以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図8は本発明の電力需給制御方法及び装置の実施の一形態を示すものである。
図1は、本発明の電力需給制御方法及び装置を適用する電力エネルギーネットワーク1の一例を示すもので、該電力エネルギーネットワーク1は、再生可能エネルギーによる発電装置として、太陽光発電装置2と、風力発電装置3を備えている。
前記太陽光発電装置2に接続されたパワーコンディショナ4と、前記風力発電装置3に接続されたパワーコンディショナ5は、蓄電池6に接続されたインバータ7、及び、原動機付き発電機8と共に、負荷9に並列に接続された回路10が構成されている。
更に、前記回路10は、電力系統12に交流切替スイッチ11を介して系統連系させるようにしてある。
これにより、前記電力エネルギーネットワーク1では、太陽光発電装置2により発電されてパワーコンディショナ4を介して出力される太陽光発電出力(以下、PV出力と称す)、及び、風力発電装置3により発電されてパワーコンディショナ5を介して出力される風力発電出力(以下、WT出力と称す)と、前記蓄電池6よりインバータ7を介して放電される電力と、前記電力系統12より交流切替スイッチ11を経て買電(受電)する電力とを、前記負荷9に供給できるようにしてある。
又、前記蓄電池6は、前記PV出力及びWT出力と、前記と同様に電力系統12から買電する電力により充電できるようにしてある。
更に、前記PV出力及びWT出力のうち、前記負荷9での消費分を除いた余剰電力は、前記電力系統12へ交流切替スイッチ11を経て逆潮流させて売電することができるようにしてある。なお、この売電の際は、前記インバータ7では、蓄電池6を遮断して、該蓄電池6の充放電を行わせないようにしてあるものとする。
なお、前記交流切替スイッチ11は、後述するコントローラ13からの制御指令に応じて、電力系統12との間での買電量と売電量を十に制御できるようにしてあるものとする。更に、該交流切替スイッチ11は、前記電力系統12に停電が生じたときには、直ちに前記電力エネルギーネットワーク1の回路10を、電力系統12より切り離すことができる機能を備えるものとする。
本発明の電力需給制御装置は、更に、前記原動機付き発電機8に出力(発電量)の制御指令を与え、前記交流切替スイッチ11に買電量(受電量)を制御する指令を与えるためのコントローラ13を備える。該コントローラ13は、前記原動機付き発電機8の出力、前記買電量、再生可能エネルギーを利用する前記太陽光発電装置2及び風力発電装置3によるPV出力及びWT出力と、前記負荷9の電力の需要との差から、前記蓄電池6の充放電量を決定して、その充放電量の制御指令を、前記蓄電池6に接続されたインバータ7へ与えるようにしてある。
なお、前記コントローラ13は、後述するように、電力系統12が停電する非常時には、必要に応じて、図1に二点鎖線で示すように、太陽光発電装置2用のパワーコンディショナ4にPV出力の抑制指令を与え、風力発電装置3用のパワーコンディショナ5にWT出力の抑制指令を与え、負荷9に切断及び接続指令を与える機能を有することが望ましい。
図1における符号14は電力計である。
以下、前記コントローラ13の機能の説明に即して、本発明の電力需給制御方法について説明する。
前記コントローラ13は、図2に示すように、予測部15と、需給計画モード選択部16と、需給計画設定部17と、需給バランスモード選択部18と、需給バランス処理実行部19とを備えてなる構成とする。
前記予測部15は、翌日一日分について、再生可能エネルギー発電装置である太陽光発電装置2によるPV出力と、風力発電装置3によるWT出力の予測を行うと共に、負荷9による電力の需要の予測を行う機能を備えている。
たとえば、前記PV出力の予測は、天候データベースより得られる日射量と、太陽光発電実績データベースの情報を基に、天候予測によって予測される翌日の日射量から、PV出力を、たとえば、30分から1時間程度に予め設定されている制御周期ごとについて予測するようにしてある。
同様に、前記WT出力の予測は、天候データベースより得られる風速及び風向と、風力発電実績データベースの情報を基に、天候予測によって予測される翌日の風速及び風向から、WT出力を、前記所定の制御周期ごとについて予測するようにしてある。
前記負荷9による電力の需要の予測は、天候データベースより得られる気温、湿度、降水量などの天候情報と、負荷9の過去の電力の需要の実績データベースの情報を基に、天候予測によって予測される翌日の気温、湿度、降水量などの天候条件から、負荷9の電力の需要を、前記所定の制御周期ごとについて予測するようにしてある。
前記需給計画モード選択部16は、利用者に、電力の需給計画を立てるためのモード(以下、需給計画モードと称す)として、経済負荷最小モードと、CO2排出量最小モードと、受電点電力変動最小モードのうちのいずれか一つを選択させるための図示しない入力手段を備えている。
前記需給計画設定部17は、前記予測部15によるPV出力とWT出力と負荷9の電力の需要の予測結果と、前記需給計画モード選択部16における需給計画モードの選択結果を基に、制御可能な値である蓄電池6の充放電量(以下、単に充放電量と云う)、電力系統12との間での買電量(受電量)と売電量(以下、単に買電量、売電量と云う)、及び、原動機付き発電機8による出力(発電量)(以下、原動機出力と称す)について、前記所定の制御周期ごとの制御計画を立てるようにしてある。なお、以下においては、前記制御計画に基づく充放電量、買電量、売電量、原動機出力についての制御目標となる値を、それぞれ、充放電量計画値、買電量計画値、売電量計画値、原動機出力計画値と云うものとする。
