JP6126531B2 - タウ凝集阻害剤 - Google Patents

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Description

本発明は、神経脱落及びシナプス消失の原因となるタウ凝集体の形成を阻害するタウ凝集阻害剤に関する。
アルツハイマー病(Alzheimer's disease;AD)は、認知機能低下や人格の変化を主な症状とする認知症の一種である。認知症は85歳以上の日本人口の約25%が発症するcommon diseaseであるが、ADがそのうち約半数を占めている。2011年の日本には約160〜180万人のAD患者が存在し、今後の高齢化に従い患者数は増加の一途を辿る。これはとりわけ少子高齢化が進む我が国において深刻な問題となっている。
ADの予防と治療について現在最も有効とされているアセチルコリンエステラーゼ阻害薬は、軽度乃至中度の患者に部分的に効果を有するのみであり、病状が進行した患者に対する有効性については否定的な見解が多い。
AD患者の神経病理学的所見においてはβアミロイドからなる老人斑とタウタンパク質が異常に重合し形成される神経原線維変化(Neurofibrillary Tangles: NFT)の二つが特徴的であるにもかかわらず、現在のAD研究はアミロイドβペプチドの異常がAD発症の引き金であるとするアミロイドβ仮説に基づくものが主流である。
しかしながら、家族性前頭側頭型認知症(FTDP)ではタウ遺伝子の変異によりNFTの形成が促進され認知症状が出現すること、タウタンパク質が脳内で凝集・蓄積するだけで神経細胞に異常が生ずること等が明らかとなってきている。そのため、近年、タウの凝集とAD発症との関係について大きな注目が集まっている。
タウタンパク質は中枢神経細胞に多量に存在し、脳の神経ネットワークを構成する神経軸索の機能に必須なタンパク質であるが、タウタンパク質が細胞内で不溶性の凝集を作ると軸索輸送がうまくいかず、神経細胞の死を招く。
特許文献1には、ADの症状改善のため、タウ凝集を阻害するナフトキノン型化合物を主成分とする薬剤が記載されている。この薬剤によれば細胞内のタウ凝集がある程度抑制されるため、NFTの形成が抑制されることによりADの症状が緩和される。
特表2004−534854号公報
しかし、上述のタウ凝集阻害剤では、細胞内のタウ凝集阻害の程度は十分ではなく、ADをはじめとするタウオパチーの治療が的確になされるとはいえない。
本発明は斯かる問題点に鑑みてなされたものであって、細胞内のタウ凝集を十分に抑制できるタウ凝集阻害剤を提供することを目的とする。
本発明のタウ凝集阻害剤は、イソプレナリン又はその塩を含むことを特徴とする。イソプレナリンはd体とすることが可能である。また、イソプレナリンはd/l体とすることも可能である。但し、d-体又はd-イソプレナリンとは(S)-(+)-イソプレナリンを示し、d/l-体又はd/l-イソプレナリンとは(S)-(+)-イソプレナリン、(R)-(-)-イソプレナリンの混合物を示す。
また、本発明のタウ凝集阻害剤は、ドーパミン、ドブタミン、レボドパ、レボドパ/カルビドパ、トリメトキノール、ヘキソプレナリン、メチルドパ及びドロキシドパからなる群から選ばれたカテコール構造含有化合物又はその塩を含むことを特徴とする。
本発明によれば、細胞内のタウ凝集を十分に抑制できる。そのため、有効な治療法のなかったADをはじめとするタウオパチーに罹患した患者を救済し、高齢化社会を迎える現在において、高齢者の生活向上、介護負担軽減、医療費の削減等により多くの社会的貢献が可能となる。
チオフラビンT活性を示す図であり、そのうち(a)は(R)-(-)-エピネフリン、(b)はレボドパ、(c)はドーパミン、(d)はノルエピネフリン、(e)はイソプレナリンのチオフラビンT活性抑制効果を示している。 ショ糖密度勾配遠心法にて検出したタウの凝集抑制効果を示すSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)-PAGEウェスタンブロット法の結果であり、そのうち(a)は(R)-(-)-エピネフリン、(b)はイソプレナリンの結果を示している。 イソプレナリンがSDS不溶性タウ凝集を低下することを示す図であり、そのうち(a)はSDS不溶性フラクションのタウを検出したもので、(b)は(a)をグラフ化したものでイソプレナリンがSDS不溶性タウを減少させることを示している。 