JP6136479B2 - 複列ころ軸受用の樹脂製櫛型保持器及び複列ころ軸受 - Google Patents

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Description

本発明は、複列ころ軸受に組み込まれる樹脂製櫛型保持器、及び、樹脂製櫛型保持器を備えている複列ころ軸受に関する。
工作機械において、主軸を回転可能に支持する軸受部には、高い加工精度を維持するために高い剛性が必要とされており、このために複列ころ軸受が用いられている。さらに近年では、主軸の高速回転化が要求されていることから、高速回転に対応することのできる複列ころ軸受が求められている。
複列ころ軸受は、内輪、外輪、及び、これら内輪と外輪との間に複列状態で配置された複数のころを備えている。そして、特許文献1に示すように、列毎に複数のころを保持する独立した保持器を備えた複列ころ軸受がある。つまり、この複列ころ軸受には、保持器が二つ組み込まれている。各保持器は、円環部、及び、この円環部の一側面から軸方向に延びかつ周方向に間隔をあけて設けられている複数の柱部を備え、櫛型に構成されている。そして、周方向で隣り合う柱部の間が、ころを保持するポケットとなる。
櫛型保持器の場合、柱部が円環部から軸方向に突出している片持ち梁状であるため、柱部の先部側は、ある程度自由に変形できる。このため、例えば複列ころ軸受の回転に伴ってころの進み遅れが発生し、これによって柱部に引っ張り力と圧縮力とが繰り返し作用しても、その力を逃がすことができ、破損が生じにくい。これに対して、一対の円環部の間が柱部により連結された構成である、かご型保持器の場合、柱部は両側の円環部に固定されており変形が拘束されることから、柱部に引っ張り力と圧縮力とが繰り返し作用すると、その力を逃がし難く、櫛型保持器に比べて破損が生じやすい。
特開2012−102796号公報(図3参照)
工作機械の主軸の回転数は、低速回転から高速回転(例えば15000rpm)まで選択され、主軸は様々な回転数で回転する。そして、主軸の回転数の変化に応じて、複列ころ軸受及びこの軸受に組み込まれている保持器の回転数も変化する。
ここで、高速回転する複列ころ軸受の場合、保持器を樹脂製とし、その保持器の径方向の位置決めが外輪の内周面によって行われる「外輪案内」とするが好ましく、保持器が有する円環部の外周面が、外輪の内周面に案内される案内面となる。つまり、保持器は、円環部の外周面において、外輪の内周面によって周方向の回転が案内される。
しかし、保持器は、特に高速回転すると、遠心力によって径方向外側へ変形(拡径)するが、櫛型保持器の場合、柱部は片持ち梁状であるため遠心力によって変形しやすく、また、かご型保持器のように左右対称ではないため、回転速度の変化に応じて櫛型保持器の変形の形態も変化する。
そして、高速回転の場合、柱部の先部側における変形が特に大きくなり、その先部側が外輪の内周面に対して局所的に接近・接触し、櫛型保持器の外輪案内が不安定になることも考えられる。
そこで、本発明は、高速回転した場合であっても、外輪の内周面による案内(外輪案内)が安定して行われる樹脂製櫛型保持器、及び、このような樹脂製櫛型保持器を備えている複列ころ軸受を提供することを目的とする。
本発明は、内輪と外輪との間に複列状態で複数のころが配置される複列ころ軸受に組み込まれ、列毎に複数の前記ころを保持すると共に、前記外輪の内周面により回転が案内される樹脂製櫛型保持器であって、円環部、及び、この円環部の一側面から軸方向に延びかつ周方向に間隔をあけて設けられている複数の柱部を備え、前記円環部は、その外周に、前記外輪の内周面に案内される第一案内面を有し、前記柱部は、その径方向外側の面に、回転速度の上昇に応じて当該柱部が径方向外側へ変形することにより、前記外輪の内周面に案内される面積が当該柱部の基部側から増加する第二案内面を有していることを特徴とする。
本発明によれば、樹脂製櫛型保持器は、柱部の径方向外側の面に、外輪の内周面によって案内される第二案内面を有しており、この第二案内面では、回転速度の上昇に応じて外輪の内周面に案内される面積が柱部の基部側から増加するので、樹脂製櫛型保持器は、高速回転した状態であっても、安定して外輪に案内される。
また、前記第二案内面は、前記柱部の基部側に設けられ低速回転時に前記外輪の内周面に案内される低速案内面と、前記柱部の先部側に設けられ高速回転時に前記外輪の内周面に案内される高速案内面と、前記低速案内面と前記高速案内面との間に設けられ中速回転時に前記外輪の内周面に案内される中速案内面とを有しているのが好ましい。