更に、前記需給計画設定部17は、前記需給バランス処理実行部19で後述する蓄電池SOC計画値追従モードによる誤差振り分けルールを実施する場合は、蓄電池6のSOCについて、前記所定の制御周期ごとの前記充放電量の計画値と、SOCの初期値を基に、該所定の制御周期ごとのSOC計画値を算出するようにしてある。
この際、前記需給計画モード選択部16にて、経済負荷最小モードが選択されている場合は、前記需給計画設定部17では、電力系統12から買電する電力の電気料金から売電により得られる利益を引いた値と、原動機付き発電機8の運転時の燃料費との和が最小化するように、前記充放電量、買電量と売電量、及び、原動機出力の制御計画を立てると共に、前記SOC計画値を算出するようにしてある。
又、前記需給計画モード選択部16にて、CO2排出量最小モードが選択されている場合は、前記需給計画設定部17では、電力系統12から買電する電力の発電時のCO2排出量と、原動機付き発電機8の運転に伴うCO2発生量との和が最小化するように、前記充放電量、買電量と売電量、及び、原動機出力の制御計画を立てると共に、前記SOC計画値を算出するようにしてある。
更に、前記需給計画モード選択部16にて、受電点電力変動最小モードが選択されている場合は、前記需給計画設定部17では、前記電力エネルギーネットワーク1内で生じる余剰電力は、できるだけ蓄電池6の充電に利用し、且つ該電力エネルギーネットワーク1内での消費電力は、できるだけ前記蓄電池6の放電により賄うことで、電力系統12との間での買電量と売電量の変動が最小化するように、前記充放電量と、買電量と売電量、及び、原動機出力の制御計画を立てると共に、前記SOC計画値を算出するようにしてある。よって、この受電点電力変動最小モードによって設定された前記制御計画に従えば、電力系統12からの受電点での電力変動の抑制が可能になる。
前記需給バランスモード選択部18は、利用者に、前記需給計画を実施する際に生じる誤差を修正して電力の需給バランスをとるためのモード(以下、需給バランスモードと称す)として、買電量計画値追従モードと、経済コスト低減モードと、蓄電池SOC計画値追従モードと、CO2排出量低減モードと、受電点電力変動低減モードのうち、いずれか一つのモードを優先度1位のモードとして選択し、且つ残る四つのモードのうちの単数又は複数のモードを、優先度2位以下の順序を順に付しながら選択するための図示しない入力手段を備えている。これにより、該需給バランスモード選択部18では、少なくとも、優先度が1位と2位となる需給バランスモードが選択されるようにしてある。
更に、該需給バランスモード選択部18は、前記のようにして優先度が順に付された複数の需給バランスモードが選択された状態で、優先度が上位の需給バランスモードによる制御状態から、優先度が下位の需給バランスモードによる制御への切り替えを行うためのモード切替条件を設定するための図示しないモード切替条件設定部を備えている。
前記モード切替条件設定部では、たとえば、下位の需給バランスモードが経済コスト低減モードである場合のモード切替条件として、前記電力系統12から買電する電力の電気料金から売電により得られる利益を引いた値と、原動機付き発電機8の運転時の燃料費との和として算出される運用コストについて所望される上限値(許容可能な上限値)を、閾値として設定するようにしてある。かかる設定によれば、経済コスト低減モード以外の優先度が上位の需給バランスモード、たとえば、買電量計画値追従モードによる運用中に、前記運用コストが上昇して前記閾値に達するようになると、その時点で、需給バランスモードが、優先度が下位の前記経済コスト低減モードに切り替わるようにしてある。その後、前記運用コストが前記閾値未満になると、従前の優先度が上位の需給バランスモードである前記買電量計画値追従モードに復帰するようにしてある。
下位の需給バランスモードが蓄電池SOC計画値追従モードである場合のモード切替条件は、蓄電池6の運用上、最低限確保することが所望されるSOCの下限値を、条件切替用の閾値として設定するようにしてある。
下位の需給バランスモードが買電量計画値追従モードである場合のモード切替条件は、買電量計画値と、買電量の実績値との差についての或る値を、閾値として設定するようにしてある。かかる設定は、たとえば、ダイナミックプライシングなどで、事前に買電量(受電量)を通告し、通告した値と買電量の実績値とのかい離に伴いペナルティが課されるような場合に、非常に有効になる。
下位の需給バランスモードがCO2排出量低減モードである場合のモード切替条件は、電力系統12から買電する電力の発電時のCO2排出量と、原動機付き発電機8の運転に伴うCO2発生量との和として算出されるCO2排出量について所望される上限値を、モード切替用の閾値として設定するようにしてある。
下位の需給バランスモードが受電点電力変動低減モードである場合のモード切替条件は、前記電力系統12との間での買電量と売電量の変動量(変動幅)について所望される上限値を、モード切替条件の閾値として設定するようにしてある。
