JP6136326B2 - リチウムイオン二次電池用正極材料及びその製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用正極材料及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、特に、リチウムイオン二次電池の正極材として有用な炭素皮膜を有するリチウムマンガン系複合酸化物とその製造方法に関する。
近年、多様な機器やシステムの発展により、動力源としての蓄電池の高性能化が期待されている。特にリチウムイオン電池は、携帯通信機器、ノート型パソコン等の電子機器の電源を担う二次電池として広く普及している。また、環境負荷低減の観点から、自動車のモータ駆動用バッテリや定置型蓄電池も急激に期待され、更なる高容量化が求められている。
リチウムイオン電池では、正極材として主にリチウムコバルト酸化物(LiCoO)が用いられているが、希少金属であるコバルトを多量に含むため、リチウムイオン電池のコストを上げる要因の一つになっている。特に車載用等への使用では電池の大型化が進むため、コストの高いLiCoOを使用するのは困難である。
リチウムコバルト酸化物の代替材料として、安価で資源的に豊富な元素からなる材料であるリチウムニッケル酸化物(LiNiO)、リチウムマンガン酸化物(LiMn)等が使用されることがある。しかしながら、LiNiOは、充電時電池の安全性を低下させてしまうという課題がある。また、LiMnは高温での充放電時に3価のMnが電解液中に溶出し、電池特性を劣化させてしまうことがある。
リチウムイオン二次電池の高容量化及び低コスト化の課題を解決するために、LiMnO系の層状Li過剰正極が検討されている。特許文献1には、Mnの溶出を防ぐためにTiを含むリチウムマンガン系複合酸化物が記載されている。特許文献2には、更なる低コスト化のため、Feを含むリチウムフェライト系複合酸化物が記載されている。特許文献3には、マンガン化合物、鉄化合物およびニッケル化合物を用いて製造されるリチウムフェライト系複合酸化物の製造方法が記載されている。特許文献4には、ピレン等のベンゼン環4個からなる有機化合物を用いて電極材料の粒子の表面に炭素をコーティングする方法が記載されている。
特許第4963059号公報 特許第3940788号公報 特開2006−036621号公報 特開2009−245762号公報
しかしながら、上記特許文献に記載の方法では、層状Li過剰正極で問題となりやすい低い放電特性、及び低い耐久性の問題を克服するには不十分であり改善の余地があった。本発明は、これら問題点を改善できる正極材を提供することを目的とする。
本実施形態の一は、組成式Li1+x(FeNiMn1−y−z1−x(0<x<1/3,0≦y,z<0.6)で表されるリチウムマンガン系複合酸化物の表面の少なくとも一部が炭素皮膜によって被覆されていることを特徴とする炭素皮膜を有するリチウムマンガン系複合酸化物に関する。
本実施形態の炭素皮膜を有するリチウムマンガン系複合酸化物を正極材として用いると、放電レート特性が高く、かつ、サイクル特性が高いリチウムイオン二次電池を提供することができる。
本実施形態の炭素皮膜を有するリチウムマンガン系複合酸化物の製造方法の概要の一例を示す図である。
本実施形態のリチウムマンガン系複合酸化物は、下記式(1):
Li1+x(FeNiMn1−y−z1−x 式(1)
(式(1)中、0<x<1/3,0≦y,z<0.6である)
で表されるリチウムマンガン系複合酸化物の表面の少なくとも一部が炭素皮膜によって被覆されている。
式(1)で表される化合物は、Li過剰のリチウムマンガン系複合酸化物である。式(1)中、yは0≦yであり、0.1<yであることが好ましく、0.1<y≦0.5であることがより好ましい。また、zはz<0.6であり、z<0.2であることが好ましく、0であってもよい。
本実施形態において、式(1)で表されるリチウムマンガン系複合酸化物の表面の少なくとも一部(全部を含む)は、炭素皮膜により被覆されている。リチウムマンガン系複合酸化物が炭素皮膜を有することにより、これをリチウムイオン二次電池の電極材として用いた場合、放電容量およびサイクル特性が向上する。これは、炭素皮膜により、導電性が付与されて放電特性が向上し、さらに、金属等の溶出が抑制されることにより、耐久性が向上したからであると思われる。
なお、本明細書において、「式(1)で表されるリチウムマンガン系複合酸化物」のことを、単に「リチウムマンガン系複合酸化物」と記載することがある。また、「ポルフィリン化合物および/またはフタロシアニン化合物」のことを、単に「ポルフィリン化合物等」と記載することがある。