イソプレナリンのタウリン酸化抑制作用を示す図であり、そのうち(a)はRIPA可溶性フラクションのリン酸化タウ(AT8サイト)及びタウを検出したもので、(b)は(a)をグラフ化したものでイソプレナリンがRIPA可溶性フラクションのリン酸化タウを減少させることを示している。 AD病態で観察されるタウの構造変化(MC1抗体で検出可)に対するイソプレナリンの効果を示す図であり、そのうち(a)はTBS可溶性フラクションのMC1抗体陽性タウ、タウリン酸化(AT8サイト)、タウ及びGAPDH(内在性コントロール)を検出したもので、(b)はタウに対するMC1抗体陽性タウの比率であり、(c)はタウに対するリン酸化タウの比率を示す。 イソプレナリンの微小管フラクションにおけるタウ及びアセチル化チューブリンの量の増加を示す図であり、そのうち(a)は微小管フラクションのタウ、(b)はトータルフラクションのタウを検出したもので、(c)は(a)をグラフ化したものでイソプレナリンは微小管フラクションにおけるタウの量を増加させることを示している。(d)は微小管フラクションのアセチル化チューブリンを、(e)はトータルフラクションのアセチル化チューブリンを検出したもので、(f)は(d)をグラフ化したものでイソプレナリンは微小管フラクションにおけるアセチル化チューブリンの量を増加させることを示している。 ヒトP301L変異体タウを過剰発現したマウス(P301L tau Tgマウス)において、イソプレナリンによる脳内のサルコシル不溶性タウの低下を示す図であり、そのうち(a)はサルコシル不溶性フラクションを検出したもので、(b)は(a)をグラフ化したものでイソプレナリンはP301L tau Tgマウスの脳内におけるサルコシル不溶性タウの量を減少させることを示している。 イソプレナリンがP301L tau Tgマウスが示す神経細胞数の低下を抑制することを示す図であり、そのうち(a)は神経細胞数を測定した脳内領域と測定方法を示した図であり、(b)はイソプレナリンが嗅内皮質における細胞数の低下を抑制した図であり、(c)はイソプレナリンが側頭領域における細胞数の低下を抑制した図である。 野生型タウを過剰発現したマウス(WT tau Tgマウス)においてイソプレナリンによるTBS可溶性タウの脱リン酸化増加を示す図であり、そのうち(a)はTBS可溶性フラクションの脱リン酸化をtau1抗体で検出した図であり、(b)はタウに対する脱リン酸化タウの比率を示す。 d-イソプレナリンによるチオフラビンT活性の変化を示す図であり、そのうち(a)はd-イソプレナリン、(b)はd/l-イソプレナリンのチオフラビンT活性抑制効果を示している。 ショ糖密度勾配遠心法にて検出したd-イソプレナリンによるタウの凝集抑制効果を示すSDS-PAGEウェスタンブロット法の結果であり、そのうち(a)はd-イソプレナリン、(b)はd/l-イソプレナリンの結果を示している。 原子間力顕微鏡を用いたd-イソプレナリンによるタウ凝集の形態学的変化を示す図であり、そのうち(a)はコントロールの写真図であり、(b)はタウ凝集サンプルに対するd-イソプレナリンの効果を示す写真図であり、(c)はタウ凝集体の直径を測定し、グラフ化したものでd-イソプレナリンは顆粒状タウ凝集体及びタウ線維の数を低下させることを示している。 P301L tau Tgマウスの大脳皮質において、d-イソプレナリンによるサルコシル不溶性タウの低下を示す図であり、そのうち(a)はサルコシル不溶性フラクションのタウを検出したもので、(b)はTBS可溶性フラクションでのタウ及びGAPDH(内在性コントロール)を検出したものである。 P301L tau Tgマウスの大脳皮質において、d-イソプレナリンによるサルコシル不溶性タウの低下を示す図であり、そのうち(a)はTBS可溶性タウに対するサルコシル不溶性タウの比率を、(b)はTBS可溶性フラクションにおいてGAPDHに対するタウの比率を示す。 P301L tau Tgマウスの海馬において、d-イソプレナリンによるサルコシル不溶性タウの低下を示す図であり、そのうち(a)はサルコシル不溶性フラクションのタウを検出したもので、(b)はTBS可溶性フラクションでのタウ及びGAPDH(内在性コントロール)を検出したものである。 