の香料組成物を含有する化粧料、および本発明の香料組成物を含有する繊維処理組成物も提供する。
本発明の洗浄剤組成物としては、身体用洗浄剤組成物、衣料用洗浄剤組成物、硬質表面用洗浄剤組成物が好ましく、身体用洗浄剤組成物、衣料用洗浄剤組成物がより好ましく、衣料用洗浄剤組成物が更に好ましい。
身体用洗浄剤組成物の例としては、皮膚用洗浄剤組成物、毛髪用洗浄剤組成物、石鹸組成物が挙げられ、皮膚用洗浄剤組成物が好ましい。
硬質表面用洗浄剤組成物の例としては、多用途洗浄剤(All purpose Cleaner)、食器用洗浄剤組成物が挙げられる。
本発明の繊維処理組成物としては、柔軟剤組成物が好ましい。
本発明の化粧料としては、香水が好ましい。
本発明の洗浄剤組成物には、本発明の式(I)で表されるニトリル化合物を含有する香料組成物以外に、陰イオン界面活性剤を含有することが好ましく、更に非イオン界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、溶媒、油剤、防腐剤、水等を配合することができる。
本発明の繊維処理組成物には、本発明の式(I)で表されるニトリル化合物を含有する香料組成物以外に、陽イオン界面活性剤を含有することが好ましく、更にpH調整剤、溶媒、油剤、防腐剤、水等を配合することができる。
本発明の香水には、本発明の式(I)で表されるニトリル化合物を含有する香料組成物以外に、溶媒、水等を配合することができる。
式(I)で表されるニトリル化合物は、前記のように、オリス様の濃厚な甘さを持つウッディ−フローラル調の香気を有し、さらに他の香料と調合することで、フローラルな甘さを強調することができる。従って、本発明は、前記のように、式(I)で表されるニトリル化合物を香料組成物、洗浄剤組成物、化粧料又は繊維処理組成物の賦香成分として使用する方法である。前記洗浄剤組成物としては、身体用洗浄剤組成物、衣料用洗浄剤組成物、硬質表面用洗浄剤組成物が好ましく、身体用洗浄剤組成物、衣料用洗浄剤組成物がより好ましく、衣料用洗浄剤組成物が更に好ましい。前記身体用洗浄剤組成物の例としては、皮膚用洗浄剤組成物、毛髪用洗浄剤組成物、石鹸組成物が挙げられ、皮膚用洗浄剤組成物が好ましい。前記硬質表面用洗浄剤組成物の例としては、多用途洗浄剤(All purpose Cleaner)、食器用洗浄剤組成物が挙げられる。前記化粧料としては、香水が好ましい。前記繊維処理組成物としては、柔軟剤組成物が好ましい。
前記使用する方法において、式(I)で表されるニトリル化合物は、香料組成物全体に対して、好ましくは0.01〜99質量%、より好ましくは0.1〜50質量%、更に好ましくは0.3〜25質量%の量で使用する。式(I)で表されるニトリル化合物を0.01〜99質量%の量で使用することにより、香料組成物にオリス様の濃厚な甘さを持つウッディ−フローラル調の香気を付与することができる。
前記使用する方法において、式(I)で表されるニトリル化合物は、洗浄剤組成物、化粧料又は柔軟剤組成物に対して、好ましくは0.01〜99質量%、より好ましくは0.1〜50質量%、更に好ましくは0.3〜25質量%の量で使用する。式(I)で表されるニトリル化合物を0.01〜99質量%の量で使用することにより、洗浄剤組成物、化粧料又は柔軟剤組成物へオリス様の濃厚な甘さを持つウッディ−フローラル調の香気を付与することができる。
前記使用する方法において、式(I)で表されるニトリル化合物を賦香成分として用いる香料組成物には、それ自身は匂いを持たない油剤を含有させてもよい。前記油剤については、前記香料組成物において説明したものと同様である。また、前記使用する方法において、式(I)で表されるニトリル化合物を賦香成分として用いる香料組成物には、式(I)で表されるニトリル化合物以外に、その他の香料として、通常用いられる他の香料成分や、所望組成の調合香料を含んでもよい。そのような、その他の香料としては、前記香料組成物において説明したものと同様である。
前記使用する方法において、式(I)で表されるニトリル化合物を賦香成分として用いる洗浄剤組成物、化粧料又は柔軟剤組成物には、それ自身は匂いを持たない油剤を含有させてもよい。前記油剤については、前記香料組成物において説明したものと同様である。また、前記使用する方法において、式(I)で表されるニトリル化合物を賦香成分として用いる洗浄剤組成物、化粧料又は柔軟剤組成物には、式(I)で表されるニトリル化合物以外に、その他の香料として、通常用いられる他の香料成分や、所望組成の調合香料を含んでもよい。そのような、その他の香料としては、前記香料組成物において説明したものと同様である。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに式(I)で表されるニトリル化合物および式(I)で表されるニトリル化合物の製造方法を開示する。
<1> 式(I)で表されるニトリル化合物。
Figure 0006137681
[前記式中、
C−3’とC−2’、およびC−2’とC−1’の間の結合のうち1つは、点線と共に二重結合を表し、
