JP6127013B2 - 釣り用のスプール - Google Patents
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Description
また、スプールには、胴部のほかに、胴部の一端から立ち上がるフランジ部と、フランジ部の外周端から胴部と反対側に延びるスカート部と、が設けられている。
たとえば、下記特許文献1によれば、内金型にプリプレグシートを巻装し、プリプレグシートを加圧加熱成形することで、胴部とフランジ部とスカート部とが一体に形成されたスプール本体を製造することが提案されている。
以下、スプール本体において、胴部とフランジ部とがなす角部を「内周側角部」と称し、フランジ部とスカート部とがなす角部を「外周側角部」と称し、「内周側角部」と「外周側角部」とを総称して単に「角部」と称する場合がある。
一方で、胴部とスカート部がプリプレグシートにより形成されているため、全体が金属材料で形成された従来のスプールよりも軽量化されている。
しかしながら、前記構成によれば、フランジ部の剛性を向上させることができるため、フランジ部に大きな荷重が作用しても、フランジ部が破損するおそれが極めて少ない。
本実施形態の魚釣用リール1は、図1に示すように、スピニングリールであり、リール本体2と、リール本体2の前方に回転可能に設けられたロータ3と、リール本体2の前方に前後動可能に設けられたスプール10と、を主として備えている。
なお、以下の説明において、「前後」を言うときは、図1に示した方向を基準とする。
さらに、ロータ3の回転運動に同期してスプール10が前後動するため、釣り糸は、スプール10の外周面上に均等に巻回される。
また、ベール7を図1に示す巻取り位置から反対側に倒し、釣り糸の放出を阻害しない位置に保持することで、例えばキャスティングのときに、スプール10から釣り糸を放出することができる。
前壁部材12は、金属材料で形成され、円板状を呈している。前壁部材12の後端部がスプール本体11の前端開口部に嵌め込まれ、接着材により固定されている。
また、スプール本体11は、図2(a)、(b)に示すように、円錐台状の胴部13と、胴部13の後方に配置された円筒状の中間部材50と、中間部材50を覆う円筒状のスカート部15と、の3つの部材から構成されている。
胴部13は、図3(a)に示すように、前端部から後端部に向かうに従って漸次拡径し、胴部13の外周面13aが円錐台形状(テーパ状)になっている。このため、釣り糸の放出がスムーズになっている。
胴部13は、複数のプリプレグシートSを積層させてなる積層構造であり、プリプレグシートSが単層の場合よりも強度が向上している。
具体的には、実施形態の胴部13は、四枚の本体用シート121〜124(図6(d)参照)および二枚の外装用シート131,132(図7(c)参照)を重ね巻いた積層体を加熱成形することで形成されている。
なお、図3における胴部13は、積層状態を分かり易く説明するため、一枚の本体用シートと、一枚の外装用シートから積層された状態を図示している。
そして、シートS1から切り出された各本体用シート121〜124は、繊維方向SFが同一になる。因みに、本実施形態の各本体用シート121〜124では、長手方向の一端の縁部121b〜124bと繊維方向SFとが直交し、他端の縁部121c〜124cと繊維方向SFとが斜めに交差している。
本実施形態の各外装用シート131,132は、エポキシ樹脂に炭素繊維を含有させたプリプレグシートを用いて形成されている。
各外装用シート131,132は、各本体用シート121〜124(図4(a)参照)と同様に、一枚のシートS2から切り出されており、繊維方向SFが同一である。
本実施形態の各外装用シート131,132では、長手方向の一端の縁部131b,132bと繊維方向SFとが直交および平行し、他端の縁部131c、132cと繊維方向SFとが斜めに交差している。
中間部材50は、図3(a)に示すように、胴部13の外周面13aよりも径方向外側に延在する円周状のフランジ部14と、フランジ部14の内周端から前方に延びる小径接合部16と、フランジ部14の外周端から後方に延びる大径接合部17と、を有している。