P301L tau Tgマウスの海馬において、d-イソプレナリンによるサルコシル不溶性タウの低下を示す図であり、そのうち(a)はTBS可溶性タウに対するサルコシル不溶性タウを、(b)はTBS可溶性フラクションにおいてGAPDHに対するタウの比率を示す。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明するが、当該実施形態は本発明の原理の理解を容易にするためのものであり、本発明の範囲は、下記の実施形態に限られるものではなく、当業者が以下の実施形態の構成を適宜置換した他の実施形態も、本発明の範囲に含まれる。
本発明者らは、鋭意研究の結果、カテコール構造含有化合物が、タウオパチーの予防及び治療に有益であるという新知見を見いだし、この事実に基づいて本発明を完成させた。ここでのカテコール構造含有化合物とは、構造式中にカテコール構造を含有する化合物である。カテコール構造とは、置換基の2つがヒドロキシル基であって、該2つのヒドロキシル基が1位と2位との関係にある化合物であるカテコールの構造を意味する。
カテコール構造含有化合物は、具体的には、イソプレナリン、ドーパミン、ドブタミン、レボドパ、レボドパ/カルビドパ、トリメトキノール、ヘキソプレナリン、メチルドパ及びドロキシドパからなる群から選ばれる。本実施形態に係るタウ凝集阻害剤は、これらのカテコール構造含有化合物を単一で用いても良く、また複数を組み合わせて用いることも可能である。
好ましくはイソプレナリンである。イソプレナリンは、l体(R配置)、d体(S配置)、又はd/l体のいずれのものでも好適に用いることができる。イソプレナリンの副作用として心悸亢進、心筋虚血等があるところ、イソプレナリンはl体がd体に比べ作用が強く、これら副作用についてもl体、d/l体、d体の順で副作用の程度が大きい。その一方で、後述するように、d-イソプレナリンはd/l-イソプレナリンとほぼ同様のタウ凝集抑制効果を有する。そのため、光学異性体の中でも、ほぼ同様のタウ凝集抑制効果を有しながらも副作用が少ないという意味においてイソプレナリンを認知症治療薬に使用する場合、d体が最も好ましいと考えられる。
これらカテコール構造含有化合物の塩は、薬理的に許容される塩であって、例えば、アルカリ金属塩(例えばカリウム塩、ナトリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例えばマグネシウム塩、カルシウム塩等)等の金属塩、炭酸アルカリ金属(例えば、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム等)、炭酸水素アルカリ金属(例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等)、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)等の無機塩基の塩;トリアルキルアミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン等)、ピリジン、キノリン、ピペリジン、イミダゾール、ピコリン、ジメチルアミノピリジン、ジメチルアニリン、N−アルキル−モルホリン、DBN、DBU等の有機塩基の塩;塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸の塩;ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、炭酸塩、ピクリン酸塩、メタンスルホン酸塩、グルタミン酸塩等の有機酸の塩等である。
本実施形態に係るタウ凝集阻害剤は、カテコール構造含有化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の有効量を、薬学的に許容される担体と共に含有することも可能である。担体は、賦形剤等の固体、又は、希釈剤等の液体が用いられる。具体的には、例えばステアリン酸マグネシウム、乳糖、スターチ、ゼラチン、寒天、タルク、ペクチン、アラビアゴム、オリーブ油、ゴマ油、カカオバター、エチレングリコール、蒸留水等である。
タウオパチーとは、神経細胞やグリア細胞内にリン酸化タウの蓄積がみられる神経変性疾患のことである。タウオパチーは、例えば、AD、ダウン症、Pick病、皮質基底核変性症(CBD)、進行性核上性麻痺(PSP)等である。