これらの蓄電池SOC計画値追従モード、買電量計画値追従モード、CO2排出量低減モード、受電点電力変動低減モードによっても、前記経済コスト低減モードと同様に、優先度が上位の別の需給バランスモードとの間で、前記モード切替条件として設定されている前記所定の閾値を基準として、優先度が下位に設定してある前記蓄電池SOC計画値追従モード、買電量計画値追従モード、CO2排出量低減モード、受電点電力変動低減モードへの切り替えと、優先度が上位の別の需給バランスモードへの復帰がそれぞれ行われるようになる。
なお、前記各需給バランスモードのモード切替条件として設定される各閾値は、たとえば、アグリゲータビジネスで複数の住戸(住宅)を束ねて運用するような場合には、それぞれ動的に定められるようにしてもよい。この場合は、前記アグリゲータビジネスで束ねて運用される複数の住戸について、所定の需給バランスモードにおいて前記した閾値のように或る目標値から許容される誤差を合計し、該許容誤差の合計値を住戸数で割った値を、各住戸におけるモード切替条件の閾値として設定するようにすればよい。
前記需給バランス処理実行部19は、図3にフロー図を示す如き処理を行うものである。
すなわち、該需給バランス処理実行部19は、先ず、太陽光発電装置2によるPV出力と、風力発電装置3によるWT出力と、負荷9による電力の需要について、或る時間間隔、たとえば1分おきに、実測値をそれぞれ取得する(ステップS1)。
次に、該需給バランス処理実行部19は、前記実測値を取得した時刻と同時刻の制御周期について前記需給計画設定部17で設定されている所定の需給計画モードでの制御計画に基づく充放電量計画値、買電量計画値と売電量計画値、及び、原動機出力計画値を取得する(ステップS2)。
次いで、前記需給バランス処理実行部19では、PV出力とWT出力の和から負荷9の需要する電力を引いた値について、実測値の計画値からの誤差を算出する(ステップS3)。
前記のようにして誤差が算出されると、前記需給バランス処理実行部19は、該算出された誤差を、前記需給バランスモード選択部18において予め優先度が1位に選択されている需給バランスモードに応じた誤差振り分けルールに従って、前記制御可能な充放電量、買電量と売電量、及び、原動機出力に振り分けるための制御指令値を取得する(ステップS4)。なお、各需給バランスモードに応じた誤差振り分けルールの具体的な内容については、図4乃至図8で後述する。
その後、前記需給バランス処理実行部19は、前記ステップS4で取得した制御指令値と、前記PV出力、WT出力、原動機出力、負荷9の電力の需要の実績値について、需要と供給が等しくなっているかを確認する(ステップS5)。
前記ステップS5にて電力の需要と供給が等しくなることの確認が取れると、前記需給バランス処理実行部19は、前記ステップS4で取得した制御指令値に基づく制御指令を、蓄電池6用のインバータ7、交流切替スイッチ11、及び、原動機付き発電機8へ与えるようにしてある(ステップS6)。これにより、前記蓄電池6の充放電量、買電量と売電量、及び、原動機出力(原動機付き発電機8の出力)が、前記ステップS4で取得された制御指令値に一致するように制御される。
更に、前記需給バランス処理実行部19は、前記所定の時間間隔で、前記ステップS1からステップS6までの処理を繰り返して実施するようにしてあり、その際、優先度が2位以下に選択されている需給バランスモードへのモード切替条件を監視して、該モード切替条件が閾値に達している間(該モード切替条件が成立している間)は、該モード切替条件に対応する優先度が2位以下の需給バランスモードへのモード切替を行わせるようにしてある。
前記各需給バランスモードに応じた誤差振り分けルールは、以下のとおりである。
図4は、前記買電量計画値追従モードによる誤差振り分けルールを示すものである。
前記買電量計画値追従モードでは、先ず、PV出力とWT出力の和から負荷9の需要する電力を引いた値(PV出力+WT出力−負荷)について、計画値から実測値を引くことで誤差を算出する(ステップSA1)。該誤差は値が正ならば電力の供給過多、負ならば負荷による電力の需要過多(電力の供給不足)を意味する。
次に、充電上限値と放電上限値をそれぞれ算出する(ステップSA2)。充電上限値は、蓄電池6の充電可能容量と、予め設定される需給バランス処理の実行時間間隔、たとえば、1分当りの充電可能量を比較し、小さい方の値を選択する。放電上限値は、蓄電池6の放電可能容量と、前記と同様の1分当りの放電可能量を比較し、絶対値が小さい方の値を選択する。
次いで、ステップSA3に進み、売電する計画があるか否かを判断する。
前記ステップSA3で売電する計画であると判断される場合は、ステップSA4に進む。この際、売電する場合の需給計画では、前記したように蓄電池6の充放電は行わず、又、原動機付き発電機8は運転しないため、充放電量計画値=0、原動機出力計画値=0、とされる。
前記ステップSA4では、売電量計画値で誤差を吸収できるか否かを判断する。すなわち、(売電量計画値+誤差)>0、となるか否かを判断する。
前記ステップSA4にて、売電量計画値で誤差を吸収可能と判断される場合は、ステップSA5に進む。
前記のようにしてステップSA5に達すると、前記コントローラ13の需給バランス処理実行部19は、充放電量=0、売電量=売電量計画値+誤差、原動機出力=0、に設定した制御指令値を取得するようにしてある。
したがって、前記ステップSA1で算出される誤差が電力の供給過多の場合であって、売電する計画がある場合は、前記誤差としての供給過多の電力は、売電量計画値に上乗せされて売電されるようになる。