図3(a)に示すように、小径接合部16の外径が、胴部13の後端の内径と同一径に形成され、小径接合部16の外周面に、胴部13の後端の内周面が接合されている。このため、胴部13と中間部材50とが一体になるとともに、胴部13とフランジ部14が直交し、スプール本体11の内周側角部20が形成される。
なお、図3(b)に示すように、胴部13の内周面の後端側には、上方に窪む凹部13cが形成され、この凹部13cに小径接合部16が収容されており、胴部13の内周面と小径接合部16の内周面とが面一になっている。
また、胴部13の外周面13aとフランジ部14の前面14aとが連続することにより、胴部13の外周面13aに対し、フランジ部14の前面14aが径方向外側に立ち上がるようになる。このため、胴部13の外周面13aに沿って後方に移動した釣り糸がフランジ部14の前面14aに係止し、胴部13から釣り糸が脱落しないようになっている。
図3(a)、(b)に示すように、スカート部15の内径は、大径接合部17の外径と同一径に形成され、スカート部15の内周面に大径接合部17の外周面が接合されている。
これにより、スカート部15と中間部材50とが一体になるとともに、フランジ部14とスカート部15が直交し、スプール本体11の外周側角部21が形成される。
さらに、スカート部15が中間部材50と一体になることで、スカート部15がフランジ部14の前面14aの外周端から後方に延び、釣り糸が後方側から回り込んで胴部13の内周側に入り込むことを防止する役割を果たす。
よって、スカート部15の内周側には、金属部材からなり強度を有する大径接合部17が配置されるため、スカート部15は、外装用のプリプレグシートSのみで形成され、単層となっている。
図6(a)〜(d)および図7(b),(c)では、各本体用シート121〜124および各外装用シート131,132の積層状態を分かり易く説明するために、各本体用シート121〜124および各外装用シート131,132の厚みを誇張して示している。
また、内金型Mの大径側に中間部材50を外嵌して、中間部材50の小径接合部16が内金型Mの小径側を向くように配置する。
第一本体用シート121の両端部を重ね合わせた接合部121aでは、図4(c)に示すように、両端部の繊維方向SF,SFが交差する。
これにより、第二本体用シート122の両端部を重ね合わせた接合部122aは、第一本体用シート121の接合部121aに対して周方向に90度ずれた位置に配置される。
なお、第二本体用シート122の接合部122aにおいて繊維方向SF,SFが交差する角度は、第一本体用シート121の接合部121a(図4(c)参照)において繊維方向SF,SFが交差する角度と同じになる。
Eの位置は、Cの位置に対して周方向(図6(c)の右回り)に90度ずれた位置である。したがって、第三本体用シート123の接合部123aは、第二本体用シート122の接合部122aに対して周方向に90度ずれた位置に配置される。
第三本体用シート123の接合部123aにおいて繊維方向SF,SFが交差する角度は、第一本体用シート121の接合部121a(図4(c)参照)において繊維方向SF,SFが交差する角度と同じになる。
Gの位置は、Eの位置に対して周方向(図6(d)の右回り)に90度ずれた位置である。したがって、第四本体用シート124の接合部124aは、第三本体用シート123の接合部123aに対して周方向に90度ずれた位置に配置される。
第四本体用シート124の接合部124aにおいて繊維方向SF,SFが交差する角度は、第一本体用シート121の接合部121a(図4(c)参照)において繊維方向SF,SFが交差する角度と同じである。
続いて、図7(b)に示すように、各本体用シート121〜124の積層体の外周面に第一外装用シート131を巻き付ける。このとき、Bの位置から第一外装用シート131を巻き始め、Bの位置において第一外装用シート131の両端部を重ね合わせる。Bの位置は、Aの位置に対して周方向(図7(b)の右回り)に45度ずれた位置である。
第一外装用シート131の接合部131aでは、第一外装用シート131の両端部の繊維方向SF,SFが交差する。
Fの位置は、Bの位置に対して周方向(図7(c)の右回り)に180度ずれた位置である。したがって、第二外装用シート132の接合部132aは、第一外装用シート131の接合部131aに対して周方向に180度ずれた位置に配置される。