この場合、樹脂製櫛型保持器の回転数が、低速、中速、高速それぞれ変化すると、外輪の内周面によって案内される第二案内面の案内領域を切り替えることができる。
また、前記第一案内面は、前記外輪の内周面に平行となる曲面からなるのが好ましい。
この場合、樹脂製櫛型保持器の回転に伴う遠心力が小さく、柱部の変形が小さくても、外輪の内周面によってこの保持器は第一案内面において安定して案内される。
また、本発明は、内輪と外輪との間に複列状態で複数のころが配置される複列ころ軸受に組み込まれ、列毎に複数の前記ころを保持すると共に、前記外輪の内周面により回転が案内される樹脂製櫛型保持器であって、円環部、及び、この円環部の一側面から軸方向に延びかつ周方向に間隔をあけて設けられている複数の柱部を備え、前記円環部は、その外周に、前記外輪の内周面に案内される案内面を有し、前記柱部の径方向外側の面は、前記案内面と連続し当該案内面から当該柱部の先部へ向かうにしたがって径方向内側へ向かう面であって、回転速度の上昇に応じて当該柱部が径方向外側へ変形すると前記外輪の内周面に案内される面積が当該柱部の基部側から増加する面であることを特徴とする。
櫛型保持器が回転すると、柱部は、片持ち梁状であるため遠心力によって径方向外側へ変形しやすく、しかも、柱部の先部側の変形量が基部側に比べて大きくなる。そこで、本発明によれば、この柱部の径方向外側の面は、先部へ向かうにしたがって径方向内側へ向かう面からなるので、回転速度の上昇に応じて柱部が径方向外側へ変形すると、この径方向外側の面において、外輪の内周面に案内される面積を柱部の基部側から増加させることが可能となる。このため、高速回転に伴う遠心力によって柱部が変形しても、柱部の径方向外側の面のうちの先部側のみが局所的に外輪の内周面に案内されるのを防ぎ、高速回転した状態であっても、樹脂製櫛型保持器は安定して外輪に案内される。
また、本発明の複列ころ軸受は、内輪と、外輪と、これら内輪と外輪との間に複列状態で配置される複数のころと、列毎に複数の前記ころを保持する複数の独立した保持器とを備え、前記保持器それぞれは、円環部、及び、この円環部の一側面から軸方向に延びかつ周方向に間隔をあけて設けられている複数の柱部を備えていると共に、前記外輪の内周面により回転が案内される樹脂製櫛型保持器であり、前記円環部は、その外周に、前記外輪の内周面に案内される第一案内面を有し、前記柱部は、その径方向外側の面に、回転速度の上昇に応じて当該柱部が径方向外側へ変形することにより、前記外輪の内周面に案内される面積が当該柱部の基部側から増加する第二案内面を有していることを特徴とする。
本発明によれば、樹脂製櫛型保持器は、柱部の径方向外側の面に、外輪の内周面によって案内される第二案内面を有しており、この第二案内面では、回転速度の上昇に応じて外輪の内周面に案内される面積が柱部の基部側から増加するので、樹脂製櫛型保持器は、高速回転した状態であっても、安定して外輪に案内される。
また、本発明の複列ころ軸受は、内輪と、外輪と、これら内輪と外輪との間に複列状態で配置される複数のころと、列毎に複数の前記ころを保持する複数の独立した保持器とを備え、前記保持器それぞれは、円環部、及び、この円環部の一側面から軸方向に延びかつ周方向に間隔をあけて設けられている複数の柱部を備えていると共に、前記外輪の内周面により回転が案内される樹脂製櫛型保持器であり、前記円環部は、その外周に、前記外輪の内周面に案内される案内面を有し、前記柱部の径方向外側の面は、前記案内面と連続し当該案内面から当該柱部の先部へ向かうにしたがって径方向内側へ向かう面であって、回転速度の上昇に応じて当該柱部が径方向外側へ変形すると前記外輪の内周面に案内される面積が当該柱部の基部側から増加する面であることを特徴とする。
櫛型保持器が回転すると、柱部は、片持ち梁状であるため遠心力によって径方向外側へ変形しやすく、しかも、柱部の先部側の変形量が基部側に比べて大きくなる。そこで、本発明によれば、この柱部の径方向外側の面は、先部へ向かうにしたがって径方向内側へ向かう面からなるので、回転速度の上昇に応じて柱部が径方向外側へ変形すると、この径方向外側の面において、外輪の内周面に案内される面積を柱部の基部側から増加させることが可能となる。このため、高速回転に伴う遠心力によって柱部が変形しても、柱部の径方向外側の面のうちの先部側のみが局所的に外輪の内周面に案内されるのを防ぎ、高速回転した状態であっても、樹脂製櫛型保持器は安定して外輪に案内される。