又、前記ステップSA1で算出される誤差が電力の需要過多である場合は、売電量計画値から前記誤差としての需要過多の電力を差し引いても売電できる電力が残る場合にのみ、前記ステップSA5にて、売電量=売電量計画値+誤差、に設定された制御指令値の取得が行われるようになる。
一方、前記ステップSA4にて、売電量計画値では誤差の吸収が不可能と判断される場合は、ステップSA6に進む。
前記ステップSA6では、売電量計画値と、蓄電池6からの放電により前記誤差としての需要過多分の電力を吸収できる否かを判断する。すなわち、前記ステップSA4の判断により、誤差は、売電量計画値を上回っていることが明らかであるが、この誤差のうち、売電量計画値では相殺しきれない需要過多分の電力を、前記蓄電池6からの放電で賄えるか否かを判断する。
前記ステップSA6で吸収可能と判断される場合は、ステップSA7に進む。
このようにしてステップSA7に達する場合は、前記需給バランス処理実行部19は、充放電量=誤差+売電量計画値、売電量=0、原動機出力=0、に設定した制御指令値を取得するようにしてある。なお、前記充放電量は、+の値が充電、−の値が放電を示す。
これに対し、前記ステップSA6にて、売電量計画値と、蓄電池6からの放電では、前記誤差としての需要過多の電力を吸収不可能と判断される場合は、ステップSA8に進む。
このようにしてステップSA8に達すると、前記需給バランス処理実行部19は、充放電量=−(蓄電池6の放電可能量)、買電量=0、原動機出力=−(放電調整後誤差+売電量計画値)、に設定した制御指令値を取得する。ここで、放電調整後誤差は、放電調整後誤差=誤差−(−蓄電池6の放電可能量)、の式で表されるもので、必ず負値となる。したがって、この場合は、前記誤差による需要過多の電力のうち、売電量計画値と蓄電池6の放電では相殺しきれない需要過多分が、前記原動機付き発電機8の出力によって賄われるようになる。
更に、前述のステップSA3で売電計画なしと判断される場合には、ステップSA9へ進む。
前記ステップSA9では、蓄電池6の充放電量で前記誤差を吸収できるか否かを判断する。
前記ステップSA9で吸収可能と判断される場合は、ステップSA10へ進む。
このようにしてステップSA10に達する場合は、前記需給バランス処理実行部19は、充放電量=充放電量計画値+誤差、買電量=買電量計画値、原動機出力=原動機出力計画値、に設定した制御指令値を取得する。したがって、この場合は、前記誤差は、供給過多と需要過多のいずれであっても、蓄電池6の充放電によって吸収される。
一方、前記ステップSA9で吸収不可能と判断される場合は、ステップSA11へ進む。該ステップSA11では、前記誤差が供給過多か否かを判断する。
前記ステップSA11にて、前記誤差が供給過多であると判断される場合は、ステップSA12へ進む。
前記ステップSA12では、売電の必要があるか否かを判断する。すなわち、充電調整後誤差=誤差+充放電量計画値−(蓄電池6の充電可能量)、とした場合に、充電調整後誤差>買電量計画値+原動機出力計画値、という式が満たされるか否かを判断する。該式が満たされる場合は、前記誤差による供給過多の電力のうち、蓄電池6の充電可能量を上回る供給過多分が、売電量計画値と原動機出力計画値では相殺しきれないために、売電が必要になる。
よって、前記ステップSA12で売電の必要があると判断される場合は、ステップSA13へ進み、前記需給バランス処理実行部19は、充放電量=0、売電量=誤差−(買電量計画値+原動機出力計画値−充放電量計画値)、原動機出力=0、に設定した制御指令値を取得する。
一方、前記ステップSA12で売電の必要がないと判断される場合は、ステップSA14へ進む。
前記ステップSA14では、原動機出力計画値が前記充電調整後誤差より大きいか、否かを判断する。
前記ステップSA14で原動機出力計画値が充電調整後誤差よりも大きいと判断される場合は、ステップSA15へ進む。
このようにしてステップSA15に達する場合、前記需給バランス処理実行部19は、充放電量=蓄電池6の充電可能量、買電量=買電量計画値、原動機出力=原動機出力計画値−充電調整後誤差、に設定した制御指令値を取得する。
又、前記ステップSA14で、原動機出力計画値が前記充電調整後誤差より大きくはないと判断される場合は、ステップSA16へ進む。
このようにしてステップSA16に達すると、前記需給バランス処理実行部19は、充放電量=充電可能量、買電量=買電量計画値−(充電調整後誤差−原動機出力計画値)、原動機出力=0、に設定した制御指令値を取得する。
更に、前記ステップSA11において誤差が供給過多ではないと判断された場合は、ステップSA17へ進む。
このようにしてステップSA17に達する場合、前記需給バランス処理実行部19は、充放電量=−(放電可能量)、買電量=買電量計画値、原動機出力=原動機出力計画値−放電調整後誤差、に設定した制御指令値を取得する。ここで、前記放電調整後誤差は、放電調整後誤差=誤差+充放電量計画値−(−放電可能量)、である。
以上の買電量計画値追従モードによれば、前記した需給計画を立てる際の主目的とした買電量計画値への追従という点に関して、前記制御指令値が設定されるステップSA5,SA7,SA8,SA10,SA13,SA15,SA16,SA17のうち、買電量計画値を修正する必要が生じるのは、売電の計画がない条件の下で蓄電池6の充放電量では誤差を吸収しきれない条件下のステップSA13とステップSA16の場合のみとなる。