C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合のうちの1つは、点線と共に二重結合を表すか、または、C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合の両方が、単結合を表す。]
<2> 式(I)中、C−3’とC−2’、およびC−2’とC−1’の間の結合のうち1つは、点線と共に二重結合を表し、
C−4とC−3間の結合は、単結合を表し、C−3とC−2の間の結合は、点線と共に二重結合を表すか、または、C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合の両方が、単結合を表す<1>に記載のニトリル化合物。
<3> 式(I)中、C−3’とC−2’、およびC−2’とC−1’の間の結合のうち1つは、点線と共に二重結合を表し、
C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合の両方が、単結合を表す<1>または<2>に記載のニトリル化合物。
<4> <1>〜<3>のいずれかに記載のニトリル化合物を含有する香料組成物。
<5> 式(I)で表されるニトリル化合物の含有量が、香料組成物中、0.01〜99質量%、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.3〜3質量%である<4>に記載の香料組成物。
<6> <1>〜<3>のいずれかに記載のニトリル化合物以外の香料を更に含有する<4>または<5>に記載の香料組成物。
<7> 前記ニトリル化合物以外の香料が、炭化水素類、アルコール類、フェノール類、アルデヒド類、ケトン類、アセタール類、エーテル類、エステル類、カーボネート類、ラクトン類、オキシム類、ニトリル類、シッフ塩基類、含窒素化合物、含硫黄化合物、天然精油および天然抽出物のうち1種以上を含有する、<6>に記載の香料組成物。
<8> <4>〜<7>のいずれかに記載の香料組成物を含有する洗浄剤組成物。
<9> <4>〜<7>のいずれかに記載の香料組成物を含有する化粧料。
<10> <4>〜<7>のいずれかに記載の香料組成物を含有する繊維処理組成物。
<11> <1>〜<3>のいずれか一項に記載のニトリル化合物を賦香成分として使用する方法。
<12> 式(I)で表されるニトリル化合物を香料組成物、洗浄剤組成物、化粧料または繊維処理組成物の賦香成分として使用する方法。
<13> 香料組成物、洗浄剤組成物、化粧料または繊維処理組成物の全体に対して、式(I)で表されるニトリル化合物を、好ましくは0.01〜99質量%、より好ましくは0.1〜50質量%、更に好ましくは0.3〜25質量%の量で使用する<12>に記載の方法。
<14> 式(II)で表されるオキシム化合物を脱水して式(I)で表されるニトリル化合物を得る脱水工程を有する、式(I)で表されるニトリル化合物の製造方法。
Figure 0006137681
[前記式(I)および(II)中、
C−3’とC−2’、およびC−2’とC−1’の間の結合のうち1つは、点線と共に二重結合を表し、
C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合のうちの1つは、点線と共に二重結合を表すか、または、C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合の両方が、単結合を表す。]
<15> 前記脱水工程が、無水酢酸を用いる無水酢酸法、またはアルカリを用いるアルカリ触媒法により行われる<14>に記載の製造方法。
<16> 前記無水酢酸法が、式(II)で表されるオキシム化合物を無水酢酸存在下、加熱により脱水して式(I)で表されるニトリル化合物を得る工程を含む<15>に記載の製造方法。
<17> 無水酢酸の使用量が、式(II)で表されるオキシム化合物に対して好ましくは1.0〜10モル倍、より好ましくは1.0〜5モル倍、さらに好ましくは1.0〜3モル倍、さらに好ましくは1.3〜2.0モル倍である<16>に記載の製造方法。
<18>式(II)で表されるオキシム化合物が、式(III)で表されるアルデヒド化合物と、ヒドロキシルアミンとを用いてオキシム化反応を行うことにより得られる<14>〜<17>のいずれかに記載の製造方法。
Figure 0006137681
前記式(II)および(III)中、
C−3’とC−2’、およびC−2’とC−1’の間の結合のうち1つは、点線と共に二重結合を表し、
C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合のうちの1つは、点線と共に二重結合を表すか、または、C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合の両方が、単結合を表す。