図1に、本実施形態の炭素皮膜を有するリチウムマンガン系複合酸化物の製造方法の一例を示す。
図1においては、まず、溶媒中にポルフィリン化合物および/またはフタロシアニン化合物を分散させてポリフィン化合物等の溶液を製造した後、式(1)で表されるLi過剰のリチウムマンガン系複合酸化物を加える(図1の(a))。そして、リチウムマンガン系複合酸化物を超音波等により溶液中に分散させた後吸引ろ過することにより、ポルフィリン化合物等が表面の一部または全部に吸着したリチウムマンガン系複合酸化物が得られる(図1の(b)(吸着工程))。上記ポルフィリン化合物は平面分子であり、窒素を含んでいるため、リチウムマンガン系複合酸化物の表面に、窒素分子が起点となり効率的に吸着することができる。
続いて、不活性雰囲気下において、例えば600℃で熱処理することで、リチウムマンガン系複合酸化物に吸着したポルフィリン化合物等が熱分解し、リチウムマンガン系複合酸化物と融合して融合体を形成する(図1の(c)(熱処理工程))。この融合体においては、リチウムマンガン系複合酸化物の表面に炭化物(第一の炭素皮膜)が形成されている。
本実施形態においては、さらに、炭素源を使用して化学気相蒸着法(CVD法)等によりリチウムマンガン系複合酸化物に第二の炭素皮膜を形成させてもよい(図1の(d)(CVD工程))。この際には、リチウムマンガン系複合酸化物の表面に形成された上記第一の炭素皮膜である炭化物が起点となり、第二の炭素皮膜が効率よく積層される。
吸着工程において用いるポルフィリン化合物およびフタロシアニン化合物は、それぞれ、金属を有しない化合物であっても金属を含有する錯体であってもよい。なお、本明細書においては、「金属を含有しないポルフィリン化合物」および「金属を含有しないフタロシアニン化合物」のことを、それぞれ、単に「ポルフィリン錯体」および「フタロシアニン錯体」と記載することもある。金属を含有するポルフィリン錯体または金属を含有するフタロシアニン錯体(以下、「金属含有錯体」と記載することもある)において、配位する金属としては、Fe、Co、Ni、Cu、Mgなどが挙げられる。本実施形態においては、金属を含有しないポルフィリン錯体、金属を含有しないフタロシアニン錯体、金属を含有するポルフィリン錯体、および金属を含有するフタロシアニン錯体から選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましく、これらから選ばれる二種以上を併用してもよい。また、ポルフィリン化合物およびフタロシアニン化合物は置換基を有していてもよい。置換基としては、特に限定はされないが、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、メチル基、エチル基等が挙げられる。
ポルフィリン化合物および/またはフタロシアニン化合物をリチウムマンガン系複合酸化物の表面に吸着させる方法としては、液相法または気相法を挙げることができるが、液相(溶媒)中で、ポルフィリン化合物等をリチウムマンガン系複合酸化物の表面に吸着させる方法が好ましい。例えば、ポルフィリン化合物等が溶解した溶液中にリチウムマンガン系複合酸化物を分散させて混合してもよいし、溶媒中に、ポルフィリン化合物等とリチウムマンガン系複合酸化物を一緒に加えて混合してもよい。また、ポルフィリン化合物等とリチウムマンガン系複合酸化物とを混合した後、濃縮乾固法や含浸法等の手法を用いてもよいし、吸引ろ過して溶媒を除去してもよい。このポルフィリン化合物等の吸着の際に用いる溶媒としては水系溶媒、有機溶媒系などを使用することができる。有機溶媒系としては、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル、ジクロロメタンなどが好ましい。水系溶媒としては、硫酸、硝酸、塩酸等が好ましい。
吸着工程におけるポルフィリン化合物等とリチウムマンガン系複合酸化物との混合比は特に限定はされないが、質量比で、0.1:99.9〜20:80が好ましく、1:99〜10:90がより好ましい。溶媒の使用量は、特に限定はされないが、ポルフィリン化合物等と溶媒との合計質量に対して、ポルフィリン化合物等の質量濃度が1〜20質量%となるように用いることが好ましい。