タウオパチーの予防とは、タウオパチー障害が生じることを防ぐことを意味し、タウオパチーの治療とは、タウオパチー障害の進行を阻止、又は改善・軽減することを意味する。
本実施形態に係るタウ凝集阻害剤は、製薬上許容される等張化剤、緩衝剤、溶解補助剤、防腐剤、pH調整剤から選択される1又はそれ以上の添加剤を適宜配合することができる。
等張化剤としては、例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウム、ホウ酸、マンニトール、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、マルトース、ショ糖、ソルビトール、ブドウ糖等が使用できる。
緩衝剤としては、例えば、アミノ酸、コハク酸等の有機酸、及び、ホウ酸、リン酸等の無機酸等、及びその医薬的に許容される塩類等が挙げられる。
溶解補助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の高分子;ポリソルベート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポロオキシエチレンポリオキシプロピレン等の界面活性剤;プロピレングリコール等の多価アルコール;安息香酸、ソルビン酸等の有機酸;アスパラギン酸、ヒスチジン、グリシン、リジン等のアミノ酸等が使用できる。
防腐剤としては、例えば、ベンゼトニウム、ベンザルコニウム、ベンゾドデシニウム等の第四アンモニウムの塩、クロルヘキシジン等の陽イオン化合物の塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル等のパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール化合物等を使用することができる。
pH調整剤としては、例えば、硫酸、塩酸、酢酸、乳酸、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等を使用することができる。
本実施形態に係るタウ凝集阻害剤の投与量は、適切な効果が生じる限り特に限定されるものではなく、投与される患者の症状の程度、性別、年齢等を考慮して適宜決定される。例えば、タウ凝集阻害剤の量が1日成人1人当たり0.0001〜1000mgとすることができる。この1日当たりの投与量は、1日に1回で投与してもよいが、1日に数回に分けて投与することが好ましい。
本実施形態に係るタウ凝集阻害剤は、投与態様に応じた製剤形態に調製できる。経口投与形態としては、例えば、顆粒剤、丸剤、錠剤、カプセル剤、散剤、液剤等の固形剤及び液剤形態とすることができる。また、非経口投与形態としては、例えば、静注、筋注等の注射剤形態とすることができる。
タウはリン酸化されると会合してタウオリゴマーを形成する。このタウオリゴマーが成長しβシート構造を持つようになると、球状の顆粒状タウ凝集体が形成される。顆粒状タウ凝集体は約40個のタウ分子によって構成されていると考えられる。この顆粒状タウ凝集体が連結して、ペアになった螺旋状フィラメント(paired helical filament:PHF)と呼ばれるタウ線維を形成する(NFT)。近年のマウスモデルを用いた研究では、タウの過剰発現をNFTが出来る時期に抑制するとマウスの記憶学習は改善されるが、NFTは形成され続けた。このことは、主として、NFTよりもそれを形成する過程で神経機能低下が起きていることが示唆される。NFT自体は毒性を持たず、そこに至るまでの凝集過程が神経毒性の主原因であると考えられる。本実施形態に係るタウ凝集阻害剤は、顆粒状タウ凝集体が連結してPHFを形成する過程におけるタウ凝集を阻害するのみならず、球状の顆粒状タウ凝集体が形成される過程におけるタウ凝集をも阻害する。また、脳の神経細胞の変性は変異型タウタンパク質だけでなく、正常なタウタンパク質の蓄積でも起きるが、本発明のタウ凝集阻害剤は、正常なタウタンパク質の凝集をも阻害する。そのためADをはじめとするタウオパチー症状の予防又は治療が可能となる。
(実施例1)