本発明の樹脂製櫛型保持器、及び、この樹脂製櫛型保持器を備えている複列ころ軸受によれば、回転速度の上昇に応じて柱部が径方向外側へ変形すると、この柱部の径方向外側の面において、外輪の内周面に案内される面積を柱部の基部側から増加させることができ、樹脂製櫛型保持器は、高速回転した状態であっても安定して外輪に案内される。
複列ころ軸受の縦断面図である。 保持器の斜視図である。 図2の一部を拡大して示す拡大図である。 保持器の一部を保持器の軸方向から見た図である。 図4のV−V矢視の断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、複列ころ軸受1の縦断面図である。なお、各図面において同一の構成要素に対しては同一の符号(参照番号)を付し、重複する説明は省略する。
この複列ころ軸受1は、例えば、汎用旋盤、CNC旋盤、マシニングセンタ、フライス盤等の工作機械の主軸6を支持する軸受として使用され、高速回転する主軸6を高い剛性で支持することが可能である。
主軸6の直径は例えば50〜150ミリ程度であり、主軸6の最大回転数は10000〜15000rpmとなる。そして、主軸6は、低速回転する場合や、高速回転する場合があり、また、低速又は停止状態から高速回転状態(最大回転数)へと急加速する。
本実施形態の複列ころ軸受1は、内輪2と、外輪3と、これら内輪2と外輪3との間に配置された複数のころ4と、これらころ4を保持する環状の保持器5,5とを備えている。ころ4は、複列状態(二列状態)で配置されており、保持器5,5それぞれは、列毎に独立して複数のころ4を保持している。つまり、この複列ころ軸受1には、独立した二つの保持器5,5が組み込まれている。ころ4の外周面は円筒形であり、この複列ころ軸受1は複列円筒ころ軸受である。
内輪2の外周面には、二列に配置されたころ4が転動する転動面2a,2bが形成されており、外輪3の内周面の一部が、二列のころ4が転動する転動面3a,3bとなる。そして、外輪3が工作機械の軸受ハウジング8の内周面に取り付けられており、内輪2に主軸6が挿入されている。この複列ころ軸受1はグリース潤滑されており、内輪2、外輪3、ころ4及び保持器5にはグリースが付着している。
一方側のころ列用の保持器5と他方側のころ列用の保持器5とは、複列ころ軸受1への取り付け方向が異なるが、同じものである。これら保持器5,5は、軸方向に並べて複列ころ軸受1に組み込まれており、各保持器5の軸方向に向く一側面11が、複列ころ軸受1の軸方向外側へ向くように配置され、保持器5,5の対向する環状の背面14,14同士が接触可能となる。そして、保持器5,5それぞれは独立して各ころ列と共に回転することができる。
図2は、保持器5(図1の右側の保持器5)の斜視図である。この保持器5は、櫛型保持器であり、円環形状である円環部10と、複数の柱部20とを備えている。複数の柱部20は、周方向に間隔(等間隔)をあけて設けられており、各柱部20は、円環部10の一側面11から軸方向に向かって延びて形成されている。このため、柱部20は、円環部10から突出した片持ち梁状となる。なお、一側面11の軸方向反対側の面(他側面)が前記背面14となる。背面14は、円環状の滑らかな面により構成されており、軸方向の隣りに設置される別の保持器5の背面14と接触可能となる合わせ面となる。
保持器5は、樹脂製(合成樹脂製)であり、射出成型により製造され、円環部10と柱部20とは一体に成型されている。保持器5の材質は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)や、ポリアミドとすることができる。
柱部20は周方向一定間隔おきに設けられており、円環部10の一側面11側であって周方向隣り合う柱部20,20の間に、ころを保持するポケット7が形成されている。つまり、各ポケット7は、周方向に隣接する柱部20,20の互いに対向する対向面24,24と、円環部10の一側面11とで囲まれた空間からなる。各ポケット7は、軸方向外側に向かって開口しており、保持器5は全体として櫛歯形状となる。
図3は、図2の一部を拡大して示す拡大図である。図4は、保持器5の一部を保持器5の軸方向から見た図である。図5は、図4のV−V矢視の断面図である。柱部20は、先端面36、径方向内側の面21、径方向外側の面27、及び、前記対向面24,24を有している。対向面24は、ころ4の外周面4bに対向する面である。