吸着工程の後に行う熱処理工程により、リチウムマンガン系複合酸化物の表面の少なくとも一部に第一の炭素皮膜が形成される。熱処理工程は、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下、窒素雰囲気下、水素雰囲気下もしくはそれらのガスのうち2種以上を組み合わせた雰囲気下、または、真空雰囲気下で行うことが出来る。この場合、加熱処理温度は400〜900℃の範囲が好ましく、500〜650℃の範囲がより好ましい。加熱温度が低すぎると、ポルフィリンが分解することができない場合がある。また、加熱温度が高すぎると、リチウムマンガン系複合酸化物が溶融してしまい肥大化してしまう場合がある。また、熱処理時間は、特に限定されないが、20分以上が好ましく、30分以上が好ましく、60分以上がより好ましく、3時間以下が好ましい。
本実施形態においては、上記熱処理後に、リチウムマンガン系複合酸化物上にさらに第二の炭素皮膜を形成させてもよい。第二の炭素皮膜を有するリチウムマンガン系複合酸化物を正極材として用いると、より放電特性およびサイクル特性の高いリチウムイオン二次電池を製造することができる。第二の炭素皮膜の形成は、例えば、スパッタ、アーク蒸着、化学蒸着などで行うことができる。特に化学蒸着である化学気相堆積法(CVD法)が蒸着温度、蒸着雰囲気を制御しやすく好ましい。
CVD法を用いる場合、例えば、上記によりポルフィリンを吸着させたリチウムマンガン系複合酸化物を熱処理した試料(すなわち、第一の炭素皮膜を有するリチウムマンガン系複合酸化物)を、アルミナや石英のボート等に入れるか、またはガス中に浮遊もしくは搬送する方法を挙げることができる。
CVD反応における炭素源化合物としては、熱分解により炭素を生成するものであれば、適宜選択できる。炭素源化合物としては、例えば、メタン、エタン、エチレン、アセチレン等の炭化水素化合物やメタノール、エタノール、ベンゼン、トルエン等の有機溶媒、CO等を使用できる。また、雰囲気ガスとしては、アルゴン等の不活性ガス、窒素ガス、あるいはこれらと水素との混合ガスを使用することができる。CVD反応における温度は、400〜900℃にすることが好ましい。また、CVD処理を行う時間は特に限定されないが、5分以上が好ましく、20分以上がより好ましく、3時間以下が好ましい。
CVD反応を行う際の、炭素源及び雰囲気ガスの流量は、特に限定はされないが、1mL/min〜10L/minの範囲であることが好ましい。炭素源の流量は10mL/min〜500mL/minであると、より均一に被膜することができるので好ましい。また、雰囲気ガスの流量は100mL/min〜1000mL/minの範囲がより好ましい。圧力は、10〜10000Torrの範囲であることが好ましく、400〜850Torrであることがより好ましい。
本実施形態により得られる炭素皮膜を有するリチウムマンガン系複合酸化物において、炭素含有量(第二の炭素皮膜を有する場合は第一の炭素皮膜と第二の炭素皮膜を構成する炭素の合計含有量)は、炭素皮膜を有するリチウムマンガン系複合酸化物の全質量に対して0wt%より大きく10wt%以下であることが好ましい。炭素含有量が多すぎると容量が減少するため実用的ではない。この炭素含有量は、例えば、試料を酸素雰囲気下で炭素成分を400〜500℃付近で燃焼させて重量を測定し、減少した重量から算出することができる。
本実施形態においては、上記で得られた炭素皮膜を有するリチウムマンガン系複合酸化物をリチウムイオン二次電池の電極材、好ましくは正極材(正極活物質)として用いることができる。本実施形態において、正極は、上記で得られた正極材と、バインダ、および必要に応じて導電助材を含む正極活物質層を、正極集電体上に形成することにより製造することができる。
導電助材としては、黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、グラフェンシートなどが挙げられ、一種を単独で用いてもよいしこれらのうち二種以上の混合物を用いてもよい。
バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミドが挙げられる。正極に使用するバインダの量は、正極材(正極活物質)100質量部に対して2〜10質量部が好ましい。