タウと結合できる化合物を検索した。10μMの2N4Rタウ(タウ−441 ヒューマン)と10μMのヘパリンとを混合し、37℃でインキュベートし、タウを凝集させた。この凝集したタウサンプル(1ml)をショ糖密度勾配溶液(20%, 30%, 40%, 50%を1mlずつ重層)にロードし、遠心した(200000xg, 2h, 20℃)。その後、上層から1mlずつ溶液を回収し、フラクション(Fr)1-5のサンプルとした。また、ペレットはHEPES溶液に懸濁し、Fr6とした。その後、Fr1,3,5に含まれるタウと所定の6600の化合物との結合能を表面プラズモン共鳴法で解析した。表面プラズモン共鳴法とは、薄金膜上に固定した分子の重さの変化等によって生じる屈折率の変化をモニターすることにより、2種類の物質の分子間相互作用を解析する手法である。表面プラズモン共鳴法は、市販の表面プラズモン共鳴装置、例えばBIAcore2000 (Pharmacia Biosensor社製)によって行うことが可能である。その結果、6600の化合物のうち、111個の化合物がタウと結合することを見出した。
次に、この111個の化合物がタウ凝集を抑制するかどうかをチオフラビンT染色法を用いて解析した。10μMタウ、化合物(1μM,10μM,または100μM)及びチオフラビンT(βsheet構造特異的検出薬)を混合した。その後、タウ凝集インデューサーであるヘパリンを加え、37℃でインキュベーションし、タウを凝集させた。そして、様々な時間でインキュベーションサンプル中のチオフラビンT活性を測定し、化合物によるタウ凝集抑制作用を検討した。その結果、111個の化合物のうち9個の化合物が1μMといった低濃度で、チオフラビンT活性を顕著に抑制した。
更に、これら9個の化合物のタウ凝集抑制作用を詳細に検討するため、37℃でインキュベーションした後のサンプルを、250000xgで2時間遠心分離し、ペレットを採取し、その中に含まれる不溶性タウの量を検出した。その結果、(R)-(-)-エピネフリン及びピロカテコールバイオレットは濃度依存的に不溶性タウの量を減少させた。この2個の化合物である(R)-(-)-エピネフリン及びピロカテコールバイオレットは、カテコール核という共通の骨格があることが判明した。
(実施例2)
次に、(R)-(-)-エピネフリン及びピロカテコールバイオレットの類似構造体が、タウ凝集を抑制するかどうかをチオフラビンT染色法により解析した。その結果、図1に示されるように、レボドパ、ドーパミン、ノルエピネフリン、及びイソプレナリンは、(R)-(-)-エピネフリンと同様に、チオフラビンT活性を顕著に減少させた。ここで、図1(a)は(R)-(-)-エピネフリン、図1(b)はレボドパ、図1(c)はドーパミン、図1(d)はノルエピネフリン、図1(e)はイソプレナリンによるチオフラビンT活性の変化を示している。
この内、(R)-(-)-エピネフリンとイソプレナリンのサンプルをショ糖密度勾配遠心法によりFr1-Fr6に分離した後、SDS-PAGEウェスタンブロット法でタウを検出した。処置した化合物の濃度は100μMである。その結果、図2に示されるように、Controlでは、Fr3,4,5,6で観察される凝集タウが検出されたが、100μMの化合物はfr3,4,5,6のタウを減少させた。ここで、図2(a)は(R)-(-)-エピネフリンのタウ凝集抑制効果を、図2(b)はイソプレナリンのタウ凝集抑制効果を示している。以上の結果より、in vitroで、タウ凝集を抑制する新規の共通骨格を見出した。なお、これら化合物の中でイソプレナリンは既存薬であり、さらに他のカテコラミン類の医薬品と比べ、安全性が高いことが考えられた。したがって、以下では、イソプレナリンを用いて解析した。
(実施例3)
次に、イソプレナリンが培養細胞において、タウ凝集を抑制するかどうかを検討した。細胞はヒトのP301L変異体タウ(タウアイソフォームの301番目のプロリンがロイシンに変異したタウ)をステーブルに発現したNeuro2a cell lineを使用した。これらの細胞にイソプレナリンを0.01、0.1及び1μMの濃度で48時間処置した。その後、SDS-不溶性フラクションを採取し、タウの量の変化を検討した。その結果、図3に示されるように、イソプレナリンは、ポジティブコントロールのGSK3β(グリコーゲン合成酵素キナーゼ3β)阻害剤(GSK3βの機能を物理的又は化学的に阻害する物質を意味する)である塩化リチウムと同様にSDS不溶性タウの量を減少させた。ここで、図3(a)はSDS不溶性フラクションのタウを検出したものであり、図3(b)は図3(a)をグラフ化したものでイソプレナリンはSDS不溶性タウの量を減少させることを示している。