なお、図2に示すように、円環部10の外周面19は、径方向寸法が大きい大径部19aと、径方向寸法が大径部よりも小さい小径部19bとを有している。大径部19aは柱部20と周方向について同じピッチで複数形成されており、柱部20の径方向外側の面27と連続している。そして、大径部19aと小径部19bとは周方向で交互に形成されている。
この保持器5は、主に円環部10(図2参照)の外周面19(の一部である前記大径部19a)において、外輪3の内周面3cによって径方向について位置決めされる(外輪案内される)。つまり、この保持器5は、外輪3の内周面3cによって周方向の回転が案内される。以下、この外輪案内のための構成について説明する。
保持器5は、円環部10の外周面19と柱部20の径方向外側の面27とを含む保持器外面45に、外輪案内させるための第一案内面51及び第二案内面52を有している(図3参照)。第一案内面51は、円環部10の外周面19の一部からなり、本実施形態では前記大径部19aからなる。つまり、円環部10は、その外周の一部に、外輪3の内周面3cに案内される第一案内面51を有している。そして、第二案内面52は、柱部20の径方向外側の面27に有しており、本実施形態では、この面27の全体からなる。つまり、柱部20は、その径方向外側の面27に、外輪3の内周面3cに案内される(案内され得る)第二案内面52を有している。
第一案内面51は、外輪3の内周面3cに平行であり、内周面3cよりも少し半径の小さい円弧面(曲面)からなる。つまり、第一案内面51は、保持器5の中心線を中心とする仮想円筒面に沿って設けられている円弧面からなる。そして、この第一案内面51と内周面3cとの間に周方向で一定の径方向隙間d3が形成される(図5参照)。なお、保持器5が高速回転することで遠心力によって円環部10は僅かに径方向外側に変形(拡径)することから、前記径方向隙間d3は、この変形量を考慮して設定される。つまり、保持器5が高速回転して拡径しても、外輪3の内周面3cとの間に僅かな隙間が設けられるように、前記径方向隙間d3は設定される。
図3と図5とにおいて、柱部20の径方向外側の面27からなる第二案内面52は、第一案内面51と連続して形成されており、また、第一案内面51から柱部20の先部26へ向かうにしたがって径方向内側へ向かう面(傾斜面)からなる。このため、第二案内面52と外輪3の内周面3cとの径方向隙間d4(図5参照)は、柱部20の先端へと向かうにしたがって大きくなる。第二案内面52は、直線的な面(平面)であってもよいが、本実施形態では、先端へ向かうにしたがって傾斜角度が変化する(大きくなる)面である。なお、前記傾斜角度は、図5に示す断面において、外輪3の内周面3cに平行である第一案内面51を基準としている。
すなわち、第二案内面52は、基部25側から先部26側へ向かって、低速案内面53、中速案内面54及び高速案内面55を有しており、これら案内面53,54,55それぞれは、傾斜角度が異なっている。低速案内面53は中速案内面54よりも傾斜角度が小さく、中速案内面54は高速案内面55よりも傾斜角度が小さい。
また、第二案内面52(さらにこれに含まれる面53,54,55それぞれ)を、連続的又は段階的に傾斜角度が変化する面とすることができ、本実施形態では、連続的に傾斜角度が変化している。つまり、第二案内面52は、柱部20の基部25側から先部26側へ向けて滑らかな円弧面として形成されている。この円弧面は、単一の曲率半径からなる円弧面であってもよいが、曲率半径が異なる円弧面を複数組み合わせて成る円弧面であってもよく、本実施形態では、後者である。
保持器5は回転すると遠心力によって柱部20が径方向外側へ変形する。そして、回転速度が高まって、柱部20に作用する遠心力が大きくなり、柱部20が径方向外側へ変形すると、前記径方向隙間d4が小さくなり、柱部20の第二案内面52によって、円環部10の第一案内面51と共に、外輪案内がされる。
また、柱部20は片持ち梁状であるため、基部25側よりも先部26側の方が変形量は大きくなり、また、各部における変形量は回転数に応じて変化する。そこで、柱部20の基部25側に設けられている前記低速案内面53は、保持器5の低速回転時に、外輪3の内周面3cに接近した状態となって案内される。また、この低速案内面53と高速案内面55との間に設けられている前記中速案内面54は、保持器5の中速回転時に、外輪3の内周面3cに接近した状態となって案内される。なお、この中速回転時では、低速案内面53も内周面3cに接近した状態となって案内される。そして、柱部20の先部26側に設けられている前記高速案内面55は、保持器5の高速回転時に、外輪3の内周面3cに接近した状態となって案内される。なお、この高速回転時では、低速案内面53及び中速案内面54も内周面3cに接近した状態となって案内される。