よって、該買電量計画値追従モードに基づく誤差振り分けルールに従って誤差の振り分けを実施する需給バランス処理によれば、前記誤差は、できるだけ充放電量と、原動機出力の調整で吸収させることができて、買電量を、前記コントローラ13の需給計画設定部17で設定された買電量計画値に良好に追従させることができる。
次に、図5は、前記経済コスト低減モードによる誤差振り分けルールを示すものである。
該経済コスト低減モードは、概説すると、図4に示した買電量計画値追従モードと同様の処理手順において、電力系統12からの買電や原動機付き発電機8による出力で誤差を吸収させるための電力を得る必要が生じるときに、電力系統12より買電するときの電気料金と、原動機付き発電機8にて発電するときの燃料費についての比較を行い、よりコストが低い方から電力を得ることで、全体の運用コストの低減化を図るものである。
具体的には、図4に示したと同様の処理手順において、ステップSA6で、需要過多の誤差が、売電量計画値と蓄電池6からの放電では吸収不可能と判断される場合に、ステップSA18へ進むようにしてある。
前記ステップSA18では、電力系統12より買電するときの電気料金と、原動機付き発電機8にて発電するときの燃料費についての比較を行い、たとえば、同じ1kWの電力を得る場合、前記電気料金が、前記燃料費よりも安いか否かを判断する。
その結果、前記ステップSA18にて、電気料金が燃料費よりも安くないと判断される場合は、図4に示した売電量計画値追従モードにおけるステップSA8と同様のステップSA8に進み、前記需給バランス処理実行部19は、充放電量=−(蓄電池6の放電可能量)、買電量=0、原動機出力=−(放電調整後誤差+売電量計画値)、に設定した制御指令値を取得する。この場合は、前記需要過多の誤差を振り分けるための電力を、買電ではなく、原動機出力によって得るようになるため、全体の運用コストの低減化に有利になる。
一方、前記ステップSA18にて、電気料金が燃料費よりも安いと判断される場合は、ステップSA19に進む。
このようにしてステップSA19に達する場合は、前記需要過多の誤差を振り分ける際に、原動機出力よりも買電で電力を得る方が全体の運用コストの低減化に有利になることから、前記需給バランス処理実行部19は、充放電量=−(蓄電池6の放電可能量)、買電量=−(放電調整後誤差+売電量計画値)、原動機出力=0、に設定した制御指令値を取得するようにしてある。
又、前記経済コスト低減モードでは、図4に示した買電量計画値追従モードと同様の処理手順において、ステップSA12で売電の必要がないと判断された場合に、ステップSA20へ進み、該ステップSA20で、前記ステップSA18と同様に、電力系統12からの買電の電気料金が、原動機付き発電機8の燃料費よりも安いか否かを判断する。
前記ステップSA20にて、電気料金が燃料費よりも安いと判断される場合は、図4に示したステップSA14と同様のステップSA14に進み、その後、需給バランス処理実行部19では、図4の処理手順と同様に、該ステップSA14での判断に応じて、ステップSA15又はステップSA16のいずれかで設定した制御指令値を取得する。
一方、前記ステップSA20にて、電気料金が燃料費よりも安くないと判断される場合は、ステップSA21へ進む。
前記ステップSA21では、買電量計画値が、充電調整後誤差より大きいか否かの判断を行う。
前記ステップSA21にて、買電量計画値が充電調整後誤差より大きいと判断される場合は、ステップSA22へ進む。
このようにしてステップSA22に達すると、前記需給バランス処理実行部19は、充放電量=蓄電池6の充電可能量、買電量=買電量計画値−充電調整後誤差、原動機出力=原動機出力計画値、に設定した制御指令値を取得する。
又、前記ステップSA21で、買電量計画値が充電調整後誤差よりも大きくないと判断される場合は、ステップSA23へ進む。
このようにしてステップSA23に達すると、前記需給バランス処理実行部19は、充放電量=蓄電池6の充電可能量、買電量=0、原動機出力=原動機出力計画値−(充電調整後誤差−買電量計画値)、に設定した制御指令値を取得する。
更に、前記経済コスト低減モードでは、図4に示した買電量計画値追従モードと同様の処理手順において、ステップSA11で誤差が供給過多ではないと判断された場合に、ステップSA24へ進み、該ステップSA24で、前記ステップSA18と同様に、電力系統12からの買電の電気料金が、原動機付き発電機8の燃料費よりも安いか否かを判断する。
その結果、前記ステップSA24にて、電気料金が燃料費よりも安くないと判断される場合は、図4に示した売電量計画値追従モードにおけるステップSA17と同様のステップSA17に進み、前記需給バランス処理実行部19は、充放電量=−(蓄電池6の放電可能量)、買電量=買電量計画値、原動機出力=原動機出力計画値−放電調整後誤差、に設定した制御指令値を取得する。
一方、前記ステップSA24にて、電気料金が燃料費よりも安いと判断される場合は、ステップSA25へ進む。
このようにしてステップSA25に達すると、前記需給バランス処理実行部19は、充放電量=−(蓄電池6の放電可能量)、買電量=買電量計画値−放電調整後誤差、原動機出力=原動機出力計画値、に設定した制御指令値を取得する。
その他の処理手順は、図4に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