また、同様の細胞から採取したRIPA (Radio-Immunoprecipitation Assay)緩衝液可溶性フラクションにおけるタウリン酸化の変化を検討した結果、図4に示されるように、イソプレナリンはAT8(抗リン酸化タウ抗体)で認識するタウリン酸化を低下させた。なお、RIPA緩衝液の組成は、50mM Tris-HCl(pH7.4), 150mM 塩化ナトリウム, 0.25w/v%デオキシコール酸ナトリウム, 1mM EGTA, 1.0w/v% NP-40 substituteであった。このため、イソプレナリンはタウ凝集に加えて、タウのリン酸化抑制作用も有することが判明した。ここで、図4(a)はRIPA可溶性フラクションのリン酸化タウ(AT8サイト)及びタウを検出したもので、図4(b)はタウに対するリン酸化タウの比率を示す。
(実施例4)
AT8のタウリン酸化はAD病態で観察されるタウの構造変化(MC1抗体で検出可)を誘発することが知られている。そこで、COS-7細胞(アフリカミドリザル腎由来)にWT tauを発現させ、MC1抗体を用いたドットブロット法でタウの構造変化を検出した。ドットブロット法は、タンパク質を電気泳動により分離することなくニトロセルロース膜やPVDF膜に固定し、酵素標識抗体でタンパク質量を特異的に定量する方法である。その結果、図5(a)(b)に示されるように、イソプレナリンはMC1抗体で検出されるタウの構造変化を減少させた。ここで、図5(a)はTBS可溶性フラクションでのMC1抗体陽性タウ、タウリン酸化(AT8サイト)、タウ及びGAPDH(内在性コントロール)を検出したもので、図5(b)はタウに対するMC1抗体陽性タウの比率を示す。また、図5(c)に示されるように、同様の条件において、イソプレナリンはリン酸化も減少させた。ここで、図5(c)はタウに対するリン酸化タウの比率を示す。
(実施例5)
イソプレナリンが微小管とタウとの結合にどのような影響を及ぼすかを検討した。WT tauを発現したCOS-7細胞にイソプレナリン10μMを24時間処置後、RA buffer(0.1μM MES, 0.5mM MgSO4, 1mM EGTA, 2mM DTT, 0.1% TritonX-100, 20μM taxol, 2mM GTP)でホモジナイズした。3000xgにて25℃で5分間遠心分離後、トータルフラクションとして上清を採取した。このトータルフラクションを更に100000xgにて20℃で20分間遠心分離し、ペレット(微小管フラクション)を採取した。このようにしてWT tauを発現したCOS-7細胞から微小管フラクションを採取し、タウと微小管安定化の指標であるアセチル化チューブリンを検出した。
その結果、図6に示されるように、WT tau発現COS-7細胞において、イソプレナリン10μMは、微小管フラクションにおけるタウの量を増加させた。図6(a)は微小管フラクションのタウ、図6(b)はトータルフラクションのタウを検出したものであり、図6(c)は図6(a)をグラフ化したものである。
また、WT tau発現COS-7細胞において、アセチル化チューブリンはベクター発現細胞と比べて増加した。そこにイソプレナリンを処置すると、図6(d)(e)(f)に示されるように、更にアセチル化チューブリンが増加した。従って、イソプレナリンは微小管を構成しているタウの量を増加させることで、微小管を安定化している可能性が示唆された。ここで、図6(d)は微小管フラクションのアセチル化チューブリン、図6(e)はトータルフラクションのアセチル化チューブリンであり、図6(f)は図6(d)をグラフ化したものである。
(実施例6)