本実施形態においては、負極、本発明の正極材を含む正極、電解質、およびセパレータ等の使用により、リチウムイオン二次電池を作製することができる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池の一態様としては、アルミニウム箔等の金属からなる正極集電体と、その上に設けられた本実施形態の正極材を含む正極活物質層とから形成される正極、及び銅箔等の金属からなる負極集電体と、その上に設けられた負極活物質を含有する負極活物質層とから形成される負極を有する。正極および負極は、正極活物質層と負極活物質層とが対向するように、不織布やポリプロピレン微多孔膜などからなるセパレータを介して積層されている。この電極対は、アルミニウムラミネートフィルム等の外装体で形成された容器内に収容されている。正極集電体には正極タブが接続され、負極集電体には負極タブが接続され、これらのタブは容器の外に引き出されている。容器内には電解液が注入され封止される。複数の電極対が積層された電極群が容器内に収容された構造とすることもできる。
電解液としては、非水溶媒中、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiAlO,LiAlCl、LiSbF、LiSCN、LiCl,LiCFSO等のリチウム塩の電解質を含む非水溶液を用いることができる。これら電解質は1種を単独で用いてもよく、または、2種以上を混合したものを用いてもよい。
電解液の非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどが挙げられ、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
負極活物質としては、黒鉛を代表とする炭素材、シリコン、及びその化合物を使用でき、これらのうち二種以上を混合して用いてもよい。
以下に実施例を示し、本発明について説明するが、以下の例によって本発明が限定されることはない。
(製造例1)
金属を含有しないポルフィリン錯体(6mg)をTHF(テトラヒドロフラン)(20ml)に溶かした後、Li1.26Mn0.52Fe0.22(試料A)(400mg)を混ぜ、超音波処理により分散させた。その後、フィルター処理で試料を回収し、100℃、窒素雰囲気下、12時間乾燥させた。これにより得られた試料を電気炉に入れ、Ar雰囲気下(500ml/min)で、600℃、30分で熱処理を行い、試料Bを得た。酸素雰囲気下での熱重量分析の結果、炭素の成分は400℃付近で燃焼し、重量の減少値から、試料B全体に対して2wt%の炭素に吸着していることが分かった。
(製造例2)
製造例1で作製した試料Bを、電気炉でAr雰囲気下、700℃に加熱し、トルエンを炭素源にしてArガスでバブリングすることでCVDを15分間行い、試料Cを得た。この時、Arの流量は、300ml/minで行った。CVD後の試料Cについて酸素雰囲気下での熱重量分析を行った。その結果、炭素の成分は400℃〜500℃付近で燃焼し、重量減少から試料C全体に対して4wt%の炭素が吸着していることが分かった。
(比較例1)
未処理のLi1.26Mn0.52Fe0.22(試料A)を正極材として、バインダであるPVdFと、導電助材であるカーボンブラックとを質量比が(正極材:バインダ:導電助材=94:4:2)となるように混合し、溶媒としてN−メチル−2−ピロリジノンを使ってペーストを作製した。得られたペーストを集電体用のAl箔に厚さ70μmで塗布した。その後、これを120℃で1時間乾燥させた後、ローラプレスにより電極を加圧成形し、2cmに打ち抜き正極とした。対極は、黒鉛を使用した。電解液はLiPFを、体積比で4:6のエチレンカーボネートとジメチルカーボネートに1Mで混合した。セパレータは、厚さ30μmのポリエチレン製多孔質フィルムを用いて、評価用のリチウムイオン二次電池セルを作製した。得られたリチウムイオン二次電池セルを充放電試験機にセットし、電圧が4.8V〜2.0Vの領域で充放電を行った。5mA/g、20mA/g、40mA/gの電流量で放電した結果を、それぞれ表1に示す。また、20サイクル後の容量維持率(初回の放電容量に対する20サイクル後の放電容量)も表1に示す(4.5〜2.0V、30℃)。
(実施例1)
正極材として、試料Aに代えて、ポルフィリン錯体吸着後に熱処理したLi1.26Mn0.52Fe0.22(製造例1により得られた試料B)を用いた以外は比較例1と同様にリチウムイオン二次電池セルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
正極材として、試料Aに代えて、熱処理後にCVDによりさらに炭素被膜を蒸着したLi1.26Mn0.52Fe0.22(製造例2により得られた試料C)を用いた以外は比較例1と同様にリチウムイオン二次電池セルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006136326