以上の経済コスト低減モードによれば、需給バランス処理を行う際に、誤差を吸収するために同じ電力量が要求されるステップSA8とステップSA19、ステップSA15とステップSA22、ステップSA16とステップSA23、ステップSA17とステップSA25について、買電と、原動機付き発電機8による出力のうち、調達コスト(電気料金と燃料費)がより安い方から、より多く電力を得ることができるため、需給バランス処理に要する全体の運用コストの低減化を図ることができる。
次いで、図6は、前記CO2排出量低減モードによる誤差振り分けルールを示すものである。
該CO2排出量低減モードは、概説すると、図5に示した経済コスト低減モードと同様の処理手順において、電力系統12からの買電や原動機付き発電機8による出力で誤差を吸収させるための電力を得る必要が生じるときに、電力系統12より供給される電力を発電するときと、原動機付き発電機8にて発電するときの単位電力当りのCO2排出量についての比較を行い、CO2排出量がより低い方から電力を得ることで、CO2排出量の低減化を図るものである。
したがって、該CO2排出量低減モードは、図5に示したと同様の処理手順において、電力系統12からの買電の電気料金が、原動機付き発電機8の燃料費よりも安いか否かを判断するためのステップSA18とSA20とSA24に代えて、電力系統12からの買電のほうが、原動機付き発電機8による出力(発電)よりもCO2排出量が少ないか否かの判断を行うステップSA26とSA27とSA28をそれぞれ設けるようにしてある。
その他の処理手順は、図5に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
以上のCO2排出量低減モードによれば、需給バランス処理を行う際に、誤差を吸収するために同じ電力量が要求されるステップSA8とステップSA19、ステップSA15とステップSA22、ステップSA16とステップSA23、ステップSA17とステップSA25について、買電と、原動機付き発電機8による出力のうち、発電時のCO2排出量がより少ない方から、より多く電力を得ることができるため、需給バランス処理に要する電力を得るためのCO2排出量の低減化を図ることができる。
図7は、前記蓄電池SOC計画値追従モードによる誤差振り分けルールを示すものである。
該蓄電池SOC計画値追従モードでは、先ず、図4に示した前記買電量計画値追従モードにおけるステップSA1と同様に、PV出力とWT出力の和から負荷9の需要電力を引いた値(PV出力+WT出力−負荷)について、計画値から実測値を引くことで誤差を算出し(ステップSB1)、次に、図4に示したステップSA2と同様に、充電上限値と放電上限値をそれぞれ算出する(ステップSB2)。
次いで、ステップSB3に進み、前記需給計画設定部17で設定された需給計画に基づくSOC計画値と、SOCの現在値を基に、必要充放電量を算出する。該必要充放電量の算出は、(SOC計画値−SOC現在値)×蓄電池容量、による。該必要充放電量の値が正ならば要充電、負ならば要放電である。
前記必要充放電量が算出されると、該必要充放電量と、正又は負側で対応する前記充電上限値又は放電上限値のうちの絶対値が小さい方の値を、目標充放電量に設定する(ステップSB4)。ここで、該目標充放電量の値が正ならば充電目標、負ならば放電目標である。
続いて、ステップSB5に進み、売電する計画があるか否かを判断する。
前記ステップSB5で売電する計画であると判断される場合は、ステップSB6に進む。この際、売電する場合の需給計画では、前記蓄電池6の充放電は行わないため、充放電量計画値=0、とされる。
前記ステップSB6では、調整量を、調整量=売電量計画値+誤差、で算出して、該調整量が目標充放電量の範囲内か否かを判断する。すなわち、該目標充放電量が充電目標の場合は、0<調整量<充電目標、となるか否かを判断する。又、該目標充放電量が放電目標の場合は、放電目標<調整量<0、となるか否かを判断する。
前記ステップSB6にて、調整量が目標充放電量の範囲内であると判断される場合は、ステップSB7へ進む。
前記のようにしてステップSB7に達すると、前記需給バランス処理実行部19は、充放電量=調整量、売電量=0、原動機出力=0、に設定した制御指令値を取得するようにしてある。
一方、前記ステップSB6にて、調整量が目標充放電量の範囲内ではないと判断される場合は、ステップSB8へ進む。
前記ステップSB8では、売電が必要であるか否かを判断する。すなわち、前記目標充放電量が充電目標であるか否か、又は、調整量>目標充電量、であるか否かを判断する。
前記ステップSB8にて、売電が必要であると判断される場合は、ステップSB9へ進む。
このようにしてステップSB9に達する場合は、前記需給バランス処理実行部19は、充放電量=0、売電量=調整量、原動機出力=0、に設定した制御指令値を取得する。
これに対し、前記ステップSB8にて、売電が必要ではないと判断される場合は、ステップSB10へ進む。
このようにしてステップSB10に達すると、前記需給バランス処理実行部19は、充放電量=目標放電量、売電量+原動機出力=−(調整量+目標放電量)、に設定した制御指令値を取得するようにしてある。なお、前記式のように左辺が(売電量+原動機出力)とされる場合の売電量と原動機出力との振分け割合は、予め定めておくようにしてあるものとする。(後述するステップSB17,SB18,SB20,SB21も同様。)
更に、前述のステップSB5で売電計画なしと判断される場合には、ステップSB11へ進む。