次に、イソプレナリンがマウスにおいて、タウ凝集を抑制するかどうかを検討した。P301L tau Tgマウスに粉餌に混合したイソプレナリン(1.5mg/g fed)を3か月間摂取させた。その後、マウスから大脳皮質及び海馬を採取し、−80℃に保存した。これら動物組織から可溶性タウ及び不溶性タウを含む画分を得るため、まず、凍結組織にTBS溶液を加え、ホモジナイズした後に遠心し(23000rpm, 15min, 4℃)、上清とペレットに分けた。その内、上清をTBS可溶性フラクション(可溶性タウを含む)とした。また、ペレットに0.32M スクロースを加え、再度ホモジナイズした後に遠心し(23000rpm, 15min, 4℃)、上清(タウ凝集体を含む)とペレット(核を含む)に分けた。その後、上清に界面活性化剤(1%サルコシル)を加え、インキュベーションし(37℃, 1h)、遠心した(200000xg , 1h, 4℃)。ペレットをレムリバッファー(2-メルカプトエタノール入り)で溶解したものをサルコシル不溶性フラクションとした。TBS可溶性フラクション及びサルコシル不溶性フラクションにおけるタウをSDS-PAGEウェスタンブロット法で検出した。その結果、図7に示されるように、イソプレナリンはP301L tau Tgマウスの脳内におけるサルコシル不溶性タウの量を減少させた。ここで、図7(a)はサルコシル不溶性フラクションのタウを検出したもので、図7(b)は図7(a)を定量・グラフ化したものである。NtgはNon-transgenic mouseを意味する。
(実施例7)
P301L tau Tgマウスの脳内では、タウ凝集の進展に伴って、神経細胞数が低下する。このため、タウ凝集抑制作用を有するイソプレナリンはこの神経細胞数の低下を改善できる可能性がある。そこで、イソプレナリンを処置したマウスから脳スライスを作製し、神経細胞数をカウントした。その測定方法として、図8(a)に示されるような0.1ミリ平方メートルのボックスを嗅内皮質(entorhinal cortex)または側頭領域(temporal area)に描き、その中の細胞数をカウントし、平均化したものを1スライスの値とした。スライスは1個体から2枚作製し、その結果、図8(b)及び図8(c)に示されるように、イソプレナリンはP301L tau Tgマウスが示すentoehinal cortex及びtemporal areaにおける細胞数の低下を抑制した。従って、イソプレナリンはタウ凝集を抑制することで、神経細胞数の低下を改善できる可能性が示唆された。なお、図8(b)及び図8(c)において、Miceは使用したマウス数であり、Sliceは細胞数を測定した1個体あたりのスライスの数である。
(実施例8)
WT tau Tgマウスから採取したTBS可溶性フラクションにおけるタウリン酸化の変化を検討した。その結果、図9に示されるように、イソプレナリンはモノクローナル抗体tau1で認識するタウの脱リン酸化を増加させた。ここで、図9(a)はTBS可溶性フラクションであり、図9(b)はタウに対する脱リン酸化タウの比率である。このため、マウスにおいてもイソプレナリンはタウ凝集及びタウのリン酸化を抑制することが示唆された。
なお、上述した実施例はイソプレナリンによる効果を示すものであるが、タウの凝集を抑制する新規の共通骨格としてカテコールアミン構造骨格を見いだしており(上記実施例2)、ドパミン、ドブタミン、レボドパ、レボドパ/カルビドパ、トリメトキノール、ヘキソプレナリン、メチルドパ及びドロキシドパは、イソプレナリンと同様にカテコールアミン構造を有するため、これらについてもイソプレナリンと同様に培養細胞及び動物においてタウ凝集を抑制する効果があると考えられる。
(実施例9)
タウ(10μM)、d-及びd/l-イソプレナリン(1〜100μM)とチオフラビンTを混合した。その後、ヘパリンを加え、37℃でインキュベーションし、タウを凝集させた。また、図中に示した時間において、インキュベーションサンプル中のチオフラビンT活性を測定し、化合物によるタウ凝集抑制作用を検討した。図10(a)はd-イソプレナリン、図10(b)はd/l-イソプレナリンがチオフラビンT活性に及ぼす影響を検討した図である。図10(a)(b)に示されるように、d-イソプレナリンは、d/l-イソプレナリンとほぼ同様のチオフラビンT活性抑制作用を示した。
次に、d-及びd/l-イソプレナリンによるタウ凝集の変化を生化学的に解析するため、インキュベーションしたタウ凝集サンプルをショ糖密度勾配遠心法により、Fr1-Fr6に分離した後、SDS-PAGEウェスタンブロット法でタウを検出した。図11は、ショ糖密度勾配遠心法にて検出したタウの凝集抑制効果を示すSDS-PAGEウェスタンブロット法の結果であり、そのうち、図11(a)でd-イソプレナリン、図11(b)はd/l-イソプレナリンの結果を示している。図11(a)(b)に示されるように、d-イソプレナリンは、d/l-イソプレナリンとほぼ同様にFr3以降に検出されるタウ(顆粒状タウ凝集体及びタウ線維)を明らかに低下させた。