以上より、保持器5の回転速度の上昇に応じて柱部20が径方向外側へ変形することにより、第二案内面52では、外輪3の内周面3cに案内される面積が柱部20の基部25側から増加する構成となる。
そして、保持器5が回転すると、第二案内面52(案内面53,54,55それぞれ)は遠心力によって径方向外側へ拡大され、外輪3の内周面3cとの間の径方向隙間d4が小さくなり、保持器5は外輪案内される。
また、本実施形態では、第二案内面52は、低速回転時に外輪3の内周面3cに案内される低速案内面53と、中速回転時に内周面3cに案内される中速案内面54と、高速回転時に内周面3cに案内される高速案内面54とを有しているので、回転数が、低速、中速、高速それぞれ変化すると、外輪3の内周面3cによって案内される第二案内面52の案内領域を切り替えることができる。すなわち、複列ころ軸受1内において、保持器5を低速回転から高速回転までの全域で安定して案内することが可能となる。
また、柱部20は片持ち梁状であるため遠心力によって径方向外側へ変形しやすく、しかも、柱部20の先部26側の変形量が基部25側に比べて大きくなる。そこで、本実施形態の保持器5では、前記のとおり、第二案内面52となる径方向外側の面27を、先部26へ向かうにしたがって径方向内側へ向かう面とし、回転速度の上昇に応じて柱部20が径方向外側へ変形すると、この径方向外側の面27において、外輪3の内周面3cに案内される面積を、柱部20の基部25側から増加させている。
このため、高速回転に伴う遠心力によって柱部20が変形しても、径方向外側の面27のうちの先部26側のみが局所的に外輪3の内周面3cに案内されるのではなく、全体的に内周面3cに案内されるので、高速回転した状態であっても、保持器5はがたつかずに安定して外輪3に案内される。
そして、本実施形態では、外輪案内は、円環部10の外周面19に設けられている第一案内面51においても行われる。第一案内面51は、外輪3の内周面3cに平行となる円弧面からなるため、保持器5の回転に伴う遠心力が小さく、柱部20の変形が小さくても、外輪3の内周面3cによって、保持器5はこの第一案内面51において安定して案内される。
なお、本実施形態において、低速回転とは、dmn値が0以上で500000未満であり、中速回転とは、dmn値が500000以上で1000000未満であり、高速回転とは、dmn値が1000000以上である。なお、dmn値とは、軸受のPCD(ピッチ円直径)[mm]×回転速度[min−1]である。
また、本実施形態の保持器5は樹脂製であることから、金属製(例えば黄銅製)とするよりも、回転抵抗を小さくすることができ、低騒音であり、高速回転対応性能が高い。
なお、保持器には黄銅製(銅合金製)のものがあるが、特に高速回転の環境で用いられる場合、保持器の内周面、外周面及びポケット面等が、内輪、外輪及びころに接触することで摩耗し、摩耗粉が発生する。この摩耗粉が、複列ころ軸受の潤滑用のグリース中に混入すると、グリースの潤滑性能が劣化し、軸受の焼き付きや損傷の原因になるおそれがある。しかし、本実施形態の保持器5は樹脂製であるため、前記のような摩耗粉によるグリースの潤滑性能の劣化を防ぐことができる。つまり、樹脂製の保持器5は、黄銅製のものに比べて高速回転に適している。
また、保持器5は櫛型であり、柱部20は円環部10から軸方向に突出している片持ち梁状であるため、柱部20の先部側はある程度自由に変形できる。このため、複列ころ軸受1が回転し、ころ4の進み遅れによって保持器5に引っ張り力と圧縮力とが繰り返し作用しても、その力を逃がすことができ、破損が生じにくい。
また、本発明の複列ころ軸受及び保持器は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。前記実施形態では、柱部20の第二案内面52は、先部26へ向かうにしたがって連続的に径方向内側へ向かう面として説明したが、段階的に径方向内側へ向かう面であってもよい。また、この第二案内面52に含まれる低速案内面53については、傾斜角度がゼロ、つまり、第一案内面51と同一面上に形成されていてもよい。