第二外装用シート132の接合部132aにおいて繊維方向SF,SFが交差する角度は、第一外装用シート131の接合部131aにおいて繊維方向SF,SFが交差する角度と同じである。
これにより、四枚の本体用シート121〜24および二枚の外装用シート131,132を径方向に積層した胴部13(図3(a)参照)が形成される。
また、スプール本体11の外周側角部21は、フランジ部14と大径接合部17とにより構成される。そして、これらの角部(内周側角部20、外周側角部21)は、金属部材からなる中間部材50で形成され、高い強度を有している。
一方で、胴部13とスカート部15がプリプレグシートSにより形成されているため、全部が金属材料で形成された従来のスプール本体よりも軽量化されている。
このため、スプール本体11は、耐久性、安全性に優れ、かつ、魚釣用リール1の操作性を向上させることができる。
このため、荷重が作用した場合の胴部13とスカート部15との変形の度合いも異なり、胴部13とスカート部15とを連結するフランジ部14には、大きな荷重が作用する。
しかしながら、実施形態に係るスプール10によれば、フランジ部14は、軸方向(前後方向)の厚みL1が肉厚となっており、フランジ部14の剛性が向上している。
このため、フランジ部14は、大きな荷重が作用しても破損し難くなっており、スプール本体11の耐久性、安全性が極めて優れている。
さらに、図7(a)に示すように、各外装用シート131,132も同一の円弧形状かつ同一の繊維方向SFである。したがって、各外装用シート131,132の接合部131a,132a(図7(c)参照)においても繊維が同じ重なり方となり、繊維が交差する角度が同一になる。
そして、図6(d)および図7(c)に示すように、各本体用シート121〜124の各接合部121a〜124aおよび各外装用シート131,132の各接合部131a,132aは、胴部13(図2(a)参照)の周方向に等間隔に配置されている。
また、実施形態に係る中間部材50の内周側が何ら被覆されていないが、プリプレグシートSにより被覆してもよい。
この構成では、図8(c)に示すように、接合部121aにおける繊維方向SFの角度と、接合部121aに隣接する壁部における繊維方向SFの角度とが同一になる。したがって、接合部121aの剛性と、接合部121aに隣接する壁部との剛性との差を小さくすることができ、胴部13(図2、図3参照)の剛性をバランス良く高めることができる。
この構成では、胴部13(図2、図3参照)の周方向の剛性を高めることができ、胴部13をねじれや潰れに対して強くすることができる。
特に、図8(a)に示すように、四枚のプリプレグシート121〜124の全てに、プリプレグシート121〜124の両端部に亘って連続した繊維SF1を設けた場合には、胴部13(図2(a)参照)の周方向の剛性をより高めることができる。
2 リール本体
3 ロータ
5 スプール軸
6 ハンドル
10 スプール
11 スプール本体
12 前壁部材
13 胴部
14 フランジ部
15 スカート部
16 小径接合部
17 大径接合部
20 内周側角部
21 外周側角部
50 中間部材
50 中間部材
S プリプレグシート
121 本体用シート(第一本体用シート)
122 第二本体用シート
123 第三本体用シート
124 第四本体用シート
131 外装用シート(第一外装用シート)
132 第二外装用シート
M 内金型
Claims (2)
- 魚釣用リールに装着されるスプールであって、
プリプレグシートを加圧加熱成形してなる筒状の胴部と、
金属部材からなり、前記胴部の軸方向一端側に配置される中間部材と、
前記プリプレグシートを加圧加熱成形してなる筒状部材であり、前記中間部材に対し前記胴部と反対側に配置されるスカート部と、
から構成されるスプール本体を備え、
前記中間部材は、
前記胴部から径方向外側に延びる筒状のフランジ部と、
前記フランジ部の内周端から延びて前記胴部に接合される小径接合部と、
前記フランジ部の外周端から延びて前記スカート部に接合される大径接合部と、
を有することを特徴とするスプール。 - 前記軸方向における前記フランジ部の厚みは、前記小径接合部の径方向の厚みと前記大径接合部の径方向の厚みとのそれぞれより肉厚であることを特徴とする請求項1に記載のスプール。
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