<19> 前記オキシム化が、式(III)で表されるアルデヒド化合物にヒドロキシルアミン水溶液を滴下する方法、または式(III)で表されるアルデヒド化合物とヒドロキシルアミンの無機酸塩(好ましくはヒドロキシルアミン硫酸塩)の水溶液を混合したところに、塩基(好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物)を滴下する方法により行われる<18>に記載の製造方法。
<20> ヒドロキシルアミン又はその無機酸塩の使用量が、ヒドロキシルアミン換算で式(III)で表されるアルデヒド化合物に対して、好ましくは1.0〜3.0モル倍、より好ましくは1.0〜2.0モル倍、さらに好ましくは1.0〜1.5モル倍である<19>に記載の製造方法。
以下の実施例及び比較例等において行った測定法の詳細を以下にまとめて示す。
以下の製造例において行った測定法の詳細を以下にまとめて示す。
〔転化率および反応収率〕
以下の製造例に示した転化率および反応収率は、内部標準法ガスクロマトグラフィー(GC)定量分析によって求めた。
<ガスクロマトグラフィーの装置及び分析条件>
GC装置:HEWLWTT PACKARD社製、型式:HP6850
カラム:J&W社製、DB−1(内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm)
キャリアガス:He、1.5mL/min
注入条件:280℃、スプリット比1/100
検出条件:FID方式、280℃
カラム温度条件:100℃→6℃/分昇温→300℃10分間保持
内部標準化合物:n−ドデカン
〔化合物の同定〕
以下の製造例で得られた各化合物は、フーリエ変換赤外分光光度計(堀場製作所社製、型式:FT−710)、およびガスクロマトグラフ質量(GC−MS)分析計(島津製作所社製、型式:GC−2010)のスペクトル分析により同定した。測定条件等は各測定結果に記載した。
〔香気評価〕
調香・香料評価業務の経験が5年以上10年未満の熟練者2名、および25年以上の熟練者3名により、におい紙法により香調と強度を判定した。におい紙(幅6mm長さ150mmの香料試験紙)の先端約5mmを、試料に浸漬し、評価した。
香気は、主として感じられる香り(主香気)を、より強く感じられるものから順に列挙し、さらに、副次的に感じられる香り(副香気)を付記した。
匂い強度は、無臭を0、きわめて強いものを5とする相対評価で表した。
[製造例1] (2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2(1)−シクロヘキセン−1−イル)ブタナールオキシムの製造)
Figure 0006137681
200mLフラスコに、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2(1)−シクロヘキセン−1−イル)ブタナール39g(ジボダン社商品名セトナール、純分37g、0.18モル)、イソプロピルアルコール30g、硫酸ヒドロキシルアミン20g(0.12モル、アルデヒドに対し0.67モル倍、ヒドロキシルアミン換算で1.34モル倍)、イオン交換水40gを順に加え、窒素雰囲気下で撹拌しながら45℃に加熱した。反応温度を40〜50℃に保ちながら30質量%水酸化ナトリウム水溶液32g(0.24モル)を30分かけて滴下し、さらに1時間加熱撹拌を続けた。反応液を室温まで冷却後、静置分層で水層を抜き出し、有機層を10質量%硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、さらにイソプロピルアルコールを留去して黄色液体の粗生成物43gを得た。粗生成物のガスクロマトグラフィー定量分析の結果、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2(1)−シクロヘキセン−1−イル)ブタナールの転化率は100%、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2(1)−シクロヘキセン−1−イル)ブタナールオキシムの純度は83%、粗収率は90%であった。
なお、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2(1)−シクロヘキセン−1−イル)ブタナールは、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)ブタナールと2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)ブタナールの混合物であり、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2(1)−シクロヘキセン−1−イル)ブタナールオキシムは、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)ブタナールオキシムと2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)ブタナールオキシムの混合物である。
Figure 0006137681