正極材として、炭素をコートした試料Bまたは試料Cを用いることにより、炭素をコートしていない試料Aを用いた場合に比べて放電容量の低下が改善していることが分かった。また、実施例1と実施例2の結果から、CVDで炭素をコートして、第二の炭素皮膜を形成させた実施例2の方が、より特性が高いことが示された。20サイクル後の容量維持率も試料A<試料B<試料Cの順に改善した。これは、金属などの溶出が炭素皮膜により抑制されている結果であると思われる。
(製造例3)
Ni−ポルフィリン錯体(6mg)をTHF(20ml)に溶かした後、Li1.26Mn0.52Fe0.22(試料A)(400mg)を混ぜ、超音波処理により分散させた。その後、フィルター処理で試料を回収し、100℃、窒素雰囲気下、12時間で乾燥させた。得られた試料を電気炉に入れ、Ar雰囲気下(500ml/min)で、600℃、30分で熱処理を行い、試料B’を得た。酸素雰囲気下での熱重量分析の結果、炭素の成分は400℃付近で燃焼し、重量減少から試料B’全体に対して2wt%の炭素が吸着していることが分かった。また、SEM/EDXで評価したところ、SEM観察からは、表面形態はポルフィリン錯体中のNiの有無で大きな変化がなかった。しかしながら、EDX結果からNiが検出され、表面にNi化合物が存在していることが分かった。
(製造例4)
製造例3で作製した試料B’を電気炉で、Ar雰囲気下で700℃に加熱し、トルエンを炭素源にしてArガスでバブリングすることでCVDを15分間行い、試料C’を得た。この時、Arの流量は、300ml/minで行った。CVD後の試料C’について酸素雰囲気下での熱重量分析を行った。その結果、炭素の成分は400℃〜500℃付近で燃焼し、重量減少から、試料C’全体に対して4wt%の炭素が吸着していることが分かった。
正極材として、未処理のLi1.26Mn0.52Fe0.22(試料A)、Ni−ポルフィリン錯体吸着後に熱処理したLi1.26Mn0.52Fe0.22(試料B’)、熱処理後にCVDによりさらに第二の炭素被膜を蒸着したLi1.26Mn0.52Fe0.22(試料C’)を使用して、上記比較例1と同様に評価用のリチウムイオン二次電池セルを作製し、評価を行った。試料B’および試料C’を用いた場合は、それぞれ、実施例1および実施例2とほぼ同様の結果が得られた。したがって、Ni−ポルフィリン錯体を用いて炭素皮膜を形成させた正極材を用いた場合も、炭素皮膜を有しない正極材を用いる場合と比べて、電池特性を向上させる効果が得られることがわかった。
(製造例5)
試料Aに代えてLi1.2Mn0.5Ni0.3(試料D)を用いた以外は、製造例1と同様にして、試料Dにポルフィリン錯体を吸着させ熱処理した試料Eを得た。
(製造例6)
試料Bに代えて製造例5で得られた試料Eを用いた以外は、製造例2と同様にして、試料EにCVDにより炭素被膜させた試料Fを得た。
(比較例2)
正極材として、試料Aに代えて、試料Dを用いた以外は比較例1と同様にリチウムイオン二次電池セルを作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例3)
正極材として、試料Aに代えて、試料Eを用いた以外は比較例1と同様にリチウムイオン二次電池セルを作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例4)
正極材として、試料Aに代えて、試料Fを用いた以外は比較例1と同様にリチウムイオン二次電池セルを作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0006136326
リチウムマンガン系複合酸化物として、試料AはFeを含有していているが、試料DはNiを含有しているため、比較例2、実施例3および実施例4は、それぞれ、比較例1、実施例1および実施例2と比べて容量はいずれも増加しているが、レート特性と容量維持率の関係は同様の傾向にあることが示された。
(付記)なお、本実施形態においては、以下の態様も好ましい。
(付記1)組成式Li1+x(FeNiMn1−y−z1−x(0<x<1/3,0≦y,z<0.6)で表されるリチウムマンガン系複合酸化物と、ポルフィリン化合物および/またはフタロシアニン化合物とを溶媒中で混合し、不活性雰囲気、窒素雰囲気、および水素雰囲気ならびにそれらのうち2種以上の混合雰囲気下、または真空雰囲気下で、温度が400℃以上900℃以下で加熱して第一の炭素皮膜を形成させる工程を含むことを特徴とする炭素皮膜を有するリチウムマンガン系複合酸化物の製造方法。
(付記2)さらに、化学気相蒸着法により第二の炭素皮膜を形成させる工程を含むことを特徴とする付記1に記載の炭素皮膜を有するリチウムマンガン系複合酸化物の製造方法。