前記ステップSB11では、前記誤差は、目標充放電量の範囲内か否かを判断する。すなわち、前記目標充放電量が充電目標の場合は、0<誤差<充電目標、となるか否かを判断する。又、前記目標充放電量が放電目標の場合は、放電目標<誤差<0、となるか否かを判断する。
前記ステップSB11にて、誤差は目標充放電量の範囲内であると判断される場合は、ステップSB12へ進む。
このようにしてステップSB12に達する場合は、前記需給バランス処理実行部19は、充放電量=充放電量計画値+誤差、買電量=買電量計画値、原動機出力=原動機出力計画値、に設定した制御指令値を取得するようにしてある。
一方、前記ステップSB11で誤差が目標放電量の範囲内ではないと判断される場合は、ステップSB13へ進む。該ステップSB13では、誤差は電力の供給過多か否かを判断する。
前記ステップSB13にて、前記誤差が供給過多であると判断される場合は、ステップSB14へ進む。
前記ステップSB14では、売電の必要があるか否かを判断する。すなわち、(誤差−目標充放電量)>(買電量計画値+原動機出力計画値)、という式が満たされるか否かを判断する。
前記ステップSB14で売電が必要であると判断される場合は、ステップSB15へ進み、前記需給バランス処理実行部19は、充放電量=0、売電量=誤差−(買電量計画値+原動機出力計画値−充放電量計画値)、原動機出力=0、に設定した制御指令値を取得する。
一方、前記ステップSB14で売電の必要がないと判断される場合は、ステップSB16へ進む。
前記ステップSB16では、前記目標充放電量が充電目標であるか否かの判断を行う。
前記ステップSB16にて、前記目標充放電量が充電目標であると判断される場合は、ステップSB17へ進む。
このようにしてステップSB17に達する場合は、前記需給バランス処理実行部19は、充放電量=目標充放電量、原動機出力+買電量=買電量計画値+原動機出力計画値−充放電量計画値−(誤差−目標充放電量)、に設定した制御指令値を取得する(なお、目標充放電量は充電目標)。
又、前記ステップSB16にて、前記目標充放電量が充電目標ではなく、放電目標であると判断される場合は、ステップSB18へ進む。
このようにしてステップSB18に達する場合は、前記需給バランス処理実行部19は、充放電量=0、原動機出力+買電量=買電量計画値+原動機出力計画値−充放電量計画値−誤差、に設定した制御指令値を取得する。
更に、前記ステップSB13において誤差が供給過多ではないと判断された場合は、ステップSB19へ進む。
前記ステップSB19では、前記目標充放電量が充電目標であるか否かの判断を行う。
前記ステップSB19にて、前記目標充放電量が充電目標であると判断される場合は、ステップSB20へ進む。
このようにしてステップSB20に達する場合は、前記需給バランス処理実行部19は、充放電量=0、原動機出力+買電量=買電量計画値+原動機出力計画値−充放電量計画値−誤差、に設定した制御指令値を取得する。
一方、前記ステップSB19にて、前記目標充放電量が充電目標ではなく、放電目標であると判断される場合は、ステップSB21へ進む。
このようにしてステップSB21に達する場合は、前記需給バランス処理実行部19は、充放電量=目標充放電量、原動機出力+買電量=買電量計画値+原動機出力計画値−充放電量計画値−(誤差+目標充放電量)、に設定した制御指令値を取得する(なお、目標充放電量は放電目標)。
以上の蓄電池SOC計画値追従モードに基づく誤差振り分けルールに従って誤差の振り分けを実施する需給バランス処理によれば、前記コントローラ13の需給計画設定部17で設定された蓄電池6のSOCの制御計画に良好に追従させることができる。
図8は、前記受電点電力変動低減モードによる誤差振り分けルールを示すものである。
該受電点電力変動低減モードでは、先ず、図4に示した前記買電量計画値追従モードにおけるステップSA1と同様に、PV出力とWT出力の和から負荷9の需要電力を引いた値(PV出力+WT出力−負荷)について、計画値から実測値を引くことで誤差を算出し(ステップSC1)、次に、図4に示したステップSA2と同様に、充電上限値と放電上限値をそれぞれ算出する(ステップSC2)。
次いで、図4に示したステップSA3と同様に、売電する計画があるか否かを判断する(ステップSC3)。
前記ステップSC3で売電する計画であると判断される場合は、ステップSC4に進む。
前記ステップSC4では、調整量を、調整量=売電量計画値+誤差、で算出して、該調整量が充放電量の範囲内か否かを判断する。すなわち、−(放電上限値)<調整量<充電上限値、となるか否かを判断する。
前記ステップSC4にて、調整量が充放電量の範囲内であると判断される場合は、ステップSC5へ進む。
前記のようにしてステップSC5に達すると、前記需給バランス処理実行部19は、充放電量=調整量、売電量=0、原動機出力=0、に設定した制御指令値を取得するようにしてある。
一方、前記ステップSC4にて、調整量が充放電量の範囲内ではないと判断される場合は、ステップSC6へ進む。
前記ステップSC6では、調整量が充電上限値を上回るか否かを判断する。
前記ステップSC6にて、調整量が充電上限値を上回ると判断される場合は、ステップSC7へ進む。
このようにしてステップSC7に達する場合は、前記需給バランス処理実行部19は、充放電量=0、売電量=調整量、原動機出力=0、に設定した制御指令値を取得する。
これに対し、前記ステップSC6にて、調整量が充電上限値を上回らないと判断される場合は、ステップSC8へ進む。