この粗生成物30gを減圧蒸留精製し、96〜100℃/27Paで留出する無色液体を得た。4,8−ジメチル−4,9−デカジエナールオキシムの純度は95%であった。
この蒸留留分のGC−MS分析によって、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2(1)−シクロヘキセン−1−イル)ブタナールオキシムが、4種のジアステレオマーの混合物であることを確認した。
各スペクトル分析及び香気評価の測定結果を以下に示す。
(1)MS(EI法);m/z:223(M+),206,190,177,162,149,134,121,107,95,81,55,41。
(2)FT−IR(neat);cm-1:3226(br),2960,2913,2868,2364,2330,1657,1454,1377,939。
(3)香気:(主香気)ウッディ、(副香気)カンファー、フローラル。
(4)匂い強度:3。
[実施例1] (2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2(1)−シクロヘキセン−1−イル)ブタンニトリルの製造)
Figure 0006137681
200mLフラスコに、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2(1)−シクロヘキセン−1−イル)ブタナールオキシム30g(製造例1の粗生成物、純分25g、0.11モル)、トルエン75g、無水酢酸17g(0.17モル、オキシム化合物に対して1.55モル倍)を加え撹拌し、窒素雰囲気下で2時間還流させた。続いてトルエン、無水酢酸及び酢酸の混合物を留去し、反応液を室温まで冷却後、希水酸化ナトリウム水溶液で中和した。酢酸エチル30gを追加した後に静置分層で水層を抜き出し、さらに有機層を10質量%硫酸ナトリウム水溶液で2回洗浄、酢酸エチルを留去して無色液体の粗生成物29gを得た。粗生成物のガスクロマトグラフィー定量分析の結果、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2(1)−シクロヘキセン−1−イル)ブタナールオキシムの転化率は100%、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2(1)−シクロヘキセン−1−イル)ブタンニトリルの純度は76%、粗収率は96%であった。
なお、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2(1)−シクロヘキセン−1−イル)ブタナールオキシムは、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)ブタナールオキシムと2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)ブタナールオキシムの混合物であり、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2(1)−シクロヘキセン−1−イル)ブタンニトリルは、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)ブタンニトリルと2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)ブタンニトリルの混合物である。
Figure 0006137681
この粗生成物25gを減圧蒸留精製し、82℃/40Paで留出する無色液体を得た。2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2(1)−シクロヘキセン−1−イル)ブタンニトリルの純度は98%であった。この蒸留留分のGC−MS分析によって、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2(1)−シクロヘキセン−1−イル)ブタンニトリルが、2種のジアステレオマーの混合物であることを確認した。
各スペクトル分析の測定結果を以下に示す。
(1)MS(EI法);m/z:205(M+),190,177,162,149,134,121,107,95,81,67,55,41。
(2)FT−IR(neat);cm-1:2954,2868,2362,2339,2239,1664,1454,1383,818。
[製造例2] (2−メチル−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキセン−1−イル)−2−ブテナールオキシムの製造)
Figure 0006137681