(付記3)付記1または2に記載の製造方法により製造された炭素皮膜を有するリチウムマンガン系複合酸化物と、バインダと、導電助材とを混合する工程を含むリチウムイオン二次電池用正極の製造方法。
(付記4)電極素子と電解液と外装体とを有するリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
付記3に記載の製造方法により製造されたリチウムイオン二次電池用正極と、負極とを対向配置して電極素子を作製する工程と、
前記電極素子と、電解液とを外装体の中に封入する工程と、
を含むことを特徴とする、リチウムイオン二次電池の製造方法。

Claims (10)

  1. 下記式(1):
    Li1+x(FeNiMn1−y−z1−x 式(1)
    (式(1)中、0<x<1/3,0≦y≦0.50≦z<0.6,1−y−z>0である)
    で表されるリチウムマンガン系複合酸化物の表面の少なくとも一部が、金属含有ポルフィリン錯体に由来する金属および/または金属含有フタロシアニン錯体に由来する金属を含む炭素皮膜によって被覆されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池正極材用の炭素皮膜を有するリチウムマンガン系複合酸化物。
  2. 前記金属含有ポルフィリン錯体に由来する金属および/または金属含有フタロシアニン錯体に由来する金属が、Fe、Co、Ni、CuおよびMgから選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池正極材用の炭素皮膜を有するリチウムマンガン系複合酸化物。
  3. 炭素の含有量が、炭素皮膜を有するリチウムマンガン系複合酸化物の全質量に対して10wt%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池正極材用の炭素皮膜を有するリチウムマンガン系複合酸化物。
  4. ポルフィリン化合物および/またはフタロシアニン化合物を、式(1):
    Li1+x(FeNiMn1−y−z1−x 式(1)
    (式(1)中、0<x<1/3,0≦y≦0.50≦z<0.6,1−y−z>0である)
    で表されるリチウムマンガン系複合酸化物の表面上に吸着させる工程(吸着工程)と、
    前記吸着工程により得られたポルフィリン化合物および/またはフタロシアニン化合物が吸着したリチウムマンガン系複合酸化物を加熱して第一の炭素皮膜を形成する工程(熱処理工程)とを含む、リチウムイオン二次電池正極材用の炭素皮膜を有するリチウムマンガン系複合酸化物の製造方法。
  5. 前記ポルフィリン化合物は、金属を含有しないポルフィリン錯体および金属含有ポルフィリン錯体から選ばれる少なくとも一種であり、
    前記フタロシアニン化合物は、金属を含有しないフタロシアニン錯体および金属含有フタロシアニン錯体から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項に記載のリチウムイオン二次電池正極材用の炭素皮膜を有するリチウムマンガン系複合酸化物の製造方法
  6. さらに、化学気相蒸着法により第二の炭素皮膜を形成する工程を含むことを特徴とする請求項4または5に記載のリチウムイオン二次電池正極材用の炭素皮膜を有するリチウムマンガン系複合酸化物の製造方法。
  7. 前記熱処理が、不活性雰囲気、窒素雰囲気、および水素雰囲気ならびにそれらのうち2種以上の混合雰囲気下、または真空雰囲気下で、温度が400℃以上900℃以下で行われことを特徴とする請求項のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池正極材用の炭素皮膜を有するリチウムマンガン系複合酸化物の製造方法
  8. 前記化学気相蒸着法における温度は、400℃以上900℃以下であることを特徴とする請求項またはに記載のリチウムイオン二次電池正極材用の炭素皮膜を有するリチウムマンガン系複合酸化物の製造方法
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池正極材用の炭素皮膜を有するリチウムマンガン系複合酸化物を正極材として含むリチウムイオン二次電池用正極。
  10. 請求項に記載のリチウムイオン二次電池用正極を有するリチウムイオン二次電池。
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