次に、d-イソプレナリンによるタウ凝集の変化を形態学的に解析するため、原子間力顕微鏡を用いて検討した。120時間までインキュベーションしたタウ凝集サンプルをmica板上にロードして吸着させた。サンプルを除去後、milliQ水でmica板を満たし、原子間力顕微鏡でタウの形態を観察した。図12は、原子間力顕微鏡を用いたタウ凝集の形態学的変化を示す図であり、そのうち図12(a)はコントロールの写真図であり、図12(b)はタウ凝集サンプルに対するd-イソプレナリンの効果を示す写真図であり、(c)はタウ凝集体の直径を測定し、グラフ化したものである。図12(a)(b)(c)に示されるように、d-イソプレナリンは長径20nm以上のタウ凝集体(顆粒状タウ凝集体及びタウ線維)の数を明らかに低下させた。
動物におけるd-イソプレナリンのタウ凝集抑制作用を検討するため、P301L tau Tgマウスを用いて検討した。20〜21ヶ月齢のP301L tau Tgマウスに粉餌に混合したd-イソプレナリン(2.168mg/g fed)を3ヶ月間摂取させた。その後、マウスから大脳皮質及び海馬を採取し、−80℃に保存した。その後、これら脳組織からTBS可溶性フラクション及びサルコシル不溶性フラクションを調整し、SDS-PAGEウェスタンブロット法でタウを検出した。
図13は、P301L tau Tgマウスの大脳皮質において、d-イソプレナリンによるサルコシル不溶性タウの低下を示す図であり、そのうち図13(a)はサルコシル不溶性フラクションのタウ、図13(b)はTBS可溶性フラクションのタウ及び内在性コントロールのGAPDHを検出したものである。また、図14は、P301L tau Tgマウスの大脳皮質において、d-イソプレナリンによるサルコシル不溶性タウの低下を示す図であり、図14(a)はTBS可溶性タウに対するサルコシル不溶性タウの比率を、図14(b)はTBS可溶性フラクションにおいてGAPDHに対するタウの比率を示す。図13及び図14に示されるように、d-イソプレナリンは、P301L tau Tgマウスの大脳皮質における不溶性タウの量を明らかに低下させた。
上記のP301L tau Tgマウスの大脳皮質における不溶性タウの量を検討した試験と同様にして、P301L tau Tgマウスの海馬における不溶性タウの量を試験した。図15は、P301L tau Tgマウスの海馬において、d-イソプレナリンによるサルコシル不溶性タウの低下を示す図であり、そのうち図15(a)はサルコシル不溶性フラクションのタウ、図15(b)はTBS可溶性フラクションのタウ及び内在性コントロールのGAPDHを検出したものである。また、図16は、P301L tau Tgマウスの海馬において、d-イソプレナリンによるサルコシル不溶性タウの低下を示す図であり、そのうち図16(a)はTBS可溶性タウに対するサルコシル不溶性タウの比率を、図16(b)はTBS可溶性フラクションにおいてGAPDHに対するタウの比率を示す。図15及び図16に示されるように、d-イソプレナリンは、P301L tau Tgマウスの海馬における不溶性タウの量を明らかに低下させた。
タウオパチーの治療に有益である。

Claims (3)

  1. イソプレナリン又はその塩を含む、タウオパチーの予防及び/又は治療に用いられるタウ凝集阻害剤であって、
    前記イソプレナリンはd体であり、
    前記タウオパチーは、ダウン症、Pick病、皮質基底核変性症(CBD)、又は進行性核上性麻痺(PSP)である、タウ凝集阻害剤。
  2. イソプレナリン又はその塩を含む、タウオパチーの予防及び/又は治療に用いられるタウ凝集阻害剤であって、
    前記イソプレナリンはd/l体であり、
    前記タウオパチーは、ダウン症、Pick病、皮質基底核変性症(CBD)、又は進行性核上性麻痺(PSP)である、タウ凝集阻害剤。
  3. 更に製薬上許容される等張化剤、緩衝剤、溶解補助剤、防腐剤、及びpH調整剤から選択される1又はそれ以上の添加剤を含有する請求項1又は2記載のタウ凝集阻害剤。
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