500mLフラスコに、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキセン−1−イル)−2−ブテナール65g(シムライズ社商品名ボロナール、純分62g、0.30モル)、イソプロピルアルコール65g、硫酸ヒドロキシルアミン27g(0.16モル、アルデヒドに対し0.55モル倍、ヒドロキシルアミン換算で1.1モル倍)、イオン交換水50gを順に加え、窒素雰囲気下で撹拌しながら45℃に加熱した。反応温度を40〜50℃に保ちながら30質量%水酸化ナトリウム水溶液46g(0.35モル)を1時間かけて滴下し、さらに1時間加熱撹拌を続けた。反応液を室温まで冷却後、静置分層で水層を抜き出し、有機層を10質量%硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、さらにイソプロピルアルコールを留去して黄色液体の粗生成物71gを得た。粗生成物のガスクロマトグラフィー定量分析の結果、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキセン−1−イル)−2−ブテナールの転化率は100%、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキセン−1−イル)−2−ブテナールオキシムの純度は89%、粗収率は95%であった。
各スペクトル分析の測定結果を以下に示す。
(1)MS(EI法);m/z:221(M+),204,188,173,161,146,123,98,81,67,55,41。
(2)FT−IR(neat);cm-1:3290(br),2925,2866,2364,1633,1468,1360,947。
[実施例2] (2−メチル−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキセン−1−イル)−2−ブテンニトリルの製造)
Figure 0006137681
500mLフラスコに、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキセン−1−イル)−2−ブテナールオキシム60g(製造例1の粗生成物、純分53g、0.24モル)、トルエン140gを加え、窒素雰囲気下で撹拌した。ここに無水酢酸28g(0.27モル、オキシム化合物に対して1.13モル倍)を15分かけて滴下し、さらに1時間還流させた。続いてトルエン、無水酢酸及び酢酸の混合物を留去し、反応液を室温まで冷却後、希水酸化ナトリウム水溶液で中和した。酢酸エチル50gを追加した後に静置分層で水層を抜き出し、さらに有機層を10質量%硫酸ナトリウム水溶液で2回洗浄、酢酸エチルを留去して赤色液体の粗生成物60gを得た。粗生成物のガスクロマトグラフィー定量分析の結果、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキセン−1−イル)−2−ブテナールオキシムの転化率は100%、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキセン−1−イル)−2−ブテンニトリルの純度は69%、粗収率は84%であった。
この粗生成物50gを減圧蒸留精製し、129〜131℃/133Paで留出する薄黄色液体を得た。2−メチル−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキセン−1−イル)−2−ブテンニトリルの純度は90%であった。
各スペクトル分析の測定結果を以下に示す。
(1)MS(EI法);m/z:203(M+),188,173,160,146,123,108,93,81,67,53,41。
(2)FT−IR(neat);cm-1:2927,2866,2364,2215,1768,1629,1468,1362,1201,935。
[実施例1および2で得られたニトリル化合物及びセトナールまたはボロナールを含有する香料組成物の香気評価結果]
実施例1で得られたニトリル化合物をジプロピレングリコールに90質量%の濃度で溶解し、香料組成物を調製した後、前記香気評価方法により、香気評価を行った。実施例1で得られたニトリル化合物の代わりに、実施例2で得られたニトリル化合物、セトナール(ジボダン社製)または、ボロナール(シムライズ社製)を用いて、それぞれの組成物を得た。得られたそれぞれの組成物について、香気評価を行った。得られた結果を表1に示す。
Figure 0006137681
Figure 0006137681
本発明の式(I)のニトリル化合物を含有する香料組成物は、比較例1および2の他の化合物を含有する香料組成物とは甘さが異なり、濃厚な甘さを有していた。
[実施例3、4及び比較例3] (身体用洗浄剤用香料組成物)
実施例1で得られた2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2(1)−シクロヘキセン−1−イル)ブタンニトリル、及び実施例2で得られた2−メチル−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキセン−1−イル)−2−ブテンニトリルを用いて、表2に記載の配合組成になるように、香料を調合し、香料組成物を得た。
Figure 0006137681
表中、
フロローサは、ジボダン社商品名、4−メチル−2−(2−メチルプロピル)テトラヒドロ−2H−4−ピラノール、