このようにしてステップSC8に達すると、前記需給バランス処理実行部19は、充放電量=放電上限値、売電量=0、原動機出力=(−調整量)−放電上限値、に設定した制御指令値を取得するようにしてある。
更に、前述のステップSC3で売電計画なしと判断される場合には、ステップSC9へ進む。
前記ステップSC9では、誤差は電力の供給過多か否かを判断する。
前記ステップSC9にて、前記誤差が供給過多であると判断される場合は、ステップSC10へ進む。
前記ステップSC10では、誤差が買電量計画値以上に供給過多か否かを判断する。すなわち、誤差−買電量計画値>0、という条件が満たされるか否かを判断する。
前記ステップSC10にて、誤差が買電量計画値以上に供給過多であると判断される場合は、ステップSC11に進む。
このようにしてステップSC11に達する場合は、前記需給バランス処理実行部19は、買電量=0、充放電量+原動機出力=原動機出力計画値−充放電量計画値−(誤差−買電量計画値)、に設定した制御指令値を取得する。なお、前記式のように左辺が(充放電量+原動機出力)とされる場合の蓄電池6の充放電量と原動機出力との振分け割合は、予め定めておくようにしてあるものとする。(後述するステップSC13も同様。)
一方、前記ステップSC10にて、誤差が買電量計画値以上の供給過多ではないと判断される場合は、ステップSC12へ進む。
このようにしてステップSC12に達する場合は、前記需給バランス処理実行部19は、買電量=買電量計画値−誤差、充放電量=充放電量計画値、原動機出力=原動機出力計画値、に設定した制御指令値を取得する。
更に、前記ステップSC9において誤差が供給過多ではないと判断された場合は、ステップSC13へ進む。
このようにしてステップSC13に達する場合は、前記需給バランス処理実行部19は、買電量=買電量計画値、充放電量+原動機出力=原動機出力計画値−充放電量計画値−誤差、に設定した制御指令値を取得する。
以上の受電点電力変動低減モードに基づく誤差振り分けルールに従って誤差の振り分けを実施する需給バランス処理によれば、前記電力エネルギーネットワーク1と電力系統12との間での買電や売電による受電点電力の変動を低減させることができる。
このように、本発明の電力需給制御方法及び装置によれば、前記コントローラ13の需給計画モード選択部16で選択された経済負荷最小モード、CO2排出量最小モード、受電点電力変動最小モードのいずれかの需給計画モードに沿って需給計画設定部で設定される需給計画に沿って、前記電力エネルギーネットワーク1にて、太陽光発電装置2や風力発電装置3や原動機付き発電機8による発電、蓄電池6の充放電、及び、電力系統12との間の買電及び売電を、適宜行わせながら、負荷9への電力供給を行うことができる。
更に、前記電力エネルギーネットワークを実際に運用する際に前記需給計画との誤差は、前記買電量計画値追従モード、経済コスト低減モード、蓄電池SOC計画値追従モード、CO2排出量低減モード、又は、受電点電力変動低減モードのうち、前記需給バランスモード選択部18で優先度が1位に指定された需給バランスモードにしたがって、買電量、売電量、蓄電池の充放電量、原動機付き発電機8の出力に振り分けて吸収させることができる。更に、このように運用している間に、前記優先度が2位に指定された需給バランスモードに対するモード切替条件が満たされるようになると、前記優先度の順位に従って、需給バランスモードを切り替えることができる。
よって、本発明の電力需給制御方法及び装置では、前記したように需給バランスモードの切り替えを行うことにより、前記各需給バランスモードの目的である買電量計画値追従、経済コスト低減、蓄電池SOC計画値追従、CO2排出量低減、受電点電力変動低減の各目的のうち、前記各需給バランスモードの優先順位に応じて複数の目的を同時に達成することができる。
なお、本発明は、前記実施の形態にのみに限定されるものではなく、前記コントローラ13の需給計画モード選択部16は、経済負荷最小モードと、CO2排出量最小モードと、受電点電力変動最小モードの3つの需給計画モードを選択肢として備えるものとして示したが、前記3つの需給計画モードのうちのいずれか2つの需給計画モードを選択肢として備えるようにしてもよい。
更に、前記コントローラ13の需給計画設定部17は、前記需給計画モード選択部16で複数の需給計画モードのうちのいずれかに設定される需給計画モードに従って制御計画を立てるものとして示したが、前記3つの需給計画モードのうち、予め定められたいずれか一つの需給計画モードのみに従って需給計画を立てるものとしてもよい。この場合、前記コントローラ13は、前記需給計画モード選択部16を省略した構成としてもよい。
前記コントローラ13の需給バランスモード選択部18で優先順位を設定しながら選択する需給バランスモードの数は、2以上であれば任意に変更してもよい。又、各需給バランスモードの優先順位は、任意に決定してよい。
前記コントローラ13における予測部15、需給計画モード選択部16、需給計画設定部17、需給バランスモード選択部18、及び、需給バランス処理実行部19は、それぞれについて前述した機能を果たすことができるようにしてあれば、個別の機器を備える必要はなく、たとえば、入出力装置を備えたコンピュータのような複数の処理が実施可能な機器に共通して実装させるようにすればよい。
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。