また、本実施形態では、第一案内面51を、円環部10の外周面19の一部である大径部19aとした場合について説明したが、外周面19の全部、つまり、周方向に連続した面としてもよい。
そして、複列ころ軸受1は、工作機械の主軸6の支持以外の用途であってもよい。
1:複列ころ軸受 2:内輪 3:外輪
3c:内周面 4:ころ 5:保持器(樹脂製櫛型保持器)
10:円環部 11:一側面 19:外周面
20:柱部 25:基部 26:先部
27:径方向外側の面 51:第一案内面 52:第二案内面
53:低速案内面 54:中速案内面 55:高速案内面

Claims (6)

  1. 内輪と外輪との間に複列状態で複数のころが配置される複列ころ軸受に組み込まれ、列毎に複数の前記ころを保持すると共に、前記外輪の内周面により回転が案内される樹脂製櫛型保持器であって、
    円環部、及び、この円環部の一側面から軸方向に延びかつ周方向に間隔をあけて設けられている複数の柱部を備え、
    前記円環部は、その外周に、前記外輪の内周面に案内される第一案内面を有し、
    前記柱部は、その径方向外側の面に、回転速度の上昇に応じて当該柱部が径方向外側へ変形することにより、前記外輪の内周面に案内される面積が当該柱部の基部側から増加する第二案内面を有していることを特徴とする複列ころ軸受用の樹脂製櫛型保持器。
  2. 前記第二案内面は、前記柱部の基部側に設けられ低速回転時に前記外輪の内周面に案内される低速案内面と、前記柱部の先部側に設けられ高速回転時に前記外輪の内周面に案内される高速案内面と、前記低速案内面と前記高速案内面との間に設けられ中速回転時に前記外輪の内周面に案内される中速案内面と、を有している請求項1に記載の複列ころ軸受用の樹脂製櫛型保持器。
  3. 前記第一案内面は、前記外輪の内周面に平行となる曲面からなる請求項1又は2に記載の複列ころ軸受用の樹脂製櫛型保持器。
  4. 内輪と外輪との間に複列状態で複数のころが配置される複列ころ軸受に組み込まれ、列毎に複数の前記ころを保持すると共に、前記外輪の内周面により回転が案内される樹脂製櫛型保持器であって、
    円環部、及び、この円環部の一側面から軸方向に延びかつ周方向に間隔をあけて設けられている複数の柱部を備え、
    前記円環部は、その外周に、前記外輪の内周面に案内される案内面を有し、
    前記柱部の径方向外側の面は、前記案内面と連続し当該案内面から当該柱部の先部へ向かうにしたがって径方向内側へ向かう面であって、回転速度の上昇に応じて当該柱部が径方向外側へ変形すると前記外輪の内周面に案内される面積が当該柱部の基部側から増加する面であることを特徴とする複列ころ軸受用の樹脂製櫛型保持器。
  5. 内輪と、外輪と、これら内輪と外輪との間に複列状態で配置される複数のころと、列毎に複数の前記ころを保持する複数の独立した保持器と、を備え、
    前記保持器それぞれは、円環部、及び、この円環部の一側面から軸方向に延びかつ周方向に間隔をあけて設けられている複数の柱部を備えていると共に、前記外輪の内周面により回転が案内される樹脂製櫛型保持器であり、
    前記円環部は、その外周に、前記外輪の内周面に案内される第一案内面を有し、
    前記柱部は、その径方向外側の面に、回転速度の上昇に応じて当該柱部が径方向外側へ変形することにより、前記外輪の内周面に案内される面積が当該柱部の基部側から増加する第二案内面を有していることを特徴とする複列ころ軸受。
  6. 内輪と、外輪と、これら内輪と外輪との間に複列状態で配置される複数のころと、列毎に複数の前記ころを保持する複数の独立した保持器と、を備え、
    前記保持器それぞれは、円環部、及び、この円環部の一側面から軸方向に延びかつ周方向に間隔をあけて設けられている複数の柱部を備えていると共に、前記外輪の内周面により回転が案内される樹脂製櫛型保持器であり、
    前記円環部は、その外周に、前記外輪の内周面に案内される案内面を有し、
    前記柱部の径方向外側の面は、前記案内面と連続し当該案内面から当該柱部の先部へ向かうにしたがって径方向内側へ向かう面であって、回転速度の上昇に応じて当該柱部が径方向外側へ変形すると前記外輪の内周面に案内される面積が当該柱部の基部側から増加する面であることを特徴とする複列ころ軸受。
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