ヘリオトロピンは、高砂香料工業社商品名、3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒド、
MDJは、花王株式会社商品名、ジヒドロジャスモン酸メチル、メチル (2−ペンチル−3−オソシクロペンチル)アセテートである。
評価は前記香気評価と同様にして行った。実施例3の香料組成物は、比較例3の香料組成物に比べ、フローラル−グリーン香気が強まり、よりバイオレットの花らしい香調であった。
実施例4の香料組成物は、比較例3の香料組成物に比べ、フローラル香気とバイオレット調の甘さが強まった。
[実施例5及び比較例4、5] (石鹸用香料組成物)
実施例2で得られた2−メチル−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキセン−1−イル)−2−ブテンニトリルを用いて、表3に記載の配合組成になるように、香料を調合し、香料組成物を得た。
Figure 0006137681
表中、
バクダノールは、IFF社商品名、2−エチル−4−(2,2,3−トリメチルシクロペン−1−イル)−2−ブテン−1−オール、
フロローサは、ジボダン社商品名、4−メチル−2−(2−メチルプロピル)テトラヒドロ−2H−4−ピラノール、
ヘリオトロピンは、高砂香料工業社商品名、3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒド、
イソ・イースーパーは、IFF社商品名、1−(1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−エタン−1−オン、
MDJは、花王株式会社商品名、ジヒドロジャスモン酸メチル、メチル (2−ペンチル−3−オソシクロペンチル)アセテートである。
評価は前記香気評価と同様にして行った。実施例5の香料組成物は、比較例4の香料組成物に比べ、ローズ調フローラル香気の甘さやパウダリー感が強まると同時に、香りにボリューム感が付与された。比較例5の香料組成物は、比較例4の香料組成物に比べ、ローズ調フローラル香気と果実調香気が強まった。
本発明のニトリル化合物は、香料として有用なオリス様の濃厚な甘さを持つウッディ−フローラル調の香気を有するため、香料素材として用いることができる。さらに持続性が高い。また、本発明のニトリル化合物は、他の香料と調合することでフローラルな甘さを強調することもできる。以上から、本発明のニトリル化合物を含有する香料組成物は、賦香成分として使用できる。

Claims (10)

  1. 式(I)で表されるニトリル化合物。
    Figure 0006137681
    [前記式中、
    C−3’とC−2’、およびC−2’とC−1’の間の結合のうち1つは、点線と共に二重結合を表し、
    C−4とC−3間の結合は、単結合を表し、C−3とC−2の間の結合は、点線と共に二重結合を表すか、または、C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合の両方が、単結合を表す。]
  2. 式(I)中、C−3’とC−2’、およびC−2’とC−1’の間の結合のうち1つは、点線と共に二重結合を表し、
    C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合の両方が、単結合を表す請求項1に記載のニトリル化合物。
  3. 請求項1または2に記載のニトリル化合物を含有する香料組成物。
  4. 請求項1または2に記載のニトリル化合物以外の香料を更に含有する請求項3に記載の香料組成物。
  5. 前記ニトリル化合物以外の香料が、炭化水素類、アルコール類、フェノール類、アルデヒド類、ケトン類、アセタール類、エーテル類、エステル類、カーボネート類、ラクトン類、オキシム類、ニトリル類、シッフ塩基類、含窒素化合物、含硫黄化合物、天然精油および天然抽出物のうち1種以上を含有する、請求項4に記載の香料組成物。
  6. 請求項3〜5のいずれかに記載の香料組成物を含有する洗浄剤組成物。
  7. 請求項3〜5のいずれかに記載の香料組成物を含有する化粧料。
  8. 請求項3〜5のいずれかに記載の香料組成物を含有する繊維処理組成物。
  9. 請求項1または2に記載のニトリル化合物を賦香成分として使用する方法。
  10. 式(II)で表されるオキシム化合物を脱水して式(I)で表されるニトリル化合物を得る脱水工程を有する、式(I)で表されるニトリル化合物の製造方法。
    Figure 0006137681
    [前記式(I)および(II)中、
    C−3’とC−2’、およびC−2’とC−1’の間の結合のうち1つは、点線と共に二重結合を表し、
    C−4とC−3間の結合は、単結合を表し、C−3とC−2の間の結合は、点線と共に二重結合を表すか、または、C−4とC−3、およびC−3とC−2の間の結合の両方が、単結合を表す。
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